WO2022163637A1 - フォルダブルデバイス用光学粘着シート - Google Patents

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Abstract

本発明のフォルダブルデバイス用光学粘着シートとしての光学粘着シート(S)は、粘着剤層(10)を有する。粘着剤層(10)は、25℃において20~50kPaのせん断貯蔵弾性率を有する。粘着剤層(10)は、被着体に対する貼り付けから25℃での2分間の第1の静置後に、当該被着体に対して25℃において第1粘着力Xaを有する。また、粘着剤層(10)は、被着体に対する貼り付け、その後の50℃、0.5MPaおよび15分の条件での加熱加圧処理、および、その後の25℃での72時間の第2の静置後に、当該被着体に対して25℃において第2粘着力Xbを有する。第1粘着力Xaおよび第2粘着力Xbは、2.2≦Xb/Xa≦5を満たす。

Description

フォルダブルデバイス用光学粘着シート
 本発明は、フォルダブルデバイス用光学粘着シートに関する。
 ディスプレイパネルは、例えば、画素パネル、タッチパネル、偏光板およびカバーフィルムなどを含む積層構造を有する。そのようなディスプレイパネルの製造過程では、積層構造に含まれる要素どうしの接合のために、例えば、透明な粘着シート(光学粘着シート)が用いられる。一方、例えばスマートフォン用およびタブレット端末用に、繰り返し折り曲げ可能(フォルダブル)なディスプレイパネルの開発が進んでいる。フォルダブルなディスプレイパネルでは、積層構造中の各要素が、繰り返し折り曲げ可能に作製されており、そのような要素間の接合に光学粘着シートが用いられている。フォルダブルディスプレイパネルなどフォルダブルデバイス用の光学粘着シートについては、例えば下記の特許文献1に記載されている。
特開2018-111754号公報
 光学粘着シートには、被着体への貼合せ作業に関するリワーク性が求められる。具体的には、被着体への光学粘着シートの貼り合わせに不良(被着体上での粘着シートの位置ずれなど)が生じた場合に、代わりの光学粘着シートでの貼合せ作業ができるように、光学粘着シートには、被着体から適切に剥離するための軽剥離性が求められる。フォルダブルデバイスが偏光板など高価な要素を含む場合には特に、貼合せ不良に起因する製造ロスの回避の観点から、光学粘着シートのリワーク性への要求は強い。
 また、フォルダブルデバイス中の光学粘着シートには、被着体に対する充分な接着信頼性を示すことも、求められる。しかしながら、デバイスの折り曲げ箇所では、従来、被着体からの光学粘着シートの剥がれが生じやすい。デバイスが折り曲げられたとき、当該折り曲げ箇所では、光学粘着シートに対してせん断応力などの応力が局所的に作用するからである。当該剥がれの発生は、デバイスの機能不良の原因となり、好ましくない。
 本発明は、被着体への貼り合わせのリワーク性を確保するとともに、折り曲げられる被着体からの剥がれを抑制するのに適した、フォルダブルデバイス用の光学粘着シートを提供する。
 本発明[1]は、粘着剤層を有するフォルダブルデバイス用光学粘着シートであって、前記粘着剤層が、25℃において20kPa以上50kPa以下のせん断貯蔵弾性率を有し、前記粘着剤層が、被着体に対する貼り付けから25℃での2分間の第1の静置後に、当該被着体に対して25℃において第1粘着力Xaを有し、前記粘着剤層が、前記被着体に対する貼り付け、その後の50℃、0.5MPaおよび15分の条件での加熱加圧処理、および、その後の25℃での72時間の第2の静置後に、当該被着体に対して25℃において第2粘着力Xbを有し、前記第1粘着力Xaおよび前記第2粘着力Xbが、2.2≦Xb/Xa≦5を満たす、フォルダブルデバイス用光学粘着シートを含む。
 本発明の光学粘着シートの粘着剤層は、上記の第1粘着力Xa(被着体に対する貼り付け後2分での粘着力)と、上記の第2粘着力Xb(貼り付け後に加熱加圧処理を経てから72時間後の粘着力)とが、2.2≦Xb/Xa≦5を満たす。第1粘着力Xaに対する第2粘着力Xbの比率(Xb/Xa)が2.2以上である構成(Xb/Xaが2.2以上である程度に第1粘着力Xaが小さい構成)は、被着体に対する光学粘着シートの貼合せ作業において、粘着剤層の軽剥離性を確保してリワーク性を確保しつつ、光学粘着シートによる被着体間の接合後において、72時間程度の短時間内での粘着力の経時的上昇によって所定の接合力を確保するのに適する。比率(Xb/Xa)が5以下である構成(Xb/Xaが5以下である程度に、第1粘着力Xaが小さすぎない構成)は、上記貼合せ作業において、同作業に必要な粘着力を粘着剤層に確保して被着体に対する光学粘着シートの良好な仮固定を実現しつつ、上記の被着体間接合力を確保するのに適する。すなわち、本光学粘着シートは、貼合せ作業の適切な実施とリワーク性とを両立しつつ、被着体間接合後の接合力を、粘着剤層の粘着力の経時的上昇によって確保するのに適する。
 また、本光学粘着シートの粘着剤層は、上記のように、25℃において20kPa以上50kPa以下のせん断貯蔵弾性率を有する。この程度の柔らかさを有する粘着剤層は、被着体間の接合に必要な凝集力を確保しつつ、当該粘着剤層が貼り合わされた被着体が折り曲げられたとき、当該折り曲げ箇所において粘着剤層に局所的に作用する応力を緩和するのに適する。したがって、本光学粘着シートは、折り曲げられる被着体からの剥がれを抑制するのに適する。
 本発明[2]は、前記粘着剤層が、前記被着体に対する貼り付け、前記加熱加圧処理、および、その後の25℃での168時間の第3の静置後に、当該被着体に対して25℃において第3粘着力Xcを有し、前記第1粘着力Xaおよび前記第3粘着力Xcが、2.5≦Xc/Xa≦7を満たす、上記[1]に記載のフォルダブルデバイス用光学粘着シートを含む。
 第1粘着力Xaに対する第3粘着力Xcの比率(Xc/Xa)が2.5以上である構成(Xc/Xaが2.5以上である程度に第3粘着力Xcが大きい構成)は、本光学粘着シートによる被着体間の接合の信頼性を確保するのに好ましい。Xc/Xaが7以下である構成(Xc/Xaが7以下である程度に、第1粘着力Xaが小さすぎない構成)は、前記接合信頼性を確保しつつ、被着体に対する光学粘着シートの貼合せ作業において、被着体に対する光学粘着シートの良好な仮固定を実現するのに好ましい。
 本発明[3]は、前記粘着剤層が、前記被着体に対する貼り付けから25℃での30分間の第4の静置後に、当該被着体に対して25℃において第4粘着力Xdを有し、前記第1粘着力Xaおよび前記第4粘着力Xdが、0.7≦Xd/Xa≦1.4を満たす、上記[1]または[2]に記載のフォルダブルデバイス用光学粘着シートを含む。
 このような構成は、被着体に対する光学粘着シートの貼合せ作業において、被着体に一旦 貼り合わされた光学粘着シートを、必要に応じて被着体から剥離するのに好ましく、従って、貼合せ作業のリワーク性を確保するのに好ましい。
 本発明[4]は、前記粘着剤層が、前記被着体に対する貼り付けから25℃での300分間の第5の静置の間に、当該被着体に対して25℃において有する最小粘着力Yaは、0.1N/25mm以上である、上記[1]から[3]のいずれか一つに記載のフォルダブルデバイス用光学粘着シートを含む。
 このような構成は、被着体に対する光学粘着シートの貼合せ作業において、被着体に対する光学粘着シートの良好な仮固定を実現するのに好ましい。
 本発明[5]は、前記粘着剤層が前記被着体に貼り付けられてから前記最小粘着力Yaを有するまでの経過時間Ta(分)が、0≦Ta≦100を満たす、上記[4]に記載のフォルダブルデバイス用光学粘着シートを含む。
 このような構成は、被着体に一旦 貼り合わされた光学粘着シートを、必要に応じて被着体から剥離するのに好ましく、従って、貼合せ作業のリワーク性を確保するのに好ましい。
 本発明[6]は、前記第1粘着力Xaが0.1N/25mm以上10N/25mm以下である、上記[1]から[5]のいずれか一つに記載のフォルダブルデバイス用光学粘着シートを含む。
 このような構成は、被着体に対する光学粘着シートの貼合せ作業の適切な実施と、同作業のリワーク性とを、両立するのに好ましい。
本発明の光学粘着シートの一実施形態の断面模式図である。 本発明の光学粘着シートの使用方法の一例を表す。図2Aは、光学粘着シートを第1被着体に貼り合わせる工程を表し、図2Bは、光学粘着シートを介して第1被着体と第2被着体とを接合する工程を表し、図2Cは、エージング工程を表す。 実施例1および比較例1の各粘着シートの粘着力を表すグラフである。
 本発明のフォルダブルデバイス用光学粘着シートの一実施形態としての粘着シートSは、図1に示すように、粘着剤層10を備える。粘着シートSは、所定の厚さのシート形状を有し、厚さ方向と直交する方向(面方向)に延びる。図1は、粘着シートSの両面に剥離フィルムL1,L2(はく離ライナー)が貼り合わされている状態を例示的に示す。剥離フィルムL1は、粘着シートSの厚さ方向Tの一方面上に配置されている。剥離フィルムL2は、粘着シートSの厚さ方向Tの他方面上に配置されている。剥離フィルム付きの粘着シートSは、例えばロールの形態(図示略)をとる。
 このような粘着シートSは、フォルダブルデバイスにおける光通過箇所に配置される透明な粘着シート(光学粘着シート)である。フォルダブルデバイスとしては、例えば、フォルダブルディスプレイパネルが挙げられる。フォルダブルディスプレイパネルは、例えば、画素パネル、タッチパネル、偏光板およびカバーフィルムなどを含む積層構造を有する。粘着シートSは、例えば、フォルダブルディスプレイパネルの製造過程において、前記積層構造に含まれる要素どうしの接合に、用いられる。
 粘着剤層10は、25℃において20kPa以上50kPa以下のせん断貯蔵弾性率を有し、且つ、第1粘着力Xaおよび第2粘着力Xbが2.2≦Xb/Xa≦5を満たす。
 粘着剤層10の上記せん断貯蔵弾性率は、実施例に関して後述する動的粘弾性測定で求められる貯蔵弾性率である(後記のせん断貯蔵弾性率についても同様である)。第1粘着力Xaは、粘着剤層10が、被着体に対する貼り付けから25℃での2分間の静置(第1の静置)後に、当該被着体に対して25℃において有する粘着力である。第2粘着力Xbは、粘着剤層10が、被着体に対する貼り付け、その後の加熱加圧処理、および、その後の25℃での72時間の静置(第2の静置)後に、当該被着体に対して25℃において有する粘着力である。被着体はポリイミドフィルムである(後記の被着体についても同様である)。被着体に対する粘着剤層10の貼り付けは、25℃の環境下で2kgのローラーを1往復させる加重による、貼り付けである(後記の貼り付けについても同様である)。加熱加圧処理は、温度50℃、圧力0.5MPa、および処理時間15分間の条件で実施される処理であって、被着体に対する粘着剤層10の貼り付けから3分以内に開始される処理である(後記の加熱加圧処理についても同様である)。粘着力は、測定温度25℃、剥離角度180°および引張速度300mm/分の条件での剥離試験によって測定される剥離強度としての粘着力である(後記の粘着力についても同様である)。
 粘着シートSにおける粘着剤層10は、上述のように、第1粘着力Xa(被着体に対する貼り付け後2分での粘着力)と、上記の第2粘着力Xb(貼り付け後に加熱加圧処理を経てから72時間後の粘着力)とが、2.2≦Xb/Xa≦5を満たす。第1粘着力Xaに対する第2粘着力Xbの比率(Xb/Xa)が2.2以上である構成(Xb/Xaが2.2以上である程度に第1粘着力Xaが小さい構成)は、被着体に対する粘着シートSの貼合せ作業(例えば、図2Aを参照して後述する貼り合わせ)において、粘着剤層10の軽剥離性を確保してリワーク性を確保しつつ、粘着シートSによる被着体間の接合後において、72時間程度の短時間内での粘着力の経時的上昇によって所定の接合力を確保するのに適する。リワーク性の確保は、粘着シートSが用いられるフォルダブルデバイスの製造歩留り向上に役立つ。一方、比率(Xb/Xa)が5以下である構成(Xb/Xaが5以下である程度に、第1粘着力Xaが小さすぎない構成)は、上記貼合せ作業において、同作業に必要な粘着力を粘着剤層10に確保して被着体に対する粘着シートSの良好な仮固定を実現しつつ、上記の被着体間接合力を確保するのに適する。すなわち、粘着シートSは、貼合せ作業の適切な実施とリワーク性とを両立しつつ、被着体間接合後の接合力を、粘着剤層10の粘着力の経時的上昇によって確保するのに適する。粘着シートSが用いられて製造されるフォルダブルデバイスの要素(被着体)間において、粘着剤層10の粘着力の経時的上昇によって充分な接合力が確保される場合、同デバイスの製造過程において、例えば工場内での粘着剤層10のエージングプロセスを、不要にできる(エージングは、例えば、常温での出荷過程で進行する)。
 また、粘着剤層10は、上述のように、25℃において20kPa以上50kPa以下のせん断貯蔵弾性率を有する。この程度の柔らかさを有する粘着剤層10は、被着体間の接合に必要な凝集力を確保しつつ、粘着剤層10が貼り合わされた被着体が折り曲げられたとき、当該折り曲げ箇所において粘着剤層10に局所的に作用する応力を緩和するのに適する。したがって、粘着シートSは、折り曲げられる被着体からの剥がれを抑制するのに適する。
 以上のように、粘着シートSは、被着体への貼り合わせのリワーク性を確保するとともに、折り曲げられる被着体からの剥がれを抑制するのに適する。加えて、粘着剤層10が25℃において20kPa以上50kPa以下のせん断貯蔵弾性率を有する構成は、粘着シートSの製造過程の切断加工時に、用いるトムソン刃などの切断手段に粘着剤層10由来の粘着剤片が付着するのを抑制するのに適する。したがって、当該構成は、粘着シートSの良好な加工歩留りを実現するのに適する。
 被着体に対する粘着シートSの貼合せ作業のリワーク性を確保しつつ、粘着シートSによる被着体間の接合後の接合力を確保する観点から、Xb/Xaは、好ましくは2.3以上、より好ましくは2.4以上、更に好ましくは2.5以上である。貼合せ作業において被着体に対する粘着シートSの良好な仮固定を実現しつつ、上記の被着体間接合力を確保する観点から、Xb/Xaは、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下である。
 粘着剤層10は、第1粘着力Xaおよび第3粘着力Xcが、2.3≦Xc/Xa≦7を満たす。第3粘着力Xcは、粘着剤層10が、被着体に対する貼り付け、上記の加熱加圧処理、および、その後の25℃での168時間の静置(第3の静置)後に、当該被着体に対して25℃において有する粘着力である。
 第1粘着力Xaに対する第3粘着力Xcの比率(Xc/Xa)が2.3以上である構成(Xc/Xaが2.3以上である程度に第3粘着力Xcが大きい構成)は、粘着シートSによる被着体間の接合の信頼性を確保するのに好ましい。この観点から、Xc/Xaは、より好ましくは2.4以上、更に好ましくは2.5以上、特に好ましくは2.6以上である。Xc/Xaが7以下である構成(Xc/Xaが7以下である程度に、第1粘着力Xaが小さすぎない構成)は、前記の接合信頼性を確保しつつ、被着体に対する粘着シートSの貼合せ作業において、被着体に対する粘着シートSの良好な仮固定を実現するのに好ましい。この観点から、Xc/Xaは、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.5以下である。
 粘着剤層10は、第1粘着力Xaおよび第4粘着力Xdが、0.7≦Xd/Xa≦1.4を満たす。第4粘着力Xdは、粘着剤層10が、被着体に対する貼り付けから25℃での30分間の静置(第4の静置)後に、当該被着体に対して25℃において有する粘着力である。0.7≦Xd/Xa≦1.4が満たされる上記構成は、被着体に対する粘着シートSの貼合せ作業において、被着体に一旦 貼り合わされた粘着シートSを、必要に応じて被着体から剥離するのに好ましく、従って、貼合せ作業のリワーク性を確保するのに好ましい。
 粘着剤層10が、被着体に対する貼り付けから25℃での300分間の静置(第5の静置)の間に、当該被着体に対して25℃において有する最小粘着力Yaは、好ましくは0.1N/25mm以上、より好ましくは1N/25mm以上、更に好ましくは3N/25mm以上、特に好ましくは5N/25mm以上である。このような構成は、被着体に対する粘着シートSの貼合せ作業において、被着体に対する粘着シートSの良好な仮固定を実現するのに好ましい。最小粘着力Yaの調整方法としては、例えば、粘着剤層10のためのベースポリマーの種類の選択、分子量の調整、および配合量の調整が挙げられる。ベースポリマーの種類の選択には、ベースポリマーにおける主鎖の種類(構成)の選択、並びに、官能基の種類の選択および量の調整が含まれる(後記の、ベースポリマーの種類の選択についても、同様である)。最小粘着力Yaの調整方法としては、ベースポリマー以外の成分の種類の選択、および、当該成分の配合量の調整も挙げられる。当該成分としては、架橋剤、シランカップリング剤、およびオリゴマーが挙げられる。
 粘着剤層10が被着体に貼り付けられてから最小粘着力Yaを有するまでの経過時間Ta(分)は、好ましくは、0≦Ta≦100を満たす。このような構成は、被着体に一旦貼り合わされた粘着シートSを、必要に応じて被着体から剥離するのに好ましく、従って、貼合せ作業のリワーク性を確保するのに好ましい。経過時間Taの調整方法としては、例えば、粘着剤層10のためのベースポリマーの種類の選択、分子量の調整、および配合量の調整が挙げられる。経過時間Taの調整方法としては、ベースポリマー以外の成分の種類の選択、および、当該成分の配合量の調整も挙げられる。当該成分としては、架橋剤、シランカップリング剤、およびオリゴマーが挙げられる。
 第1粘着力Xaは、好ましくは0.1N/25mm以上、より好ましくは1N/25mm以上、更に好ましくは3N/25mm以上、特に好ましくは5N/25mm以上である。第1粘着力Xaは、好ましくは10N/25mm以下、より好ましくは9N/25mm以下、更に好ましくは8N/25mm以下である。このような構成は、被着体に対する粘着シートSの貼合せ作業の適切な実施と、同作業のリワーク性とを、両立するのに好ましい。第1粘着力Xaの調整方法としては、例えば、粘着剤層10のためのベースポリマーの種類の選択、分子量の調整、および配合量の調整、並びに、ベースポリマー以外の成分(例えば、架橋剤、シランカップリング剤、およびオリゴマー)の種類の選択および配合量の調整が挙げられる。第2粘着力Xb、第1粘着力Xaに対する第2粘着力Xbの比率(Xb/Xa)、第3粘着力Xc、第1粘着力Xaに対する第3粘着力Xcの比率(Xc/Xa)、第4粘着力Xd、および、第1粘着力Xaに対する第4粘着力Xdの比率(Xd/Xa)の各調整方法についても、同様である。
 第2粘着力Xbは、好ましくは0.2N/25mm以上、より好ましくは2N/25mm以上、更に好ましくは5N/25mm以上、特に好ましくは6N/25mm以上である。第2粘着力Xbは、好ましくは50N/25mm以下、より好ましくは40N/25mm以下、更に好ましくは30N/25mm以下である。
 第3粘着力Xcは、好ましくは0.2N/25mm以上、より好ましくは2N/25mm以上、更に好ましくは5N/25mm以上、特に好ましくは6N/25mm以上である。第3粘着力Xcは、好ましくは50N/25mm以下、より好ましくは40N/25mm以下、更に好ましくは30N/25mm以下である。
 第4粘着力Xdは、好ましくは0.1N/25mm以上、より好ましくは1N/25mm以上、更に好ましくは3N/25mm以上、特に好ましくは5N/25mm以上である。第4粘着力Xdは、好ましくは10N/25mm以下、より好ましくは9N/25mm以下、更に好ましくは8N/25mm以下である。
 粘着剤層10の上記せん断貯蔵弾性率(第1貯蔵弾性率Ma)は、上述の凝集力を確保する観点から、好ましくは25kPa以上、より好ましくは30kPa以上、更に好ましくは33kPa以上、特に好ましくは35kPa以上である。第1貯蔵弾性率Maは、上述の応力緩和の観点から、好ましくは50kPa以下、より好ましくは45kPa以下、更に好ましくは43kPa以下、特に好ましくは40kPa以下である。粘着剤層10の第1断貯蔵弾性率Maの調整方法としては、例えば、粘着剤層10のためのベースポリマーの種類の選択、分子量の調整、および配合量の調整、並びに、架橋剤の種類の選択および配合量の調整が挙げられる。後記の第2貯蔵弾性率Mb、第1貯蔵弾性率Maに対する第2貯蔵弾性率Mbの比率(Mb/Ma)、後記の第3貯蔵弾性率Mc、および、第1貯蔵弾性率Maに対する第3貯蔵弾性率Mcの比率(Mc/Ma)の各調整方法についても、同様である。
 粘着剤層10の60℃でのせん断貯蔵弾性率(第2貯蔵弾性率Mb)は、被着体間の接合に必要な上述の凝集力を60℃付近の温度領域で確保する観点から、好ましくは18kPa以上、より好ましくは23kPa以上、更に好ましくは25kPa以上である。第2貯蔵弾性率Mbは、折り曲げられる被着体からの剥がれを60℃付近の温度領域で抑制する観点から、好ましくは45kPa以下、より好ましくは43kPa以下、更に好ましくは40kPa以下である。
 第1貯蔵弾性率Maに対する第2貯蔵弾性率Mbの比率(Mb/Ma)は、好ましくは、0.6≦Mb/Ma≦1を満たす。このような構成は、常温から60℃付近の温度範囲における粘着特性の安定化の観点から好ましい。
 粘着剤層10の85℃でのせん断貯蔵弾性率(第3貯蔵弾性率Mc)は、被着体間の接合に必要な上述の凝集力を85℃付近の温度領域で確保する観点から、好ましくは15kPa以上、より好ましくは18kPa以上、更に好ましくは20kPa以上である。第3貯蔵弾性率Mcは、折り曲げられる被着体からの剥がれを85℃付近の温度領域で抑制する観点から、好ましくは45kPa以下、より好ましくは43kPa以下、更に好ましくは40kPa以下である。
 第1貯蔵弾性率Maに対する第3貯蔵弾性率Mcの比率(Mc/Ma)は、好ましくは、0.5≦Mb/Ma≦0.8を満たす。このような構成は、常温から85℃付近の温度範囲における粘着特性の安定化の観点から好ましい。
 粘着剤層10は、粘着剤組成物から形成された感圧接着剤層である。粘着剤層10は、透明性(可視光透過性)を有する。粘着剤層10は、少なくともベースポリマーを含む。
 ベースポリマーは、粘着剤層10において粘着性を発現させる粘着成分である。ベースポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー、シリコーンポリマー、ポリエステルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリアミドポリマー、ポリビニルエーテルポリマー、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィンポリマー、エポキシポリマー、フッ素ポリマー、およびゴムポリマーが挙げられる。ベースポリマーは、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。粘着剤層10における良好な透明性および粘着性を確保する観点から、ベースポリマーとしては、好ましくはアクリルポリマーが用いられる。
 アクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上の割合で含むモノマー成分の共重合体である。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、好適に用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、直鎖状または分岐状のアルキル基を有してもよく、脂環式アルキル基など環状のアルキル基を有してもよい。
 直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル(即ちラウリルアクリレート)、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、および(メタ)アクリル酸ノナデシルが挙げられる。
 脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、二環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル、および、三環以上の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、および(メタ)アクリル酸シクロオクチルが挙げられる。二環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸イソボルニルが挙げられる。三環以上の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、および、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、好ましくは、炭素数3~15のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが用いられ、より好ましくは、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、およびアクリル酸ドデシルからなる群より選択される少なくとも一つが用いられる。
 モノマー成分における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、粘着剤層10において粘着性等の基本特性を適切に発現させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。同割合は、例えば99質量%以下である。
 モノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性モノマーを含んでもよい。共重合性モノマーとしては、例えば、極性基を有するモノマーが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、例えば、窒素原子含有環を有するモノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、およびカルボキシ基含有モノマーが挙げられる。極性基含有モノマーは、アクリルポリマーへの架橋点の導入、アクリルポリマーの凝集力の確保など、アクリルポリマーの改質に役立つ。
 窒素原子含有環を有するモノマーとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-(メタ)アクリロイル-2-ピロリドン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン、N-ビニルピラゾール、N-ビニルイソオキサゾール、N-ビニルチアゾール、およびN-ビニルイソチアゾールが挙げられる。窒素原子含有環を有するモノマーとしては、好ましくはN-ビニル-2-ピロリドンが用いられる。
 モノマー成分における、窒素原子含有環を有するモノマーの割合は、粘着剤層10における凝集力の確保、および、粘着剤層10における対被着体密着力の確保の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.55質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーのガラス転移温度の調整、および、アクリルポリマーの極性(粘着剤層10における各種添加剤成分とアクリルポリマーとの相溶性に関わる)の調整の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
 ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、および(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、好ましくは(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルが用いられ、より好ましくはアクリル酸4-ヒドロキシブチルが用いられる。
 モノマー成分におけるヒドロキシ基含有モノマーの割合は、アクリルポリマーへの架橋構造の導入、および、粘着剤層10における凝集力の確保の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上である。
同割合は、アクリルポリマーの極性(粘着剤層10における各種添加剤成分とアクリルポリマーとの相溶性に関わる)の調整の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
 カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、およびイソクロトン酸が挙げられる。
 モノマー成分におけるカルボキシ基含有モノマーの割合は、アクリルポリマーへの架橋構造の導入、粘着剤層10における凝集力の確保、および、粘着剤層10における対被着体密着力の確保の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーのガラス転移温度の調整、および、酸による被着体の腐食リスクの回避の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
 フォルダブルデバイスにおける電極など金属要素が酸成分によって腐食することを防止するには、粘着シートSの粘着剤層10は、酸の含有量が小さいことが好ましい。また、粘着シートSが偏光板の接着に用いられる場合、酸成分によるポリビニルアルコール系偏光子のポリエン化を抑制するために、粘着剤層10は、酸の含有量が小さいことが好ましい。このような酸フリーの粘着シートSでは、粘着剤層10における有機酸モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸およびカルボキシル基含有モノマー)の含有量が、好ましくは100ppm以下、より好ましくは70ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。粘着剤層10の有機酸モノマー含有量は、粘着剤層10を純水中に浸漬して100℃で45分加温することによって水中に抽出された酸モノマーを、イオンクロマトグラフで定量することにより、求められる。
 酸フリーの観点からは、粘着剤層10中のベースポリマーがモノマー成分として有機酸モノマーを実質的に含有しないことが好ましい。酸フリーの観点からは、モノマー成分における有機酸モノマーの割合は、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%であり、理想的には0質量%である。
 モノマー成分は、他の共重合性モノマーを含んでいてもよい。他の共重合性モノマーとしては、例えば、酸無水物モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、アルコキシ基含有モノマー、および芳香族ビニル化合物が挙げられる。これら他の共重合性モノマーは、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
 ベースポリマーは、本実施形態では、架橋構造を有する。ベースポリマーへの架橋構造の導入方法としては、架橋剤と反応可能な官能基を有するベースポリマーと架橋剤とを粘着剤組成物に配合し、ベースポリマーと架橋剤とを粘着剤層10中で反応させる方法(第1の方法)、および、ベースポリマーを形成するモノマー成分に多官能モノマーを含め、当該モノマー成分の重合により、ポリマー鎖に分枝構造(架橋構造)が導入されたベースポリマーを形成する方法が、挙げられる。これら方法は、併用されてもよい。
 上記第1の方法で用いられる架橋剤としては、例えば、ベースポリマーに含まれる官能基(ヒドロキシ基およびカルボキシ基など)と反応する化合物が挙げられる。そのような架橋剤としては、例えば、イソシアネート架橋剤、過酸化物架橋剤、エポキシ架橋剤、オキサゾリン架橋剤、アジリジン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、および金属キレート架橋剤が挙げられる。架橋剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。架橋剤としては、ベースポリマーにおけるヒドロキシ基およびカルボキシ基との反応性が高くて架橋構造の導入が容易であることから、好ましくは、イソシアネート架橋剤、過酸化物架橋剤、およびエポキシ架橋剤が用いられる。
 イソシアネート架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびポリメチレンポリフェニルイソシアネートが挙げられる。また、イソシアネート架橋剤としては、これらイソシアネートの誘導体も挙げられる。当該イソシアネート誘導体としては、例えば、イソシアヌレート変性体およびポリオール変性体が挙げられる。イソシアネート架橋剤の市販品としては、例えば、コロネートL(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,東ソー製)、コロネートHL(へキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,東ソー製)、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体,東ソー製)、およびタケネートD110N(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,三井化学製)が挙げられる。
 過酸化物架橋剤としては、ジベンゾイルパーオキシド、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、およびt-ブチルパーオキシピバレートが挙げられる。
 エポキシ架橋剤としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、および1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
 イソシアネート架橋剤(特に、二官能のイソシアネート架橋剤)および過酸化物架橋剤は、粘着剤層10の適度な柔軟性(従って屈曲性)の確保の観点から好ましい。イソシアネート架橋剤(特に、三官能のイソシアネート架橋剤)は、粘着剤層10の耐久性確保の観点から好ましい。ベースポリマーにおいて、二官能イソシアネート架橋剤および過酸化物架橋剤は、より柔軟な二次元架橋を形成するのに対し、三官能イソシアネート架橋剤は、より強固な三次元架橋を形成する。粘着剤層10の耐久性と柔軟性との両立の観点からは、三官能イソシアネート架橋剤と、過酸化物架橋剤および/または二官能イソシアネート架橋剤との併用が、好ましい。
 架橋剤の配合量は、粘着剤層10の凝集力を確保する観点から、ベースポリマー100質量部に対して、例えば0.01質量部以上であり、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.07質量部以上である。粘着剤層10において良好なタック性を確保する観点から、ベースポリマー100質量部に対する架橋剤の配合量は、例えば10質量部以下であり、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
 上記第2の方法では、モノマー成分(架橋構造を導入するための多官能モノマーと他のモノマーとを含む)は、一度で重合させてもよいし、多段階で重合させてもよい。多段階重合の方法では、まず、ベースポリマーを形成するための単官能モノマーを重合させ(予備重合)、これによって部分重合物(低重合度の重合物と未反応のモノマーとの混合物)を含有するプレポリマー組成物を調製する。次に、プレポリマー組成物に多官能モノマーを添加した後、部分重合物と多官能モノマーとを重合させる(本重合)。
 多官能モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を1分子中に2個以上含有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーとしては、活性エネルギー線重合(光重合)によって架橋構造を導入可能な観点から、多官能アクリレートが好ましい。
 多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、および、四官能以上の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
 二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチエレングルコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート、およびアルキレンオキサイド変性ビスフェノールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
 三官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、およびトリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
 四官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
 多官能モノマーの分子量は、好ましくは1500以下、より好ましくは1000以下である。また、多官能モノマーの官能基当量(g/eq)は、好ましくは50以上、より好ましくは70以上、更に好ましくは80以上である。同官能基当量は、好ましくは500以下、より好ましくは300以下、更に好ましくは200以下である。これら構成は、ベースポリマーにおいて架橋構造の導入により粘弾性(例えば、貯蔵弾性率G’および損失正接tanδ)を適切に調整する観点から好ましい。
 アクリルポリマーは、上述のモノマー成分を重合させることによって形成できる。重合方法としては、例えば、溶液重合、活性エネルギー線重合(例えばUV重合)、塊状重合、および乳化重合が挙げられる。粘着剤層10の透明性、耐水性、およびコストの観点から、溶液重合およびUV重合が好ましい。溶液重合の溶媒としては、例えば、酢酸エチルおよびトルエンが用いられる。また、重合の開始剤としては、例えば、熱重合開始剤および光重合開始剤が用いられる。重合開始剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対して、例えば0.05質量部以上であり、また、例えば1質量部以下である。
 熱重合開始剤としては、例えば、アゾ重合開始剤および過酸化物重合開始剤が挙げられる。アゾ重合開始剤としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、および、2,2'-アゾビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドが挙げられる。過酸化物重合開始剤としては、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルマレエ-ト、および過酸化ラウロイルが挙げられる。
 光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、およびアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が挙げられる。
 重合においては、分子量調整等を目的として、連鎖移動剤および/または重合禁止剤(重合遅延剤)を用いてもよい。連鎖移動剤としては、α-チオグリセロール、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2-エチルヘキシル、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、およびα-メチルスチレン二量体が挙げられる。
 重合開始剤の種類および/または量の調整により、ベースポリマーの分子量を調整できる。例えば、ラジカル重合では、重合開始剤の量が多いほど、反応系のラジカル濃度が高いため、反応開始点の密度が高く、形成されるベースポリマーの分子量が小さくなる傾向がある。これに対し、重合開始剤の量が少ないほど、反応開始点の密度が低いためにポリマー鎖が伸長しやすく、形成されるベースポリマー分子量が大きくなる傾向がある。
 アクリルポリマーの重量平均分子量は、粘着剤層10における凝集力の確保の観点から、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、更に好ましくは50万以上である。同重量平均分子量は、好ましくは500万以下、より好ましくは300万以下、更に好ましくは200万以下である。アクリルポリマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)によって測定してポリスチレン換算により算出される。
 ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-20℃以下である。同ガラス転移温度は、例えば-80℃以上である。
 ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)については、下記のFoxの式に基づき求められるガラス転移温度(理論値)を用いることができる。Foxの式は、ポリマーのガラス転移温度Tgと、当該ポリマーを構成するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。下記のFoxの式において、Tgはポリマーのガラス転移温度(℃)を表し、Wiは当該ポリマーを構成するモノマーiの重量分率を表し、Tgiは、モノマーiから形成されるホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。ホモポリマーのガラス転移温度については文献値を用いることができる。例えば、「Polymer Handbook」(第4版,John Wiley & Sons, Inc., 1999年)および「新高分子文庫7 塗料用合成樹脂入門」(北岡協三著,高分子刊行会,1995年)には、各種のホモポリマーのガラス転移温度が挙げられている。一方、モノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、特開2007-51271号公報に具体的に記載されている方法によって求めることも可能である。
Foxの式  1/(273+Tg)=Σ[Wi/(273+Tgi)]
 粘着剤組成物は、ベースポリマーに加えて、一種類または二種類以上のオリゴマーを含んでいてもよい。ベースポリマーとしてアクリルポリマーが用いられる場合、好ましくは、オリゴマーとしてアクリルオリゴマーが用いられる。アクリルオリゴマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上の割合で含むモノマー成分の共重合体であり、重量平均分子量が例えば1000以上30000以下である。
 アクリルオリゴマーのガラス転移温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは110℃以上である。アクリルオリゴマーのガラス転移温度は、例えば200℃以下であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下である。架橋構造が導入された低Tgのアクリルポリマー(ベースポリマー)と高Tgのアクリルオリゴマーとの併用により、粘着剤層10の接着力、特に高温での接着力を高められる。アクリルオリゴマーのガラス転移温度は、上記のFoxの式により算出される。
 ガラス転移温度が60℃以上のアクリルオリゴマーは、好ましくは、鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(鎖状アルキル(メタ)アクリレート)と、脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(脂環式アルキル(メタ)アクリレート)とを含むモノマー成分の重合体である。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、アクリルポリマーのモノマー成分として上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
 鎖状アルキル(メタ)アクリレートとしては、ガラス転移温度が高く、ベースポリマーとの相溶性に優れることから、メタクリル酸メチルが好ましい。脂環式アルキル(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロヘキシル、およびメタクリル酸シクロヘキシルが好ましい。すなわち、アクリルオリゴマーは、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロヘキシル、およびメタクリル酸シクロヘキシルからなる群より選択される1種以上と、メタクリル酸メチルとを含むモノマー成分の重合体であるのが好ましい。
 アクリルオリゴマーのモノマー成分における脂環式アルキル(メタ)アクリレートの割合は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上である。同割合は、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。アクリルオリゴマーのモノマー成分における鎖状アルキル(メタ)アクリレートの割合は、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。同割合は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上である。
 アクリルオリゴマーの重量平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上、更に好ましくは2000以上である。同分子量は、好ましくは30000以下、より好ましくは10000以下、更に好ましくは8000以下である。このようなアクリルオリゴマーの分子量範囲は、粘着剤層10の接着力および接着保持力を確保するのに好ましい。
 アクリルオリゴマーは、当該アクリルオリゴマーのモノマー成分を重合することによって得られる。重合方法としては、例えば、溶液重合、活性エネルギー線重合(例えばUV重合)、塊状重合、および乳化重合が挙げられる。アクリルオリゴマーの重合においては、重合開始剤を用いてもよく、分子量の調整を目的として連鎖移動剤を用いてもよい。
 粘着剤層10におけるアクリルオリゴマーの含有量は、粘着剤層10の接着力を充分に高めるためには、ベースポリマー100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1質量部以上である。一方、粘着剤層10の透明性の確保の観点からは、粘着剤層10におけるアクリルオリゴマーの含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。粘着剤層10においては、アクリルオリゴマーの含有量が大きすぎる場合、当該アクリルオリゴマーの相溶性の低下に起因して、ヘイズが上昇して透明性が低下する傾向がある。
 粘着剤組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。粘着剤組成物におけるシランカップリング剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上である。同含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
 粘着剤組成物は、必要に応じて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、および帯電防止剤が挙げられる。
 粘着シートSは、例えば、上述の粘着剤組成物を剥離フィルムL1(第1剥離フィルム)上に塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜を乾燥させることによって、製造できる。
 剥離フィルムとしては、例えば、可撓性を有するプラスチックフィルムが挙げられる。当該プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエステルフィルムが挙げられる。剥離フィルムの厚さは、例えば3μm以上であり、また、例えば200μm以下である。剥離フィルムの表面は、好ましくは剥離処理されている。
 粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、およびダイコートが挙げられる。塗膜の乾燥温度は、例えば50℃~200℃である。乾燥時間は、例えば5秒~20分である。
 第1剥離フィルムL1上の粘着剤層10の上に更に剥離フィルムL2(第2剥離フィルム)を積層してもよい。第2剥離フィルムは、表面剥離処理が施された可撓性のプラスチックフィルムであり、第1剥離フィルムに関して上述したのと同様のものを用いることができる。
 以上のようにして、剥離フィルムL1,L2によって粘着面が被覆保護された粘着シートSを製造できる。剥離フィルムL1,L2は、粘着シートSを使用する際に必要に応じて粘着シートSから剥がされる。
 粘着剤層10の厚さは、被着体に対する充分な粘着性を確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上である。粘着シートSのハンドリング性の観点から、粘着剤層10の厚さは、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
 粘着剤層10のヘイズは、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。粘着剤層10のヘイズは、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘイズメーターを使用して測定できる。ヘイズメーターとしては、例えば、日本電色工業社製の「NDH2000」、および、村上色彩技術研究所社製の「HM-150型」が挙げられる。
 粘着剤層10の全光線透過率は、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。粘着剤層10の全光線透過率は、例えば100%以下である。粘着剤層10の全光線透過率は、JIS K 7375(2008年)に準拠して、測定できる。
 図2Aから図2Cは、粘着シートSの使用方法の一例を表す。
 本方法では、まず、図2Aに示すように、粘着シートSを、第1部材21(被着体)の厚さ方向Tの一方面に貼り合わせる。第1部材21は、例えば、フレキシブルパネルが有する積層構造中の一要素である。当該要素としては、例えば、画素パネル、タッチパネル、偏光板、およびカバーフィルムが挙げられる(後記の第2部材22についても同様である)。本工程により、第1部材21上に、他の部材との接合用の粘着剤層10が設けられる。
 本工程において、貼り合わせ不良(例えば、第1部材21上での粘着シートSの位置ずれ)が生じた場合、粘着シートSを第1部材21から剥がす。その後、代わりの粘着シートSでの貼合せ作業をやり直す。
 次に、図2Bに示すように、第1部材21上の粘着剤層10を介して、第1部材21の厚さ方向T一方面側と、第2部材22の厚さ方向T他方面側とを接合する。第2部材22は、例えば、フレキシブルパネルが有する積層構造中の他の要素である。
 次に、図2Cに示すように、第1部材21と第2部材22との間の粘着剤層10をエージングする。エージングにより、粘着剤層10においてベースポリマーの架橋反応が進行し、第1部材21と第2部材22との間の接合力が高まる。エージング温度は、例えば20℃~160℃である。エージング時間は、例えば1分から21日である。エージングとしてオートクレーブ処理(加熱加圧処理)する場合、温度は例えば30℃~80℃であり、圧力は例えば0.1~0.8MPaであり、処理時間は例えば15分以上である。
 フォルダブルデバイスの製造プロセスにおいて以上のように使用される粘着シートSは、上述のように、粘着剤層10が、25℃において20kPa以上50kPa以下のせん断貯蔵弾性率を有し、且つ、第1粘着力Xaおよび第2粘着力Xbが2.2≦Xb/Xa≦5を満たす。このような粘着シートSは、上述のように、被着体(上記使用方法例では第1部材21)への貼り合わせのリワーク性を確保するとともに、折り曲げられる被着体からの剥がれを抑制するのに適する。
 本発明について、以下に実施例を示して具体的に説明する。本発明は、実施例に限定されない。また、以下に記載されている配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上述の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの上限(「以下」または「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」または「超える」として定義されている数値)に代替できる。
〈アクリルオリゴマーの調製例1〉
 撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)95質量部と、アクリル酸(AA)5質量部と、連鎖移動剤としてのα-メチルスチレンダイマー 10重量部と、溶媒としてのトルエン120質量部とを含む混合物を、室温で1時間、窒素雰囲気下にて撹拌した。その後、混合物に、熱重合開始剤としての2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)10質量部を加えて反応溶液を調製し、窒素雰囲気下において、85℃で5時間、反応させた(第1アクリルオリゴマーの形成)。これにより、第1アクリルオリゴマーを含有するオリゴマー溶液(固形分濃度50質量%)得た。第1アクリルオリゴマーの重量平均分子量は4300であった。また、第1アクリルオリゴマーのガラス転移温度(Tg)は84℃であった。
〈アクリルオリゴマーの調製例2〉
 撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、メタクリル酸ジシクロペンタニル(DCPMA)60質量部と、メタクリル酸メチル(MMA)40質量部と、連鎖移動剤としてのα-チオグリセロール3.5質量部と、溶媒としてのトルエン100質量部とを含む混合物を、70℃で1時間、窒素雰囲気下にて撹拌した。その後、混合物に、熱重合開始剤としての2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を加えて反応溶液を調製し、窒素雰囲気下において、70℃で1時間、および、その後に80℃で2時間、反応させた(第2アクリルオリゴマーの形成)。その後、反応溶液を130℃に加熱することにより、トルエン、連鎖移動剤および未反応モノマーを揮発させて除去した。これにより、固形状の第2アクリルオリゴマーを得た。第2アクリルオリゴマーの重量平均分子量は5100であった。第2アクリルオリゴマーのガラス転移温度(Tg)は130℃であった。
〔実施例1〕
〈アクリルベースポリマーの調製〉
 撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)70質量部と、アクリル酸n-ブチル(BA)20質量部と、ラウリルアクリレート(LA)8質量部と、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)1質量部と、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)0.6質量部と、熱重合開始剤としての2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1質量部と、溶媒としての酢酸エチルとを含む混合物(固形分濃度47質量%)を、56℃で6時間、窒素雰囲気下で撹拌した(重合反応)。これにより、アクリルベースポリマーを含有するポリマー溶液を得た。このポリマー溶液中のアクリルベースポリマーの重量平均分子量は約200万であった。
〈粘着剤組成物の調製〉
 ポリマー溶液に、当該ポリマー溶液の固形分100質量部あたり、第1アクリルオリゴマー 1.5質量部と、第1架橋剤(商品名「ナイパーBMT-40SV」,ジベンゾイルパーオキシド,日本油脂社製)0.26質量部と、第2架橋剤(商品名「コロネートL」,トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物,東ソー製)0.02質量部と、シランカップリング剤(商品名「KBM403」,信越化学工業社製)0.3質量部とを加えて混合し、粘着剤組成物C1を調製した。
〈粘着剤層の形成〉
 次に、片面がシリコーン剥離処理された第1剥離フィルムの剥離処理面上に、粘着剤組成物C1を塗布して塗膜を形成した。第1剥離フィルムは、片面がシリコーン剥離処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ダイアホイル MRF#75」,厚さ75μm,三菱ケミカル社製)である。次に、第1剥離フィルム上の塗膜に、片面がシリコーン剥離処理された第2剥離フィルムの剥離処理面を貼り合わせた。第2剥離フィルムは、片面がシリコーン剥離処理されたPETフィルム(商品名「ダイアホイル MRF#75」,厚さ75μm,三菱ケミカル社製)である。次に、第1剥離フィルム上の塗膜を、100℃で1分間の加熱とその後の150℃で3分間の加熱とによって乾燥し、厚さ50μmの透明な粘着剤層を形成した。以上のようにして、透明な粘着剤層(厚さ50μm)を有する実施例1の粘着シートを作製した。実施例1の粘着シートにおけるアクリルベースポリマーのモノマー組成および粘着剤層組成について、単位を質量部として表1に示す(後記の実施例および比較例についても同様である)。
〔実施例2~4〕
 アクリルベースポリマーの調製においてモノマー組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、実施例2~4の各粘着シートを作製した。
〔実施例5,6〕
 形成される粘着剤層の厚さを50μmに代えて25μm(実施例5)または100μm(実施例6)としたこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、実施例5,6の各粘着シートを作製した。
〔比較例1〕
 アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)56質量部と、ラウリルアクリレート(LA)34質量部と、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)7質量部と、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)2質量部と、光重合開始剤(商品名「Omnirad 184」IGM Resins社製)0.015質量部とを含む混合物に対して紫外線を照射し(重合反応)、プレポリマー組成物(重合率は約10%)を得た(プレポリマー組成物は、重合反応を経ていないモノマー成分を含有する)。
 次に、プレポリマー組成物100質量部と、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.08質量部と、第2アクリルオリゴマー 1質量部と、シランカップリング剤(商品名「KBM403」,信越化学工業社製)0.3質量部とを混合して、光硬化性の粘着剤組成物C2を調製した。
 次に、片面がシリコーン剥離処理された第1剥離フィルムの剥離処理面上に、粘着剤組成物C2を塗布して塗膜を形成した。第1剥離フィルムは、片面がシリコーン剥離処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ダイアホイル MRF#75」,厚さ75μm,三菱ケミカル社製)である。次に、第1剥離フィルム上の塗膜に、片面がシリコーン剥離処理された第2剥離フィルムの剥離処理面を貼り合わせた。第2剥離フィルムは、片面がシリコーン剥離処理されたPETフィルム(商品名「ダイアホイル MRF#75」,厚さ75μm,三菱ケミカル社製)である。次に、塗膜に対して第2剥離フィルム越しに紫外線を照射し、塗膜を紫外線硬化させた。紫外線照射には、ブラックライトを使用した。紫外線の照射強度は5mW/cmとした。以上のようにして、比較例1の粘着シート(厚さ50μm)を作製した。
〔比較例2〕
 アクリルベースポリマーの調製においてモノマー組成を表1に示すように変更したこと以外は比較例1の粘着シートと同様にして、比較例2の粘着シートを作製した。
〔比較例3〕
 アクリルベースポリマーの調製においてモノマー組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、比較例3の粘着シートを作製した。
〈粘着力〉
 実施例1~6および比較例1~3における各粘着シートについて、剥離試験によって粘着力を調べた。
 まず、粘着シートごとに、後記のオートクレーブ処理前の剥離試験用、および、オートクレーブ処理後の剥離試験用に、必要数の試験片を作製した。試験片の作製においては、まず、粘着シートから第2剥離フィルムを剥離し、これによって露出した粘着剤層の露出面にPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせて、積層体を得た。次に、この積層体から試験片(幅25mm×長さ100mm)を切り出した。次に、試験片の粘着剤層から第1剥離フィルムを剥離し、これによって露出した露出面をプラズマ処理した。一方、被着体としてのポリイミドフィルム(商品名「GV200D」,厚さ80μm,SKCコーロンPI社製)も、プラズマ処理した。各プラズマ処理では、プラズマ照射装置(商品名「AP-TO5」,積水工業社製)を使用し、電圧を160Vとし、周波数を10kHzとし、処理速度を5000mm/分とした。そして、試験片の粘着剤層の上記露出面と、ポリイミドフィルムのプラズマ処理面とを、貼り合わせた。この貼り合わせでは、25℃の環境下において、2kgのローラーを1往復させる作業によって被着体に対して試験片を圧着させた。
[オートクレーブ処理前の剥離試験]
 上述の貼り合わせから、25℃で所定時間(2分,30分)の静置の後、ポリイミドフィルムから試験片を剥離する剥離試験を実施し、剥離強度を粘着力(N/25mm)として測定した。本測定には、引張試験機(商品名「オートグラフAGS-J」,島津製作所製)を使用した。本測定では、測定温度を25℃とし、被着体に対する試験片の剥離角度を180°とし、試験片の引張速度を300mm/分とし、剥離長さを50mmとした(剥離試験の測定条件)。貼り合わせから25℃で2分間の静置後の粘着力Xaと、貼り合わせから25℃で30分間の静置後の粘着力Xdと、Xaに対するXdの比率(Xd/Xa)とを、表1に示す。
[オートクレーブ処理後の剥離試験]
 上述の貼り合わせから3分以内に、被着体付き試験片のオートクレーブ処理(加熱加圧処理)を開始した。オートクレーブ処理では、温度を50℃とし、圧力を0.5MPaとし、処理時間を15分間とした。そして、オートクレーブ処理の直後、および、オートクレーブ処理を経てから25℃で所定時間(12時間,24時間,72時間,120時間,168時間,336時間)の静置の後、オートクレーブ処理前の上記剥離試験と同様に、上記測定条件での剥離試験を実施した。オートクレーブ処理後25℃で72時間の静置後の粘着力Xbと、オートクレーブ処理後25℃で168時間の静置後の粘着力Xcと、Xaに対するXbの比率(Xb/Xa)と、Xaに対するXcの比率(Xc/Xa)とを、表1に示す。また、オートクレーブ処理前後の以上の剥離試験の測定結果を、図3のグラフに示す。同グラフでは、各測定時間において、左側のバーが比較例1の粘着シートの粘着力を表し、右側のバーが実施例1の粘着シートの粘着力を表す。
〈貯蔵弾性率、損失正接、およびガラス転移温度〉
 実施例1~6および比較例1~3の各粘着シートの粘着剤層を、動的粘弾性測定した。測定用のサンプルは、次のようにして用意した。まず、複数の粘着剤層片を貼り合わせて約1.5mmの厚さの粘着剤シートを作製した。次に、このシートを打抜いて、測定用サンプルである円柱状のペレット(直径7.9mm)を得た。そして、測定用サンプルについて、動的粘弾性測定装置(商品名「Advanced Rheometric Expansion System (ARES)」,Rheometric Scientific社製)を使用して、直径7.9mmのパラレルプレートの治具に固定した後に動的粘弾性測定を行った。本測定において、測定モードをねじりモードとし、測定温度範囲を-50℃~150℃とし、昇温速度を5℃/分とし、周波数を1Hzとした。測定結果から、各温度(表1に示す)における貯蔵弾性率G’(せん断貯蔵弾性率)および損失正接tanδを読み取った。25℃での貯蔵弾性率Ma(kPa)と、60℃の貯蔵弾性率Mb(kPa)と、85℃の貯蔵弾性率Mc(kPa)と、貯蔵弾性率Maに対する貯蔵弾性率Mbの比率(Mb/Ma)と、貯蔵弾性率Maに対する貯蔵弾性率Mcの比率(Mc/Ma)とを、表1に示す。また、損失正接tanδが極大となる温度を粘着シートのガラス転移温度とした。当該ガラス転移温度(℃)も表1に示す。
〈ヘイズおよび全光線透過率〉
 実施例1~6および比較例1~3の各粘着シートの粘着剤層について、次のようにしてヘイズおよび全光線透過率を調べた。まず、ヘイズ測定用のサンプルを作製した。具体的には、粘着シートから第2剥離フィルムを剥がした後、同シート(第1剥離フィルム,粘着剤層)の粘着剤層側を無アルカリガラス(厚さ0.8~1.0mm,全光線透過率92%,ヘイズ0.4%,松浪硝子社製)に貼り合わせ、ガラス上の粘着剤層から第1剥離フィルムを剥がした。これにより、測定用のサンプルを作製した。次に、ヘイズ測定装置(商品名「HM-150」,村上色彩技術研究所製)を使用して、サンプルにおける粘着剤層のヘイズおよび全光線透過率のそれぞれを測定した。本測定では、測定用サンプルに対してその無アルカリガラス側から光が当たるように測定用サンプルを装置内に設置した。また、本測定では、無アルカリガラスのみについて同一条件で測定して得られた測定結果をベースラインとして用いた。こうして得られた、粘着剤層のヘイズおよび全光線透過率を、表1に示す。
〈リワーク性〉
 実施例1~6および比較例1~3における各粘着シートについて、次のようにしてリワーク性を調べた。
 まず、粘着シートごとに試験片を作製した。試験片の作製においては、まず、粘着シートから第2剥離フィルムを剥離し、これによって露出した粘着剤層の露出面にPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせて、積層体を得た。次に、この積層体から試験片(幅25mm×長さ100mm)を切り出した。次に、試験片の粘着剤層から第1剥離フィルムを剥離し、これによって露出した露出面をプラズマ処理した。一方、被着体としてのポリイミドフィルム(商品名「GV200D」,厚さ80μm,SKCコーロンPI社製)も、プラズマ処理した。各プラズマ処理では、プラズマ照射装置(商品名「AP-TO5」,積水工業社製)を使用し、電圧を160Vとし、周波数を10kHzとし、処理速度を5000mm/分とした。そして、試験片の粘着剤層の上記露出面と、ポリイミドフィルムのプラズマ処理面とを、貼り合わせた。この貼り合わせでは、25℃の環境下において、2kgのローラーを1往復させる作業によって被着体に対して試験片を圧着させた。次に、25℃で2分間の静置の後、被着体上の試験片の端部を手で引っ張り、当該試験片を被着体から剥離した(剥離作業)。剥離時に被着体と試験片の粘着面とがなす角度は、約180度とした。そして、粘着シートのリワーク性について、前記剥離作業により、被着体上の糊残りを生じずに適切に試験片を剥離できた場合を“優”と評価し、糊残りを生じたけれども試験片を破断せずに剥離できた場合を“良”と評価し、剥離作業中に試験片が破断した場合または手作業では剥離できなかった場合を“不良”と評価した。以上のようにして、被着体に対する貼り付けから2分後の粘着シートのリワーク性を評価した。当該リワーク性(2分後)の評価結果を、表1に示す。
 一方、静置時間を2分間に代えて30分間としたこと以外は、試験片の作製から剥離作業までを同様に実施して、被着体に対する貼り付けから30分後の粘着シートのリワーク性を評価した。当該リワーク性(30分後)の評価結果も、表1に示す。
〈屈曲試験〉
 実施例1~6および比較例1~3における各粘着シートについて、折り曲げられる被着体に対する貼着性(当該被着体からの剥がれが抑制される程度)を調べた。具体的には、次のとおりである。
 まず、粘着シートごとに積層体サンプルを作製した。積層体サンプルの作製においては、まず、粘着シートから第2剥離フィルムを剥離し、これによって露出した露出面(第1露出面)をプラズマ処理した。一方、第1被着体としての厚さ66μmの偏光板の粘着剤層付き偏光板(厚さ51μmの偏光板と厚さ15μmの粘着剤層との積層構成を有する)の偏光板露出面も、プラズマ処理した。各プラズマ処理では、プラズマ照射装置(商品名「AP-TO5」,積水工業社製)を使用し、電圧を160Vとし、周波数を10kHzとし、処理速度を5000mm/分とした(後記のプラズマ処理においても同様である)。そして、粘着シートの上記第1露出面と、偏光板のプラズマ処理面とを、貼り合わせた。この貼り合わせでは、25℃の環境下において、2kgのローラーを1往復させる作業によって偏光板と粘着シートとを圧着させた。次に、偏光板上の粘着シートから第1剥離フィルムを剥離し、これによって露出した露出面(第2露出面)をプラズマ処理した。一方、第2被着体としてのポリイミドフィルム(商品名「GV200D」,厚さ80μm,SKCコーロンPI社製)も、プラズマ処理した。そして、粘着シートの上記第2露出面と、ポリイミドフィルムのプラズマ処理面とを、貼り合わせた。この貼り合わせでは、25℃の環境下において、2kgのローラーを1往復させる作業によってポリイミドフィルムと粘着シートとを圧着させた。次に、粘着剤層付き偏光板の粘着剤層面に対し、プラズマ処理した厚さ125μmのPETフィルムを、2kgのローラーを1往復させる作業によって貼り合わせた。以上のようにして、積層体サンプルを作製した。積層体サンプルは、PETフィルムと、粘着剤層と、偏光板と、粘着シート(いずれかの実施例または比較例に係る粘着シート)と、ポリイミドフィルムとの積層構成を有する。
 次に、積層体サンプルを、偏光板の吸収軸方向が長辺方向と平行となるように35mm×100mmの矩形に切り出した。次に、当該積層体サンプルを、50℃、0.5MPaおよび15分の条件で、オートクレーブ処理(加熱加圧処理)した。次に、オートクレーブ処理を経た積層体サンプルについて、面状体無負荷U字伸縮試験機(ユアサシステム機器製)を使用して、屈曲試験を実施した。本試験では、積層体サンプルにおける長辺方向の両端部のそれぞれに対し、サンプル端縁から20mmの範囲に屈曲治具を取り付けて、積層体サンプルを試験機に固定した(積層体サンプルの長辺方向の中央60mmの領域は固定されていない状態にある)。また、本試験では、積層体サンプルのPETフィルム側の面が内側となるように、曲げ半径1.3mmおよび曲げ角度180°の屈曲形態で同サンプルを保持し、この状態にある同サンプルを、温度25℃および相対湿度95%の条件の恒温恒湿槽内で、240時間保持した(第1屈曲試験)。
 このような第1屈曲試験後の積層体サンプルを目視で観察し、屈曲部分におけるポリイミドフィルムと偏光板との間での剥がれの有無を確認した。剥がれが確認されたサンプルでは、いずれも、積層体サンプル短辺方向の端部から剥がれ(空隙部)が生じていた。剥がれが確認された積層体サンプルついては、同サンプル短辺方向における空隙部の長さ(mm)を測定した。そして、折り曲げられる被着体に対する粘着シートの貼着性(当該被着体からの剥がれが抑制される程度)について、前記空隙部長さが2mm未満である場合を“優”と評価し、前記空隙部長さが2mm以上である場合を“不良”と評価した(この評価にあたり、積層体サンプルにおける短辺方向の全長にわたって延びる剥がれ(空隙部)が確認された場合には、当該空隙部の長さは35mmとし、剥がれが全く確認されなかった場合には、空隙長さを0mmとした)。その評価結果を表1に示す。
 また、恒温恒湿槽内での保持温度を25℃に代えて85℃としたこと以外は、第1屈曲試験と同様にして、屈曲試験を実施した(第2屈曲試験)。その後、第2屈曲試験後の積層体サンプルを目視で観察し、屈曲部分におけるポリイミドフィルムと偏光板との間での剥がれの有無を確認した。そして、第1屈曲試験での基準と同じ基準で、折り曲げられる被着体に対する粘着シートの貼着性を評価した。その評価結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 上述の実施形態は本発明の例示であり、当該実施形態によって本発明を限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記の請求の範囲に含まれる。
 本発明のフォルダブルデバイス用光学粘着シートは、例えば、フォルダブルディスプレイパネルの製造過程において、同パネルの積層構造に含まれる要素どうしの貼り合わせのために、用いることができる。
S     粘着シート(フォルダブルデバイス用光学粘着シート)
T     厚さ方向
10    粘着剤層
L1,L2 剥離フィルム
21    第1部材
22    第2部材

Claims (6)

  1.  粘着剤層を有するフォルダブルデバイス用光学粘着シートであって、
     前記粘着剤層が、25℃において20kPa以上50kPa以下のせん断貯蔵弾性率を有し、
     前記粘着剤層が、被着体に対する貼り付けから25℃での2分間の第1の静置後に、当該被着体に対して25℃において第1粘着力Xaを有し、
     前記粘着剤層が、前記被着体に対する貼り付け、その後の50℃、0.5MPaおよび15分の条件での加熱加圧処理、および、その後の25℃での72時間の第2の静置後に、当該被着体に対して25℃において第2粘着力Xbを有し、
     前記第1粘着力Xaおよび前記第2粘着力Xbが、2.2≦Xb/Xa≦5を満たす、フォルダブルデバイス用光学粘着シート。
  2.  前記粘着剤層が、前記被着体に対する貼り付け、前記加熱加圧処理、および、その後の25℃での168時間の第3の静置後に、当該被着体に対して25℃において第3粘着力Xcを有し、
     前記第1粘着力Xaおよび前記第3粘着力Xcが、2.5≦Xc/Xa≦7を満たす、請求項1に記載のフォルダブルデバイス用光学粘着シート。
  3.  前記粘着剤層が、前記被着体に対する貼り付けから25℃での30分間の第4の静置後に、当該被着体に対して25℃において第4粘着力Xdを有し、
     前記第1粘着力Xaおよび前記第4粘着力Xdが、0.7≦Xd/Xa≦1.4を満たす、請求項1に記載のフォルダブルデバイス用光学粘着シート。
  4.  前記粘着剤層が、前記被着体に対する貼り付けから25℃での300分間の第5の静置の間に、当該被着体に対して25℃において有する最小粘着力Yaは、0.1N/25mm以上である、請求項1に記載のフォルダブルデバイス用光学粘着シート。
  5.  前記粘着剤層が前記被着体に貼り付けられてから前記最小粘着力Yaを有するまでの経過時間Ta(分)が、0≦Ta≦100を満たす、請求項4に記載のフォルダブルデバイス用光学粘着シート。
  6.  前記第1粘着力Xaが0.1N/25mm以上10N/25mm以下である、請求項1に記載のフォルダブルデバイス用光学粘着シート。
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