JP4895072B2 - アクリル系水性粘着剤組成物の製造方法 - Google Patents

アクリル系水性粘着剤組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、接着力と保持力に優れ、且つ耐水白化性に優れ、生産性が良好なアクリル系 水性粘着剤組成物の製造方法に関する。
近年、環境問題の点で溶剤型樹脂から水性樹脂への移行が進んでいるが、粘着剤分野においても、溶剤型粘着剤を水性粘着剤に置換することが望まれている。そして、この水性粘着剤の代表的なものとして、各種エチレン性不飽和単量体を重合して得られるアクリル系エマルジョン型粘着剤がある。
このような水性粘着剤は、一般に乳化重合によって得られる。水性媒体中で行う乳化重合は、有機溶剤が不要のため、火災の危険性や公害の問題が無く、各種ポリマーの製造に利用されている。アクリル系ポリマーの乳化重合による製造では、単量体成分を一括して仕込み乳化重合する方法や、単量体成分を重合系内に少しずつ滴下して乳化重合させる方法などがある。
これらの方法によって乳化重合して得られたアクリル系ポリマーを粘着剤として使用する場合、凝集力が不足してしまうことが多い。凝集力が不足していると、粘着層にかかる剪断方向の力に対する抵抗性(ずれ抵抗性)が不足、すなわち保持力が不足してしまう。そこで、このようなアクリル系ポリマーを粘着剤として使用する場合、凝集力を向上させるひとつの手段として、ポリマーを架橋して高分子量化し、粘着剤層の凝集力を向上して保持力を改善する手段がある。その方法として、架橋剤を添加し保持力を向上する方法があり、架橋剤としては、メラミン化合物、エポキシ化合物、ヒドラジン化合物、オキサゾリン化合物、金属塩などが使用される。しかし、架橋剤等を使用してポリマーを架橋することで高分子量化し、保持力を改善した場合、被着体に対する接着力が低下してしまうという欠点があった。逆に、接着力の低下を防ぐため、ポリマーの架橋度合を調整すると、充分な保持力が得られない。すなわち、一方の性能を向上させようとすると、もう一方の性能が低下してしまい、接着力と保持力が共に優れた性能を有する粘着剤を得ることは困難であった。
また、エマルジョン型粘着剤のもうひとつの課題として、水に接触すると白化し易い、すなわち耐水白化性が低いという点が挙げられる。そのため、溶剤型粘着剤を代替する上で大きな問題となっている。特に、従来から透明フィルムラベル用途に使用されている溶剤型粘着剤をエマルジョン型水性粘着剤に置換する場合は、耐水白化性の改良が課題である。
そこで、水分散型アクリル系ポリマー中の低分子量成分を極力減らし、長時間の接着時に低分子量成分に起因する被着体に対する接着不良を改善、及び被着体に接着後、再び剥離する時の被着体に対する汚染性を改善するための方策として、テトラヒドロフランに対する可溶解分率(%)をS、同可溶解分の重量平均分子量をM×10としたとき、logM>3logS−2の関係を満たすことを特徴とする水性粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このような特徴を持つ粘着剤は、充分な接着力が発現せず、更には耐水白化性が低い。
また、アクリル系単量体を特定の重合開始剤を用いて乳化重合する手段と、アクリル系単量体の乳化物を滴下しながら乳化重合する手段とをうまく組み合わせることにより、接着力と凝集力を容易に両立できるアクリル系水性粘着剤組成物の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法によって得られる粘着剤においても、充分に接着力と保持力が両立できていない。
特開平7−228612号公報(第2−4頁) 特開2002−60713号公報(第2−4頁)
したがって、本発明の課題は、接着力と保持力が共に優れ、かつ耐水白化性に優れるアクリル系水性粘着剤組成物の製造方法を提供することにある。
発明者等は、上記の課題を解決すべく、鋭意検討の結果、下記の知見を得た。
(1)形成される被膜の引張試験における100%モジュラスと伸び率とを制御することで接着力と保持力を両立させることができる。
(2)形成される被膜の水抽出物の量が2重量%以下であると、被膜の耐水白化性が向上する。
(3)前記のような被膜特性を有し、接着力と保持力、耐水白化性に優れたアクリル系水性粘着剤組成物は、(メタ)アクリレートを主成分とする単量体成分を水性媒体が存在する密閉型圧力反応容器に一括して仕込み乳化重合する製造方法で得られる。本発明は、このような知見に基づくものである。
即ち、本発明は、乾燥被膜のガラス転移温度が−25℃以下であり、重合性単量体成分の全重量に対して、(a)カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を0.5〜10重量%、及び(b)炭素原子数が4〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを45〜99.5重量%を含有する重合性単量体成分を、水性媒体が存在する密閉型圧力反応容器に一括して仕込み、反応開始時の密閉型圧力反応容器内のゲージ圧力を0.1〜1.5MPaの範囲に制御して乳化重合することによって得られる、25℃の温度条件下での引張試験で測定した100%モジュラスが0.02〜0.2MPa、伸び率が2000〜7000%、且つ、水抽出物量が2重量%以下である乾燥被膜を形成可能な水分散型アクリル系樹脂を含有することを特徴とするアクリル系水性粘着剤組成物の製造方法を提供する。
本発明のアクリル系水性粘着剤組成物の製造方法は、接着力と保持力が共に優れ、かつ耐水白化性に優れたアクリル系水性粘着剤組成物を、生産効率が高く、且つ、より安全に 製造でき、これにより得られるアクリル系水性粘着剤組成物と基材から構成される粘着製品は、接着力と保持力、耐水白化性に優れ、粘着ラベル、粘着テープ、特殊粘着シート等として好適である。
まず、本発明のアクリル系水性粘着剤組成物に関して説明する。
本発明のアクリル系水性粘着剤組成物は、水分散型アクリル系ポリマーを含有するものである。この水分散型アクリル系ポリマーの内で、ある程度の強度を有し、かつ非常に柔軟で伸び率の大きい被膜を形成し得るアクリル系ポリマーを主成分として含有するアクリル系水性粘着剤組成物を粘着剤として用いると、接着力と保持力を同時に向上する。具体的には、アクリル系水性粘着剤組成物から形成される被膜が、25℃の温度条件下での引張試験における100%モジュラスが0.02〜0.2MPaであり、かつ、伸び率が2000〜7000%の範囲であることを特徴とする。好ましくは100%モジュラスが0.04〜0.2MPaであり、かつ伸び率が2500〜7000%であることが必要である。更に好ましくは、100%モジュラスが0.05〜0.2MPaであり、かつ、伸び率が2800〜7000%の範囲であることを特徴とする。この範囲にある時、接着力と保持力が共に優れた粘着剤が得られる。本発明における引張り試験の結果は、後記実施例に記載した測定方法で得られた数値に基づくものである。
前記アクリル系水性粘着剤組成物から形成される被膜の25℃の温度条件下での引張試験で、伸び率が2000%に満たないものを、粘着剤として使用した場合、充分な接着力が発現しないことから好ましくなく、7000%以上のものは、充分な保持力が発現しないことから好ましくない。
また、前記アクリル系水性粘着剤組成物から形成される被膜の25℃の温度条件下での引張試験で、100%モジュラスが0.2MPa以上のものを粘着剤として使用した場合も、充分な接着力が発現しないことから好ましくなく、0.02MPaに満たないものを粘着剤として使用した時、充分な保持力が発現しないことから好ましくない。
また、本発明のアクリル系水性粘着剤組成物から形成される被膜の水抽出物量は2重量%以下であることが必要である。水抽出物量は少ないほど好ましく、通常0.1〜1.8重量%に制御することが好ましい。水抽出物量が2重量%を超えるとアクリル系水性粘着剤組成物の耐水白化性が低下するので好ましくない。
本発明で使用するゲル分率とは、アクリル系水性粘着剤組成物の被膜のトルエンに対する不溶解分の比率を意味する。ゲル分率は、後記実施例に記載した測定方法及び式により求められる数値に基づくものである。本発明の水性粘着剤は、ゲル分率が低い場合でも良好な保持力を発現する。すなわち、架橋剤の添加量が少量、或いは、ポリマーの架橋度合いが低くても良好な保持力を維持する。そのため、本発明においてゲル分率が10〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲にあるとき、接着力と保持力を同時に向上させることが出来るため好ましい。
また、本発明のアクリル系水性粘着剤組成物から形成される乾燥被膜は、ガラス転移温度(以下、Tgという。)が−25℃以下であることが好ましい。Tgは、低いほど好ましいが通常−25〜−60℃であることが特に好ましい。Tgがこのような範囲であると、粘着剤としての物性、即ち接着力や保持力等の物性のバランスに優れる。本発明におけるTgは後記実施例に記載した測定方法で得られた数値に基づくものである。
更に、本発明のアクリル系水性粘着剤組成物としては、例えば、後述する重合性単量体成分を乳化重合して得られる重合体を含有するものである。
前記重合性単量体成分を具体的に例示すると、該水性粘着剤の主成分は、
(a)カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、0.5〜10重量%
(b)炭素原子数が4〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、45〜99.5重量%を必須成分とした、合計100重量%の重合性単量体成分からなる共重合体である。
更に、必要に応じて(a)、(b)以外のエチレン性不飽和単量体(c)を0.001〜54.5重量%の範囲で共重合しても良い。
前記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(a)としては、分子内にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するものであれば特に限定されず使用することができる。かかるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β−(メタ)ヒドロキシエチルハイドロゲンフタレート、及びこれらの塩等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも、特に、単量体成分の重合時の安定性及び接着物性、耐水白化性に優れる点で、アクリル酸、またはメタクリル酸を用いることが好ましい。前記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の使用量は0.5〜10重量%の範囲になる量であることが好ましい。この範囲にある時に優れた接着力と保持力が発現する。
前記炭素原子数が4〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b)としては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらのうち、炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが、重合性が良好であり好ましい。かかる、炭素原子数が4〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの使用量は45〜99.5重量%の範囲になる量であることが好ましい。この範囲にある時、前述した粘着剤被膜のTgを所望の範囲に調整でき、優れた接着力と保持力が発現するため好ましい。
前記共重合反応の際、必要に応じて、(a)、(b)以外のエチレン性不飽和単量体(c)を共重合させることが出来る。(a)、(b)以外のエチレン性不飽和単量体(c)として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有エチレン性不飽和単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有エチレン性不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン、ジビニルスチレン等の芳香族環を有するビニル化合物;イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。これらの中でも、特に、単量体成分の重合時の安定性に優れる点で、(メタ)アクリル酸エステル類を用いることが好ましい。
また、(a)、(b)以外のエチレン性不飽和単量体(c)として、水性粘着剤のゲル分率を所望の範囲まで向上させることを目的とした場合は、カルボニル基やカルボキシル基以外の架橋性反応基を含有するエチレン性不飽和単量体を使用することもできる。これらの例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性単量体;アミノエチル(メタ)アクリレート、N−モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有重合性単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のメチロールアミド基またはそのアルコキシ化物含有重合性単量体;ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩等のシリル基含有重合性単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート等のアジリジニル基含有重合性単量体;(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルイソシアナートエチルのフェノール或いはメチルエチルケトオキシム付加物等のイソシアナート基及び/またはブロック化イソシアナート基含有重合性単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有重合性単量体;ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のシクロペンテニル基含有重合性単量体;アリル(メタ)アクリレート等のアリル基含有重合性単量体;アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基含有重合性単量体;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセチル基含有重合性単量体等が挙げられる。
また、さらに(a)、(b)以外のエチレン性不飽和単量体(c)としては、水性粘着剤のゲル分率を所望の範囲まで向上させることを目的とした場合には、分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能性エチレン性不飽和単量体を使用することもできる。これらの例としては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記多官能性エチレン性不飽和単量体を使用すると粘着剤の凝集力を向上させ、保持力が良好なものとなるが、接着力と保持力を共に優れたものとするためには、多官能性エチレン性不飽和単量体の使用量は、前述の如く粘着剤被膜のゲル分率が10〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲となる量で使用することが好ましい。
また、(a)、(b)以外のエチレン性不飽和単量体(c)として、乳化重合時の安定性、水分散型アクリル系ポリマーの貯蔵安定性を向上させることを目的とした場合には、必要に応じてスルホン酸基及び/またはサルフェート基(及び/またはその塩)、リン酸基及び/またはリン酸エステル基(及び/またはその塩)を含有する単量体を使用することができ、例えばビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のビニルスルホン酸類またはその塩、アリルスルホン酸、2−メチルアリルスルホン酸等のアリル基含有スルホン酸類またはその塩、(メタ)アクリル酸2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸2−スルホプロピル等の(メタ)アクリレート基含有スルホン酸類またはその塩、(メタ)アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド基含有スルホン酸類またはその塩が挙げられる。リン酸基を有するエチレン性不飽和単量体の市販品としては、「アデカリアソープPP−70、PPE−710」[旭電化工業(株)製]等が挙げられる。
また、本発明のアクリル系水性粘着剤組成物の平均粒子径は特に制限されるものではないが、耐水白化性を向上させることから300nm以下であることが好ましい。これらの中でも、10〜300nmが特に好ましい。ここでの粒子の平均粒子径とは、エマルジョン粒子の体積基準での50%メジアン径をいい、数値は後記実施例に記載の動的光散乱法により測定して得られる値に基づくものである。
また、本発明のアクリル系水性粘着剤組成物の固形分濃度は、特に制限されるものではないが、製造時の作業性や輸送コストという点、及びアクリル系水性粘着剤組成物を乾燥して使用する際の乾燥性に優れるという点から、固形分濃度が40〜70重量%であることが好ましい。
前記アクリル系水性粘着剤組成物は、例えば、後述する(1)〜(3)の水分散型アクリル系ポリマーを乳化重合によって得ることができ、これらの中でも(1)の方法が好ましい。
また、本発明のアクリル系水性粘着剤組成物には、必要に応じて本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、充填剤、顔料、pH調整剤、被膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、粘着付与剤、消泡剤等公知のものを適宜添加して使用することができる。
次に、本発明のアクリル系水性粘着剤組成物の製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が挙げられる。一般に、水分散型アクリル系ポリマーを乳化重合によって得る製造方法としては、(1)水、エチレン性不飽和単量体、重合開始剤、必要に応じて乳化剤及び分散安定剤を一括混合して重合する方法、(2)水、エチレン性不飽和単量体、乳化剤を予め混合したものを滴下する、いわゆるプレエマルジョン法、(3)モノマー滴下法等の方法が挙げられる。
本発明のアクリル系水性粘着剤組成物の製造方法としては、これらの中の(1)水、エチレン性不飽和単量体、重合開始剤、必要に応じて乳化剤及び分散安定剤を一括混合して重合する方法が好ましい。
更に、具体的には、(メタ)アクリレート類を含有する重合性単量体成分を、水性媒体が存在する密閉型圧力反応容器に一括して仕込み、反応開始時の密閉型圧力反応容器内の圧力を0.1〜1.5MPaの範囲に制御して乳化重合して得られるアクリル系水性粘着剤組成物の製造方法である。
この際、反応開始から180分以内に、重合性単量体成分の重合転化率を95%以上に進めることが、効率よくアクリル系水性粘着剤組成物を製造できることから好ましい。つまり、重合性単量体成分の重合転化率が95%以上となるのに要する時間が180分以内となるように反応条件を設定することが好ましい。180分以内となるように反応条件を設定する手段としては、重合性単量体成分や重合開始時の温度等を調整することが挙げられる。また、重合性単量体成分の重合転化率が95%以上となるのに要する時間としては、更に10〜120分の範囲で行うことが、安全性、生産性の面から特に好ましい。
本発明のアクリル系水性粘着剤組成物の製造方法における重合性単量体成分の重合転化率とは、重合性単量体成分の全仕込量(即ち、全単量体がポリマーに転化した場合の重量)と水分散型アクリル系ポリマー中の固形分重量から計算により求めた値であり、下記式により求められる。
重合転化率(%)=100×([水分散型アクリル系ポリマーの固形分濃度]−[重合 単量体成分以外の原料の固形分濃度])/[重合性単量体成分の全仕込原料に対する濃度]
但し、式中の各成分は、下記の値を表す。
水分散型アクリル系ポリマーの固形分濃度:実測値(%)
重合性単量体成分以外の原料の固形分濃度:計算値(%)
重合性単量体成分の全仕込原料に対する濃度:計算値(%)
また、前記アクリル系水性粘着剤組成物の製造方法で用いる密閉型圧力反応容器とは、オートクレーブのような耐圧性の密閉型反応容器を指し、攪拌機、加減圧装置、不活性ガス導入口が付属していることが好ましい。さらに、密閉型圧力反応容器の内面の材質がグラスライニング製である場合、重合性単量体成分の乳化重合時に発生する凝集物の発生量が減る、或いは、容器内に凝集物が付着し難くなる、或いは、容器内に凝集物が付着した場合においても凝集物を取り除き易く、容器内のメンテナンスが容易となり、水分散型アクリル系ポリマーを同じ密閉型圧力反応容器で連続して生産する際の生産性(メンテナンスに要する時間が短縮できる)が向上するため好ましい。
前記製造方法では、密閉型圧力反応容器を使用して反応開始時の密閉型圧力反応容器内の圧力を0.1〜1.5MPaの範囲に制御して重合性単量体成分を乳化重合するが、その際、密閉型圧力反応容器内の圧力を水性媒体と前記重合性単量体成分の混合物の蒸気圧を越える状態に保って反応することが好ましい。この場合、不活性ガスを密閉型圧力反応容器に加圧充填してもよい。
また、反応系内の圧力は、反応開始時の密閉型圧力反応容器内の圧力を0.1〜1.5 MPaの範囲に制御されていれば、特に限定されないが、反応容器内の圧力を反応容器内液(水性媒体と重合性単量体成分の混合物)の蒸気圧以上の圧力になるように維持することが、反応容器内液の沸騰を抑制でき、その結果、凝集物の発生を防止できることから好ましい。また、その加圧の度合は、水性媒体と重合性単量体成分の混合物の組成や濃度によるが、0.1〜1.5MPaの範囲である。なお、圧力とは、絶対圧力を意味するのではなく、常圧を0MPaにした差圧をいう。
前記製造方法では、密閉型圧力反応容器内で重合性単量体成分の乳化重合を行うため、乳化重合時の容器内温度は特に制限を受けず、例えば、媒体である水の沸点を越える条件下でも安全に乳化重合することが可能である。通常のアクリル系ポリマーを乳化重合で製造する際に使用されているコンデンサー付属反応容器の場合は、反応容器内が沸騰すると、反応容器から内容物が吹き出す危険性や、反応容器内が沸騰することにより凝集物が多量に発生するという欠点があるが、本発明では密閉型圧力反応容器を使用するので、必要に応じて、内容物が沸騰しないように制御することも可能なためこれらの問題点が回避できる。特に、高温(水性媒体と重合性単量体成分の混合物の沸点以上の温度)で乳化重合する場合には、反応容器内を不活性ガスで加圧すると、反応容器内の沸騰を抑制でき、その結果、凝集物の発生を軽減できる点から好ましい。
また、重合性単量体成分の重合転化率が95%に達するのに要する時間とは、重合開始剤を反応容器に添加した後、重合発熱が観察された時を始点とし、順次反応容器内の内容物をサンプリングして前記式より重合転化率を求め、該重合転化率が95%に達するまでに要する時間を指す。
重合性単量体成分を乳化重合する際の水性媒体としては、特に限定されるものではないが、水のみを使用してもよいし、或いは、水と水溶性溶剤の混合溶液を使用してもよい。ここで用いる水溶性溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
水と上記水溶性溶剤の混合物を使用する場合の上記水溶性溶剤の使用量は、重合時の安定性の点から任意に選択することができるが、得られる重合体水性分散液の引火の危険性、及び安全衛生の面から水溶性溶剤の使用量は極力少なくすることが好ましい。これらの理由から、水単独で使用することが特に好ましい。
本前記製造方法で用いられる単量体類は、前記(a)、(b)、(c)が使用可能であるが、単量体を使用する際は、重合性単量体成分の重合転化率が95%に達するのに要する時間が実質的に180分以内であることが好ましいので、乳化重合時の重合速度を著しく低下させないような反応性の高い重合性単量体成分を組み合わせて使用することが好ましい。
また、乳化重合時の重合温度には制限を受けないが、特に、得られる水分散型アクリル系ポリマーの分子量を高めたい場合には、低温から乳化重合を開始することが好ましい。具体的には、重合が円滑に進行し易いことから10℃以上、高分子量ポリマーが得られ易いことから50℃以下の温度から乳化重合を開始することが好ましい。なお、(メタ)アクリレートの含有量が低くかったり、反応時の発熱が少なかったりする場合は、上記の温度範囲よりも高い範囲で反応を開始させてもよい。
また、前記製造方法では、水性媒体として、平均粒子径が10〜300nmである重合体粒子[A]が分散する水性媒体を使用すると、乳化重合時に発生する凝集物の量を非常に少なく抑制することができ、さらに、得られる水分散型アクリル系ポリマーの粒子径を実用的な範囲(50〜1000nm)に制御し易くなる点から好ましい。水分散型アクリル系ポリマーは、一般的に粒子径が小さくなると粘度が高くなるため、高固形分濃度の水分散型アクリル系ポリマーを得るためには、ある程度の大きさに粒子径を制御することが必要である。
前記重合体粒子[A]の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系重合体、ブタジエン系重合体等のエチレン性不飽和単量体のラジカル重合による重合体(以下、エチレン性重合体という)、尿素結合並びにウレタン結合を有する重合体を含むポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。またこれら種々の重合体の混合物、例えばアクリル系重合体/ポリウレタン樹脂の混合物や、種々の重合体のグラフト化(ブロック化)物、例えば、不飽和ポリエステル重合体或いはアルキッド樹脂にアクリル系重合体をグラフト化した物等も挙げられる。特に、重合体粒子[A]は、粒子径の調整やポリマー設計が容易であり、後記する方法により簡単に製造することができるという点から、エチレン性重合体であることが好ましい。その中でも特に、重合体粒子[A]が、水性媒体中で、(メタ)アクリレートを主成分とする重合性単量体成分を乳化重合して得られたアクリル系ポリマーである場合、その存在下で乳化重合する(メタ)アクリレートを主成分とする重合性単量体成分との相溶性や、重合性単量体成分の重合により生成するポリマーとの相溶性が良く、さらに、分散安定性の良い水分散型アクリル系ポリマーが得易くなるため好ましい。
重合体粒子[A]がアクリル系ポリマーである場合の重合体粒子[A]の製造方法としては、(1)水、重合性単量体成分、重合開始剤、(必要に応じて乳化剤及び分散安定剤)等の原料を一括して仕込み重合する方法や、(2)水、重合性単量体成分、乳化剤を予め混合したものを滴下するいわゆるプレエマルジョン法や、(3)モノマー滴下法等の方法により製造することができる。これらの中でも、特に、(1)の原料を一括して仕込み重合する方法が、短時間に効率よく重合体粒子[A]を製造できる点から好ましい。また、重合の際に使用する(メタ)アクリレートや、その他の単量体としては、前述の重合性単量体成分として例示したものが使用できる。
さらに、アクリル系ポリマーから構成される重合体粒子[A]を製造する際には、乳化剤やその他の分散安定剤を使用してもよく、また、重合開始剤や連鎖移動剤を使用することもできる。これらの具体例は、後述する重合性単量体成分の乳化重合時に使用するものと同様のものが使用できる。
前記重合体粒子[A]と(メタ)アクリレートを主成分とする重合性単量体成分の比率は、特に制限を受けるものではないが、重量基準で、重合体粒子[A](固形分の重量)/重合性単量体成分=5/95〜40/60の範囲である場合、重合性単量体成分の乳化重合時の高い生産性を維持し、且つ凝集物の発生量を抑制して安定に水分散型アクリル系ポリマーが製造できるため好ましい。
次に、前記製造方法では、重合性単量体成分を水性媒体中で乳化重合する際には、乳化剤やその他の分散安定剤を使用して重合することができる。また、前述の如く、重合体粒子[A]の存在下で重合性単量体成分を乳化重合する場合においては、乳化剤及びその他の分散安定剤を使用しなくても安定に乳化重合することも可能であり、得られる水分散型アクリル系ポリマーを被膜化した際に被膜の耐水性等の諸物性が向上するため好ましい。
ここで、本発明で使用できる乳化剤としては、陰イオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、陽イオン性乳化剤の種々のものが使用できる。本発明で使用する陰イオン性乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩等が挙げられ、非イオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
更に、一般的に「反応性乳化剤」と称される重合性不飽和基を分子内に有する乳化剤を使用することもできる。本発明で使用できる反応性乳化剤としては、例えば、スルホン酸基及びその塩を有する「ラテムルS−180」(花王(株)製)、「エレミノールJS−2、RS−30」(三洋化成工業(株)製)等;硫酸基及びその塩を有する「アクアロンHS−10、HS−20、KH−05、KH−10」(第一工業製薬(株)製)、「アデカリアソープSE−10、SE−20、SR−10N、SR−20N」(旭電化工業(株)製)等;リン酸基を有する「ニューフロンティアA−229E」(第一工業製薬(株)製)等;非イオン性親水基を有する「アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50、ER−10、ER−20、ER−30、ER−40」(第一工業製薬(株)製)等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
また、前記製造方法で使用することのできる乳化剤以外のその他の分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、繊維素エーテル、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ポリアミド樹脂、水性ポリウレタン樹脂等の合成或いは天然の水溶性高分子物質が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
前記製造方法では、密閉型圧力反応容器を使用して重合性単量体成分を乳化重合するが、その際、密閉型圧力反応容器内の液中の溶存酸素濃度を3ppm以下とした条件下で乳化重合すると、酸素によるラジカル重合の阻害を回避でき、乳化重合が円滑に進行して水分散型アクリル系ポリマーを効率良く生産できるため好ましい。密閉型反応容器内の液中の溶存酸素濃度を低下させる方法としては、水性媒体と重合性単量体成分、重合開始剤を各々別の容器で溶存酸素を低下させた後、これらを混合する方法や、水性媒体、重合性単量体成分、重合開始剤を密閉型圧力反応容器に仕込んだ後、溶存酸素を低下させる方法が挙げられ、使用する装置に応じ適宜、方法を選択することができるが、何れの方法においても、乳化重合開始時の密閉型圧力反応容器内の液中の溶存酸素濃度を3ppm以下とすることが好ましい。液中(水性媒体、或いは場合によっては重合体粒子[A]や乳化剤を含んだ水性媒体、及び重合性単量体成分、及び重合開始剤の溶液等の混合物)の溶存酸素濃度を低下させる方法としては、具体的には、(1)容器内を攪拌下、容器の一方の口から不活性ガスを連続的に吹き込み、またはバブリングし、もう一方の口から不活性ガスと酸素を吹き出しながら溶存酸素濃度を低下させる方法、(2)容器内を攪拌下、一旦容器内の液体を沸騰させた後、不活性ガス雰囲気下で冷却することにより溶存酸素濃度を低下させる方法、(3)容器内を攪拌下、容器内に不活性ガスを加圧充填した後、容器内の圧力を下げることで容器内の酸素の分圧を低くして溶存酸素濃度を低下させる方法等が挙げられる。これらの内、容器内の液中の溶存酸素を低下させるには、(3)不活性ガスを加圧充填した後、容器内の圧力を下げる操作を繰り返す方法が効率良く容器内の液中の溶存酸素を低下できるため好ましい。不活性ガスを加圧充填した後、容器内の圧力を下げる工程は、2〜10回繰り返すことが好ましく、この工程の繰り返し回数が多いほど溶存酸素濃度が低くなるが、10回を越えると溶存酸素濃度が低下し難くなるため効率が悪くなる。
不活性ガスを密閉型圧力反応容器に加圧充填する場合、例えば、0.1〜2.0MPa、好ましくは0.2〜1.5MPaの圧力で充填する。この範囲よりも低い圧力の場合、溶存酸素濃度を3ppm以下にするのに繰り返し回数が多くなったり、或いは3ppm以下にすることができない恐れがある。また、反応容器内の圧力を下げる場合、例えば、−0.04〜−0.09MPaまで減圧する。この範囲よりも減圧度が低い場合、溶存酸素濃度を3ppm以下にするのに繰り返し回数が多くなったり、或いは様存酸素濃度を3ppm以下にすることができない恐れがある。さらに、重合性単量体成分の乳化重合時の反応容器内の圧力は、後述する乳化重合時の反応温度に応じて、常圧で、或いは不活性ガスで加圧して乳化重合を実施することができる。ここでいう圧力とは、絶対圧力を意味するのではなく、常圧を0MPaにした差圧をいう。また、不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウム、アルゴン等の希ガスを挙げることができ、これらを1種または2種以上混合して使用してもよい。不活性ガスの種類としては、特に窒素ガスが、経済性、汎用性の点から好ましい。不活性ガスの純度は、通常95%以上、好ましくは98%以上である。
前記製造方法では、密閉型圧力反応容器内で重合性単量体成分の乳化重合を行うため、乳化重合時の容器内温度は特に制限を受けず、例えば、媒体である水の沸点を越える条件下でも安全に乳化重合することが可能である。通常のアクリル系ポリマーを乳化重合で製造する際に使用されているコンデンサー付属反応容器の場合は、反応容器内が沸騰すると、反応容器から内容物が吹き出す危険性や、反応容器内が沸騰することにより凝集物が多量に発生するという欠点があるが、本発明では密閉型圧力反応容器を使用するため、これらの問題点が回避できる。特に、高温(水性媒体と重合性単量体成分の混合物の沸点以上の温度)で乳化重合する場合には、反応容器内を不活性ガスで加圧すると、反応容器内の沸騰を抑制でき、その結果、凝集物の発生を防止できる点から好ましい。反応容器内の沸騰を抑制するために不活性ガスで加圧する際の圧力は、乳化重合時に反応容器内が到達する最も高い温度における、反応容器内液(水性媒体と重合性単量体成分の混合物)の蒸気圧以上の圧力にすることが好ましく、蒸気圧以上の圧力を維持すると反応容器内の沸騰を完全に抑制できる。
前記製造方法では前述の如く、乳化重合時の重合温度には制限を受けないが、特に、得られる水分散型アクリル系ポリマーの分子量を高めたい場合には、低温から乳化重合を開始することが好ましい。具体的には、10〜50℃の範囲内の温度から乳化重合を開始すると、高分子量のポリマーが得られ易くなる。この範囲より重合開始温度が低い場合、重合が円滑に進行し難くなり、一方、この範囲より重合開始温度が高いと、高分子量ポリマーが得られ難くなる場合がある。
前記製造方法で乳化重合の際に用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が用いられる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩類、有機過酸化物類、過酸化水素等が挙げられる。
重合性単量体成分の乳化重合では、これら過酸化物のみを用いてラジカル重合するか、或いは上記過酸化物に還元剤を併用したレドックス系重合開始剤によっても、得ることができる。
また、さらに重合開始剤として、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤を使用することもできる。前記重合開始剤の中でも、特に、過硫酸塩類及び/または有機過酸化物類と還元剤とを併用したレドックス系重合開始剤が、低い温度でも乳化重合を円滑に進行させることができ、前述の如く高分子量の水分散型アクリル系ポリマーを得たい場合には、10〜50℃の範囲内の温度から乳化重合を開始することができるため好ましい。
過硫酸塩類として、具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられ、有機過酸化物類として、具体的には、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。
また、上記のレドックス重合開始剤系に使用する還元剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその塩、エリソルビン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、クエン酸及びその塩、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄等が挙げられる。
これらの重合開始剤の使用量は、重合が円滑に進行する量を使用すれば良いが、得られる水分散型アクリル系ポリマーの被膜等に耐水性が求められる場合には、その使用量を極力少なくすることが好ましく、その使用量は重合性単量体成分の重量に対して、0.3重量%以下(還元剤を併用するレドックス系重合開始剤の場合は酸化剤と還元剤の合計量)とすることが好ましい。本発明において、水分散型アクリル系ポリマーの分子量を調整する必要がある場合は、重合性単量体成分を乳化重合する際に分子量調整剤として連鎖移動能を有する化合物、例えば、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリセリン等のメルカプタン類、またはα−メチルスチレン・ダイマー等を添加してもよい。
このようにして得られる本発明のアクリル系水性粘着剤組成物には、必要に応じて水溶性、或いは水分散性の架橋剤を添加して使用することができる。この場合、架橋剤としては、例えば、多官能性メラミン化合物、多官能性ポリアミン化合物、多官能性ポリエチレンイミン化合物、多官能性(ブロック)イソシアネート化合物、金属塩化合物等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物として使用することができる他に、水溶性または水分散性の熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等を混和して使用することもできる。
本発明のアクリル系水性粘着剤組成物は種々の粘着製品に利用できる。その粘着製品は、基材と上記のアクリル系水性粘着剤組成物の層とから構成されている。かかる基材としては、紙、プラスチックフィルム、不織布等が挙げられる。
本発明のアクリル系水性粘着剤組成物を用いて粘着剤組成物の層を形成する方法としては、上記基材の上に、該アクリル系水性粘着剤組成物を直接塗工して乾燥させる直接法、シリコーン等で離型処理された紙、またはプラスチックフィルム等の離型材の上に、該水性粘着材組成物を塗工して乾燥させ、粘着剤層を形成させた後、該粘着剤層の上に基材を重ねて加圧し、該基材上に粘着剤層を転写する転写法が挙げられる。
塗工方法としては、塗工機としてロールコーター、コンマコーター、リップコーター、ファウンテンダイコーター、グラビアコーター等を使用する方法が挙げられる。
アクリル系水性粘着剤組成物は、一般に固形分濃度が40〜70重量%、粘度が10〜10,000mPa・s(BM型粘度計、60回転、25℃)、pHが6〜9程度である。上記の直接法で塗工する場合には、塗工方法の種類にもよるが、一般的により高速に塗工するためには低粘度であることが求められることが多い。また転写法で塗工する場合には、粘度が300〜10,000mPa・s(同上)のものが好ましい。
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、特に断らない限り、「%」は重量%、「部」は重量部をそれぞれ示すものとする。
本発明で用いた評価方法について以下に述べる。
[測定温度25℃での引張試験での伸び率の測定方法]
ガラス板上に乾燥後の膜厚が0.5mmとなるように後記実施例で得られたアクリル系水性粘着剤組成物を塗工し、25℃で24時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、更に100℃で5分間乾燥したものを2号ダンベルで打ち抜き試料とした。この試料を用いて、オリエンテック社製テンシロンRTM−100型引張試験機にて、25℃の雰囲気下で、クロスヘッドスピード200mm/分で引張試験を実施した時の最大伸度を測定して決定する。
[ゲル分率の測定方法]
ガラス板上に乾燥後の膜厚が0.3mmとなるように後記実施例で得られたアクリル系水性粘着剤組成物を塗工し、25℃で24時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、更に100℃で5分間乾燥したものを50mm角に切り取り、これを試料とした。次に、予め上記試料のトルエン浸漬前の重量(G1)を測定しておき、トルエン溶液中に常温で24時間浸漬した後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残さの重量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲル分率を求めた。
ゲル分率(%)=G2/G1×100
[水抽出物量の測定方法]
再剥離型水性粘着剤組成物を乾燥後の膜厚が0.3mmとなるようにガラス板に塗工し、25℃で24時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、更に120℃で5分間加熱処理して残存する水分を蒸発させた。そのフィルムを20mm角に切り取り重量(W1)を測定し試験フィルムとした。試験フィルムを25℃水中に7日間浸漬し、引き上げてフィルム表面の水分を軽く拭き取った後、そのフィルムを110℃で1時間乾燥し、放冷後、重量(W2)を測定し、以下の式に従ってフィルムの水抽出物量を求めた。
水抽出物量(重量%)={(W1−W2)/W1}×100
[耐水白化性試験の測定方法]
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、乾燥後における膜厚が25μmとなるように再剥離型水性粘着剤組成物を塗布し、100℃で2分間乾燥して粘着シートを作成し試料とした。粘着剤塗工面が暴露される様に30℃の水中に試料を24時間浸漬し、水浸漬前と水浸漬後の試料の濁度を濁度計で測定し、その濁度の変化度合いをW値として求め、耐水白化性を評価した。
濁度計;日本電飾工業(株)製濁度計NDH−300A
測定光源;ハロゲンランプ
受光素子;JIS K7105に準拠するシリコンフォトセル
濁度および水浸漬前後の濁度の変化度合いは下記の式に従って求めた。
濁度 H=(DF/TL)×100
TL;全透過率(%)
DF;拡散透過率(%)
濁度の変化度合い;W値=H1/H0(H0;水浸漬前の濁度、H1;水浸漬後の濁度)を求めた後、下記の判定基準で結果を求めた。
○;濁度の変化度合いW値が5未満
△;濁度の変化度合いW値が5以上で且つ30未満
×;濁度の変化度合いW値が30以上
[Tgの測定方法]
後述する実施例で得られたアクリル系水性粘着剤組成物を乾燥後の膜厚が0.3mmとなるようにガラス板に塗工し、25℃で24時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、更に100℃で5分間乾燥したものを試料とし、直径5mm、深さ2mmのアルミニウム製円筒型セルに試料約10mgを秤取し、TAインスツルメント社製のDSC−2920モジュレイテッド型示差走査型熱量計を用い、窒素雰囲気下で−150℃から昇温速度20℃/分で100℃まで昇温した時の吸熱曲線を測定して求めた。
[重合転化率の測定方法]
乳化重合中の密閉型圧力反応容器から、内容液を10gサンプリングし、重合禁止剤として硫酸ヒドロキシルアミンの10%水溶液0.2gを添加し、攪拌し重合率測定用サンプルとする。次に、このサンプルの固形分濃度を、110℃で1時間乾燥した後の残さの重量から測定し、以下の式に従って重合転化率を求めた。
重合転化率(%)=100×([サンプルの固形分濃度]−[重合性単量体成分以外の原料の固形分濃度])/[重合性単量体成分の全仕込原料に対する濃度]
但し、式中の各成分は、下記の値を表す。
サンプルの固形分濃度:実測値(%)
重合性単量体成分以外の原料の固形分濃度:計算値(%)
重合性単量体成分の全仕込原料に対する濃度:計算値(%)
[平均粒子径の測定方法]
日機装(株)製マイクロトラックUPA型粒度分布測定装置にて測定した平均粒子径(体積基準での50%メジアン径)の値を求めた。
[接着力の測定方法]
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、乾燥後における膜厚が25μmとなるように後記実施例で得られたアクリル系水性粘着剤組成物を塗布し、100℃で2分間乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートおよび被着体として鏡面仕上げしたステンレス板を用い、JIS Z−0237に準じて23℃、50%RHの雰囲気下で180度剥離強度を測定し、接着力とした。
[保持力の測定方法]
接着力測定時と同様にして粘着シートを作成し、ステンレス板に接着面積が25mm×25mmとなるように粘着シートを貼付け、40℃にて1kgの荷重をかけてずれ落ちるまでの時間を測定し、その保持時間を保持力とした。また、12時間後にも保持されていた場合には、保持時間を12時間以上とし、初期貼付け位置からのずれ幅を測定し、併記した。
[タックの測定方法]
接着力測定時と同様にして粘着シートを作成し、JIS Z−0237の球転法に準じて23℃、50%RHの雰囲気下で測定した。
実施例1
(1)重合体粒子[A](水性分散液)の製造
攪拌機、加圧が可能な窒素導入管、減圧管(減圧ポンプ)、原料仕込口、温度計を備えた内容積が2Lの密閉型圧力反応容器(容器内の材質:グラスライニング製)に、25℃の脱イオン水560部を仕込み、攪拌下、窒素導入管から窒素ガスを反応容器に導入し、1分間かけて反応容器内圧力が0.3MPaになるように加圧した。その後、減圧管から減圧ポンプを使用して、5分間かけて反応容器内圧力が−0.08MPaになるように減圧した。この操作を3回繰り返した後、反応容器内の脱イオン水の溶存酸素濃度を測定したところ、0.5ppmであった。反応容器内を攪拌下、アクアロンKH−10[第一工業製薬(株)製:有効成分100%]4部、2−エチルヘキシルアクリレート80部、ブチルアクリレート72部、アクリル酸8部を仕込んだ。引き続き、重亜硫酸ナトリウムの2.4%水溶液16.4部を仕込み、窒素導入管から窒素ガスを反応容器に導入し、1分間かけて反応容器内圧が0.3MPaになるように加圧した。その後、減圧管から減圧ポンプを使用して、5分間かけて反応容器内圧力が−0.08MPaになるように減圧し、この操作を3回繰り返し、その後、反応容器圧力を0.05MPaに加圧した。この間に反応容器内温度を30℃に調整した。次に、内容積が0.2Lの別の密閉型圧力容器に、過硫酸アンモニウムの4.8%水溶液16.8部を仕込み、10秒間かけて容器内圧力が0.3MPaになるように加圧した。その後、減圧管から減圧ポンプを使用して、20秒間かけて容器内圧力が−0.08MPaになるように減圧し、この操作を3回繰り返し、その後、容器内圧力を0.15MPaに加圧した。
密閉型圧力反応容器の内温度が30℃であることを確認後、原料仕込口に過硫酸アンモニウムが入った圧力容器を設置し、過硫酸アンモニウム水溶液を密閉型圧力反応容器内に圧入した。過硫酸アンモニウム水溶液の圧入直後から、反応容器内温度の上昇が始まり、乳化重合が開始したことを確認した。乳化重合開始から45分後に反応容器内温度の上昇が45℃で停止した。この間、反応容器の温度調整操作は行わなかった。その後、反応容器内温度を55℃に調整して60分間保持した。その後、内容物を冷却し、反応容器内圧力を常圧に戻した後、200メッシュ金網で濾過し、本発明の重合体粒子[A]を得た。ここで得られた重合体粒子[A]は、固形分濃度21.5%、粘度5mPa・s、平均粒子径180nm、重合転化率は100%であった。
(2)水分散型アクリル系ポリマーの製造
攪拌機、加圧が可能な窒素導入管、減圧管(減圧ポンプ)、原料仕込口、温度計を備えた内容積が2Lの密閉型圧力反応容器(容器内の材質:グラスライニング製)に、25℃の前記重合体粒子[A](水性分散液)757.2部を仕込み、攪拌下、窒素導入管から窒素ガスを反応容器に導入し、1分間かけて反応容器内圧力が0.3MPaになるように加圧した。その後、減圧管から減圧ポンプを使用して、5分間かけて反応容器内圧力が−0.08MPaになるように減圧した。この操作を3回繰り返した後、反応容器内の重合体粒子[A](水性分散液)の溶存酸素濃度を測定したところ、0.5ppmであった。反応容器内を攪拌下、2−エチルヘキシルアクリレート552部、メタクリル酸メチル80部、アクリル酸8部、ラウリルメルカプタン1.6部を仕込んだ。引き続き、重亜硫酸ナトリウムの2.4%水溶液32.8部を仕込み、窒素導入管から窒素ガスを反応容器に導入し、1分間かけて反応容器内圧力が0.3MPaになるように加圧した。その後、減圧管から減圧ポンプを使用して、5分間かけて反応容器内圧力が−0.08MPaになるように減圧し、この操作を3回繰り返し、その後、反応容器内圧力を0.30MPaに加圧した。この間に反応容器内温度を40℃に調整した。次に、内容積が0.2Lの別の密閉型圧力容器に、過硫酸アンモニウムの4.8%水溶液33.6部を仕込み、10秒間かけて容器内圧力が0.3MPaになるように加圧した。その後、減圧管から減圧ポンプを使用して、20秒間かけて容器内圧力が−0.08MPaになるように減圧し、この操作を3回繰り返し、その後、容器内圧力を0.40MPaに加圧した。
密閉型圧力反応容器の内温度が40℃であることを確認後、原料仕込口に過硫酸アンモニウムが入った圧力容器を設置し、過硫酸アンモニウム水溶液を密閉型圧力反応容器内に圧入した。過硫酸アンモニウム水溶液の圧入直後から5分後、反応容器内温度の上昇が始まり、乳化重合が開始したことを確認した。乳化重合開始から40分後に反応容器内温度の上昇が94℃で停止した。この間、反応容器の温度調整操作は行わなかった。その後、反応容器内温度を90℃に調整して90分間保持した。その間、乳化重合の開始を確認した後から10分間隔でサンプリングし、重合転化率を測定して重合転化率が95%に達するまでの時間を求めた。重合転化率が95%に達するまでに要した時間は、乳化重合の開始を確認後60分であった。その後、内容物を冷却し、pHが8.0になるようにアンモニア水(有効成分10%)で調整した。なお、冷却前に重合転化率が100%に達していることを確認した。pH調整後、200メッシュ金網で濾過し、本発明の水分散型アクリル系ポリマーを得た。ここで得られた水分散型アクリル系ポリマーは、固形分濃度54.3%、粘度210mPa・s、平均粒子径250nmであった。
上記の水分散型アクリル系ポリマーに、レベリング剤としてサーフィノール420[エアー・プロダクツ・ジャパン(株)製:有効成分100%]1.2部を添加した後、100メッシュ金網で濾過し、本発明のアクリル系水性粘着剤組成物を得た。このアクリル系水性粘着剤組成物を用いて得た被膜の引張試験での伸び率、水抽出物量、ガラス転移温度(実測Tg)、ゲル分率(トルエン不溶解分率)、および粘着シートの耐水白化性、接着力、保持力、タックの評価結果を第1表に示した。
実施例2〜5
単量体混合物として第1表に示したものを用いた以外は、実施例1と全く同様にして本発明のアクリル系水性粘着剤組成物を得た。このアクリル系水性粘着剤組成物に含まれる重合体粒子の平均粒子径(50%メジアン径)、固形分濃度、粘度は第1表に記載した通りであった。また、このアクリル系水性粘着剤組成物を用いて得た被膜の引張試験での伸び率、水抽出物量、ガラス転移温度(実測Tg)、ゲル分率(トルエン不溶解分率)、および粘着シートの耐水白化性、接着力、保持力、タックの評価結果を第1表に示した。
Figure 0004895072
比較例1
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器にラテムルE−118B[花王(株)製;有効成分25%]を1.6部と脱イオン水440部を入れ、窒素を吹き込みながら75℃まで昇温した。撹拌下、続いて重亜硫酸ナトリウム0.4部、過硫酸アンモニウム0.8部を添加し、続いて2−エチルヘキシルアクリレート696部、メタクリル酸メチル80部、メタクリル酸24部、ラウリルメルカプタン1.6部からなる単量体混合物に、ラテムルE−118Bを10.4部と脱イオン水144部を加えて乳化させたモノマープレエマルジョン(前記単量体混合物と乳化剤と水でモノマーを乳化状態にしたものを云う)の一部(3部)を添加し、反応容器内温度を75℃に保ちながら60分間で重合させた。引き続き、反応容器内温度を75℃に保ちながら、残りのモノマープレエマルジョン(920.3部)と、過硫酸アンモニウムの4.8%水溶液33.6部、重亜硫酸ナトリウムの2.4%水溶液32.8部を、各々別の滴下漏斗を使用して、反応容器内温度を75℃に保ちながら240分間かけて滴下、重合した。滴下終了後、同温度にて120分間撹拌し、内容物を冷却、pHが8.0になるようにアンモニア水(有効成分10%)で調整した。ここで得られたは、固形分濃度54.6%、粘度230mPa・s、平均粒子径250nmであった。
上記の水分散型アクリル系ポリマーに、レベリング剤としてサーフィノール420[エアー・プロダクツ・ジャパン(株)製:有効成分100%]1.2部を添加した後、100メッシュ金網で濾過し、アクリル系水性粘着剤組成物を得た。このアクリル系水性粘着剤組成物を用いて得た被膜の引張試験での伸び率、ガラス転移温度(実測Tg)、ゲル分率(トルエン不溶解分率)、および粘着シートの接着力、保持力、タックの評価結果を表2に示した。
比較例2
単量体混合物として第1表に示したものを用いた以外は、比較例1と全く同様にしてアクリル系水性粘着剤組成物を得た。このアクリル系水性粘着剤組成物に含まれる重合体粒子の平均粒子径(50%メジアン径)、固形分濃度、粘度は第1表に記載した通りであった。このアクリル系水性粘着剤組成物を用いて得た被膜の引張試験での伸び率、ガラス転移温度(実測Tg)、ゲル分率(トルエン不溶解分率)、および粘着シートの接着力、保持力、タックの評価結果を表2に示した。
比較例3
攪拌機、窒素導入管、コンデンンサー(冷却管)、原料仕込口、温度計を備えた内容積が2Lの反応容器に、25℃の脱イオン水280部を仕込み、攪拌下、窒素導入管から50mL/minの流量で窒素ガス導入した。120分後、反応容器内の溶存酸素濃度を測定したところ、2.3ppmであった。反応容器内を攪拌下、窒素ガスを導入しながら、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩7.5部、ブチルアクリレート237.5部、アクリロニトリル10部、アクリル酸2.5部を仕込み、全体を均一に乳化した。その後、反応容器内温度を40℃に調整した。次に、反応容器内温度が40℃であることを確認後、2、2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン][V−061;和光純薬工業(株)製]の5重量%メタノール溶液0.25部を加え、40℃に12時間維持して乳化重合を行った。重合転化率は95.1%であった。その後、更に上記の5重量%メタノール溶液0.1部を加え、40℃で24時間維持した。その後、内容物を冷却し、pHが8.0になるようにアンモニア水(有効成分10%)で調整した後、200メッシュ金網で濾過し、本発明の水分散型アクリル系ポリマーを得た。ここで得られた水分散型アクリル系ポリマーは、固形分濃度46.6%、粘度180mPa・s、平均粒子径220nmであり、重合転化率は100%であった。
上記の水分散型アクリル系ポリマーに、レベリング剤としてサーフィノール420[エアー・プロダクツ・ジャパン(株)製:有効成分100%]1.2部を添加した後、100メッシュ金網で濾過し、アクリル系水性粘着剤組成物を得た。このアクリル系水性粘着剤組成物を用いて得た被膜の引張試験での伸び率、水抽出物量、ガラス転移温度(実測Tg)、ゲル分率(トルエン不溶解分率)、および粘着シートの耐水白化性、接着力、保持力、タックの評価結果を表2に示した。(特開平7−228612 実施例2に相当する比較例)
比較例4
攪拌機、窒素導入管、コンデンンサー(冷却管)、原料仕込口、温度計を備えた内容積が2Lの反応容器に、25℃の脱イオン水300部を仕込み、攪拌下、窒素導入管から50mL/minの流量で窒素ガス導入した。120分後、反応容器内の溶存酸素濃度を測定したところ、2.3ppmであった。反応容器内を攪拌下、窒素ガスを導入しながら、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル[HLB:14]2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2部、2−エチルヘキシルアクリレート140部、アクリル酸エチル54部、アクリル酸6部を仕込み、全体を均一に乳化した。その後、反応容器内温度を50℃に調整した。次に、反応容器内温度が50℃であることを確認後、2、2−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)−プロピオンアミジン]ジハイドロクロライド[VA−552;和光純薬工業(株)製]0.04部を加え、50℃に8時間維持して、乳化重合を行い、第一の分散液Bを得た。重合率は99.8重量%であった。このようにして水分散液Bを得た後、さらにその重合系内に、第二工程として過硫酸アンモニウム0.4部を水20部に溶解した溶液を加え、窒素置換しながら70℃に加温した。これに2−エチルヘキシルアクリレート140部、アクリル酸エチル54部、アクリル酸6部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB:14)2部、及び脱イオン水140部をホモミキサーにて均一に乳化した水乳化物を3時間かけて滴下し、滴下終了後上記と同じ温度で2時間維持し、乳化重合を行った。その後、内容物を冷却し、pHが8.0になるようにアンモニア水(有効成分10%)で調整した後、200メッシュ金網で濾過し、本発明の水分散型アクリル系ポリマーを得た。ここで得られた水分散型アクリル系ポリマーは、固形分濃度50.9%、粘度230mPa・s、平均粒子径210nmであり、重合転化率は100%であった。
上記の水分散型アクリル系ポリマーに、レベリング剤としてサーフィノール420[エアー・プロダクツ・ジャパン(株)製:有効成分100%]1.2部、エポキシ架橋剤TEPIC[日産化学工業(株)製]を、0.05部を水1部に溶解した水溶液を添加した後、100メッシュ金網で濾過し、アクリル系水性粘着剤組成物を得た。
このアクリル系水性粘着剤組成物を用いて得た被膜の引張試験での伸び率、水抽出物量、ガラス転移温度(実測Tg)、ゲル分率(トルエン不溶解分率)、および粘着シートの耐水白化性、接着力、保持力、タックの評価結果を表2に示した。(特開2002−60713号公報 実施例3に相当する比較例)
Figure 0004895072
表1、2中の略号の正式名称を下記に示す。
2−EHA ;2−エチルヘキシルアクリレート
BA ;n−ブチルアクリレート
EA ;エチルアクリレート
AN ;アクリロニトリル
MMA ;メチルメタクリレート
MAA ;メタクリル酸
AA ;アクリル酸
DAAM ;ジアセトンアクリルアミド
GMA ;グリシジルメタクリレート
L−SH ;ラウリルメルカプタン
TBHP ;t−ブチルハイドロパーオキサイド
APS ;過硫酸アンモニウム
SMS ;重亜硫酸ナトリウム
PAP ;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩
PNP ;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
BDS ;ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
WS−500;(株)日本触媒製 エポクロスWS−500
ADH ;アジピン酸ジヒドラジド
表1、2で用いられている単量体、架橋剤の量は固形分の重量部で表した。
一括;モノマーを一括して仕込み乳化重合する本発明における製造方法
滴下;モノマーを滴下供給し乳化重合する製造方法

Claims (2)

  1. 乾燥被膜のガラス転移温度が−25℃以下であり、重合性単量体成分の全重量に対して、(a)カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を0.5〜10重量%、及び(b)炭素原子数が4〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを45〜99.5重量%を含有する重合性単量体成分を、水性媒体が存在する密閉型圧力反応容器に一括して仕込み、反応開始時の密閉型圧力反応容器内のゲージ圧力を0.1〜1.5MPaの範囲に制御して乳化重合することによって得られる、25℃の温度条件下での引張試験で測定した100%モジュラスが0.02〜0.2MPa、伸び率が2000〜7000%、且つ、水抽出物量が2重量%以下である乾燥被膜を形成可能な水分散型アクリル系樹脂を含有することを特徴とするアクリル系水性粘着剤組成物の製造方法。
  2. 前記乾燥被膜のゲル分率が、10〜50重量%である請求項1記載のアクリル系水性粘着剤組成物の製造方法。
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