JP6094115B2 - 水性粘着剤及び粘着シート - Google Patents

水性粘着剤及び粘着シート Download PDF

Info

Publication number
JP6094115B2
JP6094115B2 JP2012209571A JP2012209571A JP6094115B2 JP 6094115 B2 JP6094115 B2 JP 6094115B2 JP 2012209571 A JP2012209571 A JP 2012209571A JP 2012209571 A JP2012209571 A JP 2012209571A JP 6094115 B2 JP6094115 B2 JP 6094115B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
sensitive adhesive
pressure
meth
aqueous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012209571A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014062211A (ja
JP2014062211A5 (ja
Inventor
佐藤 浩司
浩司 佐藤
森野 彰規
彰規 森野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp filed Critical DIC Corp
Priority to JP2012209571A priority Critical patent/JP6094115B2/ja
Priority to CN201310435445.8A priority patent/CN103666339A/zh
Publication of JP2014062211A publication Critical patent/JP2014062211A/ja
Publication of JP2014062211A5 publication Critical patent/JP2014062211A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6094115B2 publication Critical patent/JP6094115B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、接着力や保持力、定荷重保持力等の接着性に優れる水性粘着剤に関するものである。
近年、アクリル系粘着剤は、自動車や家電製品をはじめ、様々な工業製品の製造に使用されている。前記アクリル系粘着剤としては、従来から有機溶剤を含有するいわゆる溶剤型粘着剤が使用されてきた。しかしながら、近年の環境負荷低減の観点から、溶剤型粘着剤から水性粘着剤や無溶剤型の紫外線硬化型粘着剤への転換が望まれている。
一方、アクリル系粘着剤を用いる場合には、通常アクリル樹脂の他に、常温での接着性等を向上する目的で粘着付与剤が用いられている(例えば、特許文献1を参照。)。
しかしながら、水性粘着剤の場合には、溶剤型粘着剤や紫外線硬化型粘着剤と異なり、粘着付与剤を含有させても満足する粘着物性が得られない場合があった。これは加工後の粘着剤の構造に起因するものと考えられている。すなわち、溶剤型粘着剤や紫外線硬化型粘着剤の場合、アクリル樹脂に粘着付与剤の大きな塊が点在する、いわゆる海島構造が形成されるのに対し、水性粘着剤の場合には、アクリル樹脂、粘着付与剤が乳化剤によって水に分散しており、加工後も粒子の形状が保持され海島構造が形成されないことが原因として考えられる。
このため、接着力や保持力、定荷重保持力等の接着性に優れる水性粘着剤が求められている。
特開2007−126546号公報
本発明が解決しようとする課題は、接着力や保持力、定荷重保持力等の接着性に優れる水性粘着剤を提供することである。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、アクリル樹脂、粘着付与剤及び水性媒体を含有する水性粘着剤を用いた粘着シートを特定の溶剤に浸漬させ得られる抽出物の量を特定することにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、アクリル樹脂(A)、粘着付与剤(B)及び水性媒体(C)を含有する水性粘着剤用組成物を用いて得られる水性粘着剤において、前記水性粘着剤を用いて得られた粘着シートを、体積比で等量の水及びメタノールの混合溶液に浸漬させた際に得られる抽出物の量が、前記粘着シートの粘着剤層の質量に対して3質量%以下であることを特徴とする水性粘着剤及びそれを用いて得られる粘着シートに関するものである。
本発明の水性粘着剤は、接着力や保持力、定荷重保持力(特に、難接着基材への定荷重保持力)等の接着性に優れるものである。
また、重合性界面活性剤を用いて得られた粘着付与剤を用いた場合には、湿気(水)の影響や、湿熱の影響による接着力の低下を引き起こすことのない、優れた耐湿熱性を付与することができる。
従って、本発明の水性粘着剤は、例えば、自動車内装材の固着、具体的には自動車天井材やドアトリムの固着をはじめ、クッション剤、シール剤、携帯電話や液晶ディスプレイ等の電子機器等を衝撃から保護することを目的として電子製品内部に設置されるクッション材等の固定や、電子製品の外装部材の固定、更には家具等を製造する際の粘着シート等の製造に使用することができる。
本発明の水性粘着剤は、アクリル樹脂(A)、粘着付与剤(B)及び水性媒体(C)を含有する水性粘着剤用組成物を用いて得られるものである。
前記アクリル樹脂(A)としては、水性媒体(C)中において安定して分散等する点から、アニオン性基等の親水性基を有するアクリル樹脂が挙げられる。
前記アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基や、スルホニル基、それらが塩基性化合物によって中和されたカルボキシレート基やスルホネート基等が挙げられる。
前記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の水溶性有機アミン化合物やアンモニアなどが挙げられる。これらの塩基性化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られる被膜の耐久性等を向上させたい場合は、常温或いは加熱により飛散するアンモニアを用いることが好ましい。
また、前記アクリル樹脂(A)としては、被着体に対して優れた接着性を付与する点から、できるだけ分岐構造を有さない直鎖のアクリル樹脂を用いることが好ましい。
前記アクリル樹脂(A)としては、具体的には、後述するビニル単量体をラジカル重合することによって得られたものが挙げられる。
前記ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基を有するビニル単量体、水酸基を有するビニル単量体等が挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これらのなかでも、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル及びアクリル酸ノニルからなる群より選ばれる1種以上を用いることが、アクリル樹脂(A)のガラス転移温度を低くでき、その結果、多孔体や表面極性の低い被着体に対しする優れた接着性を付与できるため好ましい。一方、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等を用いることによって、水性粘着剤に優れた接着性や耐湿熱性、耐熱接着力を付与することも可能である。
また、前記アクリル樹脂(A)の製造に用いることができる前記カルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β−(メタ)ヒドロキシエチルハイドロゲンフタレート、及びこれらの塩等が挙げられる。これらのビニル単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、前記カルボキシル基を有するビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。
前記カルボキシル基を有するビニル単量体を用いることによって、アクリル樹脂(A)中にカルボキシル基やカルボキシレート基を導入することができる。かかるカルボキシル基等は、例えば、エポキシ架橋剤、オキサゾリン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、シラン架橋剤等を用いる場合に、該架橋剤が有する官能基と反応する。これにより、接着性や耐湿熱性、耐熱接着力等の粘着性能に優れた粘着剤層を形成することができる。また、前記カルボキシル基等が導入されることによって、前記アクリル樹脂(A)に良好な水分散安定性を付与することができる。
また、前記アクリル樹脂(A)の製造に用いることができる前記水酸基を有するビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記水酸基を有するビニル単量体を用いることによって、アクリル樹脂(A)中に水酸基を導入することができる。かかる水酸基は、例えばイソシアネート架橋剤等を用いる場合に、該架橋剤が有するイソシアネート基と反応する。これにより、接着性や耐湿熱性、耐熱接着力等の粘着性能に優れた粘着剤層を形成することができる。
前記アクリル樹脂(A)の製造に用いるビニル単量体としては、前記したものの他に、必要に応じてその他のビニル単量体を用いることもできる。
その他のビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N−モノアルキルアミノアルキル、(メタ)アクリル酸N,N−ジアルキルアミノアルキル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、等のアミド基を有するビニル単量体;アクロレイン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のビニルニトリル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン等の芳香環を有するビニル単量体;イソプレン、ブタジエン、エチレン等の官能基を有しないビニル単量体;N−ビニルピロリドン等の複素環式ビニル単量体などを用いることもできる。
本発明で用いるアクリル樹脂(A)としては、前記ビニル単量体の全量に対して、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを45質量%〜99質量%、及び、カルボキシル基を有するビニル単量体を0.5質量%〜5質量%含むビニル単量体混合物を重合して得られたものを用いることが好ましく、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを70質量%〜99質量%、及び、カルボキシル基含有ビニル単量体を0.5質量%〜5質量%含むビニル単量体混合物を重合して得られたものを用いることが、被着体に対する優れた接着性や耐水接着力を備えた水性粘着剤を得るうえでより好ましい。
前記アクリル樹脂(A)の製造方法としては、例えば、前記ビニル単量体を、重合開始剤と後述する水性媒体(C)と必要に応じて連鎖移動剤や界面活性剤の存在下で乳化重合することによって製造する方法が挙げられる。
前記乳化重合は、0℃〜80℃程度の温度範囲で3時間〜10時間程度反応させ、前記ビニル単量体のラジカル重合を乳化重合法により行うことが好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、アゾ開始剤、過硫酸塩系開始剤、過酸化物系開始剤、過硫酸塩−還元剤、過酸化物−還元剤、鉄−過酸化物等のレドックス系開始剤等を用いることができる。
前記アゾ開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)等、過硫酸塩系開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等、過酸化物系開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等、還元剤としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等、鉄としては、例えば、塩酸第二鉄等、が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、レドックス系開始剤は熱分解系開始剤に比べ、ラジカル量が多くなりやすいため、アクリル樹脂(A)が水素引き抜きによる分岐構造を有しやすくなるので、熱分解系開始剤である過硫酸塩系開始剤、アゾ開始剤を用いることが好ましい。なかでも、10時間半減期温度が反応温度内、または反応温度付近である、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}を用いると少量で反応でき、耐湿熱性が良好になるので好ましい。
前記重合開始剤の使用量は、反応温度や種類によって相違するが、一般的には、前記ビニル単量体の全量に対して、0.01質量%〜5質量%の範囲、好ましくは0.05質量%〜1質量%の範囲、更に好ましくは0.02質量%〜0.5質量%の範囲である。
前記連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、α−ピネン、β−ピネン、D−リモネン、ターピノーレン、α―メチルスチレンダイマー等が挙げられる。これらの連鎖移動剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記連鎖移動剤を用いる場合の使用量としては、前記ビニル単量体の全量に対して、一般的には、0.001質量%〜5質量%の範囲であることが好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、重合性界面活性剤等が挙げられる。これらのなかでも、粘着剤の機械的安定性を向上する観点からアニオン性界面活性剤、耐水性を向上する観点から重合性界面活性剤を用いることが好ましい。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数12以上の高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩等が挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記重合性界面活性剤は、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するものであり、好ましくはビニル基を有するものを用いることが好ましい。前記重合性界面活性剤としては、例えば、アルキルアリルスルホコハク酸アンモニウム塩、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、α−スルホ−ω−(1−(ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩、α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩、ジ(メタクリル酸アルキル)フォスフェート、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩、アルコキシポリエチレングリコールマレイン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、2−ソディウムスルホアルキルメタクリレート等が挙げられる。これらの重合性界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、前記重合性界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン構造と硫酸エステル構造と有する化合物を含む「ラテムルS−180」「S−180A」「PD−104」〔以上、花王株式会社製〕、「RS−3000」〔以上、三洋化成工業株式会社製〕、「アクアロンHS−5」「HS−10」「BC−5」「BC−20」「KH−05」「KH−10」「KH−1025」〔以上、第一工業製薬株式会社製〕、「アデカリアソープSE−10」「SE−20」「SR−10」「SR−1025」「SR−20」「SR−30」「SR−3025」〔以上、旭電化工業株式会社製〕、「アントックス MS−60」〔以上、日本乳化剤株式会社製〕等;硫酸エステル構造を有する「エレミノールJS−20」〔以上、三洋化成工業株式会社製〕、「アントックスMS−2N」〔以上、日本乳化剤株式会社製〕;リン酸基を有する「ニューフロンティアA−229E」〔以上、第一工業製薬株式会社製〕等;ポリオキシエチレン構造とカルボン酸基を有する化合物を含む「アントックスEMH−20」「LMH−20」「SMH−20」〔以上、日本乳化剤株式会社製〕等;非イオン性親水基を有する化合物を含む「アクアロンRN−10」「RN−20」「RN−30」「RN−50」〔以上、第一工業製薬株式会社製〕、「ラテムルPD−104」「PD−420」「PD−430」「PD−450」〔以上、花王株式会社製〕、「アデカリアソープER−10」「ER−20」「ER−30」「ER−40」〔以上、株式会社ADEKA製〕などが市販品として入手することができる。
また、前記重合性界面活性剤としては、例えば、下記化学式(1)に示すようなカチオン性重合性界面活性剤を用いることもできる。前記カチオン性重合性界面活性剤を用いる場合には、アクリル樹脂(A)としてノニオン性基を有するアクリル樹脂やカチオン性基を有するアクリル樹脂を用いることができる。
Figure 0006094115
前記重合性界面活性剤としては、前記したなかでも、優れた接着性を付与する点から、親水性部としてポリオキシエチレン構造または硫酸エステル構造を有するものを用いることが好ましい。
また、前記重合性界面活性剤の重量平均分子量としては、150〜5,000の範囲であることが、アクリル樹脂(A)の水性媒体(C)中における分散安定性の向上と、粘着剤の接着性を向上するうえで好ましい。
前記重合性界面活性剤の使用量としては、接着性をより向上できる観点から、前記ビニル単量体の全量に対して、0.1質量%〜5質量%の範囲で用いることが好ましく、0.1質量%〜3質量%の範囲がより好ましい。
以上の方法により得られるアクリル樹脂(A)の重量平均分子量としては、接着性の観点から、10万以上であることが好ましく、30万〜200万の範囲がより好ましく、50万〜100万の範囲が特に好ましい。また、前記アクリル樹脂(A)の重量平均分子量をかかる範囲に設定することで、低分子量体等の生成が極めて抑えられるため、体積比で等量の水及びメタノールの混合溶液による抽出の際に、アクリル樹脂(A)由来の抽出物が極めて抑えられるため好ましい。
前記アクリル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)としては、接着性の観点から、−10℃以下であることが好ましく、−10℃〜−70℃の範囲がより好ましく、−30℃〜−70℃の範囲が更に好ましい。なお、前記アクリル樹脂(A)のガラス転移温度は、前記アクリル樹脂(A)を示差走査熱量計(DSC)装置内に入れ、(Tg+50℃)まで昇温速度10℃/分で昇温した後、3分間保持し、その後急冷してえられた示差熱曲線から得られる中間点ガラス転移温度を示す。
前記アクリル樹脂(A)の平均粒子径としては、被着体に対して優れた接着力、とりわけ優れた投錨性を付与できる観点から、50nm〜500nmの範囲が好ましく、100nm〜400nmの範囲がより好ましい。なお、前記アクリル樹脂(A)の平均粒子径は、動的散乱法によって測定した値を示す。
前記アクリル樹脂(A)と水性媒体(C)との質量割合は、分散安定性等の観点から、10/90〜70/30の範囲が好ましく、30/70〜60/40の範囲がより好ましい。
前記粘着付与剤(B)としては、良好な接着性(特に定荷重保持力)を付与できる観点から、アクリル単量体を用いて得られる粘着付与剤を好適に用いることができる。
前記アクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有するアクリル単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の水酸基を有するアクリル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するアクリル単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有するアクリル単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩等のカチオン化されたアミノ基を有するアクリル単量体;アクリロニトリル等のチアノ基を有するアクリル単量体などが挙げられる。これらのアクリル単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、接着性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましく、より一層の耐湿熱性を付与できる観点から、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることがより好ましい。
前記脂環構造を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量としては、粘着付与剤(B)を構成する重合性原料(アクリル単量体と、後述するその他のビニル単量体及び重合性界面活性剤)全量に対して、50質量%〜99質量%の範囲であることが好ましく、70質量%〜99質量%の範囲がより好ましい。
前記アクリル単量体を用いて得られる粘着付与剤を製造する際には、必要に応じて、その他のビニル単量体を用いてもよい。
前記その他のビニル単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のビニルニトリル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン等の芳香環を有するビニル単量体;イソプレン、ブタジエン、エチレン等の官能基を有しないビニル単量体;ビニルピロリドン等の複素環式ビニル単量体、(メタ)アクリル酸グリシジル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の架橋性官能基を有するビニル単量体などが挙げられる。
アクリル単量体を用いて得られる粘着付与剤には、前記アクリル単量体の他に重合性界面活性剤を用いることが、優れた耐湿熱性を付与できる点や、体積比で等量の水及びメタノールの混合溶液による抽出の際に、粘着付与剤(B)由来の抽出物が抑えられる点から好ましい。前記重合性界面活性剤は、前記アクリル樹脂(A)の製造に用いる重合性界面活性剤と同様のものを用いることができる。前記重合性界面活性剤のなかでも、粘着付与剤(B)の水性媒体(C)への分散安定性及び粘着剤の耐湿熱性を向上できる点から、親水性部としてポリオキシエチレン構造または硫酸エステル構造を有するものを用いることが好ましい。特に、ポリオキシエチレン構造は反応中にラジカルによって分解され、抽出物量が増加することがあるので、ポリオキシエチレン構造を有さず硫酸エステル構造を有するものを用いることが好ましい。また、150〜5,000の範囲の重要平均分子量の重合性界面活性剤を用いることが好ましい。
前記重合性界面活性剤の使用量としては、耐湿熱性をより向上できる点や抽出物をより抑制できる点から、前記アクリル単量体全量に対して0.01質量%〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.1質量%〜3.5質量%の範囲がより好ましい。
なお、前記アクリル単量体を用いて得られる粘着付与剤を製造する際には、必要に応じて、前記重合性界面活性剤以外の、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等のその他の界面活性剤を用いることもできる。前記その他の界面活性剤は、前記重合性界面活性剤を用いる際に、その量を前記アクリル単量体全量に対して0.5質量%以下とする場合や、粘着付与剤(B)の製造を90℃以上の高温条件下で行う場合や、粘着付与剤(B)の平均粒子径を500nm以上する場合に、粘着付与剤(B)の凝集等を防止する目的で用いることが好ましい。なお、前記その他の界面活性剤は、前記アクリル樹脂(A)の製造に用いる界面活性剤と同様のものを用いることができる。その中でも、アニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
前記その他の界面活性剤を用いる場合、前記その他の界面活性剤の使用量としては、前記重合性原料に対して、0.01質量%〜2質量%の範囲であることが好ましい。
前記粘着付与剤(B)の製造方法としては、例えば、前記アクリル単量体と、好ましくは前記重合性界面活性剤とを、重合開始剤と水性媒体(C)と、必要に応じて前記その他のビニル単量体、前記その他の界面活性剤及び連鎖移動剤の存在下で乳化重合する方法が挙げられる。
前記乳化重合は、0℃〜200℃程度の温度範囲で1時間〜10時間程度反応させ、前記アクリル単量体、及び好ましくは前記重合性界面活性剤、及び必要時応じて前記その他のビニル単量体のラジカル重合を乳化重合法により行うことが好ましい。
前記重合開始剤としては、前記アクリル樹脂(A)の製造に用いるできる重合開始剤と同様のものを用いることができる。なかでも、耐湿熱性を向上できる観点から、過酸化水素や過硫酸カリウムを用いることが好ましい。
前記重合開始剤の使用量は、反応温度や種類によって相違するが、一般的には、前記アクリル単量体の全量に対して、0.01質量%〜10質量%の範囲、好ましくは0.1質量%〜6質量%の範囲である。
前記連鎖移動剤としては、前記アクリル樹脂(A)の製造に用いることができる連鎖移動剤と同様のものを用いることができる。前記連鎖移動剤を用いる場合の使用量としては、前記アクリル単量体の全量に対して、0.001質量%〜5質量%の範囲であることが好ましい。
以上の方法により得られる粘着付与剤(B)の重量平均分子量としては、前記アクリル樹脂(A)との相溶性や定荷重保持力、耐湿熱性等の点から、1,000〜30,000の範囲であることが好ましく、3,000〜10,000の範囲がより好ましい。
前記粘着付与剤(B)の重量平均分子量を1,000〜30,000の範囲に調整する方法としては、例えば、前記連鎖移動剤を用いる方法や、前記重合開始剤を多量に用いる方法、乳化重合の際の重合温度を100℃以上で行う方法等が挙げられる。
前記粘着付与剤(B)のガラス転移温度としては、耐湿熱性をより向上できる観点から、30℃〜300℃の範囲であることが好ましく、50℃〜200℃の範囲がより好ましい。前記粘着付与剤(B)のガラス転移温度は、前記アクリル樹脂(A)のガラス転移温度と同様にして得られた値を示す。
前記粘着付与剤(B)の軟化点としては、耐湿熱性をより向上できる観点から、50℃〜300℃の範囲であることが好ましく、70℃〜300℃の範囲がより好ましい。なお、前記粘着付与剤(B)の軟化点は、環球法(JIS K5902)により測定した値を示す。
前記粘着付与剤(B)の平均粒子径としては、耐湿熱性をより向上できる観点から、50nm〜500nmの範囲が好ましく、100nm〜300nmの範囲がより好ましい。
前記粘着付与剤(B)と前記アクリル樹脂(A)との質量割合は、10/90〜90/10の範囲が好ましく、10/90〜50/50の範囲がより好ましい。
前記粘着付与剤(B)としては、水性媒体(C)と混合していることが好ましい。前記粘着付与剤(B)と水性媒体(C)との質量割合は、10/90〜70/30の範囲が好ましく、20/80〜60/40の範囲がより好ましい。
前記水性媒体(C)としては、水、水と混和する親水性有機溶剤、及び、これらの混合物を用いることができる。前記親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール溶媒;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル溶媒;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム溶媒などの、一般に高沸点溶剤として知られるものを用いることができる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いてもよい。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
前記水性媒体(C)は、本発明の水性粘着剤の全量に対して25質量%〜90質量%含まれることが好ましく、35質量%〜70質量%含まれることがより好ましい。
本発明で用いる水性粘着剤用組成物は、前記した成分の他に、接着性を向上する目的で架橋剤を用いてもよい。該架橋剤を用いる場合には、前記アクリル樹脂(A)等として、架橋剤と反応しうる官能基、具体的には、前記した水酸基やカルボキシル基等を有するものを用いることが好ましい。
前記架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物等のイソシアネート架橋剤;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ架橋剤;メチル化トリメチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチロールメラミン等の多官能性メラミン化合物;オキサゾリン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、シラン架橋剤、アジリジン架橋剤、有機金属架橋剤等の外部添加架橋剤などが挙げられる。これらのなかでも、エポキシ架橋剤、オキサゾリン架橋剤、シラン架橋剤、イソシアネート架橋剤を用いることが好ましい。イソシアネート架橋剤としては、耐黄変性を向上させる観点から脂肪族系イソシアネートト架橋剤を用いることが好ましい。
前記架橋剤の使用量は、例えば、アクリル樹脂(A)の全量に対して、0.01質量%〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.01質量%〜3質量%の範囲がより好ましい。
本発明で用いる水性粘着剤用組成物は、例えば、前記方法で予め製造したアクリル樹脂(A)と、前記方法で予め製造した粘着付与剤(B)の水分散液等とを混合することによって製造することができる。
前記方法等で得られた水性接着剤用組成物は、もっぱら水性粘着剤に用いることができる。
前記水性粘着剤は、例えば、支持体の片面または両面に粘着剤層を有する粘着シートの製造に使用することができる。また、支持体を有しない粘着剤層のみからなる粘着シートの製造に使用することもできる。
前記粘着シートは、例えば、支持体の片面または両面に、前記水性粘着剤を塗工し、水性媒体(C)を乾燥し除去することによって製造することができる。
前記水性粘着剤の塗工は、例えばロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、リップコーター、スプレーコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター、コンマコーター等を用いて行うことができる。
また、前記粘着シートに離型シートを貼付する場合には、前記方法で得られた粘着シートの表面に離型シートを貼付する方法や、離型シート上に前記水性粘着剤を塗工し、水性媒体(C)を除去等した後、その粘着剤層表面に支持体を貼付する方法が挙げられる。
前記粘着シートが有する粘着剤層は、使用する水性粘着剤に含まれる官能基の種類や量、重合条件、架橋剤の種類や量を適宜選択することによって、10質量%〜90質量%となるように調整することが好ましい。特に、粗面や低極性被着体等の難接着面への接着性、貼付する部材の反発力や寸法変化に耐えうる接着性や、高温下での凝集力等を両立させるために、ゲル分率は30質量%〜50質量%であることがより好ましい。
なお、本明細書において、ゲル分率とは、ゲル分の含有量のことを意味し、例えば、粘着剤層をテトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン等の良溶媒に浸漬した後、乾燥させたものの質量と、浸漬前の粘着剤層の質量との比を測定することにより求めることができる。ゲル分率は、アクリル樹脂(A)の重合中に開始剤による水素引き抜きによる分岐や架橋剤を用いることで調整することができる。架橋剤は、アクリル樹脂(A)の重合中に用いることもでき、またアクリル樹脂(A)と粘着付与剤(B)との混合後に用いてもよい。また架橋方法も熱架橋や光架橋といった従来公知のものを用いることができる。架橋剤により粘着剤としての凝集力を一層大きくすることが可能となる。
前記支持体としては、発泡体、フィルム、不織布、紙等が挙げられる。
前記発泡体の材質としては、ウレタン、EPDM、ポリエチレン等が挙げられる。前記フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS,ポリカーボネート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリビニルアルコール、セロファン等が挙げられる。前記不織布の材質としては、綿、麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維等、及びこれらの混合物等が挙げられる。さらに、必要に応じて、ビスコース含浸や熱可塑性樹脂をバインダーとした含浸処理を施してもよい。
本発明の水性粘着剤であれば、前記支持体として、比較的親水性である表面に塗布等した場合であっても、湿気等の影響によらず優れた接着性を維持することが可能である。
前記支持体の表面は、前記粘着剤層との密着性を向上する観点から、予めコロナ処理等による易接着表面処理が施されていてもよい。
前記支持体表面に形成される粘着剤層の厚みは、特に制限はないが、1μm〜200μmの範囲であることが好ましく、15μm〜70μmの範囲であることがより好ましい。
以上の方法により粘着シートが得られるが、本発明の課題を解決するうえでは、該粘着シートを体積比で等量の水及びメタノールの混合溶液に浸漬させた際に得られる抽出物の量は、前記粘着シートの粘着剤層の質量に対して3質量%以下であることが必須であり、2.7質量%以下であることがより好ましい。
前記抽出物としては、前記連鎖移動剤、重合開始剤等の残留物も一因として考えられるが、量的観点からの主要因としては、前記粘着付与剤(B)の製造時に由来する未反応物や界面活性剤等であると考えられる。従って、前記未反応物、界面活性剤等を低減することが粘着シートの粘着剤層中の抽出物の量を低減することに大きく寄与する。
前記粘着シートの粘着剤層中の抽出物の量を低減するうえでは、前記粘着付与剤(B)を、体積比で等量の水及びメタノールの混合溶液に浸漬させた際に得られる抽出物の量が、前記粘着付与剤(B)の質量に対して、3質量%以下であることが好ましく、2.8質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下が更に好ましく、2.3質量%以下が特に好ましい。
前記粘着付与剤(B)の製造時に由来する未反応物等を低減し、前記粘着シートの粘着剤層中の抽出物の量を低減する方法としては、前記重合性界面活性剤を用いる方法が特に好ましい。
なお、前記抽出を行う際の抽出方法としては、抽出物が完全に抽出される条件であれば特に限定されるものではないが、例えば、後述する[抽出物の量の測定方法]を一例として挙げることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
《合成例1》アクリル樹脂(A−1)
攪拌装置を備えた容器に、重合性界面活性剤として「ラテムルPD−104」(花王株式会社製、オキシエチレンの付加モル数が15モルであり、オキシブチレンの付加モル数が6モルであるポリオキシチレン−ポリオキシブチレン構造と、硫酸エステル構造とを有するポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩である重合性界面活性剤、不揮発分20質量%)を5質量部及び「アクアロンKH−1025」(第一工業製薬株式会社製、オキシエチレンの付加モル数が10モルであるポリオキシエチレン構造と、硫酸エステル構造とを有するポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキル硫酸エステルアンモニウム塩である重合性界面活性剤、不揮発分20質量%)を5.6質量部、アクリル酸2−エチルヘキシルを45.5質量部、アクリル酸ブチルを45.5質量部、メタクリル酸メチルを5質量部、N−ビニルピロリドン1.5質量部ならびにアクリル酸を2.5質量部仕込み、攪拌することによって、乳化液を調製した。
温度計、滴下装置、還流冷却管及び攪拌装置を備えた重合容器内を窒素ガスで置換し、イオン交換水55.5質量部を仕込み、攪拌しながら内温を60℃に昇温した。
前記重合容器内に、前記乳化液の全量に対して1質量%の量の乳化液を仕込んだ後、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液(不揮発分3質量%)を1質量部、過硫酸アンモニウム水溶液(不揮発分3質量%)を1質量部添加し、重合を開始した。
30分ホールドした後、残りの乳化液(99質量%)と、過硫酸アンモニウム水溶液(不揮発分1質量%)10質量部とを、前記重合容器内に6時間かけて滴下し、重合を行った。
滴下終了後、重合容器を内温60℃にて1時間保持し、次いで、重合容器を約25℃に冷却した後、内容物を200メッシュ濾布(ポリエステル)で濾過することによって、不揮発分51.5質量%、粒子径320nm、重量平均分子量80万のアクリル樹脂(A−1)の水分散液を得た。
前アクリル樹脂(A−1)の示差走査熱量計(DSC、TAインスツルメント株式会社製)で測定したガラス転移温度(中間点ガラス転移温度)は−43℃であった。
《合成例2》粘着付与剤(B−1)
攪拌装置を備えた容器に、重合性界面活性剤としてラテムル「PD−104」(花王株式会社製、オキシエチレンの付加モル数が15モルであり、オキシブチレンの付加モル数が6モルであるポリオキシチレン−ポリオキシブチレン構造と、硫酸エステル構造とを有するポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩である重合性界面活性剤、不揮発分20質量%)を7.5質量部、アニオン性界面活性剤として「ネオゲンSC−F」(第一工業製薬株式会社製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、不揮発分63質量%)を0.1質量部と、メタクリル酸シクロヘキシルを100質量部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタンを0.5質量部と、イオン交換水を19.4質量部とを仕込み、攪拌することによって、乳化液を調整した。
温度計、滴下装置、還流冷却管及び攪拌装置を備えた重合容器内を窒素ガスで置換し、重合性界面活性剤として前記「ラテムルPD−104」を7.5質量部、非重合性界面活性剤として前記「ネオゲンSC−F」を1質量部とイオン交換水167.5質量部を仕込み、攪拌しながら容器内を130℃に昇温した。
前記重合容器に、過酸化水素水溶液(不揮発分12.4質量%)10.2質量部を仕込み、15分ホールドした後、前記乳化液と、過酸化水素水溶液(不揮発分12.4質量%)30.5質量部とを、前記重合容器内に3時間かけて滴下した。
滴下終了後、重合容器を内温130℃にて1時間保持し、次いで、重合容器を約25℃に冷却した後、内容物を200メッシュ濾布(ポリエステル)で濾過することによって、不揮発分30質量%、粒子径130nm、重量平均分子量5,300の粘着付与剤(B−1)を得た。なお、粘着付与剤(B−1)を、体積比で等量の水及びメタノールの混合溶液に浸漬させた際に得られた抽出物の量は、粘着付与剤(B−1)の質量に対して、2.5質量%であった。該抽出物の量は、後述する[抽出物の量の測定方法(粘着付与剤(B))]のとおりに測定した。
《合成例3》粘着付与剤(B−2)
攪拌装置を備えた容器に、重合性界面活性剤として「エレミノールJS−20」(三洋化成株式会社製、不揮発分39質量%)を5.6質量部と、メタクリル酸シクロヘキシルを100質量部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタンを4.5質量部と、イオン交換水を20質量部とを仕込み、攪拌することによって、乳化液を調整した。
温度計、滴下装置、還流冷却管及び攪拌装置を備えた重合容器内を窒素ガスで置換し、重合性界面活性剤として前記「エレミノールJS−20」を1.3質量部とイオン交換水177.5質量部を仕込み、攪拌しながら容器内を90℃に昇温した。
前記重合容器に、過硫酸カリウム水溶液(不揮発分2質量%)5質量部を仕込み、15分ホールドした後、前記乳化液と、過硫酸カリウム水溶液(不揮発分2質量%)15質量部とを、前記重合容器内に3時間かけて滴下した。
滴下終了後、重合容器を内温90℃にて1時間保持し、次いで、重合容器を約25℃に冷却した後、内容物を200メッシュ濾布(ポリエステル)で濾過することによって、不揮発分30質量%、粒子径120nm、重量平均分子量5,200の粘着付与剤(B−2)を得た。なお、粘着付与剤(B−2)を、体積比で等量の水及びメタノールの混合溶液に浸漬させた際に得られた抽出物の量は、粘着付与剤(B−2)の質量に対して、1.5質量%であった。
《合成例4》粘着付与剤(B−3)
攪拌装置を備えた容器に、アニオン性界面活性剤として「ネオゲンSC−F」(第一工業製薬株式会社製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、不揮発分63質量%)を1.8質量部と、メタクリル酸シクロヘキシルを100質量部と、イオン交換水を22質量部とを仕込み、攪拌することによって、乳化液を調製した。
温度計、滴下装置、還流冷却管及び攪拌装置を備えた加圧密閉重合容器内を窒素ガスで置換し、非重合性界面活性剤として「ネオゲンSC−F」を3.5質量部とイオン交換水182.2質量部を仕込み、攪拌しながら容器内を130℃に昇温した。
前記重合容器内に、過酸化水素水溶液(不揮発分12.4質量%)10.2質量部を仕込み、15分ホールドした後、前記乳化液と、過酸化水素水溶液(不揮発分12.4質量%)30.5質量部とを、前記重合容器内に3時間かけて滴下した。
滴下終了後、重合容器を内温130℃にて1時間保持し、次いで、重合容器を約25℃に冷却した後、内容物を200メッシュ濾布(ポリエステル)で濾過することによって、固形分29.4質量%、粒子径114nm、重量平均分子量5,500の粘着付与剤(B−3)を得た。なお、粘着付与剤(B−3)を、体積比で等量の水及びメタノールの混合溶液に浸漬させた際に得られた抽出物の量は、粘着付与剤(B−3)の質量に対して、3.3質量%であった。
《実施例1》
前記アクリル樹脂(A−1)の水分散液194.2質量部と、前記粘着付与剤(B−1)83.3質量部とを混合した後、12.5質量%のアンモニア水と増粘剤(「ボンコート3750−E」DIC株式会社製、不揮発分23質量%)とを混合することによって、pH8、BM粘度10,000mPa・sに調製された混合物を得た。
次いで、架橋剤として、油溶性エポキシ化合物(「TETRAD−C」三菱ガス化学株式会社製)のエタノール溶液(不揮発分10質量%)を0.36質量部を混合し、200メッシュ濾布(ポリエステル)で濾過することによって、水性粘着剤(1)を得た。
《実施例2》
前記アクリル樹脂(A−1)の水分散液194.2質量部と、前記粘着付与剤(B−2)83.3質量部とを混合した後、12.5質量%のアンモニア水と増粘剤(「ボンコート3750−E」DIC株式会社製、不揮発分23質量%)とを混合することによって、pH8、BM粘度10,000mPa・sに調整された混合物を得た。
次いで、架橋剤として油溶性エポキシ化合物(「TETRAD−C」三菱ガス化学株式会社製)のエタノール溶液(不揮発分10質量%)を0.28質量部を混合し、200メッシュ濾布(ポリエステル)で濾過することによって、水性粘着剤(2)を得た。
《比較例1》
前記アクリル樹脂(A−1)の水分散液194.2質量部と、重合ロジンエマルジョンを含む粘着付与剤(「スーパーエステルE−865NT」荒川化学株式会社製、不揮発分50質量%、以下「重合ロジン」と略記する。)を50質量部とを混合した後、12.5質量%のアンモニア水と増粘剤(「ボンコート3750−E」DIC株式会社製、不揮発分23質量%)とを混合することによって、pH8、BM粘度10,000mPa・sに調整された混合物を得た。
次いで、架橋剤として油溶性エポキシ化合物(「TETRAD−C」三菱ガス化学株式会社製)のエタノール溶液(不揮発分10質量%)を0.27質量部を混合し、200メッシュ濾布(ポリエステル)で濾過することによって、水性粘着剤(3)を得た。
なお、前記重合ロジンを、体積比で等量の水及びメタノールの混合溶液に浸漬させた際に得られた抽出物の量は、重合ロジンの質量に対して、26.7質量%であった。
《比較例2》
前記アクリル樹脂(A−1)の水分散液194.2質量部と、前記粘着付与剤(B−3)85質量部とを混合した後、12.5質量%のアンモニア水と増粘剤(「ボンコート3750−E」DIC株式会社製、不揮発分23質量%)とを混合することによって、pH8、BM粘度10,000mPa・sに調整された混合物を得た。
次いで、架橋剤として油溶性エポキシ化合物(「TETRAD−C」三菱ガス化学株式会社製)のエタノール溶液(不揮発分10質量%)を0.27質量部を混合し、200メッシュ濾布(ポリエステル)で濾過することによって、水性粘着剤(4)を得た。
本発明で用いるアクリル樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel GMHXL」(7.8mmI.D.×30cm)×4本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−380」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−450」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−850」
本発明で用いる粘着付与剤(B)及び重合性界面活性剤の重量平均分子量は、カラムを以下のものに変更した以外は、前記アクリル樹脂(A)の重量平均分子量の測定方法と同様にして測定した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
[粘着シートの作製]
前記水性粘着剤を、アプリケーターを用いて厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(支持体)の表面に、乾燥し形成される粘着剤層の厚みが60μmとなるように塗布した。
次いで、前記塗布膜を100℃の乾燥オーブン中で3分間乾燥し、前記塗布膜の表面に、離型処理の施された厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートからなる離型シートを載置し、5kgのローラーを用いて1往復荷重することによって、それらを圧着し積層体を得た。
得られた積層体を40℃の雰囲気下に48時間静置し、エージングすることによって、粘着シートとした。
[ゲル分率の評価方法]
前記方法で作製した粘着シートを縦20mm及び横100mmの大きさに切り取ったものを試験片とした。前記試験片から25μm離型シートを除去した粘着剤層と支持体との合計質量を、精密天秤を用いて測定した(W1)。
次に、前記粘着剤層を50ccのトルエン中に24時間浸漬した後、100℃の乾燥オーブン中で2時間乾燥した。乾燥後の粘着剤層の質量(W2)を、精密天秤を用いて測定した。
ゲル分率は、(質量(W2)−支持体の質量)/(質量(W1)−支持体の質量)×100に基づいて算出した。
[接着性の評価方法]
接着性は、下記の接着力(粘着シート製造直後)と、定荷重保持力とによって評価した。
[接着力(粘着シート製造直後)の評価方法]
前記方法で得られた粘着シートを幅20mm×長さ100mmの大きさに切り取ったものを試験片とした。23℃、湿度50%の雰囲気下で、前記試験片から離型シートを除去し、その粘着剤層表面にSUS(BA)基材(株式会社エンジニアリングテストサービス製)を載置し、その上部から5kgロール1往復の荷重をかけることにより、それらを貼り合わせ、1時間静置した。
次いで、23℃、湿度50%の雰囲気下で、前記粘着剤層と、前記SUS基材との間の接着強度を、JIS Z 0237に準拠し、180度方向300mm/minの速度で剥離した際の剥離強度を測定した。
[湿熱試験後の接着力の評価方法]
前記方法で得られた粘着シートを幅20mm×長さ100mmの大きさに切り取ったものを試験片とした。23℃、湿度50%の雰囲気下で、前記試験片から離型シートを除去し、その粘着剤層表面にSUS基材を載置し、その上部から5kgロール1往復の荷重をかけることにより、それらを貼り合わせた。
次いで、前記粘着シートと前記ポリプロピレン基材とからなる積層体を、70℃、湿度95%の雰囲気下に500時間静置した後、23℃、湿度50%の雰囲気下に取り出し、1時間静置した後、前記粘着剤層と、前記SUS基材との間の接着強度を、23℃、湿度50%の雰囲気下で、JIS Z 0237に準拠し、180度方向300mm/minの速度で剥離した際の剥離強度を測定した。
[耐湿熱性の評価方法]
耐湿熱性は、粘着シートの製造直後の接着力に対する、湿熱試験後の接着力の割合(保持率)に基づいて評価した。具体的には、〔(湿熱試験後の接着力)/(製造直後の接着力)〕×100(%)の式に基づいて算出した保持率に基づいて評価した。なお、前記保持率は、有効数字3桁にて四捨五入した。
前記保持率が、80%以上である場合に「◎」と評価し、60%以上80%未満である場合に「○」と評価し、40%以上60%未満である場合に「△」と評価し、0%以上40%未満である場合に「×」と評価した。
[定荷重保持力の評価方法]
前記方法で得られた粘着シートを縦20mm及び横80mmの大きさに切り取ったものを試験片とした。23℃、湿度50%の雰囲気下で、試験片から離型シートを除去し、その粘着剤層表面にポリプロピレン基材を載置し、その上部から5kgロール1往復の荷重をかけることにより、それらを貼り合わせた。23℃、湿度50%の雰囲気下に24時間静置した後、90°の角度になるように100gの荷重をかけ、40℃の雰囲気下にセットし、測定を開始した。30分後にずれた距離で評価し、30分未満で落下したものは、その時間を記録した。
なお、ずれた距離が5mm未満である場合に「○」と評価し、5mm以上10mm未満である場合に「△」と評価し、10mm以上である場合に「×」と評価した。
[抽出物の量の測定方法(粘着シート)]
前記方法で得られた粘着シートを縦30cm及び横30cmの大きさに切り取ったものを試験片とした。23℃、湿度50%の雰囲気下で、試験片から離型シートを除去し、粘着剤層表面に、予め質量を測定したキムワイプ(「ワイパーS−200」日本製紙クレシア株式会社製)を載置し、その上部から5kgロール1往復の荷重をかけることにより、それらを貼り合せた。貼り合せた試験片の質量を精密天秤を用いて測定し、前記支持体及びキムワイプの質量を引いた値を質量(W3)とした。
次いで、貼り合せた試験片を2cm角にカットし、三角フラスコ内に入れ、更に水及びメタノールの体積比で等量の混合溶液100mlを三角フラスコに注ぎ、カットされた試験片が完全に前記混合溶液に浸漬するようにした。三角フラスコにコンデンサーを取り付け、撹拌下80℃の水浴で3時間かけて抽出を行った。No.5Aのろ紙を用いて濾過し、ろ液をエバポレーターを用いて乾燥させた。乾燥物の質量を精密天秤を用いて測定し、前記支持体及びキムワイプの質量を引いた値を質量(W4)とした。
前記粘着シートに対する抽出物の量(質量%)は、(質量(W4))/(質量(W3))×100の計算式に基づいて算出した。
[抽出物の量の測定方法(粘着付与剤(B))]
前記粘着付与剤(B)を、アプリケーターを用いて厚さ25μmのポリエチレンテレフタラートからなるフィルムの表面に、乾燥し形成される粘着付与剤層の厚さが60μmとなるように塗布した。
次いで、前記塗布膜を23℃、湿度50%の雰囲気下で、24時間静置し乾燥した。乾燥塗膜が得られた後、精密天秤に三角フラスコを静置し、三角フラスコ内に約5g程度となるまで乾燥塗膜をスパーチラーを用いて入れた。三角フラスコ内に入れた乾燥塗膜の質量(W5)は、精密天秤にて測定した。次いで、水及びメタノールの体積比で等量の混合溶液30mlを三角フラスコに注ぎ、乾燥塗膜が完全に前記混合溶液に浸漬するようにした。三角フラスコにコンデンサーを取り付け、撹拌下80℃の水浴で3時間かけて抽出を行った。No.5Aのろ紙を用いてろ過し、ろ液をエバポレーターを用いて乾燥させた。乾燥物の質量(W6)を精密天秤を用いて測定した。
前記粘着付与剤(B)に対する抽出物の量(質量%)は、(質量(W6))/(質量(W5))×100の計算式に基づいて算出した。
Figure 0006094115
本発明の粘着付与剤を用いた水性粘着剤である実施例1及び2は、接着性(特に難接着基材への定荷重保持力)に優れることが分かった。また、耐湿熱性にも優れることが分かった。
一方、比較例1は、重合ロジン系の粘着付与剤を用い、粘着シートに対する抽出物の量が3質量%を超える態様であるが、定荷重保持力が劣ることが分かった。また、耐湿熱性も不良であった。
比較例2は、粘着シートに対する抽出物の量が3質量%を超える態様であるが、定荷重保持力が不良であることが分かった。

Claims (2)

  1. ポリオキシエチレン構造又は硫酸エステル構造を有する重合性界面活性剤を原料とした、重量平均分子量が10万以上であるアクリル樹脂(A)、ポリオキシエチレン構造又は硫酸エステル構造を有する重合性界面活性剤を原料とした、重量平均分子量が1,000〜30,000の範囲である粘着付与剤(B)及び水性媒体(C)を含有する水性粘着剤用組成物を用いて得られる水性粘着剤の製造方法において、前記水性粘着剤を用いて得られた粘着シートを、体積比で等量の水及びメタノールの混合溶液に浸漬させた際に得られる抽出物の量が、前記粘着シートの粘着剤層の質量に対して3質量%以下であることを特徴とする水性粘着剤の製造方法
  2. 支持体表面に、請求項記載の水性粘着剤を用いて形成された粘着層を有することを特徴とする粘着シートの製造方法
JP2012209571A 2012-09-24 2012-09-24 水性粘着剤及び粘着シート Active JP6094115B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012209571A JP6094115B2 (ja) 2012-09-24 2012-09-24 水性粘着剤及び粘着シート
CN201310435445.8A CN103666339A (zh) 2012-09-24 2013-09-23 水性粘合剂及粘合片

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012209571A JP6094115B2 (ja) 2012-09-24 2012-09-24 水性粘着剤及び粘着シート

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2014062211A JP2014062211A (ja) 2014-04-10
JP2014062211A5 JP2014062211A5 (ja) 2015-08-27
JP6094115B2 true JP6094115B2 (ja) 2017-03-15

Family

ID=50305131

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012209571A Active JP6094115B2 (ja) 2012-09-24 2012-09-24 水性粘着剤及び粘着シート

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6094115B2 (ja)
CN (1) CN103666339A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102580109B1 (ko) * 2021-11-23 2023-09-19 한국신발피혁연구원 수계 아크릴 점착부여제 조성물

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2761433B2 (ja) * 1990-11-30 1998-06-04 東洋インキ製造株式会社 粘着付与剤樹脂水性分散体の製造方法
JPH08231937A (ja) * 1995-02-24 1996-09-10 Sekisui Chem Co Ltd アクリル系エマルジョン型粘着剤の製造方法
JP4895072B2 (ja) * 2004-11-26 2012-03-14 Dic株式会社 アクリル系水性粘着剤組成物の製造方法
US7700703B2 (en) * 2004-12-23 2010-04-20 Rohm And Haas Company Polymer additives and adhesive compositions including them
JP2008195880A (ja) * 2007-02-15 2008-08-28 Nitto Denko Corp アクリル系粘着剤およびその製造方法
JP5320683B2 (ja) * 2007-03-28 2013-10-23 Dic株式会社 水分散型アクリル系粘着剤組成物及び両面粘着テープ
JP5185690B2 (ja) * 2008-05-16 2013-04-17 一方社油脂工業株式会社 水分散型感圧接着剤組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014062211A (ja) 2014-04-10
CN103666339A (zh) 2014-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6056165B2 (ja) 粘着付与剤、水性粘着剤用組成物、水性粘着剤及び粘着シート
JP6850182B2 (ja) 粘着剤組成物および粘着シート
JP4839707B2 (ja) 両面粘着テープ及び両面粘着テープの製造方法
JP5320683B2 (ja) 水分散型アクリル系粘着剤組成物及び両面粘着テープ
JP2007217594A (ja) アクリル系水性粘着剤
JP5028754B2 (ja) 水分散型アクリル系粘着剤組成物、及びそれを用いた接着シート
JP5557023B2 (ja) 自動車内装用粘着剤組成物の製造方法
JP2015010185A (ja) 水分散型粘着剤組成物およびその製造方法
JP2012126850A (ja) 粘着剤組成物およびその利用
JP5574160B2 (ja) 水分散型アクリル系粘着剤組成物及び粘着テープ
JP6337492B2 (ja) 粘着シート
JP5924102B2 (ja) 粘着付与剤、水性粘着剤用組成物、水性粘着剤及び粘着シート
JP6094115B2 (ja) 水性粘着剤及び粘着シート
JP4743563B1 (ja) 水性粘着剤用樹脂組成物、水性粘着剤、粘着シート及び水性粘着剤用組成物の製造方法
JP4572720B2 (ja) 水分散型アクリル系樹脂の製造方法、並びにそれにより製造される水分散型アクリル粘着剤組成物及び粘着シート
JP2007084781A (ja) アクリル系水性粘着剤組成物の製造方法
JP5703541B2 (ja) 粘着テープ
JP6185303B2 (ja) エマルジョン型粘着剤組成物、エマルジョン型粘着剤およびエマルジョン型剥離性粘着剤、ならびにそれを用いた粘着シート
JP3535780B2 (ja) 感圧接着剤用エマルション
US20190352544A1 (en) Phase separated pressure-sensitive adhesive compositions
JP5516939B2 (ja) 水分散型アクリル系粘着剤組成物及び粘着テープ
KR20210031322A (ko) 아크릴 계 에멀젼 점착제 조성물
JP4304903B2 (ja) 水性粘着剤組成物およびその製造方法
JP5842394B2 (ja) 水性粘着剤用組成物、水性粘着剤、粘着シート及び積層体
JP5598707B2 (ja) 電子機器用粘着剤組成物、電子機器用粘着剤、粘着シート及び積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150709

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150709

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160519

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160609

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161020

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161101

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20161109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170130

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6094115

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250