JP2008195880A - アクリル系粘着剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素数8〜30の長鎖アルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを主成分としたアクリル系モノマーの水分散型重合体を用いて、耐水耐湿性や接着性に優れ、また臭気の問題のないアクリル系粘着剤を得ることを課題とする。
【解決手段】炭素数8〜30のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル(A)/共重合可能な他のビニル系モノマー(B)が重量比で100/0〜10/90であるアクリル系モノマーを水系溶媒中で乳化剤と水溶性ラジカル重合開始剤を用いて水分散重合して水分散型重合体を得たのち、これに含まれる低分子量成分を低減する精製処理を施して、重量平均分子量が100万〜1,000万の範囲にあると共に、分子量1,000以下の成分(乳化剤や未反応モノマーを含む)が10重量%未満である精製アクリル系ポリマーを得、これを主剤としたことを特徴とするアクリル系粘着剤の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素数8〜30の長鎖アルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを主成分としたアクリル系モノマーの重合体からなるアクリル系ポリマーを主剤としたアクリル系粘着剤およびその製造法に関する。

炭素数8〜30の長鎖アルキル基を有するアクリル系ポリマーを主剤としたアクリル系粘着剤は、長鎖アルキル基による耐湿耐水接着性や非極性面に対する接着性を期待できるものである。従来、上記アクリル系ポリマーの生成には、アルキル基が2−エチルヘキシル、イソオクチル、イソノニルなどの炭素数が10以下であるアクリル系モノマーの溶液重合や紫外線などの活性エネルギー線による重合が多用されている。

しかし、溶液重合や紫外線などの活性エネルギー線による重合で炭素数8〜30の長鎖アルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを主成分としたアクリル系モノマーを重合しても、重合速度が遅いことや重合ポリマーの重合度が上がらず、ポリマー分子量が低く粘着特性に劣ったり、また残存モノマーが多量に残ったりするなど低生産性や低特性、臭気といった問題を有している。残存モノマーや低分子量分を重合法で減らす方法として、酢酸ビニルモノマーの重合性を応用した方法が提案されているが、重合率や重合速度や分子量を上げることなどにいまだ不完全である。

溶液重合や紫外線などの活性エネルギー線による重合に代えて、水系溶媒中で乳化剤と水溶性ラジカル重合開始剤を用いて水分散重合させる、いわゆるエマルジョン重合を採用すると、前記のアクリル系モノマーであっても重合速度が速くなり、重合度も上がることが知られており、この方法で得られる水分散型重合体を粘着剤として塗工することにより粘着シートを製造することができる。上記の方法としては、例えば、特許文献1に特定の乳化剤を使用する方法が提案されている。
特開平5−170805号公報
しかしながら、このようなエマルジョン重合によると、溶液重合や活性エネルギー線による重合に比べて、重合速度や重合度の向上をはかることができるが、乳化剤が混入することにより、また未反応モノマーを含む低分子量成分が残存することもあるため、耐水耐湿性や接着性に劣ったり、臭気が残るという問題があった。

本発明は、このような事情に照らし、炭素数8〜30の長鎖アルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを主成分としたアクリル系モノマーの水分散型重合体を用いて、耐水耐湿性や接着性に優れ、また臭気の問題のない実用価値の高いアクリル系粘着剤を得ることを課題としている。

本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、炭素数8〜30の長鎖アルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを主成分としたアクリル系モノマーからエマルジョン重合により高重合度の水分散型重合体を得たのち、塩析や凍結/融解などの精製処理を施して乳化剤や未反応モノマーを含む低分子量成分を低減することにより、耐水耐湿性や接着性に優れ、また臭気の問題のない実用価値の高いアクリル系粘着剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち、本発明は、炭素数8〜30のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル(A)/共重合可能な他のビニル系モノマー(B)が重量比で100/0〜10/90であるアクリル系モノマーの水分散型重合体として、重量平均分子量が100万〜1,000万の範囲にあると共に、分子量1,000以下の成分(乳化剤や未反応モノマーを含む)が10重量%未満である精製アクリル系ポリマーを主剤としたことを特徴とするアクリル系粘着剤に係るものである。特に、本発明は、精製アクリル系ポリマーのガラス転移温度が0℃以下である上記構成のアクリル系粘着剤に係るものであり、また炭素数8〜30のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル(A)がアクリル酸イソステアリルであり、共重合可能な他のビニル系モノマー(B)がアクリル酸ブチルおよび/またはアクリロニトリルである上記構成のアクリル系粘着剤に係るものである。

さらに、本発明は、炭素数8〜30のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル(A)/共重合可能な他のビニル系モノマー(B)が重量比で100/0〜10/90であるアクリル系モノマーを水系溶媒中で乳化剤と水溶性ラジカル重合開始剤を用いて水分散重合して水分散型重合体を得たのち、これに含まれる低分子量成分を低減する精製処理を施して、重量平均分子量が100万〜1,000万の範囲にあると共に、分子量1,000以下の成分(乳化剤や未反応モノマーを含む)が10重量%未満である精製アクリル系ポリマーを得、これを主剤としたことを特徴とするアクリル系粘着剤の製造方法に係るものである。特に、本発明は、低分子量成分を低減する精製処理が、塩析または凍結/融解を含む処理である上記構成のアクリル系粘着剤の製造方法に係るものである。

また、本発明は、上記の方法により精製アクリル系ポリマーを得、これを可溶性の有機溶剤に溶解してアクリル系粘着剤溶液とし、この溶液を基材上に流延し乾燥して粘着剤層を形成することを特徴とする粘着シートの製造法に係るものである。

このように、本発明のアクリル系粘着剤は、精製アクリル系ポリマーが長鎖アルキル基を有すると共に、高分子量でしかも残存モノマーや乳化剤などの低分子量成分が少ないことから、ポリオレフィンやゴム系などの被着体に対しても接着性に優れ、また耐湿耐水性(耐湿耐水接着性)にもすぐれており、さらに皮膚に対しても低極性のため肌に害を与えることが少なく、しかも臭気が少ないため、使用者への健康への害も少ないという種々の効果を発揮するものである。また、本発明の製造方法によると、簡単な操作により、上記実用価値の高いアクリル系粘着剤を製造することができる。

本発明に用いられるアクリル系モノマーは、炭素数8〜30のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル(A)およびこれと共重合可能な他のビニル系モノマー(B)であり、上記(A)/(B)の重量比は100/0〜10/90であり、好ましくは100/0〜50/50である。また、このようなアクリル系モノマーは、これより得られる重合体のガラス転移温度が0℃以下となるものが望ましい。

なお、上記(A)が10/90より少ないと、特に50/50より少ないと、従来の溶液重合や活性エネルギー線による重合などでも、重合速度や重合度などの面での問題が少なくなるため、本発明の実用価値が低くなる。

上記の(メタ)アクリル酸エステル(A)は、炭素数8〜30、好ましくは8〜20の長鎖アルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステルである。具体的には、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸分岐ラウリル、(メタ)アクリル酸分岐トリデシル、(メタ)アクリル酸分岐ミリスチル、(メタ)アクリル酸分岐ペンタデシル、(メタ)アクリル酸分岐セチル、(メタ)アクリル酸分岐へプタデシル、(メタ)アクリル酸分岐ステアリル、(メタ)アクリル酸分岐オレイルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特にアクリル酸イソステアリルが非揮発性や接着性の点より好ましい。

上記の共重合可能な他のビニル系モノマー(B)は、上記の(メタ)アクリル酸エステル(A)と共重合可能なものであればよく、特に接着性の向上や塗工後に臭気を残さない塗工時に易揮発性のビニル系モノマー、または塗工後に残存しても接着性の低下や臭気を残さないようなビニル系モノマーが好ましい。

具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの炭素数が8未満であるアルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、Nビニルピロリドン、スチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキル基がエチル、プロピル、ブチル、ヘキシルなどの水酸基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマー、マレイミドなどが挙げられる。これらは、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特にアクリル酸ブチルおよび/またはアクリロニトリルが接着性や易揮発性の点より好ましい。

本発明においては、上記のアクリル系モノマーを水系溶媒中で乳化剤と水溶性ラジカル重合開始剤を用いて水分散重合することにより、水分散型重合体を得る。

水分散重合は、水系溶媒中で通常の乳化重合方式で行えばよく、水系溶媒には保護コロイドとして、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを、アクリル系モノマー100重量部に対して10重量部以下の割合で用いてもよい。

水分散重合において、アクリル系モノマーの使用量は、重合系全体の重量の通常20〜70重量%であり、好ましくは30〜60重量%である。

本発明に用いられる乳化剤には、重合時には凝集などがなく安定に重合でき、重合後には塩析や凍結などの精製処理によりポリマー分を容易に分離できるものが好ましく、特に凝集ポリマーが粒子集合体状のフロック状に得られるものでは、後の工程でポリマー中に含まれる乳化剤や水分の除去操作が容易となり、好ましい。

このような乳化剤には、アルケニル琥珀酸塩、リン酸エステル塩、硫酸エステル塩、カルボン酸塩などがあり、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルケニル琥珀酸ジカリウム(花王ラテムルASK)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩(第一工業製薬社製のプライサーフA210)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(第一工業製薬社製のネオハイテノールECL−30S)などの塩析用界面活性剤が挙げられる。また、これら以外の乳化剤として、非イオン性界面活性剤や陰イオン性界面活性剤などの1種以上を同時に使用することも可能である。

乳化剤の使用量としては、アクリル系モノマー100重量部あたり、通常0.1〜10重量部とするのが望ましい。

本発明に用いられる水溶性ラジカル重合開始剤には、乳化重合用として知られているものをいずれも使用できる。具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性無機過酸化物、過酸化水素水やヒドロキシブチルパーオキサイドなどの水溶性有機過酸化物、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩、アゾビスシアノバレリン酸などの水溶性アゾ化合物などが挙げられる。

また、上記の水溶性無機過酸化物や水溶性有機過酸化物と還元性物質、例えば亜硫酸ナトリウム、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノ安息香酸、Lアスコルビン酸などを組み合わせたレドックス開始剤も使用できる。

このような水溶性ラジカル重合開始剤の使用量としては、アクリル系モノマー100重量部あたり、通常0.01〜1.0重量部である。

水分散重合にあたり、重合体の分子量を調整するため、連鎖移動剤が適宜用いられる。特に重合後にアクリル系ポリマーを取り出して有機溶剤に再溶解するためには、ポリマーの3次元化を防ぐため、連鎖移動剤を使用するのが好ましい。

このような連鎖移動剤としては、チオグリコール、チオグリコール酸、プチルメルカプタン、(n−および/またはt−)ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物が用いられる。また、四塩化炭素、トルエン、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルケトンなどの連鎖移動性の有機溶剤をアクリル系モノマーに溶解して用いられる。

これらの中でも、一般には、メルカプタン系連鎖移動剤を使用するのが好ましい。このメルカプタン系連鎖移動剤の使用量としては、その種類や重合条件などにもよるが、アクリル系モノマー100重量部あたり、通常1.0重量部以下、特に好ましくは0.001〜0.1重量部とするのがよい。

水分散重合は、アクリル系モノマー、水、乳化剤、水溶性ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤などを一括に仕込んで重合する一括仕込み重合方法や、アクリル系モノマーやアクリル系モノマーの乳化液さらには水溶性ラジカル重合開始剤液を滴下しつつ重合する滴下重合方法など、適宜な方法で行えばよい。

重合温度は、アクリル系モノマーの重合性と水溶性ラジカル重合開始剤の分解温度および時間により決められるが、通常の重合温度は30〜90℃、好ましくは40〜80℃である。また、重合時間は、通常3〜12時間である。

本発明においては、このようにして水分散型重合体を得たのち、これに含まれる低分子量成分を低減する精製処理を施して、重合度が高くてかつ低分子量成分(乳化剤や未反応モノマーを含む)の少ない精製アクリル系ポリマーを得る。

上記の精製処理は、重合後の水分散液(重合ラテックス液ないしエマルジョン液)から重合ポリマーを凝集させて取り出す方法により実施できる。具体的には、塩析または凍結/融解を含む処理などが用いられる。

塩析には、塩析剤として硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸、塩酸などが用いられる。また、凍結/融解には、例えば−5℃以下、好ましくは−20℃以下で凍結させたのちに融解し水分離する方法が用いられる。後者の方法は添加剤の必要がなく、より好ましい。

このように取り出した重合ポリマーを、水洗、脱水、乾燥することにより、目的とする精製アクリル系ポリマーが得られる。また必要により、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸メチルなどの吸水性の有機溶剤を使用して、精製や再沈操作を繰り返すことにより、残存モノマーや乳化剤(界面活性剤)さらには分子量が1,000以下の低分子量のポリマー成分をより一層除去することができる。

このようにして得られる精製アクリル系ポリマーは、水分散重合の特徴が生かされた高重合度の重合体として、重量平均分子量が100万〜1,000万の範囲にあると共に、分子量1,000以下の成分(乳化剤や未反応モノマーを含む)が10重量%未満、特に好ましくは7重量%以下であることを特徴としている。

このため、この精製アクリル系ポリマーを主剤としたアクリル系粘着剤は、上記ポリマーが長鎖アルキル基を有することと相まって、ポリオレフィンやゴム系などの被着体に対しても接着性に優れ、また耐湿耐水性(耐湿耐水接着性)にもすぐれ、さらに皮膚に対しても低極性のため肌に害を与えることが少なく、しかも臭気が少ないため、使用者への健康への害も少ないという種々の効果を発揮する。さらに上記のように簡単な操作により、上記実用価値の高いアクリル系粘着剤を得ることができる。

本発明のアクリル系粘着剤を用いてシート状やテープ状などの粘着シートを得るには、上記の精製アクリル系ポリマーを得たのち、これをそのまま加熱押し出機により基材上に薄層に押し出す方式を採用することができる。

また、より好ましくは、精製アクリル系ポリマーをトルエンやヘプタンなどの可溶性の有機溶剤に溶解してアクリル系粘着剤溶液とし、この溶液を基材上に流延し乾燥して粘着剤層を形成することにより、粘着シートを得ることができる。

ここで、基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなど各種プラスチックのフィルムのほか、紙などの多孔質基材や金属箔など公知のものを広く使用できる。また、剥離性基材として、剥離処理した(または剥離処理しない)上記同様のプラスチックフィルムなどを使用できる。

つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。

実施例1
攪拌装置付きの300mlのフラスコに、水50gにアルケニル琥珀酸ジカリウム(花王ラテムルASK)1.5gを溶解し、これにアクリル酸イソステアリル50g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.25g、ラウリルメルカプタン0.005gを乳化させたモノマー乳化液を仕込み、窒素置換しつつ十分に攪拌した。

その後、水溶性ラジカル重合開始剤(和光純薬社製のVA061)0.01gにメタノール0.5gおよび水1.0gを加えて溶かした重合開始剤液を添加し、50〜55℃で8時間、さらに60〜65℃で2時間保つことにより、水分散重合を行い、水分散液(水分散型重合体を含むエマルジョン液)を得た。

つぎに、この水分散液をステンレス製バット内に深さ5mmの状態として入れ、これを−30℃の冷凍庫に1 昼夜おいたのちに取り出し、室温に戻すことにより、多孔質状のポリマーを得た。これを流水中に3日間浸漬し適宜手でモミ洗いし、その後、凍結乾燥機にて減圧乾燥することにより、精製アクリル系ポリマーを得た。

この精製アクリル系ポリマーをトルエンに溶解して15重量%濃度のポリマー溶液とした。これにポリマー100部あたりポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製のコロネートHL)2部を加えて、アクリル系粘着剤溶液を調製した。

このアクリル系粘着剤溶液を厚さが25μmのコロナ処理したポリエステルフィルム上に塗布し、80℃で2分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成し、その後40℃で7日間キュアーして、特性評価用の粘着シートを作製した。

実施例2
ラウリルメルカプタンの量を0.0015gに変更した以外は、実施例1と同様にして水分散液を得、これより実施例1と同様にして精製アクリル系ポリマーを得た。また、これを用いて実施例1と同様にして粘着シートを作製した。

実施例3
ラウリルメルカプタンの量を0.015gに変更した以外は、実施例1と同様にして水分散液を得、これより実施例1と同様にして精製アクリル系ポリマーを得た。また、これを用いて実施例1と同様にして粘着シートを作製した。

実施例4
アクリル酸イソステアリル45g、メタクリル酸0.25g、アクリロニトリル5g、ラウリルメルカプタン0.005gを乳化させたモノマー乳化液を用いた以外は、実施例1と同様にして水分散液を得、これより実施例1と同様にして精製アクリル系ポリマーを得た。また、これを用いて実施例1と同様にして粘着シートを作製した。

実施例5
アクリル酸イソステアリル25g、アクリル酸ブチル25g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.15g、ラウリルメルカプタン0.005gを乳化させたモノマー乳化液を用いた以外は、実施例1と同様にして水分散液を得、これより実施例1と同様にして精製アクリル系ポリマーを得た。また、これを用いて実施例1と同様にして粘着シートを作製した。

実施例6
実施例1で得た精製アクリル系ポリマーをさらに酢酸メチル中に3 日間浸漬し、取り出したのちに凍結乾燥機で溶剤を除去して、精製アクリル系ポリマーを得た。また、これを用いて実施例1と同様にして粘着シートを作製した。

実施例7
アクリル酸イソノニル50g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.15g、ラウリルメルカプタン0.005gを乳化させたモノマー乳化液を用いた以外は、実施例1と同様にして水分散液を得た。

つぎに、この水分散液を撹拌しつつ塩酸を加えてpH1〜2の状態に保ち、凝集ポリマーを取り出した。これを流水中に3日間浸漬し適宜手でモミ洗いし、その後、凍結乾燥機にて減圧乾燥することにより、精製アクリル系ポリマーを得た。また、これを用いて実施例1と同様にして粘着シートを作製した。

実施例8
アルケニル琥珀酸ジカリウムの代わりに、前出のネオハイテノールECL−30S(30%液)5gを使用して、メタクリル酸ドデシル45g、メタクリル酸5g、ラウリルメルカプタン0.005gを乳化させたモノマー乳化液を用いた以外は、実施例1と同様にして水分散液を得、これより実施例1と同様にして精製アクリル系ポリマーを得た。また、これを用いて実施例1と同様にして粘着シートを作製した。

比較例1
実施例1で得た精製処理前の水分散液に、実施例1と同様のポリイソシアネート化合物を同量(2倍量のトルエンで希釈して)加えて、アクリル系粘着剤を調製した。また、これを用いて実施例1と同様にして粘着シートを作製した。

比較例2
攪拌装置付きの300mlのフラスコに、アクリル酸イソステアリル80g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.24gおよびn−ヘプタン20gからなるモノマー液を仕込み、窒素置換しつつ十分に撹拌した。

その後、ラジカル重合開始剤として有機過酸化物(ラウリルパーオキサイド)0.08gを添加し、60〜65℃で8時間、さらに70〜75℃で2時間保つことにより、溶液重合を行い、アクリル系ポリマー溶液を得た。

つぎに、このアクリル系ポリマー溶液に、実施例1と同様のポリイソシアネート化合物を同量加えて、アクリル系粘着剤溶液を調製した。また、これを用いて実施例1と同様にして粘着シートを作製した。

比較例3
実施例7で得た精製処理前の水分散液に、実施例1と同様のポリイソシアネート化合物を同量(2倍量のトルエンで希釈して)加えて、アクリル系粘着剤を調製した。また、これを用いて実施例1と同様にして粘着シートを作製した。

上記の実施例1〜8および比較例1〜3の各粘着シートについて、下記の方法により、接着性、耐水性および臭気の測定を行った。これらの結果は、表1に示されるとおりであった。なお、表1には、参考のため、実施例1〜8で得た精製アクリル系ポリマー、比較例1,3の精製前のアクリル系ポリマー(水分散型重合体)、比較例2の溶液重合後のアクリル系ポリマーにつき、ガラス転移温度、重量平均分子量および分子量1,000以下の低分子量成分の量を、下記の方法で測定した結果を併記した。

<ガラス転移温度の測定>
示差熱分析曲線の変曲点の始点をもって、測定ポリマーのガラス転移温度とした。測定条件は、昇温速度10℃/分とした。

<重量平均分子量Mwの測定>
測定ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)溶液とし、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、ポリマーの重量平均分子量Mwを測定した。

<分子量1,000以下の低分子量成分の測定>
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、測定ポリマーの分子量が1,000以下の面積からその含量(重量%)を測定した。

<接着性の測定>
粘着シートを幅10mmに切り、これを厚さが2mmのポリプロピレン板に貼り合わせたのち23℃下に60分間放置した。その後に、この粘着シートを剥離したときに、抵抗があるものを○、若干抵抗があるものを△、ほとんど抵抗がないものを×、と評価した。

<耐水性の測定>
粘着シートを幅10mmに切り、これを厚さが2mmのポリプロピレン板に貼り合わせたのち23℃下に60分間放置し、さらに23℃の水中に5日間浸漬した。その後、この濡れた状態の粘着シートを剥離したときに、抵抗があるものを○、抵抗が少ないが付着しているものを△、剥がれているものを×、と評価した。

<臭気の測定>
粘着シートをアルミフオイルに包んで、室温で3日間放置した。その後に、開封して、臭気を嗅いだときに、臭気を感じなかったものを○、わずかに感じたものを△、刺激臭を感じたものを×、と評価した。
















Figure 2008195880
上記の表1から明らかなように、本発明の実施例1〜8の各粘着シートは、いずれも、高重合度でかつ低分子量成分の少ない精製アクリル系ポリマーを粘着剤の主剤としていることにより、接着性、耐水性、臭気のいずれの特性をも満足している。

これに対し、精製処理前の水分散型重合体をそのまま粘着剤の主剤とした比較例1,2の粘着シートは、接着性、耐水性、臭気のいずれかの特性に劣っており、また溶液重合で得たアクリル系ポリマーを粘着剤の主剤とした比較例2の粘着シートは、やはり、接着性に劣っていることがわかる。


Claims (6)

  1. 炭素数8〜30のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル(A)/共重合可能な他のビニル系モノマー(B)が重量比で100/0〜10/90であるアクリル系モノマーの水分散型重合体として、重量平均分子量が100万〜1,000万の範囲にあると共に、分子量1,000以下の成分(乳化剤や未反応モノマーを含む)が10重量%未満である精製アクリル系ポリマーを主剤としたことを特徴とするアクリル系粘着剤。

  2. 精製アクリル系ポリマーのガラス転移温度が0℃以下である請求項1に記載のアクリル系粘着剤。

  3. 炭素数8〜30のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル(A)がアクリル酸イソステアリルであり、共重合可能な他のビニル系モノマー(B)がアクリル酸ブチルおよび/またはアクリロニトリルである請求項1または2に記載のアクリル系粘着剤。

  4. 炭素数8〜30のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル(A)/共重合可能な他のビニル系モノマー(B)が重量比で100/0〜10/90であるアクリル系モノマーを水系溶媒中で乳化剤と水溶性ラジカル重合開始剤を用いて水分散重合して水分散型重合体を得たのち、これに含まれる低分子量成分を低減する精製処理を施して、重量平均分子量が100万〜1,000万の範囲にあると共に、分子量1,000以下の成分(乳化剤や未反応モノマーを含む)が10重量%未満である精製アクリル系ポリマーを得、これを主剤としたことを特徴とするアクリル系粘着剤の製造方法。

  5. 低分子量成分を低減する精製処理が、塩析または凍結/融解を含む処理である請求項4に記載のアクリル系粘着剤の製造方法。

  6. 請求項4または5の方法により精製アクリル系ポリマーを得、これを可溶性の有機溶剤に溶解してアクリル系粘着剤溶液とし、この溶液を基材上に流延し乾燥して粘着剤層を形成することを特徴とする粘着シートの製造法。



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