JP2008175888A - 電子写真用シート及び電子写真用粘着シート - Google Patents

電子写真用シート及び電子写真用粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】カールの発生やレーザープリンターや複写機での通紙時にジャミングがなく、トナーの転写・定着プロセスにおいて、トナーの定着性に優れた電子写真用シート及び電子写真用粘着シートを提供する。
【解決手段】基材シートの表面に、スチレン系共重合体エマルション(A)及び、(メタ)アクリル酸ブチル系モノマーと(メタ)アクリル酸モノマーとの共重合体エマルション(B)を主成分とする処理液を塗布又は含浸させてなるトナー定着面が形成されている電子写真用シート。該電子写真用シートの裏面に粘着剤層が積層されている電子写真用粘着シート及び該粘着シート本体の粘着剤層側に剥離シートが積層されている電子写真用粘着シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、トナーの定着性に優れた電子写真用シートに関し、さらに、カールの発生やレーザープリンターや複写機での通紙時にジャミングがなく、トナーの転写・定着プロセスにおけるトナーの定着性に優れた電子写真用シート及び電子写真用粘着シートに関するものである。
粘着シートは、商業用、事務用、家庭用等非常に広範囲な用途にラベル、ステッカー、配送伝票等として使用されている。そして近年、電子写真方式のプリンターや複写機で所望の画像や文字を印画・印字して簡便な印刷ラベルあるいは宛名ラベルとして利用される粘着シートの需要が増大している。
粘着シートは、表面基材と剥離シートとの間に粘着剤層を形成したものであり、表面基材には紙、フィルム、合成紙、金属フォイル等が用いられ、剥離シートとしてはグラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、ポリラミ原紙等にシリコーン化合物やフッ素化合物のような剥離剤を塗布、硬化したものが使用される。また、粘着剤としては、溶剤型粘着剤、エマルション型粘着剤、ホットメルト型粘着剤等が使用される。
このような粘着シートは、カールが発生し易く、例えば、複写機中でジャミングを起こす欠点があった。即ち、粘着シートの一般的な製造工程では、通常、剥離シート用基材に剥離剤を塗布・硬化し、この剥離剤層上に粘着剤を塗布・乾燥した後、表面基材と貼り合わされるため、剥離シートはこの乾燥工程において収縮しており、水分に対する反応性が極めて高くなっている。そのため、温度、湿度等の環境の変化等で偏った吸湿が起ると、直ちにカールが発生してしまう。特に、剥離シートとしてグラシン紙のような高叩解、高密度の紙を使用した場合には、乾燥時に通常の紙以上に収縮しているため、吸湿によって起る繊維の膨潤を吸収し得る空隙が極めて少なく、結果的にカールの発生がとりわけ著しいという欠点があった。粘着シートのカールは、プリンターや複写機で印画・印字する際には通紙不良や転写不良を起こす他、例えば、粘着シートに印刷、ダイカット、シートカット等の処理を施してラベル等に加工する段階でも給紙不良、紙不揃い、印刷ずれ等のトラブルを起し、作業適性及び印刷品質面において極めて重大な障害となっていた。
更に、表面基材として、例えば、上質紙を用いて粘着シートを構成すると、電子写真方式のプリンターや複写機の感光体上のトナーを表面基材に転写・定着させるプロセスにおいて、トナーが表面基材に充分定着しないという問題がある。
そのため、表面基材の表面にガラス転移温度(以下、ガラス転移温度をTgと称する)が−10〜70℃の水分散性高分子を主成分として含有する処理液を塗布又は含浸させてなり、且つ表面基材の表面のベック平滑度(JIS P8119)が80秒/10ml以上となるように調製することが提案されている(特許文献1)。また、表面基材の表面に(1)エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマー及び、(2)ホモポリマーのTgが50℃以上であるエチレン性不飽和結合含有モノマーならびに、(3)これらのモノマーと共重合可能な他のモノマー〔但し(2)及び(3)のモノマーの少なくとも一方にアクリル酸エステルモノマーを含む〕を乳化共重合してなるアクリル酸エステル共重合体のTgが0〜100℃となるように調製した処理液を塗布又は含浸し、剥離シートの裏面に水溶性可塑剤を主成分とする処理液を塗布又は含浸させることが提案されている(特許文献2)。
しかし、プリンター等の印字速度が高速化するなか、トナーの定着温度も従来より高温となっており、通紙適性やトナーの定着性に対する要求はさらに厳しくなってきている。
特開平2−245082号公報 特開平3−179071号公報
本発明の目的は、トナーの転写・定着プロセスにおけるトナーの定着性に優れており、かつ、カール発生を防止した、電子写真方式のプリンターや複写機での通紙適性に優れた電子写真用シート及び電子写真用粘着シートを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、電子写真用シートの基材シートの表面に特定のモノマーを共重合してなるスチレン系共重合体エマルションとアクリル酸エステル共重合体エマルションを主成分とする処理液を塗布又は含浸してトナーの定着性に優れたトナー定着面を形成すること、さらに、剥離シートの裏面に水溶性可塑剤と水分散性滑剤を主成分とする処理液を塗布又は含浸させることによって、電子写真方式のプリンターや複写機での通紙適性を改善して、上記のような難点を極めて効率良く解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、下記の発明を基礎とする発明である。
(1)基材シートの表面に、スチレン系共重合体エマルション(A)及び、(メタ)アクリル酸ブチル系モノマーと(メタ)アクリル酸モノマーとの共重合体エマルション(B)を主成分とする処理液を塗布又は含浸させてなるトナー定着面を有することを特徴とする電子写真用シート。
(2)前記共重合体エマルション(A)と共重合体エマルション(B)の配合比(固形分質量比)が9.5/0.5〜1/9である(1)に記載の電子写真用シート。
(3)共重合体エマルション(A)が、スチレン系モノマーとアニオン性モノマーとを乳化共重合して得られる共重合体エマルションである(1)又は(2)に記載の電子写真用シート。
(4)前記共重合体エマルション(B)に用いられている(メタ)アクリル酸ブチル系モノマーが(メタ)アクリル酸イソブチル及び/又は(メタ)アクリル酸ノルマルブチルである(1)〜(3)のいずれか1項に記載の電子写真用シート。
(5)表面基材シートの前記トナー定着面が形成されている面の表面平滑度が30〜79秒/10mlであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の電子写真用シート。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の電子写真用シートの裏面に粘着剤層が積層されていることを特徴とする電子写真用粘着シート。
(7)前記粘着シート本体の粘着剤層側表面に剥離シートが積層されていることを特徴とする(6)に記載の電子写真用粘着シート。
(8)前記剥離シートは、剥離シート用基材シートの一方の面が多価アルコール類、ポリアルキレングリコール類等の水溶性可塑剤と、水分散性滑剤とを主成分とする処理液を塗布又は含浸させてなる処理面であり、他方の面が剥離剤塗布面であることを特徴とする(6)又は(7)に記載の電子写真用粘着シート。
(9)前記剥離シート用基材シートの剥離剤塗布面側には、顔料とバインダーを主成分とする下塗り層が設けられており、該下塗り層のバインダーは、ともにスチレンをモノマー単位に含む共重合体ラテックスを主成分とするコア部とシェル部とからなるコア・シェル構造の複合体ラテックスを含有するバインダーからなることを特徴とする(6)〜(8)のいずれか1項に記載の電子写真用粘着シート。
(10)前記粘着剤層が、アクリル系高分子(X)とTgが−50℃〜50℃のビニル系重合体(Y)とからなる粘着剤を含有することを特徴とする(6)〜(9)のいずれか1項に記載の電子写真用粘着シート。
(11)前記アクリル系高分子(X)が、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)と粘着付与剤(b)からなることを特徴とする(10)記載の電子写真用粘着シート。
本発明の電子写真用シート及び電子写真用粘着シートは、カールの発生が効率的に抑制され、プリンター、複写機での通紙時のジャミングがなく、トナーの転写・定着プロセスにおけるトナー定着性に優れている。
本発明の電子写真用シートにおいて、基材シートの表面に塗布又は含浸される化合物は、特定のモノマー混合物を乳化共重合した高分子であり、スチレン系共重合体に加えて、(メタ)アクリル酸ブチル系モノマーと(メタ)アクリル酸モノマーの共重合体が合わせて使用される。このような特定の共重合体混合物からなる高分子を使用することにより、プリンターや複写機でのトナーの定着性が大幅に改善される。
上記基材シートの表面に塗布又は含浸される処理液中に用いられるスチレン系共重合体エマルション(A)は、スチレン系モノマーと、これと共重合可能なアニオン性モノマーとの乳化共重合体から構成される。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
アニオン性モノマーとしては、分子内にアニオン性官能基又はその塩を有するものであれば特に制限なく使用できる。例えば、(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、ムコン酸等のジカルボン酸又は酸無水物ならびにこれらと各種アルコールとからなるハーフエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和モノマー、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸基含有不飽和モノマー、及びこれらのモノマーのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機塩基類の塩等が挙げられる。ここで、ハーフエステルの置換基としては、炭素数が1〜18程度の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を例示でき、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。その他のエステル置換基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基、更にはベンジル基、アリル基等が挙げられる。尚、処理液の粘度、塗布又は含浸時の安定性から、上記エステル置換基の中でも炭素数1〜12程度のアルキル基が好ましい。また、アニオン性モノマーの中では、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸中和塩がスチレン系モノマーとの共重合性に優れ、しかもトナー定着性に優れるため、好ましい。
前記スチレン系共重合体エマルション(A)は、分子中にスチレン系モノマー単位を通常20〜80質量%、好ましくは40〜60質量%含有しており、かつ、分子中にアルカリ金属塩、アンモニウム塩あるいは有機アミン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の中和塩単位を有している共重合体エマルションであることが、水溶化を容易にするので好ましい実施態様である。
更に、本発明の所望の効果が得られる範囲内で、その他の重合性モノマーを使用することができる。そのような重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、炭素数6〜22のα−オレフィン、炭素数1〜22のアルキルビニルエーテル、ビニルピロリドン等のノニオン性不飽和モノマー等やアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体を挙げることができる。
前記スチレン系共重合体エマルション(A)は、各種公知の重合法によって製造することができる。具体的には、適切な加熱装置と撹拌機を備えた反応器で上記のスチレン系モノマー、アニオン性モノマー及び必要に応じて用いるその他の重合性モノマーを所定量づつ仕込み、ついでこの反応器に水及び各種公知の乳化剤を仕込み、これらモノマーを乳化させる。その後、公知の重合開始剤を加え、20〜120℃に加熱し、撹拌下に2〜12時間かけて重合させればよい。
重合開始剤としては、各種公知のものを特に制限無く使用でき、具体的には、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレイト等のアゾ系化合物等が例示できる。尚、重合開始剤がラジカル重合開始剤の場合は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤を併用して反応系をレドックス系としてもよく、また、重合に際して重合度(分子量)を調節して所望の粘度とするために、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン系連鎖移動剤、ならびに2−メルカプトベンゾチアゾール、ブロムトリクロルメタン、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を使用することもできる。その使用量は、共重合体(A)を構成する各モノマー全量に対し、通常0.01〜5質量%が好ましい。
このようにして得られたスチレン系共重合体エマルション(A)は、固形分濃度が10〜30質量%、この固形分濃度範囲における粘度が10〜5,000mPa・s(25℃)、pHが8.0〜9.5である。また、分子量については特に制限されないが、重量平均分子量で1,000〜1,000,000、好ましくは2,000〜100,000の範囲である。分子量が1,000未満の場合には充分なトナー定着性が得られないおそれがある。逆に、1,000,000を超える場合には粘度が高くなり過ぎ、塗工性が低下してしまうおそれがある。
前記基材シートの表面に塗布又は含浸される処理液中に用いられる共重合体エマルション(B)は、(メタ)アクリル酸ブチル系モノマーと(メタ)アクリル酸とを乳化共重合して形成される。
(メタ)アクリル酸ブチル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−s−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチルが挙げられ、これらは単独使用又は併用することができる。これらの(メタ)アクリル酸ブチル系モノマーの中では、(メタ)アクリル酸イソブチル及び/又はメタクリル酸−n−ブチルが優れたトナー定着性を示すため好ましい。また、(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられ、これらのモノマーを単独で使用あるいは2種以上を併用することができる。
共重合体エマルション(B)は、分子中に(メタ)アクリル酸ブチル系モノマー単位を通常20〜80質量%、好ましくは40〜70質量%含有しており、かつ、該分子中にアルカリ金属塩、アンモニウム塩あるいは有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の中和塩単位を含有させた共重合体のエマルションであると、水溶化が容易となるため好ましい。
また、本発明の所望の効果を阻害しない範囲内において、得られる共重合体エマルション(B)を形成するモノマー単位として、必要に応じて、その他の重合性モノマーを使用することもできる。かかる重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ブチル系モノマー以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、炭素数6〜22のα−オレフィン、炭素数1〜22のアルキルビニルエーテル、ビニルピロリドン等のノニオン性不飽和モノマー等、及びマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、ムコン酸等のジカルボン酸又は該無水物、及びこれらの化合物と各種アルコールとからなるハーフエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和モノマー、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸基含有不飽和モノマー、及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機塩基類の塩等のアニオン性不飽和モノマーを挙げることができる。
共重合体エマルション(B)は、上記共重合体エマルション(A)と同様、各種公知の重合法で製造することができる。具体的には、適切な加熱装置と撹拌機を備えた反応器に、(メタ)アクリル酸ブチル系モノマー、(メタ)アクリル酸及び必要に応じて用いる重合性モノマーを所定量づつ仕込み、ついで該反応器に水、各種公知の乳化剤を仕込み、これらモノマーを乳化させ、更に公知の重合開始剤を加え、20〜120℃に加熱し、撹拌下に2〜12時間かけて重合させればよい。また、重合開始剤、連鎖移動剤としては前記したものと同様のものを使用することができる。
このようにして得られる共重合体エマルション(B)は、固形分が10〜30質量%、また該固形分濃度範囲における粘度が10〜5,000mPa・s(25℃)、pHが8.0〜9.5である。また、分子量については特に制限されないが、重量平均分子量で1,000〜1,000,000、好ましくは2,000〜100,000である。該分子量が1,000未満であると充分なトナー定着性が得られないおそれがある。一方、1,000,000を超える場合には粘度が高くなり過ぎ、塗工適性が低下してしまうおそれがある。
上記基材シートの表面に塗布又は含浸される処理液は、共重合体エマルション(A)と共重合体エマルション(B)を混合して使用することに特徴がある。該混合物は、共重合体エマルション(A)に共重合体エマルション(B)を単に混合したものだけではなく、共重合体エマルション(A)を製造した後に、同じ系で連続して共重合体エマルション(B)を製造した混合体であってもよい。あるいは、共重合体エマルション(B)を製造した後に、同じ系で連続して共重合体エマルション(A)を製造したものであってもよい。尚、連続製造の方法は特に制限されず、公知の方法で行えばよい。このようにして得られる混合物の固形分濃度は15〜30質量%である。
共重合体エマルション(A)と共重合体エマルション(B)の配合割合(固形分)は特に限定されないが、好ましくは、(A)/(B)=9.5/0.5〜1/9、特に好ましくは1/1〜1/3である。このような配合割合とすることにより、より高いトナー定着性が得られる。
上記特定のエマルションを主成分とする処理液は、塗布、乾燥工程での安全性等の点で水系処理液として調製することが望ましい。該処理液には、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、デキストリン、酸化澱粉、架橋澱粉、エステル化澱粉、グラフト共重合澱粉等の澱粉誘導体等の各種の水溶性天然高分子類、ポリビニルアルコールをはじめとする合成高分子類、消泡剤、浸透剤、濡れ剤、レベリング剤、滑剤、硬化剤、増粘剤、皮膜形成助剤、帯電防止剤等を適宜添加することができる。
このようにして調製された処理液を基材シートに塗布又は含浸させるものであるが、その方法については特に制限がなく、例えば、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、グラビアコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター等の各種装置が適宜使用されるが、オフマシンコーターに限られず、抄紙機上に設置したサイズプレスコーター、ゲートロールコーター等のオンマシンコーターで塗布してもよい。
基材シートへの塗布量又は含浸量は、乾燥質量で0.05〜10.0g/m程度の範囲で調節するのが好ましく、特に0.1〜5.0g/m程度がより好ましい。
上記のように製造された電子写真用シートの表面平滑度は30〜70秒/10ml程度である。特許文献1〜2に記載された技術にて製造された表面基材の表面の平滑度は80秒/10ml以上と比較的高いものであるが、本発明では電子写真用シートの基材シートに対する処理液の主成分となる樹脂を特定の(メタ)アクリル酸ブチル系モノマーを共重合して製造しており、比較的平滑度が低くても良好なトナー定着性が達成されるのではないかと推定される。
本発明の電子写真用粘着シートにおいて、電子写真用シートの基材シート及び剥離シート用基材シートとしては、通常、坪量30〜300g/m程度の各種シート類が使用される。例えば、表面基材シートとしては、特に限定されないが、紙、合成紙、フィルム、金属フォイル等が用いられる。また、剥離シート用基材シートとしても坪量30〜300g/m程度の上質紙等の各種繊維シート類が使用される。尚、該剥離シート用基材には剥離剤の浸透を防止する目的で、下塗り層を形成するのが望ましい。
下塗り層の種類は特に限定されないが、ポリビニルアルコール、澱粉、ポリエチレン、顔料コート層等が適宜選択される。なかでも、顔料とバインダーを主成分とし、該バインダーがコア・シェル構造を有するスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを含有するものが好ましい。
顔料としては、その種類、配合量については特に限定はなく、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、雲母等の無機顔料を適宜選択して用いることができる。顔料は最密充填される場合、一般に、板状顔料の空隙率は、球状顔料に比べて低く、緻密な塗工層が形成される。このことから、上記顔料の中でも、特に板状顔料を用いることが好ましく、中でもカオリンが好ましい。バリヤー剤層中における顔料の配合量は、バインダー100質量部に対して50〜150質量部が好ましく、80〜120質量部がより好ましい。
バインダーとしては、コア・シェル構造を有するスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを少なくとも含有する。該ラテックスでは、コア部とシェル部の主成分が、共にスチレンをモノマー単位に含む共重合体ラテックスである。但し、コア部の主成分となる共重合体ラテックス(以下「コア部主成分」という。)とシェル部の主成分となる共重合体ラテックス(以下「シェル部主成分」という。)の組成は同じではない。コア部主成分は、スチレン以外のモノマー単位としてブタジエンを含むことが好ましい。ブタジエンをモノマー単位として含むことにより、接着性に優れたラテックスとすることができる。
コア部主成分におけるブタジエンの共重合比は、スチレンに対して30〜170質量%であることが好ましく、60〜140質量%であることがより好ましい。ブタジエンの共重合比が小さ過ぎると、ブタジエン単位含有による接着性向上の効果が充分に得難く、大き過ぎるとリサイクル適性が悪化するおそれがある。コア部主成分におけるスチレンとブタジエン以外のモノマー単位としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ステアリン酸等が挙げられる。コア部主成分におけるスチレンとブタジエン以外のモノマー単位の共重合比は、スチレンに対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。コア部におけるコア部主成分の割合は、80質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。コア部主成分以外のコア部の成分としては、例えば、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等が挙げられる。コア部のTgは、−50〜−5℃が好ましく、−30〜−3℃がより好ましい。コア部のTgを−50℃以上とすることにより、良好なバリヤー性を得ることができる。また、−5℃以下とすることにより、接着性向上の効果を得ることができる。
シェル部主成分は、スチレン以外のモノマー単位としてアクリル酸を含むことが好ましい。アクリル酸をモノマー単位として含むことにより、耐ブロッキング性とリサイクル適性に優れたラテックスとすることができる。シェル部主成分におけるアクリル酸の共重合比は、スチレンに対して20〜100質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。アクリル酸の共重合比が小さ過ぎるとアクリル酸単位含有による耐ブロッキング性とリサイクル適性の向上の効果が充分に得難く、大き過ぎると接着性が高くなり過ぎるおそれがある。
シェル部主成分におけるスチレンとアクリル酸以外のモノマー単位としては、例えば、メタクリル酸、オレイン酸等が挙げられる。シェル部主成分におけるスチレンとアクリル酸以外のモノマー単位の共重合比は、スチレンに対して20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。シェル部におけるシェル部主成分の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。シェル部主成分以外のシェル部の成分としては、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。シェル部のTgは、−5〜30℃が好ましく、5〜25℃がより好ましい。シェル部のTgを−5℃より高くすることにより、良好なバリヤー性を得ることができる。また、30℃以下とすることにより、バリヤー剤層のベタツキが軽減し、特に剥離紙用基材シートの巻取り製品での耐ブロッキング性を向上することができる。
コア部及びシェル部を合せたラテックス全体のトルエンに対するゲル分率は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。ゲル分率が90質量%以上であることより、バリヤー剤層のベタツキが軽減し、耐ブロッキング性、リサイクル適性が良好なものとなる。ここで、「ゲル分率」とは、トルエン(抽出処理溶剤)に対するゲル含量(質量%)をいい、ラテックス樹脂(固形物)をトルエンで抽出処理した際の樹脂(固形物)全量に対するトルエン不溶分の割合を意味する。
また、コア部及びシェル部の質量比(コア部/シェル部)は、4/96〜20/80が好ましく、7/93〜15/85がより好ましい。コア部及びシェル部の質量比が上記範囲であることにより、接着性、耐ブロッキング性、リサイクル適性のいずれもが良好なものとなる。更に、本発明に用いる共重合体ラテックスの粒子径としては、特に限定されるものではないが、良好な接着強度が得られることから、100〜400nmのものを用いることが好ましい。
下塗り層には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記のコア・シェル型スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス以外のバインダーを適宜併用することができる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ワックス等の疎水性樹脂エマルション、ポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、セルロース誘導体、カゼイン等が挙げられる。全バインダー中に占める上記コア・シェル型スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスの割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。本発明のバリヤー剤層には、顔料とバインダー以外に必要に応じて、分散剤、耐水化剤、滑剤、消泡剤、防腐剤、着色剤等を適宜添加することができる。
上記剥離シート用の基材シートは、基紙に直接剥離剤を含む塗液を塗工するか、又は基紙の少なくとも一方の面に、下塗り層塗液を塗布、乾燥して下塗り層を形成した後剥離剤を含む塗液を塗工ことによって製造することができる。下塗り層塗液の塗布設備としては、特に限定はなく、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター等から適宜選択することができる。
下塗り層塗液の塗布量は、特に制限はないが、品質や価格等を考慮すると、絶乾質量(固形分)で1〜10g/mとすることが好ましい。尚、下塗り層形成のために、2回以上の塗布操作により多層塗布してもよい。また、塗布後、必要に応じてスーパーカレンダー等の仕上処理を施してもよい。該仕上処理を施すことにより、下塗り層表面の平滑性を高めることができる。その結果、剥離剤塗液(シリコーン等)を均一に塗布することができる。
本発明の電子写真用粘着シートにおいて使用する剥離シートは、上記のような剥離シート用基材シートの基紙に直接剥離剤層を設けたもの、又は下塗り層表面に剥離剤層を設けたものである。剥離剤層は、剥離シート用基材シートの下塗り層表面に、剥離剤塗液を塗布し、硬化させて形成する。剥離剤は、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、長鎖アルキル系樹脂等が用いられ、中でもシリコーン系樹脂が好ましく用いられる。
シリコーン系樹脂としては、トルエンやヘキサン等の有機溶剤に希釈した溶剤希釈型シリコーン、有効固形分が100質量%の無溶剤型シリコーン等が用いられる。中でも、環境保護の観点から、無溶剤型シリコーンが好ましく用いられる。無溶剤型シリコーンとしては、熱硬化型シリコーン化合物、電子線硬化型シリコーン化合物、紫外線硬化型シリコーン化合物等が挙げられる。これら無溶剤型シリコーンの塗布方法としては、特に限定するものではないが、一般に、多段式ロールコーター、グラビアコーター等が使用される。この場合の塗布量は0.05〜3.00g/m程度、好ましくは0.2〜1.5g/m程度の範囲で適宜調節される。尚、塗布量が0.05g/m未満では剥離剤層としての作用効果に乏しく、また、3.00g/mを超えると、経済的な面から必要性に乏しい。
本発明の電子写真用粘着シートは、剥離シート裏面に水溶性可塑剤と水分散性滑剤を主成分とした処理液を塗布又は含浸することにより、特にカールの発生が効果的に抑制され、プリンターや複写機での通紙時のジャミングが極めて効率良く改善され、またトナー定着性の改善のために表面基材へ特定の高分子層を設けたことと相まって、総合的な電子写真方式による印画・印字適性や通紙適性が極めて良好なものとなる。
本発明において、剥離シート裏面に用いられる処理液中の水溶性可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリトリット、ソルビット、ソルビタン、蔗糖等の多価アルコール類、各種重合度のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類等が挙げられる。中でもグリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールはカール矯正効果に優れるためより好ましく用いられる。なお、上記水溶性可塑剤は必要に応じて2種以上の化合物を併用してもよい。
剥離シート裏面に塗布又は含浸する処理液中の水分散性滑剤としては、各種パラフィンワックス、ステアリン酸等の脂肪酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ビスアミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウム等の脂肪酸塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレン−プロピレン共重合体ワックス等を挙げることができる。特に、滑剤を特定の平均粒子径、融点の範囲にあるポリオレフィン系ワックスとすることにより極めて効果的にプリンターや複写機での通紙適性を付与できることが判明した。
上記ポリオレフィン系ワックスとしては、エチレン、プロピレン又はエチレンとプロピレンの混合物をラジカル重合触媒により高温高圧下で重合したポリオレフィン系ワックスあるいはチーグラー触媒により低圧で重合したポリオレフィン系ワックス等いずれも使用できる。また、ポリオレフィン系ワックスの変性物としては、該ポリオレフィン系ワックスを空気、酸素、オゾン又はその他の各種酸化剤を用いて部分酸化あるいは酸化分解された化合物又はエチレン、プロピレンあるいはその混合物とエチレン性不飽和カルボン酸との共重合体が挙げられる。エチレン、プロピレンあるいはその混合物とエチレン性不飽和カルボン酸との共重合体を構成するエチレン性不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性モノカルボン酸又はジカルボン酸が挙げられる。また、エチレン性不飽和カルボン酸として加水分解によりカルボキシル基に誘導可能な官能基を有する不飽和モノマー、例えば、酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等)、ニトリル基含有不飽和モノマー((メタ)アクリロニトリル)等を重合し、加水分解したものを使用することもできる。
これらのうち、好ましくは、ポリオレフィン系ワックス及びその部分酸化物あるいは酸化分解物及びエチレン、プロピレンあるいはその混合物と(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸との共重合体である。更に好ましくは、ポリオレフィン系ワックス及びその部分酸化物あるいは酸化分解物及びエチレン、プロピレンあるいはその混合物と(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸との共重合体である。特に好ましくは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及びそれらの部分酸化物あるいは酸化分解物及びエチレン、プロピレンと(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸との共重合体である。
ポリオレフィン系ワックスの変性物の塩又は部分塩としては、アンモニア、アルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミン、トリエチルアミン等)、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)等のアミン化合物、周期律表第1族金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)及び周期律表第2族金属(マグネシウム、カルシウム、亜鉛等)等の塩が挙げられる。これらの塩のうち好ましいものは、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛の塩である。
剥離シート裏面に塗布又は含浸する処理液中の水分散性滑剤の平均粒子径は、5〜100μm、好ましくは10〜50μm、更に好ましくは15〜30μmの範囲にある。平均粒子径が5μmより小さいと充分な通紙適性を付与することができず、100μmより大きいと剥離シート裏面及び表面基材表面の平滑性の低下や塗布の際にストリークの発生等の問題が生じるおそれがある。尚、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置による50%体積平均粒子径である。
上記ポリオレフィン系ワックスは、示差走査熱量計で測定した融点が50〜200℃、好ましくは80〜160℃、より好ましくは80〜120℃の範囲にある。ポリオレフィン系ワックス又はその変性物は、乳化分散剤を用いて水に乳化分散した水性分散液の形態で使用することが好ましい。該分散液の製造方法は、水、ポリオレフィン系ワックス又はその変性物及び乳化分散剤を反応容器に入れ、ポリオレフィン系ワックス又はその変性物の融点以上に加熱し、撹拌により乳化分散後冷却するか、あるいはあらかじめ微粒子状に粉砕したポリオレフィン系ワックス又はその変性物を乳化分散剤を用いてそのまま水に分散させることによって得られる。該水性分散液の乳化分散に用いられる乳化分散剤としては、通常のノニオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、両性乳化剤あるいは水溶性高分子が使用できる。
次に、本発明の電子写真用粘着シートにおいて、粘着剤層を構成する粘着剤は、基本的にはアクリル系高分子(X)とTgが−50℃〜50℃のビニル系重合体(Y)から構成される。
アクリル系高分子(X)は、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)と粘着付与樹脂(b)からなるのが好ましい。官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー、官能基を有するモノマー及びその他の重合可能なモノマーとの共重合体である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸−n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトールなどが挙げられる。これらの群より少なくとも1種以上使用することができるが、特に炭素数4〜12のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれたモノマーを主成分として使用することが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの使用量は、モノマー全量に対して99.9質量%〜85.0質量%であることが好ましい。その使用量が85.0質量%より少ない場合は、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対して接着力が低下してしまうおそれがある。
官能基を有する不飽和モノマーとしては、カルボキシル基、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボニル基、メルカプト基又は珪素含有基等が挙げられる。好ましくは、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基あるいはエポキシ基含有不飽和モノマーである。カルボキシル基含有不飽和モノマーとしては、具体的に(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸等が挙げられる。水酸基含有不飽和モノマーとしては、具体的に(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸変性カプロラクトン、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等が挙げられる。カルボニル基含有不飽和モノマーとしては、具体的には、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、(メタ)アクリロオキシアルキルプロペナール、(メタ)アクリル酸ジアセトン、(メタ)アクリル酸アセトニル等が挙げられる。エポキシ基含有不飽和モノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルエーテル−グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル等が挙げられる。これらの官能基含有不飽和モノマーから選ばれた少なくとも1種以上使用することができる。
これら官能基含有不飽和モノマーの使用量は、モノマー全量に対して、0.1質量%〜7.0質量%である。その使用量が、0.1質量%より少ない場合、ビニル系重合体(Y)等との配合時に機械安定性が悪く、架橋剤を使用する場合にはその効果が少ない。7.0質量%より多い場合には、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対して接着力が低下してしまい、好ましくは0.5質量%〜4.0質量%である。
その他の共重合可能なモノマーとしては、具体的には酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルあるいはバーサティック酸ビニル等のビニルモノマー、さらにジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2―プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジアリル(メタ)アクリレート等の2個以上の重合性不飽和基を含有するモノマーが挙げられる。これらの群から少なくとも1種以上使用することができる。その他の共重合可能なモノマーの使用量は、モノマー全量に対して8.0質量%以下である。8.0質量%を超えると、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対して接着力が低下してしまう。
本発明に使用する官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)は、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー、官能基を有するモノマー及びその他の重合可能なモノマーをモノマー成分として用いて、水媒体中で、乳化剤の存在下に乳化重合法によって得ることができる。
使用する乳化剤としては、特に限定しないが、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤及び反応性乳化剤を使用することができる。アニオン性乳化剤としては、オレイン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。反応性乳化剤としては、種々の分子量(EO付加モル数の異なる)のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレングリコールのモノマレイン酸エステル及びその誘導体、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。環境衛生面、特に環境ホルモン問題で好ましいものは、上記のうちで高級アルコール系誘導体の乳化剤である。
乳化剤の使用量は、通常、モノマー成分100質量部に対して、0.1〜10質量部程度使用すれば良く、好ましくは、0.2〜5質量部である。乳化剤の使用量がこの範囲にあることによって、凝固物を生じることなく、適度な粒子径のエマルションが得られ、またビニル系重合体(Y)との混和性も良くなる。乳化剤が多すぎると、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対して接着力が低下する傾向にある。
アクリル系高分子(X)は、上記の官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)と粘着付与樹脂(b)とからなる。使用される粘着付与樹脂(b)としては、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、これらの中から少なくとも1種以上を使用することができる。ロジン系樹脂としては、天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステルなどがある。ポリテルペン系樹脂としては、α―ピネン樹脂、β―ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂等がある。脂肪族系石油樹脂又は芳香族系石油樹脂の水添石油樹脂等がある。粘着付与樹脂(b)の使用量は、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)の固形分100質量部に対して0.5〜30質量部である。その使用量が0.5質量部より少ない場合、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下し、30質量部より多い場合には、低温でのポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下するおそれがある。粘着付与樹脂(b)は、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)を製造する際に共存させて乳化重合することにより、樹脂との複合樹脂エマルションとして使用することができるし、公知の方法で乳化された樹脂エマルションを官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)に後添加して使用することもできる。
官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)を乳化重合する際に使用できる重合開始剤は、一般に用いられるラジカル重合開始剤である。ラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質等によってラジカルを生成してビニル系モノマーの付加重合を起こさせるもので、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス系化合物等がある。具体的には過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等があり、好ましくは水溶性のものである。なお、重合速度の促進や低温反応を望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホオキシレート塩等の還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の使用量は、単量体成分100質量部に対して、通常0.02〜3質量部であるが、好ましくは0.05〜1質量部である。
本発明で使用される官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)を得るための乳化重合は、水媒体中で、固形分濃度を通常30〜75質量%、好ましくは40〜65質量%程度で行うことができる。重合反応は、通常40〜95℃、好ましくは60〜90℃程度の反応温度で、1〜10時間、好ましくは4〜8時間程度行えばよい。モノマーの添加方法としては、一括添加法、分割添加法、連続添加法等で、モノマータップ法、モノマープレ乳化タップ法等の方法で行うことができる。好ましくは連続添加法でモノマープレ乳化タップ法である。
乳化重合反応によって得られる官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)は、平均粒子径200〜1000nmが適当である。平均粒子径がこの範囲にあれば、水分散性が良好であり、ビニル系重合体(Y)との混和性も良好である。粒子径が小さ過ぎると、塗工時の機械安定性が悪くなる傾向にあり、大き過ぎると塗工面にストリーク等の塗工むらが発生する等の傾向がある。官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)の平均粒子径については、乳化剤や開始剤の種類、及び添加量、添加方法、攪拌条件等を適宜設定することにより容易に調整することができる。
必要に応じて、乳化重合に際し、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、具体的に、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル、イソプロピルアルコール、メタノール、四塩化炭素等が挙げられる。その使用量は、モノマー成分に対して0.001〜2.0質量%であり、好ましくは0.05〜1.0質量%である。
本発明に使用するビニル系重合体(Y)は、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力の向上と、断裁等の二次加工性の向上や、電子写真方式での通紙性の付与に必要なものであり、エマルションの平均粒子径が50〜600nmが好ましく、Tgが−50〜50℃であることが好ましい。平均粒子径が50nmより小さい場合、ビニル系重合体(Y)エマルションの機械安定性が悪く、アクリル系高分子(X)との混合時に、粗粒の発生が起こりやすい。平均粒子径が600nmより大きい場合は、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下する傾向にある。Tgが−50℃より低い場合は、アクリル系高分子(X)に配合した粘着剤組成物のポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力は向上するが、断裁等の二次加工性が悪くなり、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起き易くなる。Tgが50℃を超える場合は、断裁等の二次加工性は向上するが、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力、特に室温から低温領域での接着性が悪くなることがある。ここで、エマルションの平均粒子径は、光散乱法粒子径分布測定機を用い、例えばナイコンプ モデル370(パーティクル サイジングシステム工業社製)にて測定した値である。ビニル系重合体(Y)のTgは、日本エマルジョン工業会規格「合成樹脂エマルジョンの皮膜硬さ表示方法(107−1996)」に記載の各ホモポリマーのTg値を使用して計算式から求めた値である。
ビニル系重合体(Y)の使用量は、アクリル系高分子(X)の固形分100質量部に対して固形分で0.5〜20質量部である。その使用量が0.5質量部より少ない場合は、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着性や断裁等の二次加工性への効果が少ない。20質量部を超える場合には、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する低温領域での接着力が低下する。ビニル系重合体(Y)は、粘着付与樹脂と併用することによりポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力、断裁等の二次加工性はさらに向上する。
本発明のビニル系重合体(Y)は、ホモポリマーのTgが70〜110℃と高いモノマー成分(以下、「硬質モノマー」ともいう。)、ホモポリマーのTgが−100〜−10℃と低いモノマー成分(以下、「軟質モノマー」ともいう。)、及び官能基含有不飽和モノマーからなるモノマー混合物の共重合により得る。ホモポリマーのTgが70〜110℃である硬質モノマーとしては、具体的には、スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、ビニルベンゾエート、アクリロニトリル、メタクリル酸−t−ブチル等が挙げられ、好ましくはスチレン、メタクリル酸メチルである。ホモポリマーのTgが−100〜−10℃である軟質モノマーとしては、具体的に、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−n−ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸エチルカルビトール等が挙げられる。これらの群より少なくとも1種以上使用することができる。
本発明のビニル系重合体(Y)はTgが−50〜50℃になるように、例えば、モノマー成分を100質量%として、Tgが70〜110℃である硬質モノマー25.0〜85.0質量%、Tgが−100〜−10℃である軟質モノマー14.5〜70質量%、カルボキシル基含有不飽和モノマー、カルボニル基含有不飽和モノマー及び水酸基含有不飽和モノマーから選ばれた少なくとも1種以上の官能基含有不飽和モノマー0.5〜5.0質量%をモノマー成分として用いて、水媒体中で、乳化剤の存在下に通常の公知の乳化重合法によって得ることができる。
本発明の水性粘着剤組成物は、さらに保持力を高めるために架橋剤を添加することができる。使用できる架橋剤としては、1分子中にグリシジル基を少なくとも2個以上有するグリシジル化合物、1分子中にアジリジン基を少なくとも2個以上有するアジリジン化合物、1分子中にオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物、1分子中にヒドラジド基を少なくとも2個以上有するヒドラジド化合物又は多価金属錯塩を使用することができる。アクリル系高分子(X)及びビニル系重合体(Y)に使用する官能基の種類によって選択して使用することができる。
1分子中にグリシジル基を少なくとも2個以上有するグリシジル化合物としては、具体的に、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。その使用量は、該グリシジル化合物によって導入されるエポキシ基が、アクリル系高分子(X)及びビニル系重合体(Y)のポリマー粒子を構成するカルボキシル基あるいは水酸基1当量に対して0.01〜2当量である。使用量が0.01当量より少ない場合は、断裁等の二次加工性が悪く、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起き易くなる。2当量を超える場合は、凝集力が高くなり過ぎ、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下することがある。
1分子中にアジリジン基を少なくとも2個以上有するアジリジン化合物としては、具体的に、1,1’−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ビス−3,3−アジリジニル尿素、1,1’−(ヘキサメチレン)ビス−3,3−アジリジニル尿素、エチレンビス−(2−アジリジニルプロピオネート)、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキサイド、2,4,6−トリアジリジニル−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパン−トリス−(2−アジリジニルプロピオネート)等が挙げられる。その使用量は、該アジリジン化合物によって導入されるアジリジン基が、アクリル系高分子(X)及びビニル系重合体(Y)のポリマー粒子を構成するカルボキシル基1当量に対して0.01〜2当量である。使用量が0.01当量より少ない場合は、断裁等の二次加工性が悪く、2当量を超える場合は、凝集力が高くなり過ぎ、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下するおそれがある。
本発明において用いられる1分子中にオキサゾリン基を含有する化合物としては、分子内にオキサゾリン基を有するもので、かつ水分散体又は水溶性の架橋剤であれば、制限なく使用できる。例えば、特公平7−68499号公報に記載されているように、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2-イソプロペニル−2−オキサゾリン、2-イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを1種又は2種以上と前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーを用いて共重合等により得られた水系架橋剤が用いられる。具体的には、株式会社日本触媒製、商品名「エポクロスK−1010E」、「エポクロスK−1020E」、「エポクロスK−1030E」、「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスK−2030E」、「エポクロスWS−500」、「エポクロスWS−700」を使用できる。オキサゾリン基を含有する水系架橋剤の使用量は、導入されるオキサゾリン基が、アクリル系高分子(A)及びビニル系重合体(B)のポリマー粒子を構成するカルボキシル基1当量に対して0.01〜2当量である。使用量が0.01当量より少ない場合は、断裁などの二次加工性が悪くなり、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起き易くなる。2当量を超える場合は、凝集力が高くなり過ぎ、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下するおそれがある。
1分子中にヒドラジド基を少なくとも2個以上有するヒドラジド化合物としては、具体的に、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタミン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジド、プロピレン−1,3−ジヒドラジド、ブチレン−1,4−ジヒドラジド等が挙げられる。その使用量は、該ヒドラジド化合物によって導入されるヒドラジド基が、アクリル系高分子(X)及びビニル系重合体(Y)のポリマー粒子を構成するカルボニル基1当量に対して0.01〜2当量である。使用量が0.01当量より少ない場合は、断裁等の二次加工性が悪く、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起き易くなる。2当量を超える場合は、凝集力が高くなり過ぎ、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下するおそれがある。
多価金属錯塩としては、その水溶液又は水分散液として使用することができる。塗工し乾燥後に、アクリル系高分子(X)又はビニル系共重合体(Y)中のカルボキシル基と金属架橋し得る二価以上の金属化合物から選ばれる。例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の無機酸塩、有機酸塩等が挙げられる。これらの金属塩は、アンモニアを含有する金属塩のアンモニウム錯体として使用することが好ましい。特に、配合液の安定性、金属架橋した後の凝集力上昇の点から亜鉛、ジルコニウムから選ばれた炭酸塩のアンモニウム錯塩がより効果的で、炭酸ジルコアンモニウム、炭酸亜鉛アンモニウム、酢酸亜鉛のアンモニウム錯塩等を使用することができる。その使用量は、アクリル系高分子(X)中のカルボキシル基に対して0.01〜1当量が好ましい。0.01当量より少ないと、断裁等の二次加工性が悪く、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起き易くなる。1当量を超える場合は、凝集力が高くなり過ぎ、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下するおそれがある。
本発明の粘着剤に、必要に応じて公知の添加剤である成膜助剤、可塑剤、充填剤、顔料、増粘剤、粘性調整剤、濡れ剤、消泡剤、防腐剤、分散剤、酸化防止剤、凍結防止剤、防炎剤、難燃剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示のない限り質量部及び質量%である。
(実施例1)
<共重合体エマルション(A)の製造>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管付きの反応器に、窒素を導入しながら水175質量部を加え、撹拌しながら加熱し、温度を80℃まで上昇させた。これにスチレン50質量部、無水マレイン酸イソプロピルアルコールハーフエステル5質量部、メタクリル酸45質量部、アルキル基の炭素数12で、かつEO付加数60のポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名「ニューコール2360」、日本乳化剤社製)4質量部を混合したモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム5質量部を水120質量部に溶解した重合開始剤水溶液を3時間かけて滴下させた後に、2時間熟成させ反応を完結させた。冷却後、28質量%アンモニア水溶液33.7質量部(アクリル酸及び無水マレイン酸イソプロピルアルコールハーフエステルに対して100モル%)を加え、水で希釈し共重合体の濃度が20質量%となるように調製して共重合体エマルション(A)を得た。
<共重合体エマルション(B)の製造>
撹拌機、冷却管、滴下ロート、窒素導入管及び温度計を備えたフラスコに水100質量部、メタクリル酸ノルマルブチル60質量部及びメタクリル酸40質量部、アルキル基の炭素数12で、かつEO付加数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート(商品名「ラテムルE−118B」、花王社製)5質量部を混合したモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム5質量部を水120質量部に溶解した重合開始剤水溶液を3時間で全量滴下させた後に2時間熟成させ反応を完結させた。冷却後、28質量%のアンモニア水溶液28.3質量部(メタクリル酸に対して100モル%)を加え、水で希釈して共重合体の濃度が20質量%となるように調製して共重合体エマルション(B)を得た。
上記共重合体エマルション(A)と共重合体エマルション(B)を1/3の割合(固形分比)で混合(濃度0.3質量%)し、更に澱粉(商品名「王子エースA」、王子コーンスターチ社製)(濃度5.7質量%)を加えて、基材シート用処理液を調製した。
<基材シートの製造>
LBKP(CSFフリーネス550ml)100質量部のパルプスラリーに、紙力剤としてポリアクリルアミド系樹脂(商品名:「PS194−7」、荒川化学工業社製)0.2質量部、湿潤紙力増強剤としてポリアミド・エピクロルヒドリン系樹脂(商品名:「WS570」、日本PMC社製)0.2質量部、硫酸バンド1質量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈してpH5.3、固形分濃度1.1質量%の紙料を調製した。この紙料を長網抄紙機に供して抄紙し、得られた湿紙に上記表面基材用処理液を濃度6質量%で含むサイズプレス液を、サイズプレス装置で塗布量が乾燥質量で2g/mとなるように塗布し、乾燥して、更にマシンカレンダを用いてベック平滑度が65秒/10mlとなるように平滑化処理を施して、坪量が64g/mの電子写真用シートに使用する基材シートを製造した。
<粘着剤の製造>
予めビーカーに2−エチルヘキシルアクリレート50質量部、ブチルアクリレート48.5質量部、アクリル酸1質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.5質量部及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:「ラテムルWX」、花王社製)4質量部、脱イオン水42.4質量部を取り、強撹拌して乳化した。撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水10.7質量部を仕込み、窒素を流入させて、内温80℃まで昇温させ、脱イオン水で10%に溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を仕込んだ。予めビーカーに調製した前記乳化物を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム3質量部を滴下し、内温80〜85℃で乳化重合を行った。滴下終了後、同温度で3時間熟成した後、室温まで冷却し、25%アンモニア水0.8質量部を添加した。アルカリ増粘型ポリアクリル酸ナトリウム系増粘剤で粘度調整して固形分62%、粘度5,500mPa・s、pH8.0である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系高分子(X)−1を製造した。
予め、ビーカーにブチルアクリレート66質量部、メチルメタクリレート31.5質量部、アクリル酸2質量部、アセトアセトキシエチルメタクリレート0.5質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:「ラテムルWX」、花王社製)3.6質量部及び脱イオン水51.6質量部を取り、強撹拌して乳化した。撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水41.6質量部及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:「ラテムルWX」、花王社製)0.4質量部を仕込み、窒素を流入して内温を80℃まで昇温させ、脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を仕込み、予めビーカーに調製した前記乳化物を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を滴下し、内温80〜85℃で乳化重合を行った。滴下終了後、同温度で3時間熟成した後、室温まで冷却し、25%アンモニア水0.8質量部を添加して、Tg−15℃、平均粒子径0.3μm、固形分50%、粘度450mPa・s、pH7.8であるビニル系重合体(Y)−1を得た。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系高分子(X)−1を固形分で100質量部、重合ロジンペンタエリスリトールエステル系粘着付与樹脂(商品名:「スーパーエステルE−650」、固形分50%、軟化点160℃、荒川化学工業社製)を固形分で5.3質量部、ビニル系重合体(Y)−1を固形分で5.3質量部を配合し、固形分、粘度、pHを調整して粘着剤(1)を得た。
<下塗り層塗液の製造>
下塗り層中のバインダーとして下記組成(モノマー単位とその質量比、Tg)
コア部:スチレン:ブタジエン=5:5、Tg=−19℃
シェル部:スチレン:アクリル酸:オレイン酸=70:18:2、Tg=−19℃
のコア・シェル構造を有する複合体ラテックス(ゲル分率96%、複合体ラテックス全体のTg=−19℃、旭化成社製)を用いた。顔料としては、板状のカオリン(商品名「コンツァー1500」、イメリスミネラルズジャパン社製)を用いた。そして、スチレン系共重合体ラテックス:板状のカオリン=1:1(質量比)となるように、濃度50質量%の下塗り層塗液を調製した。
<剥離シート用基材シートの製造>
上質紙(坪量49g/m)の片面に、上記下塗り層塗液を絶乾質量(固形分)で7g/mとなるように塗布、乾燥し、カレンダー処理にて平滑化した。また、カールコントロールを裏面蒸気加湿(スチームボックス)で実施した。以上により、剥離シート用の基材シートを製造した。
<剥離シートの製造>
下記組成を有するシリコーン剥離剤塗工液を調製し、上記剥離シート用基材シートの下塗り層の面に、絶乾質量(固形分)で1.0g/mとなるように多段ロールコーターで塗布し、熱硬化して剥離シートを得た。
シリコーン剥離剤塗工液の組成:
無溶剤型シリコーン剥離剤(商品名:「KNS−320」、信越化学工業社製)
100質量部
触媒(商品名:「PL−56」、信越化学工業社製) 2質量部
<電子写真用粘着シートの製造>
上記剥離シートの剥離剤塗布面に前記粘着剤(1)をリバースロールコーターで乾燥塗布量が18g/mとなるように塗布、乾燥した。続いて、この粘着剤層面に前記のように調製されている電子写真用シートに使用する基材シートを重ねてプレスロールで貼り合わせた。更に、剥離シート裏面に下記組成の処理液を乾燥塗布量が1g/mとなるようにロールコーターで塗布、乾燥して粘着シートを製造した。
剥離シート裏面処理液の組成:
水溶性可塑剤 グリセリン 21.69質量部
水分散性ポリオレフィン系滑剤(商品名:「ノプコートPEM−17」、サンノプコ社製) 0.30質量部
重曹 0.90質量部
水 77.86質量部
(実施例2)
実施例1において粘着剤を、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、ビニル系共重合体、粘着付与樹脂を構成成分とするエマルション型アクリル系粘着剤(商品名:「サイビノールSVP−16」、サイデン化学社製)とした以外は、実施例1と同様にして電子写真用粘着シートを製造した。
(実施例3)
<共重合体エマルション(A)の製造>
アクリル酸72質量部とスチレン168質量部と連鎖移動剤としてのチオグリコール酸0.9質量部を混合してモノマー混合物を用意した。また、これとは別に、過硫酸カリウム3.6質量部を水100質量部に溶解して重合開始剤水溶液を用意した。そこで、撹拌機、温度計の付いた1Lの4つ口フラスコに水460質量部とアニオン性乳化剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム7質量部を入れ、85℃まで加熱撹拌した。上記フラスコ中にモノマー混合物と重合開始剤水溶液を別々に7時間かけて連続的に滴下し、かつ、この間の温度を90℃までに保って重合を進め、滴下終了後30分間熟成した。次いで、95℃まで加熱して重合を完成させた後、75℃まで冷却した。その後、25%水酸化カリウム水溶液202質量部と水を加えて中和し、スチレン・アクリル酸共重合体アルカリ塩水溶液である共重合体エマルション(A)(固形分20質量%、粘度90mPa・s、pH11)を得た。
<共重合体エマルション(B)の製造>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管付きの反応器に窒素を導入しながら水200質量部及びノニオン性乳化剤(商品名「ノイゲンET190」、第一工業製薬社製)1.5質量部、アニオン性乳化剤(商品名「ネオハイテノールS−70」、第一工業製薬社製)1.5質量部を仕込み、撹拌しながら系を80℃まで昇温させた。次いで、滴下漏斗からメタクリル酸45質量部、メタクリル酸−n−ブチル35質量部、アクリル酸−n−ブチル20質量部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.5質量部を混合してなるモノマー混合液を約2時間かけて滴下し、同時に別の滴下漏斗から開始剤として過硫酸アンモニウム4質量部を水100質量部に溶解させた水溶液を2時間かけて滴下した。その後、反応系を2時間保温して乳化重合反応を完結させた。その後、48%水酸化ナトリウム水溶液43.6質量部を加え、水で希釈して共重合体の濃度が20質量%になるように調整し、共重合体エマルション(B)を得た。(粘度1,200mPa・s)。
上記共重合体エマルション(A)と共重合体エマルション(B)を1/3の割合(固形分比)で混合(濃度0.28質量%)し、更に澱粉(商品名「王子エースA」、王子コーンスターチ社製)(濃度5.72質量%)を加えて、基材シート用処理液を調製した。
上記基材シート用処理液を用いた以外は、実施例1と同様にして坪量が64g/mの電子写真用シートに使用する基材シート(ベック平滑度70秒/10ml)を製造した。
上記基材シートを表面基材として用いた以外は、実施例2と同様にして粘着シートを製造した。
(比較例1)
<基材シートの製造>
坪量64g/m、厚さ76μmの上質紙の表面に下記組成の処理液Cを乾燥塗布量が1.0g/mとなるようにバーコーターで塗布し、90℃で30秒間乾燥し、スーパーカレンダーで平滑化処理して電子写真用シートの基材シート(ベック平滑度100秒/10ml)を製造した。
処理液C:
アクリル酸エステル共重合体(商品名「リカボンドES−20」、中央理化工業社製)97質量部、ワックスエマルション2質量部、消泡剤1質量部を含む水性塗液(濃度8質量%)。
<剥離シートの製造>
ブチルアクリレート270g、アクリル酸15g、アクリロニトリル113g、N−メチロールアクリルアミド2g、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル系乳化剤5g、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックポリマー系乳化剤5g、イオン交換水170gから成るモノマー混合液を調製した。
次に、撹拌機、クーラー、滴下ロート、窒素吸込管、温度計を付帯した2リットルの四
つ口フラスコにイオン交換水240gとポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル系乳化剤とオキシエチレン・オキシプロピレンブロックポリマー系乳化剤の1:1混合物2g、過硫酸カリウム0.8gを仕込み、窒素置換しながら70℃まで昇温した後、上記モノマー混合液の1/6を滴下した。
反応率が90%に達した時点で残りのモノマー混合液を2時間かけて滴下させて重合させた。滴下終了後70℃で2時間熟成して反応を完結させた。熟成終了後、フラスコ内容物を60℃に冷却し、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和反応を行い、反応終了後に強撹拌して水分散性共重合体を得た。
この水分散性共重合体75質量部に酸化澱粉(商品名:「エースC」王子コーン・スターチ社製)水溶液24質量部添加し、さらにコロイダルシリカ(商品名:「スノーテックス30」、日産化学工業社製)を1質量部添加して濃度30質量%の剥離シートの下塗り層用水性塗液を調製した。
坪量50g/m、厚さ65μmの上質紙(剥離シート用基材シート)に上記下塗り層用水性塗液をバーコーターで乾燥塗布量が4g/mとなるように塗布し、120℃で1分間乾燥した。
この下塗り層上にシリコーン剥離剤(商品名「SRX−211」、東レ・ダウコーニング社製)の7%トルエン溶液を乾燥塗布量が1g/mとなるようにバーコーターで塗布し、130℃で1分間乾燥して剥離シートを得た。
<粘着シートの製造>
上記剥離シートの剥離剤塗布面にアクリル系エマルション型粘着剤(商品名「ニカゾールTS−662」、日本カーバイド工業社製)をリバースロールコーターで乾燥塗布量が25g/mとなるように塗布し、120℃で1分間乾燥した。次いで、この粘着剤層上に前記電子写真用シートの基材シートの処理液Cを塗布していない面を重ねてプレスロールで貼り合わせた後、剥離シート裏面に下記組成の処理液Dを乾燥塗布量が0.5g/mとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で30秒間乾燥して、電子写真用粘着シートを製造した。
処理液Dの調製:
グリセリン10質量部、ポリオキシエチレンモノオレート1質量部を含む水性塗液D(濃度10質量%)を調製した。
(比較例2)
<基材の製造>
坪量64g/m、厚さ76μmの上質紙の表面に下記組成の処理液Eを乾燥塗布量が1.0g/mとなるようにバーコーターで塗布し、90℃で30秒間乾燥し、スーパーカレンダーで平滑化処理して電子写真用シートの基材シート(ベック平滑度110秒/10ml)を製造した。
<処理液Eの製造>
メタクリル酸メチル260g、アクリル酸ブチル40g、アクリル酸−2−エチルヘキシル88g、アクリル酸12g、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム系乳化剤7g、イオン交換水170gから成るモノマー混合液を調製した。
次に、撹拌機、クーラー、滴下ロート、窒素吸込管、温度計を付帯した2リットルの四つ口フラスコにイオン交換水240gとポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム系乳化剤2g、過硫酸カリウム0.8gを仕込み、窒素置換しながら70℃まで昇温した後、この中に上記モノマー混合物を2時間かけて滴下して重合させた。滴下終了後、70℃で2時間熟成して重合を完結させた。得られたアクリル酸エステル共重合体エマルションのガラス転移温度は27℃であった。
次に、このアクリル酸エステル共重合体エマルション97質量部と、ワックスエマルション2質量部、消泡剤1質量部を含む水性処理液E(濃度10質量%)を調製した。
<粘着シートの製造>
上記水性処理液Eを、比較例1記載の基材シート用処理液Cに代えて使用して製造した基材シートを用いた以外は、比較例1と同様にして、粘着シートを製造した。
[評価方法]
(1)接着力:JIS Z 0237に準じて、ポリエチレン板(日本テストパネル社製)に対する接着力を測定した。
(2)ウーズ:A4サイズの粘着シートを100枚重ね、ギロチン断裁機にて断裁した際のギロチン刃、粘着シートの断裁面を目視判定した。
○:粘着剤のはみ出しがなく、ギロチン刃、断裁面にべとつきがなく良好。
△:若干粘着剤のはみ出しがあり、ギロチン刃、断裁面にべとつきがあるが、実用上問題ないレベルである。
×:粘着剤のはみ出しが酷く、実用上問題となるレベルである。
(3)トナー定着性:レーザープリンター(商品名:「DocuCentre−II」、FUJI XEROX社製)でテキストデータを印字した後、印字後のトナーを小刀で削り、トナーの定着性を評価した。
◎:トナーが全く脱落しない。
○:トナーがほとんど脱落しない。
△:トナーが若干脱落するが、実用上問題ないレベルである。
×:トナーが著しく脱落し、実用上問題となるレベルである。
(4)プリンター通紙適性:レーザープリンター(商品名:「DocuCentre−II」、FUJI ZEROX社製)で500枚印字し、ジャミングのレベルを評価した。
○:ジャミングは全く認められない。
△:若干ジャミングするが、実用上問題ないレベルである。
×:ジャミングが著しく発生し、実用上問題となるレベルである。
(5)総合評価:電子写真用粘着シートとしての総合評価を行った。
◎:電子写真用粘着シートとして非常に優れている。
○:電子写真用粘着シートとして優れている。
△:電子写真用粘着シートとして若干問題があるが、実用上問題ないレベルである。
×:電子写真用粘着シートとして問題があり、実用できないレベルである。
Figure 2008175888
表1から、実施例1〜3の本発明の電子写真用粘着シートにおいて、表面基材の表面に特定のモノマーを共重合してなる、スチレン系共重合体エマルションとアクリル酸エステル共重合体エマルションを主成分とする処理液が塗布又は含浸されているので、高速プリンターや複写機でのトナーの定着性が大幅に改善される。また、剥離シートの裏面に特定の水溶性可塑剤と水分散性滑剤を主成分とする処理液が塗布又は含浸されているので、高速プリンターや複写機での通紙適性にも優れるものであった。一方、比較例1〜2は、高速プリンターや複写機でのトナー定着性や通紙適性が不充分であり、電子写真用粘着シートとしての適性に劣るものであった。
本発明による粘着シートは、電子写真法による印字において、トナーの定着性及び通紙適性に優れ、しかも粘着剤のはみ出しもなく、電子写真用粘着シートとして非常に優れたものであった。

Claims (11)

  1. 基材シートの表面にスチレン系共重合体エマルション(A)及び、(メタ)アクリル酸ブチル系モノマーと(メタ)アクリル酸モノマーとの共重合体エマルション(B)を主成分とする処理液を塗布又は含浸させてなるトナー定着面を有することを特徴とする電子写真用シート。
  2. 前記共重合体エマルション(A)と共重合体エマルション(B)の配合比(固形分質量比)が9.5/0.5〜1/9である請求項1記載の電子写真用シート。
  3. 共重合体エマルション(A)が、スチレン系モノマーとアニオン性モノマーとを乳化共重合して得られる共重合体エマルションである請求項1又は2に記載の電子写真用シート。
  4. 前記共重合体エマルション(B)に用いられている(メタ)アクリル酸ブチル系モノマーが(メタ)アクリル酸イソブチル及び/又は(メタ)アクリル酸ノルマルブチルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用シート。
  5. 表面基材シートの前記トナー定着面が形成されている面の表面平滑度が30〜79秒/10mlであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真用シート。
  6. 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用シートの裏面に粘着剤層が積層されていることを特徴とする電子写真用粘着シート。
  7. 前記粘着シート本体の粘着剤層側表面に剥離シートが積層されていることを特徴とする請求項6記載の電子写真用粘着シート。
  8. 前記剥離シートは、剥離シート用基材シートの一方の面が多価アルコール類、ポリアルキレングリコール類等の水溶性可塑剤と水分散性滑剤とを主成分とする処理液を塗布又は含浸させてなる処理面であり、他方の面が剥離剤塗布面であることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子写真用粘着シート。
  9. 前記剥離シート用基材シートの剥離剤塗布面側には、顔料とバインダーを主成分とする下塗り層が設けられており、該下塗り層のバインダーは、ともにスチレンをモノマー単位に含む共重合体ラテックスを主成分とするコア部とシェル部とからなるコア・シェル構造の複合体ラテックスを含有するバインダーからなることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の電子写真用粘着シート。
  10. 前記粘着剤層が、アクリル系高分子(X)とTgが−50℃〜50℃のビニル系重合体(Y)とからなる粘着剤を含有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の電子写真用粘着シート。
  11. 前記アクリル系高分子(X)が、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)と粘着付与剤(b)からなることを特徴とする請求項10記載の電子写真用粘着シート。
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