JP2006143794A - 粘着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】 電子写真方式プリンターに有用な粘着シートであって、マクロブリスターやミクロブリスターが発生せず、トナー定着性が良好で、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起きず、定着ロールでの熱により接着性の低下もない、粘着シートの提供。
【解決手段】 表面基材、粘着剤、剥離剤、剥離基体を順次積層した粘着シートにおいて、前記表面基材が、基紙と、その少なくとも一面上に形成され、かつ顔料および接着剤を主成分として含む塗被層と有し、前記塗被層の表面が、50%以上の光沢度であり、前記表面基材の透気度が7000秒以下であり、且つ前記粘着剤が、アクリル系高分子(A)とガラス転移温度が−50℃〜50℃のビニル系重合体(B)とからなり、(B)の含有量が、(A)100質量部(固形分)に対して0.5〜20質量部(固形分)からなることを特徴とする粘着シート。
【選択図】 なし
【解決手段】 表面基材、粘着剤、剥離剤、剥離基体を順次積層した粘着シートにおいて、前記表面基材が、基紙と、その少なくとも一面上に形成され、かつ顔料および接着剤を主成分として含む塗被層と有し、前記塗被層の表面が、50%以上の光沢度であり、前記表面基材の透気度が7000秒以下であり、且つ前記粘着剤が、アクリル系高分子(A)とガラス転移温度が−50℃〜50℃のビニル系重合体(B)とからなり、(B)の含有量が、(A)100質量部(固形分)に対して0.5〜20質量部(固形分)からなることを特徴とする粘着シート。
【選択図】 なし
Description
本発明は、トナーによる電子写真方式を用いた印字装置に使用するための粘着シートに関するものである。
一般に粘着シートは、ロール(巻き取り)状態に加工された後、印刷、ダイカット等が施されるタイプと、最近のOA化によるプリンター、コピー機の進歩に伴い、定型サイズのシート状に加工・裁断された形態で上記コピー用紙、プリンター用紙として使用されるタイプのものがある。従来において、粘着シートは所望の場所や基体に貼付できるというその粘着性を有することに商品価値が見出されていたが、近年のコピー機の性能や電子写真用シート自体の品質の向上に伴い、粘着性のみならず、印刷特性についても高度な品質を兼ね備えていることが要求されるに至っている。
例えば、ヒートロール定着式電子写真方式プリンターにより粘着シートに印字を付与した場合、粘着シート中の水蒸気が膨張し、基紙層が破壊されて画像部に大きなふくれ、すなわちマクロブリスター(「ペーパーブリスター」とも呼ばれる)が発生したり、トナーと塗被層の間の水蒸気が膨張し、画像部に細かなふくれ、すなわちミクロブリスター(「トナーブリスター」とも呼ばれる)が発生する、といった問題がある(特許文献1)。マクロブリスターやミクロブリスターの問題は基紙の内部結合強さと紙基材上の塗被層の透気性との関係を調整することである程度解消できるが、そのような基紙に更に粘着剤の層を設けてなる粘着シートを構成した場合、基紙の透気性は粘着剤層の影響を受け、ブリスター発生の問題はさらに複雑になる。また、粘着シートは、コピー機の機構上、感光ドラムと接触するが、その際に粘着シート側面からはみ出した粘着剤が感光ドラムに付着することがあり、そのためにコピー機の感光ドラムが粘着剤により汚染されてしまうという問題もある(特許文献2)。
よって、電子写真方式プリンターに有用な粘着シートは、同プリンターでの印字によりマクロブリスターやミクロブリスターが発生せず、トナー定着性が良好であり、しかも電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起きず、定着ロールでの熱により接着性の低下も起きないという条件が全て満たされることが要求される。
本発明の目的は、電子写真方式プリンターに有用な粘着シートであって、マクロブリスターやミクロブリスターが発生せず、トナー定着性が良好で、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起きず、定着ロールでの熱により接着性の低下もない、粘着シートの提供にある。
本願は以下の発明を包含する。
(1)表面基材、粘着剤、剥離剤、剥離基体を順次積層した粘着シートにおいて、前記表面基材が、基紙と、その少なくとも一面上に形成され、かつ顔料および接着剤を主成分として含む塗被層とを有し、前記塗被層の表面が、50%以上の光沢度であり、前記表面基材の透気度が7000秒以下であり、且つ前記粘着剤が、アクリル系高分子(A)とガラス転移温度が−50℃〜50℃のビニル系重合体(B)とからなり、(B)の含有量が、(A)100質量部(固形分)に対して0.5〜20質量部(固形分)からなることを特徴とする粘着シート。
(1)表面基材、粘着剤、剥離剤、剥離基体を順次積層した粘着シートにおいて、前記表面基材が、基紙と、その少なくとも一面上に形成され、かつ顔料および接着剤を主成分として含む塗被層とを有し、前記塗被層の表面が、50%以上の光沢度であり、前記表面基材の透気度が7000秒以下であり、且つ前記粘着剤が、アクリル系高分子(A)とガラス転移温度が−50℃〜50℃のビニル系重合体(B)とからなり、(B)の含有量が、(A)100質量部(固形分)に対して0.5〜20質量部(固形分)からなることを特徴とする粘着シート。
(2)前記顔料が、平均粒子径0.3〜1.5μm、かつ下記式(1)を満足するカオリン粒子:5≦L/W≦50 (1)
〔但し、式(1)中、Lはカオリン粒子の長径を表し、Wはカオリン粒子の短径を表す〕および前記接着剤が、(c)10〜60℃のガラス転移温度を有し、かつ単一構造を有する共重合体、及び(d)コア−シェル構造を有する合成高分子化合物から選ばれた少なくとも1種である、(1)の粘着シート。
〔但し、式(1)中、Lはカオリン粒子の長径を表し、Wはカオリン粒子の短径を表す〕および前記接着剤が、(c)10〜60℃のガラス転移温度を有し、かつ単一構造を有する共重合体、及び(d)コア−シェル構造を有する合成高分子化合物から選ばれた少なくとも1種である、(1)の粘着シート。
(3)前記アクリル系高分子(A)が、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)と粘着付与樹脂(b)とを含有してなる(1)の粘着シート。
(4)前記官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)の官能基成分が、カルボキシル基含有不飽和単量体、カルボニル基含有不飽和単量体、水酸基含有不飽和単量体およびエポキシ基含有不飽和単量体から選ばれた少なくとも1種である(3)の粘着シート。
(5)前記粘着剤が、グリシジル基、アジリジン基、オキサゾリン基、ヒドラジド基および多価金属錯塩から選ばれた少なくとも1種の架橋基を有する架橋剤で架橋されたものである、(1)の粘着シート。
本発明により、電子写真方式プリンターに有用な粘着シートであって、マクロブリスターやミクロブリスターが発生せず、粘着剤層がトナーの転移性に影響を及ぼすことなく、トナー定着性が良好で、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起きず、定着ロールでの熱により接着性の低下もない、高品位の粘着シートが提供でき、実用上極めて有用である。
以下に本発明の好適な態様を詳細に説明する。
本発明者は、上記問題点に鑑みて鋭意検討を行った結果、基紙と、その少なくとも一面上に形成され、かつ顔料および接着剤を主成分として含む塗被層とを有する表面基材、粘着剤、剥離剤、剥離基体を順次積層した粘着シートにおいて、前記塗被層の表面を50%以上の光沢度とし、前記表面基材の透気度を7000秒以下とし、且つ前記粘着剤を、アクリル系高分子(A)とガラス転移温度が−50℃〜50℃のビニル系重合体(B)とからなるものとし、(B)の含有量を(A)100質量部(固形分)に対して0.5〜20質量部(固形分)とすることで、マクロブリスターやミクロブリスター(特許文献1)、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着といった問題がなく、トナー定着性に優れ、熱により接着性の低下も起きない粘着シートを提供できることを見出した。
塗被層表面の平滑度が高く、かつ光沢度が高い方が、塗被層表面と感光部との密着性が良くなるため、電子写真方式でのトナー転移性が高くなり、画像欠陥が少なくなる。例えば、塗被層中に、(a)10〜60℃のガラス転移温度を有する単一構造共重合体及び/又は(b)コア−シェル構造合成高分子化合物を含む接着剤を配合すると、画像欠陥の防止に有効であることが認められており、好適である。本発明において、コア−シェル構造合成高分子化合物とは、単一重合体又は共重合体からなる微細ボール形状のコア部と、このコア部を包囲し、かつ、単一重合体又は共重合体からなるシェル部とにより構成されている合成高分子化合物である。また、単一構造共重合体とは、2種以上のコモノマーの共重合体からなり、コア−シェル構造などの複合構造を有していない共重合体である。
本発明の表面基材の塗被層において、接着剤(バインダー)としては、(a)10〜60℃のガラス転移温度を有し、かつ単一構造を有する共重合体、又は(b)コア−シェル構造を有する合成高分子化合物、あるいはそれらの混合物を使用するのが好ましい。
ガラス転移温度が10〜60℃、好ましくは15〜50℃の単一構造共重合体(a)は、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、及びエチレン−酢酸ビニル系共重合体などから選ばれる。
コア−シェル構造合成高分子化合物(b)は、下記式(2)及び(3):
Tg1<Tg2 (2)
−10℃<Tg2<100℃ (3)
〔但し、式(2),(3)中、Tg1はコア−シェル構造合成高分子化合物(b)中のコア部分のガラス転移温度を表し、Tg2は、そのシェル部分のガラス転移温度を表す。〕を満足するものであることが好ましい。すなわち、この好ましい態様においては、シェル部のガラス転移温度Tg2が、コア部のガラス転移温度Tg1よりも高く、シェル部のガラス転移温度は−10℃より高く100℃未満の範囲内にある。このため、このコア−シェル構造合成高分子化合物により形成される皮膜の表面は、ガラス転移温度Tg2のシェル部によって形成される。塗被層が形成された後、低ガラス転移温度の(Tg1)コア部は、高ガラス転移温度(Tg2)のシェル部に囲まれ、常温で高い柔軟性、屈曲性及び弾性を示し、このため、塗膜中の、コア−シェル構造合成高分子化合物(b)のコア部は外圧に対して変形し易く外圧が除かれれば、元の形状に復帰して、高いクッション性を示す。よって、感光部と塗被層とは印字の際の押圧によって互に密着し、良好なトナー転移性を示す。ちなみにコア−シェル構造合成高分子化合物(b)のシェル部のガラス転移温度Tg2が100℃以上であると、成膜性が不十分になることがある。一方、シェル部分のガラス転移温度Tg2が−10℃以下であると、得られる塗膜がべとつき、ブロッキングが発生し易くなる。またシェル部のガラス転移温度Tg2は0℃〜75℃の範囲内にあることがより好ましい。特に、シェル部のガラス転移温度Tg2は、コアのガラス転移温度Tg1よりも5℃以上高いことが好ましい。この温度差が5℃未満では、塗被層のクッション性が不十分になり、画像欠陥の防止効果が不十分になることがある。本発明で用いるコア−シェル構造合成高分子化合物(b)は、コア−シェル型共重合体ラテックスとして入手可能であり、そのラテックスの粒子径は、40〜300nmであるものが好ましい。それが300nmより大きくなると、塗膜の強度が不十分になることがある。またコア−シェル構造合成高分子化合物(b)のトルエン不溶分は30%以上であることが好ましい。それが30%未満であると、得られる塗被層の機械的強度が不十分になることがある。
Tg1<Tg2 (2)
−10℃<Tg2<100℃ (3)
〔但し、式(2),(3)中、Tg1はコア−シェル構造合成高分子化合物(b)中のコア部分のガラス転移温度を表し、Tg2は、そのシェル部分のガラス転移温度を表す。〕を満足するものであることが好ましい。すなわち、この好ましい態様においては、シェル部のガラス転移温度Tg2が、コア部のガラス転移温度Tg1よりも高く、シェル部のガラス転移温度は−10℃より高く100℃未満の範囲内にある。このため、このコア−シェル構造合成高分子化合物により形成される皮膜の表面は、ガラス転移温度Tg2のシェル部によって形成される。塗被層が形成された後、低ガラス転移温度の(Tg1)コア部は、高ガラス転移温度(Tg2)のシェル部に囲まれ、常温で高い柔軟性、屈曲性及び弾性を示し、このため、塗膜中の、コア−シェル構造合成高分子化合物(b)のコア部は外圧に対して変形し易く外圧が除かれれば、元の形状に復帰して、高いクッション性を示す。よって、感光部と塗被層とは印字の際の押圧によって互に密着し、良好なトナー転移性を示す。ちなみにコア−シェル構造合成高分子化合物(b)のシェル部のガラス転移温度Tg2が100℃以上であると、成膜性が不十分になることがある。一方、シェル部分のガラス転移温度Tg2が−10℃以下であると、得られる塗膜がべとつき、ブロッキングが発生し易くなる。またシェル部のガラス転移温度Tg2は0℃〜75℃の範囲内にあることがより好ましい。特に、シェル部のガラス転移温度Tg2は、コアのガラス転移温度Tg1よりも5℃以上高いことが好ましい。この温度差が5℃未満では、塗被層のクッション性が不十分になり、画像欠陥の防止効果が不十分になることがある。本発明で用いるコア−シェル構造合成高分子化合物(b)は、コア−シェル型共重合体ラテックスとして入手可能であり、そのラテックスの粒子径は、40〜300nmであるものが好ましい。それが300nmより大きくなると、塗膜の強度が不十分になることがある。またコア−シェル構造合成高分子化合物(b)のトルエン不溶分は30%以上であることが好ましい。それが30%未満であると、得られる塗被層の機械的強度が不十分になることがある。
次に、前記コア−シェル構造高分子化合物(b)のラテックスの製造方法について説明する。前記コア−シェル構造合成高分子化合物(b)ラテックスの製造方法は、特開昭62−117897号公報、特開平7−324112号公報、及び特開平9−31141号公報などに開示されている。例えば脂肪族共役ジエン単量体と、これとは異種であって、かつこれと共重合可能な少なくとも一種の単量体とを乳化重合させてコア部形成用共重合体を調製し、この共重合体ラテックスの存在下に、前記コア部形成用単量体と共重合可能な単量体、例えば、脂肪族共役ジエン系単量体、芳香族ビニル系単量体、及びエチレン系不飽和カルボン酸単量体の少なくとも1種を乳化重合させると、前記コア部形成共重合体と共重合したシェル部形成重合体(又は共重合体)が形成し、コア−シェル構造合成高分子化合物(b)のラテックスが得られる。コア部形成用前記異種モノマーは脂肪族共役ジエン系単量体、芳香族ビニル系単量体及びエチレン系不飽和カルボン酸単量体から選ぶこともできる。
コア部及びシェル部の形成に用いられる上記脂肪族共役ジエン単量体の代表例としては、ブタジエン、イソプレン及び2−クロル−1,3−ブタジエンなどをあげることができる。一方、脂肪族共役ジエン単量体と共重合可能な単量体のうち、脂肪族共役ジエン系単量体は、例えばブタジエン、イソプレン及び2−クロル−1,3−ブタジエン等であり、芳香族ビニル系単量体は、例えばスチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン及びクロルスチレン等であり、エチレン系不飽和カルボン酸単量体は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸及びイタコン酸等である。
コア−シェル構造合成高分子化合物(b)の製造において、前記単量体の乳化重合は、従来の乳化重合法に従って、水性媒体中で乳化剤、重合開始剤、分子量調節剤などを用いて行われる。乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが単独で、あるいはその2種以上を併用して使用できる。
重合方法としては、シード重合と同様に、予めコア用共重合体を一つの重合系で重合し、その所定量を別の重合系に移し、その存在下に、シェル形成用単量体を重合する方法、もしくはコア形成用単量体及びシェル形成用単量体用の両者を同一重合容器内で、2段以上の多段階コア用共重合体、及びシェル用共重合体を順次に重合する方法などが採られている。
前記コア−シェル構造合成高分子化合物(b)のラテックスは、同一ラテックス内に、低いガラス転移温度Tg1を有するコア共重合体成分と、高いガラス転移温度Tg2を有するシェル共重合体成分とが存在することによって、目的とする皮膜性能を得ることができる。すなわち、本発明の基紙において、前記コア−シェル構造高分子化合物ラテックスが塗被層用接着剤(バインダー)として用いられたとき、塗被層の接着剤(バインダー)成分に含まれる高分子化合物は、そのコア部にガラス転移温度の低い共重合体成分を有するために、電子写真印字時に、基紙に付加される感光部の押圧に対してクッション性を示し、表面基材が感光部に対し十分に密着することができる。
本発明者らは、塗被層表面の平滑性とトナー転移性の関係について鋭意研究した結果、粘着シートの表面基材上の塗被層の表面が光沢度50%以上であり、表面基材の透気度が7000秒以下にすることで、トナー転移性の低下を防止乃至低減できることを見出した。そして、塗被層に含まれる顔料の主成分として、顔料粒子の短径Wに対する平面長径Lの比として定義されるアスペクト比が5〜50の範囲にあり、好ましくは5〜15の範囲であり、かつ平均粒子径が0.3〜1.5μmの範囲内、好ましくは0.3〜1.2μmの範囲内にあるカオリン粒子を用いること、好ましくは全顔料100質量部中、30質量部以上、好ましくは35質量部以上の含有量で含有させることにより、高光沢・高平滑並びに低透気度の塗被層が得られ、トナー転移性の低下並びにブリスターの発生を著しく低減させることに成功した。ちなみに、カオリン粒子の平均粒子径が0.3〜1.5μmであっても、アスペクト比が5未満の場合、得られる塗被層において、十分な光沢度を得ることは難く、平滑度も低下するため、トナー転移性も低下することがある。一方、アスペクト比が50を超える場合は、得られる塗被層の光沢度は十分高くなるが、透気度も高くなるため、ブリスターの発生を低減することができない。
本発明において用いられるカオリンが、高平滑・高光沢、および低透気度の塗被層の形成に有効な理由は、カオリン粒子のアスペクト比が5〜50の範囲内にあり、一般に用いられているアスペクト比が50をこえるデラミネートカオリンと比較して、短径の比率が比較的大きな形状であり、かつ平均粒子径が0.3〜1.5μmと小さく、粒度分布が均一な六角板状体であるため、塗被層が平滑化処理された後、積層した顔料間の間隙が密な構造とならず、かつ六角板状カオリン粒子の特徴である高い平面性を備えているからであると推測される。
アスペクト比が5〜50の範囲内にある顔料の平均粒子径が、0.3μmより小さい場合、得られる塗被層に高い光沢は出やすくなるが、透気性が著しく低下することがある。一方、それが1.5μmを越えて大きくなると、得られる塗被層に高い光沢が出難くなり、所望の光沢度を得難くなる。また粒度分布についても、粒子径0.3〜1.5μmの粒子の分布頻度が65%以上であることが好ましい。
本発明の表面基材において、その塗被層中の顔料の主成分として用いられるカオリンの含有量は、塗被層中の全顔料100質量部に対し、30質量部以上であることが好ましく、35質量部〜100質量部の範囲内にあることがより好ましい。それが30質量部未満では、得られる塗被層の透気性が不十分になることがある。
本発明の表面基材において、そのシート状紙基材を構成するパルプについて、その製法及び種類等に特に限定はない。例えばKPのような化学パルプ、SGP、RGP、BCTMP及びCTMP等の機械パルプ、脱墨パルプのような古紙パルプ、並びにケナフ、竹、藁、麻等のような非木材パルプであってもよく、またポリアミド繊維、ポリエステル繊維等の有機合成繊維、再生繊維、例えばポリノジック繊維並びにガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機質繊維も混用することができる。なおシート状紙基材に用いるパルプとして、ECFパルプ、TCFパルプ等の塩素フリーパルプを用いることが好ましい。
またシート状紙基材中には、必要に応じて、填料が配合されていてもよい。填料としては、一般に上質紙に用いられる各種の顔料を用いることができ、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト及びスメクタイト等の鉱物質顔料、並びにポリスチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂及び塩化ビニリデン系樹脂の微小中空粒子、密実型粒子および貫通孔型粒子などの有機顔料が挙げられる。
なおシート状紙基材の抄造時に、その紙料中に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、パルプ繊維や填料の他に、従来から使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤を必要に応じて適宜選択して使用することができる。さらに染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤も必要に応じて適宜添加することができる。
また、トナーの定着が熱処理によって行われるため、処理時に塗被紙中の水分が急激に膨張し、画像部にふくれ(ブリスター)が発生するが、塗被紙の層間強度を所望の範囲にすることが必要である。本発明では、TAPPI No.54−93に準じて測定される層間強度が0.20KJ/m2以上、好ましくは0.25KJ/m2以上であるシート状紙基材を用いることが望ましい。
また、トナーの定着が熱処理によって行われるため、処理時に塗被紙中の水分が急激に膨張し、画像部にふくれ(ブリスター)が発生するが、塗被紙の層間強度を所望の範囲にすることが必要である。本発明では、TAPPI No.54−93に準じて測定される層間強度が0.20KJ/m2以上、好ましくは0.25KJ/m2以上であるシート状紙基材を用いることが望ましい。
このシート状紙基材の層間強度を向上させる方法としては、例えばパルプの種類(剛性の高い針葉樹)、叩解を進めることにより繊維間結合を高める、紙力剤(ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアミン化合物等)、湿潤紙力増強剤(ポリアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等)の添加や水系樹脂(ポリビニルアルコール、フッ素系樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等)の含浸、塗被、積層加工、ラミネートなどがあるが、目的に応じて適宜選択される。
シート状紙基材の抄紙方法については特に限定はなく、例えば抄紙pHが4.5付近で行われる酸性抄紙法、炭酸カルシウム等のアルカリ性填料を主成分として含み抄紙pH約6の弱酸性から抄紙pH約9の弱アルカリ性で行われる中性抄紙法等の、全ての抄紙方法を適用することができ、抄紙機も長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機を適宜使用することができる。
本発明に係る表面基材に用いる顔料としては、前記のカオリンの他に、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、アスペクト比(L/W)及び/又は平均粒子径において本発明の塗被層に用いられるものとは異るカオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、微粒子状珪酸カルシウム、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト及びスメクタイト等の鉱物質顔料、並びにポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂及びベンゾグアナミン系樹脂等の中空粒子型、密実粒子型および貫通孔粒子型の有機顔料も用いることが可能であり、これらの中から1種あるいは2種以上が適宜選択して用いられる。
本発明の表面基材において、その塗被層に含まれる接着剤(バインダー)には、前記コア−シェル構造合成高分子化合物(b)、及び単一構造共重合体(a)に加えて、必要に応じて、前記共重合体(a)及び合成高分子化合物(b)とは異種の水溶性および/または水分散性の高分子化合物の1種以上が含まれていてもよく、例えば、カチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、天然ゴム等の天然あるいは半合成高分子化合物、ポリイソプレン、ポリネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類、ポリビニルハライド、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリメチルビニルエーテル等の各種ビニル系重合体類や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス類、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン−無水マレイン酸系樹脂、メラミン系樹脂等の合成樹脂類等が例示できる。これらの中から目的に応じて1種あるいは2種以上が適宜選択して使用される。
本発明の表面基材の塗被層中の、コア−シェル構造を有する合成高分子化合物(b)及び/又は単一構造共重合体(a)を含めた前記接着剤の合計質量の配合割合は、顔料100質量部(固型分)に対して、2〜25質量部(固型分)の範囲内にあることが好ましい。この配合割合が2質量部未満では、塗被層の塗膜強度が不十分になり、塗被層が剥がれて感光部に堆積し、感光部を傷つける原因となることがある。一方、これが25質量部を越えると、塗被層の通気性が著しく低下し、ブリスターの発生防止が不十分になることがある。本発明の基紙の塗被層において、その接着剤(バインダー)中のコア−シェル構造合成高分子化合物(b)及び/又は単一構造共重合体(a)の含有量も、バインダー100質量部に対して、2〜25質量部であることが好ましい。
この塗被層中には、これら顔料及び接着剤の他に、各種助剤、例えば界面活性剤、pH調節剤、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、滑剤、防腐剤及び香料等の少なくとも1種が必要に応じて適宜含まれていてもよい。
本発明の表面基材において、塗被層の塗工量は、6〜20g/m2 、であることが好ましく、より好ましくは7〜15g/m2 である。塗工量が6g/m2 未満では、シート状紙基材表面の凹凸を十分に被覆して平滑化することができないため、得られる塗被層のトナー転移性が不十分になることがある。一方、それが20g/m2 を越えると、塗工時の乾燥性が悪くなるなどの操業性が低下し、製造原価も高くなることがある。
塗被層を形成するための塗被方法としては、一般に従来の塗被装置、例えばブレードコータ、エヤーナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータ、グラビアコータ、チャンプレックスコータ、ブラシコータ及びツーロール、並びにメータリングブレード式のサイズプレスコータ、ビルブレードコータ、ショートドウェルコータ、リップコータ及びゲートロールコータ等の装置を適宜に用いることができる。
塗被層を、シート状紙基材の両面に形成してもよく、あるいは1以上の複数層に形成してもよい。多層構造の塗被層は、最外面塗被層とシート状紙基材との間に必要により1層あるいは2層以上の中間塗被層を設けたものである。なお両面塗工や多層構造にする場合、各々の塗被液が同一または同一塗工量である必要はなく、所要の品質レベルに応じて適宜調整して配合すればよい。またシート状紙基材の片面に塗被層を設けた場合、裏面に合成樹脂層、又は顔料と接着剤等からなる塗被層又は、帯電防止層等を設けてカール防止、印刷適性付与、及び/又は給排紙適性等を付与することも可能である。
本発明の表面基材は、シート状紙基材上に塗被層を設けた後、通常の乾燥工程及び表面処理工程等により平滑化処理される。また塗被層の水分含有量を好ましくは3〜10%に、より好ましくは4〜8%程度に調整して仕上げられる。上記平滑化処理を施す際には、通常のスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトカレンダ等の平滑化処理装置がオンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も通常の平滑化処理装置に準じて適宜調節される。カレンダロールの表面温度は好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、特により好ましくは70℃以上である。本発明の表面基材は、印刷用紙として必要な風合いを備えることが必要となるため、塗被層表面の、JIS Z8741に基づく入射・受光角75度の光沢度は50%以上であることが必要であり、好ましくは55%以上である。さらに表面基材のJIS P8117−1980に基づく透気度は7000秒以下に調整され、好ましくは5000秒以下、より好ましくは3000秒以下に調整される。
また本発明の表面基材は、プリンターの通紙適性やラベル用途での使用適性を有する必要があり、表面基材の巾方向(以下、CD方向ともいう。)の、クラーク剛さが12cm以上であることが好ましく、より好ましくは15cm以上である。
本発明のアクリル系粘着剤エマルション(A)は、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)と粘着付与樹脂(d)からなるのが好ましい。官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、官能基を有する単量体およびその他の重合可能な単量体との共重合体である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、具体的に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレートなどが挙げられる。これらの群より少なくとも1種以上使用することができるが、特に炭素数4〜12のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれた単量体を主成分として使用することが好ましい。
その使用量は、単量体全量に対して99.9質量%〜85.0質量%であることが好ましい。その使用量が85.0質量%より少ない場合は、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対して接着力が低下してしまうことがある。
官能基を有する不飽和単量体としては、カルボキシル基、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボニル基、メルカプト基または珪素含有基などが挙げられる。好ましくは、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基あるいはエポキシ基含有不飽和単量体である。カルボキシル基含有不飽和単量体としては、具体的に(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸などが挙げられる。水酸基含有不飽和単量体としては、具体的に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。カルボニル基含有不飽和単量体としては、具体的には、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、(メタ)アクリロオキシアルキルプロペナール、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。エポキシ基含有不飽和単量体としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの官能基含有不飽和単量体から選ばれた少なくとも1種以上使用することができる。
これら官能基含有不飽和単量体の使用量は、単量体全量に対して、0.1質量%〜7.0質量%である。その使用量が、0.1質量%より少ない場合、ビニル系重合体(B)などとの配合時に機械安定性が悪く、架橋剤を使用する場合にはその効果が少ない。7.0質量%より多い場合には、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対して接着力が低下してしまう。好ましくは0.5質量%〜4.0質量%である。
その他の共重合可能な単量体としては、具体的には酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルあるいはバーサチック酸ビニルなどのビニル単量体、さらにジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2―プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジアリル(メタ)アクリレートなどの2個以上の重合性不飽和基を含有する単量体が挙げられる。これらの群から少なくとも1種以上使用することができる。その使用量は、単量体全量に対して8.0質量%以下である。8.0質量%を超えると、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対して接着力が低下してしまう。
本発明に使用する官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)は、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、官能基を有する単量体およびその他の重合可能な単量体を単量体成分として用いて、水媒体中で、乳化剤の存在下に乳化重合法によって得ることができる。
使用する乳化剤としては、特に限定しないが、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤および反応性乳化剤を使用することができる。アニオン性乳化剤としては、オレイン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。反応性乳化剤としては、種々の分子量(EO付加モル数の異なる)のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレングリコールのモノマレイン酸エステルおよびその誘導体、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。環境衛生面、特に環境ホルモン問題で好ましいものは、上記のうちで高級アルコール系誘導体の乳化剤である。
乳化剤の使用量は、通常、単量体成分100質量部に対して、0.2〜10質量部程度使用すれば良く、好ましくは、0.5〜5質量部である。乳化剤の使用量がこの範囲にあることによって、凝固物を生じることなく、適度な粒子径のエマルションが得られ、またビニル系重合体(B)との混和性も良くなる。乳化剤が多すぎると、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対して接着力が低下する傾向にある。
本発明に使用するアクリル系高分子(A)は、上述の官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)と粘着付与樹脂(d)とからなる。使用される粘着付与樹脂(d)としては、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、これらの中から少なくとも1種以上を使用することができる。ロジン系樹脂としては、天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステルなどがある。ポリテルペン系樹脂としては、α―ピネン樹脂、β―ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂などがある。脂肪族系石油樹脂または芳香族系石油樹脂の水添石油樹脂などがある。粘着付与樹脂(d)の使用量は、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)の固形分100質量部に対して0.5〜30質量部である。その使用量が0.5質量部より少ない場合、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下し、30質量部より多い場合には、低温でのポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下することがある。粘着付与樹脂(d)は、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)を製造する際に共存させて乳化重合することにより、樹脂との複合樹脂エマルションとして使用することができるし、公知の方法で乳化された樹脂エマルションを官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)に後添加して使用することもできる。
本発明の官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)を乳化重合する際に使用できる重合開始剤としては、一般に用いられるラジカル重合開始剤である。ラジカル重合開始剤は、熱または還元性物質などによってラジカルを生成してビニル系単量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス系化合物などがある。具体的には過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などがあり、好ましくは水溶性のものである。なお、重合速度の促進や低温反応を望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホオキシレート塩などの還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の使用量は、単量体成分100質量部に対して、通常0.02〜3質量部であるが、好ましくは0.05〜1質量部である。
本発明の官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)を得るための乳化重合は、水媒体中で、固形分濃度を通常30〜75質量%、好ましくは40〜65質量%程度で行うことができる。重合反応は、通常40〜95℃、好ましくは60〜90℃程度の反応温度で、1〜10時間、好ましくは4〜8時間程度行えばよい。単量体の添加方法としては、一括添加法、分割添加法、連続添加法などで、モノマータップ法、モノマープレ乳化タップ法などの方法で行うことができる。好ましくは連続添加法でモノマープレ乳化タップ法である。
乳化重合反応によって得られる官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)は、平均粒子径0.2〜1.0μmが適当である。平均粒子径がこの範囲にあれば、水分散性が良好であり、ビニル系重合体(B)との混和性も良好である。粒子径が小さ過ぎると、塗工時の機械安定性が悪くなる傾向にあり、大き過ぎると塗工面にスジなどの塗工むらが発生するなどの傾向がある。官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)の平均粒子径については、乳化剤や開始剤の種類、および添加量、添加方法、攪拌条件などを適宜設定することにより容易に調整することができる。
必要に応じて乳化重合に際し、分子量調整剤を使用することもできる。分子量調整剤としては、具体的に、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル、イソプロピルアルコール、メタノール、四塩化炭素などが挙げられる。その使用量は、単量体成分に対して0.001〜2.0質量%であり、好ましくは0.05〜1.0質量%である。
本発明に使用するビニル系重合体(B)は、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力の向上と、断裁などの二次加工性の向上や、電子写真方式での通紙性の付与に必要なものであり、エマルションの平均粒子径が0.05〜0.6μmが好ましく、ガラス転移温度(以後Tgで示す)が−50〜50℃であることが好ましい。平均粒子径が0.05μmより小さい場合、ビニル系重合体(B)エマルションの機械安定性が悪く、アクリル系高分子(A)との混合時に、粗粒の発生が起こりやすい。平均粒子径が0.6μmより大きい場合は、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下する傾向にある。Tgが−50℃より低い場合は、アクリル系高分子(A)に配合した粘着剤組成物のポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力は向上するが、断裁などの二次加工性が悪くなり、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起き易くなる。Tgが50℃を超える場合は、断裁などの二次加工性は向上するが、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力、特に室温から低温領域での接着性が悪くなることがある。ここで、エマルションの平均粒子径は、光散乱法粒子径分布測定機を用い、例えばナイコンプ モデル370(パーティクル サイジングシステム工業社製)にて測定した値である。ビニル系重合体(B)のTgは、日本エマルジョン工業会規格「合成樹脂エマルジョンの皮膜硬さ表示方法(107−1996)」に記載の各ホモポリマーのTg値を使用して計算式から求めた値である。
ビニル系重合体(B)の使用量は、アクリル系高分子(A)の固形分100質量部に対して固形分で0.5〜20質量部である。その使用量が0.5質量部より少ない場合は、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着性や断裁などの二次加工性への効果が少ない。20質量部を超える場合には、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する低温領域での接着力が低下する。ビニル系重合体(B)は、粘着付与樹脂と併用することによりポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力、断裁などの二次加工性はさらに向上する。
本発明のビニル系重合体(B)は、ホモポリマーのTgが70〜110℃と高い単量体成分(以下、「硬質単量体」ともいう。)、ホモポリマーのTgが−100〜−10℃と低い単量体成分(以下、「軟質単量体」ともいう。)、および官能基含有不飽和単量体からなる単量体混合物の共重合により得る。ホモポリマーのTgが70〜110℃である硬質単量体としては、具体的には、スチレン、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ビニルベンゾエート、アクリロニトリル、t−ブチルメタクリレートなどが挙げられ、好ましくはスチレン、メチルメタクリレートである。ホモポリマーのTgが−100〜−10℃である軟質単量体としては、具体的に、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレートなどが挙げられる。これらの群より少なくとも1種以上使用することができる。
本発明のビニル系重合体(B)はガラス転移温度が−50〜50℃になるように、例えば、単量体成分を100質量%として、Tgが70〜110℃である硬質単量体25.0〜85.0質量%、Tgが−100〜−10℃である軟質単量体14.5〜70質量%、カルボキシル基含有不飽和単量体、カルボニル基含有不飽和単量体および水酸基含有不飽和単量体から選ばれた少なくとも1種以上の官能基含有不飽和単量体0.5〜5.0質量%を単量体成分として用いて、水媒体中で、乳化剤の存在下に通常の公知の乳化重合法によって得ることができる。
本発明の水性粘着剤組成物は、さらに保持力を高めるために架橋剤を添加することができる。使用できる架橋剤としては、1分子中にグリシジル基を少なくとも2個以上有するグリシジル化合物、1分子中にアジリジン基を少なくとも2個以上有するアジリジン化合物、1分子中にオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物、1分子中にヒドラジド基を少なくとも2個以上有するヒドラジド化合物または多価金属錯塩を使用することができる。アクリル系高分子(A)およびビニル系重合体(B)に使用する官能基の種類によって選択して使用することができる。
1分子中にグリシジル基を少なくとも2個以上有するグリシジル化合物としては、具体的に、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。その使用量は、該グリシジル化合物によって導入されるエポキシ基が、アクリル系高分子(A)およびビニル系重合体(B)のポリマー粒子を構成するカルボキシル基あるいは水酸基1当量に対して0.01〜2当量である。使用量が0.01当量より少ない場合は、断裁などの二次加工性が悪く、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起き易くなる。2当量を超える場合は、凝集力が高くなり過ぎ、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下することがある。
1分子中にアジリジン基を少なくとも2個以上有するアジリジン化合物としては、具体的に、1、1’−(メチレンージーp−フェニレン)ビスー3、3−アジリジニル尿素、1、1’−(ヘキサメチレン)ビスー3、3−アジリジニル尿素、エチレンビスー(2−アジリジニルプロピオネート)、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキサイド、2、4、6−トリアジリジニルー1、3、5−トリアジン、トリメチロールプロパンートリスー(2−アジリジニルプロピオネート)などが挙げられる。その使用量は、該アジリジン化合物によって導入されるアジリジン基が、アクリル系高分子(A)およびビニル系重合体(B)のポリマー粒子を構成するカルボキシル基1当量に対して0.01〜2当量である。使用量が0.01当量より少ない場合は、断裁などの二次加工性が悪く、2当量を超える場合は、凝集力が高くなり過ぎ、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下することがある。
本発明において用いられる1分子中にオキサゾリン 基を含有する化合物としては、分子内にオキサゾリン 基を有するもので、かつ水分散体又は水溶性の架橋剤であれば、制限なく使用できる。例えば、特公平7−68499号公報に記載されているように、2-ビニル−2−オキサゾリン 、2-ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン 、2-ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン 、2-イソプロペニル−2−オキサゾリン 、2-イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン 、2-イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン 等の付加重合性オキサゾリン を1種又は2種以上と前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を用いて共重合等により得られた水系架橋剤が用いられる。具体的には、株式会社日本触媒製、商品名「エポクロスK−1010E」、「エポクロスK−1020E」、「エポクロスK−1030E」、「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスK−2030E」、「エポクロスWS−500」、「エポクロスWS−700」を使用できる。オキサゾリン基を含有する水系架橋剤の使用量は、導入されるオキサゾリン基が、アクリル系高分子(A)およびビニル系重合体(B)のポリマー粒子を構成するカルボキシル基1当量に対して0.01〜2当量である。使用量が0.01当量より少ない場合は、断裁などの二次加工性が悪くなり、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起き易くなる。2当量を超える場合は、凝集力が高くなり過ぎ、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下することがある。
1分子中にヒドラジド基を少なくとも2個以上有するヒドラジド化合物としては、具体的に、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジド、プロピレン−1,3−ジヒドラジド、ブチレン−1,4−ジヒドラジドなどが挙げられる。その使用量は、該ヒドラジド化合物によって導入されるヒドラジド基が、アクリル系高分子(A)およびビニル系重合体(B)のポリマー粒子を構成するカルボニル基1当量に対して0.01〜2当量である。使用量が0.01当量より少ない場合は、断裁などの二次加工性が悪く、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起き易くなる。2当量を超える場合は、凝集力が高くなり過ぎ、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下することがある。
多価金属錯塩としては、その水溶液または水分散液として使用することができる。塗工し乾燥後に、アクリル系高分子(A)またはビニル系共重合体(B)中のカルボキシル基と金属架橋しうる二価以上の金属化合物から選ばれる。例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、チタンなどの無機酸塩、有機酸塩などが挙げられる。これらの金属塩は、アンモニアを含有する金属塩のアンモニウム錯体として使用することが好ましい。特に、配合液の安定性、金属架橋した後の凝集力上昇の点から亜鉛、ジルコニウムから選ばれた炭酸塩のアンモニウム錯塩がより効果的で、炭酸ジルコアンモニウム、炭酸亜鉛アンモニウム、酢酸亜鉛のアンモニウム錯塩などを使用することができる。その使用量は、アクリル系高分子(A)中のカルボキシル基に対して0.01〜1当量が好ましい。0.01当量より少ないと、断裁などの二次加工性が悪く、電子写真感光ドラムや定着ロールへの粘着剤の付着が起き易くなる。1当量を超える場合は、凝集力が高くなり過ぎ、ポリオレフィン系フィルム等の各種被着体に対する接着力が低下することがある。
本発明の粘着剤組成物に、必要に応じて公知の添加剤である成膜助剤、可塑剤、充填剤、顔料、粘性調整剤、消泡剤、防腐剤、分散剤、酸化防止剤、凍結防止剤、防炎剤、難燃剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の粘着シートを構成する方法について格別の限定はなく、常法に従って例えば、剥離シートに粘着剤組成物を塗布し、乾燥することにより粘着剤層を形成し、表面基材を貼り合わせて調湿等を行って粘着シートに仕上げられる。
粘着剤層を形成するための塗被方法としては、一般に従来の塗被装置、例えばリバースロールコータ、ナイフコータ、エアーナイフコータ、スロットダイコータ、カーテンコータ、リバースグラビアコータ、バリオグラビアコータ等の装置を適宜用いることができる。粘着剤層の塗工量は10〜30g/m2、好ましくは12〜25g/m2である。
粘着シートとしての用途適性上、表面基材と粘着剤が一体となり、剥離剤/剥離基体の構成である剥離シート表面より容易に剥がれなければならない。そのため、各種の剥離剤が剥離基体表面に塗被されて、離型性が付与されているが、これは表面基材/粘着剤の層と剥離シート表面とのズレ易さを誘発させる原因となっている。
粘着剤層を形成するための塗被方法としては、一般に従来の塗被装置、例えばリバースロールコータ、ナイフコータ、エアーナイフコータ、スロットダイコータ、カーテンコータ、リバースグラビアコータ、バリオグラビアコータ等の装置を適宜用いることができる。粘着剤層の塗工量は10〜30g/m2、好ましくは12〜25g/m2である。
粘着シートとしての用途適性上、表面基材と粘着剤が一体となり、剥離剤/剥離基体の構成である剥離シート表面より容易に剥がれなければならない。そのため、各種の剥離剤が剥離基体表面に塗被されて、離型性が付与されているが、これは表面基材/粘着剤の層と剥離シート表面とのズレ易さを誘発させる原因となっている。
かかる構造のため、粘着シートに不自然な外力がかかった場合、表面基材/粘着剤の層と剥離シート表面で微小なズレが生じることになり、そのことが粘着シートにおける表面基材と剥離シートとの間に介在する粘着剤のはみ出し(以下「ウーズ」と称する)の大きな原因となっている。かかるウーズの発生は、表面基材、粘着剤、剥離シートが積層されてなる粘着シートにおいて、該剥離シートの剥離表面とショアーA硬度が65°のクロロプレンゴムとの、JIS P8147に準じた方法で測定したときの動摩擦係数が0.20以上である場合、抑えることができる(特許文献2)。
本発明の剥離シートとしては、例えば米坪が30〜300g/m2程度の各種繊維シート類、具体的には紙基材に必要に応じて剥離剤の浸透防止としてバリヤー層を設けた原紙、グラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、ポリラミ原紙等に剥離剤を塗布したものが剥離シートとして利用される。
また、本発明で特定する動摩擦係数が0.2以上となるような剥離剤としては、例えば東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSD−7239、BY24−162、LTC−300B、LTC−350A、LTC−350G、LTC−370G、BY−14−403、BY−14−405、BY−14−407、BY−14−413、BY−14−414、BY−14−411、BY−14−420、SP7248S、BY24−452、SP7268S、SP7265S、LTC1050L、LTC1070Mなど、あるいは信越化学工業(株)製のKS−845、KS−770、KNS−202A、KNS−305、KNS−316、KNS−319、KNS−320、KNS−303、KNS−309、KNS−310、KNS−3300、X−62−1232、X−62−1233などが挙げられる。
剥離剤層を形成するための塗被方法としては、一般に従来の塗被装置、例えばダイレクトグラビアコータ、メイヤーバーコータ、エアーナイフコータ、オフセットグラビアコータ、多段ロールコータ等の装置を適宜用いることができる。剥離剤層の塗工量は0.01〜2.0g/m2、好ましくは0.05〜1.2g/m2である。
剥離剤層を形成するための塗被方法としては、一般に従来の塗被装置、例えばダイレクトグラビアコータ、メイヤーバーコータ、エアーナイフコータ、オフセットグラビアコータ、多段ロールコータ等の装置を適宜用いることができる。剥離剤層の塗工量は0.01〜2.0g/m2、好ましくは0.05〜1.2g/m2である。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが,勿論、それらの範囲に限定されるものでない。なお実施例中の「部」及び「%」は特に断わらない限り、「質量部」及び「質量%」を示す。
(実施例1)
[シート状紙基材の製造]
LBKP(CSFフリーネス550ml)100質量部のパルプスラリーに、紙力剤としてポリアクリルアミド系樹脂(商品名:PS194−7、荒川化学社製)0.2%、湿潤紙力増強剤としてポリアミド・エピクロルヒドリン系樹脂(商品名:WS570、日本PMC社製)0.2%、硫酸バンド1部を添加し、これらの混合物を白水で希釈してpH5.3、固形分濃度1.1%の紙料を調製した。この紙料を、長網抄紙機に供して抄紙し、得られた湿紙に、酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を濃度6%で含むサイズプレス液を、サイズプレス装置で塗布量が乾燥質量で2g/m2となるように塗布し、乾燥して、さらにマシンカレンダを用いてベック平滑度が50秒になるように平滑化処理を施して、坪量が60g/m2のシート状紙基材を製造した。
[シート状紙基材の製造]
LBKP(CSFフリーネス550ml)100質量部のパルプスラリーに、紙力剤としてポリアクリルアミド系樹脂(商品名:PS194−7、荒川化学社製)0.2%、湿潤紙力増強剤としてポリアミド・エピクロルヒドリン系樹脂(商品名:WS570、日本PMC社製)0.2%、硫酸バンド1部を添加し、これらの混合物を白水で希釈してpH5.3、固形分濃度1.1%の紙料を調製した。この紙料を、長網抄紙機に供して抄紙し、得られた湿紙に、酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を濃度6%で含むサイズプレス液を、サイズプレス装置で塗布量が乾燥質量で2g/m2となるように塗布し、乾燥して、さらにマシンカレンダを用いてベック平滑度が50秒になるように平滑化処理を施して、坪量が60g/m2のシート状紙基材を製造した。
[塗被液の調製]
構造性カオリン(商品名:アストラプラス、イメリス社製)80質量部と重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)20質量部に、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンA−9、東亞合成社製)0.2質量部を加え、コーレス分散機を用いて水分散して顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)3.0質量部及びスチレン−ブタジエン系コア−シェル構造高分子化合物<Tg1:−10℃、Tg2:+28℃>(商品名:S2524、JSR社製)12質量部を添加、攪拌し、さらに水を加えて、固形分濃度60%の塗被液を調製した。
構造性カオリン(商品名:アストラプラス、イメリス社製)80質量部と重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)20質量部に、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンA−9、東亞合成社製)0.2質量部を加え、コーレス分散機を用いて水分散して顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)3.0質量部及びスチレン−ブタジエン系コア−シェル構造高分子化合物<Tg1:−10℃、Tg2:+28℃>(商品名:S2524、JSR社製)12質量部を添加、攪拌し、さらに水を加えて、固形分濃度60%の塗被液を調製した。
[塗被層の形成]
得られた塗被液を、前記シート状紙基材の両面に、ブレードコータを用いて片面当たり乾燥塗布質量が11g/m2となるように塗被し、乾燥して、金属ロールと弾性ロールで構成された加圧ニップに通紙して、塗被層表面のJIS Z8741に基づく入射・受光角75度の光沢度が70%となるように表面処理し、坪量82g/m2の塗被紙(表面基材)を得た。
得られた塗被液を、前記シート状紙基材の両面に、ブレードコータを用いて片面当たり乾燥塗布質量が11g/m2となるように塗被し、乾燥して、金属ロールと弾性ロールで構成された加圧ニップに通紙して、塗被層表面のJIS Z8741に基づく入射・受光角75度の光沢度が70%となるように表面処理し、坪量82g/m2の塗被紙(表面基材)を得た。
[粘着剤の重合]
予めビーカーに2−エチルヘキシルアクリレート50質量部、ブチルアクリレート48.5質量部、アクリル酸1質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.5質量部、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:ラテムルWX、花王社製)4質量部および脱イオン水42.4質量部を取り、強攪拌して乳化する。攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水10.7質量部を仕込み、窒素を流入させて、内温80℃まで昇温させ、脱イオン水で10%に溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を仕込む。予めビーカーに調整した乳化物を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム3質量部を滴下する。内温80〜85℃で乳化重合を行う。滴下終了後同温度で3時間熟成した後、室温に冷却する。25%アンモニア水0.8質量部を添加する。アルカリ増粘型ポリアクリル酸ナトリウム系増粘剤で粘度調整して固形分62%、粘度5,500mPa・s、pH8.0である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系高分子(A)−1を製造した。
予めビーカーに2−エチルヘキシルアクリレート50質量部、ブチルアクリレート48.5質量部、アクリル酸1質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.5質量部、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:ラテムルWX、花王社製)4質量部および脱イオン水42.4質量部を取り、強攪拌して乳化する。攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水10.7質量部を仕込み、窒素を流入させて、内温80℃まで昇温させ、脱イオン水で10%に溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を仕込む。予めビーカーに調整した乳化物を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム3質量部を滴下する。内温80〜85℃で乳化重合を行う。滴下終了後同温度で3時間熟成した後、室温に冷却する。25%アンモニア水0.8質量部を添加する。アルカリ増粘型ポリアクリル酸ナトリウム系増粘剤で粘度調整して固形分62%、粘度5,500mPa・s、pH8.0である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系高分子(A)−1を製造した。
予め、ビーカーにブチルアクリレート66質量部、メチルメタクリレート31.5質量部、アクリル酸2質量部、アセトアセトキシエチルメタクリレート0.5質量部およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:ラテムルWX、花王社製)3.6質量部および脱イオン水51.6質量部を取り、強攪拌して乳化する。攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水41.6質量部およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:ラテムルWX、花王社製)0.4質量部を仕込む。窒素を流入して内温80℃まで昇温させ、脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を仕込み、予めビーカーに調整した乳化物を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を滴下する。内温80〜85℃で乳化重合を行う。滴下終了後同温度で3時間熟成した後、室温に冷却する。25%アンモニア水0.8質量部を添加してTg−15℃、平均粒子径0.3μm、固形分50%、粘度450mPa・s、pH7.8であるビニル系重合体(B)−1を得た。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系高分子(A)−1を固形分で100質量部、粘着付与樹脂重合ロジンペンタエリスリトールエステル(商品名:スーパーエステルE−650、固形分50%、軟化点160℃、荒川化学工業社製)を固形分で5.3質量部、ビニル系重合体(B)−1を固形分で5.3質量部を配合し、固形分、粘度、pHを調整した粘着剤(1)を得た。
[粘着シートの製造]
上質系剥離シート(商品名:50EVS、王子製紙社製)の剥離剤塗布面に前記粘着剤(1)をリバースロールコータで乾燥塗布量が16g/m2となるように塗工して乾燥した。続いて、この粘着剤層面に上記表面基材を重ねてプレスロールで貼り合わせて粘着シートを作製した。
上質系剥離シート(商品名:50EVS、王子製紙社製)の剥離剤塗布面に前記粘着剤(1)をリバースロールコータで乾燥塗布量が16g/m2となるように塗工して乾燥した。続いて、この粘着剤層面に上記表面基材を重ねてプレスロールで貼り合わせて粘着シートを作製した。
(実施例2)
[シート状紙基材の製造]
LBKP(CSFフリーネス550ml)100質量部のパルプスラリーに、紙力剤としてポリアクリルアミド系樹脂(商品名:PS194−7、荒川化学社製)0.3%、湿潤紙力増強剤としてポリアミド・エピクロルヒドリン系樹脂(商品名:WS570、日本PMC社製)0.3%、硫酸バンド1質量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈してpH5.3、固形分濃度1.1%の紙料を調製した。この紙料を長網抄紙機に供して抄紙し、得られた湿紙に酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を濃度6%で含むサイズプレス液をサイズプレス装置で塗布量が乾燥重量で2g/m2となるように塗布、乾燥した。続いてこれにマシンカレンダによりベック平滑度が50秒になるように平滑化処理を施して、坪量が60g/m2のシート状紙基材を製造した。
[シート状紙基材の製造]
LBKP(CSFフリーネス550ml)100質量部のパルプスラリーに、紙力剤としてポリアクリルアミド系樹脂(商品名:PS194−7、荒川化学社製)0.3%、湿潤紙力増強剤としてポリアミド・エピクロルヒドリン系樹脂(商品名:WS570、日本PMC社製)0.3%、硫酸バンド1質量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈してpH5.3、固形分濃度1.1%の紙料を調製した。この紙料を長網抄紙機に供して抄紙し、得られた湿紙に酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を濃度6%で含むサイズプレス液をサイズプレス装置で塗布量が乾燥重量で2g/m2となるように塗布、乾燥した。続いてこれにマシンカレンダによりベック平滑度が50秒になるように平滑化処理を施して、坪量が60g/m2のシート状紙基材を製造した。
[塗被液の調製]
カオリン(商品名:カオグロス、イメリス社製)100質量部、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンA−9、東亜合成社製)0.2質量部を加え、コーレス分散機を用いて顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)3.0質量部、スチレン−ブタジエン系コア−シェル構造高分子化合物<Tg1:−10℃、Tg2:+28℃>(商品名:S2524、JSR社製)12質量部を添加、攪拌し、さらに水を加えて、固形分濃度60%の塗被液を調製した。
カオリン(商品名:カオグロス、イメリス社製)100質量部、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンA−9、東亜合成社製)0.2質量部を加え、コーレス分散機を用いて顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)3.0質量部、スチレン−ブタジエン系コア−シェル構造高分子化合物<Tg1:−10℃、Tg2:+28℃>(商品名:S2524、JSR社製)12質量部を添加、攪拌し、さらに水を加えて、固形分濃度60%の塗被液を調製した。
[塗被層の形成]
得られた塗被液を前記シート状紙基材の両面に、ブレードコータを用いて片面当たり乾燥質量が11g/m2となるように塗被し、金属ロールと弾性ロールで構成された加圧ニップに通紙して、塗被層表面のJIS Z8741に基づく入射・受光角75度の光沢度が70%になるように調整して坪量82g/m2の塗被紙(表面基材)を得た。
得られた塗被液を前記シート状紙基材の両面に、ブレードコータを用いて片面当たり乾燥質量が11g/m2となるように塗被し、金属ロールと弾性ロールで構成された加圧ニップに通紙して、塗被層表面のJIS Z8741に基づく入射・受光角75度の光沢度が70%になるように調整して坪量82g/m2の塗被紙(表面基材)を得た。
[粘着剤の重合]
予めビーカーに2−エチルヘキシルアクリレート70質量部、ブチルアクリレート28.5質量部、アクリル酸1質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.5質量部、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:ラテムルWX、花王社製)4質量部および脱イオン水42.4質量部を取り、強攪拌して乳化する。攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水10.7質量部を仕込み、窒素を流入させて、内温80℃まで昇温させ、脱イオン水で10%に溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を仕込む。予めビーカーに調整した乳化物を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム3質量部を滴下する。内温80〜85℃で乳化重合を行う。滴下終了後同温度で3時間熟成した後、室温に冷却する。25%アンモニア水0.8質量部を添加する。アルカリ増粘型ポリアクリル酸ナトリウム系増粘剤で粘度調整して固形分62%、粘度5,500mPa・s、pH8.0である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系高分子(A)−2を製造した。
予めビーカーに2−エチルヘキシルアクリレート70質量部、ブチルアクリレート28.5質量部、アクリル酸1質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.5質量部、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:ラテムルWX、花王社製)4質量部および脱イオン水42.4質量部を取り、強攪拌して乳化する。攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水10.7質量部を仕込み、窒素を流入させて、内温80℃まで昇温させ、脱イオン水で10%に溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を仕込む。予めビーカーに調整した乳化物を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム3質量部を滴下する。内温80〜85℃で乳化重合を行う。滴下終了後同温度で3時間熟成した後、室温に冷却する。25%アンモニア水0.8質量部を添加する。アルカリ増粘型ポリアクリル酸ナトリウム系増粘剤で粘度調整して固形分62%、粘度5,500mPa・s、pH8.0である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系高分子(A)−2を製造した。
予め、ビーカーに2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、メチルメタクリレート20質量部およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:ラテムルWX、花王社製)1.6質量部および脱イオン水51.6質量部を取り、強攪拌して乳化する。攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水41.6質量部およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:ラテムルWX、花王社製)0.4質量部を仕込む。窒素を流入して内温80℃まで昇温させ、脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を仕込み、予めビーカーに調整した乳化物を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を滴下する。内温80〜85℃で乳化重合を行う。滴下終了後同温度で3時間熟成した後、室温に冷却する。25%アンモニア水0.8質量部を添加してTg44℃、平均粒子径0.3μm、固形分50%、粘度450mPa・s、pH7.8であるビニル系重合体(B)−2を得た。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系高分子(A)−2を固形分で100質量部、粘着付与樹脂重合ロジンペンタエリスリトールエステル(商品名:スーパーエステルE−650、固形分50%、軟化点160℃、荒川化学工業社製)を固形分で6.1質量部、ビニル系重合体(B)−2を固形分で2.0質量部を配合し、固形分、粘度、pHを調整した粘着剤(2)を得た。
[粘着シートの製造]
上質系剥離シート(商品名:50EVS、王子製紙社製)の剥離剤塗布面に前記粘着剤(2)をリバースロールコータで乾燥塗布量が15g/m2となるように塗工して乾燥した。続いて、この粘着剤層面に上記表面基材を重ねてプレスロールで貼り合わせて粘着シートを作製した。
[粘着シートの製造]
上質系剥離シート(商品名:50EVS、王子製紙社製)の剥離剤塗布面に前記粘着剤(2)をリバースロールコータで乾燥塗布量が15g/m2となるように塗工して乾燥した。続いて、この粘着剤層面に上記表面基材を重ねてプレスロールで貼り合わせて粘着シートを作製した。
(比較例1)
[シート状紙基材の製造]
LBKP(CSFフリーネス550ml)100質量部のパルプスラリーに、ロジンエマルションサイズ剤1.5質量部、カチオン化澱粉0.5質量部、硫酸バンド2質量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈してpH5.3、固形分濃度1.1%の紙料を調製した。この紙料を長網抄紙機に供して抄紙し、得られた湿紙に酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を濃度6%で含むサイズプレス液をサイズプレス装置で塗布量が乾燥重量で0.5g/m2となるように塗布、乾燥した。続いてこれにマシンカレンダによりベック平滑度が40秒になるように平滑化処理を施して、坪量が64g/m2のシート状紙基材を製造した。
[シート状紙基材の製造]
LBKP(CSFフリーネス550ml)100質量部のパルプスラリーに、ロジンエマルションサイズ剤1.5質量部、カチオン化澱粉0.5質量部、硫酸バンド2質量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈してpH5.3、固形分濃度1.1%の紙料を調製した。この紙料を長網抄紙機に供して抄紙し、得られた湿紙に酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を濃度6%で含むサイズプレス液をサイズプレス装置で塗布量が乾燥重量で0.5g/m2となるように塗布、乾燥した。続いてこれにマシンカレンダによりベック平滑度が40秒になるように平滑化処理を施して、坪量が64g/m2のシート状紙基材を製造した。
[塗被液の調製]
構造性カオリン(商品名:アストラプラス、イメリス社製)10質量部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)90質量部に、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンA−9、東亜合成社製)0.2質量部を加え、コーレス分散機を用いて顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)3.0質量部、スチレン−ブタジエン系単一構造高分子化合物<Tg:−10℃>(商品名:G1176、旭化成社製)10質量部を添加、攪拌し、さらに水を加えて、固形分濃度60%の塗被液を調製した。
構造性カオリン(商品名:アストラプラス、イメリス社製)10質量部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)90質量部に、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンA−9、東亜合成社製)0.2質量部を加え、コーレス分散機を用いて顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)3.0質量部、スチレン−ブタジエン系単一構造高分子化合物<Tg:−10℃>(商品名:G1176、旭化成社製)10質量部を添加、攪拌し、さらに水を加えて、固形分濃度60%の塗被液を調製した。
[塗被層の形成]
得られた塗被液を前記シート状紙基体の両面に、ブレードコータを用いて片面当たり乾燥質量が11g/m2となるように塗被し、金属ロールと弾性ロールで構成された加圧ニップに通紙して、塗被層表面のJIS Z8741に基づく入射・受光角75度の光沢度が70%になるように調整して坪量86g/m2の塗被紙(表面基材)を得た。
得られた塗被液を前記シート状紙基体の両面に、ブレードコータを用いて片面当たり乾燥質量が11g/m2となるように塗被し、金属ロールと弾性ロールで構成された加圧ニップに通紙して、塗被層表面のJIS Z8741に基づく入射・受光角75度の光沢度が70%になるように調整して坪量86g/m2の塗被紙(表面基材)を得た。
[粘着シートの作製]
上質系剥離シート(商品名:50EVS、王子製紙社製)の剥離剤塗布面にアクリル系高分子(A)のみから成るアクリル系粘着剤(商品名:オリバインBPW5659−2、東洋インキ製造社製)を、リバースロールコータで乾燥塗布量が17g/m2となるように塗工して乾燥した。続いて、この粘着剤層面に上記表面基材を重ねてプレスロールで貼り合わせて粘着シートを作製した。
上質系剥離シート(商品名:50EVS、王子製紙社製)の剥離剤塗布面にアクリル系高分子(A)のみから成るアクリル系粘着剤(商品名:オリバインBPW5659−2、東洋インキ製造社製)を、リバースロールコータで乾燥塗布量が17g/m2となるように塗工して乾燥した。続いて、この粘着剤層面に上記表面基材を重ねてプレスロールで貼り合わせて粘着シートを作製した。
上記粘着シートについて、接着力、剥離力、プリンタの汚れ、印字特性(「画像部白抜け」、「トナーブリスター」、「ペーパーブリスター」、「トナー定着性」)について以下の通りに評価し、その結果を表1に示す。
評価方法
[接着力]粘着剤のポリエチレン板に対する接着力で、JIS Z 1538に準じて、23℃、50%RHの室内で粘着シートをポリエチレン板に2Kgのローラーで2往復して貼り付け、2時間後に、インストロン型引張り試験機を使って300mm/minの引張り速度で180°の角度に剥離した際の荷重(N/m)を測定した。
[剥離力]23℃、50%RHの室内で粘着シートの流れ方向を長辺とする10cm×5cmの試料を調製し、インストロン型引張り試験機を使って300mm/minの引張り速度で180°の角度に剥離紙から剥離した際の荷重(N/m)を測定した。
[プリンタの汚れ]
リコー製IPSIO CX3000を用いて印字し、感光体及び定着ロールへの糊付着を目視評価した。
○ : 糊の付着が観られなく良好
△ : 糊の付着が若干観られるが実用上問題ない。
× : 糊の付着が著しく観られ実用上問題ある。
[印字特性]
リコー製IPSIO CX3000を用いて印字し、画像部の欠陥を目視評価した。
[画像部白抜け」
○ : 画像部に白抜けが観られなく良好
△ : 画像部に白抜けが若干観られるが実用上問題ない。
× : 画像部に白抜けが著しく観られ実用上問題ある。
[トナーブリスター]
○ : 画像部にトナーブリスターが観られなく良好
△ : 画像部に白抜けが若干観られるが実用上問題ない。
× : 画像部に白抜けが著しく観られ実用上問題ある。
[ペーパーブリスター]
○ : 画像部にペーパーブリスターが観られなく良好
△ : 画像部にペーパーブリスターが若干観られるが実用上問題ない。
× : 画像部にペーパーブリスターが著しく観られ実用上問題ある。
[トナー定着性]
乾式間接電子写真方式のリコー製カラー複写機IPSIO CX300を用いて、Yellow、Magenta、Cyan、Red、Green、Blue、及び、Yellow、Magenta、Cyanの混色Blackの、各画像面積率10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%の2cm×2cmのパッチを転写紙の両面に転写、定着し、2面目の各画像パッチを折り曲げ、戻した時の画像の欠落により、トナー定着性を判断した。
○ : 画像欠落なし
△ : 画像欠落が若干見られるが、実用上問題なし
× : 画像欠落が多く、実用上問題あり
[接着力]粘着剤のポリエチレン板に対する接着力で、JIS Z 1538に準じて、23℃、50%RHの室内で粘着シートをポリエチレン板に2Kgのローラーで2往復して貼り付け、2時間後に、インストロン型引張り試験機を使って300mm/minの引張り速度で180°の角度に剥離した際の荷重(N/m)を測定した。
[剥離力]23℃、50%RHの室内で粘着シートの流れ方向を長辺とする10cm×5cmの試料を調製し、インストロン型引張り試験機を使って300mm/minの引張り速度で180°の角度に剥離紙から剥離した際の荷重(N/m)を測定した。
[プリンタの汚れ]
リコー製IPSIO CX3000を用いて印字し、感光体及び定着ロールへの糊付着を目視評価した。
○ : 糊の付着が観られなく良好
△ : 糊の付着が若干観られるが実用上問題ない。
× : 糊の付着が著しく観られ実用上問題ある。
[印字特性]
リコー製IPSIO CX3000を用いて印字し、画像部の欠陥を目視評価した。
[画像部白抜け」
○ : 画像部に白抜けが観られなく良好
△ : 画像部に白抜けが若干観られるが実用上問題ない。
× : 画像部に白抜けが著しく観られ実用上問題ある。
[トナーブリスター]
○ : 画像部にトナーブリスターが観られなく良好
△ : 画像部に白抜けが若干観られるが実用上問題ない。
× : 画像部に白抜けが著しく観られ実用上問題ある。
[ペーパーブリスター]
○ : 画像部にペーパーブリスターが観られなく良好
△ : 画像部にペーパーブリスターが若干観られるが実用上問題ない。
× : 画像部にペーパーブリスターが著しく観られ実用上問題ある。
[トナー定着性]
乾式間接電子写真方式のリコー製カラー複写機IPSIO CX300を用いて、Yellow、Magenta、Cyan、Red、Green、Blue、及び、Yellow、Magenta、Cyanの混色Blackの、各画像面積率10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%の2cm×2cmのパッチを転写紙の両面に転写、定着し、2面目の各画像パッチを折り曲げ、戻した時の画像の欠落により、トナー定着性を判断した。
○ : 画像欠落なし
△ : 画像欠落が若干見られるが、実用上問題なし
× : 画像欠落が多く、実用上問題あり
Claims (5)
- 表面基材、粘着剤、剥離剤、剥離基体を順次積層した粘着シートにおいて、前記表面基材が、基紙と、その少なくとも一面上に形成され、かつ顔料および接着剤を主成分として含む塗被層とを有し、前記塗被層の表面が、50%以上の光沢度であり、前記表面基材の透気度が7000秒以下であり、且つ前記粘着剤が、アクリル系高分子(A)とガラス転移温度が−50℃〜50℃のビニル系重合体(B)とからなり、(B)の含有量が、(A)100質量部(固形分)に対して0.5〜20質量部(固形分)からなることを特徴とする粘着シート。
- 前記顔料が、平均粒子径0.3〜1.5μm、かつ下記式(1)を満足するカオリン粒子:5≦L/W≦50 (1)
〔但し、式(1)中、Lはカオリン粒子の長径を表し、Wはカオリン粒子の短径を表す〕および前記接着剤が、(a)10〜60℃のガラス転移温度を有し、かつ単一構造を有する共重合体、及び(b)コア−シェル構造を有する合成高分子化合物から選ばれた少なくとも1種である、請求項1記載の粘着シート。 - 前記アクリル系高分子(A)が、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)と粘着付与樹脂(d)とを含有してなる請求項1記載の粘着シート。
- 前記官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(c)の官能基成分が、カルボキシル基含有不飽和単量体、カルボニル基含有不飽和単量体、水酸基含有不飽和単量体およびエポキシ基含有不飽和単量体から選ばれた少なくとも1種である請求項3項記載の粘着シート。
- 前記粘着剤が、グリシジル基、アジリジン基、オキサゾリン基、ヒドラジド基および多価金属錯塩から選ばれた少なくとも1種の架橋基を有する架橋剤で架橋されたものである、請求項1に記載の粘着シート。
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