JP4753450B2 - 紙用コート剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤バリアー性、顔料分散性、離解性に優れた紙用コート剤、とくに剥離用アンダーコート剤に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
粘着シート、ラベルなどにおいて、粘着剤(層)の保護やラベルの貼付または印刷加工時の支持などを目的として、これらに剥離紙を積層することが行なわれている。
【0003】
このような剥離紙の製造は、基紙の上にポリエチレンをラミネートし、その上にシリコーン樹脂などの剥離剤溶液を塗布する方法が主流である。しかし、資源、環境問題から、使用後の剥離紙を離解させてリサイクルし、再生紙とする必要性が生じてきているため、回収に手間がかかるポリエチレンを含む剥離紙に代わる回収の容易な剥離紙が求められている。
【0004】
回収の容易な剥離紙としては、基紙の上にポリエチレンをラミネートする代わりに、アンダーコート剤(目止剤)を塗工した上に、剥離剤のシリコーン樹脂を、主にトルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの溶剤に溶解させた溶液として、クラフト紙、上質紙などの基紙上に塗工したものが使われてきている。前記アンダーコート剤は、シリコーン樹脂溶液が基紙中へ浸透するのを防ぎ、シリコーン樹脂塗膜を得る目的で設けられている。それゆえ、アンダーコート剤には、前記溶剤に対するバリアー性(耐溶剤性)が要求される。
【0005】
前記アンダーコート剤としては、SBRエマルジョン、アクリルエマルジョンなどのエマルジョン類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの各種水溶性ポリマーや、無機質のクレーなどの顔料が使用されている。
【0006】
前記アンダーコート剤のうち、ポリビニルアルコールは低コストのために現在では主流を占めている。しかし、ポリビニルアルコール水溶液は高粘度となるために高濃度塗工ができないなどの問題が多いのが現状である。
【0007】
クレーは、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーと比べて高濃度塗工が可能であるという特徴を有し、一般的にエマルジョン類などに比べて低コストで塗工量を多くできることから注目されてきているが、塗膜が硬くて脆いために塗膜が割れたり、剥離紙裁断・加工時に粉が発生するという問題がある。この脆さをカバーするために、他のエマルジョンまたは水溶性樹脂を併用している。
【0008】
このような欠点に対して最近エマルジョン型アンダーコート剤が注目されてきている。たとえば、特公平1−156598号公報には親水性のエチレン性不飽和単量体を含む単量体からの水溶性共重合体が提案されている。溶剤バリアー性はその時点では満足するものであったようであるが、最近、コスト見合いで高不揮発分での塗布、クレーなどの顔料を混和することにより樹脂としては低塗布量化する流れが主流となってきており、これにともない、樹脂単独での溶剤バリアー性の向上と、クレーなどを混和したときの分散性の向上が要求されてきている。しかし、これ以上溶剤バリアー性をあげようとすると、親水性基の増加にともないエマルジョン自身およびクレーなどの顔料を混和したときに高粘度化する傾向が生ずる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリコーン樹脂塗工液に対する溶剤バリアー性、顔料分散性、離解性(リサイクル性)に優れた剥離紙用アンダーコート剤を提供することを目的としてなされたものであり、ビニル系単量体を、ビニル系単量体100重量部(以下、部という)に対して未中和物換算で5〜20部のスチレン−マレイン酸共重合体のアルカリ中和塩存在下で、前記ビニル系単量体に対して0.05〜4.0重量部の乳化剤を用いて乳化重合して得られる共重合体エマルジョンからなり、スチレン−マレイン酸共重合体の数平均分子量が500〜20000、酸価が100〜700である紙用コート剤(請求項1)、スチレン−マレイン酸共重合体のアルカリによる中和率が50〜200%である請求項1記載の紙用コート剤(請求項2)、ビニル系単量体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、カルボキシル基を有するビニル系単量体(不飽和カルボン酸)およびスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体である請求項1または2記載の紙用コート剤(請求項3)、顔料がさらに加えられた請求項1、2または3記載の紙用コート剤(請求項4)および請求項1、2、3または4記載の紙用コート剤からなる剥離紙用アンダーコート剤(請求項5)に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるスチレン−マレイン酸共重合体をアルカリで中和した塩(以下、スチレン−マレイン酸共重合体中和塩ともいう)は、本発明に使用されるビニル系単量体を乳化重合して得られる共重合体エマルジョンの保護コロイドとして使用される。
【0011】
前記スチレン−マレイン酸共重合体を形成するスチレン単位とマレイン酸単位の含有割合としては、酸価が100〜700、さらには300〜500になるようにマレイン酸単位を含有させるのが好ましい。酸価が100未満の場合には、塩にしたものの乳化能力が充分でなくなる傾向が生じ、逆に700をこえる場合には、形成されるエマルジョンの安定性が充分でなくなる傾向が生ずる。
【0012】
前記スチレン−マレイン酸共重合体の数平均分子量としては、500〜20000、さらには1000〜10000のものが好ましい。該分子量が500未満の場合には、分散剤としては好ましいが、保護コロイドとしては能力が不足する傾向が生じ、20000をこえる場合には、塩にしたものを用いて行なう乳化重合の重合性が低下する傾向が生ずる。
【0013】
前記スチレン−マレイン酸共重合体をアルカリで中和する際の中和率(ここで、中和率とは、マレイン酸単位中のカルボキシル基の塩基性物質アルカリによる中和率である、100%をこえる分は、マレイン酸単位中のカルボキシル基を中和してあまった分である)は、50〜200%、さらには70〜150%が好ましい。中和率50%未満の場合には、塩にしたものの乳化能力が充分でなくなる傾向が生じ、逆に200%をこえる場合には、乳化重合中に反応性が低下する傾向が生じる。
【0014】
前記アルカリとしては、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリなどがあげられる。これらのなかでも、アンモニア、水酸化ナトリウムが形成される塩が水に溶解しやすい、低コストであるなどの点から好ましい。
【0015】
前記スチレン−マレイン酸共重合体中和塩の使用量は、未中和物換算で前記ビニル系単量体100部に対して5〜20部である。該使用量が1部未満の場合には、溶剤バリアー性、顔料の分散性、離解性などの特性が充分に得られず、30部をこえる場合には、重合安定性が低下するので、所望のエマルジョンが得られない。
【0016】
前記ビニル系単量体を乳化重合して得られる共重合体は、本発明の紙用コート剤の主要成分として紙にコート層を形成し、場合によってはアンダーコート層となるものである。該共重合体は前記スチレン−マレイン酸共重合体中和塩および通常使用される後述する乳化剤によりエマルジョン化され、紙用コート剤とされる。
【0017】
前記ビニル系単量体を乳化重合して得られる重合体が単独重合体ではなく、共重合体であるのは、バリアー性などの性能をよりバランスよく発揮させるために必要であり、また、紙用コート剤として使用される際の造膜温度の調整のためには、共重合体であることが必要なためである。単独重合体では造膜温度の調整は困難である。したがって、共重合体を形成する単量体単位の種類としては、2種以上、好ましくは3〜8種である。
【0018】
前記ビニル系単量体の例としては、たとえば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を有するビニル系単量体(不飽和カルボン酸)、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−メチルロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基以外の官能基を有するビニル系単量体、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレートなどの2つ以上のビニル系基を有する多官能性ビニル系単量体などがあげられる。これらは2種以上用いられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、カルボキシル基を有するビニル系単量体およびスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体であることが好ましい。好ましい組み合わせ方としては、たとえばスチレン、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸などの組み合わせがあげられ、共重合体のTgが−50〜50℃であるのが、塗膜の造膜性、ブロッキング防止性の点から好ましい。
【0019】
なお、本発明におけるビニル系とは、ビニルのみならずビニリデンのようにビニル基に含まれる水素原子が他の基に置換されたものも含む概念である。
【0020】
前記ビニル系単量体の乳化重合は、通常の乳化重合により行なうことができる。この場合、重合反応は水性媒体中で行なわれ、乳化剤が単量体全量に対して0.05〜4.0重量%(以下、%という)、好ましくは0.5〜2.0%程度の範囲で用いられる。この量は通常の量よりも少ない量である。
【0021】
前記乳化剤の具体例としては、たとえばオレイン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン系汎用界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステルなどのアニオン系反応性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤などがあげられる。また、乳化分散能力を有する低分子化合物をオリゴマー化したものや、ポリビニルアルコールおよびその変性物などを単独でまたは前記乳化剤と組み合わせて使用してもよい。これらのうちでも、アニオン系反応性界面活性剤または低分子化合物をオリゴマー化したものが望ましい。これらを用いることで、安定に容易に乳化重合することができる。
【0022】
前記乳化重合時のモノマー濃度としては、通常30〜70%、好ましくは40〜55%程度が用いられる。
【0023】
また、前記乳化重合の際に用いられる重合開始剤としては、一般に用いられているラジカル重合開始剤が用いられる。かかるラジカル重合開始剤の具体例としては、たとえば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤などがあげられる。これらのうちでは過硫酸塩が水溶性であるため取り扱い上の点から好ましい。
【0024】
かくして得られる本発明にかかわる共重合体エマルジョンは、通常、固形分濃度が30〜70%、さらには40〜55%、粘度が100〜10000mPa・s、さらには500〜5000mPa・S、pHが3.0〜9.0程度の特性を有するものである。
【0025】
本発明の共重合体エマルジョンからなる紙用コート剤は、前記共重合体エマルジョンをそのまま、または濃度調整のみを行なって紙用コート剤として用いてもよく、顔料、ワックスなどの添加剤を適宜添加したものを紙用コート剤として用いてもよい。
【0026】
前記共重合体エマルジョンをそのまま、または濃度調整のみを行なって紙用コート剤として用いる場合の濃度は、塗工性、作業性などの点から、通常、固形分濃度20〜55%であるのが好ましい。
【0027】
また、前記共重合体エマルジョンに顔料を添加する場合の混合割合としては、共重合体エマルジョン100部(固形分)に対して顔料500部以下、さらには50〜200部であるのが、作業性、塗工性および溶剤バリアー性などの点から好ましい。
【0028】
前記顔料の具体例としては、たとえばクレー、水酸化アルミナ、雲母、炭酸カルシウムなどの無機顔料、ポリスチレン系ポリマー粉末、スチレンーブタジエン系ポリマー粉末、スチレン−アクリル系ポリマー粉末などの有機顔料があげられるが、入手の容易さやエマルジョンへの分散安定性を考慮するとクレーがとくに好ましい。
【0029】
前記のごとき本発明の紙用コート剤は、機械的に安定で、たとえばグラビアコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどの常法により基紙上に塗工することにより、たとえば剥離紙用アンダーコート剤として使用することができる。塗工量は、通常、樹脂分として2〜4g/m2程度が適当である。
【0030】
前記基紙の具体例としては、たとえばクラフト紙、上質紙などの従来より剥離紙に使用されているものをいずれも使用することができる。
【0031】
また、本発明の紙用コート剤は、比較的粘度が低く(固形分50%で、100〜2000mPa・s程度)、とくにクレーなどの顔料を混和しても同様であり、比較的高い濃度で使用することができ、高速塗工が可能である。この顔料混和により総塗布量は変わらず、樹脂分として低塗布量化ができるので、コスト面で有利となる。
【0032】
また、本発明の紙用コート剤には、必要に応じてメラミン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート系樹脂、シラン系化合物、オキサゾリン系化合物などを架橋剤として使用しても構わない。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
参考例、実施例2〜13および比較例1〜6
表1および表2に示す単量体、乳化剤およびアルカリで中和されたスチレン−マレイン酸共重合体中和塩を表1および表2に示す量を用いて、乳化重合を行なった。
【0035】
なお、各エマルジョンの固形分はいずれも50%に調整した。
【0036】
得られたエマルジョンおよび65%のクレー水分散液を、固形分重量比が1:1になるように配合し、塗工液の不揮発分が50%になるように水希釈して撹拌したのち、乾燥塗工量6g/m2となるように、PPC用紙に塗工し、100℃で1分間乾燥させた。
【0037】
得られた塗工紙を試料として、下記性能試験を行なった。結果を表1および表2に示す。
【0038】
(溶剤バリアー性)
試料に、油性の赤マジックインキ(商品名)のインクをトルエンで希釈(少なくともトルエンの裏抜けが確認できる濃度まで希釈)した溶液を刷毛で、縦横に塗工面に3回、トルエン溶液が塗工紙の表面に残る程度塗り、裏抜けを観察し、評価した。
◎:全く裏抜けしない
○:裏抜けしないが、赤い染料の沈みが見られる
△:部分的に裏抜けする
×:完全に裏抜けする
【0039】
(顔料分散性)
前記クレー配合後の塗工液の状態を観察し、下記の基準で評価した。
◎:均一分散しており、粘度変化もない
○:均一に分散しているが、やや粘度が高い。粘度の経時変化はない
△:均一に分散しているが、高粘度
×:分散不良または凝集物が多数発生
【0040】
(離解性:JIS P 8209に準じる)
前記試料より2gを切り取り、1cm角に裁断する。これと水500gをミキサーに入れ、5分間撹拌。この分散液で紙すきを行ない、濾紙上にのせて水切り後に50℃で乾燥させる。この方法で作成した離解性見本の外観を目視で観察する。
○:未離解樹脂なし
△:一部未離解樹脂あり(すいた紙の間に樹脂状の皮膜が残る)
×:未離解樹脂多い
××:紙が離解しない
【0041】
(反応性)
参考例、実施例2〜12で示したエマルジョンの重合中の反応性を観察した。
○:反応性良好
△:反応性ややわるく、粗粒子が発生し、反応器などに付着が多い
×:反応性わるく、粗粒子が大量に発生し、未反応の単量体が多い
【0042】
(シリコーン樹脂密着性)
前記試料の塗工面にトルエンで希釈したシリコーン樹脂(東芝シリコーン(株)製、TPR−6700/CM670)を、乾燥塗工量が1.0g/m2となるように塗布し、熱風乾燥・硬化させたのち、室温20℃、湿度65%の雰囲気下で1日養生後、シリコーン樹脂塗工面を消しゴムでラビングしたときのシリコーン樹脂の脱落状態を観察した。
○:全く脱落が認められない
△:かなり脱落する
×:ほとんど脱落する
【0043】
なお、表1および表2中の各成分の略号および商品名の内容は以下のとおりである。
【0044】
[単量体]
SM:スチレン
MMA:メチルメタクリレート
BA:n−ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
n−OA:n−オクチルアクリレート
MAAm:メタクリルアミド
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
【0045】
[乳化剤]
アクアロン HS−10:ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸アンモニウム(第一工業製薬(株)製)
ポリウエット SN−4:アクリル酸・アクリロニトリルオリゴマーの水溶液(住友化学エイビーエス・ラテックス(株)製)
エレミノール ES−70:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(三洋化成工業(株)製)
ゴーセラン L−3266:変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製)
【0046】
[スチレン−マレイン酸共重合体]
SMA−1000:数平均分子量1600、酸価480、エルフ・アトケム・ジャパン社製
SMA−2000:数平均分子量1700、酸価360、エルフ・アトケム・ジャパン社製
スクリプセット550:数平均分子量10000、酸価180、モンサント社製
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表2の結果から、比較例2〜4および6は、一般的に溶剤バリアー性をあげる要素を持つ不飽和酸、アミド類またはアクリロニトリルなどの親水基を多く含有しているため、優れた溶剤バリアー性を示す場合がある。しかし、乳化剤を多く使用しているため離解性がなくなり、顔料分散性も乳化剤によるところが大きいので期待できない。比較例5は、離解性をあげるためにPVAを用いているが、優れた溶剤バリアー性、顔料分散性はいまひとつ期待できない。
【0050】
一方、表1の結果から、実施例では、スチレン−マレイン酸共重合体の塩基性物質中和塩の存在下で補助的に乳化剤を併用しているので、乳化剤の影響が少なくなり、溶剤バリアー性、顔料分散性および離解性のバランスがよくなっている。
【0051】
【発明の効果】
本発明の紙用コート剤は、スチレン−マレイン酸共重合体の塩基性物質中和塩を分散剤として乳化剤を補助的に用いているので、乳化剤の影響を受けにくく、(i)溶剤バリアー性、とくに(ii)顔料の分散性および(iii)離解性に優れている。また、優れたバリアー性と顔料の分散性を有するので、顔料配合による高固形分での塗布および樹脂分での低塗布量化が可能になり、トータルコストでのパフォーマンスも良好となる。
Claims (5)
- ビニル系単量体を、前記ビニル系単量体100重量部に対して未中和物換算で5〜20重量部のスチレン−マレイン酸共重合体のアルカリ中和塩存在下で、前記ビニル系単量体100重量部に対して0.05〜4.0重量部の乳化剤を用いて乳化重合して得られる共重合体エマルジョンからなり、
前記スチレン−マレイン酸共重合体の数平均分子量が500〜20000、酸価が100〜700である
紙用コート剤。 - スチレン−マレイン酸共重合体のアルカリによる中和率が50〜200%である請求項1記載の紙用コート剤。
- ビニル系単量体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、カルボキシル基を有するビニル系単量体およびスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体である請求項1または2記載の紙用コート剤。
- 顔料がさらに加えられた請求項1、2または3記載の紙用コート剤。
- 請求項1、2、3または4記載の紙用コート剤からなる剥離紙用アンダーコート剤。
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