JP3809643B2 - 剥離紙用アンダーコート剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、剥離紙用アンダーコート剤に関する。詳しくは、顔料を混合した場合にも高濃度で安定に使用できる剥離紙用アンダーコート剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラベル、シールの粘着剤に関連する分野に用いられる剥離紙の製造は、まずポリエチレンを基紙の上にラミネートし、その上にシリコーン樹脂等の剥離溶液を塗布する方法が主流である。しかし、資源、環境問題から、紙をリサイクルして再生紙とする必要性が生じてきており、回収性の悪い前記ポリエチレン方式の剥離紙を、易回収性の剥離紙へ転換することが望まれるようになっている。
【0003】
剥離紙を易回収性にする方法としては、ポリエチレンを基紙の上にラミネートする代わりに、アンダーコート剤を基紙に塗工する方法等が提案されている。かかるアンダーコート剤としてはSBR、アクリルエマルジョン等のエマルジョン類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の各種水溶性ポリマーや、無機質のクレー等の顔料が使用されている。
【0004】
前記アンダーコート剤のなかで、ポリビニルアルコールは安価であることから現在ではポリエチレンに代わり主流となっている。しかしながら、ポリビニルアルコール水溶液は高粘度となるため高濃度塗工ができないことや、耐熱性等の問題点も多いのが現状である。
【0005】
クレーはポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーと比べて高濃度塗工が可能であるという特徴を有し、また一般的にアクリルエマルジョン等のエマルジョン類に比べて低コストで、しかも塗工量を多くすることができることから近年特に注目されてきている。クレーを用いたアンダーコート剤には、耐溶剤性を補強したり塗工液粘度を調整するために、通常、ポリビニルアルコールや澱粉等を併用している。しかし、クレーを用いたアンダーコート剤は、塗膜が硬くて脆いため、塗膜面が割れたり、剥離紙を裁断または加工する時に粉が発生し、作業環境、操業性が悪化する問題がある。そのため、クレーを用いたアンダーコート剤には、柔軟性を付与する目的で各種のエマルジョン類や水溶性ポリマーを併用している場合が多い。
【0006】
しかし、アンダーコート剤として一般的に用いられるエマルジョン類等には、耐溶剤性を付与する目的でアクリル酸やメタクリル酸等のアクリル酸系モノマーを重合成分の一部として用いているため、エマルジョン類とクレーを混合する際に、カルボン酸がクレー表面の正電荷へ吸着して凝集物が発生して安定に均一混合できない場合が多い。そのため、エマルジョン類等とクレーを混合したアンダーコート剤を調製する際には、pHを調節したり、燐酸塩等の酸塩を用いてクレー表面の電荷状態を変化させてカルボン酸との混合安定性を高める方法が一般的には用いられているが、これらの方法では混合安定性を十分高めることはできない。特にエマルジョン類中のカルボン酸量が多いときは殆ど効果はない。
【0007】
一方、カルボン酸を含まないエマルジョン類は、クレーとの混合安定性には優れるが、親水基となるカルボン酸がないために耐溶剤性に劣る。またポリアクリルアミドは、ガラス転移温度が高すぎるためクレーと混合して柔軟性を付与する目的で使用するのに適当でなく、単独でアンダーコート剤として使用する場合にも、シリコーンの硬化阻害を引き起こす場合があり、バリア性、シリコーン樹脂との密着性が不十分である。また、クレーと高濃度で混合した場合には高粘度となり、ポリビニルアルコールと同様の問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、剥離紙用アンダーコート剤に要求されるバリア性、シリコーン樹脂との密着性等の諸性能を有し、またクレー等の顔料と混合した場合にも安定性がよく、しかも高濃度塗工が可能な剥離紙用アンダーコート剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す特定組成のモノマー混合物を含む共重合体エマルジョンを含有してなる剥離紙用アンダーコート剤によれば、前記課題を悉く解決しうることを見出した。本発明はかかる新たな知見により完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、(A)炭素−炭素二重結合として(メタ)アリル基を1つ有するモノマーおよび/または(B)一般式(1):CH2 =C(R1 )−CONR2 (R3 )(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、R3 は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す)で表されるN−置換(メタ)アクリルアミド類、ならびに(C)前記(B)成分を除くノニオン性ビニルモノマーからなるモノマー混合物を、乳化剤存在下で共重合して得られる、ガラス転移温度が−60〜50℃の共重合体エマルジョンを含有してなる剥離紙用アンダーコート剤に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において剥離紙用アンダーコート剤として用いられる共重合体エマルションを構成するモノマーとしては、(A)炭素−炭素二重結合として(メタ)アリル基を1つ有するモノマーおよび/または(B)一般式(1):CH2 =C(R1 )−CONR2 (R3 )(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、R3 は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す)で表されるN−置換(メタ)アクリルアミド類、ならびに(C)前記(B)成分を除くノニオン性ビニルモノマーからなるモノマー混合物を用いる。
【0012】
(A)炭素−炭素二重結合として(メタ)アリル基を1つ有するモノマーとは、分子中に(メタ)アリル基を1つのみ有し、(メタ)アリル基の他には炭素−炭素二重結合を有しないモノマーをいう。なお、分子中に(メタ)アリル基が2つ以上ある場合には、ゲル化したり、分子量分布が広くなるため好ましくない。また、(メタ)アリル基と異なる他の炭素−炭素二重結合、たとえば、アクリロイル基等を有する場合についても同様である。このような(A)炭素−炭素二重結合として(メタ)アリル基を1つ有するモノマーとしては、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルカルボン酸およびこれらの塩ならびに(メタ)アリルアルコールから選ばれる少なくとも1種を使用できる。これら(A)成分のなかでも、得られる共重合体エマルジョンが高濃度で低粘度化する点で(メタ)アリルスルホン酸またはその塩が好ましく、特にモノマーの安定性からメタルスルホン酸またはその塩がより好ましい。なお、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等があげられる。
【0013】
(B)一般式(1):CH2 =C(R1 )−CONR2 (R3 )(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、R3 は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す)で表されるN−置換(メタ)アクリルアミド類中のR2 またはR3 における炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基とは、たとえば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等があげられる。(B)成分の具体例としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドおよびN−t−ブチル(メタ)アクリルアミドがあげられ、これらから選ばれる少なくとも1種を使用できる。これら(B)成分のなかでも共重合性、連鎖移動性の点でジメチルアクリルアミドが好ましい。
【0014】
前記(A)成分および(B)成分は、いずれも当該成分の連鎖移動性を利用して、得られる共重合体エマルジョンに多くの分岐構造を導入しようとするものである。この手法を用いればゲル化を伴わない分岐ポリマーを得ることができ、高濃度で低粘度な共重合体エマルジョンを収得できる。(A)成分、(B)成分に代えて、一般に知られている、イソプロピルアルコール等の連鎖移動剤を使用したとしても、低粘度化した共重合体エマルジョンを収得することはできない。架橋性ビニルモノマー(二重結合を少なくとも2個有するもの)を使用した場合には、共重合体エマルジョンがゲル化し易く、高濃度での製造が困難である。
【0015】
(C)前記(B)成分を除くノニオン性ビニルモノマーとしては、各種公知のものを特に制限なく使用できるが、剥離紙用アンダーコート剤に要求されるバリア性、シリコーン樹脂との密着性等の諸性能、クレー等の顔料と混合安定性の点から、(a)アルキル基の炭素数4〜8の(メタ)アクリル酸アルキル30〜85重量%程度、(b)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル5〜60重量%程度及び(c)前記(a)、(b)以外のノニオン性ビニルモノマー10〜65重量%程度からなるものを用いるのが好ましい。
【0016】
(a)アルキル基の炭素数4〜8の(メタ)アクリル酸アルキルとしては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等があげられる。(a)アルキル基の炭素数4〜8の(メタ)アクリル酸アルキルは剥離紙用アンダーコート剤に柔軟性、造膜性を付与でき、シリコーンの紙表面での歩留まり率を向上できる。その使用割合は(C)成分のうち30〜85重量%程度である。使用割合の下限としては40重量%、上限としては80重量%がより好ましい。使用量が30重量%より少ない場合には、共重合体エマルジョンのガラス転移温度が高くなる傾向があり、塗膜の柔軟性が不足し易い。一方85重量%を超える場合には、逆に塗膜の柔軟性、粘着性が強くなる傾向があり、また耐溶剤性も一般に低下し易い。
【0017】
また、(b)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等があげられる。(b)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは、共重合体エマルジョンに親水性基を導入して重合時の水分散性を向上し、また水酸基とシリコーンポリマーとの結合により密着性を向上できる。その使用割合は(C)成分のうち5〜60重量%である。使用割合の上限としては40重量%がより好ましい。使用量が5重量%より少ない場合には、塗膜表面に塗工されるシリコーンとの密着性が低下する傾向がある。一方60重量%を超える場合には、逆に共重合体のガラス転移温度が高くなる傾向があり、塗膜に柔軟性が不足し易い。また共重合体エマルジョンの粘度も高くなる傾向があり、作業性も低下したり、塗膜の柔軟性、粘着性が強くなり易い。
【0018】
また、(c)前記(a)、(b)以外のノニオン性ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ウレタンアクリレート類、ジフェニル−2(メタ)アクリロイルオキシホスフェート等の各種公知のものがあげられる。ノニオン性ビニルモノマー(c)の使用割合は(C)成分のうち、10〜65重量%である。使用割合の下限としては20重量%、上限としては50重量%がより好ましい。使用量が60重量%を超える場合には共重合体エマルジョンのガラス転移温度が高くなる傾向があり、塗膜に柔軟性が不足し易く、また共重合体エマルジョンの粘度が高くなる傾向があり作業性が低下する。
【0019】
さらに本発明では前記ノニオン性ビニルモノマー(c)のなかでもアクリルアミド、アルキル基の炭素数1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルやスチレン系化合物を好ましく使用できる。アクリルアミドは水溶性のモノマーで塗膜の耐溶剤性に大きな効果を発揮する点で好ましく、またアルキル基の炭素数1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルやスチレン系化合物は共重合体エマルジョンの粘度、ガラス転移温度、塗工性、塗膜の耐溶剤性に良好な効果を与える点で好ましい。特に、耐溶剤性を付与するためにはアクリルアミドを、(C)成分のうちの、10〜40重量%使用するのが好ましい。
【0020】
本発明において、(A)成分、(B)成分および(C)成分からなるモノマー混合物の各成分の使用量は、得られる共重合体エマルジョンの剥離紙用アンダーコート剤としての性能を十分考慮して決定する。通常、(A)成分および/または(B)成分の使用量は、(C)成分100部に対して、0.01〜10部程度である。(A)成分および/または(B)成分の使用量の上限としては、好ましくは5重量部、より好ましくは3重量部である。また下限としては、好ましくは0.05重量部、より好ましくは0.1重量部である。なお、(A)成分および(B)成分を併用する場合にも、合計重量は前記範囲内である。(A)成分および/または(B)成分の使用量が、(C)成分100部に対して、10部程度を超える場合には、剥離紙用アンダーコート剤としての十分なバリア性等を得難く、クレー等と混合した際に安定な共重合体エマルジョンを得難い。
【0021】
本発明の共重合体エマルジョンは、公知のエマルジョン重合方法により、前記(A)成分および/または(B)成分、並びに(C)成分からなるモノマー混合物を、乳化剤の存在下に共重合することにより得られる。たとえば、所定の反応容器に水を仕込み、次いで前記モノマー混合物及び乳化剤を仕込み、撹拌した後、ラジカル重合開始剤を加え、攪拌下、加温する方法により行なうことができる。その他の方法としては、所定の反応容器に水を仕込み所定の温度まで加熱し、次いで前記モノマー混合物と乳化剤を水中で混合しプレ乳化させた水溶液を作り、このものとラジカル重合開始剤の水溶液を所定の時間を要して連続的に滴下する方法がある。なお、モノマー混合物またはラジカル重合性開始剤の滴下方法は一括滴下、分割滴下のいずれの方法でもよい。
【0022】
前記乳化剤としては特に限定されず、例えばオレイン酸塩、ラウリル酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系界面活性剤を例示できる。また、乳化分散能力を有する比較的低分子の高分子化合物、例えばポリビニルアルコール、およびその変性物、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール誘導体、ポリカルボン酸共重合体の中和物、カゼイン等を単独あるいは上記の乳化剤と併用して使用できる。さらには、水溶性アクリル共重合体を乳化剤として用いることもできる。乳化剤の使用量はモノマー混合物100重量部に対し、通常、0.5〜5重量部程度が一般的でかつ好ましい。使用量が0.5重量部に満たない場合には安定した共重合体エマルジョンが生成し難く凝集物の発生も多くなる傾向にある。一方、5重量部を超える場合には共重合体エマルジョンの粘度が高くなり効率的な高濃度エマルジョンの合成が困難になる場合があり、さらには低分子乳化剤の場合、シリコーンの密着性を低下させる原因とも成りうる。ただし、前述の乳化剤の使用量は必ずしもこの範囲に限られるものではなく、例えば高分子乳化剤の様にシリコーンの密着性に悪影響を及ぼさないと考えられる場合には5重量部以上の使用も可能である。なお、乳化剤としてカルボン酸を多く含む高分子化合物を使用する場合、その使用量によってはクレーと混合した際に凝集物を発生する可能性があるので注意を要する。
【0023】
前記ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、水性のアゾ系開始剤等の水溶性のラジカル重合開始剤、または前記過硫酸塩等と亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤とを組み合わせた形のレドックス系重合開始剤等があげられる。前記開始剤の使用量は特に制限されないが、前記モノマー混合物100重量部に対して通常0.5〜5重量部程度である。
【0024】
反応系の固形分濃度は通常20〜70重量%程度である。低粘度であれば通常固形分濃度はより高いのが好ましい。また、重合時のpHは通常2〜9程度の範囲とするのがよい。反応温度は、ラジカル重合開始剤を活性化させる温度範囲であればよく通常は40〜95℃程度であり、下限としては60℃以上、上限としては90℃以下がより好ましい。反応時間は通常30分〜4時間程度である。
【0025】
このようにして得られた共重合体エマルジョンのガラス転移温度は、−60〜50℃であり、下限としては−50℃が好ましい。また、上限としては20℃、より好ましくは0℃である。ガラス転移温度が−60℃より低い場合には、塗膜の柔軟性、粘着性が強くなりすぎる。また、耐溶剤性も一般に低下してくる。一方、50℃を超える場合には、塗膜が硬くなって脆さが増し、クレーに混合して柔軟性を付与する目的で使用する場合にはその効果が低下してくる。
【0026】
かかる共重合体エマルジョンを含有してなる本発明の剥離紙用アンダーコート剤は、当該共重合体エマルジョンをそのまま剥離紙用アンダーコート剤として使用できる他に、クレー等の顔料と混合して使用することもできる。クレー等の顔料との混合比は、特に制限されないが、固形分比で共重合体エマルジョン100重量部に対し、クレー等の顔料1000重量部以下で混合できる。かかるクレー等の顔料はポリビニルアルコール、澱粉等が予め配合されているものを用いることもできる。
【0027】
なお、本発明の剥離紙用アンダーコート剤を台紙に塗工するにあたっては、グリオキザール、水溶性ジルコニウム化合物等の架橋剤を併用することにより、高温高湿におけるシリコーン樹脂との密着性をさらに向上させることができる。剥離紙用アンダーコート剤の塗工方法としてはワイヤーバー、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等を採用でき、また乾燥はオーブン、ドラムドライヤー等の公知の乾燥装置を採用できる。さらにはキャレンダー処理を施し、所望の平滑度となるように調製してもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明の特定のモノマー混合物の共重合体エマルジョンからなる剥離紙用アンダーコート剤は、易回収性の剥離紙に適し、しかもソルベント型、ソルベントレス型、エマルジョン型の各種シリコーン樹脂を基紙に塗工した場合にも紙層及びアンダーコート層中に溶媒、水およびシリコーン樹脂が浸透することなく、かつシリコーン樹脂との密着性が良好で、塗工性、機械的安定性にも優れている。また、本発明の共重合体エマルジョンからなる剥離紙用アンダーコート剤は、高濃度であるにも関わらず低粘度なことから、高塗工量が可能で操業性にも優れる。さらに、クレーに対しても高濃度で安定に混合でき、クレーコート層に耐溶剤性と柔軟性を付与することもできる。
【0029】
【実施例】
以下に、製造例、実施例および比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、モノマー滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に水52gを仕込んだ。次いで、アクリル酸n−ブチル61g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート14g、アクリロニトリル7g、アクリルアミド18gおよびメタアリルスルホン酸ソーダ1gからなるモノマー混合物ならびにアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩1.5gを加えて窒素気流下で昇温を行い、70℃で過硫酸カリウム2gおよび水51gからなる開始剤水溶液を添加し重合を開始させた。重合温度が80℃を超えないように60分反応させた後、アンモニアで中和して目的の共重合体エマルジョンを得た。得られた共重合体エマルジョンの不揮発分は50重量%、pH7.1、25℃における粘度800cpsであった。得られたエマルジョン重合体のガラス転移温度は−13℃であった。
【0031】
実施例2〜7及び比較例1〜3
実施例1において、モノマー混合物および乳化剤の各成分の種類、使用量、固形分濃度を表1に示すように変えた他は実施例1と同様にして重合を行い各種共重合体エマルジョンを得た。得られた共重合体エマルジョンの性状を表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003809643
【0033】
尚、表1中に記載された記号の意味は、次の通りである。SMAS:メタアリルスルホン酸ソーダ、SAS:アリルスルホン酸ソーダ、DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド、IPAA:N−イソプロピルアクリルアミド、BA:アクリル酸n−ブチル、2HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、AN:アクリロニトリル、AM:アクリルアミド、乳化剤A:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、乳化剤B:スルホコハク酸塩(商品名AEROSOL501、三井サイテック(株)製)、乳化剤C:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(商品名ノイゲンEA−170、第一工業製薬(株)製)。
【0034】
(試料の作製:クリアー塗工紙)
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた共重合体エマルジョンを20重量%に希釈した塗工液を調製したのち、固形分付着量が3g/m2 となるようにPPC用紙に塗布および乾燥を行った。これを試料として下記の方法に従って性能試験を行った。その結果を表2に示す。
【0035】
(試料の作成:クレー塗工紙)
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた共重合体エマルジョンと、60重量%のクレー水溶液を、それぞれの固形分重量比が1対1になるように混合し、さらに塗工液の不揮発分が50重量%になるように水を加えた後、ホモ・ディスパーで高速撹拌して混合し塗工液を調製した。これを固形分付着量が6g/m2 となるようにPPC用紙に塗布および乾燥を行った。これを試料として下記の方法に従って性能試験を行った。その結果を表2に示す。
【0036】
(耐溶剤性)
上記試料に染料(スダンII)1重量%を含むトルエン液を12g/m2 となるように塗工し、5秒後ガーゼで拭き取り、目視にて塗工表面を以下の基準で観察し、「トルエン撥油性」と「トルエンバリア性」を評価した。
【0037】
「トルエン撥油性」
○:染料に殆ど染まらない。
△:染料に染まるが裏抜けはしない。
×:完全に裏抜けする。
【0038】
「トルエンバリア性」
○:裏抜けもなくピンホールも発生しない。
△:ピンホールが発生する。
×:完全に裏抜けする。
【0039】
(シリコーン密着性)
ソルベントシリコーン(シリコリースKF−100、荒川化学工業株式会社製)100gに硬化触媒(Silcolease90B、ローヌプーラン社製)4gを添加して、トルエンで7重量%濃度に調製したものを、固形分付着量が1g/m2 となるように上記試料に塗工した後、まず130℃で20秒間乾燥硬化させた。その後、20℃、湿度65%の条件下で1日放置した後、塗布面を指で擦りシリコーンの剥離状態を以下の基準で評価した。
○:剥離しない。
△:少し剥離する。
×:完全に剥離する。
【0040】
(クレー混合性)
上記の方法で調製した際の塗工液の状態を以下の基準で評価した。
○:均一に分散している。粘度も安定している。
△:少し凝集物が発生している。やや増粘している。
×:完全に凝集を起こしている。
【0041】
(塗工適性)
上記の方法で調製した際のクレー塗工液をメイヤーバー塗工機 PI−1210 FILMCOATER(テスター産業株式会社製)で塗工する際の状態を以下の基準で評価した。
○:バーがスムーズに進み、均一で平滑な塗工面が形成される。
△:バーにやや引っ掛かりが生じ、平滑な面が得難い。
×:バーが完全に引っ掛かり、塗工が極めて困難あるいは塗工不可能。
【0042】
【表2】
Figure 0003809643
【0043】
比較例1では、性能的に良好な結果が得られたが、固形分濃度が実施例のものに比べて低い(共重合体エマルジョンの粘度が高い)ため、クレー塗工液の粘度を下げることができず、塗工適性が実施例に比べて劣った。比較例1のエマルジョンを実施例と同様に高濃度化(比較例2)した場合には高粘度化してしまい、クレー塗工液においては適当な粘度の塗工液を調製できなかった。比較例3はガラス転移温度が高いため柔軟性がなく、塗工膜が割れた。特にクレー塗工では膜が脆かった。また比較例3で得られた共重合体エマルジョンは粘度が高く、塗工時にムラが生じ、耐溶剤性試験においてピンホールが多く発生した。

Claims (5)

  1. (A)炭素−炭素二重結合として(メタ)アリル基を1つ有するモノマーおよび/または(B)一般式(1):CH2 =C(R1 )−CONR2 (R3 )(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、R3 は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す)で表されるN−置換(メタ)アクリルアミド類、ならびに(C)前記(B)成分を除くノニオン性ビニルモノマーからなるモノマー混合物を、乳化剤存在下で共重合して得られる、ガラス転移温度が−60〜50℃の共重合体エマルジョンを含有してなる剥離紙用アンダーコート剤。
  2. (C)成分が、(a)アルキル基の炭素数4〜8の(メタ)アクリル酸アルキル30〜85重量%、(b)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル5〜60重量%及び(c)前記(a)、(b)以外のノニオン性ビニルモノマー10〜65重量%からなる請求項1記載の剥離紙用アンダーコート剤。
  3. ノニオン性ビニルモノマー(c)が、アクリルアミドを含んでなる請求項2記載の剥離紙用アンダーコート剤。
  4. (C)成分100部に対する、(A)成分および/または(B)成分の使用量が0.01〜10部である請求項1、2または3記載の剥離紙用アンダーコート剤。
  5. 共重合体エマルジョンに加えて、さらに顔料を含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の剥離紙用アンダーコート剤。
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