JP4032397B2 - シリコーンエマルジョンを剥離層に用いた剥離紙用の、アンダーコート剤 - Google Patents
シリコーンエマルジョンを剥離層に用いた剥離紙用の、アンダーコート剤 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコーンエマルジョンを用いた剥離紙用のアンダーコート剤に関する。詳しくは、エマルジョン型のシリコーン樹脂を塗工してなる剥離紙に用いられる剥離紙用アンダーコート剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラベル、シールの粘着剤に関連する分野では剥離紙の製造は、まずポリエチレンを基紙の上にラミネートし、その上に溶剤型のシリコーン樹脂等の剥離溶液を塗布する方法が主流である。
【0003】
しかし、資源、環境問題から、紙をリサイクルして再生紙とする必要性が生じてきており、回収性の悪い前記ポリエチレン方式の剥離紙を、易回収性の剥離紙へ転換することが望まれるようになっている。剥離紙を易回収性にする方法としては、ポリエチレンを基紙の上にラミネートする代わりに、アンダーコート剤としてSBR、アクリルエマルジョン等のラテックス類や、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の各種水溶性のポリマーを基紙に塗工する方法が提案されている。
【0004】
また作業環境を含めた環境保全への要求より、剥離紙に用いられるシリコーン樹脂の形態も、溶剤型から無溶剤型や、シリコーン樹脂を乳化して水性化したエマルジョン型へと移行しつつある。このような状況下に、塗工されるシリコーン樹脂の形態によりアンダーコート剤に対する要求も多様化してきている。そのため前記溶剤型のシリコーン樹脂用のアンダーコート剤を、エマルジョン型のシリコーン樹脂用のアンダーコート剤に単に転用して使用することはできない。
【0005】
すなわち、溶剤型のシリコーン樹脂用のアンダーコート剤にはシリコーン樹脂を含む溶剤が紙中に浸透することを防ぐ必要があるため、主に耐溶剤性が要求されるのに対し、エマルジョン型のシリコーン樹脂用のアンダーコート剤には基紙への水の浸透を防ぐ必要があるため主に耐水性が要求される。さらには、エマルジョン型のシリコーン樹脂用のアンダーコート剤は、撥水性による塗工斑の生じない組成であることや、シリコーン樹脂自体が疎水性の物質であることから、シリコーン樹脂のアンダーコート層中への浸透を防ぐ必要もある。
【0006】
一般的に紙のコート剤として提案されているSBRやアクリルエマルジョン等のラテックス類は、通常、低分子量のノニオン性乳化剤またはアニオン性乳化剤の存在下で、各種のビニルモノマーを乳化重合して得られたものが使用されている。しかし、これらコート剤は塗工性には優れるが、その組成が疎水性化合物で形成されているために、エマルジョン型のシリコーン樹脂用のアンダーコート剤に適用すると、シリコーン樹脂自体がアンダーコート層へ浸透し離型性を損ねる問題がある。一方、ポリビニルアルコールに代表される水溶性のポリマーは、耐水性を向上させるためには高分子量のポリマー(すなわち、高粘度のポリマー)を使用する必要があり、水溶液の経時安定性、作業性に劣る問題がある。また、作業性の改善のため低濃度で塗工した場合には、乾燥時間が長くなったり、さらに耐水性に劣ることにより、シリコーンエマルジョン液の浸透が認められ、離型性が低下する。また、アンダーコート剤とシリコーン樹脂との密着性も重要な因子であるが、水溶性のポリマーのなかには密着性に劣るものもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、易回収性の剥離紙に適し、しかもエマルジョン型のシリコーン樹脂を基紙に塗工した場合にも紙層及びアンダーコート層中に水およびシリコーン樹脂が浸透することなく、かつシリコーン樹脂との密着性が良好で、塗工性にも優れたシリコーンエマルジョンを用いた剥離紙用のアンダーコート剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく、エマルジョン型のシリコーン樹脂を塗工してなる剥離紙に用いられる剥離紙用アンダーコート剤について鋭意検討を重ねた結果、以下に示す特定の重合体エマルジョンによれば、前記課題を悉く解決しうることを見出した。本発明はかかる新たな知見により完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、カルボン酸基含有ビニルモノマー20〜80重量部と、(メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマー20〜80重量部との共重合体10〜50重量部の存在下に、ノニオン性ビニルモノマー100重量部を重合して得られる重合体エマルジョンを含有してなる、シリコーンエマルジョンを剥離層に用いた剥離紙用の、アンダーコート剤に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
まず、カルボン酸基含有ビニルモノマー20〜80重量部と、(メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマー20〜80重量部との共重合体について説明する。
【0011】
カルボン酸基含有ビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸(本発明において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸のことをいう、以下(メタ)とは同様の意味である)、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸や、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などがあげられる。なかでも(メタ)アクリル酸またはその塩が好ましく、特にメタクリル酸またはその塩が好ましい。なお、カルボン酸基は該共重合体を製造した後に塩にしてもよい。
【0012】
また、(メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ウレタンアクリレート類、ジフェニル−2(メタ)アクリロイルオキシホスフェート等の各種公知のものがあげられる。これらのなかでも各種の(メタ)アクリル系化合物が好ましく、特に(メタ)アクリル酸アルキル類が好ましい。
【0013】
カルボン酸基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマーの使用量は、前者20〜80重量部程度に対し、後者20〜80重量部であるが、より好ましくは、前者30〜70重量部に対し、後者30〜70重量部である。前者の使用量が20重量部より少ない場合には、シリコーン樹脂が剥離紙用アンダーコート剤中に浸透し、剥離性能が低下する傾向がある。また80重量部を越える場合には、重合体エマルジョン製造時に前記共重合体の乳化能力が低くなり、得られた重合体エマルジョンの造膜性が低下し、これによりシリコーンエマルジョンに対するバリア性を発現し難くなる。
【0014】
前記共重合体は、前記カルボン酸基含有ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマーをラジカル重合開始剤の存在下に公知の水溶液重合方法により製造できる。水溶液重合は、水溶液中で行える他に、エチルアルコール、n−、iso−プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール中もしくはこれらアルコールを含有するアルコール水溶液中、またはエチレングリコール、ジエチレングリコール等を含有する水溶液中で行うこともできる。
【0015】
前記ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、水性のアゾ系開始剤等の水溶性のラジカル重合開始剤、または前記過硫酸塩等と亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤とを組み合わせた形のレドックス系重合開始剤等があげられ、その使用量は前記カルボン酸基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマーの合計量100重量部に対して0.05〜8重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部とするのがよい。
【0016】
また、反応系の固形分濃度は通常25〜50重量%程度、好ましくは30〜40重量%である。反応温度は、重合開始剤を活性化させる温度範囲であればよく、通常は40〜90℃程度、好ましくは60〜85℃であり、反応時間は通常30分〜4時間程度がよい。
【0017】
得られた共重合体は、不揮発分が通常30〜45重量%程度で、粘度を1000cps程度以下(25℃)に調整するのがよい。
【0018】
次に、本発明の剥離紙用アンダーコート剤として用いる重合体エマルジョンについて説明する。かかる重合体エマルジョンは、前記共重合体の存在下で、ノニオン性ビニルモノマーを重合することにより得られる。
【0019】
該共重合体の存在下で重合する(メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマーは、前記共重合体を構成する(メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマーと同様のものを使用できる。
【0020】
該共重合体の使用量は、当該ノニオン性ビニルモノマー100重量部に対し、固形分で10〜50重量部、好ましくは10〜40重量部である。該共重合体の使用量が10重量部より少ない場合には、シリコーン樹脂がアンダーコート層中に浸透し、剥離性能が低下する。 50重量部を越える場合には、得られた重合体エマルジョンの耐水性が低下し、シリコーンエマルジョンに対するバリア性を発現し難く、シリコーンの紙表面での歩留まりが悪化する。
【0021】
このように本発明の剥離紙用アンダーコート剤は、特定量の前記共重合体の存在下で、ノニオン性ビニルモノマーを重合して得られた特定の重合体エマルジョンを使用することにより、紙層及びアンダーコート層中への水およびシリコーン樹脂の浸透の防止を同時に満足したものである。したがって、前記例示のノニオン性ビニルモノマーであれば、特に制限なく、それぞれを単独で使用または2種以上を併用することができるが、前記例示のノニオン性ビニルモノマーのなかでも、アルキル基の炭素数4〜8の(メタ)アクリル酸アルキル15〜55重量部程度および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル5〜30重量部程度に、さらにこれら以外のノニオン性ビニルモノマー15〜80重量部程度を加えて100重量部に調製した混合物が、特に得られるシリコーンエマルジョン用剥離紙用アンダーコート剤として、シリコーンの表面歩留まり率に優れ、得られる剥離紙の剥離性能を良好に発現する点で好ましい。
【0022】
アルキル基の炭素数4〜8の(メタ)アクリル酸アルキルとしては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等があげられる。アルキル基の炭素数4〜8の(メタ)アクリル酸アルキルは、剥離紙用アンダーコート剤に造膜性を付与でき、シリコーンの紙表面での歩留まり率を向上させるため15〜55重量部程度使用するのが好ましい。より好ましくは20〜45重量部である。
【0023】
また、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等があげられる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは、前記共重合体以外に重合体エマルジョンに親水性基を導入して重合時の乳化性を向上でき、また他のノニオン性ビニルモノマーとの共重合性が良好であるため5〜30重量部程度使用するのが好ましい。より好ましくは10〜20重量部である。
【0024】
また、アルキル基の炭素数4〜8の(メタ)アクリル酸アルキル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル以外のノニオン性ビニルモノマーとしては、アルキル基の炭素数1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルやスチレン系化合物を好ましく使用できる。
【0025】
本発明の重合体エマルジョンの製造方法は公知の乳化重合方法により行えばよい。たとえば、所定の反応容器に前記共重合体および水を仕込み、次いでノニオン性ビニルモノマーを仕込み、乳化した後、ラジカル重合開始剤を加え、撹拌下、加温する方法によればよい。その他の方法としては、所定の反応容器に前記共重合体及び水を仕込み所定の温度まで加熱し、次いでノニオン性ビニルモノマーおよびラジカル重合開始剤を所定の時間を要して連続的に滴下する方法がある。なお、ノニオン性ビニルモノマーおよびラジカル重合性開始剤の滴下方法は一括滴下、分割滴下のいずれの方法でもよい。
【0026】
本発明の重合体エマルジョンの製造方法では、製造工程における凝集物の発生を抑制したり、製造後の乳化物の安定性の点から、必要に応じ少量の乳化剤を前記共重合体と併用することもできる。ただし、その使用量は得られる重合体エマルジョンを用いた剥離紙用アンダーコート剤の塗工膜の強度低下を考慮すれば、必要最低量に抑えるのがよい。通常、ノニオン性ビニルモノマー100重量部に対し、3重量部以下程度、好ましくは1重量部以下とするのがよい。なお、乳化剤としては、特に限定されず各種のアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤等があげられる。アニオン性乳化剤としては、長鎖α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩等を例示でき、ノニオン性乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等を例示できる。
るのがよい。
【0027】
前記ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、水性のアゾ系開始剤等の水溶性のラジカル重合開始剤、または前記過硫酸塩等と亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤とを組み合わせた形のレドックス系重合開始剤等があげられる。通常、前記開始剤の使用量は前記ノニオン性ビニルモノマー100重量部に対して0.05〜6重量部程度、好ましくは0.1〜3重量部とするのがよい。
【0028】
反応系の固形分濃度は通常30〜55重量%程度、好ましくは35〜45重量%とするのがよい。また、重合時のpHは通常3〜9程度の範囲とするのがよい。反応温度は、重合触媒を活性化させる温度範囲であればよく通常は40〜90℃程度、好ましくは60〜85℃であり、反応時間は通常30分〜4時間程度がよい。
【0029】
また、反応に際しては、重合促進剤として遷移金属イオンを添加してもよい。遷移金属イオンとしては、銅イオン等があげられ、反応系中の遷移金属イオン濃度が、通常1.0×10-8〜1.0×10-3モル/リットル程度となるように使用するのがよい。
【0030】
このようにして、平均粒子径が通常10〜300nm程度の微粒子を含んだ重合体エマルジョンが得られる。また、該重合体エマルジョンを剥離紙用アンダーコート剤として使用するにあたっては不揮発分を通常30〜45重量%程度で、粘度を1000cps程度以下(25℃)に調整するのがよい。
【0031】
また、このようにして得られたエマルジョン重合体のガラス転移温度は15〜90℃、好ましくは25〜70℃である。ガラス転移温度が15℃に満たない場合には塗工面のステッキング性が十分でなく、90℃を越える場合には塗工膜の造膜性が十分でなく、シリコーンエマルジョン液に対するバリア性が低下するため好ましくない。
【0032】
なお、本発明の剥離紙用アンダーコート剤を台紙に塗工するにあたっては、グリオキザール、水溶性ジルコニウム化合物等の架橋剤を併用することにより、高温高湿におけるシリコーン樹脂との密着性をさらに向上させることができる。剥離紙用アンダーコート剤の塗工方法としてはワイヤーバー、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等を採用でき、また乾燥はオーブン、ドラムドライヤー等の公知の乾燥装置を採用できる。さらにはキャレンダー処理を施し、所望の平滑度となるように調整してもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、剥離剤としてシリコーンエマルジョンを台紙に塗工した場合にも紙層中に剥離剤(水およびシリコーン樹脂)が浸透されることなく、かつ塗工性に優れ、しかもシリコーン樹脂との密着性が良好な剥離紙用アンダーコート剤を提供することができる。さらには該剥離紙用アンダーコート剤を使用して得られる剥離紙は易回収性であり、省資源、環境問題にも貢献できる。
【0034】
【実施例】
以下に、製造例、実施例および比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、各例中の%は、特に断らない限り重量基準である。なお、ガラス転移温度は、示差熱分析装置により測定した。
【0035】
製造例1(共重合体の合成)
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、モノマー滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール200g及び水200gを仕込み、加熱を開始し、窒素気流下で80℃に昇温を行った。メタクリル酸210gとメタクリル酸メチル90gからなるモノマー混合液及び14%過硫酸カリウム開始剤水溶液100gを連続的に2時間を要して添加した。モノマー混合液添加終了後60分間反応させ樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液は、水蒸気蒸留法によりイソプロピルアルコールを除去した。ついで水及びアンモニア水を添加して濃度及びpHを調整し、不揮発分30%、pH7.2、25℃における粘度85cpsの水溶性樹脂溶液を得た。
【0036】
製造例2(共重合体の合成)
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、モノマー滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール200g及び水200gを仕込み、加熱を開始し、窒素気流下で80℃に昇温を行った。メタクリル酸150gとメタクリル酸メチル150gからなるモノマー混合液及び14%過硫酸カリウム開始剤水溶液100gを連続的に2時間を要して添加した。モノマー混合液添加終了後60分間反応させ樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液は、水蒸気蒸留法によりイソプロピルアルコールを除去した。ついで水及びアンモニア水を添加して濃度及びpHを調整し、不揮発分30%、pH7.2、25℃における粘度30cpsの水溶性樹脂溶液を得た。
【0037】
実施例1
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、モノマー滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、製造例1で得られた不揮発分30%の水溶性樹脂溶液(共重合体)200gおよび水300gを仕込み、加熱しなが80℃まで昇温した。つぎに、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなるモノマー混合液(重量混合比は順に45:45:10)200g及び1.8%過硫酸アンモニウム水溶液100gを一定速度で約3時間を要して添加し重合させた。モノマー混合液添加終了後60分間反応させ重合体エマルジョンを得た。得られた重合体エマルジョンに水を添加して濃度を調整し、不揮発分30%、pH6.9、25℃における粘度35cpsの重合体エマルジョンとした。なお、得られたエマルジョン重合体のガラス転移温度は60℃であった。
【0038】
実施例2
実施例1において、共重合体として、製造例1で得られた不揮発分30%の水溶性樹脂溶液に代えて、製造例2で得られた不揮発分30%の水溶性樹脂溶液を使用した以外は実施例1と同様に行い重合体エマルジョンを得た。得られた重合体エマルジョンに水を添加して濃度を調整し、不揮発分30%、pH6.8、25℃における粘度25cpsの重合体エマルジョンとした。なお、得られたエマルジョン重合体のガラス転移温度は56℃であった。
【0039】
実施例3
実施例2において、モノマー混合液として、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなるモノマー混合液(重量混合比は順に15:65:20)200gを使用した以外は実施例2と同様に行い重合体エマルジョンを得た。得られた重合体エマルジョンに水を添加して濃度を調整し、不揮発分30%、pH7.2、25℃における粘度33cpsの重合体エマルジョンとした。なお、得られたエマルジョン重合体のガラス転移温度は62℃であった。
【0040】
実施例4
実施例2において、モノマー混合液として、2−エチルへキシルアクリレート、スチレン、2−ヒドロキシエチルアクリレート(重量混合比は順に35:45:20)200gを使用した以外は実施例2と同様に行い重合体エマルジョンを得た。得られた重合体エマルジョンに水を添加して濃度を調整し、不揮発分30%、pH6.8、25℃における粘度55cpsの重合体エマルジョンとした。なお、得られたエマルジョン重合体のガラス転移温度は42℃であった。
【0041】
比較例1
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、モノマー滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(商品名ハイテノールN−08、第一工業製薬(株)製)3g及び水125gを仕込んだ。つぎに、2ーエチルへキシルアクリレート、メタクリル酸メチルおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなるモノマー混合液(重量混合比は順に35:45:20)100gを加えて窒素気流下で昇温を行い、70℃で過硫酸カリウム開始剤(系中濃度6.0×10-3モル/リットル)を添加し重合を開始させた。重合温度が80℃を越えないように60分反応させて重合体エマルジョンを得た。得られた重合体エマルジョンの不揮発分は30%、pH8.2、25℃における粘度33cpsであった。なお、得られたエマルジョン重合体のガラス転移温度は7℃であった。
【0042】
比較例2
実施例1において、モノマー混合液の使用量を100gに変えた以外は実施例1と同様に行い重合体エマルジョンを得た。得られた重合体エマルジョンに水を添加して濃度を調整し、不揮発分30%、pH7.5、25℃における粘度20cpsの重合体エマルジョンとした。なお、得られたエマルジョン重合体のガラス転移温度は39℃であった。
【0043】
(性能評価)
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた重合体エマルジョンと、重合度500の完全ケン化ポリビニルアルコール(商品名PVA105、(株)クラレ製、比較例3)を表1に示す塗工濃度に調整したのち、固形分付着量が5g/m2 となるようにPPC用紙に塗布および乾燥を行い、さらにカレンダー処理(50Kg/cm)を施した。これを試料として下記の方法に従って性能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0044】
(剥離性)
シリコーンエマルジョン樹脂(Silcolease71822、ローヌプーラン社製)100gに硬化触媒(Silcolease71823、ローヌプーラン社製)12gを添加して、10%濃度に調製したものを、固形分付着量が1g/m2 となるように試料に塗工した後、まず180℃で30秒間乾燥硬化させた。これによって得られた剥離紙に、アクリル系溶剤型粘着剤(東洋インキ製造(株)製、BPS−8170)を約20g/m2 の厚みで塗布し、120℃にて90秒間乾燥した。坪量63g/m2 の上質紙を張り合わせたものを、24時間経過後、引張試験機を用いて張り合わせた上質紙を180°の角度で剥離速度0.3m/分の条件下で引っ張り、剥離に要する力(剥離抵抗:g)を測定した。
【0045】
(シリコーン密着性)
シリコーンエマルジョン樹脂(Silcolease71822、ローヌプーラン社製)100gに硬化触媒(Silcolease71823、ローヌプーラン社製)12gを添加して、10%濃度に調製したものを、固形分付着量が1g/m2 となるように試料に塗工した後、まず180℃で30秒間乾燥硬化させた。その後、20℃、湿度65%の条件下で1日放置した後(条件1)と、50℃、湿度90%(条件2)の各条件下で1週間放置した後、塗布面を指で擦りシリコーンの剥離状態を観察した。
○:剥離しない。
△:少し剥離する。
×:完全に剥離する。
【0046】
(耐水性)
コッブ試験(JIS P8140)に準じて評価した。なお、試験片と水との接触時間は60秒で行った。
【0047】
【表1】
【0048】
比較例3は、塗工濃度が実施例の半分の10%にもかかわらず、塗工時にムラが生じた。
Claims (4)
- カルボン酸基含有ビニルモノマー20〜80重量部と、(メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマー20〜80重量部との共重合体10〜50重量部の存在下に、(メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマー100重量部を重合して得られる重合体エマルジョンを含有してなる、シリコーンエマルジョンを剥離層に用いた剥離紙用の、アンダーコート剤。
- 前記カルボン酸基含有ビニルモノマーが、(メタ)アクリル酸および/またはその塩である、請求項1記載のアンダーコート剤。
- (メタ)アクリル系のノニオン性ビニルモノマー100重量部が、アルキル基の炭素数4〜8の(メタ)アクリル酸アルキル15〜55重量部、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル5〜30重量部及び前記以外のノニオン性ビニルモノマー15〜80重量部からなる混合物である、請求項1記載のアンダーコート剤。
- エマルジョン重合体のガラス転移温度が15〜90℃である、請求項1記載のアンダーコート剤。
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