JP2022149140A - アルカリ剥離性ラベル - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、水によっては被着体から剥離しにくい一方で、アルカリ水による洗浄工程においては、紙基材の形状を保持したまま、容易に被着体から剥離する、アルカリ剥離性ラベルを提供する。【解決手段】バインダー樹脂を有する印刷受理層11と、湿潤増強剤を含む紙系基材12と、粘着剤層13と、を含み、該印刷受理層11および該紙系基材12は隣接して配置され、該粘着剤層13は、アクリル系共重合体を含む粘着剤組成物から形成されてなり、該アクリル系共重合体は、酸基含有ビニルモノマーを3質量%以上含有する単量体混合物を共重合して得られる、アルカリ剥離性ラベル10とする。【選択図】図2

Description

本発明は、アルカリ剥離性ラベルに関する。
近年、環境への配慮から、空き容器のリサイクルが注目を集めている。容器をリサイクルする際には、容器に貼付されたラベルを剥がす洗浄工程が必要となる。ラベルを剥がす洗浄工程としては、アルカリ水に容器を浸漬してラベルを剥がすことが行われている(例えば、特許文献1)。アルカリ水により被着体から剥がれる性質を有するラベルは、アルカリ剥離性ラベルとも称される。
アルカリ剥離性ラベルは、通常、基材に粘着剤層を積層させた形態が用いられる。アルカリ剥離性ラベルは、剥離を容易にする観点から、アルカリ水に曝露されても基材の形状を保持していることが求められ、これまで基材としては樹脂基材が主に用いられてきた。
特開平11-5958号公報
近年環境への配慮から、脱プラスチック化の動きが加速しており、脱プラスチック化の動きに合わせて、アルカリ剥離性のラベルにおいても、本発明者らは紙基材を用いることを検討した。
しかしながら、アルカリ水によるラベルの洗浄工程においては、紙基材は破壊され、洗浄液を排水する部分に詰まって作業性が低下するなど、ラベルの回収が困難になる場合があった。
一方で、上記のようなアルカリ剥離性ラベルは、ラベルとしての通常使用時には耐水性(水によってラベルが被着体から剥離しない性能)が要求される。
そこで、本発明は、水によっては被着体から剥離しにくい一方で、アルカリ水による洗浄工程においては、紙基材の形状を保持したまま、容易に被着体から剥離する、アルカリ剥離性ラベルを提供することを目的とする。
本発明は、バインダー樹脂を有する印刷受理層と、湿潤増強剤を含む紙系基材と、粘着剤層と、を含む、アルカリ剥離性ラベルであって、前記印刷受理層および前記紙系基材は隣接して配置され、前記粘着剤層は、アクリル系共重合体を含む粘着剤組成物から形成されてなり、前記アクリル系共重合体は、酸基含有ビニルモノマーを3質量%以上含有する単量体混合物を共重合して得られる、アルカリ剥離性ラベルである。
本発明によれば、水によっては被着体から剥離しにくい一方で、アルカリ水による洗浄工程においては、紙基材の形状を保持したまま、容易に被着体から剥離する、アルカリ剥離性ラベルを提供することができる。
アルカリ剥離性ラベルを水に浸漬した際の様子を説明するための模式図である。 本発明のアルカリ剥離性ラベルの一実施形態を示す断面模式図である。
本発明の第一実施形態は、バインダー樹脂を有する印刷受理層と、湿潤増強剤を含む紙系基材と、粘着剤層と、を含む、アルカリ剥離性ラベルであって、前記印刷受理層および前記紙系基材は隣接して配置され、前記粘着剤層は、アクリル系共重合体を含む粘着剤組成物から形成されてなり、前記アクリル系共重合体は、酸基含有ビニルモノマーを3質量%以上含有する単量体混合物を共重合して得られる、アルカリ剥離性ラベルである。
当該構成とすることで、水では被着体から剥がれにくい一方、アルカリ水に浸漬させると、ラベルを容易に剥離することができる。本実施形態では、印刷受理層を有すること、紙系基材が湿潤増強剤を含むこと、粘着剤組成物に含まれるアクリル系共重合体を形成する際の全単量体中、酸基含有ビニルモノマーを3質量%以上含有すること、の3つの構成要件を要する。これらのうち、一つの条件でも欠けると、アルカリ水に浸漬しても、アルカリ剥離性ラベルが被着体(例えば、SUS被着体)から剥がれない(後述の比較例参照)。
第一実施形態の構成が本発明の効果を奏するメカニズムは以下のように推定される。
紙系基材のパルプ繊維は製造上、基材ロール体の流れ方向(MD方向)に配向しているパルプ繊維が多い。アルカリ剥離性ラベルが吸水すると、パルプ繊維が水を吸い繊維幅が太くなり、紙系基材は(MD方向と垂直の)幅方向(CD方向)に伸びる。一方で、紙系基材の印刷受理層側においては、印刷受理層に含まれるバインダー樹脂が、紙のパルプ繊維を拘束するため、印刷受理層側の紙系基材は吸水しても基材の伸びが抑制される。ゆえに、アクリル剥離性ラベルが水に曝露されると、紙系基材表裏で紙の繊維の太り方が変わり、アルカリ剥離性ラベルが印刷受理層側にカールするように(ラベルが被着体から剥がれる方向に)力が働く(図1参照)。ただし、粘着剤層を本実施形態の構成としない場合には、上記ラベルが剥がれる方向の力よりも被着体に対する粘着力のほうが勝るため、ラベルは被着体からは依然として剥がれにくい(後述の比較例1、2)。一方で、本実施形態においては、粘着剤組成物に含まれるアクリル系共重合体を形成する際の全単量体中、酸基含有ビニルモノマーを3質量%以上含有する。このようにアクリル系共重合体中に酸基が一定以上存在することで、水に浸漬した場合の粘着性の低下は少ないのに対し、アルカリ水に浸漬した際には粘着剤の粘着性が著しく低下し、ラベルが被着体から剥がれやすくなると考えられる。さらには、紙系基材が湿潤増強剤を含むことで、紙系基材を水に浸漬しても、紙系基材がばらばらになることが抑制され、紙系基材の形状が保持されるため、水に浸漬した際に、ラベルが剥がれやすくなると考えられる。また、紙系基材中に湿潤増強剤を含まない場合には、そもそも紙系基材が水の浸漬によって強度低下し、印刷受理層側に働く力が分散され、被着体から剥がれない(後述の比較例4)。
なお、上記推定は、本発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。
以下、本実施形態の詳細を説明する。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性の測定等は、室温(20~25℃)/相対湿度45~55%RHの条件で行う。また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸またはメタクリル酸」を指し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートまたはメタクリレート」を指す。
なお、ラベルの概念には、テープ、シート、フィルム等と称されるものが包含される。
また、アルカリ剥離性とは、例えば、40℃のアルカリ水(pH13の水酸化ナトリウム水溶液)に10分浸漬すると被着体から少なくとも一部が剥がれる性質を有するものを指す。
図2は、本発明のアルカリ剥離性ラベルの一態様を示す断面模式図である。なお、図面は説明の便宜上誇張されて表現されており、図面における各構成要素の寸法比率が実際とは異なる場合がある。図2において、アルカリ剥離性ラベル10は、印刷受理層11、紙系基材12、粘着剤層13、剥離ライナー14から構成される。剥離ライナー14は、粘着剤層13を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離ライナー14は、被着体に貼付する際にアルカリ剥離性ラベルから剥離される。よって、剥離ライナー14を有していないアルカリ剥離性ラベルも本発明の技術的範囲内である。また、印刷受理層11は、印刷部15を有する。印刷部15は任意であり、印刷部15を有していないアルカリ剥離性ラベルも本発明の技術的範囲内である。
図2の形態では、アルカリ剥離性ラベル10は、印刷部15、印刷受理層11、紙系基材12、粘着剤層13、剥離ライナー14から構成されるが、印刷受理層11、紙系基材12、粘着剤層13、剥離ライナー14がこの順に配置される限り、各層間には、その他の機能層(例えば、基材-粘着剤層間に密着性向上のためのプライマー層)が存在していてもよい。ただし、アルカリ剥離性を考慮して、印刷受理層11と、紙系基材12と、は隣接して配置される。
以下、アルカリ剥離性ラベルを構成する各部材について説明する。
[印刷受理層]
アルカリ剥離性ラベルは、バインダー樹脂を有する印刷受理層を印刷面に有する。印刷受理層を備えることにより、印刷部の密着性が向上する。また、上述したように、印刷受理層を設けた形態において、本発明の効果(アルカリ剥離性)が得られる。
印刷受理層を構成するバインダー樹脂は、印刷部との間において所定の密着性を発揮できる限り特に限定されず水溶性樹脂、非水溶性樹脂のどちらであってもよい。バインダー樹脂としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体(スチレン-ブタジエン樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、メタクリル酸-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、ポリ酢酸ビニルなどの非水溶性樹脂;ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂を挙げることができる。耐水性の観点からは、バインダー樹脂は非水溶性樹脂であることが好ましい。中でも、印刷適性を考慮すると、印刷受理層を構成するバインダー樹脂は、アクリル樹脂およびスチレン-ブタジエン樹脂の少なくとも一方であることが好ましく、アルカリ水に浸漬した際の被着体からの剥がれを考慮すると、スチレン-ブタジエン樹脂であることがより好ましい。スチレン-ブタジエン樹脂のガラス転移温度は、-50℃以上50℃以下であるのが好ましく、-20℃以上20℃以下であるのがより好ましい。これにより、スチレン-ブタジエン樹脂を好適に溶融させることができ、例えば、印刷受理層を形成する際の塗布時に紙系基材と絡まりやすくなって紙系基材の拘束が一層強くなり、アルカリ水に浸漬した際に被着体から容易に剥がれやすくなる。また、スチレン-ブタジエン樹脂(スチレン-ブタジエン共重合体)は、印刷適性、アルカリ水に浸漬した際の被着体からの剥がれの観点から、ラテックス型(スチレンブタジエンゴムラテックス)であることが好ましい。ラテックスは溶媒が水系であり、有機溶剤と比較して、紙系基材に浸透しやすい。ゆえに、紙の繊維を拘束しやすく(纏わりつきやすく)、カールが一層起こりやすくなる。
非水溶性樹脂は、市販品を用いてもよく、例えば、スマーテックス(登録商標)SN-309R(スチレンブタジエンゴムラテックス、日本エイアンドエル社製、ガラス転移温度4℃)、スマーテックス(登録商標)SN-307R(スチレンブタジエンゴムラテックス、日本エイアンドエル社製、ガラス転移温度10℃)、JSR0693(スチレンブタジエンゴムラテックス、JSR社製、ガラス転移温度20℃)、PRIMAL HA-16(アクリル樹脂、ダウ・ケミカル日本社製、ガラス転移温度35℃)などが挙げられる。
また、必要に応じて、バインダー樹脂は、イソシアネート系やエポキシ系の架橋剤等によって架橋された架橋体であってもよい。
バインダー樹脂の印刷受理層中における含有量は、印刷適性を考慮すると、例えば、1~10g/mであることが好ましく、2~6g/mであることがより好ましい。
印刷適性が向上することから、印刷受理層は、粘土鉱物を含むことが好ましい。粘土鉱物としては、例えば、カオリン、タルク、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、ハロイサイト、マイカ等を用いることができる。中でも、印刷受理層は、カオリンを含むことが好ましい。カオリンの形状は、特に限定されないが、扁平板状であるのが好ましい。これにより、印刷受理層の表面の平滑度をより優れたものとすることができ、アルカリ剥離性ラベルの印刷適性をより優れたものとすることができる。カオリンの平均粒径は、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上10μm以下である。平均粒径は、体積基準であり、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定することができる。カオリンの印刷受理層中の含有量は、例えば、4.0~15.0g/mであり、6.0~12.0g/mである。
カオリンが扁平板状をなすものである場合、その平均厚さに対する平均粒径の比率、すなわち、アスペクト比は、3.0以上であるのが好ましく、5.0以上であるのがより好ましく、7.0以上であるのがさらに好ましい。なお、カオリンのアスペクト比の上限は、10.0以下であってもよい。
カオリンは、市販品を用いてもよい。
印刷受理層の単位面積当たりのカオリンの含有量は、特に限定されないが、4.0g/m以上15.0g/m以下であるのが好ましく、6.0g/m以上12.0g/m以下であるのがより好ましい。これにより、印刷受理層の耐水性を十分に優れたものとしつつ、印刷適性をより優れたものとすることができる。
印刷受理層は、填料としての炭酸カルシウムを含んでもよい。炭酸カルシウムの形状は、特に限定されないが、柱状であるのが好ましい。これにより、印刷受理層の表面の平滑度をさらに優れたものとすることができ、印刷適性をさらに優れたものとすることができる。
印刷受理層の単位面積当たりの炭酸カルシウムの含有量は、特に限定されないが、1.0g/m以上5.0g/m以下であることが好ましく、1.5g/m以上3.5g/m以下であることがより好ましい。
また、印刷受理層は、後述する湿潤増強剤を含んでいてもよい。湿潤増強剤としては後述のものが挙げられるが、中でもポリアミン樹脂であることが好ましい。ポリアミン樹脂を含むことにより、前述した成分との相乗効果により、印刷受理層としての耐水性を向上させることができる。ポリアミン樹脂は、分子内にアミノ基またはイミノ基を2つ以上持つ化合物であればよいが、分子内にエポキシ基を有さない化合物であるのが好ましい。ポリアミン樹脂のガラス転移温度は、0℃以上120℃以下であるのが好ましく、40℃以上100℃以下であるのがより好ましい。これにより、乾燥やスーパーカレンダー工程でポリアミン樹脂を好適に液状化させることができ、製造されるラベルの平滑性をより優れたものとすることができる一方で、室温では固体化して、ラベルの耐水擦過性をより優れたものとすることができる。ポリアミン樹脂としては、例えば、田岡化学工業社よりSumirez(登録商標)Resin SPI-102Aとして市販されているもの等を使用できる。また、星光PMC社よりPAシリーズとして市販されているポリアミドポリアミン樹脂を使用することもできる。
印刷受理層の単位面積当たりの湿潤増強剤の含有量は、特に限定されないが0.005g/m以上0.05g/m以下であるのが好ましく、0.01g/m以上0.04g/m以下であるのがより好ましい。
印刷受理層は、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、カオリン、炭酸カルシウム以外の填料(例えば、タルク、クレー、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム等)、酸化デンプン、染料、顔料等の着色剤、凝集剤、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどの消泡剤、アクリル酸系分散剤などの分散剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
印刷受理層を形成する方法は特に限定されず、例えば、印刷受理層の材料、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗布液を、紙系基材の片面側に対して、塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、印刷受理層を形成することができる。
印刷受理層の厚さは、特に限定されるものではないが、印刷適性を考慮すると、例えば、2μm以上20μm以下であるのが好ましく、4μm以上15μm以下であるのがより好ましい。
[紙系基材]
紙系基材は、通常、パルプを主成分として含んでいる。なお、本明細書において「主成分」とは、50質量%超の濃度を有する成分を意味する。紙系基材におけるパルプの含有率は、特に限定されないが、60質量%以上99質量%以下であるのが好ましく、65質量%以上98質量%以下であるのがより好ましく、70質量%以上97質量%以下であるのがさらに好ましい。
紙系基材としては、パルプを含むものであれば特に限定されない。パルプとしては、天然パルプであることが好ましい。天然パルプとしては、例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、亜麻、大麻、楮、三椏等の靭皮繊維が挙げられる。中でも、紙系基材は、少なくとも、針葉樹晒クラフトパルプおよび広葉樹晒クラフトパルプを含むことが好ましい。針葉樹晒クラフトパルプを含むことにより、パルプの繊維同士(特に、針葉樹晒クラフトパルプの繊維同士)を効率的に絡み合わせることができ、紙系基材の強度を高めることができる。また、広葉樹晒クラフトパルプを含むことにより、表面の平滑性を高めることができ、印刷適性の向上に大きく寄与する。針葉樹晒クラフトパルプの含有率をXN[質量%]、広葉樹晒クラフトパルプの含有率をXL[質量%]としたとき、0.33≦XN/XL≦1.5の関係を満足することが好ましい。紙系基材を構成するパルプ含有率全体に占める針葉樹晒クラフトパルプの含有率および広葉樹晒クラフトパルプの含有率の和の割合は、質量比で、80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましく、95%以上であるのがさらに好ましい。
紙系基材は、湿潤増強剤を含む。湿潤増強剤は、紙が水に濡れたときに紙力の低下を抑えるための薬剤であり、水に対してほぐれやすいパルプ繊維に添加することにより、水に濡れてもパルプ繊維の結合を保持してほぐれにくくし、強度を高める効果を有する。このため、紙系基材が湿潤増強剤を含むことで、アルカリ水に浸漬しても基材破壊が抑制され、被着体からの剥離性が向上する。
湿潤増強剤としては、特に限定されるものではないが、ポリアミン樹脂、ポリアクリルアミド(PAM)樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が例示される。中でも、湿潤増強剤は、ポリアミン樹脂、ポリアクリルアミド(PAM)樹脂であることが好ましく、ポリアミン樹脂であることが好ましい。
ポリアミン樹脂は、通常、パルプ間で架橋構造を形成している。なお、ポリアミン樹脂は、ポリアミン樹脂同士で架橋構造を形成していてもよいし、紙系基材中に含まれるポリアミン樹脂以外の樹脂材料と架橋構造を形成していてもよい。
ポリアミン樹脂は、分子内にアミノ基またはイミノ基を2つ以上持つ化合物であり、ポリアミン樹脂としては、例えば、いわゆるポリアミン類とエピクロロヒドリン等のエピハロヒドリンから得られる樹脂やその誘導体が挙げられる。このようなポリアミン樹脂は、反応基としてエポキシ基を有している。ポリアミン樹脂としては、星光PMC社よりWS-4011(ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂)として市販されているもの等を使用できる。また、ポリアミドポリアミンエピハロ(クロロ)ヒドリン樹脂も使用できる。
ポリアクリルアミド(PAM)としては、例えば、荒川化学工業社よりポリストロンシリーズとして市販されているもの等を使用できる。
紙系基材中における湿潤増強剤の含有量は、特に限定されないが、効果の発現およびその効果の飽和を考慮すると、パルプに対して0.5~3.0質量%であることが好ましい。
紙系基材は、その他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、酸化デンプン;ロジン系サイズ剤、AKD(アルキルケテンダイマー)系サイズ剤等のサイズ剤;湿潤増強剤以外の樹脂材料(例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリビニルアルコール等);染料、顔料等の着色剤;硫酸アルミニウム、カチオン化澱粉、カチオン性高分子電解質等の定着剤;抄紙助剤;凝集剤等が挙げられる。これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記樹脂材料は、サイズ剤として機能するものを用いてもよい。
紙系基材の厚さは、特に限定されないが、30~200μmであることが好ましく、50~150μmであることがより好ましい。
[粘着剤層]
粘着剤層は、アクリル系共重合体を含む粘着剤組成物から形成されてなる。
(粘着剤組成物)
粘着剤組成物は、アクリル系共重合体を含む。また、アクリル系共重合体は、酸基含有ビニルモノマーを3質量%以上含有する単量体混合物を共重合して得られる。
単量体混合物においては、(メタ)アクリル酸アルキルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)が用いられる。ここで、主成分とは、単量体中50質量%以上であることを指し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。
(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基としては、直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基のいずれであってもよい。アルキル基は炭素数1~24のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~18のアルキル基であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、(メタ)アクリル酸アルキルとしては、アルカリ水での剥離を考慮すると、(メタ)アクリル酸n-ブチルまたは(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを用いることが好ましく、アルカリ水での剥離時間を短縮することが可能であることから、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを用いることがより好ましく、アクリル酸2-エチルヘキシルを用いることがさらにより好ましい。好適な一形態は、単量体混合物が、(メタ)アクリル酸ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを50質量%以上含有する。(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを用いる場合、単量体全量に対して、70~97質量%であることが好ましく、80~95質量%であることがより好ましく、85~93質量%であることがさらに好ましい。
また、粘着性の観点から、(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルと組み合わせて、(メタ)アクリル酸メチルを用いることが好ましく、メタクリル酸メチルを組み合わせることがより好ましい。(メタ)アクリル酸メチルの含有量は、単量体全量に対して、0.5~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。
本実施形態においては、アルカリ水での剥離を容易にするために、酸基含有ビニルモノマーを用いる。酸基含有ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、およびオレイン酸などのカルボキシル基含有ビニルモノマー(エチレン性二重結合およびカルボキシル基とを、同一分子内に持つ化合物);マレイン酸無水物、イタコン酸無水物などのカルボン酸無水物基含有ビニルモノマー(エチレン性二重結合およびカルボン酸無水物基とを、同一分子内に持つ化合物);2-メタクリロイルオキシエチルジフェニルホスファート(メタ)アクリレート、トリメタクリロイルオキシエチルホスファート(メタ)アクリレート、トリアクリロイルオキシエチルホスファート(メタ)アクリレート等のリン酸基を有するアクリルモノマー;スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム、2-スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基を有するアクリルモノマーなどが挙げられる。
中でも、アルカリ水での剥離が効果的に行われることから、酸基含有ビニルモノマーはカルボキシル基含有ビニルモノマーであることが好ましく、(メタ)アクリル酸であることがより好ましく、アクリル酸であることがさらに好ましい。
酸基含有ビニルモノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
酸基含有ビニルモノマーの全単量体中の含有量は、3質量%以上である。酸基含有ビニルモノマーの含有量が3質量%未満であると、アルカリ水に浸漬しても被着体から剥がれにくい。酸基含有ビニルモノマーの全単量体中の含有量は、好ましくは3.5質量%以上である。酸基含有ビニルモノマーの全単量体中の含有量の上限は、製造の観点から、通常、全単量体中10質量%以下であり、5質量%以下であってもよい。
また、単量体混合物は、(メタ)アクリル酸アルキルに共重合可能な他の共重合性単量体を含んでいてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルに共重合可能な共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;酢酸ビニルなどのビニルエステル類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の共重合性単量体を用いる場合、全単量体中5質量%以下(下限0質量%)であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらにより好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。ここで、実質的に含まないとは、不純物程度の含有は許容するものであり、具体的には、0.01質量%以下であり、さらには0質量%である。
アクリル系共重合体のガラス転移温度は、室温での表示ラベルとしての性能(簡単に剥がれない)を考慮して、-55~-20℃であることが好ましい。ガラス転移温度は、アクリル系共重合体を構成する単量体種、およびその含有量によって調整することができる。
アクリル系共重合体のガラス転移温度は、以下のフォックス式に従って、共重合体を構成する各構成ポリマーのTgnから計算したものを採用する。
フォックス式:1/Tg=Σ(Wn/Tgn)
Tg:重合体の計算Tg(K)
Wn:モノマーnの重量分率
Tgn:モノマーnのホモポリマーのガラス転移温度(K)
モノマーnのホモポリマーのTg値(Tgn)は、例えば、株式会社日本触媒、三菱ケミカル株式会社、東亞合成株式会社などのモノマーメーカーの技術資料や高分子データハンドブック(培風館発行、高分子学会編(基礎編)、昭和61年1月初版)、Polymer Handbook 4th edition(J.Brandrup, E.H.Immergut, E.A.Grulke, 1999年発行、Wiley-Interscience)に記載されている。
アクリル系共重合体の粘着剤組成物中の含有量は、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、80~100質量%であることがさらにより好ましい。
アクリル系共重合体の製造方法は、特に制限されず、重合開始剤を使用する溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法など従来公知の方法を用いることができる。また、重合開始剤により重合を開始させる方法の他に、放射線、電子線、紫外線等を照射して重合を開始させる方法を採用することもできる。中でも本発明の効果が一層奏されることから、乳化重合法を用いることが好ましい。すなわち、本発明の好適な実施形態は、アクリル系共重合体がエマルション系重合体である。
アクリル系共重合体がエマルション系重合体である場合、アクリル系共重合体中の酸基は架橋剤によって封鎖されないことが好ましい。エマルション系重合体は、高分子量の重合体を得られやすく、架橋剤を用いなくとも粘着性が発揮され、また、酸基を架橋剤で封鎖しないことで、アルカリ水による被着体からの剥離性が向上するため好ましい。
乳化重合法としては、例えば、上述の単量体を含む単量体混合物に、乳化剤および重合開始剤を添加し、乳化重合する方法が挙げられる。
なお、乳化重合において、重合安定性の観点から、単量体混合物は、乳化剤(または乳化剤の一部)を、単量体混合物に溶解しておくか、または、予めO/W型の乳化液の状態としておくことが好ましい。
乳化重合を行う際の手順としては、例えば、以下の(1)~(3)の方法が挙げられる。
(1)単量体混合物、乳化剤、水等の全量を仕込み、昇温し、水に溶かした重合開始剤を全量滴下または分割添加して、重合する。
(2)反応容器内に水、乳化剤、単量体混合物の一部を仕込み、昇温した後、水に溶かした重合開始剤を滴下または分割添加して重合反応を進行させた後、残りの単量体混合物を全量滴下または分割添加して重合を継続する。
(3)反応容器内に水に溶かした重合開始剤を仕込んでおき昇温した後、単量体混合物、乳化剤、および水からなる乳化液を全量滴下または分割添加して重合する。
乳化剤としては、特に制限は無いが、エマルション系重合体の分散安定性を向上させる観点から、アニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤が好ましく、アニオン系乳化剤がより好ましい。
アニオン系乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、アリルアルキルスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。これらの乳化剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乳化剤の添加量としては、乳化重合反応の安定性の観点、および、未反応の乳化剤が残存することによる物性低下を防ぐ観点から、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.5~12質量部、より好ましくは0.5~8質量部、更に好ましくは0.7~6質量部である。
なお、乳化剤は、単量体混合物に水を加えた溶液に直接添加してもよく、予め重合容器に添加しておいてもよく、またはそれらを併用してもよい。
重合開始剤としては、水溶性、油溶性のいずれであってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等のアゾ系化合物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物等が挙げられ、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせや、過酸物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ等からなるレドックス開始剤を用いてもよい。重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、重合安定性に優れているという観点から、過硫酸塩またはレドックス開始剤が好ましい。
重合開始剤の添加量としては、重合速度を速める観点から、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.01~6質量部、より好ましくは0.03~4質量部、さらに好ましくは0.1~2質量部である。
なお、重合開始剤は、予め反応容器内に加えておいてもよく、重合開始直前に加えてもよく、重合開始後に複数回に分けて加えてもよく、単量体混合物中に予め加えておいてもよく、該単量体混合物からなる乳化液を調製後、当該乳化液に加えてもよい。
また、乳化重合時に、公知の連鎖移動剤やpH緩衝剤をさらに添加してもよい。
乳化重合に際し、用いる水としては、イオン交換水が好ましい。水の使用量は、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは30~400質量部、より好ましくは35~200質量部、更に好ましくは40~150質量部である。
乳化重合により得られたエマルション系重合体分散液に対して、さらに、アンモニア水、各種水溶性アミン、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加して、pH5~9(好ましくはpH6~8.5)に調整することが好ましい。
エマルション系重合体分散液の固形分濃度は、好ましくは10~80質量%、より好ましくは25~70質量%、更に好ましくは45~65質量%である。
エマルション系重合体分散液の25℃における粘度は、好ましくは50~12000mPa・s、より好ましくは100~10000mPa・s、更に好ましくは200~9000mPa・sである。本明細書において、粘度は、B型回転粘度計を用いて測定される値である。
エマルション系重合体は、エマルション系重合体が分散しているエマルション形状(粒子形状)を有する。この際、エマルション系重合体の平均粒子径は、耐水性が向上し、また、アルカリ水による剥離性が向上することから、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは300nm以下であり、さらに好ましくは200nm以下である。また、エマルション系重合体の平均粒子径は、通常50nm以上であり、100nm以上であることがより好ましい。ここで、エマルション系重合体の平均粒子径は、レーザー回折分散法により測定される体積基準のメジアン径である。
粘着剤組成物は、粘着付与剤を含んでいてもよい。粘着付与剤としては、特に制限されず、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂、重合ロジン系エステル樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
粘着剤組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、公知の架橋剤が使用できる。例えば、以下に制限されないが、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤などが挙げられる。中でも、反応性の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。なお、特にアクリル系共重合体がエマルション系重合体であるとき、粘着剤組成物が架橋剤を実質的に含まない形態も好適である。ここで、実質的に含まないとは、不純物程度の含有は許容するものであり、具体的には、0.01質量%以下であり、さらには0質量%である。
架橋剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
架橋剤を添加する場合、架橋剤の添加量は、各アクリル系共重合体100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
粘着剤組成物は、従来公知のその他の添加剤をさらに含みうる。かような添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、紫外線吸収剤などが挙げられる。充填剤としては、例えば、亜鉛華、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
粘着剤層の形成方法は、特に限定されるものではないが、基材上に粘着剤組成物を直接塗工して粘着剤層を形成してもよく、また、剥離ライナー上に粘着剤層を形成した後、これを基材と貼合してもよい。具体的には、剥離ライナー上に粘着剤組成物を塗布し、粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材に転写する方法が挙げられる。
粘着剤組成物の基材または剥離ライナーへの塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。
粘着剤層の厚み(乾燥後膜厚)は、通常5~100μm、好ましくは10~50μmである。
[剥離ライナー]
剥離ライナーとしては、特に限定されるものではないが、上質紙、グラシン紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;などが挙げられる。
剥離ライナーの厚みは、通常10~400μm程度である。また、剥離ライナーの表面には、粘着剤層の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01~5μm程度である。
[印刷部]
印刷部は、どのように形成されるか特に限定されず、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等によって形成され、これらは、一定の図柄等を大量に作製するのに適する。一方、熱転写方式、インクジェット方式、電子写真(静電)方式等は、例えばシリアル番号のような可変情報を印すのに適する。
印刷部を形成するのに用いるインクは、特に限定されず、例えば、油性インク、水性インク、光硬化型インク(紫外線硬化型インク、電子線硬化型インク)等が挙げられる。
印刷部は、印刷受理層の全面に設けられていてもよいし、表面の一部にのみ設けられていてもよい。
[製造方法]
アルカリ剥離性ラベルは、例えば、以下のような方法で製造することができる。
1.紙系基材の製造
まず、パルプ原料を水中で叩解処理してパルプスラリーを生成する。そのパルプスラリーに、湿潤増強剤を添加し、必要に応じて、その他の内添剤も添加する。
次に、上記のようにして得られたパルプおよび湿潤増強剤を含むスラリーを抄紙することにより紙系基材を得る。また、必要に応じて、抄紙後に、サイズ剤を付与してもよい。サイズ剤としては、例えば、酸化デンプン、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアマイド樹脂等を用いることができる。サイズ剤を付与する場合、通常は、紙の両面に付与するが、一方の面のみに付与してもよい。
2.印刷受理層形成用組成物の紙系基材への塗布
バインダー樹脂、必要に応じてカオリン等の添加剤、さらに溶媒を混合して印刷受理層形成用組成物を準備する。溶媒は、バインダー樹脂の形態によって適宜選択され、バインダー樹脂がエマルション系樹脂である場合には、溶媒は、例えば、水である。同様に、樹脂、必要に応じて添加剤、さらに溶媒(トルエン・酢酸エチルなど)を混合して印刷受理層形成用組成物を準備する。
その後、上記のようにして得られた紙系基材に対して、例えば、エアナイフ塗布により、印刷受理層形成用組成物を付与して、印刷受理層を形成する。印刷受理層形成用組成物を塗布した後、乾燥工程に供してもよい。乾燥条件は適宜設定されるが、例えば、80~160℃で10~60秒である。
その後、印刷受理層面は、必要に応じて、スーパーカレンダー処理によって、紙の表面を平滑化してもよい。
3.粘着剤層の形成
粘着剤層の形成方法は特に限定されないが、通常粘着剤を剥離ライナー上に塗布し乾燥した後に、上記で2.で形成された積層体の非印刷受理層面に転写する方法が採られる。塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。乾燥条件としては特に限定されず、通常60~150℃にて10~60秒の条件で行われる。
(用途)
本実施形態のアルカリ剥離性ラベルは、アルカリ水によってラベルが剥離されるものである。
本実施形態のアルカリ剥離性ラベルを貼付する被着体としては、特に限定されず、ビール瓶、酒瓶などのガラス容器;ボディソープ容器、シャンプーボトル容器、食器用洗剤容器などの樹脂容器(樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PP)、ポリプロピレン(PP)など);調味料用容器などのステンレス容器;などが挙げられる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
(実施例1)
1.印刷受理層および紙系基材の製造
針葉樹晒クラフトパルプ:50質量部、および、広葉樹晒クラフトパルプ:50質量部を水中でショッパーリグラー法による叩解度が25°SRとなるように叩解処理し、これを水に分散して濃度約2.7質量%のパルプスラリーを得た。次いで、このパルプスラリー中のパルプ100質量部に対して、予め水酸化ナトリウムで活性化したポリアミン樹脂(星光PMC社製、WS-4011)1.3質量部、内添紙力増強剤3.96質量部、サイズ剤0.6質量部、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)0.3質量部を、それぞれ、付与することにより組成物を得た。そして、この組成物を長網多筒式抄紙機を用いて抄紙し坪量94g/mの原紙(紙系基材)を得た。原紙の厚さは91μmであった。
続いて、紙系基材の一方の面に、エアナイフ塗工により、扁平板状のカオリン8.68g/m、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー0.04g/m、アクリル酸系分散剤0.02g/m、炭酸カルシウム2.17g/m、スチレン-ブタジエン樹脂(日本エイアンドエル社製、スマーテックスSN-309R)1.63g/m、酸化デンプン0.43g/m、ポリアミン樹脂(田岡化学工業社製、Sumirez(登録商標)Resin SPI-102A)0.02g/mになるように印刷受理層形成用組成物を塗工・乾燥して、印刷受理層を形成した。形成された印刷受理層の厚さは、10μmであった。なお、カオリンは平均粒径が3μmであり、アスペクト比が8のものであった。また、炭酸カルシウムの形状は柱状であった。
その後さらに、印刷受理層面にスーパーカレンダー処理を施して印刷受理層と紙系基材の積層体を得た。
2.粘着剤層の形成
<粘着剤組成物の調製>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートを有する反応容器に、原料モノマーとしてアクリル酸2-エチルへキシル(2EHA)88.5質量部、メタクリル酸メチル(MMA)8.5質量部、アクリル酸(AA)3質量部と、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王社製「エマールAD-25R」)を4質量部(固形分換算で0.96質量部)、脱気済みのイオン交換水35質量部を投入し、撹拌して乳化物を調製した。
別途、撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートを有する反応容器に、脱気済みのイオン交換水40質量部を投入し、温度を80℃まで昇温させた。次に、前記乳化物を滴下ロートに移し、4時間かけて滴下した。これと併行して重合開始剤溶液として濃度3質量%の過硫酸カリウム水溶液4質量部を滴下し、反応温度80℃で乳化重合を行った。滴下終了後、80℃のままで2時間熟成して乳化重合組成物を得た。その後、室温まで冷却し、25質量%のアンモニア水と25質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpHが7.0になるように調整し、アクリル系重合体の水分散液を得た。
得られた粘着剤組成物を剥離ライナーにナイフコーターを用いて乾燥後膜厚が25μmとなるように塗工した。粘着剤層面を紙基材の印刷受理層と反対の面上に転写して、23℃で1週間静置し、アルカリ剥離性ラベルを作製した。
(実施例2)
実施例1において、2EHA/MMA/メタクリル酸(MAA)=90/6.5/3.5(質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(実施例3)
実施例1において、2EHA/MMA/AA=88.5/8.5/3(質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(実施例4)
実施例1において、アクリル酸ブチル(BA)/MMA/AA=95/1.5/3.5(質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(比較例1)
実施例1において、2EHA/MMA/AA=88.5/9/2.5(質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(比較例2)
実施例1において、2EHA/MMA/MAA=90/7.5/2.5(質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(比較例3)
実施例1において、印刷受理層を設けない紙基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(比較例4)
実施例1において、紙系基材として印刷受理層を有する上質紙(湿潤増強剤なし)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
[評価方法1:デラベル試験(温水)]
被着体にラベルを貼付し、23℃50%RH環境下で24時間養生させた。その後、温水に浸漬(水流無し)し、ラベルの剥がれ具合を目視で確認した。表1に結果を示す。表1における()内の時間はラベルが剥がれた時間を表記した。ラベル浮きは被着体から剥がれずに、ラベルの一部分がけが剥がれている状態を指す。なお、被着体については、SUS、ガラスの双方について行った。一般的にガラス被着体のほうがラベルの剥離性は高い。
[評価方法2:デラベル試験(アルカリ水)]
被着体にラベルを貼付し、23℃50%RH環境下で24時間養生させた。その後、pH13.0、40℃の水酸化ナトリウム水に浸漬(水流無し)し、ラベルの剥がれ具合を目視で確認した。表1に結果を示す。表1における()内の時間はラベルが剥がれた時間を表記した。ラベル端部浮きは被着体から剥がれずに、ラベルの一部分だけが剥がれている状態を指す。なお、被着体については、SUS、ガラスの双方について行った。一般的にガラス被着体のほうがSUS被着体と比べて表面の平滑性が高いため、ラベルの剥離性は高い。
[評価方法3:粘着力試験]
実施例および比較例で得た粘着シートを1日標準環境下(23℃50%RH)に静置し、剥離ライナーを剥がしてSUS板またはガラス板に粘着剤層面を貼付した後、粘着力を測定した。具体的には、引張試験機により、180°方向に試験速度300mm/分でシートを引き剥がし、粘着力を測定した。数値は、シート幅25mm当たりの引き剥がし力に換算したもの(N/25mm)である。結果を表1に示す。
Figure 2022149140000002
以上の結果より、実施例のアクリル剥離性ラベルは、被着体がSUSであってもガラスであっても、40℃温水の浸漬によってはラベルが被着体から剥がれなかったが、40℃のアルカリ水浸漬によってはラベル剥がれまたは、端部剥がれが生じた。なお、アルカリ剥離を工場規模で行う際には、水流なども併用するため、本評価方法において端部剥がれが生ずれば、十分な性能を有すると言える。酸基含有ビニルモノマーが3質量%以下の比較例1、2は、被着体がSUSの場合にアルカリ水に浸漬してもラベルが剥がれなかった。また、印刷受理層が形成されていない比較例3、紙系基材が湿潤増強剤を含まない比較例4は、アルカリ水に浸漬してもSUS、ガラス双方の被着体からラベルが剥がれなかった。
10 アルカリ剥離性ラベル、
11 印刷受理層、
12 紙系基材、
13 粘着剤層、
14 剥離ライナー、
15 印刷部。

Claims (7)

  1. バインダー樹脂を有する印刷受理層と、湿潤増強剤を含む紙系基材と、粘着剤層と、を含む、アルカリ剥離性ラベルであって、
    前記印刷受理層および前記紙系基材は隣接して配置され、
    前記粘着剤層は、アクリル系共重合体を含む粘着剤組成物から形成されてなり、
    前記アクリル系共重合体は、酸基含有ビニルモノマーを3質量%以上含有する単量体混合物を共重合して得られる、アルカリ剥離性ラベル。
  2. 前記バインダー樹脂が、非水溶性樹脂である、請求項1に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  3. 前記バインダー樹脂が、スチレン-ブタジエン樹脂である、請求項1または2に記載のアクリル剥離性ラベル。
  4. 前記スチレン-ブタジエン樹脂がスチレンブタジエンゴムラテックスである、請求項3に記載のアクリル剥離性ラベル。
  5. 前記単量体混合物が、(メタ)アクリル酸ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを50質量%以上含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  6. 前記アクリル系共重合体は、エマルション系重合体である、請求項1~5のいずれか1項に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  7. 前記酸基は架橋剤によって封鎖されない、請求項6に記載のアルカリ剥離性ラベル。
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