JP2008088412A - パーフルオロポリエーテル−ポリオルガノシロキサン共重合体及びそれを含む表面処理剤 - Google Patents

パーフルオロポリエーテル−ポリオルガノシロキサン共重合体及びそれを含む表面処理剤 Download PDF

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Abstract

【課題】溶剤への溶解性、及び、硬化膜の耐摩耗性の点で改良された表面処理剤を提供する。
【解決手段】少なくとも1のパーフロロポリエーテルブロックと、少なくとも1の、シルアルキレン基を含んでいてよいポリオルガノシロキサンブロックを含み、両末端に下記式(1)で示される基を1つずつ有し、数平均分子量(ポリスチレン換算)7000〜25000である、パーフロロポリエーテル−ポリオルガノシロキサン共重合体
Figure 2008088412

(Xは加水分解性基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であり、yは1〜5の整数であり、aは2又は3である)
【選択図】なし

Description

本発明は、パーフルオロポリエーテル-ポリシロキサン共重合体に関し、詳細には、パーフルオロポリエーテルブロック、ポリオルガノシロキサンブロック、及び両末端の加水分解性の基を有し、各ポリマーブロックの特性に加え、各種基材への接着性及び硬化性に優れる共重合体及び、該共重合体を含む表面処理剤に関する。
一般に、パーフルオロポリエーテル基含有化合物は、耐薬品性、潤滑性、離型性、撥水撥油性などを有する。その性質を利用して、磁気記録媒体の滑剤、精密機器の防油剤、離型剤、紙・繊維などの撥水撥油防汚剤、化粧料、保護膜など、幅広く利用されている。
特に、硬化性パーフルオロポリエーテルは、その、フルオロアルキルエーテル構造の有する特性から種々の用途に用いられている。例えば、耐薬品性、耐溶剤性、低透湿性のゲル状硬化物が知られており、半導体式圧力センサーの保護剤、電子回路の保護剤等に利用されている(特許文献1)。
一方、ガラスや布などの基材表面と有機化合物とを結合させるものとしては、シランカップリング剤が良く知られている。シランカップリング剤は、1分子中に有機官能基と反応性シリル基(一般にはアルコキシシリル基)を有する。アルコキシシリル基は、空気中の水分などによって加水分解し、自己縮合反応をおこしてシロキサンとなり被膜を形成する。それと同時に、ガラスや金属などの表面と化学的・物理的に結合することによって、耐久性を有する強固な被膜となる。シランカップリング剤はこの性質を利用して各種基材表面のコーティング剤として幅広く利用されている。
これらの特徴を生かしたものとして、下記式で示されるフロロアミノシラン化合物が開示されている(特許文献2)。
Figure 2008088412

(式中、R1、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Q1はCH2CH2CH2又はCH2CH2NHCH2CH2CH2、hは1〜4の整数、iは2又は3である。)
しかしながら、この化合物は、パーフルオロポリエーテル基の部分が、ヘキサフルオロプロピレンオキサイド(HFPO)の2〜5量体と短いため、上記パーフルオロポリエーテル基の持つ特徴を十分に出すことができなかった。
耐汚染性が向上された反射防止膜として、PVD法により形成した二酸化ケイ素を主成分とする表面層を有する単層又は多層の無機物層からなる反射防止層の表面に、有機ポリシロキサン系重合物又はパーフルオロアルキル基含有重合物からなる硬化層を有するものが知られている(特許文献3)。
しかしながら、手垢や指紋等の人体的汚染が付着した場合に、ティッシュペーパーなどで拭き取ることが困難で、汚染が薄膜に押し拡げられ、強く擦ると反射防止膜が傷付くため、満足できる除去を達成できないという問題点があった。
また、下記式で示されるパーフルオロポリエーテル変性アミノシランを防汚層に用いた反射防止膜が開示されている(特許文献4、5)。しかし、この反射防止膜は硬化までに時間を要することや、基材への密着性の点などの問題点を有する。
Figure 2008088412

(式中、X3は加水分解性基、R5は低級アルキル基、R6は水素原子又は低級アルキル基、Q2はCH2CH2CH2又はCH2CH2NHCH2CH2CH2、eは6〜50の整数、fは2又は3、c及びdはそれぞれ1〜3の整数。)
また、下記式で示されるパーフルオロポリエーテル基含有シランカップリング剤は両末端に加水分解性基を2または3個有し、基材との密着性に優れ、汚れにくく、その汚れを拭き取り易く、表面の滑り性が良好で傷付きにくく、それらの性能を持続する被膜を与えるとされている(特許文献6)。
Figure 2008088412

(式中、Rfは二価の直鎖型パーフルオロポリエーテル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基、Xは加水分解性基、pは0〜2、qは1〜5の整数、aは2又は3である。)
しかし、これらの表面処理剤を用いても、汚れが付着しないということはなく、頻繁に汚れを拭き取る必要がある。また、ティッシュペーパー等での汚れの拭き取り時の、拭き取りやすさ、その拭き取りの感触は、改良の余地がある。
特開平11−282430号公報 特開昭58−167597号公報 特公平6−5324号公報 特開平11−29585号公報 特開2000−143991号公報 特開2003−238577号公報
本発明者らは、上記表面処理剤の問題点を解決すべく、パーフルオロエーテル部分に加えて、所定のポリオルガノシロキサン部分を有する表面処理剤を発明した(特開2007−197425号公報、特願2007−4899号)。本発明は、これらの表面処理剤を、溶剤への溶解性、及び、被膜の耐摩耗性の点で、さらに向上することを目的とする。
即ち、本発明は下記のものである。
少なくとも1のパーフロロポリエーテルブロックと、少なくとも1の、シルアルキレン基を含んでいてよいポリオルガノシロキサンブロックを含み、両末端に下記式(1)で示される基を1つずつ有し、数平均分子量(ポリスチレン換算)7000〜25000である、パーフロロポリエーテル−ポリオルガノシロキサン共重合体。
Figure 2008088412
(Xは加水分解性基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であり、yは1〜5の整数であり、aは2又は3である)
また、本発明は該共重合体及び/又はその部分加水分解縮合物を含む表面処理剤である。
本発明のパーフルオロポリエーテル-ポリオルガノシロキサン共重合体は、分子の両末端に加水分解性基を有しており、常温または加熱により硬化すると共に、両末端が基材に強固に密着し、基材に優れた撥水・撥油性、潤滑性、さらには耐摩耗性を与える。また、ポリオルガノシロキサンブロックを有することによって、従来のパーフルオロポリエーテルと比較して、有機溶剤への溶解性が良く、潤滑剤等種々の用途への使用も可能である。
本発明のパーフルオロポリエーテル-ポリオルガノシロキサン共重合体は、その両末端に1つずつ、下記式(1)で表される基を有する。
Figure 2008088412
式中、Xは加水分解性基を表し、末端に1個以上有するがそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基などの炭素数2〜10のオキシアルコキシ基、アセトキシ基などの炭素数1〜10のアシロキシ基、イソプロペノキシ基などの炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、クロル基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基などが挙げられる。中でもメトキシ基、エトキシ基、イソプロペノキシ基、クロル基が好適である。
は、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基で、中でもメチル基が好適である。aは2又は3であり、反応性、基材に対する密着性の観点から、3が好ましい。yは1〜5の整数、好ましくは2〜5の整数である。
パーフロロポリエーテルブロックは、下記一般式で表される繰返し単位が複数結合されたブロックである。

−C2jO−

ここで、jは1以上、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4の整数であり、複数のパーフロロポリエーテルブロックを含む場合には、jが互いに異なっていてよい。
上記式で示される繰り返し単位−Cj2jO−は直鎖型、分岐型であってよく、例えば下記の単位等が挙げられる。
−CFO−
−CFCFO−
−CFCFCFO−
−CF(CF)CFO−
−CFCFCFCFO−
−CFCFCFCFCFCFO−
−C(CFO−
パーフルオロポリエーテルブロックは、これらの繰り返し単位の2種以上が結合されたものであってもよい。好ましくは、該パーフルオロポリエーテルブロックは下記一般式(3)、(4)、(5)で示される。
Figure 2008088412

(式中、Yはそれぞれ独立にF又はCF基、rは2〜6の整数、dは1〜3の整数、m、nはそれぞれ0〜200の整数であり、m+n=2〜200、sは0〜6の整数であり、各繰り返し単位の配列はランダムであってよい)
Figure 2008088412

(式中、lは1〜200の整数、dは1〜3の整数である。)
Figure 2008088412

(式中、YはF又はCF基、dは1〜3の整数、m、nはそれぞれ0〜200の整数、但しm+n=2〜200であり、該一般式中の繰り返し単位の配列はランダムであってよい)
より好ましくは、上記各式中の繰り返し単位の合計は、1〜60、最も好ましくは10〜50である。式(5)において、d=1、YがFである下記のブロックが、硬化膜表面のすべりの良さの点で特に好ましい。
−CF(OC(OCFOCF− (6)
(式中、m=0〜50、n=0〜50、及びm+n=2〜60の整数である。)
ポリオルガノシロキサンブロックは、下記式(7)で示されるオルガノシロキサン繰返し単位が複数結合された直鎖のブロックであることが好ましく、該繰返し単位同士がアルキレン基を介して結合され、シルアルキレン構造、−Si−C2k−Si−(kは2〜4の整数)、を形成していてよい。
Figure 2008088412
ここで、Rは同一または異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、cは2〜200、好ましくは2〜100、より好ましくは10〜60の整数である。
上記ポリオルガノシロキサンブロックとしては、下記のものが例示される。
Figure 2008088412
Figure 2008088412
Figure 2008088412
Figure 2008088412
Figure 2008088412
Figure 2008088412
Figure 2008088412
Figure 2008088412
Figure 2008088412
ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す。
上記パーフルオロポリエーテルブロックをRfで、ポリオルガノシロキサンブロックをWで夫々表すと、これらのブロックが、連結基Qを介して下記式(2)で示すように結合されて、主鎖を構成していることが好ましい。

―(Rf−Q)h−(W−Q−Rf−Q)g−W−(Q−Rf)i− (2)

式中、Qは炭素数2〜12の2価の連結基であり、酸素原子及び/又は窒素原子を、例えばアミド、エーテル、エステル結合等の形で、含んでいてよい。例えば、下記の基が挙げられ、ここで、各基の左端がRfに右端がWに結合される。
Figure 2008088412
Figure 2008088412
好ましくは、Qは下記式で表される基である。
−CHOCHCHCH
gは0〜10の整数であり、好ましくは、0〜2であり、h、iは夫々0または1である。式(2)において、g=0であり、h=i=1である下記式(2−1)の主鎖構造、

−Rf−Q−W−Q−Rf− (2−1)

g=1であり、h=i=0である下記式(2−2)の主鎖構造、

−W−Q−Rf−Q−W− (2−2)

g=1であり、h=i=1である下記式(2−3)の主鎖構造、

―Rf−Q−W−Q−Rf−Q−W−Q−Rf− (2−3)

がより好ましい。
上記式(1)で示す、加水分解性の基Xを含む基は、上記主鎖の両端に直接結合されているか、又は、前記Qを含む下式で表される基を介して、主鎖の炭素原子またはケイ素原子に結合されていてよい。

−Q(Z)k

ここで、Zはシルアルキレン基を含んでいてよいケイ素原子1〜8の2価のオルガノシロキサン残基である。kは1または0であり、kが1のとき、該Zのケイ素原子に式(1)で表される基の炭素原子が結合されている。
Zとしては、下記のものが例示され、これらの基のいずれかの結合手がQに、残りの結合手が式(1)で表される基の炭素原子が結合されている。
Figure 2008088412

Figure 2008088412
式(2)において、h=i=1、即ち、主鎖の両端がパーフルオロエーテルブロックであるものは、上記−QZ−を介して、式(1)で表される基が結合されていることが好ましい。
本発明のパーフルオロポリエーテル-ポリオルガノシロキサン共重合体は、数平均分子量(ポリスチレン換算)が7000〜25000、好ましくは10000〜20000である。分子量が前記下限値未満では、潤滑性が十分でなく、前記上限値を超えては耐摩耗性が十分ではない。
好ましくは、該パーフルオロポリエーテル-ポリオルガノシロキサン共重合体は、共重合体重量に対して、ケイ素を3〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%で含む。前記下限値未満では、各種溶媒への溶解性が悪くなり、前記上限値を超えると、パーフルオロポリエーテルブロックの量が相対的に少なくなり、撥水撥油性が低下する傾向がある。なお、共重合体のケイ素量は、NMRスペクトルにより測定できる。また、硬化膜のケイ素量は、蛍光X線分析、またはX線光電子スペクトル分析により求めることができる。
本発明の共重合体は、以下に述べる方法で作ることができる。
まず、Rfの両側に不飽和基を有する基Q’を備えた化合物を、Wを誘導するためのオルガノハイドロジェンポリシロキサンであって、両末端にSiH結合を有するものと、定法に従い、付加反応触媒、例えば白金化合物、の存在下で付加反応させる。

2(Q’RfQ’) + HWH → Q’RfQWQRfQ’

上式において、Q’は、例えば下記で示す不飽和基を含む基である。
Figure 2008088412
別途、下記式で表される不飽和基を有する化合物を、
Figure 2008088412
(R、X、a、yについては上述のとおりであり、zは2y−1である)
上記Zを誘導するための、オルガノハイドロジェンポリシロキサンであって、末端にSiH結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、定法に従い付加反応させて、加水分解性基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用意する。
得られた加水分解性基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH結合を、上記RfQ’の不飽和基に付加反応させる。これにより式(2−1)で表される主鎖に
ZQを介して式(1)の基が結合された、下記式で表される共重合体を得ることができる。
Figure 2008088412
式(2−2)の主鎖構造は、下記付加反応により作ることができ、

Q’RfQ’ + 2HWH → HWQRfQWH

末端の水素原子に、下記化合物
Figure 2008088412
の不飽和基を付加反応させて、式(1)の基を導入すればよい。
本発明のパーフルオロポリエーテル-ポリシロキサン共重合体を含む表面処理剤を提供する。該表面処理剤は、各種基材に施与されて、室温または加熱下で硬化して、撥水撥油性、耐摩耗性、さらには良好な感触を与える被膜を形成する。該表面処理剤は、該共重合体の加水分解物、さらには該加水分解物が縮合した縮合物を含んでよい。
該表面処理剤には、必要に応じて、加水分解縮合触媒、例えば、有機錫化合物(ジブチル錫ジメトキシド、ジラウリン酸ジブチル錫など)、有機チタン化合物(テトラn−ブチルチタネートなど)、有機酸(酢酸、メタンスルホン酸、パーフロロカルボン酸など)、無機酸(塩酸、硫酸など)を添加してもよい。これらの中では、特に酢酸、テトラn−ブチルチタネート、ジラウリン酸ジブチル錫などが望ましい。添加量は触媒量であり、通常、含フッ素オルガノポリシロキサン及び/又はその部分加水分解縮合物100重量部に対して0.01〜5重量部、特に0.1〜1重量部である。
該表面処理剤は、適当な溶剤を含んでよい。このような溶媒としては、フッ素変性脂肪族炭化水素系溶剤(パーフロロヘプタン、パーフロロオクタンなど)、フッ素変性芳香族炭化水素系溶剤(m−キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライドなど)、フッ素変性エーテル系溶剤(メチルパーフロロブチルエーテル、エチルパーフロロブチルエーテル、パーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)など)、フッ素変性アルキルアミン系溶剤(パーフロロトリブチルアミン、パーフロロトリペンチルアミンなど)、炭化水素系溶剤(石油ベンジン、ミネラルスピリッツ、トルエン、キシレンなど)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)を例示することができる。これらの中では、溶解性、濡れ性などの点で、フッ素変性された溶剤が望ましく、特には、m−キシレンヘキサフロライド、パーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、パーフロロトリブチルアミン、エチルパーフロロブチルエーテルが好ましい。
上記溶媒はその2種以上を混合してもよく、該含フッ素オルガノポリシロキサン及び/又はその部分分解縮合物を均一に溶解させることが好ましい。なお、この溶媒に溶解させ示した式(1)の含フッ素オルガノポリシロキサン及び/又はその部分加水分解縮合物の濃度は処理方法により最適濃度は異なるが、0.01〜50重量%、特に0.05〜20重量%であることが好ましい。
表面処理剤は、刷毛塗り、ディッピング、スプレー、蒸着処理など公知の方法で基材に施与することができる。また、処理温度は、処理方法によって異なるが、例えば刷毛塗りやディッピングで施与した場合は、室温から120℃の範囲が望ましい。処理湿度としては、加湿下で行うことが反応を促進する上で望ましい。また、硬化被膜の膜厚は、基材の種類により適宜選定されるが、通常0.1nm〜5μm、特に1〜100nmである。
上記表面処理剤で処理される基材は、特に制限されず、紙、布、金属及びその酸化物、ガラス、プラスチック、セラミックなど各種材質のものであってよく、これらに撥水撥油性、離型性、防汚性を付与することができる。
本発明の表面処理剤で処理される物品及び処理目的としては、例えば、眼鏡レンズ、反射防止フィルターなど光学部材の指紋、皮脂付着防止コーティング;浴槽、洗面台のようなサニタリー製品の撥水、防汚コーティング;自動車、電車、航空機などの窓ガラス、ヘッドランプカバー等の防汚コーティング;外壁用建材の撥水、防汚コーティング;台所用建材の油汚れ防止用コーティング;コンパクトディスク、DVDなどの指紋付着防止コーティング;その他、塗料添加剤、樹脂改質剤、ナノインプリント用離型剤、金型離型剤、無機質充填剤の流動性、分散性を改質、テープ、フィルムなどの潤滑性の向上などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[実施例1]
反応容器に、下記式(I)で示される両末端に不飽和結合を有するパーフルオロポリエーテル30gと、
Figure 2008088412

(p/q=0.9 p+qの平均が45、以下「p+q≒45」と表す)
下記式(II)で示される両末端にSiH基を有するポリジメチルシロキサン12.9gと、
Figure 2008088412

m−キシレンヘキサフロライド150gを入れて90℃に加熱撹拌した。得られた混合物に、触媒(ビニルシロキサン変性塩化白金酸)のトルエン溶液0.0442g(Pt単体として1.1×10-7モルを含有)を滴下して90℃で6時間熟成した。次いで、下記式(III)に示すテトラメチルジシロキサン(HM)とビニルトリメトキシシラン(VMS)との1:1付加反応物(HM−VMS)2.5gを滴下して90℃で2時間熟成した後、溶剤及び未反応のペンタメチルジシロキサン及びHM−VMSを減圧溜去した後、白濁の液体パーフルオロポリエーテル―ポリジメチルシロキサン共重合体(共重合体1)32.5gを得た。
なお上記HM−VMSは、下記の方法で調製した。
反応容器に、テトラメチルジシロキサン(HM)40gとトルエン40gとを混合し、80℃に加熱した。ビニルトリメトキシシラン(VMS)44.2gと塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液2g(Pt単体として1.1×10-7モルを含有)の混合物をゆっくりと滴下した。得られた混合物を、蒸留精製し、1:1付加反応物(HM−VMS)84gを得た。
Figure 2008088412
得られた共重合体1のNMRを図1に示す。1H−NMR(TMS基準、ppm)のデータを次に示す。
Figure 2008088412
以上の結果から、共重合体1は下記式で表される構造を有することが分かった。
Figure 2008088412
上式において、Qのメチレン基側にRfが結合されている(以下同様)。
[実施例2]
実施例1で、式(II)で示されるポリジメチルシロキサンがn=40であるものに代えて、n=18のポリジメチルシロキサンを用いた以外は同様の方法で共重合体2を合成した。
得られた化合物2のNMRを図2に示す。1H−NMR(TMS基準、ppm)のデータを次に示す。
Figure 2008088412
以上の結果から、共重合体2は下記式で表される構造であることが分かった。
Figure 2008088412
[実施例3]
実施例1で、式(II)で示されるポリジメチルシロキサンがn=40の替わりに、n=8のポリジメチルシロキサンを用いた以外は同様の方法で共重合体3を合成した。
得られた化合物3のNMRを図3に示す。1H−NMR(TMS基準、ppm)のデータを次に示す。
Figure 2008088412
以上の結果から、共重合体3は、下記式で表される構造であることが分かった。
Figure 2008088412
[実施例4]
実施例1で、式(II)で示されるポリジメチルシロキサンがn=40の替わりに、n=1のポリジメチルシロキサンを用いた以外は同様の方法で共重合体4を合成した。
得られた化合物4のNMRを図4に示す。1H−NMR(TMS基準、ppm)のデータを次に示す。
Figure 2008088412
以上の結果から、共重合体4は下記式で表される構造であることが分かった。
Figure 2008088412
[実施例5]
実施例1で、式(II)で示されるポリジメチルシロキサンがn=40の替わりに、n=145のポリジメチルシロキサンを用いた以外は同様の方法で共重合体5を合成した。
得られた化合物5のNMRを図5に示す。1H−NMR(TMS基準、ppm)のデータを次に示す。
Figure 2008088412
以上の結果から、共重合体5は下記式で表される構造であることが分かった。
Figure 2008088412
[合成例6]
反応容器に、下記式(I)で示される両末端に不飽和結合を有するパーフルオロポリエーテル25gと、
Figure 2008088412

(p/q=0.9 p+q≒45)
下記式(IV)で示される両末端にSiH基を有するポリジメチルシロキサン13gと、
Figure 2008088412

m−キシレンヘキサフロライド40gを入れて90℃に加熱撹拌した。触媒(ビニルシロキサン変性塩化白金酸)のトルエン溶液0.0442g(Pt単体として1.1×10-7モルを含有)を滴下して90℃で2時間熟成した。次いで、減圧ストリップを行った。その後、両末端にα-不飽和結合を有するポリジメチルシロキサン50gとm−キシレンヘキサフロライド150gを入れて90℃に加熱撹拌した。触媒(ビニルシロキサン変性塩化白金酸)のトルエン溶液0.0442g(Pt単体として1.1×10-7モルを含有)を滴下して90℃で6時間熟成し、上記式(III)に示すテトラメチルジシロキサン(HM)とビニルトリメトキシシラン(VMS)との1:1付加反応物(HM−VMS)5.6gを滴下して90℃で2時間熟成した後、溶剤及び未反応のペンタメチルジシロキサン及びHM−VMSを減圧溜去した後、白濁の液体パーフルオロポリエーテル―ポリジメチルシロキサンブロック共重合体(共重合体6)35.3gを得た。
得られた化合物6のNMRを図6に示す。1H−NMR(TMS基準、ppm)のデータを次に示す。
Figure 2008088412
以上の結果から、共重合体6は下記式で表される構造を有することが分かった。
Figure 2008088412
[合成例7]
反応容器に、下記式(I)で示される両末端に不飽和結合を有するパーフルオロポリエーテル25gと、
Figure 2008088412

(p/q=0.9 p+q≒45)
下記式(IV)で示される量末端にSiH基を有するポリジメチルシロキサン13gと、
Figure 2008088412

m−キシレンヘキサフロライド40gを入れて90℃に加熱撹拌した。触媒(ビニルシロキサン変性塩化白金酸)のトルエン溶液0.0442g(Pt単体として1.1×10-7モルを含有)を滴下して90℃で2時間熟成した。次いで、減圧ストリップを行った。その後、上式(I)で示される両末端にα-不飽和結合を有するパーフルオロポリエーテル50gとm−キシレンヘキサフロライド100gを入れて90℃に加熱撹拌した。ビニルシロキサン変性塩化白金酸のトルエン溶液0.0442g(Pt単体として1.1×10-7モルを含有)を滴下して90℃で6時間熟成し、上記式(III)に示すHM−VMS5.6gを滴下して90℃で2時間熟成した。次いで、溶剤及び未反応のペンタメチルジシロキサン及びHM−VMSを減圧溜去することによって、白濁の液体パーフルオロポリエーテル―ポリジメチルシロキサンブロック共重合体(重合体7)52.3gを得た。
得られた化合物7のNMRを図7に示す。1H−NMR(TMS基準、ppm)のデータを次に示す。
Figure 2008088412
以上の結果から、重合体7は下記式で表される構造であることが分かった。
Figure 2008088412
溶解性評価
共重合体1〜7の各20重量部と、ジイソプロピルエーテル80重量部を混合して、ジイソプロピルエーテルへの溶解性を評価した。結果を表1に示す。同表において、「A」は完全に溶解して透明の溶液になったことを、「B」は、完全に溶解せずに白濁したことを示す。
ケイ素含有量
合成に用いた化合物のケイ素含有量から、合成物のケイ素含有量を算出した。
表面処理剤組成物の調製
共重合体1〜7を、夫々、エチルパーフロロブチルエーテル(HFE−7200、住友3M社製)に溶解して、0.3wt%溶液を調製した。共重合体5と6は、AK225(旭硝子社製)に溶解させて表面処理剤とした。
硬化被膜の形成
スライドガラスを各表面処理剤に10秒間浸漬後、150mm/minの速度で引き上げ、25℃、湿度40%の雰囲気下で24時間放置し、硬化被膜を形成させた。得られた硬化被膜につき、下記評価を行なった。
[感触の評価]
7人のパネラーにより、ベンコット(旭化成社製)で硬化被膜の表面を擦った際の感触を、下記比較化合物1で処理した表面と比べた下記評価基準により評価した。
A :感触が特に優れている。
B :感触がよい。
C :同等の感触である。
D :感触が悪い。
[耐摩耗性の評価]
ラビングテスターを用いて、以下の条件で硬化被膜を擦った後、上述と同様の方法で、感触を評価した。磨耗後であっても良好な感触を示すものは耐摩耗性に優れる。
評価環境条件:25℃、湿度40%
擦り材:試料と接触するテスターの先端部(1.5cm×1.5cm)に不織布を8枚重ねて包み、輪ゴムで固定した。
荷重:1kg
擦り距離(片道):4cm
擦り速度:500cm/分
回数:2000往復
[比較例1〜5]
共重合体1〜7に代えて、比較化合物1〜5を用いた他は、実施例1と同様の方法で表面処理剤を作り、同様に評価した。
比較化合物1
Figure 2008088412

(p/q=0.9 p+q≒45)
比較化合物2
Figure 2008088412
比較化合物3
Figure 2008088412

(p/q=0.9 p+q≒22)
比較化合物4
Figure 2008088412

(p/q=0.9 p+q≒45)
比較化合物5
Figure 2008088412
評価結果を表1に示す。
Figure 2008088412
比較例1〜4は、何れもオルガノポリシロキサンブロックを欠き、溶解性、感触共に悪かった。比較例5は、加水分解性基を欠き、磨耗後に感触が著しく悪くなった。
これに対して、本発明の共重合体は、溶解性、感触共に優れ、なかでも1、2、5及び6は、シロキサン単位を多く含み、溶解性に非常に優れた。
本発明のパーフルオロポリエーテル-ポリオルガノシロキサン共重合体は、基材表面に強固に接着され、感触、耐摩耗性に優れた被膜を与える表面処理剤として有用である。
共重合体1のNMRチャートである。 共重合体2のNMRチャートである。 共重合体3のNMRチャートである。 共重合体4のNMRチャートである。 共重合体5のNMRチャートである。 共重合体6のNMRチャートである。 共重合体7のNMRチャートである。

Claims (12)

  1. 少なくとも1のパーフロロポリエーテルブロックと、少なくとも1の、シルアルキレン基を含んでいてよいポリオルガノシロキサンブロックを含み、両末端に下記式(1)で示される基を1つずつ有し、数平均分子量(ポリスチレン換算)7000〜25000である、パーフロロポリエーテル−ポリオルガノシロキサン共重合体。
    Figure 2008088412
    (Xは加水分解性基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であり、yは1〜5の整数であり、aは2又は3である)
  2. パーフルオロポリエーテル-ポリオルガノシロキサン共重合体重量に対して、ケイ素を3〜30重量%で含む、請求項1に記載のパーフルオロポリエーテル-ポリオルガノシロキサン共重合体。
  3. 前記パーフロロポリエーテルブロックと、ポリオルガノシロキサンブロックが、連結基Qを介して、下記式(2)に示すように結合された主鎖を有する、請求項1または2に記載のパーフルオロポリエーテル−ポリシロキサン共重合体。

    −(Rf−Q)h−(W−Q−Rf−Q)g−W−(Q−Rf)i− (2)

    (式中、Rfは前記パーフロロポリエーテルブロックであり、Wは前記ポリオルガノシロキサンブロックであり、Qは酸素原子及び/又は窒素原子を含んでいてよい炭素数2〜12の2価の連結基であり、gは0〜10の整数であり、h、iは夫々0または1である)
  4. 式(2)において、g=0または1であり、h=i=1である、請求項3記載のパーフルオロポリエーテル−ポリシロキサン共重合体。
  5. 式(2)において、g=1であり、h=i=0である、請求項3記載のパーフルオロポリエーテル−ポリシロキサン共重合体。
  6. 式(2)において、h=i=1又はh=i=0であり、前記式(1)で表される基が、前記パーフロロポリエーテルブロックの炭素原子または前記ポリオルガノシロキサンブロックのケイ素原子に、下記式で表される2価の基を介して結合されている請求項3又は4記載のパーフルオロポリエーテル−ポリシロキサン共重合体。

    −Q(Z)k

    (Qは前記2価の連結基であり、Zはシルアルキレン基を含んでいてよいケイ素原子1〜8の2価のオルガノポリシロキサン残基であり、kは0または1であり、kが1であるときには、Zのケイ素原子に式(1)で表される基が結合されている)
  7. 前記パーフロロポリエーテルブロックが、下記式(3)、(4)、又は(5)で表される、請求項1〜6のいずれか1項記載のパーフルオロポリエーテル−ポリシロキサン共重合体。
    Figure 2008088412
    (式中、Yはそれぞれ独立にF又はCF基であり、rは2〜6の整数、dは1〜3の整数、m、nはそれぞれ0〜200の整数でm+nは2〜200、sは0〜6の整数であり、各繰り返し単位の配列はランダムであってよい)
    Figure 2008088412

    (式中、lは1〜200の整数、dは1〜3の整数である)

    Figure 2008088412

    (式中、YはF又はCF基、dは1〜3の整数、m、nはそれぞれ0〜200の整数でm+nは2〜200であり、各繰り返し単位の配列はランダムであってよい)
  8. 前記パーフロロポリエーテルブロックが下記式(6)で示される請求項7記載のパーフルオロポリエーテル−ポリシロキサン共重合体。

    −CF(OC(OCFOCF− (6)

    (式中、m=0〜50、n=0〜50及びm+n=2〜60の整数である。)
  9. 前記ポリオルガノシロキサンブロックが下記式(7)で表される繰返し単位を2〜150個含む直鎖ポリオルガノシロキサンブロックである、請求項1〜8のいずれか1項記載のパーフロロポリエーテル−ポリオルガノシロキサン共重合体。

    Figure 2008088412

    (式中、Rは同一または異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基である)
  10. Qが、下記式で表される基である、請求項1〜9のいずれか1項記載のパーフロロポリエーテル−ポリオルガノシロキサン共重合体。

    −CHOCHCHCH
  11. 式(1)において、Xが炭素数1〜10のアルコキシ基である請求項1〜10のいずれか1項記載のパーフロロポリエーテル−ポリオルガノシロキサン共重合体。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項記載のパーフロロポリエーテル−ポリオルガノシロキサン共重合体及び/又はその部分加水分解縮合物を含む表面処理剤。
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