JP2013035904A - コーティング又はポッティング用液剤及びその製造方法、被覆層の形成方法、並びに該被覆層を有する物品 - Google Patents

コーティング又はポッティング用液剤及びその製造方法、被覆層の形成方法、並びに該被覆層を有する物品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性、耐湿性、低気体透過性等に優れる均一なパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を各種基材上に薄膜状で形成することができるコーティング又はポッティング用液剤、特には、パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を有機溶媒中に溶解、分散させてなるコーティング又はポッティング用液剤及びその製造方法、該コーティング又はポッティング用液剤から有機溶媒を揮散させることにより得られるゲル状に硬化したパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を基材上に形成する方法、並びに該硬化物からなる被覆層を基材上に有する物品を提供する。
【解決手段】(A)パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物 5〜40質量%、
(B)有機溶媒 60〜95質量%
(但し、(A)、(B)成分の合計は100質量%である。)
からなるコーティング又はポッティング用液剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性、耐湿性、低気体透過性等に優れる均一なパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を各種基材上に形成することができるコーティング又はポッティング用液剤、特には、パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を有機溶媒中に溶解、分散させてなるコーティング又はポッティング用液剤及びその製造方法、該コーティング又はポッティング用液剤から有機溶媒を揮散させることにより得られるゲル状に硬化したパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を基材上に形成する方法、並びに該パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を基材上に有する物品に関する。
従来、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物、1分子中にH−SiO−SiO−構造を少なくとも2個有する有機ケイ素化合物及びヒドロシリル化反応触媒からなる組成物から、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、撥水性、撥油性、耐候性等の性質がバランスよく優れた硬化物を得ることができる旨提案されている(特許文献1:特許第2990646号公報参照)。
しかしながら、このようなパーフルオロポリエーテル組成物は、殆どの用途においては、これで十分な性能を有しているものの、加熱硬化を要する点、また加熱時に時間を要する点が難点であった。
それ故、硬化時の工数削減及びエネルギーの節約等を満たすような材料が要求されていた。
また、各種基材上に、これらのパーフルオロポリエーテル系組成物の硬化物、特にゲル状硬化物(パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物)を薄膜状に被覆してパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物の均一な皮膜を形成することは困難であった。
特許第2990646号公報
本発明は、この点を解決するためになされたもので、耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性、耐湿性、低気体透過性等に優れる均一なパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を各種基材上に薄膜状で形成することができるコーティング又はポッティング用液剤、特には、パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を有機溶媒中に溶解、分散させてなるコーティング又はポッティング用液剤及びその製造方法、該コーティング又はポッティング用液剤から有機溶媒を揮散させることにより得られるゲル状に硬化したパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を基材上に形成する方法、並びに該硬化物からなる被覆層を基材上に有する物品を提供することを目的とする。
本発明者は、従来のパーフルオロポリエーテル系ゲル組成物における上記問題点を解決するため鋭意検討した結果、下記に示すコーティング又はポッティング用液剤によって所期の目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
従って、本発明は、下記に示すコーティング又はポッティング用液剤及びその製造方法、被覆層の形成方法、並びに該被覆層を有する物品を提供する。
〔請求項1〕
(A)パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物 5〜40質量%、
(B)有機溶媒 60〜95質量%
(但し、(A)、(B)成分の合計は100質量%である。)
からなるコーティング又はポッティング用液剤。
〔請求項2〕
(B)成分の有機溶媒が含フッ素有機溶媒である請求項1記載のコーティング又はポッティング用液剤。
〔請求項3〕
(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物が、
(A−1)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に−Ca2aO−(式中、aは1〜6の整数である。)の繰り返し単位を含むパーフルオロポリエーテル構造を有する、直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物、
(A−2)1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する、ポリフルオロモノアルケニル化合物、
(A−3)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する有機ケイ素化合物、及び
(A−4)ヒドロシリル化反応触媒
を含有する硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物のゲル状硬化物である請求項1又は2記載のコーティング又はポッティング用液剤。
〔請求項4〕
硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物が、
(A−2)成分を(A−1)成分100質量部に対して1〜300質量部、
(A−3)成分を(A−1)成分及び(A−2)成分中に含まれるアルケニル基の合計1モルに対する(A−3)成分中のヒドロシリル基(SiH基)の合計のモル量が0.2〜2モルとなる量、及び
(A−4)成分を触媒量
含有するものである請求項3記載のコーティング又はポッティング用液剤。
〔請求項5〕
硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物が、更に、(A−5)成分として、下記一般式(1)〜(3)
Figure 2013035904

[式(1)中、Aは式:Ce2e+1−(eは1〜3の整数である。)で表される基であり、dは1〜500の整数である。]
Figure 2013035904

(式(2)中、Aは上記と同じであり、f及びgはそれぞれ1〜300の整数である。)
Figure 2013035904

(式(3)中、Aは上記と同じであり、h及びiはそれぞれ1〜300の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無官能性パーフルオロポリエーテル化合物を、
(A−1)成分及び(A−2)成分の合計量100質量部に対して0.1〜150質量部含有するものである請求項3又は4記載のコーティング又はポッティング用液剤。
〔請求項6〕
(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物が、上記硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を(B)成分の有機溶媒中に溶解、分散した状態でヒドロシリル化付加反応により架橋して形成されたものである請求項3〜5のいずれか1項記載のコーティング又はポッティング用液剤。
〔請求項7〕
(A−1)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に−Ca2aO−(式中、aは1〜6の整数である。)の繰り返し単位を含むパーフルオロポリエーテル構造を有する、直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物、
(A−2)1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する、ポリフルオロモノアルケニル化合物、
(A−3)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する有機ケイ素化合物、及び
(A−4)ヒドロシリル化反応触媒
を含有し、更に、場合により、(A−5)無官能性パーフルオロポリエーテル化合物を含有してもよい硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を(B)成分の有機溶媒中に溶解、分散した後、該組成物をヒドロシリル化付加反応により架橋して、(B)成分中で(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を形成することからなる請求項1〜5のいずれか1項記載のコーティング又はポッティング用液剤の製造方法。
〔請求項8〕
基材上に請求項1〜6のいずれか1項記載のコーティング又はポッティング用液剤を塗布又はポッティングする工程、及び該コーティング又はポッティング用液剤から有機溶媒を揮散させる工程を含むことを特徴とする、基材上にパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を形成する方法。
〔請求項9〕
請求項1〜6のいずれか1項記載のコーティング又はポッティング用液剤から有機溶媒を揮散させることにより得られるパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を基材上に有する物品。
〔請求項10〕
パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を基材上に有する物品が、自動車用、化学プラント用、インクジェットプリンタ用、半導体製造ライン用、分析・理化学機器用、医療機器用、航空機用又は燃料電池用の材料である請求項9記載の物品。
本発明のコーティング又はポッティング用液剤によれば、自動車用、化学プラント用、インクジェットプリンタ用、半導体製造ライン用、分析・理化学機器用、医療機器用、航空機用又は燃料電池用の材料等の物品の基材上に、耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性、耐湿性、低気体透過性等に優れるパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる均一な皮膜を、工数低減及び低エネルギーにより形成することができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のコーティング又はポッティング用液剤は、下記(A)、(B)成分からなるものである。
(A)パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物 5〜40質量%、
(B)有機溶媒 60〜95質量%
(但し、(A)、(B)成分の合計は100質量%である。)
[(A)成分]
本発明に用いられる(A)成分は、パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物であり、(A)成分の硬化物としては、例えば、
(A−1)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に−Ca2aO−(式中、aは1〜6の整数である。)の繰り返し単位を含むパーフルオロポリエーテル構造を有する、直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物、
(A−2)1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する、ポリフルオロモノアルケニル化合物、
(A−3)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する有機ケイ素化合物、及び
(A−4)ヒドロシリル化反応触媒
を含有する硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物、場合により、(A−5)無官能性パーフルオロポリエーテル化合物を更に含有する、硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を、好適には後述する(B)成分の有機溶媒中に溶解、分散させた状態で、ヒドロシリル化付加反応により架橋、硬化してなるゲル状硬化物である。
(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を与える、架橋反応前の各成分について更に詳しく説明する。
[(A−1)成分]
(A−1)成分の直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物は、(A)成分のゲル硬化物を与える硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物の主剤(ベースポリマー)であり、1分子中に少なくとも2個(通常、2〜20個、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜4個、特に好ましくは2個)のアルケニル基を、好ましくは分子鎖(両)末端に有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造、好ましくは2価のパーフルオロアルキルエーテル構造を有するものである。
ここで、パーフルオロアルキルエーテル構造としては、−Ca2aO−(式中、aは1〜6の整数である。)の多数の繰り返し単位を含むもので、例えば下記一般式(4)で示されるものなどが挙げられる。
(Ca2aO)b (4)
(式中、各単位のaは独立に1〜6の整数であり、bは50〜600の整数、好ましくは50〜400の整数、より好ましくは50〜200の整数である。)
上記式(4)で示される繰り返し単位−Ca2aO−としては、例えば下記の単位等が挙げられる。なお、上記パーフルオロアルキルエーテル構造は、これらの繰り返し単位の1種単独で構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
−CF2O−
−CF2CF2O−
−CF2CF2CF2O−
−CF(CF3)CF2O−
−CF2CF2CF2CF2O−
−CF2CF2CF2CF2CF2CF2O−
−C(CF32O−
これらの中では、特に下記単位が好適である。
−CF2O−
−CF2CF2O−
−CF2CF2CF2O−
−CF(CF3)CF2O−
この(A−1)成分の直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物におけるアルケニル基としては、炭素数2〜8、特に炭素数2〜6で、かつ末端にCH2=CH−構造を有するものが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の末端にCH2=CH−構造を有する基、特にビニル基、アリル基等が好ましい。このアルケニル基は、直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物の主鎖の両端部に直接結合していてもよいし、2価の連結基、例えば、−CH2−、−CH2O−又は−Y−NR−CO−[但し、Yは−CH2−又は下記構造式(Z)
Figure 2013035904

(o、m又はp位で示されるジメチルフェニルシリレン基)
で示される基であり、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。]
等の連結構造を介して直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物の主鎖の両端部に結合していてもよい。アルケニル基は1分子中に少なくとも2個有する。
(A−1)成分としては、下記一般式(5)及び(6)で表される、繰り返し構造単位中に分岐鎖を含んでもよい、直鎖状のポリフルオロジアルケニル化合物を挙げることができる。
CH2=CH−(X)p−Rf1−(X’)p−CH=CH2 (5)
CH2=CH−(X)p−Q−Rf1−Q−(X’)p−CH=CH2 (6)
[式中、Xは独立に−CH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−又は−Y−NR1−CO−〔但し、Yは−CH2−又は下記構造式(Z)
Figure 2013035904

(o、m又はp−ジメチルシリルフェニレン基)
で示される基であり、R1は水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。〕であり、X’は−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR2−Y’−〔但し、Y’は−CH2−又は下記構造式(Z’)
Figure 2013035904

(o、m又はp−ジメチルシリルフェニレン基)
で示される基であり、R2は水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。〕である。Rf1は2価のパーフルオロポリエーテル構造であり、上記式(4)、即ち(Ca2aO)bで示されるものが好ましい。Qは炭素数1〜15の2価の炭化水素基であり、エーテル結合を含んでいてもよく、具体的にはアルキレン基、エーテル結合を含んでいてもよいアルキレン基である。pは独立に0又は1である。]
このような(A−1)成分の直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物としては、特に下記一般式(7)で示されるものが好適である。
Figure 2013035904

[式中、X、X’及びpは前記と同じであり、rは2〜6の整数、m、nはそれぞれ0〜600の整数、好ましくは30〜400の整数であり、更にmとnの和が50〜600である。]
上記式(7)で示される直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物は、重量平均分子量が10,000〜100,000であることが好ましく、特に10,000〜50,000であることが好ましい。分子量が10,000未満の場合は、ガソリンや各種溶剤に対する膨潤が大きくなる場合があり、特に、ガソリンに対する膨潤が6質量%以上となり耐ガソリン性が要求される部材としては特性を満足することができないおそれがある。また、分子量が100,000を超える場合は、粘度が高く作業性に劣るため実用性がなくなるおそれがある。なお、重量平均分子量(又は重量平均重合度)は、例えば、通常、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)−225などのフッ素系有機溶媒等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によって測定することができる。
上記式(7)で示される直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2013035904
Figure 2013035904
Figure 2013035904

(式中、m1及びn1はそれぞれ0〜200の整数で、m1+n1=50〜200を満足する整数を示す。)
更に本発明では、上記式(7)で示される直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物を目的に応じた所望の重量平均分子量に調節するため、予め上記したような構造を有する比較的低分子量(低重合度)の直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物を分子内にSiH基を2個含有する有機ケイ素化合物を鎖長延長剤として、通常の従来公知の方法及び条件でヒドロシリル化反応させ、鎖長延長した生成物を(A−1)成分として使用することも可能である。なお、(A−1)成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
[(A−2)成分]
(A−2)成分は、1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する、ポリフルオロモノアルケニル化合物であり、(A)成分のゲル硬化物の架橋密度を調整するために配合する成分である。特に、下記一般式(8)で表されるポリフルオロモノアルケニル化合物が好ましい。
Rf2−(X’)p−CH=CH2 (8)
[式中、X’及びpは上記と同じであり、Rf2は、下記一般式
F−[CF(CF3)CF2O]q−CF(CF3)−
(式中、qは1〜500の整数、好ましくは10〜300の整数、より好ましくは20〜200の整数である。)
で示される基である。]
上記一般式(8)で表されるポリフルオロモノアルケニル化合物の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure 2013035904

(ここで、q1=1〜500の整数、好ましくは10〜300の整数、より好ましくは20〜200の整数である。)
(A−2)成分であるポリフルオロモノアルケニル化合物の配合量は、硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物において、本組成物中の上記(A−1)成分の直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物100質量部に対して、通常、1〜300質量部、好ましくは50〜250質量部である。(A−2)成分の配合量が少なすぎると硬化後の架橋密度が高くなり、ゲル硬化物となり難くゴム状硬化物(弾性体)となる場合があり、多すぎると硬化後の架橋密度が低くなり、液状物となってゲル硬化物となり難くなる場合がある。なお、(A−2)成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
[(A−3)成分]
(A−3)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiHで示されるヒドロシリル基)を少なくとも2個、好ましくは2〜100個、より好ましくは3〜50個程度有する有機ケイ素化合物であり、(A−1)成分及び(A−2)成分の架橋剤、鎖長延長剤として作用するものである。但し、(A−1)成分又は(A−2)成分との相溶性、分散性、硬化後の均一性等の観点から、1分子中に1個以上の1価又は2価の含フッ素有機基(具体的に、1価の含フッ素有機基としては、パーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロポリエーテル構造含有基等、2価の含フッ素有機基としては、パーフルオロアルキレン基、2価のパーフルオロポリエーテル構造含有基等)を含有しているものを使用することが好ましい。
上記1価の含フッ素有機基としては、下記式で表される基を例示することができる。
c2c+1
(式中、cは1〜10の整数、好ましくは2〜8の整数である。)
Figure 2013035904

(式中、c’は1〜6の整数であり、j及びkは、それぞれ0≦j≦100、特に1≦j≦60、0≦k≦100、特に0≦k≦30、かつ0≦j+k≦100、特に1≦j+k≦80を満たす整数である。)
また、上記2価の含フッ素有機基としては、下記式で表される基を例示することができる。
−CL2L
(式中、Lは1〜10の整数、好ましくは2〜8の整数である。)
Figure 2013035904

(式中、Bはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、s、t及びuは、それぞれs≧0、t≧0、0≦s+t≦600、特に2≦s+t≦200、及び0≦u≦6を満たす整数である。但し、s=t=u=0を除く。)
Figure 2013035904

(式中、Bはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、v及びwは、それぞれ0≦v≦300及び0≦w≦300を満たす整数であり、1≦v+w≦600である。)
Figure 2013035904

(式中、xは1≦x≦600の整数である。)
Figure 2013035904

(式中、Bはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、m’、n’及びr’は、それぞれ0≦m’≦400、特に1≦m’≦300、0≦n’≦400、特に1≦n’≦300、0≦m’+n’≦600、特に1≦m’+n’≦400、及び1≦r’≦6、特に2≦r’≦4を満たす整数である。)
上記1価又は2価の含フッ素有機基は、ケイ素原子に直接結合していてもよいが、ケイ素原子と2価の連結基を介して結合していてもよい。ここで、2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基やこれらの組み合わせ、あるいは、これらにエーテル結合酸素原子やアミド結合、カルボニル結合等を介在するものであってもよい。上記2価の連結基としては、例えば炭素数2〜12のものが好ましく、具体的には下記式で表される基等が挙げられる。なお、下記式中、Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基、zは1〜8の整数である。
−(CH2z
−CH2CH2CH2−O−CH2
−CH2CH2CH2−NH−CO−
−CH2CH2CH2−N(Ph)−CO−
−CH2CH2CH2−N(CH3)−CO−
−CH2CH2CH2−N(CH2CH3)−CO−
−CH2CH2CH2−O−CO−
−Ph’−N(CH3)−CO−
また、この(A−3)成分の有機ケイ素化合物における上記1価又は2価の含フッ素有機基以外のケイ素原子に結合した1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、あるいはこれらの基の水素原子の一部が塩素原子、シアノ基等で置換された、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等の炭素数1〜20の非置換又は置換1価炭化水素基が挙げられる。
(A−3)成分の有機ケイ素化合物は、直鎖状や、分岐状、環状でもよく、更に三次元網状構造であってもよい。なお、この有機ケイ素化合物における分子中のケイ素原子数は特に制限されないが、通常2〜60、特に3〜30程度が好ましい。
このような有機ケイ素化合物としては、例えば下記式で表されるシロキサン構造及び/又はシルアルキレン構造を有する有機ケイ素化合物等が挙げられ、これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。なお、下記の各式において、v1、w1、v1+w1、m2、n2、m2+n2、j1、y、a’、b’はそれぞれ下記範囲の整数である。
Figure 2013035904
Figure 2013035904
Figure 2013035904
Figure 2013035904
Figure 2013035904
Figure 2013035904
Figure 2013035904
Figure 2013035904
Figure 2013035904
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Figure 2013035904
Figure 2013035904
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Figure 2013035904
Figure 2013035904
Figure 2013035904
上記(A−3)成分の配合量は、(A−1)成分及び(A−2)成分を硬化する有効量であり、特に本組成物中の上記(A−1)成分及び(A−2)成分中に含まれるアルケニル基の合計1モルに対する(A−3)成分中のヒドロシリル基(SiH基)の合計のモル量が、好ましくは0.2〜2モル、より好ましくは0.5〜1.5モルとなる量である。ヒドロシリル基(SiH基)が少なすぎると、架橋度合が不十分となる結果、硬化物が得られない場合があり、また、多すぎると硬化時に発泡してしまう場合がある。なお、(A−3)成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
[(A−4)成分]
本発明の(A−4)成分は、ヒドロシリル化反応触媒である。ヒドロシリル化反応触媒は、(A−1)成分及び(A−2)成分中のアルケニル基と、(A−3)成分中のヒドロシリル基との付加反応を促進する触媒である。このヒドロシリル化反応触媒は、一般に貴金属の化合物であり高価格であることから、比較的入手しやすい白金又は白金化合物が好適に用いられる。
白金化合物としては、例えば、塩化白金酸又は塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体、アルコールやビニルシロキサンとの錯体、シリカ、アルミナ、カーボン等を担持した金属白金等を挙げることができる。白金化合物以外の白金族金属化合物としては、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム系化合物等が知られており、例えば、RhCl(PPh33、RhCl(CO)(PPh32、Ru3(CO)12、IrCl(CO)(PPh32、Pd(PPh34等を例示することができる(なお、Phはフェニル基を示す)。
ヒドロシリル化反応触媒の配合量は、特に制限されるものではなく、いわゆる触媒量とすることができるが、通常、上記(A−1)、(A−2)、(A−3)及び後述する(A−5)成分の合計に対して白金族金属質量換算で0.1〜100ppmの割合で配合することが好ましい。なお、(A−4)成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
[(A−5)成分]
本発明の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物には、更に(A−5)成分として、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無官能性パーフルオロポリエーテル化合物を配合することができる。
Figure 2013035904

[式(1)中、Aは式:Ce2e+1−(eは1〜3の整数である。)で表される基であり、dは1〜500の整数、特に10〜300の整数である。]
Figure 2013035904

(式(2)中、Aは上記と同じであり、f及びgはそれぞれ1〜300の整数、特に2〜100の整数である。)
Figure 2013035904

(式(3)中、Aは上記と同じであり、h及びiはそれぞれ1〜300の整数、特に2〜100の整数である。)
(A−5)成分であるパーフルオロポリエーテル化合物を配合することは任意であるが、該(A−5)成分を配合することにより、他の物性等を損なうことなく、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性に優れたゲル硬化物を与えることができる。特に、硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物に配合した場合には、ガラス転移温度を下げる等、低温特性に優れた特性を付与することができる。
(A−5)成分を配合する場合の配合量は、(A−1)成分及び(A−2)成分の合計量100質量部に対して0.1〜150質量部であることが好ましく、0.1〜100質量部がより好ましく、0.5〜50質量部が特に好ましい。150質量部を超えると、硬化したゲル状物からの経時でのブリードが生じることがある。なお、(A−5)成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
[その他の成分]
(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を与える硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、ヒドロシリル化反応触媒の制御剤を挙げることができ、具体的には1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、フェニルブチノール等のアセチレンアルコールや、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等、あるいはポリメチルビニルシロキサン環式化合物、有機リン化合物等が挙げられる。これらを添加することにより、硬化反応性を制御することができる。
(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物は、例えば、上記した(A−1)〜(A−4)成分及び必要に応じて添加される(A−5)成分あるいはその他の成分を含有してなる、硬化前は室温(20℃±15℃)で液状の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を、従来公知のヒドロシリル化付加反応により架橋、硬化させて得られるゲル状の硬化物(即ち、三次元架橋構造を有する硬化物であり、室温(20℃±15℃)において自己流動性がない非液状物で、通常、ゴムあるいはエラストマーのようなゴム弾性を示さない程(例えば、JIS K6249のA型硬度が0以下で有効なゴム硬度を示さない程)低硬度で、好ましくは、JIS K2220(又はASTM D−1403)稠度試験法(1/4コーン使用)で規定される針入度が5〜200、特には10〜150程度の低硬度の硬化物)であって、(A)成分それ自身では、自己流動性がない非液状物であるため、各種基材上に塗布又はポッティングして均一な(特に薄膜状の)被覆層(ゲル硬化物層)を形成することが困難なものである。
なお、上記(A−1)〜(A−4)成分及び必要に応じて添加される(A−5)成分等を含有してなる室温で液状の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物のヒドロシリル化付加反応(架橋、硬化反応)による(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物の形成は、好ましくは、上記(A−1)〜(A−4)成分及び必要に応じて添加される(A−5)成分等を含有してなる室温で液状の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を後述する(B)成分の有機溶媒(特には、フッ素系有機溶媒)中に溶解、分散させた後、該液状の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を(B)成分の有機溶媒中で、(特には(B)成分の有機溶媒の沸点未満の加熱下において)、ヒドロシリル化付加反応により架橋して、(B)成分の有機溶媒中で(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を形成することが望ましく、このような方法によって、(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を(B)成分の有機溶媒中に均一に溶解、分散させることが可能であると共に、(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物の形成と、(A)、(B)成分からなるコーティング又はポッティング用液剤の製造とを同時に行うことができる。
ここで、ヒドロシリル化付加反応は40〜150℃、好ましくは45〜130℃、特に50〜120℃で10分間〜16時間、特に30分間〜12時間とすることができる。なお、この反応温度は、後述する(B)成分の有機溶媒に応じて、適宜、使用する有機溶媒の常圧での沸点より低い温度に設定することが望ましい。
[(B)成分]
本発明に用いられる(B)成分の有機溶媒としては、(A)成分である架橋反応後のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物並びに硬化前の、例えば(A−1)〜(A−4)成分及び必要に応じて添加される(A−5)成分等を含有してなる室温で液状の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物の両者を均一に溶解、分散し得るものであれば特に限定されるものではない。この有機溶媒としては、特にフッ素系有機溶媒が好ましい。
また、本発明の(A)、(B)成分からなるコーティング又はポッティング用液剤(即ち、(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物が(B)成分の有機溶媒中に均一に溶解分散した溶液)を使用する上では、(B)成分として、常温にて揮発性を有する、常圧(760mmHg)での沸点が150℃以下の有機溶媒を使用することが好ましい。
更に、(A−1)〜(A−4)成分及び必要に応じて添加される(A−5)成分を含有してなる室温で液状の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を(B)成分の有機溶媒中にて(特には(B)成分の沸点未満の加熱下において)、ヒドロシリル化付加反応により架橋を進行させるために加熱処理する観点からは、(B)成分としては、常圧での沸点が40℃以上であることが好ましい。
このような(B)成分の有機溶媒、特にフッ素系有機溶媒の例としては、例えば、
アサヒクリンAK−225(旭硝子(株)製、ハイドロクロロフルオロカーボン−225(HCFC−225))や、
ノベックHFE7100、7200、7300(住友スリーエム(株)製)、
ガルデンTH110、HT135、SV80、SV110(ソルベイソレクシス(株)製)
等が挙げられるが、特に限定されるものではなく、また、(B)成分としては、1種類の溶媒を単独で使用しても2種類以上の溶媒を使用してもよい。
[組成物の製造方法]
本発明の(A)、(B)成分からなるコーティング又はポッティング用液剤は、例えば、上記(A−1)〜(A−4)成分及び必要に応じて添加される(A−5)成分等を含有してなる室温で液状の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を、任意の濃度にて上記(B)成分の有機溶媒中に溶解、分散して希釈した後、(B)成分の有機溶媒の沸点未満の温度で加熱することにより、上記硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を(B)成分の有機溶媒中にてヒドロシリル化付加反応により架橋して、(B)成分の有機溶媒中で(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を形成することができる。上記硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を予め硬化したゲル状物を、(B)成分の有機溶媒中に均一に溶解、分散して希釈することは非常に困難であり、上記のように(B)成分の有機溶媒中にて上記硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物をゲル状に硬化させなければ当該コーティング又はポッティング用液剤を定量的に得ることができない。
上記の希釈(溶解、分散)時、及びヒドロシリル化付加反応による架橋反応時の上記(A−1)〜(A−4)成分及び必要に応じて添加される(A−5)成分等を含有してなる硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物の濃度(即ち、架橋反応後の(A)成分の濃度と実質的に同じ)は、5〜40質量%であり、特には10〜40質量%であることが好ましい。40質量%を超えると、加熱反応後に液状(即ち、室温での自己流動性)を保てずに組成物全体がゲル状になってしまう。5質量%未満では、濃度が薄すぎるために硬化が促進されず最終的にゲル状物が得られない。
なお、上記の条件で架橋反応を進行させて、一旦(A)、(B)成分からなるコーティング又はポッティング用液剤を製造した後に、該コーティング又はポッティング用液剤を更に有機溶媒で、上述した(A)成分の濃度範囲内において希釈することは任意である。
得られたコーティング又はポッティング用液剤の回転粘度計により測定した25℃における粘度は1〜30mPa・sであることが好ましく、特に2〜20mPa・sであることが好ましい。
[コーティング皮膜の形成方法]
本発明の(A)、(B)成分を含有してなるコーティング又はポッティング用液剤(ゲル硬化物の溶液)は室温(20℃±15℃)で均一な液状物であるため、適当な型内に注入(ポッティング)したり、各種基材上に均一に塗布(コーティング)することが可能であり、該コーティング又はポッティング用液剤を塗布又はポッティング後、該コーティング又はポッティング用液剤から(B)成分の有機溶媒を揮発させる(又は必要に応じて加熱除去する)ことによって、(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる均一な皮膜を、(特には薄膜状であっても)各種基材上に形成することが可能となる。
(B)成分の有機溶媒の揮発は、通常室温付近の温度で1〜10分程度の放置によって容易に行うことができる。
このようにして得られた(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる均一な皮膜は、通常、JIS K2220(又はASTM D−1403)稠度試験法(1/4コーン使用)で規定される針入度が10〜180、特に20〜150のものである。
本発明のゲル硬化物の被覆層を基材上に有する物品は、例えば、自動車用、化学プラント用、インクジェットプリンタ用、半導体製造ライン用、分析・理化学機器用、医療機器用、航空機用、燃料電池用等の部材として、好適に使用することができる。
更に詳述すると、本発明の組成物の硬化物を含むゲル製品は、自動車用部品、化学プラント用部品、インクジェットプリンタ用部品、半導体用製造ライン用部品、分析・理化学機器用部品、医療機器用部品、航空機用部品、電気電子用防湿コーティング材、センサー用ポッティング剤、燃料電池用シール材等を挙げることができる。
特に、電気電子用防湿コーティング材、センサー用ポッティング剤としては、ガス圧センサー、液圧センサー、温度センサー、湿度センサー、回転センサー、Gセンサー、タイミングセンサー、エアフローメーター、電子回路、半導体モジュール、各種コントロールユニット等が挙げられる。
また、本発明の組成物の硬化物をポッティング、コーティング等する場合、基材との密着性あるいは接着性を向上させるために公知のプライマーを併用することが有用である。プライマーにより、基材界面からの薬品及び溶剤の浸入を防止することができ、部品全体の耐酸性、耐薬品性及び耐溶剤性を向上することができる。
プライマーとしては、シランカップリング剤を主体とするシラン系プライマー、オルガノハイドロジェンポリシロキサンを主体とするプライマー、合成ゴムを主成分とするプライマーや、アクリル樹脂を主成分とするプライマー、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー、エポキシ樹脂を主成分とするプライマー等が使用できる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例で、粘度は回転粘度計により25℃において測定したものであり、重量平均分子量(又は重量平均重合度)は、アサヒクリンAK−225(旭硝子(株)製、ハイドロクロロフルオロカーボン−225(HCFC−225))を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によって測定したものである。
[実施例1]
下記ポリマーAで示されるポリマー(粘度5,600mPa・s)53質量部と下記ポリマーBで示されるポリマー(粘度650mPa・s)22質量部に、下記ポリマーCで示されるポリマー25質量部、硬化反応制御剤として下記環状シロキサン0.05質量部、塩化白金酸のビニルシロキサン錯体のエタノール溶液(白金金属濃度3.0質量%)0.04質量部、架橋剤として下記有機ケイ素化合物A20質量部(ポリマーA,B中のアルケニル基に対する有機ケイ素化合物A中のSiH基のモル比=1.05)を均一に混合して硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物(I)を調製した。
次に、上記の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物(I)100質量部を、含フッ素有機溶媒:ノベックHFE7200(沸点:76℃、住友スリーエム(株)製)400質量部に攪拌溶解して架橋反応前の均一な溶液(II)(粘度(25℃):1mPa・s)を調製した。
更に、この均一溶液(II)を50℃にて8時間加熱することにより上記硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物をヒドロシリル化付加反応により架橋させて、含フッ素有機溶媒中でパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を形成させることによって、パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物が含フッ素有機溶媒中に均一に溶解、分散した均一な溶液(III)(粘度(25℃):10mPa・s)を調製した。
更に、上記で得られた均一な溶液(III)を室温(25℃)にて5分間放置して、該溶液組成物(III)から含フッ素有機溶媒(ノベックHFE7200)を揮発、除去させることにより、自己流動性のないゲル状硬化物(JIS K6249で規定されるA硬度:0、JIS K2220稠度試験法(1/4コーン使用)で規定される針入度:70)を得た。
以上の結果から、上記で調製した含フッ素有機溶媒中にパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物が溶解、分散した溶液(III)は、室温で均一な液状物であるため、各種の基材上にコーティング又はポッティング等の手段によって容易に該溶液の被覆層を形成することができ、更に該溶液の被覆層から含フッ素有機溶媒を揮発、除去することによって、容易にパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を形成できることが理解できる。
ポリマーA
Figure 2013035904

(m1+n1の平均値(重量平均重合度)=90)
ポリマーB
Figure 2013035904

(q1の平均値(重量平均重合度)=24)
ポリマーC
Figure 2013035904

(d1の平均値(重量平均重合度)=27)
有機ケイ素化合物A
Figure 2013035904
硬化反応制御剤
Figure 2013035904
[比較例1]
実施例1で調製した硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物(I)100質量部を、含フッ素有機溶媒:ノベックHFE7200(前出)100質量部に攪拌溶解して架橋反応前の均一な溶液(IV)(粘度(25℃):2mPa・s)を調製した。更に、この均一な溶液(IV)を実施例1と同様に、50℃にて8時間加熱して、含フッ素有機溶媒中にパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物が均一分散した溶液の調製を試みたところ、組成物全体がゲル化して自己流動性のないゲル状物となり、均一な液状物は得られなかった。
[比較例2]
実施例1で調製した硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物(I)90質量部を、ノベックHFE7200(前出)2,000質量部に攪拌溶解して架橋反応前の均一な溶液(V)(粘度(25℃):0.7mPa・s)を調製した。
更に、この均一な溶液(V)を実施例1と同様に、50℃にて8時間加熱処理して、均一な溶液(VI)(粘度(25℃):0.8mPa・s)を調製し、この均一溶液(VI)を更に50℃にて16時間加熱し、均一溶液(VII)(粘度(25℃):0.8mPa・s)を調製した。
これらの均一溶液(VI)、(VII)を室温にて5分間放置し含フッ素有機溶媒を揮散させたが、何れもゲル硬化物を得ることができず、液状物のままであった。

Claims (10)

  1. (A)パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物 5〜40質量%、
    (B)有機溶媒 60〜95質量%
    (但し、(A)、(B)成分の合計は100質量%である。)
    からなるコーティング又はポッティング用液剤。
  2. (B)成分の有機溶媒が含フッ素有機溶媒である請求項1記載のコーティング又はポッティング用液剤。
  3. (A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物が、
    (A−1)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に−Ca2aO−(式中、aは1〜6の整数である。)の繰り返し単位を含むパーフルオロポリエーテル構造を有する、直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物、
    (A−2)1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する、ポリフルオロモノアルケニル化合物、
    (A−3)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する有機ケイ素化合物、及び
    (A−4)ヒドロシリル化反応触媒
    を含有する硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物のゲル状硬化物である請求項1又は2記載のコーティング又はポッティング用液剤。
  4. 硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物が、
    (A−2)成分を(A−1)成分100質量部に対して1〜300質量部、
    (A−3)成分を(A−1)成分及び(A−2)成分中に含まれるアルケニル基の合計1モルに対する(A−3)成分中のヒドロシリル基(SiH基)の合計のモル量が0.2〜2モルとなる量、及び
    (A−4)成分を触媒量
    含有するものである請求項3記載のコーティング又はポッティング用液剤。
  5. 硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物が、更に、(A−5)成分として、下記一般式(1)〜(3)
    Figure 2013035904

    [式(1)中、Aは式:Ce2e+1−(eは1〜3の整数である。)で表される基であり、dは1〜500の整数である。]
    Figure 2013035904

    (式(2)中、Aは上記と同じであり、f及びgはそれぞれ1〜300の整数である。)
    Figure 2013035904

    (式(3)中、Aは上記と同じであり、h及びiはそれぞれ1〜300の整数である。)
    で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無官能性パーフルオロポリエーテル化合物を、
    (A−1)成分及び(A−2)成分の合計量100質量部に対して0.1〜150質量部含有するものである請求項3又は4記載のコーティング又はポッティング用液剤。
  6. (A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物が、上記硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を(B)成分の有機溶媒中に溶解、分散した状態でヒドロシリル化付加反応により架橋して形成されたものである請求項3〜5のいずれか1項記載のコーティング又はポッティング用液剤。
  7. (A−1)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に−Ca2aO−(式中、aは1〜6の整数である。)の繰り返し単位を含むパーフルオロポリエーテル構造を有する、直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物、
    (A−2)1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する、ポリフルオロモノアルケニル化合物、
    (A−3)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する有機ケイ素化合物、及び
    (A−4)ヒドロシリル化反応触媒
    を含有し、更に、場合により、(A−5)無官能性パーフルオロポリエーテル化合物を含有してもよい硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を(B)成分の有機溶媒中に溶解、分散した後、該組成物をヒドロシリル化付加反応により架橋して、(B)成分中で(A)成分のパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物を形成することからなる請求項1〜5のいずれか1項記載のコーティング又はポッティング用液剤の製造方法。
  8. 基材上に請求項1〜6のいずれか1項記載のコーティング又はポッティング用液剤を塗布又はポッティングする工程、及び該コーティング又はポッティング用液剤から有機溶媒を揮散させる工程を含むことを特徴とする、基材上にパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を形成する方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項記載のコーティング又はポッティング用液剤から有機溶媒を揮散させることにより得られるパーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を基材上に有する物品。
  10. パーフルオロポリエーテル系ゲル硬化物からなる被覆層を基材上に有する物品が、自動車用、化学プラント用、インクジェットプリンタ用、半導体製造ライン用、分析・理化学機器用、医療機器用、航空機用又は燃料電池用の材料である請求項9記載の物品。
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