JP2018123206A - 含フッ素コーティング剤組成物及びコーティングされた物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗工しやすく、耐熱性、速硬化性、速接着性に優れ、特に、硬化して撥油性及び耐油性に優れたコーティング被膜を与える含フッ素コーティング組成物の提供。【解決手段】(A)アルケニル基及びパーフルオロポリエーテル構造を有するポリフルオロ化合物、(B)1価のパーフルオロアルキル基若しくは1価のパーフルオロオキシアルキル基を有するか、又は2価のパーフルオロアルキレン基若しくは2価のパーフルオロオキシアルキレン基を有し、更にSiH基を有し、かつエポキシ基及びケイ素原子に直結したアルコキシ基を有さない含フッ素オルガノハイドロジェンシロキサン、(C)白金族金属系触媒、(D)SiH基と、2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基若しくはトリアルコキシシリル基又はその両方とを有するオルガノポリシロキサン、及び(E)フッ素系希釈溶剤を含有する含フッ素コーティング組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、コーティングが容易で、短時間の加熱で硬化し、撥油性及び耐熱性に優れ、特に、オートマチックトランスミッションフルイド耐久性(耐ATF性)に優れたコーティング被膜を与える含フッ素コーティング剤組成物、及び該組成物の硬化物からなる被膜を有する物品に関する。
自動車等の変速装置の内部に充填される機械油は動力の動作中に循環することで潤滑・冷却等の役割を担うが、歯車の回転や振動により変速装置内壁に飛散して付着すると循環する機械油が減るため、機械油の充填量は潤滑・冷却等に必要な量に加え、変速装置内壁に付着する量を加味しなければならない。変速装置内壁に撥油コーティングを施すと、付着した機械油を素早く循環サイクルに戻すことができ、機械油の充填量を低減できる。
自動車の自動変速装置は大型で複雑な形状である場合が多く、上記撥油コーティングには、スプレー塗工等の簡便な方法で塗工でき、塗工膜は短時間の加熱でコーティングされる基材と強固に密着あるいは接着することが求められる。すなわち、高い塗工性、速硬化性及び速接着性が求められる。
撥油コーティング剤としては、特許文献1(特開2012−072272号公報)に開示されたパーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシランを主成分とする組成物が知られている。該パーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシランは、アルコキシシリル基が空気中の水分などによって自己縮合反応を起こすと同時に、自己縮合したパーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシランが、コーティングされる基材の表面と化学的・物理的に結合することにより強固な被膜を形成し、表面自由エネルギーの小さいパーフルオロオキシアルキレン基が撥油性を発現する。すなわち、パーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシラン含有組成物は高い塗工性、速硬化性、速接着性、撥油性を併せもつ。
しかし、上記パーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシラン含有組成物から得られるコーティング被膜は、アルコキシシリル基間、あるいはアルコキシシリル基と基材との結合がオートマチックトランスミッションフルイド(ATF)によって切断しやすく、自動変速装置において流路抵抗を低減する効果が持続しない。高い塗工性、速硬化性、速接着性、撥油性を有し、かつATFによって劣化しない、高い耐油性、特に耐ATF性を与えるコーティング剤及びコーティング被膜が求められていた。
特開2012−072272号公報
従って、本発明は、塗工しやすく、耐熱性、速硬化性及び速接着性に優れ、特に、硬化して撥油性と耐油性に優れたコーティング被膜を与える含フッ素コーティング剤組成物、及び該組成物の硬化物からなる被膜を有する物品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、フッ素系希釈溶剤中に、基油として、1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリフルオロ化合物と、架橋剤として、1分子中に、1価のパーフルオロアルキル基若しくは1価のパーフルオロオキシアルキル基を有するか、又は2価のパーフルオロアルキレン基若しくは2価のパーフルオロオキシアルキレン基を有し、更にケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)を2個以上有し、かつ分子中にエポキシ基及びケイ素原子に直結したアルコキシ基を有さない含フッ素オルガノハイドロジェンシロキサンと、接着付与剤として、1分子中に、SiH基と、酸素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基若しくはトリアルコキシシリル基又はその両方とを有するオルガノポリシロキサンと、白金族金属系触媒を含む組成物から、コーティングが容易で、短時間の加熱で硬化し、基材に接着し、硬化後に優れた撥油性及び耐熱性を有し、耐油性、特に耐ATF性に優れたコーティング被膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記含フッ素コーティング剤組成物及び該組成物でコーティングされた物品を提供するものである。
〔1〕
(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリフルオロ化合物:100質量部、
(B)1分子中に、1価のパーフルオロアルキル基若しくは1価のパーフルオロオキシアルキル基を有するか、又は2価のパーフルオロアルキレン基若しくは2価のパーフルオロオキシアルキレン基を有し、更にケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)を2個以上有し、かつ分子中にエポキシ基及びケイ素原子に直結したアルコキシ基を有さない含フッ素オルガノハイドロジェンシロキサン、
(C)白金族金属系触媒:(A)成分に対して白金族金属原子の質量換算で0.1〜2,000ppm、
(D)1分子中に、ケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)と、酸素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基若しくはトリアルコキシシリル基又はその両方とを有するオルガノポリシロキサン:0.1〜20質量部、及び
(E)フッ素系希釈溶剤:100質量部以上
を含有する含フッ素コーティング剤組成物であって、前記(B)成分の配合量が、該組成物中に含まれるアルケニル基1モルに対して、前記(B)成分中のケイ素原子に直結した水素原子が0.5〜3モルとなる量である含フッ素コーティング剤組成物。
〔2〕
更に(F)シリカ系充填剤を、(A)成分100質量部に対して1〜100質量部を含有する〔1〕に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
〔3〕
(A)成分のポリフルオロ化合物のパーフルオロポリエーテル構造が、下記式(1)
Figure 2018123206
(式(1)中、aは1〜6の整数であり、bは1〜300の整数である。)
で表される構造を有する〔1〕又は〔2〕に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
〔4〕
(A)成分が、下記式(2)及び下記式(3)からなる群より選択される1種以上のポリフルオロ化合物である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
Figure 2018123206
(式(2)中、R及びRは互いに独立して、アルケニル基、又は非置換若しくは置換の脂肪族不飽和結合を有さない1価の炭化水素基であり、R及びRの合計のうち二つ以上はアルケニル基である。Rは互いに独立して、水素原子、又は非置換若しくは置換の1価の炭化水素基であり、c及びdはそれぞれ1〜150の整数であって、かつc+dの平均値は2〜300であり、eは1〜6の整数である。)
Figure 2018123206
(式(3)中、Rは互いに独立して、炭素数1〜6のアルキレン基であり、Rは互いに独立して、水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。また、R、R、c、d及びeは上記式(2)と同じである。)
〔5〕
(D)成分が、1分子中に、ケイ素原子、酸素原子及び/又は窒素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基を1個以上有するオルガノポリシロキサンである〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
〔6〕
(D)成分が、下記式(4)で表される環状オルガノポリシロキサンである〔5〕に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
Figure 2018123206
(式(4)中、Rは互いに独立して、非置換又は置換の1価の炭化水素基であり、Xは互いに独立して、ケイ素原子、酸素原子及び窒素原子から選ばれる1種以上を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基であり、Yは互いに独立して、酸素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基若しくはトリアルコキシシリル基である。k’は1〜6の整数であり、l’は1〜4の整数であり、m’は1〜4の整数であり、k’+l’+m’は4〜10の整数である。但し、−(SiO)(H)(R)−、−(SiO)(X)(R)−、及び−(SiO)(Y)(R)−の結合は上記式の順番に限定されず、ランダムであってもよい。)
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物の硬化物からなる被膜を有する物品。
〔8〕
該被膜のオートマチックトランスミッションフルイドの接触角が50°以上である〔7〕に記載の物品。
〔9〕
車載用部品である〔7〕又は〔8〕に記載の物品。
本発明によれば、塗工しやすく、耐熱性、速硬化性及び速接着性に優れ、特に、硬化して撥油性及び耐油性に優れたコーティング被膜を与える含フッ素コーティング剤組成物を提供することができる。上記組成物を塗工後硬化させて得られるコーティング被膜は、特に耐ATF性に優れることから、特に自動車用の潤滑油に対する撥油コーティング剤として有用である。また、フッ素原子の低い表面エネルギー特性由来の撥水性も併せ持つため、電子機器、自動車、化学機器、化学プラント、医療機器、キッチン用品、サニタリー用品、外壁等への撥水撥油コーティング剤として好適に使用できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[(A)成分]
本発明で用いられる(A)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、更に主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリフルオロ化合物であり、本発明の組成物の主剤(ベースポリマー)である。
(A)成分は、本発明の組成物中、0.1〜40質量%含有することが好ましく、1〜30質量%含有することがより好ましく、1〜20質量%含有することがさらに好ましい。
上記(A)成分に含まれるアルケニル基としては、好ましくは炭素数2〜8、特に炭素数2〜6で、かつ末端にCH=CH−構造を有するものが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、中でもビニル基やアリル基が特に好ましい。
(A)成分のポリフルオロ化合物に含まれるアルケニル基含有量は、0.005〜0.3mol/100gが好ましく、更に好ましくは0.007〜0.2mol/100gである。該アルケニル基含有量が0.005mol/100g以上であれば、架橋度合いが十分となり硬化不具合が生じるおそれがない。一方、該アルケニル基含有量が0.3mol/100g以下であれば、本発明の組成物を塗工後硬化して得られるコーティング被膜の機械的特性が損なわれるおそれがない。
(A)成分のパーフルオロポリエーテル構造は、下記式(A)
Figure 2018123206
(式(A)中、aは1〜6の整数である。)
で表される繰り返し単位を含むものであり、例えば下記式(1)
Figure 2018123206
(式(1)中、aは1〜6の整数であり、bは1〜300の整数、好ましくは1〜200の整数である。)
で表されるもの等が挙げられる。
上記式(A)で表される繰り返し単位としては、例えば下記式
Figure 2018123206
で表される単位等が挙げられる。
これらの中では、特に下記式
Figure 2018123206
で表される単位が好適である。
なお、(A)成分のパーフルオロポリエーテル構造は、上記繰り返し単位のうち1種で構成されてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されてもよい。
(A)成分の好ましい例としては、下記式(2)及び下記式(3)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物が挙げられる。
Figure 2018123206
(式(2)中、R及びRは互いに独立して、アルケニル基、又は非置換若しくは置換の脂肪族不飽和結合を有さない1価の炭化水素基であり、R及びRの合計のうち二つ以上はアルケニル基である。Rは互いに独立して、水素原子、又は非置換若しくは置換の1価の炭化水素基であり、c及びdはそれぞれ1〜150の整数であって、かつc+dの平均値は2〜300であり、eは1〜6の整数である。)
Figure 2018123206
(式(3)中、Rは互いに独立して、炭素数1〜6のアルキレン基であり、Rは互いに独立して、水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。また、R、R、c、d及びeは上記式(2)と同じである。)
式(2)、(3)中、R及びRに含まれるアルケニル基としては、上記(A)成分に含まれるアルケニル基と同様に、好ましくは炭素数2〜8、特に炭素数2〜6で、かつ末端にCH=CH−構造を有するものが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、それ以外の非置換若しくは置換の脂肪族不飽和結合を有さない1価の炭化水素基としては、炭素数1〜12のものが好ましく、特に炭素数1〜10のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素等のハロゲン原子で置換した1価の炭化水素基などが挙げられる。R及びRとしては、中でもビニル基、アリル基、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
に含まれる非置換若しくは置換の1価の炭化水素基としては、上述したR及びRの非置換若しくは置換の脂肪族不飽和結合を有さない1価の炭化水素基の例示と同様の基が挙げられる。Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。
は炭素数1〜6、好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基等が挙げられ、特にエチレン基及びプロピレン基が好ましい。
は、互いに独立に水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、フッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基、例えばトリフルオロメチル基等が挙げられる。この中でも、Rは水素原子が好ましい。
また、c及びdはそれぞれ1〜150の整数であり、好ましくは1〜100の整数であって、かつc+dの平均値は2〜300であり、好ましくは2〜200である。また、eは1〜6の整数であり、好ましくは1〜4の整数である。
上記式(2)で表されるポリフルオロ化合物の具体例としては、下記式
Figure 2018123206
(式中、c及びdはそれぞれ1〜150の整数である。Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、c及びdはそれぞれ1〜150の整数である。Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、c及びdはそれぞれ1〜150の整数である。Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
で表されるものが挙げられる。
また、上記式(3)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物の具体例としては、下記式
Figure 2018123206
(式中、c及びdはそれぞれ1〜100の整数である。Meはメチル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、c及びdはそれぞれ1〜100の整数である。Meはメチル基を示す。)
で表されるものが挙げられる。
なお、本発明において、粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)により測定した値である。特に、上記式(2)又は(3)で表されるポリフルオロ化合物の粘度(23℃)は、JIS K7117−1に規定された粘度測定で、500〜100,000mPa・s、より好ましくは1,000〜50,000mPa・sである。該粘度が500mPa・s以上であれば、本発明の組成物の保存安定性が悪くなるおそれがなく、該粘度が100,000mPa・s以下であれば、得られる組成物の伸展性が悪くなるおそれがない。
また、主鎖のパーフルオロポリエーテル構造を構成するパーフルオロオキシアルキレン単位の繰り返し数などで決定されるポリフルオロ化合物の重合度(又は分子量)は、例えば、フッ素系希釈溶剤を展開溶媒として用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として算出した値である。
これらのポリフルオロ化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。すなわち、上記式(2)又は(3)で表されるポリフルオロ化合物の中で、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、更に上記式(2)及び(3)で表されるポリフルオロ化合物を組み合わせて使用することもできる。
[(B)成分]
本発明で用いられる(B)成分は、1分子中に、1価のパーフルオロアルキル基若しくは1価のパーフルオロオキシアルキル基を有するか、又は2価のパーフルオロアルキレン基若しくは2価のパーフルオロオキシアルキレン基を有し、更にケイ素原子に直結した水素原子(SiH基又はヒドロシリル基)を2個以上、好ましくは3個以上有し、かつ分子中にエポキシ基及びケイ素原子に直結したアルコキシ基を有さない含フッ素オルガノハイドロジェンシロキサンであり、好ましくは1分子中に上記1価又は2価の含フッ素有機基を1個以上及びケイ素原子に直結した水素原子を2個以上有し、かつエポキシ基や、ケイ素原子に直結したアルコキシ基、環状無水カルボン酸残基等のSiH基以外のその他の官能基を有さない含フッ素オルガノハイドロジェンシロキサンである。(B)成分は、本発明の組成物において上記(A)成分の架橋剤(硬化剤)として機能するものである。
但し、ここで「その他の官能基」とは、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基と、ポリシロキサンを構成するケイ素原子とを連結する2価の連結基中に存在するエーテル結合(酸素原子)、アミド結合、カルボニル結合、エステル結合などの2価の極性基(極性構造)等は除くものとする。
上記1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基、2価のパーフルオロアルキレン基及び2価のパーフルオロオキシアルキレン基は、上記(A)成分との相溶性、分散性及び硬化後の均一性等の観点から導入される基である。
上記1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基としては、下記式(5)又は(6)で表される基が挙げられる。
Figure 2018123206
(式(5)中、hは1〜10の整数、好ましくは3〜7の整数である。)
Figure 2018123206
(式(6)中、iは1〜50の整数、好ましくは2〜30の整数である。)
また、上記2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基としては、下記式(7)〜(9)で表される基が挙げられる。
Figure 2018123206
(式(7)中、jは1〜20の整数、好ましくは2〜10の整数である。)
Figure 2018123206
(式(8)中、k及びlはそれぞれ1以上の整数、好ましくは1〜100の整数であり、k+lの平均値は2〜200、好ましくは2〜100である。)
Figure 2018123206
(式(9)中、m及びnはそれぞれ1〜50の整数、好ましくは1〜30の整数であり、m+nの平均値は2〜100、好ましくは2〜80である。各繰り返し単位同士はランダムに結合されていてよい。)
また、これらパーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基と、ポリシロキサンを構成するケイ素原子とは2価の連結基により繋がれていることが好ましく、該2価の連結基としては、酸素原子、窒素原子及び/又はケイ素原子を有してもよい、非置換若しくは置換の、炭素数2〜12、特に炭素数2〜8の2価の炭化水素基であることが好ましく、具体的には、アルキレン基、アリーレン基及びそれらの組み合わせ、あるいはこれらの基をエーテル結合(酸素原子)、アミド結合、カルボニル結合、エステル結合、及びジメチルシリレン基等のジオルガノシリレン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の構造等を介在させたものであってもよい。
上記2価の連結基としては、下記式
Figure 2018123206
(式中、Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基を示す。)
で表される単位等が挙げられる。
また、この(B)成分の含フッ素オルガノハイドロジェンシロキサンにおける上記1価又は2価の含フッ素有機基及びケイ素原子に直結した水素原子以外のケイ素原子に結合した1価の置換基は、炭素数1〜20、好ましくは1〜12の非置換若しくは置換のアルキル基又はアリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部が塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換された基(例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等)が挙げられる。これら置換基のうち、メチル基が好ましい。
上記(B)成分としては、例えば下記式(10)〜(16)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018123206
(式(10)中、Dは独立して、上記の、酸素原子、窒素原子及び/又はケイ素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してポリシロキサンを構成するケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基であり、1価のパーフルオロオキシアルキル基としては、上記式(5)又は(6)で表される基が挙げられる。Rは独立して、上記の、炭素数1〜20、好ましくは1〜12の非置換もしくは置換のアルキル基又はアリール基である。また、pは2〜6の整数、好ましくは3〜6の整数であり、qは1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数であり、p+qは4〜10の整数、好ましくは4〜9の整数である。)
Figure 2018123206
(式(11)中、Eは独立して、上記Dと同じであり、Rは独立して、上記Rと同じである。またrは2〜50の整数、好ましくは3〜30の整数である。)
Figure 2018123206
(式(12)中、Gは独立して、上記Dと同じであり、R10は独立して、上記Rと同じである。sは2〜50の整数、好ましくは3〜30の整数であり、tは1〜40の整数、好ましくは1〜20の整数であり、s+tは4〜60の整数、好ましくは4〜50の整数である。)
Figure 2018123206
(式(13)中、Jは独立して、上記Dと同じであり、R11は独立して、上記Rと同じである。uは2〜50の整数、好ましくは3〜30の整数であり、vは1〜40の整数、好ましくは1〜20の整数であり、u+vは4〜60の整数、好ましくは4〜50の整数である。)
Figure 2018123206
(式(14)中、Lは独立して、上記Dと同じであり、R12は独立して、上記Rと同じである。wは2〜50の整数、好ましくは3〜30の整数であり、xは1〜40の整数、好ましくは1〜20の整数であり、yは1〜40の整数、好ましくは1〜20の整数であり、w+x+yは5〜60の整数、好ましくは5〜50の整数である。)
Figure 2018123206
(式(15)中、Mは、酸素原子、アルキレン基、又は酸素原子若しくは窒素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基であり、2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基としては、上記式(7)〜(9)で表されるいずれかの基が挙げられる。また、Qは独立して、上記Dと同じであり、R13は独立して、上記Rと同じである。また、zは0又は1〜3の整数であり、a’は0又は1〜3の整数であり、z+a’は2〜6の整数、好ましくは3〜5の整数である。)
Figure 2018123206
(式(16)中、Tは上記Dと同じであり、R14は独立して、上記Rと同じである。)
(B)成分として、具体的には下記の化合物が挙げられる。
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、c’は1〜50の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、c’は1〜50の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数であり、c’は1〜50の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数であり、c’は1〜50の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数であり、c’は1〜50の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数であり、c’は1〜50の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数であり、d’は1〜20の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数であり、d’は1〜20の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数であり、c’は1〜50の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数であり、c’は1〜50の整数であり、e’及びf’はそれぞれ1〜100の整数であり、e’+f’は2〜200の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数であり、c’は1〜50の整数であり、g’及びh’はそれぞれ1〜50の整数であり、g’+h’は2〜100の整数である。Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
(B)成分の上記化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記(B)成分の配合量は、本発明の組成物中に含まれるアルケニル基1モルに対する、(B)成分中のケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)が0.5〜3モルとなる量(モル比)であり、好ましくは0.6〜2モルとなる量(モル比)である。該SiH基のモル比が0.5モルより小さいと、本発明の組成物の硬化物(コーティング被膜)において架橋度合いが不十分になり、一方SiH基のモル比が3モルより高いと、該組成物の保存安定性が損なわれる。
[(C)成分]
本発明で用いられる(C)成分(白金族金属系触媒)は、ヒドロシリル化反応触媒である。ヒドロシリル化反応触媒は、組成物中に含有するアルケニル基、特には(A)成分中のアルケニル基と、組成物中に含有するSiH基、特には(B)成分中のSiH基との付加反応を促進する触媒である。このヒドロシリル化反応触媒は、一般に貴金属又はその化合物であり、高価格であることから、比較的入手しやすい白金又は白金化合物がよく用いられる。
白金化合物としては、例えば、塩化白金酸又は塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体、アルコールやビニルシロキサンとの錯体、シリカ、アルミナ、カーボン等に担持した金属白金等を挙げることができる。白金又はその化合物以外の白金族金属系触媒として、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム系化合物も知られており、具体的には下記の化合物が挙げられる。
Figure 2018123206
(式中、Phはフェニル基を示す。)
これらの触媒の使用にあたっては、該触媒が固体であるときには固体状で使用することも可能であるが、より均一な硬化物を得るために塩化白金酸及び/又は錯体を適切な溶剤(例えば、トルエン、エタノール等)に溶解したものと、(A)成分のポリフルオロ化合物とを相溶して使用することが好ましい。
(C)成分の配合量は、ヒドロシリル化反応触媒としての有効量であり、通常、(A)成分に対して0.1〜2,000ppm、好ましくは0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜200ppm(白金族金属原子の質量換算)であるが、所望の硬化速度に応じて適宜増減することができる。
[(D)成分]
本発明で用いられる(D)成分は、1分子中に、SiH基と、酸素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基若しくはトリアルコキシシリル基又はその両方とを有するオルガノポリシロキサンであり、本発明の組成物を塗工後硬化して得られるコーティング被膜に自己接着性を与える接着付与剤として作用する。本明細書において、「自己接着性」とは、部材に塗工された組成物及びその硬化物が自らの接着力で該部材に接着する特性をいう。
(D)成分は、上記(A)成分との相溶性、組成物中での分散性及び硬化後の均一性等の観点から、1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基を有するものが好ましい。この1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基としては、上述した式(5)又は(6)で表される基が挙げられる。
また、上記1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基は、ケイ素原子、酸素原子及び窒素原子を有していてもよい2価の炭化水素基(連結基)を介してポリシロキサンを構成するケイ素原子に繋がれていることが好ましく、該2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基及びそれらの組み合わせ、あるいはこれらの基にエーテル結合(酸素原子)、アミド結合、カルボニル結合、エステル結合、及びジメチルシリレン基等のジオルガノシリレン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の構造等を介在させたものであってもよい。
上記2価の炭化水素基としては、下記式
Figure 2018123206
(式中、Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基を示す。)
で表される単位等が挙げられる。
上記(D)成分のオルガノポリシロキサンとしては、下記式(17)で表される環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
Figure 2018123206
(式(17)中、k’は1〜6の整数、好ましくは1〜5の整数であり、l’は1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数であり、m’は1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数であり、k’+l’+m’は4〜10の整数、好ましくは4〜8の整数である。また、R15は互いに独立して非置換又は置換の1価の炭化水素基であり、Xは互いに独立して、ケイ素原子、酸素原子及び窒素原子から選ばれる1種以上を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基であり、Yは互いに独立して、酸素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基若しくはトリアルコキシシリル基である。但し、−(SiO)(H)(R15)−、−(SiO)(X)(R15)−、及び−(SiO)(Y)(R15)−の結合は上記式の順番に限定されず、ランダムであってもよい。)
上記式(17)において、R15は互いに独立して非置換又は置換の1価の炭化水素基であり、上述したRと同様の基が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。
また、上記式(17)において、Xは互いに独立して、上記の、ケイ素原子、酸素原子及び窒素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基であり、この1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基としては、上述した式(5)又は(6)で表される基が挙げられる。
また、上記式(17)において、Yは互いに独立して、酸素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基若しくはトリアルコキシシリル基である。該エポキシ基としては、例えば、下記式(18)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018123206
上記式(18)において、R16は酸素原子を含んでいてもよく、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等のアルキレン基、シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等のオキシアルキレン基などが挙げられる。
上記式(18)のエポキシ基の具体例としては、下記式
Figure 2018123206
で表されるものが挙げられる。
一方、上記トリアルコキシシリル基としては、例えば、下記式(19)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018123206
上記式(19)において、R17は好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、オクチレン基等のアルキレン基などが挙げられる。また、R18は好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜4の1価の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基等のアルキル基などが挙げられる。
上記式(19)のトリアルコキシシリル基の具体例としては、下記式
Figure 2018123206
で表されるものが挙げられる。
(D)成分として、具体的には下記の化合物が挙げられる。
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数である。Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、c’は1〜50の整数である。Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数である。Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、c’は1〜50の整数である。Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、b’は1〜10の整数である。Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
Figure 2018123206
(式中、c’は1〜50の整数である。Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
(D)成分の上記化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量部の範囲であり、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.1質量部未満の場合は、本発明の組成物の硬化物において十分な接着性が得られず、20質量部を超えると、本発明の組成物の保存安定性が低下する。
なお、本発明の組成物において、該組成物中に含まれるアルケニル基の合計(例えば、(A)成分及び後述する任意成分中に含まれるアルケニル基の合計)1モルに対して、該組成物中に含まれるSiH基の合計(例えば、(B)成分及び(D)成分中に含まれるSiH基の合計)が、0.51〜3.5モル、特に0.6〜2.5モルとなる量(モル比)であることが好ましい。
[(E)成分]
本発明で用いられる(E)成分はフッ素系希釈溶剤であり、上記(A)成分〜(D)成分、及び後述の任意成分((F)成分、その他の成分)を均一に溶解又は分散するために用いられる。該(E)成分としては、例えばC10、C14、C18、COCH、COC、CCF(OCH)CF(CF、2−n−ノナフルオロブチル−テトラフルオロフラン、トリス(n−ノナフルオロブチル)アミン、メタキシレンヘキサフルオライド、パラキシレンヘキサフルオライド、ベンゾトリフルオライド等のフッ素化溶剤等が挙げられる。
上記フッ素系希釈溶剤の沸点は、塗工後の熱処理温度の観点から、120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることが更に好ましい。
(E)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して100質量部以上で、所望のコーティング被膜の厚みに応じて調整できる。(A)成分100質量部に対して100質量部未満では、本発明の組成物の粘度が高く塗工が困難なうえ、(E)成分に対する(E)成分以外の成分の溶解性が悪くなり、均一なコーティング被膜が得られない。(E)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して300〜100,000質量部が好ましく、500〜10,000質量部が更に好ましい。
[(F)成分]
(F)成分は、シリカ系充填剤であり、必要に応じて本発明の組成物に配合される任意成分である。該シリカ系充填剤としては、石英やガラスを粉砕した粉砕シリカ、一旦溶融してから球粒状に成形した溶融シリカ、ケイ酸ソーダに鉱酸を加えて製造される湿式シリカ、シラン化合物を燃焼させて製造される乾式シリカ等が挙げられる。これらのうち、機械的強度を向上させる観点から、BET比表面積が30m/g以上、好ましくは50〜400m/gのシリカ系充填剤が好適に用いられる。なお、湿式シリカ、乾式シリカがこれに該当するが、吸着水分が少ない乾式シリカが好適である。ポリマー成分との濡れ性を考慮すると、シリカ系充填剤の表面が疎水化処理されたものが更に好ましい。シリカ系充填剤の表面の疎水化処理が施されていないと、十分な機械的強度が得られなかったり、組成物の粘度が異常に高くなったりする等の弊害が生じるおそれがある。
(F)成分を使用する場合の配合量は、(A)成分100質量部に対して1〜100質量部、特に1〜40質量部であることが好ましい。該配合量が1質量部未満ではフィラーの補強効果が十分に得られない場合があり、該配合量が100質量部を超えると本発明の組成物の粘度が高くなり、作業性を損なう場合がある。
[その他の成分]
本発明の組成物には、上記した(A)〜(F)成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の各種の添加剤、例えば、(F)成分以外の無機質充填剤、ヒドロシリル化付加反応制御剤、接着促進剤等を必要に応じて配合することができる。該添加剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(F)成分以外の無機質充填剤としては、補強性又は準補強性充填剤(例えば、溶融石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム等)、無機顔料(例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、アルミン酸コバルト等)等が挙げられる。
前記ヒドロシリル化付加反応制御剤としては、1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、フェニルブチノール等のアセチレン性アルコール、上記式(5)で表される1価のパーフルオロアルキル基を有するクロロシランとアセチレン性アルコールとの反応物、上記式(6)で表される1価のパーフルオロオキシアルキル基を有するクロロシランとアセチレン性アルコールとの反応物、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、トリアリルイソシアヌレート等、ポリビニルシロキサン、有機リン化合物等が挙げられ、その添加により硬化反応性と保存安定性を適度に保つことができる。
前記接着促進剤としては、カルボン酸無水物、有機ジルコニウム化合物(例えば、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムキレート等)、有機チタン化合物(チタンアルコキシド、チタンキレート等)等が挙げられる。
本発明の含フッ素コーティング剤組成物の製造方法は特に制限されず、上記(A)〜(E)成分、(F)成分及びその他の成分を均一に混ぜ合わせることにより製造できる。
本発明の含フッ素コーティング剤組成物の構成に関しては、上記(A)〜(E)成分、(F)成分及びその他の成分全てを1つの組成物として取り扱う、いわゆる1液タイプとして構成してもよいし、あるいは、2液タイプとし、使用時に両者を混合するようにしてもよい。
本発明の含フッ素コーティング剤組成物の塗工方法は、特に制限されないが、刷毛を用いての塗工、スプレー法、ウェットコーティング法(例えばディップ法等)が好適である。
本発明の含フッ素コーティング剤組成物は1層又は2層以上で塗工されてもよく、該組成物を2層以上塗工する場合は、それぞれの層の組成物の組成が異なっていてもよく、それぞれの層の硬化温度及び時間は下記に示す範囲で異なっていてもよい。
本発明の含フッ素コーティング剤組成物の硬化条件は、10℃以上200℃以下の範囲であれば特に制限されないが、20℃以上180℃以下が好ましく、40℃以上180℃以下がより好ましい。また、その場合の硬化時間は、溶剤の揮発、架橋反応、及び接着反応が完了するまでの時間を考慮して適宜選択すればよいが、一般的には5分〜10時間が好ましく、8分〜5時間がより好ましい。
本発明の含フッ素コーティング組成物は、上記硬化条件により、金属(例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、銅等)、無機物(例えば、アルミナセラミックス、ガラス等)、エポキシガラス、プラスチック基材(例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、アクリル樹脂等)に対して良好な接着性を発現するものである。また、アルコキシシランを主成分とするシラン系プライマー等のプライマー組成物を予め基材に塗布後乾燥し、プライマー被膜上に本発明の含フッ素コーティング剤組成物を塗工することにより、更に良好な接着性を発現する。
上記プライマー組成物は、1層塗りでも、2層以上の重ね塗りでもよく、該組成物を2層以上重ね塗りする場合は、それぞれの層の組成物の組成が異なっていてもよく、それぞれの層の硬化温度及び時間も異なっていてもよい。
本発明の組成物を塗工後硬化して得られるコーティング被膜は、良好な撥油性と耐油性、特に耐ATF性を有し、かつ各種基材に対して良好な接着性を発現するため、自動車用の潤滑油の流路抵抗を低減する目的や、自動車用オイルから保護する目的に有用である。また、該被膜は撥水性も併せ持つため、電子機器(コンフォーマルコーティング剤)、自動車、化学機器、化学プラント、医療機器、キッチン用品、サニタリー用品、外壁等への撥水撥油コーティング剤として利用可能である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
下記実施例及び比較例に用いられる(A)〜(F)成分及びヒドロシリル化付加反応制御剤を下記に示す。
(A)成分
(A−1):下記式(20)で示されるポリフルオロ化合物(粘度4,010mPa・s、ビニル基量0.0299モル/100g)
Figure 2018123206
(式(20)中、c”及びd”は1以上の整数であり、c”+d”の平均値は35である。Meはメチル基を示す。)
(A−2):下記式(21)で示されるポリフルオロ化合物(粘度5,960mPa・s、ビニル基量0.0118モル/100g)
Figure 2018123206
(式(21)中、c”及びd”は1以上の整数であり、c”+d”の平均値は90である。Meはメチル基を示す。)
(A−3):下記式(22)で示されるポリフルオロ化合物(粘度5,960mPa・s、ビニル基量0.0118モル/100g)
Figure 2018123206
(式(22)中、c”及びd”は1以上の整数であり、c”+d”の平均値は90である。Meはメチル基を示す。)
(B)成分
(B−1):下記式(23)で示される含フッ素オルガノハイドロジェンシロキサン(SiH基含有量0.598モル/100g)
Figure 2018123206
(式(23)中、Meはメチル基を示す。)
(C)成分
(C−1):白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金濃度0.5質量%)
(D)成分
(D−1):下記式(24)で示されるオルガノポリシロキサン(SiH基含有量0.101モル/100g)
Figure 2018123206
(式(24)中、Meはメチル基を示す。)
(D−2):下記式(25)で示されるオルガノポリシロキサン(SiH基含有量0.398モル/100g)
Figure 2018123206
(式(25)中、Meはメチル基を示す。)
(D−3):下記式(26)で示されるオルガノポリシロキサン(SiH基含有量0.0922モル/100g)
Figure 2018123206
(式(26)中、Meはメチル基を示す。)
(D−4):下記式(27)で示されるオルガノポリシロキサン(SiH基含有量0.262モル/100g)
Figure 2018123206
(式(27)中、Meはメチル基を示す。)
(E)成分
(E−1):メタキシレンヘキサフルオライド
(E−2):下記式(28)で示されるフッ素系希釈溶剤
Figure 2018123206
(F)成分
(F−1):ジクロロジメチルシランで表面が疎水化処理された乾式シリカ(BET比表面積240m/g)
その他の成分
ヒドロシリル化付加反応制御剤:1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサンのトルエン溶液(1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン濃度60質量%)
比較例に用いられるパーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシラン化合物を下記に示す。
パーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシラン1
下記式(29)で示されるパーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシラン
Figure 2018123206
(式(29)中、p+qの平均値は45であり、Xはフッ素原子あるいは下記式
Figure 2018123206
で示される加水分解性基である。)
パーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシラン2
下記式(30)で示されるパーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシラン
Figure 2018123206
(式(30)中、Meはメチル基を示す。)
実施例1〜9、比較例1〜8において、上記(A)〜(F)成分、上記式(29)及び(30)で示した化合物を下記表1〜5に示す所定量を用いて、下記のように組成物を調製した。その後、該組成物を塗工硬化し、下記方法に従って、基材に対するコーティング被膜の接着性の評価、ATF接触角の測定を行った。また、実施例1〜6、比較例7及び比較例8に関して、下記方法に従って、ATF耐久性を測定した。これらの結果を表2〜5に示す。
実施例1〜5、7〜9及び比較例3の組成物の調製
(A)成分と(F)成分を、プラネタリーミキサーにより120℃で1時間混合した後、3本ロールミル処理を施した。得られた混合物と、ポリエチレン製容器中の(E)成分とを振とう器で3時間撹拌した。次いで、得られた混合液に、(B)成分、(D)成分及びヒドロシリル化付加反応制御剤を加え、振とう器で23℃で15分撹拌した。最後に(C)成分を加え、振とう器で23℃で15分撹拌し、実施例1〜5、7〜9及び比較例3の組成物を得た。
実施例6の組成物の調製
(F)成分を(A)成分と混合しなかったこと以外は、上記実施例1〜5、7〜9及び比較例3の組成物の調製と同様にして、実施例6の組成物を得た。
比較例1の組成物の調製
(D)成分を加えなかったこと以外は、上記実施例1〜5、7〜9及び比較例3の組成物の調製と同様にして、比較例1の組成物を得た。
比較例2の組成物の調製
(A)成分と(F)成分を、プラネタリーミキサーにより120℃で1時間混合した後、3本ロールミル処理を施した。得られた混合物に、(B)成分、(D)成分及びヒドロシリル化付加反応制御剤を加えてプラネタリーミキサーにより23℃で10分混合した。最後に(C)成分を加え、23℃で10分混合し、比較例2の組成物を得た。
比較例4の組成物の調製
(B)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、及びヒドロシリル化付加反応制御剤をポリエチレン製容器に加え、振とう器で23℃で15分撹拌した。最後に(C)成分を加え、23℃で10分混合し、比較例4の組成物を得た。
比較例5の組成物の調製
(B)成分を加えなかったこと以外は、上記実施例1〜5、7〜9及び比較例3の組成物の調製と同様にして、比較例5の組成物を得た。
比較例6の組成物の調製
(C)成分を加えなかったこと以外は、上記実施例1〜5、7〜9及び比較例3の組成物の調製と同様にして、比較例6の組成物を得た。
比較例7及び8の組成物の調製
(E)成分と、パーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシラン1又は2とをポリエチレン製容器中に入れ、振とう器で23℃で15分撹拌し、比較例7及び8の組成物を得た。
基材へのコーティング方法
50mm×25mm×2mmのアルミニウム基材に表1に示す組成のプライマー組成物を刷毛で塗工し、23℃/60%RHで30分乾燥させた。得られたプライマー被膜上に、上記のように調製した組成物を用いてDip塗工した。Dip塗工時の引き上げ速度は5mm/sとした。該組成物を塗工した基材を120℃のオーブン中で10分間加熱し、コーティングされたアルミニウム基材を得た。
Figure 2018123206
基材に対するコーティング被膜の接着性の評価
各組成物でコーティングされたアルミニウム基材の表面を指の腹で擦り、コーティング被膜が剥がれ落ちるものを×判定、コーティング被膜が剥がれ落ちないものを〇判定とした。なお、コーティング被膜の接着性について評価不能なものを−判定とした。
ATF接触角の測定
各組成物でコーティングされたアルミニウム基材の表面のATF接触角は、接触角計DropMaster(協和界面科学社製)を用いて測定した。ATFはDEXRON(登録商標)−VI(ケンドル社製)を使用した。接触角は、2μlの液滴をコーティング被膜表面に着滴させた後、1秒後に測定した。
ATF耐久性の評価
各組成物でコーティングされたアルミニウム基材を、150℃に加熱したATFに1,000時間浸漬し、メチルエチルケトンを流してコーティング被膜表面を洗浄したのち風乾させ、コーティング被膜の表面のATF接触角を上記ATF接触角の測定方法により決定した。
Figure 2018123206
Figure 2018123206
Figure 2018123206
Figure 2018123206
表2及び3から明らかなように、実施例1〜9の組成物は120℃で10分間の加熱後、プライマー被膜上で良好な接着性、撥油性及び耐油性を示した。
一方、比較例1の(D)成分を含まない組成では十分な接着性を示さず、比較例1の組成物はアルミニウム基材から剥がれた。比較例2の(E)成分を含まない組成や比較例3の(E)成分の配合量が範囲外の組成では、均一な塗工ができなかった。比較例4の(A)成分を含まない組成、比較例5の(B)成分を含まない組成、及び比較例6の(C)成分を含まない組成では、組成物が硬化せず液状であった。また、比較例7及び8のパーフルオロオキシアルキレン変性アルコキシシランを含有する組成物は、基材との良好な接着性と撥油性を示したものの、高温長時間の油への曝露によりアルミニウム基材から剥がれた。
以上の結果より、本発明の含フッ素コーティング剤組成物は、コーティングが容易で、短時間の加熱で硬化及び基材に接着し、耐熱性、撥油性及び耐ATF性に優れるコーティング被膜を形成できることが明らかとなった。
本発明の含フッ素コーティング剤組成物は、優れた撥油性及び耐ATF性を有するコーティング被膜が得られるため、電子機器、自動車、化学機器、化学プラント、医療機器、キッチン用品、サニタリー用品、外壁等への撥水撥油コーティング剤として利用可能であり、特に自動車用の潤滑油の撥油コーティング剤、電子機器用のコンフォーマルコーティング剤として有用である。

Claims (9)

  1. (A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリフルオロ化合物:100質量部、
    (B)1分子中に、1価のパーフルオロアルキル基若しくは1価のパーフルオロオキシアルキル基を有するか、又は2価のパーフルオロアルキレン基若しくは2価のパーフルオロオキシアルキレン基を有し、更にケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)を2個以上有し、かつ分子中にエポキシ基及びケイ素原子に直結したアルコキシ基を有さない含フッ素オルガノハイドロジェンシロキサン、
    (C)白金族金属系触媒:(A)成分に対して白金族金属原子の質量換算で0.1〜2,000ppm、
    (D)1分子中に、ケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)と、酸素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基若しくはトリアルコキシシリル基又はその両方とを有するオルガノポリシロキサン:0.1〜20質量部、及び
    (E)フッ素系希釈溶剤:100質量部以上
    を含有する含フッ素コーティング剤組成物であって、前記(B)成分の配合量が、該組成物中に含まれるアルケニル基1モルに対して、前記(B)成分中のケイ素原子に直結した水素原子が0.5〜3モルとなる量である含フッ素コーティング剤組成物。
  2. 更に(F)シリカ系充填剤を、(A)成分100質量部に対して1〜100質量部を含有する請求項1に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
  3. (A)成分のポリフルオロ化合物のパーフルオロポリエーテル構造が、下記式(1)
    Figure 2018123206
    (式(1)中、aは1〜6の整数であり、bは1〜300の整数である。)
    で表される構造を有する請求項1又は2に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
  4. (A)成分が、下記式(2)及び下記式(3)からなる群より選択される1種以上のポリフルオロ化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
    Figure 2018123206
    (式(2)中、R及びRは互いに独立して、アルケニル基、又は非置換若しくは置換の脂肪族不飽和結合を有さない1価の炭化水素基であり、R及びRの合計のうち二つ以上はアルケニル基である。Rは互いに独立して、水素原子、又は非置換若しくは置換の1価の炭化水素基であり、c及びdはそれぞれ1〜150の整数であって、かつc+dの平均値は2〜300であり、eは1〜6の整数である。)
    Figure 2018123206
    (式(3)中、Rは互いに独立して、炭素数1〜6のアルキレン基であり、Rは互いに独立して、水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。また、R、R、c、d及びeは上記式(2)と同じである。)
  5. (D)成分が、1分子中に、ケイ素原子、酸素原子及び/又は窒素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基を1個以上有するオルガノポリシロキサンである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
  6. (D)成分が、下記式(4)で表される環状オルガノポリシロキサンである請求項5に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
    Figure 2018123206
    (式(4)中、Rは互いに独立して、非置換又は置換の1価の炭化水素基であり、Xは互いに独立して、ケイ素原子、酸素原子及び窒素原子から選ばれる1種以上を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基であり、Yは互いに独立して、酸素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基若しくはトリアルコキシシリル基である。k’は1〜6の整数であり、l’は1〜4の整数であり、m’は1〜4の整数であり、k’+l’+m’は4〜10の整数である。但し、−(SiO)(H)(R)−、−(SiO)(X)(R)−、及び−(SiO)(Y)(R)−の結合は上記式の順番に限定されず、ランダムであってもよい。)
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物の硬化物からなる被膜を有する物品。
  8. 該被膜のオートマチックトランスミッションフルイドの接触角が50°以上である請求項7に記載の物品。
  9. 車載用部品である請求項7又は8に記載の物品。


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