JP2008029148A - 可変磁束ドライブシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】可変磁石であることによるトルク精度の劣化の抑制や磁化処理に伴う過渡トルクの抑制を図り、システム全体の効率を向上し広い速度範囲に対応できる可変磁束ドライブシステムを提供することである。
【解決手段】磁化要求生成部29は、所定の条件が成立したときに可変磁石を磁化させる要求を可変磁束制御部13に対して発生し、可変磁束制御部13は、その磁化要求を入力すると、インバータ1からの磁化電流によって磁束を可変させて可変磁石を磁化させる。切替器37は、トルク指令生成部38からのトルク指令に基づくDQ軸電流基準と可変磁束制御部13からのDQ軸磁化電流指令とを切り替え、ゲート指令生成部15は、切替器37からのトルク指令に基づくDQ軸電流基準またはDQ軸磁化電流指令に基づいてインバータ1を制御するためのゲート指令を生成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固定磁石と可変磁石とを有した可変磁束モータを駆動するインバータを備えた可変磁束ドライブシステムに関する。
近年、効率に優れ小型化や低騒音化が期待できる永久磁石同期電動機(PM)が、従来の誘導電動機IMに代わり普及し始めている。例えば、鉄道車両や電気自動車向けの駆動モータとしても永久磁石同期電動機が適用されている。
永久磁石同期電動機はロータに永久磁石を備え、その磁束を利用してトルクを出力するモータである。誘導電動機IMは、磁束自体をステータからの励磁電流によって作り出すため、励磁電流を流すことによる損失が発生することがデメリットである。
永久磁石同期電動機は、その永久磁石のため回転数に応じた誘起電圧が発生する。鉄道車両や自動車など回転範囲が広い応用分野では、最高回転数において生じる誘起電圧によって、永久磁石同期電動機を駆動制御するインバータが過電圧によって破壊しないことが条件となる。すなわち、インバータの耐圧を十分に高いものとするか、あるいは、逆に、モータに備える永久磁石の磁束を制限するかとなる。前者は電源側への影響もあり後者を選択することも多い。
その場合の磁束量を誘導電動機IM(IMの場合には励磁電流によって作りだすギャップ磁束量)と比較すると、1:3程度になるケースもある。この場合、同一のトルクを発生させるためには、磁束量の小さい永久磁石同期電動機では、大きな(トルク)電流を流す必要がある。すなわち、低速域において、同一トルクを出力する電流を、誘導電動機IMと永久磁石同期電動機とを比較すると、永久磁石同期電動機の方が大きな電流を流す必要がある。
このため、永久磁石同期電動機を駆動するインバータの電流容量は増加する。さらに、一般に低速ではインバータ内のスイッチング素子のスイッチング周波数が高く、発生する損失は電流値に依存し増大することから、大きな損失と発熱が生じることになる。電車などは走行風によって冷却を期待することもあり、低速時に大きな損失が生じることは、冷却能力を向上させる必要性からインバータ装置が大型化してしまう。また、逆に、誘起電圧が高い場合、弱め界磁制御を行うことになるが、このときは、励磁電流を重畳することで効率が低下してしまう。
このように永久磁石同期電動機は、磁石を内在するが故のメリットとデメリットとがある。モータとしては、そのメリットの分が大きく、損失低減や小型化につながる面もあるが、一方では電車や電気自動車など可変速制御の場合には、従来の誘導電動機IMに比べて効率の悪い動作点も存在する。また、インバータにとっては電流容量が増大し、また、損失も増大することからインバータが大形化する。システムの効率自体は、モータ側が支配的であるため、永久磁石同期電動機の適用によって総合効率は改善するが、一方で、インバータが大形化し、システムのデメリットとなり好ましくない。
これに対し、インバータによる電流によって、磁石磁束を可変にすることが可能な可変磁束モータがある。運転条件に合わせて、永久磁石の磁束量を可変にすることができるため、従来の磁石固定の永久磁石同期電動機に比べ、効率の向上が期待できる。また、磁石が不要な際は、磁束量を小さくすることで誘起電圧を極力抑制することも可能である。
ここで、永久磁石電動機PMを弱め磁束制御するときに、トルク精度を損なうことなく弱め磁束電流を低減し、インバータや電動機の損失,機器の電流定格値を下げるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−299297号公報
しかし、インバータからの磁化電流によって磁石量を可変に制御可能な可変磁束モータを駆動する可変磁束ドライブシステムおいては、磁束を変化させる磁化処理をどのタイミングで、どのように行うかが重要となる。トルク精度や磁化処理に伴う過渡トルクの発生、また、最高の効率や広い速度範囲に対応するための磁化処理のタイミングなどが必要となる。
本発明の目的は、可変磁石であることによるトルク精度の劣化の抑制や磁化処理に伴う過渡トルクの抑制を図り、さらには、システム全体の効率を向上し広い速度範囲に対応できる可変磁束ドライブシステムを提供することである。
本発明に係わる可変磁束ドライブシステムは、固定磁石と可変磁石とを用いた可変磁束モータを駆動するインバータを備えた可変磁束ドライブシステムにおいて、前記可変磁束モータのトルク指令を生成するトルク指令生成部と、前記インバータからの磁化電流によって磁束を可変させて前記可変磁石を磁化させる可変磁束制御部と、前記トルク指令生成部からのトルク指令に基づくDQ軸電流基準と前記可変磁束制御部からのDQ軸磁化電流指令とを切り替える切替器と、前記可変磁束制御部に対し所定の条件が成立したときに前記可変磁石を磁化させる要求を発生する磁化要求生成部と、前記切替器からのトルク指令に基づくDQ軸電流基準またはDQ軸磁化電流指令に基づいて前記インバータを制御するためのゲート指令を生成するゲート指令生成部とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、可変磁石であることによるトルク精度の劣化の抑制や磁化処理に伴う過渡トルクの抑制を図り、さらには、システム全体の効率を向上し広い速度範囲に対応できる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる可変磁束ドライブシステムのブロック構成図である。まず、ドライブシステムの可変磁束モータ4を含む主回路について説明する。インバータ1は直流電源からの直流電力を交流電力に変換し可変磁束モータ4に供給する。可変磁束モータ4に供給される電流Iu、Iwは電流検出器2で検出され、座標変換部7でD軸電流Id、Q軸電流Iqに変換され、電圧指令演算部10に入力される。電圧指令演算部10からのD軸電圧指令Vd*、Q軸電圧指令Vq*は座標変換器5に入力され、三相の電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に変換されてPWM回路6に入力される。PWM回路6はゲート指令生成部15からのゲート指令Gstによりインバータ1のスイッチング素子をオンオフ制御する。一方、可変磁束モータ4の回転角度は回転角度センサ18で検出され、疑似微分器8で微分してインバータ周波数ω1が求められ、電圧指令演算部10や磁束指令演算部12に入力される。
ここで、本発明の第1の実施の形態における可変磁束モータ4について説明する。図2は本発明の第1の実施の形態における可変磁束モータ4の簡易モデル図である。可変磁束モータ4のステータ側は既存の永久磁石同期電動機と同様であり、ロータ側には磁石として、磁性体の磁束密度が固定の固定磁石54と磁性体の磁束密度が可変の可変磁石53とを有している。永久磁石同期電動機の場合は前者の固定磁石のみであり、可変磁束モータの特徴は、可変磁石が備わっていることである。いま、磁石の磁化方向をD軸とすると、固定磁石54及び可変磁石53はD軸方向に配置されている。また、図2中のLdはD軸インダクタンス、LqはQ軸インダクタンスである。
次に、固定磁石54や可変磁石53について説明する。固定磁石(永久磁石)とは、外部から電流などを流さない状態において磁化した状態を維持するものである。なお、固定磁石と言えども、その磁束密度がいかなる条件においても厳密に変化しないわけではない。永久磁石同期電動機であっても、インバータ1などにより過大な電流を流すことで減磁したり、あるいは逆に着磁したりする。つまり、固定磁石は、その磁束量が変化しないものではなく、通常の定格運転中に近い状態では、その電流によって磁束密度が概ね変化しないものを指すと考えればよい。
一方、可変磁石53とは、通常の定格運転条件においても、インバータ1で流し得る電流によって、磁束密度が変化するものを指すと考えればよい。このような可変磁石53は、磁性体の材質や構造に依存して、ある程度の範囲で設計が可能である。
例えば、最近の永久磁石同期電動機の固定磁石(永久磁石)としては、残留磁束密度Brの高いネオジム(NdFeB)磁石を用いことが多い。残留磁束密度Br(1.2T程度)が高いため、大きなトルクを小さい体格にて出力可能であり、モータの高出力小型化が求められるHEVや電車には好適である。従来の永久磁石同期電動機の場合には、通常の電流によって減磁しないことが要件なので、ネオジム磁石(NdFeB)は非常に高い保持力Hc(約1000kA/m)を有している(残留磁束密度が大きく、保磁力の大きい磁石が永久磁石同期電動機用に選定されている)ことからも最適な磁性体である。
ここで、残留磁束密度が高く保持力Hcの小さいアルニコAlNiCo(Hc 60〜120kA/m)やFeCrCo磁石(Hc 約60kA/m)といった磁性体を可変磁石53とすることが考えられる。通常の電流量(インバータ1によって従来の永久磁石同期電動機を駆動する際に流す程度の電流量という意味)によって、ネオジムNdFeB磁石の磁束密度(磁束量)はほぼ一定であり、アルニコAlNiCo磁石などの可変磁石の磁束密度(磁束量)は可変することが可能となる。厳密に言えば、ネオジムは可逆領域で利用しているため、微小な範囲で磁束密度の変動はするが、インバータ電流がなくなれば、当初の値に戻るものである。一方、可変磁石53は、不可逆領域まで利用するため、インバータ電流がなくなっても、当初の値にならず磁石が可変した状態となる。図2において、可変磁石53であるアルニコの磁束量も、D軸方向の量が変動するだけで、Q軸方向は零(設計の都合なりで厳密に零ではないが)と考えてよい。
図3は、可変磁束モータ4の回転子51の構成図である。ネオジムNdFeBなどの高保磁力な固定磁石54とアルニコAlNiCoなどの低保磁力の可変磁石53とを組み合わせて回転子鉄心52に配置している。可変磁石53は、Q軸方向とその磁化方向が直交するためQ軸電流の影響を受けず、D軸電流によって磁化することができる。
図4は、固定磁石54と可変磁石53のBH特性(磁束密度−磁化特性)の特性図である。図4中のS54は固定磁石54のBH特性、S53は可変磁石53のBH特性、Br1は可変磁石53の残留磁束密度、Br2は固定磁石53の残留磁束密度である。また、H1satは可変磁石53の飽和値、Hc1は可変磁石53の保持力、Hc2は固定磁石53の保持力である。さらに、Xはインバータの出力電流による磁化領域である。
また、図5は、図4の第2象限(B>0、H<0)のみを定量的に正しい関係にて示す特性図である。ネオジムNdFeBとアルニコAlNiCoの場合、残留磁束密度Br1、Br2には有意差はないが、保磁力Hc1、Hc2については、ネオジムNdFeB磁石に対し、アルニコAlNiCo磁石で1/15〜1/8、FeCrCo磁石で1/15になる。 従来の永久磁石同期電動機において、インバータ1の出力電流による磁化領域Xは、ネオジムNdFeB磁石の保磁力より十分に小さく、その磁化特性の可逆範囲で利用されている。可変磁石53は、保磁力が上述のように小さいため、インバータ1の出力電流の範囲において、不可逆領域(電流を零にしても、電流印加前の磁束密度Bに戻らない)での利用が可能で磁束密度(磁束量)を可変にすることができる。
可変磁束モータ4の動特性の等価簡易モデルを(1)式に示す。このモデルは、D軸を磁石磁束方向、Q軸をD軸に直行する方向として与えたDQ軸回転座標系上のモデルである。
Figure 2008029148
ここで、R1:巻線抵抗、Ld:D軸インダクタンス、Lq:Q軸インダクタンス、ΦFIX:固定磁石の(鎖交)磁束量、ΦVAR:可変磁石の(鎖交)磁束量、ω1:インバータ周波数である。
次に、図1を参照しながら可変磁束モータ4の可変磁束ドライブシステムの制御ブロックについて説明する。可変磁束ドライブシステムの運転指令生成部16には運転指令Run*と保護判定部17で判断された保護信号PROTとが入力される。運転指令生成部16は、この運転指令Run*と保護判定部17で判断された保護信号PROTに基づいて運転状態フラグRunを生成出力する。
基本的には、運転指令Run*が入った場合(Run*=1)に、運転状態フラグRunを運転状態(Run=1)にし、運転指令が停止を指示した場合(Run*=0)では、運転状態フラグRunを停止状態(Run=0)にする。これは、保護判定部17が保護でなく正常と判断した場合(PROT=0)であって、保護判定部17が保護検知した場合(PROT=1)には、運転指令Run*が「1」であっても運転状態は運転停止(Run=0)にする。
また、運転指令生成部16は、トルクをかける許可するトルク許可フラグTrqONを生成する(TrqON=1でトルクをかけ、TrqON=0はトルクをかけない)。運転指令Run*が「0」から「1」になった場合には、まず磁化処理が行われる。この間、磁化処理を実施中では、磁化完了フラグFCCmpが「1」になっている。トルク許可フラグTrqONは、この磁化が完了してから、すなわち、磁化完了フラグFCCmpが「1」から「0」になって、初めて「1」になる(磁化が完了してからトルクを立ち上げる)。
逆に、運転指令Run*が「1」から「0」、すなわち、運転停止を指示した場合、まず、トルク許可フラグTrqON=0にして、トルク指令Tm*を零まで絞り、その後に、運転状態フラグRunを停止状態(Run=0)にする。この関係については後述する。
トルク指令生成部38は、トルク許可フラグTrqON=0の場合には、目標値を零にしたトルク指令Tm*を、TrqON=1の場合には所望なトルクになるようなトルク指令Tm*を生成する。その過渡状態については、トルク指令の変化率を制限してもよいし、1次系で応答させてもよく、アプリケーションに依存するものである。場合によっては、ステップ状に変化させるようにしてもよい。
ゲート指令生成部15では、運転状態フラグRunを入力し、インバータ1に内在するスイッチング素子へのゲート指令Gstを生成出力する。ゲート指令生成部15では、運転状態フラグRunが停止(=0)から運転(=1)に変わる場合、即時に、ゲートスタート(Gst=1)とし、運転状態フラグRunが運転(=1)から停止(=0)に変わる場合、所定時間が経過した後に、ゲートオフ(Gst=0)にするように作用するものである。この所定時間経過した後にゲートオフするのは、後述のように、可変磁石53を所定値に磁化してフリーランさせたいことによるものである。
磁束指令演算部12では、運転状態フラグRunとインバータ周波数ω1、すなわち、ロータ回転周波数ωR(第1の実施の形態では、回転角度センサ(レゾルバ)18付きの制御となっているため、回転センサ18で検出した角度を疑似微分器8で微分したロータ回転周波数をインバータ出力周波数として利用している)を入力として、磁束指令Φ*を例えば、次式のように生成出力する。
If ( Run==0 )
Φ* = Φmin
Else if ( | ω1 | < ωA )
Φ* = Φmax
Else
Φ* = Φmin …(2)
ここで、Φmin:可変磁束モータとして取り得る最小磁束量(>0)、Φmax:可変磁束モータとして取り得る最大磁束量、ωA:所定の回転周波数。
すなわち、運転状態フラグRunが停止の場合(Run=0)には、磁束指令Φ*を最小Φminにして、運転状態(Run=1)であって回転周波数ωRが所定値より低い場合には磁束指令Φ*を最大Φmaxとし、また、速度が所定値より高い場合には磁束指令Φ*を最小Φminとする。磁束量のΦmin, Φmaxの設定については後述する。
電流基準演算部11では、トルク指令Tm*と磁束指令Φ*とを入力として、D軸電流基準IdRとQ軸電流基準IqRを次式のように演算する。
IdR = 0 …(3)
IqR = Tm* / Φ* …(4)
ここで、(3)式及び(4)式は、可変磁束モータ4のリラクタンストルクを用いないことを想定した演算式(モータ極対数=1)である。D軸インダクタンスLdとQ軸インダクタンスLqとの差異ΔLがある突極形モータであっても、差異のない非突極形のモータであってもよい。
しかしながら、効率の最適化や所定電流での最大出力を考える場合、リラクタンストルクを考慮することが有効である。この場合、例えば、次式のように演算できる。
IqR = (−Φ* + √(Φ*2−4×(Ld−Lq)×K×Tm*)/{2×(Ld−Lq)×K} …(5)
IdR = K × IqR …(6)
ここで、KはD軸電流とQ軸電流の比率であり、前述の効率最適化や最大出力など用途によって変わる値である。最適化を図るためには関数となり、その引数としてはトルクや速度など様々である。一般には、簡易的な近似やテーブル化して用いる。
磁化要求生成部29は、磁束指令Φ*が変化した場合、あるいは運転状態フラグRunが変化した場合に、磁化要求フラグFCreqを「1」とし、それ以外では「0」とするものである。図6は磁化要求生成部29のブロック構成図である。
磁束指令Φ*の前回値は前回値保持部31で保持される。前回値保持部31の出力は、前回に記憶した磁束指令Φ*であり、今回の磁束指令値Φ*とともに変化判定部30に入力される。変化判定部30では入力2つを比較し磁束指令値Φ*に変化があった場合に「1」を出力し、変化がない場合には「0」を出力する。すなわち、磁束指令Φ*が変化した場合にのみ「1」とする。これと同様な回路を磁束指令Φ*に代わり、運転状態フラグRunについても有し、2つの変化判定部の30、34の出力が論理和回路32に入力され、その論理和が磁化要求フラグFCreqとして出力される。
すなわち、磁化要求フラグFCreqは、磁束指令Φ*が変化した場合、あるいは運転状態フラグRunが変化した場合に「1」(磁化要求あり)となり、それ以外では「0」(磁化要求なし)となる。なお、運転状態フラグRunが変化する状態とは、インバータが始動するとき、停止するとき、保護で停止するときなどが考えられる。
次に、可変磁束制御部13は、インバータ1からの磁化電流によって磁束を可変させて可変磁石を磁化させるものである。図7は、可変磁束制御部13のブロック構成図である。可変磁束制御部13では、磁束指令演算部12の出力である磁束指令Φ*を入力し、D軸磁化電流指令Idm*とQ軸磁化電流指令Iqm*を演算し出力する。この生成の考え方については以下である。
可変磁石を磁化するためには、図4の可変磁石のBH特性に則り、所定の磁化電流指令Im*を求めればよい。特に、磁化電流指令Im*の大きさは、図4中のH1sat以上、すなわち、可変磁石53の磁化飽和領域となるように設定する。
よって、磁性体の飽和域まで磁化電流を流すため、磁束指令演算部12で設定すべき磁束量ΦminやΦmaxは、可変磁石の磁束(磁束密度)がプラス、ないしは、マイナスの最大(飽和)値に、固定磁石分を加算した値として設定するものである。すなわち、可変磁束の磁束量の正の最大値をΦVARmax(負の最大値の絶対値は正の最大値と等しいとする)、固定磁石の磁束量をΦFIXとすれば、次式で表すことができる。
Φmin = ΦFIX −ΦVARmax …(7)
Φmax = ΦFIX + ΦVARmax …(8)
磁束指令Φ*を入力とし、対応する磁化電流を記憶した磁化電流テーブル27によって、磁束指令Φ*を得るための磁化電流指令Im*を出力する。基本的に、磁石の磁化方向をD軸としている(D軸をそのように定義している)ので、磁化電流指令Im*は、D軸への磁化電流指令Idm*に与えるようにすればよい。
しかしながら、永久磁石同期電動機は、少なからず、D軸インダクタンスLdとQ軸インダクタンスLqに差異があり、リラクタンストルクが発生(D軸電流を流すことでトルクが発生すること)する。特に、広い速度範囲を実現しているPRMモータ(永久磁石リラクタンスモータ)の場合は顕著である。磁化のためには、定格電流と同等、ないしは、それ以上の電流値が必要であるため、磁化処理の際には大きなリラクタンストルクが瞬時的に発生することが想定される。理想的には、突極性のないモータであっても、前述の過大な磁化電流を流すことにより、部分的磁気飽和が生じることが当然に想定される。これにより、磁化するための磁化電流を流すことで、過渡的なトルクショックが生じ、機械振動を誘発したり、自動車や電車の場合には、乗り心地にも悪影響を与え、好ましくない。
これを回避するため、D軸磁化電流のみならず、Q軸磁化電流(磁化には影響をしないがトルク低減に寄与する)を流すことで、瞬時的なリラクタンストルクの発生を抑制することが可能である。一般に、永久磁石同期電動機トルクは次式で示される。
Tm = Φ×Iq + (Ld−Lq)×Id×Iq …(9)
ここで、D軸磁化電流Idmを流すとしたとき、トルクが生じないような条件は、次式に求めることができる。
Iq=Tm/(Φ+(Ld−Lq)×Id) …(10)
よって、磁化電流指令に置き代えれば、次式を得る。
Iqm*=Tm/(Φ*+(Ld-Lq)×Idm*) …(11)
ここで、磁束指令Φ*を磁束変化前に設定すべきか、磁束変化後に設定すべきか、あるいは、その中間に設定すべきか、という問題がある。可変磁束の磁化は複雑であり、一概に限定することはできない。むしろ、実機にあわせて調整することが必要であり、(11)式の磁束指令を実機測定に基づくテーブル化、ないしは、D軸磁化電流指令Idm*, Q軸磁化電流指令Iqm*をトルク不連続が低減されるような実機検証で求めた関数ないしはテーブルとして有することで実現できる。
図7では、Q軸磁化電流指令演算部36にて、磁化電流指令Im*(すなわちD軸磁化電流指令Idm*)を入力として、Q軸磁化電流指令を生成し出力する。切替器26にて、磁化完了フラグFCCmp=1(すなわち磁化処理中)の間のみ、Q軸磁化電流指令Iqm*として値を出力し、磁化完了フラグFCCmp =0(すなわち磁化処理完了)の間は零を与える。Q軸磁化電流指令演算部36では、上記(11)式や、あるいは、前述のとおり、実機に基づき過渡トルク低減のための実測したQ軸電流指令を与えるテーブルや関数をもってもよい。
一方、図7の中で、磁化要求フラグFCreqは、磁束を切り替えたいという要求の際に、少なくとも一瞬、切り替え要求状態(=1)になる。磁束を確実に可変するために、磁化要求フラグFCreqを最小オンパルス器28へと入力する。この出力である磁化完了フラグFCCmp(=1:磁化中、=0:磁化完了)は、一旦オン(=1)が入力された場合、所定の時間の間はオフ(=0)にならない機能を有する。もし仮に、所定時間を越えて磁化要求フラグがオン(=1)を維持した場合には、磁化要求フラグFcreqがオフとなると同時に、磁化完了フラグFCCmpも即時オフとなる。このように所定時間だけ磁化処理を継続することで、確実な磁化を行うことができる。
図1の切替器37には、磁化完了フラグFCCmpが入力され、磁化中(磁化完了フラグFCCmp=1)の場合、可変磁束制御部13の出力であるDQ軸の磁化電流指令Idm*, Iqm*を、磁化完了(磁化完了フラグFCCmp=0)の場合、電流基準演算部11の出力であるDQ軸電流基準IdR,IqRを、DQ軸電流指令Id*, Iq*として出力する。
以上により生成されたDQ軸電流指令Id*、Iq*に基づき、当該指令に一致するように電流が流れるように、電圧指令演算部10はDQ軸電圧指令Vd*、Vq*を生成する。そして、座標変換部5で3相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に変換し、PWM回路6を介してゲート信号の生成などが行われる。
図8は、第1の実施の形態の可変磁束ドライブシステムの動作の一例を示すタイミングチャートである。図8では、保護信号PROTは成立していない状況を示している。時点t1で運転指令Rum*が入力されると、運転状態フラグRunが立ち上がり、磁束指令Φ*もΦ0からΦmaxに変化する。この運転状態フラグRunの変化及び磁束指令Φ*の変化にて、磁化要求フラグFCreqが立ち、それを所定時間(時点t1〜時点t2の間)だけオン状態を確保した磁化完了フラグFCCmpが立つ。磁化完了フラグFCcmpが磁化中を指すFCCmp=1の期間だけ、D軸磁化電流指令Idm*が値を持っている。
トルク許可フラグTrqONは磁化完了フラグFCcmpが「1」から「0」となった時点t2で「1」となり、時点t2からトルク指令Tm*が立ち上がる。つまり、トルク指令Tm*は、起動直後に磁化が完了するまで(磁化完了フラグFCCmp=0となるまで)立ち上がらない。この場合、トルク指令Tm*は、時点t2から時点t3の間で立ち上がる。
そして、時点t4で磁束指令Φ*がΦmaxからΦminに変化すると、磁化要求フラグFCreqが立ち、それを所定時間(時点t4〜時点t5の間)だけオン状態を確保した磁化完了フラグFCCmpが立つ。磁化完了フラグFCcmpが磁化中を指すFCCmp=1の期間だけ、D軸磁化電流指令Idm*及びQ軸磁化電流指令I1qm*が値を持っている。
次に、時点t6で運転指令Run*が入力されなくなると、トルク許可フラグTrqONが「1」から「0」となり、トルク指令Tm*は時点t6から時点t7の間で立ち下がる。トルク指令Tm*が零となった時点t7で運転状態フラグRunが「1」から「0」となり、磁束指令Φ*はΦ0からΦmaxに変化する。また、磁化要求フラグFCreqが立ち、それを所定時間(時点7〜時点t8の間)だけオン状態を確保した磁化完了フラグFCCmpが立つ。磁化完了フラグFCcmpが磁化中を指すFCCmp=1の期間だけ、D軸磁化電流指令Idm*が値を持っている。
このため、(11)式から、磁化処理A(時点t1〜時点t2)、磁化処理C(時点t7〜時点t8)においては、Q軸磁化電流指令=0であり、磁化処理B(時点t4〜時点t5)においてのみQ軸磁化電流指令が値を有している。
ここで、可変磁束モータ4では、磁化において過大な電流を流すことから、過渡トルクが少なからず発生する。このトルクショックにより機械振動を誘発する可能性があり、また、過大な電流を不用意に流すことは、損失や素子のストレスの面でも極力低減したいという要請がある。そこで、第1の実施の形態は、特定の条件にて磁化処理を行うようにしているので、トルクショックや損失の発生やインバータ1を構成するスイッチング素子のストレスを必要最小限に抑制することが可能となる。
また、インバータ1を始動する直後に磁化処理を行っているので、可変磁石53の磁化状態をトルクをかけ始める前に確定することができる。例えば、電源投入直後には、可変磁束モータ4の磁化状態は不明であり、フリーランさせた状態においては、なんらかの要因にて磁化状態が変化しているとも限らない。例えば、インバータ1の直流電圧が低下して、総磁束により発生する誘起電圧がこれを超過した場合、インバータ1を停止した状態においても、可変磁石モータ4からインバータ1へと電流が流れるが、これが要因で、磁化状態が変化することも想定される。また、フリーラン中に誘起電圧を最小限に抑えるべく、インバータ1の停止前には、通常の運転時には用いない磁束量に設定されていることもある。この場合には、インバータ1を始動する際には、運転上必要な磁束量に磁化することが必須である。
すなわち、インバータ1の始動前における磁化状態(磁束量)が不明確であるので、第1の実施の形態では、これを確定して運転を開始する。その結果、運転状態において、総磁石量が小さすぎてトルクが不足したり、制御器が想定した磁束と異なる値に実磁束が設定されているなどがなく、トルク精度を確実に確保できる。
また、第1の実施の形態では、インバータ始動直後に磁化が完了した状態にて、トルク指令を立ち上げている。前述のように、D軸磁化電流とともにQ軸磁化電流を流すことで、過渡トルクの低減を行う効果があるが、厳密に過渡トルクの発生を抑えるには、いくつのQ軸磁化電流を流せばよいかは、厳密には決めることはできない。一方、トルク指令Tm*が零、すなわち、Q軸磁化電流Iq=0である場合に限り、トルクショックの要因たるリラクタンストルクは発生しないため、起動をスムーズに行うことが可能である。すなわち、インバータ1の始動直後、磁化を完了した後に、トルク指令を立ち上げることで、トルクショックのないスムーズな起動を行うことが可能となる。
また、第1の実施の形態では、運転指令が停止した後、すなわち、トルクをかけることが不要となった後に磁化処理が行われ、磁化が完了したことをもって、インバータ1のゲートを停止している。
電車など、高速走行中は損失低減からインバータ1を停止したフリーラン状態、すなわち惰行状態が存在するが、このときに、可変磁束が大きいと誘起電圧も大きく発生する。この誘起電圧がインバータ直流電圧、すなわち架線電圧を上回った場合には、インバータを停止した状態でも、可変磁束モータ4からインバータ1へと電流が流れる。これは、可変磁束モータ4からの運動エネルギーが吸収されることであり、車両にブレーキ力がかかるため好ましくない。また、さらに速度が高く磁束量も高い場合、誘起電圧がインバータ1やそれより電源側の耐圧を超え機器の破壊に至る可能性もある。よって、安全上は、極力、総磁束を零にしてフリーランさせることが望ましい。
以上のように、インバータ1の停止直前に磁束を下げることで、フリーランにおいて誘起電圧が発生することを抑制でき、ブレーキ力がかかる問題や機器の過電圧による故障の可能性を回避することが可能となる。
特に、可変磁束と固定磁束とを使って表せる磁束のうち、その絶対値がより零に近いものを選択し磁化処理を行っている。第1の実施の形態では、3つの磁束レベルを制御するようになっており、このうち、もっとも絶対値の小さいほうを選択している。これにより、誘起電圧の発生抑制を顕著とすることが可能である。1つの可変磁石53と固定磁石54とを用いた2レベルの磁束レベルを持つ場合や、あるいは、複数の可変磁石53を組み合わせた4レベル以上の磁束レベルを有する場合でも、同様に考えることが可能である。
また、可変磁石53を飽和域まで使わないようにすれば、すなわち、可変磁石53の正の最大と負の最大との間の任意な中間的な値を利用できる。これによって、極力、総磁束が零になるようにすることも可能である。
また、例えば、可変磁石53の総磁束と固定磁石54の総磁束とが等しくなるように、モータ構造設計することにより、可変磁石53の飽和域での利用という点を代えずに、総磁束を零にすることも可能である。
また、第1の実施の形態では、インバータ始動時及びインバータ停止時に磁化を行っているが、このとき、トルク指令を零に設定している。これは、前述のように、磁化処理においては過大な電流を流すことから、過渡トルクの発生が避けられないためである。突極性のあるリラクタンスモータでは、定常的にQ軸電流を流すため、過大な磁化電流により過渡トルクの発生が大きくなって機械振動を誘発したり、電車やHEV応用では、乗り心地を劣化する。そこで、リラクタンスモータであっても、零トルク状態においては、Q軸電流が零であるため、磁化のためにD軸方向に過大な電流を流したとしても、過渡トルクの発生を極力抑えることができる。
また、トルクがかかった状態においても、磁化処理の際に流す電流によって、過渡トルクを低減できる。すなわち、元来、磁化処理にはD軸方向の電流を流せばよい。しかしながら、突極機では、Q軸電流が流れている場合、D軸電流によってトルクが変動する。通常、突極機ではない場合でも、磁化処理では定格以上の過大な電流を流すことがあるため、瞬時的に磁気飽和が生じて、突極機と同様な過渡トルクの発生の可能性がある。これを抑制するため、D軸電流とともに、Q軸電流も磁化電流として流すようにする。Q軸電流によって、過渡トルクを抑制できるのは、(11)式からも明らかである。
このように、磁化処理に伴う過渡トルクを抑制するため、D軸電流とともにQ軸電流を流すことで、極力、過渡トルクを低減し、機械振動の誘発や電車やHEV応用では、乗り心地の劣化を抑えることができる。
なお、磁化処理により、磁束が急変することや過大な磁化電流で、モータの等価パラメータが大きく変動する可能性から、(11)式のように事前に算出することは困難であることが想定される。そこで、実機に基づきQ軸電流を決定するべきである。すなわち、磁化処理に必要なD軸電流を決定し、過渡トルクが抑制できるように、Q軸電流を決定していけばよい。これをデータとして、テーブル等に格納して実施することが可能である。
図9は、第1の実施の形態の可変磁束ドライブシステムの動作の他の一例を示すタイミングチャートである。図9では、時点taで保護信号PROTが成立した場合を示している。すなわち、運転指令Run*が停止を指示した場合ではなく、保護信号PROTによって、インバータ停止に至る場合のタイミングチャートである。
保護信号PROTが保護動作を検知した時点taにて、保護信号PROTが「0」から「1」に変化する。この状態にて、運転指令Run*、運転状態フラグRun及びトルク許可フラグTrqONが一斉にオフする。ゲート指令Gstはオン状態を維持していて磁化処理を行っている。つまり、時点ta〜時点tbまでの間は磁化処理を行う。これにより、磁束の絶対値を極力零に近づけるような磁束指令Φ*が与えられている。
以上のように、保護信号PROTが「0」から「1」に変化する保護検知とともに、即座にインバータ1を停止するものではなく、総磁束を低減してからゲートオフする。これにより、保護要因が何であるか不明な状態にて、ゲートオフ中の誘起電圧による2次故障の可能性を低減できる。なお、すべての保護に対して、この磁化処理後にノッチオフする必要はない。
(第2実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施の形態に係わる可変磁束ドライブシステムのブロック構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、磁化要求生成部29は可変磁束制御部13に出力する磁化要求フラグFCReqに代えてトルク指令生成部38に出力する前段磁化要求フラグFCReq0を生成し、トルク指令生成部38はトルク許可フラグTrqONに加え、前段磁化要求フラグFCReq0及び磁化完了フラグFCCmpを入力し、トルク指令Tm*に加え、磁化要求フラグFCReqを生成するようにしたものである。つまり、トルク指令生成部38は可変磁石を磁化させる際にトルクを低減するトルク指令Tm*を作成するとともに、トルクを低減した後に磁化要求フラグFCReqを可変磁束制御部13に出力するようにしたものである。これにより、可変磁束制御部13は、トルクを低減した後に可変磁石を磁化するように動作する。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
図10において、図1に示す第1の実施の形態では、磁化要求生成部29の出力信号は磁化要求フラグFCReqであったが、第2の実施の形態では、前段磁化要求フラグFCReq0を出力する。この前段磁化要求フラグFCReq0は、トルク許可信号TrqONと磁化完了フラグFCCmpとともにトルク指令生成部38に入力される。
図11は第2の実施の形態におけるトルク指令生成部38のブロック構成図である。前段磁化要求フラグFCReq0が「1」の状態、すなわち磁束可変の要求があるとRSフリップフロップ44がセットされる。RSフリップフロップ44の出力は論理和回路46を介して切替器39に入力される。論理和回路46には磁化完了フラグFCCmpも入力されている。
切替器39は論理和回路46の出力が「1」であるときに、トルク基準TmRから所定の磁化用トルク基準TmMagに出力を切り替えるものである。また、切替器40はトルク許可フラグTrqONにより切り替えを行うものであり、トルク許可フラグTrqONが「1」のときは切替器39の出力を選択し、「0」であるときは「0」を選択する。
従って、論理和回路46の出力が「1」であり、切替器39により所定の磁化用トルク基準TmMagが選択されている間に、トルク許可フラグTrqONがトルク許可状態(=1)であると、切替器40より磁化用トルク基準TmMagが選択され出力される。この磁化用トルク基準TmMagは、変化率リミット41によって、その出力変化の傾きが制限され、徐々にトルク指令Tm*が変化する。比較器42では、トルク指令Tm*と磁化用トルク指令TmMagとが等しいか否かを判断し、等しい場合に「1」を出力し、等しくない場合には「0」を出力する。比較器42の出力とRSフリップフロップ44の出力とが論理積回路43に入力され、論理積をとって磁化要求フラグFCReqとして出力される。
すなわち、変化率リミッタ41によって、徐々に変化するトルク指令Tm*が磁化用トルク指令TmMagに等しくなった場合に、磁化要求フラグFCReqが磁化要求(=1)になる。一方、磁化要求フラグFCReqは遅延回路45に入力され、制御周期1回分の遅延した出力がなされる。この遅延回路45の出力がRSフリップフロップ44のリセットに入力される。すなわち、磁化要求フラグFCReqが、制御周期で一周期分立ち(=1)、その後にリセット(=0)される。
トルク指令生成部38からの磁化要求フラグFCReqは、可変磁束制御部13に入力され、第1の実施の形態と同様な磁化処理が行われる。可変磁束制御部13からの磁化完了フラグFCCmpは、図11中のトルク指令生成部38の論理和回路46に入力され、可変磁束制御部13が磁化中(磁化完了フラグFCCmp=1)の状態である限り、トルク指令Tm*を磁化用トルク指令TmMagに固定する。磁化が完了(FCCmp=0)とともに、トルク指令Tm*はトルク基準TmRに向かって、変化率リミッタ41の作用により徐々に増加していく。
図12は、第2の実施の形態の可変磁束ドライブシステムの動作の一例を示すタイミングチャートである。図12では、磁化用トルク指令TmMag=0とした場合を示している。
例えば、磁化処理B(t4〜t5)の動作について、前段磁化要求フラグFCReq0によって、時点t4’から時点t4の間でトルク指令Tm*が零に向かって絞られる。零になった時点t4にて、磁化要求フラグFCReqが立ち磁化処理が行われる。磁化完了まで(FCCmp=1から0になるまで)、トルク指令Tm*は磁化用トルク指令=0に維持されている。
このように、磁化処理を行う際には、トルク指令Tm*を磁化用トルク指令TmMagまで絞って磁化するように動作するので、リラクタンスモータであっても、零トルク状態においては、Q軸電流が零であるため、磁化のためにD軸方向に過大な電流を流したとしても、過渡トルクの発生を極力抑えることができる。
(第3の実施の形態)
図13は、本発明の第3の実施の形態に係わる可変磁束ドライブシステムのブロック構成図である。この第3の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、変調率演算部61及び弱め界磁制御部62を追加して設け、弱め界磁制御部62の出力信号を磁化要求生成部29に出力するようにしたものである。これにより、磁化要求生成部29は、インバータ1の変調率に応じて磁化要求を発する。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
図13において、インバータ1の直流側電圧Vdcは直流電圧検出器60によって検出され変調率演算部61に入力される。変調率演算部61には、直流電圧Vdcとともに、電圧指令演算部10の出力であるDQ軸電圧指令Vd*、Vq*も入力される。変調率演算部61では、DQ軸電圧指令Vd*、Vq*に基づき、DQ軸座標系上での電圧指令の大きさV1*を次式のように演算する。
Figure 2008029148
また、変調率演算部61では、直流電圧Vdcに基づきインバータ1が出力できる最大のDQ軸電圧V1maxを次式により演算する。なお、この最大出力となるのは、1パルスモードのときである。
Figure 2008029148
変調率ALは、次式で表される。変調率演算部61からはこの変調率ALが出力される。なお、変調率ALは0以上1以下の値である。
Figure 2008029148
弱め界磁制御部62は、変調率演算部61からの変調率ALを入力し、変調率ALが所定の最大変調率ALmaxを超過した場合、ALがALmaxになるようにDQ軸電流を補正制御する。これが弱め界磁制御である。所定の最大変調率とは、任意の値であるが、1を超えることはない。弱め界磁制御の一例として、DQ軸電流への補正量If*を次式のように演算する。
Figure 2008029148
ただし、s:ラプラス演算子、Kp:比例ゲイン、Ki:積分ゲインであり、If*は0以上の範囲に限定される。上式では、変調率ALと最大変調率ALmaxが一致するように、弱め界磁用の補償電流指令If*を制御するものである。
弱め界磁用の補償電流指令If*は、最終的にはDQ軸の電流基準IdR、IqRを電流基準演算部11に作用して補償する。すなわち、電流基準演算部11の演算式(5)式及び(6)式の最終段に減算して補正すればよい。
実際には、補償電流指令If*を単純にD軸電流基準IdRやQ軸電流基準IqRに減算補正するのではなく、運転状況に応じてDQ軸への比率を決めて補正することが必要である。
以上により、弱め界磁制御が可能となる。弱め界磁制御により、弱め界磁用の補償電流指令If*が0以上の値を持ち(弱め界磁しないときは0であり、弱め界磁中にはプラス値になる)、DQ軸電流基準を補償するものである。
この弱め界磁用の補償電流指令If*は、磁化要求生成部29に入力される。磁化要求生成部29は、インバータの変調率が最大となった領域にて磁化要求フラグFCReq(=1)を発生する。図14は第3の実施の形態における磁化要求生成部29の一例を示すブロック構成図である。図6に示した第1の実施の形態における磁化要求生成部29に対し、弱め界磁用の補償電流指令If*を所定の設定値IfMagと比較する比較器63と、比較器63の比較結果の変化を判定する変化判定部64とを追加して設けたものである。図6と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
弱め界磁用の補償電流指令If*は、比較器63にて所定の設定値IfMagと比較される。補償電流指令If*は弱め界磁領域にてプラスに増加するため、設定値IfMagはプラスにセットする。補償電流指令If*が増加して設定値IfMagより大きくなった場合には「1」を出力し、小さい場合には「0」を出力する。変化判定部64では、比較器63の出力が変化した時点を検知して論理和回路32へ出力する論理和回路32の出力は、磁化要求フラグFCReqであるため、磁化処理がなされる。すなわち、弱め界磁領域において、弱め界磁の深さが大きくなった時点で磁化処理を実施することになる。
この磁化処理において、低速側では大きな磁束指令Φ*を、高速側では小さい磁束指令Φ*を与えるように、例えば、磁束指令演算部12を前述の(2)式のように設定しておけばよい。すなわち、速度条件に応じて、磁束指令Φ*を切り替えるようにしておけばよい。
図15は、第3の実施の形態における可変磁束モータ4の加速時の応答波形を示す特性図である。図15では、最大変調率ALmaxの上限を1にセットしてあるものを示している。いま、時点t0から可変磁束モータ4の速度FRが増加したとする。可変磁束モータ4の速度FRの増加とともに変調率ALも増加する。そして、変調率ALが「1」になった時点t1で弱め界磁が始まる、すなわち、弱め界磁用の補償電流指令If*が徐々に零から正の値に増加していく。弱め界磁用の補償電流指令If*がIfMag1になった時点t2にて磁化処理Aを行い、磁石磁束がΦ1からΦ2へ低下する。このとき、磁石磁束は低下するものの依然として弱め界磁域であり、変調率は1を維持している。
再度、弱め界磁用の補償電流指令If*が時点t3でIfMag2に到達すると、再度、磁化処理Bが行われ、磁石磁束がΦ2からΦ3へと低下する。この場合、磁束の低下が大きく、一旦、変調率ALは「1」未満となり、弱め界磁域から外れている。
ここで、弱め界磁は広い速度制御を確保するために必須な機能であるが、永久磁石同期電動機の場合には、弱め界磁のために大きな電流を流す必要があり、力率や効率の低下が生じて好ましくない。そこで、弱め界磁の深さを表す弱め界磁用の補償電流指令If*の大きさに応じて、磁束可変を行うことで、過大な弱め界磁のための電流が流れることを抑制し、モータの力率や効率の低下を抑制することができる。この結果、損失を低減して冷却器をコンパクト化できるなどの効果がある。また、力率の低下が軽減され電流容量の小さいスイッチング素子の利用が可能となる。
また、高速回転となり弱め界磁が進む場合に、磁石磁束を小さくするために、より高速まで回転させることが可能となり広い速度範囲での動作を可能にするものである。
さらに、第3の実施の形態では、最大変調率ALmaxの上限を「1」としているが、これは1パルスモードのことである。1パルスモードは、インバータで出力可能な最大電圧を出力するものである。また、出力1周期に正負パルスを一つずつ含むもので、一周期あたりのスイッチング回数も最低となる。
すなわち、1パルスモードでは、スイッチング素子のスイッチング損失を低減できるため、出力電圧のアップとともに損失低減による装置の小型化にも寄与するものである。磁化処理Bのように、磁束変化後に変調率が「1」未満となるものも、可変磁束ドライブシステムとしては何ら問題ないが、一方、磁化処理Aのように、磁化後の磁石磁束値においても、1パルスモードを維持できる切り替え条件であれば、不要なスイッチング損失を増加させることなく、冷却器への負担を軽減することが可能である。
さらに、磁束可変となる弱め界磁用の補償電流指令If*の設定について、磁石の磁化が勝手に行われるよりも前に磁化処理を施すように設定することが望ましい。弱め界磁用の補償電流指令If*への切り替え設定値IfMagを大きな値にセットした場合、弱め界磁制御によって増加する電流により勝手に磁化が行われ、磁石磁束が変化することが想定される。この状態でも、広い速度範囲を実現するなど可変磁石を導入した第3の実施の形態により達成できるが、HEVや電車への搭載を考えた場合、切り替えに伴うトルクショックは低減することが望ましい。磁束可変の際は急激に磁束が変動するため、トルクショックが生じるものであり、故意に磁石を可変するようにした方が、磁化処理の期間のみ、完全追従型の電流制御に切り替えるなどトルクショックの抑制施策が容易に実現できる。
なお、図14においては、弱め界磁用の補償電流指令If*に対し、1つの切り替えポイントしか設定できないものを示しているが、2つ以上の切り替えポイントを設けるようにしてもよい。図15では2つの切り替えポイント(IfMag1、IfMag2)がある場合を示している。
図16は、第3の実施の形態における可変磁束モータ4の減速時の応答波形を示す特性図である。図15の場合と同様に、例えば、磁化処理Aは弱め界磁用の補償電流指令If*が所定値IfMag1を下回った時点t13で磁化要求を発生させる。磁化処理Bについては、弱め界磁領域外にて磁化処理を要求しているため、弱め界磁用の補償電流If*に基づく磁化要求では実現できない。
そこで、磁化要求生成部29を図14の構成に代えて、図17に示すように構成する。図17は第3の実施の形態における磁化要求生成部29の他の一例を示すブロック構成図である。すなわち、磁化要求生成部29は、弱め界磁用補償電流指令値If*に代えて変調率ALを入力し、比較器63で変調率ALと所定の設定値ALMagとを比較し、その比較結果の変化を変化判定部64で判定して磁化要求を発する。これにより、磁化処理Bを実現することができる。
また、図18は、第3の実施の形態における磁化要求生成部29のさらに他の一例を示すブロック構成図である。この一例は図17に示した一例に対し、図17の変調率ALに代えて、可変磁束モータ4のロータ回転速度ωRを入力するようにしたものである。ロータ回転速度ωRは回転センサ18で検出された回転角度を微分して得られる。
磁化要求生成部29は、可変磁束モータ4のロータ回転速度ωRを入力し、比較器63でロータ回転速度ωRと所定の設定値ωRMagとを比較し、その比較結果の変化を変化判定部64で判定して磁化要求を発する。すなわち、図18のように、ロータ回転速度ωRに基づき、低速では高い磁束とし高速では小さい磁束とするように、磁束を切り替えることでも広い速度範囲を達成することが可能である。
本発明の第1の実施の形態に係わる可変磁束ドライブシステムのブロック構成図。 本発明の第1の実施の形態における可変磁束モータの簡易モデル図。 本発明の第1の実施の形態における可変磁束モータの回転子の構成図。 本発明の第1の実施の形態における可変磁束モータの固定磁石と可変磁石のBH特性(磁束密度−磁化特性)の特性図。 図4の第2象限(B>0、H<0)のみを定量的に正しい関係にて示す特性図。 本発明の第1の実施の形態における磁化要求生成部のブロック構成図。 本発明の第1の実施の形態における可変磁束制御部のブロック構成図。 本発明の第1の実施の形態の可変磁束ドライブシステムの動作の一例を示すタイミングチャート。 本発明の第1の実施の形態の可変磁束ドライブシステムの動作の他の一例を示すタイミングチャート。 本発明の第2の実施の形態に係わる可変磁束ドライブシステムのブロック構成図。 本発明の第2の実施の形態におけるトルク指令生成部のブロック構成図。 本発明の第2の実施の形態の可変磁束ドライブシステムの動作の一例を示すタイミングチャート。 本発明の第3の実施の形態に係わる可変磁束ドライブシステムのブロック構成図。 本発明の第3の実施の形態における磁化要求生成部の一例を示すブロック構成図。 本発明の第3の実施の形態における可変磁束モータの加速時の応答波形を示す特性図。 本発明の第3の実施の形態における可変磁束モータの減速時の応答波形を示す特性図。 本発明の第3の実施の形態における磁化要求生成部の他の一例を示すブロック構成図。 本発明の第3の実施の形態における磁化要求生成部のさらに他の一例を示すブロック構成図。
符号の説明
1…インバータ、2…電流検出器、3…直流電源、4…可変磁束モータ、5…座標変換部、6…PWM回路、7…座標変換部、8…擬似微分器、10…電圧指令演算部、11…電流基準演算部、12…磁束指令演算部、13…可変磁束制御部、14…加算器、15…ゲート指令生成部、16…運転指令生成部、17…保護判定部、18…回転角度センサ、19…減算器、20…PI制御器、21…磁化電流基準演算部、22…加算器、23…切替器、24…磁化完了判定部、25…RSフリップフロップ、26…切替器、27…磁化電流テーブル、28…最小オンパルス、29…磁束可変要求生成部、30…変化判定部、31…前回値の保持部、32…論理和回路、33…前回値の保持部、34…変化判定部、35…前回値の保持部、36…Q軸磁化電流指令演算部、37…切替器、38…トルク指令生成部、39…切替器、40…切替器、41…変化率リミット、42…比較器、43…論理積回路、44…RSフリップフロップ、45…遅延回路、46…論理和回路、51…回転子、52…回転子鉄心、53…可変磁石、54…固定磁石、60…直流電圧検出器、61…変調率演算部、62…弱め界磁制御部、63…比較器、64…変化判定部

Claims (24)

  1. 固定磁石と可変磁石とを有した可変磁束モータを駆動するインバータを備えた可変磁束ドライブシステムにおいて、前記可変磁束モータのトルク指令を生成するトルク指令生成部と、前記インバータからの磁化電流によって磁束を可変させて前記可変磁石を磁化させる可変磁束制御部と、前記トルク指令生成部からのトルク指令に基づくDQ軸電流基準と前記可変磁束制御部からのDQ軸磁化電流指令とを切り替える切替器と、前記可変磁束制御部に対し所定の条件が成立したときに前記可変磁石を磁化させる要求を発生する磁化要求生成部と、前記切替器からのトルク指令に基づくDQ軸電流基準またはDQ軸磁化電流指令に基づいて前記インバータを制御するためのゲート指令を生成するゲート指令生成部とを備えたことを特徴とする可変磁束ドライブシステム。
  2. 前記磁化要求生成部は、前記インバータを始動した直後に磁化要求を発することを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  3. 前記切替器は、前記可変磁束制御部により前記可変磁石の磁化が完了した後に、前記トルク指令生成部からのトルク指令に基づくDQ軸電流基準に切り替え、トルクを立ち上げることを特徴とする請求項2記載の可変磁束ドライブシステム。
  4. 前記磁化要求生成部は、前記インバータを停止する直前に磁化要求を発することを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  5. 前記磁化要求生成部は、前記インバータの保護動作の際に磁化要求を発することを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  6. 前記ゲート指令生成部は、前記可変磁束制御部により前記可変磁石の磁化が完了した後に、ゲート指令の出力を停止することを特徴とする請求項4または請求項5記載の可変磁束ドライブシステム。
  7. 前記可変磁束制御部は、可変磁束モータの回転数に応じて前記可変磁石を磁化することを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  8. 前記可変磁束制御部は、可変磁束モータの回転数が低速回転であるときは、可変磁石と固定磁石との磁束の合計が最大となるように可変磁石を磁化することを特徴とする請求項7記載の可変磁束ドライブシステム。
  9. 前記可変磁束制御部は、可変磁束モータの回転数が高速回転であるときは、可変磁石と固定磁石との磁束の合計が最大より小さく、かつ、零より大きい値になるように可変磁石を磁化することを特徴とする請求項7記載の可変磁束ドライブシステム。
  10. 前記磁化要求生成部は、前記インバータの変調率に応じて磁化要求を発することを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  11. 前記磁化要求生成部は、前記インバータの変調率が最大となった領域にて磁化要求を発生することを特徴とする請求項10記載の可変磁束ドライブシステム。
  12. 前記磁化要求生成部は、前記インバータの変調率が最大となった領域にて磁束を可変した後も、同様に変調率が最大の領域となるような条件にて、磁化要求を発生することを特徴とする請求項11記載の可変磁束ドライブシステム。
  13. 前記変調率が最大の条件は、弱め界磁制御を実施していることであることを特徴とする請求項11または請求項12記載の可変磁束ドライブシステム。
  14. 前記磁化要求生成部は、前記弱め界磁制御による電流増加により、前記可変磁石の磁束が変化する以前に磁化要求を発することを特徴とする請求項13記載の可変磁束ドライブシステム。
  15. 前記変調率が最大の条件は、1パルスモードであることを特徴とする請求項11または請求項12記載の可変磁束ドライブシステム。
  16. 前記磁化要求生成部は、弱め界磁制御の操作量に相応した状態量に応じて磁化要求を発することを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  17. 前記磁化要求生成部は、前記トルクが小さい場合に磁化要求を発することを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  18. 前記トルク指令生成部は前記可変磁石を磁化させる際にトルクを低減し、前記可変磁束制御部は、前記トルクを低減した後に前記可変磁石を磁化することを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  19. 前記磁化要求生成部は、前記トルクがほぼ零であるときに磁化要求を発することを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  20. 前記可変磁束制御部は、可変磁石と固定磁石との磁束の合計の絶対値が最も零に近づくように、可変磁石を磁化させることを特徴とする請求項4または請求項5記載の可変磁束ドライブシステム。
  21. 前記可変磁石と固定磁石との磁束の合計がほぼ零であるように、可変磁石と固定磁石とを予め選定したことを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  22. 前記可変磁石と固定磁石との最大の磁束量がほぼ等しくなるように、可変磁石と固定磁石とを予め選定したことを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  23. 前記可変磁束制御部は、トルクを発生させないように磁化電流を流すことを特徴とする請求項1記載の可変磁束ドライブシステム。
  24. 前記可変磁束制御部は、磁化方向をD軸とした場合にD軸電流とともにトルクを発生させないようにQ軸電流も流すことを特徴とする請求項23記載の可変磁束ドライブシステム。
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