JP5225046B2 - 可変磁束モータドライブシステム - Google Patents

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Description

本発明は、可変磁石を有する可変磁束モータとこの可変磁束モータを駆動するインバータを備えた可変磁束モータドライブシステムに関する。
従来の誘導電動機(IMモータ)に代わり、効率に優れ、小型化や低騒音化も期待できる永久磁石同期電動機(PMモータ)が普及し始めている。例えば、鉄道車両や電気自動車向けの駆動モータとしてPMモータが利用されるようになってきている。
IMモータは、磁束自体をステータからの励磁電流によって作り出すため、励磁電流を流すことによる損失が発生する技術的な問題点がある。
他方、PMモータは、ロータに永久磁石を備え、その磁束を利用してトルクを出力するモータであるので、このようなIMモータの抱える問題はない。しかしながら、PMモータは、その永久磁石のために回転数に応じた誘起電圧(逆起電圧)が発生する。鉄道車両や自動車など、回転範囲が広い応用分野では、最高回転数において生じる誘起電圧によって、PMモータを駆動制御するインバータが(過電圧によって)破壊しないことが条件となる。この条件を満たすためには、インバータの耐圧を十分に高いものとするか、あるいは逆に、モータに備える永久磁石の磁束を制限する必要がある。前者は、電源側への影響もあり、後者を選択することが多い。その場合の磁束量を、IMモータの磁束量(IMモータの場合には励磁電流によって作りだすギャップ磁束量)と比較すると、1:3程度になるケースもある。この場合、同一のトルクを発生させるためには、磁束量の小さいPMモータでは、大きな(トルク)電流を流す必要がある。したがって、低速域において、同一トルクを出力する電流をIMモータとPMモータとで比較した場合に、PMモータは、より大きな電流を流す必要がある。
このため、IMモータと比べて、PMモータを駆動するインバータの電流容量は増加する。さらに、一般に低速ではインバータ内のスイッチング素子のスイッチング周波数が高く、発生する損失は電流値に依存して増大することから、PMモータでは低速で大きな損失と発熱が生じることになる。
電車などは走行風によって冷却を期待することもあり、低速時に大きな損失が生じることになれば、冷却能力を向上させる必要性からインバータ装置が大型化してしまう。また逆に、誘起電圧が高い場合、弱め界磁制御を行うことになるが、そのときは、励磁電流を重畳することで効率が低下してしまう。
このようにPMモータは、磁石を内在するが故のメリットとデメリットがある。モータとしてはそのメリットの分が大きく、損失低減や小型化につながる面もあるが、一方では電車や電気自動車など可変速制御の場合には、従来のIMモータに比べて効率の悪い動作点も存在する。また、インバータにとっては電流容量が増大し、損失も増大することから、装置サイズが大きくなる。システムの効率自体は、モータ側が支配的であるため、PMモータの適用によって総合効率は改善するが、一方ではインバータのサイズが増加することがシステムのデメリットとなり、好ましくない。
しかしながら、どのような装置・製品でも、通常、トルク及び回転数の異なる複数の運転モードを有する。このように異なる条件下においては、一定の永久磁石磁束を用いた従来のPMモータは、その全ての条件に対して最適な状態を維持するのは困難であり、システムの効率低下や騒音等の問題を生じる。
これに対し、インバータによる電流によって磁石磁束を可変にすることが可能な可変磁束ドライブシステムがある。このシステムは、永久磁石の磁束量を変化させることができるため、従来の磁石固定のPMモータドライブシステムに比べて効率の向上が期待できる。また、磁石が不要な際は磁束量を小さくすることで誘起電圧を極力抑制することも可能である。
特許文献1には、可変磁石であることによるトルク精度の劣化の抑制や磁化処理に伴う過渡トルクの抑制を図り、システム全体の効率を向上し広い速度範囲に対応できる可変磁束ドライブシステムが記載されている。この可変磁束ドライブシステムは、インバータからの磁化電流によって磁束を可変させて可変磁石を磁化させる可変磁束制御部と、トルク指令生成部からのトルク指令に基づくDQ軸電流基準と可変磁束制御部からのDQ軸磁化電流指令とを切り替える切替器と、可変磁束制御部に対し所定の条件が成立したときに可変磁石を磁化させる要求を発生する磁化要求生成部と、切替器からのトルク指令に基づくDQ軸電流基準またはDQ軸磁化電流指令に基づいてインバータを制御するためのゲート指令を生成するゲート指令生成部とを備えている。
この可変磁束ドライブシステムは、特定の条件にて磁化処理を行うようにしているので、トルクショックや損失の発生やインバータを構成するスイッチング素子のストレスを必要最小限に抑制することが可能となる。さらに、この可変磁束ドライブシステムは、インバータ始動時及びインバータ停止時に磁化を行っているが、このとき、トルク指令を零に設定することによりQ軸電流が零となるため、磁化のためにD軸方向に過大な電流を流したとしても、過渡トルクの発生を極力抑えることができる。また、トルクがかかった状態においても、当該可変磁束ドライブシステムは、磁化処理の際にD軸電流とともにQ軸電流も磁化電流として流すことによって、過渡トルクを低減できる。
特開2008−29148号公報
可変磁石と固定磁石とを組み合わせた可変磁束モータドライブシステムは、定常電流に比べて過大な磁化電流を流すため、損失や発熱、トルクショック等が生じるおそれがあり、これらを低減するために瞬時に磁化することが要求される。したがって、可変磁束モータドライブシステムにおいて用いられる磁化電流を流すための電流制御器は、高速に応答させる必要があり、電流指令に対する追従性が損なわれる場合がある。
磁化時には、流した磁化電流に依存して磁石磁束が変化するため、所望する磁石磁束に変化させるためには、精度の高い電流応答が必要とされる。しかしながら、上述したように電流指令に対する追従性が損なわれると、意図しない磁石磁束に変化することがある。この場合には、トルクが変動し、あるいは制御が不安定化する等の問題が生じる。
ここで、磁化電流とは、DQ軸電流のうちD軸電流のことを指す。これは、磁石磁束に対する影響がD軸電流の方が大きいことによる。しかしながら、近年、Q軸電流も磁石磁束に影響を与えることがわかってきている。図13は、従来の可変磁束モータドライブシステムにおいて電流位相角に対する無負荷電圧を示す図である。図13は、以下に示す手順で試験をした結果であり、Q軸電流が磁石磁束に影響を与えることを示している。
1. 一定の磁化電流を与えて、増磁をさせる。
2.所定の大きさを有するとともに(D軸からの)位相角を変えたDQ軸電流を流す。ここで、電流位相角が0[deg]のときは、Q軸電流Iq=0であり、D軸電流Id=所定値I1である。一方、電流位相角が90[deg]のときは、Q軸電流Iq=所定値I1であり、D軸電流Id=0である
3.2において流した電流を零にする。
4.所定の回転数で、無負荷電圧を計測する。
無負荷電圧は、磁石磁束×回転数で示される。ところが、回転数は一定であるため、図13において計測された無負荷電圧は、磁石磁束に相当する状態量である。図13に示すように、電流位相角が小さいとき(すなわちD軸電流が大きく、Q軸電流が小さいとき)には、高い無負荷電圧(すなわち磁石磁束)が維持される。一方、電流位相角が90[deg]付近(すなわちD軸電流が0近傍で、Q軸電流が大きいとき)の場合には、無負荷電圧(すなわち磁石磁束)は低下しており、Q軸電流が磁石磁束に影響を与えていることがわかる。なお、図13の結果は、Q軸電流が磁化のときに影響を与えるというものではなく、定常的にQ軸電流を流すと磁石磁束に影響を与えることを示すものである。
また、電流位相角を0[deg]から90[deg]に変化させるに際し、D軸電流が減少しているが、当該D軸電流の減少は、磁石磁束に影響を与えない。一旦D軸電流を流して磁石磁束が決定された後は、さらに大きなD軸電流を流すか又は逆方向にD軸電流を流さないかぎり、磁石磁束は変化しないからである。
したがって、Q軸電流の追従性は、磁石磁束の精度に対して重要な因子であり、追従性が悪い場合には磁石磁束の精度に悪影響がある。さらに、Q軸電流の誤差は、そのままトルクとなることから、磁化時の過渡トルクの要因となる。短時間に磁化させるために電流の応答性を上げると、電流の追従性は劣化する。特に問題となるのは、Q軸電流がその指令値に対して誤差を持つことにより、磁束精度が劣化し、あるいはトルクが生じることである。
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するもので、磁石磁束を可変に制御できる可変磁束モータを適用し、Q軸電流の追従性を優先した電流制御系を構築して磁束精度の劣化や過渡トルクの発生を防止する可変磁束モータドライブシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る可変磁束モータドライブシステムは、低保持力の永久磁石である可変磁石を有する永久磁石電動機と、前記永久磁石電動機を駆動するとともに前記可変磁石の磁束を制御するための磁化電流を供給するインバータと、前記可変磁石の磁束軸方向をD軸とした場合に、必要とされる前記磁化電流に基づくD軸電流指令を出力するD軸電流指令演算部と、前記D軸に直交する方向をQ軸とした場合に、前記永久磁石電動機に対して必要とされるトルクに基づいて必要なQ軸電流を算出し、Q軸電流指令を出力するQ軸電流指令演算部と、前記D軸電流指令演算部により出力されたD軸電流指令に基づいてD軸電流を制御するD軸電流制御部と、前記Q軸電流指令演算部により出力されたQ軸電流指令に基づいてQ軸電流を制御するQ軸電流制御部とを備え、Q軸電流制御部は、D軸電流制御部におけるD軸電流指令に対するD軸電流の追従性よりも、Q軸電流指令に対するQ軸電流の追従性が高くなるように設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、磁石磁束を可変に制御できる可変磁束モータを適用し、Q軸電流の追従性を優先した電流制御系を構築して磁束精度の劣化や過渡トルクの発生を防止することができる。
以下、本発明の可変磁束モータドライブシステムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1の可変磁束モータドライブシステムの構成を示すブロック図である。図1を説明する前に、永久磁石同期電動機としての可変磁束モータについて説明する。
可変磁束モータ4のイメージを図2に示す。ステータ側は従来のモータと同様と考えてよい。ロータ51側には永久磁石として、磁性体の磁束密度が固定の固定磁石FMGと、磁性体の磁束密度が可変の可変磁石VMGとがある。従来のPMモータは、前者の固定磁石FMGのみであるのに対して、本可変磁束モータ4の特徴は、可変磁石VMGが備わっていることにある。
ここで固定磁石や可変磁石について、説明を加える。永久磁石とは、外部から電流などを流さない状態において磁化した状態を維持するものであって、いかなる条件においてもその磁束密度が厳密に変化しないというわけではない。従来のPMモータであっても、インバータなどにより過大な電流を流すことで減磁したり、あるいは逆に着磁したりする。よって、永久磁石とは、その磁束量が一定不変なものではなく、通常の定格運転中に近い状態ではインバータ等から供給される電流によって磁束密度が概ね変化しないもののことを指す。一方、前述の磁束密度が可変である永久磁石、つまり、可変磁石とは、上記のような運転条件においてもインバータ等で流し得る電流によって磁束密度が変化するものを指す。
このような可変磁石は、磁性体の材質や構造に依存して、ある程度の範囲で設計が可能である。例えば、最近のPMモータは、残留磁束密度Brの高いネオジム(NdFeB)磁石を用いることが多い。この磁石の場合、残留磁束密度Brが1.2T程度と高いため、大きなトルクを小さい装置サイズにて出力可能であり、モータの高出力小型化が求められるハイブリッド車HEVや電車には好適である。従来のPMモータの場合、通常の電流によって減磁しないことが要件であるが、このネオジム磁石(NdFeB)は約1000kA/mの非常に高い保持力Hcを有しているので、PMモータ用に最適な磁性体である。PMモータ用には、残留磁束密度が大きく、保磁力の大きい磁石が選定されるためである。
ここで、残留磁束密度が高く、保持力Hcの小さいアルニコAlNiCo(Hc=60〜120kA/m)やFeCrCo磁石(Hc=約60kA/m)といった磁性体を可変磁石とする。通常の電流量(インバータによって従来のPMモータを駆動する際に流す程度の電流量という意味)によって、ネオジム磁石の磁束密度(磁束量)はほぼ一定であり、アルニコAlNiCo磁石などの可変磁石の磁束密度(磁束量)は可変となる。厳密に言えば、ネオジム磁石は可逆領域で利用しているため、微小な範囲で磁束密度が変動するが、インバータ電流がなくなれば当初の値に戻る。他方、可変磁石は不可逆領域まで利用するため、インバータ電流がなくなっても当初の値にならない。
図2は、可変磁束モータ4を、簡単なイメージとしてモデル化したものである。同図において、可変磁石VMGであるアルニコ磁石の磁束量も、D軸方向の量が変動するだけで、Q軸方向はほぼ0である。
図3は、可変磁束モータ4の具体的な構成例を示している。回転子(ロータ)51は、回転子鉄心52中に、ネオジム磁石(NdFeB)などの高保磁力の永久磁石54とアルニコ磁石(AlNiCo)などの低保磁力の永久磁石53とを組み合わせて配置した構成である。可変磁石VMGである低保磁力永久磁石53は、回転子鉄心52の磁極部55の両側に、それぞれ隣接する磁極部55との境界域に径方向に配置してある。固定磁石FMGである高保磁力磁石54は、回転子鉄心52の磁極部55において径に直交する方向に配置してある。この構造により、可変磁石VMGである低保磁力永久磁石53はQ軸方向とその磁化方向が直交するため、Q軸電流の影響を受けず、D軸電流によって磁化される。
図4は、固定磁石と可変磁石のBH特性(磁束密度−磁化特性)を例示している。また、図5は、図4の第2象限のみを定量的に正しい関係にて示したものである。ネオジム磁石とアルニコ磁石の場合、それらの残留磁束密度Br1,Br2には有意差はないが、保磁力Hc1,Hc2については、ネオジム磁石(NdFeB)のHc2に対し、アルニコ磁石(AlNiCo)のHc1は1/15〜1/8、FeCrCo磁石のHc1は1/15になる。
従来のPMモータドライブシステムにおいて、インバータの出力電流による磁化領域は、ネオジム磁石(NdFeB)の保磁力より十分に小さく、その磁化特性の可逆範囲で利用されている。しかしながら、可変磁石は、保磁力が上述のように小さいため、インバータの出力電流の範囲において、不可逆領域(電流を0にしても、電流印加前の磁束密度Bに戻らない)での利用が可能で、磁束密度(磁束量)を可変にすることができる。
可変磁束モータ4の動特性の等価簡易モデルを、(1)式に示す。同モデルは、D軸を磁石磁束方向、Q軸をD軸に直行する方向として与えたDQ軸回転座標系上のモデルである。
Figure 0005225046
ここに、R1:巻線抵抗、Ld:D軸インダクタンス、Lq:Q軸インダクタンス、Φfix:固定磁石の磁束量、Φvar:可変磁石の磁束量、ω1:インバータ周波数である。
図1に示す可変磁束モータドライブシステムは、直流電力を交流電力に変換するインバータ1、電流検出器2、直流電源3、可変磁束モータ4、座標変換部5、PWM回路6、座標変換部7、擬似微分器8、トルク指令生成部9、電圧指令演算部10、電流基準演算部11、磁束指令演算部12、磁化要求生成部14、ゲート指令生成部15、運転指令生成部16、磁化電流指令演算部17、及び回転角度センサ18で構成されている。
ここで、この可変磁束モータドライブシステムは、主回路と制御回路とに分けることができる。直流電源3、インバータ1、可変磁束モータ4、モータ電流を検出するための電流検出器2、及び可変磁束モータ4の回転角度を検出するための回転角度センサ18は、主回路を構成するものとする。また、座標変換部5、PWM回路6、座標変換部7、擬似微分器8、トルク指令生成部9、電圧指令演算部10、電流基準演算部11、磁束指令演算部12、磁化要求生成部14、ゲート指令生成部15、運転指令生成部16、及び磁化電流指令演算部17は、制御回路を構成するものとする。
可変磁束モータ4は、本発明の永久磁石電動機に対応し、低保持力の永久磁石である可変磁石(例えばアルニコ磁石)を有する。
インバータ1は、可変磁束モータ4を駆動する。すなわち、インバータ1は、直流電源3からの直流電力を交流電力に変換し、可変磁束モータ4に供給する。可変磁束モータ4に供給される電流Iu,Iwは、電流検出器2により検出され、座標変換部7に入力され、この座標変換部7でD軸電流Id、Q軸電流Iqに変換され、電圧指令演算部10に入力される。また、インバータ1は、可変磁束モータ4の有する可変磁石の磁束を制御するための磁化電流を供給する。
直流電源3は、インバータ1に直流電力を供給する二次電池でもよい。本発明を電気自動車等に適用する場合には、直流電源3は、二次電池であると考えられる。
また、可変磁束モータ4のロータ回転角度は、回転角度センサ18により検出され、座標変換部5,7、及び擬似微分器8に出力される。疑似微分器8は、入力されたロータ回転角度θを微分することによりインバータ周波数ω1を算出し、電圧指令演算部10や磁束指令演算部12、磁化要求生成部14に出力する。
次に、制御回路について説明する。ここでの入力は、運転指令Runである。この運転指令Runは、可変磁束モータ4に対する運転要求であり、適切な手段により出力される。
運転指令生成部16は、入力された運転指令Runに基づいて運転状態フラグRunを生成して出力する。基本的には、運転指令Runが入った場合(Run=1)に、運転状態フラグRunを運転状態(Run=1)にし、運転指令が停止を指示した場合(Run=0)では、運転状態フラグRunを停止状態(Run=0)にする。
また、運転指令生成部16は、トルクをかける許可するトルク許可フラグTrqONを生成する(TrqON=1でトルクをかけ、TrqON=0はトルクをかけない)。運転指令Runが「0」から「1」になった場合には、まず磁化処理が行われる。トルク許可フラグTrqONは、この磁化が完了してから、初めて「1」になる(磁化が完了してからトルクを立ち上げる)。
逆に、運転指令Runが「1」から「0」、すなわち、運転停止を指示した場合、まず、トルク許可フラグTrqON=0にして、トルク指令Tmを零まで絞り、その後に、運転状態フラグRunを停止状態(Run=0)にする。
トルク指令生成部9は、トルク許可フラグTrqON=0の場合には、目標値を零にしたトルク指令Tm、TrqON=1の場合には所望なトルクになるようなトルク指令Tmを生成する。その過渡状態については、トルク指令の変化率を制限してもよいし、1次系で応答させてもよく、アプリケーションに依存するものである。場合によっては、ステップ状に変化させるようにしてもよい。
ゲート指令生成部15は、運転状態フラグRunが入力されると、インバータ1に内在するスイッチング素子へのゲート指令Gstを生成出力する。ゲート指令生成部15では、運転状態フラグRunが停止(=0)から運転(=1)に変わる場合、即時に、ゲートスタート(Gst=1)とし、運転状態フラグRunが運転(=1)から停止(=0)に変わる場合、所定時間が経過した後に、ゲートオフ(Gst=0)にするように作用するものである。この所定時間経過した後にゲートオフするのは、後述のように、可変磁石53を所定値に磁化してフリーランさせたいことによるものである。
磁束指令演算部12は、入力された運転状態フラグRunとインバータ周波数ω1、すなわち、ロータ回転周波数ωR(本実施例では、回転角度センサ(レゾルバ)18付きの制御となっているため、回転センサ18で検出した角度を疑似微分器8で微分したロータ回転周波数をインバータ出力周波数として利用している)を入力として、磁束指令φを例えば、次式のように生成出力する。
If(Run==0)
φ=φmin
Else if(|ω1|<ωA)
φ=φmax
Else
φ=φmin …(2)
ここで、φminは、可変磁束モータとして取り得る最小磁束量(>0)であり、φmaxは、可変磁束モータとして取り得る最大磁束量であり、ωAは、所定の回転周波数である。
すなわち、運転状態フラグRunが停止の場合(Run=0)には、磁束指令φを最小φminにして、運転状態(Run=1)であって回転周波数ωRが所定値より低い場合には磁束指令φを最大φmaxとし、また、速度が所定値より高い場合には磁束指令φを最小φminとする。
磁化部であるインバータ1は、磁束指令演算部12により生成された磁束指令に応じた磁化電流を供給して可変磁石の磁束を制御する。
電流基準演算部11は、入力されたトルク指令Tmと磁束指令φとに基づき、D軸電流基準IdRとQ軸電流基準IqRを次式のように演算する。
IdR=0 …(3)
IqR=Tm/φ …(4)
ここで、(3)式及び(4)式は、可変磁束モータ4のリラクタンストルクを用いないことを想定した演算式(モータ極対数=1)である。D軸インダクタンスLdQ軸インダクタンスLqとの差異ΔLがある突極形モータであっても、差異のない非突極形のモータであってもよい。
しかしながら、効率の最適化や所定電流での最大出力を考える場合、リラクタンストルクを考慮することが有効である。この場合、例えば、次式のように演算できる。
IqR=(−φ+√(φ*2−4×(Ld−Lq)×K×Tm)/{2×(Ld−Lq)×K} …(5)
IdR=K×IqR …(6)
ここで、KはD軸電流とQ軸電流の比率であり、前述の効率最適化や最大出力など用途によって変わる値である。最適化を図るためには関数となり、その引数としてはトルクや速度など様々である。一般には、簡易的な近似やテーブル化して用いる。
磁化要求生成部14は、磁束指令φが変化した場合、あるいは運転状態フラグRunが変化した場合に、磁化要求フラグFCreqを「1」とし、それ以外では「0」とするものである。なお、運転状態フラグRunが変化する状態とは、インバータが始動するとき、停止するとき、保護で停止するとき等が考えられる。
磁化電流指令演算部17は、磁束指令演算部12により出力された磁束指令φに基づき、必要な磁化電流を計算し、磁化電流指令Imagを生成して出力する。一般に、磁化電流は、可変磁石の現在に至るまでの過去の磁化の履歴に依存するものである。したがって、磁化電流指令演算部17は、例えば、過去の磁化履歴と要求する磁束とを入力とするテーブル情報を有し、そのテーブル情報を参照して磁化電流を算出する。その後、磁化電流指令演算部17は、算出した磁化電流に基づく磁化電流指令Imagを出力する。
なお、磁化電流指令Imagは、後述する磁化モード電圧指令演算部13内においてD軸電流指令Idとなる。したがって、磁化電流指令演算部17は、本発明のD軸電流指令演算部に対応し、可変磁石の磁束軸方向をD軸とした場合において、必要とされる磁化電流に基づくD軸電流指令Idを出力する。
電圧指令演算部10は、電流基準演算部11により演算されたD軸電流基準IdRとQ軸電流基準IqRとに基づき、当該基準にD軸電流Id及びQ軸電流Iqが一致するように電流が流れるように、DQ軸電圧指令Vd、Vqを演算して生成する。その際、電圧指令演算部10は、電流偏差にPI制御を施し、DQ軸電圧指令を求める。
ここで、磁化する際には、磁化部であるインバータ1は、可変磁束モータ4に過大な磁化電流を短時間で精度良く流すことが必要である。上述した電圧指令演算部10によるPI制御は、応答性が十分でなく、可変磁束モータ4に過大な磁化電流を短時間で精度良く流すことが困難となることも考えられる。そこで、電圧指令演算部10は、例えば、磁化電流指令演算部17により算出された磁化電流に基づき、それぞれのD軸電流Id、Q軸電流Iqが一致するように、例えば、ヒステリシスコンパレータ方式等の瞬時比較制御方式を利用して、DQ軸電圧指令を算出することもできる。
なお、磁化要求生成部14により磁化要求フラグFCReqが立っている場合には、電圧指令演算部10は、磁化電流指令演算部17により生成された磁化電流指令Imagに基づき、当該指令にD軸電流Id及びQ軸電流Iqが一致する電流が流れるように、DQ軸電圧指令Vd、Vqを演算して生成する。
電圧指令演算部10の具体的な構成は、後述する。
座標変換部5は、電圧指令演算部10により出力されたD軸電圧指令Vd、Q軸電圧指令Vqを三相の電圧指令Vu、Vv、Vwに座標変換し、PWM回路6に出力する。PWM回路6は、ゲート指令生成部15により出力されたゲート指令Gst、及び入力された三相の電圧指令Vu、Vv、Vwに基づき、インバータ1のスイッチング素子をオンオフ制御する。
図6は、本発明の実施例1の可変磁束モータドライブシステムの電圧指令演算部10の詳細な構成を示すブロック図である。図6に示すように、電圧指令演算部10は、通常モード電圧指令演算部20、磁化モード電圧指令演算部13、及び切替器19から構成され、インバータ1から出力される電圧に対するDQ軸電圧指令Vd,Vqを出力する。
通常モード電圧指令演算部20は、通常運転時において、電流基準演算部11の出力であるDQ軸電流指令IdR、IqRに一致するように、第1のDQ軸出力電圧指令Vd1,Vq1を演算するものであり、モータモデルに基づくフィードフォワード項やフィードバック演算等を用いて、第1のDQ軸出力電圧指令Vd1,Vq1を演算する。
磁化モード電圧指令演算部13は、磁化時において可変磁束モータ4の永久磁石の磁束を変化させるための第2のDQ軸出力電圧指令Vd2,Vq2を演算する。
切替器19は、通常モード電圧指令演算部20から出力された第1のDQ軸出力電圧指令Vd1,Vq1と、磁化モード電圧指令演算部13から出力された第2のDQ軸出力電圧指令Vd2,Vq2とのいずれを出力するかを選択して切り替える。具体的には、切替器19は、通常時にはDQ軸出力電圧指令Vd1,Vq1を選択してDQ軸出力電圧指令Vd,Vqとして出力し、磁化時においては磁化モード電圧指令演算部13により磁化モードに切り替えられ、DQ軸出力電圧指令Vd2,Vq2を選択してDQ軸出力電圧指令Vd,Vqとして出力する。
図7は、本発明の実施例1の電圧指令演算部10内における磁化モード電圧指令演算部13の詳細な構成を示すブロック図である。図7に示すように、磁化モード電圧指令演算部13は、減算器21、比例制御器22、D軸FF電圧演算部23、加算器24、減算器25、比例制御器26、Q軸FF電圧演算部27、加算器28、磁束シミュレータ29、及びQ軸電流指令演算部30から構成され、DQ軸出力電圧指令Vd2,Vq2を演算して出力する。
減算器21、比例制御器22、及びD軸FF電圧演算部23は、本発明のD軸電流制御部を構成し、磁化電流指令演算部17により出力されたD軸電流指令Idに基づいてD軸電流を制御する。
減算器21は、磁化電流指令Imagに基づくD軸電流指令Idと実際のD軸電流Idとの差(D軸電流偏差)を算出して比例制御器22に出力する。
比例制御器22は、本発明の第1比例制御器に対応し、減算器21により算出されたD軸電流指令Idと実際のD軸電流Idとの差に対して比例ゲインKp_Dを乗じる。
磁束シミュレータ29は、実際に流れた磁化電流(D軸電流Id)に基づき、その時点での磁束量をシミュレータで予測するとともに、予測した磁束量φsimuを出力する。
Q軸電流指令演算部30は、D軸に直交する方向をQ軸とした場合に、可変磁束モータ4に対して必要とされるトルクに基づいて必要なQ軸電流を算出し、Q軸電流指令Iqを出力する。具体的には、Q軸電流指令演算部30は、予測される磁束量量φsimuとD軸電流Idとに基づき、実トルクがトルク指令Tmに一致するようにQ軸電流指令Iqを演算する。
D軸FF電圧演算部23は、Q軸電流指令IqとD軸電流Idとに基づき、D軸フィードフォワード電圧VdFFを演算して出力する。具体的には、D軸フィードフォワード電圧VdFFは、例えば以下のようにして求められる。
VdFF=R×Id−ωLqIq …(7)
加算器24は、D軸電流偏差に比例ゲインKp_Dを乗じた値とD軸フィードフォワード電圧VdFFとを加算し、D軸電圧指令Vd2として出力する。
減算器25、比例制御器26、及びQ軸FF電圧演算部27は、本発明のQ軸電流制御部を構成し、Q軸電流指令演算部30により出力されたQ軸電流指令Iqに基づいてQ軸電流を制御する。
減算器25は、Q軸電流指令Iqと実際のQ軸電流Iqとの差(Q軸電流偏差)を算出して比例制御器26に出力する。
比例制御器26は、本発明の第2比例制御器に対応し、減算器25により算出されたQ軸電流指令Iqと実際のQ軸電流Iqとの差に対して比例ゲインKp_Qを乗じる。
Q軸FF電圧演算部27は、Q軸電流指令IqとD軸電流Idと磁束量φsimuとに基づき、Q軸フィードフォワード電圧VqFFを演算して出力する。具体的には、Q軸フィードフォワード電圧VqFFは、例えば以下のようにして求められる。
VqFF=R×Iq+ωLdId+ωφsimu …(8)
加算器28は、Q軸電流偏差に比例ゲインKp_Qを乗じた値とQ軸フィードフォワード電圧VqFFとを加算し、Q軸電圧指令Vq2として出力する。
減算器25、比例制御器26、及びQ軸FF電圧演算部27により構成されるQ軸電流制御部は、D軸電流制御部におけるD軸電流指令Idに対するD軸電流Idの追従性よりも、Q軸電流指令Iqに対するQ軸電流Iqの追従性が高くなるように設定されている。具体的には、比例制御器26は、比例制御器22よりも高いゲインを有する。すなわち、比例ゲインは、Kp_D<Kp_Qと設定されている。DQ軸とも比例制御により電流制御されているが、上述したように比例ゲインを設定することにより、Q軸電流制御部は、D軸電流制御よりも高い追従性を有する。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。まずは、磁化を必要としない通常モードについて説明する。ここでの入力は、運転指令Runである。運転指令生成部16は、入力された運転指令Runに基づいて運転状態フラグRunを生成して出力するとともに、トルクをかける許可するトルク許可フラグTrqONを生成して出力する。
トルク指令生成部9は、トルク許可フラグTrqON=0の場合には、目標値を零にしたトルク指令Tm、TrqON=1の場合には所望なトルクになるようなトルク指令Tmを生成する。
ゲート指令生成部15は、運転状態フラグRunが入力されると、インバータ1に内在するスイッチング素子へのゲート指令Gstを生成出力する。
磁束指令演算部12は、入力された運転状態フラグRunとインバータ周波数ω1とに基づき、磁束指令φを生成出力する。
電流基準演算部11は、トルク指令生成部9により出力されたトルク指令Tmと磁束指令演算部12により出力された磁束指令φとに基づき、D軸電流基準IdRとQ軸電流基準IqRを演算する。
電圧指令演算部10は、電流基準演算部11により演算されたD軸電流基準IdRとQ軸電流基準IqRとに基づき、当該基準にD軸電流Id及びQ軸電流Iqが一致するように電流が流れるように、DQ軸電圧指令Vd、Vqを演算して生成する。
ここでは、磁化を必要としない通常モードであるため、磁化要求生成部14による磁化要求フラグFCReqは立っていない。したがって、電圧指令演算部10内の通常モード電圧指令演算部20は、電流基準演算部11の出力であるDQ軸電流指令IdR、IqRに一致するように、第1のDQ軸出力電圧指令Vd1,Vq1を演算して出力する。
切替器19は、通常時であるため、DQ軸出力電圧指令Vd1,Vq1を選択してDQ軸出力電圧指令Vd,Vqとして外部に出力する。
座標変換部5は、電圧指令演算部10により出力されたD軸電圧指令Vd、Q軸電圧指令Vqを三相の電圧指令Vu、Vv、Vwに座標変換し、PWM回路6に出力する。PWM回路6は、ゲート指令生成部15により出力されたゲート指令Gst、及び入力された三相の電圧指令Vu、Vv、Vwに基づき、インバータ1のスイッチング素子をオンオフ制御する。
次に、磁化を必要とする場合について説明する。図8は、磁化を行う際の可変磁束モータドライブシステムの各部の状態を示すタイムチャート図である。時刻tまでは、上述した磁化を必要としない場合の動作と同じである。
磁束指令演算部12は、入力された運転状態フラグRunとインバータ周波数ω1とに基づき、可変磁石の目標とする磁束値を演算して、磁束値に対応した磁束指令φを生成する。ここで、磁化を必要とする運転状態が選択されているため、磁束指令演算部12は、時刻tにおいて磁束指令φの値を増加させる。
時刻tにおいて、磁化要求生成部14は、磁束指令φが変化した等の事情により磁化が必要であると判断し、磁化要求フラグFCReqを立てる。すなわち、磁化要求生成部14は、H(ハイ)状態の磁化要求フラグFCReqとして電圧指令演算部10に出力する。その際、磁化要求生成部14は、H(ハイ)状態の磁化要求フラグFCReqを出力するのは一瞬でよく、その後は、磁化要求フラグFCReqをL(ロー)状態に戻して出力する。
電圧指令演算部10内の磁化モード電圧指令演算部13は、磁化要求フラグFCReqがH状態で入力されると、磁化モードフラグMAGmodeを立て、切替器19にH(ハイ)状態の磁化モードフラグMAGmodeを出力する。これにより、切替器19は、磁化モードに切り替えられ、DQ軸出力電圧指令Vd2,Vq2を選択してDQ軸出力電圧指令Vd,Vqとして出力する。なお、この磁化モードフラグMAGmodeは、磁化の完了する時刻tまでH(ハイ)の状態を維持する。
磁化電流指令演算部17は、磁束指令演算部12により出力された磁束指令φに基づき、必要な磁化電流を計算し、磁化電流指令Imagを生成して出力する。また、磁化電流指令Imagは、磁化モード電圧指令演算部13内においてD軸電流指令Idとなる。
ここで、磁化電流指令演算部17は、磁化を必要とする磁束指令φが入力されているため、時刻tから時刻tまでの間において、磁束指令φの値に応じた値を有する磁化電流指令Imagを出力する。磁化電流Idは、その時刻における値から磁化電流目標値であるImagに向けて漸増する。なお、磁石磁束φは、時刻t−t間において、D軸電流増加に基づく磁化により増加する。
電圧指令演算部10内の磁化モード電圧指令演算部13は、可変磁束モータ4の永久磁石の磁束を変化させるための第2のDQ軸出力電圧指令Vd2,Vq2を演算して出力することにより、磁石磁束が磁束指令φに一致するまで磁化電流を流す。
その後、磁化モード電圧指令演算部13は、磁化電流を減少させて、通常運転に移行させる。この間(時刻t−t間)を磁化モードと呼び、「モード状態MAGmode>0」を磁化モードと定義する。一方、通常モード(時刻t以前あるいは時刻t以降)は、「モード状態MAGmode=0」と定義する。即ち、通常モードは、通常運転する運転モードである。磁化モードには、磁化フェーズと移行フェーズがある。磁化フェーズ(時刻t−t間)は、磁束を変化させるために、磁化電流を増加させる。移行フェーズ(時刻t−t間)は、磁束変化が完了したときに、磁化電流を減少させて通常モードへの移行を行う。ここで、磁化とは、磁化モード、すなわち、磁化フェーズと移行フェーズとの両フェーズを合わせて指すと定義する。磁化モード電圧指令演算部13は、磁化の際(モード状態MAGmode>0)、トルク変動が生じないように電圧指令を演算するものである。
磁化モード電圧指令演算部13内のQ軸電流指令演算部30は、予測される磁束量量φsimuとD軸電流Idとに基づき、実トルクがトルク指令Tmに一致するようにQ軸電流指令Iqを演算する。Q軸電流の追従性は、上述したように、磁石磁束の精度に対して重要な因子であり、追従性が悪い場合には磁石磁束の精度に悪影響がある。さらに、Q軸電流の誤差は、そのままトルクとなることから、磁化時の過渡トルクの要因となる。
本実施例において、減算器25、比例制御器26、及びQ軸FF電圧演算部27により構成されるQ軸電流制御部は、D軸電流制御部におけるD軸電流指令Idに対するD軸電流Idの追従性よりも、Q軸電流指令Iqに対するQ軸電流Iqの追従性が高くなるように設定されている。具体的には、比例制御器26は、比例制御器22よりも高いゲインを有する。
DQ軸とも比例制御により電流制御されているが、上述したように比例ゲインを設定することにより、Q軸電流制御部は、D軸電流制御よりも高い追従性を有する。したがって、Q軸電流は、磁化時においてD軸電流よりも電流指令に対して高い追従性を示し、従来のようなQ軸電流の低い追従性に起因する磁石磁束の精度悪化を回避することができる。
電圧指令演算部10は、磁化電流指令演算部17により生成されたD軸電流指令IdとQ軸電流指令Iqとに基づき、当該指令にD軸電流Id及びQ軸電流Iqが一致して電流が流れるように、DQ軸電圧指令Vd*、Vq*を演算して生成する。
なお、電流基準演算部11は、時刻tにおいて、トルク指令生成部9により出力されたトルク指令Tm*と磁束指令演算部12により出力された磁束指令φとに基づき、D軸電流基準IdRとQ軸電流基準IqRとを演算する。D軸電流IdとQ軸電流Iqとは、磁化が完了した際に(時刻t)、それぞれD軸電流基準IdRとQ軸電流基準IqRとに一致するように制御される。
電圧指令演算部10は、座標変換部7により出力されたD軸電流Idが磁化電流指令Imagに達すると(時刻t)、通常制御への移行フェーズとし、磁化電流Idを、その時刻(t)におけるD軸電流Idの値から通常運転時の目標値に向けて漸減させる。また、この間にも、過渡トルクが生じないように、Q軸電流を適正に流す。
次に、電圧指令演算部10は、座標変換部7により出力されたD軸電流Idと電流基準演算部11により出力されたD軸電流基準IdRとを監視し、D軸電流IdがD軸電流基準IdRに達すると(時刻t)、磁化モードフラグMAGmodeをL(ロー)に落とす。
本実施例の可変磁束モータドライブシステムは、以上の動作をもって磁化が完了し、時刻t以降は通常モード(通常制御)になる。通常制御においては、上述した磁化を必要としない場合と同様であり、電圧指令演算部10は、電流基準演算部11により演算されたD軸電流基準IdRとQ軸電流基準IqRとに基づき、当該基準にD軸電流Id及びQ軸電流Iqが一致するように電流が流れるように、DQ軸電圧指令Vd、Vqを演算して生成する。
その他の作用は、上述した磁化を必要としない場合と同様であり、重複した説明を省略する。
上述のとおり、本発明の実施例1の形態に係る可変磁束モータドライブシステムによれば、磁石磁束を可変に制御できる可変磁束モータ4を適用し、Q軸電流の追従性を優先した電流制御系を構築して磁束精度の劣化や過渡トルクの発生を防止することができる。
すなわち、比例ゲインを調節してQ軸電流制御がD軸電流制御よりも高い追従性を有するように電流制御系を構築することにより、本発明に係る可変磁束モータドライブシステムは、従来のようなQ軸電流の低い追従性に起因する磁石磁束の精度悪化を回避することができる。
図9は、従来の可変磁束モータドライブシステムにおける各部の電圧電流波形を示す図である。この場合において、磁化モード電圧指令演算部13内の構成は、図7に示す本発明の磁化モード電圧指令演算部13と同様であるが、比例制御器22と比例制御器26とは、同一のゲインを有する。すなわち、比例ゲインは、Kp_D=Kp_Qと設定されている。
図9に示すように、測定時におけるトルク指令Tmは0[Nm]であるため、Q軸電流指令Iqは0[A]である。しかしながら、Q軸電流Iqは、磁化時において追従性が低いため、指令値に対する誤差が生ずる。この誤差は、上述したように磁束精度の劣化や過渡トルクの発生を招いてしまう。
図10は、本発明の実施例1の可変磁束モータドライブシステムにおける各部の電圧電流波形を示す図である。この場合において、磁化モード電圧指令演算部13内の比例制御器26は、比例制御器22よりも高いゲインを有する。図10に示す場合においては、比例ゲインは、Kp_D×5=Kp_Qと設定されている。
図10に示す測定時において、トルク指令Tmは図9の場合と同様に0[Nm]であるため、Q軸電流指令Iqは0[A]である。しかしながら、Q軸電流Iqは、磁化時においてD軸電流Idよりも追従性が高いため、指令値に対する誤差が小さい。したがって、本実施例の磁束可変モータドライブシステムは、Q軸電流の指令値に対する誤差が小さいことにより、磁束精度の劣化や過渡トルクの発生を防止することができる。
また、本実施例の可変磁束モータドライブシステムは、上述したように比例制御器22と比例制御器26とが有する比例ゲインの値を調節することのみにより目的を達成することができるため、容易に実現可能であるとともに大きな効果をもたらすことができる。
図11は、本発明の実施例2の可変磁束モータドライブシステムの磁化モード電圧指令演算部13の詳細な構成を示すブロック図である。実施例1の構成と異なる点は、積分制御器31と加算器32とが設けられている点である。
減算器21、比例制御器22、及びD軸FF電圧演算部23は、実施例1と同様に本発明のD軸電流制御部を構成し、磁化電流指令演算部17により出力された磁化電流指令Imagに基づいて比例制御によりD軸電流を制御する。
一方、減算器25、比例制御器26、Q軸FF電圧演算部27、及び積分制御器31は、本発明のQ軸電流制御部を構成し、Q軸電流指令演算部30により出力されたQ軸電流指令Iqに基づいて比例積分制御によりQ軸電流を制御する。
積分制御器31は、減算器25により算出されたQ軸電流指令Iqと実際のQ軸電流Iqとの差に対して積分ゲインKi_Qを乗じ、その値に対してラプラス演算子sで除する。
加算器32は、比例制御器26の算出結果と積分制御器31の算出結果とを加算し、加算器28に対して出力する。
減算器25、比例制御器26、Q軸FF電圧演算部27、及び積分制御器31により構成されるQ軸電流制御部は、実施例1と同様に、D軸電流制御部におけるD軸電流指令Idに対するD軸電流Idの追従性よりも、Q軸電流指令Iqに対するQ軸電流Iqの追従性が高くなるように設定されている。これは、Q軸電流制御部が比例積分制御を採用し、D軸電流制御部が比例制御を採用しているからである。
なお、従来の可変磁束モータドライブシステムには、DQ軸の両方に比例積分制御を採用した構成を有するものもあるが、本実施例の可変磁束モータドライブシステムは、敢えてD軸側を比例制御のみにすることにより、Q軸側の制御を優先させて追従性を高くしている。これにより、本実施例の可変磁束モータドライブシステムは、磁束精度の劣化や過渡トルクの発生を防止することができる。
その他の構成は、実施例1と同様であり、重複した説明を省略する。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。磁化を必要としない通常モードについては、実施例1と同様であるため説明を省略する。また、磁化を必要とする磁化モードについても、磁化モード電圧指令演算部13以外における作用は、実施例1と同様であり、重複した説明を省略する。
電圧指令演算部10内の磁化モード電圧指令演算部13は、可変磁束モータ4の永久磁石の磁束を変化させるための第2のDQ軸出力電圧指令Vd2,Vq2を演算して出力することにより、磁石磁束が磁束指令φに一致するまで磁化電流を流す。その後、磁化モード電圧指令演算部13は、磁化電流を減少させて、通常運転に移行させる。
磁化モード電圧指令演算部13内のQ軸電流指令演算部30は、予測される磁束量量φsimuとD軸電流Idとに基づき、実トルクがトルク指令Tmに一致するようにQ軸電流指令Iqを演算する。Q軸電流の追従性は、上述したように、磁石磁束の精度に対して重要な因子であり、追従性が悪い場合には磁石磁束の精度に悪影響がある。さらに、Q軸電流の誤差は、そのままトルクとなることから、磁化時の過渡トルクの要因となる。
本実施例において、減算器25、比例制御器26、Q軸FF電圧演算部27、及び積分制御器31により構成されるQ軸電流制御部は、実施例1と同様に、D軸電流制御部におけるD軸電流指令Idに対するD軸電流Idの追従性よりも、Q軸電流指令Iqに対するQ軸電流Iqの追従性が高くなるように設定されている。これは、Q軸電流制御部が比例積分制御を採用しているのに対し、D軸電流制御部が実施例1と同様に比例制御を採用しているからである。
したがって、Q軸電流は、磁化時においてD軸電流よりも電流指令に対して高い追従性を示し、従来のようなQ軸電流の低い追従性に起因する磁石磁束の精度悪化を回避することができる。
その他の作用は、実施例1と同様であり、重複した説明を省略する。なお、磁化を行う際における本実施例の可変磁束モータドライブシステムの各部の状態は、実施例1で説明した図8に示すタイムチャートと同様である。
上述のとおり、本発明の実施例2の形態に係る可変磁束モータドライブシステムによれば、実施例1と同様の効果を有する。本実施例の可変磁束モータドライブシステムは、D軸電流制御を行う際に比例制御を採用し、Q軸電流制御を行う際に比例積分制御を採用した構成とするのみであるため、例えばD軸電流制御部及びQ軸電流制御部がCPU等により構成されている場合には、内部のソフトウェアの変更のみでよく、容易に実現可能であるとともに大きな効果をもたらすことができる。
なお、Q軸電流制御部によるQ軸電流制御の追従性をより高めるために、実施例2の構成に加えて、磁化モード電圧指令演算部13内の比例制御器26は、比例制御器22よりも高いゲインを有する構成としてもよい。
次に、本発明の実施例3の可変磁束モータドライブシステムについて説明する。本実施例の構成は、実施例1の可変磁束モータドライブシステムの構成と基本的に同様である。ただし、磁化モード電圧指令演算部13内の構成について異なる点があるため、図7を参照して以下説明する。
図7に示すように、磁化モード電圧指令演算部13は、減算器21、比例制御器22、D軸FF電圧演算部23、加算器24、減算器25、比例制御器26、Q軸FF電圧演算部27、加算器28、磁束シミュレータ29、及びQ軸電流指令演算器30から構成され、DQ軸出力電圧指令Vd2,Vq2を演算して出力する。
減算器21、比例制御器22、及びD軸FF電圧演算部23は、本発明のD軸電流制御部を構成し、磁化電流指令演算部17により出力されたD軸電流指令Idに基づいてD軸電流を制御する。
減算器21は、本発明のD軸電流偏差算出部に対応し、磁化電流指令Imagに基づくD軸電流指令Idと実際のD軸電流Idとの偏差であるD軸電流偏差を算出して比例制御器22に出力する。
比例制御器22は、本発明の第1比例制御器に対応し、減算器21により算出されたD軸電流指令Idと実際のD軸電流Idとの差に対して比例ゲインKp_Dを乗じる。
減算器25、比例制御器26、及びQ軸FF電圧演算部27は、本発明のQ軸電流制御部を構成し、Q軸電流指令演算部30により出力されたQ軸電流指令Iqに基づいてQ軸電流を制御する。
減算器25は、実施例1と異なり、Q軸電流指令Iqと実際のQ軸電流Iqとの差(Q軸電流偏差)を算出するのみならず、1以上の重み係数を乗じる。すなわち、減算器25は、本発明のQ軸電流偏差算出部に対応し、Q軸電流指令IqとQ軸電流Iqとの偏差である第1Q軸電流偏差を算出するとともに、第1Q軸電流偏差に1以上の重み係数を乗じて第2Q軸電流偏差を算出する。
なお、重み係数を乗じる部分は、減算器25とは別に設けられた構成であってもよい。その場合には、減算器25は、実施例1と同一の動作を行う。
D軸電流制御部とQ軸電流制御部とは、D軸電流偏差と第2Q軸電流偏差とからなる電流偏差ベクトルの大きさが小さくなるようにインバータ1の出力電圧を制御する。DQ軸電流制御の詳細な動作については、後述する。
減算器25、比例制御器26、及びQ軸FF電圧演算部27により構成されるQ軸電流制御部は、D軸電流制御部におけるD軸電流指令Idに対するD軸電流Idの追従性よりも、Q軸電流指令Iqに対するQ軸電流Iqの追従性が高くなるように設定されている。これは、減算器25が1以上の重み係数を乗じる構成であるからである。したがって、比例制御器26は、実施例1のように比例制御器22よりも高いゲインを有する必要は無い。
その他の構成は、実施例1と同様であり、重複した説明を省略する。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。磁化を必要としない通常モードについては、実施例1と同様であるため説明を省略する。また、磁化を必要とする磁化モードについても、磁化モード電圧指令演算部13以外における作用は、実施例1と同様であり、重複した説明を省略する。
図12は、本実施例の可変磁束モータドライブシステムにおける電圧・電流ベクトルを示す座標図である。図12中に記載された円は、インバータ1が出力可能な電圧の範囲を出力電圧リミットとして示すものである。すなわち、出力電圧リミット内において、インバータ1は自由に電圧を出力できる。なお、出力電圧リミットは、インバータ1が出力可能な最大電圧か、あるいは故意に最大電圧よりも小さいレベルに設定するものである。
図12において、磁化モードに切り替った時点でのDQ軸電流は、Idqである。また、磁化電流指令演算部17は、磁束指令演算部12により出力された磁束指令φに基づき、必要な磁化電流を計算し、磁化電流指令Imagを生成して出力し、当該磁化電流指令Imagに基づくD軸電流指令Idが磁化モード電圧指令演算部13内に入力される。さらに、Q軸電流指令演算部30は、予測される磁束量量φsimuとD軸電流Idとに基づき、実トルクがトルク指令Tmに一致するようにQ軸電流指令Iqを演算して出力する。これらのD軸電流指令IdとQ軸電流指令IqとによるDQ軸平面上のベクトルがDQ軸電流指令Idqである。
DQ軸電流偏差ベクトルΔI1は、ΔI1=Idp−Idqで計算される。このDQ軸電流偏差ベクトルΔI1は、D軸電流偏差算出部である減算器21により算出されたD軸電流偏差と、Q軸電流偏差算出部である減算器25により算出された第1Q軸電流偏差とをDQ軸上にとることで表される。
さらに、減算器25は、上述したように、第1Q軸電流偏差に1以上の重み係数を乗じて第2Q軸電流偏差を算出する。DQ軸電流偏差ベクトルΔI2は、減算器21により算出されたD軸電流偏差と、減算器25により算出された第2Q軸電流偏差とをDQ軸上にとることで表される。
このDQ軸電流偏差ベクトルΔI2は、Q軸の追従性を上げるためにQ軸偏差に重み付け(重み係数K=1以上)をしたものである。ここで、ΔI1=(ΔId,ΔIq)とすると、ΔI2=(ΔId,K×ΔIq)である。
一方、D軸FF電圧演算部23は、Q軸電流指令IqとD軸電流Idとに基づき、D軸フィードフォワード電圧VdFFを演算して出力する。また、Q軸FF電圧演算部27は、Q軸電流指令IqとD軸電流Idと磁束量φsimuとに基づき、Q軸フィードフォワード電圧VqFFを演算して出力する。これらの演算結果より、DQ軸上におけるフィードフォワード電圧VdqFFのベクトルは、図12のように表される。
D軸電流制御部とQ軸電流制御部とは、所定の出力電圧基準(フィードフォワード電圧VdqFF)を基点に、電流偏差ベクトルΔI2方向にインバータ1の出力電圧を補償する。具体的には、比例制御器22と比例制御器26とは、重み付けされた電流偏差ベクトルΔI2をG倍した値を比例ゲインとして乗じる。したがって、比例ゲインKp_Dは、Kp_D=G×ΔIdとなる。また、比例ゲインKp_Qは、Kp_Q=G×K×ΔIqとなる。
最終的に磁化モード電圧指令演算部13から出力される出力電圧指令Vdq2は、フィードフォワード電圧VdqFFを基点にして、重み付けされた電流偏差ベクトルΔI2をG倍して演算されたものとなる。
比例制御器22と比例制御器26とは、DQ軸出力電圧指令Vdq2=(Vd2,Vq2)が、出力電圧リミット上にくるように、ゲインGを決定する。すなわち、比例制御器22と比例制御器26とは、ゲインGを決定するために、フィードフォワード電圧VdqFFの情報と、DQ軸電流偏差ベクトルΔI2の情報と、出力電圧リミットの情報を予め各部から得ているものとする。
本実施例の可変磁束モータドライブシステムは、図示されないリミット算出部を備えている。このリミット算出部は、インバータ1により可能な出力電圧の大きさの範囲(出力電圧リミット)を算出する。
比例制御器22と比例制御器26とは、リミット算出部から出力電圧リミットの情報を得て、ゲインGを決定する。言い換えれば、D軸電流制御部とQ軸電流制御部とは、インバータ1の出力電圧を補償する際に、リミット算出部により算出された範囲内に出力電圧が制限されるように補償量を決定する。
その他の作用は、実施例2と同様であり、重複した説明を省略する。
上述のとおり、本発明の実施例3の形態に係る可変磁束モータドライブシステムによれば、以上説明したように磁化モード電圧指令演算部13が動作することにより、D軸電流の偏差よりもQ軸電流の偏差が重視される構成となり、Q軸電流の追従性を向上することができる。したがって、本実施例の可変磁束モータドライブシステムは、実施例1,2と同様に、Q軸電流の追従性を優先した電流制御系を構築して磁束精度の劣化や過渡トルクの発生を防止することができる。
一般的に、磁化を最短で行うためには、可能な範囲で最大の電圧をインバータ1から出力する必要がある。そこで、D軸電流制御部とQ軸電流制御部とは、出力電圧リミット上に出力電圧指令Vdq2が来るようにゲインGを決定することにより、可能な限り最短時間の磁化を可能にすることができる。ゲインGを決定する際に、Q軸方向に重み付けされた電流偏差ベクトルΔI2を使用しているため、Q軸電流制御部は、D軸電流の追従性よりもQ軸電流の追従性が高くなるように設定された構成を有するといえる。
本発明に係る可変磁束モータドライブシステムは、固定磁石と可変磁石とを有する可変磁束モータを駆動する可変磁束モータドライブシステムに利用可能である。
本発明の実施例1の形態の可変磁束モータドライブシステムの構成を示すブロック図である。 可変磁束モータの簡易モデル図である。 本発明の実施例1の形態の可変磁束モータドライブシステムで使用される可変磁束モータの断面図である。 本発明の実施例1の形態の可変磁束モータドライブシステムで使用される可変磁束モータのBH特性図である。 種々の材料の永久磁石のBH特性図である。 本発明の実施例1の形態の可変磁束モータドライブシステムの電圧指令演算部の詳細な構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1の形態の可変磁束モータドライブシステムの電圧指令演算部内における磁化モード電圧指令演算部の詳細な構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1の形態の可変磁束モータドライブシステムの磁化を行う際における各部の状態を示すタイムチャート図である。 従来の可変磁束モータドライブシステムにおける各部の電圧電流波形を示す図である。 本発明の実施例1の形態の可変磁束モータドライブシステムにおける各部の電圧電流波形を示す図である。 本発明の実施例2の形態の可変磁束モータドライブシステムの磁化モード電圧指令演算部の詳細な構成を示すブロック図である。 本発明の実施例3の形態の可変磁束モータドライブシステムにおける電圧・電流ベクトルを示す座標図である。 従来の可変磁束モータドライブシステムにおいて電流位相角に対する無負荷電圧を示す図である。
符号の説明
1 インバータ
2 電流検出器
3 直流電源
4 可変磁束モータ
5 座標変換部
6 PWM回路
7 座標変換部
8 擬似微分器
9 トルク指令生成部
10 電圧指令演算部
11 電流基準演算部
12 磁束指令演算部
13 磁化モード電圧指令演算部
14 磁化要求生成部
15 ゲート指令生成部
16 運転指令生成部
17 磁化電流指令演算部
18 回転角度センサ
19 切替器
20 通常モード電圧指令演算部
21 減算器
22 比例制御器
23 D軸FF電圧演算部
24 加算器
25 減算器
26 比例制御器
27 Q軸FF電圧演算部
28 加算器
29 磁束シミュレータ
30 Q軸電流指令演算部
31 積分制御器
32 加算器
51 回転子
52 回転子鉄心
53 低保磁力永久磁石
54 高保磁力永久磁石
55 鉄心の磁極部

Claims (6)

  1. 低保持力の永久磁石である可変磁石を有する永久磁石電動機と、
    前記永久磁石電動機を駆動するとともに前記可変磁石の磁束を制御するための磁化電流を供給するインバータと、
    前記可変磁石の磁束軸方向をD軸とした場合に、必要とされる前記磁化電流に基づくD軸電流指令を出力するD軸電流指令演算部と、
    前記D軸に直交する方向をQ軸とした場合に、前記永久磁石電動機に対して必要とされるトルクに基づいて必要なQ軸電流を算出し、Q軸電流指令を出力するQ軸電流指令演算部と、
    前記D軸電流指令演算部により出力されたD軸電流指令に基づいてD軸電流を制御するD軸電流制御部と、
    前記Q軸電流指令演算部により出力されたQ軸電流指令に基づいてQ軸電流を制御するQ軸電流制御部とを備え、
    Q軸電流制御部は、D軸電流制御部におけるD軸電流指令に対するD軸電流の追従性よりも、Q軸電流指令に対するQ軸電流の追従性が高くなるように設定されていることを特徴とする可変磁束モータドライブシステム。
  2. 前記D軸電流制御部は、前記D軸電流指令と実際のD軸電流との差に対してゲインを乗じる第1比例制御器を有し、
    前記Q軸電流制御部は、前記Q軸電流指令と実際のQ軸電流との差に対してゲインを乗じる第2比例制御器を有し、
    前記第2比例制御器は、前記第1比例制御器よりも高いゲインを有することを特徴とする請求項1記載の可変磁束モータドライブシステム。
  3. 前記D軸電流制御部は、比例制御によりD軸電流を制御し、
    前記Q軸電流制御部は、比例積分制御によりQ軸電流を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の可変磁束モータドライブシステム。
  4. 前記D軸電流制御部は、前記D軸電流指令とD軸電流との偏差であるD軸電流偏差を算出するD軸電流偏差算出部を有し、
    前記Q軸電流制御部は、前記Q軸電流指令とQ軸電流との偏差である第1Q軸電流偏差を算出するとともに前記第1Q軸電流偏差に1以上の重み係数を乗じて第2Q軸電流偏差を算出するQ軸電流偏差算出部を有し、
    前記D軸電流制御部と前記Q軸電流制御部とは、前記D軸電流偏差と前記第2Q軸電流偏差とからなる電流偏差ベクトルの大きさが小さくなるように前記インバータの出力電圧を制御することを特徴とする請求項1記載の可変磁束モータドライブシステム。
  5. 前記D軸電流制御部と前記Q軸電流制御部とは、所定の出力電圧基準を基点に前記電流偏差ベクトル方向に前記インバータの出力電圧を補償することを特徴とする請求項4記載の可変磁束モータドライブシステム。
  6. 前記インバータにより可能な出力電圧の大きさの範囲を算出するリミット算出部を備え、
    前記D軸電流制御部と前記Q軸電流制御部とは、前記インバータの出力電圧を補償する際に、前記リミット算出部により算出された範囲内に前記出力電圧が制限されるように補償量を決定することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の可変磁束モータドライブシステム。
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