JP7152650B2 - モータ駆動装置 - Google Patents

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Description

本開示は永久磁石を用いたモータに関する。
永久磁石を用いたモータに対し、当該永久磁石の磁束密度を、モータに流れる電流を利用して可変とする技術が公知である(例えば特許文献1)。
特開2010-259195号公報
モータを回転させるために当該モータには電流が供給される。当該モータが有する永久磁石の磁束密度を可変とするための電流を更にモータへ供給すると、電流がその上限として設定された制限値を超える可能性がある。本開示は、モータに流れる電流の低減に関する。
モータ駆動装置(10)の第1の態様は、第1の残留磁束密度(Br1)を有する第1の永久磁石(111)を有する界磁子(11)と、交流の第1の電流(I1)が流れて交番磁界(H1)を発生させ、第2の電流(I2)が流れて前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更する磁界である変更磁界(H2)を発生させる電機子巻線(121)を有し、前記交番磁界によって前記界磁子に対して相対的に回転する電機子(12)とを有するモータ(1)を駆動する装置である。そして前記第1の電流と前記第2の電流とを前記電機子巻線に供給する交流電源(2)と、前記交流電源に対し、前記第1の電流の振幅(|I1|)を脈動させ、前記振幅が極大値を採るタイミング(tM)を避けて前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させる制御部(4)とを備える。
モータ駆動装置(10)の第2の態様は、冷凍回路(9)に備えられ、前記冷凍回路を循環する冷媒(F)を圧縮する圧縮機(91)に採用されるモータ(1)を駆動する装置である。そして前記冷凍回路には、前記圧縮機から吐出される前記冷媒の圧力と前記圧縮機に吸入される前記冷媒の圧力との差である圧力差を前記圧縮機の外部で調整する圧力差調整機構(92,93)も備えられる。前記モータは、第1の残留磁束密度(Br1)を有する第1の永久磁石(111)を有する界磁子(11)と、第1の電流(I1)が流れて交番磁界(H1)を発生させ、第2の電流(I2)が流れて前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更する磁界である変更磁界(H2)を発生させる電機子巻線(121)を有し、前記交番磁界によって前記界磁子に対して相対的に回転する電機子(12)とを有する。前記装置は、前記第1の電流と前記第2の電流とを前記電機子巻線に供給する交流電源(2)と、前記圧力差調整機構によって前記圧力差が低下してから(S401,S501)、前記交流電源に対して前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させ(S402,S503)る制御部(4)とを備える。
モータ駆動装置の第3の態様は、その第1の態様または第2の態様であって、前記制御部(4)は前記交流電源に対し、前記第2の電流を前記電機子巻線に繰り返し(t1~t6)供給させる。
モータ駆動装置の第4の態様は、その第1の態様から第3の態様のいずれかであって、前記制御部(4)は前記交流電源に対し、前記交番磁界によって前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更することなく電機子鎖交磁束を弱めて(S601)から、前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させる(S602)。
モータ駆動装置の第5の態様は、その第1の態様から第4の態様のいずれかであって、前記交流電源(2)は直流電圧(Vdc)を交流電圧(Vac)に変換して前記第1の電流(I1)と前記第2の電流(I2)とを生成し、前記制御部(4)は前記交流電源に対し、前記直流電圧が正の第1の閾値(δ)以上を採る第1種期間(D)内に、前記第2の電流を供給させる(S202)。
モータ駆動装置の第6の態様は、その第5の態様であって、前記制御部(4)は前記交流電源(2)に対して、前記第1種期間(D)と、前記第1の電流の振幅(|I1|)がその極大値以下の正の第2の閾値(ε)未満の期間である第2種期間(E)とが重ならない事象が、所定回数(K)以上の回数で検出された場合(S204)、前記第1の電流(I1)の位相をシフトさせ(S205)、前記第1種期間と前記第2種期間とが重なる期間において前記第2の電流(I2)を供給させる(S202)。
モータ駆動装置の第7の態様は、その第6の態様であって、前記制御部(4)は、前記モータ(1)の回転中に前記モータの回転速度(ω)を周波数に換算した値が、前記直流電圧の脈動する周波数(ω0)または脈動する周波数(ω0)の整数分の一であるときを避けて前記交流電源(2)に対して前記第2の電流(I2)を供給させる(S304)。
モータ駆動装置の第8の態様は、その第1の態様から第7の態様のいずれかであって、前記界磁子(11)は第2の残留磁束密度(Br2)を有する第2の永久磁石(112)を更に備え、前記第1の永久磁石(111)と前記第2の永久磁石(112)が前記界磁子の界磁磁束(φr)を発生させ、前記変更磁界(H2)は前記第2の残留磁束密度を不可逆的に変更しない。
本開示によれば、モータに流れる電流の低減が容易である。
この実施の形態で説明される技術を適用できるモータ1の構造を示す断面図である。 モータ駆動装置の構成を、その周辺と共に例示するブロック図である。 負荷トルクの波形と、電流の振幅の波形とを関連づけて示すグラフである。 電流の波形を示すグラフである。 複数の圧縮機構を有する圧縮機の構成をモータ1と共に例示するブロック図である。 負荷トルクの波形と、電流の振幅の波形とを関連づけて示すグラフである。 残留磁束変更処理のルーチンを示すフローチャートである。 増磁処理と減磁処理の概要を示すベクトル図である。 電流の振幅を示すグラフである。 増磁処理における電流の振幅と、界磁磁束の大きさとを示すグラフである。 増磁処理時の電流の振幅の波形を示すグラフである。 増磁処理時の電流の振幅の波形を示すグラフである。 脈動する直流電圧と、電流の振幅との関係を示すグラフである。 脈動する直流電圧と、電流の振幅との関係を示すグラフである。 位相シフト処理のルーチンを示すフローチャートである。 脈動する直流電圧と、電流の振幅との関係を示すグラフである。 回転速度と、その指令値との関係を例示するグラフである。 途中増減磁処理のルーチンを示すフローチャートである。 負荷操作減磁処理を例示するフローチャートである。 負荷操作増磁処理を例示するフローチャートである。 冷凍回路の構成を例示するブロック図である。 凝縮器の内部構成をその周辺と共に示すブロック図である。 出力操作増減磁処理を例示するフローチャートである。 弱め磁束減磁処理を示すフローチャートである。 永久磁石の磁化曲線を示すグラフである。
図1はこの実施の形態で説明される技術を適用できるモータ1の構造を示す断面図である。当該断面はモータ1の回転軸Jに垂直である。
モータ1は界磁子11と電機子12とを有する。界磁子11はコア110と永久磁石111,112とを有する。永久磁石111は残留磁束密度Br1(後に説明される図25も参照)を有し、永久磁石112は残留磁束密度Br2(後に説明される図25も参照)を有する。図1では永久磁石111,112がコア110に埋め込まれた構成が例示されており、モータ1はいわゆる埋め込み磁石型同期電動機として例示されるが、表面磁石型同期電動機であってもよい。永久磁石111,112はそれぞれ界磁磁束φ1,φ2を発生し、界磁磁束φ1,φ2の合成である界磁磁束φrが電機子121に与えられる。
コア110には開孔113が回転軸Jに平行に開き、開孔113には不図示のシャフトが固定される。
電機子12は電機子巻線121と、ティース122と、バックヨーク123とを有する。電機子巻線121はティース122に巻回される。バックヨーク123は複数のティース122を界磁子11と反対側で連結する。図1では電機子巻線121とティース122とは、その一部のみが示されているが、ティース122は界磁子11の周囲に環状に配置されている。図1ではモータ1がいわゆるインナーロータ型の構成を採っている場合が例示されるが、アウターロータ型の構成を採ってもよい。図1では電機子巻線121は集中巻でティース122に設けられている構成が例示されるが、電機子巻線121として分布巻の構成が採用されてもよい。
電機子巻線121に交流の電流I1(図1では図示省略)が流れて交番磁界H1が発生する。電機子12は交番磁界H1によって界磁子11に対して相対的に回転する。例えば電機子12は不図示の他の部材に固定され、界磁子11が回転軸Jを中心として回転する。
電機子巻線121に電流I2(図1では図示省略)が流れて変更磁界H2が発生する。変更磁界H2は残留磁束密度Br1を不可逆的に変更する磁界である。例えば残留磁束密度Br2は変更磁界H2によって不可逆的に変更されない。例えば永久磁石112の保磁力Hc2は永久磁石111の保磁力Hc1よりも大きい(後に説明される図25も参照)。交番磁界H1、変更磁界H2の合成である電機子磁界Hsが界磁子11に与えられる。
図2はモータ駆動装置10の構成を、その周辺と共に例示するブロック図である。モータ駆動装置10はモータ1を駆動する。モータ駆動装置10は、モータ1に、より正確には電機子巻線121に電流iaを供給する。電流iaは上述の電流I1,I2の合成である。
モータ駆動装置10は、交流電源2、整流回路3、制御部4を有する。制御部4は交流電源2に対して後述するやり方で電流iaを電機子巻線121に供給させる。整流回路3は交流電圧Viを直流電圧Vdcへ変換する。図2では交流電圧Viはモータ駆動装置10の外部にある交流電源8から供給される場合が例示される。
図2では、交流電源2が、直流電圧Vdcを交流電圧Vacに変換するインバータである場合が例示される。交流電圧Vacはモータ1に印加される。例えばモータ1が三相モータであれば、交流電圧Vacは三相の交流電圧であり、電流I1は三相の交流電流である。
交流電源2の動作は制御信号Gによって制御される。制御信号Gは制御部4によって生成され、交流電源2へ出力される。制御部4は,モータ1の回転速度ωの指令値ω*と、直流電圧Vdcおよび電流iaの測定結果とを用いて制御信号Gを生成する。一般にこのような制御信号Gの生成および制御信号Gによってインバータの動作を制御することは周知の技術であるので、詳細は省略する。
モータ1は負荷91を駆動する。例えば負荷91は冷媒を圧縮する圧縮機である。当該圧縮機にモータ1を含めて捉えることもできる。
図3は負荷91のトルクである負荷トルクの波形と、電流I1の振幅|I1|の波形とを関連づけて示すグラフである。図4は電流I1の波形を示すグラフである。ここでは電流I1が三相の交流電流である場合を例示した。電流の相の相違は、波形を描く線種の相違で表した。図3および図4の横軸には時間tを採った。振幅|I1|は、電流I1の波形の包絡線の値として捉えることができる。
通常、モータ1あるいは交流電源2の保護のため、電流iaの振幅には上限が定められる。図3ではこの上限を上限値ia0とした。当然ながら振幅|I1|も上限値ia0よりも小さく制御される。
図3では、負荷トルクが周期的に脈動している場合が例示された。このような負荷トルクは、例えば負荷91として上述した(冷媒圧縮用の)圧縮機を採用した場合に発生する。モータ1が出力するトルクである出力トルクが負荷トルクに対応するように、振幅|I1|も脈動させる。これは一般的に、振幅|I1|が大きいと出力トルクも大きいからである。
つまり、電流I1の振幅|I1|は周期的に脈動し、当該脈動の基本周期が負荷トルクの脈動の基本周期と等しく設定される。よって電流I1の振幅|I1|が極大値を採るタイミングは、負荷トルクが極大値を採るタイミングである。また負荷トルクはモータ1の機械角として換算した一周期で周期的に変動するので、電流I1の振幅|I1|が極大値を採るタイミングは、当該一周期の中での最大値である。
但し、負荷91が、例えば複数の圧縮機構を有する圧縮機である場合には、負荷トルクの変動が小さくなるように圧縮機構がモータ1に、より具体的には不図示のシャフトで連結される。図5はかかる圧縮機の構成をモータ1と共に例示するブロック図である。図5の負荷91は二つの圧縮機構913,914を有しており、いずれもモータ1に連結されて駆動される。冷媒(不図示)は負荷91の吸入口911を経由して圧縮機構913,914へ分岐して流れる。圧縮機構913,914で圧縮された冷媒は合流して負荷91の吐出口912から流れ出る。圧縮機構913,914は互いに逆相で配置されることにより、負荷トルクの脈動が低減される。この場合には、機械角としての一周期において、負荷トルクは二つの極大値を採る。
図6は負荷トルクの波形と、電流I1の振幅|I1|の波形とを関連づけて示すグラフである。図6の横軸には時間tを採った。図6では上述のように負荷トルクの変動が小さい場合を例示した。このような負荷トルクに対しては、出力トルクを変動させなくても、例えば圧縮機構913,914は慣性力による動作によって圧縮機構913,914の速度の脈動は小さい。よって振幅|I1|も上限値ia0よりも小さな一定値Icに制御される。
さて、回転速度ωの上昇によりモータ1の逆起電力が高まることに鑑み、界磁磁束φ1,φ2の合成である界磁磁束φrを変更する。以下の説明では永久磁石111の残留磁束密度Br1を不可逆的に変更する。回転速度ωを上昇させる場合には指令値ω*を上昇させ、回転速度ωを下降させる場合には指令値ω*を下降させる。よって指令値ω*の大きさによって、残留磁束密度Br1を不可逆的に増大させる(以下「増磁処理」と仮称)か、不可逆的に減少させる(以下「減磁処理」と仮称)かを選択する処理(以下「残留磁束変更処理」)を行う。
図7は残留磁束変更処理のルーチンを示すフローチャートである。当該ルーチンは例えば不図示のメインルーチンに対する割り込み処理であり、割り込み処理によって開始し、当該ルーチンの終了により処理はメインルーチンに復帰する。当該ルーチンは、例えばメインルーチンと共に、制御部4で行われる。
残留磁束変更処理が開始すると、まずステップS101が実行される。ステップS101では指令値ω*が変更されたか否かが判断される。指令値ω*が変更されなければ分岐「No」に従って当該ルーチンは終了し、処理はメインルーチンに復帰する。指令値ω*が変更されれば、分岐「Yes」に従ってステップS102が実行される。
ステップS102では指令値ω*が上昇したか否かが判断される。指令値ω*が上昇すれば分岐「Yes」に従ってステップS103が実行され、上昇しなければ分岐「No」に従ってステップS105が実行される。
ステップS103では指令値ω*が閾値ωcよりも大きいか否かが判断される。ここで閾値ωcは増磁処理を行うか減磁処理を行うかを選択するために採用される。指令値ω*が閾値ωcよりも大きければ分岐「Yes」に従ってステップS104の減磁処理が実行される。モータ1の逆起電力を低下させるためである。
指令値ω*が閾値ωc以下であれば、指令値ω*は上昇するものの、減磁処理が望ましい程度にまで逆起電力を大きくする値ではない。よって分岐「No」に従って当該ルーチンは終了し、処理はメインルーチンに復帰する。
ステップS105では指令値ω*が閾値ωcよりも小さいか否かが判断される。指令値ω*が閾値ωcよりも小さければ分岐「Yes」に従ってステップS106の増磁処理が実行される。モータ1の逆起電力の影響は小さく、トルクの増大を優先させるためである。
指令値ω*が閾値ωc以上であれば、指令値ω*は低下するものの、増磁処理によってモータ1の逆起電力を増大させることは望まれない。よって分岐「No」に従って当該ルーチンは終了し、処理はメインルーチンに復帰する。なお、増磁処理と減磁処理とでは、閾値ωcを異ならせてもよい。
図8は増磁処理と減磁処理の概要を示すベクトル図である。横軸および縦軸にはそれぞれd軸電流idとq軸電流iqを採用し、両者の単位を揃えた。d軸電流idは電流iaのうち界磁磁束φrと同相の成分であり、q軸電流iqは電流iaのうち界磁磁束φrに対して90度で進相する成分である。電流iaを示す電流ベクトルは、id=iq=0となる原点Oを始点とすると、終点は上限値ia0を半径とする円の内部に留められる。
領域M0は増磁処理も減磁処理も行われないときに、電流iaの終点が存在する領域である。界磁磁束φrの大きさを変えないで電機子鎖交磁束を低下させる、いわゆる弱め磁束制御で採用される電流iaの終点も領域M0に存在する。
領域Mmは減磁処理を行うときに電流iaの終点が存在する領域である。領域Mmではd軸電流idが負であり、値idmよりも小さい。値idmは、弱め磁束制御で採用されるd軸電流idの絶対値よりも更に絶対値が大きな負の値である。
このように絶対値が大きな負の値を有するd軸電流idにより、残留磁束密度Br1が不可逆的に減少し、界磁磁束φ1が低下する。よって一旦、減磁処理が行われれば増磁処理が行われない限り、減少した残留磁束密度Br1は維持される。
領域Mpは増磁処理を行うときに電流iaの終点が存在する領域である。領域Mpではd軸電流idが正であり、値idpよりも大きい。このように大きな正の値を有するd軸電流idにより、残留磁束密度Br1が不可逆的に増大し、界磁磁束φ1が増大する。よって一旦、増磁処理が行われれば減磁処理が行われない限り、増大した残留磁束密度Br1は維持される。
増磁処理および減磁処理のいずれも、d軸電流idの絶対値を増大させる。q軸電流iqはモータ1のトルクに寄与するので、これを維持して増磁処理および減磁処理のいずれを行っても、電流iaの振幅が増大する(但し本実施の形態においてq軸電流iqの維持は必須ではない)。そしてこのように増大する振幅も上限値ia0未満(あるいは上限値ia0以下:以下同様)に設定される。
図9は電流I1,I2のそれぞれの振幅|I1|,|I2|を示すグラフである。振幅|I1|は実線で描かれ、振幅|I2|は破線で描かれる。但し、図3に示されたように、電流I1が周期的に極大値を呈する場合について示された。図9では電流I1が極大値を採るタイミングを時点tMとして示した。振幅|I2|は電流I2の波形の包絡線の値として捉えることができる。電流I2が流れていないときの振幅|I1|は、電流iaを検出し、これから振幅|ia|を求めることで得られる。
電流I2は、図9では、振幅|I1|が非常に小さい(ほぼ零)タイミングでのみ流れる。図9ではこのタイミングを時点tmとして示した。電流I1,I2の合成である電流iaの振幅|ia|は、図9においては破線が描かれた期間においてほぼ振幅|I2|と一致し、実線のみ描かれた期間においてほぼ振幅|I1|と一致する。振幅|ia|は、電流iaの波形の包絡線の値として捉えることができる。
このように、電流I2を流すタイミングを電流I1が脈動するタイミングに基づいて設定することにより、振幅|ia|を上限値ia0未満に設定し易い。
図9では電流I2が流れるタイミングは、振幅|I1|が非常に小さい(ほぼ零)時点tmに設定された場合が例示される。なるほど、振幅|ia|を上限値ia0未満に設定しつつ振幅|I2|を大きくして増磁処理あるいは減磁処理を行う観点からは、このような時点tmにおいて電流I2を流すことが望ましい。
しかしながら、振幅|ia|が上限値ia0未満となるならば、電流I2が流れるタイミングは、他のタイミングに選定されてもよい。時点tM以外で電流I2を流す場合は、時点tMで電流I2を流す場合と比較して、振幅|ia|を上限値ia0未満にしつつ大きくし易いからである。
換言すると、電流I1の振幅|I1|が脈動しており、これが極大値を採るタイミングを避けて電流I2を電機子巻線121に供給することが望ましい。このようにした電流iaの供給は、制御部4が交流電源2に行わせることができる。かかる供給は、増磁処理あるいは減磁処理を行う場合であっても、モータ1に流れる電流iaを低減する観点で望ましい。振幅|I1|が極大値を採るタイミングは、電流I1の位相から求めることができる。
なお、負荷トルクの変動が小さい場合、図6に示されるように振幅|I1|が平坦な波形を呈する電流I1を採用すると、電流I2を流すタイミングを設定しにくい。そこで、負荷トルクの変動が小さい場合であっても、振幅|I1|が脈動する電流I1を採用する。この場合においても、振幅|I1|は周期的に脈動し、当該脈動の基本周期が負荷トルクの脈動の基本周期と等しく設定される。そして振幅|I1|が極大値を採るタイミングを避けて電流I2を流す。例えば振幅|ia|の平均値|ia|バー(図9では符号|ia|に上線を付記して示す)が、図6の一定値Icに等しくなるように電流I1,I2が設定される。電流I2が流れる期間の総和が短い場合、平均値|ia|バーに対する振幅|I2|の寄与は小さいので、電流I2の設定を省略し、平均値|ia|バーが一定値Icに等しくなるように電流I1のみを設定してもよい。
着磁処理および減磁処理のいずれにおいても、電流I2を複数のタイミングで繰り返して流してもよい。これは電流I2を連続して流す期間を短くして交流電源2やモータ1の発熱を抑制する観点で望ましい。また電流I2による振幅|ia|の増大を抑制しつつも、着磁処理および減磁処理の効果を高める観点でも望ましい。
図10は増磁処理における振幅|I1|,|I2|と、界磁磁束φrの大きさ|φr|とを示すグラフである。横軸には時間tを採った。電流I2が流れるタイミングとして時刻t1,t2,t3(t1<t2<t3)を示した。時刻t1,t2,t3は時点tMを避け、ここでは図9と同様に、振幅|I1|が非常に小さい(ほぼ零)時点に設定される。
永久磁石111は電流I2が流れる毎に増磁され、大きさ|φr|は段階的に増大する。大きさ|φr|がその目標値|φr|*を超えると、それ以上の増磁処理は不要であり、電流I2は流れない。
図10では大きさ|φr|が増大することにより、出力トルクに必要な電流I1の振幅|I1|の極大値は低下することが現れている。よって振幅|I1|の極大値の値から、大きさ|φr|がその目標値|φr|*を超えたか否かを判断することができる。
振幅|I1|の極大値の低下は、交流電源2やモータ1の発熱の低下を招来する。よって振幅|I2|は、電流I2を流すタイミングが後になるほど(図10に即して言えば時刻t1よりも時刻t2の方が、時刻t2よりも時刻t3の方が)、大きくすることができる。図10ではそのような振幅|I2|の増大が現れている。
着磁処理および減磁処理のいずれにおいても、電流I2を複数のタイミングで流すことは、電流I2による振幅|ia|の増大を抑制しつつも、着磁処理および減磁処理の効果を高める観点でも望ましい。
図11および図12は、いずれも増磁処理時の振幅|ia|の波形を示すグラフであり、横軸には時間tを採った。図11および図12は、図6に類似して、電流I2が流れずに振幅|ia|が一定値Ic1を採っていた状態を想定する。
図11に示される場合では、振幅|ia|がかかる状態にあったところ、時刻t0近傍において電流I2が流れ、振幅|ia|は急激に増大して上限値ia0を超える。その後に、界磁磁束φrの増大に起因して、出力トルクの維持に必要な電流I1の振幅|I1|は低下し、振幅|ia|が一定値Ic2を採る。しかしこのように振幅|ia|が上限値ia0を超えることは望ましくない。
図12に示される場合では、振幅|ia|が一定値Ic1を採っていた状態にあったところ、時刻t4,t5,t6近傍において電流I2が流れ、振幅|I1|は段階的に低下する。このように電流I2を複数のタイミングで流すことで、電流I2による振幅|ia|の増大を抑制し、振幅|ia|が上限値ia0未満となる。
図10、図11、図12の説明から理解されるように、電流I2を複数のタイミングで流すことによる利点は、振幅|I1|が脈動する場合のみならず、一定値を採る場合においても得られる。
通常、直流電圧Vdcは平滑化される。しかし、交流電圧Viの周波数に応じた脈動成分を含む直流電圧Vdcが生成される場合がある。その例としては、例えば特開2014-027804号公報等で公知であり、いわゆる電解コンデンサレスインバータにおいて採用される。
直流電圧Vdcが交流電圧Viの周波数に応じた脈動成分を含む場合には、例えば整流回路3としては全波整流回路が採用される。そして交流電圧Viが単相交流電圧であった場合、交流電圧Viの基本周期の半分の周期で、直流電圧Vdcは大きく脈動する。直流電圧Vdcが脈動する周波数を直流脈動周波数と仮称する。
直流電圧Vdcが低いと交流電圧Vacも低くなり易く、交流電源2は振幅|I2|の大きさを、増磁処理あるいは減磁処理に必要な大きさにすることができない。
図13および図14は脈動する直流電圧Vdcと、振幅|I1|との関係を示すグラフである。横軸には時間tを採った。図13および図14では直流電圧Vdcが閾値δ(>0)以上である第1種期間Dと、振幅|I1|が閾値ε(>0)未満である第2種期間Eを併記した。
交流電源2が振幅|I2|の大きさを、増磁処理あるいは減磁処理に必要な大きさにできる観点から。直流電圧Vdcが閾値δ以上であることが望ましい。閾値δは所定の値に固定して設定してもよいし、直流電圧Vdcに依存した値であってもよい。閾値δの例として、直流電圧Vdcの平均値、直流電圧Vdcの最大値と最小値との相加平均、最大値に基づいた値が挙げられる。このように閾値δを得るために用いる直流電圧Vdcとしては、その推定値を採用してもよい。
振幅|ia|が上限値ia0を超えない観点からは、電流I2を流すタイミングは、振幅|I1|が閾値εよりも小さいことが望ましい。閾値εは振幅|I1|の極大値以下で選定される。
図13は第1種期間Dと第2種期間Eとが重ならない状況を示す。図14は第1種期間Dと第2種期間Eとが重なる状況、特に第1種期間Dが第2種期間Eに含まれる状況を示す。第1種期間Dと第2種期間Eとが重ならない状況は電流I2を流すのに適していない。第1種期間Dと第2種期間Eとが重なる状況は電流I2を流すのに適している。
上述のように振幅|I1|は周期的に脈動する。よって振幅|I1|の脈動する周期が、直流電圧Vdcが脈動する周期(直流脈動周波数の逆数)の整数倍である場合、第1種期間Dと第2種期間Eとが重なるか否かの関係は時間と共に変化することはない。
そこで第1種期間Dと第2種期間Eとが重複しない状況から第1種期間Dと第2種期間Eとが重なる状況に移行するために、電流I1の位相を変更することを一つの手法として例示する。
図15は電流I1の位相を変更する位相シフト処理のルーチンを示すフローチャートである。当該ルーチンは例えば不図示のメインルーチンに対する割り込み処理であり、割り込み処理によって開始し、当該ルーチンの終了により処理はメインルーチンに復帰する。当該ルーチンは、例えばメインルーチンと共に、制御部4で行われる。
位相シフト処理が開始すると、まずステップS201が実行される。ステップS201では第1種期間Dと第2種期間Eとが重なる期間が存在するか否かが判断される。第1種期間Dは直流電圧Vdcと閾値δとの比較によって、第2種期間Eは振幅|ia|と閾値εとの比較によって、それぞれ求められる。第1種期間Dと第2種期間Eとは直流電圧Vdcや振幅|ia|を検出して求めることができる。あるいはVdc≧δとなる直流電圧Vdcの位相や、|I1|<εとなる位相を予め計算して求めておき、それらの位相から第1種期間Dと第2種期間Eとを求めてもよい。
ステップS201の判断が肯定的であれば、分岐「Yes」に従って処理はステップS202に進む。ステップS202では第1種期間Dと第2種期間Eとが重なる期間で電流I2を流す。ステップS202が実行されれば当該ルーチンは終了し、処理はメインルーチンに復帰する。
ステップS201の判断結果が否定的であれば、第1種期間Dと第2種期間Eとが重ならない事象が発生しており、分岐「No」に従って処理はステップS203に進む。ステップS203は計数を増加させる。この計数は例えば制御部4において行われる。ステップS203の処理の後、ステップS204が実行される。
ステップS204では計数がK回を越えたか否かが判断される。ステップS204の判断が否定的であれば当該ルーチンは終了し、処理はメインルーチンに復帰する。ステップS204の判断が肯定的であれば、即ち上記の事象がK回を越えて検出されれば処理はステップS205に進む。ステップS205において電流I1の位相をシフトする。その後の処理はステップS206に進む。
ステップS206ではステップS203で増加された計数が初期化される。例えばステップS203での計数増加は値1の増加であり、ステップS206での初期化は計数を0にすることであり、ステップS204の判断は計数された値がKであるか否かの判断である。
ステップS203~S205の処理は、第1種期間Dと第2種期間Eとが重ならない事象が発生していることを確認する精度を、高める処理であると言える。
電流I1の位相をシフトする最小量は、例えば第1種期間Dと第2種期間Eとに依存して設定することができる。電流I1の位相をシフトする最大量は、例えば負荷トルクの波形と振幅|I1|の波形に依存して設定することができる。
電流I1の位相がシフトする量が大きいと、負荷トルクが極大となるタイミングと振幅|I1|が極大値を採るタイミングとがずれる量も大きいからである。但し、このようなタイミングのずれは、負荷トルクの変動が小さくても振幅|I1|を脈動させる場合には重要ではない。上述のように平均値|ia|バーが所定値を得ていれば足りるからである。よって負荷トルクの変動が小さい場合には電流I1の位相がシフトする量の最大値を定めなくてもよい。
図16は変動する直流電圧Vdcと、振幅|I1|との関係を示すグラフである。横軸には時間tを採った。図16では振幅|I1|が脈動する周波数が直流脈動周波数ではない場合を示す。このような場合、第1種期間と第2種期間とが重なるか否かの関係は時間と共に変化する。
具体的には第1種期間のうち図16において最も左側に図示された第1種期間D1は、第2種期間のうち図16において最も左側に図示された第2種期間E1と、近接するが重複はしない。よって第2種期間E1は電流I2を流す期間として適していない。
第1種期間のうち図16において中央に図示された第1種期間D2は、第2種期間のうち図16において中央に図示された第2種期間E2に含まれる。よって第2種期間E2は電流I2を流す期間として適する。
第1種期間のうち図16において右側に図示された第1種期間D3は、第2種期間のうち図16において右側に図示された第2種期間E3と重なる。よって第1種期間D3と第2種期間E3とが重なる期間は電流I2を流す期間として適する。
上述のように、振幅|I1|が脈動する基本周期は、負荷トルクの脈動の基本周期と等しく設定される。よって回転速度ωを周波数に換算した値(モータ1の回転周波数である)が、直流脈動周波数と異なっていることは、第1種期間と第2種期間とが重なる期間を得やすくする観点で望ましい。また、閾値δ,εの値によっては、回転周波数が直流脈動周波数の整数分の1である(直流脈動周波数を速度に換算した値ω0を導入すると、ω=ω0/N:Nは1以上の整数)ときを避けることが望ましい。ω=ω0/Nの関係にあれば、第1種期間と第2種期間とが重なるか否かの関係は時間と共に変化することはないからである。
図17は回転速度ωと、その指令値ω*との関係を例示するグラフである。横軸には時間tを採った。縦軸では回転速度ωと指令値ω*とのいずれについても周波数に換算した値を示している。以下の説明でもこれらの値について周波数に換算した説明を行う場合がある。
例えば直流脈動周波数が100Hzであるとする。これは交流電圧Vinが単相であってその周波数が商用周波数50Hzであり、整流回路3として全波整流回路が採用された場合に生じ得る。
時刻t7において指令値ω*に相当する周波数は30Hzから60Hzに移行する。これに伴い、回転速度ωに相当する周波数は時刻t7から時間の経過と共に上昇し、時刻t9において60Hzとなる。
このような回転速度ωの上昇に対して減磁処理が行われる場合、回転周波数が50のときに、電流I2を流すことは望ましくない。第1種期間と第2種期間とが重なる期間を得にくいからである。
図17の例示では時刻t7と時刻t9との間の時刻t8において回転周波数は40Hzであり、このときω=ω0・(4/5)であって、ω=ω0/Nの関係にはない。よってこのときに電流I2を流すことが望ましい。
図17では時刻t8の前後において回転周波数が40Hzに一定期間で維持されている場合が例示される。しかし、必ずしもかかる一定期間の維持は要しない。
回転速度ωの下降に対して増磁処理が行われる場合も同様に、ω=ω0/Nの関係にはない。よってこのときに電流I2を流すことが望ましい。
図18はモータ1が回転している途中に増磁処理あるいは減磁処理を行う途中増減磁処理のルーチンを示すフローチャートである。当該ルーチンは例えば不図示のメインルーチンに対する割り込み処理であり、割り込み処理によって開始し、当該ルーチンの終了により処理はメインルーチンに復帰する。当該ルーチンは、例えばメインルーチンと共に、制御部4で行われる。
途中増減磁処理が開始するとまずステップS301が実行される。ステップS301ではモータ1が回転中であるか否かが判断される。具体的には回転速度ωが所定の正の閾値を超えているか否かが判断される。かかる判断は例えば不図示の位置センサを用いて判断してもよいし、測定された電流iaを用いて判断することもできる。
ステップS301の判断結果が否定的であれば増磁処理および減磁処理を行わないので、当該ルーチンは終了し、処理はメインルーチンに復帰する。当該判断が肯定的であれば、処理はステップSS302に進む。
ステップS302では指令値ω*が変更されたか否かが判断される。ステップS302の判断結果が否定的であれば増磁処理および減磁処理を行わないので、当該ルーチンは終了し、処理はメインルーチンに復帰する。当該判断結果が肯定的であれば処理はステップSS303に進む。
メインルーチンでは指令値ω*に向けて回転速度ωを変更する処理が行われる。このような回転速度を変更する処理は、周知の技術であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
ステップS303ではω=ω0/Nの関係にあるか否かが判断される。ステップS303の判断結果が否定的であれば、電流I2を流すのに適した状態が得にくいので、増磁処理および減磁処理を行わずに当該ルーチンは終了し、処理はメインルーチンに復帰する。
ステップS303の判断結果が肯定的であれば、電流I2を流すのに適した状態が得やすいので、ステップS304において電流I2を流す処理が行われる。もちろん、ステップS304においても、S303の判断結果が肯定的であったことのみを契機として電流I2を流すのではなく、第1種期間と第2種期間とが重なる期間において電流I2を流す。通常、メインルーチンによって回転速度ωが変更される速度よりも、回転周波数や直流脈動周波数の方が高いので、ステップS303の判断結果が否定的な状態で第1種期間と第2種期間とが重なる期間において電流I2を流すことは、容易に実現される。
下記の場合においては、ステップS303で肯定的な判断が得られるタイミングが存在する。よって途中増減磁処理では、ステップS303で否定的な判断が得られたときにステップS304を実行する。
(i)指令値ω*を周波数に換算した値(「回転周波数指令値」と称す)が直流脈動周波数、または直流脈動周波数の整数分の一の周波数である分周脈動周波数へと、他の値から変更される場合;
(ii)回転周波数指令値が直流脈動周波数、または分周脈動周波数から他の周波数へと変更される場合;
(iii)回転周波数指令値が直流脈動周波数または分周脈動周波数を跨いで変更される場合。
上記(i)の場合とは、例えば直流脈動周波数が100Hzであって、回転周波数指令値が80Hzから100Hzへ、あるいは120Hzから100Hzへ変更される場合である。このような場合には、回転速度ωが指令値ω*に一致する前にステップS304が実行される。
上記(ii)の場合とは、例えば直流脈動周波数が100Hzであって、回転周波数指令値が100Hzから80Hzへ、あるいは100Hzから120Hzへ変更される場合である。このような場合には、回転速度ωが指令値ω*に一致してからステップS304を実行してもよい。
上記(iii)の場合とは、例えば直流脈動周波数が100Hzであって、回転周波数指令値が30Hzから60Hzへ変更される場合(図17で例示)、あるいは60Hzから30Hzへ変更される場合である。これらの場合、回転速度ωが変更される途中において回転周波数が50Hzとなるときがあるが、ステップS303,S304によって、回転周波数が50Hzとなるときを避けて電流I2を流す。
負荷トルクを暫時低下させ、負荷トルクが低下しているときに減磁処理や増磁処理を行ってもよい。負荷トルクが低下しているときには振幅|I1|を低減できるからであり、電流I2を流しても振幅|ia|を上限値ia0未満に設定し易い。よって負荷トルクを暫時低下させて減磁処理や増磁処理を行う場合、電流I2を流すタイミングは、必ずしも振幅|I1|が極大値を採るタイミングを避けることを要しない。
図19は、負荷トルクを暫時低下させる減磁処理である負荷操作減磁処理を例示するフローチャートである。負荷操作減磁処理は残留磁束変更処理(図7)のステップS104における減磁処理として採用することができる。
負荷操作減磁処理が開始すると、まずステップS401において負荷トルクを低下させる。そしてステップS402において電流I2を流して減磁する。そしてステップS403において負荷トルクを上昇させ、例えば元の負荷トルクに戻す。そしてステップS404で回転速度ωを上昇させる。ステップS404の実行後は処理が残留磁束変更処理へ復帰する。
ステップS404における回転速度ωの上昇に先だってステップS402で減磁処理が行われるので、回転速度ωの上昇による逆起電力の増大を抑制できる。
図20は、負荷トルクを暫時低下させる増磁処理である負荷操作増磁処理を例示するフローチャートである。負荷操作増磁処理は残留磁束変更処理(図7)のステップS106における増磁処理として採用することができる。
負荷操作増磁処理が開始すると、まずステップS501において負荷トルクを低下させる。そしてステップS502において回転速度ωを低下させる。そしてステップS503において電流I2を流して増磁する。そしてステップS504において負荷トルクを上昇させ、例えば元の負荷トルクに戻す。ステップS504の実行後は処理が残留磁束変更処理へ復帰する。
ステップS502において回転速度ωが低下してからステップS503で増磁処理が行われるので、逆起電力の増大を伴わずに増磁処理ができる。
図21は冷凍回路9の構成を例示するブロック図である。冷凍回路9は負荷91としての圧縮機、凝縮器92、膨張弁93、蒸発器94を備え、冷媒Fがこれらをこの順に循環する。圧縮機は冷媒Fを吸入口911から吸入し、これを圧縮して吐出口912から吐出する。
凝縮器92、蒸発器94はいずれも熱交換器によって実現できる。膨張弁93は冷媒を膨張させる程度を調整するので、圧縮機から吐出される冷媒Fの圧力と圧縮機に吸入される冷媒Fの圧力との差である圧力差を、圧縮機の外部で調整する機構である圧力差調整機構として機能する。
負荷トルクは圧縮機の駆動に必要なトルクであり、当該トルクは上述の圧力差に依存するので、上述のステップS401,S402,S501,S504は、膨張弁93の開度を調整することによって実現できる。
膨張弁93は、制御信号K1によってその開度が調整される。制御信号K1は冷凍回路9の制御に通常用いられる技術で生成できる。ここでは制御信号K1は圧力調整回路5aによって生成される場合を例示した。圧力調整回路5aは、モータ駆動装置10に備えられる場合が例示される。
圧力調整回路5aは、制御部4におけるステップS103,S105の判断結果を得て、S401,S402,S501,S504のための制御信号K1を生成し、膨張弁93に与える。制御部4は、圧力調整回路5aから制御信号K1についての情報を得て、これから負荷トルクの低下を認識してステップS402,S502の処理を行う。
あるいは圧力差調整機構として、凝縮器92を機能させてもよい。凝縮器92において冷媒Fが凝縮する程度は、上述の圧力差を左右するからである。
図22は凝縮器92の内部構成をその周辺と共に示すブロック図である。凝縮器92は熱交換器921とファン922とを有する。ファン922は、制御信号K2によってその風量が調整される。制御信号K2は冷凍回路9の制御に通常用いられる技術で生成できる。ここでは制御信号K2は圧力調整回路5bによって生成される場合を例示した。圧力調整回路5bは、モータ駆動装置10に備えられる場合が例示される。
圧力調整回路5bは、制御部4におけるステップS103,S105の判断結果を得て、S401,S402,S501,S504のための制御信号K2を生成し、ファン922に与える。制御部4は、圧力調整回路5bから制御信号K2についての情報を得て、これから負荷トルクの低下を認識してステップS402,S502の処理を行う。
負荷トルクに拘らず出力トルクを低下させれば振幅|I1|を小さくできる。よって出力トルクを暫時低下させて減磁処理や増磁処理を行う場合、電流I2を流すタイミングは、必ずしも振幅|I1|が極大値を採るタイミングを避けることを要しない。
図23は出力トルクを暫時低下させる増磁処理あるいは出力トルクを暫時低下させる減磁処理として採用される出力操作増減磁処理を例示するフローチャートである。出力操作増減磁処理は残留磁束変更処理(図7)のステップS104における減磁処理、あるいはステップS106における増磁処理として採用することができる。
出力操作増減磁処理が開始すると、まずステップS701において電流I1のq軸成分(q軸電流iq)を減少させる。これによって出力トルクは減少する。そしてステップD702において電流I2を流し、残留磁束密度Br1を不可逆的に変更する。そしてステップ703において電流I1のq軸成分(q軸電流iq)を増大させる。これにより出力トルクは増大し、例えば元の出力トルクに戻る。
出力操作増減磁処理が減磁処理として採用され、出力トルクが暫時低下してから元に戻る場合、振幅|I1|(あるいは振幅|ia|)は減磁処理の前よりも増大し易い。これは界磁磁束φ1の低下による出力トルクの低下分を補うために、q軸電流iqが増大するからである。
逆起電力は電機子鎖交磁束の大きさと回転速度との積に比例する。逆起電力を低下させるためにいわゆる弱め磁束制御を行うことが周知である。具体的には、回転速度ωを上昇させるとき、界磁磁束φrを低下させずに電機子鎖交磁束を低下するように、電流I1のd軸成分を小さくする。これにより逆起電力が低下する。弱め磁束制御において減磁処理を行うことは、交流電圧Vacと逆起電力との差を広げて電流I2を流し易くする観点から望ましい。
図24は弱め磁束制御において減磁処理を行う、弱め磁束減磁処理を示すフローチャートである。弱め磁束減磁処理は残留磁束変更処理(図7)のステップS104における減磁処理として採用することができる。
弱め磁束減磁処理が開始するとまずステップS601が実行される。ステップS601では電流I1のd軸成分を減少(絶対値を大きくする)させ、電機子鎖交磁束の大きさを低下させる。これにより逆起電力は低下する。このときの電流I1は残留磁束密度Br1を不可逆的に変更しない。
次にステップS602において、電流I2を流して残留磁束密度Br1を不可逆的に減少させる。そしてステップS603において回転速度ωを上昇させる。
制御部4は、例えばマイクロコンピュータと記憶装置を含んで構成される。マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップ(換言すれば手順)を実行する。上記記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable ROM)等)などの各種記憶装置の一つまたは複数で構成可能である。当該記憶装置は、各種の情報やデータ等を格納し、またマイクロコンピュータが実行するプログラムを格納し、また、プログラムを実行するための作業領域を提供する。なお、マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップに対応する各種手段として機能するとも把握でき、あるいは、各処理ステップに対応する各種機能を実現するとも把握できる。また、制御部4はこれに限らず、制御部4によって実行される各種手順、あるいは実現される各種手段または各種機能の一部または全部をハードウェアで実現しても構わない。
図25は永久磁石111,112の磁化曲線を示すグラフである。横軸には磁界Hを、縦軸には磁束密度Bを採用した。曲線L11,L12は永久磁石111,112の磁化曲線であり、曲線L11,L12は永久磁石111,112の磁化曲線である。
曲線L11は増磁処理の後の磁化曲線を示し、曲線L12は減磁処理の後の磁化曲線を示す。永久磁石111が有する残留磁束密度Br1は、曲線L11,L12に対応してそれぞれ残留磁束密度Br1M,Br1m(<Br1)として示されている。永久磁石112が有する残留磁束密度Br2も併記した。
変更磁界H2の絶対値は、残留磁束密度Br2を不可逆的に変更しないように、保磁力Hc2の絶対値よりも小さいことが望ましい。他方、残留磁束密度Br1に影響を与えるように、保磁力Hc1の絶対値よりも大きいことが望ましい。よって大まかには変更磁界H2は保磁力Hc1,Hc2の間の領域Qから値が採用される。
但し、変更磁界H2に採用されるべき正確な値は、保磁力のみから求められるのではなく、クニック点なども考慮して定められることが望ましい。
なお、永久磁石112は本実施の形態において必須ではない。モータ1が備える永久磁石の残留磁束密度の不可逆的な変更は、不可逆的に変更されない残留磁束密度を有する永久磁石の存在を前提としないからである。永久磁石112が設けられる場合と比較して、永久磁石112が設けられない場合には、変更磁界H2の絶対値の上限は緩和される。
上記に説明したように、モータ駆動装置10は、モータ1を駆動する装置である。モータ1は界磁子11と、電機子12とを有する。界磁子11は永久磁石111を有する。永久磁石111は残留磁束密度Br1を有する。
電機子12は電機子巻線121を有する。電機子巻線121に交流の電流I1が流れて交番磁界H1を発生させる。電流I2が流れて変更磁界H2を発生させる。電機子12は、交番磁界H1によって界磁子11に対して相対的に回転する。変更磁界H2は残留磁束密度Br1を不可逆的に変更する磁界である。
モータ駆動装置10は、交流電源2と、制御部4とを備える。交流電源2は、電流I1,I2を電機子巻線121に供給する。制御部4は交流電源2に対し、電流I1の振幅|I1|を脈動させ、振幅|I1|が極大値を採る時点tMを避けて電流I2を電機子巻線121に供給させる。よって電流I1,I2の合成である電流iaの振幅|ia|が低減される。
モータ1は冷凍回路9に備えられ、冷凍回路9を循環する冷媒Fを圧縮する圧縮機に採用される。この場合、冷凍回路9には、圧縮機から吐出される冷媒Fの圧力と圧縮機に吸入される冷媒Fの圧力との差である圧力差を当該圧縮機の外部で調整する圧力差調整機構も備えられる。圧力差調整機構としては膨張弁93や凝縮器92を採用できる。
モータ駆動装置10は、交流電源2と、制御部4とを備える。但し制御部4は交流電源2に対し、電流I1の振幅|I1|を脈動させたり、振幅|I1|が極大値を採る時点tMを避けて電流I2を電機子巻線121に供給させることは前提ではない。
圧力差調整機構によって上述の圧力差が低下してから(ステップS401,S501参照)、制御部4は交流電源2に対して、電流I2を電機子巻線121に供給させる(ステップS402,S503参照)。上述の圧力差の低下を圧力差調整機構に行わせるために圧力調整回路5を設けてもよい。ステップS401,S501は、制御部4が圧力調整回路5に対して制御信号K1,K2を生成させ、圧力差調整機構に与えさせる処理として捉えることもできる。
上述の圧力差の低下は、モータ1の負荷トルクの低下を招き、振幅|I1|を低減できる。
制御部4は交流電源2に対し、電流I2を電機子巻線121に繰り返し供給させてもよい。これにより電流I2を連続して流す期間を短くして交流電源2やモータ1の発熱が抑制される。電流I2による振幅|ia|の増大を抑制しつつも、着磁処理および減磁処理の効果が高められる。
なお、振幅|I1|が極大値を採る時点tMを避けて電流I2を電機子巻線121に供給させることは、電流I2を電機子巻線121に繰り返し供給させることの前提ではない。
制御部4は交流電源2に対し、交番磁界H1によって残留磁束密度Br1を不可逆的に変更することなく電機子鎖交磁束を弱めてから(ステップS601参照)、電流I2を電機子巻線121に供給させてもよい(ステップS602参照)。
電機子鎖交磁束が低下することで逆起電力が低下する。よって弱め磁束制御における減磁処理では電流I2を流し易い。
例えば交流電源2は直流電圧Vdcを交流電圧Vacに変換して電流I1,I2を生成する。制御部4は交流電源2に対し、Vdc≧δ(>0)となる第1種期間D内に、電流I2を供給させる(ステップS202参照)。直流電圧Vdcが大きいと交流電圧Vacも大きくなり易く、電流I2を流し易い。
制御部4は交流電源2に対して、第1種期間Dと、|i1|<ε(但しεは振幅|I1|の極大値以下で正)である第2種期間Eとが重ならない事象が、所定回数K以上の回数で検出された場合(ステップS204参照)、電流I1の位相をシフトさせる(ステップS205参照)。また第1種期間Dと第2種期間Eとが重なる期間において交流電源2に対して電流I2を供給させる(ステップS202参照)。第1種期間Dでは直流電圧Vdcが大きいので電流I2を流し易く、第2種期間Eでは振幅|i1|が小さいので電流I2を流しても振幅|ia|の増大は抑制される。よって第1種期間Dと第2種期間Eとが重なる期間において電流I2が流れることが望ましい。
制御部4は、モータ1の回転中にモータの回転速度ωを周波数に換算した値が、直流脈動周波数または分周脈動周波数であるときを避けて交流電源2に対して電流I2を供給させる(ステップS304参照)。これにより第1種期間Dと第2種期間Eとが重なる期間が得やすい。
界磁子11は残留磁束密度Br2を有する永久磁石112を更に備えてもよい。永久磁石111,112が界磁磁束φrを発生させる。変更磁界H2は残留磁束密度Br2を不可逆的に変更しない。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。上述の各種の実施形態および変形例は相互に組み合わせることができる。
1 モータ
2 交流電源
4 制御部
9 冷凍回路
10 モータ駆動装置
11 界磁子
12 電機子
91 負荷
92 凝縮器
93 膨張弁
111,112 永久磁石
121 電機子巻線
Br1,Br2 残留磁束密度
D 第1種期間
E 第2種期間
F 冷媒
H1 交番磁界
H2 変更磁界
I1,I2 電流
Vac 交流電圧
Vdc 直流電圧
δ,ε 閾値
φr 界磁磁束

Claims (13)

  1. 第1の残留磁束密度(Br1)を有する第1の永久磁石(111)を有する界磁子(11)と、
    交流の第1の電流(I1)が流れて交番磁界(H1)を発生させ、第2の電流(I2)が流れて前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更する磁界である変更磁界(H2)を発生させる電機子巻線(121)を有し、前記交番磁界によって前記界磁子に対して相対的に回転する電機子(12)と
    を有するモータ(1)を駆動する装置であって、
    前記第1の電流と前記第2の電流とを前記電機子巻線に供給する交流電源(2)と、
    前記交流電源に対し、前記第1の電流の振幅(|I1|)を脈動させ、前記振幅が極大値を採るタイミング(tM)を避けて前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させる制御部(4)と
    を備え
    前記交流電源(2)は直流電圧(Vdc)を交流電圧(Vac)に変換して前記第1の電流(I1)と前記第2の電流(I2)とを生成し、
    前記制御部(4)は前記交流電源に対し、前記直流電圧が正の第1の閾値(δ)以上を採る第1種期間(D)内に、前記第2の電流を供給させ(S202)、
    前記制御部(4)は前記交流電源(2)に対して、
    前記第1種期間(D)と、前記第1の電流の振幅(|I1|)がその極大値以下の正の第2の閾値(ε)未満の期間である第2種期間(E)とが重ならない事象が、所定回数(K)以上の回数で検出された場合(S204)、前記第1の電流(I1)の位相をシフトさせ(S205)、
    前記第1種期間と前記第2種期間とが重なる期間において前記第2の電流(I2)を供給させ(S202)る、モータ駆動装置(10)。
  2. 第1の残留磁束密度(Br1)を有する第1の永久磁石(111)を有する界磁子(11)と、
    交流の第1の電流(I1)が流れて交番磁界(H1)を発生させ、第2の電流(I2)が流れて前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更する磁界である変更磁界(H2)を発生させる電機子巻線(121)を有し、前記交番磁界によって前記界磁子に対して相対的に回転する電機子(12)と
    を有するモータ(1)を駆動する装置であって、
    前記モータ(1)は負荷トルクが周期的に脈動する負荷(91)を駆動し、
    前記第1の電流と前記第2の電流とを前記電機子巻線に供給する交流電源(2)と、
    前記交流電源に対し、前記負荷トルクが周期的に脈動している場合に、前記負荷トルクが極大値を採るタイミング(tM)を避けて前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させる制御部(4)と
    を備えるモータ駆動装置(10)。
  3. 冷凍回路(9)に備えられ、前記冷凍回路を循環する冷媒(F)を圧縮する圧縮機(91)に採用されるモータ(1)を駆動する装置であって、
    前記冷凍回路には、前記圧縮機から吐出される前記冷媒の圧力と前記圧縮機に吸入される前記冷媒の圧力との差である圧力差を前記圧縮機の外部で調整する圧力差調整機構(92,93)も備えられ、
    前記モータは、
    第1の残留磁束密度(Br1)を有する第1の永久磁石(111)を有する界磁子(11)と、
    第1の電流(I1)が流れて交番磁界(H1)を発生させ、第2の電流(I2)が流れて前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更する磁界である変更磁界(H2)を発生させる電機子巻線(121)を有し、前記交番磁界によって前記界磁子に対して相対的に回転する電機子(12)と
    を有し、
    前記装置は、
    前記第1の電流と前記第2の電流とを前記電機子巻線に供給する交流電源(2)と、
    前記圧力差調整機構によって前記圧力差が低下してから(S401,S501)、前記交流電源に対して前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させ(S402,S503)る制御部(4)と
    を備えるモータ駆動装置(10)。
  4. 第1の残留磁束密度(Br1)を有する第1の永久磁石(111)を有する界磁子(11)と、
    交流の第1の電流(I1)が流れて交番磁界(H1)を発生させ、第2の電流(I2)が流れて前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更する磁界である変更磁界(H2)を発生させる電機子巻線(121)を有し、前記交番磁界によって前記界磁子に対して相対的に回転する電機子(12)と
    を有するモータ(1)を駆動する装置であって、
    前記第1の電流と前記第2の電流とを前記電機子巻線に供給する交流電源(2)と、
    前記交流電源に対し、前記モータが出力するトルクである出力トルクを暫時低下させ、前記出力トルクが低下しているときに前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させる制御部(4)と
    を備え
    前記交流電源(2)は直流電圧(Vdc)を交流電圧(Vac)に変換して前記第1の電流(I1)と前記第2の電流(I2)とを生成し、
    前記制御部(4)は前記交流電源に対し、前記直流電圧が正の第1の閾値(δ)以上を採る第1種期間(D)内に、前記第2の電流を供給させ(S202)、
    前記制御部(4)は前記交流電源(2)に対して、
    前記第1種期間(D)と、前記第1の電流の振幅(|I1|)がその極大値以下の正の第2の閾値(ε)未満の期間である第2種期間(E)とが重ならない事象が、所定回数(K)以上の回数で検出された場合(S204)、前記第1の電流(I1)の位相をシフトさせ(S205)、
    前記第1種期間と前記第2種期間とが重なる期間において前記第2の電流(I2)を供給させ(S202)る、モータ駆動装置(10)。
  5. 第1の残留磁束密度(Br1)を有する第1の永久磁石(111)を有する界磁子(11)と、
    交流の第1の電流(I1)が流れて交番磁界(H1)を発生させ、第2の電流(I2)が流れて前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更する磁界である変更磁界(H2)を発生させる電機子巻線(121)を有し、前記交番磁界によって前記界磁子に対して相対的に回転する電機子(12)と
    を有して負荷(91)を駆動するモータ(1)を駆動する装置であって、
    前記第1の電流と前記第2の電流とを前記電機子巻線に供給する交流電源(2)と、
    前記交流電源に対し、前記負荷のトルクである負荷トルクを暫時低下させ、前記負荷トルクが低下しているときに前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させる制御部(4)と
    を備え
    前記交流電源(2)は直流電圧(Vdc)を交流電圧(Vac)に変換して前記第1の電流(I1)と前記第2の電流(I2)とを生成し、
    前記制御部(4)は前記交流電源に対し、前記直流電圧が正の第1の閾値(δ)以上を採る第1種期間(D)内に、前記第2の電流を供給させ(S202)、
    前記制御部(4)は前記交流電源(2)に対して、
    前記第1種期間(D)と、前記第1の電流の振幅(|I1|)がその極大値以下の正の第2の閾値(ε)未満の期間である第2種期間(E)とが重ならない事象が、所定回数(K)以上の回数で検出された場合(S204)、前記第1の電流(I1)の位相をシフトさせ(S205)、
    前記第1種期間と前記第2種期間とが重なる期間において前記第2の電流(I2)を供給させ(S202)る、モータ駆動装置(10)。
  6. 前記制御部(4)は前記交流電源に対し、前記第2の電流を前記電機子巻線に繰り返し(t1~t6)供給させる、請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のモータ駆動装置。
  7. 第1の残留磁束密度(Br1)を有する第1の永久磁石(111)を有する界磁子(11)と、
    交流の第1の電流(I1)が流れて交番磁界(H1)を発生させ、第2の電流(I2)が流れて前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更する磁界である変更磁界(H2)を発生させる電機子巻線(121)を有し、前記交番磁界によって前記界磁子に対して相対的に回転する電機子(12)と
    を有するモータ(1)を駆動する装置であって、
    前記第1の電流と前記第2の電流とを前記電機子巻線に供給する交流電源(2)と、
    前記交流電源に対し、前記第1の電流の振幅(|I1|)を脈動させ、前記振幅が極大値を採るタイミング(tM)を避けて前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させる制御部(4)と
    を備え、
    前記制御部(4)は前記交流電源に対し、前記交番磁界によって前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更することなく電機子鎖交磁束を弱めて(S601)から、前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させ(S602)る、モータ駆動装置(10)
  8. 前記交流電源(2)は直流電圧(Vdc)を交流電圧(Vac)に変換して前記第1の電流(I1)と前記第2の電流(I2)とを生成し、
    前記制御部(4)は前記交流電源に対し、前記直流電圧が正の第1の閾値(δ)以上を採る第1種期間(D)内に、前記第2の電流を供給させ(S202)る、請求項2、請求項3、または請求項7に記載のモータ駆動装置。
  9. 前記制御部(4)は前記交流電源(2)に対して、
    前記第1種期間(D)と、前記第1の電流の振幅(|I1|)がその極大値以下の正の第2の閾値(ε)未満の期間である第2種期間(E)とが重ならない事象が、所定回数(K)以上の回数で検出された場合(S204)、前記第1の電流(I1)の位相をシフトさせ(S205)、
    前記第1種期間と前記第2種期間とが重なる期間において前記第2の電流(I2)を供給させ(S202)る、請求項8記載のモータ駆動装置。
  10. 前記制御部(4)は、前記モータ(1)の回転中に前記モータの回転速度(ω)を周波数に換算した値が、前記直流電圧の脈動する周波数(ω0)または脈動する周波数(ω0)の整数分の一であるときを避けて前記交流電源(2)に対して前記第2の電流(I2)を供給させ(S304)る、請求項9記載のモータ駆動装置。
  11. 前記界磁子(11)は第2の残留磁束密度(Br2)を有する第2の永久磁石(112)を更に備え、
    前記第1の永久磁石(111)と前記第2の永久磁石(112)が前記界磁子の界磁磁束(φr)を発生させ、
    前記変更磁界(H2)は前記第2の残留磁束密度を不可逆的に変更しない、請求項1から請求項10のいずれか一つに記載のモータ駆動装置。
  12. 前記制御部(4)は、前記モータ(1)の回転中に前記モータの回転速度(ω)を周波数に換算した値が、前記直流電圧の脈動する周波数(ω0)または脈動する周波数(ω0)の整数分の一であるときを避けて前記交流電源(2)に対して前記第2の電流(I2)を供給させ(S304)る、請求項1、請求項4、または請求項5に記載のモータ駆動装置。
  13. 第1の残留磁束密度(Br1)を有する第1の永久磁石(111)を有する界磁子(11)と、
    交流の第1の電流(I1)が流れて交番磁界(H1)を発生させ、第2の電流(I2)が流れて前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更する磁界である変更磁界(H2)を発生させる電機子巻線(121)を有し、前記交番磁界によって前記界磁子に対して相対的に回転する電機子(12)と
    を有するモータ(1)を駆動する装置であって、
    前記第1の電流と前記第2の電流とを前記電機子巻線に供給する交流電源(2)と、
    前記交流電源に対し、前記交番磁界によって前記第1の残留磁束密度を不可逆的に変更することなく電機子鎖交磁束を弱めて(S601)から、前記第2の電流を前記電機子巻線に供給させ(S602)る制御部(4)と
    を備えるモータ駆動装置(10)。
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