JP2010178546A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】切換制御部40は、モータ3の回転角速度ωに応じて第1モードと第2モードとの間で制御モードを切り換える。第1モードでは、仮想回転座標系であるγδ座標系のγ軸電流Iγでモータが駆動される。γδ座標系は、制御上の回転角である制御角θCに従う座標系である。一方、操舵トルクTがフィードバックされ、指示操舵トルクT*に操舵トルクTを近づけるように、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θCの前回値θC(n-1)に加算されることにより、制御角θCの今回値θC(n)が求められる。第2モードでは、検出操舵トルクTに応じて二相指示電流値Idq *が設定されるとともに、誘起電圧推定部27などの働きによってロータの回転角が推定される。この推定により求められた推定回転角θEを用いてモータ3の制御が行われる。
【選択図】図1
Description
推定誘起電圧が妥当な値を有するためには、モータが回転していることが必要であるから、モータ停止時および極低速回転時には第1制御手段によるモータ制御が適切である。これに対して、推定誘起電圧が妥当な値を有する状態、すなわち、モータが一定以上の速さで回転している状態では、第2制御手段によるモータ制御が適切である。より具体的には、たとえば、モータを電動パワーステアリング装置の駆動源として用いる場合に、第1制御手段による制御よりも第2制御手段による制御の方が、優れた操舵フィーリングが得られる場合がある。
この構成によれば、第2制御手段(第2モード)から第1制御手段(第1モード)に切り換えられたときに、前記加算角演算手段において用いられる指示トルクが、初期指示トルクから前記指示トルク演算手段が演算する指示トルクまで徐変される。これにより、モータ発生トルクの変動を一層緩慢にすることができる。したがって、たとえば、電動パワーステアリング装置においては、より優れた操舵フィーリングを得ることができる。
この構成によれば、低回転角速度域では第1制御手段(第1モード)が選択され、高回転角速度域では第2制御手段(第2モード)が選択される。これにより、第1および第2制御手段(第1および第2モード)の切換えを適切に行うことができるので、モータをより適切に駆動することができる。したがって、たとえば、電動パワーステアリング装置において、良好な操舵フィーリングを実現することができる。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
制御角θCに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iqとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iqとの間に、次式(1)の関係が成立する。
Iq=Iγ・sinθL …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、制御角演算部26と、誘起電圧推定部27と、回転角推定部28と、角速度演算部29と、第1指示電流値生成部31と、第2指示電流値生成部32と、電流偏差演算部30と、PI制御部33と、γδ/αβ変換部34Aと、αβ/UVW変換部34Bと、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/αβ変換部36Aと、αβ/γδ変換部36Bと、切換制御部40と、指示電流値切換部41と、角度切換部42と、徐変部43と、切換初期値設定部44とが含まれている。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(2)
制御角θCの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(3)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(3)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θCの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmax(>0)とすればよい。この制限値ωmaxを用いて、加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(4)(5)で表すことができる。
LL=−ωmax …(5)
加算角リミッタ24による制限処理後の加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θCの前回値θC(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z−1は信号の前回値を表す)。ただし、制御角θCの初期値は予め定められた値(たとえば零)である。
誘起電圧推定部27は、モータ3の回転によって生じる誘起電圧を推定するものである。そして、回転角推定部28は、誘起電圧推定部27によって推定された誘起電圧に基づいて、ロータ50の回転角の推定値(推定回転角)θEを演算するものである。誘起電圧推定部27および回転角推定部28の具体例については、後述する。
角度切換部42は、制御角演算部26によって求められた制御角θCと、回転角推定部28によって求められた推定回転角θEとのうちのいずれか一方を選択し、座標変換用の変換角θSとして出力するものである。
切換制御部40は、角速度演算部29によって求められた回転角速度ωに応じて、第1モードと第2モードとの間で制御モードを切り換え、モード切換指令を生成する。このモード切換指令に応じて、指示電流値切換部41および角度切換部42における切換えが実行される。第1モードにおいては、指示電流値切換部41は第1指示電流値生成部31が生成する二相指示電流値Iγδ *を選択して出力し、角度切換部42は制御角演算部26が生成する制御角θCを選択して出力する。第2モードにおいては、指示電流値切換部41は第2指示電流値生成部32が生成する二相指示電流値Idq *を選択して出力し、角度切換部42は回転角推定部28が生成する推定回転角θEを選択して出力する。
γδ/αβ変換部34Aは、二相指示電圧Vγδ *をαβ座標系の二相指示電圧Vαβ *に変換する。この座標変換には、角度切換部42で選択された変換角θSが用いられる。二相指示電圧Vαβ *は、α軸指示電圧Vα *およびβ軸指示電圧Vβ *からなる。αβ/UVW変換部34Bは、二相指示電圧Vαβ *に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW *を生成する。三相指示電圧VUVW *は、U相指示電圧VU *、V相指示電圧VV *およびW相指示電圧VW *からなる。この三相指示電圧VUVW *は、PWM制御部35に与えられる。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW *に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
図3は、前記第1モードのときの前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。ただし、説明を簡単にするために、加算角リミッタ24の機能は省略してある。
第1モードが選択されたとき(ステップS2)、切換初期値設定部44は、その時点の検出操舵トルクTを切換初期操舵トルクT0として徐変部43に設定する(ステップS4)。これに応答して、徐変部43は、切換初期操舵トルクT0から指示操舵トルク設定部21による設定値まで指示操舵トルクT*を漸次的に変更する徐変処理を実行する(ステップS5)。これにより、操舵トルクの急変を抑制または防止できるから、モード切換時の操舵フィーリングを向上することができる。
さらに、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置にこの発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動ポンプ式油圧パワーステアリング装置のためのモータの制御や、パワーステアリング装置以外にも、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システム、可変ギヤレシオ(VGR)ステアリングシステムその他の車両用操舵装置に備えられたブラシレスモータの制御のために用いることができる。むろん、車両用操舵装置に限らず、他の用途のモータの制御のためにも本発明のモータ制御装置を適用できる。
Claims (3)
- ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
前記モータを制御する第1制御手段と、
前記モータを制御する第2制御手段と、
前記第1制御手段によって前記モータを制御する第1モードと、前記第2制御手段によって前記モータを制御する第2モードとの間で制御モードを切り換える切換手段とを含み、
前記第1制御手段は、制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、所定の演算周期毎に制御角の前回値に加算角を加算することによって制御角の今回値を演算する制御角演算手段と、モータによって駆動される駆動対象に加えられる、モータトルク以外のトルクを検出するためのトルク検出手段と、前記駆動対象に加えられるべき指示トルクを演算する指示トルク演算手段と、前記トルク検出手段によって検出された検出トルクと指示トルクとに基づいて前記加算角を演算する加算角演算手段とを含み、
前記第2制御手段は、前記モータの誘起電圧を推定する誘起電圧推定手段と、この誘起電圧推定手段によって求められた推定誘起電圧に基づいてロータの回転角を推定する回転角推定手段とを含み、この回転角推定手段によって推定された推定回転角に基づいて前記モータを制御するものであり、
制御モードが前記第2モードから前記第1モードに切り換られた時点で前記トルク検出手段によって検出される検出トルクを、当該切換時点における初期指示トルクとする切換初期値設定手段をさらに含む、
モータ制御装置。 - 前記加算角演算手段において用いられる指示トルクを、前記切換初期値設定手段が設定した初期指示トルクから、前記指示トルク演算手段が演算した指示トルクまで徐変する徐変手段をさらに含む、請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記モータの回転角速度を演算する回転角速度演算手段をさらに含み、
前記切換手段は、低回転角速度域では制御モードを前記第1モードに設定し、高回転角速度域では制御モードを前記第2モードに設定するものである、請求項1または2記載のモータ制御装置。
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