JP2010178546A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転角センサを用いない新たな制御方式でモータを制御する。
【解決手段】切換制御部40は、モータ3の回転角速度ωに応じて第1モードと第2モードとの間で制御モードを切り換える。第1モードでは、仮想回転座標系であるγδ座標系のγ軸電流Iγでモータが駆動される。γδ座標系は、制御上の回転角である制御角θに従う座標系である。一方、操舵トルクTがフィードバックされ、指示操舵トルクTに操舵トルクTを近づけるように、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θの前回値θ(n-1)に加算されることにより、制御角θの今回値θ(n)が求められる。第2モードでは、検出操舵トルクTに応じて二相指示電流値Idq が設定されるとともに、誘起電圧推定部27などの働きによってロータの回転角が推定される。この推定により求められた推定回転角θを用いてモータ3の制御が行われる。
【選択図】図1

Description

この発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置に関する。ブラシレスモータは、たとえば、車両用操舵装置の駆動源として使用可能である。車両用操舵装置の一例は、電動パワーステアリング装置である。
ブラシレスモータを駆動制御するためのモータ制御装置は、一般に、ロータの回転角を検出するための回転角センサの出力に応じてモータ電流の供給を制御するように構成されている。回転角センサとしては、一般的には、ロータ回転角(電気角)に対応した正弦波信号および余弦波信号を出力するレゾルバが用いられる。しかし、レゾルバは、高価であり、配線数が多く、また、設置スペースも大きい。そのため、ブラシレスモータを備えた装置のコスト削減および小型化が阻害されるという課題がある。
そこで、回転角センサを用いることなくブラシレスモータを駆動するセンサレス駆動方式が提案されている。センサレス駆動方式は、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することによって、磁極の位相(ロータの電気角)を推定する方式である。ロータ停止時および極低速回転時には、誘起電圧を推定できないので、別の方式で磁極の位相が推定される。具体的には、ステータに対してセンシング信号を注入し、このセンシング信号に対するモータの応答が検出される。このモータ応答に基づいて、ロータ回転位置が推定される。
特開2007-267549号公報
上記のセンサレス駆動方式は、誘起電圧やセンシング信号を用いてロータの回転位置を推定し、その推定によって得られた回転位置に基づいてモータを制御するものである。しかし、この駆動方式は、いずれの用途にも適しているわけではなく、たとえば、車両の舵取り機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置の駆動源として用いられるブラシレスモータの制御に適用するには、改善の余地がある。具体的には、ロータ停止時および極低速回転時に適用されるセンシング信号を用いる方式は、電動パワーステアリング装置の駆動源としてのブラシレスモータに用いると、必ずしも満足な操舵フィーリングが得られない。
そこで、この発明の目的は、回転角センサを用いない新たな制御方式でモータを制御することができるモータ制御装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ロータ(50)と、このロータに対向するステータ(55)とを備えたモータ(3)を制御するためのモータ制御装置(5)であって、前記モータを制御する第1制御手段(21,22,23,24,26,31,30,33,34A,34B,35,36A,36B)と、前記モータを制御する第2制御手段(27,28,32,30,33,34A,34B,35,36A,36B)と、前記第1制御手段によって前記モータを制御する第1モードと、前記第2制御手段によって前記モータを制御する第2モードとの間で制御モードを切り換える切換手段(40,41,42)とを含み、前記第1制御手段は、制御上の回転角である制御角(θ)に従う回転座標系の軸電流値(Iγ )で前記モータを駆動する電流駆動手段(31,30,33,34A,34B,35,36A,36B)と、所定の演算周期毎に制御角の前回値に加算角(α)を加算することによって制御角の今回値を演算する制御角演算手段(26)と、モータによって駆動される駆動対象に加えられる、モータトルク以外のトルク(T)を検出するためのトルク検出手段(1)と、前記駆動対象に加えられるべき指示トルク(T)を演算する指示トルク演算手段(21)と、前記トルク検出手段によって検出された検出トルクと指示トルクとに基づいて前記加算角を演算する加算角演算手段(22,23)とを含み、前記第2制御手段は、前記モータの誘起電圧を推定する誘起電圧推定手段(27)と、この誘起電圧推定手段によって求められた推定誘起電圧に基づいてロータの回転角を推定する回転角推定手段(28)とを含み、この回転角推定手段によって推定された推定回転角に基づいて前記モータを制御するものであり、制御モードが前記第2モードから前記第1モードに切り換られた時点で前記トルク検出手段によって検出される検出トルクを、当該切換時点における初期指示トルクとする切換初期値設定手段(44)をさらに含む、モータ制御装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、第1制御手段によるモータ制御が行われる第1モードまたは第2制御手段によるモータ制御が行われる第2モードのいずれかが選択され、選択された制御モードでモータが制御される。第1制御手段によってモータが制御されるときには、制御角に従う回転座標系(γδ座標系。以下「仮想回転座標系」といい、この仮想回転座標系の座標軸を「仮想軸」という。)の軸電流値(以下「仮想軸電流値」という。)によってモータが駆動される一方で、制御角は、演算周期毎に加算角を加算することによって更新される。これにより、制御角を更新しながら、すなわち、仮想回転座標系の座標軸(仮想軸)を更新しながら、仮想軸電流値でモータを駆動することによって、必要なトルクを発生させることができる。こうして、回転角センサを用いることなく、モータから適切なトルクを発生させることができる。加算角は、検出トルクおよび指示トルクに基づいて(たとえば、指示トルクと検出トルクとの偏差に基づいて)、演算される。より具体的には、加算角演算手段は、検出トルクを指示トルクに近づけるように加算角を演算するトルクフィードバック制御手段で構成することができる。これにより、駆動対象に働く、モータトルク以外のトルクが指示トルクに導かれ、目的とする制御を実現できる。
一方、第2制御手段は、モータの誘起電圧を推定し、この推定された誘起電圧からロータの回転角を推定する。そして、その推定回転角に基づいて、モータへの通電制御を行うことによって、モータが駆動される。
推定誘起電圧が妥当な値を有するためには、モータが回転していることが必要であるから、モータ停止時および極低速回転時には第1制御手段によるモータ制御が適切である。これに対して、推定誘起電圧が妥当な値を有する状態、すなわち、モータが一定以上の速さで回転している状態では、第2制御手段によるモータ制御が適切である。より具体的には、たとえば、モータを電動パワーステアリング装置の駆動源として用いる場合に、第1制御手段による制御よりも第2制御手段による制御の方が、優れた操舵フィーリングが得られる場合がある。
そこで、この発明では、状況に応じて第1制御手段(第1モード)または第2制御手段(第2モード)のいずれかが選択されて、モータの制御のために適用される。第1制御手段は、指示トルクに応じて制御角を変化させるので、第2制御手段(第2モード)から第1制御手段(第1モード)に切り換わるときに、モータ発生トルクの急変が生じるおそれがある。そこで、この発明では、切換時点における検出トルクが初期指示トルクとして用いられる。これにより、モータ発生トルクの連続性を確保できる。よって、この発明のモータ制御装置を、たとえば電動パワーステアリング装置に適用した場合に、制御手段の切換えに伴う違和感の発生を回避できるので、良好な操舵フィーリングを実現できる。
請求項2記載の発明は、前記加算角演算手段において用いられる指示トルクを、前記切換初期値設定手段が設定した初期指示トルクから、前記指示トルク演算手段が演算した指示トルクまで徐変する徐変手段(43)をさらに含む、請求項1記載のモータ制御装置である。
この構成によれば、第2制御手段(第2モード)から第1制御手段(第1モード)に切り換えられたときに、前記加算角演算手段において用いられる指示トルクが、初期指示トルクから前記指示トルク演算手段が演算する指示トルクまで徐変される。これにより、モータ発生トルクの変動を一層緩慢にすることができる。したがって、たとえば、電動パワーステアリング装置においては、より優れた操舵フィーリングを得ることができる。
請求項3記載の発明は、前記モータの回転角速度を演算する回転角速度演算手段(29)をさらに含み、前記切換手段は、低回転角速度域では制御モードを前記第1モードに設定し、高回転角速度域では制御モードを前記第2モードに設定するものである、請求項1または2記載のモータ制御装置である。
この構成によれば、低回転角速度域では第1制御手段(第1モード)が選択され、高回転角速度域では第2制御手段(第2モード)が選択される。これにより、第1および第2制御手段(第1および第2モード)の切換えを適切に行うことができるので、モータをより適切に駆動することができる。したがって、たとえば、電動パワーステアリング装置において、良好な操舵フィーリングを実現することができる。
前記モータは、車両の舵取り機構(2)に駆動力を付与するものであってもよい。この場合に、前記トルク検出手段は、前記車両の操向のために操作される操作部材(10)に加えられる操舵トルクを検出するトルク検出手段(1)とすればよく、前記指示トルク設定手段は、指示操舵トルクを設定する指示操舵トルク設定手段(21)とすればよい。したがって、前記加算角演算手段は、前記指示操舵トルク設定手段によって設定される指示操舵トルク(第2モードから第1モードへの切換時には徐変処理を受けた指示トルク)と前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクとに応じて(たとえば、それらの偏差に応じて)前記加算角を演算することになる。
この構成によれば、指示操舵トルクが設定され、たとえば、その指示操舵トルクと操舵トルク(検出値)との偏差に応じて前記加算角が演算される。これにより、操舵トルクが当該指示操舵トルクとなるように加算角が定められ、それに応じた制御角が定められることになる。したがって、指示操舵トルクを適切に定めておくことによって、モータから適切な駆動力を発生させて、これを舵取り機構に付与することができる。すなわち、ロータの磁極方向に従う回転座標系(dq座標系)の座標軸と前記仮想軸とのずれ量(負荷角)が指示操舵トルクに応じた値に導かれる。その結果、適切なトルクがモータから発生され、運転者の操舵意図に応じた駆動力を舵取り機構に付与できる。
前記モータ制御装置は、前記操作部材の操舵角を検出する操舵角検出手段(4)をさらに含み、前記指示操舵トルク設定手段は、前記操舵角検出手段によって検出される操舵角に応じて指示操舵トルクを設定するものであることが好ましい。この構成によれば、操作部材の操舵角に応じて指示操舵トルクが設定されるので、操舵角に応じた適切なトルクをモータから発生させることができ、運転者が操作部材に加える操舵トルクを操舵角に応じた値へと導くことができる。これにより、良好な操舵感を得ることができる。
前記指示操舵トルク設定手段は、前記車両の車速を検出する車速検出手段(6)によって検出される当該車速に応じて指示操舵トルクを設定するものであってもよい。この構成によれば、車速に応じて指示操舵トルクが設定されるので、いわゆる車速感応制御を行うことができる。その結果、良好な操舵感を実現できる。たとえば、車速が大きいほど、すなわち、高速走行時ほど指示操舵トルクを小さく設定することより、すぐれた操舵感が得られる。
この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 モータの構成を説明するための図解図である。 第1モードにおける前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。 操舵角に対する指示操舵トルクの特性例を示す図である。 第1モードにおけるγ軸指示電流値の設定例を示す図である。 第2モードにおけるq軸指示電流値の設定例を示す図である。 第2モードにおいて有効化される誘起電圧推定部および回転角推定部の構成を説明するためのブロック図である。 第1および第2モードの切換えに伴う動作を説明するためのフローチャートである。 指示操舵トルクの徐変処理を説明するための図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。
モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルク、舵角センサ4が検出する操舵角および車速センサ6が検出する車速に応じてモータ3を駆動することによって、操舵状況および車速に応じた適切な操舵補助を実現する。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
各相のステータ巻線51,52,53の方向にU軸、V軸およびW軸をとった三相固定座標(UVW座標系)が定義される。また、ロータ50の磁極方向にd軸(磁極軸)をとり、ロータ50の回転平面内においてd軸と直角な方向にq軸(トルク軸)をとった二相回転座標系(dq座標系。実回転座標系)が定義される。dq座標系は、ロータ50とともに回転する回転座標系である。dq座標系では、q軸電流のみがロータ50のトルク発生に寄与するので、d軸電流を零とし、q軸電流を所望のトルクに応じて制御すればよい。ロータ50の回転角(ロータ角)θは、U軸に対するd軸の回転角である。dq座標系は、ロータ角θに従う実回転座標系である。このロータ角θを用いることによって、UVW座標系とdq座標系との間での座標変換を行うことができる。
一方、この実施形態では、制御上の回転角を表す制御角θが導入される。制御角θは、U軸に対する仮想的な回転角である。この制御角θに対応する仮想的な軸をγ軸とし、このγ軸に対して90°進んだ軸をδ軸として、仮想二相回転座標系(γδ座標系。仮想回転座標系)を定義する。制御角θがロータ角θに等しいとき、仮想回転座標系であるγδ座標系と実回転座標系であるdq座標系とが一致する。すなわち、仮想軸としてのγ軸は実軸としてのd軸と一致し、仮想軸としてのδ軸は実軸としてのq軸と一致する。γδ座標系は、制御角θに従う仮想回転座標系である。UVW座標系とγδ座標系との座標変換は、制御角θを用いて行うことができる。
制御角θとロータ角θとの差を負荷角θ(=θ−θ)と定義する。
制御角θに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iとの間に、次式(1)の関係が成立する。
=Iγ・sinθ …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
電流検出部13は、モータ3の各相のステータ巻線51,52,53に流れる相電流I,I,I(以下、総称するときには「三相検出電流IUVW」という。)を検出する。これらは、UVW座標系における各座標軸方向の電流値である。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、制御角演算部26と、誘起電圧推定部27と、回転角推定部28と、角速度演算部29と、第1指示電流値生成部31と、第2指示電流値生成部32と、電流偏差演算部30と、PI制御部33と、γδ/αβ変換部34Aと、αβ/UVW変換部34Bと、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/αβ変換部36Aと、αβ/γδ変換部36Bと、切換制御部40と、指示電流値切換部41と、角度切換部42と、徐変部43と、切換初期値設定部44とが含まれている。
指示操舵トルク設定部21は、舵角センサ4によって検出される操舵角と、車速センサ6によって検出される車速とに基づいて、指示操舵トルクTを設定する。たとえば、図4に示すように、たとえば、操舵角が正の値(右方向へ操舵した状態)のとき指示操舵トルクTは正の値(右方向へのトルク)に設定され、操舵角が負の値(左方向へ操舵した状態)のとき指示操舵トルクTは負の値(左方向へのトルク)に設定される。そして、操舵角の絶対値が大きくなるに従って、その絶対値が大きくなるように(図4の例では非線型に大きくなるように)指示操舵トルクTが設定される。ただし、所定の上限値(正の値。たとえば、+6Nm)および下限値(負の値。たとえば−6Nm)の範囲内で指示操舵トルクTの設定が行われる。また、指示操舵トルクTは、車速が大きいほど、その絶対値が小さくなるように設定される。すなわち、車速感応制御が行われる。
トルク偏差演算部22は、指示操舵トルク設定部21によって設定される指示操舵トルクTとトルクセンサ1によって検出される操舵トルクT(以下、区別するために「検出操舵トルクT」という。)との偏差(トルク偏差)ΔTを求める。PI制御部23は、このトルク偏差ΔTに対するPI演算を行う。すなわち、トルク偏差演算部22およびPI制御部23によって、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに導くためのトルクフィードバック制御手段が構成されている。PI制御部23は、トルク偏差ΔTに対するPI演算を行うことで、制御角θに対する加算角αを演算する。検出操舵トルクTは、右方向操舵トルクに対しては正符号、左方向操舵トルクに対して負符号を有している。
加算角リミッタ24は、PI制御部23によって求められた加算角αに対して制限を加える加算角制限手段である。より具体的には、加算角リミッタ24は、所定の上限値UL(正の値)と下限値LL(負の値)との間の値に加算角αを制限する。上限値ULおよび下限値LLは、所定の制限値ωmax(ωmax>0。たとえばωmax=45度)に基づいて定められる。この所定の制限値ωmaxは、たとえば、最大操舵角速度に基づいて定められる。最大操舵角速度とは、ステアリングホイール10の操舵角速度として想定され得る最大値であり、たとえば、800deg/sec程度である。
最大操舵角速度のときのロータ50の電気角の変化速度(電気角での角速度。最大ロータ角速度)は、次式(2)のとおり、最大操舵角速度と、減速機構7の減速比と、ロータ50の極対数との積で与えられる。極対数とは、ロータ50が有する磁極対(N極とS極との対)の個数である。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(2)
制御角θの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(3)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
ロータ角変化量最大値=最大ロータ角速度×演算周期
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(3)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmax(>0)とすればよい。この制限値ωmaxを用いて、加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(4)(5)で表すことができる。
UL=+ωmax …(4)
LL=−ωmax …(5)
加算角リミッタ24による制限処理後の加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θの前回値θ(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z−1は信号の前回値を表す)。ただし、制御角θの初期値は予め定められた値(たとえば零)である。
制御角演算部26は、制御角θの前回値θ(n-1)に加算角リミッタ24から与えられる加算角αを加算する加算器26Aを含む。すなわち、制御角演算部26は、所定の演算周期毎に制御角θを演算する。そして、前演算周期における制御角θを前回値θ(n-1)とし、これを用いて今演算周期における制御角θである今回値θ(n)を求める。
誘起電圧推定部27は、モータ3の回転によって生じる誘起電圧を推定するものである。そして、回転角推定部28は、誘起電圧推定部27によって推定された誘起電圧に基づいて、ロータ50の回転角の推定値(推定回転角)θを演算するものである。誘起電圧推定部27および回転角推定部28の具体例については、後述する。
角速度演算部29は、推定回転角θを時間微分することによって、ロータ50の回転角速度ωを求める。
角度切換部42は、制御角演算部26によって求められた制御角θと、回転角推定部28によって求められた推定回転角θとのうちのいずれか一方を選択し、座標変換用の変換角θとして出力するものである。
第1指示電流値生成部31は、制御上の回転角である前記制御角θに対応する仮想回転座標系であるγδ座標系の座標軸(仮想軸)に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、γ軸指示電流値Iγ およびδ軸指示電流値Iδ (以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Iγδ 」という。)を生成する。指示電流値生成部31は、γ軸指示電流値Iγ を有意値とする一方で、δ軸指示電流値Iδ を零とする。より具体的には、指示電流値生成部31は、トルクセンサ1によって検出される検出操舵トルクTに基づいてγ軸指示電流値Iγ を設定する。
検出操舵トルクTに対するγ軸指示電流値Iγ の設定例は、図5に示されている。検出操舵トルクTが零付近の領域には不感帯NRが設定されている。γ軸指示電流値Iγ は、不感帯NRの外側の領域で急峻に立ち上がり、所定のトルク以上でほぼ一定値となるように設定される。これにより、運転者がステアリングホイール10を操作していないときには、モータ3への通電が停止され、不必要な電力消費が抑制される。
第2指示電流値生成部32は、dq座標系の座標軸に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、d軸指示電流値I およびq軸指示電流値I (以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Idq という。)を生成する。さらに具体的には、第2指示電流値生成部32は、q軸指示電流値I を有意値とする一方で、d軸指示電流値I を零とする。より具体的には、第2指示電流値生成部32は、トルクセンサ1によって検出される検出操舵トルクTに基づいてq軸指示電流値I を設定する。
検出操舵トルクTに対するq軸指示電流値I の設定例は、図6に示されている。検出操舵トルクTは、たとえば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、q軸指示電流値I は、モータ3から右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、モータ3から左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。q軸指示電流値I は、検出操舵トルクTの正の値に対しては正の値をとり、検出操舵トルクTの負の値に対しては負の値をとる。検出操舵トルクTが−T1〜T1(たとえば、T1=0.4N・m)の範囲(トルク不感帯)の微小な値のときには、q軸指示電流値I は零とされる。また、q軸指示電流値I は、車速センサ6によって検出される車速が大きいほど、その絶対値が小さく設定されるようになっている。これにより、低速走行時には大きな操舵補助力を発生させることができ、高速走行時には操舵補助力を小さくすることができる。
指示電流値切換部41は、第1指示電流値生成部31によって生成される二相指示電流値Iγδ と、第2指示電流値生成部32によって生成される二相指示電流値Idq とのうちのいずれか一方を選択し、電流偏差演算部30に供給するものである。
切換制御部40は、角速度演算部29によって求められた回転角速度ωに応じて、第1モードと第2モードとの間で制御モードを切り換え、モード切換指令を生成する。このモード切換指令に応じて、指示電流値切換部41および角度切換部42における切換えが実行される。第1モードにおいては、指示電流値切換部41は第1指示電流値生成部31が生成する二相指示電流値Iγδ を選択して出力し、角度切換部42は制御角演算部26が生成する制御角θを選択して出力する。第2モードにおいては、指示電流値切換部41は第2指示電流値生成部32が生成する二相指示電流値Idq を選択して出力し、角度切換部42は回転角推定部28が生成する推定回転角θを選択して出力する。
切換制御部40からの切換指令は、切換初期値設定部44にも与えられるようになっている。切換初期値設定部44は、切換制御部40からのモード切換指令が、第2モードから第1モードへの切換えを指令するものであるとき、当該指令に応答して、当該切換指令を受けた時点の検出操舵トルクTを初期指示操舵トルクTとして徐変部43に設定する。徐変部43は、通常は、指示操舵トルク設定部21によって設定される指示操舵トルクTをトルク偏差演算部22へと通過させる一方、切換初期値設定部44から初期指示操舵トルクTが設定されると、トルク偏差演算部22に与える指示操舵トルクTを、初期指示操舵トルクTから指示操舵トルク設定部21による設定値へと漸次的に変化させる。
電流偏差演算部30は、指示電流値切換部41で選択された指示電流値Iγδ またはIdq に対する二相検出電流Iγδ(γ軸検出電流Iγおよびδ軸検出電流Iδ)の偏差を演算する。具体的には、指示電流値切換部41が二相指示電流値Iγδ を出力するときには、電流偏差演算部30は、γ軸指示電流値Iγ に対するγ軸検出電流Iγの偏差Iγ −Iγと、δ軸指示電流値Iδ (=0)に対するδ軸検出電流Iδの偏差Iδ −Iδとを演算する。また、指示電流値切換部41が二相指示電流値Idq を出力するときには、電流偏差演算部30は、d軸指示電流値I (=0)に対するγ軸検出電流Iγの偏差I −Iγと、q軸指示電流値I に対するδ軸検出電流Iδの偏差I −Iδとを演算する。γ軸検出電流Iγおよびδ軸検出電流Iδは、αβ/γδ変換部36Bから電流偏差演算部30に与えられるようになっている。
UVW/αβ変換部36Aは、電流検出部13によって検出されるUVW座標系の三相検出電流IUVW(U相検出電流I、V相検出電流IおよびW相検出電流I)を二相固定座標系であるαβ座標系の二相検出電流IαおよびIβ(以下総称するときには「二相検出電流Iαβ」という。)に変換する。αβ座標系は、図2に示すように、ロータ50の回転中心を原点として、ロータ50の回転平面内にα軸およびこれに直交するβ軸(図2の例ではU軸と同軸)を定めた固定座標系である。αβ/γδ変換部36Bは、二相検出電流Iαβをγδ座標系の二相検出電流IγおよびIδ(総称するときには「二相検出電流Iγδ」という。)に変換する。これらが電流偏差演算部30に与えられるようになっている。αβ/γδ変換部36Bにおける座標変換には、角度切換部42で選択された変換角θが用いられる。
PI制御部33は、電流偏差演算部30によって演算された電流偏差に対するPI演算を行うことにより、モータ3に印加すべき二相指示電圧Vγδ (γ軸指示電圧Vγ およびδ軸指示電圧Vδ )を生成する。この二相指示電圧Vγδ が、γδ/αβ変換部34Aに与えられる。
γδ/αβ変換部34Aは、二相指示電圧Vγδ をαβ座標系の二相指示電圧Vαβ に変換する。この座標変換には、角度切換部42で選択された変換角θが用いられる。二相指示電圧Vαβ は、α軸指示電圧Vα およびβ軸指示電圧Vβ からなる。αβ/UVW変換部34Bは、二相指示電圧Vαβ に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW を生成する。三相指示電圧VUVW は、U相指示電圧V 、V相指示電圧V およびW相指示電圧V からなる。この三相指示電圧VUVW は、PWM制御部35に与えられる。
PWM制御部35は、U相指示電圧V 、V相指示電圧V およびW相指示電圧V にそれぞれ対応するデューティのU相PWM制御信号、V相PWM制御信号およびW相PWM制御信号を生成し、駆動回路12に供給する。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
電流偏差演算部30およびPI制御部33は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、モータ3に流れるモータ電流が、指示電流値切換部41によって選択された二相指示電流値Iγδ または二相指示電流値Idq に近づくように制御される。
図3は、前記第1モードのときの前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。ただし、説明を簡単にするために、加算角リミッタ24の機能は省略してある。
指示操舵トルクTと検出操舵トルクTとの偏差(トルク偏差)に対するPI制御(Kは比例係数、Kは積分係数、1/sは積分演算子である。)によって、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θの前回値θ(n-1)に対して加算されることによって、制御角θの今回値θ(n)=θ(n-1)+αが求められる。このとき、制御角θとロータ50の実際のロータ角θとの偏差が負荷角θ=θ−θとなる。
したがって、制御角θに従うγδ座標系(仮想回転座標系)のγ軸(仮想軸)にγ軸指示電流値Iγ に従ってγ軸電流Iγが供給されると、q軸電流I=Iγsinθとなる。このq軸電流Iがロータ50の発生トルクに寄与する。すなわち、モータ3のトルク定数Kをq軸電流I(=Iγsinθ)に乗じた値が、アシストトルクT(=K・Iγsinθ)として、減速機構7を介して、舵取り機構2に伝達される。このアシストトルクTを舵取り機構2からの負荷トルクTから減じた値が、運転者がステアリングホイール10に与えるべき操舵トルクTである。この操舵トルクTがフィードバックされることによって、この操舵トルクTを指示操舵トルクTに導くように系が動作する。つまり、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに一致させるべく、加算角αが求められ、それに応じて制御角θが制御される。
このように制御上の仮想軸であるγ軸に電流を流す一方で、指示操舵トルクTと検出操舵トルクTとの偏差ΔTに応じて求められる加算角αで制御角θを更新していくことにより、負荷角θが変化し、この負荷角θに応じたトルクがモータ3から発生するようになっている。これにより、操舵角および車速に基づいて設定される指示操舵トルクTに応じたトルクをモータ3から発生させることができるので、操舵角および車速に対応した適切な操舵補助力を舵取り機構2に与えることができる。すなわち、操舵角の絶対値が大きいほど操舵トルクが大きく、かつ、車速が大きいほど操舵トルクが小さくなるように、操舵補助制御が実行される。
このように、前記第1モードにおいて、回転角センサを用いることなくモータ3を適切に制御して、適切な操舵補助を行うことができる電動パワーステアリング装置を実現できる。これにより、構成を簡単にすることができ、コストの削減を図ることができる。 図7は、前記第2モードにおいて有効化される誘起電圧推定部27および回転角推定部28の構成を説明するためのブロック図である。誘起電圧推定部27は、二相検出電流Iαβと二相指示電圧Vαβ とに基づいて、モータ3の誘起電圧を推定する。より具体的には、誘起電圧推定部27は、モータ3の数学モデルであるモータモデルに基づき、モータ3の誘起電圧を外乱として推定する外乱オブザーバとしての形態を有している。モータモデルは、たとえば、(R+pL)−1と表すことができる。ただし、Rは電機子巻線抵抗、Lはαβ軸インダクタンス、pは微分演算子である。モータ3には、二相指示電圧Vαβ と誘起電圧Eαβ(α軸誘起電圧Eαおよびβ軸誘起電圧Eβ)とが印加されると考えることができる。
誘起電圧推定部27は、二相検出電流Iαβを入力としてモータ電圧を推定する逆モータモデル(モータモデルの逆モデル)65と、この逆モータモデル65によって推定されるモータ電圧と二相指示電圧Vαβ との偏差を求める電圧偏差演算部66とで構成することができる。電圧偏差演算部66は、二相指示電圧Vαβ に対する外乱を求めることになるが、図7から明らかなとおり、この外乱は誘起電圧Eαβに相当する推定値E^αβ(α軸誘起電圧推定値E^αおよびβ軸誘起電圧推定値E^β(以下、まとめて「推定誘起電圧E^αβ」という。)になる。逆モータモデル65は、たとえば、R+pLで表される。
誘起電圧Eαβは、次の(6)式で表すことができる。ただし、Kは誘起電圧定数、θはロータ角、ωはロータ回転角速度である。
Figure 2010178546
したがって、推定誘起電圧E^αβが求まれば、次の(7)式に従って、推定回転角θが求まる。この演算が、回転角推定部28によって行われる。
Figure 2010178546
前記第2モードにおいては、検出操舵トルクTに応じた二相指示電流値Idq が設定され、モータ3の電流が当該二相指示電流値Idq に収束するようにフィードバック制御が行われる。そして、推定誘起電圧E^αβを用いてロータ50の推定回転角θが求められ、この推定回転角θを用いて、γδ/αβ変換部34Aおよびαβ/γδ変換部36Bにおける座標変換が行われることになる。こうして、第2モードにおいても、回転角センサを用いることなくモータ3を適切に制御して、適切な操舵補助を行うことができる。これにより、構成を簡単にすることができ、コストの削減を図ることができる。
前記第1モードにおいて有効化される構成部分が第1制御手段を構成し、前記第2モードにおいて有効化される構成部分が第2制御手段を構成している。具体的には、第1制御手段は、指示操舵トルク設定部21、トルク偏差演算部22、PI制御部23、加算角リミッタ24、制御角演算部26、第1指示電流値生成部31、電流偏差演算部30、PI制御部33、γδ/αβ変換部34A、αβ/UVW変換部34B、PWM制御部35、UVW/αβ変換部36A、およびαβ/γδ変換部36Bによって構成されている。また、第2制御手段は、誘起電圧推定部27、回転角推定部28、第2指示電流値生成部32、電流偏差演算部30、PI制御部33、γδ/αβ変換部34A、αβ/UVW変換部34B、PWM制御部35、UVW/αβ変換部36A、およびαβ/γδ変換部36Bによって構成されている。すなわち、第1および第2制御手段は、電流偏差演算部30、PI制御部33、γδ/αβ変換部34A、αβ/UVW変換部34B、PWM制御部35、UVW/αβ変換部36A、およびαβ/γδ変換部36Bを共有している。
図8は、前記第1および第2モードの切換えに伴う動作を説明するためのフローチャートである。切換制御部40は、角速度演算部29によって演算される回転角速度ωを所定の切換閾値ωth(たとえば、ωth=200deg/sec)と比較する(ステップS1)。切換制御部40は、回転角速度ωが切換閾値ωth未満のときには(ステップS1:YES)、前記第1モードを選択する(ステップS2)。すなわち、指示操舵トルクTが達成されるように制御角θを演算周期毎に更新して負荷角θを調整するモータ制御(負荷角調整法)が実行される。一方、切換制御部40は、回転角速度ωが切換閾値ωth以上のときには(ステップS1:NO)、前記第2モードを選択する(ステップS3)。すなわち、検出操舵トルクTに対応した二相指示電流値Iqd が達成されるように、推定回転角θに基づいて、モータ3が制御される。つまり、低回転角速度域においては第1モードが選択され、高回転角速度域においては第2モードが選択される。
低回転角速度域では誘起電圧の推定が困難であるから、前記第1モードを選択することで、モータ3を適切に制御することができる。その一方で、高回転角速度域では誘起電圧を正確に推定できるので、前記第2モードを選択することによって優れた操舵フィーリングを実現することができる。
第1モードが選択されたとき(ステップS2)、切換初期値設定部44は、その時点の検出操舵トルクTを切換初期操舵トルクTとして徐変部43に設定する(ステップS4)。これに応答して、徐変部43は、切換初期操舵トルクTから指示操舵トルク設定部21による設定値まで指示操舵トルクTを漸次的に変更する徐変処理を実行する(ステップS5)。これにより、操舵トルクの急変を抑制または防止できるから、モード切換時の操舵フィーリングを向上することができる。
図9は、徐変部43による処理を説明するための図であり、指示操舵トルクTの時間変化の一例が示されている。第2モードから第1モードへの切換えが発生すると、そのときの検出操舵トルクTが切換初期操舵トルクTとなる。図9の例は、切換初期操舵トルクTよりも指示操舵トルク設定部21の設定値(狙いの指示操舵トルク)が低い場合を示している。そこで、徐変部43は、切換初期操舵トルクTから指示操舵トルク設定部21の設定値まで、指示操舵トルクTを漸次的に(徐々に)減少させる。そして、徐変部43は、指示操舵トルクTが指示操舵トルク設定部21の設定値に等しくなると、以後は、当該設定値をそのまま指示操舵トルクTとして出力する。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、回転角センサを備えずに、専らセンサレス制御によってモータ3を駆動する構成について説明したが、レゾルバ等の回転角センサを備え、この回転角センサの故障時に前述のようなセンサレス制御を行う構成としてもよい。これにより、回転角センサの故障時にもモータ3の駆動を継続できるから、操舵補助を継続できる。
この場合、回転角センサを用いるときには、指示電流値切換部41には、第2指示電流値生成部32が生成する二相指示電流値Idq を選択させ、γδ/αβ変換部34Aおよびαβ/γδ変換部36Bにおける座標変換には回転角センサの出力を用いればよい。
さらに、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置にこの発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動ポンプ式油圧パワーステアリング装置のためのモータの制御や、パワーステアリング装置以外にも、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システム、可変ギヤレシオ(VGR)ステアリングシステムその他の車両用操舵装置に備えられたブラシレスモータの制御のために用いることができる。むろん、車両用操舵装置に限らず、他の用途のモータの制御のためにも本発明のモータ制御装置を適用できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…トルクセンサ、3…モータ、4…舵角センサ、5…モータ制御装置、11…マイクロコンピュータ、26…制御角演算部、41…指示電流値切換部、42…角度切換部、50…ロータ、51,52,52…ステータ巻線、55…ステータ

Claims (3)

  1. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
    前記モータを制御する第1制御手段と、
    前記モータを制御する第2制御手段と、
    前記第1制御手段によって前記モータを制御する第1モードと、前記第2制御手段によって前記モータを制御する第2モードとの間で制御モードを切り換える切換手段とを含み、
    前記第1制御手段は、制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、所定の演算周期毎に制御角の前回値に加算角を加算することによって制御角の今回値を演算する制御角演算手段と、モータによって駆動される駆動対象に加えられる、モータトルク以外のトルクを検出するためのトルク検出手段と、前記駆動対象に加えられるべき指示トルクを演算する指示トルク演算手段と、前記トルク検出手段によって検出された検出トルクと指示トルクとに基づいて前記加算角を演算する加算角演算手段とを含み、
    前記第2制御手段は、前記モータの誘起電圧を推定する誘起電圧推定手段と、この誘起電圧推定手段によって求められた推定誘起電圧に基づいてロータの回転角を推定する回転角推定手段とを含み、この回転角推定手段によって推定された推定回転角に基づいて前記モータを制御するものであり、
    制御モードが前記第2モードから前記第1モードに切り換られた時点で前記トルク検出手段によって検出される検出トルクを、当該切換時点における初期指示トルクとする切換初期値設定手段をさらに含む、
    モータ制御装置。
  2. 前記加算角演算手段において用いられる指示トルクを、前記切換初期値設定手段が設定した初期指示トルクから、前記指示トルク演算手段が演算した指示トルクまで徐変する徐変手段をさらに含む、請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記モータの回転角速度を演算する回転角速度演算手段をさらに含み、
    前記切換手段は、低回転角速度域では制御モードを前記第1モードに設定し、高回転角速度域では制御モードを前記第2モードに設定するものである、請求項1または2記載のモータ制御装置。
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