JP2007270708A - 可変バルブタイミング機構の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カムシャフトに連結されるベーンで仕切られる進角側油圧室と遅角側油圧室との間で、カムトルクを利用して油を移送させることで、クランクシャフトに対するカムシャフトに回転位相を変化させてバルブタイミングを可変とする可変バルブタイミング機構において、カムトルクの変動の1周期毎に、回転位相の実際値と目標値との偏差に基づいて操作量を演算・出力させる。
【選択図】図4
Description
ここで、従来一般的に行われているように、微小時間(例えば10ms)毎に可変バルブタイミング機構の操作量の演算・出力処理を行わせると、カムトルクの方向が位相の変化方向と対応しないために回転位相が変化しない状態においても、演算・出力処理が繰り返される結果、回転位相を目標値に近づけるフィードバック制御を行う場合には、操作量の変化が過剰になってオーバーシュートが発生したりハンチングが発生したりして、制御が不安定になってしまう可能性があった。
かかる構成によると、カムトルクの変動周期に同期させて操作量を演算・出力するから、カムトルクの方向が位相の変化方向と対応して回転位相が変化する状態を経てから、次の操作量の演算・出力を行わせることが可能となる。
従って、操作量が演算・出力される毎に、実際の回転位相に反映させることができ、操作量の変化に回転位相が追従変化しないまま次の操作量が演算・出力されることがなく、操作量が過剰設定されてオーバーシュートやハンチングが発生することを防止できる。
請求項3記載の発明では、前記カムトルクの変動の1周期の整数倍を演算周期として、該演算周期毎に前記操作量を演算して出力することを特徴とする。
かかる構成によると、カムトルクの変動の1周期の整数倍を演算周期とすれば、演算の1周期内に、カムトルクが正方向に作用する状態とカムトルクが負の方向に作用する状態とが必ず含まれることになり、演算周期毎に出力される操作量に応じた回転位相の変化をその都度生じさせることができる。
図1は、実施形態における車両用内燃機関のシステム構成図である。
図1において、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
前記燃料噴射弁131は、エンジンコントロールユニット114からの噴射パルス信号によって開弁駆動されると、所定圧力に調整された燃料を吸気バルブ105に向けて噴射する。
燃焼排気は、燃焼室106から排気バルブ107を介して排出され、フロント触媒108及びリア触媒109で浄化された後、大気中に放出される。
前記吸気バルブ105及び排気バルブ107は、それぞれ排気側カムシャフト110,吸気側カムシャフト134に設けられたカムによって開閉駆動されるが、吸気側カムシャフト134には、クランクシャフト120に対する吸気側カムシャフト134の回転位相を変化させることで、吸気バルブ105の作動角の中心位相を連続的に変化させる可変バルブタイミング機構113が設けられている。
前記各種センサとしては、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ116、機関101の吸入空気量Qを検出するエアフローメータ115、クランクシャフト120から基準クランク角位置毎の基準クランク角信号REF及び単位クランク角毎の単位角度信号POSを取り出すクランク角センサ117、前記スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ118、機関101の冷却水温度を検出する水温センサ119、吸気側カムシャフト134から基準カム角毎のカム信号CAMを取り出すカムセンサ132などが設けられている。
次に、前記可変バルブタイミング機構113の構成を、図2に基づいて説明する。
前記ベーン201で隔成される2つの油圧室のうち、一方は、カムシャフト134の回転位相を進角側に変化させるための進角側油圧室202であり、他方は、カムシャフト134の回転位相を遅角側に変化させるための遅角側油圧室203である。
即ち、進角側油圧室202に満たされる作動油の量を増やし、相対的に、遅角側油圧室203に満たされる作動油の量を減らすことで、遅角側油圧室203の容積を減らし進角側油圧室202の容積を増やすように、ハウジング200に対してベーン201が相対回転して、吸気バルブ105のバルブタイミングが進角変化する。
前記進角側油圧室202及び遅角側油圧室203に満たされる作動油の量は、進角側油圧室202と遅角側油圧室203との間における作動油の移動によって調整され、前記作動油の移動は、吸気バルブ105を開閉する力によって生じるカムトルクを利用し、移動方向及び移動量は、スプールバルブ210によって制御されるようになっている。
前記進角側油路204の途中と遅角側油路205の途中とは、連結油路206で相互に連通され、前記連結油路206の途中からは、バイパス油路207が分岐延設され、該バイパス油路207はスプールバルブ205に連通される。
前記スプールバルブ210には、軸方向に、進角側油路204、バイパス油路207、遅角側油路205の並びで各油路が接続される。
前記ソレノイド211への通電を停止した状態では、前記コイルバネ210aの付勢力によってスプールバルブ210は左端の初期位置に位置し、この状態では、前記遅角側油路205がスプールバルブ210で閉塞される一方、バイパス油路207及び進角側油路204は開放される。
ここで、吸気側カムシャフト134には、吸気バルブ105を最大リフト量にまで開くときには、回転を妨げる方向のトルク(正のトルク)が加わり、最大リフトに達した後吸気バルブ105が閉弁されるまでは、回転を助長する方向のトルク(負のトルク)が加わるため、このカムトルクの逆転現象によって遅角側油圧室203がベーン201を介して加圧される状態と、進角側油圧室202がベーン201を介して加圧される状態とを交互に繰り返すことになる。
更に、スプールバルブ209が図に示す中立位置に制御される状態では、遅角側油路205及び進角側油路204が共にスプールバルブ210で閉塞されるため、進角側油圧室202内から遅角側油圧室203内への油の移動、及び、遅角側油圧室203内から進角側油圧室202内への油の移動が共に遮断されて、回転位相はその位置を保持することになる。
但し、フィードバック制御を、比例・積分・微分動作に限定するものではなく、例えば、比例・積分動作のみでフィードバック制御を行わせてもよく、また、スライディングモード制御を適用することも可能である。
しかし、通常の運転中に油の漏れが発生するため、この漏れによる油の損失を補填するために、チェックバルブ221が介装されるオイル補填路222を介して油圧源220からの油が補充されるようになっている。
従って、カムトルクの方向が油の移動を行わせたい方向と一致しないために回転位相が変化しない状態で、前記ソレノイド211への通電を制御するデューティ信号のデューティ比を制御偏差に基づいて繰り返し演算すると、積分分が大きくなり、カムトルクの方向が油の移動方向に対応するようになったときに過剰でステップ的な移動が行われることになって、安定した回転位相制御が行えなくなってしまう。
具体的には、図4のフローチャートに従って前記デューティ比の演算処理を説明する。
図4のフローチャートに示すルーチンは、前記カムセンサ132からカム信号CAMが出力される毎に実行される。
吸気バルブ105のリフト量を増大させる区間は、吸気側カムシャフト134の回転を妨げる方向の正のカムトルク(カム反力)が発生し、吸気バルブ105のリフト量を減少させる区間は、吸気側カムシャフト134の回転を助長する方向の負のカムトルク(カム反力)が発生し、本実施形態の可変バルブタイミング機構113では、前記負のカムトルクを利用して回転位相を進角変化させ、前記正のカムトルクを利用して回転位相を遅角変化させる。
しかし、上記のように、カムトルクの変動の周期に同期させてデューティ比の演算を行わせれば、デューティ比の更新結果を実際の油の移動に反映されてから、次にデューティ比の更新演算を行わせることが、たとえ低回転状態であっても確実に行われることになるから、積分分が過剰に増大設定されてしまうことを防止でき、オーバーシュートやハンチングの発生を回避して回転位相を安定的に制御できる。
前記カムセンサ132からカム信号CAMが出力されると、まず、ステップS1では、前記可変バルブタイミング機構113によるバルブタイミングの進角量を検出する。
前記進角量の検出は、クランクシャフト120から基準クランク角信号REFが出力された時点からカム信号CAMが出力されるまでの回転角度を計測することが行われ、前記進角量は、カム信号CAMが出力される毎に更新される。
ステップS3では、前記ステップS1で検出した実際の進角量と、ステップS2で設定した目標進角量との偏差を演算する。
ステップS4では、前記偏差に基づく比例・積分・微分動作によってフィードバック補正量を演算する。
ステップS6では、前記ステップS5で決定したデューティ比のデューティ信号を前記ソレノイドバルブ211に出力する。
また、本実施形態では、可変バルブタイミング機構を、進角側油圧室と遅角側油圧室との間でカムトルクを用いて作動油を移動させることでカムシャフトの回転位相を変化させるベーン式の機構としたが、可変バルブタイミング機構を上記のベーン式に限定するものではなく、カムトルクの方向に影響されて回転位相が変化し難くなったり、変化し易くなったりする可変バルブタイミング機構であれば、同様の周期で制御することで、同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、吸気バルブ105のバルブタイミングを変更する可変バルブタイミング機構を示したが、排気バルブ107のバルブタイミングを変更する可変バルブタイミング機構であってもよいことは明らかである。
(イ)請求項3記載の可変バルブタイミング機構の制御装置において、
気筒間の行程位相差に相当するクランク角度の整数倍を演算周期として、該演算周期毎に前記操作量を演算して出力することを特徴とする可変バルブタイミング機構の制御装置。
(ロ)請求項3記載の可変バルブタイミング機構の制御装置において、
機関回転速度が高くなるほど、前記カムトルクの変動の1周期を整数倍するときの整数を大きくすることを特徴とする可変バルブタイミング機構の制御装置。
(ハ)請求項2記載の可変バルブタイミング機構の制御装置において、
前記進角側油圧室と遅角側油圧室との間における油の移動方向及び移動量を調整するスプールバルブが設けられ、該スプールバルブを駆動するソレノイドへの通電を制御するデューティ信号のデューティ比を、カムトルクの変動周期に同期させて演算・出力することを特徴とする可変バルブタイミング機構の制御装置。
(ニ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の可変バルブタイミング機構の制御装置において、
前記回転位相の実際値と前記回転位相の目標値との偏差に基づいて、少なくとも積分動作によって可変バルブタイミング機構の操作量をフィードバック制御することを特徴とする可変バルブタイミング機構の制御装置。
Claims (3)
- クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変化させることで、機関バルブのバルブタイミングを変更する可変バルブタイミング機構の制御装置であって、
カムトルクの変動周期に同期させて前記可変バルブタイミング機構の操作量を演算して出力することを特徴とする可変バルブタイミング機構の制御装置。 - 前記可変バルブタイミング機構が、バルブタイミングを進角側に変化させる進角側油圧室と遅角側に変化させる遅角側油圧室とを、前記カムシャフトに連結されるベーンによって隔成し、前記進角側油圧室と遅角側油圧室との間でカムトルクを用いて作動油を移動させることで、前記カムシャフトの回転位相を変化させる機構であることを特徴とする請求項1記載の可変バルブタイミング機構の制御装置。
- 前記カムトルクの変動の1周期の整数倍を演算周期として、該演算周期毎に前記操作量を演算して出力することを特徴とする請求項1又は2記載の可変バルブタイミング機構の制御装置。
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