JP2008255914A - バルブタイミング調整装置及びバルブタイミング調整装置用の電子制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】保持状態から目標位置まで相対回転させる時の応答性向上を図るバルブタイミング調整装置を提供する。
【解決手段】進遅角切替弁のソレノイド部へ制御電流を出力することで、スプールの切換作動位置を制御するECUを備える。このECUは、スプールを強制的に作動させて、保持状態のベーンロータが相対回転を開始する時の制御電流の値である保持限界値Amax,Aminを検出するとともに、保持状態にあるベーンロータを目標アングルTrgAngまで相対回転させるにあたり、検出した保持限界値Amax,Aminに基づきソレノイド部への制御電流を補正する。
【選択図】 図6
【解決手段】進遅角切替弁のソレノイド部へ制御電流を出力することで、スプールの切換作動位置を制御するECUを備える。このECUは、スプールを強制的に作動させて、保持状態のベーンロータが相対回転を開始する時の制御電流の値である保持限界値Amax,Aminを検出するとともに、保持状態にあるベーンロータを目標アングルTrgAngまで相対回転させるにあたり、検出した保持限界値Amax,Aminに基づきソレノイド部への制御電流を補正する。
【選択図】 図6
Description
本発明は、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉タイミング(以下、開閉タイミングのことをバルブタイミングという。)を調整するバルブタイミング調整装置、及びバルブタイミング調整装置用の電子制御装置に関する。
従来、この種のバルブタイミング調整装置は、内燃機関の駆動軸と、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方を開閉駆動する従動軸との回転位相を調整することでバルブタイミングを調整する(特許文献1等参照)。
具体的には、駆動軸及び従動軸の一方とともに回転するハウジングと、他方とともに回転するベーンロータとを備えており、ハウジングに形成された収容室にはベーンロータのベーンが収容されている。そして、ベーンにより収容室を仕切って形成された遅角室及び進角室に供給される作動油により、ハウジングに対して遅角側又は進角側にベーンロータを相対回転駆動させることで、バルブタイミングを調整している。
また、従来のバルブタイミング調整装置は、スプール及びスプールを作動させるソレノイド部を有する電磁式切換弁を備えている。そして、ECU(電子制御装置)からソレノイド部に制御電流を出力することによりスプールを作動させ、このスプールの作動により遅角室への作動油の供給と進角室への作動油の供給とを切り換え、これによりベーンロータの相対回転位置を制御している。
特開平8−284699号公報
ところで、ベーンロータの相対回転を停止させた保持状態となるようにECUから制御電流を出力するにあたり、保持状態を実現できる制御電流値には幅があり、その幅の範囲(以下、この範囲を不感帯と呼ぶ)内の制御電流値であればその電流値を変更してもベーンロータは停止したままで相対回転しない。このことは、目標相対回転速度にすべく制御電流値を出力しても不感帯の大きさによって到達する相対回転速度が異なってくることを意味する。例えば、図6に例示されるように、ベーンロータの目標相対回転速度を100℃A/sとした場合において、一点鎖線L11に示すように不感帯が大きければ最適制御電流値が900mAになる場合もあり、一点鎖線L12に示すように不感帯が小さければ最適制御電流値は700mAになる場合もある。
そして、従来のECUは、不感帯の大きさを把握できていないため、保持状態時の制御電流値に対してどれだけ電流値を増大又は減少させれば不感帯の上限値又は下限値に達して相対回転し始めるのかが分からず、保持状態時から目標位置まで相対回転させるにあたっての最適制御電流値を把握できていない。そのため、相対回転させて目標位置に達するまでのスピードを十分に速くすべく最適な制御電流値で制御することができず、保持状態から目標位置まで相対回転させる時の応答性を十分に速くできていない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、保持状態から目標位置まで相対回転させる時の応答性向上を図るバルブタイミング調整装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、駆動軸及び従動軸の一方とともに回転し、収容室を内部に形成しているハウジングと、駆動軸及び従動軸の他方とともに回転し、収容室に収容されるベーンを有し、ベーンにより収容室を仕切って形成された遅角室及び進角室に供給される作動油によりハウジングに対し遅角側又は進角側に相対回転駆動されるベーンロータと、遅角室への作動油の供給と進角室への作動油の供給とを切り換えることでハウジングに対するベーンの相対回転位置を制御するスプール、及びスプールを作動させるソレノイド部を有する電磁式切換弁と、ソレノイド部へ制御電流を出力することで、スプールの切換作動位置を制御する制御手段と、を備える。
そして特に、前記スプールを強制的に作動させて、保持状態の前記ベーンロータが相対回転を開始する時の前記制御電流の値である保持限界値を検出する検出手段と、保持状態にあるベーンロータを目標位置まで相対回転させるにあたり、検出した保持限界値に基づき制御電流を補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
上記手段によれば、保持限界値とは無関係に制御電流を決定して出力する場合に比べて、相対回転させて目標位置に達するまでのスピードを十分に速くするように制御電流値を制御することを容易に実現でき、ひいては、保持状態から目標位置まで相対回転させる時の応答性向上を図ることができる。
以下に、保持限界値に基づき制御電流を補正する具体例を説明すると、例えば、検出した保持限界値と保持状態時の制御電流値との偏差(以下、限界値到達量と呼ぶ)を算出する。つまり、保持状態時の制御電流値に対してどれだけ電流値を増大又は減少させれば不感帯の上限値又は下限値に達して相対回転し始めるのかを算出する。そして、この限界値到達量に基づき制御電流を補正することが挙げられる。
この補正についてさらに具体的な例を説明すると、図6に例示されるように目標相対回転速度が100℃A/s、保持状態時の制御電流値が600mAの場合において、限界値到達量R1の50mAを算出でき、100℃A/sにするには保持限界値Amaxから150mAを加算すればよいことは予め分かっているため、保持状態時の制御電流値600mAに150mAを加算して750mAとし、さらに、算出した限界値到達量R1の50mAを750mAに加算するように補正して800mAにする。
以上により、本発明によれば、限界値到達量とは無関係に制御電流を決定して出力する場合に比べて、相対回転させて目標位置に達するまでのスピードを十分に速くするように制御電流値を制御することができる。
因みに、駆動軸の回転位置を検出する駆動側検出センサと、従動軸の回転位置を検出する従動側検出センサとを備え、両センサによりハウジングの回転速度とベーンロータの回転速度とを算出し、これらの両回転速度を比較することにより、ベーンロータの相対回転位置を算出するようにして好適である。
請求項2記載の発明では、制御手段は、ベーンロータの目標相対回転速度の変化に応じて制御電流値を変更するフィードフォワード制御を実行し、補正手段は、保持限界値に基づき変更する制御電流値を補正することを特徴とする。
このように制御電流値をフィードフォワード制御する場合には、保持限界値とは無関係にフィードフォワードで用いる制御量を決定してしまうと、限界値到達量の大きさがそのまま目標相対回転位置と実際の相対回転位置とのずれ量に影響を及ぼすこととなる。つまり、図6を用いて説明した上記具体例の場合には、限界値到達量50mAを加算する補正を行なわなければ、750mAを制御電流値として出力してしまい、この場合には実際の相対回転速度は90℃A/sにしか到達せず、目標相対回転速度100℃A/sと比べて10℃A/sのずれ量が生じてしまう。よって、制御電流値をフィードフォワード制御する場合に本発明を適用すれば、上述した応答性向上の効果が顕著に発揮される。
請求項3記載の発明では、検出手段は、保持限界値を検出するまで、現在の制御電流の値を所定量ずつ加算又は減算させることを繰り返すことを特徴とする。これによれば、保持限界値を検出することを容易に実現できる。
ここで、このように加算又は減算させることを繰り返すことにより保持限界値を検出するにあたり、制御電流のうち保持状態に対して保持限界値を超えた値の側から保持限界値に向けて加算又は減算した場合(図6の矢印P1参照)と、制御電流のうち保持状態となる値の側から保持限界値に向けて加算又は減算した場合(図6の矢印P2参照)とでは、異なる保持限界値が検出されることとなる。このことは次の理由による。すなわち、P1に例示の如く保持限界値を超えた側から検出を行なった場合には、ベーンロータを相対回転させながらその回転が止まる位置での保持限界値を検出するため、ベーンロータとハウジングとの動摩擦等、各種動的摩擦に起因して保持限界値が決まる。これに対し、P2に例示の如く保持状態となる値の側から検出を行なった場合には、ベーンロータとハウジングとの静止摩擦等、各種静的摩擦に起因して保持限界値が決まる。よって、両検出P1、P2手順で検出値に違いが生じる。
この点を鑑み、請求項4記載の発明では、検出手段は、制御電流のうち保持状態となる値の側から保持限界値に向けて加算又は減算させること特徴とするので、保持状態から目標位置まで相対回転させる時の保持限界値を、正確に検出できる。
請求項5記載の発明では、前記所定量が徐々に小さくなるように前記加算又は減算を繰り返すことを特徴とするので、保持限界値を検出するにあたり、保持限界値を大きく超えて加算又は減算してしまうことを抑制できるので、保持限界値をより一層正確に検出できる。
ここで、作動油の温度が低ければ作動油の粘性が高くなり保持状態のベーンロータが相対回転を開始するまでの応答性が悪くなる。つまり、上述の不感帯の幅は作動油温度が低いほど大きくなる。すると、現在の制御電流の値を所定量ずつ加算又は減算させて保持限界値を検出するにあたり、その検出に要する時間が長くなってしまう。換言すれば、作動油の温度が高ければベーンロータの応答性が良くなるため、加算又は減算する所定量が大きすぎることによる正確な保持限界値検出ができない恐れが生じる。
この点を鑑み請求項6記載の発明では、作動油の温度が低いほど所定量を大きくし、作動油の温度が高いほど所定量を小さくすることを特徴とする。そのため、作動油温度が低い場合には保持限界値の検出に要する時間を短縮でき、作動油温度が高い場合には正確な保持限界値の検出を実現できる。
また、請求項7記載の発明では、作動油の温度が低いほど、加算又は減算を繰り返す時間間隔を長くし、作動油の温度が高いほど前記時間間隔を短くするすることを特徴とする。そのため、作動油温度が低い場合には保持限界値の検出に要する時間を短縮でき、作動油温度が高い場合には正確な保持限界値の検出を実現できる。
請求項8記載の発明では、検出手段は、スプールを強制的に作動させるにあたり、ベーンを進角側に相対回転させる進角側強制作動と、遅角側に相対回転させる遅角側強制作動とを実行し、補正手段は、進角側強制作動により検出した進角側保持限界値と、遅角側強制作動により検出した遅角側保持限界値とに基づき制御電流を補正することを特徴とする。これによれば、不感帯の上下限値の一方である進角側保持限界値と、他方である遅角側保持限界値との両限界値に基づき制御電流は補正されるので、保持状態から進角側に相対回転させた場合と遅角側に相対回転させた場合の両方において、目標位置に達するまでのスピードを十分に速くするように制御電流値を制御することができる。
請求項9記載の発明では、制御手段は、検出した進角側保持限界値と遅角側保持限界値との中心の値を算出して記憶することを特徴とする。これによれば、進角側保持限界値と遅角側保持限界値の両方を記憶することに替えて、中心の値のみを記憶するようにできるので、記憶容量を半減できる。特に、温度やエンジン回転速度等の各種条件毎に保持限界値を記憶させる場合には、その記憶点数が膨大になるため、記憶容量半減化の効果がより一層発揮される。
請求項10記載の発明では、検出手段は、スプールを強制的に作動させるにあたり、進角側強制作動及び遅角側強制作動のいずれか一方を実行して対応する保持限界値を検出した後、進角側強制作動及び遅角側強制作動の他方を実行して対応する保持限界値を検出することを特徴とする。これによれば、進角側強制作動及び遅角側強制作動を交互に繰り返して進角側保持限界値の検索と遅角側保持限界値の検索とを同時進行で行なう場合に比べて、一方の保持限界値については速く検出することができる。
これに対し、請求項11記載の発明では、検出手段は、スプールを強制的に作動させるにあたり、進角側強制作動及び遅角側強制作動のいずれか一方の強制作動を実行し、対応する保持限界値を検出する前に他方の強制作動を実行するように、進角側強制作動及び遅角側強制作動を交互に実行することを特徴とする。このように、進角側保持限界値の検索と遅角側保持限界値の検索とを同時進行で行なうようにしてもよい。
請求項12記載の発明では、制御手段は、保持限界値を検出時の条件毎に分類して記憶したマップを有し、補正手段はマップに基づき制御電流を補正し、検出時の条件は、ベーンの実際の相対回転位置、駆動軸の回転速度、及び作動油の温度の少なくとも一つであることを特徴とする。ベーンの実際の相対回転位置、駆動軸の回転速度、及び作動油の温度の条件により保持限界値の検出値は異なるため、これらの条件毎に分類して記憶したマップに基づき制御電流を補正することで、保持状態から目標位置まで相対回転させる時の応答性をより一層向上できる。
また、このように各種条件毎に保持限界値をマップに記憶させようとすると、記憶データ点数が膨大になる。そこで、このようなマップを用いる場合には、制御手段は、検出した進角側保持限界値と遅角側保持限界値との中心の値を算出して記憶するようにすれば、進角側保持限界値と遅角側保持限界値の両方を記憶することに替えて中心の値のみを記憶するようにできるので、記憶容量を半減でき好適である。
請求項13記載の発明では、マップに記憶された保持限界値に基づき補正された制御電流を出力した結果、ベーンロータの相対回転速度を目標速度まで到達させることができなかった場合には、検出手段による保持限界値の検出を実行してマップを更新し、目標速度まで到達させることができた場合には検出手段による検出を禁止する。これによれば、検出手段による不必要な検出処理を不要にできるため、ユーザの意に反してスプールを強制的に作動させる頻度を低減できる。また、制御手段による不必要な更新処理を不要にできるため、制御手段の処理負担を軽減できる。
請求項14記載の発明では、電磁式切換弁から遅角室への作動油の流れを許容するとともにその逆流を禁止する遅角側逆止弁、及び電磁式切換弁から進角室への作動油の流れを許容するとともにその逆流を禁止する進角側逆止弁、の少なくとも一方を備えることを特徴とする。このような逆止弁を備える場合には、進角室又は遅角室に作動油を供給するにあたり逆止弁を開弁させるための油圧が要求されるため、逆止弁を備えない場合に比べてベーンロータを相対回転させるために要求される作動油の圧力は高くなる。すると、保持状態時の制御電流に対して大幅に電流値を加算又は減算しなければベーンロータは相対回転しない。このことは、不感帯の幅が大きくなっていることを意味する。よって、上述の如く逆止弁を備える場合に本発明を適用すれば、上述した応答性向上の効果が顕著に発揮される。
請求項15記載の発明の如く、上述の制御手段を備えるバルブタイミング調整装置用の電子制御装置においても、上述した各種効果が同様に発揮される。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るバルブタイミング調整装置を図に基づき説明する。本実施形態のバルブタイミング調整装置1は、車両に搭載された内燃機関の吸気弁のバルブタイミングを調整するものである。
以下、本発明の第1実施形態に係るバルブタイミング調整装置を図に基づき説明する。本実施形態のバルブタイミング調整装置1は、車両に搭載された内燃機関の吸気弁のバルブタイミングを調整するものである。
はじめに、バルブタイミング調整装置1の構成について説明する。
図1に示すように、駆動側回転体であるハウジング10は、チェーンスプロケット11、シューハウジング12及びフロントプレート14から構成されている。シューハウジング12は、仕切部材としての複数のシュー12a(図2参照)と、環状の周壁13とを有している。フロントプレート14は、周壁13を挟んでチェーンスプロケット11と反対側に位置しており、ボルト16によってチェーンスプロケット11及びシューハウジング12と同軸上に固定されている。チェーンスプロケット11は、図示しないチェーンにより図示しないエンジンの駆動軸としてのクランクシャフトと結合して駆動力を伝達され、クランクシャフトと同期して回転する。
従動軸としてのカムシャフト3は、バルブタイミング調整装置1を介しクランクシャフトの駆動力を伝達され、図示しない吸気弁を開閉駆動する。カムシャフト3は、チェーンスプロケット11に対し所定の位相差をおいて回動可能にチェーンスプロケット11に挿入されている。
従動側回転体としてのベーンロータ15はカムシャフトの回転軸方向端面と当接しており、カムシャフト3及びベーンロータ15はボルト23により同軸上に固定されている。ベーンロータ15とカムシャフト3との回転方向の位置決めは、ベーンロータ15及びカムシャフト3に位置決めピン24を嵌合することにより成される。カムシャフト3、ハウジング10及びベーンロータ15は、図2に示す矢印I方向からみて時計方向に回転する。以下この回転方向をクランクシャフトに対するカムシャフト3の進角方向とする。
図2に示すように、複数のシュー12aは周壁13から径方向内側に延びており、周壁13の回転方向にほぼ等間隔に配置されている。シュー12aにより回転方向に所定角度範囲で三箇所形成された間隙にはそれぞれベーン15aを収容する扇状の収容室50が3室形成されている。
ベーンロータ15は、カムシャフト3と軸方向端面で結合するボス部15bと、ボス部15bの外周側に回転方向にほぼ等間隔に配置されたベーン15aとを有している。ベーンロータ15は、ハウジング10に対し相対回動可能にハウジング10内に収容されている。ベーン15aは各収容室50内に回動可能に収容されている。各ベーン15aは、各収容室50を仕切り、各収容室50を遅角室51と進角室55とに二分している。図1に示す遅角方向、進角方向を表す矢印は、ハウジング10に対するベーンロータ15の遅角方向、進角方向を表している。
シール部材25は半径方向に向き合う各シュー12aとボス部15bとの間、ならびに各ベーン15aと周壁13の内周壁との間に形成されている摺動隙間に配設されている。シール部材25は、各シュー12aの内周壁及び各ベーン15aの外周壁に設けた溝に嵌合しており、シール部材25は各遅角室51と各進角室55との間に作動油が漏れることを防止している。
図1に示すように、ベーン15aに収容されたストッパピストン32が、弾性部材36に付勢されて、チェーンスプロケット11に圧入固定された嵌合リング34に嵌合すると、ハウジング10に対するベーンロータ15の相対回動は拘束される。ハウジング10に対しベーンロータ15が最遅角位置から進角側に回転するとストッパピストン32と嵌合リング34との回転方向位置がずれることにより、ストッパピストン32は嵌合リング34に嵌合不能になる。
流体供給源としての油圧ポンプ202はオイルパン200から汲み上げた作動油を供給通路204に供給する。進遅角切替弁60(電磁式切換弁)は、公知の電磁スプール弁であり、軸受2の油圧ポンプ202側に設置されている。進遅角切替弁60は、電子制御装置(ECU)70からソレノイド部62に供給されるデューティ比制御された制御電流により切換制御される。進遅角切替弁60のスプール63は、制御電流のデューティ比に基づいて変位する。このスプール63の位置により、進遅角切替弁60は、各遅角室51及び各進角室55への作動油の供給、ならびに各遅角室51及び各進角室55からの作動油の排出を切り換える。進遅角切替弁60への通電をオフした状態では、スプリング64の付勢力によりスプール63は図1に示す位置にある。
図2に示すように、軸受2により回転を支持されているカムシャフト3の外周壁には、環状通路310,320,330,340が形成されている。遅角通路311は進遅角切替弁60から環状通路310を通り、進角通路321は進遅角切替弁60から環状通路320を通り、カムシャフト3内及びベーンロータ15のボス部15b内に形成されている。
図2に示すように、遅角通路311は各遅角室51に対応して分岐する。そして、供給通路204から進遅角切替弁60を介して各遅角室51に作動油が供給されるとともに、各遅角室51から流体排出側であるオイルパン200側に、進遅角切替弁60を介して排出通路206から作動油が排出される。
進角通路321は、各進角室55に対応して分岐している。そして、供給通路204から進遅角切替弁60を介して各進角室55に作動油が供給されるとともに、各進角室55から流体排出側であるオイルパン200側に、進遅角切替弁60を介して排出通路206から作動油が排出される。
以上の通路構成により、油圧ポンプ202から各遅角室51及び各進角室55に作動油を供給可能になるとともに、各遅角室51及び各進角室55からオイルパン200へ作動油を排出可能になる。
ベーンロータ15には、進角室55と進角通路321とを接続する進角通路322が形成されている。この進角通路322には進角側逆止弁90が備えられており、進角側逆止弁90は、油圧ポンプ202から進角通路321を通って進角室55に作動油が流入することを許可し、進角室55から進角通路321を通って油圧ポンプ202側に作動油が逆流することを禁止する。
また、ベーンロータ15には、遅角室51と遅角通路311とを接続する図示しない進角通路が形成されており、その進角通路には遅角側逆止弁80が備えられている。遅角側逆止弁80は、油圧ポンプ202から遅角通路311を通って遅角室51に作動油が流入することを許可し、遅角室51から遅角通路311を通って油圧ポンプ202側に作動油が逆流することを禁止する。
図2に示すように、進角通路321には、進角側逆止弁90をバイパスして連通させる進角側バイパス通路321aが接続されており、進角側バイパス通路321aには進角側制御弁602が設置されている。この進角側制御弁602は、ベーンロータ15を進角側へ相対回転させる進角制御を行うとき進角側バイパス通路321aを遮断し、ベーンロータ15を遅角側へ相対回転させる遅角制御を行うとき進角側バイパス通路321aを開放する。進角側バイパス通路321aが開放されると、進角室55内の作動油は進角側バイパス通路321aから進角通路321を通じて排出される。
遅角通路311には、遅角側逆止弁80をバイパスして連通させる遅角側バイパス通路311aが接続されている。遅角側バイパス通路311aには、ベーンロータ15を遅角側へ相対回転させる遅角制御を行うとき遅角側バイパス通路311aを遮断し、ベーンロータ15を進角側へ相対回転させる進角制御を行うとき遅角側バイパス通路311aを開放する遅角側制御弁601が設置されている。遅角側バイパス通路311aが開放されると、遅角室51内の作動油は遅角側バイパス通路311aから遅角通路212を通じて排出される(図3及び図6参照)。従って、遅角側バイパス通路311aは排出専用の油路として機能している。
進角側制御弁602及び遅角側制御弁601はパイロット作動油により作動する切替弁であり、パイロット作動油は油圧ポンプ202から進角パイロット通路231,230を通じて供給される。進角側制御弁602及び遅角側制御弁601へパイロット作動油の供給した状態では、弾性部材の付勢力に抗して各々のスプールは図3(a)に示す位置にある。一方、進角側制御弁602へのパイロット作動油を停止すると進角側制御弁602のスプールは図3(c)に示す位置にあり、遅角側制御弁601へのパイロット作動油を停止すると遅角側制御弁601のスプールは図3(b)に示す位置にある。
進角パイロット通路231及び遅角パイロット通路230には、パイロット作動油の供給と非供給とを切り替えるドレン切替弁600が設置されている。ドレン切替弁600は、進遅角切替弁60と連動して切換制御される。具体的には、ドレン切替弁600のスプール630は、進遅角切替弁60のスプール63と連結されており、ソレノイド部62に入力されるECU70からの制御電流のデューティ比に基づいて変位する。このスプール630の位置により、ドレン切替弁600は、進角側制御弁602及び遅角側制御弁601へのパイロット油の供給、ならびに進角側制御弁602及び遅角側制御弁601からのパイロット油の排出を切り換える。ドレン切替弁600への通電をオフした状態では、スプリング64の付勢力によりスプール630は図3(c)に示す位置にある。
次に、バルブタイミング調整装置1のベーンロータ15及び各種弁の作動を、図3を用いて説明する。
<エンジン停止時> エンジン停止状態ではストッパピストン32は嵌合リング34に嵌合している。エンジンを始動直後の状態では、遅角室51及び進角室55に油圧ポンプ202から作動油が十分に供給されないので、ストッパピストン32は嵌合リング34に嵌合したままであり、クランクシャフトに対しカムシャフトは最遅角位置に保持されている。これにより、作動油が遅角室51及び進角室55に供給されるまでの間、カムシャフトが受けるトルク変動によりハウジング10とベーンロータ15とが揺動振動して衝突し、打音が発生することを防止する。
<エンジン始動後> エンジン始動後、油圧ポンプ202から作動油が十分に供給されると、進角室55に供給された作動油の圧力によりストッパピストン32は嵌合リング34から抜け出し、ハウジング10に対しベーンロータ15は相対回動自在となる。そして、各遅角室51及び各進角室55に加わる油圧を制御することにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの位相差を調整する。
<遅角作動時> 進遅角切替弁60への通電をオフした状態では、スプール63はスプリング64の付勢力により図3(c)に示す位置にある。この状態において、供給通路204から遅角通路311及び遅角側逆止弁80を通じて遅角室51に作動油が供給される。一方、進角室55の作動油は、進角側バイパス通路321a、進角通路321、進遅角切替弁60、排出通路206を通りオイルパン200に排出される。このように各遅角室51に作動油が供給され、各進角室55から作動油が排出されることにより、ベーンロータ15は3室ある遅角室51から作動油圧を受け、ハウジング10に対し遅角側に相対回転する。
このように遅角側に相対回転させる時、カムシャフトが受けるトルク変動により、ベーンロータ15はハウジング10に対し遅角側及び進角側にトルク変動を受ける。ベーンロータ15が進角側にトルク変動を受けると、各遅角室51の作動油は遅角通路311に流出する力を受ける。
しかし、本実施形態では、遅角側逆止弁80が設置されているので、遅角室51から遅角通路311側に作動油は流出しない。したがって、ベーンロータ15がカムシャフトから進角側にトルク変動を受けても、ハウジング10に対してベーンロータ15が目標位相と反対の進角側に戻ることを防止できるので、ベーンロータ15は遅角側の目標位相に速やかに到達する。
<進角作動時> 次に、進遅角切替弁60への通電をオンした状態では、スプリング64の付勢力に抗して加わるソレノイド部62の電磁力により、スプール63は図3(b)に示す位置にある。この状態において、供給通路204から進角通路321及び進角側逆止弁90を通じて進角室55に作動油が供給される。一方、遅角室51の作動油は、遅角側バイパス通路311a、遅角通路311、進遅角切替弁60、排出通路206を通りオイルパン200に排出される。このように各進角室55に作動油が供給され、各遅角室51から作動油が排出されることにより、ベーンロータ15は、3室ある進角室55から作動油圧を受け、ハウジング10に対し進角側に相対回転する。
このように進角側に相対回転させる時、カムシャフトが受けるトルク変動により、ベーンロータ15はハウジング10に対し遅角側及び進角側にトルク変動を受ける。ベーンロータ15が遅角側にトルク変動を受けると、各進角室55の作動油は進角通路321に流出する力を受ける。
しかし、本実施形態では、進角側逆止弁90が設置されているので、進角室55から進角通路321側に作動油は流出しない。したがって、油圧ポンプ202の油圧が低い時にベーンロータ15がカムシャフトから遅角側にトルク変動を受けても、ハウジング10に対してベーンロータ15が目標位相と反対の遅角側に戻ることを防止できるので、ベーンロータ15は進角側の目標位相に速やかに到達する。
<中間保持作動時> ベーンロータ15が目標位相に到達すると、ECU70は進遅角切替弁60に供給する制御電流のデューティ比を制御し、スプール63を図3(a)の中間位置に保持する。その結果、進遅角切替弁60は、遅角通路311及び進角通路321と、供給通路204及び排出通路206との接続を遮断し、各遅角室51及び各進角室55からオイルパン200に作動油が排出されることを防止するので、ベーンロータ15は目標位相に保持される。
次に、ECU70によるソレノイド部62の制御内容について、図4のフローチャートを用いて以下に説明する。なお、ECU70のマイコンによる図4に示す処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。また、ECU70は制御手段、検出手段及び補正手段として機能する。
先ず、車両のイグニッションスイッチが運転者によりオン操作されると、図4の処理が実行されてエンジン状態を読み込む(ステップS10)。エンジン状態として読み込まれる値は、エンジン回転速度Ne、燃焼室に吸入される吸気の温度(吸気温TA)、吸気量Gn、油圧ポンプ202から吐出される作動油の温度(油温OT)、ハウジング10に対するベーンロータ15の相対回転位置(実アングルActAng)、実アングルの変化量deltaAng等である。
相対回転方向Directに関し、エンジン回転速度Ne及び吸気量Gnが大きくエンジン負荷が所定値よりも大きい場合には相対回転方向Directを遅角側に設定し、エンジン負荷が所定値よりも小さい場合に進角側に設定する。
目標アングルTrgAngは、目標とするベーンロータ15のハウジング10に対する相対回転位置である。そして、エンジン負荷が所定値よりも大きいほど目標アングルTrgAngを遅角側に大きく設定して排気バルブとの開弁オーバーラップ量を大きくする。一方、エンジン負荷が所定値よりも小さいほど目標アングルTrgAngを進角側に大きく設定して排気バルブとの開弁オーバーラップ量を小さくする。
規範応答アングルRefAngは、時間経過にともなう相対回転位置の変化の規範であり、例えば、適応制御理論の1つであるモデル規範形適応制御MRACS(Model Reference Adaptive Control System)を用いて算出される。
なお、図5(a)は、経過時間にともなう実アングルActAng(実線L1参照)及び目標アングルTrgAng(実線L2参照)の変化と、規範応答アングルRefAng(点線L3参照)及び実アングルの変化量deltaAngとを示すグラフである。
続くステップS11では、エンジン負荷(例えばエンジン回転速度Ne及び吸気量Gn)に基づき、目標アングルTrgAng、規範応答アングルRefAng及び相対回転方向Directを算出する。
続くステップS12では、実アングルActAngが目標アングルTrgAngと一致しているか否かを判定することにより、ベーンロータ15の相対回転の要求有無を判定する。実アングルActAngが目標アングルTrgAngと一致していると判定されれば(S12:Yes)処理はリターンに抜け、一致していないと判定されれば(S12:No)、続くステップS13及びステップS14において、実アングルActAngが目標アングルTrgAngとなるように、ECU70からソレノイド部62に出力される制御電流のデューティ比を制御する。
具体的には、ステップS13において、制御電流のデューティ比を決定するにあたり、目標アングルTrgAngの変化量に応じたフィードフォワード制御により決定する。例えば、エンジン負荷が変化して目標アングルTrgAngが図5(a)に示すAng1からAng2に変化した場合には、その変化量Ang2−Ang1に応じたフィードフォワードデューティ(以下、FFデューティと記す)を算出する。そして、Ang1を実現している現状のデューティに、算出したFFデューティを加算する。このように、本実施形態におけるFFデューティはベーンロータ15の相対回転速度を制御する値であるが、ベーンロータ15の相対回転位置を制御する値として用いてもよい。
また、ステップS14において、規範応答アングルRefAngと実アングルActAngとの差に応じたフィードバックデューティ(以下、FBデューティと記す)を、ベーンロータ15の相対回転位置(℃A)に加算又は積算する。このように、本実施形態におけるFBデューティはベーンロータ15の相対回転位置を制御する値であるが、ベーンロータ15の相対回転速度を制御する値として用いてもよい。
なお、図5(b)は、経過時間にともなうFFデューティ(一点鎖線L4参照)、FBデューティ(点線L5参照)及び保持デューティ比(実線L6参照)の変化を示すグラフである。そして、例えば図5(a)に示すように目標アングルTrgAngがAng1からAng2に変化した場合には、図5(b)に示すようにAng2に変化した時点における目標アングルTrgAngと実アングルActAngとの差に応じて相対回転速度を大きくするようにFFデューティを決定し、決定されたFFデューティを所定時間だけデューティ比に反映させる。
さらに、実アングルの変化量deltaAngが規範応答アングルRefAngの変化量よりも大きくなっている期間中はデューティ比を小さくするようにFBデューティが決定され、実アングルの変化量deltaAngが規範応答アングルRefAngの変化量よりも小さくなっている期間中はデューティ比を大きくするようにFBデューティが決定される。これらのFFデューティ及びFBデューティにより、実アングルActAngが目標アングルTrgAngになるまでの時間短縮及びオーバーシュート量低減が図られている。
図6は、ベーンロータ15の相対回転速度(℃A/s)と制御電流値(mA)との関係を示す特性グラフであり、この例では、制御電流値1000mAがデューティ比100%に相当する。そして、ステップS13によるフィードフォワード制御及びステップS14によるフィードバック制御に基づき相対回転速度が算出され、算出した相対回転速度となるように制御電流のデューティ比が制御される。
そして、図5に示すように目標アングルTrgAngがAng1からAng2に変化した後、目標アングルTrgAngに対して所定の幅(図5(a)中の2α参照)の範囲に実アングルActAngの値が到達すると、相対回転速度をゼロにしてベーンロータ15の相対回転を停止させた保持状態となるように、制御電流のデューティ比を決定する。
ここで、相対回転速度をゼロにして保持状態にできる制御電流値には幅(図6中の符号W参照)があり、その幅Wの範囲(不感帯)内の制御電流値であればその電流値を変更してもベーンロータ15は停止したままで相対回転しない。例えば、図6に例示されるように目標相対回転速度を100℃A/sとした場合において、一点鎖線L11に示すように不感帯Wが大きければ最適制御電流値が900mAになる場合もあり、一点鎖線L12に示すように不感帯Wが小さければ最適制御電流値は700mAになる場合もある。
このように、不感帯Wが存在することに起因して、目標アングルの変化にともない相対回転速度をゼロから目標相対回転速度まで上昇させて進角させるにあたり、進角側保持限界値AmaxにFFデューティを単純に加算しただけでは、現状の電流値Aから進角側保持限界値Amaxに達するまでに必要なデューティ(限界値到達量R1)が不足することとなる。遅角させる場合も同様であり、遅角側保持限界値AminにマイナスのFFデューティを単純に加算しただけでは、現状の電流値Aから遅角側保持限界値Aminに達するまでに必要なデューティ(限界値到達量R2)が不足することとなる。
この点を鑑み、ステップS13にて決定されるFFデューティは、保持限界値Amax,Aminに基づき補正されている。具体的には、進角側保持限界値Amaxと遅角側保持限界値Aminとの中心の値(以下、中心保持制御量と呼ぶ)が、ECU70が有するメモリ(例えばEEPROM)に記憶されており、この中心保持制御量に基づきFFデューティを補正している。
また、不感帯Wの幅は作動油の温度(油温OT)及びエンジン回転速度Ne等に応じて変化する。そこで本実施形態では、中心保持制御量を、保持限界値Amax,Aminを検出した時の油温OT及びエンジン回転速度Ne毎に分類して、図7に示すマップとして記憶させている。
保持限界値Amax,Aminは、バルブタイミング調整装置1が車両に搭載された実車状態にて車両運転中に検出される。そして、検出された保持限界値Amax,Aminに基づき演算して得られた中心保持制御量によりマップの値は学習され、更新される。このような学習処理は、図4に示すようにステップS14の後にサブルーチンとして実行される。
次に、本実施形態の要部である中心保持制御量の検出手順について、学習処理のサブルーチンを示す図8を用いて説明する。
先ず、ステップS21及びステップS22において、ベーンロータ15の挙動が少なく安定した状態であるか否かを判定し、安定していると判定された場合にはステップS23以降にて保持限界値Amin,Amaxの検出を行い、安定していないと判定された場合には学習処理S20のサブルーチンを終了する。
具体的には、実アングルActAngと目標アングルTrgAngとの偏差が所定量α(図5参照)以下であり(S21:NO)、かつ、実アングルの変化量deltaAngの絶対値が所定量β以下であると判定された場合(S22:NO)には、ベーンロータ15の挙動が安定した状態であると判断し、ステップS23に進む。
図5(b)中の実線L6は、図3(a)に示す保持動作時にソレノイド部62に供給する制御電流のデューティ比(以下、保持制御量HoldDutyと呼ぶ)の変化を示す。そしてステップS23では、現時点における保持制御量HoldDutyを初期保持制御量HoldDuty0としてRAM等のメモリに記憶する。
そして、保持動作時において、ソレノイド部62に供給する制御電流のデューティ比を変動させることにより、スプール63を強制的に作動させて、保持状態のベーンロータ15が相対回転を開始する時の制御電流の値である保持限界値Amin,Amaxを検出する。具体的には、ステップS24〜S26では、デューティ比を徐々に減少させて遅角側に強制的に作動させることにより遅角側保持限界値Aminを検出する。ステップS27〜S29では、デューティ比を徐々に増大させて進角側に強制的に作動させることにより進角側保持限界値Amaxを検出する。
より具体的には、先ずステップS24において、ステップS10で読み込まれた相対回転方向Direct、油温OT及びエンジン回転速度Neに基づき探索制御量SearchDutyを算出する。そして、初期保持制御量HoldDuty0から探索制御量SearchDutyだけ減算した制御量(デューティ比)の制御電流をソレノイド部62に出力する。
図9は、図5中の符号II部分を示す部分拡大図であり、図9に例示される場合においては、初期保持制御量HoldDuty0から探索制御量SearchDutyだけ減算しても(図9(b)参照)、減算後の制御量は不感帯Wの範囲の値であるため、図9(a)の符号W1に示すように実アングルActAngは変化しない。
続くステップS25では、実アングルの変化量deltaAngの絶対値が所定量β(≒0)より小さいか否かを判定し、|deltaAng|<βであると判定された場合(S25:YES)にはステップS24の処理を繰り返す。そして、探索制御量SearchDutyだけ減算した結果実アングルActAngの変化量が所定量β以上に大きくなった場合、つまり、|deltaAng|<βでないと判定された場合(S25:NO)には、不感帯W1を超えて遅角側保持限界値Aminよりも小さい制御量になったことを意味する。
そこで、このように|deltaAng|<βでないと判定された場合(S25:NO)には、続くステップS26において、現時点での保持制御量HoldDutyを遅角側保持限界値Aminとみなし、第1の保持制御量HoldDuty1としてRAM等のメモリに記憶する。これにより、遅角側保持限界値Aminが検出される。
次に、ステップS27において、ステップS10で読み込まれた相対回転方向Direct、油温OT及びエンジン回転速度Neに基づき探索制御量SearchDutyを算出する。そして、初期保持制御量HoldDuty0から探索制御量SearchDutyだけ加算した制御量(デューティ比)の制御電流をソレノイド部62に出力する。
図9に例示される場合においては、初期保持制御量HoldDuty0から探索制御量SearchDutyだけ加算しても(図9(b)参照)、加算後の制御量は不感帯Wの範囲の値であるため、図9(a)の符号W2に示すように実アングルActAngは変化しない。
続くステップS28では、実アングルの変化量deltaAngの絶対値が所定量β(≒0)より小さいか否かを判定し、|deltaAng|<βであると判定された場合(S28:YES)にはステップS27の処理を繰り返す。そして、探索制御量SearchDutyだけ加算した結果実アングルActAngの変化量が所定量β以上に大きくなった場合、つまり、|deltaAng|<βでないと判定された場合(S28:NO)には、不感帯W2を超えて進角側保持限界値Amaxよりも大きい制御量になったことを意味する。
そこで、このように|deltaAng|<βでないと判定された場合(S28:NO)には、続くステップS29において、現時点での保持制御量HoldDutyを進角側保持限界値Amaxとみなし、第2の保持制御量HoldDuty2としてRAM等のメモリに記憶する。これにより、進角側保持限界値Amaxが検出される。
次に、ステップS30において、第1の保持制御量HoldDuty1及び第2の保持制御量HoldDuty2の平均値を演算し、その平均値を中心保持制御量MidHoldとする。そして、ステップS31において、ステップS30にて得られた中心保持制御量MidHoldを、保持限界値Amax,Aminを検出した時の油温OT及びエンジン回転速度Ne毎に分類して、図7に示すマップに記憶させる。
以上により、本実施形態によれば、保持動作時においてソレノイド部62に供給する制御電流のデューティ比を強制的に変動させて、保持状態のベーンロータ15が相対回転を開始する時の制御量(デューティ比)である保持限界値Amax,Aminを検出する。そして、検出した保持限界値Amax,Amin(第1及び第2の保持制御量HoldDuty1, HoldDuty2)から演算された中心保持制御量MidHoldをマップに記憶する。そして、このマップに基づきFFデューティを補正する。
具体的には、実アングルActAngを目標アングルTrgAngに近づけるようにベーンロータ15が相対回転させるにあたり、マップの中心保持制御量MidHoldに基づき限界値到達量R1,R2を算出し、限界値到達量R1,R2が大きいほどFFデューティを大きくするように補正する。これにより、実アングルActAngが目標アングルTrgAngに達するまでのスピードを十分に速くするように制御することを容易に実現でき、ひいては、目標アングルTrgAngまで相対回転させる時の応答性向上を図ることができる。
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、ステップS24〜S26にてスプール63を遅角側に強制作動させて遅角側保持限界値Aminを検出した後に、ステップS27〜S29にてスプール63を進角側に強制作動させて進角側保持限界値Amaxを検出している。これに対し、本実施形態では、スプール63を強制作動させるにあたり、進角側への強制作動及び遅角側への強制作動のいずれか一方の強制作動を実行し、対応する保持限界値を検出する前に他方の強制作動を実行するように、進角側強制作動及び遅角側強制作動を交互に実行する。
上記第1の実施形態では、ステップS24〜S26にてスプール63を遅角側に強制作動させて遅角側保持限界値Aminを検出した後に、ステップS27〜S29にてスプール63を進角側に強制作動させて進角側保持限界値Amaxを検出している。これに対し、本実施形態では、スプール63を強制作動させるにあたり、進角側への強制作動及び遅角側への強制作動のいずれか一方の強制作動を実行し、対応する保持限界値を検出する前に他方の強制作動を実行するように、進角側強制作動及び遅角側強制作動を交互に実行する。
図10を用いて具体的に説明すると、図10の場合には、先ず、初期保持制御量HoldDuty0から探索制御量SearchDuty(1)だけ減算した保持制御量を出力して遅角側強制作動を実行し、その後、初期保持制御量HoldDuty0から探索制御量SearchDuty(2)だけ加算した保持制御量を出力して進角側強制作動を実行する。その後、探索制御量SearchDuty(3),(4)による減算と加算を交互に繰り返す。
そして、遅角側強制作動時に|deltaAng|<βでないと判定された場合には、遅角側強制作動を終了するとともに、現時点での保持制御量HoldDutyを遅角側保持限界値Aminとみなし、第1の保持制御量HoldDuty1としてRAM等のメモリに記憶する。これにより、遅角側保持限界値Aminが検出される。一方、進角側強制作動時に|deltaAng|<βでないと判定された場合には、進角側強制作動を終了するとともに、現時点での保持制御量HoldDutyを進角側保持限界値Amaxとみなし、第2の保持制御量HoldDuty2としてRAM等のメモリに記憶する。これにより、進角側保持限界値Amaxが検出される。
(第3の実施形態)
初期保持制御量HoldDuty0から探索制御量SearchDutyだけ徐々に加算又は減算させるにあたり、上記第1の実施形態では、同じ探索制御量SearchDutyだけ徐々に加算又は減算させている。これに対し本実施形態では、探索制御量SearchDutyが徐々に小さくなるように減算又は加算を繰り返している。
初期保持制御量HoldDuty0から探索制御量SearchDutyだけ徐々に加算又は減算させるにあたり、上記第1の実施形態では、同じ探索制御量SearchDutyだけ徐々に加算又は減算させている。これに対し本実施形態では、探索制御量SearchDutyが徐々に小さくなるように減算又は加算を繰り返している。
図11を用いて具体的に説明すると、先ず、初期保持制御量HoldDuty0から探索制御量SearchDuty(1),(2),(3)だけ徐々に減算するにあたり、探索制御量SearchDuty(2)を探索制御量SearchDuty(1)よりも小さい値に設定し、探索制御量SearchDuty(3)を探索制御量SearchDuty(2)よりも小さい値に設定している。そして、このような遅角側強制作動時に|deltaAng|<βでないと判定されると、現時点での保持制御量HoldDutyが第1の保持制御量HoldDuty1として記憶される。これにより、遅角側保持限界値Aminが検出される。
次に、初期保持制御量HoldDuty0から探索制御量SearchDuty(4),(5),(6)だけ徐々に加算するにあたり、探索制御量SearchDuty(5)を探索制御量SearchDuty(4)よりも小さい値に設定し、探索制御量SearchDuty(6)を探索制御量SearchDuty(5)よりも小さい値に設定している。そして、このような進角側強制作動時に|deltaAng|<βでないと判定されると、現時点での保持制御量HoldDutyが第2の保持制御量HoldDuty2として記憶される。これにより、進角側保持限界値Amaxが検出される。
以上により、本実施形態によれば、保持限界値Amin,Amaxを検出するにあたり、保持限界値Amin,Amaxを大きく超えて加算又は減算してしまうことを抑制できるので、保持限界値Amin,Amaxを正確に検出できる。
(第4の実施形態)
上記第1の実施形態では、保持限界値Amin,Amaxを検出する時の油温OTの値に拘わらず探索制御量SearchDutyを設定しているが、本実施形態では、油温OTが低いほど探索制御量SearchDutyを大きく設定している。
上記第1の実施形態では、保持限界値Amin,Amaxを検出する時の油温OTの値に拘わらず探索制御量SearchDutyを設定しているが、本実施形態では、油温OTが低いほど探索制御量SearchDutyを大きく設定している。
図12を用いて具体的に説明すると、図中の実線は、油温OTが0℃の場合における保持デューティ比の変化を示し、図中の点線は、油温OTが80℃の場合における保持デューティ比の変化を示す。そして、油温OTが0℃の場合における探索制御量SearchDuty(1)は、油温OTが80℃の場合における探索制御量SearchDuty(2)よりも大きく設定されている。
また、探索制御量SearchDutyを加算又は減算した時点から、さらに探索制御量SearchDutyを加算又は減算するまでの探索時間SearchTimeに関し、本実施形態では、油温OTが低いほど探索時間SearchTimeを長く設定している。具体的には、油温OTが0℃の場合における探索時間SearchTime(1)は、油温OTが80℃の場合における探索時間SearchTime(2)よりも長く設定されている。
ここで、油温OTが低ければ作動油の粘性が高くなり保持状態のベーンロータ15が相対回転を開始するまでの応答性が悪くなる。つまり、不感帯Wの幅は油温OTが低いほど大きくなる。すると、現在の保持制御量を探索制御量SearchDutyずつ加算又は減算させて保持限界値Amin,Amaxを検出するにあたり、その検出に要する時間が長くなってしまう。換言すれば、油温OTが高ければベーンロータ15の応答性が良くなるため、加算又は減算する探索制御量SearchDutyが大きすぎることによる正確な保持限界値Amin,Amaxの検出ができない恐れが生じる。
これに対し、本実施形態によれば、油温OTが低いほど、探索制御量SearchDutyを大きく設定するとともに、探索時間SearchTimeを長く設定している。そのため、油温OTが低い場合には保持限界値Amin,Amaxの検出に要する時間を短縮でき、油温OTが高い場合には正確な保持限界値Amin,Amaxの検出を実現できる。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、上記各実施形態の特徴的構造をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。また、例えば次のように実施しても良い。
・上記第1の実施形態では遅角側保持限界値Amin及び進角側保持限界値Amaxの両方を検出しているが、いずれか一方のみを検出するようにしてもよい。
・上記第1の実施形態では、遅角側保持限界値Amin及び進角側保持限界値Amaxの平均値を中心保持制御量MidHoldとしてマップに記憶させているが、中心保持制御量MidHoldを演算することを廃止して、遅角側保持限界値Amin及び進角側保持限界値Amaxをマップに記憶させるようにしてもよい。
・上記第1の実施形態では、中心保持制御量MidHoldを条件ごとに分類してマップに記憶させており、上記条件として油温OT及びエンジン回転速度Neを適用させているが、この条件以外にも、例えば、保持限界値Amax,Aminを検出した時の実アングルActAngを条件として分類し、マップに記憶させるようにしてもよい。
・上記第1の実施形態では、ステップS21,S22においてベーンロータ15の挙動が少なく安定していることを条件として保持限界値Amin,Amaxの検出を実行しているが、この条件に次の条件を加えて検出を実行するようにしてもよい。すなわち、マップに記憶された中心保持制御量MidHoldに基づきFFデューティを補正した結果、ベーンロータ15を目標アングルTrgAngまで到達させることができなかったことを検出の条件とする。したがって、目標アングルTrgAngまで到達させることができた場合には保持限界値Amin,Amaxの検出を禁止する。これによれば、不必要な検出処理を不要にできるため、ユーザの意に反してスプール63を強制的に作動させる頻度を低減できる。また、ECU70のマイコンによる不必要なマップ更新処理を不要にできるため、マイコンの処理負担を軽減できる。
・上記第1の実施形態では、遅角側逆止弁80及び進角側逆止弁90を備えたバルブタイミング調整装置1に本発明を適用させているが、これらの逆止弁80,90を備えていないバルブタイミング調整装置1であっても本発明を適用できることは勿論である。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、上記各実施形態の特徴的構造をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。また、例えば次のように実施しても良い。
・上記第1の実施形態では遅角側保持限界値Amin及び進角側保持限界値Amaxの両方を検出しているが、いずれか一方のみを検出するようにしてもよい。
・上記第1の実施形態では、遅角側保持限界値Amin及び進角側保持限界値Amaxの平均値を中心保持制御量MidHoldとしてマップに記憶させているが、中心保持制御量MidHoldを演算することを廃止して、遅角側保持限界値Amin及び進角側保持限界値Amaxをマップに記憶させるようにしてもよい。
・上記第1の実施形態では、中心保持制御量MidHoldを条件ごとに分類してマップに記憶させており、上記条件として油温OT及びエンジン回転速度Neを適用させているが、この条件以外にも、例えば、保持限界値Amax,Aminを検出した時の実アングルActAngを条件として分類し、マップに記憶させるようにしてもよい。
・上記第1の実施形態では、ステップS21,S22においてベーンロータ15の挙動が少なく安定していることを条件として保持限界値Amin,Amaxの検出を実行しているが、この条件に次の条件を加えて検出を実行するようにしてもよい。すなわち、マップに記憶された中心保持制御量MidHoldに基づきFFデューティを補正した結果、ベーンロータ15を目標アングルTrgAngまで到達させることができなかったことを検出の条件とする。したがって、目標アングルTrgAngまで到達させることができた場合には保持限界値Amin,Amaxの検出を禁止する。これによれば、不必要な検出処理を不要にできるため、ユーザの意に反してスプール63を強制的に作動させる頻度を低減できる。また、ECU70のマイコンによる不必要なマップ更新処理を不要にできるため、マイコンの処理負担を軽減できる。
・上記第1の実施形態では、遅角側逆止弁80及び進角側逆止弁90を備えたバルブタイミング調整装置1に本発明を適用させているが、これらの逆止弁80,90を備えていないバルブタイミング調整装置1であっても本発明を適用できることは勿論である。
ここで、このような逆止弁80,90を備える場合には、進角室55又は遅角室51に作動油を供給するにあたり逆止弁80,90を開弁させるための油圧が要求されるため、逆止弁80,90を備えない場合に比べてベーンロータ15を相対回転させるために要求される作動油の圧力は高くなる。すると、保持状態時の保持制御量に対して大幅にデューティ比を加算又は減算しなければベーンロータ15は相対回転しない。このことは、不感帯Wの幅が大きくなっていることを意味する。よって、遅角側逆止弁80及び進角側逆止弁90を備える場合に本発明を適用すれば、上述した応答性向上の効果が顕著に発揮される。
・上記第1の実施形態では、加算又は減算させることを繰り返すことにより保持限界値Amax,Aminを検出するにあたり、保持状態の時に検出を実行している。つまり、制御量が不感帯Wにある時に強制作動を実行している(図6の矢印P2参照)。これに対し、図3(b)(c)に示す遅角作動時又は進角作動時に検出を実行してもよい。つまり、制御量が不感帯Wにない時に不感帯Wに近づくように加算又は減算させるようにしてもよい(図6の矢印P1参照)。
・上記第1の実施形態では、加算又は減算させることを繰り返すことにより保持限界値Amax,Aminを検出するにあたり、保持状態の時に検出を実行している。つまり、制御量が不感帯Wにある時に強制作動を実行している(図6の矢印P2参照)。これに対し、図3(b)(c)に示す遅角作動時又は進角作動時に検出を実行してもよい。つまり、制御量が不感帯Wにない時に不感帯Wに近づくように加算又は減算させるようにしてもよい(図6の矢印P1参照)。
ここで、矢印P1に示すように作動時に検出を行なった場合には、ベーンロータ15を相対回転させながらその回転が止まる位置での保持限界値Amin,Amaxを検出するため、ハウジング10の周壁13とベーンロータ15との動摩擦や、シュー12aとボス部15bとの動摩擦等、各種動的摩擦に起因して保持限界値Amin,Amaxが決まる。これに対し、P2に示すように保持時に検出を行なった場合には、各種静的摩擦に起因して保持限界値Amin,Amaxが決まる。よって、保持時に検出を行なう上記第1の実施形態によれば、保持限界値Amin,Amaxを正確に検出でき、好適である。
1…バルブタイミング調整装置、3…カムシャフト、10…ハウジング、15…ベーンロータ、15a…ベーン、50…収容室、51…遅角室、55…進角室、60…進遅角切替弁、62…ソレノイド部、63…スプール、70…ECU(制御手段、検出手段、補正手段)、80…遅角側逆止弁、90…進角側逆止弁、Amax…進角側保持限界値、Amin…遅角側保持限界値、HoldDuty…保持制御量、MidHold…中心保持制御量、R1,R2…限界値到達量、SearchTime…探索時間(時間間隔)、SearchDuty…探索制御量(所定量)、W,W1,W2…不感帯。
Claims (15)
- 内燃機関の駆動軸から吸気弁及び排気弁の少なくとも一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁及び前記排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
前記駆動軸及び前記従動軸の一方とともに回転し、収容室を内部に形成しているハウジングと、
前記駆動軸及び前記従動軸の他方とともに回転し、前記収容室に収容されるベーンを有し、前記ベーンにより前記収容室を仕切って形成された遅角室及び進角室に供給される作動油により前記ハウジングに対し遅角側又は進角側に相対回転駆動されるベーンロータと、
前記遅角室への作動油の供給と前記進角室への作動油の供給とを切り換えることで前記ハウジングに対する前記ベーンの相対回転位置を制御するスプール、及び前記スプールを作動させるソレノイド部を有する電磁式切換弁と、
前記ソレノイド部へ制御電流を出力することで、前記スプールの切換作動位置を制御する制御手段と、
前記スプールを強制的に作動させて、保持状態の前記ベーンロータが相対回転を開始する時の前記制御電流の値である保持限界値を検出する検出手段と、
前記保持状態にある前記ベーンロータを目標位置まで相対回転させるにあたり、検出した前記保持限界値に基づき前記制御電流を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記制御手段は、前記ベーンロータの目標相対回転速度の変化に応じて制御電流値を変更するフィードフォワード制御を実行し、
前記補正手段は、前記保持限界値に基づき変更する制御電流値を補正することを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記検出手段は、前記保持限界値を検出するまで、現在の前記制御電流の値を所定量ずつ加算又は減算させることを繰り返すこと特徴とする請求項1又は2のバルブタイミング調整装置。
- 前記検出手段は、前記制御電流のうち前記保持状態となる値の側から前記保持限界値に向けて前記加算又は減算させること特徴とする請求項3に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記所定量が徐々に小さくなるように前記加算又は減算を繰り返すことを特徴とする請求項3又は4に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記作動油の温度が低いほど前記所定量を大きくし、前記作動油の温度が高いほど前記所定量を小さくすることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記作動油の温度が低いほど前記加算又は減算を繰り返す時間間隔を長くし、前記作動油の温度が高いほど前記時間間隔を短くすることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記検出手段は、前記スプールを強制的に作動させるにあたり、前記ベーンを進角側に相対回転させる進角側強制作動と、遅角側に相対回転させる遅角側強制作動とを実行し、
前記補正手段は、前記進角側強制作動により検出した進角側保持限界値と、前記遅角側強制作動により検出した遅角側保持限界値とに基づき前記制御電流を補正することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記制御手段は、検出した前記進角側保持限界値と前記遅角側保持限界値との中心の値を算出して記憶することを特徴とする請求項8に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記検出手段は、前記スプールを強制的に作動させるにあたり、前記進角側強制作動及び前記遅角側強制作動のいずれか一方を実行して対応する保持限界値を検出した後、前記進角側強制作動及び前記遅角側強制作動の他方を実行して対応する保持限界値を検出することを特徴とする請求項8又は9に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記検出手段は、前記スプールを強制的に作動させるにあたり、前記進角側強制作動及び前記遅角側強制作動のいずれか一方の強制作動を実行し、対応する保持限界値を検出する前に他方の強制作動を実行するように、前記進角側強制作動及び前記遅角側強制作動を交互に実行することを特徴とする請求項8又は9に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記制御手段は、前記保持限界値を検出時の条件毎に分類して記憶したマップを有し、
前記補正手段は前記マップに基づき前記制御電流を補正し、
前記検出時の条件は、前記ベーンの実際の相対回転位置、前記駆動軸の回転速度、及び前記作動油の温度の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記マップに記憶された前記保持限界値に基づき補正された前記制御電流を出力した結果、前記ベーンロータの相対回転速度を目標速度まで到達させることができなかった場合には、前記検出手段による保持限界値の検出を実行して前記マップを更新し、目標速度まで到達させることができた場合には前記検出手段による検出を禁止することを特徴とする請求項12に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記電磁式切換弁から前記遅角室への作動油の流れを許容するとともにその逆流を禁止する遅角側逆止弁、及び前記電磁式切換弁から前記進角室への作動油の流れを許容するとともにその逆流を禁止する進角側逆止弁、の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のバルブタイミング調整装置。
- 請求項1乃至14のいずれかに記載の制御手段を備えることを特徴とするバルブタイミング調整装置用の電子制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007100096A JP2008255914A (ja) | 2007-04-06 | 2007-04-06 | バルブタイミング調整装置及びバルブタイミング調整装置用の電子制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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ID=39979710
Family Applications (1)
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JP2007100096A Pending JP2008255914A (ja) | 2007-04-06 | 2007-04-06 | バルブタイミング調整装置及びバルブタイミング調整装置用の電子制御装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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- 2007-04-06 JP JP2007100096A patent/JP2008255914A/ja active Pending
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