JP2008008286A - ベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】逆止弁・ドレーン切替弁付きのベーン式可変バルブタイミング調整機構(VCT)において、保持電流学習時間の短縮と学習精度向上とを実現する。
【解決手段】進角室18の油圧供給油路28と遅角室19の油圧供給油路29に、それぞれ逆止弁30,31を設けると共に、各室18,19の油圧供給油路28,29に、それぞれ逆止弁30,31をバイパスするドレーン油路32,33を並列に設け、各ドレーン油路32,33に、それぞれドレーン切替弁34,35を設ける。保持電流学習期間中に油圧制御弁21の駆動電流(OCV電流)をVCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じて補正しながら該OCV電流を所定のディザ振幅電流値で周期的に振動させるディザ制御を実行する。これにより、保持電流学習期間中にディザ制御によりOCV電流に対するVCTの応答特性をリニアな特性に近付けて保持電流を精度良く学習する。
【選択図】図1
【解決手段】進角室18の油圧供給油路28と遅角室19の油圧供給油路29に、それぞれ逆止弁30,31を設けると共に、各室18,19の油圧供給油路28,29に、それぞれ逆止弁30,31をバイパスするドレーン油路32,33を並列に設け、各ドレーン油路32,33に、それぞれドレーン切替弁34,35を設ける。保持電流学習期間中に油圧制御弁21の駆動電流(OCV電流)をVCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じて補正しながら該OCV電流を所定のディザ振幅電流値で周期的に振動させるディザ制御を実行する。これにより、保持電流学習期間中にディザ制御によりOCV電流に対するVCTの応答特性をリニアな特性に近付けて保持電流を精度良く学習する。
【選択図】図1
Description
本発明は、進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路に、それぞれ、各油圧室からの作動油の逆流を防止する逆止弁を設けたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置に関する発明である。
近年、車両に搭載される内燃機関においては、出力向上、燃費節減、排気エミッション低減等を目的として、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミング(カム軸の進角量)を可変する可変バルブタイミング装置を採用したものが増加しつつある。例えば、ベーン式の可変バルブタイミング装置の基本的な構成は、特許文献1(特開2001−159330号公報)に示すように、エンジンのクランク軸に同期して回転するハウジングと、吸気バルブ(又は排気バルブ)のカム軸に連結されたベーンロータとを同軸状に配置し、ハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をベーンロータ外周側のベーン(羽根部)で進角室と遅角室とに区画する。そして、各油圧室の油圧を油圧制御弁で制御して、ハウジングに対してベーンロータを相対回動させることで、クランク軸に対するカム軸の進角量を変化させて、バルブタイミングを可変制御するようにしている。
このようなベーン式の可変バルブタイミング装置では、エンジン運転中に吸気バルブや排気バルブを開閉駆動するときに、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるフリクショントルクの変動がベーンロータに伝わり、それによって、ベーンロータに対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用する。これにより、ベーンロータが遅角方向にトルク変動を受けると、進角室の作動油が進角室から押し出される圧力を受け、また、ベーンロータが進角方向にトルク変動を受けると、遅角室の作動油が遅角室から押し出される圧力を受けることになる。このため、油圧供給源から供給される油圧が低い低回転領域では、進角室に油圧を供給してカム軸の変位角を進角させようとしても、図3に点線で示すように、ベーンロータが上記トルク変動により遅角方向に押し戻されてしまい、目標進角量に到達するまでの応答時間が長くなってしまうという問題があった。
この問題を解決するために、特許文献2(特開2003−106115号公報)に示すように、遅角室の油圧供給油路と進角室の油圧供給油路にそれぞれ逆止弁を設け、ベーンロータがトルク変動を受けても遅角室や進角室からの作動油の逆流を逆止弁によって防止することで、図3に実線で示すように、可変バルブタイミング制御中にベーンロータが目標進角量の方向とは逆方向に戻されることを防止して、可変バルブタイミング制御の応答性を向上させることが考えられている。
この特許文献2の可変バルブタイミング装置では、進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路に、それぞれ逆止弁を設けると共に、各油圧室の油圧供給油路に、それぞれ逆止弁をバイパスするドレーン油路を並列に設け、各油圧室に供給する油圧を制御する油圧制御弁(スプール式電磁弁)に、各油圧室のドレーン油路を開閉するドレーン切替弁としての機能を一体化した構成となっている。そして、この油圧制御弁の駆動電流を制御することで、各油圧室に供給する油圧を制御すると同時に、各油圧室のドレーン油路の開放/閉鎖の切り替えを制御して、いずれかの油圧室の油圧を抜く必要があるときに、その油圧室のドレーン油路を開放して当該ドレーン油路を通して油圧を速やかに抜くことができるようにしている。
一般に、ベーン式の可変バルブタイミング装置(以下「VCT」と表記する)においては、目標進角量が一定に維持される定常運転中に、VCTの実進角量を目標進角量付近に保持するのに必要な油圧制御弁の駆動電流を“保持電流”として学習し、この保持電流学習値を基準にして油圧制御弁の駆動電流を制御するようにしている。
従来の保持電流の学習方法としては、特許文献3(特許第3733596号公報)に示すように、VCTの実進角量と目標進角量との偏差が一定の状態が所定時間継続したときの油圧制御弁の駆動電流を保持電流として学習するようにしたものがある。
また、特許文献4(特開平9−317503号公報)に示すように、VCTの実進角量と目標進角量との偏差が第1の所定値よりも大きく、且つ、その偏差の変化量が第2の所定値以下になったときの油圧制御弁の駆動電流を保持電流として学習するようにしたものがある。
要するに、従来の保持電流学習方法では、VCTの実進角量を目標進角量の方向に向けてフィードバック制御して、VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態になったと判断されるときに、その時点の油圧制御弁の駆動電流を保持電流として学習するようにしている。
特開2001−159330号公報(第4頁〜第6頁等)
特開2003−106115号公報(第1頁等)
特許第3733596号公報(第2頁〜第3頁等)
特開平9−317503号公報(第2頁〜第3頁等)
上述した逆止弁・ドレーン切替弁付きのベーン式VCTに上記従来の保持電流学習技術を組み合わせて実施した場合の問題点について説明する。
一般に、ベーン式VCTは、図4に示すように、油圧制御弁の駆動電流(以下「OCV電流」と表記する)の変化に対してVCTの進角速度がリニアに変化せず、進角速度が0になるOCV電流(保持電流)の付近に進角速度が著しく遅くなる領域が存在する。
一般に、ベーン式VCTは、図4に示すように、油圧制御弁の駆動電流(以下「OCV電流」と表記する)の変化に対してVCTの進角速度がリニアに変化せず、進角速度が0になるOCV電流(保持電流)の付近に進角速度が著しく遅くなる領域が存在する。
現在、本出願人が開発している逆止弁・ドレーン切替弁付きのベーン式VCTにおいては、(1)進角動作領域では、作動油を流入させる進角室側のドレーン切替弁を閉じて、作動油が排出される遅角室側のドレーン切替弁を開くように制御し、(2)遅角動作領域では、作動油を流入させる遅角室側のドレーン切替弁を閉じて、作動油が排出される進角室側のドレーン切替弁を開くように制御し、(3)保持動作領域では、進角室側と遅角室側の両方のドレーン切替弁を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて両方の油圧室からの作動油の逆流を防止することで、ベーンをその両側から保持する油圧が低下するのを防止して、保持安定性を向上させるようにしている。
この構成では、ドレーン切替弁の開弁/閉弁が切り替えられることによりVCTの進角速度が2箇所で急変し、遅角側の進角速度急変点と進角側の進角速度急変点との間の進角速度が遅い領域が保持動作領域となる。
図4に示すように、逆止弁・ドレーン切替弁付きのベーン式VCTは、逆止弁・ドレーン切替弁を持たない従来の一般的なベーン式VCTと比較して、保持動作領域における進角速度変化の勾配が更に小さくなり、VCTの動きが更に鈍くなる。このため、逆止弁・ドレーン切替弁付きのベーン式VCTでは、従来の保持電流学習方法によって保持電流(進角速度=0の時のOCV電流)を正確に学習するのは困難であり、逆止弁・ドレーン切替弁を持たないものと比較して、保持電流学習値のばらつき(学習誤差)が大きくなることは避けられない。
一般に、OCV電流は、保持電流学習値を基準にしてフィードバック(F/B)制御されるため、目標OCV電流は、保持電流学習値にF/B補正電流値を加算した電流値に設定される(目標OCV電流=保持電流学習値+F/B補正電流値)。このため、保持電流学習値の誤差が大きいと、図5に示すように、実進角量と目標進角量との偏差が大きい状態で進角動作が停止して、その時点のOCV電流を保持電流として学習することになり、真の保持電流からかけ離れた電流値が保持電流として学習される結果となる。このため、再度、実進角量と目標進角量との偏差を小さくするようにOCV電流をF/B制御して、保持電流を再学習するという処理を複数回繰り返さないと、真の保持電流を学習することができない。このため、真の保持電流を学習するのに必要な学習時間が長くなるという欠点がある。
そこで、本発明の目的は、逆止弁・ドレーン切替弁付きのベーン式VCTにおいて、保持電流学習時間の短縮と学習精度向上とを実現することができるベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画し、少なくとも1つのベーン収納室の進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路に、それぞれ各油圧室(「油圧室」とは「進角室」と「遅角室」のいずれかを意味する)からの作動油の逆流を防止する逆止弁を設けると共に、各油圧室の油圧供給油路に、それぞれ前記逆止弁をバイパスするドレーン油路を並列に設け、各ドレーン油路にドレーン切替弁を設けたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置において、前記VCTの実進角量を目標進角量に保持する保持動作中に、進角室側と遅角室側の両方のドレーン切替弁を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて両方の油圧室からの作動油の逆流を防止すると共に、前記各油圧室の油圧を制御する油圧制御弁の駆動電流を保持電流学習値に基づいて制御する制御手段と、保持電流学習期間中に前記油圧制御弁の駆動電流(以下「OCV電流」と表記する)を前記VCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じて補正しながら該OCV電流をディザ制御して前記保持電流学習値を更新する保持電流学習手段とを備えた構成としたものである。
本発明のように、保持電流学習期間中にOCV電流をディザ制御すると、図6に示すように、保持電流付近の進角速度変化の勾配が大きくなって、保持電流付近の領域でも、OCV電流に対するVCTの応答特性をリニアな特性に近付けることができる。これにより、保持電流の学習を従来よりも短い時間で精度良く行うことができ、保持電流学習時間の短縮と学習精度向上とを実現することができる。
この場合、請求項2のように、保持電流学習期間中にVCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じた補正電流値とディザ振幅電流値と最新の保持電流学習値とに基づいて目標OCV電流を設定してディザ制御を実行し、VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態になったと判断されるときに、その時点の目標OCV電流から前記ディザ振幅電流値を除いた電流値を保持電流学習値として学習するようにすると良い。これにより、簡単な処理で保持電流を精度良く学習することができる。
ここで、「VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態」であるか否かは、例えば、(1)目標進角量が一定の状態で、実進角量の変化速度(演算周期当たりの変化量)の絶対値がほぼ0又は所定値以下であるか否かで判定したり、或は、(2)目標進角量が一定の状態で、実進角量と目標進角量との偏差の変化速度(演算周期当たりの変化量)の絶対値がほぼ0又は所定値以下であるか否かで判定したり、或は、(3)VCTの実進角量又はそのなまし値と目標進角量又はそのなまし値との偏差の絶対値が所定値以上で且つそれらの変化が小さい状態が所定時間継続したか否かで判定しても良い。
また、請求項3のように、VCTの実進角量又はそのなまし値と目標進角量又はそのなまし値との偏差の絶対値が所定値以上で且つそれらの変化が小さい状態が所定時間継続したときにディザ制御を実行し、そのディザ制御により前記偏差が小さくなって前記VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態になったと判断されるときに、その時点の目標OCV電流からディザ振幅電流値を除いた電流値を保持電流学習値として学習するようにしても良い。このようにすれば、VCTの実進角量と目標進角量との偏差がある程度大きい状態でもディザ制御を開始して保持電流を速やかに学習でき、実進角量を目標進角量に速やかに収束させることができる。
ところで、ディザ振幅電流値やディザ周期(ディザ周波数)は、予め設定した一定値としても良いが、VCTの応答特性がVCTに供給する油圧や油温(作動油の粘性係数)によって変化することを考慮して、請求項4のように、ディザ振幅電流値及び/又はディザ周期(ディザ周波数)をVCTに供給する油圧及び油温若しくはそれらに相関する情報に基づいて設定するようにしても良い。
このようにすれば、油圧や油温(作動油の粘性係数)の変化に応じてVCTの応答特性が変化するのに追従させてディザ振幅電流値やディザ周期を適正に変化させることができて、油圧や油温(作動油の粘性係数)に左右されない安定した保持電流の学習が可能となる。一般に、VCTに油圧を供給するオイルポンプは、エンジンの動力によって駆動されるため、エンジン回転速度が高くなるほど、油圧が高くなるという関係がある。従って、油圧の代用情報としてエンジン回転速度を用いても良い。また、油温とエンジン温度とは相関関係があるため、油温の代用情報としてエンジン温度(冷却水温)を用いても良い。
一般に、油圧制御弁はソレノイドで駆動するスプール式電磁弁により構成され、電気的な配線が必要となるため、この油圧制御弁をエンジンのクランク軸に同期して高速回転するVCTの内部に設けることは実質的に不可能である。この関係で、油圧制御弁はVCTの外部に配置されることから、前記特許文献2のように、油圧制御弁によって各油圧室のドレーン油路を開閉する構成では、各油圧室からドレーン油路を開閉する油圧制御弁までの油路(油圧室内に常時連通する油路)の長さが長くなってしまい、その分、応答性が遅くなるという欠点がある。
この欠点を解消するために、請求項5のように、各油圧室のドレーン切替弁を、油圧で駆動されるように構成してVCTのハウジングの内部に設け、各ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁をVCTのハウジングの外部に設けるようにすると良い。この構成では、ドレーン切替弁を小型化できると共にドレーン切替弁への電気的な配線が不要であるため、ドレーン切替弁を逆止弁と共にVCTの内部の狭いスペースにコンパクトに組み付けることが可能になり、設計の自由度が高められると共に、各油圧室の近くにドレーン切替弁を配置することが可能となり、進角・遅角動作時にドレーン油路を油圧室の近くで応答良く開放/閉鎖できる利点がある。
この場合、ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁を、油圧制御弁とは別体に設けるようにしても良いが、請求項6のように、油圧切替弁を油圧制御弁に一体化した構成とすると良い。これにより、部品点数削減、低コスト化、コンパクト化の要求を満たすことができる。
本発明は、VCTの構成が請求項1とは異なる構成のものにも適用して実施できる。
例えば、請求項7のように、VCTのハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画し、少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路を設けると共に、前記第1のドレーン油路に油圧で駆動される第1のドレーン制御弁を設け、且つ、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路を設けると共に、前記第2のドレーン油路に油圧で駆動される第2のドレーン制御弁とを設けた構成としても良い。
例えば、請求項7のように、VCTのハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画し、少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路を設けると共に、前記第1のドレーン油路に油圧で駆動される第1のドレーン制御弁を設け、且つ、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路を設けると共に、前記第2のドレーン油路に油圧で駆動される第2のドレーン制御弁とを設けた構成としても良い。
このような構成のVCTに対しても、前記請求項1〜6に係る発明を適用して実施できる(請求項7〜12参照)。
また、請求項13のように、VCTのハウジング内に形成された複数のベーン収納室のうちの少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁を設けると共に、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路を設け、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁を設けると共に、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路を設け、前記VCTに供給する油圧を制御する油圧制御弁に、前記第1のドレーン油路と前記第2のドレーン油路とを開放/閉鎖するドレーン油路制御機能を一体化した構成としても良い。
このような構成のVCTに対しても、前記請求項1〜4に係る発明を適用して実施できる(請求項13〜16参照)。
この場合、請求項17のように、前記第1のドレーン油路に油圧で駆動される第1のドレーン制御弁と、前記第2のドレーン油路に油圧で駆動される第2のドレーン制御弁とを設け、前記油圧制御弁のドレーン油路制御機能による油圧制御によって、前記第1のドレーン制御弁を開弁/閉弁することで前記第1のドレーン油路を開放/閉鎖するとともに、前記第2のドレーン制御弁を開弁/閉弁することで前記第2のドレーン油路を開放/閉鎖するように構成すれば良い。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてベーン式の可変バルブタイミング調整機構11の構成を説明する。可変バルブタイミング調整機構11のハウジング12は、図示しない吸気側又は排気側のカム軸の外周に回動自在に支持されたスプロケットにボルト13で締め付け固定されている。これにより、エンジンのクランク軸の回転がタイミングチェーンを介してスプロケットとハウジング12に伝達され、スプロケットとハウジング12がクランク軸と同期して回転する。ハウジング12内には、ベーンロータ14が相対回動自在に収納され、このベーンロータ14がボルト15によりカム軸の一端部に締め付け固定されている。
まず、図1に基づいてベーン式の可変バルブタイミング調整機構11の構成を説明する。可変バルブタイミング調整機構11のハウジング12は、図示しない吸気側又は排気側のカム軸の外周に回動自在に支持されたスプロケットにボルト13で締め付け固定されている。これにより、エンジンのクランク軸の回転がタイミングチェーンを介してスプロケットとハウジング12に伝達され、スプロケットとハウジング12がクランク軸と同期して回転する。ハウジング12内には、ベーンロータ14が相対回動自在に収納され、このベーンロータ14がボルト15によりカム軸の一端部に締め付け固定されている。
ハウジング12の内部には、ベーンロータ14の外周部の複数のベーン17を進角方向及び遅角方向に相対回動自在に収納する複数のベーン収納室16が形成され、各ベーン収納室16が各ベーン17によって進角室18と遅角室19とに区画されている。
進角室18と遅角室19に所定圧以上の油圧が供給された状態では、進角室18と遅角室19の油圧でベーン17が保持されて、クランク軸の回転によるハウジング12の回転が油圧を介してベーンロータ14に伝達され、このベーンロータ14と一体的にカム軸が回転駆動される。エンジン運転中は、進角室18と遅角室19の油圧を油圧制御弁21で制御してハウジング12に対してベーンロータ14を相対回動させることで、クランク軸に対するカム軸の進角量(カム軸の変位角)を制御して吸気バルブ(又は排気バルブ)のバルブタイミングを可変する。
また、いずれか1つのベーン17の両側部には、ハウジング12に対するベーンロータ14の相対回動範囲を規制するストッパ部22,23が形成され、このストッパ部22,23によってカム軸の変位角の最遅角位置と最進角位置が規制されている。また、いずれか1つのベーン17には、エンジン停止時等にカム軸の進角量を所定のロック位置でロックするためのロックピン24が設けられ、このロックピン24がハウジング12に設けられたロック穴(図示せず)に嵌り込むことで、カム軸の進角量が所定のロック位置でロックされる。このロック位置は、始動に適した位置(例えばカム軸進角量の調整可能範囲の略中間位置)に設定されている。
可変バルブタイミング調整機構11の油圧制御回路には、オイルパン26内のオイル(作動油)がオイルポンプ27により油圧制御弁21を介して供給される。この油圧制御回路は、油圧制御弁21の進角圧ポートから吐出されるオイルを複数の進角室18に供給する油圧供給油路28と、油圧制御弁21の遅角圧ポートから吐出されるオイルを複数の遅角室19に供給する油圧供給油路29とが設けられている。
そして、進角室18の油圧供給油路28と遅角室19の油圧供給油路29には、それぞれ各室18,19からの作動油の逆流を防止する逆止弁30,31が設けられている。本実施例では、1つのベーン収納室16の進角室18と遅角室19の油圧供給油路28,29についてのみ逆止弁30,31が設けられている。勿論、2つ以上のベーン収納室16の進角室18と遅角室19の油圧供給油路28,29にそれぞれ逆止弁30,31を設ける構成としていも良い。
各室18,19の油圧供給油路28,29には、それぞれ逆止弁30,31をバイパスするドレーン油路32,33が並列に設けられ、各ドレーン油路32,33には、それぞれドレーン切替弁34,35が設けられている。各ドレーン切替弁34,35は、油圧制御弁21から供給される油圧(パイロット圧)で閉弁方向に駆動されるスプール弁により構成され、油圧が加えられないときには、スプリング41,42によって開弁位置に保持される。ドレーン切替弁34,35が開弁すると、ドレーン油路32,33が開放されて、逆止弁30,31の機能が働かない状態となる。ドレーン切替弁34,35が閉弁すると、ドレーン油路32,33が閉鎖されて、逆止弁30,31の機能が有効に働く状態となり、油圧室18,19からのオイルの逆流が防止されて油圧室18,19の油圧が保持される。
各ドレーン切替弁34,35は、電気的な配線が不要であるため、逆止弁30,31と共に可変バルブタイミング調整機構11内部のベーンロータ14にコンパクトに組み付けられている。これにより、各油圧室18,19の近くにドレーン切替弁34,35が配置され、進角・遅角動作時に各ドレーン油路32,33を各油圧室18,19の近くで応答良く開放/閉鎖できるようになっている。
一方、油圧制御弁21は、リニアソレノイド36によって駆動されるスプール弁により構成され、進角室18と遅角室19に供給する油圧を制御する進角/遅角油圧制御機能37と、各ドレーン切替弁34,35を駆動する油圧を切り替えるドレーン切替制御機能38(油圧切替弁)とが一体化されている。この油圧制御弁21のリニアソレノイド36に通電する電流値(制御デューティ)は、エンジン制御回路(以下「ECU」という)43によって制御される。
このECU43は、クランク角センサ44及びカム角センサ45の出力信号に基づいて吸気バルブ(又は排気バルブ)の実バルブタイミング(実進角量)を演算すると共に、吸気圧センサ、水温センサ等のエンジン運転状態を検出する各種センサの出力に基づいて吸気バルブ(又は排気バルブ)の目標バルブタイミング(目標進角量)を演算する。そして、ECU43は、後述する図8のVCT制御ルーチンを実行することで、実バルブタイミングを目標バルブタイミングに一致させるように可変バルブタイミング調整機構11の油圧制御弁21の駆動電流をフィードバック制御(F/B制御)する。これにより、進角室18と遅角室19の油圧を制御してハウジング12に対してベーンロータ14を相対回動させることで、カム軸の進角量を変化させて実バルブタイミングを目標バルブタイミングに一致させる。
ところで、エンジン運転中に吸気バルブや排気バルブを開閉駆動するときに、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるトルク変動がベーンロータ14に伝わり、それによって、ベーンロータ14に対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用する。これにより、ベーンロータ14が遅角方向にトルク変動を受けると、進角室18の作動油が進角室18から押し出される圧力を受け、ベーンロータ14が進角方向にトルク変動を受けると、遅角室19の作動油が遅角室19から押し出される圧力を受けることになる。このため、油圧供給源であるオイルポンプ27の吐出油圧が低くなる低回転領域では、逆止弁30,31が無いと、進角室18に油圧を供給してカム軸の変位角を進角させようとしても、図3に点線で示すように、ベーンロータ14が上記トルク変動により遅角方向に押し戻されてしまい、目標進角量に到達するまでの応答時間が長くなってしまうという問題があった。
これに対して、本実施例では、進角室18の油圧供給油路28と遅角室19の油圧供給油路29に、それぞれ各室18,19からのオイルの逆流を防止する逆止弁30,31を設けると共に、各室18,19の油圧供給油路28,29に、それぞれ逆止弁30,31をバイパスするドレーン油路32,33を並列に設け、各ドレーン油路32,33に、それぞれドレーン切替弁34,35を設けた構成となっている。これにより、図2に示すように、遅角動作、保持動作、進角動作に応じて各室18,19の油圧が次のように制御される。
[遅角動作]
実バルブタイミングを遅角側の目標バルブタイミングに向けて遅角させる遅角動作中は、進角室18のドレーン切替弁34への油圧供給を停止することで、進角室18のドレーン切替弁34を開弁して進角室18の逆止弁30を機能させない状態にすると共に、遅角室19のドレーン切替弁35へ油圧切替弁38から油圧を加えることで、遅角室19のドレーン切替弁35を閉弁して遅角室19の逆止弁31を機能させる状態にする。これにより、低油圧時でも、ベーンロータ14の進角方向へのトルク変動に対して遅角室19からのオイルの逆流を逆止弁31により防止しながら効率良く遅角室19に油圧を供給して遅角応答性を向上させる。
実バルブタイミングを遅角側の目標バルブタイミングに向けて遅角させる遅角動作中は、進角室18のドレーン切替弁34への油圧供給を停止することで、進角室18のドレーン切替弁34を開弁して進角室18の逆止弁30を機能させない状態にすると共に、遅角室19のドレーン切替弁35へ油圧切替弁38から油圧を加えることで、遅角室19のドレーン切替弁35を閉弁して遅角室19の逆止弁31を機能させる状態にする。これにより、低油圧時でも、ベーンロータ14の進角方向へのトルク変動に対して遅角室19からのオイルの逆流を逆止弁31により防止しながら効率良く遅角室19に油圧を供給して遅角応答性を向上させる。
[保持動作]
実バルブタイミングを目標バルブタイミングに保持する保持動作中は、進角室18と遅角室19の両方のドレーン切替弁34,35へ油圧切替弁38から油圧を共に加えることで、両方のドレーン切替弁34,35を共に閉弁して、進角室18と遅角室19の両方の逆止弁30,31を機能させる状態にする。この状態では、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるトルク変動によってベーンロータ14に対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用しても、進角室18と遅角室19の両方のオイルの逆流を逆止弁31により防止して、ベーン17をその両側から保持する油圧が低下するのを防止して、保持安定性を向上させる。
実バルブタイミングを目標バルブタイミングに保持する保持動作中は、進角室18と遅角室19の両方のドレーン切替弁34,35へ油圧切替弁38から油圧を共に加えることで、両方のドレーン切替弁34,35を共に閉弁して、進角室18と遅角室19の両方の逆止弁30,31を機能させる状態にする。この状態では、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるトルク変動によってベーンロータ14に対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用しても、進角室18と遅角室19の両方のオイルの逆流を逆止弁31により防止して、ベーン17をその両側から保持する油圧が低下するのを防止して、保持安定性を向上させる。
[進角動作]
実バルブタイミングを進角側の目標バルブタイミングに向けて進角させる進角動作中は、進角室18のドレーン切替弁34への油圧切替弁38から油圧を加えることで、進角室18のドレーン切替弁34を閉弁して進角室18の逆止弁30を機能させる状態にすると共に、遅角室19のドレーン切替弁35への油圧供給を停止することで、遅角室19のドレーン切替弁35を開弁して遅角室19の逆止弁31を機能させない状態にする。これにより、低油圧時でも、ベーンロータ14の遅角方向へのトルク変動に対して進角室18からのオイルの逆流を逆止弁30により防止しながら効率良く油圧を進角室18に供給して進角応答性を向上させる。
実バルブタイミングを進角側の目標バルブタイミングに向けて進角させる進角動作中は、進角室18のドレーン切替弁34への油圧切替弁38から油圧を加えることで、進角室18のドレーン切替弁34を閉弁して進角室18の逆止弁30を機能させる状態にすると共に、遅角室19のドレーン切替弁35への油圧供給を停止することで、遅角室19のドレーン切替弁35を開弁して遅角室19の逆止弁31を機能させない状態にする。これにより、低油圧時でも、ベーンロータ14の遅角方向へのトルク変動に対して進角室18からのオイルの逆流を逆止弁30により防止しながら効率良く油圧を進角室18に供給して進角応答性を向上させる。
次に、可変バルブタイミング調整機構11(以下「VCT」という)の応答特性について図4を用いて説明する。図4は、油圧制御弁21の駆動電流(以下「OCV電流」という)とVCTの進角速度との関係を測定して得られたVCT応答特性の一例を従来のVCTと比較して示している。
本実施例では、進角室18と遅角室19の両方に逆止弁30,31とドレーン切替弁34,35(以下これらを「逆止弁機構」という)を設けているため、OCV電流の変化に対してVCTの進角速度がリニアに変化せず、ドレーン切替弁34,35の開弁/閉弁が切り替えられることにより進角速度が2箇所で急変する。図4のVCT応答特性において、遅角側の応答性急変点は、進角室18のドレーン切替弁34の開弁/閉弁が切り替えられる点であり、進角側の応答性急変点は、遅角室19のドレーン切替弁35の開弁/閉弁が切り替えられる点である。保持動作は、遅角側の応答性急変点と進角側の応答性急変点との間の進角速度が遅い領域で行われる。
本実施例のような逆止弁機構付きのベーン式VCTは、逆止弁機構を持たない従来の一般的なベーン式VCTと比較して、保持動作領域における進角速度変化の勾配が更に小さくなり、VCTの動きが更に鈍くなる。このため、逆止弁機構付きのベーン式VCTでは、従来の保持電流学習方法によって保持電流(進角速度=0の時のOCV電流)を正確に学習するのは困難であり、逆止弁機構を持たないものと比較して、保持電流学習値のばらつき(学習誤差)が大きくなることは避けられない。
この問題を解決するために、本実施例では、図7に示すように、保持電流学習期間中にOCV電流をVCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じてF/B補正しながら該OCV電流を所定のディザ振幅電流値で周期的に振動させるディザ制御を実行する。この際、VCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じたF/B補正電流値とディザ振幅電流値と最新の保持電流学習値とを加算して目標OCV電流を設定してディザ制御を実行する。
目標OCV電流=最新の保持電流学習値+F/B補正電流値+ディザ振幅電流値
このように、OCV電流をディザ制御すると、図6に示すように、保持電流付近の進角速度変化の勾配が大きくなって、保持電流付近の領域でも、OCV電流に対するVCTの応答特性をリニアな特性に近付けることができる。
このように、OCV電流をディザ制御すると、図6に示すように、保持電流付近の進角速度変化の勾配が大きくなって、保持電流付近の領域でも、OCV電流に対するVCTの応答特性をリニアな特性に近付けることができる。
このディザ制御により、VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態になったと判断されるときに、その時点の目標OCV電流から前記ディザ振幅電流値を除いた電流値(前回の保持電流学習値+F/B補正電流値)を新たな保持電流学習値として学習し、これをECU43のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに更新記憶する。
ここで、「VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態」であるか否かは、例えば、(1)目標進角量が一定の状態で、実進角量の変化速度(演算周期当たりの変化量)の絶対値がほぼ0又は所定値以下であるか否かで判定したり、或は、(2)目標進角量が一定の状態で、実進角量と目標進角量との偏差の変化速度(演算周期当たりの変化量)の絶対値がほぼ0又は所定値以下であるか否かで判定したり、或は、(3)VCTの実進角量又はそのなまし値と目標進角量又はそのなまし値との偏差の絶対値が所定値以上で且つそれらの変化が小さい状態が所定時間継続したか否かで判定しても良い。
更に、本実施例では、VCTの実進角量なまし値と目標進角量なまし値との偏差の絶対値が所定値以上で且つそれらの変化が小さい状態が所定時間継続したときに、保持電流学習実行条件が成立してディザ制御を開始するようにしている。これにより、VCTの実進角量と目標進角量との偏差がある程度大きい状態でもディザ制御を開始して保持電流を速やかに学習できるようにしている。
図7は、保持電流学習値が真の保持電流よりも小さい状態で目標進角量がステップ的に変化した場合の制御例を示している。この場合、目標進角量がステップ的に変化した時点t1 で、VCTが目標進角量に向かって進角動作を開始する。この進角動作により、実進角量と目標進角量との偏差が小さくなるに従って、進角速度が低下して、停止判定条件が成立した時点t2 で、ほぼ停止状態とみなし、ほぼ停止状態が継続する時間を計測する。ここで、停止判定条件は、VCTの実進角量なまし値と目標進角量なまし値との偏差の絶対値が所定値以上で且つ実進角量なまし値と目標進角量なまし値の各々の演算周期当たりの変化量が共に所定値以下であることを条件とする。
この停止判定条件が成立した状態が所定時間K4継続した時点t3 で、ディザ制御を開始する。ディザ制御により、OCV電流に対するVCTの応答特性がリニアな特性に近付くため、使用する保持電流学習値が真の保持電流よりも小さいと、一時的にVCTの変位角が遅角方向に少しだけ変化して実進角量と目標進角量との偏差が増加する。
このディザ制御中に、再度、上記停止判定条件が成立するタイミングt4 を検出し、以後、この停止判定条件が成立した状態が継続する時間を計測する。そして、この停止判定条件が成立した状態が所定時間K4継続した時点t5 で、保持電流学習値の更新タイミングと判断して、その時点の目標OCV電流からディザ振幅電流値を除いた電流値(前回の保持電流学習値+F/B補正電流値)を新たな保持電流学習値として学習する。その後は、F/B制御モードに復帰し、VCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じたF/B補正電流値を最新の保持電流学習値に加算して目標OCV電流を設定し、実進角量を目標進角量に一致させるようにF/B制御する。
以上説明した本実施例の保持電流学習とVCT制御は、ECU43によって図8乃至図10の各ルーチンに従って実行される。以下、これら各ルーチンの処理内容を説明する。
[VCT制御ルーチン]
図8のVCT制御ルーチンは、エンジン運転中に所定周期(例えば5ms周期)で実行され、特許請求の範囲でいう制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、運転条件(例えばエンジン回転速度、負荷、冷却水温等)を検出し、次のステップ102で、検出した運転条件に基づいてVCT制御実行条件が成立しているか否かを判定する。その結果、VCT制御実行条件が成立していないと判定されれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。VCT制御を実行しない場合には、目標進角量VVTが0(最遅角位置)に維持される。
図8のVCT制御ルーチンは、エンジン運転中に所定周期(例えば5ms周期)で実行され、特許請求の範囲でいう制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、運転条件(例えばエンジン回転速度、負荷、冷却水温等)を検出し、次のステップ102で、検出した運転条件に基づいてVCT制御実行条件が成立しているか否かを判定する。その結果、VCT制御実行条件が成立していないと判定されれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。VCT制御を実行しない場合には、目標進角量VVTが0(最遅角位置)に維持される。
これに対して、上記ステップ102で、VCT制御実行条件が成立していると判定されれば、ステップ103に進み、クランク角センサ44の出力信号と、これに続いて発生するカム角センサ45の出力信号との間の位相差により実進角量VTA(最遅角位置から現在位置までの進角量)を算出し、次のステップ104で、現在の運転条件(エンジン回転速度、負荷等)に応じてマップ等から目標進角量VTTを算出する。
この後、ステップ105に進み、後述する図9の保持電流学習ルーチンを実行し、保持電流学習値更新タイミングであれば、その時点の目標OCV電流IVTTからディザ振幅電流値IVTTを除いた電流値(前回の保持電流学習値IVTH+F/B補正電流値IVFB)又はそのなまし値を新たな保持電流学習値IVTHとして学習し、これをECU43のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに更新記憶する。
この後、ステップ106に進み、後述する図10の目標OCV電流算出ルーチンを実行して、保持電流学習値IVTHを基準にして目標OCV電流iVVTを算出する。そして、次のステップ107で、OCV電流をOCV目標電流iVVTに制御するための制御デューティを算出して本ルーチンを終了する。
[保持電流学習ルーチン]
図9の保持電流学習ルーチンは、上記図8のVCT制御ルーチンのステップ105で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう保持電流学習手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ201〜203で、停止判定条件が成立しているか否かでVCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態であるか否かを判定する。ここで、停止判定条件は、次の3つの条件(1) 〜(3) を全て満たすことである。
図9の保持電流学習ルーチンは、上記図8のVCT制御ルーチンのステップ105で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう保持電流学習手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ201〜203で、停止判定条件が成立しているか否かでVCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態であるか否かを判定する。ここで、停止判定条件は、次の3つの条件(1) 〜(3) を全て満たすことである。
(1) 今回の目標進角量なまし値VTTSM[i] と前回の目標進角量なまし値VTTSM[i-1] との偏差の絶対値、つまり演算周期当たりの目標進角量なまし値の変化量の絶対値が所定値K1よりも小さいこと(ステップ201)
(2) 今回の実進角量なまし値VTASM[i] と前回の実進角量なまし値VTASM[i-1] との偏差の絶対値、つまり演算周期当たりの実進角量なまし値の変化量の絶対値が所定値K2よりも小さいこと(ステップ202)
(3) 今回の実進角量なまし値VTASM[i] と今回の目標進角量なまし値VTTSM[i] との偏差の絶対値が所定値K3よりも大きいこと(ステップ203)
(2) 今回の実進角量なまし値VTASM[i] と前回の実進角量なまし値VTASM[i-1] との偏差の絶対値、つまり演算周期当たりの実進角量なまし値の変化量の絶対値が所定値K2よりも小さいこと(ステップ202)
(3) 今回の実進角量なまし値VTASM[i] と今回の目標進角量なまし値VTTSM[i] との偏差の絶対値が所定値K3よりも大きいこと(ステップ203)
尚、上記条件(1) 〜(3) では、目標進角量と実進角量のデータとして、センサ信号のノイズ等による瞬間的な変動の影響を排除するために、それぞれ、なまし値を用いるようにしたが、目標進角量と実進角量をなまし処理せずにそのまま用いるようにしても良い。
上記条件(1) が満たされない場合、つまり演算周期当たりの目標進角量なまし値の変化量の絶対値が所定値K1以上であれば、ステップ201で「No」と判定されて、ステップ210に進み、停止判定条件が成立した状態の継続時間をカウントする停止判定時間カウンタCVTHEXを“0”に維持又はリセットすると共に、ディザ制御実行フラグXDZEXをディザ制御実行中でないことを意味する“0”に維持又はリセットする。
また、上記条件(2) ,(3) のいずれか一方でも満たさない条件がある場合、つまり、演算周期当たりの実進角量なまし値の変化量の絶対値が所定値K2以上である場合や、実進角量なまし値VTASM[i] と目標進角量なまし値VTTSM[i] との偏差の絶対値が所定値K3以下である場合は、ステップ202又は203で「No」と判定されて、ステップ209に進み、停止判定条件が成立した状態の継続時間をカウントする停止判定時間カウンタCVTHEXを“0”に維持又はリセットする。
これに対して、上記3つの条件(1) 〜(3) を全て満たす場合(3つのステップ201〜203の判定結果が全て「Yes」の場合)は、停止判定条件が成立している、つまりVCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態であると判断して、ステップ204に進み、停止判定時間カウンタCVTHEXを1つインクリメントして、停止判定条件が成立した状態の継続時間を計測する。そして、次のステップ205で、停止判定時間カウンタCVTHEXのカウント値(停止判定条件が成立した状態の継続時間)が所定時間K4以上であるか否かを判定し、所定時間K4未満であれば、そのまま本ルーチンを終了する。
その後、停止判定時間カウンタCVTHEXのカウント値(停止判定条件が成立した状態の継続時間)が所定時間K4に達した時点で、上記ステップ205で「Yes」と判定されて、ステップ206に進み、ディザ制御実行フラグXDZEXがディザ制御実行中であることを意味する“1”にセットされているか否かを判定する。その結果、ディザ制御実行フラグXDZEXがディザ制御実行中でないことを意味する“0”にセットされていると判定されれば、ステップ208に進み、ディザ制御実行フラグXDZEXを“1”にセットしてディザ制御を開始すると共に、停止判定時間カウンタCVTHEXを“0”にリセットする(図7のt3 時の処理)。
これに対して、上記ステップ206で、ディザ制御実行フラグXDZEXが“1”にセットされていると判定された場合は、ディザ制御実行中に停止判定条件が成立した状態が所定時間K4継続したことを意味するため、保持電流学習値の更新タイミングと判断して、ステップ207に進み、その時点の目標OCV電流IVTTからディザ振幅電流値IVTTを除いた電流値(前回の保持電流学習値IVTH+F/B補正電流値IVFB)又はそのなまし値を新たな保持電流学習値IVTHとして学習し、これをECU43のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに更新記憶すると共に、ディザ制御実行フラグXDZEXを“0”にリセットしてディザ制御を終了し、且つ、停止判定時間カウンタCVTHEXを“0”にリセットする(図7のt5 時の処理)。
尚、保持電流学習値IVTHは、目標進角量VTTの領域毎又はエンジン運転領域毎に学習するようにしても良い。
[目標OCV電流算出ルーチン]
図10の目標OCV電流算出ルーチンは、前記図8のVCT制御ルーチンのステップ106で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ301で、ECU43の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されている保持電流学習値IVTHを読み込み、次のステップ302で、現在の実進角量VTAと目標進角量VTTとの偏差に応じてPD制御等によりF/B補正電流値IVFBを算出する。
図10の目標OCV電流算出ルーチンは、前記図8のVCT制御ルーチンのステップ106で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ301で、ECU43の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されている保持電流学習値IVTHを読み込み、次のステップ302で、現在の実進角量VTAと目標進角量VTTとの偏差に応じてPD制御等によりF/B補正電流値IVFBを算出する。
この後、ステップ303に進み、ディザ制御実行フラグXDZEXが“1”にセットされているか否か(ディザ制御実行中であるか否か)を判定し、ディザ制御実行フラグXDZEXが“0”であれば、F/B制御中であると判断して、ステップ306に進み、保持電流学習値IVTHにF/B補正電流値IVFBを加算してF/B制御の目標OCV電流IVTTを求める。
F/B制御の目標OCV電流IVTT=IVTH+IVFB
F/B制御の目標OCV電流IVTT=IVTH+IVFB
これに対して、ディザ制御実行フラグXDZEXが“1”であれば、ディザ制御中であると判断して、ステップ304に進み、ディザ振幅電流値IVDZとディザ周期(ディザ周波数)を算出する。このディザ振幅電流値IVDZとディザ周期は、予め設定した一定値としても良いが、VCTの応答特性がVCTに供給する油圧や油温(作動油の粘性係数)によって変化することを考慮して、ディザ振幅電流値IVDZ及び/又はディザ周期をVCTに供給する油圧及び油温若しくはそれらに相関する情報に基づいて設定するようにしても良い。
このようにすれば、油圧や油温(作動油の粘性係数)の変化に応じてVCTの応答特性が変化するのに追従させてディザ振幅電流値IVDZやディザ周期を適正に変化させることができ、油圧や油温(作動油の粘性係数)に左右されない安定した保持電流の学習が可能となる。一般に、VCTに油圧を供給するオイルポンプ27は、エンジンの動力によって駆動されるため、エンジン回転速度が高くなるほど、油圧が高くなるという関係がある。従って、油圧の代用情報としてエンジン回転速度を用いても良い。また、油温とエンジン温度とは相関関係があるため、油温の代用情報としてエンジン温度(冷却水温)を用いても良い。
また、ディザ制御の振動中心値(IVTH+IVFB)は、図6のVCT応答特性において、遅角側の応答性急変点と進角側の応答性急変点との間の進角速度が遅い領域内に位置するため、ディザ振幅電流値IVDZは、進角速度が遅い領域の幅の半分以上の振幅に設定すると良い。このようにすれば、ディザ制御の振動範囲の幅が進角速度が遅い領域の幅からはみ出すようになるので、ディザ制御によるVCT応答特性向上の効果を大きくすることができる。
この後、ディザ制御中は、ステップ305に進み、保持電流学習値IVTHにF/B補正電流値IVFBとディザ振幅電流値IVDZを加算してディザ制御の目標OCV電流IVTTを求める。
ディザ制御の目標OCV電流IVTT=IVTH+IVFB+IVTH
ディザ制御の目標OCV電流IVTT=IVTH+IVFB+IVTH
以上説明した本実施例によれば、保持電流学習期間中(ディザ制御期間中)にOCV電流をVCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じてF/B補正しながら該OCV電流を所定のディザ振幅電流値で周期的に振動させるディザ制御を実行するようにしたので、保持電流学習期間中にディザ制御によりOCV電流に対するVCTの応答特性をリニアな特性に近付けることができて、保持電流の学習を従来よりも短い時間で精度良く行うことができ、保持電流学習時間の短縮と学習精度向上とを実現することができる。
尚、図9の保持電流学習ルーチンでは、ディザ制御開始前の停止判定条件とディザ制御中の停止判定条件とを同一の条件に設定したが、両者の停止判定条件を異ならせるようにしても良い。或は、停止判定時間カウンタCVTHEXのカウント値(停止判定条件が成立した状態の継続時間)の判定しきい値(K4)をディザ制御開始前とディザ制御中とで異ならせるようにしても良い。
また、図9の保持電流学習ルーチンにおいて、ステップ203で判定する条件(実進角量なまし値VTASM[i] と目標進角量なまし値VTTSM[i] との偏差の絶対値が所定値K3よりも大きいこと)を停止判定条件から除外して、ステップ201、202で判定する2つの条件(1) 、(2) のみを停止判定条件としても良い。或は、ステップ202の代わりに、実進角量と目標進角量との偏差の変化速度(演算周期当たりの変化量)の絶対値が所定値以下であることを停止判定条件の1つとしても良い。
また、本実施例では、各油圧室のドレーン切替弁34,35を、油圧で駆動されるように構成してVCT11のハウジング12の内部に設け、各ドレーン切替弁34,35を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁38をVCTのハウジング12の外部に設けるようにしたので、ドレーン切替弁34,35を小型化できると共に、ドレーン切替弁34,35への電気的な配線が不要であるため、ドレーン切替弁34,35を逆止弁30,31と共にVCTの内部の狭いスペースにコンパクトに組み付けることが可能になり、設計の自由度が高められると共に、各油圧室18,19の近くにドレーン切替弁34,35を配置することが可能となり、進角・遅角動作時にドレーン油路32,33を油圧室の近くで応答良く開放/閉鎖できる利点がある。
しかも、本実施例では、油圧切替弁38を油圧制御弁21に一体化した構成としているため、部品点数削減、低コスト化、コンパクト化の要求を満たすことができる。
しかしながら、本発明は、油圧切替弁38を、油圧制御弁21とは別体に設けるようにしても良いことは言うまでもない。
しかしながら、本発明は、油圧切替弁38を、油圧制御弁21とは別体に設けるようにしても良いことは言うまでもない。
本発明は、図1に示される可変バルブタイミング調整機構11の構成に限定されず、例えば、図11又は図12に示される他の実施例の可変バルブタイミング調整機構71,72に適用することもできる。
図11に示される可変バルブタイミング調整機構71においては、図1に示される可変バルブタイミング調整機構11に対して以下の点が相違している。なお、図11において図1と同等の構成部品については同じ符号を付して説明を省略する。
まず、図1の油圧制御弁21は1つのリニアソレノイド36により進角/遅角油圧制御機能37とドレーン切替制御機能38とを駆動しているが、図11では、進角/遅角油圧制御機能を実現する第1の油圧制御弁37とドレーン切替制御機能を実現する第2の油圧制御弁38とにそれぞれソレノイド36,51を設け、各ソレノイド36,51をそれぞれ別のECU43,52によって独立して制御する構成としている。一方のECU43は、VCT実変位角と目標変位角との偏差に応じて第1の油圧制御弁37の電流を制御し、他方のECU52は、第2の油圧制御弁38の電流を制御して、各ドレーン切替弁(ドレーン制御弁)34,35を駆動する油圧を制御する。
ドレーン切替弁34,35については、図1では、油圧が加えられていないときには、スプリング41,42によって開弁位置に保持される、いわゆるノーマリ・オープン型(常開型)の切替弁を用いている。これに対して、図11では、油圧が加えられていないときに、スプリング41,42によって閉弁位置に保持される、いわゆるノーマリ・クローズ型(常閉型)の切替弁を用いている。またこれに伴い、ドレーン切替制御機能38も、図1ではドレーン切替弁34,35を閉弁するときに油圧を供給する構成となっているが、図11ではドレーン切替弁34,35を閉弁するときに油圧供給を停止する構成となっている。
また、図1においては、ある1つのベーン17で仕切られた1つのベーン収納室16の進角室18及び遅角室19に対応する油圧供給通路28,29に逆止弁30,31及びドレーン切替弁34,35を設ける構成としているが、図11では、あるベーン収納室16の進角室18に対する油圧供給通路28と別のベーン収納室16の遅角室19に対する油圧供給通路29とに逆止弁30,31及びドレーン切替弁34,35を設けている。
この構成では、VCT変位角を目標変位角に保持する保持動作中には、進角室18側と遅角室19側の両方のドレーン切替弁34,35を閉じて進角室18側と遅角室19側の両方の逆止弁30,31を有効に機能させて進角室18及び遅角室19からの作動油の逆流を防止するように第2の油圧制御弁38を制御すると共に、可変バルブタイミング調整機構71へ供給する油圧を制御する第1の油圧制御弁37の制御電流を所定の保持電流に制御する。
一方、可変バルブタイミング調整機構71を進角動作させる場合は、作動油を流入させる進角室側のドレーン切替弁を閉じて、作動油が排出される遅角室側のドレーン切替弁を開くように第2の油圧制御弁38を制御し、可変バルブタイミング調整機構71を遅角動作させる場合は、作動油を流入させる遅角室側のドレーン切替弁を閉じて、作動油が排出される進角室側のドレーン切替弁を開くように第2の油圧制御弁38を制御する。要するに、進角・遅角動作中には、その変位方向に応じて進角室18側と遅角室19側のいずれか一方のドレーン切替弁34又は35を開いていずれか一方の逆止弁30又は31が機能しないように第2の油圧制御弁38を制御すると共に、前記第1の油圧制御弁37の制御電流を制御して可変バルブタイミング調整機構71へ供給する油圧を可変することでVCT変位角を目標変位角に向けて変位させる。
以上のように構成した図11の可変バルブタイミング調整機構71に対しても本発明を適用することができる。
次に、図12の可変バルブタイミング調整機構72の構成について、図1との相違点を中心に説明する。図12においても、図11と同様に図1と同等の構成部品については同じ符号が付されている。
まず、図1においては進角/遅角油圧制御機能37のための油路を切換える弁とドレーン切替制御機能38のための油路を切換える弁との2つの弁を備える構成としている。これに対して、図12においては、1つの油圧制御弁60で進角/遅角油圧制御機能とドレーン切替制御機能とを達成する構成としている。また、このために油圧供給通路28,29を油圧制御弁60と逆止弁30,31との間で分岐させ、各々ドレーン切替弁(ドレーン制御弁)34,35と接続する構成としている。
この構成では、VCT変位角を目標変位角に保持する保持動作中には、油圧制御弁60の制御電流を所定の保持電流に制御して、進角室18側と遅角室19側の両方のドレーン切替弁34,35を閉じて進角室18側と遅角室19側の両方の逆止弁30,31を有効に機能させて進角室18及び遅角室19からの作動油の逆流を防止するように制御すると共に、可変バルブタイミング調整機構72へ供給する油圧を制御する。
一方、VCT変位角を進角方向又は遅角方向に変位させる進角・遅角動作中には、油圧制御弁60の制御電流を制御して、その変位方向に応じて進角室18側と遅角室19側のいずれか一方のドレーン切替弁34又は35を開いていずれか一方の逆止弁30又は31が機能しないように制御すると共に、可変バルブタイミング調整機構72へ供給する油圧を可変することでVCT変位角を目標変位角に向けて変位させる。
以上のように構成した図12の可変バルブタイミング調整機構72に対しても本願発明を適用することができる。
11…可変バルブタイミング調整機構(VCT)、12…ハウジング、14…ベーンロータ、16…ベーン収納室、17…ベーン、18…進角室、19…遅角室、21…油圧制御弁、24…ロックピン、27…オイルポンプ、28,29…油圧供給油路、30,31…逆止弁、32,33…ドレーン油路、34,35…ドレーン切替弁(ドレーン制御弁)、37…進角/遅角油圧制御機能(第1の油圧制御弁)、38…ドレーン切替制御機能(油圧切替弁,第2の油圧制御弁)、43…ECU(制御手段,保持電流学習手段)、44…クランク角センサ、45…カム角センサ、52…ECU、60…油圧制御弁、71,72…可変バルブタイミング調整機構
Claims (17)
- ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画し、少なくとも1つのベーン収納室の進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路に、それぞれ各油圧室(「油圧室」とは「進角室」と「遅角室」のいずれかを意味する)からの作動油の逆流を防止する逆止弁を設けると共に、各油圧室の油圧供給油路に、それぞれ前記逆止弁をバイパスするドレーン油路を並列に設け、各ドレーン油路にドレーン切替弁を設けたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置において、
前記VCTの実進角量を目標進角量に保持する保持動作中に、進角室側と遅角室側の両方のドレーン切替弁を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて両方の油圧室からの作動油の逆流を防止すると共に、前記各油圧室の油圧を制御する油圧制御弁の駆動電流を保持電流学習値に基づいて制御する制御手段と、
保持電流学習期間中に前記油圧制御弁の駆動電流を前記VCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じて補正しながら該駆動電流をディザ制御して前記保持電流学習値を更新する保持電流学習手段と
を備えていることを特徴とするベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。 - 前記保持電流学習手段は、前記保持電流学習期間中に前記VCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じた補正電流値とディザ振幅電流値と最新の保持電流学習値とに基づいて前記油圧制御弁の目標電流値を設定して前記ディザ制御を実行し、前記VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態になったと判断されるときに、その時点の前記油圧制御弁の目標電流値から前記ディザ振幅電流値を除いた電流値を前記保持電流学習値として学習することを特徴とする請求項1に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- 前記保持電流学習手段は、前記VCTの実進角量又はそのなまし値と目標進角量又はそのなまし値との偏差の絶対値が所定値以上で且つそれらの変化が小さい状態が所定時間継続したときに前記ディザ制御を実行し、そのディザ制御により前記偏差が小さくなって前記VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態になったと判断されるときに、その時点の前記油圧制御弁の目標電流値から前記ディザ振幅電流値を除いた電流値を前記保持電流学習値として学習することを特徴とする請求項2に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- 前記保持電流学習手段は、ディザ振幅電流値及び/又はディザ周期を前記VCTに供給する油圧及び油温若しくはそれらに相関する情報に基づいて設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- 前記各ドレーン切替弁は、油圧で駆動されるように構成されて前記VCTのハウジングの内部に設けられ、
前記各ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁が前記VCTのハウジングの外部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。 - 前記油圧切替弁は、前記油圧制御弁に一体化されていることを特徴とする請求項5に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画し、少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路を設けると共に、前記第1のドレーン油路に油圧で駆動される第1のドレーン制御弁を設け、且つ、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路を設けると共に、前記第2のドレーン油路に油圧で駆動される第2のドレーン制御弁とを設けたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置において、
前記VCTの実進角量を目標進角量に保持する保持動作中に、進角室側と遅角室側の両方のドレーン制御弁を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて両方の油圧室からの作動油の逆流を防止すると共に、前記VCTへ供給する油圧を制御する第1の油圧制御弁の駆動電流を保持電流学習値に基づいて制御する制御手段と、
保持電流学習期間中に前記第1の油圧制御弁の駆動電流を前記VCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じて補正しながら該駆動電流をディザ制御して前記保持電流学習値を更新する保持電流学習手段と、
を備えていることを特徴とするベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。 - 前記保持電流学習手段は、前記保持電流学習期間中に前記VCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じた補正電流値とディザ振幅電流値と最新の保持電流学習値とに基づいて前記油圧制御弁の目標電流値を設定して前記ディザ制御を実行し、前記VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態になったと判断されるときに、その時点の前記油圧制御弁の目標電流値から前記ディザ振幅電流値を除いた電流値を前記保持電流学習値として学習することを特徴とする請求項7に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- 前記保持電流学習手段は、前記VCTの実進角量又はそのなまし値と目標進角量又はそのなまし値との偏差の絶対値が所定値以上で且つそれらの変化が小さい状態が所定時間継続したときに前記ディザ制御を実行し、そのディザ制御により前記偏差が小さくなって前記VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態になったと判断されるときに、その時点の前記油圧制御弁の目標電流値から前記ディザ振幅電流値を除いた電流値を前記保持電流学習値として学習することを特徴とする請求項8に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- 前記保持電流学習手段は、ディザ振幅電流値及び/又はディザ周期を前記VCTに供給する油圧及び油温若しくはそれらに相関する情報に基づいて設定することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- 前記各ドレーン制御弁は、油圧で駆動されるように構成されて前記VCTのハウジングの内部に設けられ、
前記各ドレーン制御弁を駆動する油圧を制御する第2の油圧制御弁が前記VCTのハウジングの外部に設けられていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。 - 前記第1の油圧制御弁と前記第2の油圧制御弁とを駆動する軸が一体化されていることを特徴とする請求項11に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内がそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画されており、少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に設けられ、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路と、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に設けられ、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路と、
前記VCTに供給する油圧を制御する油圧制御弁に、前記第1のドレーン油路と前記第2のドレーン油路とを開放/閉鎖するドレーン油路制御機能を一体化したベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置において、
前記VCTの実進角量を目標進角量に保持する保持動作中に、進角室側と遅角室側の両方のドレーン油路を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて両方の油圧室からの作動油の逆流を防止すると共に、前記VCTへ供給する油圧を制御する前記油圧制御弁の駆動電流を保持電流学習値に基づいて制御する制御手段と、
保持電流学習期間中に前記油圧制御弁の駆動電流を前記VCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じて補正しながら該駆動電流をディザ制御して前記保持電流学習値を更新する保持電流学習手段と、
を備えていることを特徴とするベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。 - 前記保持電流学習手段は、前記保持電流学習期間中に前記VCTの実進角量と目標進角量との偏差に応じた補正電流値とディザ振幅電流値と最新の保持電流学習値とに基づいて前記油圧制御弁の目標電流値を設定して前記ディザ制御を実行し、前記VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態になったと判断されるときに、その時点の前記油圧制御弁の目標電流値から前記ディザ振幅電流値を除いた電流値を前記保持電流学習値として学習することを特徴とする請求項13に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- 前記保持電流学習手段は、前記VCTの実進角量又はそのなまし値と目標進角量又はそのなまし値との偏差の絶対値が所定値以上で且つそれらの変化が小さい状態が所定時間継続したときに前記ディザ制御を実行し、そのディザ制御により前記偏差が小さくなって前記VCTの進角/遅角動作がほぼ停止した状態になったと判断されるときに、その時点の前記油圧制御弁の目標電流値から前記ディザ振幅電流値を除いた電流値を前記保持電流学習値として学習することを特徴とする請求項14に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- 前記保持電流学習手段は、ディザ振幅電流値及び/又はディザ周期を前記VCTに供給する油圧及び油温若しくはそれらに相関する情報に基づいて設定することを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
- 前記第1のドレーン油路に油圧で駆動される第1のドレーン制御弁と、前記第2のドレーン油路に油圧で駆動される第2のドレーン制御弁とを設け、
前記油圧制御弁のドレーン油路制御機能による油圧制御によって、前記第1のドレーン制御弁を開弁/閉弁することで前記第1のドレーン油路を開放/閉鎖するとともに、前記第2のドレーン制御弁を開弁/閉弁することで前記第2のドレーン油路を開放/閉鎖することを特徴とする請求項13乃至16のいづれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
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JP2007143360A JP2008008286A (ja) | 2006-05-30 | 2007-05-30 | ベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置 |
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KR101124985B1 (ko) * | 2009-06-19 | 2012-03-27 | 현대자동차주식회사 | 연료전지 스택용 통합형 밸브 장치 |
CN107100692A (zh) * | 2013-06-19 | 2017-08-29 | 博格华纳公司 | 具有通过油压接合的锁定销的可变凸轮轴定时机构 |
-
2007
- 2007-05-30 JP JP2007143360A patent/JP2008008286A/ja active Pending
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CN107100692A (zh) * | 2013-06-19 | 2017-08-29 | 博格华纳公司 | 具有通过油压接合的锁定销的可变凸轮轴定时机构 |
CN107100692B (zh) * | 2013-06-19 | 2019-12-03 | 博格华纳公司 | 具有通过油压接合的锁定销的可变凸轮轴定时机构 |
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