JP2007332956A - ベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置 - Google Patents

ベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(VCT)において、オーバーシュートの問題を生じることなく、可変バルブタイミング制御の応答性を向上させる。
【解決手段】進角室18の油圧供給油路28と遅角室19の油圧供給油路29に、それぞれ逆止弁30,31を設けると共に、各室18,19の油圧供給油路28,29に、それぞれ逆止弁30,31をバイパスするドレーン油路32,33を並列に設け、各ドレーン油路32,33に、それぞれドレーン切替弁34,35を設ける。目標変位角と実変位角との偏差が所定値以上のときに、オイルが排出される油圧室側のドレーン切替弁を開いてVCTを目標変位角の方向に最大速度で駆動する“最速制御”を実行し、目標変位角と実変位角との偏差が小さくなったときに、オイルが排出される油圧室側のドレーン切替弁を閉じてVCTの可変動作を停止又は低速にする“保持制御”に切り替える。
【選択図】図1

Description

本発明は、進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路に、それぞれ、各油圧室からの作動油の逆流を防止する逆止弁を設けたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置に関する発明である。
近年、車両に搭載される内燃機関においては、出力向上、燃費節減、排気エミッション低減等を目的として、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミング(カム軸の変位角)を可変する可変バルブタイミング装置を採用したものが増加しつつある。例えば、ベーン式の可変バルブタイミング装置の基本的な構成は、特許文献1(特開2001−159330号公報)に示すように、エンジンのクランク軸に同期して回転するハウジングと、吸気バルブ(又は排気バルブ)のカム軸に連結されたベーンロータとを同軸状に配置し、ハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をベーンロータ外周側のベーン(羽根部)で進角室と遅角室とに区画する。そして、各油圧室の油圧を油圧制御弁で制御して、ハウジングに対してベーンロータを相対回動させることで、クランク軸に対するカム軸の変位角(カム軸位相)を変化させて、バルブタイミングを可変制御するようにしている。
このようなベーン式の可変バルブタイミング装置では、エンジン運転中に吸気バルブや排気バルブを開閉駆動するときに、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるフリクショントルクの変動がベーンロータに伝わり、それによって、ベーンロータに対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用する。これにより、ベーンロータが遅角方向にトルク変動を受けると、進角室の作動油が進角室から押し出される圧力を受け、また、ベーンロータが進角方向にトルク変動を受けると、遅角室の作動油が遅角室から押し出される圧力を受けることになる。このため、油圧供給源から供給される油圧が低い低回転領域では、進角室に油圧を供給してカム軸の変位角を進角させようとしても、図3に点線で示すように、ベーンロータが上記トルク変動により遅角方向に押し戻されてしまい、目標変位角に到達するまでの応答時間が長くなってしまうという問題があった。
この問題を解決するために、特許文献2(特開2003−106115号公報)に示すように、遅角室の油圧供給油路と進角室の油圧供給油路にそれぞれ逆止弁を設け、ベーンロータがトルク変動を受けても遅角室や進角室からの作動油の逆流を逆止弁によって防止することで、図3に実線で示すように、可変バルブタイミング制御中にベーンロータが目標変位角の方向とは逆方向に戻されることを防止して、可変バルブタイミング制御の応答性を向上させることが考えられている。
特開2001−159330号公報(第4頁〜第6頁等) 特開2003−106115号公報(第1頁等) 2001−303990号公報(第1頁等)
ところで、上記特許文献2の可変バルブタイミング装置では、進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路(油圧導入ライン)に、それぞれ逆止弁を設けると共に、各油圧室の油圧供給油路に、それぞれ逆止弁をバイパスする戻りライン(油圧排出ライン)を並列に設け、各油圧室に供給する油圧を制御する油圧制御弁(スプール式電磁弁)に、各油圧室の戻りラインを開閉するライン切替弁としての機能を一体化した構成となっている。そして、この油圧制御弁の制御電流値を制御することで、各油圧室に供給する油圧を制御すると同時に、各油圧室の戻りラインの開放/閉鎖の切り替えを制御して、いずれかの油圧室の油圧を抜く必要があるときに、その油圧室の戻りラインを開放して当該戻りラインを通して油圧を速やかに抜くことができるようにしている。
しかしながら、上記特許文献2の可変バルブタイミング装置では、電動式可変力ソレノイドにより油圧制御弁のアーマチュアを駆動しており、カム軸方向の全長が長くなるため、搭載性が悪くなるという問題があった。
そこで、本出願人は、逆止弁をバイパスするドレーン油路に、油圧で駆動されるドレーン切替弁を設けると共に、各ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える電磁式の油圧切替弁を設ける構成の可変バルブタイミング装置を提案している。この構成では、ドレーン切替弁を小型化できると共にドレーン切替弁への電気的な配線が不要であるため、ドレーン切替弁を逆止弁と共に可変バルブタイミング調整機構の内部の狭いスペースにコンパクトに組み付けることが可能となる。また、油圧切替弁と、可変バルブタイミング装置の各油圧室に供給する油圧を制御する油圧制御弁とをカム軸に直接搭載する必要がないため、上記特許文献2に比べ、可変バルブタイミング装置の搭載性が改善されるという利点がある。なお、本出願人は、上記可変バルブタイミング装置を更に改良し、1つの油圧制御弁で、各ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替えるとともに、可変バルブタイミング装置の各油圧室に供給する油圧を制御することができる構成の可変バルブタイミング装置についても提案している。
本出願人が提案している可変バルブタイミング装置は、可変バルブタイミング調整機構の内部に逆止弁と該逆止弁をバイパスするドレーン油路にドレーン切替弁とを設ける構造となるため、可変バルブタイミング装置の油圧室からの作動油の漏れが抑制されるため、従来の可変バルブタイミング装置に比べて、応答性が向上するという利点がある。
ところで、一般に、可変バルブタイミング制御システム(例えば、特許文献3(特開2001−303990号公報)では、可変バルブタイミング制御の過渡時の応答性を高めるために、過渡時にフィードバックゲインを大きくするようにした制御が行われている。しかしながら、フィードバックゲインを大きくしすぎると、オーバーシュートが発生して実変位角の目標変位角への収束性が悪化し、エンジンの燃焼が悪化する等の問題が発生するため、可変バルブタイミング制御の応答性がオーバーシュート防止の観点から制限されてしまうという問題があった。
このため、このような可変バルブタイミング制御を、本出願人が提案している可変バルブタイミング装置の制御に適用すると、従来の可変バルブタイミング装置に比べて向上した応答性が減殺してしまう、つまり、応答性を向上させることができないという問題が生じる。なお、上記特許文献2には、逆止弁と該逆止弁をバイパスするドレーン油路とを設けた可変バルブタイミング調整機構の制御について開示されていない。
そこで、本発明の目的は、オーバーシュートの問題を生じることなく、可変バルブタイミング制御の応答性を向上させることができるベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画し、少なくとも1つのベーン収納室の進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路に、それぞれ各油圧室(「油圧室」とは「進角室」と「遅角室」のいずれかを意味する)からの作動油の逆流を防止する逆止弁を設けると共に、各油圧室の油圧供給油路に、それぞれ前記逆止弁をバイパスするドレーン油路を並列に設け、各ドレーン油路にそれぞれ油圧で駆動されるドレーン切替弁を設けると共に、各ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁を設けたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置において、前記VCTの実変位角を目標変位角に一致させるように前記油圧制御弁を制御して各油圧室の油圧を可変すると共に前記油圧切替弁を制御して各油圧室のドレーン切替弁を開閉する制御手段を備え、目標変位角と実変位角との偏差が所定値以上のときには作動油が排出される油圧室側のドレーン切替弁を開いてVCTを目標変位角の方向に最大速度又はそれに近い高速度で駆動するように前記油圧制御弁を制御し(以下この制御を「最速制御」という)、目標変位角と実変位角との偏差が小さくなったときに前記作動油が排出される油圧室側のドレーン切替弁を閉じて前記VCTの可変動作を停止又は低速にするように前記油圧制御弁を制御する(以下この制御を「保持制御」という)ことを特徴とするものである。
本発明のように、各油圧室の油圧供給油路に逆止弁を設けると共に、各油圧室の逆止弁をバイパスするドレーン油路にドレーン切替弁を設けたVCTにおいては、VCTの可変動作(進角/遅角動作)中に、作動油が排出される油圧室側のドレーン切替弁を閉じると、その時点で、作動油の排出が止められてVCTの可変動作が止められる。この動作特性を利用すれば、VCTをその最大速度で駆動しても、VCTの可変動作の急な停止が可能となる。
この点に着目して、本発明では、目標変位角と実変位角との偏差が所定値以上のときに作動油が排出される油圧室側のドレーン切替弁を開いてVCTを目標変位角の方向に最大速度又はそれに近い高速度で駆動する“最速制御”を実行し、目標変位角と実変位角との偏差が小さくなったときに、作動油が排出される油圧室側のドレーン切替弁を閉じてVCTの可変動作を停止又は低速にする“保持制御”に切り替えるようにしたものである。これにより、実変位角が目標変位角に近付くまでVCTを目標変位角の方向に最大速度又はそれに近い高速度で駆動して、目標変位角の直前でドレーン切替弁を閉じてVCTの可変動作を急停止させるという制御が可能となり、オーバーシュートの問題を生じることなく、可変バルブタイミング制御の応答性を大きく向上させることができる。
この場合、請求項2のように、前記最速制御から前記保持制御に切り替えるタイミングを判定するための目標変位角と実変位角との偏差の判定しきい値を、前記最大速度とドレーン切替弁の閉弁応答速度とに基づいて設定し、前記最速制御中に目標変位角と実変位角との偏差が前記判定しきい値以下になったときに前記最速制御から前記保持制御に切り替えるようにすると良い。要するに、最速制御中のVCT可変速度(最大速度)が大きくなるほど、保持制御に切り替えてからVCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量(進角/遅角量)が大きくなる。更に、ドレーン切替弁の閉弁応答速度が遅くなるほど、実際に停止するまでのVCT変位量が大きくなる。従って、最速制御から保持制御に切り替えるタイミングを判定するための判定しきい値を、最大速度(最速制御中のVCT可変速度)とドレーン切替弁の閉弁応答速度とに基づいて設定すれば、適正な判定しきい値を設定することができる。
この場合、最大速度(最速制御中のVCT可変速度)は、予め設定した所定値(例えば設計値等)を用いても良いが、VCTの製造ばらつきや経時変化によりVCT可変速度にばらつきがあることを考慮して、請求項3のように、最速制御中の実変位角の変化速度を検出してその検出値に基づいて前記最大速度を推定するようにしても良い。このようにすれば、VCTの製造ばらつきや経時変化による最大速度の誤差を排除することができる。
或は、請求項4のように、VCTに供給する油圧及び油温若しくはこれらに相関する情報に基づいて前記最大速度を推定するようにしても良い。これは、油圧が低くなるほど、最大速度が低下し、油温が低くなるほど、作動油の粘性抵抗が大きくなって最大速度が低下するという特性を考慮するためである。一般に、VCTに油圧を供給するオイルポンプは、エンジンの動力によって駆動されるため、エンジン回転速度が高くなるほど、油圧が高くなるという関係がある。従って、油圧の代用情報としてエンジン回転速度を用いても良い。また、油温とエンジン温度とは相関関係があるため、油温の代用情報としてエンジン温度(冷却水温)を用いても良い。
また、請求項5のように、運転条件毎に前記最大速度を学習するようにしても良い。このようにすれば、運転条件毎に学習した最大速度を用いて最速制御から保持制御に切り替えるタイミングを判定することができ、運転条件による切り替えタイミングのずれを修正することができる。
また、請求項6のように、保持制御に切り替えてからVCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量を推定し、最速制御から保持制御に切り替えるタイミングを前記VCT変位量の推定値に基づいて設定するようにしても良い。このようにすれば、VCTの実変位角が確実に目標変位角で停止するように切り替えタイミングを設定することができ、目標変位角への実変位角の収束性を向上させることができる。
或は、請求項7のように、保持制御に切り替えてからVCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量を推定し、最速制御中に目標変位角と実変位角との偏差が前記VCT変位量の推定値に一致したときに最速制御から保持制御に切り替えるようにしても良い。このようにしても、VCTの実変位角が確実に目標変位角で停止するように切り替えタイミングを設定することができ、目標変位角への実変位角の収束性を向上させることができる。
この場合、停止するまでのVCT変位量は、予め、最大速度、運転条件等に応じてマップ等により設定するようにしても良いが、請求項8のように、VCTの可変動作の油圧応答遅れを模擬したモデルを用いて、前記停止するまでのVCT変位量を推定するようにしても良い。このようにすれば、VCT変位量のマップ等を記憶する必要がないため、その分、メモリを節約することができる利点がある。
また、請求項9のように、最速制御と保持制御との切り替え特性にヒステリシスを持たせるように切り替えタイミングを設定すると良い。このようにすれば、最速制御と保持制御との切り替え境界付近の領域で制御する場合でも、最速制御と保持制御との切り替えが頻繁に発生するチャタリング現象を未然に防ぐことができる。
また、請求項10のように、保持制御中に進角室側と遅角室側の両方のドレーン切替弁を閉じた状態で目標変位角と実変位角との偏差を小さくするように油圧制御弁を制御するようにすると良い。保持制御中に進角室側と遅角室側の両方のドレーン切替弁を閉じた状態にすれば、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるトルク変動によってベーンロータに対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用しても、進角室と遅角室の両方の作動油の逆流を逆止弁とドレーン切替弁により防止して、ベーンをその両側から保持する油圧が低下するのを防止することができ、保持安定性を向上させることができる。更に、この保持制御中に、目標変位角と実変位角との偏差を小さくするように油圧制御弁を制御すれば、実変位角が目標変位角からずれることを防止でき、保持安定性をより一層向上させることができる。
本発明は、ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁を、油圧制御弁とは別体に設けるようにしても良いが、請求項11のように、油圧切替弁を油圧制御弁に一体化した構成とすると良い。これにより、部品点数削減、低コスト化、コンパクト化の要求を満たすことができる。
また、ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)の構成を変更しても良く、例えば、請求項12のように、少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に設けられ、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路を設けられ、油圧で駆動される第1のドレーン制御弁と、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に設けられ、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路に設けられ、油圧で駆動される第2のドレーン制御弁と、前記VCTへ供給する油圧を制御する第1の油圧制御弁と、前記第1のドレーン制御弁と前記第2のドレーン制御弁とを駆動する油圧を制御する第2の油圧制御弁と、前記第1の油圧制御弁と前記第2の油圧制御弁とを制御する制御手段とを備えた構成としても良い。この構成では、VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する際に、実変位角が目標変位角に近づいたときに、目標変位角と実変位角とに基づいて、作動油が排出されている側の進角室または遅角室の油圧供給油路に設けられたドレーン制御弁を閉じるように制御する「保持制御」を行うようにすると良い。これにより、実変位角が目標変位角に近付くまでVCTを目標変位角の方向に高速度で駆動して、目標変位角の直前でドレーン制御弁を閉じてVCTの可変動作を急停止させるという制御が可能となり、オーバーシュートの問題を生じることなく、可変バルブタイミング制御の応答性を大きく向上させることができる。
この場合、請求項13のように、VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する際に、目標変位角と実変位角とが近づいたときに、目標変位角と実変位角との偏差に基づいて前記保持制御を実行するようにしても良い。
具体的には、請求項14のように、VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する際に、目標変位角と実変位角との偏差が所定値以下の場合に、前記保持制御を実行するようにしても良い。
更に、請求項15のように、目標変位角と実変位角との偏差が前記所定値より大きいときは、作動油が排出されている側の進角室または遅角室の油圧供給油路に設けられたドレーン制御弁を開いてVCTを前記目標変位角の方向に所定速度以上で駆動するように制御(以下、この制御を「駆動制御」という)すると良い。
また、請求項16のように、前記駆動制御中の駆動速度とドレーン制御弁の閉弁応答性とに基づいて前記所定値を設定するようにしても良い。これにより、オーバーシュートの問題を生じない範囲で前記所定値を小さい値に設定して可変バルブタイミング制御の応答性を高めることができる。
その他、前記請求項12に記載のVCTについても、請求項17〜25のように、前記請求項3〜10と同様の発明を実施できる。
前記請求項15〜25に係る発明は、請求項26のように、前記第1の油圧制御弁と前記第2の油圧制御弁とを独立して制御可能な構成とし、前記制御手段は、前記第1の油圧制御弁を制御して、各ドレーン制御弁を開閉する第1の制御手段と、前記第2の油圧制御弁を制御して、前記VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する第2の制御手段とを備えた構成としても良い。
或は、請求項27のように、前記第1の油圧制御弁と前記第2の油圧制御弁とを一体化した構成とし、前記制御手段は、前記第1の油圧制御弁を制御して各ドレーン制御弁を開閉すると共に、前記第2の油圧制御弁を制御して、前記VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する第3の制御手段を備えた構成としても良い。
その他のVCTの構成としては、請求項28のように、少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に設けられ、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路に設けられ、油圧で駆動される第1のドレーン制御弁と、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に設けられ、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路に設けられ、油圧で駆動される第2のドレーン制御弁と、各ドレーン制御弁及び前記VCTへ供給する油圧を制御する一つの油圧制御弁と、前記油圧制御弁を制御することで、前記各ドレーン制御弁を駆動すると共に、前記VCTへ供給する油圧を制御する制御手段とを備えた構成としても良い。このような構成のVCTに対しても、請求項28〜41のように、前記請求項12〜25と同様の発明を実施できる。
この場合、請求項42のように、前記油圧制御弁によって、前記第1のドレーン制御弁を開弁/閉弁することで前記第1のドレーン油路を開放/閉鎖するとともに、前記第2のドレーン制御弁を開弁/閉弁することで前記第2のドレーン油路を開放/閉鎖するように構成すれば良い。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてベーン式の可変バルブタイミング調整機構11の構成を説明する。可変バルブタイミング調整機構11のハウジング12は、図示しない吸気側又は排気側のカム軸の外周に回動自在に支持されたスプロケットにボルト13で締め付け固定されている。これにより、エンジンのクランク軸の回転がタイミングチェーンを介してスプロケットとハウジング12に伝達され、スプロケットとハウジング12がクランク軸と同期して回転する。ハウジング12内には、ベーンロータ14が相対回動自在に収納され、このベーンロータ14がボルト15によりカム軸の一端部に締め付け固定されている。
ハウジング12の内部には、ベーンロータ14の外周部の複数のベーン17を進角方向及び遅角方向に相対回動自在に収納する複数のベーン収納室16が形成され、各ベーン収納室16が各ベーン17によって進角室18と遅角室19とに区画されている。
進角室18と遅角室19に所定圧以上の油圧が供給された状態では、進角室18と遅角室19の油圧でベーン17が保持されて、クランク軸の回転によるハウジング12の回転が油圧を介してベーンロータ14に伝達され、このベーンロータ14と一体的にカム軸が回転駆動される。エンジン運転中は、進角室18と遅角室19の油圧を油圧制御弁21で制御してハウジング12に対してベーンロータ14を相対回動させることで、クランク軸に対するカム軸の変位角(カム軸位相)を制御して吸気バルブ(又は排気バルブ)のバルブタイミングを可変する。
また、いずれか1つのベーン17の両側部には、ハウジング12に対するベーンロータ14の相対回動範囲を規制するストッパ部22,23が形成され、このストッパ部22,23によってカム軸の変位角(カム軸位相)の最遅角位置と最進角位置が規制されている。また、いずれか1つのベーン17には、エンジン停止時等にカム軸の変位角を所定のロック位置でロックするためのロックピン24が設けられ、このロックピン24がハウジング12に設けられたロック穴(図示せず)に嵌り込むことで、カム軸の変位角が所定のロック位置でロックされる。このロック位置は、始動に適した位置(例えばカム軸変位角の調整可能範囲の略中間位置)に設定されている。
可変バルブタイミング調整機構11の油圧制御回路には、オイルパン26内のオイル(作動油)がオイルポンプ27により油圧制御弁21を介して供給される。この油圧制御回路は、油圧制御弁21の進角圧ポートから吐出されるオイルを複数の進角室18に供給する油圧供給油路28と、油圧制御弁21の遅角圧ポートから吐出されるオイルを複数の遅角室19に供給する油圧供給油路29とが設けられている。
そして、進角室18の油圧供給油路28と遅角室19の油圧供給油路29には、それぞれ各室18,19からの作動油の逆流を防止する逆止弁30,31が設けられている。本実施例では、1つのベーン収納室16の進角室18と遅角室19の油圧供給油路28,29についてのみ逆止弁30,31が設けられている。勿論、2つ以上のベーン収納室16の進角室18と遅角室19の油圧供給油路28,29にそれぞれ逆止弁30,31を設ける構成としても良い。
各室18,19の油圧供給油路28,29には、それぞれ逆止弁30,31をバイパスするドレーン油路32,33が並列に設けられ、各ドレーン油路32,33には、それぞれドレーン切替弁34,35が設けられている。各ドレーン切替弁34,35は、油圧制御弁21から供給される油圧(パイロット圧)で閉弁方向に駆動されるスプール弁により構成され、油圧が加えられないときには、スプリング41,42によって開弁位置に保持される。ドレーン切替弁34,35が開弁すると、ドレーン油路32,33が開放されて、逆止弁30,31の機能が働かない状態となる。ドレーン切替弁34,35が閉弁すると、ドレーン油路32,33が閉鎖されて、逆止弁30,31の機能が有効に働く状態となり、油圧室18,19からのオイルの逆流が防止されて油圧室18,19の油圧が保持される。
各ドレーン切替弁34,35は、電気的な配線が不要であるため、逆止弁30,31と共に可変バルブタイミング調整機構11内部のベーンロータ14にコンパクトに組み付けられている。これにより、各油圧室18,19の近くにドレーン切替弁34,35が配置され、進角・遅角動作時に各ドレーン油路32,33を各油圧室18,19の近くで応答良く開放/閉鎖できるようになっている。
一方、油圧制御弁21は、リニアソレノイド36によって駆動されるスプール弁により構成され、進角室18と遅角室19に供給する油圧を制御する進角/遅角油圧制御機能37と、各ドレーン切替弁34,35を駆動する油圧を切り替えるドレーン切替制御機能38(油圧切替弁)とが一体化されている。この油圧制御弁21のリニアソレノイド36に通電する電流値(制御デューティ)は、エンジン制御回路(以下「ECU」という)43によって制御される。
このECU43は、クランク角センサ44及びカム角センサ45の出力信号に基づいて吸気バルブ(又は排気バルブ)の実バルブタイミング(実変位角)を演算すると共に、吸気圧センサ、水温センサ等のエンジン運転状態を検出する各種センサの出力に基づいて吸気バルブ(又は排気バルブ)の目標バルブタイミング(目標変位角)を演算する。そして、ECU43は、後述する図5乃至図9の各ルーチンを実行することで、実バルブタイミングを目標バルブタイミングに一致させるように可変バルブタイミング調整機構11の油圧制御弁21の制御電流を制御する。これにより、進角室18と遅角室19の油圧を制御してハウジング12に対してベーンロータ14を相対回動させることで、カム軸の変位角を変化させて実バルブタイミングを目標バルブタイミングに一致させる。
ところで、エンジン運転中に吸気バルブや排気バルブを開閉駆動するときに、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるトルク変動がベーンロータ14に伝わり、それによって、ベーンロータ14に対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用する。これにより、ベーンロータ14が遅角方向にトルク変動を受けると、進角室18の作動油が進角室18から押し出される圧力を受け、ベーンロータ14が進角方向にトルク変動を受けると、遅角室19の作動油が遅角室19から押し出される圧力を受けることになる。このため、油圧供給源であるオイルポンプ27の吐出油圧が低くなる低回転領域では、逆止弁30,31が無いと、進角室18に油圧を供給してカム軸の変位角を進角させようとしても、図3に点線で示すように、ベーンロータ14が上記トルク変動により遅角方向に押し戻されてしまい、目標変位角に到達するまでの応答時間が長くなってしまうという問題があった。
これに対して、本実施例では、進角室18の油圧供給油路28と遅角室19の油圧供給油路29に、それぞれ各室18,19からのオイルの逆流を防止する逆止弁30,31を設けると共に、各室18,19の油圧供給油路28,29に、それぞれ逆止弁30,31をバイパスするドレーン油路32,33を並列に設け、各ドレーン油路32,33に、それぞれドレーン切替弁34,35を設けた構成となっている。これにより、図2に示すように、遅角制御、保持制御、進角制御に応じて各室18,19の油圧が次のように制御される。
[遅角制御]
実バルブタイミングを遅角側の目標バルブタイミングに向けて遅角させる遅角制御中は、進角室18のドレーン切替弁34への油圧供給を停止することで、進角室18のドレーン切替弁34を開弁して進角室18の逆止弁30を機能させない状態にすると共に、遅角室19のドレーン切替弁35へ油圧切替弁38から油圧を加えることで、遅角室19のドレーン切替弁35を閉弁して遅角室19の逆止弁31を機能させる状態にする。これにより、低油圧時でも、ベーンロータ14の進角方向へのトルク変動に対して遅角室19からのオイルの逆流を逆止弁31により防止しながら効率良く遅角室19に油圧を供給して遅角応答性を向上させる。
[保持制御]
実バルブタイミングを目標バルブタイミングに保持する保持制御中は、進角室18と遅角室19の両方のドレーン切替弁34,35へ油圧切替弁38から油圧を共に加えることで、両方のドレーン切替弁34,35を共に閉弁して、進角室18と遅角室19の両方の逆止弁30,31を機能させる状態にする。この状態では、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるトルク変動によってベーンロータ14に対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用しても、進角室18と遅角室19の両方のオイルの逆流を逆止弁31により防止して、ベーン17をその両側から保持する油圧が低下するのを防止して、保持安定性を向上させる。
更に、本実施例では、保持制御中でも、目標変位角(目標進角量)と実変位角(実進角量)との偏差に応じて油圧制御弁21の制御電流をフィードバック制御する。これにより、実変位角(実進角量)が目標変位角(目標進角量)からずれることを防止でき、保持安定性をより一層向上させることができる。
[進角制御]
実バルブタイミングを進角側の目標バルブタイミングに向けて進角させる進角制御中は、進角室18のドレーン切替弁34へ油圧切替弁38から油圧を加えることで、進角室18のドレーン切替弁34を閉弁して進角室18の逆止弁30を機能させる状態にすると共に、遅角室19のドレーン切替弁35への油圧供給を停止することで、遅角室19のドレーン切替弁35を開弁して遅角室19の逆止弁31を機能させない状態にする。これにより、低油圧時でも、ベーンロータ14の遅角方向へのトルク変動に対して進角室18からのオイルの逆流を逆止弁30により防止しながら効率良く油圧を進角室18に供給して進角応答性を向上させる。
次に、可変バルブタイミング調整機構11(以下「VCT」という)の応答特性について図4を用いて説明する。図4は、油圧制御弁21(以下「OCV」という)の制御電流値とVCT応答速度との関係を測定して得られたVCT応答特性の一例を示している。
本実施例では、進角室18と遅角室19の両方に逆止弁30,31とドレーン切替弁34,35を設けているため、OCV電流値の変化に対してVCT応答速度がリニアに変化せず、ドレーン切替弁34,35の開弁/閉弁が切り替えられることによりVCT応答速度が2箇所で急変する。図4のVCT応答特性において、遅角側のVCT応答速度の急変点は、進角室18のドレーン切替弁34が閉弁から開弁に切り替わる点であり、進角側のVCT応答速度の急変点は、遅角室19のドレーン切替弁35が閉弁から開弁に切り替わる点である。保持制御は、遅角側のVCT応答速度急変点と進角側のVCT応答速度急変点との間のVCT応答速度変化の勾配が小さい領域で行われる。
ところで、逆止弁30,31とドレーン切替弁34,35が設けられていない従来のVCTでは、可変バルブタイミング制御の過渡時の応答性を高める手段として、フィードバックゲインを大きくするようにしているが、フィードバックゲインを大きくしすぎると、オーバーシュートが発生して実変位角の目標変位角への収束性が悪化し、エンジンの燃焼悪化等の問題が発生する。
これに対して、本実施例のように逆止弁30,31とドレーン切替弁34,35を備えたVCTでは、VCTの可変動作(進角/遅角動作)中に、オイルが排出される油圧室側のドレーン切替弁34又は35を閉じると、その時点で、オイルの排出が止められてVCTの可変動作が止められる。この動作特性を利用すれば、VCTをその最大速度で駆動しても、VCTの可変動作の急な停止が可能となる。
この点に着目して、本実施例では、目標変位角(目標進角量)と実変位角(実進角量)との偏差が所定の判定しきい値以上のときに、オイルが排出される油圧室側のドレーン切替弁を開いてVCTを目標変位角の方向に最大速度で駆動する“最速制御”(特許請求の範囲でいう「駆動制御」に相当)を実行し、目標変位角と実変位角との偏差が小さくなったときに、オイルが排出される油圧室側のドレーン切替弁を閉じてVCTの可変動作を停止又は低速にする“保持制御”に切り替える。そして、この保持制御中は、進角室18側と遅角室19側の両方のドレーン切替弁34,35を閉じた状態で目標変位角と実変位角との偏差を小さくするようにOCV電流をPD制御等によりフィードバック制御することで、実変位角が目標変位角からずれることを防止して、保持安定性をより一層向上させる。
この場合、最速制御から保持制御に切り替えるタイミング(判定しきい値)は、保持制御に切り替えてからVCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量の推定値に基づいてVCTの実変位角が確実に目標変位角で停止するように設定されている。
また、保持制御に切り替えてからVCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量は、最速制御中のVCT可変速度(最大速度)とドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度とに基づいて推定される。この場合、最大速度(最速制御中のVCT可変速度)とドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度は、予め設定した所定値(例えば設計値等)を用いても良いが、VCTの製造ばらつきや経時変化によりVCT可変速度にばらつきがあることを考慮して、本実施例では、最速制御中の実変位角の変化速度を検出してその検出値に基づいて前記最大速度を推定するようにしている。
或は、VCTに供給する油圧及び油温若しくはこれらに相関する情報に基づいて前記最大速度やドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度を推定するようにしても良い。これは、油圧が低くなるほど、最大速度が低下し、油温が低くなるほど、オイルの粘性抵抗が大きくなって最大速度が低下するという特性を考慮するためである。一般に、VCTに油圧を供給するオイルポンプ26は、エンジンの動力によって駆動されるため、エンジン回転速度が高くなるほど、油圧が高くなるという関係がある。従って、油圧の代用情報としてエンジン回転速度を用いても良い。また、油温とエンジン温度とは相関関係があるため、油温の代用情報としてエンジン温度(冷却水温)を用いても良い。
以上説明した本実施例のVCT制御は、ECU43によって図5乃至図9の各ルーチンに従って実行され、特許請求の範囲でいう制御手段としての機能が実現される。以下、これら各ルーチンの処理内容を説明する。
[VCT制御ルーチン]
図5のVCT制御ルーチンは、エンジン運転中に所定周期(例えば5ms周期)で実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、運転条件(例えばエンジン回転速度、負荷、冷却水温等)を検出し、次のステップ102で、検出した運転条件に基づいてVCT制御実行条件が成立しているか否かを判定する。その結果、VCT制御実行条件が成立していないと判定されれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。VCT制御を実行しない場合には、目標進角量VVTが0(最遅角位置)に維持される。
これに対して、上記ステップ102で、VCT制御実行条件が成立していると判定されれば、ステップ103に進み、クランク角センサ44の出力信号と、これに続いて発生するカム角センサ45の出力信号との間の位相差により実進角量VTA(最遅角位置から現在位置までの進角量)を算出し、次のステップ104で、現在の運転条件(エンジン回転速度、負荷等)に応じてマップ等から目標進角量VTTを算出する。
この後、ステップ105に進み、後述する図6のVCT制御モード判定ルーチンを実行して、現在のVCT制御モードが最速制御モードか保持制御モード(フィードバック制御モード)かを判定する。この後、ステップ106に進み、後述する図7のOCV目標電流算出ルーチンを実行して、現在のVCT制御モードに応じてOCV目標電流iVVTを算出する。そして、次のステップ107で、油圧制御弁21(OCV)の制御電流をOCV目標電流iVVTに制御するための制御デューティを算出して本ルーチンを終了する。
[VCT制御モード判定ルーチン]
図6のVCT制御モード判定ルーチンは、上記図5のVCT制御ルーチンのステップ105で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ201で、目標進角量VTTが0(最遅角位置)であるか否かを判定し、目標進角量VTTが0(最遅角位置)であれば、VCT制御(最速制御と保持制御)を実行しないと判断して、ステップ202に進み、最速制御実行フラグXSPMXEXと保持制御実行フラグXFBEXを共に“0”にクリアして本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ201で、目標進角量VTTが0(最遅角位置)ではないと判定されれば、ステップ203に進み、後述する図8の制御切替判定しきい値算出ルーチンを実行することで、最速制御と保持制御とを切り替えるタイミングを判定するための判定しきい値(進角側判定しきい値VAD、遅角側判定しきい値VRE)とヒステリシス値(進角側ヒステリシス値VADHYS、遅角側ヒステリシス値VREHYS)を算出する。
ここで、進角側/遅角側判定しきい値VAD,VREは、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差が進角側/遅角側のいずれかの判定しきい値VAD,VREよりも大きくなったときに、保持制御から最速制御に切り替えるための判定しきい値である。また、進角側/遅角側ヒステリシス値VADHYS,VREHYSは、最速制御と保持制御との切り替え特性にヒステリシスを持たせるために進角側/遅角側判定しきい値VAD,VREに対する補正値として用いられる。各ヒステリシス値VADHYS,VREHYSは、予め設定した所定値(例えば設計値等)としても良いし、各判定しきい値VAD,VREの所定割合(例えば10%)の値としても良い。
各判定しきい値VAD,VREと各ヒステリシス値VADHYS,VREHYSは、それぞれ、最速制御中のVCT可変速度(最大速度)とドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度とに基づいて推定される。要するに、最速制御中のVCT可変速度(最大速度)が大きくなるほど、保持制御に切り替えてからVCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量(進角/遅角量)が大きくなる。更に、ドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度が遅くなるほど、実際に停止するまでのVCT変位量が大きくなる。従って、最速制御と保持制御とを切り替えるタイミングを判定するための各判定しきい値VAD,VREと各ヒステリシス値VADHYS,VREHYSを、最大速度(最速制御中のVCT可変速度)とドレーン切替弁の閉弁応答速度とに基づいて設定すれば、それらを適正な値に設定することができる。
この場合、最大速度とドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度は、予め設定した所定値(例えば設計値等)を用いても良いが、VCTの製造ばらつきや経時変化によりVCT可変速度にばらつきがあることを考慮して、本実施例では、後述する図9の最大速度学習ルーチンによって最速制御中の実進角量の変化速度を検出してその検出値に基づいて最大速度を学習するようにしている。尚、本実施例では、運転条件毎(例えばエンジン回転速度領域毎)に最大速度を学習し、現在の運転条件に応じた最大速度の学習値を用いる。
また、最大速度とドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度は、VCTに供給する油圧やオイル粘性(油温)が主要因となって変化するため、予め、油圧及び油温若しくはこれらに相関する情報をパラメータとする最大速度のマップや閉弁応答速度のマップを作成して、それらのマップから最大速度やドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度を推定するようにしても良い。ここで、油圧の代用情報としてエンジン回転速度を用いても良いし、油温の代用情報として冷却水温を用いても良い。
その後、ステップ204に進み、最速制御実行フラグXSPMXEXが最速制御実行中を意味する“1”にセットされているか否かを判定し、この最速制御実行フラグXSPMXEXが“0”にセットされていれば、現在、保持制御実行中である判断して、ステップ205に進み、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差が進角側/遅角側のいずれかの判定しきい値VAD,VREよりも大きいか否かを判定する。その結果、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差が進角側/遅角側判定しきい値VAD,VRE以下であると判定されれば、そのまま本ルーチンを終了して保持制御を継続する。
これに対して、上記ステップ205で、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差が進角側/遅角側のいずれかの判定しきい値VAD,VREよりも大きいと判定されれば、ステップ206に進み、最速制御実行フラグXSPMXEXを“1”にセットし、保持制御実行フラグXFBEXを“0”にクリアして、VCT制御モードを保持制御から最速制御に切り替える。
一方、上記ステップ204で、最速制御実行フラグXSPMXEXが“1”であると判定されれば、現在、最速制御実行中である判断して、ステップ207に進み、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差が進角側/遅角側のいずれかの判定しきい値VAD−VADHYS,VRE−VREHYSよりも小さいか否かを判定する。その結果、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差が進角側/遅角側判定しきい値VAD−VADHYS,VRE−VREHYS以上であると判定されれば、そのまま本ルーチンを終了して最速制御を継続する。
これに対して、上記ステップ207で、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差が進角側/遅角側のいずれかの判定しきい値VAD−VADHYS,VRE−VREHYSよりも小さいと判定されれば、ステップ207に進み、最速制御実行フラグXSPMXEXを“0”にクリアし、保持制御実行フラグXFBEXを“1”にセットして、VCT制御モードを最速制御から保持制御に切り替える。
この場合、最速制御から保持制御に切り替えるタイミングを判定するための判定しきい値VAD−VADHYS,VRE−VREHYSは、保持制御に切り替えてからVCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量の推定値に基づいてVCTの実進角量が確実に目標進角量で停止するように設定されている。
[OCV目標電流算出ルーチン]
図7のOCV目標電流算出ルーチンは、前記図5のVCT制御ルーチンのステップ106で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ301で、最速制御実行フラグXSPMXEXと保持制御実行フラグXFBEXとが両方とも“0”であるか否かを判定し、両方とも“0”であれば、VCT制御(最速制御と保持制御)を実行しないと判断して、ステップ307に進み、OCV目標電流iVVTを0(最遅角位置)に維持する。尚、最遅角位置のOCV目標電流iVVTは、VCTが進角しない電流であれば、0以外の電流値であっても良い。
一方、最速制御実行フラグXSPMXEXと保持制御実行フラグXFBEXのいずれか一方が“1”にセットされていれば、上記ステップ301で「No」と判定されて、ステップ302に進み、最速制御実行フラグXSPMXEXが最速制御実行中を意味する“1”にセットされているか否かを判定し、この最速制御実行フラグXSPMXEXが“1”であれば、現在、最速制御実行中である判断して、ステップ303に進み、実進角量VTAと目標進角量VTTとの大小関係からVCTの駆動方向を判定する。この際、実進角量VTAが目標進角量VTTよりも大きければ、VCTを遅角方向に駆動すると判断して、ステップ304に進み、最速制御のOCV目標電流iVVTを遅角側限界電流値KIVTRE(0mA)に設定して、VCTを遅角方向に最大速度で駆動する。
一方、実進角量VTAが目標進角量VTTよりも小さければ、VCTを進角方向に駆動すると判断して、ステップ305に進み、最速制御のOCV目標電流iVVTを進角側限界電流値KIVTAD(OCV最大許容電流)に設定して、VCTを進角方向に最大速度で駆動する。
また、上記ステップ302で、最速制御実行フラグXSPMXEXが“0”にセットされていると判定されれば、現在、保持制御実行中である判断して、ステップ306に進み、保持制御実行中の目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差に応じてPD制御等のフィードバック制御によりOCV目標電流iVVTを算出する。
この際、最速制御から保持制御に切り替えた時点で、OCV目標電流iVVTを最速制御の遅角側限界電流値KIVTRE又は進角側限界電流値KIVTADから保持電流学習値に切り替え(つまり保持制御のOCV目標電流iVVTの初期値を保持電流学習値とし)、保持制御中は目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差に応じたフィードバック補正量を保持電流学習値に加算して得られた電流値を保持制御のOCV目標電流iVVTに設定する。
この保持電流の学習は、保持制御中に実進角量VTAが目標進角量VTTに一致した状態に保持されているときのOCV電流を保持電流として学習し、これをECU43の書き換え可能な不揮発性メモリに更新記憶するようにすれば良い。この保持電流学習値は、目標進角量VTTの領域毎、又は、運転条件毎(エンジン回転領域毎等)に学習するようにしても良いし、勿論、全ての運転領域に共通する1つの保持電流を学習するようにしても良い。
[制御切替判定しきい値算出ルーチン]
図8の制御切替判定しきい値算出ルーチンは、前記図6のVCT制御モード判定ルーチンのステップ203で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ401で、エンジン回転速度、油温(又は冷却水温)等を検出して、現在の運転条件を判定する。この後、ステップ402に進み、現在の運転条件と同一条件で最大速度を学習済みであるか否かを判定し、最大速度を学習済みでなければ、ステップ403に進み、現在の運転条件に応じて最大速度とドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度をマップ等により算出し、この最大速度とドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度に応じて進角側/遅角側判定しきい値VAD,VREをマップ等により算出する。
一方、上記ステップ402で、現在の運転条件と同一条件で最大速度を学習済みであると判定されれば、ステップ404に進み、ECU43のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されている運転条件毎の最大速度の学習値の中から、現在の運転条件と同一条件で学習された最大速度の学習値を検索し、この最大速度の学習値とドレーン切替弁34,35の閉弁応答速度に応じて進角側/遅角側判定しきい値VAD,VREをマップ等により算出する。
尚、進角側/遅角側ヒステリシス値VADHYS,VREHYSは、予め設定した所定値(例えば設計値等)としても良いし、判定しきい値VAD,VREの所定割合(例えば10%)の値としても良い。
[最大速度学習ルーチン]
図9の最大速度学習ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ501で、最大速度学習実行条件が次の2つの条件(1) ,(2) を両方とも満たしているか否かで判定する。
(1) エンジン回転速度の変化量Δneが所定値KPNE以上(Δne≧KPNE)であること
(2) 実進角量VTAが所定範囲(KVTHRE≦VTA≦KVTHAD)であること
ここで、上記条件(1) は、エンジン回転速度の変化量Δneが小さいときにVCTを最大速度で駆動すると燃焼悪化等の問題が生じる懸念があるためである。
また、上記条件(2) は、実進角量VTAが最遅角位置付近の領域や最進角位置付近の領域ではるときには遅角方向や進角方向に最大速度で駆動する余裕がないためである。
上記2つの条件(1) ,(2) のいずれか一方でも満たさない条件があれば、最大速度学習実行条件が不成立となり、ステップ502に進み、進角方向最速制御時間カウンタCADと遅角方向最速制御時間カウンタCREを共に0にクリアして本ルーチンを終了する。
これに対して、上記2つの条件(1) ,(2) を両方とも満たしていれば、最大速度学習実行条件が成立していると判断して、ステップ503に進み、OCV目標電流iVVTが遅角側限界電流値KIVTRE(0mA)であるか否かを判定する。その結果、OCV目標電流iVVTが遅角側限界電流値KIVTRE(0mA)であると判定されれば、VCTが遅角方向に最大速度で駆動されていると判断して、ステップ504に進み、遅角方向最速制御時間カウンタCREを“1”インクリメントして遅角方向の最速制御時間を計測し、次のステップ505で、遅角方向最速制御時間カウンタCREで計測した遅角方向の最速制御時間が第1の所定時間KCRE0に達したか否かを判定する。そして、遅角方向の最速制御時間が第1の所定時間KCRE0に達した時点で、ステップ506に進み、その時点の実進角量VTAを“VTA0”としてECU43のRAMに記憶する。
この後、ステップ507に進み、遅角方向最速制御時間カウンタCREで計測した遅角方向の最速制御時間が第2の所定時間KCRE1に達したか否かを判定する。そして、遅角方向の最速制御時間が第2の所定時間KCRE1に達した時点で、ステップ508に進み、その時点の実進角量VTAと、この時点よりも(KCRE1−KCRE0)時間前に記憶した実進角量VTA0とを用いて、遅角方向の最速制御中の所定期間(CRE=KCRE0〜KCRE1)の平均遅角速度を“遅角方向の最大速度”として算出する。
遅角方向の最大速度=(VTA−VTA0)/(KCRE1−KCRE0)
上式により算出された遅角方向の最大速度は、ECU43の書き換え可能な不揮発性メモリに運転条件毎に更新記憶される。この後、ステップ509に進み、遅角方向最速制御時間カウンタCREをクリアすると共に、過去の実進角量VTA0の記憶値をクリアして本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ503で、OCV目標電流iVVTが遅角側限界電流値KIVTRE(0mA)でないと判定されれば、ステップ510に進み、OCV目標電流iVVTが進角側限界電流値KIVTAD(OCV最大許容電流)であるか否かを判定する。その結果、OCV目標電流iVVTが進角側限界電流値KIVTADであると判定されれば、VCTが進角方向に最大速度で駆動されていると判断して、ステップ511に進み、進角方向最速制御時間カウンタCADを1ずつインクリメントして進角方向の最速制御時間を計測し、次のステップ512で、進角方向最速制御時間カウンタCADで計測した進角方向の最速制御時間が第1の所定時間KCAD0に達したか否かを判定する。そして、進角方向の最速制御時間が第1の所定時間KCAD0に達した時点で、ステップ513に進み、その時点の実進角量VTAを“VTA0”としてECU43のRAMに記憶する。
この後、ステップ514に進み、進角方向最速制御時間カウンタCADで計測した進角方向の最速制御時間が第2の所定時間KCAD1に達したか否かを判定する。そして、進角方向の最速制御時間が第2の所定時間KCAD1に達した時点で、ステップ515に進み、その時点の実進角量VTAと、この時点よりも(KCAD1−KCAD0)時間前に記憶した実進角量VTA0とを用いて、進角方向の最速制御中の所定期間(CAD=KCAD0〜KCAD1)の平均進角速度を“進角方向の最大速度”として算出する。
進角方向の最大速度=(VTA−VTA0)/(KCAD1−KCAD0)
上式により算出された進角方向の最大速度は、ECU43の書き換え可能な不揮発性メモリに運転条件毎に更新記憶される。この後、ステップ516に進み、進角方向最速制御時間カウンタCADをクリアすると共に、過去の実進角量VTA0の記憶値をクリアして本ルーチンを終了する。
尚、上記ステップ503とステップ510で、いずれも「No」と判定されれば、現在のVCT制御モードが最速制御ではないと判断して、ステップ517に進み、進角方向最速制御時間カウンタCADと遅角方向最速制御時間カウンタCREを共に0にクリアして本ルーチンを終了する。
以上説明した本実施例のVCT制御の一例を図10のタイムチャートを用いて説明する。図10の制御例は、実進角量VTAを目標進角量VTT付近でフィードバック制御する保持制御の実行中に、目標進角量VTTがステップ的に大きく変化して、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差(VTT−VTA)が進角側判定しきい値VADを越えた時点t1 で、最速制御実行フラグXSPMXEXを“1”にセットして、VCT制御モードを保持制御から最速制御に切り替える。この進角方向の最速制御中は、遅角室19のドレーン切替弁35を開弁して遅角室19からオイルを排出しやすくすると共に、OCV目標電流iVVTを進角側限界電流値KIVTAD(OCV最大許容電流)に設定して、VCTを進角方向に最大速度で駆動する。
この最速制御により、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差(VTT−VTA)が進角側判定しきい値VAD−VADHYSよりも小さくなった時点t2 で、保持制御実行フラグXFBEXを“1”にセットして、VCT制御モードを最速制御から保持制御に切り替える。この時点t2 で、遅角室19のドレーン切替弁35を閉弁して遅角室19からのオイルの排出を止めることで、VCTの進角動作を最大速度から急停止させる。
最速制御から保持制御に切り替えた時点t2 で、OCV目標電流iVVTを進角側限界電流値KIVTADから保持電流学習値に切り替え、保持制御中は目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差に応じたフィードバック補正量を保持電流学習値に加算して得られた電流値を保持制御のOCV目標電流iVVTに設定し、実進角量VTAを目標進角量VTT付近に保持する。
以上説明した本実施例では、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差が判定しきい値VAD,VRE以上のときに、オイルが排出される油圧室側のドレーン切替弁を開いてVCTを目標進角量VTTの方向に最大速度で駆動する最速制御を実行し、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差が判定しきい値VAD−VADHYS,VRE−VREHYSよりも小さくなったときに、オイルが排出される油圧室側のドレーン切替弁を閉じてVCTの可変動作を停止又は低速にする保持制御に切り替えるようにしたので、実進角量VTAが目標進角量VTTに近付くまでVCTを目標進角量VTTの方向に最大速度で駆動して、目標進角量VTTの直前でドレーン切替弁を閉じてVCTの可変動作を急停止させるという制御が可能となり、オーバーシュートの問題を生じることなく、VCT制御の応答性を大きく向上させることができる。
尚、本実施例では、最速制御中にVCTを最大速度で駆動するようにしたが、最大速度に近い高速度(所定速度以上)で駆動するようにしても良いことは言うまでもない。
また、本実施例では、目標進角量VTTと実進角量VTAとの偏差を判定しきい値と比較して最速制御と保持制御との切り替えタイミングを判定するようにしたが、最速制御から保持制御に切り替えた後にVCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量を推定し、最速制御中に目標変位角と実変位角との偏差が前記VCT変位量の推定値に一致したときに最速制御から保持制御に切り替えるようにしても良い。このようにすれば、VCTの実進角量VTAが確実に目標進角量VTTで停止するように切り替えタイミングを設定することができ、目標進角量VTTへの実進角量VTAの収束性を向上させることができる。
この場合、保持制御に切り替えてから停止するまでのVCT変位量は、予め、最大速度、運転条件等に応じてマップ等により設定するようにしても良いが、VCTの可変動作の油圧応答遅れを模擬したモデルを用いて、前記停止するまでのVCT変位量を推定するようにしても良い。このようにすれば、VCT変位量のマップ等を記憶する必要がないため、その分、ECU43のメモリを節約することができる利点がある。
尚、本発明は、ドレーン切替弁34,35を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁38を、油圧制御弁21とは別体に設けるようにしても良いが、本実施例では、油圧切替弁38を油圧制御弁21に一体化した構成としているため、部品点数削減、低コスト化、コンパクト化の要求を満たすことができる利点がある。
本発明は、図1に示される可変バルブタイミング調整機構11の構成に限定されず、例えば、図11又は図12に示される他の実施例の可変バルブタイミング調整機構71,72に適用することもできる。
図11に示される可変バルブタイミング調整機構71においては、図1に示される可変バルブタイミング調整機構11に対して以下の点が相違している。なお、図11において図1と同等の構成部品については同じ符号を付して説明を省略する。
まず、図1の油圧制御弁21は1つのリニアソレノイド36により進角/遅角油圧制御機能37とドレーン切替制御機能38とを駆動しているが、図11では、進角/遅角油圧制御機能を実現する第1の油圧制御弁37とドレーン切替制御機能を実現する第2の油圧制御弁38とにそれぞれソレノイド36,51を設け、各ソレノイド36,51をそれぞれ別のECU43,52(第1の制御手段,第2の制御手段)によって独立して制御する構成としている。一方のECU43は、VCT実変位角と目標変位角との偏差に応じて第1の油圧制御弁37の電流を制御し、他方のECU52は、第2の油圧制御弁38の電流を制御して、各ドレーン切替弁(ドレーン制御弁)34,35を駆動する油圧を制御する。
ドレーン切替弁34,35については、図1では、油圧が加えられていないときには、スプリング41,42によって開弁位置に保持される、いわゆるノーマリ・オープン型(常開型)の切替弁を用いている。これに対して、図11では、油圧が加えられていないときに、スプリング41,42によって閉弁位置に保持される、いわゆるノーマリ・クローズ型(常閉型)の切替弁を用いている。またこれに伴い、ドレーン切替制御機能38も、図1ではドレーン切替弁34,35を閉弁するときに油圧を供給する構成となっているが、図11ではドレーン切替弁34,35を閉弁するときに油圧供給を停止する構成となっている。
また、図1においては、ある1つのベーン17で仕切られた1つのベーン収納室16の進角室18及び遅角室19に対応する油圧供給通路28,29に逆止弁30,31及びドレーン切替弁34,35を設ける構成としているが、図11では、あるベーン収納室16の進角室18に対する油圧供給通路28と別のベーン収納室16の遅角室19に対する油圧供給通路29とに逆止弁30,31及びドレーン切替弁34,35を設けている。
この構成では、VCT変位角を目標変位角に保持する保持動作中には、進角室18側と遅角室19側の両方のドレーン切替弁34,35を閉じて進角室18側と遅角室19側の両方の逆止弁30,31を有効に機能させて進角室18及び遅角室19からの作動油の逆流を防止するように第2の油圧制御弁38を制御すると共に、可変バルブタイミング調整機構71へ供給する油圧を制御する第1の油圧制御弁37の制御電流を所定の保持電流に制御する。
一方、可変バルブタイミング調整機構71を進角動作させる場合は、作動油を流入させる進角室側のドレーン切替弁を閉じて、作動油が排出される遅角室側のドレーン切替弁を開くように第2の油圧制御弁38を制御し、可変バルブタイミング調整機構71を遅角動作させる場合は、作動油を流入させる遅角室側のドレーン切替弁を閉じて、作動油が排出される進角室側のドレーン切替弁を開くように第2の油圧制御弁38を制御する。要するに、進角・遅角動作中には、その変位方向に応じて進角室18側と遅角室19側のいずれか一方のドレーン切替弁34又は35を開いていずれか一方の逆止弁30又は31が機能しないように第2の油圧制御弁38を制御すると共に、前記第1の油圧制御弁37の制御電流を制御して可変バルブタイミング調整機構71へ供給する油圧を可変することでVCT変位角を目標変位角に向けて変位させる。
以上のように構成した図11の可変バルブタイミング調整機構71に対しても本発明を適用することができる。
次に、図12の可変バルブタイミング調整機構72の構成について、図1との相違点を中心に説明する。図12においても、図11と同様に図1と同等の構成部品については同じ符号が付されている。
まず、図1においては進角/遅角油圧制御機能37のための油路を切換える弁とドレーン切替制御機能38のための油路を切換える弁との2つの弁を備える構成としている。これに対して、図12においては、1つの油圧制御弁60で進角/遅角油圧制御機能とドレーン切替制御機能とを達成する構成としている。また、このために油圧供給通路28,29を油圧制御弁60と逆止弁30,31との間で分岐させ、各々ドレーン切替弁(ドレーン制御弁)34,35と接続する構成としている。
この構成では、VCT変位角を目標変位角に保持する保持動作中には、油圧制御弁60の制御電流を所定の保持電流に制御して、進角室18側と遅角室19側の両方のドレーン切替弁34,35を閉じて進角室18側と遅角室19側の両方の逆止弁30,31を有効に機能させて進角室18及び遅角室19からの作動油の逆流を防止するように制御すると共に、可変バルブタイミング調整機構72へ供給する油圧を制御する。
一方、VCT変位角を進角方向又は遅角方向に変位させる進角・遅角動作中には、油圧制御弁60の制御電流を制御して、その変位方向に応じて進角室18側と遅角室19側のいずれか一方のドレーン切替弁34又は35を開いていずれか一方の逆止弁30又は31が機能しないように制御すると共に、可変バルブタイミング調整機構72へ供給する油圧を可変することでVCT変位角を目標変位角に向けて変位させる。
以上のように構成した図12の可変バルブタイミング調整機構72に対しても本願発明を適用することができる。
本発明の一実施例における可変バルブタイミング調整機構とその油圧制御回路を概略的に示す図である。 可変バルブタイミング調整機構の遅角動作、保持動作、進角動作を説明するための図である。 逆止弁の有無による進角作動時のVCT応答速度の相違を説明するための特性図である。 逆止弁付きの可変バルブタイミング調整機構の応答特性の一例を示す特性図である。 VCT制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 VCT制御モード判定ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 OCV目標電流算出ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 制御切替判定しきい値算出ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 最大速度学習ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 VCT制御の一例を説明するタイムチャートである。 本発明の他の実施例(その1)における可変バルブタイミング調整機構とその油圧制御回路を概略的に示す図である。 本発明の他の実施例(その2)における可変バルブタイミング調整機構とその油圧制御回路を概略的に示す図である。
符号の説明
11…可変バルブタイミング調整機構、12…ハウジング、14…ベーンロータ、16…ベーン収納室、17…ベーン、18…進角室、19…遅角室、21…油圧制御弁、24…ロックピン、27…オイルポンプ、28,29…油圧供給油路、30,31…逆止弁、32,33…ドレーン油路、34,35…ドレーン切替弁(ドレーン制御弁)、37…進角/遅角油圧制御機能(第1の油圧制御弁)、38…ドレーン切替制御機能(油圧切替弁,第2の油圧制御弁)、43…ECU(制御手段,第1の制御手段)、44…クランク角センサ、45…カム角センサ、52…ECU(第2の制御手段)、60…油圧制御弁、71,72…可変バルブタイミング調整機構

Claims (42)

  1. ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画し、少なくとも1つのベーン収納室の進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路に、それぞれ各油圧室(「油圧室」とは「進角室」と「遅角室」のいずれかを意味する)からの作動油の逆流を防止する逆止弁を設けると共に、各油圧室の油圧供給油路に、それぞれ前記逆止弁をバイパスするドレーン油路を並列に設け、各ドレーン油路にそれぞれ油圧で駆動されるドレーン切替弁を設けると共に、各ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁を設けたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置において、
    前記VCTの実変位角を目標変位角に一致させるように前記油圧制御弁を制御して各油圧室の油圧を可変すると共に前記油圧切替弁を制御して各油圧室のドレーン切替弁を開閉する制御手段を備え、
    前記制御手段は、目標変位角と実変位角との偏差が所定値以上のときには作動油が排出される油圧室側のドレーン切替弁を開いて前記VCTを目標変位角の方向に最大速度又はそれに近い高速度で駆動するように前記油圧制御弁を制御し(以下この制御を「最速制御」という)、目標変位角と実変位角との偏差が小さくなったときに前記作動油が排出される油圧室側のドレーン切替弁を閉じて前記VCTの可変動作を停止又は低速にするように前記油圧制御弁を制御する(以下この制御を「保持制御」という)ことを特徴とするベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記最速制御から前記保持制御に切り替えるタイミングを判定するための目標変位角と実変位角との偏差の判定しきい値を前記最大速度と前記ドレーン切替弁の閉弁応答速度とに基づいて設定し、前記最速制御中に目標変位角と実変位角との偏差が前記判定しきい値以下になったときに前記最速制御から前記保持制御に切り替えることを特徴とする請求項1に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記最速制御中の実変位角の変化速度を検出してその検出値に基づいて前記最大速度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記VCTに供給する油圧及び油温若しくはこれらに相関する情報に基づいて前記最大速度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  5. 前記制御手段は、運転条件毎に前記最大速度を学習する手段を備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記保持制御に切り替えてから前記VCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量を推定し、前記最速制御から前記保持制御に切り替えるタイミングを前記VCT変位量の推定値に基づいて設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  7. 前記制御手段は、前記保持制御に切り替えてから前記VCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量を推定し、前記最速制御中に目標変位角と実変位角との偏差が前記VCT変位量の推定値に一致したときに前記最速制御から前記保持制御に切り替えることを特徴とする請求項6に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  8. 前記制御手段は、前記VCTの可変動作の油圧応答遅れを模擬したモデルを用いて前記停止するまでのVCT変位量を推定することを特徴とする請求項6又は7に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  9. 前記制御手段は、前記最速制御と前記保持制御との切り替え特性にヒステリシスを持たせるように切り替えタイミングを設定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  10. 前記制御手段は、前記保持制御中に進角室側と遅角室側の両方のドレーン切替弁を閉じた状態で目標変位角と実変位角との偏差を小さくするように前記油圧制御弁を制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  11. 前記油圧切替弁は、前記油圧制御弁に一体化されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  12. ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内がそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画されており、少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に設けられ、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路に設けられ、油圧で駆動される第1のドレーン制御弁と、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に設けられ、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路に設けられ、油圧で駆動される第2のドレーン制御弁と、
    前記VCTへ供給する油圧を制御する第1の油圧制御弁と、
    前記第1のドレーン制御弁と前記第2のドレーン制御弁とを駆動する油圧を制御する第2の油圧制御弁と、
    前記第1の油圧制御弁と前記第2の油圧制御弁とを制御する制御手段とを備えたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置において、
    前記制御手段は、前記VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する際に、前記実変位角が前記目標変位角に近づいたときに、前記目標変位角と前記実変位角とに基づいて、作動油が排出されている側の前記進角室または前記遅角室の油圧供給油路に設けられたドレーン制御弁を閉じるように制御する(以下、この制御を「保持制御」という)ことを特徴とするベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  13. 前記制御手段は、前記VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する際に、前記目標変位角と前記実変位角とが近づいたときに、前記目標変位角と前記実変位角との偏差に基づいて、前記保持制御を実行することを特徴とする請求項12に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  14. 前記制御手段は、前記VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する際に、前記目標変位角と前記実変位角との偏差が所定値以下の場合に、前記保持制御を実行することを特徴とする請求項12に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  15. 前記制御手段は、前記目標変位角と前記実変位角との偏差が前記所定値より大きいときは、作動油が排出されている側の前記進角室または前記遅角室の油圧供給油路に設けられたドレーン制御弁を開いて前記VCTを前記目標変位角の方向に所定速度以上で駆動するように制御し(以下、この制御を「駆動制御」という)、前記目標変位角と前記実変位角との偏差が前記所定値以下になると前記保持制御を実行することを特徴とする請求項14に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  16. 前記制御手段は、前記駆動制御中の駆動速度と前記ドレーン制御弁の閉弁応答性とに基づいて前記所定値を設定することを特徴とする請求項15に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  17. 前記制御手段は、前記駆動制御中の実変位角の変化速度を検出してその検出値に基づいて前記駆動速度を推定することを特徴とする請求項15又は16に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  18. 前記制御手段は、前記VCTに供給する油圧及び油温若しくはこれらに相関する情報に基づいて前記駆動速度を推定することを特徴とする請求項15又は16に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  19. 前記制御手段は、運転条件毎に前記駆動速度を学習する手段を備えていることを特徴とする請求項17又は18に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  20. 前記駆動速度は、前記駆動制御中に前記VCTを目標変位角の方向に最大速度又はそれに近い高速度で駆動している際の駆動速度であることを特徴とする請求項16乃至19のいずれかに記載のベーンの可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  21. 前記制御手段は、前記保持制御に切り替えてから前記VCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量を推定し、前記駆動制御から前記保持制御に切り替えるタイミングを前記VCT変位量の推定値に基づいて設定することを特徴とする請求項15乃至20のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  22. 前記制御手段は、前記保持制御に切り替えてから前記VCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量を推定し、前記駆動制御中に目標変位角と実変位角との偏差が前記VCT変位量の推定値に一致したときに前記駆動制御から前記保持制御に切り替えることを特徴とする請求項21に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  23. 前記制御手段は、前記VCTの可変動作の油圧応答遅れを模擬したモデルを用いて前記停止するまでのVCT変位量を推定することを特徴とする請求項21又は22に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  24. 前記制御手段は、前記駆動制御と前記保持制御との切り替え特性にヒステリシスを持たせるように切り替えタイミングを設定することを特徴とする請求項15乃至23のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  25. 前記制御手段は、前記保持制御中に進角室側と遅角室側の両方のドレーン制御弁を閉じた状態で目標変位角と実変位角との偏差を小さくするように制御することを特徴とする請求項15乃至24のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  26. 前記第1の油圧制御弁と前記第2の油圧制御弁とは独立して制御可能な構成であり、
    前記制御手段は、前記第1の油圧制御弁を制御して、各ドレーン制御弁を開閉する第1の制御手段と、前記第2の油圧制御弁を制御して、前記VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する第2の制御手段とを備えることを特徴とする請求項15乃至25のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  27. 前記第1の油圧制御弁と前記第2の油圧制御弁とが一体化されている構成であり、
    前記制御手段は、前記第1の油圧制御弁を制御して各ドレーン制御弁を開閉すると共に、前記第2の油圧制御弁を制御して、前記VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する第3の制御手段を備えることを特徴とする請求項15乃至25のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  28. ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内がそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画されており、少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に設けられ、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路に設けられ、油圧で駆動される第1のドレーン制御弁と、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に設けられ、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路に設けられ、油圧で駆動される第2のドレーン制御弁と、
    各ドレーン制御弁及び前記VCTへ供給する油圧を制御する一つの油圧制御弁と、
    前記油圧制御弁を制御することで、前記各ドレーン制御弁を駆動すると共に、前記VCTへ供給する油圧を制御する制御手段とを備えたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置において、
    前記制御手段は、前記VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する際に、前記目標変位角と前記実変位角が近づいたときに、前記目標変位角と前記実変位角とに基づいて、作動油が排出されている側の前記進角室または前記遅角室の油圧供給油路に設けられたドレーン制御弁を閉じるように制御する(以下、この制御を「保持制御」という)ことを特徴とするベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  29. 前記制御手段は、前記VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する際に、前記目標変位角と前記実変位角が近づいたときに、前記目標変位角と前記実変位角との偏差に基づいて、前記保持制御を実行することを特徴とする請求項28に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  30. 前記制御手段は、前記VCTの実変位角が目標変位角となるように制御する際に、目標変位角と実変位角との偏差が所定値以下の場合に、前記保持制御を実行することを特徴とする28に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  31. 前記制御手段は、目標変位角と実変位角との偏差が前記所定値より大きいときは、作動油が排出されている側の前記進角室または前記遅角室の油圧供給油路に設けられたドレーン制御弁を開いて前記VCTを目標変位角の方向に所定速度以上の駆動速度で制御(以下、この制御を「駆動制御」という)すると共に、目標変位角と実変位角との偏差が前記所定値以下になると前記保持制御を実行することを特徴とする請求項30に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  32. 前記制御手段は、前記駆動制御中の駆動速度と前記ドレーン制御弁の閉弁応答性とに基づいて前記所定値を設定することを特徴とする請求項31に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  33. 前記制御手段は、前記駆動制御中の実変位角の変化速度を検出してその検出値に基づいて前記駆動速度を推定することを特徴とする請求項32に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  34. 前記制御手段は、前記VCTに供給する油圧及び油温若しくはこれらに相関する情報に基づいて前記駆動速度を推定することを特徴とする請求項32又は33に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  35. 前記制御手段は、運転条件毎に前記駆動速度を学習する手段を備えていることを特徴とする請求項33又は34に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  36. 前記駆動速度は、前記駆動制御中に前記VCTを目標変位角の方向に最大速度又はそれに近い高速度で駆動している際の駆動速度であることを特徴とする請求項32乃至35のいずれかに記載のベーンの可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  37. 前記制御手段は、前記保持制御に切り替えてから前記VCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量を推定し、前記駆動制御から前記保持制御に切り替えるタイミングを前記VCT変位量の推定値に基づいて設定することを特徴とする請求項28乃至36のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  38. 前記制御手段は、前記保持制御に切り替えてから前記VCTの可変動作が実際に停止するまでのVCT変位量を推定し、前記駆動制御中に目標変位角と実変位角との偏差が前記VCT変位量の推定値に一致したときに前記駆動制御から前記保持制御に切り替えることを特徴とする請求項37に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  39. 前記制御手段は、前記VCTの可変動作の油圧応答遅れを模擬したモデルを用いて前記停止するまでのVCT変位量を推定することを特徴とする請求項37又は38に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  40. 前記制御手段は、前記駆動制御と前記保持制御との切り替え特性にヒステリシスを持たせるように切り替えタイミングを設定することを特徴とする請求項28乃至39のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  41. 前記制御手段は、前記保持制御中に進角室側と遅角室側の両方のドレーン制御弁を閉じた状態で目標変位角と実変位角との偏差を小さくするように制御することを特徴とする請求項28乃至40のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
  42. 前記油圧制御弁によって、前記第1のドレーン制御弁を開弁/閉弁することで前記第1のドレーン油路を開放/閉鎖するとともに、前記第2のドレーン制御弁を開弁/閉弁することで前記第2のドレーン油路を開放/閉鎖することを特徴とする請求項28乃至41のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の制御装置。
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