JP2007246051A - 車両の制動力保持装置、及び車両の制動力保持状態の解除方法 - Google Patents

車両の制動力保持装置、及び車両の制動力保持状態の解除方法 Download PDF

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Abstract

【課題】各車輪に対する制動力の保持状態を解除させる際において、斜面での車両発進時における車両安定性の低下を抑制できる車両の制動力保持装置、及び車両の制動力保持状態の解除方法を提供する。
【解決手段】ヒルホールド制御の実行中にアクセルぺダルが踏込み操作された場合には、停止している路面の斜度grを検出し、該検出結果に基づき各車輪から上側車輪と下側車輪とをそれぞれ設定する。そして、まず上側車輪に対応するホイールシリンダ内のブレーキ液圧を減圧させる。その後、上側車輪に対応するホイールシリンダ内のブレーキ液圧の減圧が開始されてからの経過時間T1が経過時間閾値KT1以上になった場合には、下側車輪に対応するホイールシリンダ内のブレーキ液圧を減圧させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ブレーキペダルの操作により停止車両の各車輪に付与されている制動力をブレーキペダルの操作解消後においても保持させる車両の制動力保持装置、及び該車両の制動力保持装置による各車輪に対する制動力の保持状態を解除させる車両の制動力保持状態の解除方法に関する。
一般に、坂路などの斜面上に車両が停止した場合に、搭乗者によるブレーキペダルの操作解消後においても各車輪に対する制動力を保持させる所謂ヒルホールド制御を実行する車両の制動力保持装置が知られている。このヒルホールド制御が実行された場合には、搭乗者によるブレーキペダルの操作解消後における各車輪に対する制動力の急激な低下が規制される。そのため、斜面の傾斜方向下側への車両の予期せぬ移動(すなわち、車両のずり下がり)が抑制される結果、坂道発進操作時において搭乗者の車両操作における余裕の低下が良好に抑制される。
ところで、上記のような車両の制動力保持装置においては、ヒルホールド制御の実行中に搭乗者がアクセルぺダルを踏込み操作した場合に、ヒルホールド制御が終了されることになる。すなわち、アクセルぺダルの踏込み操作が検知された場合、各車輪(駆動輪及び従動輪)のうち従動輪に付与されている制動力は、その保持状態が速やかに解除されるようになっている。一方、駆動輪に付与されている制動力は、従動輪に対する制動力が低下し始めてから予め設定された所定時間(例えば、1〜2秒)後に、その保持状態が解除されるようになっている(例えば、特許文献1)。
特公平05−34182号公報(請求項1、図2)
ところが、駆動輪が従動輪よりも上側に位置する状態で車両が斜面に停止している場合において、特許文献1に記載されるような車両の制動力保持装置による制動力保持状態の解除が実行されたときには、以下に示すような問題点が発生するおそれがあった。すなわち、図6(a)に示すように、特に車両70が斜面に対して斜めになった状態(この状態のことを「偏向した状態」という。)で停止している場合、搭乗者によりアクセルぺダルが踏込み操作されると、下側の車輪である従動輪71の制動力保持状態が上側の車輪である駆動輪72に先行して解除される。そして、駆動輪72に対する制動力保持状態が継続されている状態では、斜面(路面)とのグリップ力を取り戻した従動輪71に比してロックした状態の駆動輪72の方が、各車輪71,72の回転による車両の進行方向と直交する方向により大きく滑ってしまう。すなわち、駆動輪72のほうが従動輪71よりも大きく横滑りしてしまう。その結果、図6(b)に白抜き矢印で示す方向へ車両70が回転してしまう。そのため、図6(c)に示すように、駆動輪72に対する制動力の保持状態が解除されたときには、車両70の偏向度合い(斜面に対する斜めの度合い)が非常に大きくなることがあった。したがって、搭乗者は車両70の偏向を修正しつつアクセルぺダルの踏込み操作を行う必要があり、車両発進時における車両安定性が低下してしまうおそれがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、各車輪に対する制動力の保持状態を解除させる際において、斜面での車両発進時における車両安定性の低下を抑制できる車両の制動力保持装置、及び車両の制動力保持状態の解除方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、車両の制動力保持装置にかかる請求項1に記載の発明は、ブレーキペダル(37)の操作により停止した車両(C)の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動手段(36a,36b,36c,36d)から付与されている制動力(BP)を前記ブレーキペダル(37)の操作が解消された後においても保持させるヒルホールド制御を実行する車両の制動力保持装置(11)において、前記車両(C)が停止した路面の斜度(gr)を検出する路面斜度検出手段(16,SE7)と、該路面斜度検出手段(16,SE7)により検出された前記路面の斜度(gr)に基づき、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)のうち上側に位置する上側車輪(FR,FL)と下側に位置する下側車輪(RR,RL)との選定を行う車輪選定手段(16)と、前記ヒルホールド制御の解除条件が成立したか否かを判定する条件成立判定手段(16)と、該条件成立判定手段(16)による判定結果が肯定判定である場合に、前記上側車輪(FR,FL)に対する制動力(BP)を前記下側車輪(RR,RL)に対する制動力(BP)よりも先行して低下させるように、前記上側車輪(FR,FL)に対応する制動手段(36a,36b)及び下側車輪(RR,RL)に対応する制動手段(36c,36d)を各々制御する制御手段(16)とを備えたことを要旨とする。
上記構成では、ヒルホールド制御の実行中に該ヒルホールド制御の解除条件が成立した場合には、車両が停止している路面の斜度が検出されると共に、該検出結果から各車輪のうち上側に位置する上側車輪と下側に位置する下側車輪とがそれぞれ選定される。そして、上側車輪に対する制動力は、下側車輪に対する制動力よりも先行して低下させられる。そのため、下側車輪に対する制動力が上側車輪に対する制動力より先行して低下してしまう場合とは異なり、上側車輪と斜面とのグリップ力を下側車輪と斜面とのグリップ力よりも大きくできるため、下側車輪の方が上側車輪よりも横滑りしやすい状態にできる。その結果、ヒルホールド制御の解除を開始した場合に、車両が偏向してしまうことが抑制される。したがって、各車輪に対する制動力の保持状態を解除させる際において、斜面での車両発進時における車両安定性の低下を抑制できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の制動力保持装置において、前記条件成立判定手段(16)による判定結果が肯定判定になってからの経過時間(T1)が予め設定された経過時間閾値(KT1)以上になったか否かを判定する経過時間判定手段(16)をさらに備え、前記制御手段(16)は、前記条件成立判定手段(16)による判定結果が肯定判定になった場合において、前記経過時間判定手段(16)による判定結果が肯定判定になったときに、前記下側車輪(RR,RL)に対する制動力を低下させるように、前記下側車輪(RR,RL)に対応する制動手段(36c,36d)を制御することを要旨とする。
上記構成では、下側車輪に対する制動力は、上側車輪に対する制動力の低下が開始してから経過時間閾値経過後に低下し始める。そのため、上側車輪に対する制動力を下側車輪に対する制動力に先行して確実に低下させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両の制動力保持装置において、前記制御手段(16)は、前記条件成立判定手段(16)による判定結果が肯定判定になった場合に、前記下側車輪(RR,RL)に対する制動力(BP)の低下速度が前記上側車輪(FR,FL)に対する制動力(BP)の低下速度よりも小さくなるように、前記各制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御することを要旨とする。
上記構成では、各車輪に対する制動手段は、上側車輪に対する制動力の低下速度が下側車輪に対する制動力の低下速度よりも大きくなるように各々制御される。そのため、上側車輪に対する制動力を下側車輪に対する制動力に先行して確実に低下させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の車両の制動力保持装置において、前記路面斜度検出手段(16,SE7)により検出された路面の斜度(gr)の絶対値が予め設定された斜度閾値(Kgr)以上であるか否かを検出する斜度判定手段(16)をさらに備え、前記制御手段(16)は、前記斜度判定手段(16)による判定結果及び前記条件成立判定手段(16)による判定結果が共に肯定判定である場合に、前記上側車輪(FR,FL)に対する制動力(BP)を前記下側車輪(RR,RL)に対する制動力(BP)よりも先行して低下させるように、前記各制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御することを要旨とする。
上記構成では、車両が停止している路面の斜度の絶対値が斜度閾値未満である場合には、上側車輪に対する制動力を下側車輪に対する制動力に先行して低下させるような制御が実行されない。すなわち、本発明では、上記のような制御を実行させる必要があると判断された場合にのみ、上側車輪に対する制動力を下側車輪に対する制動力に先行して低下させる。したがって、路面の斜度の絶対値が斜度閾値未満である場合にも上記のような制御を一律に実行する場合とは異なり、制御手段の制御負荷を良好に低減させることができる。
一方、車両の制動力保持の解除方法にかかる請求項5に記載の発明は、ブレーキペダル(37)の操作により停止した車両(C)の各車輪(FR,FL,RR,RL)に付与されている制動力(BP)を前記ブレーキペダル(37)の操作が解消された後においても保持させるヒルホールド制御が実行された状態で、該ヒルホールド制御の解除条件が成立した場合に、前記ヒルホールド制御を解除させる車両(C)の制動力保持状態の解除方法において、前記車両(C)が停止した路面の斜度(gr)を検出し、該路面の斜度(gr)に基づき前記各車輪(FR,FL,RR,RL)のうち上側に位置する上側車輪(FR,FL)と下側に位置する下側車輪(RR,RL)との選定をそれぞれ行い、前記ヒルホールド制御の実行中に該ヒルホールド制御の解除条件が成立した場合に、前記上側車輪(FR,FL)に対する制動力(BP)を、前記下側車輪(RR,RL)に対する制動力(BP)よりも先行して低下させるようにしたことを要旨とする。
上記構成では、請求項1に記載の発明の場合と同様の作用効果を奏し得る。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における左右方向は、車両進行方向における左右方向と一致するものとする。
図1に示すように、本実施形態における車両の制動力保持装置11は、複数(本実施形態では4つ)ある車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)のうち、前輪FR,FLが駆動輪として機能すると共に、後輪RR,RLが従動輪として機能する車両(いわゆる前輪駆動車)に搭載されている。この制動力保持装置11は、駆動源となるエンジン12で発生した駆動力を前輪FR,FLに伝達する駆動力伝達機構13と、前輪FR,FLを転舵輪(「操舵輪」ともいう。)として転舵させるための前輪転舵機構14とを備えている。また、この制動力保持装置11は、各車輪FR,FL,RR,RLに制動力を付与するための制動力付与機構15と、上記各機構13〜15を車両の走行状態に応じて適宜に制御するための制御手段としての電子制御装置(以下、「ECU」という。)16とを備えている。なお、エンジン12は、車両の搭乗者によるアクセルペダル17の踏込み操作に対応した駆動力を発生させる。
駆動力伝達機構13には、エンジン12の出力軸に接続されたトランスミッション18と、このトランスミッション18から伝達された駆動力を適宜配分して前輪FL,FRに伝達する前輪用ディファレンシャルギヤ19とが設けられている。また、エンジン12から外部に向けて延設された吸気管20内の吸気通路20aには、その開口断面積を可変させるスロットル弁21が設けられると共に、吸気管20外には、スロットル弁21の開度を制御するためのスロットル弁アクチュエータ(例えばDCモータ)22が設けられている。また、エンジン12の吸気ポート(図示略)近傍には、燃料を噴射するインジェクタを有する燃料噴射装置23が設けられている。なお、アクセルペダル17の近傍には、搭乗者によるアクセルペダル17の踏込み量(開度)を検出するためのアクセル開度センサSE1が設けられている。
前輪転舵機構14には、ステアリングホイール24と、ステアリングホイール24が固定されたステアリングシャフト25と、ステアリングシャフト25に連結された転舵アクチュエータ26とが設けられている。また、前輪転舵機構14には、転舵アクチュエータ26により車両の左右方向に移動自在なタイロッドと、このタイロッドの移動により前輪FL,FRを転舵させるリンクとを含んだリンク機構部27が設けられている。さらに、前輪転舵機構14には、ステアリングホイール24の操舵角を検出するための操舵角センサSE2が設けられている。
次に、制動力付与機構15について図2に基づき以下説明する。
図2に示すように、本実施形態の制動力付与機構15は、マスタシリンダ30及びブースタ31を有する液圧発生装置32と、2つの液圧回路33,34を有する液圧制御装置(図2では二点鎖線で示す。)35とを備えている。各液圧回路33,34は、液圧発生装置32に接続されると共に、各車輪FR,FL,RR,RLに対応して設けられたホイールシリンダ(制動手段)36a,36b,36c,36dに接続されている。すなわち、右前輪FRにはホイールシリンダ36aが対応すると共に、左前輪FLにはホイールシリンダ36bが対応している。また、右後輪RRにはホイールシリンダ36cが対応すると共に、左後輪RLにはホイールシリンダ36dが対応している。
液圧発生装置32には、ブレーキペダル37が設けられると共に、このブレーキペダル37が車両の搭乗者によって踏込み操作されることに基づき、液圧発生装置32のマスタシリンダ30及びブースタ31が駆動するようになっている。また、マスタシリンダ30には、2つの出力ポート30a,30bが設けられている。そして、各出力ポート30a,30bのうち一方の出力ポート30aには第1液圧回路33が接続されると共に、他方の出力ポート30bには第2液圧回路34が接続されている。さらに、液圧発生装置32には、ブレーキペダル37が操作された際にECU16に向けて信号を出力するブレーキスイッチSW1が設けられている。
液圧制御装置35には、第1液圧回路33内のブレーキ液圧を昇圧するためのポンプ38と、第2液圧回路34内のブレーキ液圧を昇圧するためのポンプ39と、各ポンプ38,39を同時に駆動させるモータMとが設けられている。また、各液圧回路33,34上にはブレーキオイルが貯留されるリザーバ40,41が設けられると共に、各リザーバ40,41内のブレーキオイルは、ポンプ38,39の駆動に基づき液圧回路33,34内に供給されるようになっている。さらに、各液圧回路33,34には、マスタシリンダ30内のブレーキ液圧を検出するための液圧センサPS1,PS2が設けられている。
第1液圧回路33には、右前輪FRに対応するホイールシリンダ36aに接続されるホイールシリンダ36a用(右前輪FR用)の右前輪用経路33aと、左後輪RLに対応するホイールシリンダ36dに接続されるホイールシリンダ36d用(左後輪RL用)の左後輪用経路33bとが形成されている。そして、これら各経路33a,33b上には、常開型の電磁弁42,43と常閉型の電磁弁44,45とがそれぞれ設けられている。
同様に、第2液圧回路34には、左前輪FLに対応するホイールシリンダ36bに接続されるホイールシリンダ36b用(左前輪FL用)の左前輪用経路34aと、右後輪RRに対応するホイールシリンダ36cに接続されるホイールシリンダ36c用(右後輪RR用)の右後輪用経路34bとが形成されている。そして、これら各経路34a,34b上には、常開型の電磁弁46,47と常閉型の電磁弁48,49とがそれぞれ設けられている。
また、第1液圧回路33において各経路33a,33bに分岐された部位よりもマスタシリンダ30側には、常開型の比例電磁弁50が接続されると共に、この比例電磁弁50と並列関係をなすリリーフ弁51が接続されている。そして、比例電磁弁50とリリーフ弁51とにより比例差圧弁52が構成されている。比例差圧弁52は、ECU16による制御に基づき、比例差圧弁52よりもマスタシリンダ30側とホイールシリンダ36a,36d側とで液圧差(ブレーキ液圧の差)を発生させることができる。なお、この液圧差の最大値は、リリーフ弁51を構成するばね51aの付勢力に基づく値となる。また、第1液圧回路33には、リザーバ40とポンプ38との間からマスタシリンダ30側に向けて分岐された分岐液圧路33cが形成されると共に、この分岐液圧路33c上には常閉型の電磁弁53が接続されている。
同様に、第2液圧回路34において各経路34a,34bに分岐された部位よりもマスタシリンダ30側には、常開型の比例電磁弁54が接続されると共に、この比例電磁弁54と並列関係をなすリリーフ弁55が接続されている。そして、比例電磁弁54とリリーフ弁55とにより比例差圧弁56が構成されている。比例差圧弁56は、ECU16による制御に基づき、比例差圧弁56よりもマスタシリンダ30側とホイールシリンダ36b,36c側とで液圧差(ブレーキ液圧の差)を発生させることができる。なお、この液圧差の最大値は、リリーフ弁55を構成するばね55aの付勢力に基づく値となる。また、第2液圧回路34には、リザーバ41とポンプ39との間からマスタシリンダ30側に向けて分岐された分岐液圧路34cが形成されると共に、この分岐液圧路34c上には常閉型の電磁弁57が接続されている。
ここで、上記各電磁弁42〜49のソレノイドコイルが通電状態にある場合及び非通電状態にある場合における各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧の変化について説明する。なお、以下の説明においては、各比例電磁弁50,54が閉じ状態であると共に、分岐液圧路33c,34c上の電磁弁53,57が閉じ状態であるものとする。
まず、各電磁弁42〜49のソレノイドコイルが全て非通電状態にある場合には、常開型の電磁弁42,43,46,47は開き状態のままであると共に、常閉型の電磁弁44,45,48,49は閉じ状態のままである。そのため、上記ポンプ38,39が駆動している場合には、リザーバ40,41内のブレーキオイルが各経路33a,33b,34a,34bを介して各ホイールシリンダ36a〜36d内に流入し、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧は上昇することになる。
一方、各電磁弁42〜49のソレノイドコイルが全て通電状態にある場合には、常開型の電磁弁42,43,46,47が閉じ状態となると共に、常閉型の電磁弁44,45,48,49が開き状態となる。そのため、各ホイールシリンダ36a〜36d内からブレーキオイルが各経路33a,33b,34a,34bを介してリザーバ40,41へと流出し、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧は降下することになる。
そして、各電磁弁42〜49のうち常開型の電磁弁42,43,46,47のソレノイドコイルのみが通電状態にある場合には、全ての電磁弁42〜49が閉じ状態となる。そのため、各経路33a,33b,34a,34bを介したブレーキオイルの流動が規制される結果、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧はその液圧レベルが保持されることになる。
図1に示すように、ECU16は、入力側インターフェース(図示略)と、出力側インターフェース(図示略)と、CPU60、ROM61、RAM62及びタイマ63などを備えたデジタルコンピュータと、各装置を駆動させるための駆動回路(図示略)とを主体として構成されている。入力側インターフェース(図示略)には、上記ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2、アクセル開度センサSE1、及び操舵角センサSE2がそれぞれ接続されている。また、入力側インターフェースには、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE3,SE4,SE5,SE6、及び車両の車体加速度を検出するための車体加速度センサ(「前後Gセンサ」ともいう。)SE7が接続されている。すなわち、ECU16は、ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2、及び上記各種センサSE1〜SE7からの各信号を入力するようになっている。なお、車体加速度センサSE7は、車両が加速している場合にはECU16が正の値を示すような信号を出力する一方、車両が減速している場合にはECU16が負の値を示すような信号を出力するように設定されている。
ECU16の出力側インターフェース(図示略)には、各ポンプ38,39を駆動させるためのモータM、各電磁弁42〜49,53,57及び比例電磁弁50,54が接続されている。そして、ECU16は、上記スイッチSW1及び各センサPS1,PS2,SE1〜SE7からの入力信号に基づき、モータM、各電磁弁42〜49,53,57及び比例電磁弁50,54の動作を個別に制御するようになっている。
また、ECU16のデジタルコンピュータにおいて、ROM61には、液圧制御装置35(モータM、各電磁弁42〜49,53,57及び比例電磁弁50,54の駆動)を制御するための制御プログラム、及び閾値(後述する斜度閾値や経過時間閾値など)などが記憶されている。RAM62には、車両の制動力保持装置11の駆動中に適宜書き換えられる各種の情報(経過時間など)が記憶されるようになっている。また、タイマ63は、時間(経過時間など)のカウントアップ(計測)を行うようになっている。
なお、本実施形態の制動力保持装置11は、ブレーキペダル37の踏込み操作により停止した車両の各車輪FR,FL,RR,RLに各ホイールシリンダ36a〜36dから付与されているブレーキ液圧をブレーキペダル37の踏込み操作が解消された後においても保持させるヒルホールド制御を実行するようになっている。このヒルホールド制御は、アクセルペダル17が操作された場合に、解除されるようになっている。
そこで次に、本実施形態のECU16が実行する制御処理ルーチンのうち、ヒルホールド制御開始処理ルーチン及びヒルホールド制御終了処理ルーチンについて以下説明する。まず、ECU16がヒルホールド制御を実行する際に実行するヒルホールド制御開始処理ルーチンについて以下説明する。
さて、ECU16は、所定周期(例えば「0.1」秒)毎にヒルホールド制御開始処理ルーチンを実行する。そして、このヒルホールド制御開始処理ルーチンにおいて、ECU16は、ブレーキスイッチSW1からの信号を入力したか否かを判定する。この判定結果が肯定判定である場合、ECU16は、搭乗者がブレーキペダル37を踏み込み操作しているものと判断する。そして、ECU16は、車体加速度センサSE7から入力した信号に基づき、車両の車体加速度を検出すると共に、各車輪速度センサSE3〜SE6から入力した信号に基づき、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度をそれぞれ検出する。続いて、ECU16は、検出した車両の車体加速度の値、及び各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度の値がそれぞれ「0(零)」であるか否かを判定する。すなわち、ECU16は、搭乗者によるブレーキペダル37の踏込み操作に基づき、各車輪FR,FL,RR,RLに対して各ホイールシリンダ36a〜36dから制動力が付与されることにより、各車輪FR,FL,RR,RLがロック状態となる結果、車両が停止したか否かを判定する。
そして、ECU16は、車両の車体加速度の値、及び各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度の値が共に「0(零)」であると判定した場合、ヒルホールド制御を実行する。この際に、ECU16は、ヒルホールド制御の実行の有無を示すためのヒルホールドフラグHflg(図3参照)を「ON」にセットする。すなわち、ECU16は、各液圧回路33,34上の常開型の電磁弁42,43,46,47を通電状態とすることにより、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧を保持する。その後、ECU16は、ヒルホールド制御開始処理ルーチンを終了する。なお、このヒルホールド制御開始処理ルーチンでの上記各判定処理のうち一つでも否定判定があった場合には、ECU16は、ヒルホールド制御を実行することなく、ヒルホールド制御開始処理ルーチンを終了する。
次に、ECU16がヒルホールド制御を終了させる際に実行するヒルホールド制御終了処理ルーチンについて図3に基づき以下説明する。
さて、ECU16は、所定周期(例えば「0.1」秒)毎にヒルホールド制御終了処理ルーチンを実行する。そして、このヒルホールド制御終了処理ルーチンにおいて、ECU16は、ヒルホールドフラグHflgが「ON」にセットされているか否かを判定する(ステップS10)。すなわち、ECU16は、ヒルホールド制御が実行中であるか否かを判定する。ステップS10の判定結果が否定判定(Hflg=「OFF」)である場合、ECU16は、ヒルホールド制御が実行されていないものと判断し、ヒルホールド制御終了処理ルーチンを終了する。一方、ステップS10の判定結果が肯定判定(Hflg=「ON」)である場合、ECU16は、ヒルホールド制御が実行中であるものと判断し、アクセル開度センサSE1からの入力信号に基づき、アクセルペダル17が踏込み操作されたか否かを判定する(ステップS11)。したがって、この点で、本実施形態では、ECU16が、ヒルホールド制御の解除条件が成立したか否かを判定する条件成立判定手段としても機能する。
そして、ステップS11の判定結果が否定判定である場合、ECU16は、ヒルホールド制御終了処理ルーチンを終了する。一方、ステップS11の判定結果が肯定判定である場合、ECU16は、タイマ63にてカウントアップされた経過時間T1を「0(零)」にリセットする(ステップS12)。続いて、ECU16は、車両が停止している状態で車体加速度センサSE7から入力した信号に基づき、車両の車体加速度を検出し、その検出結果から車両が停止している路面の斜度grを算出(検出)する(ステップS13)。したがって、この点で、本実施形態では、ECU16及び車体加速度センサSE7が、路面斜度検出手段として機能する。
そして、ECU16は、ステップS13にて検出した路面の斜度grの絶対値がROM61に予め設定された斜度閾値Kgr以上であるか否かを判定する(ステップS14)。したがって、この点で、本実施形態では、ECU16が、斜度判定手段としても機能する。なお、斜度閾値Kgrは、該斜度閾値Kgr以上の斜度を有する路面を斜面(坂路)と見なすための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。
そして、ステップS14の判定結果が否定判定(grの絶対値<Kgr)であった場合、ECU16は、車両が停止している路面が斜面ではないと判断し、各車輪FR,FL,RR,RLに対する各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧(制動力)BPをそれぞれ減圧させる(ステップS15)。すなわち、ECU16は、各液圧回路33,34上の各電磁弁42〜49を全て通電状態とすることにより、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPの保持状態を解消させる。
続いて、ECU16は、液圧センサPS1,PS2から入力した各信号に基づき、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを検出し、その検出した各ブレーキ液圧BPが全て「0(零)」であるか否かを判定する(ステップS16)。この判定結果が否定判定(BP>「0(零)」)である場合、ECU16は、ステップS16の判定処理が肯定判定(BP=「0(零)」)になるまで、ステップS16の判定処理を繰り返し実行する。一方、ステップS16の判定結果が肯定判定(BP=「0(零)」)である場合、ECU16は、その処理を後述するステップS23に移行する。
その一方で、ステップS14の判定結果が肯定判定(grの絶対値≧Kgr)であった場合、ECU16は、アクセルペダル17の踏み込み操作が行われた時点では車両が坂路上に停止していたものと判断する。そして、ECU16は、ステップS13にて検出した路面の斜度grに基づき、各車輪FR,FL,RR,RLのうち上側に位置する上側車輪と下側に位置する下側車輪とをそれぞれ設定(選定)する(ステップS17)。すなわち、路面の斜度grが正の値である場合、ECU16は、駆動輪である前輪FR,FLを上側車輪に設定すると共に、従動輪である後輪RR,RLを下側車輪に設定する。一方、路面の斜度grが負の値である場合、ECU16は、前輪FR,FLを下側車輪に設定すると共に、後輪RR,RLを上側車輪に設定する。したがって、この点で、本実施形態では、ECU16が、車輪選定手段としても機能する。
そして、ECU16は、上側車輪(例えば前輪FR,FL)に対応するホイールシリンダ(例えばホイールシリンダ36a,36b)内のブレーキ液圧BPを減圧させる(ステップS18)。すなわち、ECU16は、各液圧回路33,34上の上側車輪(例えば前輪FR,FL)に対応する電磁弁(例えば電磁弁42,44,46,48)を通電状態とする。すると、図4(a)に示すように、上側車輪(例えば前輪FR,FL)に対応するホイールシリンダ(例えばホイールシリンダ36a,36b)内のブレーキ液圧BPは、速やかに減圧される。一方、図4(b)に示すように、下側車輪(例えば後輪RR,RL)に対応するホイールシリンダ(例えばホイールシリンダ36c,36d)内のブレーキ液圧BPは、上側車輪(例えば前輪FR,FL)に対するホイールシリンダ(例えばホイールシリンダ36a,36b)内のブレーキ液圧BPが減圧されたにも関わらず、その保持状態が維持される。
続いて、ECU16は、タイマ63による経過時間T1のカウントアップを開始させる(ステップS19)。そして、ECU16は、タイマ63にてカウントアップされる経過時間T1をRAM62の所定領域に読み出し、該読み出した経過時間T1がROM61に予め設定された経過時間閾値KT1(例えば2秒)以上になったか否かを判定する(ステップS20)。したがって、この点で、本実施形態では、ECU16が、経過時間判定手段としても機能する。なお、経過時間閾値KT1は、上側車輪に対応する各ホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPの保持状態が解除されたにも関わらず、下側車輪に対応する各ホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPの保持状態を維持させるための時間であり、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。
そして、ステップS20の判定結果が否定判定(T1<KT1)であった場合、ECU16は、ステップS20の判定結果が肯定判定(T1≧KT1)になるまで、ステップS20の判定処理を繰り返し実行する。一方、ステップS20の判定結果が肯定判定(T1≧KT1)になった場合、ECU16は、下側車輪(例えば後輪RR,RL)に対応するホイールシリンダ(例えばホイールシリンダ36c,36d)内のブレーキ液圧BPを減圧させる(ステップS21)。また、ECU16は、経過時間T1のカウントアップを停止させる。
ここで、ECU16は、各液圧回路33,34上の下側車輪(例えば後輪RR,RL)に対応する電磁弁(例えば電磁弁43,45,47,49)に対して、通電状態と非通電状態とを繰り返させる。すると、図4(b)に示すように、下側車輪(例えば後輪RR,RL)に対応するホイールシリンダ(例えばホイールシリンダ36c,36d)内のブレーキ液圧BPは、その保持状態が解除され、徐々に減圧される。すなわち、下側車輪(例えば後輪RR,RL)に対応するホイールシリンダ(例えばホイールシリンダ36c,36d)内のブレーキ液圧(制動力)BPの減圧速度(低下速度)は、上側車輪(例えば前輪FR,FL)に対するホイールシリンダ(例えばホイールシリンダ36a,36b)内のブレーキ液圧BPの減圧速度よりも遅くなる。
そして、ECU16は、液圧センサPS1,PS2から入力した各信号に基づき、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを検出し、その検出した各ブレーキ液圧BPが全て「0(零)」であるか否かを判定する(ステップS22)。この判定結果が否定判定(BP>「0(零)」)である場合、ECU16は、ステップS22の判定処理を繰り返し実行する。一方、ステップS22の判定結果が肯定判定(BP=「0(零)」)である場合、ECU16は、その処理を後述するステップS23に移行する。
ステップS23において、ECU16は、ヒルホールドフラグHflgを「OFF」にセットする。すなわち、ECU16は、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPが全て「0(零)」になったことに基づき、ヒルホールド制御の解除処理を終了させる。その後、ECU16は、ヒルホールド制御終了処理ルーチンを終了する。
次に、本実施形態の制動力保持装置11による車両の制動力保持状態の解除方法について、図5(a)(b)(c)に基づき以下説明する。なお、車両が停止している坂路は、斜度grが斜度閾値Kgr以上となる斜面を有するいわゆる上り坂であると共に、車両Cが坂路での進行方向に対して多少斜めになった状態(以下、この状態のことを「偏向した状態」ともいう。)で停止しているものとする。
さて、図5(a)に示すように、坂路での進行方向に対して多少斜めになった状態でヒルホールド制御により停止している車両Cの搭乗者が、車両Cを発進させるためにアクセルペダル17を踏込み操作すると、ヒルホールド制御が解除される。すなわち、図5(b)に示すように、各車輪FR,FL,RR,RLのうち上側車輪となる前輪FR,FLに対応するホイールシリンダ36a,36b内のブレーキ液圧BPが速やかに減圧される結果、前輪FR,FLのロック状態が解除される(図4(a)参照)。すると、前輪FR,FLに対する制動力が、後輪RR,RLに対する制動力よりも先行して低下するため、車両Cが、図5(b)の矢印が示す方向に回動する。すなわち、後輪RR,RLの横坑力が前輪FR,FLの横坑力よりも小さくなるため、重力により後輪RR,RLが前輪FR,FLよりも大きく下方に滑る。そのため、車両Cが図5(b)の矢印が示す方向に回動する。
そして、前輪FR,FLに対する制動力の低下が開始してから経過時間閾値KT1が経過すると、下側車輪となる後輪RR,RLに対応するホイールシリンダ36c,36d内のブレーキ液圧BPが徐々に減圧される(図4(b)参照)。すなわち、図5(c)に示すように、後輪RR,RLのロック状態が解除された状態になったときには、搭乗者がステアリングホイール24を操舵しなくても、車両Cの偏向が解消された状態になる。したがって、搭乗者は、アクセルペダル17の踏込み操作を行うだけで、車両安定性を確保した状態で車両Cを発進させることが可能になる。
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ヒルホールド制御の実行中にアクセルペダル17が踏込み操作された場合には、車両Cが停止している路面の斜度grが検出されると共に、該検出結果から各車輪FR,FL,RR,RLのうち上側に位置する上側車輪と下側に位置する下側車輪とがそれぞれ設定(選定)される。そして、上側車輪である前輪FR,FLに対応するホイールシリンダ36a,36bのブレーキ液圧(制動力)BPは、下側車輪である後輪RR,RLに対応するホイールシリンダ36c,36dのブレーキ液圧(制動力)BPよりも先行して減圧させられる。そのため、下側車輪に対する制動力が上側車輪に対する制動力より先行して低下してしまう場合とは異なり、前輪FR,FLと斜面とのグリップ力を後輪RR,RLと斜面とのグリップ力よりも大きくできるため、後輪RR,RLの方が前輪FR,FLよりも横滑りしやすい状態にできる。その結果、ヒルホールド制御の解除が開始された場合に、車両Cが偏向してしまうことが抑制される。したがって、各車輪FR,FL,RR,RLに対するホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPの保持状態を解除させる際において、坂路での車両発進時における車両安定性の低下を抑制できる。
(2)下側車輪である後輪RR,RLに対応するホイールシリンダ36c,36dのブレーキ液圧BPは、上側車輪である前輪FR,FLに対応するホイールシリンダ36a,36bのブレーキ液圧BPの減圧が開始されてから経過時間閾値KT1経過後に減圧され始める。そのため、前輪FR,FLに対応するホイールシリンダ36a,36bのブレーキ液圧BPを後輪RR,RLに対応するホイールシリンダ36c,36dのブレーキ液圧BPに先行して確実に減圧させることができる。
(3)上側車輪である前輪FR,FLに対応するホイールシリンダ36a,36bのブレーキ液圧BPの減圧速度が下側車輪である後輪RR,RLに対応するホイールシリンダ36c,36dのブレーキ液圧BPの減圧速度よりも大きくなるように、各ホイールシリンダ36a〜36dが各々制御される。そのため、前輪FR,FLに対応するホイールシリンダ36a,36bのブレーキ液圧BPを後輪RR,RLに対応するホイールシリンダ36c,36dのブレーキ液圧BPに先行して確実に低下させることができる。
(4)車両Cが停止している路面の斜度grの絶対値が斜度閾値Kgr未満である場合には、上側車輪である前輪FR,FLに対応するホイールシリンダ36a,36bのブレーキ液圧BPを下側車輪である後輪RR,RLに対応するホイールシリンダ36c,36dのブレーキ液圧BPに先行して減圧させるような制御が実行されない。すなわち、本実施形態では、上記のような制御を実行させる必要があると判断された場合(grの絶対値≧Kgrであると判定された場合)にのみ、前輪FR,FLに対応するホイールシリンダ36a,36bのブレーキ液圧BPを後輪RR,RLに対応するホイールシリンダ36c,36dのブレーキ液圧BPに先行して減圧させる。したがって、路面の斜度grの絶対値が斜度閾値Kgr未満である場合にも上記のような制御を一律に実行する場合とは異なり、ECU(制御手段)16の制御負荷を良好に低減させることができる。
なお、実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・実施形態において、ヒルホールド制御終了処理ルーチンのステップS14の判定処理を実行しなくてもよい。すなわち、ヒルホールド制御による各車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力保持を解除させる場合には、車両Cが停止している路面が傾斜していれば、その斜度grの大きさ如何によらずに、ステップS17〜S23までの処理を実行するようにしてもよい。
・実施形態において、ヒルホールド制御終了処理ルーチンのステップS21では、下側車輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPの減圧速度が、上側車輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPの減圧速度と同程度になるようにしてもよい。
・実施形態において、ヒルホールド制御終了処理ルーチンのステップS20の判定処理を実行しなくてもよい。この場合、上側車輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPと、下側車輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPとが同時に減圧されることになる。しかし、そのような場合でも、上側車輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPの減圧速度の方が、下側車輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPの減圧速度よりも速くなるようにすれば、上側車輪のロック状態が下側車輪のロック状態よりも先に解除されることになる。
・実施形態において、車両Cの水平方向に対する傾斜角度を検出するための傾斜センサを設け、該傾斜センサからの入力信号に基づき検出された検出結果を路面の斜度grとするようにしてもよい。
・実施形態において、図示しないパーキングブレーキの操作された場合、及びブレーキペダル37の踏込み操作が解消されてからの経過時間が所定時間(例えば2秒)を経過した場合に、ヒルホールド制御の解除条件が成立したものと判断するようにしてもよい。また、ヒルホールド制御を解除させるための専用のスイッチなどを別途設け、該スイッチが操作された場合にヒルホールド制御の解除条件が成立したものと判断するようにしてもよい。
・実施形態において、車両Cの進行方向が斜面下方となるような、いわゆる下り坂に車両Cが停止している場合に具体化してもよい。この場合、後輪RR,RLが上側車輪に設定されると共に、前輪FR,FLが下側車輪に設定される。
・実施形態において、前輪駆動車に搭載された車両の制動力保持装置11ではなく、後輪駆動車に搭載される車両の制動力保持装置に具体化してもよいし、四輪駆動車に搭載される車両の制動力保持装置に具体化してもよい。
・実施形態において、第1液圧回路33には右前輪FR用のホイールシリンダ36aと左前輪FL用のホイールシリンダ36bとが接続されると共に、第2液圧回路34には右後輪RR用のホイールシリンダ36cと左後輪RL用のホイールシリンダ36dとが接続されるような回路構成としてもよい。
本実施形態における車両の制動力保持装置のブロック図。 本実施形態における制動力付与機構のブロック図。 ヒルホールド制御終了処理ルーチンを示すフローチャート。 (a)は上側車輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧の減圧タイミングを示すタイミングチャート、(b)は下側車輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧の減圧タイミングを示すタイミングチャート。 (a)は車両が停止した状態を示す模式図、(b)は上側車輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧が減圧された状態を示す模式図、(c)は下側車輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧が減圧された状態を示す模式図。 (a)は従来の制動力保持装置を搭載した車両が停止した状態を示す模式図、(b)は下側車輪である従動輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧が減圧された状態を示す模式図、(c)は上側車輪である駆動輪に対するホイールシリンダ内のブレーキ液圧が減圧された状態を示す模式図。
符号の説明
11…車両の制動力保持装置、16…ECU(路面斜度検出手段、車輪選定手段、条件成立判定手段、制御手段、経過時間判定手段、斜度判定手段)、36a,36b…ホイールシリンダ(上側車輪に対応する制動手段)、36c,36d…ホイールシリンダ(下側車輪に対応する制動手段)、37…ブレーキペダル、BP…ブレーキ液圧(制動力)、C…車両、FR,FL…前輪(上側車輪)、gr…路面の斜度、Kgr…斜度閾値、KT1…経過時間閾値、RR,RL…後輪(下側車輪)、SE7…車体加速度センサ(路面斜度検出手段)、T1…経過時間。

Claims (5)

  1. ブレーキペダル(37)の操作により停止した車両(C)の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動手段(36a,36b,36c,36d)から付与されている制動力(BP)を前記ブレーキペダル(37)の操作が解消された後においても保持させるヒルホールド制御を実行する車両の制動力保持装置(11)において、
    前記車両(C)が停止した路面の斜度(gr)を検出する路面斜度検出手段(16,SE7)と、
    該路面斜度検出手段(16,SE7)により検出された前記路面の斜度(gr)に基づき、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)のうち上側に位置する上側車輪(FR,FL)と下側に位置する下側車輪(RR,RL)との選定を行う車輪選定手段(16)と、
    前記ヒルホールド制御の解除条件が成立したか否かを判定する条件成立判定手段(16)と、
    該条件成立判定手段(16)による判定結果が肯定判定である場合に、前記上側車輪(FR,FL)に対する制動力(BP)を前記下側車輪(RR,RL)に対する制動力(BP)よりも先行して低下させるように、前記上側車輪(FR,FL)に対応する制動手段(36a,36b)及び下側車輪(RR,RL)に対応する制動手段(36c,36d)を各々制御する制御手段(16)とを備えた車両の制動力保持装置。
  2. 前記条件成立判定手段(16)による判定結果が肯定判定になってからの経過時間(T1)が予め設定された経過時間閾値(KT1)以上になったか否かを判定する経過時間判定手段(16)をさらに備え、
    前記制御手段(16)は、前記条件成立判定手段(16)による判定結果が肯定判定になった場合において、前記経過時間判定手段(16)による判定結果が肯定判定になったときに、前記下側車輪(RR,RL)に対する制動力を低下させるように、前記下側車輪(RR,RL)に対応する制動手段(36c,36d)を制御する請求項1に記載の車両の制動力保持装置。
  3. 前記制御手段(16)は、前記条件成立判定手段(16)による判定結果が肯定判定になった場合に、前記下側車輪(RR,RL)に対する制動力(BP)の低下速度が前記上側車輪(FR,FL)に対する制動力(BP)の低下速度よりも小さくなるように、前記各制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御する請求項1又は請求項2に記載の車両の制動力保持装置。
  4. 前記路面斜度検出手段(16,SE7)により検出された路面の斜度(gr)の絶対値が予め設定された斜度閾値(Kgr)以上であるか否かを検出する斜度判定手段(16)をさらに備え、
    前記制御手段(16)は、前記斜度判定手段(16)による判定結果及び前記条件成立判定手段(16)による判定結果が共に肯定判定である場合に、前記上側車輪(FR,FL)に対する制動力(BP)を前記下側車輪(RR,RL)に対する制動力(BP)よりも先行して低下させるように、前記各制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御する請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の車両の制動力保持装置。
  5. ブレーキペダル(37)の操作により停止した車両(C)の各車輪(FR,FL,RR,RL)に付与されている制動力(BP)を前記ブレーキペダル(37)の操作が解消された後においても保持させるヒルホールド制御が実行された状態で、該ヒルホールド制御の解除条件が成立した場合に、前記ヒルホールド制御を解除させる車両の制動力保持状態の解除方法において、
    前記車両(C)が停止した路面の斜度(gr)を検出し、該路面の斜度(gr)に基づき前記各車輪(FR,FL,RR,RL)のうち上側に位置する上側車輪(FR,FL)と下側に位置する下側車輪(RR,RL)との選定をそれぞれ行い、前記ヒルホールド制御の実行中に該ヒルホールド制御の解除条件が成立した場合に、前記上側車輪(FR,FL)に対する制動力(BP)を、前記下側車輪(RR,RL)に対する制動力(BP)よりも先行して低下させるようにした車両の制動力保持状態の解除方法。
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