JP2007119774A - 水性顔料分散液及びインクジェット記録用インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 分散性及び分散安定性に優れ、高温で長期間放置しても粒径の増大が少なく、且つ粘度上昇も少なく印字安定性の優れた赤色ないしマゼンタ色のインクジェット記録用水性顔料分散液及び該分散液の製造方法、及びこれを用いたインクジェット記録用インク組成物を提供する。
【解決手段】キナクリドン系顔料、スチレンアクリル系樹脂、及び分散助剤を含有し、前記スチレンアクリル系樹脂が、50〜300の酸価、7500〜40000の重量平均分子量、および全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマー単位を含有する水性顔料分散液であって、かつ前記キナクリドン系顔料は一次粒子の平均粒子径が
30〜150nmの範囲であり、長軸方向径と短軸方向径の比が1.0〜2.0の範囲である。
【選択図】なし

Description

本発明は、赤色ないしマゼンタ色のインクジェット記録用水性顔料分散液、及びインクジェット記録用インク組成物に関するものである。
インクジェット記録用水性インクとして顔料を使用したインクが開発されている。顔料を使用したインクは優れた耐水性、耐光性を期待できるものの、顔料の凝集、沈降に伴うノズルの目詰まりが新たな問題となっている。これを解決するため、高分子系の分散剤を用いて顔料を水性媒体中に分散させる方法が検討されており、例えば高分子分散剤を塩基性成分の存在下で水に溶解した水溶液を調製し、これに顔料を加えて十分撹拌した後、更に分散効率の高い高速サンドミル等を用いる方法が提案されている。
しかし、長期間にわたって顔料を安定に分散させることは困難であり、長期保存安定性に優れたインクジェット記録用水性顔料分散液やインクジェット記録用インク組成物を提供するには至っていない。
一方高分子系の分散剤として樹脂を用い、顔料表面を被覆して樹脂による立体障害斥力によって顔料の凝集を防ぎ、分散の安定性を得る方法が行われている。
例えばキナクリドン系顔料を分散させるための樹脂としては、スチレンアクリル樹脂(スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/30、分子量5万)を使用したインクジェット記録用水性顔料分散液の例が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、該公報に記載のマゼンタ色水性顔料分散体も、分散レベルおよび分散安定性の面で十分に満足できる物ではない。また、カーボンブラックを分散させるための樹脂として、スチレンアクリル樹脂(スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/30、分子量7200、及び8300)を使用したインクジェット記録用水性顔料分散液の例が知られている(特許文献2及び特許文献3参照)。しかしながら、該公報にはキナクリドン系顔料を使用したマゼンタ色水性顔料分散体の分散安定性の向上に関しては、何ら具体的な提案がなされておらず、また分散レベルにおいても必ずしも満足できるものではなかった。このように分散剤の検討だけで優れた分散安定性を実現するのは困難であった。
一方、キナクリドン系顔料を色材として用いた水性顔料分散体またはインクジェット記録用インク組成物の分散性および分散安定性を達成するために、上記分散剤に加えて種々の分散助剤が用いられている。例えばキナクリドン系顔料とフタルイミドメチル化キナクリドン系化合物を併用した水性顔料分散液が(特許文献4参照)、またキナクリドン系顔料と、フタルイミドメチル化キナクリドン系化合物、キナクリドンスルホン酸系化合物を含有する水性顔料分散体が提案されている(特許文献5参照)。これら分散助剤を併用することによって、分散レベルおよび分散安定性は格段に向上する。しかし、高温で長期保存後の分散安定性についてはまだ十分とはいえず、特にサーマルタイプのインクジェット記録用インク組成物として用いるときには一層の分散安定性向上が望まれていた。
特開2000−186244号公報(実施例5) 特開2001−164165号公報(実施例) 特開2003−41178号公報(実施例) 特開2004−352932号公報(特許請求の範囲) 特開2005−048006号公報(特許請求の範囲)
したがって、本発明の目的は、分散性及び分散安定性に優れ、高温で長期間放置しても粒径の増大が少なく、且つ粘度上昇も少なく印字安定性の優れた赤色ないしマゼンタ色のインクジェット記録用水性顔料分散液及びこれを用いたインクジェット記録用インク組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記インクジェット記録用水性顔料分散液の製造方法を提供することである。
特にサーマルジェット記録方式に適した前記水性顔料分散液及びこれを用いたインクジェット記録用インク組成物、ならびに前記インクジェット記録用水性顔料分散液の製造方法を提供することである。
本発明者らはこの課題に関し鋭意検討の結果、以下の手段を用いることによって課題を解決するに至った。すなわち、本発明はキナクリドン系顔料(a)、スチレンアクリル系樹脂(b)、及びキナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)を含有し、前記スチレンアクリル系樹脂が、
(i)酸価50〜300、
(ii)重量平均分子量7500〜40000、および
(iii)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマー単位と、アクリル酸モノマー単位及びメタクリル酸モノマー単位を含有する水性顔料分散液であって、
前記キナクリドン系顔料は一次粒子の平均粒子径が
(i)30〜150nmの範囲であり
(ii)且つ長軸方向径と短軸方向径の比が1.0〜2.0の範囲である
ことを特徴とするインクジェット記録用水性顔料分散液を提供する。
さらに本発明は、前記インクジェット記録用水性顔料分散液を主成分として含有するインクジェット記録用インク組成物を提供する。
さらに本発明は、キナクリドン系顔料(a)、スチレンアクリル系樹脂(b)、及びキナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)の水溶液または有機溶剤溶液、を混練して着色混練物を得る第1の工程と、
前記第1の工程に次いで前記着色混練物を水性媒体中に分散させる第2の工程を有し、前記スチレンアクリル系樹脂が、
(i)酸価50〜300、
(ii)重量平均分子量7500〜40000、および
(iii)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマー単位と、アクリル酸モノマー単位及びメタクリル酸モノマー単位を含有する水性顔料分散液の製造方法であって、
前記キナクリドン系顔料は一次粒子の平均粒子径が
(i)30〜150nmの範囲であり
(ii)且つ長軸方向径と短軸方向径の比が1.0〜2.0の範囲であることを特徴とするインクジェット記録用水性顔料分散液の製造方法を提供する。
本願発明で規定した樹脂、顔料、分散助剤その他の構成を有する水性顔料分散液は、保管時の粒径変化率が小さく分散安定性に優れた水性顔料分散液である。また、本発明の水性顔料分散液から製造したインクジェット記録用インク組成物は、長期保管時の粒径変化率と粘度変化率が極めて小さく、優れた分散安定性を示す。また、本発明のインクジェット記録用インク組成物はサーマルジェット方式、ピエゾジェット方式のインクジェットプリンターにおいて共に良好な印刷特性を示し、インク吐出特性に関して高い信頼性を示す。特にサーマルジェット方式のインクジェット記録用インク組成物として、優れた吐出特性と高温における長期保存安定性を示す。
さらに本願発明の水性顔料分散液の製造方法を用いることにより、長期保管時の粒径変化率と粘度変化率が小さく、分散安定に優れた水性顔料分散液を製造することができ、特に良好な吐出特性を有するサーマルジェット方式のインクジェット記録組成物を作製可能な水性顔料分散液を製造することができる。
本発明のインクジェット記録用水性顔料分散液について、具体的に説明する。なお、以下の説明においては、「インクジェット記録用水性顔料分散液」を「水性顔料分散液」、「インクジェット記録用インク組成物」を「インク組成物」とした略式表記を併用する。
本発明において用いられるキナクリドン系顔料(a)はその一次粒子の平均粒子径が30〜150nmの範囲であり且つ長軸方向径と短軸方向径の比が1.0〜2.0の範囲である。一次粒子の平均粒子径が30nmより小さくなると、顔料の耐光性が劣化するため、その様な顔料より製造されたインク組成物を用いて記録した印刷物の耐光性に由来する信頼性が極端に劣化する。また、一次粒子の平均粒子径が200nmより大きい顔料を用いて製造されたインク組成物では、印刷特性の内、いわゆる写真画質に影響する光沢特性が極端に不足した物となる。150nmより大きい顔料を用いて製造されたインク組成物では、光沢特性は問題ないが、高温保存試験後のインク組成物の物性変化が大きくなる傾向がある。一時粒子径の平均粒径は30〜100nmがより好ましい。
また、本発明において用いられるキナクリドン系顔料(a)は長軸方向径と短軸方向径の比が1.0〜2.0の範囲である。この比が2.0よりも大きくなると、この様な顔料を用いて製造されたインク組成物の保存安定性が劣化し、特に高温保存環境下において顔料の凝集に由来する測定粒径の増大や顕著なインク組成物粘度の上昇が起きる。長軸方向径と短軸方向径の比は1.0〜1.5の範囲がより好ましい。
粒子径が小さく、また粒子の長軸方向径と短軸方向径の比が小さい顔料を使用することによって、本顔料を用いたインクジェット記録用水性顔料分散液より調製したインクジェット記録用インク組成物の長期保存安定性が改良される理由は未だ明確ではない。キナクリドン系顔料は平面構造を有するキナクリドン骨格分子同士が互いのカルボニル基とアミノ基による水素結合を介して、分子平面に対して垂直方向に積み重なった結晶構造を形成している。したがって、長軸方向径と短軸方向径の比が大きい顔料粒子はより結晶成長している状態と判断される。
キナクリドンの分子骨格から分かるように、分子平面に対して上下方向は芳香属性を示し疎水性が大きいが、側面はカルボニル基とアミノ基の存在により、方向によっては芳香属性が極端に弱まっており、これに伴い疎水性も上下方向と比較すると小さいものと思われる。
本発明においては、キナクリドン系顔料に対して特定のスチレンアクリル樹脂が分散剤として機能しており、キナクリドン系顔料に対してスチレンアクリル樹脂中のスチレン由来骨格が疎水性―疎水性相互作用によって吸着しているものと判断される。キナクリドン系顔料の表面が方向によって疎水性が異なるため、微視的に見た場合、分散剤としてのスチレンアクリル樹脂の吸着効率も方向によっては変化すると思われる。長軸方向径と短軸方向径の比が小さい顔料は、比の大きい顔料に比較して相対的に顔料表面の疎水性面の割合が増えるため、スチレンアクリル樹脂の吸着効率が増加し、結果として分散液やインク組成物の長期保存安定性が改良されるものと思われる。
キナクリドン系顔料(a)の顔料種としては、公知慣用のものがいずれも使用でき、具体例としては、C.I.ピグメントレッド122等のジメチルキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッドレッド209等のジクロロキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット19等の無置換キナクリドン、及びこれらの顔料から選ばれる少なくとも2種以上の顔料の混合物もしくは固溶体を挙げることができる。顔料は粉末状、顆粒状あるいは塊状の乾燥顔料でもよく、ウエットケーキやスラリーでもよい。上記キナクリドン系顔料(a)の中では、C.I.ピグメントレッド122が好ましい。
本発明において用いることができる具体的なキナクリドン系顔料としては例えば、C.I.ピグメントレッド122の顔料として、クロモフタールジェットマゼンタDMQ(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)がある。該顔料は一次粒径が50〜100nmで球状または立方体状の外観を呈し、比表面積としては85〜95m2/g程度である。これは例えば同じC.I.ピグメントレッド122の顔料である、ファストゲンスーパーマゼンタRTS(大日本インキ化学工業社製)が長軸長150〜250nmの針状で、65〜75m2/gの比表面積を持っていることと比較して、非常に大きく、粒径、形状が異なっている。
本発明で使用するスチレンアクリル系樹脂(b)は(i)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマーと、アクリル酸及びメタクリル酸を含有するモノマーとの共重合によって得られ、(ii)酸価50〜300を有し、(iii)かつ重量平均分子量7500〜40000の範囲内の樹脂である。
スチレン系モノマーとしては公知の化合物を用いることができる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレンの如きアルキルスチレン、4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、3−ブロモスチレンの如きハロゲン化スチレン、更に3−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルトルエン等がある。
スチレンアクリル系樹脂(b)の原料であるスチレン系モノマーの使用比率は60〜90質量%であることがより好ましく、中でも70〜90質量%であることが特に好ましい。スチレン系モノマーの使用比率が60質量%未満であると、キナクリドン系顔料(a)へのスチレンアクリル系樹脂(b)の親和性が不充分となり、インクジェット記録用水性顔料分散液の分散安定性が低下する傾向がある。また該水性顔料分散液から得られるインクジェット記録用インク組成物の普通紙記録特性が劣化し、画像記録濃度が低下する傾向があり、更に耐水特性も低下する傾向がある。スチレン系モノマーの量が90質量%以下の上記範囲であると、スチレンアクリル系樹脂(b)で被覆されたキナクリドン系顔料の水性媒体に対する分散性を良好に維持することができ、インクジェット記録用水性顔料分散液における顔料の分散性や分散安定性を向上させることができる。更に、インクジェット記録用インク組成物として使用した場合の印字安定性が良好になる。
本発明のスチレンアクリル系樹脂(b)はスチレンモノマーとアクリル酸モノマー及びメタクリル酸モノマーの共重合によって得られるが、アクリル酸とメタクリル酸を併用することが好ましい。その理由は、樹脂合成時の共重合性が向上して、樹脂の均一性が良くなり、その結果、保存安定性が良好となり、且つより微粒子化された顔料分散液が得られる傾向があるためである。
本発明で使用するスチレンアクリル系樹脂(b)においてスチレンモノマーとアクリル酸モノマーとメタクリル酸モノマーの共重合時の総和は、全モノマー成分に対して95質量%以上であることが好ましい。
スチレンアクリル系樹脂(b)には、スチレン系モノマー、アクリル酸モノマー及びメタクリル酸モノマー以外にこれらのモノマーと共重合可能な公知のモノマーを共重合させても良い。そのようなモノマーの例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、1,3−ジメチルブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、エチルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、2−メチルブチルメタアクリレート、ペンチルメタアクリレート、ヘプチルメタアクリレート、ノニルメタアクリレート等のアクリル酸エステル類及びメタアクリル酸エステル類;3−エトキシプロピルアクリレート、3−エトキシブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレートのようなアクリル酸エステル誘導体及びメタクリル酸エステル誘導体;フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート、フェニルエチルメタアクリレートのようなアクリル酸アリールエステル類及びアクリル酸アラルキルエステル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ビスフェノールAのような多価アルコールのモノアクリル酸エステル類あるいはモノメタアクリル酸エステル類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのようなマレイン酸ジアルキルエステル、酢酸ビニル等を挙げることができる。これらのモノマーはその1種又は2種以上をモノマー成分として添加することができる。
スチレンアクリル系樹脂(b)の製造方法としては、通常の重合方法を採ることが可能で、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、重合触媒の存在下に重合反応を行う方法が挙げられる。重合触媒としては、例えば、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、その使用量はビニルモノマー成分の0.1〜10.0質量%が好ましい。
本発明で使用するスチレンアクリル系樹脂(b)の重量平均分子量は7,500から40,000の範囲内であり、、7,500から30,000の範囲内にあることがより好ましい。中でも、10,000〜25,000の範囲内にあることが特に好ましい。重量平均分子量が7,500未満であると、キナクリドン系顔料(a)の初期の分散小粒径化は容易であるが、インクジェット記録用水性顔料分散液の長期保存安定性が悪くなる傾向にあり、顔料の凝集などによる沈降が発生する場合がある。スチレンアクリル系樹脂(b)の重量平均分子量が40,000を超えると、これを用いたインクジェット記録用水性顔料分散液から調製したインクジェット記録用インク組成物の粘度が高くなって、インクの吐出安定性が不安定になる傾向にある。
ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。
測定は以下の装置及び条件により実施した。
送液ポンプ:島津製作所社製 商品名「LC−9A」、システムコントローラー:島津製作所社製 商品名「SIL−6B」、オートインジェクター:島津製作所社製 商品名「SIL−6B」、検出器:島津製作所社製 商品名「RID−6A」。データ処理ソフト:システムインスツルメンツ社製 商品名「Sic480IIデータステーション」。
カラム:日立化成工業社製 商品名「GL−R400(ガードカラム)」+「GL−R440」+「GL−R450」+「GL−R400M」、溶出溶媒:THF、溶出流量:2ml/min、カラム温度:35℃
スチレンアクリル系樹脂のガラス転移点は90℃以上であることが好ましく、100℃〜150℃の範囲であることが更に好ましい。ガラス転移点が90℃以上であると、インク組成物の熱安定性が向上する。このため前記水性顔料分散液から作製されたインクジェット記録用水性インク組成物をサーマルジェット方式のインクジェット記録用に用いても、繰り返し加熱によって吐出不良を起こすような特性変化を生じず、好ましい。
本発明で使用するスチレンアクリル系樹脂(b)はランダム共重合体でもよいが、グラフト共重合体であっても良い。グラフト共重合体としてはポリスチレンあるいはスチレンと共重合可能な非イオン性モノマーとスチレンとの共重合体が幹又は枝となり、アクリル酸、メタクリル酸とスチレンを含む他のモノマーとの共重合体を枝又は幹とするグラフト共重合体をその一例として示すことができる。スチレンアクリル系樹脂(b)は、このグラフト共重合体とランダム共重合体の混合物であってもよい。
本発明において使用されるスチレンアクリル系樹脂(b)はアクリル酸モノマー及びメタクリル酸モノマー由来のカルボキシル基を有し、酸価は50〜300である。
このカルボキシル基は塩基性化合物で中和されていても良く、中和によりスチレンアクリル系樹脂がより優れた分散性を獲得するため好ましい。その際の塩基性化合物はアルカリ金属水酸化物あるいは有機アミン化合物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物がさらに好ましく、なかでも水酸化カリウムが最も好ましい。塩基性化合物の添加量はスチレンアクリル樹脂(b)の全カルボキシル基を中和するのに必要な量の0.8から1.2倍に相当する量であることが好ましい。またアルカリ金属水酸化物と有機アミン化合物は混合して用いることもできる。
本発明で使用するキナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)としては、キナクリドン系顔料の顔料骨格にジアルキルアミノメチル基、アリールアミドメチル基、スルホン酸アミド基、スルホン酸基及びその塩、フタルイミド基等を導入した顔料誘導体があげられる。
上記の中でも本発明で使用するキナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)としては、下記式Iで表される化合物(d)であることが好ましい。
Figure 2007119774
式I
{式中、R1〜R10は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は式II
Figure 2007119774
式II
(式中、R11は炭素数1〜8個のアルキレン基若しくはアルケニレン基、R12〜R15は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基若しくはアルコキシ基、又はフェニル基を表す。)で表される基であり、R〜R10の少なくとも一つは前記式IIで表される基である。}
式Iで表される化合物(d)の中でさらに好ましい化合物としては、下記式IIIで表される化合物が上げられる。
Figure 2007119774
式III
(式中、RとR'とは互いに独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は炭素数1〜5個のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、mは0、1または2であり、nは1〜4である。)
さらに下記式IVで表される基を有する下記式Vで表される化合物がより好ましい。
Figure 2007119774
式IV
Figure 2007119774
式V
(式中、m及びnはそれぞれ独立的に0、1、2又は3を表す。但し、mとnが共に0となることはない。)
また、本発明で使用する化合物(d)としては、式Vで表される化合物の中でも式IVで表される基を1分子あたり1個或いは複数個有する化合物であることが好ましく、1分子あたり平均1〜2個有する化合物であることが好ましい。特に、1分子あたり平均1〜1.5個有する化合物であることが特に好ましい。式IVで表される基が1分子あたり平均1個未満であると分散安定性に対する効果が現れにくく、1分子あたり平均2個を越えると、滲みなど、インクジェット記録用インク組成物としての特性を低下させる可能性がある。
式Iで表される化合物(d)が、例えば、上記式IVで表される基を有する化合物である場合は、無置換キナクリドン、ジメチルキナクリドン、ジクロロキナクリドン等とフタルイミド及びホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデヒドとを濃硫酸中で反応させることにより合成することができる。
本発明においては、キナクリドン系顔料(a)100質量部に対するキナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)の使用量は、2質量部以上であることが好ましく、4〜15質量部であることがより好ましい。使用量が上記の範囲であると分散液及びインク組成物の保存安定性が良好である。また、特にサーマルジェット方式のプリンターで印字した際のインク吐出状態が良好である。
本発明の水性顔料分散体において、キナクリドン系顔料(a)とキナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c))との合計100質量部に対するスチレンアクリル系樹脂(b)の使用量は5〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましく、15〜35質量部であることがさらにこのましい。スチレンアクリル系樹脂(b)の使用量が5質量部未満であると、インクジェット記録用水性顔料分散液の分散安定性が低下するとともにインクジェット記録用水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用インク組成物を調製したとき、耐摩擦性が低下する傾向にあり、50質量部を超えた場合は、インクジェット記録用インク組成物の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
本発明の水性顔料分散体及びインクジェット記録用インク組成物には、乾燥に伴う分散或いは溶解物の析出を避けるために湿潤剤を添加しても良い。この様な湿潤剤としては公知慣用のものが使用でき例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。これらの湿潤剤は1種または2種以上を混合して用いることができる。特に高沸点、低揮発性で、高表面張力の常温で液体の多価アルコール類が好ましく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類がさらに好ましい。
本発明の水性顔料分散液を調製する方法としては、下記の方法を採用することができる。
1)水、水溶性有機溶剤、及びアニオン性基を有する本発明で規定のスチレンアクリル系樹脂(b)、好ましくはその少なくとも1部が中和されているアニオン性基を有するスチレンアクリル系樹脂(b)を含有する水性媒体に、本発明で規定するキナクリドン系顔料(a)、キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)を添加した後、攪拌・分散装置を用いてキナクリドン系顔料(a)を該水性媒体中に分散させることにより、水性顔料分散液を調製する方法。
2)本発明で規定のキナクリドン系顔料(a)、キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)及びアニオン性基を有するスチレンアクリル系樹脂(b)及び好ましくは前記アニオン性基を有するスチレンアクリル系樹脂(b)のアニオン性基の少なくとも一部を中和するのに必要な塩基性化合物を含有する混合物を、2本ロール、プラネタリミキサー等の混練機を用いて混練し、得られた混練物を水と水溶性有機溶剤を含む水性媒体中に添加し、攪拌・分散装置を用いて水性顔料分散液を調製する方法。
3)メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等のような水と相溶性を有する有機溶剤中にアニオン性基を有する本発明で規定のスチレンアクリル系樹脂(b)を溶解して得られた樹脂溶液に、本発明で規定のキナクリドン系顔料(a)、キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)を添加した後、攪拌・分散装置を用いてキナクリドン系顔料(a)を有機溶液中に分散させた分散液を作製し、次いで、該分散液を水性媒体、好ましくは前記アニオン性基を有するスチレンアクリル系樹脂(b)のアニオン性基の少なくとも一部を中和するのに必要な塩基を含む水性媒体を用いて転相乳化法により、水性顔料分散液を調製する方法。
上記の製造方法における攪拌・分散装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノミル、ナノマイザー、アルティマイザー等を挙げることができ、これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
上記水性顔料分散液を調整する方法のうち、2)の方法がキナクリドン系顔料のスチレンアクリル系樹脂による被覆が良好かつ効率的に行われるため好ましい。2)の方法を本発明のインクジェット記録用水性顔料分散液の製造に適用するには、以下のような工程を有する製造方法で行うことができる。
すなわち、キナクリドン系顔料(a)、スチレンアクリル系樹脂(b)、及びキナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)、さらに好ましくは塩基性化合物を含有する混合物、を混練して着色混練物を得る第1の工程と、
前記第1の工程に次いで前記着色混練物を水性媒体中に分散させる第2の工程を有し、
前記スチレンアクリル系樹脂が、
(i)酸価50〜300、
(ii)重量平均分子量7500〜40000、および
(iii)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマー単位と、アクリル酸モノマー単位及びメタクリル酸モノマー単位を含有する水性顔料分散液の製造方法であって、
前記キナクリドン系顔料は一次粒子の平均粒子径が
(i)30〜150nmの範囲であり
(ii)且つ長軸方向径と短軸方向径の比が1.0〜2.0の範囲であることを特徴とするインクジェット記録用水性顔料分散液の製造方法である。
さらに前記キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)が式(I)
Figure 2007119774
式I

{式中、R1〜R10は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は式II
Figure 2007119774
式II
(式中、R11は炭素数1〜8個のアルキレン基若しくはアルケニレン基、R12〜R15は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基若しくはアルコキシ基、又はフェニル基を表す。)で表される基であり、R1〜R10の少なくとも一つは前記式IIで表される基である。}
で表される化合物(d)を含有することが好ましい。
既述の通り、第1の工程におけるキナクリドン系顔料(a)と、キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)との合計100質量部に対するスチレンアクリル系樹脂(b)の使用量は5〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましく、15〜35質量部であることが最も好ましい。
また、上記第1の工程においては、湿潤剤を添加してもよく、また上記第2の工程における水性媒体が湿潤剤を含有していてもよい。これら湿潤剤を用いると混練操作中にこれら湿潤剤が揮散しにくく、着色混練物の固形分比率を一定に保ちつつ混練を進行させることができ、たとえ長時間にわたる混練操作でも、再現性の良好な混練を行うことができる。
特に、沸点が170℃以上、より好ましくは200℃以上の湿潤剤を用いることが好ましい。特に塩基性化合物の添加したときは、混練時の前記スチレン系樹脂の分散性が向上し、前記湿潤剤存在下の混練でキナクリドン系顔料、スチレンアクリル系樹脂を含有する良好な固形着色混練物が形成される。
本発明の水性顔料分散液を使用したインクジェット記録用インク組成物は常法により調製することができる。インクジェット記録用インク組成物を調製する場合は、粗大粒子が、ノズル詰まり、その他の画像特性を劣化させる原因になるため、インク調製後に、遠心分離、あるいは濾過処理等により粗大粒子を除去しても良い。
インクジェット記録用インク組成物を調製する場合、インクの乾燥防止を目的として、先に例示した湿潤剤を同様に添加することができる。乾燥防止を目的とする湿潤剤のインク中の含有量は3〜50質量%であることが好ましい。また、インクジェット記録用インク組成物を調製する場合、被記録媒体への浸透性改良や記録媒体上でのドット径調整を目的として浸透剤を添加することができる。
浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。インク中の浸透剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。
インクジェット記録用インク組成物を調製する場合、表面張力等のインク特性を調整するために、界面活性剤を添加することができる。このために添加することのできる界面活性剤はとくに限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらの中では、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩若しくはスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、等を挙げることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して用いることもできる。また、界面活性剤の溶解安定性等を考慮すると、そのHLBは、7〜20の範囲であることが好ましい。
界面活性剤を添加する場合は、その添加量はインクの全質量に対し、0.001〜1質量%の範囲が好ましく、0.001〜0.5質量%であることがより好ましく、0.01〜0.2質量%の範囲であることがさらに好ましい。界面活性剤の添加量が0.001質量%未満の場合は、界面活性剤添加の効果が得られない傾向にあり、1質量%を超えて用いると、画像が滲むなどの問題を生じやすくなる。
本発明のインクジェット記録用水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用インク組成物を調製する場合は、必要に応じて防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等をも添加することができる。
インクジェット記録用水性顔料分散液に占める、キナクリドン系顔料(a)の量は5〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。キナクリドン系顔料(a)の量が5質量%より少ない場合は、インクジェット記録用水性顔料分散液から調製したインクジェット記録用インク組成物の着色が不充分であり、充分な画像濃度が得られない傾向にある。また、逆に25質量%よりも多い場合は、インクジェット記録用水性顔料分散液において顔料の分散安定性が低下する傾向がある。本発明のインクジェット記録用水性顔料分散液から調製するインクジェット記録用インク組成物に占める、キナクリドン系顔料(a)の量は、充分な画像濃度を得る必要性と、インク中での分散粒子の分散安定性を確保するために、2〜10質量%であることが好ましい。
但し、敢えて淡色のインクが必要であれば、インク中でのキナクリドン系顔料(a)の量を2%未満としたインクももちろん可能である。
このインクジェット記録用インク組成物は、インクジェット記録用のインクとして好適に用いることができる。適用するインクジェットの方式は特に限定するものではないが、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型など)、ドロップオンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式など)などの公知のものを例示することができる。中でも、本発明のインクジェット記録用インク組成物は、高温における長期保存安定性が優れておりサーマルインクジェット記録方式のプリンターに使用することが好ましい。
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
なお、特に断りがない限り「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
また、本実施例、比較例において用いた樹脂は以下のとおりのものである。
樹脂A:モノマー組成比において、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/13(質量比)であり、酸価153〜156mgKOH/g、重量平均分子量7700である樹脂。
樹脂B:モノマー組成比において、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/13(質量比)であり、酸価153〜156mgKOH/g、重量平均分子量11000である樹脂。
(実施例1)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM−V−50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21回転/分,公転回転数:14回転/分)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35回転/分,公転回転数:24回転/分)に切り替え、混練を継続した。
樹脂B(酸価156mgKOH/g) 1500g
キナクリドン系顔料:クロモフタールジェットマジェンタDMQ 4630g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数 1.4)
380g
DEG(ジエチレングリコール) 2600g
34質量%水酸化カリウム水溶液 688g
高速の切り替え時のプラネタリーミキサー電流値は5Aであった。その後、混練を継続し、プラネタリーミキサーの最大電流値が15Aを示した。最大電流値を示してから4時間混練を経過した時点まで混練を継続し着色樹脂組成物を得た。得られた着色樹脂組成物にプラネタリーミキサーによる撹拌を継続しながら、2時間で総量8000gの60℃に加温したイオン交換水を加えた。
この水希釈後の着色樹脂組成物の固形分濃度は37.9質量%であった。さらに取り出した水希釈後の着色樹脂組成物12kgに、ジエチレングリコール744g、イオン交換水7380gを分散撹拌機で撹拌しながら少量ずつ添加し、水性顔料分散液前駆体(分散処理前の水性顔料分散液)A−1を得た。
この水性顔料分散液前駆体A−1の18kgを、ビーズミル(浅田鉄工製ナノミルNM−G2L)にて下記条件で分散を実施し、顔料分散液A−2を得た。
・分散条件
分散機 ナノミルNM−G2L(浅田鉄工製)
ビーズφ 0.3mmジルコニアビーズ
ビーズ充填量 85%
冷却水温度 10℃
回転数 2660回転/分
(ディスク周速:12.5m/sec)
送液量 200g/10秒
なお、上記条件で1時間循環しながら分散処理を行った後、ビーズミル通過液を回収した。更にこの回収した分散処理済み液を最大13000G×10分の遠心処理を実施後、有効孔径0.5μmのフィルターにより濾過処理を行い顔料分散液A−2とした。顔料分散液A−2のキナクリドン系顔料濃度は15.2質量%であった。
(実施例2)
実施例1で得た水性顔料分散液前駆体A−1の5kgを、メディアレスの相互衝突型分散機のナノマイザー(LA−33 ナノマイザー社製)を使用し駆動圧力0.5MPaにて処理し、実施例1と同様に遠心処理を行った後、濾過処理を実施し水性顔料分散液B−2を得た。顔料分散液B−2のキナクリドン系顔料濃度は15.1%質量%であった。
(実施例3、実施例4)
キナクリドン系顔料と、キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤との合計に対するスチレンアクリル系樹脂の使用量の比率を、0.3から0.2に変化させた以外は、実施例1、実施例2と同様の条件で、それぞれ実施例3、実施例4を行い水性顔料分散液C−2、D−2を得た。配合量の詳細は表1に示す通りである。
(実施例5)
実施例1で用いた分子量11000のスチレンアクリル系樹脂に換えて、分子量を7700のスチレンアクリル系樹脂を用い、水性顔料分散液E−2を得た。配合量の詳細は表1に示す通りである。
(実施例6)
キナクリドン系顔料と、キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤との合計に対するスチレンアクリル系樹脂の使用量の比率を、0.3から0.15に変化させた以外は実施例1と同様の条件で、水性顔料分散液F−2を得た。配合量の詳細は表1の通りである。
(比較例1)
使用するキナクリドン系顔料をクロモフタールジェットマジェンタDMQ(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)から、ファーストゲンスーパーマゼンタRTS(大日本インキ化学工業社製)に変更し、キナクリドン系顔料と、キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤との合計に対する、スチレンアクリル系樹脂の使用量の比率を、0.15にして水性顔料分散液G−2を得た。配合量の詳細は表1に示す通りである。
(比較例2)
キナクリドン系顔料と、キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤との合計に対する、スチレンアクリル系樹脂の使用量の比率を、0.30にして、比較例1とほぼ同様の条件で水性顔料分散液H−2を得た。配合量の詳細は表1の通りである。
(比較例3)
比較例1で用いた分子量11000のスチレンアクリル系樹脂に換えて、分子量を7700のスチレンアクリル系樹脂を用い、水性顔料分散液I−2を得た。配合量の詳細は表1に示す通りである。
(表1)
Figure 2007119774
(水性顔料分散液の評価)
上述の様にして得られた実施例、比較例の水性顔料分散液について、マイクロトラックUPA150EX粒度分析計(日機装社製)でセル温度25℃にて粒径測定を実施した。その際、粒径測定サンプルは、各サンプルともにイオン交換水でキナクリドン系顔料濃度を12.5%に希釈して調製し、更にイオン交換水で500倍に希釈した。
結果を表1に示す。
(分散安定性の評価)
実施例、比較例の水性顔料分散液について、分散液の評価と同様に、それぞれキナクリドン系顔料濃度が12.5質量%になるようにイオン交換水を加えて調整を行った。顔料濃度の調整を行った分散液について、スクリュー管等のガラス容器に密栓し、70℃の恒温器で1週間の加熱試験を行い、加熱試験前後の粒径変化を観察することにより、分散安定性の評価を実施した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の水性顔料分散液は加熱試験前後の粒径変化率が小さく、優れた分散安定性を示すことが分かる。
(インク組成物の調製)
各実施例および各比較例で得られた水性顔料分散液にイオン交換水を加えて、キナクリドン系顔料濃度10質量%の水性顔料希釈液50.0gを調製した。インク組成物の調製はこの水性顔料希釈液を用い、キナクリドン系顔料濃度が5%になるように、下記に示すインク配合において実施した。
(インク配合)
水性顔料希釈液 50.0g
2−ピロリジノン 8.0g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8.0g
グリセリン 3.0g
界面活性剤:サーフィノール440(エアープロダクツ社製) 0.5g
イオン交換水 30.5g
(インク組成物の安定性試験)
得られたインク組成物について、スクリュー管等のガラス容器に密栓し、70℃の恒温器で4週間の加熱試験を行い、加熱試験前後の粒径及び粘度変化を観察することにより、インク組成物の安定性の評価を実施した。
尚、粒径測定はインク組成物をイオン交換水で100倍に希釈した以外は、水性顔料分散液の評価と同様に行った。また、粘度はE型粘度計(東京計器(株)社製VISCOMETER TV−20)を用いて25℃にて測定した。
結果を表2に示す。
(インクジェット記録適性評価)
得られた加熱試験前のインク組成物をサーマルジェット方式のヒューレットパッカード社製DeskJet957Cのブラックペンに搭載し、印字試験を実施した。
具体的には、A4の用紙にベタ印字と中間調印字及び細線印字を行い、インクの吐出状態を観察した。
結果を表3に示す。
なおここで評価に用いた目視用の基準は以下の通りである。
インクジェット記録適性評価について
◎:すべての印字サンプルにおいて、均一なベタ印字でも細線部でも吐出不良が無い
○:ベタ印字でやや均一性に欠けるが、細線部では吐出不良がない
△:ベタ印字で均一性が劣り、細線部では吐出不良は無いが、印字位置ずれが見られる。
×:ベタ印字で吐出不良による印字ムラが見られ、細線部でも吐出不良による印字欠けが一部見られる。
××:吐出不良が多発する。
同様に、得られた加熱試験前のインク組成物をピエゾジェット方式のエプソン社製EM-900Cのブラックペンに搭載し、印字試験を実施した。
具体的には、A4の用紙にベタ印字と中間調印字及び細線印字を行い、インクの吐出状態を観察したが、実施例、比較例ともに特に問題は認められなかった。
(顔料形状の観察)
本発明において、顔料の一次粒子の形状観察は、少量の顔料を溶媒に超音波で分散させてから、液滴を資料台平面に置き、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡にて視野内を撮影してから、二次元画像上の凝集体を構成する顔料一次粒子の20個につき、粒子毎に長軸径と短軸径を測定し、粒子毎に長軸径を短軸径で除した数値の平均値をアスペクト比とした。また長軸径の平均値を一次粒子の平均粒子径とした。
結果を表2、表3に示す。
(表2)
Figure 2007119774
(表3)
Figure 2007119774
表2及び表3から明らかなように、本発明の水性顔料分散液から製造したインクジェット記録用インク組成物は、加熱試験前後の粒径変化率と粘度変化率が小さく、優れた分散安定性を示すことが分かる。加熱試験後の体積平均粒径が150nm以下、加熱試験後の粘度が4.00mPa・sec以下であれば、サーマルジェット方式のインクジェット記録用インク組成物として使用可能と考えられるが、それぞれ130nm以下、3.50mPa・sec以下であることが実使用上さらに好ましい。また、インクジェット記録適性も優れており、インク吐出信頼性も高いことが分かる。表1、表2、表3から、スチレンアクリル系樹脂の分子量が7500未満となると、インクジェット記録用インク組成物の高温保存安定性が低下する傾向があることが推察され(実施例5)、また同様にキナクリドン系顔料(a)と、キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)との合計100質量部に対するスチレンアクリル系樹脂(b)の使用量が5質量部を下回ると、インクジェット記録用インク組成物の高温保存安定性が低下する傾向があることが推察される。
(実施例7)
顔料粒子の粒径とアスペクト比(長軸方向径と短軸方向径の比)のインク組成物の安定性への影響を確認するために、比較例1から3で用いたM2顔料(ファストゲンスーパーマゼンタRTS、大日本インキ化学工業(株)社製)に食塩及びジエチレングリコールを用いて以下の方法によりソルトミリング処理を行った。
ファーストゲンスーパーマゼンタRTS(大日本インキ化学工業社製) 500部
粉砕塩(食塩) 3500部
ジエチレングリコール 1000部
上記原料を混合し、10リットル双腕ニーダーにより、80〜90℃にて8時間ミリングを施して、顔料を粉砕し微細化顔料M3を得た。ソフトミリングによって粒径が30〜150nmの範囲となり、かつ長軸方向と短軸方向の比が1.0〜2.0の範囲となったM3顔料を用いて表4の配合のもとに、基本的に実施例1と同様の方法で水性顔料分散液J−2を作製し、実施例1から6及び比較例1から3と同様にサーマルジェット方式のインクジェットプリンターを用いて評価を実施した。水性顔料分散液の評価結果を表4に示す。またインク組成物の評価結果を表5及び表6に示す
(比較例4)
M2顔料を用い、表4に示す配合を用いた以外は実施例7と同様にして水性顔料分散液K−2を作製して、同様の評価を実施した。分散液の評価結果は表4に、インク組成物の評価結果は表5及び表6に示す。
(表4)
Figure 2007119774
(表5)
Figure 2007119774
(表6)
Figure 2007119774
なおここで評価に用いた目視用の基準は表3における基準と同様である。
同様に、得られた加熱試験前のインク組成物をピエゾジェット方式のエプソン社製EM-900Cのブラックペンに搭載し、印字試験を実施した。
具体的には、A4の用紙にベタ印字と中間調印字及び細線印字を行い、インクの吐出状態を観察したが、実施例7、比較例4ともに特に問題は認められなかった。
同種の顔料を用いた実施例7、比較例4の特性を示す表5及び表6から明らかなように、その顔料の形状がインクジェット記録用インク組成物の特性に影響を与える。本発明で規定した範囲の長軸方向径と短軸方向径を有する形状のキナクリドン系顔料を用い、かつ本願発明で規定したスチレンアクリル系樹脂、及び分散助剤を用いた水性顔料分散液から製造したインクジェット記録用インク組成物は、加熱試験前後の粒径変化率と粘度変化率が小さく、優れた分散安定性を示し、サーマルジェットプリンター用のインクジェット記録用インク組成物として良好な特性を示すことが分かる。


Claims (8)

  1. キナクリドン系顔料(a)、スチレンアクリル系樹脂(b)、及びキナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)を含有し、前記スチレンアクリル系樹脂が、
    (i)酸価50〜300、
    (ii)重量平均分子量7500〜40000、および
    (iii)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマー単位と、アクリル酸モノマー単位及びメタクリル酸モノマー単位を含有する水性顔料分散液であって、前記キナクリドン系顔料は一次粒子の平均粒子径が
    (i)30〜150nmの範囲であり
    (ii)且つ長軸方向径と短軸方向径の比が1.0〜2.0の範囲であることを特徴とするインクジェット記録用水性顔料分散液。
  2. 前記キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)が式(I)
    Figure 2007119774
    式I

    {式中、R1〜R10は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は式II
    Figure 2007119774
    式II
    (式中、R11は炭素数1〜8個のアルキレン基若しくはアルケニレン基、R12〜R15は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基若しくはアルコキシ基、又はフェニル基を表す。)
    で表される基であり、R1〜R10の少なくとも一つは前記式IIで表される基である。}
    で表される化合物(d)を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェエト記録用水性顔料分散液。
  3. 前記式(I)で表される化合物(d)がフタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドンである請求項2に記載のインクジェット記録用水性顔料分散液。
  4. 前記スチレン系モノマー単位、アクリル酸モノマー単位、及びメタクリル酸モノマー単位の総和が、全モノマー成分の総和の95質量%以上である請求項1から3いずれか1項に記載のインクジェット記録用水性顔料分散液。
  5. 前記インクジェット記録用水性顔料分散液がさらに塩基性化合物を含有する請求項1〜4に記載のインクジェット記録用水性顔料分散液。
  6. 請求項1から5いずれか1項に記載の水性顔料分散液を主成分として含有するインクジェット記録用インク組成物。
  7. キナクリドン系顔料(a)、スチレンアクリル系樹脂(b)、及びキナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)を含有する混合物を混練して着色混練物を得る第1の工程と、
    前記第1の工程に次いで前記着色混練物を水性媒体中に分散させる第2の工程を有し、
    前記スチレンアクリル系樹脂が、
    (i)酸価50〜300、
    (ii)重量平均分子量7500〜40000、および
    (iii)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマー単位と、アクリル酸モノマー単位及びメタクリル酸モノマー単位を含有する水性顔料分散液の製造方法であって、前記キナクリドン系顔料は一次粒子の平均粒子径が
    (i)30〜150nmの範囲であり
    (ii)且つ長軸方向径と短軸方向径の比が1.0〜2.0の範囲であることを特徴とするインクジェット記録用水性顔料分散液の製造方法。
  8. 前記キナクリドン系顔料誘導体からなる分散助剤(c)が式(I)
    Figure 2007119774
    式I

    {式中、R1〜R10は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は式II
    Figure 2007119774
    式II
    (式中、R11は炭素数1〜8個のアルキレン基若しくはアルケニレン基、R12〜R15は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基若しくはアルコキシ基、又はフェニル基を表す。)で表される基であり、R1〜R10の少なくとも一つは前記式IIで表される基である。}
    で表される化合物(d)を含有することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録用水性顔料分散液の製造方法。

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