JP2004352932A - 水性顔料分散液及びインクジェット記録用インク組成物 - Google Patents

水性顔料分散液及びインクジェット記録用インク組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】分散性及び分散安定性に優れ、高温度下長期間放置でも粒径の増大や粘度上昇が少なく、保存安定性に優れ、且つ高い画像濃度を得られる水性顔料分散液及びインク組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも(a)キナクリドン系顔料、(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物、(c)スチレンアクリル系樹脂、(d)アルカリ金属水酸化物、(e)湿潤剤、(f)水からなる水性顔料分散液において、前記(a)と前記(b)との合計に占める該(b)の割合が1〜20質量%であり、前記(c)はその構成モノマーとして少なくともスチレン、アクリル酸、メタクリル酸からなり、スチレンモノマー成分の全モノマー成分に対する割合が60質量%以上であり、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸の各モノマー成分の和が全モノマー成分に対して95質量%以上であり、且つ該樹脂の重量平均分子量が7,500〜30,000である水性顔料分散液及びこれを用いたインク組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キナクリドン系顔料を用いた水性顔料分散液及び該顔料分散液を用いたインクジェット記録用インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性インクは、油性インクのような、火災の危険性や変異原性などの毒性が皆無か、より低減できるという優れた特徴を有していることから、産業用途以外のインクジェット記録用インクとしては、主溶剤として水を用いる水性インクがインクジェット記録の主流となっている。
【0003】
インクジェット記録に用いられるインクに必要な特性としては、(1)記録媒体上に滲みのない高解像度、高濃度で均一な画像が得られること、(2)ノズル先端において、インクの乾燥による目詰まりが発生せず吐出安定性が良好であること、(3)記録媒体上でのインクの乾燥性が良好であること、(4)画像の堅牢性が良好であること、(5)長期保存安定性が良好であること、等が挙げられる。
【0004】
従来より、インクジェット記録用水性インクとしては、溶解安定性が高く、ノズル目詰まりが少なく良好な発色性を有し高画質の印刷を可能とすることから、着色剤として染料が用いられてきたが、染料は、画像の耐水性、耐光性に劣るという問題があった。
【0005】
この問題を解決するため、染料から顔料への転換が活発に図られている。顔料インクは優れた耐水性、耐光性が期待できるが、顔料の凝集・沈降に伴うノズル目詰まりが問題となる。そこで、高分子系の分散剤を用いて顔料を水性媒体中に分散させる方法が検討されているが、長期間にわたって顔料を安定に分散させることは困難であり、長期保存安定性に優れた顔料分散系水性インクジェット記録用インクが待望されている。
又、従来、特にマゼンタ色の顔料分散系水性インクジェット記録用インクの長期保存安定性を確保することが困難であった。
【0006】
本出願人は、このような状況に鑑み、先にキナクリドン系顔料と、フタルイミドメチル化キナクリドン系化合物或いはさらにキナクリドンスルホン酸系化合物、並びにガラス転移点が−20〜60℃のアニオン性基含有有機高分子化合物を含有する水性顔料分散体を提案した(例えば、特許文献1参照。)。
この水性顔料分散体は分散性及び分散安定性に優れ、高温度での長期間放置でも粒径の増大が少なく、粘度上昇が少なく低粘度域に維持でき、印字性も優れたものである。
【0007】
一方、インクジェット記録用のインクは、色材濃度の高い水性顔料分散液に、保湿剤、浸透剤、粘度調製剤、pH調製剤、防かび剤などの種々の添加剤を加えることによって調製され、水性顔料分散液と同様に長期の保存安定性が要求される。
さらに、インクジェット記録用インクは記録媒体上に記録を行った際に、滲みのない高解像度、高濃度で均一な画像が得られることが必要であって、特に記録媒体として専用の受理層を有しない、いわゆる普通紙を用いた際に滲みが発生せず、画像の解像性が低下しないことが重要である。
このため記録媒体として普通紙を用いた際には、高い画像濃度を得るための方法として、インク中の色材濃度を多くする方法が採られることがある。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−191974号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらインク中の色材濃度を多くすると、インクとしての保存安定性が低下する傾向があり、測定粒径の増大や粘度上昇が顕著となる。これは、インク中の色材濃度が増加することによって、色材粒子同士の衝突確率が増加することが原因と推測される。
そこで、保存安定性に優れ且つより高い画像濃度を得ることができるインク及びそのようなインクを作製することのできる水性顔料分散液の提供を可能とすることが求められていた。
したがって、本発明は、分散性及び分散安定性に優れ、高温での長期放置でも粒径の増大が少なく、且つ、粘度上昇も少ない保存安定性に優れると共に普通紙に記録する際に、高濃度な画像が得られるインクジェット記録用インク組成物、さらにそのようなインク組成物を作製することが可能な水性顔料分散液を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこの課題に関し鋭意検討の結果、(a)キナクリドン系顔料、(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物及び特定の構成の(c)スチレンアクリル系樹脂の組み合わせにより、上記課題を達成しうることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、少なくとも(a)キナクリドン系顔料、(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物、及び少なくともスチレン、アクリル酸、メタクリル酸を構成モノマーとし、且つ構成モノマー組成比において、スチレンモノマー成分の全モノマー成分に対する割合が60質量%以上であり、スチレンモノマー成分とアクリル酸モノマー成分とメタクリル酸モノマー成分の和が全モノマー成分に対して95質量%以上であり、且つ該樹脂の重量平均分子量が7,500〜30,000である(c)スチレンアクリル系樹脂、(d)アルカリ金属水酸化物、(e)湿潤剤、(f)水からなる水性顔料分散液にあり、さらに該水性顔料分散液を用いてなるインクジェット記録用インク組成物の提供することにある。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(a)キナクリドン系顔料としては、公知慣用のものがいずれも使用でき、具体例としては、C.I.ピグメントレッド122等のジメチルキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド202、同レッド209等のジクロロキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット19等の無置換キナクリドン、及びこれらの顔料から選ばれる少なくとも2種以上の顔料の混合物もしくは固溶体を挙げることができる。顔料は粉末状、顆粒状あるいは塊状の乾燥顔料でもよく、ウエットケーキやスラリーでもよい。
上記キナクリドン系顔料の中では、C.I.ピグメントレッド122が好ましく用いられる。
【0013】
本発明において用いられる(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物は、置換基を有するキナクリドン系化合物であって、その置換基の構成の一部にフタルイミド骨格が含まれるものであり、その好ましい具体例として、フタルイミドメチル化キナクリドン系化合物を示すことができ、特にフタルイミド化メチル−3,10−ジクロロキナクリドンであることが好ましい。
この(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物は本発明の水性顔料分散液中における(a)キナクリドン顔料の分散安定性を改良する分散助剤として用いることが好ましい。
【0014】
(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物における1分子当たりの平均フタルイミド骨格数は1〜2個程度が好ましく、特に、1〜1.5個程度であることがより好ましい。該骨格数が少なすぎると、この(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物の併用の効果が発現されにくく、該骨格数が多すぎる場合は、滲みなど、記録液としての特性を低下させる可能性がある。
【0015】
この(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物は、例えば、これがフタルイミドメチル化キナクリドン系化合物の場合は、無置換キナクリドン、ジメチルキナクリドン、ジクロロキナクリドン等とフタルイミド及びホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデヒドとを濃硫酸中で反応させることにより合成することができる。
本発明においては、(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物は、(a)キナクリドン系顔料には含まれないものとする。
【0016】
本発明において、(a)キナクリドン系顔料と、(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物との合計に占める該(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物の割合が、1〜20質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましい。
該(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物の割合が、1質量%未満であると、併用する効果が発現されにくく、20質量%を超えると分散液及びインクジェット記録用インク組成物の保存安定性が極度に低下する。
【0017】
本発明において用いられる(c)スチレンアクリル系樹脂は、その構成モノマーとして少なくともスチレン、アクリル酸、メタクリル酸からなり、該樹脂構成モノマー組成比において、スチレンモノマー成分の全モノマー成分に対する割合が60質量%以上であり、スチレンモノマー成分とアクリル酸モノマー成分とメタクリル酸モノマー成分の和が全モノマー成分に対して95質量%以上であり、且つ該樹脂の重量平均分子量が7,500〜30,000の範囲のものである。
なお、ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル・浸透・クロマトグラフィー)法で測定される値とする。
【0018】
該(c)スチレンアクリル系樹脂の構成モノマー組成において、スチレンモノマー成分量は全モノマー成分に対して60質量%以上であり、好ましくは90質量%以下である。スチレンモノマー成分量が60質量%未満であると、(a)キナクリドン系顔料への(c)スチレンアクリル系樹脂の親和性が不充分となり、分散安定性が低下する傾向があり、又得られるインクジェット記録用インク組成物を用いた普通紙記録特性が劣化し、画像記録濃度が低下する傾向があり、耐水特性も低下する傾向がある。スチレン成分量が90質量%より多いと、(c)スチレンアクリル系樹脂の水性媒体に対する溶解性が低下し、水性顔料分散液における顔料の分散性や分散安定性が低下する傾向にあり、インクジェット記録用インクに適用した場合の印字安定性が低下する傾向にある。
【0019】
(c)スチレンアクリル系樹脂はその構成モノマーとして、少なくともスチレン、アクリル酸、メタクリル酸を含んでなるが、アクリル酸とメタクリル酸を併用することによって、樹脂合成時の共重合性が向上して、樹脂の均一性がよくなるという効果がある。
【0020】
(c)スチレンアクリル系樹脂には、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸以外のこれらのモノマーと重合可能なモノマーが成分量として5質量%未満含まれていても良い。このようなモノマーの例としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;2−エトキシエチルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−エトキシブチルアクリレート、3−エトキシブチルアクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、メチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレートのような(メタ)アクリル酸エステル誘導体;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸アリールエステル類及び(メタ)アクリル酸アラルキルエステル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ビスフェノールAのような多価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのようなマレイン酸ジアルキルエステル等を挙げることができる。これらのモノマーはその1種又は2種以上をモノマー成分として添加することができる。
【0021】
本発明において用いられる(c)スチレンアクリル系樹脂の重量平均分子量は7,500〜30,000の範囲内にあることが好ましく、10,000〜25,000の範囲内にあることがより好ましい。重量平均分子量が7,500未満であると、(a)キナクリドン系顔料の初期の分散小粒径化は容易であるが、分散液の長期保存安定性が悪くなる傾向にあり、顔料の凝集などによる沈降が発生する場合がある。
(c)スチレンアクリル系樹脂の重量平均分子量が30,000を超えると、これを用いた水性顔料分散液から調製したインクジェット記録用インクの粘度が高くなって、インクの吐出安定性が不安定になる傾向にある。
【0022】
本発明において用いられる(c)スチレンアクリル系樹脂はランダム共重合体でもよいが、グラフト共重合体であっても良い。グラフト共重合体としてはポリスチレンあるいはスチレンと共重合可能な非イオン性モノマーとスチレンとの共重合体が幹又は枝となり、アクリル酸、メタクリル酸とスチレンを含む他のモノマーとの共重合体を枝又は幹とするグラフト共重合体をその一例として示すことができる。(c)スチレンアクリル系樹脂は、このグラフト共重合体とランダム共重合体の混合物であってもよい。
【0023】
本発明の水性顔料分散液において、(a)キナクリドン系顔料と、(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物との合計100質量部に対する、(c)スチレンアクリル系樹脂の含有量は10〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましい。(c)スチレンアクリル系樹脂の含有量が10質量部未満であると、水性顔料分散液の分散安定性が低下するとともに水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用インクにしたとき、耐摩擦性が低下する傾向にあり、50質量部を超えた場合は、インクジェット記録用インクの粘度が高くなりすぎる傾向が認められる。
【0024】
本発明において用いられる(d)アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を例示でき、特に水酸化カリウムが好ましい。また、(d)アルカリ金属水酸化物の添加量は、(c)スチレンアクリル系樹脂の酸価に基づき、中和率として80〜120%となる範囲である。
【0025】
本発明において用いられる(e)湿潤剤としては公知慣用のものが使用でき、例えばグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,2,6−へキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類、1,3−ジメチルイミダゾリジン等が挙げられる。
【0026】
本発明の水性顔料分散液における(e)湿潤剤の含有量は、3〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。この下限未満では、乾燥防止効果が不充分となる傾向にあり、上記上限を超えると、分散液の分散安定性が低下する傾向にある。
【0027】
本発明の水性顔料分散液を調製する方法としては、下記の方法を採用することができる。
(1) (c)スチレンアクリル系樹脂、(d)アルカリ金属水酸化物、(e)湿潤剤及び(f)水からなる水性媒体に、(a)キナクリドン系顔料、(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物を添加した後、攪拌・分散装置を用いて(a)キナクリドン系顔料を該水性媒体中に分散させることにより、水性顔料分散液を調製する方法。
(2) (a)キナクリドン系顔料、(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物、及び(c)スチレンアクリル系樹脂を2本ロール、ミキサー等の混練機を用いて混練し、得られた混練物を(f)水と(d)アルカリ金属水酸化物、(e)湿潤剤を含む水性媒体中に添加し、攪拌・分散装置を用いて水性顔料分散液を調製する方法。
(3) メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等のような水と相溶性を有する有機溶剤中に(c)スチレンアクリル系樹脂を溶解して得られた溶液に、(a)キナクリドン系顔料、(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物を添加した後、攪拌・分散装置を用いて(a)キナクリドン系顔料を有機溶液中に分散させ、次いで、(d)アルカリ金属水酸化物を含む水性媒体を用いて転相乳化させた後、前記有機溶剤を留去し水性顔料分散液を調製する方法。
【0028】
攪拌・分散装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザー等を挙げることができ、これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、前記水性顔料分散液を用いて、常法により調製することができる。
本発明の水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用インク組成物を調製する場合、改善目的や調整に応じた下記の(i)〜(v)の処理や添加剤の使用ができる。
(i) 粗大粒子が、ノズル詰まり、その他の画像特性を劣化させる原因になるため、インク調製後に、遠心分離、あるいは濾過処理等により粗大粒子を除去することが好ましい。
(ii) インクの乾燥防止を目的として、先に例示した(e)湿潤剤を同様に添加することができる。乾燥防止を目的とする(e)湿潤剤のインク中の含有量は3〜50質量%であることが好ましい。
【0030】
(iii) 被記録媒体への浸透性改良や記録媒体上でのドット径調整を目的として浸透剤を添加することができる。
浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
インク中の浸透剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。
【0031】
(iv) 表面張力等のインク特性を調整するために、界面活性剤を添加することができる。このために添加することのできる界面活性剤は特に限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらの中では、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0032】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
【0033】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、等を挙げることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
【0034】
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。
【0035】
これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、又2種類以上を混合して用いることもできる。
また、界面活性剤の溶解安定性等を考慮すると、そのHLBは、7〜20の範囲であることが好ましい。
界面活性剤を添加する場合は、その添加量はインクの全質量に対し、0.001〜1質量%の範囲が好ましく、0.001〜0.5質量%であることがより好ましく、0.01〜0.2質量%の範囲であることがさらに好ましい。界面活性剤の添加量が0.001質量%未満の場合は、界面活性剤添加の効果が得られない傾向にあり、1質量%を超えて用いると、画像が滲むなどの問題を生じやすくなる。
【0036】
(v) 必要に応じて防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等をも添加することができる。
【0037】
本発明の水性顔料分散液に占める、(a)キナクリドン系顔料の量は5〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。(a)キナクリドン系顔料の量が5質量%より少ない場合は、本発明の水性顔料分散液から調製したインクジェット記録用インクの着色が不充分であり、充分な画像濃度が得られない傾向にある。また、逆に25質量%よりも多い場合は、水性顔料分散液において顔料の分散安定性が低下する傾向がある。
本発明の水性顔料分散液から調製するインクジェット記録用インク組成物に占める、(a)キナクリドン系顔料の量は、充分な画像濃度を得る必要性と、インク中での顔料の分散安定性を確保するために、2〜10質量%であることが好ましい。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
以下の合成例、実施例、比較例において、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を示す。
【0039】
<合成例1>
撹拌装置、滴下装置、還流装置を有する反応容器にメチルエチルケトン100部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら加温し、メチルエチルケトン還流状態とした後、滴下装置からスチレン77部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び重合触媒 (和光純薬工業社製/「V−59」)8部の混合液を2時間かけて滴下した。なお滴下の途中より、反応系の温度を80℃に保った。
滴下終了後、同温度でさらに20時間反応を続けた。なお、反応の途中において、原料の消費状況を確認しながら、適宜、重合触媒を追加した。反応終了後、放冷しメチルエチルケトンを加えて固形分濃度50%のアニオン性基を有するスチレンアクリル系樹脂(A−1)の溶液を得た。このスチレンアクリル系樹脂(A−1)は酸価140mgKOH/g、ガラス転移点107℃(計算値)、重量平均分子量7,300であった。
なお、本発明における重量平均分子量は、GPC(ゲル・浸透・クロマトグラフィー)法で測定される値とする。
【0040】
<合成例2>
重合触媒を5部とした以外は合成例1と同様にして、酸価148mgKOH/g、ガラス転移点107℃(計算値)、重量平均分子量11,000のアニオン性基を有するスチレンアクリル系樹脂(A−2)を固形分濃度として50%含む溶液を得た。
【0041】
<合成例3>
スチレン25部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部、メタクリル酸メチル52部及び重合触媒6部とした以外は合成例1と同様にして、酸価139mgKOH/g、ガラス転移点110℃(計算値)、重量平均分子量12,000のアニオン性基を有するスチレンアクリル系樹脂(A−3)を固形分濃度として50%含む溶液を得た。
【0042】
<合成例4>
スチレン73部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部、片末端にメタクリロイル基を有するスチレン共重合体マクロモノマー(東亞合成化学社製/「AS−6S」)を固形分として4部及び重合触媒5部とした以外は合成例1と同様にして、酸価139mgKOH/g、ガラス転移点107℃(計算値)、重量平均分子量10,500のアニオン性基を有するグラフト型スチレンアクリル系樹脂(A−4)を固形分濃度として50%含む溶液を得た。
【0043】
<合成例5>
スチレン50部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部、アクリル酸ブチル27部及び重合触媒4部とした以外は合成例1と同様にして、酸価154mgKOH/g、ガラス転移点45℃(計算値)、重量平均分子量12,000のアニオン性基を有するスチレンアクリル系樹脂(A−5)を固形分濃度として50%含む溶液を得た。
【0044】
<合成例6>
アクリル酸10部、メタクリル酸13部、メタクリル酸メチル50部、アクリル酸ブチル27部及び重合触媒10部とした以外は合成例1と同様にして、酸価138mgKOH/g、ガラス転移点46℃(計算値)、重量平均分子量12,000のアニオン性基を有するスチレンアクリル系樹脂(A−6)を固形分濃度として50%含む溶液を得た。
【0045】
<実施例1>
〈顔料水性分散液 C−1の調製〉
合成例1で得られたスチレンアクリル系樹脂(A−1)を固形分濃度として50%含むメチルエチルケトン溶液100gを攪拌しながら、この溶液に市販の1規定KOH水溶液125mlとイオン交換水75mlとの混合液を添加し、スチレンアクリル系樹脂(A−1)を中和した。減圧下でメチルエチルケトンを留去した後、イオン交換水を加えて固形分濃度20%の、スチレンアクリル系樹脂(A−1)を含む水溶液(B−1)を得た。
次に、容量250mlの容器に下記の組成の仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用い、4時間かけて分散処理を行った。分散処理終了後、更にイオン交換水11.5部を加えた後、ジルコニアビーズを濾別し、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−1)を得た。
Figure 2004352932
【0046】
<実施例2>
〈顔料水性分散液 C−2の調製〉
合成例2で得られたスチレンアクリル系樹脂(A−2)を固形分濃度として50%含むメチルエチルケトン溶液100gに、1規定KOH水溶液132mlとイオン交換水68mlとの混合液を加えた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度20%のスチレンアクリル系樹脂(A−2)を含む水溶液(B−2)を得た。
次に、樹脂水溶液として(B−2)を用いた以外は実施例1と同様にして分散処理を行い、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−2)を得た。
【0047】
<実施例3>
〈顔料水性分散液 C−3の調製〉
実施例2で得られたスチレンアクリル系樹脂(A−2)を含む水溶液(B−2)を用い、下記の組成を仕込んで実施例1と同様に分散処理を行い、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−3)を得た。
Figure 2004352932
【0048】
<実施例4>
〈顔料水性分散液 C−4の調製〉
実施例2で得られたスチレンアクリル系樹脂(A−2)を含む水溶液(B−2)を用い、下記の組成を仕込んで実施例1と同様に分散処理を行い、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−4)を得た。
Figure 2004352932
【0049】
<実施例5>
〈顔料水性分散液 C−5の調製〉
合成例4で得られたスチレンアクリル系樹脂(A−4)を固形分濃度として50%含むメチルエチルケトン溶液100gに、1規定KOH水溶液124mlとイオン交換水76mlとの混合液を添加した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度20%のスチレンアクリル系樹脂(A−4)を含む水溶液(B−4)を得た。
次に、樹脂水溶液として(B−4)を用いた以外は実施例1と同様にして分散処理を行い、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−5)を得た。
【0050】
<比較例1>
〈顔料水性分散液 C−6の調製〉
合成例5で得られたスチレンアクリル系樹脂(A−5)を固形分濃度として50%含むメチルエチルケトン溶液100gに、1規定KOH水溶液137mlとイオン交換水63mlの混合液を添加した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度20%のスチレンアクリル系樹脂(A−5)を含む水溶液(B−5)を得た。
次に、樹脂水溶液として(B−5)を用いた以外は実施例1と同様にして分散処理を行い、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−6)を得た。
【0051】
<比較例2>
〈顔料水性分散液 C−7の調製〉
合成例6で得られたスチレンアクリル系樹脂(A−6)を固形分濃度として50%含むメチルエチルケトン溶液100gに、1規定KOH水溶液123mlとイオン交換水63mlとの混合液を添加した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度20%のスチレンアクリル系樹脂(A−6)を含む水溶液(B−6)を得た。
次に、樹脂水溶液として(B−6)を用いた以外は実施例1と同様にして分散処理を行い、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−7)を得た。
【0052】
<比較例3>
〈顔料水性分散液 C−8の調製〉
実施例1で得られたスチレンアクリル系樹脂(A−1)を含む水溶液(B−1)を用い、下記の組成のものを用いた以外は実施例1と同様にして分散処理を行い、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−8)を得た。
Figure 2004352932
【0053】
<比較例4>
〈顔料水性分散液 C−9の調製〉
合成例3で得られたスチレンアクリル系樹脂(A−3)を固形分濃度として50%含むメチルエチルケトン溶液100gと、1規定KOH水溶液124mlとイオン交換水76mlとの混合液を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度20%のスチレンアクリル系樹脂(A−3)を含む水溶液(B−3)を得た。
次に、樹脂水溶液として(B−3)を用いた以外は実施例1と同様にして分散処理を行い、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−9)を得た。
【0054】
<安定性評価>
各実施例、比較例で得た水性顔料分散液を60℃の温度条件下で1週間静置し、静置前後の粒径、粘度と静置後の凝集物の発生状態を調べ、静置前後の粒径、粘度の変化率、凝集物の発生の有無を安定性の指標として評価した。結果を以下の表1に示す。なお、粒径は「マイクロトラックUPA150」(リージ・アンド・ノースラップ(Leeds & Northrup)社製)を用い、体積平均粒径を水性分散体の粒径として測定した。粘度はE型粘度計(TVE−20L、トキメック社製)を用いて25℃にて測定した。
【0055】
<インクジェット記録用インク適性の評価(1)>
各実施例、比較例で得られた水性顔料分散体を用いて、以下の配合によりインクジェット記録用インクを調製した。
水性顔料分散液 27.6部
ジエチレングリコール 2.0部
サンニックス GP−600 (三洋化成社製) 5.0部
グリセリン 3.0部
イオン交換水 62.4部
調製したインクを孔径5μmのメンブランフィルターを用いて濾過した後、インクジェットプリンター「ノバ・ジェット (NOVA Jet) PRO36」(ENCAD社製)に搭載し、インクジェット記録適性の評価、すなわち、A0サイズ用紙の80%面積範囲に100%画像濃度の連続印字を行い、印字前後のインク吐出特性を評価した。
記録適性(1)の評価基準:
○:吐出不良が観察されなかった。
△:連続印字後、インク吐出方向異常が認められたが、印字濃度むらは認められなかった。
×:連続印字後、印字濃度むらが認められ、極端な印字濃度低下が観察された。
【0056】
<インクジェット記録用インク適性の評価(2)>
インクジェット記録用インキ適性の評価(1)で調製したインクを、インクジェットプリンター「hpデスクジェット957C」(Hewlett−Packard社製)のブラックカートリッジ位置に搭載し、記録媒体として普通紙「Xerox 4024」(Xerox社製)を用いて、100%画像濃度の記録を行い、得られた画像の濃度を「Spectroscan」(GretagMacbeth社製)で測定した。
記録適性(2)画像濃度の評価基準:測定値0.95以上であれば実施用上問題の無いレベルと判断できる。
【0057】
なお、記録適性(1)、記録適性(2)画像濃度ともに、顔料濃度4%の条件で測定した時の評価結果である。
評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 2004352932
【0059】
表1から明らかなように、本発明の水性顔料分散液は、分散性に優れ、高温度での長期間放置でも粒径の増大が少なく、60℃条件下7日間の放置後の粒径の変化率が10%以下であり、また、同様に本発明の水性顔料分散液は粘度上昇が少なく、60℃条件下7日間の放置後の粘度の変化率が5%以下であり、且つ本発明の水性顔料分散液を用いて調製したインクジェット記録用インクはインクジェット記録適性に問題が認められないと同時に、普通紙上に記録を行った際に高い画像濃度が得られることが分かる。
これに対して、本発明の範囲外の水性顔料分散液では、60℃条件下7日間の放置後の粒径の変化率が10%を超えたり、60℃条件下7日間の放置後の粘度の変化率が5%を超えたりするか、あるいは本発明範囲外の水性顔料分散液を用いて調製したインクジェット記録用インクでは、インクジェット記録適性に問題が認められるか、または普通紙上に記録を行った際に画像濃度の低下が認められ、何らかの問題が存在する。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、本発明の水性顔料分散液は、保存安定性に優れ、これを用いてなるインクジェット記録用インクは、ノズル先端において、インクの乾燥による目詰まりが発生せず吐出安定性が良好であり、長期保存安定性が良好であり、普通紙上で高い画像濃度を得ることができるという特徴を有する。

Claims (6)

  1. 少なくとも(a)キナクリドン系顔料、(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物、(c)スチレンアクリル系樹脂、(d)アルカリ金属水酸化物、(e)湿潤剤、(f)水からなるインクジェットインク用水性顔料分散液において、前記(a)キナクリドン系顔料と、前記(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物との合計に占める該(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物の割合が1〜20質量%であり、前記(c)スチレンアクリル系樹脂は、その構成モノマーとして少なくともスチレン、アクリル酸、メタクリル酸からなり、スチレンモノマー成分の全モノマー成分に対する割合が60質量%以上であり、スチレンモノマー成分とアクリル酸モノマー成分とメタクリル酸モノマー成分の和が全モノマー成分に対して95質量%以上であり、かつ該樹脂の重量平均分子量が7,500〜30,000の範囲であることを特徴とする水性顔料分散液。
  2. 前記(b)フタルイミド骨格を含む置換基を有するキナクリドン系化合物が、フタルイミド化メチル−3,10−ジクロロキナクリドンである請求項1記載の水性顔料分散液。
  3. 前記(a)キナクリドン系顔料が、C.I.ピグメントレッド122である請求項1又は2に記載の水性顔料分散液。
  4. 前記(d)アルカリ金属水酸化物による前記(c)スチレンアクリル系樹脂の中和率が、80〜120%の範囲にある請求項1〜3に記載の水性顔料分散液。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の水性顔料分散液を用いてなるインクジェット記録用インク組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の水性顔料分散液を用いてなるサーマルインクジェット記録用インク組成物。
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