JP2007112710A - 導電膜付きガラス板およびこれを用いたガラス物品 - Google Patents

導電膜付きガラス板およびこれを用いたガラス物品 Download PDF

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Abstract

【課題】高透過であって低コストで量産できる導電膜付きガラス板を提供する。
【解決手段】シリカを主成分とし、着色成分として、重量%で表示して、0.02〜0.06%(0.06%を含まず)のFe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23)、0.024%より少ないFeO、および0〜0.5%のCeOを含有し、0.02〜0.2%(0.2%を含まず)のTiO2を含有し、且つFe23に換算したFeOのT−Fe23に対する割合が40%未満である組成からなり、3.2mmの厚みにおいて、日射透過率が87.5%以上、C光源を用いて測定した可視光透過率が90%以上であるガラス板が、互いに平行な一対の主表面を有し、主表面の一方に3層構造の透明導電膜が形成され、主表面の他方に反射抑制膜が形成されており、反射抑制膜が急冷工程を含む方法により形成され、ガラス板が前記急冷工程により強化されている導電膜付きガラス板とする。
【選択図】図8

Description

本発明は、ガラス板の表面上に透明導電膜を形成した導電膜付きガラス板に関するものであり、さらに、太陽電池などの光電変換素子、複層ガラス、冷蔵庫、情報表示機器、複写機などの導電膜付きガラス板を利用したガラス物品に関するものである。
透明導電膜を形成したガラス板は、様々な分野で利用されている。例えば、建築用窓ガラスの分野では、低放射ガラス(Low−Eガラス)としての需要が拡大している。この分野では、電磁波を遮蔽するために、ガラス板の表面に導電膜が形成される場合もある。導電膜付きガラス板は、太陽電池の基板としても利用されている。また、液晶表示ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)などの情報表示機器の基幹部品としても供給されている。導電膜付きガラス板は、店舗用冷蔵庫の扉板や複写機の原稿台としても利用されている。
これら多岐にわたる用途において、一般に、導電膜付きガラス板には高い光線透過率が求められている。例えば、太陽電池においては、光電変換素子の変換効率が高い波長領域において透過率が高いことが求められる。各種窓ガラスにおいても、透明導電膜の形成による可視光透過率の低下を補うことが望まれている。
上記要望に対しては、基板とするガラス板を淡色で高透過率のガラスとする対策が考えられる。このような高透過ガラスは、純度の高い原料を用いて、鉄分を通常のソーダ石灰系ガラスよりも極度に低減することにより製造することができる。
例えば、特開平4−228450号公報に開示されたガラスは、着色成分として、重量%で表示して0.02%より少ないFe23換算の全酸化鉄を含有し、この全酸化鉄に対するFeOの比率を少なくとも0.4とした組成を有する。このガラスによれば、5.66mmの厚さで少なくとも87%の可視光透過率(照明C)を得ることができる。このガラス板は、専ら家具用に開発され、純粋で明るい青空(azure)色の色調を提供する。
上記公報に開示されたガラスの原料としては、炭酸カルシウム鉱物であるアラゴナイトや水和アルミニウムが使用される。このような特殊な原料を用いるのは、不純物として鉄分が混入することを防止するためである。また、上記ガラスは、SO3含有量が少ないバッチ組成から製造される点、溶融操作を別々とした液化段階、清澄段階を含む方法により製造される点にも特徴を有する。
また、特開平4−228451号公報に開示されたガラスの組成は、上記と同様、低い全酸化鉄を含有し、さらに微量のSeおよびCoOを含んでいる。このガラスは、570〜590nmに主たる透過波長を有し、木調と調和する外観を提供する。このガラスも、やはり専ら家具用として開発されたものである。
特開平4−228451号公報に開示されたガラスも、特開平4−228450号公報に開示されたガラスと同様、Fe23として表示する全酸化鉄を重量%で表示して0.02%未満とするために、不純物として比較的多量の酸化鉄を含有する石灰石やドロマイトを使用することができない。このため、上記炭酸カルシウム鉱物のような特殊な原料が必要となり、その結果得られるガラスが高価なものとなる。
なお、特開平4−228450号公報に開示されたガラスにおいては、所望の純粋で明るい青空(azure)色を得るために、全酸化鉄に対するFeOの比率を少なくとも0.4とする必要がある。このような特定の外観を得るために、溶融操作として別々の液化段階および清澄段階を含むという特殊な製造方法を採用し、且つSO3含有量を低く抑える必要がある。従って、得られるガラスは一層高価なものとなる。
一方、太陽電池用カバーガラスなど近赤外波長域において高い光線透過率が求められる分野では、酸化セリウムなどの酸化剤を添加することにより、上記波長域における透過率低下をもたらす主成分であるFeOを低下させる方法が提案されている。
例えば、特開平5−221683号公報に開示されたガラスは、不純物鉄分をFe23換算で0.06〜0.12重量%含有する通常のソーダ石灰系ガラスに、酸化剤としてCeO2を0.1〜0.5重量%含有させている。このガラスによれば、ガラス中のFe2+/Fe3+比が大幅に低下しているために、波長600nm付近以上の波長域において高い光線透過率を得ることができる。なお、このガラスにおいては、ガラス中のFe2+/Fe3+比が、通常のソーダ石灰系ガラスにおける比率(38%)から3〜10%にまで低下している。
上記公報に開示されたガラスは、結晶系太陽電池のカバーガラス、温水器用ガラス器材などの用途における太陽エネルギーの効率的な利用を主目的として開発されたものである。従って、Fe2+/Fe3+比を大幅に低下させることによって、逆にFe23に起因する400nm付近の吸収が増加する点には、注意が払われていない。
Fe23が増加すると、ガラスの色調は黄色みを帯びてしまう。このような外観は、例えば建築物用窓ガラスとしては適切ではない。また、Fe23の増加により、波長500nm付近以下の光線透過率も低下する。このような透過特性は、500〜600nm付近の波長域にエネルギー変換効率が高い領域を有する非晶質シリコン(アモルファスシリコン)太陽電池の基板として用いる場合には障害となる。しかも、濃度の高い鉄分を酸化するために比較的多量の酸化剤を必要とする。従って、上記ガラスは、必ずしも低いコストで製造できるものではない。
以上のように、高透過率を有するガラスは、主として、家具用、結晶系太陽電池のカバーガラス用として開発されてきた。上記いずれの公報にも、ガラス板の表面に透明導電膜を形成することは記載されていない。
特開平8−40742号公報に開示されたガラスについては、ガラス板上に金属酸化物被膜を形成することも考慮されている。このガラスは、建築物の窓に供するべく開発されたものであって、ガラス窓による日射の吸収を向上させるために、可視光域における透過率を維持しながらも近赤外域における吸収率を高くすることを目的として開発された。この目的は、上記公報に具体的に開示されている組成表によれば、通常のソーダ石灰系ガラスと同程度のFe23を含む一方、アルカリ土類金属の酸化物の合計量を10重量%以下にまで低減することにより実現される。このガラスにおいては、アルカリ土類金属の酸化物の含有量が削減されているために、FeOの吸収帯が長波長側に移動している。
しかし、特開平8−40742号公報に開示されているガラスは、FeOの吸収が長波長側にずれてはいるものの、基本的に、淡い色調、高い透過率が必要とされる用途には適していない。また、上記ガラスでは、アルカリ土類金属の酸化物(具体的には、MgOおよびMgO+CaO)の量が削減されており、これによる溶融上の不都合をNa2Oを増量することによって補っている。従って、失透温度およびコストが高く、量産には向かない組成となっている。
ところで、ガラス板の組成を調整するのではなく、ガラス板の表面に反射抑制膜(反射防止膜)を形成することによって、ガラス板を透過する光量を増加させることも知られている。反射抑制膜としては、光学干渉効果を利用した光学多層膜が多用される。反射防止膜は、一般には、スパッタリング法、真空蒸着法など真空装置を用いた成膜法により形成される。
特開平4−228450号公報 特開平4−228451号公報 特開平5−221683号公報 特開平8−40742号公報
以上のように、従来開示されてきた高透過のガラスの組成は、工業的に低コストで量産するには適していない。また、透明導電膜を形成しない特定の用途のために開発されたものでもある。確かに、端部の丹念な研磨や表面の加工、さらには強化処理に伴うコストが加算される家具用ガラスであれば、高価な原料を用いても、コスト全体への影響は緩和されるかもしれない。
しかしながら、このような高透過のガラスに透明導電膜を形成したとしても、導電膜付きガラス板の主要用途である、太陽電池(特にアモルファスシリコン太陽電池)、複層ガラス、冷蔵庫、情報表示機器および複写機などのガラス物品に適した特性を有する導電膜付きガラス板を低コストで量産することはできない。この点は、特開平8−40742号公報に開示されているガラスを用いたとしても同様である。
本発明は、高透過であって、低コストで量産できる導電膜付きガラス板を提供することを目的とする。また、本発明は、このような透明導電膜付きガラス板を用いたガラス物品、具体的には、太陽電池、複層ガラス、冷蔵庫、情報表示機器および複写機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の導電膜付きガラス板は、シリカを主成分とするガラス板であって、
着色成分として、重量%で表示して、
0.02〜0.06%(ただし、0.06%を含まず)のFe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23)、
0.024%より少ないFeO、および
0〜0.5%の酸化セリウムを含有し、
且つFe23に換算したFeOのT−Fe23に対する割合(以下「FeO比」という)が40%未満である組成からなり、
3.2mmの厚みにおいて、
日射透過率が87.5%以上、
C光源を用いて測定した可視光透過率が90%以上であるガラス板と、
このガラス板の表面上に形成した透明導電膜とを含むことを特徴とする。
上記組成のガラス板に透明導電膜を形成することにより、高透過であって低コストで量産できる導電膜付きガラス板を提供することができる。
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の導電膜付きガラス板は、シリカを主成分とするガラス板であって、
3.2mmの厚さにおいて、
波長500nmにおける光線透過率が91%以上であり、
波長1100nmにおける光線透過率が91%以下であるガラス板と、
このガラス板の表面上に形成した透明導電膜とを含むことを特徴とする。
上記特性を有するガラス板に透明導電膜を形成することにより、高透過であって低コストで量産できる導電膜付きガラス板を提供することができる。このガラス板では、波長1100nmにおける光線透過率を91%以下とすることにより、過度に製造コストが上昇することを防止している。しかし、アモルファスシリコン太陽電池の感度が高く、人間が明るさを感じやすい(視感度が高い)波長領域である500nm付近の波長では、光線透過率が91%以上に保たれている。
上記第2の導電膜付きガラス板において、波長500nmにおける光線透過率は、好ましくは91.3%以上である。波長1100nmにおける光線透過率の下限は、特に制限されないが、例えば85%である。また、上記第2の導電膜付きガラス板においても、3.2mmの厚さにおいて、可視光透過率(C光源)は好ましくは90%以上であり、日射透過率は例えば87.5%以上である。
上記ガラス板には、コスト増の要因となる純度の高い原料を必要としない。そのため、石灰石およびドロマイトを含む原料から製造することができる。
また、上記透明導電膜は、少なくとも1層の金属酸化物層からなることが好ましい。また、この金属酸化物層が酸化錫を主成分とする層を含むことが好ましい。酸化錫膜は、例えばITO(Indium Tin Oxide)膜と比較すると低コストで成膜することができる。なお、酸化錫を主成分とする層は、塩素、フッ素およびアンチモンから選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
さらなる低コスト化のためには、透明導電膜が、フロート法によるガラス板製造工程におけるガラスリボン上において、前記ガラスリボンが有する熱を利用することにより形成されたものであることが好ましい。
上記導電膜付きガラス板では、ガラス板が互いに平行な一対の主表面を有し、前記主表面の一方に透明導電膜が形成され、前記主表面の他方に反射抑制膜を形成したことが好ましい。ここで、ガラス板の主表面とは、ガラス板の端面を除くガラス板の主たる表面をいう。
上記反射抑制膜は、ガラス板上に積層された、屈折率が互いに相違する複数の層を含むことが好ましい。この複数の層は、具体的には、光学干渉効果により反射率を低減する光学多層膜であることが好ましい。また、上記反射抑制膜は、真空装置を用いた成膜法により形成されたものであってもよいが、ゾル−ゲル法など、塗布液を塗布した後、焼成して形成された膜であることが好ましい。特に大面積のガラス板上に成膜する場合、低コストでの量産に適しているからである。
また、上記反射抑制膜は、ガラス板の表面に形成された多孔質層であってもよい。この多孔質層は、ガラス板からシリカ以外の少なくとも一つのガラス成分を選択的に除去して形成したシリカを主成分とするシリカスケルトン層であることが好ましい。シリカスケルトン層は、シリカ骨格を主体とする多孔質層である。この層は、例えば、ガラス板を珪弗化水素酸のシリカ過飽和水溶液に浸漬するエッチング法により形成することができる。
また、上記反射抑制膜は、急冷工程を含む方法により形成された膜であり、ガラス板が前記急冷工程により強化されていることが好ましい。この好ましい例によれば、反射抑制膜の形成とともに、ガラス板を強化ガラスとすることができる。ガラス板は、ガラスの軟化点以上に加熱してから急冷することが好ましい。
さらに本発明は、上記導電膜付きガラス板を用いた各種ガラス物品を提供する。例えば、本発明の光電変換素子は、上記導電膜付きガラス板と、この導電膜付きガラス板の透明導電膜の表面上に形成された光電変換層とを備えたことを特徴とする。光電変換素子としては、光電変換層としてシリコン層を含む薄膜型太陽電池が好ましい。基板を透過する光量は光電変換効率に直結するため、反射抑制膜を形成した導電膜付きガラス板は特に光電変換素子用基板として好適である。
また例えば、本発明の複層ガラスは、2枚のガラス板を空気層、不活性ガス層または減圧層を介して対向するように配置した複層ガラスであって、上記2枚のガラス板のうちの少なくとも一方を上記導電膜付きガラス板としたことを特徴とする。この複層ガラスは、可視光の透過特性に優れ、自然な眺望を得やすいものとなる。
また例えば、本発明の冷蔵庫は、上記複層ガラスを扉に配置し、この複層ガラスに含まれる透明導電膜を発熱体(デフロスタ)として利用することを特徴とする。この冷蔵庫は、主として店舗における販売品の陳列に供されるものであり、やはり可視光の透過特性に優れているために、曇り止め機能を発揮しながら自然な商品展示を実現できるものとなる。
また例えば、本発明の情報表示機器は、上記導電膜付きガラス板を含み、この導電膜付きガラス板を通して情報を表示することを特徴とする。情報表示機器としては、特に限定されないが、LCD、PDPなどを挙げることができる。この情報表示機器においても、高い可視光透過率が明瞭で自然な情報表示(特にカラーディスプレイ)を可能とする。
また例えば、本発明の複写機は、上記導電膜付きガラス板を含み、この導電膜付きガラス板を通して複写する情報を光学的に読みとることを特徴とする。この複写機では、ガラス板は例えば原稿台に配置され、透明導電膜が帯電防止機能を発揮して紙詰まりなどを防止する。また、高い可視光透過率により正確な複写(特にカラーコピー)を可能とする。
以上のように、本発明の導電膜付きガラス板は、様々なガラス物品に利用することができる。本発明の導電膜付きガラス板は、従来の家具用に開発された超低鉄分の高透過ガラスとは異なり、必要な光線透過性能を確保しながら、低コストでの製造を可能としたものである。
本発明によれば、高透過であって、低コストで量産できる導電膜付きガラス板が提供される。さらに、本発明によれば、このような導電膜付きガラス板を用いたガラス物品、具体的には、太陽電池、複層ガラス、冷蔵庫、情報表示機器および複写機が提供される。これらのガラス物品では、低コストで量産できる導電膜付きガラス板が用いられているにも拘わらず、各物品において重要となる波長領域におけるガラス板の透過特性が優れたものとなる。また、本発明によれば、特に光入射側として使用されることが多い非膜面側(透明導電膜が形成されていない面側)に反射抑制膜を形成することにより、さらに光学特性を改善した導電膜付きガラス板を得ることもできる。
以下、本発明の導電膜付きガラス板および各種ガラス物品の好ましい形態について説明する。
まず、ガラス板の組成の好ましい範囲について説明する。以下、各成分の含有量を示す%表示は、重量%である。
上記ガラス板を構成するガラスの着色成分は、
0.02〜0.05%のFe23に換算したT−Fe23
0.016%より少ないFeOを含有することが好ましく、主波長が495nmより大きくかつ575nmより小さく、刺激純度が0.4%以下あることが好ましい。
また、0.004%より多いFeOを含有し、
且つFeO比が15%以上である組成からなり、
3.2mmの厚みにおいて、C光源を用いて測定した主波長が、565nmより小さく、刺激純度が0.2%以下であることが好ましく、この範囲においては、0.012%より少ないFeOを含有し、且つFeO比が20〜30%である組成からなり、3.2mmの厚みにおいて、C光源を用いて測定した主波長が555nmより小さいことがもっとも好ましい。
上記好ましい範囲は、適度に低い上記T−Fe23と極端に低くない上記FeO比により、淡い色調を呈する建築用ガラスなどとして特に好適である。またとりわけ500〜600nm付近にエネルギー変換の感度の最高を有するアモルファスシリコン太陽電池用ガラスとしても特に好適である。
また、この好ましい範囲においては、太陽電池用として使用された場合に感度の高い波長域の透過率が高いばかりでなく、適度のFeOを含有するために、変換効率に悪影響を与える、アモルファスシリコンの温度上昇の原因となる日射を適度に吸収するという別の好ましい効果も併せて発揮される。
一方、別のさらに好ましい範囲としては、
0.008%より少ないFeO、
0.025〜0.5%の酸化セリウムを含有し、
且つFeO比が20%以下である組成からなり、
3.2mmの厚みにおいて、日射透過率が89.5%以上、ISO 9050に規定された紫外線透過率が60%以下、C光源を用いて測定した主波長が540nmより大きいことが好ましく、この範囲においては、
0.006%より少ないFeO、
0.025〜0.25%の酸化セリウムを含有する組成からなり、
3.2mmの厚みにおいて、日射透過率が90.5%以上、ISO 9050に規定された紫外線透過率が55%以下、C光源を用いて測定した主波長が555nmより大きいことが最も好ましい。
上記別の好ましい範囲は、適度に低い上記T−Fe23と上記FeO比により、建材用として特に望ましい、着色がほとんどないいわゆる白板ガラスとしても好適である。この好ましい範囲では、酸化剤である酸化セリウムが紫外光を吸収する効果も有するため、太陽電池用として使用された場合のシリコンの劣化など、各種用途において好ましくない効果をもたらす紫外線を適度に吸収するという別の好ましい効果も併せて発揮される。
上記ガラスは、その基礎ガラス組成が、
65〜80%のSiO2
0〜5%のAl23
2%より多いMgO、
5〜15%のCaO、
10〜18%のNa2O、
0〜5%のK2O、
5〜15%のMgO+CaO、
10〜20%のNa2O+K2O、
0.05〜0.3%のSO3
および0〜5%のB23からなることが好ましく、
10%より多いMgO+CaO、0.1%より多いSO3を含有ことがさらに好ましい。また、フッ素、酸化バリウム、酸化ストロンチウムを実質的に含有しないことが好ましい。
さらに、上記ガラスは、酸化鉄、酸化セリウム以外には着色成分を実質的に含有しないことが好ましい。
また、上記ガラスの製造に際しては、ガラスのコストアップをできるだけ低減するために、原料としては、通常のソーダ石灰系ガラスと同様、ドロマイト、石灰石、アルミナ含有けい砂を使用することが好ましい。このような原料の好ましい選択は、酸化鉄含有量を上記限定の範囲とすることによって可能となる。
また、その溶融方法としては、上記と同様、ガラス板のコストアップをできるだけ低減するために、バッチ原料を通常のソーダ石灰系ガラス溶融窯に用いられる、液化段階および清澄段階が一つの窯槽内で行われる上部加熱タンク型溶融炉で溶融することが好ましい。
以下に、上記ガラスの組成限定理由について説明する。但し、以下の組成は重量%で表示したものである。
酸化鉄は、ガラス中ではFe23とFeOの状態で存在する。Fe23は紫外線吸収能を高める成分であり、FeOは熱線吸収能を高める成分である。
所望の淡い色調と高い透過率を得るためには、全酸化鉄(T−Fe23)は0.02〜0.06%(ただし、0.06%を含まず)、FeOは0.024%未満、Fe23に換算したFeOがT−Fe23の40%未満の範囲にあることが必要である。全酸化鉄(T−Fe23)が0.02%未満の場合には、原料として鉄分の少ない高純度原料を使用する必要があり、コストが著しく上昇する。全酸化鉄、FeO、FeO比が、それぞれの範囲の上限量以上では可視光透過率が低くなり過ぎるとともに、FeOにより青色の色調が強くなる。
より淡い色調と高い可視光透過率を得るためには、全酸化鉄(T−Fe23)は0.02〜0.05%、FeOは0.016%より少ないことが好ましい。
また、500〜600nm付近における高い透過率と、適度な日射吸収を有することが好ましいアモルファスシリコン太陽電池に用いる場合には、上記の全酸化鉄量の範囲で、FeOは0.004%より多く、FeO比が15%以上であることが好ましいが、FeOやFeO比が高くなり過ぎるとガラスの色調が強くなるので、FeOが0.012%より少ない範囲で、FeO比が20〜30%の範囲であることがさらに好ましい。
一方、着色のほとんどない、いわゆる白板ガラスに近づけたい場合には、上記の全酸化鉄量の範囲で、FeOは0.008%(好ましくは0.006%)より少なく、FeO比が20%以下であることが好ましい。
酸化セリウムは、FeO,FeO比を調整するのに有効な成分であり、特に1000nm付近における高い透過率が望ましい場合、あるいは着色のほとんどないガラスを得る場合に必要な小さいFeOおよびFeO比を達成するためには、合計で0.025〜0.5%(さらに好ましくは0.025〜0.25%)添加することが好ましい。
SiO2はガラスの骨格を形成する主成分である。SiO2が65%未満ではガラスの耐久性が低下し、80%を越えるとガラスの溶解が困難になる。
Al23はガラスの耐久性を向上させる成分であるが、5%を越えるとガラスの溶解が困難になる。好ましくは0.1〜2.5%の範囲である。
MgOとCaOはガラスの耐久性を向上させるとともに、成形時の失透温度、粘度を調整するのに用いられる。MgOが2%以下では失透温度が上昇する。CaOが5%未満または15%を越えると失透温度が上昇する。MgOとCaOの合計が5%未満ではガラスの耐久性が低下し、15%を越えると失透温度が上昇する。MgOとCaOの合計が少ない、例えば10%以下の場合、溶解性の悪化やガラス融液の粘度の上昇を補うためにNa2Oを増量する必要があり、コストの上昇やガラスの化学的耐久性の低下をもたらす。従って、MgOとCaOとの合計量は10%より多いことが好ましい。
Na2OとK2Oはガラスの溶解促進剤として用いられる。Na2Oが10%未満あるいはNa2OとK2Oとの合計が10%未満では溶解促進効果が乏しく、Na2Oが18%を越えるか、またはNa2OとK2Oの合計が20%を越えるとガラスの耐久性が低下する。K2OはNa2Oに比して原料が高価であるため、5%を越えるのは好ましくない。
SO3はガラスの清澄を促進する成分である。0.05%未満では通常の溶融方法では清澄効果が不十分となり、その好ましい範囲は0.1%以上である。一方、0.3%を越えるとその分解により生成するSO2が泡としてガラス中に残留したり、リボイルにより泡を発生し易くなる。
23はガラスの耐久性向上のため、あるいは溶解助剤としても使用される成分である。B23が5%を越えると、B23の揮発などによる成形時の不都合が生じるので5%を上限とする。
TiO2は必須成分ではないが、本発明が目的とする光学特性を損なわない範囲で、紫外線吸収能を高めるためなどの目的に適当量加えることができる。量が多くなり過ぎるとガラスが黄色味を帯び易くなり、また500〜600nm付近の透過率が低下するので、その含有量は0.2%未満の範囲が好ましい。
また、フッ素、酸化バリウム、酸化ストロンチウムを含有させても本発明の効果は損なわれないが、これらの成分はコスト上昇や窯寿命,有害物の大気への放出などで好ましくない影響を及ぼす成分であり、実質的に含有させないことが好ましい。
上記組成範囲のガラスに、酸化剤として加える成分は、その効果および紫外吸収という別の好ましい効果から、上記に限定した範囲の酸化セリウムが好ましいが、その他の酸化剤、例えば酸化マンガンを1%以下の範囲で酸化セリウムと組み合わせて、あるいは単独で添加してもよい。
また、還元剤としてSnO2を1%以下の範囲で添加してもよい。あるいはまた、本発明が目的とする淡い色調を損なわない範囲で、着色剤として、Se,CoO,Cr23,NiO,V25,MoO3などを少なくとも1種類、同時に添加しても構わないが、着色剤の添加は色調を強くするとともに可視光透過率を低下させるため、実質的に添加しないことが好ましい。
次に、透明導電膜について説明する。
透明導電膜は、少なくとも1層の金属酸化物層からなることが好ましい。透明導電膜には、少なくとも1層の導電層が含まれる。導電層としては、ZnOを主成分とする層やITO層を用いてもよいが、SnO2を主成分とする層を用いることが好ましい。
SnO2を主成分とする層は、塩素、フッ素およびアンチモンから選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましいが、特にSnO2にフッ素を添加した層とすることが好ましい。フッ素の含有量は、特に制限されないが、0.1〜1重量%が適当である。
透明導電膜は、具体的には、SnO2を主成分とする層とSiO2を主成分とする層とを積層した膜とすることが好ましい。積層数および各層の膜厚は、用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば2層構造とする場合には、ガラス板の表面に、SiO2を主成分とする層とSnO2を主成分とする層とをこの順に積層した膜とすることが好ましい。また例えば3層構造とする場合には、ガラス板の表面に、第1のSnO2を主成分とする層、SiO2を主成分とする層および第2のSnO2を主成分とする層をこの順に積層した膜とすることが好ましい。
上記2層構造の透明導電膜における各層の好ましい膜厚を以下に例示する。
SiO2を主成分とする層 : 10nm〜 100nm
SnO2を主成分とする層 : 20nm〜 300nm
上記3層構造の透明導電膜における各層の好ましい膜厚を以下に例示する。
第1のSnO2を主成分とする層: 10nm〜 40nm
SiO2を主成分とする層 : 10nm〜 40nm
第2のSnO2を主成分とする層:100nm〜1000nm
金属酸化物膜をガラス板に形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、塗布法など従来から適用されてきた各種の成膜法を採用することができる。ただし、生産性や被膜耐久性を考慮すると、化学気相法(CVD法)、または溶液スプレー法、分散液スプレー法、粉末スプレー法などのスプレー法が好ましい。
CVD法においては、金属酸化物膜となる化合物を含む被膜形成用の蒸気を用いればよい。また、溶液スプレー法においては、所定の金属の化合物を含む溶液を高温のガラス基板上に噴霧すればよく、分散液スプレー法においては上記溶液に代えて金属の化合物の微粒子を溶液や溶剤に分散させた分散液を用い、粉末スプレー法においては上記溶液に代えて金属の化合物の粉末を用いればよい。
なお、スプレー方法としては、予め各成分を混合した液を微小な液滴・粉末として噴霧してもよいし、各成分を別個に液滴・粉末として同時に噴霧・反応させてもよい。
しかしながら、スプレー法は吹き付ける液滴の制御や反応生成物や未分解生成物など排気されるべき生成物の制御が難しいため膜厚の均一性が得にくく、さらにガラスの歪も大きくなるので、トータルではCVD法が優れている。
CVD法により各金属酸化物膜を形成する場合、一般には、所定の大きさに切断し、加熱したガラス板にガス状の原料が吹きつけられる。例えば、ガラス板をメッシュベルトに乗せて加熱炉を通過させる間に原料を供給し、高温のガラス板の表面で原料を反応させれば、金属酸化物被膜が成膜される。
溶融後一旦冷却したガラス板を再加熱する工程を省略するためには、ガラス成形時(フロート成形)の熱エネルギーを利用して、高温のガラスリボン上にCVD法により金属酸化物膜を成膜することが好ましい。特に、CVD法を錫フロート槽空間で行えば、軟化点以上の温度を有するガラス表面で成膜が行えるので、膜の性能および成膜反応速度、成膜反応効率の向上が可能となる。
フロート法におけるガラスリボン上に成膜を行う場合には、例えば、錫フロート槽や徐冷窯を移動するガラスリボンの表面から一定の距離をおいた空間に所定個数のコータを配置し、このコータから、ガス状の原料を供給することが好ましい。複数のコータを利用すれば、ガラスリボン上に複数の層を積層した透明導電膜を連続的に形成することができる。
金属酸化物膜は、CVD法とスプレー法とを併用して成膜しても構わない。例えば、CVD法とスプレー法とをこの順に実施することにより(例えば、錫フロート槽空間内においてCVD法による成膜を実施し、徐冷窯においてスプレー法による成膜を実施することにより)、所定の積層構造を実現してもよい。
金属酸化物膜の成膜に用いることができる原料を以下に例示する。
CVD法で成膜するSiO2のシリコン原料としては、モノシラン、ジシラン、トリシラン、モノクロロシラン、1,2-ジメチルシラン、1,1,2-トリメチルジシラン、1,1,2,2-テトラメチルジシラン、テトラメチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケートなどが挙げられ、酸化原料としては、酸素、水蒸気、乾燥空気、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化窒素、オゾンなどが挙げられる。
また、シランを使用した場合にガラス表面に到達するまでにシランの反応を防止する目的と、酸化シリコン膜の屈折率制御のため、エチレン、アセチレン、トルエンなどの不飽和炭化水素を添加しても構わない。またテトラメチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケートなどを使用した場合には成膜速度促進のため、アルミニウムイソプロポキシドなどを添加してもよい。
CVDで成膜するSnO2の錫原料としては、モノブチル錫トリクロライド、四塩化錫、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジクロライド、テトラメチル錫、テトラブチル錫、ジブチル錫ジアセテートなどが挙げられ、酸化原料としては、酸素、水蒸気、乾燥空気などが挙げられる。
添加剤としてアンチモンを添加する場合には、三塩化アンチモン、五塩化アンチモンなどを使用することができる。フッ素を添加する場合には、フッ化水素、トリフルオロ酢酸、ブロモトリフルオロメタン、クロルジフルオロメタン、ジフルオロエタンなどを使用することができる。
スプレー法で成膜する場合のシリコン原料としては、テトラメチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケートなどが挙げられ、また成膜速度促進のためアセチルアセトンジルコニウムなどを添加しても構わない。
スプレー法で成膜する場合の錫原料としては、四塩化錫、ジブチル錫ジクロライド、テトラメチル錫、ジオクチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、テトラオクチル錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫脂肪酸、モノブチル錫脂肪酸、モノブチル錫トリクロライド、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレートなどが挙げられる。
次に、反射抑制膜について説明する。
反射抑制膜は、屈折率の異なる複数の薄膜からなることが好ましく、少なくとも3層の多層膜であることが好ましい。光学多層膜としては、屈折率1.60〜1.95の中間屈折率(n1)の第1層、屈折率1.91〜2.60であって第1層の屈折率に比して少なくとも0.20大きい値の高屈折率(n2)の第2層、および屈折率1.35〜1.59であって第1層の屈折率に比して少なくとも0.20小さい低屈折率(n3)の第3層がこの順に積層された多層膜が特に好適である。
上記3層構造の反射抑制膜における各層の好ましい膜厚を以下に例示する。
第1層:(60〜130nm)/n1
第2層:(140〜230nm)/n2
第3層:(110〜150nm)/n3
膜厚を上記範囲とすることにより、反射抑制膜が形成されたガラス板表面側(膜面側)から入射させた特定の波長の光については、膜面側表面における反射率をほぼゼロにすることもできる。
上記3層構造の反射抑制膜における各層の材料を以下に例示する。
第2層は、チタン酸化物、セリウム酸化物、ビスマス酸化物、ジルコニウム酸化物、ニオブ酸化物およびタンタル酸化物から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物(この段落において「チタン等酸化物」という)を合計で70モル%以上含有することが好ましい。第3層は、ケイ素酸化物を50〜100モル%含有し、かつ上記チタン等酸化物を合計で0〜10モル%含有することが好ましい。第1層は、ケイ素酸化物を15〜80モル%含有し、かつ上記チタン等酸化物を合計で20〜70モル%含有することが好ましい。
このようにすることにより、低屈折率膜の層と高屈折率膜の層、および中間屈折率膜の層と高屈折率膜の層の硬化過程における収縮係数が近いものとなり、クラックや膜剥離が起こりにくくなる。また低屈折率膜の層と高屈折率膜の層、および中間屈折率膜の層と高屈折率膜の層の界面での密着性を高めることができる。
本発明における具体的な形態として、高屈折率膜(第2層)がチタン酸化物を含有し、中間屈折率膜(第1層)がチタン酸化物およびケイ素酸化物を含有し、低屈折率膜(第3層)がケイ素酸化物を含有している場合を以下に例示する。
上記中間屈折率膜(第1層)の各成分について、以下にさらに説明する。
酸化ケイ素(ケイ素酸化物)は膜の屈折率を調整するための成分であり、その含有量が低い場合は膜の屈折率は高くなる。逆に含有量が多い場合は屈折率が低くなる。酸化ケイ素の含有量は、SiO2に換算して好ましくは15〜80モル%であり、より好ましくは30〜78モル%であり、さらに好ましくは35〜74モル%である。酸化チタンは膜の屈折率を高めるために必要であり、その含有量が低い場合は膜の屈折率が低くなり、またその含有量が多い場合は膜の屈折率が大きくなる。酸化チタンの含有量は、TiO2に換算して好ましくは20〜70モル%であり、より好ましくは22〜65モル%であり、さらに好ましくは25〜60モル%である。
中間屈折率膜の厚みは、あまり薄すぎると反射防止効果が低くなり、逆に厚すぎても反射防止効果が低くなり、またクラックが入ったりして膜強度が低下するので、好ましくは40〜60nmであり、より好ましくは45〜55nmであり、さらに好ましくは47〜53nmである。そして、この膜の屈折率は低すぎると反射防止効果が充分に得られないため、好ましくは1.60〜1.90であり、より好ましくは1.65〜1.85であり、さらに好ましくは1.70〜1.80である。
上記高屈折率膜(第2層)の各成分について、以下に説明する。酸化チタンは膜の成膜のために、また膜の屈折率を高めるための成分であり、その含有量が低い場合は着色膜の屈折率が低くなる。またその含有量が多い場合は膜の屈折率が大きくなる。酸化チタンの含有量は、TiO2に換算して好ましくは70〜100モル%であり、より好ましくは80〜100モル%であり、さらに好ましくは88〜100モル%である。酸化ケイ素の含有量は、SiO2に換算して好ましくは0〜30モル%であり、より好ましくは0〜20モル%であり、さらに好ましくは0〜12モル%である。
高屈折率膜の厚みは、あまり薄すぎると反射防止効果が低くなり、逆に厚すぎても反射防止効果が低くなり、またクラックが入ったりして膜強度が低下するので、好ましくは65〜105nmであり、より好ましくは75〜95nmであり、さらに好ましくは80〜90nmである。そして、この膜の屈折率は、低すぎると反射防止効果が充分に得られないため、好ましくは1.91〜2.30であり、より好ましくは1.96〜2.30であり、さらに好ましくは2.01〜2.30である。
上記低屈折率膜(第3層)の各成分について、以下に説明する。酸化ケイ素は成膜のために、また膜の屈折率を低めるための成分であり、その含有量が低い場合は膜の屈折率が高くなり、またその含有量が多い場合は膜の屈折率が小さくなる。酸化ケイ素の含有量は、SiO2に換算して好ましくは85〜100モル%であり、より好ましくは90〜100モル%である。
低屈折率膜の厚みは、あまり薄すぎると反射防止効果が低くなり、逆に厚すぎるても反射防止効果が低くなり、またクラックが入ったりして膜強度が低下するので、好ましくは65〜105nmであり、より好ましくは75〜95nmであり、さらに好ましくは80〜90nmである。そして、この膜の屈折率は、低すぎると反射防止効果が充分に得られないため、好ましくは1.35〜1.59であり、より好ましくは1.35〜1.50であり、さらに好ましくは1.35〜1.47である。
高屈折率膜、低屈折率膜および中間屈折率膜を形成する方法としては、スパッタ法、CVD法、スプレー熱分解法で形成することも可能であるが、コスト面からゾル−ゲル法が望ましい。ゾル−ゲル法におけるコーティングについては、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法などが用いられる。
高屈折率膜、低屈折率膜および中間屈折率膜をゾル−ゲル法により、例えば、チタン酸化物、ビスマス酸化物、ケイ素酸化物、セリウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物などの金属酸化物を含有する光学薄膜を形成する場合、そのコーティング液組成物は、チタン化合物、ビスマス化合物、ケイ素化合物、セリウム化合物、ジルコニウム化合物、ニオブ化合物、およびタンタル化合物等の加水分解・縮合可能な金属化合物を有機溶媒に溶解することにより得られる。
反射抑制膜の成膜に用いることができる原料を以下に例示する。
チタン化合物としては、チタンアルコキシド、チタンアルコキシド塩化物、チタンキレート化物などが用いられる。チタンアルコキシドとしてはチタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンn-プロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンn-ブトキシド、チタンイソブトキシド、チタンメトキシプロポキシド、チタンステアリルオキシド、チタン2-エチルヘキシオキシドなどが例示できる。チタンアルコキシド塩化物としては、チタンクロリドトリイソプロポキシド、チタンジクロリドジエトキシドなどが挙げられる。チタンキレート化物としては、チタントリイソプロポキサシド (2,4-ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス-2,4-ペンタンジオネート)、チタンアリルアセテートトリイソプロポキシド、チタンビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシド、チタンジ-n-ブトキシド(ビス-2,4-ペンタンジオネート)などが用いられる。
ビスマス化合物としては、硝酸ビスマス、酢酸ビスマス、オキシ酢酸ビスマス、酢酸ビスマス、塩化ビスマス、ビスマスアルコキシド、ビスマスヘキサフルオロペンタジオネート、ビスマスt-ペントキサイド、ビスマステトラメチルヘプタンジオネートなどが用いられる。
セリウム化合物としては、硝酸セリウム、塩化セリウムなどが用いられる。
ケイ素化合物としては、シリコンアルコキシドをアルコールなどの溶媒に混ぜ、酸性や塩基性の触媒で加水分解、重合を進めたものが用いられる。シリコンアルコキシドとしては、シリコンメトキシド、シリコンエトキシドあるいはそれらのオリゴマー体が用いられる。酸触媒としては塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蓚酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、フッ酸、蟻酸などが用いられる。塩基性触媒としてはアンモニア、アミン類が用いられる。
セリウム化合物としては、セリウムアルコキシド、セリウムアセチルアセトネート、セリウムカルボキシレートなどのセリウム有機化合物が好適に使用することができる。その他に、硝酸塩、塩化物、硫酸塩等のセリウム無機化合物も使用することができるが、安定性、入手の容易さからセリウムの硝酸塩、セリウムアセチルアセトネートが好ましい。
ジルコニウム化合物としては、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウムイソプロパノール錯体、テトライソブトキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラsec−ブトキシジルコニウム、テトラt−ブトキシジルコニウムなどが好便に使用できる。またジルコニウムモノクロリドトリアルコキシド、ジルコニウムジクロリドジアルコキシドなどのジルコニウムハロゲン化物のアルコキシドなどを使用することもできる。また上記のジルコニウムアルコキシドをβ−ケトエステル化合物でキレート化したジルコニウムアルコキシドも好適に用いられる。キレート剤としては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチルのような、CH3COCH3COOR(ここでRはCH3、C25、C37、またはC49)で表されるアセト酢酸エステルを挙げることができ、これらのなかで、アセト酢酸アルキルエステル、特にアセト酢酸メチルおよびアセト酢酸エチルが、比較的安価で入手できるので、好適である。ジルコニウムアルコキシドのキレート化の程度は、一部または全部でもよいが、モル比で(β−ケトエステル)/(ジルコニウムアルコキシド)=2の割合でキレート化させるのが、キレート化合物が安定であるので好ましい。β−ケトエステル化合物以外のキレート剤、例えばアセチルアセトンでキレート化したジルコニウムアルコキシドは、アルコール等の溶媒に不溶であるために沈殿してしまい、塗布溶液を調製することができない。さらに上記のジルコニウムアルコキシドのアルコキシ基のうちの少なくとも一つが酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ステアリン酸などの有機酸類で置き換わったアルコキシジルコニウム有機酸塩類を用いることも可能である。
ニオブ化合物としては、五塩化ニオブ、ニオブペンタエトキシドなどが用いられる。また五塩化ニオブをメチルアルコールに溶解して生じるニオブトリメトキシジクロリド、エチルアルコールに溶解して生じるニオブトリエトキシジクロリド、イソプロピルアルコールに溶解して生じるニオブトリイソプロポキシジクロリドなどが例示できる。さらにニオブペンタエトキシドにアセチルアセトンを加えて生じる、ニオブトリエトキシアセチルアセトネート、ニオブエトキシジアセチルアセトネート、またはニオブペンタエトキシドにアセト酢酸エチルを加えて生じるニオブトリエトキシエチルアセトネート、ニオブエトキシジエチルアセトネートが例示できる。
タンタル化合物としては、タンタルメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタn−ブトキシド、タンタルテトラエトキシドアセチルアセトネートなどが挙げられる。
高屈折率膜および低屈折率膜の形成に用いられる塗布液組成物に用いられる有機溶媒は、コーティング方法に依存するが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルグリコール、セロソルブアセテート、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。コーティング液組成物は上述した溶媒を単独でまたはコーティング液の粘度、表面張力などを調節するために複数用いても構わない。また、安定化剤、レベリング剤、増粘剤などを必要に応じて少量加えても構わない。溶媒使用量は最終的に得られる高屈折率膜、中間屈折率膜および低屈折率膜の膜厚、採用するコーティング方法にも依存するが、通常は全固形分が1〜20%の範囲内に入るように使用される。
コーティング液組成物は、上記に例示した塗布方法によりガラス板の一方の表面に塗布される。次いで、乾燥工程および/または加熱工程が行われる。加熱工程は、好ましくは250℃以上の温度で実施される。このような塗布工程と乾燥/加熱工程とを含む成膜工程を、各層ごとに繰り返して多層の反射抑制膜が形成される。なお、乾燥/加熱工程に代えて、または乾燥/加熱工程とともに、光照射工程を実施してもよい。この工程で用いる光は紫外線が好ましい。
反射抑制膜としてシリカスケルトン層を形成する場合、シリカスケルトン層の好ましい厚さは、50〜200nmである。
こうして必要な層数の多層膜が形成された後、必要に応じてさらに加熱工程が行われる。この工程では、多層膜が形成されたガラス板が、例えば500〜800℃に加熱された炉内において10秒間〜2分間加熱される。
この工程の後、加熱されたガラス板は、徐冷してもよいが、急冷してガラス板を強化してもよい。この強化工程は、冷却用の空気をノズルなどからガラス板の表面に吹きつけて行えばよい。このような風冷強化の工程は、例えば、自動車用強化ガラスの製造工程に用いられているような急冷装置を用いて行えばよい。
以上のようにして、ガラス板の表面上に透明導電膜を含む被膜が形成される。また、ガラス板の反対側の表面には、必要に応じて反射抑制膜が形成される。この導電膜付きガラスは、その用途に応じ、必要に応じて加工される。以下、このような加工について例示する。
図1は、本発明の導電膜付きガラス板を含むアモルファスシリコン太陽電池の一形態を示す断面図である。
図1に示したアモルファスシリコン太陽電池11では、導電膜付きガラス板1の透明導電膜3の表面上に、光電変換層としてプラズマCVD法によりアモルファスシリコン(a−Si:H)層4が形成されており、さらに、この層の表面上には金属電極層5が形成されている。なお、図1に示したように、ガラス板2上の透明導電膜3、アモルファスシリコン層4および金属電極層5は、それぞれ短冊状に分断されている。分割された透明導電膜3、アモルファスシリコン層4および金属電極層5は、一組のユニットセルを構成し、隣接するユニットセルの導電膜3と金属電極層5とが接続してユニットセルが直列的に結合している。
アモルファスシリコン太陽電池の発電効率が最も高くなる波長領域は、500〜600nmである。アモルファスシリコン層4に入射する光が透過するガラス板2は、この波長領域の透過率に優れている。このように、本発明の導電膜付きガラス板は、特にアモルファスシリコン太陽電池の基板として好ましい特性を有する。
図2は、本発明の導電膜付きガラス板を含む複層ガラスの一形態を示す断面図である。
図2に示した複層ガラス12では、導電膜付きガラス板1は、透明導電膜3が空気層6に面するように配置されている。導電膜付きガラス板1とガラス板9とは、乾燥剤を含むスペーサ7を介し、封着剤8により周縁部を接合されている。なお、図2には、一方のガラス板のみに導電膜付きガラス板を用いた複層ガラスを例示したが、これに限ることなく、双方のガラス板を導電膜付きガラス板としても構わない。
なお、空気層6の空気を排出して減圧し、減圧層としてもよい。空気層を減圧すると、断熱効果などをさらに向上させることができる。減圧層とする場合には、スペーサ7および封着剤8による封着に代えて、例えば低融点ガラスを用いてガラス板の周囲を封着することが好ましい。この場合は、ガラス板の間隔を保持するために、減圧層にスペーサを配置することが好ましい。また、空気層6に代えて、アルゴンガスなどの不活性ガスを封入した不活性ガス層を用いてもよい。
図2に示したような複層ガラスは、透明導電膜が形成された低放射ガラスが用いられているため、断熱性に優れた建築用窓ガラスとして用いられる。また、電磁波遮蔽特性に優れた窓ガラスとしても用いることができる。さらに、店舗用冷蔵庫の扉の曇り止め機能付きガラスとして用いてもよい。冷蔵庫の扉に用いる場合には、導電膜付きガラス板は庫外側に配置される。なお、電磁波遮蔽窓や冷蔵庫に用いる場合には、図示した複層ガラスにさらに加工が施される。例えば、前者の場合であれば、透明導電膜をアース電位とするためのアース線が配置され、後者の場合であれば、透明導電膜に電圧を供給して発熱体として利用するための電極が形成され、この電極と電源とを接続する配線が設置される。
複層ガラスの上記各用途においては、可視光透過率が高いことが望まれている。本発明の導電膜付きガラス板を用いた複層ガラスは、低コストで製造が可能でありながら、特に視感度が高い波長領域における光線透過率を確保したものとして有用である。
以上で説明した形態では、反射抑制膜を形成していないガラス板を用いたが、反射抑制膜を形成したガラス板を用いたアモルファスシリコン太陽電池および複層ガラスを、それぞれ図10および図11に示す。図10および図11に示したガラス物品は、それぞれ図1、図2に示したガラス物品に反射抑制膜10を導電膜が形成されていない表面に形成したものに相当する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
まず、本発明の淡色高透過ガラスの製造の例を示す。
(実施例1〜13)
酸化物に換算し重量%で表示して表1に示した組成になる原料を、低鉄アルミナ含有ケイ砂、石灰石、苦灰石(ドロマイト)、ソーダ灰、ボウ硝、酸化セリウム、二酸化マンガンおよび炭素系還元剤を用いて調合し、この原料を電気炉中で1450℃に加熱、溶融した。4時間溶融した後、ステンレス板上にガラス素地を流し出し、室温まで徐冷して、厚さ約10mmのガラスを得た。表中の組成表示は、いずれも重量%表示である。
次いで、このガラスを3.2mmの厚さになるように研磨し、光学特性としてC光源を用いて測定した可視光透過率、主波長、刺激純度、日射透過率、ISO 9050に規定される紫外線透過率、日射透過率を測定した。表1に、得られたサンプルの光学特性値を示す。
Figure 2007112710
Figure 2007112710
表1から明らかなように、本実施例のサンプルは、3.2mmの厚みにおいてC光源を用いて測定した可視光透過率が90%以上、日射透過率が87.5%以上の光学特性を有するガラスである。
(比較例1〜4)
表2に、本発明に対する比較例の組成と光学特性を示す。組成表示は重量%である。
Figure 2007112710
比較例1は、典型的なソーダ石灰系ガラスである。比較例2は本文中に引用した特開平4−228450号公報中の実施例、比較例3は本文中に引用した特開平8−40742号公報中の実施例、比較例4は本文中に引用した特開平5−221683号公報中の実施例の一例である。
比較例1では、本発明のガラスと比較して日射透過率が低く、また可視光透過率も低い。比較例2では、本発明のガラスと同様な特性となっているが、酸化鉄が0.010%と低く、酸化鉄量をこのように低くするためには特殊な高純度原料を必要としガラスのコストが高くなる。比較例3は、可視光透過率と刺激純度から推定される色調は通常ソーダ石灰系ガラスとそれほど変わらない。比較例4は、ガラスの光学特性が具体的に記載されていないが、記載されている分光透過率曲線から400nmの透過率を読みとると、比較のため併記されている通常のソーダ石灰系ガラスのそれが約87%なのに対し、比較例4のガラスのそれは約83%となり、酸化セリウムの添加によってFeO含有量を下げた結果、Fe23が増加し可視短波長域の透過率の低いガラスとなっていることを示している。
実施例1〜4および9〜11のガラス板について、波長500nm、波長1100nmの光線透過率を表3に示す。
Figure 2007112710
表3に示したように、上記各ガラスの透過率は、波長500nmにおいて91%以上、波長1100nmにおいて91%以下(実施例1〜4および9においては90%以下)となった。
さらに、以下の組成のガラスも上記と同様にして作製し、光学特性を調査した。
Figure 2007112710
次に、上記実施例4のガラス(以下、「淡色高透過ガラス」という)、比較例5のガラス(以下、「超低鉄分ガラス」という)および比較例6のガラス(以下、「通常組成のガラス」という)の表面に、それぞれ、CVD法により透明導電膜を形成した。透明導電膜は、SiO2膜とSnO2膜とを積層した膜とした。
成膜方法について説明する。
予め、洗浄した後に乾燥させたガラス板を基板とした。このガラス基板(厚さ3.2mm)を大気開放型の搬送路のメッシュベルトに乗せて、加熱炉を通過させながら、約570℃にまで加熱した。
SiO2膜を形成する場合には、モノシランを原料とした。具体的には、モノシラン、窒素、酸素ガスを、加熱したガラス基板の表面に供給した。
一方、SnO2膜を形成する場合には、モノブチル錫トリクロライドを原料とした。具体的には、モノブチル錫クロライドの蒸気と酸素、窒素を含むガスを、加熱したガラス板の表面に供給した。なお、フッ素を添加したSnO2膜(SnO2:F膜)を形成する場合は、モノブチル錫クロライドの蒸気に、酸素、水蒸気、窒素およびフッ化水素を混合したガスを、上記ガラス基板の表面に供給した。
上記成膜方法により、各種用途を考慮して、以下のように、透明導電膜を形成した。
(アモルファスシリコン太陽電池用および電磁遮蔽ガラス用導電膜付きガラス板の作製、ならびにアモルファスシリコン太陽電池の作製)
上記CVD法により、図3に示したように、上記3種類のガラス板2上に、SiO2膜(膜厚:20nm)3aとSnO2:F膜(膜厚:700nm)3bとを、この順に成膜した。この膜のシート抵抗値は、10Ω/スクエアであった。この値は、アモルファスシリコン太陽電池の基板や電磁遮蔽ガラスとして用いる場合に通常要求されるシート抵抗値を下回っている。
これらの導電膜付きガラス板について、350〜750nmの波長域における分光透過率特性を測定した。結果を図6に示す。図6に示したように、アモルファスシリコン太陽電池の変換効率に重要な影響を与える波長域(特に500〜600nm)においては、淡色高透過ガラスを用いた場合の光線透過率は、超低鉄分ガラスを用いた場合と比較しても遜色のない値となった。一方、通常組成のガラスを用いた場合の導電膜付きガラス板では、上記波長域における光線透過率は大きく低下した。
さらに、上記CVD法により、図4に示したように、上記3種類のガラス板2上に、SnO2膜(膜厚:25nm)3a、SiO2膜(膜厚:25nm)3bおよびSnO2:F膜(膜厚:700nm)3cを、この順に形成した。この膜のシート抵抗値は、9Ω/スクエアであった。この値は、アモルファスシリコン太陽電池の基板や電磁遮蔽ガラスとして用いる場合に通常要求されるシート抵抗値を下回っている。
これらの導電膜付きガラス板について、350〜750nmの波長域における分光透過率特性を測定した。結果を図7に示す。図7に示したように、アモルファスシリコン太陽電池の変換効率に重要な影響を与える波長域(特に500〜600nm)においては、淡色高透過ガラスを用いた場合の光線透過率は、超低鉄分ガラスを用いた場合と比較しても遜色のない値となった。一方、通常組成のガラスを用いた場合の導電膜付きガラス板では、上記波長域における光線透過率は大きく低下した。
以上のように、淡色高透過ガラスを用いた導電膜付きガラス板は、超低鉄分ガラスを用いた場合と比較して、長波長域(概略、赤色波長域以上)における光線透過率は若干劣るものの、アモルファスシリコン太陽電池の変換効率に大きな影響を与える波長域においては、遜色のない特性を示した。電磁遮蔽用ガラスとして用いる場合にも、視感度が高い500nm付近の波長域において、上記と同様、超低鉄分ガラスを用いた場合と同等の透過特性が得られる。このように、上記淡色高透過ガラスを用いると、従来高価な原料を用いなければ得られなかった特性を、低コストで得ることができた。
アモルファスシリコン太陽電池および電磁波遮蔽用窓ガラスに用いる場合には、特に限定するものではないが、上記SnO2:F膜の膜厚は、600nm〜1000nmが好ましい。また、上記各用途に供する場合には、透明導電膜のシート抵抗値は、10Ω/スクエア以下が好ましい。
さらに、図4に示した膜構成を有する上記導電膜付きガラス板を用いて、図5に示した膜構成を有するアモルファスシリコン太陽電池を作製した。アモルファスシリコン(a−Si:H)層4は、水素ガスで希釈されたモノシランを原料とし、グロー放電を用いたプラズマCVD法により作製した。アモルファスシリコン層4は、pin接合が形成されるように、透明導電膜側から順に、p層(膜厚:10nm程度)、i層(膜厚:300〜350nm程度)、n層(膜厚:40nm程度)を積層した。なお、p層の成膜時にはメタンおよびジボランを、n層の成膜時にはフォスフィンを、それぞれ原料ガスに添加して成膜した。引き続いて、アモルファスシリコン層4の表面上に、金属電極層5として、真空蒸着法によりアルミニウム膜を形成した。
このようにして製造した太陽電池の変換効率を、上記3種類のガラス板を用いた場合について同条件で測定したところ、通常組成のガラスを用いた場合を1.0として、超低鉄分のガラスを用いた場合、および淡色高透過ガラスを用いた場合の変換効率は、1.1となった。
(低放射高断熱複層ガラス用、透明発熱体用および情報表示機器用透明導電膜付きガラス板の作製)
上記CVD法により、上記3種類のガラス板上に、図4に示した膜構成と同様に、SnO2膜(膜厚:25nm)、SiO2膜(膜厚:25nm)およびSnO2:F膜(膜厚:350nm)を、この順に形成した。この膜のシート抵抗値は、14Ω/スクエアであった。この値は、複層ガラス用低放射ガラス、冷蔵庫扉板用の透明発熱体、または情報表示機器用ガラス基板として用いるために、通常要求されるシート抵抗値を下回っている。また、垂直放射率は0.13であった。
これらの導電膜付きガラス板について、350〜2000nm付近の波長域における分光透過率特性を測定した。結果を図8に示す。図8に示したように、可視光域において、淡色高透過ガラスを用いた導電膜付きガラス板の光線透過率は、超低鉄分ガラスを用いた場合と比較すると、赤色波長域において若干低下しているものの、視感度の高い550nm近辺の波長域においては、遜色のない特性を示している。一方、通常組成のガラス板を用いた場合の導電膜付きガラス板では、上記波長域における光線透過率が大きく低下している。
なお、淡色高透過ガラスを用いた導電膜付きガラス板は、通常組成のガラス板を用いた場合と比較して、特に、赤色可視域から近赤外域における透過率が高くなっている。この点は、低放射高断熱複層ガラスにおける寒冷地での暖房負荷の削減には有利となる。
以上のように、淡色高透過ガラスを用いた導電膜付きガラス板は、超低鉄分ガラス板を用いた場合と比較して、長波長域(概略、赤色波長域以上)における光線透過率は若干劣るものの、低放射高断熱複層ガラス、透明発熱体および情報表示機器用導電膜付きガラス板として用いる場合に、重視される可視光域(特に視感度の高い波長域)においては、遜色のない特性を示した。上記用途においても、淡色高透過ガラスを用いると、従来高価な原料を用いなければ得られなかった特性を、低コストで得ることができた。
低放射複層ガラス、冷蔵庫の扉板および情報表示機器に組み込んで使用する場合には、特に限定するものではないが、上記SnO2:F膜の膜厚は、50nm〜500nmが好ましい。また、透明導電膜のシート抵抗値は、低放射複層ガラスに供する場合には15Ω/スクエア以下が好ましく、冷蔵庫の扉の発熱体として用いる場合には50Ω/スクエア〜500Ω/スクエアが好ましく、情報表示機器に組み込むガラス基板として用いる場合には100Ω/スクエア以下が好ましい。
(コピー機原稿台用導電膜付きガラス板の作製)
上記CVD法により、上記3種類のガラス板上に、図3に示した膜構成と同様に、SiO2膜(膜厚:10nm)およびSnO2:F膜(膜厚:25nm)を、この順に形成した。この膜のシート抵抗値は、5kΩ/スクエアであった。この値は、帯電防止効果を付与する目的を十分に達成できる値である。
これらの導電膜付きガラス板について、350〜2000nm付近の波長域における分光透過率特性を測定した。結果を図9に示す。図9に示したように、可視光域において、淡色高透過ガラスを用いた導電膜付きガラス板の光線透過率は、超低鉄分ガラスを用いた場合と比較すると、赤色波長域において若干低下しているものの、可視光域においては、遜色のない特性を示している。一方、通常組成のガラス板を用いた場合の導電膜付きガラス板では、上記波長域における光線透過率が明らかに低下している。
以上のように、淡色高透過ガラスを用いた導電膜付きガラス板は、超低鉄分ガラス板を用いた場合と比較して、複写機の原稿台として用いる場合に重視される可視光域においては、遜色のない特性を示した。このように、上記用途においても、淡色高透過ガラスを用いると、従来高価な原料を用いなければ得られなかった特性を、低コストで得ることができた。
複写機の原稿台に組み込んで使用する場合には、特に限定するものではないが、上記SnO2:F膜の膜厚は、15nm〜50nmが好ましい。また、上記用途に供する場合には、透明導電膜のシート抵抗値は、1kΩ/スクエア〜1000kΩ/スクエアが好ましい。
さらに、以下、導電膜付きガラス板の表面に反射抑制膜を形成する例について説明する。図3を引用して説明した方法により、淡色高透過ガラスの表面に、上記と同様、SiO2膜(膜厚:20nm)とSnO2:F膜(膜厚:700nm)とからなる透明導電膜をこの順に成膜した。
このガラス板を、徐冷炉で徐冷した後、非膜面側表面(上記透明導電膜を形成した表面と反対側の表面)に下記M液をグラビアコート法で塗布し、160W/cmの高圧水銀ランプを用いて10cmの距離から15mW/cm2の照射強度で30秒間の紫外線照射を行い、第1層膜を形成した。続いて、第1層膜の上に下記H液を塗布し、上記高圧水銀ランプを用いてそれぞれ上記と同じ条件(距離・照射強度・照射時間)での紫外線照射を行い、第2層を得た。続いて第2層の上に、下記L2液を塗布し、上記高圧水銀ランプを用いて上記と同じ条件で紫外線照射を行い、第3層とした。これを720℃に加熱した電気炉中で30秒間加熱して、基板表面に第1層膜、第2層膜および第3層膜をこの順に積層したガラス板を得た。
高屈折率膜形成用溶液組成物(H液)の作製:
24.9gの硝酸ビスマス5水和物(ビスマス原料)を118.6gの2−エトキシエタノールに混合し、170.7gのテトライソプロポキシチタン(チタン原料)を加え、60℃で3時間撹拌した。室温に冷却して高屈折率膜形成用溶液組成物を得た(H液)。H液の中にはチタンおよびビスマスが、それぞれTiO2、Bi23 換算で、96、および4各モル%含まれていた。
低屈折率膜形成用溶液組成物(L1液)の作製:
エチルシリケート(コルコート社製「エチルシリケート40」)150gをエチルセロソルブ132gに混合し、0.1モル/リットルの塩酸を18g加え室温で2時間撹拌した(L1液)。
中間屈折率膜形成用溶液組成物(M液)の作製:
酸化物換算でSiO2の量が50モル%となるようにL1液にH液を混ぜ、中間屈折率膜形成用溶液組成物を得た(M液)。M液の中には珪素、チタン、およびビスマスが、それぞれSiO2、TiO2、Bi23換算で、50、49、および1各モル%含まれていた。
低屈折率膜形成用溶液組成物(L2液)の作製:
酸化物換算でSiO2の量が90モル%となるようにL1液にH液を混ぜ、低屈折率膜形成用溶液組成物を得た(L2液)。L2液の中には珪素、チタン、およびビスマスが、それぞれSiO2、TiO2、Bi23換算で、90、9.8、および0.2各モル%含まれていた。
こうして多層の反射抑制膜を形成したガラス板の可視光反射率(反射抑制膜を形成した面から入射する光線についての反射率)は、8.5%であり、反射抑制膜を形成する前と比較して約3%低下した。このガラス板の断面図を図12に示す。このように、反射抑制膜10を形成することにより、反射率低減の効果が得られることが確認できた。図4に示した導電膜付きガラス板に反射抑制膜10を形成したガラス板(図13)においても、上記と同様の反射抑制効果が得られた。
さらに、反射抑制膜の形成工程において、720℃に加熱された電気炉中からガラス板を取り出し、エアノズルからガラス板の両面全面に空気を吹きつけてガラス板を風冷強化した。このガラス板をポンチを用いて破砕したところ、クラックが網目状にガラス板内を自走した。このように、反射抑制膜を形成する際の加熱の後にガラス板を急冷すれば、反射抑制膜の形成とともに、ガラス板を強化ガラスとすることができる。
さらに、以下、導電膜付きガラス板の表面に反射抑制膜を形成する別の例について説明する。図4を引用して説明した方法により、淡色高透過ガラスの表面に、上記と同様、SnO2膜(膜厚:25nm)、SiO2膜(膜厚:25nm)およびSnO2:F膜(膜厚:700nm)をこの順に成膜して透明導電膜を形成した。
次いで、透明導電膜を形成したガラス板の表面をマスクした後、このガラス板を0.05モルのホウ酸および0.008モルの弗化カリウムを添加した濃度1.25モル/リットルの珪弗化水素酸のシリカ飽和水溶液(5リットル)に2時間浸漬した。さらに、ガラス板を取り出し、マスクを除去し、洗浄、乾燥することにより、透明導電膜が形成されていない主表面にシリカスケルトン層を形成した。このシリカスケルトン層の厚さは、100nmであった。
こうしてシリカスケルトン層(反射抑制膜)を形成したガラス板の可視光反射率(反射抑制膜を形成した面から入射する光線についての反射率)は、5.5%であり、反射抑制膜を形成する前と比較して約3.6%低下した。なお、この反射抑制膜付きガラス板の可視光域における分光反射率を図14に示す。このガラス板は、図13とほぼ同様の断面を有し、加熱後急冷することにより、上記と同様、強化ガラスとすることができた。
本発明の太陽電池の一形態を示す部分断面図である。 本発明の複層ガラスの一形態を示す部分断面図である。 本発明の導電膜付きガラス板の一形態を示す断面図である。 本発明の導電膜付きガラス板の一形態を示す断面図である。 本発明の太陽電池の膜構成の例を示す断面図である。 図3に示す膜構成を有する導電膜付きガラス板の例と、従来の導電膜付きガラス板(超低鉄分、通常組成のガラスに同じ膜を形成した場合)との分光透過特性を示すグラフである。 図4に示す膜構成を有する導電膜付きガラス板の例と、従来の導電膜付きガラス板(超低鉄分、通常組成のガラスに同じ膜を形成した場合)との分光透過特性を示すグラフである。 図4に示す膜構成を有する導電膜付きガラス板の別の例と、従来の導電膜付きガラス板(超低鉄分、通常組成のガラスに同じ膜を形成した場合)との分光透過特性を示すグラフである。 図3に示す膜構成を有する導電膜付きガラス板の別の例と、従来の導電膜付きガラス板(超低鉄分、通常組成のガラスに同じ膜を形成した場合)との分光透過特性を示すグラフである。 図1に示した太陽電池の光入射側に反射抑制膜を形成した状態を示す部分断面図である。 図2に示した複層ガラスの大気露出面に反射抑制膜を形成した状態を示す部分断面図である。 図3に示した導電膜付きガラス板の非膜面側に反射抑制膜を形成した形態を示す断面図である。 図4に示した導電膜付きガラス板の非膜面側に反射抑制膜を形成した形態を示す断面図である。 図4に示した導電膜付きガラス板の非膜面側に反射抑制膜を形成したガラス板の可視光域における分光反射率曲線である。
符号の説明
1 導電膜付きガラス板
2 ガラス板
3 透明導電膜
4 アモルファスシリコン層
5 金属電極層
6 空気層
7 スペーサ
8 封着剤
9 ガラス板
10 反射抑制膜
11 アモルファスシリコン太陽電池
12 複層ガラス

Claims (16)

  1. シリカを主成分とし、
    着色成分として、重量%で表示して、
    0.02〜0.06%(ただし、0.06%を含まず)のFe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23)、
    0.024%より少ないFeO、および
    0〜0.5%の酸化セリウムを含有し、
    0.02〜0.2%(ただし、0.2%を含まず)のTiO2を含有し、
    且つFe23に換算したFeOのT−Fe23に対する割合が40%未満である組成からなり、
    3.2mmの厚みにおいて、
    日射透過率が87.5%以上であり、
    C光源を用いて測定した可視光透過率が90%以上であるガラス板が、互いに平行な一対の主表面を有し、
    前記主表面の一方に3層構造の透明導電膜が形成され、前記主表面の他方に反射抑制膜が形成されており、
    前記反射抑制膜が急冷工程を含む方法により形成され、前記ガラス板が前記急冷工程により強化されていることを特徴とする導電膜付きガラス板。
  2. 前記Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23)の含有量が、0.02〜0.045%であり、前記酸化セリウムの含有量が0%である請求項1に記載の導電膜付きガラス板。
  3. シリカを主成分とし、
    着色成分として、重量%で表示して、
    0.02〜0.06%(ただし、0.06%を含まず)のFe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23)、
    0.008%より少ないFeO、および
    0.025〜0.5%の酸化セリウムを含有し、
    0.02〜0.2%(ただし、0.2%を含まず)のTiO2および0.05〜0.3%のSO3を含有し、
    且つFe23に換算したFeOのT−Fe23に対する割合が20%以下である組成からなり、
    3.2mmの厚みにおいて、
    日射透過率が89.5%以上、
    C光源を用いて測定した可視光透過率が90%以上、
    ISO 9050に規定された紫外線透過率が60%以下であり、
    且つC光源を用いて測定した主波長が540nmより大きいガラス板が、互いに平行な一対の主表面を有し、
    前記主表面の一方に3層構造の透明導電膜が形成され、前記主表面の他方に反射抑制膜が形成されており、
    前記反射抑制膜が急冷工程を含む方法により形成され、前記ガラス板が前記急冷工程により強化されていることを特徴とする導電膜付きガラス板。
  4. 前記ガラス板が、3.2mmの厚さにおいて、
    波長500nmにおける光線透過率が91%以上であり、
    波長1100nmにおける光線透過率が91%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の導電膜付きガラス板。
  5. 石灰石およびドロマイトを含む原料から製造された請求項1〜4のいずれかに記載の導電膜付きガラス板。
  6. 前記透明導電膜が少なくとも1層の金属酸化物層を含み、前記金属酸化物層が酸化錫を主成分とする層を含む請求項1〜5のいずれかに記載の導電膜付きガラス板。
  7. 前記酸化錫を主成分とする層が、塩素、フッ素およびアンチモンから選ばれる少なくとも1つを含む請求項6に記載の導電膜付きガラス板。
  8. 前記透明導電膜が、フロート法によるガラス板製造工程におけるガラスリボン上において、前記ガラスリボンが有する熱を利用することにより形成される請求項1〜7のいずれかに記載の導電膜付きガラス板。
  9. 前記反射抑制膜が、塗布液を塗布した後、焼成して形成される請求項1〜8のいずれかに記載の導電膜付きガラス板。
  10. 前記急冷工程が、前記焼成に引き続いて行われるものである請求項9に記載の導電膜付きガラス板。
  11. 前記反射抑制膜が、屈折率が互いに異なる複数の層を含む請求項1〜10のいずれかに記載の導電膜付きガラス板。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の導電膜付きガラス板と、前記導電膜付きガラス板の透明導電膜の表面上に形成された光電変換層とを備えたことを特徴とする光電変換素子。
  13. 2枚のガラス板を空気層、不活性ガス層または減圧層を介して対向するように配置した複層ガラスであって、前記2枚のガラス板のうちの少なくとも一方を請求項1〜11のいずれかに記載の導電膜付きガラス板としたことを特徴とする複層ガラス。
  14. 請求項13に記載の複層ガラスを扉に配置し、前記複層ガラスに含まれる透明導電膜を発熱体として利用することを特徴とする冷蔵庫。
  15. 請求項1〜11のいずれかに記載の導電膜付きガラス板を含み、前記導電膜付きガラス板を通して情報を表示することを特徴とする情報表示機器。
  16. 請求項1〜11のいずれかに記載の導電膜付きガラス板を含み、前記導電膜付きガラス板を通して複写する情報を光学的に読みとることを特徴とする複写機。
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