JPH08208280A - 複層ガラス - Google Patents

複層ガラス

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JPH08208280A
JPH08208280A JP30530695A JP30530695A JPH08208280A JP H08208280 A JPH08208280 A JP H08208280A JP 30530695 A JP30530695 A JP 30530695A JP 30530695 A JP30530695 A JP 30530695A JP H08208280 A JPH08208280 A JP H08208280A
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glass
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double glazing
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infrared absorbing
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Kenji Murata
健治 村田
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 室内外を反転するだけで太陽光エネルギーの
遮蔽の程度を大きく変化させることができる複層ガラス
を提供する。 【構成】 2枚の板ガラス(1)、(2)が空間層
(3)を介して向かい合っており、一方のガラス(1)
が太陽光の近赤外領域を吸収する特性を有するガラスで
あり、その近赤外吸収ガラス(1)の空間層(3)側に
低放射率コーティング(4)が形成されている複層ガラ
スである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物や輸送機材
等に用いられているガラス窓のうち、内面と外面を反転
させることができる機能を持った窓に供する複層ガラス
に関する。さらに詳しくは、内面と外面を反転すること
により太陽光エネルギーの室内への流入量を制御するこ
とができる、透視性に優れた複層ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】日本などの温帯地方では夏期と冬期の気
温差が大きく、住宅や自動車等では夏期は冷房により、
冬期は暖房により室内の気温を制御し快適性を維持して
いる。このため、冷暖房エネルギーコスト削減のために
は、夏期は流入する太陽光エネルギーをできる限り除去
し、冬期は太陽光エネルギーをできる限り取り入れるこ
とのできる窓ガラスが望まれている。
【0003】一般のガラス窓は、冬期には充分な太陽光
エネルギーを室内に取り込むことができる。例えば、3
mm厚さのフロート板ガラス1枚からなるガラス窓は、
垂直入射した太陽光エネルギーのうち88%を室内に取
り込むことができる。しかしながら、このようなガラス
窓は、夏期には室内に大量の太陽光エネルギーが入り込
み冷房コストを著しく増大させてしまう欠点がある。
【0004】また、太陽光エネルギーの室内への流入を
防ぐ機能を有する熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスが、
夏期の冷房コストを削減することを目的として商品化さ
れている。しかしながら、このようなガラス窓は、冬期
には室内に流入する太陽光エネルギーを遮蔽してしまう
ので、太陽熱で室内を暖めることができず、暖房コスト
を増大させてしまう欠点があった。
【0005】冬期には太陽光エネルギーを積極的に取り
込み、夏期には遮蔽する機能を有する窓ガラスがGra
nqvist博士らによって提案されている(C.G.Gran
qvist, "Energy-Efficient Windows: Options with Pre
sent and Forthcoming Technology", in "Large Area C
hromogenics: Materials and Devices for Transmittan
ce Control" SPIE Optical Engineering Press; Vol. I
S4, Sep.1989, p. A3:1-35)。エレクトロクロミックガ
ラス、サーモクロミックガラス等のいわゆるスマートウ
ィンドゥと呼ばれるガラスがそれにあたる。これらは、
エレクトロクロミックガラスは電気的なスィッチングに
よって、またサーモクロミックガラスは温度によって自
動的にその太陽光エネルギーの透過特性を変化させるこ
とができ、冬期には太陽光を透過し、夏期には遮蔽する
というエネルギー調節機能を窓ガラスに付与することが
できる。しかしながら、これらの特殊なガラスは依然と
して研究開発段階であり、窓ガラスに応用できるだけの
大面積化や長期安定性が確立されておらず、いまだ市場
には出ていない。
【0006】ガラス窓の分野で確立されている技術の組
み合わせにより、太陽光エネルギーの室内への流入量を
制御する機構が提案されている。実開平6−63782
号公報には、複層ガラスを室内外反転可能機構を有する
サッシと組み合わせることにより、冬期には太陽光エネ
ルギーを積極的に取り込み、夏期には遮蔽する機能を持
たせた窓ガラスが開示されている。この複層ガラスを構
成する2枚の板ガラスの片側には、低放射率コーティン
グ等の熱反射膜が複層ガラス内面側に形成されたガラス
が用いられており、冬期にはコーティングが形成された
ガラスを室内側に配設することによって室内の輻射熱を
反射すると共に室外からの太陽光は有効に透過し、夏期
には反転させてコーティングが形成されたガラスを室外
側に配設することにより、室内側からの輻射熱は透過し
て室外に放出させると共に太陽光を反射する機能を有す
るとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者の研究によると、上述の室内外反転機能付き複層ガラ
ス窓には次のような問題点があることがわかった。
【0008】まず室内からの輻射熱については、室温の
熱輻射エネルギースペクトルの最大値が波長8〜10μ
mにあり、この波長領域が一般のフロートガラスの吸収
帯にあたる。そのため、コーティングが形成されたガラ
スを室内側に配設した場合、コーティングは積層ガラス
内側に形成されているので、ガラス側から入射した輻射
熱は膜に達する前にガラスに吸収されてしまう。そのた
め、低放射率コーティングは輻射熱を直接反射すること
はできず、吸収された熱がガラスの両表面から再放射す
る際に室内への再放射の割合を増大させる役割を有する
だけである。
【0009】一方、反転させてコーティングが形成され
たガラスを室外側に配設した場合、室内からの輻射熱は
室内側ガラスに吸収再放射されてコーティングガラスの
膜面側に入射し、低放射率コーティングにより反射され
る。この反射と、前述のコーティングが形成されたガラ
スを室内側に配設した場合の室内側への再放射の増大が
同じコーティングの放射率により決定されるため、結果
的に室内からの輻射熱がどの程度室外側に放出されるか
については、低放射率コーティングガラスが室内側であ
ろうと室外側であろうとほとんど差がない。
【0010】次に太陽光については、一般住宅に用いら
れている比較的可視光透過率の高い低放射率コーティン
グの太陽光エネルギーの反射率が、ガラス面側入射の場
合と膜面側入射の場合であまり差がないことがわかっ
た。可視光透過率の低い低放射率コーティングではガラ
ス面側と膜面側で太陽光に対する反射率を大きく変える
ことが可能となるが、可視光透過率の低いガラス窓は一
般住宅では好まれない。そのため、一般住宅で好まれる
ような比較的可視光透過率の高い低放射率コーティング
を施した複層ガラスの室内外を反転させても、太陽光エ
ネルギーの遮蔽の程度の差が、日射遮蔽係数に換算して
0.20未満であり、冬期には太陽光エネルギーを取り
入れ夏期には遮蔽する機能を充分には有していないこと
がわかった。
【0011】本発明は上記のような欠点を解消し、一般
住宅で好まれる透視性を保持したまま、室内外を反転さ
せるだけで太陽光エネルギーの遮蔽の程度を日射遮蔽係
数に換算して0.20以上変化させることができる窓ガ
ラスユニットを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の複層ガラスは、構成されている2枚の板ガ
ラスのうち一方の板ガラスが太陽光の近赤外領域を吸収
する特性を有する近赤外吸収ガラスであり、その板ガラ
スの複層ガラス内部の空間層側に低放射率コーティング
が形成されており、前記近赤外吸収板ガラスが室内側に
配設された時の日射遮蔽係数と他方の板ガラスが室内側
に配設された時の日射遮蔽係数の差が0.20以上、望
ましくは0.25以上で、可視光透過率が45%以上、
望ましくは60%以上であることを特徴とする。
【0013】本発明に係わる複層ガラスの構成要素を、
以下に順に説明する。
【0014】近赤外吸収ガラスは、窓ガラスの透視性を
なるべく高く保ったまま、できるだけ多くの太陽光エネ
ルギーを吸収できることが望ましい。太陽光エネルギー
スペクトルは波長340〜2500nmの領域に広がっ
ており、波長380〜780nmに広がり550nmに
最大値を持つ視感度曲線と同じ波長領域に最大値を持っ
て近赤外領域に長く裾を引いている。従って、可視光透
過率を高く保ったまま近赤外光を多く吸収するように、
近赤外吸収ガラスは、近赤外領域の中央である波長11
00nm付近に吸収の最大があることが好ましい。その
程度は、波長1100nmでの透過率で表して40%以
下、望ましくは30%以下であることが好ましい。
【0015】このような近赤外吸収ガラスはガラスの組
成にFeOやCuO等の成分を加えることにより作製す
ることができるが、フロートガラス製造工程では、この
中でFeOを加える方法が、技術的に容易でコスト的に
も安価であり、特に好ましい方法である。
【0016】通常フロートガラスにもFeOは少量含ま
れており、その吸収によってガラス厚さを厚くすると波
長1100nmでの透過率を低くすることができる。例
えば、通常フロートガラスの厚さを19mmにすると波
長1100nmでの透過率を40%以下にすることがで
きる。このようなガラスも本発明の近赤外吸収ガラスと
して用いることができる。しかしながら、このようにガ
ラス厚さを厚くすることによって近赤外領域の吸収を大
きくする方法を用いると複層ガラスユニットの重量が増
加してしまうので、一般住宅用の窓に供するのは適当で
はない。従って、通常フロートガラス組成よりもFeO
成分を増やすことにより、単位ガラス厚さ当たりの波長
1100nmでの透過率を通常フロートガラスよりも低
くして、一般住宅用の窓として普通使用される厚さ3〜
5mmの範囲の近赤外吸収ガラスを用いることが、複層
ガラスユニットの軽量化のために望ましい。
【0017】低放射率コーティングに要求される特性と
しては、窓ガラスの透視性を高く保ったまま、室温の輻
射熱に対する放射率が低いことが挙げられる。このよう
な要求特性を満たすために、コーティングの可視光透過
率を高く保ったまま、コーティングの垂直放射率を0.
35以下、より望ましくは0.20以下にすることが好
ましい。
【0018】このような低放射率コーティングは、スプ
レー法、CVD法、蒸着法、スパッタリング法等によっ
て酸化物半導体膜や誘電体/金属/誘電体サンドイッチ
構造膜をガラス表面に直接コーティング又は透明フィル
ム上にコーティングして、後から貼り合わせる等の方法
により近赤外吸収ガラス表面に形成することが可能であ
る。中でも、CVD法によるフッ素添加酸化スズ膜やス
パッタリング法によるスズ添加酸化インジウム膜、同じ
くスパッタリング法による誘電体/銀/誘電体サンドイ
ッチ構造膜をガラス表面に直接コーティングする方法
は、近年最も広く用いられている。これらの方法の中
で、CVD法によるフッ素添加酸化スズ膜のコーティン
グはフロートガラス製造工程中で実施することができ、
大量生産に適しておりコスト的に安価で、特に好ましい
方法である。
【0019】なお、本構成の複層ガラスの低放射率コー
ティング面以外に本発明の機能を損なわない程度のコー
ティングを付与することは、本発明の範囲内である。
【0020】本発明中における複層ガラスは、JIS
R 3209−1986[複層ガラス]中の定義「2枚以上
の板ガラスを一様の間げきをおいて並置し、その間げき
に外気圧に近い圧力の乾燥空気を満たし、その周辺を封
着したもの」に従ったものを代表例とするが、必ずしも
これに限定されるものではない。
【0021】例えば、2枚のガラス間隙を満たす気体
は、乾燥していれば大気組成とは異なったガス組成であ
っても良い。なお、間隙を満たす気体を大気組成ガスか
らArガスやKrガスに置換すれば、その優れた熱特性
により複層ガラスの断熱性を向上させることができる。
また、同一の断熱性をより小さなガラス間隙で実現する
ことができる。
【0022】ほぼ一様なガラス間隙を確保する工夫がな
されていれば、ガラス間隙内圧力は外気圧と異なってい
ても良い。圧力を大気圧より小さくできれば、複層ガラ
スの断熱性はより向上する。また、同一の断熱性をより
小さなガラス間隙で実現することができる。
【0023】乾燥空気という要請は、2枚のガラスの対
向面上で気体が露点温度に達して結露が発生するのを防
止するためであるが、結露を生じさせないための工夫が
なされていれば乾燥していなくても良い。
【0024】また、ガラス周辺部の封着は上述の諸条件
を満たし、且つガラス内面をクリーンに維持するための
一手段であるが、不完全な封着であっても、または積極
的にガラス間隙内の気体を置換する装置が付設されてい
ても、結果的に複層ガラスの断熱性と透視性に悪影響を
及ぼさなければ良い。
【0025】窓枠の室内外反転機構そのものは本発明の
範囲内ではないが、本発明の複層ガラスが供することの
できる、内面と外面を反転させることができる機能を有
する窓としては、はめ殺し窓の場合は複層ガラス自体が
窓枠内に反転自在に取り付け可能な機構により、また、
はめ殺し窓以外の場合は、引き違い、片引き、開き、滑
り出し、上げ下げ、回転、内倒し等の機構により、窓ガ
ラスの室内面と室外面を反転させることができる機能を
有する窓を挙げることができる。
【0026】次に可視光透過率、垂直放射率、日射遮蔽
係数の計算方法について説明する。
【0027】単板ガラス及び単板コーティングガラスの
可視光透過率を求めるには、まず波長380〜780n
mの分光透過率を測定し、その測定値を用いてJIS
R3106-1985[板ガラスの透過率・反射率・日射熱
取得率試験方法]に従って計算で求める。複層ガラスの
可視光透過率は、構成する単板ガラスの波長380〜7
80nmの分光透過率と分光反射率の値を用いてJIS
R 3106-1985[板ガラスの透過率・反射率・日
射熱取得率試験方法]に従って計算で求める。
【0028】単板コーティングガラスのコーティング形
成面の垂直放射率を求めるには、波長4.5〜25μm
の分光反射率を測定し、その測定値を用いてJIS R
3106-1985[板ガラスの透過率・反射率・日射熱
取得率試験方法]に従って計算で求める。コーティング
を被覆していない面の垂直放射率はJIS R 310
6-1985[板ガラスの透過率・反射率・日射熱取得率試
験方法]に従い、0.894とした。
【0029】複層ガラスの日射遮蔽係数(SC,Shading
Coefficient)は、次式によって求める。
【0030】SC=(当該複層ガラスの日射熱取得率)
/(3mm厚の通常単板フロートガラスの日射熱取得
率)
【0031】日射熱取得率とは、窓ガラスに入射する太
陽光エネルギーについて、直接室内側に到達するエネル
ギーとガラスに吸収されてから室内側に伝達するエネル
ギーとの和の入射エネルギーに対する比をいう。日射熱
取得率を求めるためにはJIS R 3106-1985
[板ガラスの透過率・反射率・日射熱取得率試験方法]
に従い、構成する単板ガラスの波長340〜1800n
mの分光透過率と分光反射率の測定値と上記垂直放射率
の値を用いて計算で求める。
【0032】
【作用】前記のように構成された複層ガラスにおいて
は、低放射率コーティングが複層ガラスの対向面側にな
るように形成されている近赤外吸収ガラスを室外側にな
るように配設すると、室外側から入射する太陽光エネル
ギーは近赤外領域の大半が室外側のガラスに吸収され、
残されたエネルギーしか室内側のガラスや更にその内部
に到達しない。室外側の近赤外吸収ガラスに吸収された
太陽エネルギーは、熱エネルギーに変換されてガラスの
両面から再放射されるが、複層ガラスの対向面側に形成
された低放射率コーティングによって複層ガラス内面に
向いた室内側よりも室外側に向けて放射される熱エネル
ギーの割合の方が大きくなる。これらの作用により、低
放射率コーティングが形成されている近赤外吸収ガラス
を室外側になるように配設すると、室外側から室内に流
入する太陽光エネルギーを低く押さえることが可能とな
る。
【0033】複層ガラスの向きを反転して低放射率コー
ティングが形成されている近赤外吸収ガラスを室内側に
なるように配設すると、室外側から入射する太陽光エネ
ルギーは室外側のガラスを透過して室内側の近赤外吸収
ガラスに多くが吸収される。しかしこの配置では、近赤
外吸収ガラスに吸収された太陽エネルギーは、室外側よ
りも室内側に向けて再放射される割合の方が大きくな
る。というのは、複層ガラスの対向面側に形成された低
放射率コーティングは今度は室外側を向いているからで
ある。室内側に向けて再放射された熱エネルギーは、直
接室内に放出される。これらの作用により、低放射率コ
ーティングが形成されている近赤外吸収ガラスを室内側
になるように配設すると、室外側から室内に流入する太
陽光エネルギーを大きくすることが可能となる。
【0034】このように本発明の複層ガラスは、太陽光
エネルギーの吸収や吸収された熱の再放射の方向が適正
に制御されているので、複層ガラスを室内外に反転する
だけで太陽光エネルギーの遮蔽性を大きく変化させるこ
とができる。
【0035】
【実施例】
(実施例1)通常のフロートガラスの原料に鉄分を添加
して溶融成形することにより、平板状で厚さ3mmの近
赤外吸収ガラスを作製した。近赤外領域の吸収率は原料
中への鉄分と還元物質の添加量及びガラス溶融雰囲気の
還元性を制御することにより調整した。作製された近赤
外吸収ガラスは、可視光透過率77.0%、波長110
0nmでの透過率24.6%であった。
【0036】この近赤外吸収ガラスの片側表面に、図2
に示すようなコーティング機構を4セット有した、いわ
ゆる4チャンバーからなるCVD装置により、酸化スズ
膜を主体とする低放射率コーティングを膜付した。膜付
は、洗浄した近赤外吸収ガラスを図2に示したコーティ
ング装置の入口(8)にセットし、所定のコーティング
領域に搬送する間にヒーター(10)によって所定温度
まで加熱し、加熱されたガラス表面にコーティングノズ
ル(11)によって原料ガスが導入され、ガスが熱分解
反応を起こすことにより実施される。なお本実施例で
は、コーティング時のガラス表面温度が650℃になる
ようヒーターを制御した。以下にコーティングの詳細に
ついて記述する。
【0037】まず、ガラスを第1チャンバー(16)に
搬送し、第1層として酸化スズ膜を形成した。次いで第
2チャンバー(17)にて第2層として酸化珪素膜を形
成し、引き続いて、第3、第4チャンバー(18)、
(19)にて第3層としてフッ素添加した酸化スズ膜を
形成した。形成された膜の厚さは、第1層が約30n
m、第2層が約22nm、第3層が約240nmであっ
た。それぞれの膜の作製条件は以下の通りである。第1
層目の酸化スズ膜は、第1チャンバーにて、スズ原料と
してのモノブチルスズトリクロライド(C49SnCl
3)を150℃に加熱し、その蒸気を窒素ガスを搬送ガ
スとして搬送ガス1モル当たり0.001モル濃度にて
搬送し、コーティングノズルに導入すると共に、酸化ガ
スとしての酸素ガスを同ノズルに別系統から導入し、ガ
ラス表面上にて熱分解反応及び酸化反応を起こさせるこ
とにより形成した。第2層目の酸化珪素膜は、第2チャ
ンバーにて、珪素原料としてのモノシラン(SiH4
ガスをボンベから直接ノズルに導入し、酸化ガスとして
の酸素ガスを前述の酸化スズ膜の場合と同様に別系統か
らノズルに導入し、ガラス表面上にて熱分解反応及び酸
化反応を起こさせることにより形成した。第3層目のフ
ッ素添加した酸化スズ膜は、第3及び第4チャンバーに
て第1層目の酸化スズ膜と基本的に同じ方法で形成し
た。但し、モノブチルスズトリクロライド蒸気は搬送ガ
ス1モル当たり0.01モル濃度と第1層目の10倍の
濃度とした。また、フッ素原料としてトリフルオロアセ
テート(CF3COOH)を加熱し、その蒸気を窒素ガ
スを搬送ガスとしてノズルに別系統から導入した。な
お、スズ原料の分解反応促進のため、水蒸気を窒素ガス
を搬送ガスとして搬送ガス1モル当たり5モル濃度にて
搬送し、別系統からノズルに供給した。
【0038】このようにして得られたフッ素添加した酸
化スズ主体のコーティングでは、第1層の酸化スズと第
2層の酸化珪素はガラスと第3層のフッ素添加した酸化
スズ膜の間の屈折率調整層として機能するため、フッ素
添加した酸化スズ層の光の干渉によって生じる虹色を低
減する効果がある。第3層のフッ素添加した酸化スズ膜
は、酸化物半導体としての性質により良好な可視光透過
性と共に電導性を有しており、室温の輻射熱の波長領域
を反射する特性があり、ガラス表面を低放射率にする役
割を担う。
【0039】低放射率コーティング形成後の近赤外吸収
ガラスの光学特性を測定したところ、可視光透過率は6
9.8%、波長1100nmでの透過率は21.5%、
コーティングされた面の垂直放射率は0.19であっ
た。
【0040】このようにして得られた、低放射率コーテ
ィングされた近赤外吸収ガラスを1枚のガラスとし、3
mm厚さの通常フロートガラスをもう1枚のガラスとし
て組み合わせて図1のような複層ガラスを作製した。そ
の際、低放射率コーティングされた面(4)がもう1枚
のガラス(2)と対向するように配置し、空間層(3)
の厚さが12mmとなるように2枚のガラスの周辺にア
ルミニウム製スペーサー(5)をブチルゴム(6)で接
着した。スペーサー(5)中には空間層(3)を乾燥雰
囲気に保つための乾燥剤を充填した。このようにして作
製された複層ガラスの特性は、可視光透過率が63.5
%、近赤外吸収ガラスを室外側に配設したときの日射遮
蔽係数が0.52、近赤外吸収ガラスを室内側に配設し
たときの日射遮蔽係数が0.80であって、室内外反転
時の日射遮蔽係数の差は0.28であった。
【0041】(実施例2)実施例1によって得られた低
放射率コーティングされた近赤外吸収ガラスを用いて、
図1での空間層(3)の厚さが6mmとなるようにアル
ミニウムスペーサー(5)を調整して実施例1と同様の
方法で複層ガラスを作製した。このようにして得られた
複層ガラスの特性は、可視光透過率が63.5%、近赤
外吸収ガラスを室外側に配設したときの日射遮蔽係数が
0.55、近赤外吸収ガラスを室内側に配設したときの
日射遮蔽係数が0.77であって、室内外反転時の日射
遮蔽係数の差は0.22であった。
【0042】(実施例3)実施例1と同様の方法で近赤
外吸収ガラスを作製した。但し、原料中への鉄分と還元
物質の添加量及びガラス溶融雰囲気の還元性を調整する
ことにより、厚さ3mmの近赤外吸収ガラスの光学特性
を、可視光透過率82.5%、波長1100nmでの透
過率39.6%とした。
【0043】このガラスに実施例1と同様の方法で低放
射率コーティングを形成したところ、光学特性は、可視
光透過率74.8%、波長1100nmでの透過率3
4.6%、コーティングされた面の垂直放射率0.19
であった。
【0044】この低放射率コーティングされた近赤外吸
収ガラスを用いて、実施例1と同様の方法で複層ガラス
を作製した。この複層ガラスの特性は、可視光透過率が
68.0%、近赤外吸収ガラスを室外側に配設したとき
の日射遮蔽係数が0.61、近赤外吸収ガラスを室内側
に配設したときの日射遮蔽係数が0.82であって、室
内外反転時の日射遮蔽係数の差は0.21であった。
【0045】(実施例4)実施例1と同様の方法で作製
した近赤外吸収ガラスに実施例1と同様の方法で低放射
率コーティングを形成した。但し、第4番目のチャンバ
ーではコーティングを行わず、第3層のフッ素添加した
酸化スズの膜厚を実施例1の約半分とした。この低放射
率コーティングされた近赤外吸収ガラスの光学特性は、
可視光透過率73.0%、波長1100nmでの透過率
20.0%、コーティングされた面の垂直放射率0.3
4であった。
【0046】この低放射率コーティングされた近赤外吸
収ガラスを用いて、実施例1と同様の方法で複層ガラス
を作製した。この複層ガラスの特性は、可視光透過率が
66.4%、近赤外吸収ガラスを室外側に配設したとき
の日射遮蔽係数が0.55、近赤外吸収ガラスを室内側
に配設したときの日射遮蔽係数が0.78であって、室
内外反転時の日射遮蔽係数の差は0.23であった。
【0047】(実施例5)実施例1と同様の方法で作製
した近赤外吸収ガラスに実施例1と同様の方法で低放射
率コーティングを形成した。但し、4つのコーティング
チャンバーに第5番目のチャンバーを加えて、該チャン
バーで第3、4チャンバーと同様のコーティングを行
い、第3層のフッ素添加した酸化スズの膜厚を実施例1
の約1.5倍とした。この低放射率コーティングされた
近赤外吸収ガラスの光学特性は、可視光透過率70.7
%、波長1100nmでの透過率20.8%、コーティ
ングされた面の垂直放射率0.14であった。
【0048】この低放射率コーティングされた近赤外吸
収ガラスを用いて、実施例1と同様の方法で複層ガラス
を作製した。この複層ガラスの特性は、可視光透過率が
64.3%、近赤外吸収ガラスを室外側に配設したとき
の日射遮蔽係数が0.51、近赤外吸収ガラスを室内側
に配設したときの日射遮蔽係数が0.81であって、室
内外反転時の日射遮蔽係数の差は0.30であった。
【0049】(比較例1)3mm厚さの通常のフロート
ガラスに実施例1と同様の方法で低放射率コーティング
を施した。この低放射率コーティングガラスの光学特性
は、可視光透過率81.8%、波長1100nmでの透
過率69.8%、コーティングされた面の垂直放射率
0.19であった。
【0050】このガラスを1枚のガラスとし、3mm厚
さの通常フロートガラスをもう1枚のガラスとして組み
合わせ、実施例1と同様の方法で複層ガラスを作製し
た。この複層ガラスの特性は、可視光透過率が74.4
%、低放射率コーティングガラスを室外側に配設したと
きの日射遮蔽係数が0.78、低放射率コーティングガ
ラスを室内側に配設したときの日射遮蔽係数が0.85
であって、室内外反転時の日射遮蔽係数の差は0.07
であった。
【0051】(比較例2)実施例1と同様の方法で近赤
外吸収ガラスを作製し、低放射率コーティングを施さず
に、このガラスを1枚のガラスとし、3mm厚さの通常
フロートガラスをもう1枚のガラスとして組み合わせ、
実施例1と同様の方法で複層ガラスを作製した。この複
層ガラスの特性は、可視光透過率が69.9%、近赤外
吸収ガラスを室外側に配設したときの日射遮蔽係数が
0.62、近赤外吸収ガラスを室内側に配設したときの
日射遮蔽係数が0.80であって、室内外反転時の日射
遮蔽係数の差は0.18であった。
【0052】(実施例6)実施例1と同様の方法で近赤
外吸収ガラスを作製し、この近赤外吸収ガラスの片側表
面に、図3に示すような、カソードを2セット有した、
いわゆるロードロック式インライン型マグネトロンスパ
ッタリング装置により、酸化亜鉛/銀/酸化亜鉛サンド
イッチ構造膜からなる低放射率コーティングを膜付し
た。膜付は、洗浄した近赤外吸収ガラス(20)を図3
に示したコーティング装置の入口(21)からロードロ
ックチャンバー(22)に搬送して所定の圧力まで真空
排気し、コーティングチャンバー(23)に搬送した
後、コーティングチャンバー(23)中にスパッタリン
グガス(24)を導入し、カソード(25)に電圧を引
加し放電を発生させて、カソード(25)にセットされ
た材料をスパッタリングすることにより実施される。な
お本実施例では、コーティング時のガラスは特に加熱せ
ず室温にて膜付した。以下にコーティングの詳細につい
て記述する。
【0053】まず、チャンバー中に酸素ガスを圧力0.
3Paとなるように導入し、亜鉛ターゲットをセットし
たカソードに直流電圧440Vを印加して酸素ガスとの
反応性スパッタリングを引き起こして、カソード下をガ
ラスを往復させることにより、第1層として酸化亜鉛膜
を形成した。次に、チャンバー中のガスをArガスに切
り替え圧力0.3Paとなるようにし、銀ターゲットを
セットしたカソードに直流電圧485Vを印加してスパ
ッタリングにより、第2層として銀膜を形成した。その
次に、第2層と同じArガス雰囲気中で、亜鉛ターゲッ
トをセットしたカソードに直流電圧360Vを印加する
ことにより、第3層として亜鉛膜を形成した。最後に、
第1層と同様の方法で第4層の酸化亜鉛膜を形成した。
膜の厚さはガラスを往復させる速度と往復回数により調
節し、第1層を約37nm、第2層を約10nm、第3
層を約1nm、第4層を約45nmとした。
【0054】このようにして得られたコーティングで
は、第1層の酸化亜鉛膜はガラスと第2層の銀膜との間
の屈折率調整層として、第4層の酸化亜鉛膜は第2層の
銀膜と空気との間の屈折率調整層として機能するため、
可視光透過率を高める効果がある。第3層の薄い亜鉛膜
は、第4層の酸化亜鉛膜を膜付する際に第2層の銀膜を
保護する働きがあり、その時に酸化物に変化する。第2
層の銀膜は良好な電導性を有しており、室温の輻射熱の
波長領域を反射して、ガラス表面を低放射率にする役割
を担う。
【0055】低放射率コーティング形成後の近赤外吸収
ガラスの光学特性を測定したところ、可視光透過率は7
3.7%、波長1100nmでの透過率は12.2%、
コーティングされた面の垂直放射率は0.08であっ
た。
【0056】このようにして得られた、低放射率コーテ
ィングされた近赤外吸収ガラスを1枚のガラスとし、実
施例1と同様の方法で複層ガラスを作製した。このよう
にして作製された複層ガラスの特性は、可視光透過率が
66.8%、近赤外吸収ガラスを室外側に配設したとき
の日射遮蔽係数が0.49、近赤外吸収ガラスを室内側
に配設したときの日射遮蔽係数が0.73であって、室
内外反転時の日射遮蔽係数の差は0.24であった。
【0057】(実施例7)実施例1と同様の方法で近赤
外吸収ガラスを作製し、この近赤外吸収ガラスの片側表
面に、実施例6と同様の方法で低放射率コーティングを
膜付した。但し、低放射率コーティングを酸化亜鉛/銀
/酸化亜鉛/銀/酸化亜鉛の構成のサンドイッチ構造膜
とした。
【0058】膜の厚さは、ガラス側から第1層の酸化亜
鉛膜を約37nm、第2層の銀膜を約9nm、第3層の
亜鉛膜を約1nm(この層は第4層膜付後には酸化亜鉛
膜となる)、第4層の酸化亜鉛膜を約70nm、第5層
の銀膜を約12nm、第6層の亜鉛膜を約1nm(この
層は第7層膜付後には酸化亜鉛膜となる)、第7層の酸
化亜鉛膜を約43nmとした。
【0059】このようにして得られたコーティングで
は、第1層と第7層の酸化亜鉛膜は実施例6の場合と同
じく、それぞれガラスと第2層の銀膜との間、もしく
は、第5層の銀膜と空気との間の屈折率調整層として機
能するため、可視光透過率を高める効果がある。第4層
の酸化亜鉛膜は第2層と第5層の銀膜の間でキャビティ
層として働き、可視光透過率を高める効果がある。第3
層と第6層の薄い亜鉛膜は、実施例6の場合と同じよう
に第2層と第5層の銀膜を保護する働きがある。第2層
と第5層の銀膜は、合わせて、ガラス表面を低放射率に
する役割を担う。
【0060】低放射率コーティング形成後の近赤外吸収
ガラスの光学特性を測定したところ、可視光透過率は6
7.5%、波長1100nmでの透過率は2.6%、コ
ーティングされた面の垂直放射率は0.04であった。
【0061】このようにして得られた、低放射率コーテ
ィングされた近赤外吸収ガラスを1枚のガラスとし、実
施例1と同様の方法で複層ガラスを作製した。このよう
にして作製された複層ガラスの特性は、可視光透過率が
61.0%、近赤外吸収ガラスを室外側に配設したとき
の日射遮蔽係数が0.40、近赤外吸収ガラスを室内側
に配設したときの日射遮蔽係数が0.60であって、室
内外反転時の日射遮蔽係数の差は0.20であった。
【0062】(比較例3)比較例1と同じ3mm厚さの
通常のフロートガラスに実施例5と同じ低放射率コーテ
ィングを施した。この低放射率コーティングガラスの光
学特性は、可視光透過率は85.9%、波長1100n
mでの透過率は39.9%、コーティングされた面の垂
直放射率は0.08であった。
【0063】この低放射率コーティングガラスを1枚の
ガラスとし、実施例1と同様の方法で複層ガラスを作製
した。このようにして作製された複層ガラスの特性は、
可視光透過率が78.1%、低放射率コーティングガラ
スを室外側に配設したときの日射遮蔽係数が0.70、
低放射率コーティングガラスを室内側に配設したときの
日射遮蔽係数が0.76であって、室内外反転時の日射
遮蔽係数の差は0.06であった。
【0064】(比較例4)比較例1と同じ3mm厚さの
通常のフロートガラスに実施例6と同じ低放射率コーテ
ィングを施した。この、低放射率コーティングガラスの
光学特性は、可視光透過率は79.0%、波長1100
nmでの透過率は8.6%、コーティングされた面の垂
直放射率は0.04であった。
【0065】この低放射率コーティングガラスを1枚の
ガラスとし、実施例1と同様の方法で複層ガラスを作製
した。このようにして作製された複層ガラスの特性は、
可視光透過率が71.4%、低放射率コーティングガラ
スを室外側に配設したときの日射遮蔽係数が0.51、
低放射率コーティングガラスを室内側に配設したときの
日射遮蔽係数が0.62であって、室内外反転時の日射
遮蔽係数の差は0.11であった。
【0066】(実施例8)実施例1によって得られた低
放射率コーティングされた近赤外吸収ガラスを用いて、
実施例2と同様のアルミニウムスペーサーを用いて空間
層6mmの複層ガラスを作製した。但し、スペーサーに
2つの穴をあけ、一方の穴からボンベでArガスを流入
させ、1時間後に穴を封止する方法によって、空間層の
気体をArで置換した。このようにして得られた複層ガ
ラスの可視光透過率は、Arガスが可視光領域で吸収を
持たないために実施例1、2と同様の63.5%であ
る。しかし、日射遮蔽係数については、JISではAr
ガスが封入された複層ガラスの日射熱取得率の計算方法
が示されていないので、次のように求めた。
【0067】JIS R 3106−1985[板ガラスの
透過率・反射率・日射熱取得率試験方法]では、日射熱
取得率の求め方として、構成する単板ガラスの波長34
0〜1800nmの分光透過率と分光反射率の測定値と
垂直放射率の値を用いて計算で求める方法の他に、複層
ガラスの熱コンダクタンスを実測してこの値を利用する
方法が示されている。これに従い、作製したガラスの熱
コンダクタンスを保護熱箱法によって測定で求め、この
値と分光透過率、反射率の値から日射熱取得率を計算し
た。その結果は、近赤外吸収ガラスを室外側に配設した
ときの日射遮蔽係数が0.53、近赤外吸収ガラスを室
内側に配設したときの日射遮蔽係数が0.79であっ
て、室内外反転時の日射遮蔽係数の差は0.26であっ
た。
【0068】(実施例9)実施例1によって得られた低
放射率コーティングされた近赤外吸収ガラスを用いて複
層ガラスを作製した。但し、ステンレス製の微小スペー
サーを2枚の板ガラス間に均一に配置して空間層を0.
2mmに保持すると共に、ガラスの周囲を低融点ガラス
によって封着し、さらに板ガラスの1箇所に設けた穴か
らガラス間隙を真空引きした後に封じ切ることによっ
て、空間層内のガス圧力を0.1Pa以下にした。この
ようにして得られた複層ガラスの可視光透過率は、実施
例1、2、8と同様の63.5%であって、スペーサー
が微小であるために透視性も良好であった。また、実施
例8と同様の方法で求めた日射遮蔽係数は、赤外吸収ガ
ラスを室内側に配設したときの日射遮蔽係数が0.82
であって、室内外反転時の日射遮蔽係数の差は0.32
であった。
【0069】以上示したように、通常のフロートガラス
を低放射率コーティングしただけのガラス、または、低
放射率コーティング無しの近赤外吸収ガラスを用いて作
製した複層ガラスでは、室内外反転時の日射遮蔽係数の
差はいずれも0.20未満であるのに対し、低放射率コ
ーティングされた近赤外吸収ガラスを用いた複層ガラス
では、室内外反転時の日射遮蔽係数の差を0.20以上
にすることができることが明らかである。
【0070】
【発明の効果】本発明の複層ガラスは以上説明したよう
に構成されているので、夏期には太陽光エネルギーの室
内への流入を防ぐことができ、冬期には室内外を反転さ
せるだけで太陽光エネルギーを室内に有効に取り入れる
ことができ、年間を通して冷暖房コストを削減し省エネ
ルギーに寄与することができる。
【0071】また、このような効果を有するガラス窓を
一般住宅で好まれるような高い透視性を保ったままで実
現できる利点がある。
【0072】さらに、このような効果を有するガラス窓
を軽量に、かつ薄く構成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施態様を示すものであり、低
放射率コーティングされた近赤外吸収ガラスを用いた複
層ガラスの模式断面図である。
【図2】低放射率コーティングを施すために用いられる
CVD装置の模式断面図である。
【図3】低放射率コーティングを施すために用いられる
スパッタリング装置の模式断面図である。
【符号の説明】
1 近赤外吸収ガラス 2 板ガラス 3 空間層 4 低放射率コーティング 5 スペーサー 6 接着剤 7 ガラス 8 コーター入口 9 コーター出口 10 ヒーター 11 コーティングノズル 12 搬送ベルト 13 原料ガス 14 パージガス 15 排気 16 第1チャンバー 17 第2チャンバー 18 第3チャンバー 19 第4チャンバー 20 ガラス 21 入口 22 ロードロックチャンバー 23 コーティングチャンバー 24 スパッタリングガス 25 スパッタリングカソード 26 排気 27 搬送コンベア 28 ゲートバルブ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚の板ガラス(1)、(2)を空間層
    (3)を介して対向させ、一方の板ガラス(1)が太陽
    光の近赤外領域を吸収する特性を有する近赤外吸収ガラ
    スであり、前記板ガラス(1)の空間層(3)側に低放
    射率コーティング(4)が形成されている複層ガラスで
    あって、前記近赤外吸収ガラス(1)が室内側に配設さ
    れた時の日射遮蔽係数と前記板ガラス(2)が室内側に
    配設された時の日射遮蔽係数の差が0.20以上で、か
    つ可視光透過率が45%以上であることを特徴とする複
    層ガラス。
  2. 【請求項2】 前記日射遮蔽係数の差が0.25以上で
    ある請求項1記載の複層ガラス。
  3. 【請求項3】 前記可視光透過率が60%以上である請
    求項1記載の複層ガラス。
  4. 【請求項4】 前記近赤外吸収ガラスの低放射率コーテ
    ィング形成前の波長1100nmでの透過率が40%以
    下である請求項1記載の複層ガラス。
  5. 【請求項5】 前記近赤外吸収ガラスの低放射率コーテ
    ィング形成前の波長1100nmでの透過率が30%以
    下である請求項1記載の複層ガラス。
  6. 【請求項6】 前記低放射率コーティングの垂直放射率
    が0.35以下である請求項1記載の複層ガラス。
  7. 【請求項7】 前記低放射率コーティングの垂直放射率
    が0.20以下である請求項1記載の複層ガラス。
  8. 【請求項8】 前記低放射率コーティングとして酸化物
    半導体膜が少なくともその一部に用いられている請求項
    1、6または7のいずれか記載の複層ガラス。
  9. 【請求項9】 前記低放射率コーティングとして銀を主
    体とする膜が少なくともその一部に用いられている請求
    項1、6または7のいずれか記載の複層ガラス。
  10. 【請求項10】 前記酸化物半導体膜としてフッ素を添
    加した酸化スズ膜が用いられている請求項8記載の複層
    ガラス。
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