JPH10120447A - 複層ガラス - Google Patents

複層ガラス

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Publication number
JPH10120447A
JPH10120447A JP8272143A JP27214396A JPH10120447A JP H10120447 A JPH10120447 A JP H10120447A JP 8272143 A JP8272143 A JP 8272143A JP 27214396 A JP27214396 A JP 27214396A JP H10120447 A JPH10120447 A JP H10120447A
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JP
Japan
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glass
glass plate
low emissivity
emissivity coating
double
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Application number
JP8272143A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Kawahara
哲郎 河原
Kenji Murata
健治 村田
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Publication date
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  • Securing Of Glass Panes Or The Like (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 室内からの輻射伝熱を抑制して断熱性能を向
上させた複層ガラスを提供する。 【構成】 複数枚のガラス板が、その全周にわたってス
ペーサを介して厚み方向に間隔をおいた状態で並設され
ており、少なくとも最も外側に配設されたガラス板のう
ち一方のガラス板の外側面に低放射率コーティングが形
成されている複層ガラスである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数枚のガラス板
を、その全周にわたってスペーサを介して厚み方向に間
隔をおいた状態で並設させた複層ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来この種の複層ガラスとしては、低放
射率コーティング等の熱反射膜がスペーサを介して対向
するガラス表面に形成されたものが知られており、中間
層の輻射伝熱を抑え、断熱性能を向上させるようにして
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば、冬季など室内
外での気温差が大きい場合には、例えば3mm厚さのフ
ロート板ガラス単枚で構成されている窓ガラスでは、ガ
ラス板に近付くと冷え冷えとした感じを受けることがあ
る。これに対して、従来の複層ガラスでは断熱性能の向
上によって室内側のガラス板のガラス表面の温度が高く
なるため、冷え冷え感は幾分抑えられるものの、その効
果は小さかった。これは、室内側ガラス表面の温度が室
温より低く、かつガラス表面の垂直放射率が0.84
(半球放射率)と高いため、衣服の表面からガラス表面
への輻射によって熱が奪われるためである。
【0004】本発明は、上記した従来技術の欠点を解消
し、室内からの輻射伝熱を抑制して断熱性能を向上させ
た複層ガラスを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記従来の問題を解決す
るために、本発明は、複数枚のガラス板を、その全周に
わたってスペーサを介して厚み方向に間隔をおいた状態
で並設させた複層ガラスであって、少なくとも最も外側
に配設されたガラス板のうち一方のガラス板の外側面に
低放射率コーティングが形成されていることを特徴とす
る複層ガラスである。
【0006】また本発明は、複数枚のガラス板を、その
全周にわたってスペーサを介して厚み方向に間隔をおい
た状態で並設させた複層ガラスであって、少なくとも最
も外側に配設されたガラス板のうち一方のガラス板の外
側面に低放射率コーティングが形成され、該外側面に低
放射率コーティングが形成されたガラス板を室内側とし
て開口部に取り付けたことを特徴とする複層ガラスであ
る。
【0007】また本発明は、複数枚のガラス板を、その
全周にわたってスペーサを介して厚み方向に間隔をおい
た状態で並設させた複層ガラスであって、最も外側に配
設されたガラス板のうち一方のガラス板の外側面と、ス
ペーサを介して対向する少なくとも一方のガラス板の内
側面に低放射率コーティングが形成されていることを特
徴とする複層ガラスである。
【0008】さらに本発明は、複数枚のガラス板を、そ
の全周にわたってスペーサを介して厚み方向に間隔をお
いた状態で並設させた複層ガラスであって、最も外側に
配設されたガラス板のうち一方のガラス板の外側面と、
スペーサを介して対向する少なくとも一方のガラス板の
内側面に低放射率コーティングが形成され、該外側面に
低放射率コーティングが形成されたガラス板を室内側と
して開口部に取り付けたことを特徴とする複層ガラスで
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係る複層ガラスの構成要
素を、以下に説明する。
【0010】本発明において、複層ガラスを開口部に取
り付けた場合に、低放射率コーティングは少なくとも室
内側に配設されたガラス板の室内側のガラス表面に形成
されていることが必要である。また、前述以外のガラス
表面にも低放射率コーティングが形成されていれば、断
熱性能がさらに向上するので好ましい。
【0011】本発明における低放射率コーティングは、
スパッタリング法、CVD法、粉体法、スプレー法、蒸
着法等によって、酸化物半導体膜や誘電体/金属/誘電
体サンドイッチ構造膜等をガラス表面に直接コーティン
グまたは透明フィルム上にコーティングして、後からこ
の透明フィルムをガラス表面に貼り合わせる等の方法に
より形成することが可能である。中でも、CVD法によ
りフッ素をドープした酸化錫膜やスパッタリング法によ
る錫をドープした酸化インジウム膜、同じくスパッタリ
ング法による誘電体/銀/誘電体サンドイッチ構造膜を
ガラス表面に直接コーティングする方法は、近年最も広
く用いられている。これらの中で、コーティング膜が屋
内環境に晒されることを考慮すれば、CVD法による酸
化物半導体膜が耐久性に優れており、とりわけフッ素を
ドープした酸化錫膜が望ましい。
【0012】このような低放射率コーティングに要求さ
れる特性としては、例えば窓ガラスの透視性を高く保っ
たまま、室温の輻射熱に対する放射率が低いことが挙げ
られる。このような要求特性を満たすために、コーティ
ングの垂直放射率を0.35以下、より望ましくは0.
20以下にすることが好ましい。
【0013】次に、垂直放射率の計算方法について説明
する。単板コーティングガラスのコーティング形成面の
垂直放射率を求めるには、波長4.5〜25μmの分光
反射率を測定し、その測定値を用いてJIS R310
6-1985[板ガラスの透過率・反射率・日射熱取得率試
験方法]に従って計算で求める。
【0014】本発明において、2枚のガラス間隙を満た
す気体は、乾燥していれば大気組成と異なったガス組成
であっても良い。なお、間隙を満たす気体を大気組成ガ
スからArガスやKrガスに置換すれば、その優れた熱
的特性により複層ガラスの断熱性を向上させることがで
きる。また、同一の断熱性をより小さなガラス間隙で実
現することができる。さらに、ほぼ一様なガラス間隙を
確保する工夫がなされていれば、ガラス間隙内圧力は外
気圧と異なっていても良い。
【0015】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。図1は、本発明に係るの複層ガラスの一実施
例の模式的断面図で、低放射率コーティング2が被覆さ
れたガラス板1aとガラス板1bとがスペーサ8を介し
て並設されており、全周にわたって接着剤9により接着
されている。ガラス板1a、1bのガラス間隙には乾燥
空気が封入されている。なお、図1においてガラス板1
a側を室外、ガラス板1b側を室内とし、室外に面した
ガラス表面から順に#1、#2、#3、#4とする。
【0016】(実施例1)ガラス板の片側表面に、コー
ティング機構をセットしたCVD装置により、酸化錫膜
を主体とする低放射率コーティングを成膜した。成膜
は、洗浄したガラス板をコーティング装置の入口にセッ
トし、所定のコーティング領域に搬送する間にヒータに
よってガラス板を所定温度まで加熱し、加熱されたガラ
ス板表面にコーティングノズルによって原料ガスを導入
し、ガスが熱分解反応を起こすことにより形成した。
【0017】このようにして得られた、垂直放射率0.
2の低放射率コーティングが形成されたガラス板と、3
mm厚さの通常フロートガラスとを組み合わせて複層ガ
ラスを作成した。その際、低放射率コーティングが形成
された面を外側になるように配設し、ガラス間隙が6m
mとなるように2枚のガラス板の周辺にアルミニウム製
スペーサをブチルゴムで接着した。スペーサ中にはガラ
ス間隙を乾燥雰囲気に保つための乾燥剤を充填した。こ
の複層ガラスを、低放射率コーティングが形成された面
を室内側(#4)として建物等の開口部に取り付けた
(図1)。
【0018】得られた複層ガラスの熱的特性を測定した
結果を、表1に示す。熱貫流率は2.31kcal/m
2h℃、外気温0℃で室温20℃の時の室内側のガラス
表面(#4)の温度は9.5℃、人体からガラス板表面
への輻射熱量は14.7*A*F(kcal/m2
h)であった。このように、断熱性能が向上していると
ともに輻射伝熱量が大幅に抑制されていることが分か
る。ここで、前記Aは体表面積、Fは形態係数である。
【0019】なお、表面温度25℃の衣服から室内側の
ガラス表面(#4)に輻射によって奪われる熱量は、体
表面積(A)と形態係数(F)に比例する。体表面積
(A)は、日本人の成人男性の場合約1.6m2である。
形態係数(F)は体表面から射出される熱輻射のうちガ
ラス表面(#4)に到達するものの割合で、ガラス表面
(#4)と人間の位置関係によって異なるが、おおよそ
0.5と考えればよい。
【0020】また、室内側のガラス板のガラス表面(#
4)は低放射率コーティングが形成されていないガラス
表面(後述する比較例3のガラス表面(#4))に比較
して温度が若干低くなる。これは、低放射率コーティン
グの形成によりガラス表面(#4)での熱貫流抵抗が大
きくなり、ガラス表面(#4)近傍での温度差が大きく
保たれるために、温度が低下するからである。
【0021】このため、室内側のガラス表面(#4)に
結露が発生し易くなり、窓辺で冷やされた空気が室内で
対流して、いわゆる「コールドドラフト現象」が生じる
可能性がある。従って、実施例1の構成は特に夜間に室
内を暖めることの少ない、つまり室内外での気温差が生
じる可能性の少ないオフィスビルのガラス窓等に適用さ
れるのが好ましい。
【0022】
【表1】
【0023】(実施例2)実施例1で得られた、ガラス
板の片側表面に垂直放射率0.2の低放射率コーティン
グが形成された2枚のガラス板を用いて複層ガラスを作
成した。その際、一方のガラス板の低放射率コーティン
グが形成された面が外側になるように配設するととも
に、他方のガラス板の低放射率コーティングを形成され
た面を前記一方のガラス板に対向するように配設し、ガ
ラス間隙が6mmとなるように2枚のガラス板の周辺に
アルミニウム製スペーサをブチルゴムで接着した。スペ
ーサ中にはガラス間隙を乾燥雰囲気に保つための乾燥剤
を充填した。この複層ガラスを、外側のガラス表面に低
放射率コーティングが形成されたガラス板を室内側(#
4)として建物等の開口部に取り付けた(不図示)。
【0024】得られた複層ガラスの熱的特性を測定した
結果を、表1に示す。このように、実施例2においては
断熱性能および室内からの輻射伝熱の抑制効果ともに優
れており、冷え冷え感をかなり抑制することができる。
室内側のガラス表面(#4)の温度は後述する比較例3
の低放射率コーティングが形成されていないガラス板の
ガラス表面(#4)の温度より若干低く結露が生じ易い
が、その程度は僅かである。
【0025】(実施例3)実施例1で得られた、ガラス
板の片側表面に垂直放射率0.2の低放射率コーティン
グが形成されたガラス板を用い、このガラス板の裏面側
にも同様に垂直放射率0.2の低放射率コーティングを
形成させた。このガラス板と3mm厚さの通常フロート
ガラスとを組み合わせて複層ガラスを作成した。ガラス
間隙が6mmとなるように2枚のガラス板の周辺にアル
ミニウム製スペーサをブチルゴムで接着した。スペーサ
中にはガラス間隙を乾燥雰囲気に保つための乾燥剤を充
填した。この複層ガラスを、低放射率コーティングが形
成された面を室内側(#4)として建物等の開口部に取
り付けた(不図示)。
【0026】得られた複層ガラスの熱的特性を測定した
結果を、表1に示す。このように、実施例3も実施例2
と同様に、断熱性能および室内からの輻射伝熱の抑制効
果ともに優れており、冷え冷え感をかなり抑制すること
ができる。
【0027】(実施例4)実施例1で得られた、ガラス
板の片側表面に垂直放射率0.2の低放射率コーティン
グが形成されたガラス板を用いて、このガラス板の裏面
側にスパッタリング法により垂直放射率0.05の低放
射率コーティングを形成させた。
【0028】直流マグネトロンスパッタリング法によ
り、酸化錫膜を主体とする低放射率コーティングを成膜
した。成膜は、洗浄したガラス板をコーティング装置の
入口からロードロックチャンバーに搬送して所定の圧力
まで真空排気し、コーティングチャンバーに搬送した
後、コーティングチャンバー中にスパッタリングガスを
導入し、カソードに電圧を印加し放電を発生させて、カ
ソードにセットされた材料をスパッタリングすることに
より成膜した。なお、コーティング時のガラス板は特に
加熱せずに室温にて成膜した。
【0029】このようにして得られた、表面側に垂直放
射率0.2の低放射率コーティング、裏面側に垂直放射
率0.05の低放射率コーティングが形成されたガラス
板と3mm厚さの通常フロートガラスとを組み合わせて
複層ガラスを作成した。その際、垂直放射率0.2の低
放射率コーティングが形成された面を外側になるように
配設し、ガラス間隙が6mmとなるように2枚のガラス
板の周辺にアルミニウム製スペーサをブチルゴムで接着
した。スペーサ中にはガラス間隙を乾燥雰囲気に保つた
めの乾燥剤を充填した。この複層ガラスを、低放射率コ
ーティングが形成された面を室内側(#4)として建物
等の開口部に取り付けた(不図示)。
【0030】得られた複層ガラスの熱的特性を測定した
結果を、表1に示す。このように、実施例4においては
室内側のガラス表面(#4)の温度が後述する比較例3
の低放射率コーティングを形成していないガラス板のガ
ラス表面(#4)温度とほぼ同じである。
【0031】(比較例1)3mm厚さの通常フロートガ
ラスを単板で用い、この単板ガラスを、建物等の開口部
に取り付けた(不図示)。得られた単板ガラスの熱的特
性を測定した結果を、表1に示す。このように、比較例
1においては熱貫流率および室内からの輻射伝熱量がと
もに多いことが分かる。
【0032】(比較例2)3mm厚さの通常フロートガ
ラスの片側表面に垂直放射率0.2の低放射率コーティ
ングを形成させたものを用いた。この単板ガラスを低放
射コーティングが形成された面を室内側(#2)として
建物等の開口部に取り付けた(不図示)。
【0033】得られた単板ガラスの熱的特性を測定した
結果を、表1に示す。このように、比較例2においては
室内側からの輻射伝熱は抑えられるものの、断熱性能が
低い(熱貫流率が高い)ことが分かる。
【0034】(比較例3)3mm厚さの2枚の通常フロ
ートガラスを用いて、ガラス間隙が6mmとなるように
2枚のガラスの周辺にアルミニウム製スペーサをブチル
ゴムで接着して複層ガラスを作成した。この複層ガラス
を建物等の開口部に取り付けた(不図示)。
【0035】得られた複層ガラスの熱的特性を測定した
結果を、表1に示す。このように、比較例3は比較例1
に比べて断熱性能が格段に向上しているが、室内側から
の輻射伝熱量が相変わらず多く、冷え冷え感を抑えるに
は不十分である。
【0036】(比較例4)3mm厚さの通常フロートガ
ラスと、片側表面に垂直放射率0.2の低放射率コーテ
ィングが形成されたガラス板とを組み合わせて複層ガラ
スを作成した。その際、低放射率コーティングが形成さ
れた面を他方のガラス板に対向するように配設し、ガラ
ス間隙が6mmとなるように2枚のガラス板の周辺にア
ルミニウム製スペーサをブチルゴムで接着した。さら
に、この複層ガラスを低放射率コーティングが形成され
ていないガラス板を室内側として建物等の開口部に取り
付けた(不図示)。
【0037】得られた複層ガラスの熱的特性を測定した
結果を、表1に示す。このように、比較例4は比較例1
〜3より断熱性能がさらに向上しているが、室内側から
の輻射伝熱量はわずかに低下しているにすぎない。
【0038】(比較例5)3mm厚さの通常フロートガ
ラスと、片側表面に垂直放射率0.2の低放射率コーテ
ィングが形成されたガラス板とを組み合わせて複層ガラ
スを作成した。その際、低放射率コーティングが形成さ
れた面を他方のガラス板に対向するように配設し、ガラ
ス間隙が6mmとなるように2枚のガラス板の周辺にア
ルミニウム製スペーサをブチルゴムで接着した。さら
に、この複層ガラスを低放射率コーティングが形成され
たガラス板を室内側として建物等の開口部に取り付けた
(不図示)。
【0039】得られた複層ガラスの熱的特性を測定した
結果を、表1に示す。このように、比較例5も比較例4
と同様に、比較例1〜3より断熱性能がさらに向上して
いるが、室内側からの輻射伝熱量はわずかに低下してい
るにすぎない。
【0040】(比較例6)片側表面に垂直放射率0.2
の低放射率コーティングが形成された2枚のガラス板を
用いて複層ガラスを作成した。その際、低放射率コーテ
ィングが形成された面を相互に対向するように配設し、
ガラス間隙が6mmとなるように2枚のガラス板の周辺
にアルミニウム製スペーサをブチルゴムで接着した。さ
らに、この複層ガラスを建物等の開口部に取り付けた
(不図示)。
【0041】得られた複層ガラスの熱的特性を測定した
結果を、表1に示す。このように、比較例6も比較例
4、5と同様に、比較例1〜3より断熱性能がさらに向
上しているが、室内側からの輻射伝熱量はわずかに低下
しているにすぎない。
【0042】(比較例7)3mm厚さの通常フロートガ
ラスと、片側表面に垂直放射率0.4の低放射率コーテ
ィングが形成されたガラス板とを組み合わせて複層ガラ
スを作成した。その際、低放射率コーティングが形成さ
れた面を外側になるように配設し、ガラス間隙が6mm
となるように2枚のガラス板の周辺にアルミニウム製ス
ペーサをブチルゴムで接着した。さらに、この複層ガラ
スを低放射率コーティングが形成された面を室内側(#
4)として建物等の開口部に取り付けた(不図示)。
【0043】得られた複層ガラスの熱的特性を測定した
結果を、表1に示す。このように、比較例7は体表面か
らの輻射伝熱量が通常の複層ガラス(比較例3)の場合
と比べて約半分になっているが、官能試験の結果では、
やはり冷え冷え感を覚える被験者が多かった。
【0044】文献によれば、日本人男性の休息安静時の
代謝量は約70kcal/h人といわれているが、今体
表面(A)の半分がガラスに面している(形態係数
(F)は0.5)とすると、人体のガラスに面した側か
ら発生する熱量は約35kcal/h人になる。放射に
よる放熱量が代謝量の1/2程度でないと快適さが低下
する。従って、比較例7の効果は不十分である。
【0045】〔別実施態様〕以下に別実施態様を説明す
る。
【0046】〈1〉 本発明の複層ガラスは、先の実施
形態(実施例1〜3)で説明したCVD法による低放射
率コーティングに限定されるものではなく、より放射率
の低いスパッタリング法の他、粉体法、スプレー法、蒸
着法等、他のコーティング方法を適用することも可能で
ある。また、前記した他のコーティング方法を適用した
場合にも、CVD法による低放射率コーティングと同様
の効果を得ることが可能である。 〈2〉 前記低放射率コーティングは、先の実施形態で
説明した酸化錫膜を主体とするものに限定されるもので
はなく、錫をドープした酸化インジウム膜、誘電体/銀
/誘電体サンドイッチ構造膜等を適用することも可能で
ある。 〈3〉 前記低放射率コーティングは、先の実施形態で
説明したガラス表面に直接コーティングする方法に限定
されるものではなく、透明フィルム上にコーティングし
た後に、この透明フィルムをガラス表面に貼り合わせる
方法等により形成することも可能である。 〈4〉 前記複層ガラスは、先の実施形態で説明した2
枚のガラス板で構成したものに限定されるものではな
く、必要に応じて3枚以上用いることも可能である。特
に、室内側のガラス表面(#4)の結露温度をどうして
も下げたくない等の要請がある場合には、ガラス間隙に
面したガラス表面(#2か#3)に低放射率コーティン
グを形成させるとともに、3枚構成の複層ガラスやガラ
ス間隙に希ガスを封入した複層ガラスを使用することが
可能である。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に係る本
発明の特徴構成によれば、少なくとも最も外側に配設さ
れたガラス板のうち一方のガラス板の外側面に低放射率
コーティングが形成されているから、従来の複層ガラス
に比較して断熱性能および室内からの輻射伝熱の抑制効
果ともに優れている。
【0048】請求項2に係る本発明の特徴構成によれ
ば、外側面に低放射率コーティングが形成されたガラス
板を室内側として開口部に取り付けてあるから、断熱性
能および室内からの輻射伝熱の抑制効果ともに優れてお
り、冬季の室内側のガラス表面での結露防止性能を犠牲
にせずに、窓辺での冷え冷え感を抑制することが可能で
ある。
【0049】請求項3に係る本発明の特徴構成によれ
ば、最も外側に配設されたガラス板のうち一方のガラス
板の外側面と、スペーサを介して対向する少なくとも一
方のガラス板の内側面に低放射率コーティングが形成さ
れているから、従来の複層ガラスに比較して断熱性能お
よび室内からの輻射伝熱の抑制効果ともに優れている。
【0050】請求項4に係る本発明の特徴構成によれ
ば、外側面に低放射率コーティングが形成されたガラス
板を室内側として開口部に取り付けてあるから、断熱性
能および室内からの輻射伝熱の抑制効果ともに優れてお
り、冬季の室内側のガラス表面での結露防止性能を犠牲
にせずに、窓辺での冷え冷え感を抑制することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る複層ガラスの模式的断
面図である。
【符号の説明】
1a ガラス板 1b ガラス板 2 低放射率コーティング 8 スペーサ 9 接着剤

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚のガラス板を、その全周にわたっ
    てスペーサを介して厚み方向に間隔をおいた状態で並設
    させた複層ガラスであって、少なくとも最も外側に配設
    されたガラス板のうち一方のガラス板の外側面に低放射
    率コーティングが形成されていることを特徴とする複層
    ガラス。
  2. 【請求項2】 複数枚のガラス板を、その全周にわたっ
    てスペーサを介して厚み方向に間隔をおいた状態で並設
    させた複層ガラスであって、少なくとも最も外側に配設
    されたガラス板のうち一方のガラス板の外側面に低放射
    率コーティングが形成され、該外側面に低放射率コーテ
    ィングが形成されたガラス板を室内側として開口部に取
    り付けたことを特徴とする複層ガラス。
  3. 【請求項3】 複数枚のガラス板を、その全周にわたっ
    てスペーサを介して厚み方向に間隔をおいた状態で並設
    させた複層ガラスであって、最も外側に配設されたガラ
    ス板のうち一方のガラス板の外側面と、スペーサを介し
    て対向する少なくとも一方のガラス板の内側面に低放射
    率コーティングが形成されていることを特徴とする複層
    ガラス。
  4. 【請求項4】 複数枚のガラス板を、その全周にわたっ
    てスペーサを介して厚み方向に間隔をおいた状態で並設
    させた複層ガラスであって、最も外側に配設されたガラ
    ス板のうち一方のガラス板の外側面と、スペーサを介し
    て対向する少なくとも一方のガラス板の内側面に低放射
    率コーティングが形成され、該外側面に低放射率コーテ
    ィングが形成されたガラス板を室内側として開口部に取
    り付けたことを特徴とする複層ガラス。
  5. 【請求項5】 室内側のガラス表面に形成されている低
    放射率コーティングが酸化錫を母材とした酸化物半導体
    膜である請求項1ないし4のいずれかに記載の複層ガラ
    ス。
  6. 【請求項6】 前記低放射率コーティングの垂直放射率
    が0.35以下である請求項1ないし5のいずれかに記
    載の複層ガラス。
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Cited By (10)

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