JP4023981B2 - 窓構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、引き違い戸や上げ下げ戸の窓構造に関し、更に詳しくは、少なくとも2枚の板ガラスを厚み方向に間隔をあけて一体的に形成してある複層ガラスをサッシュ枠に嵌めて戸体を構成し、前記戸体の少なくとも二つをすれ違い自在に配置し、前記各戸体の一枚の板ガラスを、他の板ガラスより低い放射率の低放射率板ガラスに形成してある窓構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、複層ガラスは、二枚の板ガラス間に介在空間を設けてあることによって、熱貫流率が低く断熱性能に優れた戸体を構成することができるものであるが、一方では、板ガラスの放射率が高いため、例えば、前記複層ガラスを一般の建物の窓ガラスに使用した場合には、冬季において屋内空間の温熱が赤外線の形でガラスを経由して屋外空間に放散してしまうという現象があり、これを防止するために、前記各戸体の一枚の板ガラスを、他の板ガラスより低い放射率の低放射率板ガラスに形成し、熱放射し難くしてあった。
尚、ここで放射率とは、熱線を受けて高温化した板ガラスから再び熱が外部に放散される場合において、板ガラスに照射された全熱量のうち、当該板ガラスから再び放散される熱量の比をいう。
【0003】
そして、従来のこの種の窓構造としては、図5に示すように、すれ違い自在に隣接させた戸体2A夫々における低放射率板ガラス5Aと他の板ガラス5Bとの配置は、何れの戸体2Aa・2Abとも同様になるように構成してあった。
即ち、図5(イ)に示すように、戸体2A厚み方向に隣り合う一対の戸体2Aa・2Abの内、窓外側に位置する外戸体2Aa、及び、窓内側に位置する内戸体2Abとも、前記低放射率板ガラス5Aを窓内側に配置してあるか、図5(ロ)に示すように、両戸体2Aa・2Abの内、前記外戸体2Aa、及び、前記内戸体2Abとも、前記低放射率板ガラス5Aを窓外側に配置してあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記低放射率板ガラスは、上述のように、放射率が他の板ガラスに比べて低く、窓を通した内外の放熱は抑制されるものの、その他の板ガラスに比べて近赤外線を吸収し易くなる傾向があり、低放射率板ガラスそのものが日射を受ける際に高温となり易い。
上述した従来の窓構造によれば、前記内戸体と前記外戸体とが重なった状態における両戸体間の空間(以後、単に介在空間という)には、何れかの戸体の低放射率板ガラスが面することとなり、その結果、例えば、窓を開放する等して、内戸体と外戸体とが重なった状態で日射を受けると、前記介在空間に面した低放射率板ガラスが高温となり、それに伴って、前記介在空間に熱がこもった状態となる。この傾向は、戸体が低放射率板ガラスを使用した断熱性の良好な複層ガラスで構成されているから、尚更、単板の板ガラスからなる戸体の場合に比べてより顕著に表れる。
従って、前記介在空間に面した他の板ガラスや、サッシュ枠も温度が上がり、熱歪みを生じて、隣接するサッシュ枠どうしが当接して、戸体の開閉時に擦れて障害となる問題点があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、低放射率板ガラスを使用して、窓としての熱遮断性を維持できながら、日射を受けても戸体開閉をスムースに実施しやすい窓構造を提供するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、図2・3・6に例示するごとく、少なくとも2枚の板ガラス5を厚み方向に間隔をあけて一体的に形成してある複層ガラス4をサッシュ枠3に嵌めて戸体2を構成し、前記戸体2の少なくとも二つをすれ違い自在に配置し、前記各戸体2の一枚の板ガラスを、他の板ガラス5Bより低い放射率の低放射率板ガラス5Aに形成してある窓構造において、戸体厚み方向に隣り合う一対の戸体2の内、窓外側に位置する外戸体2Aaにおいては、前記低放射率板ガラス5Aを窓外側に配置し、窓内側に位置する内戸体2Abにおいては、前記低放射率板ガラス5Aを窓内側に配置してあるところにある。
【0007】
請求項1の発明の特徴構成によれば、前記外戸体においては、前記低放射率板ガラスを窓外側に配置し、前記内戸体においては、前記低放射率板ガラスを窓内側に配置してあるから、前記介在空間には、前記他の板ガラス(低放射率板ガラスより放射率が高い板ガラス)が面することとなり、内戸体と外戸体とが重なった状態で日射を受けたとしても、前記他の板ガラスそのものの温度上昇が低く、合わせて、前記介在空間の温度上昇も低くなり易い。
一方、近赤外線を吸収しやすい前記低放射率板ガラスは、前記空間とは反対側の解放空間(室外側や室内側の空間)に放熱できるから、結果的に、各戸体の全体的な温度の上昇も緩和される。
以上の作用により、内戸体と外戸体とが重なった状態で日射を受けたとしても、サッシュ枠が熱で変形して戸体の開閉操作がし難くなるといったことを緩和でき、窓としての熱遮断性を維持できながら、戸体開閉をスムースに実施することが可能となる。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成は、前記複層ガラス4は、板ガラス5間の空間を減圧してある真空複層ガラスであるところにある。
【0009】
請求項2の発明の特徴構成によれば、請求項1の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、単なる複層ガラスに比べて、より断熱性能の高い真空複層ガラスで構成してあることによって、戸体全体とした断熱性能を維持したまま、上述の作用効果を、より顕著に発揮することが可能となる。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成は、前記低放射率板ガラス5Aは、フッ素を混入させた酸化錫を主成分とする薄膜を前記板ガラス本体5bに一体化して形成してあるところにある。
【0011】
請求項3の発明の特徴構成によれば、請求項1又は2の何れかの発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、例えば500〜700℃に加熱した板ガラスの表面に、四塩化錫(SnCl4 )又はジメチル錫ジクロライド((CH3 )2 SnCl2 )等の錫の有機化合物を気化させたものを、窒素ガス等の搬送ガスによって吹き付けて前記薄膜を得ることができ、この時、フッ素を膜に添加すると、より低い放射率の薄膜にすることができ、良好な低放射率板ガラスを構成することが可能となる。
上記方法によって、例えば0.2〜1.0μm(2000〜10000Å)程度の膜厚を有し、透明で且つ導電性を示すフッ素含有酸化錫膜を得ることができる。この場合、膜中の伝導電子が赤外線を反射する機能を有し、放射率がおよそ0.20〜0.15程度となって断熱性に優れた窓構造を構成することができる。
【0012】
請求項4の発明の特徴構成は、前記低放射率板ガラス5Aは、銀層を透明誘電体層で挟んで構成した複合層を少なくとも一組有する薄膜を、前記板ガラス本体5bに一体化して形成してあるところにある。
【0013】
請求項4の発明の特徴構成によれば、請求項1又は2の何れかの発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、銀層を透明誘電体層で挟んで構成した少なくとも一組の複合層によって低放射率膜層を構成することで、例えば日射中の赤外線を当該薄膜が良好に反射し、屋内空間への赤外線の透過量を低く抑えることができる。
銀は、導電性を有するため赤外線も良好に反射するが、そのままでは可視光線の反射率が高く、窓に必要不可欠な透明性を得ることができない。従って、銀層を両側からTiO2 、ZnO、SnO2 等の透明誘電体層で挟み、銀層の両側からの可視光反射を抑制すれば、透明で且つ赤外線を反射する多層膜を得ることができる。このようにして得た低放射率膜層Mの放射率は、略0.10〜0.05であり、優れた断熱性能を発揮する。
また、このような複合層を二層以上積層することで、低放射率膜層Mの放射率はさらに低減する。例えば、上記複合層を二組積層した場合の放射率は、約0.02〜0.05となり、複合層を一層だけ設ける場合に比べてより優れた断熱効果を有する低放射率膜層を得ることができる。
【0014】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0016】
図1〜3は、本発明に係る窓構造の一実施形態を示すもので、窓Wは、窓枠1に、二枚の引き戸(戸体2の一例)2Aを左右に引き違い自在に嵌め付けて構成してある。
【0017】
前記窓枠1は、建物の窓開口部に設けてあり、二つのレール1a上を前記引き戸2Aが各別にスライドすることで、窓Wを開閉することができるように構成してある。
【0018】
前記引き戸2Aは、サッシュ枠3に複層ガラス4を嵌めて構成してあり、サッシュ枠3に設けた戸車3aが、前記レール1a上を転動できるように形成してある。因みに、前記複層ガラス4は、その外周縁部に、断面「U」字形状の軟質弾性部材で構成されたグレージングチャンネルGを、図4に示すように嵌め付けた状態で前記サッシュ枠3に嵌め付けてあり、サッシュ枠3への複層ガラス4の弾性支持と、サッシュ枠3と複層ガラス4間のシール性の向上を図ってある。
【0019】
前記複層ガラス4は、二枚の板ガラス5をスペーサ6を介して厚み方向に間隔をあけた状態に一体化して構成してあり、当該実施形態においては、両板ガラス5間の中空部7は、乾燥空気が封入してある。更に、前記スペーサ内部6aには、前記中空部7の乾燥状態を維持し易いように、乾燥剤8を封入してある。そして、前記中空部7とスペーサ内部6aとは、前記スペーサ6に設けた通気孔9を通して連通可能な状態に形成してある。
また、複層ガラス4を構成する前記二枚の板ガラス5は、透明のフロート板ガラスで構成してあり、二枚の内の一方の板ガラスは、他の板ガラス5Bより放射率が低い低放射率板ガラス5Aに構成してある。
具体的には、前記低放射率板ガラス5Aは、フッ素を混入させた酸化錫を主成分とする薄膜5aを板ガラス本体5bの板面に、例えばスパッタリング法等の薄膜形成法によって一体化して形成してある。因みに、前記薄膜5aは、板ガラス本体5bの表裏面の内、前記中空部7側を向く面に設けてあれば、複層ガラス4外部に露出しないから、傷付き防止を図ることが可能となる。
因みに、前記低放射率板ガラス5A、及び、透明のフロート板ガラスによって構成してある前記他の板ガラス5Bの日射吸収性能は、それぞれ以下の程度である。
【0020】
低放射率板ガラスの日射吸収率=10〜40%
他の板ガラスの日射吸収率<低放射率板ガラスの日射吸収率
【0021】
但し、日射吸収率は、次式で求められる。
日射吸収率=1−(日射透過率+日射反射率)
日射透過率・日射反射率は、JISR−3106に基づいて求められる。
【0022】
そして、前記低放射率板ガラス5Aの配置に関しては、図2・3に示すように、厚み方向に隣り合う二つの引き戸2Aの内、窓外側に位置する外引き戸(外戸体に相当)2Aaにおいては、前記低放射率板ガラス5Aを窓外側に配置し、窓内側に位置する内引き戸(内戸体に相当)2Abにおいては、前記低放射率板ガラス5Aを窓内側に配置してある。
従って、外引き戸2Aaと内引き戸2Abとが重なるように窓を開けた状態においては、図3に示すように、窓外側から窓内側にかけた各板ガラスの配置順序は、外引き戸2Aaの低放射率板ガラス5A、前記中空部7を挟んで外引き戸2Aaの前記他の板ガラス5B、両引き戸2Aa・2Ab間の介在空間Vを挟んで内引き戸2Abの前記他の板ガラス5B、前記中空部7を挟んで内引き戸2Abの低放射率板ガラス5Aという順となる。
【0023】
本実施形態における窓構造によれば、窓を閉めてある状態においては、複層ガラス4が備えた良好な熱遮断性によって、断熱性の高い窓構造とすることができる一方、両引き戸2Aa・2Abが重なるように窓を開けてある状態においては、日照を受けても、熱吸収しやすい前記低放射率板ガラス5Aは、前記介在空間Vからは離間して窓外(室外)側、又は、窓内(室内)側に露出し、自由に放熱できるため、窓に熱がこもり難い窓構造とすることができる。
従って、断熱性に富むと共に、日照による両引き戸の熱変形が生じ難く、開閉操作をスムースに実施し易い窓を提供することが可能となる。
【0024】
【実施例】
外引き戸2Aaと内引き戸2Abとを介在空間V(空気層)を挟んだ状態に重ねた窓に対して、窓外(室外)側温度30℃、窓内(室内)側温度25℃となる日射環境下での各板ガラス温度や空間温度の測定を実施した結果を図6〜8に示す。
【0025】
各引き戸は、それぞれ3ミリ厚の前記低放射率板ガラス5Aと前記他の板ガラス5Bとから構成してあり、図6〜8の各(イ)・(ロ)に示すものは、両板ガラス5A・5B間の中空部7が、乾燥空気封入空間に構成してある(所謂、複層ガラス)引き戸の一対からなる窓の測定結果であり、図6〜8の各(ハ)に示すものは、前記中空部7を、減圧空間(圧力が1.33Pa(0.01Torrに相当)以下に保持)に構成してある(所謂、真空複層ガラス)引き戸の一対からなる窓の測定結果である。
また、前記乾燥空気封入空間は、12mm厚みに、前記減圧空間は、0.2mm厚みに、前記介在空間Vは、30mm厚みに設定してある。
【0026】
そして、各板ガラスの配置は、窓外側から低放射率板ガラス5A、他の板ガラス5B、他の板ガラス5B、低放射率板ガラス5Aの順による配置(図6参照)のもの、及び、他の板ガラス5B、低放射率板ガラス5A、他の板ガラス5B、低放射率板ガラス5Aの順による配置(図7参照)のもの、他の板ガラス5B、低放射率板ガラス5A、低放射率板ガラス5A、他の板ガラス5Bの順による配置(図8参照)のものについて夫々温度測定を実施した。
因みに、前記図6に記載のものが、本発明による窓構造に該当する。
【0027】
また、前記低放射率板ガラス5Aとしては、先の実施形態で説明したように薄膜5aを板ガラス本体5bの面上に一体化して構成してあるが、具体的には、図6・8に示すものについては、加熱した板ガラス本体5bの上に四塩化錫(Sncl4 )、ジメチル錫ジクロライド((CH3 )2 SnCl2 )の他、モノメチル錫トリクロライド(CH3 SnCl3 )、モノブチル錫トリクロライド(C4 H9 SnCl3 )等の錫の有機化合物を、蒸気または霧状にして噴霧することによって、前記薄膜5aを板ガラス本体5bに一体化してある。噴霧に際しては、例えば、フッ化水酸(HF)、トリフルオロ酢酸(CF3 COOH)、フロンガス等のフッ素化合物を適宜混合させるとさらに高い赤外線反射機能を得ることができる。膜厚は、0.2〜1.0μm(2000〜10000Å)に形成するのが好ましく、これによって得られた板ガラスの放射率は、およそ0.20〜0.15である。
一方、前記図7に示すものについては、板ガラス本体5bの表面に、酸化錫、酸化亜鉛等の酸化物膜を第一層としてスパッタリング法によって形成し、次に、銀あるいは前述と同じ酸化物膜を第二層として積層して、低放射率板ガラス5Aを形成してある。この場合には、前記第一層は0.01〜0.05μm(100〜500Å)に形成し、銀の層は0.005〜0.02μm(50〜200Å)に、さらに、第2層目の酸化物膜は0.01〜0.05μm(100〜500Å)程度に形成する。このようにして得られた板ガラスの放射率は0.10〜0.05である。
【0028】
以上の測定結果より、本発明による窓構造に相当する(図6参照)については、他の窓構造に比べて、各板ガラスや空間の温度上昇が全般に少なく、且つ、各板ガラスどうしの温度のバラツキも少ないから、サッシュ枠の熱歪みも生じ難い状態となっている。
一方、低放射率板ガラス5Aどうしが、介在空間Vに面する状態に形成してある構造のもの(図8参照)においては、前記介在空間Vの温度が他のものに比べて一番高く、引き戸の表裏面での温度差が大きいことから、サッシュの変形の可能性が非常に高いものである。
また、低放射率板ガラス5Aと前記他の板ガラス5Bとが交互に位置する構造のもの(図7参照)においても、上述の低放射率板ガラス5Aどうしが介在空間Vに面する状態のものと同様の傾向が強い。
よって、本実施形態の窓構造であれば、屋外空間と屋内空間との間で生じる熱貫流と赤外線の透過とをより確実に抑えることができる断熱窓を構成できながら、太陽光を受けてサッシュ枠が変形してスムースに開閉できなくなるといったことを防止することができる。
【0029】
〔別実施形態〕
〈1〉 前記戸体2は、先の実施形態で説明したように左右に引き違い自在に形成された一対の引き戸2Aに限るものではなく、上下にすれ違い自在に設けられた上げ下げ窓に用いる上げ下げ戸であってもよく、それらを含めて戸体という。
〈2〉 前記低放射率板ガラス5Aは、先の実施形態においては、フッ素を混入させた酸化錫を主成分とする薄膜5aを板ガラス本体5bに一体的に設けて構成した例を示したが、本構成に限られるものではなく、例えば、銀層を透明誘電体層で挟んで構成した複合層を少なくとも一組有する薄膜を板ガラス本体5bに一体化して構成してあるものであってもよい。要するに、放射率が0.2以下程度となるものであればよく、それらを含めて低放射率板ガラスと総称する。
尚、銀は、導電性を有するため赤外線も良好に反射するが、そのままでは可視光線の反射率が高く、窓に必要不可欠な透明性を得ることができない。従って、銀層を両側からTiO2 、ZnO、SnO2 等の透明誘電体層で挟み、銀層の両側からの可視光反射を抑制すれば、透明で且つ赤外線を反射する多層膜を得ることができる。このような多層膜は、各層の厳密な膜厚管理が必要であるため、一般的には物理蒸着法、工業的には大面積に処理可能なスパッタリング法によって膜を形成するのが一般的である。
上記銀層が良好な透明性を有するためには、銀層の膜厚が重要なパラメーターとなる。具体的には、前記銀層は、0.005〜0.02μm(50〜200Å)の厚みに形成する。
一方、前記銀層を挟む両側の透明誘電体層の膜厚は屈折率によって最適化すれば良く、例えば、0.01〜0.05μm(100〜500Å)の範囲で設定する。
このようにして得た低放射率板ガラスの放射率は、略0.10〜0.05であり、これは、上記酸化錫薄膜を設けた低放射率板ガラスが有する放射率よりも優れている。ただし、銀層は、空気中の水分等によって容易に凝集劣化し、外観および放射率が劣化するので、保管等に際しての取扱いには注意を要する。
また、前記低放射率の薄膜5aは、上記のような多層膜を、更に二層以上積層すれば、より優れた特性を得ることも可能である。その場合、夫々の複合層を形成する個々の膜の膜厚は、複合層を一層だけで構成する場合に比べて、より厳密に設定する必要がある。上記複合層を二組積層した場合には放射率が約0.02〜0.05となり、断熱性能がさらに優れた低放射率板ガラスを得ることができる。
ただし、銀層中の伝導電子は波長1〜2μm程度の近赤外線を僅かに吸収する。この近赤外線領域は、地上に照射される太陽光のエネルギーの約50%を占める。そのため、低放射率の薄膜5aを有しないソーダライムフロートガラス等に比べて日射を吸収し易く、日照時の温度上昇が大きくなる。
〈3〉 前記中空部7には、所謂複層ガラスの場合、乾燥空気を封入するが、その他のものとして、アルゴンあるいはクリプトン等のガスを封入しておいてもよい。これらの希ガスは、前記中空部7の内部で対流し難いため、二枚の板ガラス間での熱伝達を抑制し、断熱効果を高めることができる。
また、上記ガスを封入しておけば、前記中空部7の内部で結露が生じるのをより確実に防止して、長期にわたって清浄なガラス表面を維持することができる。また、複層ガラスとしては、これら以外にも、両板ガラス間の空間を減圧して断熱効果を高めた所謂真空複層ガラスであってもよい。
〈4〉 前記板ガラス5は、先の実施形態で説明した厚み3mmのものに限るものではなく、他の厚みの板ガラス5であってもよい。
また、板ガラスの種別は任意に選定することが可能であり、例えば型板ガラス、すりガラス(表面処理により光を拡散させる機能を付与したガラス)、網入りガラス又は強化ガラスや熱線吸収、紫外線吸収、熱線反射等の機能を付与した板ガラスや、それらとの組み合わせであってもよい。
〈5〉 また、ガラスの組成については、ソーダ珪酸ガラス(ソーダ石灰シリカガラス)や、ホウ珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラスの他、各種結晶化ガラスであってもよい。
〈6〉 前記複層ガラス4は、長さや巾寸法が同じ板ガラス5を組み合わせて構成してもよいし、長さや巾寸法が異なる板ガラス5を組み合わせて構成してもよく、両板ガラス5の重ね方は、端縁部どうしが揃う状態あるいは揃わない状態の何れの状態に重ね合わせるものであってもよい。
また、前記低放射率板ガラス5Aと前記他の板ガラス5Bとの厚み寸法が異なるものを組み合わせて戸体を構成してあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る窓構造の概要を示す正面図
【図2】本発明の一実施形態に係る窓構造の概要を示す上面視断面図
【図3】本発明の一実施形態に係る窓構造の概要を示す上面視断面図
【図4】戸体の要部を示す断面図
【図5】従来の窓構造を示す上面視断面図
【図6】戸体の温度上昇試験結果に関する説明図
【図7】戸体の温度上昇試験結果に関する説明図
【図8】戸体の温度上昇試験結果に関する説明図
【符号の説明】
2 戸体
2Aa 外戸体に相当
2Ab 内戸体に相当
3 サッシュ枠
4 複層ガラス
5 板ガラス
5A 低放射率板ガラス
5B 他の板ガラス
5b 板ガラス本体
Claims (4)
- 少なくとも2枚の板ガラスを厚み方向に間隔をあけて一体的に形成してある複層ガラスをサッシュ枠に嵌めて戸体を構成し、前記戸体の少なくとも二つをすれ違い自在に配置し、前記各戸体の一枚の板ガラスを、他の板ガラスより低い放射率の低放射率板ガラスに形成してある窓構造であって、
戸体厚み方向に隣り合う一対の戸体の内、窓外側に位置する外戸体においては、前記低放射率板ガラスを窓外側に配置し、窓内側に位置する内戸体においては、前記低放射率板ガラスを窓内側に配置してある窓構造。 - 前記複層ガラスは、板ガラス間の空間を減圧してある真空複層ガラスである請求項1に記載の窓構造。
- 前記低放射率板ガラスは、フッ素を混入させた酸化錫を主成分とする薄膜を板ガラス本体に一体化して形成してある請求項1又は2の何れかに記載の窓構造。
- 前記低放射率板ガラスは、銀層を透明誘電体層で挟んで構成した複合層を少なくとも一組有する薄膜を、前記板ガラス本体に一体化して形成してある請求項1又は2の何れかに記載の窓構造。
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