JP2017081787A - 複層ガラス - Google Patents

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【課題】本発明は遮音性ガスを用いた場合や、中空層の厚みに制限がある場合でも、断熱性能を付与する事が可能な複層ガラスを得ることを目的とした。
【解決手段】建築物の窓ガラス材として用いる2枚のガラス板間にガスが封入された中空層を有する複層ガラスにおいて、該中空層の熱抵抗値が0.26m・K/W以下であり、2枚のガラス板の4つの面のうち、太陽光の入射面から最も遠い面に低放射機能層を有することを特徴とする複層ガラス。また、前記低放射機能層は、JIS R3106に準拠する方法で測定される垂直放射率が0.7以下のものを用いるのが好適である。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の窓ガラス材として用いる内部にガスが封入された複層ガラスに関し、特にガラス板の表面に低放射機能層を有する複層ガラスに関する。
複層ガラスは、一般に、複数枚のガラス板を、スペーサーを用いて隔置し、ガラス板とスペーサーとで密閉空間である中空層を形成した構成である。該複層ガラスは中空層があることで断熱性能が高まり、結露防止、室内側冷暖房の負荷軽減などの利点があるため、建物の窓用部材に組み込まれ広く利用されている。上記のような複層ガラスは、中空層に空気以外の気体であるガスを封入することにより、断熱性能の向上や遮音性能の向上等、様々な効果を付与することが可能である。
例えば特許文献1には、中空層を対流の生じない程度の厚みとし、空気と比べて熱伝導率が小さく、分子量が大きいガスを封入することによって、断熱性能を向上させた複層ガラスが開示されている。当該文献では、ガスとしてKrやXe等の不活性ガスが挙げられている。
また、本出願人は、遮音性能を向上させるために、中空層にNeガスを封入した複層ガラスを特許文献2に開示している。一般的に、Neガス等の空気より軽いガスを中空層に封入すると、複層ガラスの断熱性能が低下するという潜在的な課題があるため、断熱性能と遮音性能の両立は本質的に難しいが、当該文献では、中空層の厚みやガラス板の厚み等を最適な範囲とすることにより、断熱性能の低下を抑制し上記課題を解決している。
また、上記のように中空層に特定のガスを封入する他に、ガラス板の表面上に低放射機能を有する赤外線反射膜やフィルムを形成することによって、複層ガラスからの放射率を下げた複層ガラスも近年普及しつつある。例えば、特許文献3には低放射機能を有する膜(以下、「低放射膜」と記載することもある)として、スパッタリング法により得られるAgを含む多積層膜が開示されている。上記のような低放射膜は、複層ガラスの中空層と面するガラス板の表面上に形成されるのが一般的である。
また、特許文献4、5には、スパッタリング法を用いて、金属酸化物や金属窒化物からなる膜を用いて、ガラス板に赤外線を反射する機能を付与した熱線反射膜を形成したガラスが開示されている。
また、特許文献6には、室内に面するガラス板面に垂直放射率0.35以下の低放射コーティングを施すことによって、断熱性能を向上させた複層ガラスが開示されている。当該文献では、中空層にArガスやKrガスを封入することにより、更なる断熱性能の向上が可能であると開示している。
特開2001−19498号公報 特開2012−51783号公報 国際公開WO2012/165501 特開平11−157880号公報 特開2001−81547号公報 特開平10−120447号公報
冷暖房の負荷を軽減するために、建築物の窓ガラス材に高い断熱性が求められている。その為に前述したような複層ガラスが普及しているが、近年、遮音性能の向上への要求が高まっている。しかし、前述したように、遮音性能が高い空気より軽いガス(以下、遮音性ガスと記載することもある)は断熱性能が低く、遮音性能と断熱性能とは両立が難しいという問題があった。
また、断熱性能を向上させる為には、中空層の厚みを厚くする事が簡便な方法だが、複層ガラスを設置するサッシ等の制限により、窓の構造によっては断熱性能の向上が難しいという問題もあった。また、前述した遮音性能を高めようとすると、複層ガラス固有の共鳴透過現象を抑制する為に、中空層の厚みを所定の厚み以下に制限する必要があり、遮音性ガスを用いた場合は、さらに断熱性能の向上が難しいという問題もあった。
従って、本発明は遮音性ガスを用いた場合や、中空層の厚みに制限がある場合でも、断熱性能を付与する事が可能な複層ガラスを得ることを目的とした。
上記の要求に対して本発明者らが検討を行ったところ、NeガスやHeガスといった遮音性ガスを封入した複層ガラスにおいて、従来のように図1の(b)に示したような中空層に面するガラス板の表面に低放射膜を設けても、断熱性能の指標である熱貫流率Uの向上の幅は小さく、実用に足る性能にならない事がわかった。しかし、図1の(a)に示したように、室内に面するガラス板の表面に低放射膜を設けると断熱性能が大きく向上し、さらに前述した図1の(b)の構成と比べても、格段に断熱性能が向上することがわかった。また、一方でArガスやKrガスといった断熱性能を向上させるガスを封入した同構成の一部複層ガラスにおいては、図1の(b)に示した複層ガラスよりも断熱性能が下がってしまうという現象も見出した。
当該知見に基づいて更なる検討を行ったところ、低放射機能を有する層を室内に面するガラス板の表面に設け、さらに中空層の熱抵抗値が特定の範囲内である場合に限り、従来の複層ガラス、及び低放射膜が中空層に面するガラス板の表面に形成された複層ガラスよりも断熱性能が向上する事が明らかとなった。
すなわち本発明は、建築物の窓ガラス材として用いる2枚のガラス板間にガスが封入された中空層を有する複層ガラスにおいて、該中空層の熱抵抗値が0.26m・K/W以下であり、2枚のガラス板の4つの面のうち、太陽光の入射面から最も遠い面に低放射機能層を有することを特徴とする複層ガラスである。
前記の熱抵抗値とは、JIS R3107に準拠する方法で測定される気体熱コンダクタンスhの逆数である。また、気体熱コンダクタンスhは、h=C・(λ/s)[C:対流効果係数、λ:気体熱伝導率(W/m・K)、s:中空層の厚み(m)]で求める事が可能であり、本発明の複層ガラスでは対流が生じない為、C=1としている。
上記の熱抵抗値が0.26m・K/W以下とする為には、気体熱伝導率の高いガスを用いる事や、中空層の厚みを小さくする事が挙げられる。中空層の厚みを小さくする程、断熱性能の向上率が上昇する事がわかった。すなわち、本発明の複層ガラス構造を用いると、中空層の厚みに制限がある場合であっても断熱性能を向上させる事が可能となる。
本発明により、遮音性ガスが封入された複層ガラスの断熱性を向上させることが可能となった。また、本発明により、中空層の厚みに制限がある場合でも、断熱性能を付与する事が可能となった。
複層ガラスの簡略図であり、(a)本発明の複層ガラスの実施形態の1つ及び(b)従来の複層ガラスの例である。 複層ガラスの2枚のガラス板の1面〜4面を説明する図である。
本発明は、建築物の窓ガラス材として用いる2枚のガラス板間にガスが封入された中空層を有する複層ガラスにおいて、該中空層の熱抵抗値が0.26m・K/W以下であり、2枚のガラス板の4つの面のうち、太陽光の入射面から最も遠い面に低放射機能層を有することを特徴とする複層ガラスである。
また、本明細書においては、複層ガラスのガラス板面を図2に示したように、第1面、第2面、第3面、第4面と記載する。第1面は最も屋外側の面であり、第4面は最も屋内側の面である。また、第2面は屋外側に設置したガラス板の中空層と接する面であり、低放射膜が形成された複層ガラスにおいては、当該第2面に低放射膜を形成した構成が一般的である。また、第3面は屋内側に設置したガラス板の中空層と接する面である。
本発明の複層ガラスは、上記のガラス板の第4面に低放射機能層を有するものである。上記の「面に低放射機能層を有する」とは、ガラス板の表面に低放射機能を有する膜やフィルムが接するものでも、ガラス板の表面から板厚内部にかけて低放射機能を有する物質が分布するものでもよい。また、「面上に」とは、ガラス板の表面に接する状態を指すものとする。
本発明において、図1の(b)のようにガラス板の第2面に低放射機能層を有する複層ガラスの熱貫流率に対して、図1の(a)のようにガラス板の第4面に低放射機能層を有する構成の熱貫流率の値が小さくなった場合を「断熱性能が向上した」とする。尚、熱貫流率U(W/m・K)は、JIS R3107に準拠する方法で算定される値であり、熱貫流率の値が小さい程断熱性能が高い。また、実施例において、低放射機能層を2枚のガラス板の第4面上に形成した構成の熱貫流率U、低放射機能層を2枚のガラス板の第2面上に形成した構成の熱貫流率U、を求めて、(U−U)/U×100から断熱性能の向上率を算出した。当該断熱性能の向上率が好ましくは0.4%以上の時、断熱性能が向上したとしてもよい。また、より好ましくは1.0%以上としてもよい。
本発明の低放射機能層は、一般的なガラス板よりも垂直放射率が低いものであれば特に限定されるものではない。垂直放射率はJIS R3106に準拠する方法で測定される値であり、低放射機能層を持たない一般的なガラス板の表面の垂直放射率は0.89である。低放射機能層の垂直放射率は上記の0.89より小さくなるものであり、好ましくは0.7以下としてもよい。尚、前述したようなAgを用いた多積層膜である低放射膜は、一般的に垂直放射率が0.20以下であり、金属酸化物膜や金属窒化物等を用いた熱線反射膜は垂直放射率が0.3〜0.7程度である。
(複層ガラス)
複層ガラスとは、図1(a)に示したように、複数枚のガラス板を、スペーサーを介して所定間隔を隔てて互いに相対向させたものであり、前記ガラス板の周縁部をシール材によって密閉することによって、スペーサーとガラス板に囲まれた領域を密閉する。本発明のガラス板の枚数は、より効果的に断熱性能を得る為に2枚とするのが好適である。
また、本発明の複層ガラスは、建築物の窓ガラス材としてサッシ等に組み込まれるものであり、複層ガラスの片面は屋外、反対側の面は屋内に面しているものとする。ただし、屋内の仕切り板等といったガラスパネルとして使用しても差し支えない。
以下に、本発明の複層ガラスの好適な実施形態の各構成について、図1(a)を参照しながら説明する。
(ガラス板1、2)
ガラス板は、屋外側ガラス板1と屋内側ガラス板2の2枚を用いる。屋外側ガラス板1、屋内側ガラス板2は同じガラス板を用いるものでも、異なるガラス板を用いるものでもよい。
使用するガラス板の種類は特に限定されるものではないが、例えば、フロートガラス板、強化ガラス板、着色ガラス板、網入りガラス板、樹脂中間膜をガラス板で挟みこみ接着した合わせガラス等、公知の複層ガラスによく用いられるガラス板を使用することができる。
ガラス板は、一般的な建築用ガラス板(例えばJIS R3202に記載のガラス板)として用いられる、厚み2mm以上、25mm以下の板状のガラスが好ましい。ただし、この厚みに限定されるものではなく、より薄いガラス板でも、より厚いガラス板でも用いることは可能である。
また、屋外側ガラス板1と屋内側ガラス板2は、板厚の異なるガラス板であるのが好ましい。板厚が同程度になると、2枚のガラス板のコインシデンス限界周波数が重なり、当該周波数において遮音性能が極端に悪化してしまう場合がある。また、平行に配置されたガラス板間で生じる共鳴透過現象が強調され、共鳴透過周波数での音響透過損失の低下が増大する場合がある。
上記のように板厚が異なるガラス板を用いる場合、(厚みが小さい方のガラス板の板厚)/(厚みが大きい方のガラス板の板厚)の式によって得られる、2枚のガラス板の厚みの比Xが、0.55≦X≦0.90となる構成にする事によって、遮音性能を向上させる事が可能である。
(低放射機能層)
低放射機能層3は、2枚のガラス板の4つの面のうち、太陽光の入射面から最も遠い面に形成されるものであり、前述したように一般的なガラス板よりも垂直放射率が低いものであれば、特に限定されるものではない。また、JIS R3106に準拠する方法で測定される垂直放射率が0.7以下となるのが好ましい。より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.35以下としてもよい。図1の(a)においては、屋内側ガラス板2の最も屋内側の面(第4面)上に形成されている。
上記の低放射機能層3は、2枚のガラス板の第4面に形成した上で中空層4と接触するガラス板面(第2面、第3面)に形成してもよい。発明者らの検討により、ガラス板の第4面に低放射機能層3を形成した複層ガラスにおいて、ガラス板の第2面、第3面に低放射機能層3を追加すると、さらに断熱性能が向上する事がわかった。しかし、断熱性能の向上率は、第4面に低放射機能層3を形成した時と比較して、あまり高くない。ここで、一般的に低放射機能層3は垂直放射率が低い程断熱性能が向上するが、一方で可視光線透過率が低下する為、採光性を損なう傾向にある事が知られている。建築用の窓ガラス材において採光性への要求は依然として高いことから、前記中空層4は、低放射機能層3と接しないことが好ましい。具体的には、2枚のガラス板の4つの面のうち、太陽光の入射面から最も遠い面のみに低放射機能層3を形成するのが好ましい。
低放射機能層3は、金属、金属酸化物及び金属窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1つ含む膜であるのが好ましい。上記のような膜としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、粉体法、スプレー法、蒸着法等によって形成される単一膜や、複数種類の積層膜が挙げられる。膜の構成成分としては、Ag、Al等の金属や、Zn、Ga、Ti、Sn、Si、Ta、Al、In、Ni、Cr及びZr等を含む金属酸化物、金属窒化物、上記金属の合金、合金酸化物、合金窒化物等が挙げられる。
また、上記のような膜の他にも、赤外線を反射する樹脂フィルムを用いてもよい。近年、リフォーム等への要望が高まっており、上記のような樹脂フィルムを用いることによって、簡便な方法で断熱性能を向上させる事が可能である。上記のような樹脂フィルムとしては、前述した金属膜や金属酸化物膜、金属窒化物膜等が形成された樹脂フィルム、屈折率の異なる樹脂を複数層積層した積層フィルム、液晶フィルム等が挙げられる。
(中空層)
中空層4は、スペーサー5と屋外側ガラス板1、屋内側ガラス板2に囲まれた領域であり、ガスが封入されている。本発明は中空層4の熱抵抗値を0.26m・K/W以下とする事によって断熱性能を向上させるものだが、上記数値の範囲内とする為にはガス固有の気体熱伝導率と中空層4の厚みを特定の範囲内とする必要がある。また、上記熱抵抗値は、好ましくは0.25m・K/W以下、より好ましくは0.23m・K/W以下としてもよい。また、前述したように、熱抵抗値はJIS R3107に準拠する方法で測定される気体熱コンダクタンスhの逆数であり、気体熱コンダクタンスhは以下の式で求める事が可能である。本発明においては、対流が生じない為C=1とした。
=C・(λ/s)
[C:対流効果係数、λ:気体熱伝導率(W/m・K)、s:中空層の厚み(m)]
使用するガスとしては、例えば、Kr、Ar、He、Ne、Xe、CO、N、及びSF等が挙げられ、断熱性能や遮音性能の観点から、特にKr、Ar、He、及びNeが好ましい。上記のガスの気体熱伝導率λの大きさは、He>Ne>Ar>Krの順であり、空気の気体熱伝導率λはNeより小さく、Arより大きい値となる。
HeとNeは空気よりも軽いガスであり、一般的に遮音性ガスとして用いられる。従って、複層ガラスに遮音性能を付与する場合は上記ガスを用いるのが好ましい。また、上記ガスは1種類でも、2種類以上を混合して用いるのでもよく、性能を大きく損なわない程度であれば、任意のガスを混合して用いてもよい。
Heを封入する場合、中空層4の熱抵抗値を前述した値以下とする為には、中空層4の厚みを36mm以下とするのが好ましい。また、より好ましくは32mm以下としてもよい。また、Heは遮音性能が高いガスであり、中空層4に含有させるだけで格段に遮音性能が向上するため、下限値は特に限定されるものではないが、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上としてもよい。また、遮音性能を好適なものとする為には、中空層4の厚みを12mm以下とするのが好ましい。
Neを封入する場合、中空層4の熱抵抗値を前述した値以下とする為には、中空層の厚みを12mm以下とするのが好ましい。また、より好ましくは11mm以下としてもよい。下限値は特に限定する必要はないが、例えば2mm以上としてもよい。また、遮音性能を好適なものとする為には、6mm以上、12mm以下とするのが好ましい。従って、遮音性能と断熱性能を両立させる場合は、下限値を好ましくは6mm以上、上限値を好ましくは12mm以下、より好ましくは11mm以下としてもよい。
また、KrとArは空気よりも重いガスであり、一般的に断熱性能の高いガスとして使用される。一般的な複層ガラスとして、中空層4の厚みが6mmや12mmのものが広く用いられているが、KrとArを用いて上記の厚みとし、2枚のガラス板の第4面に低放射機能層3を形成した場合、従来のように2枚のガラス板の第2面に低放射機能層3を設けた構成と比べて、断熱性能が低くなることがわかった。
Arを封入する場合、中空層4の熱抵抗値を前述した値以下とする為には、中空層の厚みを4mm以下とするのが好ましい。また、Krを封入する場合は、2.5mm以下とするのが好ましい。上記の上限値を超えると、本発明の構成とした時に2枚のガラス板の第2面に低放射機能層3を形成した場合よりも断熱性能が低下してしまう為、本発明の目的に適さない。
(スペーサー)
スペーサー5は、屋外側ガラス板1と屋内側ガラス板2との間に設置されるものであり、スペーサー5、屋外側ガラス板1、及び屋内側のガラス板2によって囲まれた中空層4を形成する。スペーサー5は内部に乾燥剤6を有し、1次シール材8を介してガラス板の周辺部に固定される。また、スペーサー5はガラス板の辺に沿って設置されるものであり、ガラス板の横方向と縦方向に沿って設置されたスペーサー5は、端部をコーナー部材(図示しない)で連結する事によって位置を固定する。
スペーサー5は、アルミ製が広く普及しているが、断熱性を高めるために熱伝導率の低い樹脂や樹脂複合材、アルミと樹脂の複合材等を用いてもよい。用いられる樹脂としては、可塑剤としてフタル酸化合物やリン酸化合物、安定剤として金属有機酸化合物等が添加された、塩化ビニルを主成分とする樹脂が挙げられる。
(シール材)
シール材は、少なくとも屋外側ガラス板1及び屋内側ガラス板2とを接着する接着剤である。図1(a)、(b)の場合は、ガラス板間にスペーサー5が挟まっているため、ガラス板とスペーサー5との間を接着している。この時、ガラス板とスペーサー5との間の接着剤を1次シール材7、スペーサー5の外周と、屋外側ガラス板1及び屋内側ガラス板2との隙間を封着するように設ける接着剤を2次シール材8とする。1次シール材7としてはポリイソブチレン系樹脂等、2次シール材8としてはポリサルファイド系樹脂やシリコーン系樹脂等を用いるのが一般的である。
本発明の実施例及び比較例を以下に示す。複層ガラスは、図1の(a)に示したように2枚のガラス板の第4面上に低放射機能層3を形成した構成、及び図1の(b)に示したように2枚のガラス板の第2面上に低放射機能層を形成した構成をそれぞれ作成した。各ガラス板の厚み、中空層の厚みは表1〜表3に記載した通りとする。
使用したガラス板は一般的なフロート板ガラス(300mm×300mm)と、フロート板ガラスの面上に低放射機能層3が形成された膜付きガラス、スペーサー5は内部に乾燥剤6としてゼオライトを充填したアルミニウム製のスペーサーを用い、該スペーサー5とガラス板との間にブチルゴム製の1次シール材7、該スペーサー5の外周にポリサルファイドシーラント製の2次シール材を用いて、全部材を一体化させた。一体化させた後に中空層4内部の空気を所望のガスで置換し、それぞれサンプルを得た。また、低放射機能層3としては、スパッタリング法によって形成した低放射膜及び熱線反射膜を用いた。低放射膜及び熱線反射膜は、それぞれ垂直放射率が0.16、0.50、0.70になる既存の積層膜を用いた。
得られた複層ガラスの熱貫流率U(W/m・K)を、JIS R3106に準拠する方法で求めた。尚、熱貫流率Uは、JIS R3107に準拠する方法で測定される垂直放射率、ガラス板の厚み、中空層の熱抵抗値によって得る事が可能である。低放射機能層3を2枚のガラス板の第4面上に形成した構造の熱貫流率U、低放射機能層3を2枚のガラス板の第2面上に形成した構成の熱貫流率U、を求めて、(U−U)/U×100から断熱性能の向上率を算出した。
また、熱抵抗値を求める際、各ガスの気体熱伝導率を、Heは0.1464、Neは0.04693、Arは0.01765、Krは0.0106とした。
実施例1、比較例1はHeガスを用いて結果を表1、実施例2、比較例2はNeガスを用いて結果を表2、実施例3、比較例3はArガスを用いて結果を表3、実施例4、比較例4はKrガスを用いて結果を表4にそれぞれ記載した。
Figure 2017081787
Figure 2017081787
Figure 2017081787
以上より、中空層の熱抵抗が0.26m・K/W以下であり、ガラス板の第4面に低放射機能層を形成した複層ガラスは、第2面に低放射機能層を形成した複層ガラスより、断熱性能が向上することがわかった。また、低放射機能層の垂直放射率を小さくすることによって、更に断熱性能が向上した。また、通常では断熱性能を向上させ難い、遮音性ガスであるHeガスやNeガスにおいて、特に断熱性能の向上率が高くなることが明らかとなった。
一方、中空層の熱抵抗が0.26m・K/Wを超える場合は、断熱性能の向上率が0.1%程度であまり優位な差とは言えないものだったり、逆に低下してしまうという現象が見られた。
1:屋外側ガラス板、2:屋内側ガラス板、3:低放射機能層、4:中空層、5:スペーサー、6:乾燥剤、7:1次シール材、8:2次シール材、9:複層ガラス

Claims (7)

  1. 建築物の窓ガラス材として用いる2枚のガラス板間にガスが封入された中空層を有する複層ガラスにおいて、
    該中空層の熱抵抗値が0.26m・K/W以下であり、
    2枚のガラス板の4つの面のうち、太陽光の入射面から最も遠い面に低放射機能層を有することを特徴とする複層ガラス。
  2. 前記低放射機能層は、JIS R3106に準拠する方法で測定される垂直放射率が0.7以下であることを特徴とする請求項1に記載の複層ガラス。
  3. 前記ガスが、He及びNeからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複層ガラス。
  4. 前記ガスが、Kr及びArからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複層ガラス。
  5. 前記2枚のガラス板は、板厚の異なるガラス板であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の複層ガラス。
  6. 前記低放射機能層が、金属、金属酸化物及び金属窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1つ含む膜であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の複層ガラス。
  7. 前記低放射機能層が、赤外線を反射する機能を有する樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の複層ガラス。
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