JP2010265127A - 複層ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】熱貫流率3.60W/m2・K以下であり、サッシとした際に遮音等級T−3等級に合格し、断熱性能および遮音性能に優れた薄型の複層ガラスを提供する。
【解決手段】複層ガラスを構成する一対のガラス板が金網入りガラスG1と合わせガラスGからなり、合わせガラスGが金網入りガラスG1より薄く、金網入りガラスと合わせガラスの間に位置する中空層2に空気を封入してなり、金網入りガラスG1の厚さが9.4mm以上、10.6mm以下、合わせガラスGを成すガラス部の厚さが5.4mm以上、7.6mm以下、樹脂中間層1の厚さが0.3mm以上、1.0mm以下、中空層2の厚さが4.0mm以上、8.9mm以下、これらを合わせた複層ガラスの厚さが19.1mm以上、28.1mm以下の複層ガラス。
【選択図】図2

Description

本発明は、断熱性能および遮音性能をともに有する複層ガラスに関する。特に、一般住宅で使用される厚さ100mmの標準サッシ用枠、通称、見掛100mm標準サッシ用枠に搭載可能な、優れた断熱性能および遮音性能を共に有する薄型の複層ガラスに関する。
通常、複層ガラスは、一対のガラス板の周縁部にアルミニウム製スペーサーをブチルゴム接着材で貼着して挟み込み、ブチルゴム接着材で一対のガラス板とアルミニウム製スペーサーを接着一体化させ、ガラス板とアルミニウム製スペーサーからなるコの字型凹部に、ポリサルファイドまたはシリコーンからなる封止材を充填し封止している。よって、複層ガラスにはガラス板とアルミニウム製スペーサーで囲まれ密閉された中空層が存在する。
さて、複層ガラスは中空層があることで断熱性能が高まり、結露防止、室内側冷暖房の負荷軽減等の利点があり、ガラスサッシとして一般住宅用を主として広く使われるようになった。尚、ガラスサッシとは複層ガラス、合わせガラスまたは合わせ複層ガラス等を含むガラス板に予め枠が制作・調整されていて、固定窓、可動窓等の窓、開閉ドア等のドアへの取り付けに際して1個の構成材として扱うことができるものを言う。
一般住宅、特に集合住宅等、事務所ビル等においては、暑い夏や寒い冬に快適に過ごせるよう室内の温度調節が積極的に行われ、一方では温度調節の省エネルギー化、効率化が求められるようになってきた。また、断熱性能を高めることにより外気の気温変動を遮断することが、窓に要求されるようになってきた。省エネルギー上、必要となるガラスの断熱性能は「住宅に係るエネルギー使用の合理化に関する設計および施工の指針 H11.3.30改正 建設省告示第998号」において、日本国内の各地域の窓ガラスの好適な熱貫流率が記述されている。即ち、北海道(1・2地区)を中心とする寒冷地で建具としての窓ガラスの熱貫流率は、2.08W/m2・K以下、即ち、2.08W・m-2・K-1以下、東北、長野等、本州を中心とする寒冷地(3地区)で求められる窓ガラスの熱貫流率は、3.01W/m2・K以下、東京、名古屋、大阪、福岡等、本州の中部から南部に掛けての地区(4・5地区)で求められる窓ガラスの熱貫流率は、4.00W/m2・K以下となっている。尚、ガラスの断熱性能の計算方法については「板ガラス類の熱抵抗及び建築における熱貫流率の算定方法」JIS R3107:1998に記述されている。尚、熱貫流率とは、開口部の内部と外部の温度差を1℃とした場合に面積1m2あたり1時間に流れる熱量を示した数値であり、この数値が小さいほど熱を伝え難く、断熱性能が高いことになる。
また、近年、一般住宅、特に集合住宅、道路の近く、鉄道沿線および空港の周辺の住宅等、ビル、オーディオルーム、ピアノ室、図書館、美術館等においては、好まれざる音、または音楽や会話の伝達を阻害する音である騒音に対する関心が高まり、建物の床、壁、天井等には吸音材が埋め込まれ、ドアにも防音または遮音ドアが使用されるようになってきている。加えて、音が通過しやすい窓においても、断熱性能とともに防音性能を有することが求められる。よって、窓は、空気等の媒体の粗密波として伝わる縦波である音を減衰させることが要求されるようになってきた。
複層ガラスは断熱性能には優れるが、中空層を含めた同厚のガラス板に比較すると遮音性能は低い。このことは、密度の大きい物ほど音を吸収減衰しやすく、また、固体抵抗により振動し難いので、気体であり分子が動き易い空気より、ガラスの方が音の吸収減衰が大きいことによる。
また、複層ガラスは、ガラス板/中空層/ガラス板の構成であるために、音の反射面は多いが、中空層における共鳴透過、コインシデンス効果の問題があり、複層ガラスは、中空層を除いた同厚のガラス板と比較し遮音に優れた周波数域もあるが劣る周波数域もある。
共鳴透過とは、通常の複層ガラスのように中空層が6ミリ、12ミリというように狭い場合、2枚の板ガラスが中空層を通して共鳴し、ある周波数付近では遮音性能が低下することをいう。
また、コインシデンス効果とは、板状の材料において特有の周波数で透過損失が小さくなる、言い換えれば、遮音性能が低下する現象である。具体的には、音が板面に対し斜めに入射すると、板面上の位置によって音圧に位相差ができるため、板面にそって固有の屈曲強制振動を生じ、ある周波数で音の透過が大きくなり遮音性能が低下する現象である。ガラス板においては、ガラス面に対し、縦弾性波である音波が、垂直でなく斜めに入射した場合、コインシデンス効果によりガラス面に水面を走る波のような横波の振動波が発生し、共鳴により遮音性能を低下させ、コインシデンス限界周波数以上の周波数域で遮音性能の低下が起こる。尚、コインシデンスの現象の起きる最も低い周波数をコインシデンス限界周波数と言い、コインシデンス限界周波数とガラス板の厚さの間には相関があり、ガラス板が厚くなり曲げ剛性が大きくなると、コインシデンス限界周波数は低くなることが知られている。サッシの遮音において、このコインシデンス効果の発生を抑制しなければならない。
尚、コインシデンス限界周波数は、数1の式で表される。
合わせガラスは、ガラス板と樹脂中間層の界面による反射、ガラスと直に接着した樹脂中間層によるコインシデンス効果の抑制、樹脂中間層の粘性抵抗による粗密波である音の吸収減衰があり、遮音性能を向上させるための設計が可能である。
そこで、化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂を積層させて遮音性能を高めるための遮音性中間膜が開発された。従来のポリビニルブチラール(以下、PVBと略する)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略する)同様、ガラス板の間に挟みこみ、加熱溶融することでガラス板を接着一体化させて合わせガラスとする。
このような遮音性中間膜は、例えば、化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂として、モノマー組成比または分子量を変えたPVBを積層させたこと、あるいはPVBとは化学構造の異なるポリビニルアセタール樹脂を積層させたことで、粘性等の物性の異なる透明樹脂を積層させた遮音性中間膜が開示されている。
特許文献1には、 アセタール基の炭素数が4〜6であり、且つ、アセチル基が結合しているエチレン基量の平均値の、主鎖の全エチレン基量に対するモル分率が8〜30モル%であるポリビニルアセタール樹脂(A) と可塑剤とからなる少なくとも1つの層(A) と、アセタール基の炭素数が3〜4であり、且つ、アセチル基が結合しているエチレン基量の平均値の、主鎖の全エチレン基量に対するモル分率が4モル%以下であるポリビニルアセタール樹脂(B)と可塑剤とからなる少なくとも1つの層(B)とが積層されてなる、合わせガラス用中間膜が開示されている。
また、特許文献2にはポリビニルアセタール樹脂と可塑剤からなる厚み0.05mm以上の層(A) と、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤からなる層(B)とが、層(B)
/層(A)/層(B)なる積層構成で積層され、層(A)のポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールが炭素数6〜8のアルデヒド(a)と炭素数2〜4のアルデヒド(b)とにより共アセタール化された樹脂であって、アルデヒド(a)でアセタール化された部分と、アルデヒド(b)でアセタール化された部分との重量比が60:40〜100:0の範囲にあり、層(B)のポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールが炭素数2〜4のアルデヒド(b)と、炭素数6〜8のアルデヒド(a)により共アセタール化された樹脂であって、アルデヒド(b)でアセタール化された部分と、アルデヒド(a)でアセタール化された部分との重量比が80:20〜100:0の範囲にあり、層(A)と層(B)の少なくとも一方のポリビニルアセタール樹脂は共アセタール化された樹脂であることを特徴とする遮音性中間膜が開示されている。
尚、サッシの遮音性能の規格は、「サッシ」JIS A4706:2000に記載されている。即ち、JIS A4706:2000において、サッシの遮音性は、遮音等級T−1等級、T−2等級、T−3等級、T−4等級に分けられる。サッシの片側から音を出し、反対側でサッシによる音の反射、吸収減衰による音圧レベルの減少を測ることで、サッシの音響透過損失を前記JIS規格に定める各周波数で測定し、遮音等級T−1等級線、T−2等級線、T−3等級線、T−4等級線に準拠し、前記JISに記載された条件に適合、即ち、合格したサッシを、各々遮音等級T−1等級、T−2等級、T−3等級、T−4等級とする。
図1にJIS A4706:2000に記載される遮音等級線のグラフを示す。
断熱性能、遮音性能を有する複層ガラスとして、特許文献3には、スペーサーを介して所定間隔を隔てて重ね合わされた3枚のガラス板からなり、該ガラス板間に中空層を有する複層ガラスにおいて、前記ガラス板の少なくとも1枚は表面に熱伝達を抑制する低放射膜をコーティングしたLow−Eガラスであり、前記各中空層のそれぞれに不活性ガスが封入されており、前記各板ガラスの各々の厚さはそれぞれ異なり、その少なくとも1枚は合わせガラスとした、幅広い音域での遮音性能がJIS A 4706:2000のT−3(35等級)をクリアできるとともに、一般住宅用外壁として好適な、断熱性にも優れる複層ガラスが開示されている。
特許文献3に記載の複層ガラスは、ガラス板の少なくとも1枚は表面に熱伝達を抑制する低放射膜をコーティングしたLow−Eガラスを使用し、前記各中空層のそれぞれに不活性ガス、実施例においてはアルゴンとクリプトンが封入されており、その効果として遮音等級T-3等級に合格し、熱貫流率が0.65W/m2・K以上、1.11W/m2・K以下となっている。しかしながら、Low−Eガラスを用い、さらに各中空層のそれぞれにアルゴン、クリプトンを封入することは手間がかかり費用がかかる。また、アルゴン、クリプトン、キセノンは重いガスであるため、中空層に封入した際、断熱性能は高めるが遮音性能は高めない。
ヘリウムが封入された複層ガラスにおいては、ガラス板2枚と中空層を合わせた総厚18mm以上、24mm以下で、T−3等級に合格することは可能である。しかしながら熱伝達しやすいヘリウムを中空層に封入すると、窓ガラスの熱貫流率は、4.60W/m2・K程度に大きくなり、市場の中心となる東京、名古屋、大阪、福岡等、本州の中部から南部に掛けての地区(4・5地区)で求められる窓ガラスの熱貫流率である4.00W/m2・K以下にも及ばない。
特開平6−926号公報 特開平5−104687号公報 特開2005−60141号公報
通常、市販されるサッシ枠に適用されるガラス板の最大の厚さは25.0mmで、それより厚いと、一般住宅で使用される厚さ100mmの標準サッシ用枠、通称、見掛100mm標準サッシ用枠に嵌め込むことが難しく、サッシ枠は特注となり高価となる。
本発明は、熱貫流率3.60W/m2・K以下であり、且つ遮音等級T−3等級に合格し、断熱性能および遮音性能にともに優れた薄型の複層ガラスを提供することを目的とする。
加えて、本発明は、尖った金属、例えば、金属ドライバー等によるこじ破り、バール等でガラスを破砕する打ち破りに対して、容易に貫通穴が開かず、防犯性に優れた複層ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、遮音性能の測定を行った結果、ガラスのみからなるガラス板である単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスを組合せた複層ガラスの中空層に空気を封入した場合より、金網入り板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスを組合せた複層ガラスの中空層に空気を封入した場合の方が遮音性に優れることがわかった。金網入りガラスと合わせガラスからなる複層ガラスの遮音性能は、各ガラス板の厚さおよび中空層の厚さが同じ構成の単板ガラスと合わせガラスからなる複層ガラスの遮音性能に比較して優れる。
このことは、均一な単板ガラスと比較して、金網入りガラスには、ガラス板内に比重および剛性の異なる金網が封入されており、このことで、音波を反射、拡散、および/またはガラスの見掛け剛性を大きくする効果があり、同厚の単板ガラスより遮音性能に優れる。金属線入りガラスも若干の効果があるが、金網入りガラスの方が前述の効果が大きい。
本発明の複層ガラスは、複層ガラスを構成する一対のガラス板が金網入りガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスからなる。
尚、本発明において、金網入りガラスとは、ガラス基材に金網が封入された1枚のガラス板を指す。合わせガラスは、一対のガラス板の間に、PVB、EVAまたは透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜から選ばれた樹脂中間膜を挟み、樹脂中間膜を加熱溶融させることで接着一体化させたものを指す。単板ガラスとは、ガラスのみで構成された1枚のガラス板を指す。
本発明の複層ガラスに、金網入りガラスを用いる理由は、金網入りガラスは、ガラス基材中に封入された金網が音波を反射、拡散、および/またはガラスの見掛け剛性を大きくする効果があり、同厚の単板ガラスに比較して、遮音性に優れることによる。
本発明の複層ガラスに、合わせガラスを用いる理由は、合わせガラスは、粘性があり柔軟な樹脂中間層により、合わせガラスを成す一対のガラス板が個々不規則に振動し、同じ厚さの金網入りガラスに比べ、コインシデンス限界周波数における透過損失が大きく、コインシデンス限界周波数の位置がより高周波側に移動することで、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域を遮音することによる。
また、上記構成の複層ガラスにおいて、合わせガラスを金網入りガラスより薄い構成にすると、合わせガラスが金網入りガラスより厚い構成に比較して、金網入りガラスと合わせガラスをなすガラス板の厚みに差を持たせることで、さらに1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域において音響透過損失が小さくなり、遮音性能曲線の落ち込みが小さくなることがわかった。また、複層ガラスの中空層に封入する気体を空気とすることで、断熱性能を向上させた。ヘリウム、ネオン、アルゴンまたはクリプトン等の不活性ガスを封入するのに比べ手間がかからず、経済的である。
即ち、本発明は、複層ガラスを構成する一対のガラス板が金網入りガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスからなり、合わせガラスが金網入りガラスより薄く、金網入り板ガラスと合わせガラスの間に位置する中空層に空気を封入してなることを特徴とする複層ガラスである。
本発明者らは、合わせガラスが金網入りガラスより薄く、中空層に空気を封入した上記遮音性複層ガラスにおいて、各ガラス板の厚さ、中空層の厚さ等について検討し、遮音性能および断熱性能ともに優れる薄型の複層ガラスを得た。
具体的には、断熱性能に優れ、熱貫流率、3.60W/m2・K以下であり、且つ遮音性に優れ、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3に合格し、特に人間の耳の周波数特性を考慮する等ラウドネス曲線に従い、音声による意思の伝達等を阻害する1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きい薄型の複層ガラスを発明するに至った。
本発明の複層ガラスにおいて、合わせガラスは、合わせガラスの強度を考慮し安全のために、合わせガラスを構成する各ガラス板には、厚さ2.7mm以上のガラス板を使用する必要がある、よって、合わせガラスを構成する一対のガラス板を合わせたガラス部の厚さは5.4mm以上である。また、本発明の複層ガラスにおいて、合わせガラスのガラス部の厚さが5.4mmより薄いと遮音等級T−3等級に合格し難い。
また、本発明の複層ガラスにおける金網入りガラスの厚さは、厚さの実測値が9.4mm以上のガラス板を用いる。厚さ9.4mmより薄いと遮音等級T−3等級に合格し難い。
尚、略号FLはガラス原料をスズ浴上に熔融展開して連続製造したフロートガラスの意であり、略号後の数値は呼び厚さであり、単位はmmである。呼び厚さはJIS R 3202−1996により、表1に示す許容差となる。
また、本発明の複層ガラスにおいて、優れた断熱性能および遮音性能を両立させるために、中空層に空気を封入する。尚、空気は大気圧にて封入することが簡便であり、複層ガラスを構成する各ガラス板に圧力または負圧が加わることがなく好ましい。尚、標準大気圧は101325Paである。
また、本発明の複層ガラスにおいて、熱貫流率を3.60W/m2・K以下を達成し、且つサッシとした際に、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格するためには、空気が封入された中空層の厚さは4.0mm以上必要である。また、T−3等級を達成するには、少なくとも、樹脂中間層には、0.3mm以上、好ましくは、0.38mm以上の厚さが必要である。
また、本発明の複層ガラスにおいて、複層ガラスの総厚を28.1mm以下とし、前記見掛100mm標準サッシ用枠に搭載するためには、複層ガラスを構成する金網入りガラスの厚さは10.6mm以下、合わせガラスのガラス部の厚さは7.6mm以下、樹脂製中間層の厚さは1.0mm以下、好ましくは0.76mm以下、空気を封入した中空層の厚みは8.9mm以下とする。
尚、薄型の複層ガラスで、熱貫流率を3.60W/m2・K以下を達成し、且つサッシとした際に、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格し、1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きいことは、合わせガラスが金網入りガラスよりも薄い構成としたことによる。
さらに、本発明は、複層ガラスを構成する一対のガラス板が金網入りガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスとからなり、合わせガラスが金網入りガラスより薄く、金網入りガラスと合わせガラスの間に位置する中空層に空気を封入してなり、複層ガラスの厚さが19.1mm以上、28.1mm以下であり、熱貫流率が3.60W/m2・K以下であり、サッシとした際に、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格する上記の複層ガラスである。
また、本発明は、複層ガラスを構成する一対のガラス板が金網入りガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスとからなり、合わせガラスが金網入りガラスより薄く、金網入りガラスと合わせガラスの間に位置する中空層に空気を封入してなり、金網入りガラスの厚さが9.4mm以上、10.6mm以下、合わせガラスは一対のガラス板からなり、合わせガラスを成す一対のガラス板を合わせたガラス部の厚さが5.4mm以上、7.6mm以下、樹脂中間層の厚さが0.3mm以上、1.0mm以下、中空層の厚さが4.0mm以上、8.9mm以下であり、これらを合わせた複層ガラスの厚さが19.1mm以上、28.1mm以下であり、熱貫流率が3.60W/m2・K以下であり、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格することを特徴とする上記の複層ガラスである。
また、樹脂中間層の厚さを0.7mm以上とし、市販の30mil(0.76mm)の厚さのPVBを用いることで、PVBが粘弾性を有し丈夫であることから、容易にこじ破り難くなり、建物外部からの本複層ガラスを用いたサッシ窓を通って、不審者が侵入することの妨げとなる。
即ち、本発明は、樹脂中間層の厚さを、0.7mm以上としたことを特徴とする上記の複層ガラスである。
尚、樹脂中間層にはPVBのみ、またはEVAのみからなる樹脂中間膜を用いてもよいが、PVBまたはEVAを単独で用いるよりも、化学構造を変え、密度および粘弾性を変えたPVB、EVAまたは他の透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜を用いる方が、遮音性能が向上する。
即ち、本発明は、樹脂中間層が、PVB、EVAまたは透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜から選ばれた樹脂中間膜に由来することを特徴とする上記の複層ガラスである。
また、複層ガラスをなすガラス基板に、例えば、金属酸化物薄膜および銀等の金属膜を積層させた低放射膜をその表面に形成したLow−Eガラスを使用することで、本発明の複層ガラスの断熱性能は、さらに向上する。低放射膜が痛まないように、Low-Eガラスは、本発明の複層ガラスにおいて、内面、即ち、中空層側に低放射膜がくるように配設し用いることが好ましい。
即ち、本発明は、片面に低放射膜を形成してなるLow−Eガラスを用い、低放射膜を中空層側に配設したことを特徴とする上記の複層ガラスである。
また、本発明は、上記の複層ガラスを取り付けてなることを特徴とする窓である。
また、本発明は、上記の複層ガラスを取り付けてなることを特徴とするドアである。
本発明の複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する一対のガラス板の一方に金網入り板ガラスを使用し、もう一方に合わせガラスを使用し、合わせガラスを金網入りガラスより薄くしたことで、コインシデンス効果が抑制され、1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きくなり、遮音性能が向上した。
また、本発明の複層ガラスにおいて、金網入りガラスを構成部材に用いることにより、ガラス基材中に封入された金網が音波を反射、拡散、および/またはガラスの見掛け剛性を大きくする効果があり、遮音性に優れ、合わせガラスを構成部材に用いることで、1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きくなり、遮音性能が向上した。
また、本発明の複層ガラスにおいて、中空層に空気を封入したことで、熱貫流率、3.60W/m2・K以下となる、厚さ、19.1mm以上、28.9mm以下の遮音性能および断熱性能ともに優れた軽量且つ薄型の複層ガラスが得られた。19.1mm以上、25.0mm以下の前記複層ガラスは、一般住宅で使用される厚さ100mmの標準サッシ用枠、通称、見掛100mm標準サッシ用枠に搭載可能である。
また、本発明の複層ガラスにおいて、樹脂中間層の厚さを0.70mm以上とすることで、尖った金属、例えば、金属ドライバー等によるこじ破り、およびバール等でガラスを破砕する打ち破りに対して容易に貫通穴が開かず、優れた防犯性が得られた。
また、本発明の複層ガラスにおいて、次世代省エネルギー基準4地区対応3.60W/m2・Kに対応する断熱性を有し、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格する軽量且つ薄型のガラスサッシが得られた。Low−Eガラスを使用することで、さらに断熱性能は向上する。
図2に金網入りガラスと合わせガラスからなる複層ガラスの主要部の断面図の一例を示す。
図2に示すように、本発明の複層ガラスは、複層ガラスを構成する一対のガラス板が金網入りガラスG1と樹脂中間層1を有する合わせガラスGとからなり、合わせガラスGが金網入りガラスG1より薄い。また、金網入りガラスG1と合わせガラスGの間に位置する中空層2には空気を封入してなる。
また、本発明の複層ガラスは、複層ガラスを構成する一対のガラス板が金網入りガラスG1と樹脂中間層1を有する合わせガラスGとからなり、合わせガラスGが金網入りガラスG1より薄く、金網入りガラスG1の厚さが9.4mm以上、10.6mm以下、合わせガラスGは一対のガラス板G2、G3からなり、合わせガラスGを成す一対のガラス板G2、G3を合わせたガラス部の厚さが5.4mm以上、7.6mm以下、樹脂中間層1の厚さが0.3mm以上、1.0mm以下、中空層2の厚さが4.0mm以上、8.9mm以下、好ましくは6.0mm以下であり、これらを合わせた複層ガラスの厚さが19.1mm以上、28.1mm以下、好ましくは25.2mm以下であり、中空層2に空気を封入してなり、熱貫流率が3.60W/m2・K以下であり、且つサッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格する上記の複層ガラスである。
本発明の遮音断熱複層ガラスは、図2に示すように、金網入りガラスG1と合わせガラスGからなる。例えば、金網入りガラスG1と合わせガラスGの間に、乾燥剤3としてのゼオライトまたはシリカゲル等を充填した中空部を有するアルミニウム製またはステンレス鋼製等のスペーサー4を挟み込み、スペーサー4の両側にブチルゴム接着材5を貼着し、スペーサー4を介して、金網入りガラスG1と合わせガラスGをブチルゴム接着材5で接着一体化し、金網入りガラスG1と合わせガラスGを隔置して密閉された中空層2を有する。尚、金網入りガラスG1と合わせガラスGとスペーサー4に囲まれた凹部6には、シリコーンシーラントまたはポリサルファイドシーラントを充填し、水分が浸入しないように水密性を向上させることが好ましい。
また、合わせガラスの樹脂中間層1としてのPVB膜、EVA膜、または遮音性中間膜が失透しないように、状況に応じて、合わせガラス端部7にはシーラントを塗布付着させる、樹脂板または金属板等を貼着させても良い。
本発明の遮音性複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する一対のガラス板に、金網入りガラスG1と樹脂中間層1を有する合わせガラスGを用いたことは、以下の理由による。
金網入りガラスG1を用いる理由は、金網入りガラスG1は、ガラス基材中に封入された金網が音波を反射、拡散、および/またはガラスの見掛け剛性を大きくする効果があり、同じ厚さの単板ガラスに比較して、遮音性に優れることによる。
また、建材において、遮音性能は質量の影響(質量則)と曲げ剛性の影響(コインシデンス効果)を受ける。コインシデンス効果による透過損失の低下をおこさないようにするには、曲げ剛性を小さくし、コインシデンス限界周波数ができるだけ高周波数になるようにすることが好ましい。
本発明の遮音性複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する一対のガラス板は、金網入りガラスG1と樹脂中間層1を有する合わせガラスGからなる。合わせガラスGは、粘性があり柔軟な樹脂中間層1により、合わせガラスGを成す一対のガラス板G2、G3が個々不規則に振動し、同じ厚さの単板ガラスに比べ、コインシデンス限界周波数における透過損失が大きく、コインシデンス限界周波数の位置がより高周波側に移動することで、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域を遮音する。
図3は、単板ガラスと合わせガラスの遮音性能曲線のグラフである。
図3に示すように、厚さの実測値が7.4mmの単板ガラス(FL8)に対して、一対の厚さの実測値が3.7mmのガラス板(FL4)に、厚さ30mil(0.76mm)のPVBを挟み込んだ合わせガラス(FL4/PVB30mil/FL4)の方が1000Hz以上、4000Hz以下の遮音性能曲線の周波数域の落ち込みが小さく遮音性に優れる。
合わせガラスGが遮音性能に優れることは、粘性があり柔軟な樹脂中間層の作用より、合わせガラスGを成す一対のガラス板G1、G2が個々不規則に振動することに加え、音の振動エネルギーを吸収することによる。特に、粘性の異なる透明樹脂を積層させた遮音性中間膜は、音の振動エネルギーを吸収する性能に優れる。
さらに遮音性中間膜としての厚さ15mil(0.38mm)の遮音性中間膜SNPVB(積水化学工業製、商品名、エスレック・アコースティック・フィルム)を用いた合わせガラスG(FL4/SNPVB15mil/FL4)は、樹脂中間層1に単層のPVB、EVAを用いた合わせガラスGと比較して、さらに1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の落ち込みが小さく遮音性に優れる。
エスレック・アコースティック・フィルムは、透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜であり、コア層に遮音性透明樹脂層を用い、遮音性透明樹脂層をPVBで挟んだサンドイッチ構造であり、3層押出成形により作製されている。通常のPVBに替えて、エスレック・アコースティック・フィルムを樹脂中間層に用いることで、合わせガラスGは1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の音響透過損失が5dB程度大きくなり、遮音性能が向上するとされる。
また、中空層2における吸音、反射を考慮しなければ、複層ガラスにおいて、コインシデンス効果の影響を受けないコインシデンス限界周波数より低周波数側の遮音性能は、質量則に従い、複層ガラスを構成する金網入りガラスG1およびガラス板G2、G3の総厚で決まる。即ち、図2に示す複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する金網入りガラス板G1およびガラス板G2、G3の総厚で、コインシデンス域の影響を受けないコインシデンス限界周波数より低周波数側の遮音性能は決まる。
総厚が同じ複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成するガラス板G1、G2、G3の各々のコインシデンス限界周波数を高周波側に設定し、構成するガラス板G1、G2、G3の厚さを変えて、コインシデンス限界周波数を異なった周波数とすれば、コインシデンス効果による遮音性能の低下を解消することが可能となる。即ち、複層ガラスを構成する各ガラスG1、G2、G3のコインシデンス限界周波数を高周波としコインシデンス限界周波数をずらせば、コインシデンス効果による遮音性能曲線の落ち込みを解消することができ、遮音性能の向上が期待される。
例えば、構成する合わせガラスGが金網入りガラスG1より薄い複層ガラス、呼び厚さ10mmの金網入りガラスG1(PWH10)/厚さ6.0mmの中空層2(A6)/呼び厚さ3mmのフロートガラスG2(FL3)/樹脂中間膜1としての遮音PVB30mil(0.76mm)/呼び厚さ3mmのフロートガラスG3(FL3)、即ち、PWH10/A6/FL3/遮音PVB30mil/FL3の構成の、呼び厚さの許容差を考慮したガラス部の総厚が14.8mm〜17.2mmの複層ガラスは、PWH10のガラス板のコインシデンス限界周波数とFL3のガラス板のコインシデンス限界周波数とを有し、金網入りガラス板G1(PWH10)と合わせガラスを構成するガラス板G2、G3(FL3)の大きく異なるコインシデンス限界周波数の違いにより、複層ガラスとした際にコインシデンス限界周波数による防音性能の落ち込みを軽減することができる。このように、合わせガラスGを金網入りガラスG1より薄くして、複層ガラスを構成する金網入りガラスG1とガラス板G2、G3の厚さを大きく異ならせ、コインシデンス効果により遮音能曲線の落ち込みを重ねないようにすることが、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の遮音性能曲線の落ち込みを小さくすること、または解消することにおいて、重要である。
それに比較して、金網入りガラスG1を合わせガラスGより薄くした場合、呼び厚さ6.8mmの金網入りガラス(PWH6.8)/厚さ6.0mmの中空層(A6)/呼び厚さ5mmのフロートガラス(FL5)/遮音PVB30mil(0.76mm)/呼び厚さ5mmのフロートガラス(FL5)、即ち、PWH6.8/A6/FL5/遮音PVB30mil/FL5の構成の複層ガラスは、PWH6.8の金網入り板ガラスとFL5の板ガラスが近いコインシデンス限界周波数を有し、コインシデンス限界周波数による防音性能の落ち込みを軽減することができない。このことは、複層ガラスを構成するガラス板の厚さに大きな差異がなく、コインシデンス効果により遮音能曲線の落ち込みが重なることによる。
以上の理由により、合わせガラスGが金網入りガラスG1より薄い構成にすると、合わせガラスGが金網入りガラスG1より厚い構成に比較して、複層ガラスを構成する金網入りガラスG1、ガラス板G2、G3をより異厚構成とすることができ、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域において音響透過損失の落ち込みが小さくなるので、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、合わせガラスGが金網入りガラスG1より薄い構成とした。
樹脂中間層1に使用する透明樹脂には、PVB、EVA、透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜が挙げられる。一対のガラス板G2、G3に、これらPVB、EVA、遮音性中間膜等の樹脂中間膜を挟み込んだ後で加熱溶融させてなる樹脂中間層1により、ガラス板G2、G3を直接接着一体化させて合わせガラスGとする。透明性樹脂からなる樹脂中間層1中に機能性微粒子を練り込んで、断熱性能等を向上させてもよい。
尚、透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜には、積水化学工業製、商品名、エスレック・フィルム、または株式会社クラレ製、商品名、トロシフォルが挙げられ、さらなる遮音性の向上が図れる。
本発明の複層ガラスの熱貫流率を低く抑えるには、中空層2に熱を透過しにくい重いガスであるアルゴン(原子量、約40amu)、クリプトン(原子量、約84amu)、キセノン(原子量、約131amu)等を封入ことも考えられるが、これら希ガスは高価である。本発明の複層ガラスの中空層2に封入するには、空気(平均分子量、29g/mo
l)が手に入り易く、本発明の複層ガラスに用いることが好ましい。
即ち、本発明の複層ガラスの前記構成において、中空層2に空気を封入し、中空層2の厚さを4.0mm以上、8.9mm以下とすることで、サッシとした際に、「板ガラス類の熱抵抗及び建築における熱貫流率の算定方法」JIS R 3107:1998に準拠して算定した複層ガラスの熱貫流率が3.60W/m2・K以下であり、且つ「サッシ」JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格することが可能となった。
また、本発明の複層ガラスのすべてのガラス板表面において、金属および金属酸化物を積層させた熱線反射膜等の機能性薄膜を形成してもよい。即ち、Low−Eガラスを使用してもよい。耐久性の観点から、特に、ガラス板G1および/またはG2の中空層2側に成膜することが、機能性薄膜がきずつきにくく好ましい。
本発明の複層ガラスに用いる合わせガラスGをなすガラス板G2、G3には、フロート法等で製造された後、何ら後処理がなされていない生板ガラス、製造後、風冷強化または化学強化等の強化処理がなされた強化ガラス等が使用され、着色ガラスでもよい。
複層ガラスは、通常、ドアおよび窓のサッシに直付けまたは嵌め込み用に予め製作および調整されたサッシ枠に、直にまたはグレージングチャンネル等の取り付け部材である枠を介して取り付けられ、固定窓、可動窓等の窓、開閉ドア等のドアへの取り付けに際して1個の構成材として扱う。
(遮音性能の評価)
遮音性能の評価をJIS A1416:2000に準拠して行った。詳しくは、JIS
A1416:2000に記載されるタイプI試験室(残響室)を使用し、2本の木製押縁(25mm×25mm)を用いて、試験体を固定し設置を行い、JIS A1416:2000に記載の方法で音響透過損失の測定を行った。音響透過損失の測定値が、JIS A4706:2000に記載の判断基準、「a)125Hz〜4000Hzの16点における音響透過損失が、全て該当する遮音等級線を上回ることとする。尚、各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。b)全周波数帯域において、数2の式によって、音響透過損失を換算し、その換算値(6点)が該当する遮音等級線を上回ることとする。」に対し、遮音等級T-3等級について、a)、b)いずれかに基準を満たした場合、遮音等級T-3等級に合格するとした。
実施例1
図2に示すように、金網入りガラスG1に厚さの実測値が9.4mmの金網入りガラス(PWH10)を用いた。さらに、一対のガラス板G2、G3に厚さの実測値が2.7mmのガラス板(FL3)と厚さの実測値が3.7mmのガラス板(FL4)、および厚さ30mil、(0.76mm)PVBからなる樹脂中間層1(PVB30mil)で構成される厚さ7.16mmの合わせガラスG(構成、FL3/PVB30mil/FL4)を用いた。これら金網入りガラスG1と合わせガラスGを用い、中空層2の層厚を6.0mm(A6)とし空気を封入したPWH10+A6+FL3/PVB30mil/FL4の構成の複層ガラスを用意した。この複層ガラスの厚さは22.56mmである。
金網入りガラスG1と合わせガラスGの間に、乾燥剤3としてのゼオライトを充填した中空部を有するアルミニウム製のスペーサー4を挟み込み、スペーサー4の両側にブチルゴム接着材5を貼着し、金網入りガラスG1と合わせガラスGを、スペーサー4を介してブチルゴム接着材5で接着一体化し、金網入りガラスG1と合わせガラスGを隔置した。金網入りガラスG1と合わせガラスGとスペーサー4に囲まれた凹部6には、ポリサルファイドシーラントを充填した。空気は大気圧にて中空層2に封入した。
尚、音源は金網入りガラスG1側におき、測定器は合わせガラスG側に設置した。
図4が実施例1の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
JIS A1416:2000に準拠して遮音性能試験を行った結果、JIS A4706:2000に記載の判断基準、「a)125Hz〜4000Hzの16点における音響透過損失が、全て該当する遮音等級線を上回ることとする。尚、各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。「b)全周波数帯域において、数2の式によって、音響透過損失を換算し、その換算値(6点)が該当する遮音等級線を上回ることとする。」に対し、サッシとした際に遮音等級T-3等級について、a)、b)いずれも基準を満たし、遮音等級T-3等級に合格した。
実施例2
次いで、実施例1と同様の構成で、樹脂中間層1に、厚さ、30mil(0.76mm)の遮音性中間膜(遮音PVB30mil)を使用した以外は同様の構成の複層ガラスを作製した。この複層ガラスの作製した複層ガラスは、PWH10+A6+FL3/遮音PVB30mil/FL4の構成で、厚さは22.56mmである。尚、遮音性中間膜には、積水化学工業製、商品名、エスレック・アコースティック・フィルムを使用した。尚、空気は大気圧にて中空層2に封入し、複層ガラスの端部は、実施例1と同様の構造とした。
図5が実施例2の遮音性ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
JIS A1416:2000に準拠して遮音性能試験を行った結果、JIS A4706:2000に記載の判断基準a)、b)をいずれも遮音等級T-3等級について満たし、遮音等級T-3等級に合格した。
実施例3
図2に示すように、金網入りガラスG1には、厚さの実測値が9.4mmの金網入りガラスG1(PWH10)を用いた。合わせガラスGには、厚さ0.38mmのPVBからなる樹脂中間層1を有する、厚さの実測値が2.7mmのガラス板G2(FL3)/厚さ0.38mmのPVB樹脂中間層1(PVB15mil)/厚さの実測値が2.7mmのガラス板G3(FL3)を用いた。中空層2の厚さは4.0mm(A4)とし、空気を封入し、厚さの実測値が9.4mmの金網入りガラスG1(PWH10)+厚さ4.0mmの中空層2(A4)+厚さの実測値が2.7mmのガラス板G2(FL3)/厚さ0.38mmのPVB樹脂中間層1(PVB15mil)/厚さの実測値が2.7mmのガラス板G3(FL3)の構成の複層ガラス、即ち、PWH10+A4+FL3/PVB15mil/FL3の構成の複層ガラスを用意した。この複層ガラスの厚さは19.18mmである。尚、空気は大気圧にて中空層2に封入し、複層ガラスの端部は、実施例1と同様の構造とした。
図6が実施例3の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
前記遮音性複層ガラスについて、JIS A1416:2000に準拠して遮音性能試験を行った結果、サッシとした際に前述のJIS A4706:2000に記載の判断基準a)の基準を満たし、遮音等級T-3等級に合格した。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する金網入りガラスと合わせガラスに用いた板ガラスの厚さに差を持たせたことで、コインシデンス限界効果による1000Hz以上、4000Hz以下の防音性能の落ち込みを軽減することができた。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、樹脂中間層1にPVBに替えて遮音性中間膜を用いることで、さらなる遮音性の向上が望める。このような遮音性中間膜としては、前述のように、積水化学工業株式会社製、商品名、エスレック・アコースティック・フィルムおよび株式会社クラレ製、商品名、トロシフォルが挙げられる。
(光学・熱的性能の測定)
次いで、「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射取得率の試験方法」JIS R3106:1998に基づき、本発明の複層ガラスの光学性能、熱的性能を計算し、「板ガラス類の熱抵抗及び建築における熱貫流率の算定方法」JIS R3107:1998に基づき、熱貫流率の計算を行った。
実施例1のPWH10(厚さの実測値9.4mm)+A6(厚さ6.0mmの空気封入中空層)+FL3(厚さの実測値2.7mm)/PVB30mil(厚さ0.76mm)/FL4(厚さの実測値3.7mm)の構成の厚さが22.56mmである複層ガラスの熱貫流率は3.19W/m2・Kであった。
実施例2のPWH10(厚さの実測値9.4mm)+A6(厚さ6.0mmの空気封入中空層)+FL3(厚さの実測値2.7mm)/遮音NPVB30mil(厚さ0.76mm)/FL4(厚さの実測値3.7mm)の構成の厚さが22.56mmである複層ガラスの熱貫流率は3.19W/m2・Kであった。
実施例3のPWH10(厚さの実測値9.4mm)+A4(厚さ4.0mmの空気封入中空層)+FL3(厚さの実測値2.7mm)/PVB15mil(厚さ0.38mm)/FL3(厚さの実測値2.7mm)の構成の厚さが19.18mmである複層ガラスの熱貫流率は3.55W/m2・Kであった。
JIS A4706:2000に記載される遮音等級線のグラフである。 金網入りガラスと合わせガラスを用いた複層ガラスの主要部の断面図の一例である。 単板ガラスと複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。 実施例1の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。 実施例2の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。 実施例3の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
G1 金網入りガラス
G 合わせガラス
G2、G3 ガラス板
1 樹脂中間層
2 中空層
3 乾燥剤
4 スペーサー
5 ブチルゴム接着材
6 凹部
7 合わせガラス端部

Claims (8)

  1. 複層ガラスを構成する一対のガラス板が金網入りガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスからなり、合わせガラスが金網入りガラスより薄く、金網入りガラスと合わせガラスの間に位置する中空層に空気を封入してなることを特徴とする複層ガラス。
  2. 複層ガラスを構成する一対のガラス板が金網入りガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスからなり、合わせガラスが金網入りガラスより薄く、金網入りガラスと合わせガラスの間に位置する中空層に空気を封入してなり、
    複層ガラスの厚さが19.1mm以上、28.1mm以下であり、
    熱貫流率が3.60W/m2・K以下であり、
    サッシとした際に、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格する請求項1に記載の複層ガラス。
  3. 複層ガラスを構成する一対のガラス板が金網入りガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスガラスからなり、合わせガラスが金網入りガラスより薄く、金網入りガラスと合わせガラスの間に位置する中空層に空気を封入してなり、
    金網入りガラスの厚さが9.4mm以上、10.6mm以下、合わせガラスは一対のガラス板からなり、合わせガラスを成す一対のガラス板を合わせたガラス部の厚さが5.4mm以上、7.6mm以下、樹脂中間層の厚さが0.3mm以上、1.0mm以下、中空層の厚さが4.0mm以上、8.9mm以下であり、これらを合わせた複層ガラスの厚さが19.1mm以上、28.1mm以下であり、
    熱貫流率が3.60W/m2・K以下であり、
    サッシとした際に、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格する請求項2に記載の複層ガラス。
  4. 樹脂中間層の厚さを、0.7mm以上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の複層ガラス。
  5. 樹脂中間層が、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体または透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜から選ばれた樹脂中間膜に由来することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の遮音性複層ガラス。
  6. 片面に低放射膜を形成してなるLow−Eガラスを用い、低放射膜を中空層側に配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の複層ガラス。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の複層ガラスを取り付けてなることを特徴とする窓。
  8. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の複層ガラスを取り付けてなることを特徴とするドア。
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JP2016531063A (ja) * 2013-06-14 2016-10-06 エージーシー グラス ユーロップ 冷蔵庫を有するキャビネット用のガラス要素
US20230235623A1 (en) * 2022-01-26 2023-07-27 Privacy Glass Solutions Impact resistant operable blind

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