JP2010006683A - 遮音性複層ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】二重サッシあるいはサッシを重ねて用いることなく、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する固定窓または可動窓に使用される薄く且つ軽量なサッシを与える遮音性複層ガラスを提供する。
【解決手段】複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスG1と合わせガラスGからなり、合わせガラスGが単板ガラスG1より薄く、中空層にヘリウムを封入し、単板ガラスG1の厚さが7.4mm以上、10.6mm以下、合わせガラスGのガラス部の厚さが5.4mm以上、7.6mm以下、樹脂中間層1の厚さが0.3mm以上、0.8mm以下、中空層2の厚さが4.0mm以上、6.0mm以下、複層ガラスの厚さが17.1mm以上、25.0mm以下である遮音性複層ガラス。
【選択図】図2

Description

本発明は、薄く且つ軽量な遮音性複層ガラスに関し、特に、一般住宅で使用される厚さ100mmの標準サッシ用枠、即ち、見掛100mm標準サッシ用枠に搭載可能な薄型の遮音性複層ガラスに関する。
通常、複層ガラスは、一対のガラス板の周縁部にアルミニウム製スペーサーをブチルゴム接着材で貼着して挟み込み、ブチルゴム接着材で一対のガラス板とアルミニウム製スペーサーを接着一体化させ、ガラス板とアルミニウム製スペーサーからなるコの字型凹部に、ポリサルファイド、またはシリコーンからなる封止材を充填し封止している。よって、複層ガラスにはガラス板とアルミニウム製スペーサーで囲まれ密閉された中空層が存在する。
さて、近年、一般住宅、特に集合住宅、道路の近く、鉄道沿線および空港の周辺の住宅等、ビル、オーディオルーム、ピアノ室、図書館、美術館等においては、好まれざる音、または音楽や会話の伝達を阻害する音である騒音に対する関心が高まり、建物の床、壁、天井等には吸音材が埋め込まれ、ドアにも防音または遮音ドアが使用されるようになってきている。加えて、音が通過しやすい窓においても、断熱性能とともに防音性能を有することが求められる。よって、窓は、空気等の媒体の粗密波として伝わる縦波である音を減衰させることを要求されるようになってきた。
複層ガラスは、中空層を含めた同厚のガラス板に比較すると遮音性能は低い。このことは、密度の大きい物体ほど音を吸収減衰しやすく、また、固体抵抗により振動し難いので、ガラスの方が、気体であり分子が動き易い空気より、音の吸収減衰が大きいことによる。また、複層ガラスは、ガラス板、中空層、ガラス板の構成であるために、音の反射面は多いが、中空層における共鳴およびコインシデンス効果の問題があり、複層ガラスは、中空層を除いた同厚のガラス板と比較し遮音に優れた周波数域もあるが劣る周波数域もある。
共鳴透過とは、通常の複層ガラスのように中空層が6ミリ、12ミリというように狭い場合、2枚の板ガラスが中空層を通して共鳴し、ある周波数付近では遮音性能が低下することをいう。
また、コインシデンス効果とは、板状の材料において特有の周波数で透過損失が小さくなる、言い換えれば、遮音性能が低下する現象である。具体的には、音が板面に斜めに入射すると板面上の位置によって音圧に位相差ができるため、板面にそって固有の屈曲強制振動を生じ、ある周波数で音の透過が大きくなり遮音性能が低下する現象である。ガラス板においては、ガラス面に対し、音の波(縦弾性波)が垂直でなく斜めに入射した場合、コインシデンス効果によりガラス面に水面を走る波のような振動波(横波)が発生し、共鳴により遮音性能を低下させ、コインシデンス限界周波数以上の周波数域で遮音性能の低下が起こる。尚、コインシデンスの現象の起きる最も低い周波数をコインシデンス限界周波数と言い、コインシデンス限界周波数とガラスの厚さの間には相関があり、ガラスが厚くなり曲げ剛性が大きくなると、コインシデンス限界周波数は低くなることが知られている。サッシの遮音においては、このコインシデンス効果の発生を抑制しなければならない。
尚、コインシデンス限界周波数は、数1の式で表される。
合わせガラスは、ガラス板と樹脂中間層の界面による反射、ガラスと直に接着した樹脂中間層によるコインシデンス効果の抑制、粗密波である音の樹脂中間層の粘性抵抗による吸収減衰があり、遮音性能を向上させるための設計が可能である。
そこで、化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂を積層させて遮音性能を高めた遮音性中間膜が開発された。例えば、ポリビニルブチラール樹脂(以下、PVBと略する)と、単なるPVBとは化学構造を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂を積層させた遮音性中間膜が開発された。合わせガラスの樹脂中間層に、化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂を積層させた樹脂中間膜を使用し、音の振動エネルギーを吸収し減衰させることが可能である。従来のPVB、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略する)のみからなる中間膜と同様に、ガラス板の間に挟みこみ加熱溶融することで、ガラス板を接着一体化させて合わせガラスとする。
例えば、特許文献1、2に、モノマー組成比または分子量を変え粘性等の物性の異なるPVBを積層させる、あるいは、PVBおよびPVBとは化学構造の異なるポリビニルアセタール樹脂を積層させる等して、音の振動エネルギーを吸収する遮音性中間膜が開示されている。
特許文献1には、アセタール基の炭素数が4〜6であり、且つアセチル基が結合しているエチレン基量の平均値の、主鎖の全エチレン基量に対するモル分率が8〜30モル%であるポリビニルアセタール樹脂(A) と可塑剤とからなる少なくとも1つの層(A) と、アセタール基の炭素数が3〜4であり、かつ、アセチル基が結合しているエチレン基量の平均値の、主鎖の全エチレン基量に対するモル分率が4モル%以下であるポリビニルアセタール樹脂(B) と可塑剤とからなる少なくとも1つの層(B)とが積層されてなる、合わせガラス用中間膜が開示されている。
また、特許文献2にはポリビニルアセタール樹脂と可塑剤からなる厚み0.05mm以上の層(A)と、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤からなる層(B)とが、層(B)/層(A)/層(B)なる積層構成で積層され、層(A)のポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールが炭素数6〜8のアルデヒド(a)と炭素数2〜4のアルデヒド(b)とにより共アセタール化された樹脂であって、アルデヒド(a)でアセタール化された部分と、アルデヒド(b)でアセタール化された部分との重量比が60:40〜100:0の範囲にあり、層(B) のポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールが炭素数2〜4のアルデヒド(b)と、炭素数6〜8のアルデヒド(a)により共アセタール化された樹脂であって、アルデヒド(b)でアセタール化された部分と、アルデヒド(a)でアセタール化された部分との重量比が80:20〜100:0の範囲にあり、層(A)と層(B)の少なくとも一方のポリビニルアセタール樹脂は共アセタール化された樹脂であることを特徴とする遮音性中間膜が開示されている。
尚、サッシの遮音性能の規格は、「サッシ」JIS A4706:2000に記載されている。即ち、JIS A4706:2000において、サッシの遮音性は、遮音等級T−1等級、T−2等級、T−3等級、T−4等級に分けられる。サッシの片側から音を出し、反対側でサッシによる音の反射、吸収減衰による音圧レベルの減少を測ることで、サッシの音響透過損失を前記JIS規格に定める各周波数で測定し、遮音等級T−1等級線、T−2等級線、T−3等級線、T−4等級線に準拠し、前記JISに記載された条件に適合、即ち、合格したサッシを、各々遮音等級T−1等級、T−2等級、T−3等級、T−4等級とする。
図1にJIS A4706:2000に記載される遮音等級線のグラフを示す。
図1に示すように、音響透過損失による遮音等級線において、500Hz以上の遮音性能が、遮音等級T−3等級は35dB以上であり、遮音等級T−4等級は40dB以上である。遮音等級T−3等級、T−4等級に合格するには、音響透過損失が前述の等級線を実質的に上回る必要がある。
遮音等級T−4等級に合格するには、遮音等級T−3等級に比較して、500Hz以上の音響透過損失35dB以上を、40dB以上に、即ち、5dB以上遮音性能を向上させなければならない。また、125Hz以上、500Hz以下の周波数域においても、図1に示すように、JIS A4706:2000に示された遮音等級線に沿って5dB以上遮音性能を向上させなければならない。遮音等級T−4等級に合格するガラスサッシの遮音性能は、例えば、同厚のコンクリート壁に匹敵する。
尚、デシベル(dB)は音圧レベルの単位であり、音圧レベルは音による大気圧から圧力変動を対数で表した無次元量としデシベル(dB)を単位として表される。圧力変動は音圧レベル10dBで3.2倍変動する。音圧レベルはある音の音圧P(単位:Pa)と人間の最小可聴音である基準音圧P0(2×10−5Pa)との比の常用対数を20倍したものとして定義され、dBで表される。
このような遮音等級T−3等級に合格する防音複層ガラス(商品名、ペアレックスソネス、セントラル硝子株式会社製)が市販されている。
前記防音複層ガラスは、ガラス板を異厚構成とすることで前述の音の共振を防止し特定の波長を増幅させないこと、および音を原子・分子の運動エネルギーとしての熱エネルギーに変換することで音波を吸収する特殊ガスを封入することにより、遮音等級T−3等級に合格する遮音性能を実現している。
また、遮音等級T−3等級に合格する合わせガラス(商品名、ラミネックスソネス、発売元、セントラル硝子株式会社、商品名、ラミシャット、発売元、旭硝子株式会社)が、市販されている。前記合わせガラスは、2枚のガラス板の間に透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜を挟み、加熱接着し、前述のガラス板特有のコインシデンス効果により遮音性能の低下を、該遮音性中間膜からなる樹脂中間層で抑制し、遮音等級T−3等級に合格する遮音性能を実現した。
現在、T−4等級に合格するガラスサッシとして、旭硝子株式会社製、商品名、まどまどがある。まどまどは、二重窓であり、ガラス構成は、従来から設置されている既存の窓ガラスの室内側に、呼び厚さ3mmのガラス板(FL3)/厚さ0.8mm以上、2.3mm以下の特殊フィルム/呼び厚さ3mmのガラス板(FL3)の構成の合わせガラスを、サッシの状態で新たに加え施工し防犯性能を高めたタイプ、または呼び厚さ3mmのガラス板(FL3)/中間層(厚さ、6〜12mm)/呼び厚さ3mmの低放射膜付きガラス板(FL3)の構成の複層ガラスをサッシの状態で新たに加え施工し断熱性能を高めたタイプがある。低放射膜は、日射エネルギーを減少させるための赤外線を反射する金属および金属酸化物を積層した薄膜である。
尚、略号FLはガラス原料をスズ浴上に熔融展開して連続製造したフロートガラスの意であり、略号後の数値は呼び厚さであり、単位はmmである。呼び厚さはJIS R 3202−1996により、表1に示す許容差となる。
しかし、どちらのタイプも二重窓であるためガラスの設置幅が大きくなり、施工する際にはサッシの取り付けスペースが必要となる。また、二重サッシになることによる視認性の悪化、および窓を開け閉めする際、二度開閉しなければならないので便利が悪い。また、サッシが二重になるので、高価となる。
JIS A 4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格するガラスサッシは、固定窓および可動窓等に使用されるガラスサッシを含めて世の中になく、遮音等級T−4等級を実現するには、戸が内外二重に設けられた二重サッシとする、あるいはJIS A 4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格する前記複層ガラスまたは合わせガラスを用い、二重以上にガラスサッシを施工しなければならないという問題があった。
尚、ガラスサッシとは、複層ガラス、合わせガラスまたは合わせ複層ガラス等を含むガラス板に予め枠が制作・調整されていて、固定窓、可動窓等の窓、開閉ドア等のドアへの取り付けに際して1個の構成材として扱うことができるものを言う。
特開平6−926号公報 特開平5−104687号公報
本発明は、一般住宅で使用される厚さの100mmの標準サッシ用枠、即ち、見掛100mm標準サッシ用枠に適用可能で、二重サッシとすることなく、「サッシ」JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格し、固定窓または可動窓であるスイングサッシ等の窓およびドアに使用される薄く且つ軽量なサッシを与える遮音性複層ガラスを提供することを目的とする。
加えて、本発明は、遮音等級T−4等級合格に加え、4KHzに感度のピークがある人間の耳の周波数特性を考慮する等ラウドネス曲線に準拠し、音声による意思の伝達等を阻害する1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きく、遮音性能を向上させたサッシを与える遮音性複層ガラスを提供することを目的とする。
また、本発明は、尖った金属、例えば、金属ドライバー等によるこじ破り、バール等でガラスを破砕する打ち破りに対して、容易に貫通穴が開かず、防犯性に優れ、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する遮音性複層ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、単板ガラスと合わせガラスを種々組合せた複層ガラスの中空層にヘリウムを封入し、遮音性能の測定を行った結果、特に人間の耳の周波数特性を考慮する等ラウドネス曲線に準拠し、1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きいとともに、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する、薄く且つ軽量な遮音性複層ガラスを得た。以下、詳細に説明する。
尚、本発明において、単板ガラスとは、ガラスのみで構成された1枚のガラス板を指す。複層ガラス、合わせガラスは、複数のガラス板で構成されるので、単板ガラスではない。合わせガラスは、一対のガラス板の間に、PVB、EVAまたは透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜から選ばれた樹脂中間膜を挟み、樹脂中間膜を加熱溶融させることで接着一体化させたものを指す。
本発明の遮音性複層ガラスは、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスからなる。合わせガラスを用いる理由は、合わせガラスは、粘性があり柔軟な樹脂中間層により、合わせガラスを成す一対のガラス板が個々不規則に振動し、同じ厚さの単板ガラスに比べ、コインシデンス限界周波数における透過損失が大きく、コインシデンス限界周波数の位置がより高周波側に移動することで、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域を遮音することによる。複層ガラスを構成するガラス板に合わせガラスを用いることで、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4に合格する、薄く且つ軽量な遮音性複層ガラスが得られた。
本発明者らが鋭意検討したところ、上記構成の複層ガラスにおいて、合わせガラスを単板ガラスより薄い構成にすると、合わせガラスが単板ガラスより厚い構成の複層ガラスに比較して、さらに、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域において音響透過損失が小さくなり、遮音性能曲線の落ち込みが小さくなることがわかった。
また、ヘリウムを複層ガラスの中空層に封入することで、音の振動エネルギーを熱エネルギーに替えて、遮音性能を向上させた。
即ち、本発明は、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスとからなり、合わせガラスが単板ガラスより薄く、中空層にヘリウムを封入してなることを特徴とする遮音性複層ガラスである。
本発明の遮音性複層ガラスにおいて、遮音性複層ガラスの厚さを、一般住宅で使用される厚さの100mmの標準サッシ用枠、即ち、見掛100mm標準サッシ用枠に適用可能な様に、25.0mmに抑える必要がある。
本発明の遮音性複層ガラスにおいて、遮音等級T−4等級に合格する遮音性能の確保のため、単板ガラスには、7.4mm以上、ガラス板を用いることが好ましい。単板ガラスが7.4mmより薄いと遮音等級T−4等級に合格することが難しい。好ましくは8.4mm以上である。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、遮音等級T−4等級に合格する遮音性能の確保のため、および合わせガラスの強度を考慮し安全のために、合わせガラスを構成する各ガラス板には、厚さ2.7mm以上のガラス板を使用することが好ましい。よって、一対のガラス板を合わせたガラス部の厚さは5.4mm以上である。また、5.4mmより薄いと遮音等級T−4等級に合格することが難しい。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、遮音等級T−4等級に合格するには、少なくとも、樹脂中間層には、0.3mm以上、好ましくは、0.38mm以上の厚さが必要である。樹脂中間層の層厚が0.3mmより薄いと、サッシとした際に、遮音等級T−4等級を実現することが難しく、通常使用されるPVBの中間膜の規格が15mil(約0.38mm)、30mil(約0.76mm)であることを考慮すれば 樹脂中間層の層厚は0.8mm以下、好ましくは0.76mm以下である。尚、1mil=1/1000インチであり、約0.0255mmである。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、遮音等級T−4等級に合格するために、中空層にヘリウムを封入する。尚、ヘリウムは、大気圧にて封入する。尚、標準大気圧は101325Paである。遮音等級T−4等級に合格するために、中空層の厚さは4.0mm以上必要である。
また、本発明の遮音性複層ガラスを一般住宅で使用される厚さの100mmの標準サッシ用枠、即ち、見掛100mm標準サッシ用枠に搭載するために、複層ガラスの総厚を25.0mm以下とするには、複層ガラスを構成する単板ガラスの厚さを10.6mm以下、合わせガラスのガラス部の厚さを7.6mm以下、樹脂製中間層の厚さを0.8mm以下、好ましくは0.76mm以下、中空層の厚さは6.0mm以下とする。
さらに、本発明は、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスとからなり、合わせガラスが単板ガラスより薄く、中空層にヘリウムを封入してなり、厚さが17.1mm以上、25.0mm以下であり、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格することを特徴とする上記の遮音性複層ガラスである。
また、本発明は、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスとからなり、合わせガラスが単板ガラスより薄く、中空層にヘリウムを封入してなり、単板ガラスの厚さが7.4mm以上、10.6mm以下、合わせガラスは一対のガラス板からなり、合わせガラスを成す一対のガラス板を合わせたガラス部の厚さが5.4mm以上、7.6mm以下であり、樹脂中間層の厚さが0.3mm以上、0.8mm以下であり、中空層の厚さが4.0mm以上、6.0mm以下であり、これらを合わせた複層ガラスの厚さが17.1mm以上、25.0mm以下であり、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格することを特徴とする上記の遮音性複層ガラスである。
樹脂中間層は、厚くなるほどに、尖った金属、例えば、金属ドライバー等で樹脂中間層に穴を開けることによるこじ破り、およびバール等でガラスを破砕する打ち破りに対し、容易に貫通穴が開かなくなる。防犯性のためには、30mil(約0.76mm)以上の中間膜であることが好ましく、中間膜の厚さは0.70mm以上で必要である。
さらに、本発明は、樹脂中間層の厚みが0.70mm以上であることを特徴とする上記の遮音性複層ガラスである。
合わせガラスの樹脂中間層を形成するための樹脂中間膜としては、透明樹脂としてのPVB、エチレン−ビニルアセテート樹脂(以下、EVAと略する)、遮音性能を高めるため化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜が挙げられる。
PVBのみを用いた場合、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域において、音響透過損失が小さくなり、遮音性能曲線に落ち込みが生じることから、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせるために、モノマー組成比または分子量を変えたPVBを積層させたこと、PVBおよびPVBとは化学構造の異なるポリビニルアセタール樹脂を積層させたことによる遮音性中間膜を用いることが好ましい。具体的には、モノマー組成比および/または分子量を変え粘性を異ならせた、少なくとも2種類の異なるPVBを積層させて、遮音性能を高めた遮音性中間膜を用いることが好ましい。
当該遮音性複層ガラスの樹脂中間層として、1枚のPVBに替えて、前述の遮音性中間膜を本発明の遮音性複層ガラスに用いると、サッシとした際に遮音等級T−4等級に合格するのみでなく、PVBを用いた合わせガラスに比較して1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の音響透過損失が5dB程度大きくなり、さらに遮音性能が向上する。
このことは、粘性があり柔軟な樹脂中間層により、合わせガラスを成す一対のガラス板が個々不規則に振動することに加え、粘性の異なる樹脂を積層させた遮音性中間膜自体が音の振動エネルギーを吸収することによる。
さらに、本発明は、樹脂中間層が、PVB、EVAまたは透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜から選ばれることを特徴とする上記の遮音性複層ガラスである。
さらに、本発明は、上記の遮音性複層ガラスを取り付けてなることを特徴とするサッシ窓である。
また、本発明は、上記の遮音性複層ガラスを取り付けてなることを特徴とするドアである。
本発明の遮音性複層ガラスの厚さは、17.1mm以上、25.0mm以下であり、本発明の遮音性複層ガラスにより、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する軽量、且つ薄型のガラスサッシが得られ、当該遮音性複層ガラスを用いることで、二重サッシとすることなく、見掛け100mm標準サッシに適用可能となった。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、構成部材に合わせガラスを用い、合わせガラスを単板ガラスより薄い構成としたことで、遮音性複層ガラスの厚さ17.1mm以上、25.0mm以下において、1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きくなり、遮音性能が向上し、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格し、且つ1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失を大きくするこがを達成された。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、樹脂中間層に透明樹脂を積層させてなる前述の遮音性中間膜を用いることで、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格するのみでなく、1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きくなり、遮音性能がさらに向上した。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、樹脂中間層の厚さを0.70mm以上とすることで、尖った金属、例えば、金属ドライバー等によるこじ破り、およびバール等でガラスを破砕する打ち破りに対して容易に貫通穴が開かず、防犯性に優れたJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する遮音性複層ガラスを提供された。
本発明の遮音性複層ガラスは、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスからなる。尚、本発明において、単板ガラスとは、ガラスのみで構成された1枚のガラス板を指す。複層ガラス、合わせガラスは、複数のガラス板で構成されるので、単板ガラスではない。合わせガラスは一対のガラス板の間に、PVB、EVAまたは透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜から選ばれた樹脂中間膜を挟み、樹脂中間膜を加熱溶融させることで接着一体化させたものを指す。
図2に単板ガラスと合わせガラスからなる複層ガラスの主要部の断面図を示す。
本発明の複層ガラスは、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスG1と樹脂中間層1を有する合わせガラスGとからなり、合わせガラスGが単板ガラスG1より薄く、中空層2にヘリウムを封入してなることを特徴とする遮音性複層ガラスである。
また、本発明は、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスG1と樹脂中間層1を有する合わせガラスGとからなり、合わせガラスGが単板ガラスG1より薄く、中空層2にヘリウムを封入してなり、厚さが17.1mm以上、25.0mm以下であり、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する遮音性能を有する。
また、本発明の遮音性複層ガラスは、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスG1と樹脂中間層1を有する合わせガラスGとからなり、合わせガラスGが単板ガラス1より薄く、単板ガラスG1の厚さが7.4mm以上、好ましくは、8.4mm以上、10.6mm以下、合わせガラスGは一対のガラス板G2、G3からなり、合わせガラスGを成す一対のガラス板G2、G3を合わせたガラス部の厚さが5.4mm以上、7.6mm以下であり、樹脂中間層1の厚さが0.3mm以上、0.8mm以下であり、中空層2の厚さが4.0mm以上、6.0mm以下であり、これらを合わせた複層ガラスの厚さが17.1mm以上、好ましくは、18.1mm以上、25.0mm以下であり、中空層2にヘリウムを封入してなり、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する遮音性能を有する。
図2に示すように、本発明の遮音性複層ガラスの端部は、例えば、単板ガラスG1と合わせガラスGの間に、乾燥剤3としてのゼオライト等を充填した中空部を有するアルミニウム製またはステンレス鋼製等のスペーサー4を挟み込み、スペーサー4の両側にブチルゴム接着材5を貼着し、スペーサー4を介して、単板ガラスG1と合わせガラスGをブチルゴム接着材5で接着一体化し、単板ガラスG1と合わせガラスGを隔置して密閉された中空層2を有する。尚、単板ガラスG1と合わせガラスGとスペーサー4に囲まれた凹部6には、シリコーンシーラントまたはポリサルファイドシーラントを充填し、単板ガラスG1と合わせガラスGを接着一体化するとともに水分が浸入しないように水密性を向上させる。本発明の遮音性複層ガラスにおいて、中空層2に封入したヘリウムが抜けないためには、ヘリウムが透過し難く、ヘリウムに対してより封止性能が高いポリサルファイドシーラントを充填することが好ましい。最もヘリウムが透過しにくいのは凹部6にホットメルトブチルを充填した場合である。また、ポリサルファイドシーラントとシリコーンシーラントの二重構造としてもよい。この際、複層ガラス端部からのヘリウムの漏れを防ぐために凹部6の深さを5mm以上とし、スペーサーとシーラント層の厚みを合わせて10mm以上とすることが好ましい。
また、合わせガラスの樹脂中間層2としてのPVB、EVA、遮音性中間膜が失透しないように、状況に応じて、合わせガラス端部7にはシーラントを塗布付着させる、樹脂または金属板を貼着させても良い。
本発明の遮音性複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する一対のガラス板に、単板ガラスG1と樹脂中間層1を有する合わせガラスGを用いたことは以下の理由による。
建材において、遮音性能は質量の影響(質量則)と曲げ剛性の影響(コインシデンス)を受ける。コインシデンス効果による透過損失の低下をおこさないようにするには、曲げ剛性を小さくしてコインシデンス限界周波数ができるだけ高周波数になるようにすることが好ましい。
図2に示すように、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する一対のガラス板は、単板ガラスG1と樹脂中間層1を有する合わせガラスGからなる。合わせガラスGは、粘性があり柔軟な樹脂中間層1により、合わせガラスGを成す一対のガラス板G2、G3が個々不規則に振動し、同じ厚さの単板ガラスG1に比べ、コインシデンス限界周波数における透過損失が大きく、コインシデンス限界周波数の位置がより高周波側に移動することで、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域を遮音する。
図3は、単板ガラスと合わせガラスの遮音性能曲線のグラフである。
図3に示すように、厚さの実測値が7.4mmの単板ガラスG1(FL8)に対して、一対の厚さの実測値が3.7mmのガラス板G2、G3(FL4)に、厚さ30mil(0.76mm)のPVBを挟み込んだ合わせガラスG(FL4/PVB30mil/FL4)の方が1000Hz以上、4000Hz以下の遮音性能曲線の周波数域の落ち込みが小さく遮音性に優れる。
合わせガラスが遮音性能に優れることは、粘性があり柔軟な樹脂中間層の作用より、合わせガラスを成す一対のガラス板が個々不規則に振動することに加え、音の振動エネルギーを吸収することによる。
特に、粘性の異なる透明樹脂を積層させた遮音性中間膜は、音の振動エネルギーを吸収する性能に優れる。
また、図3に示すように、樹脂中間層1としての厚さ15mil(0.38mm)の遮音性中間膜(積水化学工業製、商品名、エスレック・アコースティック・フィルム)を用いた合わせガラスG(FL4/遮音PVB15mil/FL4)は、樹脂中間層1にPVB、EVAを用いた合わせガラスGと比較して、さらに1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の落ち込みが小さく遮音性に優れる。
エスレック・アコースティック・フィルムは、透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜であり、コア層に遮音性透明樹脂層を用い、遮音性透明樹脂層をPVBで挟んだサンドイッチ構造であり、3層押出成形により作製されている。通常のPVBに替えて、エスレック・アコースティック・フィルムを樹脂中間層に用いることで、合わせガラスG´は1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の音響透過損失が5dB程度大きくなり、複層ガラスGとした場合、さらに遮音性能が向上する。
また、中空層1、2における吸音、反射を考慮しなければ、複層ガラスにおいて、コインシデンス効果の影響を受けないコインシデンス限界周波数より低周波数側の遮音性能は、質量則に従い、複層ガラスを構成する単板ガラスG1およびガラス板G2、G3の総厚で決まる。即ち、図2に示す複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する単板ガラスG1およびガラス板G2、G3の総厚で、コインシデンス域の影響を受けないコインシデンス限界周波数より低周波数側の遮音性能は決まる。
図2に示す複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する単板ガラスG1とガラス板G2、G3のコインシデンス限界周波数を高周波側に設定し、単板ガラスG1とガラス板G2、G3の厚さを大きく変えて、コインシデンス限界周波数を大きく異なった周波数とすれば、コインシデンス効果による遮音性能の低下を解消することが可能となる。即ち、複層ガラスにおいて、単板ガラスG1と合わせガラスGを用い、複層ガラスを構成する単板ガラス板G1とガラス板G2、G3のコインシデンス限界周波数を大きく異なる周波数に分ければ、コインシデンス効果による遮音性能曲線の落ち込みを解消することができ、遮音性能が向上する。
例えば、構成する合わせガラスGが単板ガラスG1より薄い複層ガラス、厚さの実測値が9.4mmの単板ガラスG1(FL10)/総厚6.0mmの中空層2(G6)/厚さの実測値が2.7mmのガラス板G2(FL3)/樹脂中間膜2としてのPVB30mil(0.76mm)/厚さの実測値が2.7mmのガラス板G3(FL3)、即ち、FL10/G6/FL3/遮音PVB30mil/FL3の構成のガラス部の総厚が14.8mmの複層ガラスは、FL10のコインシデンス限界周波数とFL3に近いコインシデンス限界周波数とを有し、単板ガラス板G1(FL10)と合わせガラスを構成するガラス板G2、G3(FL3)の大きく異なるコインシデンス限界周波数の違いにより、複層ガラスとした際にコインシデンス限界周波数による遮音性能曲線の落ち込みを軽減することができる。このように、複層ガラスを構成する単板ガラスG1と合わせガラスにおけるガラス板G2、G3の厚さを大きく異ならせ、コインシデンス効果により遮音能曲線の落ち込みを重ねないようにすることが、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の遮音能曲線の落ち込みを小さくすること、または解消することにおいて重要である。
それに比較して、薄い側を単板ガラス、厚い側を合わせガラスにした場合(例:FL5/遮音PVB30mil/FL5/G6/FL6)、即ち、厚さの実測値が4.7mmのフロートガラス(FL5)/総厚6.0mmの中空層(G6)/厚さの実測値が4.7mmのフロートガラス(FL5)/PVB30mil(0.76mm)/厚さの実測値が5.7mmのフロートガラス(FL6)の構成の複層ガラスは、FL5、FL6の近いコインシデンス限界周波数を有し、コインシデンス限界周波数による防音性能の落ち込みを軽減することができない。このことは、複層ガラスを構成する各々3枚のガラス板の厚さが近く、コインシデンス効果により遮音能曲線の落ち込みが重なることによる。
以上の理由により、合わせガラスGが単板ガラスG1より薄い構成にすると、合わせガラスGが単板ガラスG1より厚い構成に比較して、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域において音響透過損失の落ち込みが小さくなるので、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、合わせガラスGが単板ガラスG1より薄い構成とした。
また、複層ガラスを用いたサッシに優れた遮音性能を得るには、複層ガラスの中空層2にヘリウムを封入し、音の振動エネルギーをヘリウムの原子運動エネルギーに替えて熱エネルギーとして放散させることで、音を減衰吸収させる。
常温(20℃)でガラスの弾性率は60〜80×10Paであり、密度は約2200〜2600kg/mであり、ガラス中の音速は4000〜5500m/sである。空気の弾性率は14×10Paであり、密度は約1.2kg/mであり、空気中の音速は341m/sである。ヘリウムの弾性率は17×10Paであり、密度は約0.18kg/mであり、ヘリウム中の音速は970m/sである。ヘリウムは空気より密度が小さいが、弾性率は同程度であり、ガラスとの密度差によりガラス面で音はより反射され、反射された音はヘリウム分子(単原子分子)が軽いことにより、ヘリウム分子の熱エネルギーとして吸収される。尚、音は媒質が硬く、言い換えれば、硬さの尺度である弾性率が大きく、軽いほど、言い換えれば、密度が小さいほど、速く伝わる。音速は数2の式で表される。
このように、ヘリウムは音のエネルギーにより動きやすく、音のエネルギーを熱のエネルギーに変換させる効果が大きいことより、ヘリウムを本発明の遮音性複層ガラスの中空層2に封入すると、サッシとした際に、音響透過損失が大きくなり、遮音性能を向上させる効果がある。
複層ガラスは、通常、ドアおよび窓のサッシに直付けまたは嵌め込み用に予め製作および調整されたサッシ枠に、直にまたはグレージングチャンネル等の取り付け部材である枠を介して取り付けられ、固定窓、可動窓等の窓、開閉ドア等のドアへの取り付けに際して1個の構成材として扱う。
本発明の遮音性複層ガラスに用いる単板ガラスG1、合わせガラスGをなすガラス板G2、G3には、フロート法等で製造された後、何ら後処理がなされていない生板ガラス、製造後、風冷強化または化学強化等の強化処理がなされた強化ガラス等が使用され、着色ガラスでもよい。また、ガラス表面に金属薄膜および金属酸化物薄膜等を積層させた熱線反射膜等の機能性薄膜を形成してもよい。
樹脂中間層2に使用する透明樹脂には、PVB、EVA、透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜が挙げられる。一対のガラス板G2、G3に、これらPVB、EVA、遮音性中間膜等の樹脂中間膜を挟み込んだ後で加熱溶融させてなる樹脂中間層1により、ガラス板G2、G3を直接接着一体化させて合わせガラスGとする。透明性樹脂からなる樹脂中間層1中に機能性微粒子を練り込んで、断熱性能等を向上させてもよい。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、樹脂中間層1にPVBまたはEVAに替えて、透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜を用いることで、さらなる遮音性の向上が望める。このような遮音性中間膜としては、前述のように、積水化学工業株式会社製、商品名、エスレック・アコースティック・フィルムおよび株式会社クラレ製、商品名、トロシフォルが挙げられる。
(遮音性能の評価)
遮音性能の評価は「実験室における音響透過損失の測定方法」JIS A 1416:2000に準拠して行った。詳しくは、JIS A 1416:2000に記載されるタイプI試験室(残響室)を使用し、2本の木製押縁(25mm×25mm)を用いて、試験片に固定し、ガラスの設置を行い、JIS A 1416:2000に記載の方法で音響透過損失の測定を行った。
JIS A4706:2000において、次のa)またはb)のいずれかに適合する場合、図1に示す等級線で表される等級としている。
a)125Hz〜4000Hzの16点における音響透過損失が、全て該当する遮音等級線を上回ることとする。尚、各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。
b)全周波数帯域において、数3の式によって、音響透過損失を換算し、その換算値(6点)が該当する遮音等級線を上回ることとする。
但し、125Hzは160Hzと、4000Hzは3150Hzと、各々二つの音響透過損失によって換算する。尚、換算値は整数で丸めることとし、換算値の各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。
よって、音響透過損失の測定値が、JIS A4706:2000に記載の判断基準、「a)125Hz〜4000Hzの16点における音響透過損失が、全て該当する遮音等級線を上回ることとする。尚、各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。」「b)全周波数帯域において、数1の式によって、音響透過損失を換算し、その換算値(6点)が該当する遮音等級線を上回ることとする。」に対し、遮音等級T-4等級について、a)、b)いずれかの基準を満たした場合、遮音等級T-4等級に合格するとした。
実施例1
図2に示すように、単板ガラスG1には、厚さの実測値が9.4mmの単板ガラスG1(FL10)を用いた。合わせガラスGには、厚さ0.76mmのPVBからなる樹脂中間層6を有する、厚さの実測値が2.7mmのガラス板G2(FL3)/厚さ0.76mmのPVB樹脂中間層2(PVB30mil)/厚さの実測値が3.7mmのガラス板G3(FL4)を用いた。中空層2の厚さは6mm(G6)とし、ヘリウムを封入した。このようにして、厚さの実測値が9.4mmの単板ガラスG1(FL10)/厚さ6.0mmの中空層2(G6)/厚さの実測値が2.7mmのガラス板G2(FL3)/厚さ0.76mmのPVB樹脂中間層2(PVB30mil)/厚さの実測値が3.7mmのガラス板G3(FL4)の構成の複層ガラス、即ち、FL10/G6/FL3/PVB30mil/FL4の構成の複層ガラスを用意した。この複層ガラスの厚さは22.56mmである。尚、音源は単板ガラスG1側におき、測定器は合わせガラスG側に設置した。尚、ヘリウムおよび空気は大気圧にて中空層2に封入した。
また、図2に示すように、単板ガラスG1と合わせガラスGの間に、乾燥剤3としてのゼオライトを充填した中空部を有するアルミニウム製のスペーサー4を挟み込み、スペーサー4の両側にブチルゴム接着材5を貼着し、単板ガラスG1と合わせガラスGを、スペーサー4を介してブチルゴム接着材5で接着一体化し、単板ガラスG1と合わせガラスGを隔置した。単板ガラスG1と合わせガラスGとスペーサー4に囲まれた深さ7mmの凹部6には、ポリサルファイドシーラントを充填した。
図4が実施例1の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
前記遮音性複層ガラスについて、JIS A1416:2000に準拠して遮音性能試験を行った結果、JIS A4706:2000に記載の判断基準、「a)125Hz〜4000Hzの16点における音響透過損失が、全て該当する遮音等級線を上回ることとする。尚、各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。」「b)全周波数帯域において、数1の式によって、音響透過損失を換算し、その換算値(6点)が該当する遮音等級線を上回ることとする。」に対し、サッシとした際に遮音等級T-4等級について、a)、b)いずれの基準も満たし、遮音等級T-4等級に合格した。
実施例2
図2に示すように、単板ガラスG1には、厚さの実測値が7.4mmの単板ガラスG1(FL8)を用いた。合わせガラスGには、厚さ0.38mmのPVBからなる樹脂中間層2を有する、厚さの実測値が2.7mmのガラス板G2(FL3)/厚さ0.38mmのPVB樹脂中間層1(PVB15mil)/厚さの実測値が2.7mmのガラス板G3(FL3)を用いた。中空層2の厚さは4.0mm(G4)とし、ヘリウムを封入した。このようにして、厚さの実測値が7.4mmの単板ガラスG1(FL8)/厚さ4.0mmの中空層2(G4)/厚さの実測値が2.7mmのガラス板G2(FL3)/厚さ0.38mmのPVB樹脂中間層2(PVB15mil)/厚さの実測値が2.7mmのガラス板G3(FL3)の構成の複層ガラス、即ち、FL8/G4/FL3/PVB15mil/FL3の構成の複層ガラスを用意した。この複層ガラスの厚さは17.18mmである。尚、音源は単板ガラスG1側におき、測定器は合わせガラスG側に設置した。尚、ヘリウムは大気圧にて中空層2に封入した。複層ガラスの端部は、実施例1と同様の構造とした。
図5が実施例2の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
前記遮音性複層ガラスについて、JIS A 1416:2000に準拠して遮音性能試験を行った結果、サッシとした際に前述のJIS A4706:2000に記載の判断基準a)の基準を満たし、遮音等級T-4等級に合格した。また、複層ガラスを構成する単板ガラスと合わせガラスに用いた板ガラスの厚さに差を持たせたことで、コインシデンス限界周波数による防音性能の落ち込みを軽減することができた。
JIS A4706:2000に記載される遮音等級線のグラフである。 単板ガラスと合わせガラスからなる遮音性複層ガラスの主要部の断面図である。 単板ガラスと合わせガラスの遮音性能曲線のグラフである。 実施例1の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。 実施例2の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
符号の説明
G 合わせガラス
G1 単板ガラス
G2、G3 ガラス板
1 樹脂中間層剤
2 中空層
3 乾燥
4 スペーサー
5 ブチルゴム接着材
6 凹部
7 合わせガラス端部

Claims (7)

  1. 複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスとからなり、合わせガラスが単板ガラスより薄く、中空層にヘリウムを封入してなることを特徴とする遮音性複層ガラス。
  2. 複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスとからなり、合わせガラスが単板ガラスより薄く、中空層にヘリウムを封入してなり、
    厚さが17.1mm以上、25.0mm以下であり、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格することを特徴とする請求項1に記載の遮音性複層ガラス。
  3. 複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスとからなり、合わせガラスが単板ガラスより薄く、中空層にヘリウムを封入してなり、
    単板ガラスの厚さが7.4mm以上、10.6mm以下、合わせガラスは一対のガラス板からなり、合わせガラスを成す一対のガラス板を合わせたガラス部の厚さが5.4mm以上、7.6mm以下であり、樹脂中間層の厚さが0.3mm以上、0.8mm以下であり、中空層の厚さが4.0mm以上、6.0mm以下であり、これらを合わせた複層ガラスの厚さが17.1mm以上、25.0mm以下であり、
    サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格することを特徴とする請求項2に記載の遮音性複層ガラス。
  4. 樹脂中間層の厚みが0.70mm以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の遮音性複層ガラス。
  5. 樹脂中間層が、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体または透明樹脂を積層させてなる遮音性中間層から選ばれた樹脂中間膜に由来することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の遮音性複層ガラス。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の遮音性複層ガラスを取り付けてなることを特徴とする窓。
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の遮音性複層ガラスを取り付けてなることを特徴とするドア。
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JP2015212662A (ja) * 2014-05-02 2015-11-26 三協立山株式会社 板ガラスの遮音性能推定方法

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