JP5223587B2 - 遮音性複層ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、遮音性能を高めた薄く且つ軽量な遮音性複層ガラスに関する。
通常、複層ガラスは、一対のガラス板の周縁部にアルミニウム製のスペーサーをブチルゴム接着材で貼着して挟み込み、ブチルゴム接着材で一対のガラス板とアルミニウム製スペーサーを接着一体化させ、ガラス板とアルミニウム製スペーサーからなるコの字型の凹部に、ポリサルファイド、またはシリコーンからなる封止材を充填し封止している。よって、複層ガラスにはガラス板とアルミニウム製スペーサーで囲まれ密閉された中空層が存在する。
さて、近年、一般住宅、特に集合住宅、道路の近く、鉄道沿線および空港の周辺の住宅等、ビル、オーディオルーム、ピアノ室、図書館、美術館等においては、好まれざる音、または音楽や会話の伝達を阻害する音である騒音に対する関心が高まり、建物の床、壁、天井等には吸音材が埋め込まれ、ドアにも防音または遮音ドアが使用されるようになってきている。加えて、音が通過しやすい窓においても、断熱性能とともに防音性能を有することが求められる。よって、窓は、空気等の媒体の粗密波として伝わる縦波である音を減衰させることが要求されるようになってきた。
複層ガラスは、中空層を含めた同厚のガラス板に比較すると遮音性能は低い。このことは、密度の大きい物ほど音を吸収減衰しやすく、また、固体抵抗により振動し難いので、ガラスの方が、気体であり分子が動き易い空気より、音の吸収減衰が大きいことによる。
また、複層ガラスは、ガラス板、中空層、ガラス板の構成であるために、音の反射面は多いが、中空層における共鳴およびコインシデンス効果の問題があり、複層ガラスは、中空層を除いた同厚のガラス板と比較し遮音に優れた周波数域もあるが劣る周波数域もある。
共鳴透過とは、通常の複層ガラスのように中空層が6ミリ、12ミリというように狭い場合、2枚の板ガラスが中空層を通して共鳴し、ある周波数付近では遮音性能が低下することをいう。
また、コインシデンス効果とは、板状の材料において特有の周波数で透過損失が小さくなる、言い換えれば、遮音性能が低下する現象である。具体的には板面に音が斜めに入射すると、板面上の位置によって音圧に位相差ができるため、板面にそって固有の屈曲強制振動を生じ、ある周波数で音の透過が大きくなり、遮音性能が低下する現象である。ガラス板においては、ガラス面に対し、音の波(縦弾性波)が垂直でなく斜めに入射した場合、コインシデンス効果によりガラス面に水面を走る波のような振動波(横波)が発生し、共鳴により遮音性能を低下させ、コインシデンス限界周波数以上の周波数域で遮音性能の低下が起こる。尚、コインシデンスの現象の起きる最も低い周波数をコインシデンス限界周波数と言い、コインシデンス限界周波数とガラスの厚さの間には相関があり、ガラスが厚くなり曲げ剛性が大きくなると、コインシデンス限界周波数は低くなることが知られている。サッシの遮音において、このコインシデンス効果の発生を抑制しなければならない。
尚、コインシデンス限界周波数は、数1の式で表される。
合わせガラスは、ガラス板と樹脂中間層の界面による反射、ガラスと直に接着した樹脂中間層によるコインシデンス効果の抑制、粗密波である音の樹脂中間層の粘性抵抗による吸収減衰があり、遮音性能を向上させるための設計が可能である。
そこで、化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂を積層させて遮音性能を高めた遮音性中間膜が開発された。例えば、ポリビニルブチラール樹脂(以下、PVBと略する)と、単なるPVBとは化学構造を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂を積層させた遮音性中間膜が開発された。合わせガラスの樹脂中間層に、化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂を積層させた樹脂中間膜を使用し、音の振動エネルギーを吸収し減衰させることが可能である。従来のPVB、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略する)のみからなる中間膜と同様に、ガラス板の間に挟みこみ加熱溶融することで、ガラス板を接着一体化させて合わせガラスとする。
例えば、特許文献1、2に、化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂として、モノマー組成比または分子量を変えたPVBを積層させたこと、あるいはPVBとは化学構造の異なるポリビニルアセタール樹脂を積層させたことで、粘性等の物性の異なる透明樹脂を積層させた遮音性中間膜が開示されている。
特許文献1には、 アセタール基の炭素数が4〜6であり、且つアセチル基が結合しているエチレン基量の平均値の、主鎖の全エチレン基量に対するモル分率が8〜30モル%であるポリビニルアセタール樹脂(A)と可塑剤とからなる少なくとも1つの層(A)と、アセタール基の炭素数が3〜4であり、かつ、アセチル基が結合しているエチレン基量の平均値の、主鎖の全エチレン基量に対するモル分率が4モル%以下であるポリビニルアセタール樹脂(B)と可塑剤とからなる少なくとも1つの層(B)とが積層されてなる、合わせガラス用中間膜が開示されている。
また、特許文献2にはポリビニルアセタール樹脂と可塑剤からなる厚み0.05mm以上の層(A)と、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤からなる層(B)とが、層(B)/層(A)/層(B)なる積層構成で積層され、層(A)のポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールが炭素数6〜8のアルデヒド(a)と炭素数2〜4のアルデヒド(b)とにより共アセタール化された樹脂であって、アルデヒド(a)でアセタール化された部分と、アルデヒド(b)でアセタール化された部分との重量比が60:40〜100:0の範囲にあり、層(B)のポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールが炭素数2〜4のアルデヒド(b)と、炭素数6〜8のアルデヒド(a)により共アセタール化された樹脂であって、アルデヒド(b)でアセタール化された部分と、アルデヒド(a)でアセタール化された部分との重量比が80:20〜100:0の範囲にあり、層(A)と層(B)の少なくとも一方のポリビニルアセタール樹脂は共アセタール化された樹脂であることを特徴とする遮音性中間膜が開示されている。
尚、サッシの遮音性能の規格は、「サッシ」JIS A4706:2000に記載されている。即ち、JIS A4706:2000において、サッシの遮音性は、遮音等級T−1等級、T−2等級、T−3等級、T−4等級に分けられる。サッシの片側から音を出し、反対側でサッシによる音の反射、吸収減衰による音圧レベルの減少を測ることで、サッシの音響透過損失を前記JIS規格に定める各周波数で測定し、遮音等級T−1等級線、T−2等級線、T−3等級線、T−4等級線に準拠し、前記JISに記載された条件に適合、即ち、合格したサッシを、各々遮音等級T−1等級、T−2等級、T−3等級、T−4等級とする。
図1に、JIS A4706:2000に記載される遮音等級線のグラフを示す。
尚、JIS A4706:2000において、次のa)またはb)のいずれかに適合する場合、図1に示す等級線で表される等級としている。
a)125Hz〜4000Hzの16点における音響透過損失が、全て該当する遮音等級線を上回ることとする。尚、各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。
b)全周波数帯域において、数2の式によって、音響透過損失を換算し、その換算値(6点)が該当する遮音等級線を上回ることとする。
但し、125Hzは160Hzと、4000Hzは3150Hzと、各々二つの音響透過損失によって換算する。尚、換算値は整数で丸めることとし、換算値の各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。
図1に示すように、音響透過損失による遮音等級線において、500Hz以上の遮音性能が、遮音等級T−3等級は35dB以上であり、遮音等級T−4等級は40dB以上である。遮音等級T−3等級、T−4等級に合格するには、音響透過損失が前述の等級線を実質的に上回る必要がある。尚、デシベル(dB)は音圧レベルの単位であり、音圧レベルは、音による大気圧から圧力変動を対数で表した無次元量としデシベル(dB)を単位として表される。圧力変動は音圧レベル10dBで3.2倍変動する。音圧レベルはある音の音圧P(単位:Pa)と人間の最小可聴音である基準音圧P0(2×10−5Pa)との比の常用対数を20倍したものとして定義され、dBで表される。
このような遮音等級T−3等級に合格する防音複層ガラス(商品名、ペアレックスソネス、発売元、セントラル硝子株式会社)が、市販されている。
前記防音複層ガラスは、ガラス板を異厚構成とすることで前述の音の共振を防止し特定の波長を増幅させないこと、および音を原子・分子の運動エネルギーとしての熱エネルギーに変換することで音波を吸収する特殊ガスを封入することにより、遮音等級T−3等級に合格する遮音性能を実現している。各種ガスを複層ガラスの中空層に封入することについては、例えば、本出願人による特許文献3には、防犯効果を複層ガラスに与えるガスを中空層に封入した複層ガラスが開示されている。本出願人による特許文献4にはガス警報機で検知可能なガスを複層ガラスに封入し、ガラスが割れた際に侵入者の存在を知らせる複層ガラスを使用した防犯システムが開示されている。また、特許文献5および特許文献6には、複層ガラスのガス充填装置および複層ガラスのガス充填方法が開示されている。
遮音等級T−3等級に合格する防音複層ガラスは、具体的には、ガラス板(厚さ、6.0±0.3mm:FL6)/中空層(層厚、6.0mm:G6)/ガラス板(厚さ、4.0±0.3mm:FL4)の構成の複層ガラス、略すれば、FL6/G6/FL4の構成の計15.4〜16.6mmの厚さの複層ガラス、またはガラス板(厚さ、8±0.6mm:FL8)/中空層(層厚、6mm:G6)/ガラス板(厚さ、4.0±0.3mm:FL4)の構成の複層ガラス、略すればFL8/G6/FL4の構成の計17.1mm〜18.9mmの厚さの複層ガラスにおいて、中空層にはヘリウムを封入し、T−3等級に合格している。例えば、ガラスサッシとされるガラス板の大きさを900mm×1800mmとした場合、ガラスの密度が2.5g/cmであることより、FL6/G6/FL4の構成の計15.4mm〜16.6mmの前記複層ガラスのガラス部の質量は38.1kg〜42.9kg、FL8/G6/FL4の構成の計17.1mm〜18.9mmの前記複層ガラスのガラス部の質量は45.0kg〜52.2kgとなる。
尚、略号FLはガラス原料をスズ浴上に熔融展開して連続製造したフロートガラスの意であり、略号後の数値は呼び厚さであり、単位はmmである。呼び厚さはJIS R 3202−1996により、表1に示す許容差となる。
尚、ガラスサッシとは複層ガラス、合わせガラスまたは合わせ複層ガラス等を含むガラス板に予め枠が制作・調整されていて、固定窓、可動窓等の窓、開閉ドア等のドアへの取り付けに際して1個の構成材として扱うことができるものを言う。
また、遮音等級T−3等級に合格する合わせガラス(商品名、ラミネックスソネス、セントラル硝子株式会社製、商品名、ラミシャット、旭硝子株式会社製)が、市販されている。前記合わせガラスは、2枚のガラス板の間に透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜を挟み、加熱接着し、前述のガラス板特有のコインシデンス効果により遮音性能の低下を、該遮音性中間膜からなる樹脂中間層である遮音性中間層で抑制し、遮音等級T−3等級に合格する遮音性能を実現した。
具体的には、ガラス板(厚さ、6.0mm±0.3mm:FL6)/遮音性中間層(厚さ、30mil、約0.76mm:SN30)/ガラス板(厚さ、4.0mm±0.3mm:FL4)の構成の合わせガラス、略すれば、FL6/SN30/FL4の構成の呼び厚さに対する許容差を含めた計10.16mm〜11.36mmの厚さの合わせガラスにおいて、遮音等級T−3等級に合格している。ガラスの密度が2.5g/cm、遮音性中間膜の密度が1.2g/cmであるので、例えば、ガラスサッシとされるガラス板の大きさを900mm×1800mmとした場合、FL6/SN30/FL4の構成の計10.16mm〜11.36mmの前記合わせガラスの質量は、39.6kg〜44.0kgとなる。
図1に示すように、遮音等級T−4等級に合格するには、遮音等級T−3等級に比較して、500Hz以上の音響透過損失35dB以上を、40dB以上に、即ち、5dB以上遮音性能を向上させなければならない。また、125Hz以上、500Hz以下においても、図1に示すようにJIS A4706:2000に示された遮音等級線に沿って5dB以上遮音性能を向上させなければならない。遮音等級T−4等級に合格するガラスサッシの遮音性能は、例えば、同厚のコンクリート壁に匹敵する。
合わせガラスを用いず単板ガラス2枚のみを用いた複層ガラスにおいて、遮音等級T−4等級に合格する音響透過損失を得るためには、ガラス板を異厚構成とし、中空層に特殊ガスとしてヘリウムを封入した場合においても、中空層の層厚は12mm以上が必要である。また、遮音性能を上げるために、ガラス板の厚さを厚くしなければならない。
例えば、中空層にヘリウムを封入した複層ガラスにおいて、ガラス板(厚さ、12.0±0.8mm:FL12)/中空層(層厚、12.0mm:G12)/ガラス板(厚さ、8.0±0.6mm:FL8)の構成、略すればFL12/G12/FL8の構成で計30.6mm〜33.4mmの厚さの複層ガラス、ガラス板(厚さ、15.0±0.8mm:FL15)/中空層(層厚、12.0mm:G12)/ガラス板(厚さ、6.0±0.3mm:FL6)の構成、略すればFL15/G12/FL6の構成の呼び厚さに対する許容差を含めた厚さが計31.9mm〜34.1mmの複層ガラス、またはガラス板(厚さ、15.0±0.8mm:FL15)/中空層(層厚、12.0mm:G12)/ガラス板(厚さ、8.0±0.6mm:FL8)の構成、略すればFL15/G12/FL8の構成の呼び厚さに対する許容差を含めた厚さが計33.6mm〜36.4mmの複層ガラスで遮音等級T−4等級合格に合格する。
しかしながら、複層ガラスの大きさを900mm×1800mmとした場合、FL15/G12/FL6の構成の計31.9mm〜34.1mmの前記複層ガラスのガラス部の質量は80.6kg〜89.5kg、FL15/G12/FL8の構成の計33.6mm〜36.4mmの前記複層ガラス部の質量は89.4kg〜98.8となり、T−3等級に合格する前記複層ガラスの約2倍の質量となる。
このような厚さおよび質量の大きさの複層ガラスは、嵌め込み窓等の固定窓としては可能であるが、スイング窓等の滑り出しを要する可動窓としては使用し難い。ガラスサッシとする複層ガラスが薄く且つ軽量であれば、スイング窓等の可動窓に使用しやすく、固定窓においても、建築材料としての施工の容易さ、建物に対する負担を考えて、ガラスサッシは、薄く且つ軽量であることが好ましい。
遮音等級T−4等級合格に加え、さらに、耳に不快感、度が過ぎると苦痛・障害を与える1000Hz以下、具体的には200Hz以上、1000Hz以下のガラスサッシの遮音性能を向上させることが好ましい。
人間の耳は、4KHzに感度のピークがあり、人間の耳に感じる音の聞こえは周波数によって非常に異なる。同じ大きさに聞こえる純音を色々な周波数について、実際の音圧レベルにプロットしたものが等ラウドネス曲線であり、耳に感じる感覚的な音の大きさを表す。等ラウドネス曲線に表される人間の耳の周波数特性によれば、ガラスサッシにおいて、音圧レベルとしては小さい音でも人間の耳に感度の高い、音声等による意思の伝達、音楽鑑賞等を阻害する1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きいことが好ましい。
また、ガラスサッシにおいて、4KHzに感度のピークがある人間の耳の周波数特性を考慮する、等ラウドネス曲線に準拠し、音声による意思の伝達等を阻害する1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きいことが好ましい。且つ、不快感、過度な場合は、耳に苦痛・障害を与える1000Hz以下の遮音性能を向上させることが好ましい。
特開平6−926号公報 特開平5−104687号公報 特開2001−163639号公報 特開2002−32870号公報 特開2002−293581号公報 特開2004−123402号公報
JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格するガラスサッシは、固定窓および可動窓等に使用されるガラスサッシを含めて市販されておらず、遮音等級T−4等級を実現するには、戸が、内外二重に設けられた二重サッシとする、あるいはJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格する前記防音複層ガラスまたは合わせガラスを用い、二重以上にガラスサッシを施工しなければならないという問題があった。
本発明は、二重サッシとすることなく、あるいはガラスサッシを重ねて用いることなく、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格し、固定窓または可動窓であるスイングサッシ等の窓およびドアに使用される、薄く且つ軽量なサッシを与える、少なくとも、厚さ26.6mm以下、好ましくは、厚さ25.5mm以下の遮音性複層ガラスを提供することを目的とする。
また、本発明は、尖った金属、例えば、金属ドライバー等によるこじ破り、バール等でガラスを破砕する打ち破りに対して、容易に貫通穴が開かず、防犯性に優れ、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する遮音性複層ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、単板ガラスと合わせガラスを種々組合せた複層ガラスの中空層にヘリウムを封入し、遮音性能の測定を行った結果、特に人間の耳の周波数特性を考慮する等ラウドネス曲線に準拠し、1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きいとともに、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4に合格する、薄く且つ軽量な、少なくとも、厚さ26.6mm以下、好ましくは、厚さ25.5mm以下の遮音性複層ガラスを発明するに至った。
本発明の遮音性複層ガラスは、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスからなる。尚、本発明において、単板ガラスとは、ガラスのみで構成された1枚のガラス板を指す。複層ガラス、合わせガラスは、複数のガラス板で構成されるので、単板ガラスではない。合わせガラスは一対のガラス板の間に、PVB、EVAまたは透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜から選ばれた樹脂中間膜を挟み、樹脂中間膜を加熱溶融させることで接着一体化させたものを指す。
本発明の遮音性複層ガラスは、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと樹脂中間層を有する合わせガラスからなる。合わせガラスを用いる理由は、合わせガラスは、粘性があり柔軟な樹脂中間層により、合わせガラスを成す一対のガラス板が個々不規則に振動し、同じ厚さの単板ガラスに比べ、コインシデンス限界周波数における透過損失が大きく、コインシデンス限界周波数の位置がより高周波側に移動することで、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域を遮音することによる。複層ガラスを構成するガラス板に合わせガラスを用いることで、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4に合格する、薄く且つ軽量な遮音性複層ガラスが得られた。尚、複層ガラスにした際の丈夫であるためには、できるだけ薄いガラス板の使用は避けることが好ましく、上記構成の複層ガラスにおいて、単板ガラスが合わせガラスより薄いことが好ましい。尚、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、遮音性能向上のために、複層ガラスの中空層にヘリウムを封入した。
即ち、本発明は、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと合わせガラスからなり、単板ガラスが合わせガラスより薄く、中空層にヘリウムが封入されてなることを特徴とする遮音性複層ガラスである。
本発明者らが鋭意検討したところ、複層ガラスを構成する中の単板ガラスの厚さが3.7mmより薄いと、遮音等級T−4等級を実現することが難しく、好ましくは、5.7mm以上である。遮音性複層ガラスの厚さを、少なくとも26.6mm以下に抑えることを考慮すると、7.4mmより厚くすることはできない。遮音性複層ガラスの厚さを、好ましくは25.5mm以下に抑えることを考慮すると、6.3mmより厚くすることはできない。
また、合わせガラスのガラス部の厚さが、7.4mmより薄いと、遮音等級T−4等級を実現することが難しく、遮音性複層ガラスの厚さを、少なくとも26.6mm以下、好ましくは、25.5mm以下に抑えることを考慮すると、11.6mmより厚くすることはできない。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、ヘリウムを封入してなる中空層の層厚が、4.0mmより薄いと、遮音等級T−4等級を実現することが難しく、遮音性複層ガラスの厚さを、少なくとも26.6mm以下、好ましくは、25.5mm以下に抑えることを考慮すると、6.0mmより厚くすることはできない。以上より、本発明の遮音性複層ガラスの厚さは、15.4mm以上、好ましくは、17.4mm以上、26.6mm以下、好ましくは、25.5mm以下となる。尚、ヘリウムは、大気圧にて封入する。尚、標準大気圧は101325Paである。
合わせガラスの樹脂中間層を形成するための樹脂中間膜としては、PVB膜、エチレン−ビニルアセテート膜および透明樹脂を積層させた遮音性中間膜が挙げられる。樹脂中間層の層厚が0.3mmより薄いと、サッシとした際に、遮音等級T−4等級を実現することが難しく、遮音性複層ガラスの厚さを、少なくとも26.6mm以下、好ましくは、25.5mm以下に抑えることを考慮すると、厚くすることはできない。中間膜の規格が15mil(約0.38mm)、30mil(約0.76mm)、60mil(約1.52mm)、90mil(約2.28mm)であり、市販の中間膜において、90mil(約2.28mm)は特別仕様で、通常は60mil(約1.52mm)以下であり、好ましくは、1.6mm以下である。尚、1mil=1/1000インチであり、約0.0255mmである。
さらに、本発明は、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと合わせガラスからなり、単板ガラスが合わせガラスより薄く、中空層にヘリウムが封入されてなり、厚さが15.4mm以上、26.6mm以下であり、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格することを特徴とする上記の遮音性複層ガラスである。
また、本発明は、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと合わせガラスからなり、単板ガラスが合わせガラスより薄く、中空層にヘリウムが封入されてなり、単板ガラスの厚さが3.7mm以上、7.4mm以下、合わせガラスの中のガラス部の厚さが7.4mm以上、11.6mm以下であり、樹脂中間層の厚さが0.3mm以上、1.6mm以下であり、中空層が4.0mm以上、6.0mm以下であり、これらを合わせた複層ガラスの厚さが15.4mm以上、26.6mm以下であり、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格することを特徴とする上記の遮音性複層ガラスである。
樹脂中間層は、厚くなるほどに、尖った金属、例えば、金属ドライバー等で樹脂中間層に穴を開けることによるこじ破り、およびバール等でガラスを破砕する打ち破りに対し、容易に貫通穴が開かなくなる。防犯性のためには、30mil(約0.76mm)以上の中間膜であることが好ましく、防犯性能を与えるためには、中間膜の厚さは0.70mm以上で必要である。
さらに、本発明は、樹脂中間層の厚みが0.70mm以上であることを特徴とする上記の遮音性複層ガラスである。
合わせガラスの樹脂中間層を形成する樹脂中間膜としては、PVB、EVA、または化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂を積層させて遮音性能を高めた遮音性中間膜が挙げられる。
PVBのみを用いた場合、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域において音響透過損失が小さくなり、言い換えれば、音響透過損失の落ち込みが生じる。よって、本発明の遮音性複層ガラスには、化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂として、モノマー組成比および/または分子量を変えたPVBを積層させたこと、あるいは、PVBとは化学構造の異なるポリビニルアセタール樹脂を積層させたこと等で、粘性等の物性の異なるPVBを積層させた遮音性中間膜を用いることが好ましい。具体的には、モノマー組成比および/または分子量を変え粘性を異ならせた、少なくとも2種類の異なるPVBを積層させ、遮音性能を高めた遮音性中間膜を用いることが好ましい。
当該遮音性複層ガラスの樹脂中間層として、1枚のPVBに替えて、前述の遮音性中間膜を本発明の遮音性複層ガラスに用いると、サッシとした際に遮音等級T−4等級に合格するのみでなく、PVBを用いた合わせガラスに比較して1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の音響透過損失が5dB程度大きくなり、さらに遮音性能が向上する。
このことは、粘性があり柔軟な樹脂中間層により、合わせガラスを成す一対のガラス板が個々不規則に振動することに加え、粘性の異なる透明樹脂を積層させた遮音性中間膜により樹脂中間層自体が音の振動エネルギーを吸収することによる。
さらに、本発明は、樹脂中間層がPVB、EVA、または透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜から選ばれた樹脂中間膜に由来することを特徴とする上記の遮音性複層ガラスである。
さらに、本発明は、上記の遮音性複層ガラスを取り付けてなることを特徴とする窓である。
さらに、本発明は、上記の遮音性複層ガラスを取り付けてなることを特徴とするドアである。
本発明の遮音性複層ガラスの厚さは、15.4m以上、好ましくは、17.4mm以上、少なくとも26.6mm以下、好ましくは、25.5mm以下であり、本発明の遮音性複層ガラスにより、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する軽量、且つ薄型のガラスサッシが得られ、当該遮音性複層ガラスを用いることで、二重サッシとすることなく、あるいはガラスサッシを重ねて用いることなく、サッシとした際に遮音等級T−4等級に合格する。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、合わせガラスを構成部材に用いることで、1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きくなり、遮音性能が向上し、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格した。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、樹脂中間層に透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜を用いることで、サッシとした際に、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格するのみでなく、1000Hz以上、5000Hz以下の周波数域の音響透過損失が大きくなり、遮音性能がさらに向上した。
また、本発明の遮音性複層ガラスにおいて、樹脂中間層の厚さを0.70mm以上とすることで、尖った金属、例えば、金属ドライバー等によるこじ破り、およびバール等でガラスを破砕する打ち破りに対して容易に貫通穴が開かず防犯性に優れた、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する遮音性複層ガラスが提供された。
図2に単板ガラスと合わせガラスからなる複層ガラスの主要部の断面図を示す。
本発明の遮音性複層ガラスは、単板ガラスGと合わせガラスG´からなり、単板ガラスGが合わせガラスG´より薄い。
本発明の遮音性複層ガラスは、複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスGと合わせガラスG´からなり、単板ガラスGが合わせガラスG´より薄く、単板ガラスGの厚さが3.7mm以上、好ましくは5.7mm以上、7.4mm以下、好ましくは6.3mm以下であり、合わせガラスG´を構成するガラス板G1、G2を合わせたガラス部の厚さが7.4mm以上、11.6mm以下であり、樹脂中間層1の厚さが0.3mm以上、1.6mm以下であり、中空層2が4.0mm以上、6.0mm以下であり、これらを合わせた複層ガラスの厚さが15.4mm以上、好ましくは、17.4mm以上、26.6mm以下、好ましくは25.5mm以下であり、中空層2にヘリウムが封入され、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する遮音性能を有する。
本発明の遮音性複層ガラスの端部の構造は、例えば、図2に示すように、例えば、単板ガラスGと合わせガラスG´の間に、乾燥剤3としてのゼオライト等を充填した中空部を有するアルミニウム製またはステンレス鋼製等のスペーサー4を挟み込み、スペーサー4の両側にブチルゴム接着材5を貼着し、スペーサー4を介して、単板ガラスGと合わせガラスG´をブチルゴム接着材5で接着一体化し、単板ガラスGと合わせガラスG´を隔置して密閉された中空層2を有する。尚、単板ガラスGと合わせガラスG´とスペーサー4に囲まれた凹部6には、シリコーンシーラントまたはポリサルファイドシーラントを充填し、水分が浸入しないように水密性を向上させる。本発明の遮音性複層ガラスにおいて、中空層2に封入したヘリウムが抜けないためには、ヘリウムが透過し難く、ヘリウムに対してより封止性能が高いポリサルファイドシーラントを充填することが好ましい。また、ポリサルファイドシーラントとシリコーンシーラントの二重構造としてもよい。最もヘリウムが透過しにくいのは凹部6にホットメルトブチルを充填した場合である。この際、複層ガラス端部からのヘリウムの漏れを防ぐために凹部6の深さを5mm以上とし、スペーサー4とシーラント層の厚みを合わせて10mm以上とすることが好ましい。
また、合わせガラスの樹脂中間層1としてのPVB、EVAまたは遮音性中間膜が失透しないように、状況に応じて、合わせガラス端部7にはシーラントを塗布付着させる、樹脂または金属板を貼着させても良い。
本発明の遮音性複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する一対のガラス板に、単板ガラスGと樹脂中間層1を有する合わせガラスG´を用いたことは以下の理由による。
建材において、遮音性能は質量の影響(質量則)と曲げ剛性の影響(コインシデンス効果)を受ける。コインシデンス効果による透過損失の低下をおこさないようにするには、曲げ剛性を小さくし、コインシデンス限界周波数をできるだけ高周波数とすることが好ましい。
本発明の遮音性複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成する一対のガラス板は、単板ガラスGと樹脂中間層1を有する合わせガラスG´からなる。合わせガラスG´は、粘性があり柔軟な樹脂中間層1により、合わせガラスG´を成す一対のガラス板G1、G2が個々不規則に振動し、同じ厚さの単板ガラスに比較して、コインシデンス限界周波数における透過損失が大きく、コインシデンス限界周波数の位置がより高周波側に移動することで、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域が遮音される。
図3は、単板ガラスと合わせガラスの遮音性能曲線を比較したグラフである。
図3に示すように、厚さの実測値が7.4mmの単板ガラス(FL8)に対して、一対の厚さの実測値が3.7mmのガラス板(FL4)に、厚さ30mil(0.76mm)のPVBを挟み込んだ合わせガラス(FL4+PVB30mil+FL4)の方が1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の落ち込みが小さく遮音性に優れ、さらに遮音性中間膜としての厚さ15mil(0.38mm)の遮音PVB(積水化学工業製、商品名、エスレック・アコースティック・フィルム)を用いた合わせガラス(FL4+遮音PVB15mil+FL4)が、さらに1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の落ち込みが小さく遮音性に優れる。
このことは、粘性があり柔軟な樹脂中間層1により、合わせガラスを成す一対のガラス板G1、G2が個々不規則に振動することに加え、粘性の異なる樹脂を積層させた遮音性中間膜自体が音の振動エネルギーを吸収することによる。
また、中空層2における吸音、反射を考慮しなければ、複層ガラスにおいて、コインシデンス効果の影響を受けないコインシデンス限界周波数より低周波数側の遮音性能は、質量則に従い、複層ガラスを構成するガラス板G、G1、G2の総厚で決まる。即ち、図2に示す複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成するガラス板G、G1、G2の総厚で、コインシデンス域の影響を受けないコインシデンス限界周波数より低周波数側の遮音性能は決まる。
総厚が同じ複層ガラスにおいて、複層ガラスを構成するガラス板G、G1、G2、各々のコインシデンス限界周波数を高周波側に設定し、構成するガラス板G、G1、G2の厚さを変えて、コインシデンス限界周波数を異なった周波数とすれば、コインシデンス効果による遮音性能の低下を解消することが可能となる。即ち、複層ガラスにおいて、単板ガラスGと合わせガラスG´を用い、複層ガラスを構成する各ガラス板G、G1、G2のコインシデンス限界周波数を高周波とし、コインシデンス限界周波数をずらせば、遮音性能の向上が期待される。
また、複層ガラスを用いたサッシに優れた遮音性能を得るには、空気、ガラス等を媒介とし振動する粗密波である音を吸収減衰しなければならない。そのために、複層ガラスの中空層2にヘリウムを封入し、音の振動エネルギーをヘリウムの原子運動エネルギーに替えて熱エネルギーとして放散させることで、音を減衰吸収させる。
常温(20℃)でガラスの弾性率は60〜80×10Paであり、密度は約2200〜2600kg/mであり、ガラス中の音速は4000〜5500m/sである。空気の弾性率は14×10Paであり、密度は約1.2kg/mであり、空気中の音速は341m/sである。ヘリウムの弾性率は17×10Paであり、密度は約0.18kg/mであり、ヘリウム中の音速は970m/sである。ヘリウムは空気より密度が小さいが、弾性率は同程度であり、ガラスとの密度差によりガラス面で音はより反射され、反射された音はヘリウム分子(単原子分子)が軽いことにより、ヘリウム分子の熱エネルギーとして吸収される。尚、音は媒質が硬く、言い換えれば、硬さの尺度である弾性率が大きく、軽いほど、言い換えれば、密度が小さいほど、速く伝わる。音速は数3の式で表される。
このように、ヘリウムは音のエネルギーにより動きやすく、音のエネルギーを熱のエネルギーに変換させる効果が大きいことより、ヘリウムを本発明の遮音性複層ガラスの中空層2に封入すると、サッシとした際に、音響透過損失が大きくなり、遮音性能を向上させる効果がある。
通常、複層ガラスは、ドアおよび窓のサッシに直付けまたは嵌め込み用に予め制作・調整された枠に、直にまたはグレージングチャンネル等の取り付け部材である枠を介して取り付けられ、固定窓、可動窓等の窓、開閉ドア等のドアへの取り付けに際して1個の構成材として扱う。
本発明の遮音性複層ガラスに用いる単板ガラスG、複層ガラスをなすガラス板G1、G2には、フロート法等で製造された後、何ら後処理がなされていない生板ガラス、製造後、風冷強化または化学強化等の強化処理がなされた強化ガラス等が使用され、着色ガラスでもよい。また、ガラス表面に金属および金属酸化物を積層させた熱線反射膜等の機能性薄膜を形成してもよい。
樹脂中間層1に使用される樹脂中間膜には、PVB、EVA、透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜が挙げられる。一対のガラス板G1、G2に、これらPVB、EVA、遮音性中間膜等の透明樹脂からなる樹脂中間膜を挟み込んだ後で加熱溶融させ、ガラス板G1、G2を樹脂中間層1により、直接接着一体化させて合わせガラスG´とする。透明樹脂中に機能性微粒子、例えば、銀微粒子等を練り込んで、断熱性能等を向上させてもよい。
本発明の遮音性複層ガラスにおいて、樹脂中間層1にPVBまたはEVAに替えて、透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜を用いることで、さらなる遮音性の向上が望める。このような遮音性中間膜としては、前述のように、積水化学工業株式会社製、商品名、エスレック・アコースティック・フィルムおよび株式会社クラレ製、商品名、トロシフォルが挙げられる。
(ヘリウムの封入による遮音性能の向上の評価)
ヘリウムの封入による遮音性能の向上の評価をするために、一対の単板ガラスによる複層ガラスを用いて、JIS A4706:2000に準拠し、「実験室における建築部材の空気温遮断性能の測定方法」JIS A 1416:2000による遮音性試験を行い、複層ガラスの中空層2へのヘリウム封入による遮音性能の向上効果を評価した。詳しくは、JIS A 1416:2000に記載されるタイプI試験室(残響室)を使用し、2本の木製押縁(25mm×25mm)を用いて、複層ガラス、合わせガラス、合わせガラスを用いた複層ガラス等の試験片に固定し、ガラスの設置を行い、JIS A 1416:2000に記載の方法で音響透過損失の測定を行った。
音響透過損失の測定値が、前述のJIS A4706:2000に記載の判断基準、「a)125Hz〜4000Hzの16点における音響透過損失が、全て該当する遮音等級線を上回ることとする。尚、各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。」「b)全周波数帯域において、数1の式によって、音響透過損失を換算し、その換算値(6点)が該当する遮音等級線を上回ることとする。」に対し、遮音等級T-4等級について、a)、b)いずれかに基準を満たした場合、遮音等級T-4等級に合格するとした。
評価結果、一対の単板ガラスによる複層ガラスにおいて、サッシとした際に遮音等級T−4等級に合格するには、複層ガラスの中空層2にヘリウムを封入したとしても、単板ガラスを厚く、中空層の厚さを厚くしなければT−4等級に合格ことはできず、固定窓に使用することはできても、可動窓に使用することは難しく、遮音等級T−4等級を満足する薄く且つ軽量な遮音性複層ガラスを得ることは困難であった。以下に詳細に説明する。
図4は単板ガラスのみを用いた複層ガラスの主要部の断面図である。
図4に示すように、単板ガラスであるガラス板G3、G4の間に、乾燥剤3としてのゼオライトを充填した中空部を有するアルミニウム製のスペーサー4を挟み込み、スペーサー4の両側にブチルゴム接着材5を貼着し、ガラス板G3、G4を、スペーサー4を介して、ブチルゴム接着材5で接着一体化し、ガラス板G3、G4を隔置した。尚、ガラス板G3、G4とスペーサー4に囲まれた凹部6には、ポリサルファイドシーラントを充填した。
先ず、厚さの実測値が14.2mmのガラス板G3(FL15)および厚さの実測値が7.4mmのガラス板G4(FL8)を用い、中空層2の厚さを12.0mmとし、中空層2にヘリウムを封入したFL15/G12/FL8の構成の複層ガラスと、中空層2に空気を封入したFL15/A12/FL8の構成の複層ガラスを用意した。尚、ヘリウムおよび空気は大気圧にて中空層2に封入し、複層ガラス端部のガラス板G3、G4とスペーサー4に囲まれた深さ7mmの凹部6にはポリサルファイドシーラントを充填した。
図5は、厚さ、14.2mm、7.4mmのガラス板を用い、中空層の厚さを12.0mmとした厚さ、33.6mmの複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
FL15/G12/FL8の構成の複層ガラスおよびFL15/A12/FL8の構成の複層ガラスを用い、JIS A1416による遮音性能試験を行い、JIS A4706:2000に準拠し、規程の1/3オクターブ中心周波数における音響透過損失を測定した。尚、音源はガラス板G3側におき、測定器はガラス板G4側に設置した。
図5のグラフに示すように、中空層2にヘリウムを封入したFL15/G12/FL8の構成の複層ガラスを用いた場合は、中空層2に空気を封入したFL15/A12/FL8の構成の複層ガラスを用いた場合と比較して、音響透過損失が125Hz以上、1500Hz以下の周波数域で大きく遮音性能に優れ、JIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格する。尚、中空層2に空気を封入したFL15/A12/FL8の構成の複層ガラスは、サッシとした際に遮音等級T−4等級に合格しない。
次いで、厚さの実測値が14.2mmのガラス板G3(FL15)および厚さの実測値が5.7mmのガラス板G4(FL6)を用い、中空層2の厚さを12.0mmとし、中空層2にヘリウムを封入したものであるFL15/G12/FL6の構成の複層ガラスと、中空層2に空気を封入したものであるFL15/A12/FL6の構成の複層ガラスを用意した。尚、ヘリウムおよび空気は大気圧にて中空層2に封入し、複層ガラス端部のガラス板G3、G4とスペーサー4に囲まれた深さ7mmの凹部6にはポリサルファイドシーラントを充填した。
図6は厚さ14.2mm、5.7mmのガラス板を用い、中空層の厚さを12.0mmとした厚さ、31.9mmの複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
FL15/G12/FL6の構成の複層ガラスおよびFL15/A12/FL6の構成の複層ガラスを用いた場合について、JIS A1416による遮音性能試験を行い、A4706:2000に準拠し、規程の1/3オクターブ中心周波数における音響透過損失を測定した。尚、音源は単板ガラス板G3側におき、測定器は単板ガラスG4側に設置した。
図6のグラフに示すように、中空層2にヘリウムを封入したFL15/G12/FL6の構成の複層ガラスを用いた場合は、中空層2に空気を封入したFL15/A12/FL6の構成の複層ガラスを用いた場合と比較し、音響透過損失が125Hz以上、1500Hz以下の周波数域で大きく遮音性能に優れ、サッシとした際に遮音等級T−4等級に合格する。尚、中空層2に空気を封入したFL15/A12/FL6の構成の複層ガラスは、遮音等級T−4等級に合格しない。
図5のグラフと図6のグラフを比較して明らかなように、中空層2にヘリウムを封入したFL15/G12/FL6の構成の複層ガラスが、前述の中空層2にヘリウムを封入したFL15/G12/FL8の構成の複層ガラスに比較して厚さが薄いに関わらず、遮音性能に優れるのは、FL15とFL8の組み合わせに比較し、FL15とFL6の組み合わせの方が、ガラス板G3、G4のコインシデンス限界周波数が大きく異なるので、コインシデンス効果による遮音性能の低下が解消されたことによる。
次いで、厚さの実測値が11.2mmのガラス板G3(FL12)および厚さの実測値が7.4mmのガラス板G4(FL8)を用い、中空層2の厚さを12.0mmとし、中空層2にヘリウムを封入したFL12/G12/FL8の構成の複層ガラスと、中空層2に空気を封入したFL12/A12/FL8の構成の複層ガラスを用意した。尚、ヘリウムおよび空気は大気圧にて中空層2に封入し、複層ガラス端部のガラス板G3、G4とスペーサー4に囲まれた深さ7mmの凹部6にはポリサルファイドシーラントを充填した。
図7は厚さ11.2mm、7.4mmのガラス板を用い、中空層の厚さを12.0mmとした厚さ30.6mmの複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
FL12/G12/FL8の構成の複層ガラスおよびFL12/A12/FL8の構成のガラス板G3、G4を用いた複層ガラスについて、JIS A1416による遮音性能試験を行い、JIS A4706:2000に準拠し、規程の1/3オクターブ中心周波数における音響透過損失を測定した。尚、音源はガラス板G3側におき、測定器はガラス板G4側に設置した。
図7のグラフに示すように、中空層2にヘリウムを封入したFL12/G12/FL8の構成の複層ガラスは、中空層2に空気を封入したFL12/A12/FL8の構成の複層ガラスと比較し、音響透過損失が125Hz以上、1500Hz以下の周波数域で大きく遮音性能に優れ、サッシとした際に遮音等級T−4等級に合格する。尚、中空層2に空気を封入したFL15/A12/FL8の構成の複層ガラスは、遮音等級T−4等級に合格しない。
(遮音性中間膜による遮音性能向上の評価)
遮音性中間膜による遮音性能向上の評価をするために、単板ガラスGと遮音性中間膜1を用いた合わせガラスG´からなる複層ガラスについて、前述の遮音性試験を行った。
遮音性中間膜1には、積水化学工業製の遮音性中間膜1(商品名、エスレック・アコースティック・フィルム)を使用した。当該遮音性中間膜1は、透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜1であり、コア層に遮音性透明樹脂層を用い、その外層にPVBを用い、遮音性透明樹脂層をPVBで挟んだサンドイッチ構造であり、3層押出成形により作製されている。通常のPVBのみを用いた合わせガラスG´と比較して、1000Hz以上、4000Hz以下の周波数域の音響透過損失が5dB程度大きくなり、さらに遮音性能が向上するとされる。
単板ガラスGと上記の遮音性中間膜1を用いた合わせガラスG´を用いた複層ガラスにおいて、複層ガラスの中空層2に空気を封入した場合、単板ガラスGを厚くし中空層2の厚さを厚くしないと、遮音等級T−4等級に合格しない。
図2に示すように、単板ガラスGと合わせガラスG´の間に、乾燥剤3としてのゼオライトを充填した中空部を有するアルミニウム製のスペーサー4を挟み込み、スペーサー4の両側にブチルゴム接着材5を貼着し、単板ガラスGと合わせガラスG´を、スペーサー4を介してブチルゴム接着材5で接着一体化し、単板ガラスGと合わせガラスG´を隔置した。単板ガラスGと合わせガラスG´とスペーサー4に囲まれた凹部6には、ポリサルファイドシーラントを充填した。
単板ガラスGに厚さの実測値が7.4mmのガラス板(FL8)を用い、前記遮音性中間膜からなる樹脂中間層1を有する厚さの実測値12.16mmの合わせガラスG´(SNLP12)を用い、中空層2の厚さを12.0mmとし、中空層2にヘリウムを封入したものであるFL8/G12/SNLP12の構成の複層ガラスと、比較として中空層2に空気を封入したものであるFL8/A12/SNLP12の構成の複層ガラスを用意した。これら複層ガラスの厚さは、31.56mmである。SNLP12は、厚さの実測値が5.7mmのガラス板G1(FL6)、厚さ30mil(0.76mm)の遮音性中間膜による樹脂中間層1(SN30)、厚さの実測値が5.7mmのガラス板G2(FL6)によるFL6/SN30/FL6の構成である。尚、音源は単板ガラスG側におき、測定器は合わせガラスG´側に設置した。尚、ヘリウムおよび空気は大気圧にて中空層2に封入し、複層ガラス端部のガラス板とスペーサー4に囲まれた深さ7mmの凹部6にはポリサルファイドシーラントを充填した。
図8は遮音性中間膜よる合わせガラスを用いた複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
FL8/G12/SNLP12の構成の複層ガラスおよびFL8/A12/SNLP12の構成の複層ガラスについて、JIS A 1416による遮音性能試験を行い、JIS A4706:2000に準拠し、規程の1/3オクターブ中心周波数における音響透過損失を測定した。
図8のグラフに示すように、中空層2に空気を封入したFL8/A12/SNLP12の構成の複層ガラスは遮音等級T−4等級に合格しなかった。中空層2にヘリウムを封入したFL8/G12/SNLP12の構成の複層ガラスは、中空層2に空気を封入したFL8/A12/SNLP12の構成の複層ガラスと比較し、音響透過損失が125Hz以上、1500Hz以下の周波数域で大きく遮音性能に優れ、サッシとした際に遮音等級T−4等級に合格する。
また、図7のグラフと図8のグラフを比較して明らかなように、中空層2にヘリウムを封入したFL15/G12/FL8の構成の複層ガラスは、中空層2に空気を封入したFL8/A12/SNLP12の構成である前述の遮音性中間膜(商品名、エスレック・アコースティック・フィルム)による合わせガラスG´(SNLP12)を用いた複層ガラスに比較して、音響透過損失が125Hz以上、5000Hz以下の周波数域で大きく遮音性能に優れていた。
(本発明の遮音性複層ガラスの遮音性能の評価)
本発明の遮音性複層ガラスの遮音性能を測定するために、単板ガラスGとPVB製樹脂中間層1を有する合わせガラスG´からなり中空層2にヘリウムを封入した、各々の厚さが本発明の構成の範疇に属する複層ガラスについて、前述の遮音性試験を行った。
本発明の遮音性複層ガラスの実施例として、以下に詳細に説明する。
図2に示すように、単板ガラスGと合わせガラスG´の間に、乾燥剤3としてのゼオライトを充填した中空部を有するアルミニウム製のスペーサー4を挟み込み、スペーサー4の両側にブチルゴム接着材5を貼着し、単板ガラスGと合わせガラスG´をブチルゴム接着材5で接着一体化し、単板ガラスGと合わせガラスG´を隔置した。単板ガラスGと合わせガラスG´とスペーサー4に囲まれた凹部6には、ポリサルファイドシーラントを充填した。
このようにして、中空層2に大気圧にヘリウムを充填した2種類の本発明の遮音性複層ガラスおよび比較のための中空層2が大気圧の空気である複層ガラスを用意した。尚、ヘリウムおよび空気は大気圧にて中空層2に封入し、複層ガラス端部のガラス板とスペーサー4に囲まれた深さ7mmの凹部6にはポリサルファイドシーラントを充填した。
本発明の遮音性複層ガラスの一例は、単板ガラスGに厚さの実測値が5.7mmのガラス板G(FL6)を用い、厚さの実測値5.7mmのガラス板G1(FL6)と厚さの実測値が4.7mmのガラス板G2(FL5)に厚さ30mil(0.76mm)のPVB製中間膜6を挟んで接着一体化させた合わせガラスG´(FL6/PVB30mil/FL5)を用い、中空層2の厚さを6.0mmとし、中空層2にヘリウムを封入したものであるFL6/G6/(FL6/PVB30mil/FL5)の構成の複層ガラスとした。当該複層ガラスの厚さは22.86mmであり、ガラスの密度が2.5g/cm、PVBの密度が1.2g/cmであるので、標準的なスイング窓の大きさである900mm×1800mmとした場合、複層ガラスのガラス部とPVB部をあわせた重量は66.7kgとなる。
本発明の遮音性複層ガラスの他の一例は、単板ガラスGに厚さの実測値が5.7mmのガラス板G(FL6)を用い、厚さ3.7mmのガラス板G1(FL4)と厚さ3.7mmのガラス板G2(FL4)に厚さ15mil(0.38mm)のPVB製樹脂中間膜を挟んで接着一体化させた合わせガラスG´(FL4/PVB15mil/FL4)を用い、中空層2の厚さを4.0mmとし、中空層2にヘリウムを大気圧にて封入したものであるFL6/G4/(FL4/PVB15mil/FL4)の構成の複層ガラスとした。当該複層ガラスの厚さは17.48mmであり、ガラスの密度が2.5g/cm、PVBの密度が1.2g/cmであるので、標準的なスイング窓の大きさである900mm×1800mmとした場合、複層ガラスのガラス部とPVB部をあわせた重量は53.8kgとなる。
本発明の遮音性複層ガラスの他の一例は、単板ガラスGに厚さの実測値が3.7mmのガラス板G(FL4)を用い、厚さ4.7mmのガラス板G1(FL5)と厚さ2.7mmのガラス板G2(FL3)に厚さ30mil(0.76mm)のPVB製樹脂中間膜を挟んで接着一体化させた合わせガラスG´(FL/PVB30mil/FL3)を用い、中空層2の厚さを6.0mmとし、中空層2にヘリウムを大気圧にて封入したものであるFL4/G6/(FL5/PVB30mil/FL3)の構成の複層ガラスとした。当該複層ガラスの厚さは17.86mmであり、ガラスの密度が2.5g/cm、PVBの密度が1.2g/cmであるので、標準的なスイング窓の大きさである900mm×1800mmとした場合、複層ガラスのガラス部とPVB部をあわせた重量は46.4kg となる。
比較のための複層ガラスは、単板ガラスGに厚さの実測値が5.7mmのガラス板G(FL6)を用い、厚さの実測値が5.7mmのガラス板G1(FL6)と厚さの実測値が4.7mmのガラス板G2(FL5)に厚さ30mil(0.76mm)のPVB製樹脂中間膜を挟んで接着一体化させた合わせガラスG´(FL6/PVB30mil/FL5)を用い、中空層2の厚さを6.0mmとし、中空層2に空気を大気圧にて封入した。このようにして、FL6/A6/(FL6/PVB30mil/FL5)の構成の複層ガラスとした。尚、音源は単板ガラスG側におき、測定器は合わせガラスG´側に設置した。
図9は本発明の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
図9のグラフの遮音性能曲線に示すように、厚さ6.0mmまたは4.0mmの中空層2にヘリウムを封入したFL6/G6/(FL6/PVB30mil/FL5)の構成の厚さ22.86mmの複層ガラス、FL6/G4/(FL4/PVB15mil/FL4)の構成の厚さ17.48mmの複層ガラスともに、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格した。比較して、厚さ6.0mmの中空層2に空気を封入したFL6/A6/(FL6/PVB30mil/FL5)の構成の厚さ22.86mmの複層ガラスは遮音等級T−4等級に合格しなかった。
図10は本発明の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。
図10のグラフの遮音性能曲線に示すように、厚さ6.0mmの中空層2にヘリウムを封入したFL4/G6/(FL5/PVB30mil/FL3)の構成の厚さ17.86mmの複層ガラスは、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格した。
本発明の遮音性複層ガラスは薄型、且つ軽量であるので、本発明の遮音性複層ガラスは可動窓、特にスイング窓等の可動窓およびドアに好適に使用される。
また、前述の図8のグラフに示した遮音性中間膜による遮音性能の評価結果より、中空層2にヘリウムを封入し、PVBの代わりに、透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜を樹脂中間層1に使用することで、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格した上、さらに遮音性能を向上させることが可能である。
JIS A4706:2000に記載される遮音等級線のグラフである。 単板ガラスと合わせガラスからなる複層ガラスの主要部の断面図である。 単板ガラスと合わせガラスの遮音性能曲線を比較したグラフである。 単板ガラスのみを用いた複層ガラスの主要部の断面図である。 厚さ14.2mm、7.4mmのガラス板を用い、中空層の厚さを12.0mmとした厚さ33.6mmの複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。 厚さ14.2mm、5.7mmのガラス板を用い、中空層の厚さを12.0mmとした厚さ31.9mmの複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。 厚さ11.2mm、7.4mmのガラス板を用い、中空層の厚さを12mmとした厚さ30.6mmの複層ガラスの遮音性能曲線のグラフである。 遮音性中間膜による合わせガラスの遮音性能曲線のグラフである。 本発明の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフの一例である。 本発明の遮音性複層ガラスの遮音性能曲線のグラフの一例である。
符号の説明
G 単板ガラス
G´ 合わせガラス
G1、G2、G3、G4 ガラス板
1 樹脂中間層
2 中空層
3 乾燥剤
4 スペーサー
5 ブチルゴム接着材
6 凹部
7 合わせガラス端部

Claims (6)

  1. 複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと合わせガラスからなり、単板ガラスが合わせガラスより薄く、中空層にヘリウムが封入されてなり、厚さが15.4mm以上、26.6mm以下であり、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格することを特徴とする遮音性複層ガラス。
  2. 複層ガラスを構成する一対のガラス板が単板ガラスと合わせガラスからなり、単板ガラスが合わせガラスより薄く、中空層にヘリウムが封入されてなり、単板ガラスの厚さが3.7mm以上、7.4mm以下、合わせガラスの中のガラス部の厚さが7.4mm以上、11.6mm以下であり、樹脂中間層の厚さが0.3mm以上、1.6mm以下であり、中空層の厚さが4.0mm以上、6.0mm以下であり、これらを合わせた複層ガラスの厚さが15.4mm以上、26.6mm以下であり、サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−4等級に合格することを特徴とする請求項1に記載の遮音性複層ガラス。
  3. 樹脂中間層の厚みが0.70mm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遮音性複層ガラス。
  4. 樹脂中間層がポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体または透明樹脂を積層させてなる遮音性中間膜から選ばれた樹脂中間膜に由来することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の遮音性複層ガラス。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の遮音性複層ガラスを取り付けてなることを特徴とする窓。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の遮音性複層ガラスを取り付けてなることを特徴とするドア。
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