JP2004123402A - 複層ガラスのガス充填装置および複層ガラスのガス充填方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複層ガラスのガス充填層に置換充填するガスの歩留まりを向上させる。
【解決手段】充填ガスを供給するガス供給系配管10と、ガス供給源11と、ガスを排出するガス排出系配管20と、排出ガスの酸素濃度を計測する酸素濃度計測手段21と、ガス供給系配管及びガス排出系配管にそれぞれ設けた開閉弁V13,V21〜V23及び流量調整手段13,23と、充填ガスと空気が混ざった排出ガスから充填ガス成分を分離し回収するガス分離・回収手段24と、回収した充填ガスをガス供給系配管へ還流させる回収ガス還流手段30と、酸素濃度に応じてガス分離・回収手段及び各弁並びに流量調整手段の操作条件を制御する制御手段40とを備え、複層ガラス50のガス充填口53から充填ガスを充填し、ガス排出口54からガス充填層52内の空気を排出してガス充填層に充填ガスを空気と置換して充填するガス置換充填装置1。
【選択図】 図1
【解決手段】充填ガスを供給するガス供給系配管10と、ガス供給源11と、ガスを排出するガス排出系配管20と、排出ガスの酸素濃度を計測する酸素濃度計測手段21と、ガス供給系配管及びガス排出系配管にそれぞれ設けた開閉弁V13,V21〜V23及び流量調整手段13,23と、充填ガスと空気が混ざった排出ガスから充填ガス成分を分離し回収するガス分離・回収手段24と、回収した充填ガスをガス供給系配管へ還流させる回収ガス還流手段30と、酸素濃度に応じてガス分離・回収手段及び各弁並びに流量調整手段の操作条件を制御する制御手段40とを備え、複層ガラス50のガス充填口53から充填ガスを充填し、ガス排出口54からガス充填層52内の空気を排出してガス充填層に充填ガスを空気と置換して充填するガス置換充填装置1。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複層ガラスのガス充填層に所望の充填ガスを充填する、複層ガラスのガス置換充填装置および複層ガラスのガス置換充填方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2枚のガラスを対向させて配置し、スペーサーを挟んで2枚のガラスの周囲を封止してガス充填層を設けた複層ガラスのガス充填層に所望のガスを充填する方法として、複層ガラスのガス充填層にガス充填管とガス排出管を配置し、ガス充填管から所望のガスを挿入し、ガス充填層内に存在する空気をガス排出管から排出して、所望のガスを充填する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この方法は、ガス充填層内に所望のガスを供給するに当たって、ガス充填層内で渦巻状のガス流や拡散流が発生して、ガス充填層内に存在する空気と所望のガスが混ざってしまい、ガス排出管から空気だけでなく所望のガスが混合したガスが排出廃棄されるので、効率的に空気と所望のガスを置換することができない。この方法で充填する場合、ガス充填層を空気から所望のガスへの置換が完了するまでに必要な所望のガスの量は、ガス充填層内容積の数倍となる場合があり、所望のガスの大半が無駄になるという欠点があった。
【0004】
同様に、ガスボンベから圧力安定器で常圧近くに戻された所望のガスを流量計および圧力計を備えた流量圧力調整器で一定流量、一定圧力に調整し、複層ガラスの周囲枠部から中空層へ向けてさし込まれた専用注入針を介して、一方向から注入し、枠部他方向に刺されている針より空気を押し出すことにより、中空部内空気を所望のガスと置換することが、提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、このガス置換充填方法においても、中空層内で渦巻状のガス流や拡散流が発生して、中空層内に存在する空気と所望のガスが混ざってしまい、枠部他方向に刺されている針から空気だけでなく所望のガスが混合したガスが排出廃棄されるので、効率的に空気と所望のガスを置換することができず、上記と同様な欠点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開昭58‐120545号公報
【特許文献2】
特開昭61‐122387号公報(第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、複層ガラスのガス充填層に所望のガスを空気と置換充填するにあたって、廃棄される所望のガスを減らし、充填する所望のガスの歩留まりをできる限り向上させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明は、複層ガラスのガス充填層に所望のガスを空気と置換し充填する複層ガラスのガス置換充填装置において、ガス排出口から排出される空気が混ざった所望のガスを、ガス分離・回収手段により主に所望のガスだけを回収して、ガス充填ライン側へ還流させながら置換充填する。
【0009】
本発明は、ガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスのガス充填口から所望のガスを充填し、ガス排出口からガス充填層内に存在する所望のガス以外のガスを排出してガス充填層に所望のガスを所望のガス以外のガスと置換して充填するガス置換充填装置において、所望のガスを供給するガス供給源と、ガス供給源から複層ガラスのガス充填口へガスを供給するガス供給系配管と、複層ガラスのガス排出口からガスを排出するガス排出系配管と、ガス排出系配管に接続されガス排出口から排出される所望のガス成分を含む排出ガスから所望のガス成分を分離し回収する手段と、回収したガスをガス供給系配管へ還流させる回収ガス還流手段とを備えるものとする。
【0010】
また、本発明は、上記ガス置換充填装置において、複層ガラスのガス排出口から排出される所望のガス成分を含む排出ガスから、所望のガスの濃度を計測するガス濃度計測手段と、ガス供給系配管およびガス排出系配管にそれぞれ設けた弁および流量調整手段と、所望のガス濃度に応じて所望のガス成分を分離し回収する手段および各弁ならびに流量調整手段の操作条件を制御する制御手段とを設け、操作条件を複数段に設定切替できるようにする。
【0011】
すなわち、本発明は、ガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスのガス充填口から所望のガスを充填し、ガス排出口からガス充填層内の空気を排出してガス充填層に所望のガスを置換して充填するガス置換充填装置において、所望のガスを供給するガス供給源と、ガス供給源から複層ガラスのガス充填口へガスを供給するガス供給系配管と、複層ガラスのガス排出口からガスを排出するガス排出系配管と、ガス排出系配管に接続されガス排出口から排出される所望のガスに空気が混ざった排出ガスから所望のガス成分を分離し回収するガス分離・回収手段と、回収した所望のガスをガス供給系配管へ還流させる回収ガス還流手段とを備えた。
【0012】
さらに、本発明は、上記ガス置換充填装置において、複層ガラスのガス排出口から排出される所望のガスに空気が混ざった排出ガスから、酸素の濃度を計測する酸素濃度計測手段と、ガス供給系配管およびガス排出系配管にそれぞれ設けた弁および流量調整手段と、酸素濃度に応じてガス分離・回収手段および各弁ならびに流量調整手段の操作条件を制御する制御手段とを設け、操作条件を複数段に設定切替できるようにした。
【0013】
本発明は、上記ガス置換充填装置において、複層ガラスのガス充填層に置換充填する所望のガスを、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、6フッ化硫黄ガス、水素ガス、炭化水素ガス、フレオンガス、炭酸ガス、窒素ガスのいずれかまたはこれらのガスの2種類以上の混合ガスとした。
【0014】
本発明は、ガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスに所望のガスを置換して充填するガス置換充填方法において、所望のガスを供給するガス供給源から複層ガラスのガス充填口へ所望のガスを供給し、ガス排出口から排出される所望のガスに空気が混ざった排出ガスから所望のガス成分を分離し回収して、ガス充填口へ還流させるようにした。
【0015】
さらに、本発明は、上記ガス置換充填方法において、排出ガス中の所望のガス濃度が第1の値を超えたときに、排出ガスから所望のガス成分を分離・回収を開始し、排出ガス中の所望のガス濃度が第2の値を超えたときに、所望のガスの置換充填を終了するようにした。また、本発明は、上記ガス置換充填方法において、排出ガス中の所望のガス濃度を、排出ガス中の酸素濃度を検出することによって推定するようにした。
【0016】
さらに、本発明は上記ガス置換充填方法において、複層ガラスに供給する所望のガスの流量と、複層ガラスから排出される排出ガスの流量が等しくなるように双方の流量を制御するようにした。この流量制御により、複層ガラスのガス充填層内外に圧力差が発生することがない。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる複層ガラスのガス置換充填装置1の構成を、図1を用いて説明する。ここでは、例として複層ガラスのガス充填層に初期に存在するガスが空気である場合について説明する。図1は、複層ガラス50を本発明にかかるガス置換充填装置1にセットした状態を示しており、ガス置換充填装置1は、ガス供給系配管10と、ガス排出系配管20と、還流系配管30と、制御装置40を有している。
【0018】
ガス供給系配管10には、例えばクリプトンガスボンベからなるガス供給源11と、ボンベ元弁V11と、ガス供給源11からの充填ガス(所望のガス)の圧力を所定の2次側圧力にする減圧弁V12と、回収された充填ガスを還流させる還流部12と、配管内を流れる充填ガスの流量を設定値に制御する供給流量制御装置(マスフローコントローラー:MFC1)13と、開閉弁V13と、充填ノズル14が設けられている。
【0019】
ガス供給源11からの充填ガスは、ボンベ元弁V11、減圧弁V12、還流部12、供給流量制御装置13、開閉弁V13、充填のズル14を介して複層ガラス50のガス充填口53からガス充填層52内に供給される。
【0020】
ガス排出系配管20には、排出ノズル25と、開閉弁V21と、配管内を流れる排出ガス中の酸素濃度(換言すれば充填ガスの濃度)を検出する酸素濃度計測手段21と、開閉弁V22と開閉弁V23への分岐22と、開閉弁V22と、開閉弁V23と、配管内を流れる排出ガスの流量を設定値に制御する排出流量制御装置(マスフローコントローラー:MFC2)23と、排出ガスを構成する充填ガスと空気とを分離し充填ガスを回収するガス分離・回収装置24とが設けられる。
【0021】
酸素濃度計測手段21としては、ジルコニア式、ガルバニ電池式、磁気式などの測定原理で連続値をモニターおよび出力できる酸素計を用いることができる。また、排出ガス中に存在する充填ガス濃度は、例えばガスクロマトグラフ等の機器で直接測定するようにしてもよい。さらに、複層ガラスのガス充填層内に初期に存在するガスが空気以外のガスである場合には、ガス充填層内に存在する充填ガス以外のガスを構成する特定成分の濃度を検出することによって、排出ガス中の充填ガス濃度を推定するようにしてもよい。
【0022】
ガス分離・回収装置24として、圧力変動吸着法(PSA)、温度変動吸着法(TSA)、膜分離法、吸着法、ゲッター法などの各種原理を使用したガス分離・回収装置を使用することができる。
【0023】
ここで、圧力変動吸着法(PSA)とは、広く知られている通り、ゼオライトやモレキュラシーブカーボン等の分子選択性を持つ吸着剤を使用し、加圧下でガスを吸着剤に吸着させ、減圧下でガスを吸着剤から脱着させる圧力変動操作を繰り返すことにより、吸着剤への吸着力が異なる2種類以上の混合ガスから目的のガスを選択分離する方法のことである。
【0024】
また、温度変動吸着法(TSA)とは、やはり上記のゼオライトやモレキュラシーブカーボン等の分子選択性をもつ吸着剤を使用するが、圧力変動吸着法とは違い、低温下で吸着剤にガスを吸着させ、昇温して高温下で吸着剤からガスを脱着させる温度操作を繰り返すことで、吸着剤への吸着力が異なる2種類以上の混合ガスから目的のガスを選択分離する方法のことである。
【0025】
一方、膜分離法とは、ポリエステル、ポリイミドなどの合成高分子を積層状や中空糸膜状に加工した膜モジュールを用いる方法である。ガスは、その種類によって高分子の膜への透過係数が違うことから、膜モジュールの入口側と出口側とに分圧差(圧力差が同じであればガスの濃度差)を生じさせてガスを通過させると、ガスの分離が起こる。この原理により、2種類以上の混合ガスから目的のガスを選択分離することが可能となる。
【0026】
この他、吸着法とは、細孔径サイズをある範囲に揃えた吸着剤を用いて、そのサイズより径が小さい分子を吸着剤に吸着させて除去する方法のことである。これは、例えば、ガス充填層を空気と置換して充填する充填ガスの分子が、空気より大きい場合等に使用できる。また、ゲッター式とは、特定のガス種と化学反応を示す充填剤を用いて、不必要なガスを充填剤と選択的に化学反応させて除去する方法のことである。
【0027】
複層ガラス50のガス排出口54からの排出ガスは、排出ノズル25、開閉弁V21、酸素濃度計測手段21、分岐22を経由した後、開閉弁V22を経由して排出されるか、開閉弁V23、排出流量制御装置23を経由して、ガス分離・回収装置24へ供給される。
【0028】
還流系配管30には、圧縮/吸引兼用ポンプ31と、クッションタンク32と、逆止弁33が設けられている。
【0029】
ガス分離・回収装置24で空気と分離され回収された充填ガスは、圧縮/吸引兼用ポンプ31で取り出され、クッションタンク32に蓄えられ、逆止弁33を介して還流部12に還流されてガス供給系配管10を介して、再度複層ガラス50のガス充填層52内に供給される。
【0030】
制御装置40は、酸素濃度計測手段21が検出した酸素濃度によって、流量制御装置13、および流量制御装置23の流量、ガス分離・回収装置24の動作、開閉弁V22,V23の開閉を、それぞれ制御する。制御装置40には、例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)やプログラムリレーなどの制御装置を用いることができる。
【0031】
複層ガラス50は、所定の間隔を置いて対向配置した2枚のガラス51の周囲を封止することによって、2枚のガラスの間にガス充填層52を形成し、封止部にガス充填口53とガス排出口54を設けている。
【0032】
以下、このような構成を有するガス置換充填装置を用いて、複層ガラス50のガス充填層52内に所望の充填ガスを充填するガス置換充填方法を説明する。
【0033】
(1)複層ガラス50のガス充填口53にガス供給系配管10の充填ノズル14を、ガス排出口54にガス排出系配管20の排出ノズル25を、それぞれ取りつける。
【0034】
(2)初期状態では、ボンベ元弁V11、開閉弁V13、開閉弁V21、開閉弁V23、開閉V24、供給流量制御装置13と排出流量制御装置21とガス分離・回収装置24内の開閉弁を全て「閉」とし、圧縮/吸引兼用ポンプ31は起動とする。
【0035】
(3)ボンベ元弁V11、開閉弁V13、開閉弁V21、開閉弁V22を「開」とし、開閉弁V23を「閉」として、供給流量制御装置13で設定流量に制御された充填ガスを複層ガラス50のガス充填層52に送出する。
【0036】
(4)ガスを流し始めた当初で、酸素濃度計測手段21で検出した排出ガスの酸素濃度が20%付近(ほぼ空気の状態)の段階は、ガス充填層52内のガス排出口付近にある充填ガスが混ざっていない空気が排出されているので、開閉弁V22から排出ガスを廃棄する。
【0037】
(5)酸素濃度計測手段21で検出した排出ガスの酸素濃度が第1の設定値以下になると、開閉弁V22を「閉」とし、開閉弁V23を「開」として、空気と充填ガスが混ざった排出ガスを、ガス分離・回収装置24へ導入する。このとき、排出流量制御装置23の流量設定値を供給流量制御装置13の流量設定値と同じにすることによって、複層ガラス50のガス充填層52内の圧力が大気圧と同じに保たれ、ガス充填層の内外の圧力差により複層ガラス50が破損するおそれがなくなる。
【0038】
(6)ガス分離・回収装置24は、空気と充填ガスが混ざった排出ガスから充填ガスと空気とを分離し、空気を廃棄し、充填ガスを回収する。回収した充填ガスを圧縮/吸引ポンプ31によって取り出し、クッションタンク32へ蓄える。
【0039】
(7)クッションタンク32に回収した充填ガスの圧力が、ガス供給系配管10の減圧弁V11の2次側設定値を超えるまでは、ガス供給源11から充填ガスが供給される。
【0040】
(8)クッションタンク32に回収した充填ガスの圧力が、減圧弁V12の2次側設定値を超えると、充填ガスはクッションタンク32から供給されガス供給源11からは供給されない。
【0041】
(9)回収した充填ガスをクッションタンク32から供給して、クッションタンク32のガスの圧力が、ガス供給系配管10の減圧弁V11の2次側設定値以下となると、ガス供給源11から充填ガスが供給される。
【0042】
(10)クッションタンク32に回収した充填ガスの圧力が、減圧弁V12の2次側設定値を超えると、充填ガスはクッションタンク32から供給されガス供給源11からは供給されない。
【0043】
(11)上記(9)と(10)の状態を繰り返して複層ガラス50のガス充填層52内の空気を充填ガスに置換充填していく。
【0044】
(12)所定の時間が経過して、酸素濃度計測手段21が検出した酸素濃度が第2の設定値以下となると、ガス充填層52に充填ガスの置換充填が終了したとして、ボンベ元弁V11、開閉弁V13、開閉弁V21、開閉弁V23、開閉V24、供給流量制御装置13と排出流量制御装置21とガス分離・回収装置24内の開閉弁を全て「閉」とし、圧縮/吸引兼用ポンプ31を停止して充填処理を終了する。全ての弁の「閉」操作は、制御装置40によって自動に行なってもよいし、置換充填の終了を報知することによって手動で行なってもよい。
【0045】
回収した充填ガスは、そのまま各配管内やガス分離・回収装置内およびクッションタンク内に保持されるので、廃棄されることがなく無駄にならない。
【0046】
その後、ガス供給系配管10のノズルを複層ガラス50のガス充填口53から、ガス排出系配管20のノズルをガス排出口54からそれぞれ外して、複層ガラス50のガス充填口53およびガス排出口54を封止する。
【0047】
上記の説明では、排出ガス中の空気の濃度を、酸素濃度計測手段を用いて検出する方法を説明したが、排出ガスに含まれる充填ガスと空気との熱伝導特性に差があることを利用して、熱伝導計により排出ガス中の充填ガス濃度を検出するようにしてもよい。この場合は、排出ガス中に所定濃度の充填ガスの存在が確認されるとガス分離・回収装置24側へガスを流すようにし、所定の充填ガス濃度が検出されると置換充填を終了するようにすればよい。
【0048】
上記説明では、所望の充填ガスをクリプトン(Kr)ガスを例にして説明したが、所望の充填ガスとしては、この他に、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス、キセノン(Xe)ガス、6フッ化硫黄(SF6)ガス、水素(H2)ガス、炭化水素ガス、フレオンガス、炭酸ガス(CO2)、窒素(N2)ガスのいずれか、またはこれらのガスの2種類以上を混合したガスを使用することができる。
【0049】
また、上記の説明では、ガス分離・回収装置24が後段吸引下で動作する装置を例にして説明したが、ガス分離・回収装置24が、前段加圧下で動作する場合には、ガス排出系配管20と還流系配管30の構成を図2のように変更することができる。すなわち、ガス排出系配管20の排出流量制御装置23の下流側でガス分離・回収装置24の上流側に、圧縮機34とクッションタンク32を接続し、ガス分離・回収装置24の下流側に逆止弁33を挿入すれば、同様に動作させることができる。さらに、ガス分離・回収装置24の前段に圧縮機を、後段に圧縮・吸引兼用ポンプの両方を配置しても、排出ガスから充填ガスを分離し回収することができる。
【0050】
以上の説明によれば、本発明は、複層ガラスのガス充填層内に存在する空気と所望の充填ガスとを置換充填することを想定したものであるが、本発明は、ガス充填層内のガスが空気以外のガスであっても、同様にその充填層内のガスと所望の充填ガスとを置換充填することができる。したがって、本発明の適用範囲は、ガス充填層内に存在するガスを空気に限定するものではない。
【0051】
このために、複層ガラスのガス充填層に初期に存在するガスが空気以外のガスである場合においても、本発明は、上記の説明のガス置換充填装置と同様にしてガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスのガス充填口から所望のガスを充填し、ガス排出口からガス充填層内に存在する所望のガス以外のガスを排出してガス充填層に所望のガスを所望のガス以外のガスと置換して充填するガス置換充填装置において、所望の充填ガスを供給するガス供給源と、ガス供給源から複層ガラスのガス充填口へガスを供給するガス供給系配管と、複層ガラスのガス排出口からガスを排出するガス排出系配管と、ガス排出系配管に接続されガス排出口から排出される充填ガスを含む排出ガスから充填ガス成分を分離し回収する手段と、回収したガスをガス供給系配管へ還流させる回収ガス還流手段と設けることによって、ガス充填層内を充填ガスに置換充填することができる。
【0052】
これは、複層ガラスのガス充填層に、例えば上記の説明のガス置換充填装置等により、一度所望の充填ガスを空気と置換して充填した後、さらに、別の所望の充填ガスを置換充填する場合などに適用することが考えられる。
【0053】
【発明の効果】
このように、本発明によれば、所望の充填ガスを無駄に廃棄することなく複層ガラスのガス充填層に置換充填することができ、充填ガスの無駄を減らして歩留まりを向上させることができ、例えばクリプトンのような高価なガスを充填ガスとして使用する場合にガスの使用量を最小化することができる。
【0054】
また、実際の充填方法として、複層ガラスの置き方、ガス種により充填管や排出管の配置個所・配置角度、またガス供給速度などの条件を変更することによって、充填ガスと空気が混ざるのをなるべく避けているが、本発明によれば、ガス充填管とガス排出管の配置個所や配置角度、ガス供給速度などの条件、複層ガラスの配置の仕方に関係なく、充填ガスの歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる複層ガラスのガス置換充填装置の構成を概念的に説明する図。
【図2】本発明にかかる複層ガラスのガス置換充填装置の変形例を概念的に説明する図。
【符号の説明】
1:ガス置換充填装置
10:ガス供給系配管
11:ガス供給源
12:還流部
13:供給流量制御装置
14:充填ノズル
15:充填ガス供給管
20:ガス排出系配管
21:酸素濃度計測手段
22:分岐
23:排気流量制御装置
24:ガス分離・回収装置
30:還流系
31:圧縮/吸引兼用ポンプ
32:クッションタンク
33:逆止弁
34:圧縮機
40:制御装置
50:複層ガラス
51:ガラス
52:ガス充填層
53:ガス充填口
54:ガス排出口
V11:ボンベ元弁
V12:減圧弁
V13:開閉弁
V21:開閉弁
V22:開閉弁
V23:開閉弁
V23:開閉弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、複層ガラスのガス充填層に所望の充填ガスを充填する、複層ガラスのガス置換充填装置および複層ガラスのガス置換充填方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2枚のガラスを対向させて配置し、スペーサーを挟んで2枚のガラスの周囲を封止してガス充填層を設けた複層ガラスのガス充填層に所望のガスを充填する方法として、複層ガラスのガス充填層にガス充填管とガス排出管を配置し、ガス充填管から所望のガスを挿入し、ガス充填層内に存在する空気をガス排出管から排出して、所望のガスを充填する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この方法は、ガス充填層内に所望のガスを供給するに当たって、ガス充填層内で渦巻状のガス流や拡散流が発生して、ガス充填層内に存在する空気と所望のガスが混ざってしまい、ガス排出管から空気だけでなく所望のガスが混合したガスが排出廃棄されるので、効率的に空気と所望のガスを置換することができない。この方法で充填する場合、ガス充填層を空気から所望のガスへの置換が完了するまでに必要な所望のガスの量は、ガス充填層内容積の数倍となる場合があり、所望のガスの大半が無駄になるという欠点があった。
【0004】
同様に、ガスボンベから圧力安定器で常圧近くに戻された所望のガスを流量計および圧力計を備えた流量圧力調整器で一定流量、一定圧力に調整し、複層ガラスの周囲枠部から中空層へ向けてさし込まれた専用注入針を介して、一方向から注入し、枠部他方向に刺されている針より空気を押し出すことにより、中空部内空気を所望のガスと置換することが、提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、このガス置換充填方法においても、中空層内で渦巻状のガス流や拡散流が発生して、中空層内に存在する空気と所望のガスが混ざってしまい、枠部他方向に刺されている針から空気だけでなく所望のガスが混合したガスが排出廃棄されるので、効率的に空気と所望のガスを置換することができず、上記と同様な欠点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開昭58‐120545号公報
【特許文献2】
特開昭61‐122387号公報(第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、複層ガラスのガス充填層に所望のガスを空気と置換充填するにあたって、廃棄される所望のガスを減らし、充填する所望のガスの歩留まりをできる限り向上させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明は、複層ガラスのガス充填層に所望のガスを空気と置換し充填する複層ガラスのガス置換充填装置において、ガス排出口から排出される空気が混ざった所望のガスを、ガス分離・回収手段により主に所望のガスだけを回収して、ガス充填ライン側へ還流させながら置換充填する。
【0009】
本発明は、ガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスのガス充填口から所望のガスを充填し、ガス排出口からガス充填層内に存在する所望のガス以外のガスを排出してガス充填層に所望のガスを所望のガス以外のガスと置換して充填するガス置換充填装置において、所望のガスを供給するガス供給源と、ガス供給源から複層ガラスのガス充填口へガスを供給するガス供給系配管と、複層ガラスのガス排出口からガスを排出するガス排出系配管と、ガス排出系配管に接続されガス排出口から排出される所望のガス成分を含む排出ガスから所望のガス成分を分離し回収する手段と、回収したガスをガス供給系配管へ還流させる回収ガス還流手段とを備えるものとする。
【0010】
また、本発明は、上記ガス置換充填装置において、複層ガラスのガス排出口から排出される所望のガス成分を含む排出ガスから、所望のガスの濃度を計測するガス濃度計測手段と、ガス供給系配管およびガス排出系配管にそれぞれ設けた弁および流量調整手段と、所望のガス濃度に応じて所望のガス成分を分離し回収する手段および各弁ならびに流量調整手段の操作条件を制御する制御手段とを設け、操作条件を複数段に設定切替できるようにする。
【0011】
すなわち、本発明は、ガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスのガス充填口から所望のガスを充填し、ガス排出口からガス充填層内の空気を排出してガス充填層に所望のガスを置換して充填するガス置換充填装置において、所望のガスを供給するガス供給源と、ガス供給源から複層ガラスのガス充填口へガスを供給するガス供給系配管と、複層ガラスのガス排出口からガスを排出するガス排出系配管と、ガス排出系配管に接続されガス排出口から排出される所望のガスに空気が混ざった排出ガスから所望のガス成分を分離し回収するガス分離・回収手段と、回収した所望のガスをガス供給系配管へ還流させる回収ガス還流手段とを備えた。
【0012】
さらに、本発明は、上記ガス置換充填装置において、複層ガラスのガス排出口から排出される所望のガスに空気が混ざった排出ガスから、酸素の濃度を計測する酸素濃度計測手段と、ガス供給系配管およびガス排出系配管にそれぞれ設けた弁および流量調整手段と、酸素濃度に応じてガス分離・回収手段および各弁ならびに流量調整手段の操作条件を制御する制御手段とを設け、操作条件を複数段に設定切替できるようにした。
【0013】
本発明は、上記ガス置換充填装置において、複層ガラスのガス充填層に置換充填する所望のガスを、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、6フッ化硫黄ガス、水素ガス、炭化水素ガス、フレオンガス、炭酸ガス、窒素ガスのいずれかまたはこれらのガスの2種類以上の混合ガスとした。
【0014】
本発明は、ガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスに所望のガスを置換して充填するガス置換充填方法において、所望のガスを供給するガス供給源から複層ガラスのガス充填口へ所望のガスを供給し、ガス排出口から排出される所望のガスに空気が混ざった排出ガスから所望のガス成分を分離し回収して、ガス充填口へ還流させるようにした。
【0015】
さらに、本発明は、上記ガス置換充填方法において、排出ガス中の所望のガス濃度が第1の値を超えたときに、排出ガスから所望のガス成分を分離・回収を開始し、排出ガス中の所望のガス濃度が第2の値を超えたときに、所望のガスの置換充填を終了するようにした。また、本発明は、上記ガス置換充填方法において、排出ガス中の所望のガス濃度を、排出ガス中の酸素濃度を検出することによって推定するようにした。
【0016】
さらに、本発明は上記ガス置換充填方法において、複層ガラスに供給する所望のガスの流量と、複層ガラスから排出される排出ガスの流量が等しくなるように双方の流量を制御するようにした。この流量制御により、複層ガラスのガス充填層内外に圧力差が発生することがない。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる複層ガラスのガス置換充填装置1の構成を、図1を用いて説明する。ここでは、例として複層ガラスのガス充填層に初期に存在するガスが空気である場合について説明する。図1は、複層ガラス50を本発明にかかるガス置換充填装置1にセットした状態を示しており、ガス置換充填装置1は、ガス供給系配管10と、ガス排出系配管20と、還流系配管30と、制御装置40を有している。
【0018】
ガス供給系配管10には、例えばクリプトンガスボンベからなるガス供給源11と、ボンベ元弁V11と、ガス供給源11からの充填ガス(所望のガス)の圧力を所定の2次側圧力にする減圧弁V12と、回収された充填ガスを還流させる還流部12と、配管内を流れる充填ガスの流量を設定値に制御する供給流量制御装置(マスフローコントローラー:MFC1)13と、開閉弁V13と、充填ノズル14が設けられている。
【0019】
ガス供給源11からの充填ガスは、ボンベ元弁V11、減圧弁V12、還流部12、供給流量制御装置13、開閉弁V13、充填のズル14を介して複層ガラス50のガス充填口53からガス充填層52内に供給される。
【0020】
ガス排出系配管20には、排出ノズル25と、開閉弁V21と、配管内を流れる排出ガス中の酸素濃度(換言すれば充填ガスの濃度)を検出する酸素濃度計測手段21と、開閉弁V22と開閉弁V23への分岐22と、開閉弁V22と、開閉弁V23と、配管内を流れる排出ガスの流量を設定値に制御する排出流量制御装置(マスフローコントローラー:MFC2)23と、排出ガスを構成する充填ガスと空気とを分離し充填ガスを回収するガス分離・回収装置24とが設けられる。
【0021】
酸素濃度計測手段21としては、ジルコニア式、ガルバニ電池式、磁気式などの測定原理で連続値をモニターおよび出力できる酸素計を用いることができる。また、排出ガス中に存在する充填ガス濃度は、例えばガスクロマトグラフ等の機器で直接測定するようにしてもよい。さらに、複層ガラスのガス充填層内に初期に存在するガスが空気以外のガスである場合には、ガス充填層内に存在する充填ガス以外のガスを構成する特定成分の濃度を検出することによって、排出ガス中の充填ガス濃度を推定するようにしてもよい。
【0022】
ガス分離・回収装置24として、圧力変動吸着法(PSA)、温度変動吸着法(TSA)、膜分離法、吸着法、ゲッター法などの各種原理を使用したガス分離・回収装置を使用することができる。
【0023】
ここで、圧力変動吸着法(PSA)とは、広く知られている通り、ゼオライトやモレキュラシーブカーボン等の分子選択性を持つ吸着剤を使用し、加圧下でガスを吸着剤に吸着させ、減圧下でガスを吸着剤から脱着させる圧力変動操作を繰り返すことにより、吸着剤への吸着力が異なる2種類以上の混合ガスから目的のガスを選択分離する方法のことである。
【0024】
また、温度変動吸着法(TSA)とは、やはり上記のゼオライトやモレキュラシーブカーボン等の分子選択性をもつ吸着剤を使用するが、圧力変動吸着法とは違い、低温下で吸着剤にガスを吸着させ、昇温して高温下で吸着剤からガスを脱着させる温度操作を繰り返すことで、吸着剤への吸着力が異なる2種類以上の混合ガスから目的のガスを選択分離する方法のことである。
【0025】
一方、膜分離法とは、ポリエステル、ポリイミドなどの合成高分子を積層状や中空糸膜状に加工した膜モジュールを用いる方法である。ガスは、その種類によって高分子の膜への透過係数が違うことから、膜モジュールの入口側と出口側とに分圧差(圧力差が同じであればガスの濃度差)を生じさせてガスを通過させると、ガスの分離が起こる。この原理により、2種類以上の混合ガスから目的のガスを選択分離することが可能となる。
【0026】
この他、吸着法とは、細孔径サイズをある範囲に揃えた吸着剤を用いて、そのサイズより径が小さい分子を吸着剤に吸着させて除去する方法のことである。これは、例えば、ガス充填層を空気と置換して充填する充填ガスの分子が、空気より大きい場合等に使用できる。また、ゲッター式とは、特定のガス種と化学反応を示す充填剤を用いて、不必要なガスを充填剤と選択的に化学反応させて除去する方法のことである。
【0027】
複層ガラス50のガス排出口54からの排出ガスは、排出ノズル25、開閉弁V21、酸素濃度計測手段21、分岐22を経由した後、開閉弁V22を経由して排出されるか、開閉弁V23、排出流量制御装置23を経由して、ガス分離・回収装置24へ供給される。
【0028】
還流系配管30には、圧縮/吸引兼用ポンプ31と、クッションタンク32と、逆止弁33が設けられている。
【0029】
ガス分離・回収装置24で空気と分離され回収された充填ガスは、圧縮/吸引兼用ポンプ31で取り出され、クッションタンク32に蓄えられ、逆止弁33を介して還流部12に還流されてガス供給系配管10を介して、再度複層ガラス50のガス充填層52内に供給される。
【0030】
制御装置40は、酸素濃度計測手段21が検出した酸素濃度によって、流量制御装置13、および流量制御装置23の流量、ガス分離・回収装置24の動作、開閉弁V22,V23の開閉を、それぞれ制御する。制御装置40には、例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)やプログラムリレーなどの制御装置を用いることができる。
【0031】
複層ガラス50は、所定の間隔を置いて対向配置した2枚のガラス51の周囲を封止することによって、2枚のガラスの間にガス充填層52を形成し、封止部にガス充填口53とガス排出口54を設けている。
【0032】
以下、このような構成を有するガス置換充填装置を用いて、複層ガラス50のガス充填層52内に所望の充填ガスを充填するガス置換充填方法を説明する。
【0033】
(1)複層ガラス50のガス充填口53にガス供給系配管10の充填ノズル14を、ガス排出口54にガス排出系配管20の排出ノズル25を、それぞれ取りつける。
【0034】
(2)初期状態では、ボンベ元弁V11、開閉弁V13、開閉弁V21、開閉弁V23、開閉V24、供給流量制御装置13と排出流量制御装置21とガス分離・回収装置24内の開閉弁を全て「閉」とし、圧縮/吸引兼用ポンプ31は起動とする。
【0035】
(3)ボンベ元弁V11、開閉弁V13、開閉弁V21、開閉弁V22を「開」とし、開閉弁V23を「閉」として、供給流量制御装置13で設定流量に制御された充填ガスを複層ガラス50のガス充填層52に送出する。
【0036】
(4)ガスを流し始めた当初で、酸素濃度計測手段21で検出した排出ガスの酸素濃度が20%付近(ほぼ空気の状態)の段階は、ガス充填層52内のガス排出口付近にある充填ガスが混ざっていない空気が排出されているので、開閉弁V22から排出ガスを廃棄する。
【0037】
(5)酸素濃度計測手段21で検出した排出ガスの酸素濃度が第1の設定値以下になると、開閉弁V22を「閉」とし、開閉弁V23を「開」として、空気と充填ガスが混ざった排出ガスを、ガス分離・回収装置24へ導入する。このとき、排出流量制御装置23の流量設定値を供給流量制御装置13の流量設定値と同じにすることによって、複層ガラス50のガス充填層52内の圧力が大気圧と同じに保たれ、ガス充填層の内外の圧力差により複層ガラス50が破損するおそれがなくなる。
【0038】
(6)ガス分離・回収装置24は、空気と充填ガスが混ざった排出ガスから充填ガスと空気とを分離し、空気を廃棄し、充填ガスを回収する。回収した充填ガスを圧縮/吸引ポンプ31によって取り出し、クッションタンク32へ蓄える。
【0039】
(7)クッションタンク32に回収した充填ガスの圧力が、ガス供給系配管10の減圧弁V11の2次側設定値を超えるまでは、ガス供給源11から充填ガスが供給される。
【0040】
(8)クッションタンク32に回収した充填ガスの圧力が、減圧弁V12の2次側設定値を超えると、充填ガスはクッションタンク32から供給されガス供給源11からは供給されない。
【0041】
(9)回収した充填ガスをクッションタンク32から供給して、クッションタンク32のガスの圧力が、ガス供給系配管10の減圧弁V11の2次側設定値以下となると、ガス供給源11から充填ガスが供給される。
【0042】
(10)クッションタンク32に回収した充填ガスの圧力が、減圧弁V12の2次側設定値を超えると、充填ガスはクッションタンク32から供給されガス供給源11からは供給されない。
【0043】
(11)上記(9)と(10)の状態を繰り返して複層ガラス50のガス充填層52内の空気を充填ガスに置換充填していく。
【0044】
(12)所定の時間が経過して、酸素濃度計測手段21が検出した酸素濃度が第2の設定値以下となると、ガス充填層52に充填ガスの置換充填が終了したとして、ボンベ元弁V11、開閉弁V13、開閉弁V21、開閉弁V23、開閉V24、供給流量制御装置13と排出流量制御装置21とガス分離・回収装置24内の開閉弁を全て「閉」とし、圧縮/吸引兼用ポンプ31を停止して充填処理を終了する。全ての弁の「閉」操作は、制御装置40によって自動に行なってもよいし、置換充填の終了を報知することによって手動で行なってもよい。
【0045】
回収した充填ガスは、そのまま各配管内やガス分離・回収装置内およびクッションタンク内に保持されるので、廃棄されることがなく無駄にならない。
【0046】
その後、ガス供給系配管10のノズルを複層ガラス50のガス充填口53から、ガス排出系配管20のノズルをガス排出口54からそれぞれ外して、複層ガラス50のガス充填口53およびガス排出口54を封止する。
【0047】
上記の説明では、排出ガス中の空気の濃度を、酸素濃度計測手段を用いて検出する方法を説明したが、排出ガスに含まれる充填ガスと空気との熱伝導特性に差があることを利用して、熱伝導計により排出ガス中の充填ガス濃度を検出するようにしてもよい。この場合は、排出ガス中に所定濃度の充填ガスの存在が確認されるとガス分離・回収装置24側へガスを流すようにし、所定の充填ガス濃度が検出されると置換充填を終了するようにすればよい。
【0048】
上記説明では、所望の充填ガスをクリプトン(Kr)ガスを例にして説明したが、所望の充填ガスとしては、この他に、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス、キセノン(Xe)ガス、6フッ化硫黄(SF6)ガス、水素(H2)ガス、炭化水素ガス、フレオンガス、炭酸ガス(CO2)、窒素(N2)ガスのいずれか、またはこれらのガスの2種類以上を混合したガスを使用することができる。
【0049】
また、上記の説明では、ガス分離・回収装置24が後段吸引下で動作する装置を例にして説明したが、ガス分離・回収装置24が、前段加圧下で動作する場合には、ガス排出系配管20と還流系配管30の構成を図2のように変更することができる。すなわち、ガス排出系配管20の排出流量制御装置23の下流側でガス分離・回収装置24の上流側に、圧縮機34とクッションタンク32を接続し、ガス分離・回収装置24の下流側に逆止弁33を挿入すれば、同様に動作させることができる。さらに、ガス分離・回収装置24の前段に圧縮機を、後段に圧縮・吸引兼用ポンプの両方を配置しても、排出ガスから充填ガスを分離し回収することができる。
【0050】
以上の説明によれば、本発明は、複層ガラスのガス充填層内に存在する空気と所望の充填ガスとを置換充填することを想定したものであるが、本発明は、ガス充填層内のガスが空気以外のガスであっても、同様にその充填層内のガスと所望の充填ガスとを置換充填することができる。したがって、本発明の適用範囲は、ガス充填層内に存在するガスを空気に限定するものではない。
【0051】
このために、複層ガラスのガス充填層に初期に存在するガスが空気以外のガスである場合においても、本発明は、上記の説明のガス置換充填装置と同様にしてガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスのガス充填口から所望のガスを充填し、ガス排出口からガス充填層内に存在する所望のガス以外のガスを排出してガス充填層に所望のガスを所望のガス以外のガスと置換して充填するガス置換充填装置において、所望の充填ガスを供給するガス供給源と、ガス供給源から複層ガラスのガス充填口へガスを供給するガス供給系配管と、複層ガラスのガス排出口からガスを排出するガス排出系配管と、ガス排出系配管に接続されガス排出口から排出される充填ガスを含む排出ガスから充填ガス成分を分離し回収する手段と、回収したガスをガス供給系配管へ還流させる回収ガス還流手段と設けることによって、ガス充填層内を充填ガスに置換充填することができる。
【0052】
これは、複層ガラスのガス充填層に、例えば上記の説明のガス置換充填装置等により、一度所望の充填ガスを空気と置換して充填した後、さらに、別の所望の充填ガスを置換充填する場合などに適用することが考えられる。
【0053】
【発明の効果】
このように、本発明によれば、所望の充填ガスを無駄に廃棄することなく複層ガラスのガス充填層に置換充填することができ、充填ガスの無駄を減らして歩留まりを向上させることができ、例えばクリプトンのような高価なガスを充填ガスとして使用する場合にガスの使用量を最小化することができる。
【0054】
また、実際の充填方法として、複層ガラスの置き方、ガス種により充填管や排出管の配置個所・配置角度、またガス供給速度などの条件を変更することによって、充填ガスと空気が混ざるのをなるべく避けているが、本発明によれば、ガス充填管とガス排出管の配置個所や配置角度、ガス供給速度などの条件、複層ガラスの配置の仕方に関係なく、充填ガスの歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる複層ガラスのガス置換充填装置の構成を概念的に説明する図。
【図2】本発明にかかる複層ガラスのガス置換充填装置の変形例を概念的に説明する図。
【符号の説明】
1:ガス置換充填装置
10:ガス供給系配管
11:ガス供給源
12:還流部
13:供給流量制御装置
14:充填ノズル
15:充填ガス供給管
20:ガス排出系配管
21:酸素濃度計測手段
22:分岐
23:排気流量制御装置
24:ガス分離・回収装置
30:還流系
31:圧縮/吸引兼用ポンプ
32:クッションタンク
33:逆止弁
34:圧縮機
40:制御装置
50:複層ガラス
51:ガラス
52:ガス充填層
53:ガス充填口
54:ガス排出口
V11:ボンベ元弁
V12:減圧弁
V13:開閉弁
V21:開閉弁
V22:開閉弁
V23:開閉弁
V23:開閉弁
Claims (10)
- ガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスのガス充填口から所望のガスを充填し、ガス排出口からガス充填層内に存在する所望のガス以外のガスを排出してガス充填層に所望のガスを所望のガス以外のガスと置換して充填するガス置換充填装置において、
所望のガスを供給するガス供給源と、
ガス供給源から複層ガラスのガス充填口へガスを供給するガス供給系配管と、
複層ガラスのガス排出口からガスを排出するガス排出系配管と、
ガス排出系配管に接続されガス排出口から排出される所望のガス成分を含む排出ガスから所望のガス成分を分離し回収する手段と、
回収したガスをガス供給系配管へ還流させる回収ガス還流手段と
を有することを特徴とするガス置換充填装置。 - 複層ガラスのガス排出口から排出される所望のガス成分を含む排出ガスから、所望のガスの濃度を計測するガス濃度計測手段と、
ガス供給系配管およびガス排出系配管にそれぞれ設けた弁および流量調整手段と、
所望のガス濃度に応じて所望のガス成分を分離し回収する手段および各弁ならびに流量調整手段の操作条件を制御する制御手段とを設け、
操作条件を複数段に設定切替できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のガス置換充填装置。 - ガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスのガス充填口から所望のガスを充填し、ガス排出口からガス充填層内の空気を排出してガス充填層に所望のガスを空気と置換して充填するガス置換充填装置において、
所望のガスを供給するガス供給源と、
ガス供給源から複層ガラスのガス充填口へガスを供給するガス供給系配管と、
複層ガラスのガス排出口からガスを排出するガス排出系配管と、
ガス排出系配管に接続されガス排出口から排出される所望のガスに空気が混ざった排出ガスから所望のガス成分を分離し回収する手段と、
回収したガスをガス供給系配管へ還流させる回収ガス還流手段と
を有することを特徴とするガス置換充填装置。 - 複層ガラスのガス排出口から排出される所望のガスに空気が混ざった排出ガスから、酸素の濃度を計測する酸素濃度計測手段と、
ガス供給系配管およびガス排出系配管にそれぞれ設けた弁および流量調整手段と、
酸素濃度に応じて所望のガス成分を分離し回収する手段および各弁ならびに流量調整手段の操作条件を制御する制御手段とを設け、
操作条件を複数段に設定切替できるようにしたことを特徴とする請求項3に記載のガス置換充填装置。 - 複層ガラスのガス充填層に置換充填する所望のガスが、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、6フッ化硫黄ガス、水素ガス、炭化水素ガス、フレオンガス、炭酸ガス、窒素ガスのいずれかまたはこれらのガスの2種類以上の混合ガスであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のガス置換充填装置。
- ガス充填層に通じるガス充填口とガス排出口を有する複層ガラスに所望のガスを空気と置換して充填するガス置換充填方法において、
所望のガスを供給するガス供給源から複層ガラスのガス充填口へ所望のガスを供給し、
ガス排出口から排出される所望のガスに空気が混ざった排出ガスから所望のガス成分を分離し回収して、ガス充填口へ還流させることを特徴とするガス置換充填方法。 - 排出ガス中の所望のガス濃度が第1の値を超えたときに、排出ガスから所望のガス成分を分離し回収することを特徴する請求項6に記載のガス置換充填方法。
- 排出ガス中の所望のガス濃度が第2の値を超えたときに、所望のガスの置換充填を終了することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のガス置換充填方法。
- 排出ガス中の所望のガス濃度を、排出ガス中の酸素濃度を検出することによって推定することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のガス置換充填方法。
- 複層ガラスに供給する所望のガスの流量と、複層ガラスから排出される排出ガスの流量が等しくなるように双方の流量を制御することを特徴とする請求項6に記載のガス置換充填方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060110 |