JP2007047371A - プラスチック光ファイバケーブルの製造方法 - Google Patents

プラスチック光ファイバケーブルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐薬品性に優れる上に、100〜105℃程度の高温環境下での長期耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブルを製造する方法を提供する。
【解決手段】 本発明のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法は、コア及び1層または2層以上のクラッド層を備えたプラスチック光ファイバ素線と、該プラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆した被覆層とを有するプラスチック光ファイバケーブルを製造する際に、前記プラスチック光ファイバ素線におけるクラッド層の最外層を、特定のフッ化ビニリデン系共重合体から形成し、被覆層を、特定のエチレン−ビニルアルコール共重合体及び遮光剤を含む被覆材から形成し、かつ、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて、あらかじめ作製したプラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆材で被覆して被覆層を設ける被覆工程を有し、該被覆工程では特定の温度条件を満たす方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば、自動車等の移動体中での情報伝送用途や食品・半導体分野でのセンサー用途などに利用できるプラスチック光ファイバケーブルの製造方法に関する。
従来、光ファイバとしては広い波長領域にわたって優れた光伝送を行うことができることから、石英系の光ファイバが幹線系を中心として使用されているが、石英系光ファイバは高価である上に加工性が低いという問題がある。そのため、安価で、軽量、大口径であり、端面加工や取り扱いが容易である等の長所を有したプラスチック製の光ファイバ(プラスチック光ファイバ)が開発されている。プラスチック光ファイバは、照明・装飾用途や、食品・半導体分野等でのセンサー用途、FA、OA、LAN等の短・中距離での光情報伝送用途等において実用化されている。
プラスチック光ファイバは、プラスチック光ファイバ素線の外周部が、熱可塑性樹脂からなる被覆層で被覆されたプラスチック光ファイバケーブルの形態で使用されるのが一般的である。
ここで、プラスチック光ファイバ素線は、透明性に優れたポリメタクリル酸メチル(PMMA)から形成された主たる光伝送路になるコアと、コアの外周面上にコアよりも屈折率が低い材料からなるクラッド層とを備えたものである。
近年、プラスチック光ファイバケーブルを、自動車等の移動体内での情報伝送用途として使用することがある。自動車等の移動体内での情報伝送用途として使用する場合には、オイルや電解液、ガソリン等の引火性物質などの薬品存在下で使用されるため、被覆層には、耐熱性、耐熱寸法安定性に優れることに加えて、耐薬品性に優れることが要求される。そこで、被覆層として、透明性が高く、プラスチック光ファイバのクラッド層として一般的に使われている材料より低屈折率であり、さらに酸素バリアー性や耐油性、耐有機溶剤性に優れることから、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVAL共重合体という。)を用いることが提案されている。
例えば、特許文献1には、コアがPMMA系樹脂、クラッド層がフルオロアルキルメタクリレート系共重合体であるプラスチック光ファイバ素線に、透明なEVAL共重合体を被覆したプラスチック光ファイバが提案されている。このプラスチック光ファイバによれば、屈曲した際の光量の伝送損失が小さくなっている。
特許文献2には、特定のプラスチック光ファイバ素線の外側に、クラッド層より屈折率が0.001以上低いEVAL共重合体の保護層を設けたプラスチック光ファイバが提案されている。このプラスチック光ファイバでは、曲げた際の伝送損失の増加が防止され、さらに酸化による伝送損失の増加が防止されて耐熱性(95℃、1000時間で15dB/km以下)が向上されている。
特許文献3及び特許文献4には、プラスチック光ファイバ素線にエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を被覆し、さらにその上に難燃材料又は熱可塑性樹脂を被覆したプラスチック光ファイバコードが記載されている。
特許文献5には、フッ化ビニリデン(VdF)−テトラフルオロエチレン(TFE)の共重合体からなるクラッド層を有するプラスチック光ファイバ素線に、EVAL共重合体を遮断層として設けるプラスチック光ファイバケーブルが記載されている。このプラスチック光ファイバケーブルでは、被覆層であるポリ塩化ビニル中に含まれる可塑剤がプラスチック光ファイバ素線に移行するのを防ぐことができ、その結果、80℃で100時間暴露した時の伝送損失の増加が防止されている。
特開平9−101422号公報 特開平11−183738号公報 実開昭57−74403号公報 実開昭58−71703号公報 特開昭63−113511号公報
ところで、プラスチック光ファイバケーブルを自動車等の移動体内での情報伝送用途として使用する場合には、エンジン等の高温体の近傍など、使用環境温度が100〜105℃付近に達するような高温高湿環境下に敷設するため、長期間の耐熱性が要求される。具体的には、100〜105℃環境下で5000時間に達する長期間にわたっても、伝送損失の増加量が小さいことが求められる。
しかしながら、特許文献1〜5に記載のプラスチック光ファイバケーブルでは、屈曲した際の伝送損失の増加は防止されているものの、100〜105℃程度の高温環境下での長期耐熱性は不充分であった。例えば、特許文献2に記載のプラスチック光ファイバケーブルは、95℃付近で1000時間程度での耐熱性が優れているにすぎず、100〜105℃での耐熱性が要求される情報伝送用途に適用することは困難であった。
本発明の目的は、耐薬品性に優れる上に、100〜105℃程度の高温環境下での長期耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブルを製造できるプラスチック光ファイバケーブルの製造方法を提供することにある。
本発明のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法は、メタクリル酸メチル単位を含有する重合体からなるコア及び該コアの外周面上に形成された1層または2層以上のクラッド層を備えたプラスチック光ファイバ素線と、該プラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆した被覆層とを有するプラスチック光ファイバケーブルを製造するプラスチック光ファイバケーブルの製造方法であって、
前記プラスチック光ファイバ素線におけるクラッド層の最外層を、フッ化ビニリデン単位10〜60質量%とテトラフルオロエチレン単位20〜70質量%とヘキサフルオロプロピレン単位5〜35質量%とからなる3元共重合体、又は、フッ化ビニリデン単位10〜30質量%とテトラフルオロエチレン単位40〜80質量%とヘキサフルオロプロピレン単位5〜40質量%とパーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル単位0.1〜15質量%とからなる4元共重合体のいずれかであって、且つ、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下であるフッ化ビニリデン系樹脂から形成し、
被覆層を、エチレン単位の含有量が30〜39モル%、ビニルアルコール単位の含有量が61〜70モル%の範囲で含むエチレン−ビニルアルコール共重合体及び遮光剤を含む被覆材から形成し、
かつ、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて、あらかじめ作製したプラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆材で被覆して被覆層を設ける被覆工程を有し、該被覆工程では、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点をT(℃)、被覆温度をT(℃)とした際に下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
≦195 (1)
≦220 (2)
30≦T−T≦65 (3)
本発明のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法においては、被覆工程では、プラスチック光ファイバ素線と被覆層との間の引抜強度が35N以上になるように、被覆層を設けることが好ましい。
また、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法においては、前記複合溶融紡糸により作製したプラスチック光ファイバ素線に95〜120℃で熱処理を施した後に、被覆工程で被覆層を設けることが好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法によれば、耐薬品性に優れる上に、100〜105℃程度の高温環境下での長期耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブルを製造できる。したがって、本発明の製造方法により得られたプラスチック光ファイバケーブルは、自動車内での情報伝送用途に好適に使用できる。
本発明のプラスチック光ファイバケーブル(以下、POFケーブルという。)の製造方法は、コア及び該コアの外周面上に形成されたクラッド層を備えたプラスチック光ファイバ素線(以下、POF素線という。)と、該POF素線の外周部を被覆した被覆層とを有するPOFケーブルを製造する方法である。
POF素線におけるコアを形成する材料(コア材)としては、透明性及び機械的強度のバランスに優れていることから、メタクリル酸メチル(MMA)単位を含有する重合体が用いられ、中でも、メタクリル酸メチルのホモポリマーであるポリメタクリル酸メチル(PMMA)が好ましい。
POF素線におけるクラッド層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。クラッド層が2層以上からなる場合には、製造コストを低減する観点から、第1クラッド層の外周に、第2クラッド層(最外層)を同心円状に設けた2層構造とすることが好ましい。
クラッド層をこのような2層構造とする場合、コアの屈折率n、第1クラッド層の屈折率n、第2クラッド層の屈折率nが、下記の関係式(4)
>n>n (4)
あるいは、下記の関係式(5)及び(6)
>n (5)
>n (6)
を満たすことが好ましい。なお、本発明における屈折率は、ナトリウムD線による25℃での屈折率をいう。
特に、上記の関係式(4)を満たす場合には、POFケーブル屈曲時に第1クラッド層から漏れた光をより低屈折率な第2クラッド層によって反射できるため、曲げ光量損失を小さくすることができる。
第1クラッド層を形成する樹脂(第1クラッド材)としては、フッ素化メタクリレート系重合体、フッ化ビニリデン系重合体等のPOF用クラッド材として使用されている公知の材料を適宜選択することができる。中でも、本発明においては、屈折率の調整が容易である、透明性及び耐熱性が高い、屈曲性及び加工性に優れているといった特徴を有する点からフッ素化メタクリレート系重合体を用いることが好ましい。
上記のフッ素化メタクリレート系重合体としては、より具体的には下記一般式(I)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位(A)15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(B)10〜85質量%とからなり、屈折率が1.39〜1.475の範囲にある共重合体を挙げることができる。
CH=CX−COO(CH(CFY (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基、Yは水素原子またはフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
また、フッ素化メタクリレート系重合体として、下記一般式(II)で表わされる長鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(C)0〜50質量%と、下記一般式(III)で表わされる短鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(D)0〜50質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(E)50〜80質量%とからなり(単位(C)と(D)の少なくとも一方を必ず含む)、屈折率が1.45〜1.48の範囲にあるフッ素化メタクリレート系重合体を挙げることができる。このようなフッ素化メタクリレート系重合体を用いる場合は、POFケーブルの伝送帯域をより広くすることができる。
CH=C(CH)COO−(CH(CFCF (II)
(式中、mは1又は2、nは5〜12の整数を示す。)
CH=C(CH)COO−CH(CFX (III)
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4の整数を示す。)
また、フッ素化メタクリレート系共重合体として、上記長鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(C)0〜80質量%と、上記短鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(D)10〜90質量%と、他の共重合可能な単量体単位(E)10〜50質量%とからなり、屈折率が1.39〜1.435の範囲にある共重合体を挙げることができる。このような重合体を用いる場合は、POFケーブル屈曲時の曲げ光量損失をより低減することができる。
上記フッ素化メタクリレート系重合体における他の共重合可能な単量体の単位(E)としては特に限定されないが、透明性の向上のためには、(メタ)アクリル酸メチル単位が好ましい。機械特性の向上のためには、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単位が好ましい。耐熱性の向上のためには、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルの単位、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステルの単位、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロネオペンチルの単位、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミドの単位、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ、γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−エチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−シクロヘキシル−γ−ブチロラクトン等のγ−ブチロラクトン系化合物の単位が好ましい。
これらの中でも透明性及び100〜105℃付近での長期耐熱性、機械的強度に優れたPOFケーブルが得られる点から、他の共重合可能な単量体(E)として(メタ)アクリル酸メチルの単位を用いることが特に好ましい。
第1クラッド材のガラス転移温度(Tg)は、100℃付近での耐熱性がより高くなることから、100℃前後あるいはそれ以上であることが好ましい。ただし、本発明では、第1クラッド層にTgが70〜90℃程度の公知のフッ素化メタクリレート系重合体を用いた場合であっても100〜105℃での長期耐熱性を満足することができる。Tgが70℃〜90℃のフッ素化メタクリレート系重合体は、Tgが100℃前後あるいはそれ以上のフッ素化メタクリレート系重合体と比較すると柔軟性に富み、割れにくい特徴を有しているため、クラッド層に用いた場合には、特に曲げ特性に優れたPOFケーブルを得ることができる。
第1クラッド層は、屈折率が高いほど、伝送帯域を広げることができる反面、第2クラッド層による曲げ光量損失の抑制効果が不十分になる傾向がある。したがって、第1クラッド層は、POFケーブルが使用される環境に応じて必要とされる伝送帯域と曲げ光量損失とのバランスを考慮して適宜設計することが望ましい。
POF素線におけるクラッド層の最外層は、フッ化ビニリデン(VdF)単位10〜60質量%とテトラフルオロエチレン(TFE)単位20〜70質量%とヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位5〜35質量%とからなる3元共重合体、又は、フッ化ビニリデン(VdF)単位10〜30質量%とテトラフルオロエチレン(TFE)単位40〜80質量%とヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位5〜40質量%とパーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル(PFPVE)単位0.1〜15質量%とからなる4元共重合体のいずれかであって、且つ、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下であるフッ化ビニリデン系樹脂から形成される。
なお、クラッド層が1層である場合には、1層のクラッド層が最外層になる。
クラッド最外層を形成するVdF系樹脂中の、VdF単位の含有量は当該樹脂の全構成単位中60質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であればより好ましい。
前記3元共重合体においては、フッ化ビニリデン単位が60質量%を超えると樹脂の結晶性が高くなるため、非結晶性の内層樹脂(コア材、又はクラッドが2層以上からなる場合には第1クラッド材)との間に相溶層が形成されることがある。そのため、POFケーブルが温度85℃湿度95%RHのような高温高湿環境下に長時間曝された場合には、相溶層が相分離して伝送損失の増加を引き起こす傾向がある。また、フッ化ビニリデン単位が10質量%未満であると、該3元共重合体と非結晶性の内層樹脂(コア材、又は、クラッドが2層以上からなる場合には第1クラッド材)との密着性が低下する傾向がある。また、3元共重合体において、フッ化ビニリデン単位は40質量%以下であることが好ましい。
テトラフルオロエチレン単位が70質量%を超えると、該共重合体の融点が高くなる傾向があり、POFの紡糸温度付近(200〜240℃)での成形安定性が低下するおそれがある。テトラフルオロエチレン単位が20質量%未満であると、該共重合体のエラストマー性が高くなる傾向があるため、POFの溶融紡糸での成形安定性が低下したり、硬度が小さくなるためPOFを機械的に保護する機能が低下する恐れがある。
ヘキサフルオロプロピレン単位が35質量%を超えると、該共重合体のエラストマー性が高くなる傾向があるため、POFの溶融紡糸での成形安定性が低下したり、硬度が小さくなるためPOFを機械的に保護する機能が低下する恐れがある。また、ヘキサフルオロプロピレン単位が5質量%未満であると、該共重合体の結晶性が高くなるため、常温で白濁したり、あるいはPOFケーブルが高温高湿環境下に長時間曝された場合に、徐々に白濁していくため、POFの伝送損失が損なわれる恐れがある。
前記4元共重合体において、フッ化ビニリデン単位が30質量%を超えると、該共重合体の結晶性が高くなるため、常温で白濁していたり、あるいはPOFケーブルが高温高湿環境下に長時間曝された場合に、徐々に白濁していくため、POFの伝送損失が損なわれる恐れがある。フッ化ビニリデン単位が10質量%未満であると、4元共重合体と非結晶性の内層樹脂(コア材、又はクラッドが2層以上からなる場合には第1クラッド材)との密着性が低下する傾向がある。テトラフルオロエチレン単位が80質量%を超えると、該共重合体の融点が高くなる傾向があり、POFの紡糸温度付近(200〜240℃)での成型安定性が低下するおそれがある。テトラフルオロエチレン単位が40質量%未満であると、該共重合体のエラストマー性が高くなる傾向があるため、POFの溶融紡糸での成型安定性が低下したり、硬度が小さくなるためPOFを機械的に保護する機能が低下する恐れがある。
ヘキサフルオロプロピレン単位が40質量%を超えると、該共重合体のエラストマー性が高くなる傾向があるため、POFの溶融紡糸での成型安定性が低下したり、該共重合体の硬度が小さくることや、上述した非結晶性の内層樹脂との密着性が低下するためPOFのクラッド材が剥離する恐れがある。ヘキサフルオロプロピレン単位が5質量%未満であると該共重合体の結晶性の低減効果が不十分であるため、常温で白濁したり、あるいはPOFケーブルが高温高湿環境下に長時間曝された場合に、徐々に白濁していくため、POFの伝送損失が損なわれる恐れがある。
また、パーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル単位が15質量%を超えた場合、あるいは、パーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル単位が0.1質量%未満の場合も、ヘキサフルオロプロピレン単位の場合と同様な傾向を示す。
上記パーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテルとは、一般式(IV)で示されるものである。
CF=CF−(OCFCF(CF))O−Rf2 (IV)
(式中、Rf2は炭素原子数が1〜8個のアルキル基もしくはフルオロアルキル基又はアルコキシルアルキル基もしくはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
このパーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテルとしては、下記一般式(V)〜(VIII)から選ばれるものが好ましい。
CF=CFO(CF−OCF (V)
(式中、nは1〜3の整数)
CF=CF(OCFCF(CF))O(CFCF (VI)
(式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
CF=CFO(CH(CFCF (VII)
(式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
CF=CFO(CHCH (VIII)
(式中、nは1〜3の整数)
これらの中でも、原料の低コスト化を図ることができる点から、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF、CF=CFOCHCF、CF=CFOCHCFCF、CF=CFOCHCFCFCF、CF=CFOCH、CF=CFOCHCH及びCF=CFOCHCHCHからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、クラッド層の最外層を形成する材料は、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である樹脂であり、30mJ/mg以下である樹脂が好ましく、15mJ/mg以下である樹脂がより好ましい。結晶融解熱は、熱融解に起因して発生する熱量であり、この熱量が小さいほど結晶性が低い。したがって、結晶融解熱が40mJ/mg以下である樹脂では結晶による白濁を抑制できるため、このような樹脂をクラッド最外層に用いることにより、POFケーブルの初期の伝送損失、長期間高温環境下に曝された際のPOFケーブルの伝送損失の増加をより抑えることができる。
上記POF素線の外周部を被覆する被覆層は、特定の共重合組成からなるEVAL共重合体及び遮光剤を含む被覆材からなる層である。
被覆材に含まれるEVAL共重合体の融点は、195℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましい。EVAL共重合体の融点が195℃より高いと、POF素線に被覆層を形成する際の温度を220℃より高く設定する必要があり、POF素線の光学性能が低下するおそれがある。これは、POF素線に被覆層を形成する際の温度を220℃より高く設定すると、POF素線が熱による損傷を受けることがあるためである。
EVAL共重合体は、エチレン単位を30〜39モル%、ビニルアルコール単位を61〜70モル%の範囲で含む共重合体(エチレン単位とビニルアルコール単位の合計は100モル%)である。エチレン単位の含有量が30モル%より少ないと、ビニルアルコール単位の含有量が高くなり吸水率が高くなるため、POFケーブルの耐湿熱性が低下する恐れがある。また、EVAL共重合体の融点が195℃より高くなる。一方、エチレン単位の含有量が39モル%より多ければ、該EVAL共重合体のガラス転移温度が60℃より低くなり、融点が160℃以上であるにもかかわらず、POFケーブルを100〜105℃で使用したときに、ケーブルが変形する恐れがある。
EVAL共重合体の溶融粘度は、210℃、荷重5kgf(49N)で測定したメルトフローインデックスが、25〜80g/10分の範囲にあるものが好ましい。メルトフローインデックスが25g/10分より小さければ、EVAL共重合体の粘度が高くなるため、POFの外周部に被覆層を被覆する際に、クロスヘッド内部でPOFに加わる樹脂圧力が高くなる。そのため、POF素線が損傷したり、POF素線に被覆層を被覆する際に配向ひずみが大きくなったりする傾向がある。配向ひずみを抑えるために加工温度を上げた場合には、POF素線の熱劣化を生じることがある。
メルトフローインデックスが80g/10分より大きければ、EVAL共重合体の粘度が低くなり、均一な厚みで被覆層を設けることが困難になったり、被覆層の強度が弱くなったりする傾向がある。
EVAL共重合体として市販されているものとしては、例えば、クラレ社製の、エバールE105、G156、F104、FP104、EP105、EU105等が挙げられる。
被覆材に含まれる遮光剤としては、POF素線への外光の入射を防止でき、被覆層を無彩色にするものが用いられ、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。遮光剤の含有量としては、0.1〜2.0質量%であることが好ましい。
また、被覆層は延伸されていないことが好ましい。被覆層が延伸されていなければ、被覆層の配向をより抑えることができるため、105℃程度の高温環境下での熱収縮をより小さくすることができる。
被覆材には、被覆層としての機能を損なわない範囲で、各種熱可塑性樹脂が含まれていてもよい。例えば、EVAL共重合体100質量部に対して、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が5〜30質量部の範囲で含まれていてもよい。EVAL共重合体は吸水性が高いため、POFケーブルの耐湿性が低くなる傾向があるが、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を5〜30質量部の範囲で含有させた場合には、被覆層の水蒸気遮蔽性が高くなり、POFケーブルの耐湿性を確保することができる。
被覆層の厚さは150〜750μmであることが好ましく、250〜350μmであることがより好ましい。被覆層の厚みが150μm未満である場合には、POF素線を機械的に保護する効果が不十分であり、またPOF素線と被覆層の間の引抜強度を十分に維持できないことがある。一方、被覆層の厚みが750μmを超えると、被覆層に使用する材料のコストが高くなる。また、被覆層が厚くなる分だけ、被覆工程時にPOF素線に伝わる熱量が大きくなり、POF素線の光学性能が低下する傾向にある。
POFケーブルにおいては、耐久性、耐環境特性などを高めるために、上記被覆層の外周に、熱可塑性樹脂からなる二次被覆層が設けられていてもよい。二次被覆層を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらはPOFケーブルの使用環境に応じて、1種単独で、又は2種以上を適宜選択し混合したものを用いることができる。
自動車内配線用などでは、二次被覆層として、耐油性、耐熱性等に優れたポリアミド系樹脂を用いることが好ましい。具体的には、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−12等の単独重合体や、これら重合体の単量体単位の組み合わせからなるナイロン共重合体、これら重合体に柔軟なセグメントを導入したナイロン系エラストマー、ナイロン系エラストマーと他のポリアミド系樹脂を含む混合物が好ましい。また、これらの中でも、成形性が良好で、二次被覆層形成の際に熱的及び機械的損傷を防止できることから、ナイロン系エラストマー、又はナイロン系エラストマーと他のポリアミド系樹脂との混合物が好ましい。
上記POFケーブルを製造するためには、まず、POF素線形成工程にて、公知の複合溶融紡糸法によりPOF素線を形成し、次いで、被覆工程にて、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて、POF素線の外周部を被覆材で被覆して被覆層を設ける。これにより、POF素線と被覆層とを有するPOFケーブルを得る。
POF素線形成工程では、延伸倍率を1.3〜2.2とすることが好ましく、1.5〜2.0とすることがより好ましい。延伸倍率が1.3より小さいと、POF素線の機械的強度が不十分になるため、POFケーブルを屈曲した際に破断することがある。延伸倍率が2.2より大きいと、熱収縮を低減するために非常に長時間の熱処理が必要になったり、緩和処理の回数を増やす必要が生じたりすることがある。
被覆工程では、EVAL共重合体の融点をT(℃)、被覆温度(クロスヘッドダイの温度)をT(℃)とした際に、下記式(1)〜(3)を満たす。
≦195 (1)
≦220 (2)
30≦T−T≦65 (3)
EVAL共重合体の融点(T)が195℃以下、かつ、被覆温度(T)が220℃以下であることにより、被覆工程時においてPOF素線が熱により損傷を受けにくい。これに対し、EVAL共重合体の融点(T)が195℃超又は被覆温度(T)が220℃超であると、被覆工程時にPOF素線が熱により損傷を受ける。
また、T−Tを30〜65(℃)の範囲とすることにより、被覆層の配向を抑えながら、POF素線に損傷を与えずに、被覆層を形成することが可能となる。これに対し、T−Tが30℃より小さいと、被覆工程時にEVAL共重合体の配向度が高くなるため、POFケーブルが100〜105℃の高温環境下に長期間暴露された場合、被覆層の熱収縮が大きくなる。その結果、POF素線に収縮歪が付与されるため、POF素線の光学性能が低下する。一方、T−Tが65℃より大きいと、被覆工程時のクロスヘッドダイの温度を不要に高く設定しているだけであり、POF素線が熱による損傷を受ける。
クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置としては、ケーブル製造に使用される周知の装置を用いることができる。
また、被覆工程では、POF素線と被覆層との間の引抜強度が35N以上、特に45N以上になるように被覆層を設ける。引抜強度が35N未満であると、POF素線と被覆層の100〜105℃での熱収縮特性に差がある場合に、熱収縮歪がPOF素線の長さ方向に不均等に加わる。そのため、POF素線の光学性能が低下したり、外力に対する被覆層の保護効果が不十分になったり、高温環境下でのPOFケーブルのピストニングを抑制できなかったりすることがある。
引抜強度が35N以上にするためには、被覆工程時のクロスヘッドダイの温度やダイス/ニップの形状を適宜選定することが好ましい。
なお、本発明における引抜強度は、後述の測定方法により測定された値であり、密着性の指標となるものである。
POFケーブルの製造方法においては、POF素線形成工程と被覆工程の間に、POF素線に熱処理または緩和処理を施す熱収縮性低減化工程を有してもよい。
熱処理及び緩和処理の方法としては、水、水蒸気、加熱気体などの加熱媒体によってPOF素線を加熱する方法、POF素線の供給速度あるいは排出速度を調整しながら加熱媒体中にPOF素線を通過させる方法などが挙げられる。
また、熱処理または緩和処理をする際には、延伸配向を保持できることから、POF素線に数百gfの張力を付与することが好ましい。
POF素線の熱処理または緩和処理の温度としては、95〜120℃程度が好ましい。熱処理または緩和処理の温度が120℃より高いと、POF素線の延伸配向が低下して強度が低下する傾向があり、95℃より低いと、所望の熱収縮性を得るために非常に長時間の熱処理が必要になったり、緩和処理の回数を多くしたりする必要がある。
また、延伸配向の低下を抑制し、熱収縮特性を向上させ、機械特性に優れたPOF素線が得られることから、熱処理または緩和処理の温度は、コア材のガラス転移温度とクラッド層を形成する材料のガラス転移温度のいずれか低い方の温度以下であることが好ましい。
上記熱収縮低減化工程を有していれば、高温環境下におけるPOFケーブルの伝送損失の増加を防ぐことができる。
すなわち、コア材であるメタクリル酸メチル単位を含む重合体はガラス転移点が約110℃であり、その温度付近で分子配向が緩和されて熱収縮する。しかし、熱収縮低減化工程にて、POF素線の熱収縮性を低減化しておくことにより、POFケーブルが100〜105℃の高温環境下に晒された際に、POF素線と被覆層との熱収縮差が小さくなる。その結果、POFケーブルにおけるPOF素線の引き込み(ピストニング)が生じにくくなるため、光源あるいは受光素子とPOFケーブル端面との距離の変動を抑制でき、その変動に伴う光損失を防ぐことができる。よって、POFケーブル端面から出射される光量またはPOFケーブルに入射された光量の変動を小さくできる。
以上の製造方法により得られたPOFケーブルは、POF素線におけるクラッド層の最外層が特定のフッ化ビニリデン系共重合体である上に、特定の温度条件でPOF素線上に被覆層が設けられたものである。そのため、被覆層の配向が抑えられ、POF素線と被覆層との熱収縮差が小さくなっており、100〜105℃程度の高温環境下での長期耐熱性に優れる。具体的には、105℃の高温環境下に5000時間曝された後でも伝送損失を195dB/km以下に抑えることができる。また、被覆工程時においてPOF素線が熱により損傷を受けにくいため、初期の伝送損失を150dB/km以下にできる。
また、クラッド層の最外層を形成する材料が特定のフッ化ビニリデン系共重合体であることにより、低屈折率で透明性、耐熱性に優れたPOFケーブルとすることができる。さらに、内側のクラッド層あるいはコアに密着して保護層として機能しつつ、POF素線に加わる振動や外圧等の応力を緩和して耐屈曲性を高めたり、耐溶剤性・耐薬品性を高めたりすることができる。
また、POFケーブルの被覆層が、特定のEVAL共重合体を含む特定の被覆材からなるため、耐薬品性に優れる上に、耐熱性、耐屈曲性、加工性に優れる。また、酸素遮断性が高いため、高温環境下におけるPOF素線の酸化劣化を防ぎ、伝送損失の増加を抑制できる。しかも、被覆層を設けたことによる光伝送特性低下を防止できる。
これらのことから、本発明の製造方法により得られるPOFケーブルは、薬品が存在しかつ高温である環境下で長期間の耐久性が要求される自動車内LANケーブルなどの用途に好適である。
以下、実施例により本発明を説明する。なお、本発明の実施例における評価方法については、下記の方法により実施した。
(ガラス転移温度(Tg)、結晶融解熱(△H))
測定には示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、DSC−220)を使用した。サンプルを、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、その状態で5分間保持して溶融させた後、降温速度10℃/分で0℃まで降温させた。この操作を再度繰り返して行って、ガラス転移温度、結晶融解熱を求めた。
(屈折率)
溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状の試験片を形成し、アッベの屈折計を用い、25℃におけるナトリウムD線の屈折率(n 25)を測定した。
(伝送損失)
波長650nmの光を用い、励振NA=0.1の条件で、25−1mのカットバック法により測定した。測定は、POFケーブルの初期状態と、POFケーブルを温度105℃のオーブンに放置して1000時間、及び5000時間経過後について実施した。
(メルトフローインデックス)
メルトフローインデックス(MFI)は、日本工業規格JIS K7210に準じて測定した。具体的には、210℃、荷重5kgf(49N)の条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される量を測定した。
(熱収縮)
試長間距離を1000mmとしたPOF素線を105℃の乾燥機内に24時間つり下げた後、試長間距離を測定した。収縮量を試長で除し、長さ方向の収縮率を求めた。
(引抜強度)
被覆層の初期引抜強度(光ファイバ素線と被覆層の間の初期引抜強度)を、図1に示すように、光ファイバケーブル10を保持する治具12と、治具12の一端部に形成された突起14を把持するチャック8と、光ファイバケーブル10の剥離部分5を把持するチャック7とを備えた測定装置20を用いて測定した。治具12には、光ファイバケーブル10の被覆部分4が収容される保持室13と、光ファイバケーブル10の剥離部分5よりも大きく被覆部分4よりも狭い貫通孔15が形成されている。
測定にあたっては、一端側の被覆層を剥離した光ファイバケーブルを用意し、光ファイバケーブルの被覆部分4の長さが30mmになるように切断した。
次に、治具12に形成されている保持室13内に光ファイバケーブルの被覆部分4を収容し、光ファイバケーブルの剥離部分5を貫通孔15から抜き出した。次に、治具12の一端部に形成されている突起14をチャック8で把持し、光ファイバケーブルの剥離部分5をチャック7で把持した。
次に、光ファイバケーブル10の中心軸方向(図中矢印方向)に沿って、一定速度50mm/分でチャック8を移動させて治具12を引っ張り、光ファイバケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分を引き抜いた。このときの引抜応力と、光ファイバケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分の引抜方向へのずれ量との関係を示す曲線から、引き抜く際の応力のピーク値を読みとり引抜強度とした。
[実施例1]
コア材としてPMMA(屈折率1.492)を用い、表1に示すように、第1クラッド材として、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)/MMA/メタクリル酸(MAA)(51/31/17/1(質量%))共重合体(屈折率1.417)、第2クラッド材(最外層を形成する材料)として、VdF/TFE/HFP共重合体(48.0/42.7/9.3(質量%)、屈折率1.374、結晶融解熱16mJ/mg)を用いた。これらの重合体を溶融して、220℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて複合紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で長さ方向に2倍に延伸し、各クラッド層の厚み10μm、直径1mmのPOF素線を得た。このPOF素線をプラスチックボビンに巻き取った状態で、100℃に設定した恒温槽に24時間放置して、熱緩和処理を行い、熱収縮率(105℃、24時間)を0.9%とした。このPOF素線の初期性能は134dB/kmであった。
次に、EVAL共重合体として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン(Et)47モル%/ビニルアルコール(EVOH)53モル%、MFI;39g/10分、表1参照)を、上記のPOF素線に、210℃に設定したクロスヘッドダイを備えたクロスヘッドケーブル被覆装置により被覆した。これにより、厚みが250μmの被覆層を形成し、外径1.5mmのPOFケーブルを得た。
表2に示すように、このようにして得られたPOFケーブルにおける初期の伝送損失は136dB/km、引抜強度は36Nであった。さらに、このPOFケーブルを105℃の恒温槽中に1000時間放置した後の伝送損失は140dB/km、5000時間放置した後の伝送損失は194dB/kmであった。
Figure 2007047371
Figure 2007047371
[実施例2〜4、実施例6、比較例2]
表1に示すように、第2クラッド層や被覆層の材料を変更以外は、実施例1に記載した方法でPOF素線、及びPOFケーブルを製造した。得られたPOF素線、及びPOFケーブルを評価した結果を表2に示す。
[実施例5]
表1に示すように、熱緩和処理を90℃に設定した恒温槽に65時間放置して行った以外は、実施例4と同じ条件でPOF素線、及びPOFケーブルを製造した。なお、このPOF素線の熱収縮率(105℃、24時間)は2.2%であった。得られたPOF素線、及びPOFケーブルを評価した結果を表2に示す。
[比較例1]
被覆温度を210℃(T−T=27(℃))とした以外は、実施例3と同じ条件でPOF素線及びPOFケーブルを製造した。得られたPOF素線、及びPOFケーブルを評価した結果を表2に示す。なお、POFケーブルを105℃に設定した恒温槽に1000時間放置したところ、ケーブルが捲縮(カーリング)した。
[比較例3,4]
表1に示すように、被覆層に高融点(比較例3)あるいは高粘度(比較例4)のEVAL共重合体を用いて、被覆温度を230℃とした以外は、実施例1と同じ条件でPOF素線、及びPOFケーブルを製造した。得られたPOF素線、及びPOFケーブルを評価した結果を表2に示す。
本願請求項1の製造方法で製造された実施例1〜6のPOFケーブルは、初期の伝送特性が良好(140dB/km以下)であり、105℃、5000時間後の伝送損失(195dB/km以下)も良好であった。
被覆工程時のT−Tが30℃未満である比較例1のPOFケーブル、クラッド層の最外層が特定の共重合体ではない比較例2のPOFケーブル、被覆温度Tが220℃より高い比較例3〜4のPOFケーブルは、105℃の伝送損失の増加が大きかった。
引抜強度の測定方法を説明するための図である。
符号の説明
4 被覆部分
5 剥離部分
8,7 チャック
10 POFケーブル
12 治具
13 保持室
14 突起
15 貫通孔
20 測定装置


Claims (3)

  1. メタクリル酸メチル単位を含有する重合体からなるコア及び該コアの外周面上に形成された1層または2層以上のクラッド層を備えたプラスチック光ファイバ素線と、該プラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆した被覆層とを有するプラスチック光ファイバケーブルを製造するプラスチック光ファイバケーブルの製造方法であって、
    前記プラスチック光ファイバ素線におけるクラッド層の最外層を、フッ化ビニリデン単位10〜60質量%とテトラフルオロエチレン単位20〜70質量%とヘキサフルオロプロピレン単位5〜35質量%とからなる3元共重合体、又は、フッ化ビニリデン単位10〜30質量%とテトラフルオロエチレン単位40〜80質量%とヘキサフルオロプロピレン単位5〜40質量%とパーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル単位0.1〜15質量%とからなる4元共重合体のいずれかであって、且つ、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下であるフッ化ビニリデン系樹脂から形成し、
    被覆層を、エチレン単位の含有量が30〜39モル%、ビニルアルコール単位の含有量が61〜70モル%の範囲で含むエチレン−ビニルアルコール共重合体及び遮光剤を含む被覆材から形成し、
    かつ、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて、あらかじめ複合溶融紡糸で作製したプラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆材で被覆して被覆層を設ける被覆工程を有し、該被覆工程では、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点をT(℃)、被覆温度をT(℃)とした際に下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
    ≦195 (1)
    ≦220 (2)
    30≦T−T≦65 (3)
  2. 被覆工程では、プラスチック光ファイバ素線と被覆層との間の引抜強度が35N以上になるように、被覆層を設けることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
  3. 前記複合溶融紡糸により作製したプラスチック光ファイバ素線に95〜120℃で熱処理を施した後に、被覆工程で被覆層を設けることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。

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