JP2006342217A - リン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法並びにリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂及びリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
リン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法並びにリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂及びリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】工程1:9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドと、1,4−ベンゾキノン及び/又は1,4−ナフトキノンを、反応系内の総水分量が、反応に用いる9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド全量に対して0.3質量%以下になるように制御して反応させて反応組成物を得る工程;工程2:工程1で得られた反応組成物を精製することなく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と反応させる工程;を行ってリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂を製造し、樹脂組成物とする。
【選択図】 なし
Description
従来、積層板においては、LSI(Large Scale Integration)、IC(Integrated Circuit)などの部品をハンダ付けによって接続、固定している。しかしながら、最近では、環境適性を向上させるため、鉛を含んだ従来のハンダは使用することができなくなってきている。
そのため、従来のハンダよりも溶融温度が高い、「鉛フリーハンダ」を使う必要があり、積層板にも更なる耐熱性、高温信頼性の向上が要求されている。
また、携帯電話に代表されるように、小型高性能の電機電子製品を作るためには、積層板上の配線および配線間隔は細く、高密度化する必要があり、高温下での熱膨張による断線を防止する目的においても、耐熱性を上げ、線膨張率を下げる必要がある。
積層板の材料としては、従来、臭素化合物による難燃化されたエポキシ樹脂が主流であったが、最近はリン系難燃化樹脂を用いた積層板も使われるようになってきた。臭素系難燃化樹脂に比べて、リン系難燃化樹脂は耐熱性が高く、軽量化に寄与することが知られている。
特許文献1、2には、10−(2、5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(以下、「HCA−HQ」と略記する)と、エポキシ樹脂とを所定のモル比で反応させて得られる熱硬化性難燃性樹脂が開示されている。HCA−HQは、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(以下、「HCA」と略記することがある)と、1,4−ベンゾキノン(以下、「PBQ」と略記することがある)とを反応させることによって得られる化合物であり、特許文献1、2においては市販品である三光株式会社製 商品名「HCA−HQ」が使用されている。なお、この市販品は、特許文献4(特開昭60−126293号公報)に記載の方法で製造されたものである。
特許文献3には、20%質量以上のノボラック型エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂とHCA−HQとを所定の比率で反応させてなるリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂が開示されている。
一方、特許文献4に記載されている様に、特許文献4に記載の製造方法にてHCA−HQを製造すると、PBQに対するHCA−HQの粗収率は、実施例にも記載しているように74質量%程度である。市販品は、この粗反応組成物を更に再結晶法により精製して純品にするため、収率は更に低くなる。また、精製することは、その分、工程が増えるので、工程間のロスによる収率の低下を招来する。そのため、生産性が低く、製品コストが高い。更に精製することは、精製工程で発生する排液及び廃棄物の処理対策が必要になる等の問題も付随する。
なお、この方法において、リン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の耐熱性等を向上させるためには、多官能のノボラック型エポキシ樹脂などを使用する必要があり、汎用性が低くコストアップの要因になる。
そして、特許文献3に記載の発明においては、最低20質量%のノボラック型エポキシ樹脂を使用することを必須としている。そのため、ビスフェノール型エポキシ樹脂を使用した樹脂と比較して、汎用性に欠ける面があり、価格的にも差がある。また、ノボラック型エポキシ樹脂と他の汎用エポキシ樹脂を混合して使用する場合は、使用する原料がその分増えるため原料の調達・管理などの手間を要し、生産性の低下や、生産管理上も問題がある。
そして、これにより耐熱性等の積層板に要求される優れた特性を有するリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組及びこれを用いたリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物を提供することを課題とする。
第1の態様は、以下の工程1〜2を含むことを特徴とするリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法である。
工程1:9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(以下、「HCA」と略記する)と、1,4−ベンゾキノン(以下、「PBQ」と略記する)及び/又は1,4−ナフトキノン(以下、「NQ」と略記する)を、反応系内の総水分量が、反応に用いる9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド全量に対して0.3質量%以下になるように制御して反応させて反応組成物を得る工程。工程2:工程1で得られた反応組成物を精製することなく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と反応させる工程。
前記製造方法においては、工程1において、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド 1モルに対して、1,4−ベンゾキノン及び/又は1,4−ナフトキノンを0.6〜0.99倍モル反応させることが望ましい。
また、工程2において、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド 1モルに対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂を1.0〜8.0倍モルを反応させることが望ましい。
また、工程1の反応温度は50℃以上、150℃以下であると好ましい。
また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシ当量は400以下であると好ましい。
さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシ当量は300以下であると好ましい。
また、反応前の1,4−ベンゾキノン及び/又は1,4−ナフトキノンに対して、未反応の1,4−ベンゾキノン及び/又は1,4−ナフトキノンが2質量%未満になるまで工程1の反応を行うことが望ましい。
また、工程2において、工程1の反応組成物中の全てのフェノール性水酸基を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と反応させることが望ましい。
第3の態様は、本発明のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂と、硬化剤を含むことを特徴とするリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物である。
前記硬化剤は、ジシアンジアミド及び/又はフェノール樹脂系硬化剤であることが望ましい。
そして、これにより耐熱性等の積層板に要求される優れた特性を有するリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂及びこれを用いたリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
本発明のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法は、上記の様に、工程1〜2を含むことを特徴とする。
工程1においては、HCAと、PBQ及び/又はNQを反応させて、微量の未反応物や副生物を含む反応組成物を得る。
HCAとPBQとの反応は以下の様に進行する。NQについても同様である。
工程1においては、反応系内(反応液中)の総水分量が、反応に用いるHCA全量に対して0.3質量%以下(HCAを100質量%としたときに、水分量が0.3質量%以下)に制御して反応させて反応組成物を得ることが必要である。水分量は、好ましくは0.1質量%以下になるように制御することが望ましい。水分量が少なければ少ないほど好ましいので、下限値を規定する技術的意義はない。0.3質量%以下に制御して反応させることにより、未精製の反応組成物を用いても、工程2の反応性を向上させることができ、収率も向上する。さらに、副生物等の不純物の含量を低減することができる。その結果、リン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂及びリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物の特性を向上させることができる。
反応系内の水分量は、カールフィッシャー法等により、測定することができる。
まず、攪拌機、還流冷却器、温度計及び原料投入口を有する反応機に、不活性溶媒とHCAを仕込む。
不活性溶媒としては、例えばエチレングリコール低級アルキルエーテル、プロピレングリコール低級アルキルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定するものではないが、例えばHCAの質量に対して1〜5倍量とされる。
工程1の反応は発熱反応なので、PBQ及び/又はNQを添加する前の反応系の温度は、後述する様に、HCAとPBQ及び/又はNQとの反応温度を50〜100℃に制御することができる温度に設定することが望ましく、好ましくは常温〜110℃、特に50℃〜90℃に設定することが望ましい。
なお、反応温度を制御することができれば、共沸脱水後、冷却することなく、PBQ及び/又はNQを添加してもよい。
HCAとPBQ及び/又はNQとの反応は、反応系内で常にHCAが理論量過剰に存在する状態で行うことが望ましい。そのため、PBQ及び/又はNQは、HCA1モルに対して0.6〜0.99倍モル、より好ましくは0.8〜0.99倍モル用いることが望ましい。この範囲の比率で反応させることにより、副生物の生成を効果的に抑制し、副生物等の不純物の含有量を低減することができる。より具体的には0.6倍モル以上であると、架橋点が適度になり、積層板の耐熱性が向上する。0.99倍モル以下であると、未反応のPBQ及び/又はNQが残りにくいので、積層板の耐熱性、耐薬品性、高温信頼性を向上させることができる。
下限値以上とすることにより、反応を速やかに進行させることができる。上限値以下とすることにより、副生物の生成を効果的に抑制することができる。
反応時間は好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは1〜3時間である。
ついで、この様にして得られた反応組成物を、工程2に供する。
工程2においては、工程1で得られた反応組成物を精製することなく、引き続いてビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と反応させる。
エポキシ当量は「分子量/官能基数」[単位:(g)/(eq)]により求められる。
反応条件も特に限定するものではないが、例えば温度は100〜170℃、時間は2〜8時間程度とされる。本発明においては、比較的短時間で工程2の反応を終了させることができる。なお反応が終了したか否かは、後述する紫色の呈色反応によって確認することができる。
工程1で得られる反応組成物中のフェノール性水酸基の全てが該エポキシ樹脂と反応しているか否かは、反応液の一部を取り出し、これに塩化鉄(III)を添加し、呈色反応の状況を見ることにより確認することができる。フェノール性水酸基が残っている場合は、紫色の呈色反応が見られ、フェノール性水酸基が残っていない場合は呈色反応が見られない。好ましくは呈色反応が見られなくなった時点で反応を終了する。
本発明のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂は、本発明の製造方法により得られるものである。
本発明の製造方法で得られるリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂は、工程1の反応組成物を精製せずに工程2にてエポキシ樹脂と反応させて得られるものである。そのため、反応組成物に含まれる未反応のHCAとエポキシ樹脂との反応生成物を含む。この点において、前記特許文献1、2に記載のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂と区別される。そして、この様にHCAとエポキシ樹脂との反応生成物を含んでいても、このリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いて積層板を製造すると、耐熱性等の特性が良好なものが得られる。
本発明のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物は、本発明の製造方法で得られるリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂と、硬化剤を含むことを特徴とする。
使用する硬化剤としては、酸無水物、ポリアミン系化合物、フェノール系化合物、その他、慣用されている硬化剤のいずれも使用可能であり、特にプリプレグの保存性、硬化後の耐水、耐湿性の点から、ジシアンジアミド及び/又はフェノール樹脂系硬化剤が好ましい。
フェノール樹脂系硬化剤としては、例えばフェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製 製品名:スミライトレジンPR−HF−6)等が挙げられる。
また、リン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物には、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の硬化促進剤やその他の添加剤を配合することもでき、特に硬化促進剤を併用することが望ましい。
また、リン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物は、リン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂、硬化剤、必要に応じて添加する硬化促進剤を、溶剤に溶解して調整することが望ましい。溶剤としては、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド等が用いられる。また、溶剤を用いて調整するリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物の固形分濃度は例えば10〜90質量%程度とされる。
この様に副生物等の不純物の含有量が低減できるので、リン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた積層板においては、耐熱性が向上する。また、積層板としたときに、エポキシ樹脂の硬化反応の反応性も向上する。また、積層板の高温信頼性も向上する。
また、本発明にて得られるリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物は、リン含有難燃性樹脂なので、これを用いて製造した積層板は軽量である。
HCAは、以下の化学式で示す様に、反応系内に水分が存在すると、加水分解により、開環生成物を生じる。
一方、一般にHCAとPBQ及び/又NQとの反応生成物とエポキシ樹脂との反応は、アルカリ触媒を用いる。したがって、反応系内に酸性の強い副生物が存在すれば、反応の促進を妨げるだけでなく、多くの副生物を生成する要因になる。
そのため、工程1において、水分量を制御しない従来の製造方法を用いると、工程1の反応中に上記酸性度の高い開環生成物を生じ、他の副生物を生成する。そして、この様に開環生成物や他の副生物含む反応組成物を工程2に供すると、反応組成物とエポキシ樹脂との反応が阻害される。そして、開環生成物や他の副生物含むリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂が得られると考えられる。
そして、この様に多くの副生物を含有するリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた積層板においては、副生物に起因して耐熱性、高温信頼性等の特性が劣化するため、「鉛フリーハンダ」を使用する際に要求される耐熱性等に対応できないのではないかと考えられる。
[実施例1]
以下の様にして工程1を行った。
ガラス製反応容器に、HCA216gとトルエン700gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に昇温し90度で溶解させた。このときの反応系全体を基準にしたときの水分量をカールフィッシャー法により測定したところ0.08%であった。これは、HCA量に対して0.34%の水分量に当たる。
さらに反応容器内の温度を上げ、トルエンの沸点で水分を共沸脱水法により除去した。この時の水分量はHCA量に対して0.001%であった。
温度を60度まで下げ、PBQ107gを仕込み、90度で3時間反応させた。
液体クロマトグラフィー分析で成分を分析したところ、仕込みのPBQに対して未反応のPBQは0.1%であった。また、反応系内の水分量を測定したところ、仕込みのHCA量に対して0.01%であり、0.3%以下に保たれていた。
ついで、以下の様にして工程2を行った。
前記反応容器にビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、製品名:エピコート828、エポキシ当量187)930gと2−エチルヘキシルアミン0.1gを追加し、150℃まで温度を上げ5時間反応させ、PBQ由来のOH基全てを該エポキシ樹脂と反応させた後、トルエンを減圧で留去した。
出来上がった難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物のエポキシ当量は330g/eqであった。
そして、得られた組成物のエポキシ当量の理論値325g/eqと、実際のエポキシ当量が極めて近い値であるため、未反応の水酸基が少なく、副生物等の不純物が少ないことが確認できた。
また、以下の条件で呈色反応を行ったところ、ほとんど着色は見られず、やはり未反応の水酸基が少なく、副生物等の不純物が少ないことが確認できた。
呈色反応は、得られた組成物約1gをメチルエチルケトン20gに溶解し、無水塩化鉄(III)・ピリジン試液200mgを添加して確認した。フェノール性水酸基が残っている場合には、フェノールの酸化による紫色の呈色反応が確認される。
PBQ107gをNQ156gに置き換えた以外は、実施例1と同様にして反応物を得た。
出来上がった難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物のエポキシ当量は339g/eqであった。
そして、得られた組成物のエポキシ当量の理論値337g/eqと、実際のエポキシ当量が極めて近い値であるため、副生物等の不純物が少ないことが確認できた。
また、上記呈色反応を行ったところ、ほとんど着色は見られず、やはり副生物等の不純物が少ないことが確認できた。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂をビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 エピコート807、エポキシ当量 164))930gに置き換えた以外は、実施例1と同様にして反応物を得た。
出来上がった難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物のエポキシ当量は281g/eqであった。
そして、得られた組成物のエポキシ当量の理論値277g/eqと、実際のエポキシ当量が極めて近い値であるため、副生物等の不純物が少ないことが確認できた。
また、上記呈色反応を行ったところ、ほとんど着色は見られず、やはり副生物等の不純物が少ないことが確認できた。
PBQ107gをNQ156gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして反応物を得た。
出来上がった難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物のエポキシ当量は294g/eqであった。
そして、得られた組成物のエポキシ当量の理論値287g/eqと、実際のエポキシ当量が極めて近い値であるため、副生物等の不純物が少ないことが確認できた。
また、上記呈色反応を行ったところ、ほとんど着色は見られず、やはり副生物等の不純物が少ないことが確認できた。
[実施例5]
実施例1のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂100gと、硬化剤:ジシアンジアミド(DICY)3.3g(エポキシ基1当量に対して1当量)と、硬化促進剤:2−エチル−4−メチルイミダゾール0.01gを、メチルエチルケトン70gに溶解混合した溶液(リン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物)を製造した。
そして、この溶液を0.18mm厚のガラスクロスに含浸させ、150℃で3分乾燥させプリプレグとした。
得られたプリプレグをプレス圧3.5MN/m2、温度170℃で2時間硬化させ、積層板とした。
実施例2のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂100gと、DICY2.9g(エポキシ基1当量に対して1当量)を使った以外は、実施例5と同様にして積層板を得た。
実施例3のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂100gと、DICY3.6g(エポキシ基1当量に対して1当量)を使った以外は、実施例5と同様にして積層板を得た。
実施例4のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂100gと、DICY3.2g(エポキシ基1当量に対して1当量)を使った以外は、実施例5と同様にして積層板を得た。
実施例1のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂100gと、硬化剤:フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製 製品名:スミライトレジンPR−HF−6)32g(エポキシ基1当量に対して1当量)と、硬化促進剤:2−エチル−4−メチルイミダゾール0.01gを、メチルエチルケトン70gに溶解混合した溶液を、0.18mm厚のガラスクロスに含浸させ、150℃で3分乾燥させプリプレグとした。
得られたプリプレグをプレス圧3.5MN/m2、温度170℃で2時間硬化させ、積層板とした。
実施例2のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂100gと、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製 製品名:スミライトレジンPR−HF−6)29g(エポキシ基1当量に対して1当量)を使った以外は、実施例9と同様にして積層板を得た。
実施例3のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂100gと、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製 製品名:スミライトレジンPR−HF−6)34g(エポキシ基1当量に対して1当量)を使った以外は、実施例9と同様にして積層板を得た。
実施例4のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂100gと、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製 製品名:スミライトレジンPR−HF−6)31g(エポキシ基1当量に対して1当量)を使った以外は、実施例9と同様にして積層板を得た。
臭素化エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 製品名:エピコート5046B80)100gと、DICY2.2gと硬化促進剤2−エチル−4−メチルイミダゾール0.01g(エポキシ基1当量に対して1当量)をメチルエチルケトン70gに溶解混合した溶液を、0.18mm厚のガラスクロスに含浸させ、150℃で3分乾燥させプリプレグとした。
得られたプリプレグをプレス圧3.5MN/m2温度170℃で2時間硬化させ、積層板とした。
臭素化エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 エピコート5046B80)100gと、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製 スミライトレジンPR−HF−6)22g(エポキシ基1当量に対して1当量)と硬化促進剤2−エチル−4−メチルイミダゾール0.01gをメチルエチルケトン70gに溶解混合した溶液を、0.18mm厚のガラスクロスに含浸させ、150℃で3分乾燥させプリプレグとした。
得られたプリプレグをプレス圧3.5MN/m2温度170℃で2時間硬化させ、積層板とした。
実施例1の反応において、工程1を、共沸脱水せずに行った。反応開始前の反応系全体を基準にしたときの水分量は、0.09%であった。これは、HCA量に対して0.38%の水分量に当たる。
液体クロマトグラフィー分析で成分を分析したところ、未反応のPBQは1.0%であった。また、反応終了後の反応系内の水分量を測定したところ、仕込みのHCA量に対して0.38%であった。
ついで、工程2を行った。すなわち、HCAとPBQの反応生成物にビスフェノールA型エポキシ樹脂を反応させたが、150度で8時間反応しても、反応は完結しなかった。
出来上がったエポキシ樹脂組成物のエポキシ当量は310g/eqであった。
そして、得られた組成物のエポキシ当量の理論値325g/eqと、実際のエポキシ当量が離れた値であるため、副生物等の不純物が多いことが確認できた。
また、上記呈色反応を行ったところ、紫色に着色し、やはり副生物等の不純物が多いことが確認できた。
そして、この溶液を0.18mm厚のガラスクロスに含浸させ、150度で3分乾燥させプリプレグとした。
得られたプリプレグをプレス圧3.5MN/m2温度170度で2時間硬化させ、積層板とした。
結果を表1〜3にまとめて示した。なお、比較の便のため、表1、表2には、それぞれ、硬化剤の種類が同じで樹脂の種類が異なる実施例5〜8及び比較例1の結果と、実施例9〜12及び比較例2の結果を示した。また、反応系内の水分量が異なる工程1を経て製造したリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物を用いた実施例5、比較例3の結果を表3に示した。すなわち、実施例5は比較のために表1、表3のいずれにも記載した。
Claims (11)
- 以下の工程1〜2を含むことを特徴とするリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法。
工程1:9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドと、1,4−ベンゾキノン及び/又は1,4−ナフトキノンを、反応系内の総水分量が、反応に用いる9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド全量に対して0.3質量%以下になるように制御して反応させて反応組成物を得る工程。工程2:工程1で得られた反応組成物を精製することなく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と反応させる工程。 - 工程1において、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド 1モルに対して、1,4−ベンゾキノン及び/又は1,4−ナフトキノンを0.6〜0.99倍モル反応させる請求項1に記載のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法。
- 工程2において、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド 1モルに対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂を1.0〜8.0倍モルを反応させる請求項1または2に記載のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法。
- 工程1の反応温度は50℃以上、150℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法。
- ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシ当量は400以下である請求項1〜4のいずれかに記載のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法。
- ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシ当量は300以下である請求項5に記載のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法。
- 反応前の1,4−ベンゾキノン及び/又は1,4−ナフトキノンに対して、未反応の1,4−ベンゾキノン及び/又は1,4−ナフトキノンが2質量%未満になるまで工程1の反応を行う請求項1〜6のいずれかに記載のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法。
- 工程2において、工程1の反応組成物中の全てのフェノール性水酸基を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と反応させる請求項1〜7のいずれかに記載のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法で得られることを特徴とするリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂。
- 請求項9に記載のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂と、硬化剤を含むことを特徴とするリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物。
- 硬化剤は、ジシアンジアミド及び/又はフェノール樹脂系硬化剤である請求項10記載のリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂組成物。
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