JP4661033B2 - エポキシ樹脂組成物、半導体封止材料及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた難燃性を発揮し、電子部品材料用途に好適に用いることができるエポキシ樹脂組成物、これを用いた半導体封止材料及び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エポキシ樹脂組成物は得られる硬化物の密着性、耐食性、電気特性等に優れる事から、塗料、接着性、電気電子など種々の産業分野で広く使用されている。これらの中でも、半導体やプリント配線基板などのエレクトロニクス材料分野においては、封止材や基板材料等として用いられており、これらの分野における技術革新に伴って、高性能化への要求が高まっている。
【0003】
例えば、半導体用パッケージの小型・薄型化は急速に進展し、高密度実装性に優れるBGAが新たに開発され、ICやLSIチップのパッケージの主流となってきている。このパッケージは成形後の反りが大きな問題となっており、その解決策として得られる硬化物のガラス転移温度を高める手法が採られている。また、BGAはパッケージの片面にチップを搭載し、チップとパッケージ基板上の導体パターンを金の細線ワイヤーで結線後、トランスファー成形によりエポキシ樹脂組成物などを用いて封止するため、成形時にワイヤ−の変形が起こりにくい低粘度の樹脂組成物が求められている。
【0004】
また、エポキシ樹脂組成物を封止材料とする場合には、難燃性を付与するために臭素等のハロゲン系難燃剤がアンチモン化合物とともに配合されている。しかし、近年の環境・安全への取り組みのなかで、ダイオキシン発生が懸念されるハロゲン系難燃剤を用いず、且つ発ガン性が疑われているアンチモン化合物を用いない環境・安全対応型の難燃化方法の開発が強く要求されている。また半導体封止材料の非ハロゲン化は半導体装置の高温放置信頼性の改良にも大きく貢献する技術と期待されている。
【0005】
非ハロゲン系エポキシ樹脂組成物で難燃性を得る方法としては、例えば、使用するエポキシ樹脂中の芳香族性を高めることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、前記特許文献1記載のエポキシ樹脂組成物を用いて得られる硬化物では、難燃性指標であるUL−94のV−0クラスに到達するものの、該組成物に使用する必須のエポキシ樹脂のエポキシ当量が270g/eq以上と高いことから硬化性に劣り、また、例えば他の低エポキシ当量のエポキシ樹脂と混合使用した際には均一性にかけることから成形性に劣り、さらに得られる硬化物のガラス転移温度が低く、160℃以上の高いガラス転移温度が必要とされる前述のBGAには適用することができない。
【0006】
また、高ガラス転移温度を有する硬化物が得られるエポキシ樹脂としては、例えば、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカンと1−(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)−1−(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカンと1,1−ビス(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカンとの混合物をエポキシ樹脂として用いる該樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、前記特許文献2記載のエポキシ樹脂組成物を用いて得られる硬化物では、抜群に高いガラス転移温度を有するものの、UL−94のV−0クラスの難燃性を得ることができない。
【0007】
すなわち、非ハロゲン系のエポキシ樹脂組成物を用いて充分な難燃性を発揮できる硬化物が得られ、且つ、樹脂組成物の低粘度、速硬化性(低エポキシ当量)、硬化物の高ガラス転移温度の特性全てをバランス良く兼備する該組成物はいまだ提示されていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−140277号公報(第2−4頁)
【特許文献2】
特開平4−217675号公報(第3−7頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記のような実情に鑑みなされたもので、ハロゲン系難燃剤を使用しなくても硬化物の難燃性に優れ、且つ、樹脂組成物の低粘度、速硬化性(低エポキシ当量)、硬化物の高ガラス転移温度の特性全てをバランス良く兼備するエポキシ樹脂組成物、半導体封止材料及びこれを用いた半導体装置を提供する事にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカンと1−(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)−1−(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカンと1,1−ビス(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカンとの混合物中の1,1−ビス(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカンの含有量を特定したナフタレン型エポキシ樹脂を硬化剤とともに用いることにより、樹脂組成物の速硬化性に優れ、低粘度であり、かつ得られる硬化物の高難燃性、高ガラス転移温度を特異的に兼備することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a1)と1−(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)−1−(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a2)と1,1−ビス(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a3)とを含むエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を必須とするエポキシ樹脂組成物であり、エポキシ樹脂(A)が、1,1−ビス(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x1)と1−(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)−1−(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x2)と1,1−ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x3)との混合物(X)とエピハロヒドリンとを反応させて得られるものであり、かつ、前記(a1)と前記(a2)と前記(a3)との合計100重量部中に(a3)を40〜95重量部含有し、かつ、該エポキシ樹脂(A)100重量部中における前記(a1)と前記(a2)と前記(a3)の合計が60重量以上であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、これを用いた半導体封止材料、及びこれで封止された半導体装置を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a1)と1−(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)−1−(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a2)と1,1−ビス(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a3)とを含み、前記(a1)と前記(a2)と前記(a3)との合計100重量部中に(a3)を40〜95重量部含有することを必要とする。
【0013】
前記(a1)と前記(a2)と前記(a3)との合計100重量部中の前記(a3)の含有量が40重量部未満の場合には、得られる硬化物の難燃性において十分に満足できるレベルではなく、95重量部を超えると樹脂組成物の硬化性に劣り、得られる硬化物のガラス転移温度が低下する為、好ましくない。更に、得られる樹脂組成物の硬化性に優れ、硬化物の耐熱性に優れる点から、(a3)の該含有量が40〜85重量部であることが好ましく、特に45〜70重量部であることが好ましい。
【0014】
また、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量としては、得られる樹脂組成物の速硬化性に優れる点から、185〜250g/eqであることが好ましく、特に190〜230g/eqであることが好ましい。このエポキシ当量は、従来電気電子分野で広く使用されてきたオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂と同等であることから、同一組成の樹脂組成物を調製した際には、その硬化速度としてもほぼ同一であり、生産性を損なうものではない。また、溶融粘度としては、150℃におけるICIコーン/プレート粘度計法によって得られる値として、2.0dPa・s以下であることが好ましく、1.0dPa・s以下であることが後述する無機充填材(D)の含有量を高められる点から特に好ましい。
【0015】
前記1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a1)としては、下記一般式(1)
【化1】
で表されるものを挙げることができ、前記1−(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)−1−(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a2)としては、下記一般式(2)
【化2】
で表される物を挙げることができ、前記1,1−ビス(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a3)としては、下記一般式(3)
【化3】
で表される物を挙げることができる。なお、前記一般式(1)〜(3)中のRとしては、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良いフェニル基を表すものであり、前記一般式(1)〜(3)のRが同一でも、異なっていても良い。
【0016】
前記一般式(1)〜(3)で表される具体的な化合物の例としては、下記構造式(1−1)〜(1−11)、(2−1)〜(2−11)、(3−1)〜(3−11)で表される物を挙げることができる。
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
これらの中でも得られるエポキシ樹脂の溶融粘度(ICIコーン/プレート粘度計法)が低く無機充填材の充填率を上げることができ、硬化物の難燃性、耐熱性、耐湿性に優れ、例えば半導体封止材料として好適に用いることができる点から、前記構造式(1−1)、(2−1)、(3−1)で表される化合物の混合物であることが好ましい。
【0020】
前記特許文献1には、樹脂組成物の難燃性を高める為には、用いる樹脂の芳香族性を高めること、即ち、ビフェニル構造やナフタレン構造を分子中に有することが有用であると記載されており、該公報記載のエポキシ樹脂としては、全炭素数に対する芳香環に含まれる炭素数の割合(芳香環に含まれる炭素数/全炭素数)が0.75以上のものを必須としている。しかしながら、本発明で用いるエポキシ樹脂(A)も前述のようにナフタレン構造を有するものであるが、前記一般式(1)で表されるものの中で最も芳香族性が高い前記構造式(1−1)で表される化合物の全炭素数に対する芳香環に含まれる炭素数の割合(芳香環に含まれる炭素数/全炭素数)は0.61、同様に前記一般式(2)で表される物の中で最も芳香族性が高い前記構造式(2−1)では0.67、前記一般式(3)で表される物の中で最も芳香族性が高い前記構造式(3−1)では0.74であり、本発明で用いるエポキシ樹脂は単純に芳香族性を高めることによってのみ難燃性を付与したものではない。更に、本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は後述する好適な硬化剤(B)を用いることによって、得られる硬化物のガラス転移温度を容易に高めることができる点においても、前記公開公報記載のエポキシ樹脂組成物とは異なるものである。
【0021】
前記エポキシ樹脂(A)の製造方法としては特に限定されるものではなく、前記(a1)、(a2)、(a3)を単独で合成してから混合しても良いが、効率よくエポキシ樹脂(A)を製造する方法としては、1,1−ビス(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x1)と1−(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)−1−(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x2)と1,1−ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x3)との混合物(X)とエピハロヒドリンとを反応させる方法が好ましい。
【0022】
この方法でエポキシ樹脂(A)を合成すると、前記(a1)、(a2)、(a3)以外に、オリゴマータイプ、即ち1分子中にナフタレン環を4個以上有する化合物が副生する。本発明で用いるエポキシ樹脂(A)としては、前述の手法によってエポキシ樹脂を得る手法を用いた場合には、得られるエポキシ樹脂100重量部中に前記(a1)と(a2)と(a3)との合計として60重量部以上含まれているものを用いることが、得られるエポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低く、後述する無機充填材含有量を高めることができ、その硬化物の耐熱性に優れる点から好ましく、特に75〜95重量部含まれている物を用いることが好ましい。
【0023】
また、前記混合物(X)100重量部中に含まれる1,1−ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x3)が40重量部以上であると、前記エポキシ樹脂(A)を効率よく得ることができる点で好ましい。
【0024】
前記1,1−ビス(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x1)としては例えば、下記一般式(4)
【化7】
で表されるものを挙げることができ、前記1−(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)−1−(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x2)としては下記一般式(5)
【化8】
で表されるものを挙げることができ、前記1,1−ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x3)としては、例えば下記一般式(6)
【化9】
で表されるものを挙げることができる。なお、前記一般式(4)〜(6)中のRは水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良いフェニル基を表すものであり、混合物(X)に含まれる前記一般式(4)〜(6)中のRとしては、同一でも異なっていても良い。
【0025】
前記一般式(4)〜(6)の具体的な化合物としては、下記構造式(4−1)〜(4−11)、(5−1)〜(5−11)、(6−1)〜(6−11)で表される物を挙げることができる。
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】
【0028】
【化12】
【0029】
これらの中でも、得られるエポキシ樹脂の溶融粘度が低く、硬化物とした際の難燃性に優れる点から、前記構造式(4−1)、(5−1)、(6−1)からなる混合物であることが好ましい。
【0030】
前記混合物(X)の製造方法としては、特に制限されるものではないが、前述の組成比率を有する混合物(X)を効率よく得ることができる点から、2,7−ジヒドロキシナフタレン(y1)と2−ヒドロキシナフタレン(y2)とのモル比(y1)/(y2)が20/80〜35/65である混合物をアルデヒド類と反応させて得られるものであることが好ましい。
【0031】
ここで用いることができるアルデヒド類としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド等が挙げられ、これらの中でも、得られるエポキシ樹脂の硬化性に優れ、かつ低溶融粘度である点から、ホルムアルデヒドを用いることが好ましい。
【0032】
前記混合物(X)の製造方法としては、例えば2,7−ジヒドロキシナフタレン及び2−ヒドロキシナフタレンの合計1モルに対し、前記アルデヒド類0.6モル以下で、必要に応じて触媒の存在下、反応させることで得る方法を挙げることができる。
【0033】
前記触媒としては、例えば、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム等のアルカリ(土類)金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩が挙げられ、酸性触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸、臭化水素酸、過塩素酸等の鉱酸類、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸などのカルボン酸類等が挙げられる。これらの触媒の使用量は、通常2,7−ジヒドロキシナフタレン及び2−ヒドロキシナフタレンの合計1モルに対して0.01〜0.1モルであるが、これに限定されるものではない。
【0034】
また反応を円滑に行う等の目的において、必要に応じて、水や有機溶媒を用いることができる。有機溶媒の種類としては、これらの原料を均一に溶解できれば特に限定されるものではないが、アルコール系、ケトン系、芳香族炭化水素系又はこれらの混合溶剤が挙げられる。アルコール系としては、用いる反応原料、得られる生成物の溶解度、反応条件、反応の経済性等を考慮して、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等が挙げられ、ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、芳香族炭化水素溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、クメン等を挙げることができる。前記溶剤としては、通常、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシナフタレンとアルデヒド類の合計100重量部に対して、20〜2000重量部の範囲で用いられるが、これに限定されるものではない。
【0035】
この反応としては、通常20〜100℃、好ましくは60〜80℃の温度にて、攪拌しながら0.5〜3時間程度行う方法が挙げられる。反応終了後、目的とする混合物(X)が結晶化して析出した場合には、その結晶物を濾別して、次いで適当な有機溶剤を用いて再結晶精製によって、混合物(X)が溶解している場合には、水やヘキサン等の貧溶媒を用いて再沈殿精製、または溶媒を蒸留で除去した後に、再結晶精製等の精製処理によって、純度の高い混合物(X)を得ることができる。
【0036】
次に混合物(X)とエピハロヒドリンを反応させて、エポキシ樹脂(A)を得る方法について記載する。
【0037】
前記混合物(X)とエピハロヒドリンとを反応させる手法としては、特に制限されるものではなく、種々の方法でエポキシ化することができるが、例えば、混合物(X)とエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、β-メチルエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンとの溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、または添加しながら20〜120℃で1〜10時間反応させる手法を挙げることができる。
【0038】
前記エピハロヒドリンの使用量としては、混合物(X)中の水酸基1当量に対して、通常0.3〜20当量、好ましくは1〜10当量である。
【0039】
前記アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
【0040】
また、混合物(X)とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し、50〜150℃で1〜5時間反応させて得られる該混合物(X)のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。
【0041】
また、これらの反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを用いて反応を行うことが好ましい。
【0042】
前記アルコール類、ケトン類、エーテル類を溶媒として使用する場合のその使用量としては、エピハロヒドリンの量に対し通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜60重量%である。
【0043】
これらの反応で得られた反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下、110〜250℃、圧力10mmHg以下でエピハロヒドリンや溶媒などを除去することによって、エポキシ樹脂(A)を得ることができる。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、エピハロヒドリンを回収した後に得られるエポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて更に反応させて閉環を確実なものにすることもできる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は用いるエポキシ樹脂中に残存する加水分解性塩素1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1.2〜5.0モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜3時間である。反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量としては、用いるエポキシ樹脂に対して0.1〜3.0重量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより高純度のエポキシ樹脂(A)を得ることができる。
【0044】
前記エポキシ樹脂(A)としては、単独で用いることもできるが、本発明の特性を損なわない範囲においてその他のエポキシ樹脂と併用して使用することもできる。この時、前記エポキシ樹脂(A)が全エポキシ樹脂100重量部中、30重量部以上含有されていることが好ましく、特に50重量部以上含有されていることが好ましい。また、エポキシ樹脂(A)とその他のエポキシ樹脂の混合物の溶融粘度としては、後述する無機充填材(D)の配合量を高められる点から、150℃でのICIコーン/プレート粘度計法による値が2.0dPa・s以下であることが好ましい。
【0045】
前記その他のエポキシ樹脂としては、特に制限されるものではなく、種々のエポキシ樹脂を用いることができるが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。またこれらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。これらのエポキシ樹脂の中でも、特に低粘度である点では、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性に優れる点では、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
【0046】
本発明の硬化剤(B)としては、特に制限されるものではなく、例えばアミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物などの種々の硬化剤を用いることができる。例えば、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF3 −アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられ、アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(通称、ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミンやベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物、及びこれらの変性物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0047】
これらの中でも、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂が難燃性に優れることから好ましく、特に芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂等の水酸基を有さない芳香環を含む連結基によって水酸基を有する芳香環が連結された構造を含有する多価芳香族化合物であることが特に難燃性に優れる点から好ましい。
【0048】
本発明のエポキシ樹脂組成物における硬化剤(B)の配合量としては、特に制限されるものではないが、得られる硬化物の機械的物性等が良好である点から、エポキシ樹脂(A)及び必要に応じて併用されるその他のエポキシ樹脂とのエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基が0.7〜1.5当量になる量が好ましい。
【0049】
また、必要に応じて本発明のエポキシ樹脂組成物に硬化促進剤を適宜併用することもできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルフォスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン(DBU)が好ましい。
【0050】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、用いるエポキシ樹脂(A)自身が難燃性を有するものである事から、硬化物の難燃性を付与させるために従来用いられている難燃剤を配合しなくても、硬化物の難燃性が良好であるが、より高度な難燃性を発揮させるために、封止工程での成形性や半導体装置の信頼性を低下させない範囲で、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤(C)を配合することにより、非ハロゲン系難燃性樹脂組成物とすることも可能である。
【0051】
ここでいう実質的にハロゲン原子を含有しない難燃性樹脂組成物とは、難燃性付与の目的でハロゲン系の化合物を配合しなくても充分な難燃性を示す樹脂組成物を意味するものであり、例えばエポキシ樹脂に含まれるエピハロヒドリン由来の5000ppm以下程度の微量の不純物によるハロゲン原子は含まれていても良い。
【0052】
前記非ハロゲン系難燃剤(C)としては、塩素や臭素などのハロゲン原子を実質的に含有しない化合物であって、難燃剤、或いは難燃助剤としての機能を有するものであれば何等制限されるものではなく、例えば、リン系難燃剤(c1)、窒素系難燃剤(c2)、シリコーン系難燃剤(c3)、無機系難燃剤(c4)、有機金属塩系難燃剤(c5)等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
【0053】
前記リン系難燃剤(c1)としては、燐原子を含有する化合物であれば、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていてもよい赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
【0054】
前記赤リンの表面処理方法としては、例えば、▲1▼水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、▲2▼水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、▲3▼水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等があり、▲1▼〜▲3▼の何れの方法で処理されたものも使用できる。
【0055】
前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等が挙げられる。
【0056】
前記リン酸エステル化合物としての具体例としては、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ2,6−キシレノールホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシニルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0057】
前記ホスホン酸化合物の具体例としては、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、特開2000-226499号公報に記載のホスホン酸金属塩等が挙げられる。
【0058】
前記ホスフィン酸化合物の具体例としては、ジフェニルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、特開2001―55484号公報に記載の化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサー10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)―10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10―(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられる。
【0059】
前記ホスフィンオキシド化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィンオキシド、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシド、ジフェニルホスフィニルハイドロキノン、特開2000−186186号公報、特開2002−080484号公報、特開2002−097248号公報等に記載の化合物等が挙げられる。
【0060】
前記ホスホラン化合物の具体例としては、特開2000−281871号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0061】
有機系窒素含有リン化合物としては、特開2002−60720号公報、特開2001−354686号公報、特開2001−261792号、公報特開2001−335703号公報、特開2000−103939号公報等に記載のホスファゼン化合物類等が挙げられる。
【0062】
それらの配合量としては、リン系難燃剤(c1)の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、非ハロゲン系難燃剤(C)及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100重量部中、赤リンを非ハロゲン系難燃剤(C)として使用する場合は0.1〜2.0重量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン化合物を使用する場合は同様に0.1〜10.0重量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜6.0重量部の範囲で配合することが好ましい。
【0063】
また前記リン系難燃剤(c1)を使用する方法としても特に制限されるものではなく、例えば、特開2002−080566号公報、特開2002−053734号公報、特開2000−248156号公報、特開平9−235449号公報等に記載のハイドロタルサイトの併用、特開2001−329147号公報等に記載の水酸化マグネシウムの併用、特開2002−23989号公報、特開平2001−323134号公報等に記載のホウ化合物の併用、特開平2002−069271号公報等に記載の酸化ジルコニウムの併用、特開2001−123047号公報等に記載の黒色染料の併用、特開2000−281873号公報等に記載の炭酸カルシウムの併用、特開2000−281873号公報等に記載のゼオライトの併用、特開2000−248155号公報等に記載のモリブデン酸亜鉛の併用、特開2000−212392号公報等に記載の活性炭の併用、特開2002−348440号公報、特開2002−265758号公報、特開2002−180053号公報、特開2001−329147号公報、特開2001−226564号公報、特開平11−269345号公報等に記載の表面処理方法等、従来の方法が適用できる。
【0064】
前記窒素系難燃剤(c2)としては、窒素原子を含有する化合物であれば特に制限されるものではなく、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
【0065】
前記トリアジン化合物の具体例としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等、及びその誘導体が挙げられ、前記誘導体としては、例えば、▲1▼硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、▲2▼フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール類と、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ホルムグアナミン等のメラミン類およびホルムアルデヒドとの共縮合物、▲3▼前記▲2▼の共縮合物とフェノールホルムアルデヒド縮合物等のフェノール樹脂類との混合物、▲4▼前記▲2▼、▲3▼を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
【0066】
前記シアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
【0067】
前記イソシアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、トリス(β―シアノエチル)イソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸、モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸等を挙げることができる。
【0068】
また前記窒素原子を含有する化合物に、―OH、−NH2、−NCO、−COOH、−CHO、−SH、メチロール、アクリレート、メタクリレート、シリル、グリシジル基又はエポキシ基等の官能基を有していてもよい。
【0069】
前記窒素系難燃剤(c2)の配合量としては、窒素系難燃剤(c2)の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、非ハロゲン系難燃剤(C)及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100重量部中、0.05〜10重量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1〜5重量部の範囲で配合することが好ましい。
【0070】
また前記窒素系難燃剤(c2)を使用する方法としても特に制限されるものではなく、例えば、特開2001−234036号公報等に記載の金属水酸化物の併用、特開2002−003577号公報、特開2001−098144号公報等に記載のモリブデン化合物の併用等、従来の方法が適用できる。
【0071】
前記シリコーン系難燃剤(c3)としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0072】
前記シリコーンオイルの具体例としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等を挙げることができる。
【0073】
前記シリコーンゴムの具体例としては、例えば、メチルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム等を挙げることができる。
【0074】
前記シリコーン樹脂の具体例としては、例えば、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、フェニルシリコーン等を挙げることができる。
【0075】
また前記ケイ素原子を含有する有機化合物としては、―OH、−NH2、−NCO、−COOH、−CHO、−SH、メチロール、アクリレート、メタクリレート、シリル、グリシジル基又はエポキシ基等の官能基を有していてもよい。
【0076】
前記シリコーン系難燃剤(c3)の配合量としては、シリコーン系難燃剤(c3)の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、非ハロゲン系難燃剤(C)及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100重量部中、0.05〜20重量部の範囲で配合することが好ましい。
【0077】
また前記シリコーン系難燃剤(c3)を使用する方法としても特に制限されるものではなく、例えば、特開2001−011288号公報等に記載のモリブデン化合物の併用、特開平10−182941号公報等に記載のアルミナの併用等、従来の方法が適用できる。
【0078】
前記無機系難燃剤(c4)としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
【0079】
前記金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム、特開2002−212391号公報、特開2001−335681号公報、特開2001−323050号公報等に記載の複合金属水酸化物等を挙げることができる。
【0080】
前記金属酸化物の具体例としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
【0081】
前記金属炭酸塩化合物の具体例としては、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
【0082】
前記金属粉の具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
【0083】
前記ホウ素化合物の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
【0084】
前記低融点ガラスの具体例としては、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO2-MgO-H2O、PbO-B2O3系、ZnO-P2O5-MgO系、P2O5-B2O3-PbO-MgO系、P-Sn-O-F系、PbO-V2O5-TeO2系、Al2O3-H2O系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
【0085】
前記無機系難燃剤(c4)の配合量としては、無機系難燃剤(c4)の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、非ハロゲン系難燃剤(C)及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100重量部中、0.05〜20重量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜15重量部の範囲で配合することが好ましい。
【0086】
また前記無機難燃剤(c4)を使用する方法としても特に制限されるものではなく、例えば、特開2001−226564号公報等に記載の比表面積を制御する方法、特開2000−195995号公報、特開2000−191886号公報、特開2000−109647号公報、特開2000−053876号公報等に記載の形状や粒径、粒度分布を制御する方法、特開2001−323050号公報、特開2000−095956号公報、特開平10−279813号公報、特開平10−251486号公報等に記載の表面処理を行う方法、特開2002−030200号公報、特開2001−279063号公報等に記載の硝酸金属塩の併用、特開2001−049084号公報等に記載のホウ酸亜鉛の併用、特開2000−195994号公報等に記載の無機粉末の併用、特開2000−156437号公報等に記載のブタジェンゴムの併用、特開2000−053875号公報等に記載の高酸価ポリエチレンワックス及び長鎖アルキルリン酸エステル系化合物の併用等、従来の方法が適用できる。
【0087】
前記有機金属塩系難燃剤(c5)としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
【0088】
前記アセチルアセトナート金属錯体の具体例としては、例えば、特開2002-265760号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0089】
前記有機金属カルボニル化合物の具体例としては、例えば、特開2002-371169号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0090】
前記有機コバルト塩化合物の具体例としては、例えば、コバルトナフテン酸錯体、コバルトエチレンジアミン錯体、コバルトアセトアセトナート錯体、コバルトピペリジン錯体、コバルトシクロヘキサンジアミン錯体、コバルトテトラアザシクロテトラドデカン錯体、コバルトエチレンジアミン四酢酸錯体、コバルトテトラエチレングリコール錯体、コバルトアミノエタノール錯体、コバルトシクロヘキサジアミン錯体、コバルトグリシン錯体、コバルトトリグリシン錯体、コバルトナフチジリン錯体、コバルトフェナントロリン錯体、コバルトペンタンジアミン錯体、コバルトピリジン錯体、コバルトサリチル酸錯体、コバルトサリチルアルデヒド錯体、コバルトサリチリデンアミン錯体、コバルト錯体ポリフィリン、コバルトチオ尿素錯体等を挙げることができる。
【0091】
前記有機スルホン酸金属塩の具体例としては、例えば、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム等を挙げることができる。
【0092】
前記金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物の具体例としては、例えば、特開2002-226678号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0093】
前記有機金属塩系難燃剤(c5)の配合量としては、有機金属塩系難燃剤(c5)の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、非ハロゲン系難燃剤(C)及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100重量部中、0.005〜10重量部の範囲で配合することが好ましい。
【0094】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤、イオントラップ剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。特に半導体封止材料用等に用いる場合は、無機充填材(D)を配合したエポキシ樹脂組成物であることが好ましい。
【0095】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、熱硬化によって容易にその成形硬化物を得ることができる。該硬化物としては積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。また、成形硬化物のガラス転移温度としては、130℃以上であることが好ましく、特に半導体封止材料として用いる場合には、150℃以上であることが好ましく、BGA型の半導体装置を得る場合には、160℃以上であることが好ましい。
【0096】
本発明のエポキシ樹脂組成物の使用用途としては、半導体封止材料、積層板や電子回路基板等に用いられる樹脂組成物、樹脂注型材料、接着剤、ビルドアップ基板用層間絶縁材料、絶縁塗料等のコーティング材料等が挙げられ、これらの中でも、半導体封止材料に好適に用いることができる。
【0097】
本発明の半導体封止材材料は、前述のエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び非ハロゲン系難燃剤(C)に、更に無機充填材(D)を配合した本発明のエポキシ樹脂組成物に、必要に応じその他の成分を添加し、押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合することによって得ることができる。
【0098】
前記無機充填材(D)としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。該充填材(D)の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いるのが好ましく、溶融シリカとしては破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が特に好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調製し、平均粒径が5〜30μmにすることが好ましい。その充填率は難燃性が良好となる点から、エポキシ樹脂組成物の全体量に対して65〜95重量%が特に好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることもできる。
【0099】
本発明の半導体装置は、前記半導体封止材材料を用いて、例えば、半導体パッケージ成形として該材料を注型、又はトランスファー成形機、射出成形機等により成形し、さらに80〜200℃で2〜10時間加熱することにより得ることができ、特に耐熱性が必要なBGA型として用いることが好ましい。
【0100】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を電子回路基板用樹脂組成物として用いる場合には、本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させることにより製造することができる。この際の溶剤の使用量は、前記電子回路基板用樹脂組成物中、通常10〜70重量%であり、好ましくは15〜65重量%、特に好ましくは35〜65重量%なる範囲である。また、その成形硬化物を得る方法としては、前記電子回路基板用樹脂組成物をガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグを得て積層した後、それを熱プレス成形する方法が挙げられる。なお、前記電子回路基板は、具体的には、プリント配線基板、プリント回路板、フレキシブルプリント配線板、ビルドアップ配線板等が挙げられる。
【0101】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を接着剤や塗料等のコーティング材料として使用する場合は、該組成物を溶融してコーティングしても良いし、該組成物を前記溶剤に溶解したものを通常の方法でコーティングした後、溶剤を乾燥除去させ硬化させても良い。この際、必要に応じて、前記硬化触媒を使用してもよい。また、前記の無機フィラー等を混合しても良い。
【0102】
【実施例】
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り重量基準である。尚、150℃における溶融粘度及びGPC測定は以下の条件にて測定した。
【0103】
150℃における溶融粘度:ASTM D4287に準拠
GPC:
装置 東ソー株式会社製 HLC−8220 GPC
カラム:東ソー株式会社製 TSK−GEL G2000HXL+G2000HXL+G3000HXL+G4000HXL
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :1ml/min
検出器:RI
【0104】
合成例1 〔エポキシ樹脂(A−1)の合成〕
温度計、冷却管、滴下ロート、攪拌器を取り付けた2リットルのフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレン56.0g(0.35モル)、2−ヒドロキシナフタレン93.6g(0.65モル)を水1600gに分散させ、40℃で49%水酸化ナトリウム4.1g(0.05モル)加えた。その後、80℃まで昇温しながら、41%ホルムアルデヒド水溶液40.2g(ホルムアルデヒド0.55モルを含む)を滴下ロートより0.5時間で連続的に添加した。滴下後80℃で1時間攪拌を続け、36%塩酸5.1gを加えて中和した。その後、生成物を濾別し、温水で洗浄後乾燥して、反応生成物(i)135gを得た。この時得られた反応生成物(i)の組成を表1に示す。
【0105】
次いで、温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、反応生成物(i)115g(水酸基1.0当量)、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール53g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2.3gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液82g(1.0モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン550gとn−ブタノール55gとを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液15gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水150gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去してエポキシ樹脂(A−1)154gを得た。得られたエポキシ樹脂の組成及び性状値を表1に示す。
【0106】
合成例2 〔エポキシ樹脂(A−2)の合成〕
合成例1において、2,7−ジヒドロキシナフタレン48.0g(0.3モル)、2−ヒドロキシナフタレン100.1g(0.7モル)を用いる以外は合成例1と同様にして、反応生成物(ii)133gを得た。このときの組成を表1に示す。
【0107】
合成例1において、反応生成物(i)115gの代わりに反応生成物(ii)119g(水酸基1.0当量)を用いる以外は合成例1と同様にしてエポキシ樹脂(A−2)158gを得た。得られたエポキシ樹脂(A−2)の組成及び性状値を表1に示す。
【0108】
合成例3 〔エポキシ樹脂(A−3)の合成〕
前記特許文献2の実施例における合成例2と同様にして、2,7−ジヒドロキシナフタレン80.0g(0.5モル)、2−ヒドロキシナフタレン72g(0.5モル)を用いて、反応生成物(iii)137gを得た。このときの組成を表1に示す。
【0109】
得られた反応生成物(iii)105g(水酸基1.0当量)を用い、前記特許文献2の実施例における合成例2と同様にして、エポキシ樹脂(A−3)152gを得た。得られたエポキシ樹脂(A−3)の組成及び性状値を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
参考例1
〔パラフェニレンによる架橋構造を有するフェノキシホスファゼン化合物の合成〕
撹拌装置、温度計、還流装置、留出管を取り付けた2リットルの四つ口フラスコに、フェノール103.5g(1.1モル)、水酸化ナトリウム44.0g(1.1モル)、水50g及びトルエン500mlを仕込み、加熱還流して水のみを系外に取り除くことにより、ナトリウムフェノラートのトルエン溶液を調製した。
【0112】
前記反応と並行し、同様の装置を付した2リットルの四つ口フラスコに、ハイドロキノン16.5g(0.15モル)、フェノール94.1g(1.0モル)、水酸化リチウム31.1g(1.3モル)、水52g及びトルエン600mlを仕込み、加熱還流して水のみを系外に取り除くことにより、ハイドロキノンとフェノールのリチウム塩のトルエン溶液を調製した。このトルエン溶液にジクロルホスファゼンオリゴマー(3量体72%、4量体15%、5量体及び6量体8%、7量体3%、8量体以上2%の混合物)115.9g(1.0ユニットモル)の20%クロルベンゼン溶液580gを、攪拌下で30℃以下で滴下した後、110℃で4時間攪拌反応した。次に、先に調製したナトリウムフェノラートのトルエン溶液を攪拌下で添加した後、110℃で8時間反応を継続した。反応終了後、反応混合物を3%水酸化ナトリウム水溶液1.0リットルで3回洗浄し、次に、水1.0リットルで3回洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮した。得られた生成物を80℃、266Pa以下で濃縮乾固して、211gの白色粉末を得た。
【0113】
得られた白色粉末の加水分解性塩素は0.01%以下であり、リン含有率並びにCHN元素分析値より、架橋フェノキシホスファゼン化合物(c1−1)[N=P(−O−p−Ph−O−)0.15(−O−Ph)1.7]である事を確認した。
【0114】
参考例2
2,2−ビス(p−オキシフェニル)イソプロピリデン基による架橋構造を有するフェノキシホスファゼン化合物の合成
撹拌装置、温度計を付した1リットル四つ口フラスコに、フェノール65.9g(0.7モル)及びトルエン500mlをしこみ、攪拌下、内部の液温を25℃に保ちつつ、金属ナトリウム14.9g(0.65モル)を細かく裁断して投入した。投入終了後77〜113℃で金属ナトリウムが完全に消失するまで8時間攪拌を続けた。
【0115】
前記反応と並行し、撹拌装置、温度計を付した3リットル四つ口フラスコにビスフェノールA57.1g(0.25モル)、フェノール103.5g(1.1モル)及びテトラヒドルフラン(THF)800mlを仕込み、攪拌下、内部の液温を25℃に保ちつつ、金属リチウム11.1g(1.6モル)を細かく裁断して投入した。投入終了後、61〜68℃で金属リチウムが完全に消失するまで、8時間攪拌を続けた。このスラリー溶液にジクロルホスファゼンオリゴマー(3量体72%、4量体15%、5量体及び6量体8%、7量体3%、8量体以上2%の混合物)115.9g(1.0ユニットモル)の30%クロルベンゼン溶液386gを攪拌下、内部の液温を20℃以下に保ちつつ、1時間かけて滴下した後、80℃で4時間反応した。次いで攪拌下、内部の液温を20℃に保ちつつ、別途調製したナトリウムフェノラート溶液を1時間かけて添加した後、80℃で10時間反応した。反応終了後、反応混合物を濃縮しTHFを除き、新たにトルエン1リットルを添加した。このトルエン溶液を2%NaOH 1リットルで3回洗浄し、次に、水1リットルで3回洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮した。得られた生成物を80℃、266Pa以下で濃縮乾固して、230gの白色粉末を得た。
【0116】
得られた白色粉末の加水分解性塩素は0.01%以下であり、リン含有率並びにCHN元素分析値より、架橋フェノキシホスファゼン化合物(c1−2)[N=P(−O−Ph−C(CH3)2−Ph−O−)0.25(−O−Ph)1.50]である事を確認した。
【0117】
実施例1〜21と比較例1〜6
表2〜5に示す各種の素材を用い、2本ロールを用いて100℃の温度で10分間溶融混練して目的の組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物について、下記手法によりゲルタイムを測定し、硬化性を試験した。また、これを180℃で10分間プレス成形し、その後180℃で5時間さらに硬化せしめた後に、UL−94試験法に準拠した厚さ1.6mmの試験片を作成し、下記方法により、硬化物の物性を確認した。
【0118】
ゲルタイム: エポキシ樹脂組成物0.15gを175℃に加熱したキュアプレート(THERMO ELECTRIC社製)上に載せ、ストップウォッチで計時を開始する。棒の先端にて試料を均一に攪拌し、糸状に試料が切れてプレートに残るようになった時、ストップウォッチを止める。この試料が切れてプレートに残るようになるまでの時間をゲルタイムとした。
ガラス転移温度:粘弾性測定装置(レオメトリック社製 固体粘弾性測定装置RSAII、二重カレンチレバー法;周波数1Hz、昇温速度3℃/min)を用いて測定した。
吸湿率(%):85℃/85%RHの条件で300時間処理した後の重量増加率を求めた。
難燃性:UL−94試験法に準拠し、厚さ1.6mmの試験片5本を用いて、燃焼試験を行った。
【0119】
尚、実施例及び比較例に用いた材料は次の通りである。
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
【0122】
【表5】
【0123】
【表6】
【0124】
【表7】
【0125】
【表8】
【0126】
【表9】
【0127】
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた実施例1〜2では、難燃剤を配合しなくても、得られる硬化物において充分な難燃性を発現すると共に、ガラス転移温度が160℃以上と高く、半導体封止材料、とくにBGA型の半導体装置に好適に用いることができることを確認した。しかしながら、充分な難燃性を示さない比較例1及び比較例3、硬化速度が遅い比較例2から明らかなように、比較例で用いたエポキシ樹脂組成物では、その硬化物の性能において十分に満足できるレベルではないことを確認した。
【0128】
また、非ハロゲン系難燃剤を配合して得られた実施例3〜21においても、得られる硬化物の難燃性と速硬化性に優れ、耐湿性も良好であることを確認した。一方、比較例4〜6においては、非ハロゲン系難燃剤を配合しているにもかかわらず、得られる硬化物の難燃性に不足していた。
【0129】
【発明の効果】
本発明によれば、ハロゲン系難燃剤を使用しなくても硬化物の難燃性に優れ、且つ、樹脂組成物の低粘度、速硬化性(低エポキシ当量)、硬化物の高ガラス転移温度の特性全てをバランス良く兼備するエポキシ樹脂組成物、半導体封止材料及びこれを用いた半導体装置を提供する事ができる。
Claims (12)
- 1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a1)と1−(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)−1−(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a2)と1,1−ビス(2−グリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン(a3)とを含むエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を必須とするエポキシ樹脂組成物であり、エポキシ樹脂(A)が、1,1−ビス(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x1)と1−(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)−1−(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x2)と1,1−ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン(x3)との混合物(X)とエピハロヒドリンとを反応させて得られるものであり、かつ、前記(a1)と前記(a2)と前記(a3)との合計100重量部中に(a3)を40〜95重量部含有し、かつ、該エポキシ樹脂(A)100重量部中における前記(a1)と前記(a2)と前記(a3)の合計が60重量部以上であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 混合物(X)が、前記(x1)と前記(x2)と前記(x3)との合計100重量部中に(x3)を40重量部以上含有するものである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 混合物(X)が、2,7−ジヒドロキシナフタレン(y1)と2−ヒドロキシナフタレン(y2)との混合比(y1)/(y2)が20/80〜35/65のモル比でアルデヒド類と反応させて得られる混合物である請求項2記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(A)の150℃でのICIコーン/プレート粘度計法による溶融粘度が2.0dPa・s以下である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 硬化剤(B)が水酸基を有さない芳香環を含む連結基によって水酸基を有する芳香環が連結された構造を含有する多価芳香族化合物である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 更に非ハロゲン系難燃剤(C)を含有する請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 非ハロゲン系難燃剤(C)が、リン系難燃剤(c1)、窒素系難燃剤(c2)、シリコーン系難燃剤(c3)、無機系難燃剤(c4)、有機金属塩系難燃剤(c5)からなる群から選ばれる1種以上の難燃剤である請求項6記載のエポキシ樹脂組成物。
- 更に無機充填材(D)を含有する請求項6記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載のエポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする半導体封止材料。
- 非ハロゲン系難燃性樹脂組成物である請求項9記載の半導体封止材料。
- 請求項9記載の半導体封止材料を用いることを特徴とする半導体装置。
- BGA型である請求項11記載の半導体装置。
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