JP5035604B2 - エポキシ樹脂組成物、その硬化物、および新規エポキシ樹脂 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、その硬化物、および新規エポキシ樹脂 Download PDF

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Description

本発明は得られる硬化物の耐熱性や耐湿性、硬化反応時の硬化性に優れ、半導体封止材、プリント回路基板、塗料、注型用途等に好適に用いる事が出来るエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂及びその硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物は、高耐熱性、耐湿性等の諸物性に優れる点から半導体封止材やプリント回路基板等の電子部品、電子部品分野、導電ペースト等の導電性接着剤、その他接着剤、複合材料用マトリックス、塗料、フォトレジスト材料、顕色材料等で広く用いられている。
近年、これら各種用途、とりわけ先端材料用途においては、性能の一層の向上が求められている。例えば、半導体封止材料やプリント回路基板分野では、高耐熱性化や高周波デバイスの高周波化への対応が急務であって、半導体封止材料等の電子部品関連材料には、高耐熱性で且つ、誘電率が低く、誘電正接も低い材料が求められている。
そこで、かかる要求特性に応える電子部品封止材料として、例えば、モノグリシジルオキシベンゼン構造部位がメチレン基を介してアルコキシナフタレン構造部位と結合した分子構造がメチレン骨格含有基を介してアルコキシ基含有縮合多環芳香族炭化水素構造部位と結合した分子構造を有するエポキシ樹脂を用いることにより、硬化物の耐熱性を損なうことなく、近年の高周波タイプの電子部品関連材料に適する低誘電率、低誘電正接を実現した技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
然しながら、近年のBGA、CSPといった表面実装パッケージへの移行、及び鉛フリー半田への対応によってリフロー処理温度が高温化しているところ、かかるエポキシ樹脂は、高温条件下での耐リフロー性が十分なものではなかった。
特開2006−274236号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、耐熱性を低下させることなく、近年の鉛フリー半田への対応によるリフロー処理温度の高温化に対応できるリフロー性を具備したエポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びにこれらの性能を与える新規エポキシ樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、ノボラック型エポキシ樹脂骨格中にアルコキシナフタレン構造を導入したエポキシ樹脂を合成する際に、副生成物として生成する特定の低分子量化合物の含有率を0.5重量%以下に低減することにより、優れた耐熱性を保持し乍らリフロー性に優れた硬化物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、エポキシ樹脂及び硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂が、モノグリシジルオキシベンゼン構造部位がメチレン基を介してアルコキシナフタレン構造部位と結合した分子構造を有するものであり、下記構造式(1)
Figure 0005035604
(式中、X及びYは、一方がメチレン基で他方が酸素原子であり、R及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、グリシジルオキシ基、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R、R、及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はアルコキシ基を表す。)
で表される構造を有する化合物の含有率が該エポキシ樹脂中0.40重量%以下であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関する。
更に、本発明は、上記エポキシ樹脂組成物を硬化反応させてなることを特徴とするエポキシ樹脂硬化物に関する。
更に、本発明は、モノグリシジルオキシベンゼン構造部位がメチレン基を介してアルコキシナフタレン構造部位と結合した分子構造を有するエポキシ樹脂であって、下記構造式(1)
Figure 0005035604
(式中、X及びYは、一方がメチレン基で他方が酸素原子であり、R及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、グリシジルオキシ基、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R、R、及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はアルコキシ基を表す。)
で表される構造を有する化合物の含有率が該エポキシ樹脂中0.40重量%以下であり、かつ、ICI粘度計で測定した150℃における溶融粘度が0.1〜5.0dPa・s、エポキシ当量が200〜500g/eqのものであることを特徴とする新規エポキシ樹脂に関する。
本発明によれば、硬化物の優れた耐熱性を保持すると共に、近年の電子部品関連材料の表面実装化に対応したリフロー性を実現するエポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びにこれらの性能を与える新規エポキシ樹脂を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるエポキシ樹脂は、前記した通り、モノグリシジルオキシベンゼン構造部位がメチレン基を介してアルコキシナフタレン構造部位と結合した分子構造を有するエポキシ樹脂である。具体的には、モノグリシジルオキシベンゼン構造部位(E)、アルコキシ基含有ナフチレン基(B)、並びに、メチレン基(X)の各構造部位を有しており、かつ、前記モノグリシジルオキシベンゼン構造部位(E)及び前記アルコキシ基含有ナフチレン基(B)が、前記メチレン基(X)を介して結合した構造を分子構造内に有するエポキシ樹脂であるものが低誘電率、低誘電正接といった誘電特性が良好となる点から好ましい。
即ち、前記エポキシ樹脂は、モノグリシジルオキシベンゼン構造部位(E)、アルコキシ基含有ナフチレン基(B)、並びに、メチレン基(X)の各構造単位をそれぞれ、「E」、「B」、「X」で表した場合、下記構造部位Y1又はY1’
Figure 0005035604
であらわされる構造部位を分子構造内に含むフェノール樹脂が低誘電率、低誘電正接といった誘電特性に優れる点から好ましい。
本発明では、このような特徴的な化学構造を有することから、分子構造中の芳香族含有率が高くなり、優れた耐熱性を発現すると共に、硬化物における架橋点とアルコキシ基含有ナフチレン基(B)とが近接することから、硬化時に生成される2級水酸基に原因する誘電率や誘電正接の低下といった影響を低減でき、優れた誘電特性を発現させることができる。特に、アルコキシ基という比較的極性の高い官能基を導入しながらも優れた誘電特性を発現することは特筆すべき点である。
前記モノグリシジルオキシベンゼン構造部位(E)は、様々な構造をとり得るものであり、具体的には、以下のE1〜E8の構造式で表されるフェノール類から形成される芳香族炭化水素基であることが誘電性能に優れる点から好ましい。
Figure 0005035604

ここで、前記各構造は、該構造が分子末端に位置する場合には、1価の芳香族炭化水素基となる。また、上掲した構造のうちナフタレン骨格上に他の構造部位との結合位置を二つ以上有するものは、それらの結合位置は同一核上であってもよいし、或いは、それぞれ異核上にあってもよい。
以上詳述したモノグリシジルオキシベンゼン構造部位(E)の中でも、誘電特性に優れる点から前記構造式P1で表されるグリシジルオキシフェニレン基が好ましく、また、前記構造式P6及びP7に代表されるメチル基を有するものは、エポキシ樹脂硬化物自体に優れた難燃性を付与できる点から好ましい。
次に、エポキシ樹脂構造中に含まれる前記アルコキシ基含有ナフチレン基(B)は、ナフタレン骨格の芳香核上の置換基としてアルコキシ基を有する1価又は多価の芳香族炭化水素基であり、具体的には下記構造式B1〜B12で表されるアルコシキナフタレン構造を有する炭化水素基が挙げられる。
Figure 0005035604
ここで、前記各構造は、該構造が分子末端に位置する場合には、1価の芳香族炭化水素基となる。また、上掲した構造のうちナフタレン骨格上に他の構造部位との結合位置を二つ以上有するものは、それらの結合位置は同一核上であってもよいし、或いは、それぞれ異核上にあってもよい。
以上詳述した前記アルコキシ基含有ナフチレン基(B)のうち特に、エポキシ樹脂硬化物の難燃性に優れ、近年、電子部品分野において要求の高いハロゲンフリーの材料の設計が可能となる点から、前記構造式B1〜B9に代表される、メトキシ基又はエトキシ基を置換基として有するナフタレン構造を有する構造から形成される芳香族炭化水素基であることが好ましい。
本発明で用いるエポキシ樹脂は、各構造部位(E)、(B)及び(X)の上記各具体例で示した構造の任意の組み合わせを採り得る。このような各構成部位から構成されるエポキシ樹脂の分子構造としては、前記した通り、モノグリシジルオキシベンゼン構造部位(E)、アルコキシ基含有ナフチレン基(B)、およびメチレン基(X)の各構造単位をそれぞれ、「E」、「B」、「X」で表した場合、下記構造部位Y1又はY1’
Figure 0005035604
であらわされる構造部位を必須として分子構造内に含むものであるが、更に具体的には、下記構造式Y2及びY3で表される構造を有するもの、
Figure 0005035604
下記構造式Y4又はY5
Figure 0005035604

で表される構造を繰り返し単位とするノボラック構造の分子末端に、下記構造式Y6
Figure 0005035604

で表される構造を有するもの、その他下記構造式Y7〜Y8
Figure 0005035604

で表される構造を繰り返し単位とするランダム交互共重合体構造を有するものが挙げられる。
本発明においては、前記エポキシ樹脂は、上記のように各種の構造をとり得るが、その分子末端に前記構造式Y6で表される構造を有することにより、エポキシ樹脂硬化物の誘電正接を著しく低減できることができる。よって、特に前記構造式A3の構造を有するエポキシ樹脂、或いは、前記Y4又はY7を繰り返し単位とし、かつ、その分子末端に前記構造式A6で表される構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、特に本発明の効果が顕著に現れる点から、前記構造式Y3の構造を有するエポキシ樹脂、或いは、前記A4を繰り返し単位とし、かつ、その分子末端に前記構造式Y6で表される構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
更に、前記エポキシ樹脂は、モノグリシジルオキシベンゼン構造部位(E)と、前記アルコキシ基含有ナフチレン基(B)との存在比が、モル比で前者/後者=30/70〜98/2なる範囲であるであることが、硬化物の難燃性と誘電特性が一層良好となる点から好ましい。
また、前記エポキシ樹脂は、そのエポキシ当量が、200〜500g/eq.の範囲のものが、硬化物の難燃性と誘電特性が一層良好となる点から好ましい。また、更にICI粘度計で測定した150℃における溶融粘度が0.1〜5.0dPa・sの範囲であるのものが、成形時の流動性や硬化物の耐熱性などが優れる点で好ましい。上記エポキシ当量は、特に260〜420g/eq.の範囲のであることが、硬化物の誘電特性と、組成物の硬化性とのバランスが特に優れたものとなる。
前記エポキシ樹脂は、
工程1 : フェノール類(a1)とアルコキシナフタレン類(a2)とホルムアルデヒド(a3)とを反応させることによってフェノール系樹脂を得、
工程2 : 次いで、これとエピハロヒドリンと反応させること
によって製造することができる。
ここで特筆すべきは、アルコキシナフタレン類(a2)を原料として使用しながらも何ら加水分解することなく反応が進行する点にある。通常、フェノール性水酸基をアルコキシ化して得られるアルコキシ基は、フェノール性水酸基の保護技術として広く用いられている様に、強酸性環境下では容易に加水分解するものであるのに対して、本発明では何らかかる加水分解を生じさせることなく、フェノール系樹脂構造中にアルコキシ基を導入できる。
ここで、原料として用いるフェノール類(a1)は、下記構造式(2)
Figure 0005035604

(式中、R、Rはそれぞれ独立的に、水素原子、水酸基、又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、フェノール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの無置換フェノール類、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、iso−プロピルフェノール、t−ブチルフェノールなどの一置換フェノール類、キシレノール、メチルプロピルフェノール、
メチルブチルフェノール、ジプロピルフェノール、ジブチルフェノールなどの二置換フェノール類が挙げられる。
これらのなかでも、硬化物の誘電特性の点からクレゾール、フェノールが特に好ましい。
次に、アルコキシナフタレン類(a2)は、下記構造式(3)
Figure 0005035604

(R、R、及びRは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はアルコキシ基を表す。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、
1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1−メチル−2−メトキシナフタレン、2,6−ジメトキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、1−エトキシナフタレン、1,4−ジメトキシナフタレン、1−t−ブトキシナフタレン等が挙げられる。
これらの中でも特に分子末端にアルコキシナフタレン骨格を形成し易い点から2−メトキシナフタレン、及び2,7−ジメトキシナフタレンが好ましく、特に誘電特性の点から2−メトキシナフタレンが好ましい。
次に、ホルムアルデヒド(a3)は、具体的には、ホルムアルデヒド、グリオキザール等のジアルデヒドが挙げられる。
これらのなかでも得られる硬化物の難燃性及び誘電特性に優れる点からホルムアルデヒドが好ましい。
工程1の方法を更に詳述すれば、具体的には、下記1)〜3)の方法が挙げあれる。
1)フェノール類(a1)とアルコキシ基含有ナフタレン類(a2)とホルムアルデヒド(a3)とを実質的に同時に仕込み、適当な重合触媒の存在下で加熱撹拌して反応を行う方法。
2)アルコキシ基含有ナフタレン類(a2)1モルに対して、0.05〜30モル、好ましくは2〜30モルのホルムアルデヒド(a3)を反応させた後に、フェノール類(a1)を仕込んで反応させる方法。
3)フェノール類(a1)とアルコキシ基含有ナフタレン類(a2)とを予め混合しておき、ここにホルムアルデヒド(a3)を連続的乃至断続的に系内に加えることによって、反応を行う方法。
尚、ここで実質的に同時とは、加熱によって反応が加速されるまでの間に全ての原料を仕込むことを意味するものである。
上記1)〜3)の方法において用いる重合触媒は、特に限定されるものではないが、酸触媒が好ましく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸などが挙げられる。その使用量は仕込み原料の総質量に対して、0.1〜5質量%なる範囲であることが好ましい。
また、本発明で用いるエポキシ樹脂は、前記した通り、該エポキシ樹脂中に下記構造式(1)
Figure 0005035604
(式中、X及びYは、一方がメチレン基で他方が酸素原子であり、R及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、グリシジルオキシ基、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R、R、及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はアルコキシ基を表す。)
で表される構造を有する化合物が含まれており、本発明では、エポキシ樹脂中の該化合物の含有率を0.40質量%以下となる範囲にまで低減させることによって耐リフロー性を改善したものであるが、本発明では、工程1において、前記フェノール樹脂を製造する際に、下記構造式(1’)
Figure 0005035604


(式中、X及びYは、一方がメチレン基で他方が酸素原子であり、R、Rはそれぞれ独立的に、水素原子、水酸基、又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、
、R、及びRは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はアルコキシ基を表す。)
で表される分子構造の化合物の含有率を十分低減しておくことにより、最終的にエポキシ樹脂中に混入する前記構造式(1)で表される化合物の量を低減することができる。
具体的には、具体的には、工程1で得られるフェノール系樹脂中、前記構造式(1’)で表される化合物を0.40質量%以下、特に0.010〜0.35質量%となる範囲に低減しておくことが好ましい。
ここで、前記構造式(1’)中のR、R、R、及びRを構成する炭素原子数1〜4のアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、R及びRを構成するアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基が挙げられるが、該構造式(1’)で表される化合物は前記フェノール系樹脂を製造する場合の副生成物である為、該化合物の分子構造は、下記に示す通り、原料として用いるフェノール類(a1)及びアルコキシナフタレン類(a2)の化学構造に対応する。
Figure 0005035604

(上記式中、X及びY、R乃至Rは前記構造式(1’)の場合と同義である。)
前記した通り、フェノール類(a1)はフェノール又はクレゾールが好ましく、アルコキシナフタレン類(a2)は2−メトキシナフタレンが好ましい。従って、フェノール類(a1)としてフェノールを用い、かつ、アルコキシナフタレン類(a2)として2−メトキシナフタレンを用いる場合には、該化合物は下記構造式(1−a)
Figure 0005035604

で表される構造を有し、他方、フェノール類(a1)としてクレゾールを用い、かつ、アルコキシナフタレン類(a2)として2−メトキシナフタレンを用いる場合には、下記構造式(1−b)
Figure 0005035604

で表される構造を有する。
工程1において、フェノール樹脂中の構造式(1’)で表される構造を有する化合物の含量を低減する方法は、例えば製造反応条件の最適化、並びに、加熱処理、抽出、洗浄、及び再結晶等の精製等が挙げられるが、特に、製造反応条件を最適化する方法が生産性に優れる点から好ましい。具体的には、フェノール類(a1)とアルコキシナフタレン類(a2)とホルムアルデヒド(a3)とを、反応温度が100℃以下に保持されるように反応させることにより、前記分子構造式(1’)で表される構造を有する化合物の含量を0.5質量%以下に調節することができる。
フェノール類(a1)とアルコキシ基含有ナフタレン類(a2)とホルムアルデヒド(a3)との反応仕込み比率としては、特に限定されないが、フェノール類(a1)とアルコキシ基含有芳香族系化合物(a2)とのモル比(a1)/(a2)が30/70〜98/2であり、且つ、フェノール類(a1)とアルコキシ基含有ナフタレン類(a2)との合計モル数とホルムアルデヒド(a3)のモル数との比{(a1)+(a2)}/(a3)が51/49〜97/3であることが好ましい。
工程1の反応を行う際、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。使用できる有機溶剤の具体例としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。有機溶剤の使用量としては仕込み原料の総質量に対して通常10〜500質量%、好ましくは30〜250質量%である。また反応温度としては通常40〜250℃であり、100〜200℃の範囲がより好ましい。また反応時間としては通常1〜10時間である。
また得られる該多価ヒドロキシ化合物の着色が大きい場合は、それを抑制するために、酸化防止剤や還元剤を添加しても良い。前記酸化防止剤としては特に限定されないが、例えば2,6−ジアルキルフェノール誘導体などのヒンダードフェノール系化合物や2価のイオウ系化合物や3価のリン原子を含む亜リン酸エステル系化合物などを挙げることができる。前記還元剤としては特に限定されないが、例えば次亜リン酸、亜リン酸、チオ硫酸、亜硫酸、ハイドロサルファイトまたはこれら塩や亜鉛などが挙げられる。
反応終了後、反応混合物のpH値が3〜7、好ましくは4〜7になるまで中和あるいは水洗処理を行う。中和処理や水洗処理は常法にしたがって行えばよい。例えば酸触媒を用いた場合は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、トリエチレンテトラミン、アニリン等の塩基性物質を中和剤として用いることができる。中和の際には、事前にリン酸等のバッファーを入れておいても良いし、また、一旦塩基サイドにしたのちシュウ酸などでpH値が3〜7としてもよい。中和あるいは水洗処理を行った後、減圧加熱下で、主にフェノール類(a1)とアルコキシ基含有芳香族系化合物(a2)を含む未反応原料や有機溶剤、副生物を留去し生成物の濃縮を行い、目的の多価ヒドロキシ化合物を得ることが出来る。ここで回収した未反応原料は再利用することもできる。反応終了後の処理操作のなかに、精密濾過工程を導入すると、無機塩や異物類を精製除去することができるのでより好ましい方法である。
次に、工程2において、このようにして得られたフェノール系樹脂をエピハロヒドリンと反応させることによって目的とするエポキシ樹脂を製造することができる。かかる反応は、例えば、フェノール樹脂中のフェノール性水酸基1モルに対し、エピハロヒドリン2〜10モルを添加し、更に、フェノール性水酸基1モルに対し0.9〜2.0モルの塩基性触媒を一括添加または徐々に添加しながら20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法が挙げられる。この塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は、連続的に添加すると共に、反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ、更に分液して水は除去しエピハロヒドリン類は反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい。
なお、工業生産を行う際、エポキシ樹脂生産の初バッチでは仕込みに用いるエピハロヒドリン類の全てが新しいものであるが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリン類と、反応で消費される分で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリン類とを併用することが好ましい。この時、使用するエピハロヒドリンは特に限定されないが、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられる。なかでも工業的入手が容易なことからエピクロルヒドリンが好ましい。
また、前記塩基性触媒は、具体的には、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ樹脂合成反応の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。使用に際しては、これらの塩基性触媒を10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。また、有機溶媒を併用することにより、エポキシ樹脂の合成における反応速度を高めることができる。このような有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜二種以上を併用してもよい。
前述のエポキシ化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下、蒸留によって未反応のエピハロヒドリンや併用する有機溶媒を留去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量としては、用いるエポキシ樹脂に対して0.1〜3.0質量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより高純度のエポキシ樹脂を得ることができる。
このようにして得られたエポキシ樹脂中には、前記した通り、下記構造式(1)
Figure 0005035604


(式中、X及びYは、一方がメチレン基で他方が酸素原子であり、R、Rはそれぞれ独立的に、水素原子、グリシジルオキシ基、又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、
、R、及びRは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はアルコキシ基を表す。)
で表される分子構造の化合物が混入する。本発明は前記エポキシ樹脂中の該化合物の含有率を0.40質量%以下とすることにより、耐リフロー性が飛躍的に向上したものである。特に、耐リフロー性の改善効果が顕著である点から前記エポキシ樹脂中の該化合物の含有率は0.01〜0.35質量%であることが好ましい。
ここで、前記構造式(1)中のR、R、R、及びRを構成する炭素原子数1〜4のアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、R及びRを構成するアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
前記した通り、エポキシ樹脂の製造時においてフェノール類(a1)としてフェノールを用い、かつ、アルコキシナフタレン類(a2)として2−メトキシナフタレンを用いる場合には、該化合物は下記構造式(1−a)
Figure 0005035604

で表される構造を有し、他方、フェノール類(a1)としてクレゾールを用い、かつ、アルコキシナフタレン類(a2)として2−メトキシナフタレンを用いる場合には、下記構造式(1−b)
Figure 0005035604

で表される構造を有するものとなる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明の効果を損なわない範囲で他のエポキシ樹脂と併用してもよい。その場合、エポキシ樹脂成分全体に占める前記エポキシ樹脂の割合は30質量%以上が好ましく、特に40質量%以上が好ましい。
ここで用いられる他のエポキシ樹脂としては、種々のエポキシ樹脂を用いることができるが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのなかでもフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂や、ナフタレン骨格を含有するナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂や、結晶性のビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂や、下記構造式
Figure 0005035604

で表されるキサンテン型エポキシ樹脂が、難燃性や誘電特性に優れる硬化物が得られる点から特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤は、公知の各種エポキシ樹脂用硬化剤、例えばアミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物などの硬化剤が使用できる。具体的には、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられ、アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(通称、ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミンやベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。
これらの中でも、特に芳香族骨格を分子構造内に多く含むものが難燃効果の点から好ましく、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂が難燃性に優れることから好ましく、
しかし乍ら、本発明では、誘電率及び誘電正接の低減効果が顕著なものとなる点から、とりわけ工程1で得られたフェノール系樹脂が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂と硬化剤との配合量としては、特に制限されるものではないが、得られる硬化物の特性が良好である点から、エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂中のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基が0.7〜1.5当量になる量が好ましい。
また必要に応じて本発明のエポキシ樹脂組成物に硬化促進剤を適宜併用することもできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルフォスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)が好ましい。
以上詳述した本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂又はその硬化剤について、その分子構造の選択によっては、当該樹脂自体が優れた難燃性付与効果を有するものである為、従来用いられている難燃剤を配合しなくても、硬化物の難燃性が良好である。しかしながら、より高度な難燃性を発揮させるために、例えば半導体封止材料の分野においては、封止工程での成形性や半導体装置の信頼性を低下させない範囲で、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を配合してもよい。
かかる非ハロゲン系難燃剤を配合したエポキシ樹脂組成物は、実質的にハロゲン原子を含有しないものであるが、例えばエポキシ樹脂に含まれるエピハロヒドリン由来の5000ppm以下程度の微量の不純物によるハロゲン原子は含まれていても良い。
前記非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
前記リン系難燃剤としては、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
また、前記赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。
前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサー10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)―10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10―(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられる。
それらの配合量としては、リン系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100質量部中、赤リンを非ハロゲン系難燃剤として使用する場合は0.1〜2.0質量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン化合物を使用する場合は同様に0.1〜10.0質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜6.0質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
前記窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
前記トリアジン化合物としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、(i)硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、(ii)フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール類と、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ホルムグアナミン等のメラミン類およびホルムアルデヒドとの共縮合物、(iii)前記(ii)の共縮合物とフェノールホルムアルデヒド縮合物等のフェノール樹脂類との混合物、(iv)前記(ii)、(iii)を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
前記シアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
前記窒素系難燃剤の配合量としては、窒素系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100質量部中、0.05〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
前記シリコーン系難燃剤としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前記シリコーン系難燃剤の配合量としては、シリコーン系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
前記無機系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
前記金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
前記金属酸化物の具体例としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
前記金属炭酸塩化合物の具体例としては、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
前記金属粉の具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
前記ホウ素化合物の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
前記低融点ガラスの具体例としては、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO−MgO−HO、PbO−B系、ZnO−P−MgO系、P−B−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、PbO−V−TeO系、Al−HO系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
前記無機系難燃剤の配合量としては、無機系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜15質量部の範囲で配合することが好ましい。
前記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
前記有機金属塩系難燃剤の配合量としては、有機金属塩系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100質量部中、0.005〜10質量部の範囲で配合することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機質充填材を配合することができる。前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。前記無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は難燃性を考慮して、高い方が好ましく、エポキシ樹脂組成物の全体量に対して65質量%以上が特に好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記した各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂、硬化剤、更に必要により硬化促進剤の配合された本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。該硬化物としては積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物が用いられる用途としては、半導体封止材料、積層板や電子回路基板等に用いられる樹脂組成物、樹脂注型材料、接着剤、ビルドアップ基板用層間絶縁材料、絶縁塗料等のコーティング材料等が挙げられ、これらの中でも、半導体封止材料に好適に用いることができる。
半導体封止材用に調製されたエポキシ樹脂組成物を作製するためには、エポキシ樹脂と硬化剤、充填剤等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合して溶融混合型のエポキシ樹脂組成物を得ればよい。その際、充填剤としては、通常シリカが用いられるが、その充填率はエポキシ樹脂組成物100質量部当たり、充填剤を30〜95質量%の範囲が用いることが好ましく、中でも、難燃性や耐湿性や耐ハンダクラック性の向上、線膨張係数の低下を図るためには、70質量部以上が特に好ましく、それらの効果を格段に上げるためには、80質量部以上が一層その効果を高めることができる。半導体パッケージ成形としては、該組成物を注型、或いはトランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに50〜200℃で2〜10時間に加熱することにより成形物である半導体装置を得る方法がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物をプリント回路基板用組成物に加工するには、例えばプリプレグ用樹脂組成物とすることができる。該エポキシ樹脂組成物の粘度によっては無溶媒で用いることもできるが、有機溶剤を用いてワニス化することでプリプレグ用樹脂組成物とすることが好ましい。前記有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤を用いることが好ましく、単独でも2種以上の混合溶剤としても使用することができる。得られた該ワニスを、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などの各種補強基材に含浸し、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得ることができる。この時用いる樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。また該エポキシ樹脂組成物を用いて銅張り積層板を製造する場合は、上記のようにして得られたプリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、銅張り積層板を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物をレジストインキとして使用する場合には、例えば該エポキシ樹脂組成物の硬化剤としてカチオン重合触媒を用い、更に、顔料、タルク、及びフィラーを加えてレジストインキ用組成物とした後、スクリーン印刷方式にてプリント基板上に塗布した後、レジストインキ硬化物とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を導電ペーストとして使用する場合には、例えば、微細導電性粒子を該エポキシ樹脂組成物中に分散させ異方性導電膜用組成物とする方法、室温で液状である回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物からビルドアップ基板用層間絶縁材料を得る方法としては例えば、ゴム、フィラーなどを適宜配合した当該硬化性樹脂組成物を、回路を形成した配線基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。前記めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また前記粗化剤としては酸化剤、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成することにより、ビルドアップ基盤を得ることができる。但し、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
本発明の硬化物を得る方法としては、一般的なエポキシ樹脂組成物の硬化方法に準拠すればよいが、例えば加熱温度条件は、組み合わせる硬化剤の種類や用途等によって、適宜選択すればよいが、上記方法によって得られた組成物を、室温〜250℃程度の温度範囲で加熱すればよい。成形方法などもエポキシ樹脂組成物の一般的な方法が用いられ、特に本発明のエポキシ樹脂組成物に特有の条件は不要である。
従って、該エポキシ樹脂を用いることによって、ハロゲン系難燃剤を使用しなくても高度な難燃性が発現できる環境に安心なエポキシ樹脂材料を得ることができる。またその優れた誘電特性は、高周波デバイスの高速演算速度化を実現できる。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り重量基準である。尚、軟化点及びGPC測定、NMR、MSスペクトルは以下の条件にて測定した。
1)軟化点測定法:「JIS K7234」に準拠。
2)GPC:
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折径)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
4)NMR:日本電子株式会社製 「NMR GSX270」
5)MS :日本電子株式会社製 二重収束型重量分析装置 AX505H(FD505H)
合成例1 〔フェノール樹脂(A−1)の合成〕
温度計、冷却管、分留管、窒素ガス導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、o−クレゾール432.0g(4.0モル)と2−メトキシナフタレン158.2g(1.0モル)を仕込み、シュウ酸9.0gを加えて95℃まで昇温した。ついで37質量%ホルムアルデヒド水溶液283.8g(3.5モル)を,95℃に保ちながら3時間かけて滴下した。滴下終了後,更に95℃で5時間反応させた。反応終了後、更にメチルイソブチルケトン1500gを加え、分液ロートに移し水洗した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から未反応のo−クレゾールと2−メトキシナフタレン、及びメチルイソブチルケトンを加熱減圧下に除去し、フェノール樹脂(A−1)を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は74℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は0.9dPa・s、水酸基当量は164g/eq.であった。
合成例2 〔フェノール樹脂(A−2)の合成〕
温度計、冷却管、分留管、窒素ガス導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、フェノール282.0g(3.0モル)と2−メトキシナフタレン158.2g(1.0モル)を仕込み、シュウ酸2.0gを加えて90℃まで昇温した。ついで37質量%ホルムアルデヒド水溶液178.4g(2.2モル)を,90℃に保ちながら3時間かけて滴下した。滴下終了後,更に90℃で5時間反応させた。反応終了後、更にメチルイソブチルケトン1500gを加え、分液ロートに移し水洗した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から未反応のフェノールと2−メトキシナフタレン、及びメチルイソブチルケトンを加熱減圧下に除去し、フェノール樹脂(A−2)を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は71℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は0.6dPa・s、水酸基当量は159g/eq.であった。
合成例3 〔フェノール樹脂(A−3)の合成〕
合成例1において、o−クレゾール324.0g(3.0モル)、37質量%ホルムアルデヒド水溶液356.8g(4.4モル)とした以外は同様にして、フェノール樹脂(A−3)を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は109℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は13dPa・s、水酸基当量は186g/eq.であった。
合成例4 〔フェノール樹脂(A−4)の合成〕
合成例1において、37質量%ホルムアルデヒド水溶液445.9g(5.5モル)とした以外は同様にして、フェノール樹脂(A−4)を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は126℃(B&R法)、水酸基当量は172g/eq.であった。
合成例5 〔フェノール樹脂(A−5)の合成〕
温度計、冷却管、分留管、窒素ガス導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、o−クレゾール432.4g(4.00モル)と2−メトキシナフタレン158.2g(1.00モル)と41質量%ホルムアルデヒド水溶液179.3g(2.45モル)を仕込み、シュウ酸9.0gを加えて、100℃まで昇温し100℃で3時間反応させた。ついで、水を分留管で捕集しながら41質量%ホルムアルデヒド水溶液73.2g(1.00モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後,150℃まで1時間で昇温し、更に150℃で2時間反応させた。反応終了後、更にメチルイソブチルケトン1500gを加え、分液ロートに移し水洗した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から未反応のo−クレゾールと2−メトキシナフタレン、及びメチルイソブチルケトンを加熱減圧下に除去し、フェノール樹脂(A−5)を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は76℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は1.0dPa・s、水酸基当量は164g/eq.であった。
合成例6 〔フェノール樹脂(A−6)の合成〕
温度計、冷却管、分留管、窒素ガス導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、フェノール282.0g(3.0モル)と2−メトキシナフタレン158.2g(1.0モル)を仕込み、シュウ酸2.0gを加えて50℃まで昇温した。ついで92質量%パラホルムアルデヒド97.8g(ホルムアルデヒド換算で3.0モル)を、2時間かけて5分割添加しながら、110℃まで昇温した。その後、140℃で更に2時間反応させた。反応終了後、更にメチルイソブチルケトン1500gを加え、分液ロートに移し水洗した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から未反応のフェノールと2−メトキシナフタレン、及びメチルイソブチルケトンを加熱減圧下に除去し、フェノール樹脂(A−6)を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は77℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は1.0dPa・s、水酸基当量は168g/eq.であった。
実施例1
次いで、温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、前記フェノール樹脂(A−1)を164g(水酸基1当量)、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水150gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、エポキシ樹脂(E−1)198gを得た。
得られたエポキシ樹脂の軟化点は58℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は0.9dPa・s、エポキシ当量は252g/eq.であった。GPC分析の結果、分子構造式(1−b)で表される構造を有する化合物の含有率は、0.39重量%であった。
得られたエポキシ樹脂のGPCチャートを図1に、
13−NMRチャートを図2に、
MSスペクトルを図3に示す。
実施例2
実施例1において、フェノール樹脂(A−1)をフェノール樹脂(A−2)159g(水酸基1当量)とした以外は同様にして、エポキシ樹脂(E−2)を得た。
得られたエポキシ樹脂の軟化点は50℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は0.5dPa・s、エポキシ当量は243g/eq.であった。GPC分析の結果、分子構造式(1−a)で表される構造を有する化合物の含有率は、0.29重量%であった。
得られたエポキシ樹脂のGPCチャートを図4に、C13−NMRチャートを図5に、MSスペクトルを図6に示す。
実施例3
実施例1において、フェノール樹脂(A−1)をフェノール樹脂(A−3)186g(水酸基1当量)とした以外は同様にして、エポキシ樹脂(E−3)を得た。
得られたエポキシ樹脂の軟化点は90℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は7.5dPa・s、エポキシ当量は287g/eq.であった。GPC分析の結果、分子構造式(1−b)で表される構造を有する化合物の含有率は、0.33重量%であった。
得られたエポキシ樹脂のGPCチャートを図7に示す。
実施例4
実施例1において、フェノール樹脂(A−1)をフェノール樹脂(A−4)172g(水酸基1当量)とした以外は同様にして、エポキシ樹脂(E−4)を得た。
得られたエポキシ樹脂の軟化点は105℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は43dPa・s、エポキシ当量は275g/eq.であった。GPC分析の結果、分子構造式(1−b)で表される構造を有する化合物の含有率は、0.30重量%であった。
得られたエポキシ樹脂のGPCチャートを図8に示す。
比較例1
実施例1において、フェノール樹脂(A−1)をフェノール樹脂(A−5)164g(水酸基1当量)とした以外は同様にして、エポキシ樹脂(E−5)を得た。
得られたエポキシ樹脂の軟化点は58℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は1.0dPa・s、エポキシ当量は252g/eq.であった。GPC分析の結果、分子構造式(1−b)で表される構造を有する化合物の含有率は、0.52重量%であった。
比較例2
実施例1において、フェノール樹脂(A−1)をフェノール樹脂(A−6)168g(水酸基1当量)とした以外は同様にして、エポキシ樹脂(E−6)を得た。
得られたエポキシ樹脂の軟化点は52℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は0.5dPa・s、エポキシ当量は254g/eq.であった。GPC分析の結果、分子構造式(1−a)で表される構造を有する化合物の含有率は、0.41重量%であった。
実施例5〜7と比較例3〜4
エポキシ樹脂として、(E−1)、(E−2)、(E−3)、(E−5)、(E−6)、フェノール樹脂として、三井化学製XLC−3L(フェノールアラルキル樹脂、水酸基当量170g/eq)を用い、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)、無機充填材として球状シリカ(株式会社マイクロン製S−COL)、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシトリエトキシキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM−403」)、カルナウバワックス(株式会社セラリカ野田製「パール・ワックス No.1−P」)、カーボンブラックを用いて、表1に示した配合に従って調整した混合物を、2本ロールを用いて90℃の温度で5分間溶融混練して目的の組成物を作成した。得られた組成物を粉砕したものを、トランスファー成形機にて、圧力70kg/cm2、ラム速度5cm/秒、温度175℃、時間180秒でφ50mm×3(t)mmの円板状に成形したものを評価用のサンプルとして用いた。硬化性の評価を行った。硬化物の耐熱性、吸湿性、ハンダクラック性は、上記評価用サンプルを用い、以下の方法で評価した。
<耐熱性>
ガラス転移温度:粘弾性測定装置(レオメトリック社製 固体粘弾性測定装置「RSAII」、二重カレンチレバー法;周波数1Hz、昇温速度3℃/min)を用いて測定した。
尚、試験片は、前記円板状の試験片を幅5mm、長さ54mmに切り出したものとした。
<吸湿性>
85℃/85%RHの雰囲気下168時間放置し、処理前後の重量変化を測定した。
<ハンダクラック性>
10個の試験片を、85℃/85%RHの雰囲気下168時間放置し、吸湿処理を行った後、これを260℃のハンダ浴に10秒間浸漬させた際、クラックの発生した試験片の数を数えた。
Figure 0005035604
図1は実施例1で得られたエポキシ樹脂のGPCチャートである。 図2は実施例1で得られたエポキシ樹脂のC13−NMRチャートである。 図3は実施例1で得られたエポキシ樹脂のMSスペクトルである。 図4は実施例2で得られたエポキシ樹脂のGPCチャートである。 図5は実施例2で得られたエポキシ樹脂のC13−NMRチャートである。 図6は実施例2で得られたエポキシ樹脂のMSスペクトルである。 図7は実施例3で得られたエポキシ樹脂のGPCチャートである。 図8は実施例3で得られたエポキシ樹脂のGPCチャートである。

Claims (4)

  1. エポキシ樹脂及び硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂が、モノグリシジルオキシベンゼン構造部位がメチレン基を介してアルコキシナフタレン構造部位と結合した分子構造を有するものであり、下記構造式(1)
    Figure 0005035604
    (式中、X及びYは、一方がメチレン基で他方が酸素原子であり、R及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、グリシジルオキシ基、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R、R、及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はアルコキシ基を表す。)
    で表される構造を有する化合物の含有率が該エポキシ樹脂中0.40質量%以下であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂が、ICI粘度計で測定した150℃における溶融粘度が0.1〜5.0dPa・s、エポキシ当量が120〜500g/eqのものである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  4. モノグリシジルオキシベンゼン構造部位がメチレン基を介してアルコキシナフタレン構造部位と結合した分子構造を有するエポキシ樹脂と、下記構造式(1)
    Figure 0005035604
    (式中、X及びYは、一方がメチレン基で他方が酸素原子であり、R及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、グリシジルオキシ基、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R、R、及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はアルコキシ基を表す。)
    で表される構造を有する化合物とを含むエポキシ樹脂組成物であって、該化合物の含有率が該エポキシ樹脂中0.40質量%以下であり、かつ、ICI粘度計で測定した150℃における溶融粘度が0.1〜5.0dPa・s、エポキシ当量が200〜500g/eqのものであることを特徴とする新規エポキシ樹脂組成物
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