JP2006321826A - フェノール樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物 - Google Patents

フェノール樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物 Download PDF

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Katsuhiko Oshimi
克彦 押見
Kazunori Ishikawa
和紀 石川
Takao Sunaga
高男 須永
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Abstract

【課題】強靭性に優れた硬化物を与えるフェノール樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)フェノール樹脂と(b)ポリアミド系ブロック共重合体からなるフェノール樹脂組成物であって、(b)ポリアミド系ブロック共重合体が一般式(1)
【化1】
Figure 2006321826

で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体と、一般式(2)
【化2】
Figure 2006321826

示されるカルボキシル基含有化合物とを縮合して得られた共重合体であることを特徴とするフェノール樹脂組成物、本発明のフェノール樹脂組成物は、エポキシ樹脂の硬化剤として好適に使用できる。

Description

本発明は高信頼性半導体封止用を始めとする電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を始めとする各種複合材料用、接着剤、塗料等に有用なフェノール樹脂組成物、これを含むエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
フェノール樹脂は接着剤、塗料、積層板、成形材料、摩擦材料、封止材料などの幅広い分野で使用されている。そして、これらの中でもフェノール樹脂を硬化剤として用いたエポキシ樹脂組成物は成形性、耐湿性に優れるために半導体封止用に広く用いられている。しかし、エポキシ樹脂の硬化物は一般に脆いために、エポキシ樹脂を半導体封止用として用いた場合、半導体パッケージを基板に実装するときに経るハンダリフロー工程において、クラックが発生することがある。このような問題に対して、シリコーンゴムやポリブタジエンゴムなどのエラストマーの添加することによる強靭化などが一般に行われているが、エラストマーはエポキシ樹脂との相溶性に劣るために十分な特性が得られていない。そのような背景において、特許文献1及び2にはフェノール性水酸基含有アラミド−ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)ブロック共重合体をエポキシ樹脂と反応させることにより得られるエポキシ樹脂変性体が提案されている。また、特許文献3にはフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリ((ブタジエン−アクリロニトリル)ブロック共重合体をエポキシ樹脂と反応させることにより得られるエポキシ樹脂変性体や、この共重合体とエポキシ樹脂およびアミン系硬化剤を組み合わせた組成物が提案されている。
特公平7−15043号公報(第1−7頁) 特許第2640299号(第1−7頁) 特開平6−16779号公報
しかしながら、特許文献1や2で提案されているフェノール性水酸基含有アラミド−ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)ブロック共重合体やフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)ブロック共重合体のエポキシ樹脂変性体は安定性に劣り、長時間放置するとゲル化するという問題があった。また、このブロック共重合体は通常粉体であるが、エポキシ樹脂との相溶性が良いとは言えないため、エポキシ樹脂組成物にブロック共重合体を添加するだけでは十分均一に混合することができないために、半導体封止用途などに用いるには十分とは言えない。特に特許文献3記載のアミン系硬化剤を使用した組成物は、保存安定性にも劣り、作業性が充分よいとは言えない。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、フェノール樹脂とポリアミド系ブロック共重合体のフェノール樹脂組成物をエポキシ樹脂の硬化剤として用いることが硬化物の強靭化に有効であり、かつ安定性、エポキシ樹脂との相溶性にも優れることを見出した。
すなわち本発明は、
(1)(a)フェノール樹脂と(b)ポリアミド系ブロック共重合体を有機溶媒中で混合した後、有機溶媒を除去して得られるフェノール樹脂組成物であって、(b)ポリアミド系ブロック共重合体が一般式(1)
Figure 2006321826
(式(1)中、Rは、同一または異なり、下記式
Figure 2006321826
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を、R及びRは水素原子、炭素数1〜4の炭化水素基またはトリフルオロメチル基を表し、rは1〜3の整数を表す。)で示される二価の芳香族基を、Rは二価の有機基を、Rはフェノール性水酸基を有する二価の芳香族基を示し、k、mはそれぞれ平均重合度を表し、k+m=2〜200の正数を示し、m/(k+m)≧0.01である。)で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体と、一般式(2)
Figure 2006321826
(式(2)中、x、yはそれぞれ平均重合度を表し、x=3〜10、y=0〜4である。)で示されるカルボキシル基含有化合物とを縮合して得られた共重合体であることを特徴とするフェノール樹脂組成物、
(2)(b)ポリアミド系ブロック共重合体が、下記式(3)
Figure 2006321826
(式(3)中、x、y、z、k、m、n、pはそれぞれ平均値であって、x=3〜10、y=0〜4、z=1〜15、k+m=2〜200、n=2〜200、p=1〜50の正数をそれぞれ示し、m/(k+m)≧0.01である。)で示される構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミドである上記(1)記載のフェノール樹脂組成物、
(3)((b)ポリアミド系ブロック共重合体の固有粘度が、0.1〜4.0g/dl(N,N−ジメチルアセトアミド溶媒;30℃)である上記(1)または(2)記載のフェノール樹脂組成物
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物及びエポキシ樹脂、並びに必要により硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
(5)無機充填材を含有する(4)記載のエポキシ樹脂組成物、
(6)半導体封止用である(4)または(5)記載のエポキシ樹脂組成物、
(7)(4)〜(6)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
に関する。
本発明のフェノール樹脂組成物を含有するエポキシ樹脂組成物は、耐熱性、強靭性に優れているため半導体封止材を始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に使用する場合に有用である。
本発明のフェノール樹脂組成物に用いられる成分(a)であるフェノール樹脂としては、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、ビス(クロルメチル)ビフェニル、ビス(クロロメチル)ナフタレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ナフタレン、ビス(クロロメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ジビニルベンゼン、イソプロペニルベンゼン等との反応生成物及びこれらの変性物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明における成分(b)であるポリアミド系ブロック共重合体は、一般式(1)で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体と一般式(2)で示されるカルボキシル基含有化合物との重縮合反応によって製造される。
一般式(1)の両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体の合成と、これと一般式(2)の化合物との反応は、両者ともジカルボン酸とジアミンのアミド結合形成反応であるので、以下にあわせて説明する。
一般式(1)で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体は、下記式(5)

N−R−NH (5)

(式(5)中Rは下記式
Figure 2006321826
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4の炭化水素基を、R及びRは水素原子、炭素数1〜4の炭化水素基またはトリフルオロメチル基を表し、rは1〜3の整数を表す。)で示されるジアミンと下記式(6)

HOOC−R−COOH (6)

(式(6)中Rは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示されるジカルボン酸及び下記式(7)

HOOC−R−COOH (7)

(式中Rは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示されるジカルボン酸の混合物を、ジアミンのモル数がジカルボン酸のモル数に対して過剰、好ましくは1モル%以上過剰になるように仕込んで重縮合することにより得られる。
上記において、式(5)の化合物と式(6)及び式(7)の化合物の重縮合反応、また、式(1)の化合物と式(2)の化合物の重縮合反応の反応温度は、両者共に通常20〜150℃、好ましくは50〜120℃、反応時間は通常30分〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
こうして得られる式(1)のポリアミド系ブロック共重合体のkとmは、式(6)及び式(7)のジカルボン酸の仕込み比によって決定され、平均値で通常、k+mが2〜200、好ましくは1〜30、特に好ましくは3〜20であり、m/(k+m)≧0.01である。
式(5)のジアミンと式(6)及び式(7)のジカルボン酸との重縮合反応や、式(1)のポリアミド系ブロック共重合体と式(2)のジカルボン酸との重縮合反応は、好ましくは縮合剤としての芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下で行うことが出来る。
ここで使用できる芳香族亜リン酸エステルとしては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリ−o−トリル、亜リン酸ジ−o−トリル、亜リン酸トリ−m−トリル、亜リン酸ジ−m−トリル、亜リン酸トリ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−トリルや、亜リン酸トリ−p−クロロフェニル等が挙げられる。芳香族亜リン酸エステルの使用量は、式(5)または式(1)の化合物の末端アミノ基1モルに対して、通常0.5〜5.0モル、好ましくは1.0〜2.5モルである。
また、ピリジン誘導体としては、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、3,5−ルチジンなどが挙げられ、その使用量は、式(5)または式(1)の化合物1重量部に対して通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
一般式(5)で示されるジアミンは、芳香族ジアミンでも脂肪族ジアミンでも良いが、芳香族ジアミンが好ましい。
一般式(5)で示される芳香族ジアミンの具体例としては、ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノフェノール、ジアミノジメチルベンゼン、ジアミノメシチレン、ジアミノクロロベンゼン、ジアミノニトロベンゼン、ジアミノアゾベンゼン等の置換(炭素数3以下のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アゾ基)または非置換のジアミノベンゼン類;ジアミノナフタレン、ジアミノビフェニル、ジアミノジメトキシビフェニル等の芳香環を2個有するジアミン類;アミノジフェニルエーテル、ジアミノジメチルジフェニルエーテル等のジアミノフェニルエーテル類;メチレンジアニリン、メチレンビス(メチルアニリン)、メチレンビス(ジメチルアニリン)、メチレンビス(メトキシアニリン)、メチレンビス(ジメトキシアニリン)、メチレンビス(エチルアニリン)、メチレンビス(ジエチルアニリン)、メチレンビス(エトキシアニリン)、メチレンビス(ジエトキシアニリン)、メチレンビス(ジブロモアニリン)、イソプロピリデンジアニリン、ヘキサフルオロイソプロピリデンジアニリン等のジアミノアニリン類;ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジメチルベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン類;ジアミノアントラキノン、ジアミノジフェニルチオエーテル、ジアミノジメチルジフェニルチオエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルホキシドやジアミノフルオレンなどが挙げられ、中でもジアミノジフェニルエーテル類またはジアミノアニリン類が好ましく、ジアミノジフェニルエーテルまたはメチレンビス(ジエチルアニリン)が特に好ましい。
一般式(5)で示される脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ヒドロキシプロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘプタンジアミン、ヘキサンジアミン、ジアミノジエチルアミン、ジアミノジプロピルアミン、シクロペンタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、アザペンタンジアミンや、トリアザウンデカンジアミンなどが挙げられる。
これら一般式(5)で示されるジアミンは、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良い。
一般式(6)で示されるジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸でも脂肪族ジカルボン酸でも良いが、芳香族ジカルボン酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゼン二酢酸、ベンゼンジプロピオン酸、ビフェニルジカルボン酸、オキシジ安息香酸、チオジ安息香酸、ジチオジ安息香酸、ジチオビス(ニトロ安息香酸)、カルボニルジ安息香酸、スルホニルジ安息香酸、ナフタレンジカルボン酸、メチレンジ安息香酸、イソプロピリデンジ安息香酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジ安息香酸等のベンゼンジカルボン酸類、ピリジンジカルボン酸などが挙げられる。
一般式(6)で示される脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、りんご酸、酒石酸、(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、ジ(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、(メタ)アクリロイルオキシりんご酸、(メタ)アクリルアミドコハク酸や、(メタ)アクリルアミドりんご酸などが挙げられる。一般式(6)で示されるジカルボン酸は、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良い。
一般式(7)で示されるフェノール性水酸基を有するジカルボン酸の具体例としては、4−ヒドロキシイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒドロキシフタル酸、4−ヒドロキシフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸等のヒドロキシフタル酸類などが挙げられる。一般式(7)で示されるジカルボン酸は、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良い。なお、一般式(7)で示されるジカルボン酸は全カルボン酸の1モル%以上であることが必要である。
一般式(2)で示される両末端にカルボキシル基を有するオリゴマーは、数平均分子量200〜10,000、好ましくは数平均分子量500〜5,000のオリゴマーであり、HYCAR CTBN 1300×13(BF Goodrich社製、x=46、y=17)、HYCAR CTBN 1300× 8(BF Goodrich社製、x=53、y=11)、HYCAR CTBN 1300×31(BF Goodrich社製、x=57、y= 6)等の市販品が入手可能である。なお、式(2)におけるxとyはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)とNMRを組み合わせることにより測定可能能である。
式(5)の化合物と式(6)及び式(7)の化合物の重縮合反応及び式(1)の化合物と式(2)の化合物の重縮合反応は、無機塩を用いると反応が進行しやすくなり好ましい。無機塩の具体例としては、塩化リチウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウムや、これらの混合物が挙げられる。これら無機塩の使用量は、用いる式(5)または式(1)の化合物1.0モルに対して、通常0.1〜200モル、好ましくは0.2〜50モルである。
式(5)の化合物と式(6)及び式(7)の化合物の重縮合反応及び式(1)の化合物と式(2)の化合物の重縮合反応において、反応に不活性な溶媒を使用する好ことができる。不活性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルイミダゾリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジンのような非プロトン性極性溶媒、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の無極性溶媒、テトラヒドロフラン、ジグライム、ジオキサンや、トリオキサンなど、またはこれらの混合溶媒を用いて行ってもよい。これら溶媒の使用量は、(b)ポリアミド系ブロック共重合体1重量部に対して通常0.5〜50重量部、好ましくは1.0〜20重量部である。
反応終了後、貧溶媒の使用や溶媒除去等で析出を行い、再溶解再沈殿および/または洗浄後、濾過し、乾燥させ目的とするポリアミド系ブロック共重合体を単離することができる。用いる貧溶媒は本発明におけるポリアミド系ブロック共重合体が溶解しにくい溶媒であれば良く、具体例としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンや、これらを含有する混合溶媒等が挙げられる。
式(1)のポリアミド系ブロック共重合体と式(2)の化合物の反応生成物である(b)ポリアミド系ブロック共重合体は、固有粘度値(30℃における0.5g/dlのN,N−ジメチルアセトアミド溶液で測定)が、0.1〜4.0dl/gの範囲にあるものが好ましい。一般に好ましい平均重合度を有するか否かは、固有粘度を参照することにより判断する。固有粘度が0.1dl/gより小さいと、成膜性やポリアミド系ブロック共重合体としての性質出現が不十分であるため、好ましくない。逆に固有粘度が4.0dl/gより大きいと、重合度が高すぎ溶剤溶解性が悪くなり、かつかつ成形加工性が悪くなるといった問題が発生する。
このようにして得られる(b)ポリアミド系ブロック共重合体は下記式(3)
Figure 2006321826
(式中、x、y、z、k、m、n、pはそれぞれ平均値であって、x=3〜10、y=0〜4、z=1〜15、k+m=2〜200、n=2〜200、p=1〜50の正数をそれぞれ示し、m/(k+m)≧0.01である。)で示される構造を有するものが特に好ましい。なお、式(3)におけるzはxとyから決定され、nは原料の仕込み比により決定されるが、前記したように固有粘度値を指標とすることができる。また、pはGPCにより測定可能である。
上記の(a)フェノール樹脂と(b)ポリアミド系ブロック共重合体を有機溶剤を用いて溶解させた後に有機溶剤を留去することによって、本発明のフェノール樹脂組成物が得られる。有機溶剤は(a)フェノール樹脂と(b)ポリアミド系ブロック共重合体の混合物を溶解できるものであれば構わないが、具体的にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルイミダゾリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。また、これらの混合溶剤でも構わない。
本発明のフェノール樹脂組成物の好ましい用途は、エポキシ樹脂の硬化剤であるが、(a)成分と(b)成分は、そのままでは均一に混合することが困難で、特に半導体封止用途に調製されたエポキシ樹脂組成物は溶剤を含有しないため、硬化剤として上記混合工程を経ないで(a)成分と(b)成分を混合した混合物を使用することは好ましくない。例えば、硬化が不均一に進行したり、両者が相溶していないために十分な特性が得られない場合があるからである。
(a)フェノール樹脂と(b)ポリアミド系ブロック共重合体を溶解させる有機溶剤の使用量は、両者を溶解できる量であればいくらでも構わないが、フェノール樹脂とポリアミド系ブロック共重合体の総量に対して0.2〜5倍が好ましい。
本発明で用いられる(b)ポリアミド系ブロック共重合体はフェノール樹脂組成物中で通常1〜50重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲で使用される。この範囲をはずれる場合は、特性が向上しない、フェノール樹脂組成物の溶融粘度が高すぎて使用しにくいなど問題が生ずる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と本発明のフェノール樹脂組成物を含有する。本発明に用いられるエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、アルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、イソシアヌル環、ヒダントイン環を有する複素環式エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、これらエポキシ樹脂のうち、ナフタレン環を含まないエポキシ樹脂が好ましい
エポキシ樹脂の硬化剤としては、本発明のフェノール樹脂組成物を単独でまたは他の硬化剤と併用して使用することができる。併用する場合、本発明のフェノール樹脂組成物の割合は、硬化剤全体に対して30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
本発明のフェノール樹脂組成物と併用できる硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、BF-アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量が好ましく、0.6〜1.2当量が特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また、上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤を使用する場合の使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、シアネート樹脂及び/またはそれを原料としたプレポリマー、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性ポリイミド等の他の熱硬化性樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等の熱可塑性樹脂と併用しても良い。
また、必要に応じて無機充填剤やシランカップリング剤、着色剤、バインダー樹脂、レベリング剤、イオン捕捉剤、離型剤等の種々の配合剤を添加することができる。
無機充填剤としては、溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウムである。また、これら充填材は一種単独でも、或いは二種以上を混合して用いても良い。
シランカップリング剤としては、具体的には、3−グリシドキルプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピリトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシラン系カップリング剤、イソプロピル(N−エチルアミノエチルエチルアミノ)チタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネートなどのチタン系カップリング剤、Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネートなどのジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤が挙げられるが好ましくはシリコン系カップリング剤である。カップリング剤を使用することにより、耐湿信頼性が優れ、吸湿後の接着強度の低下が少ない硬化物が得られる。
着色剤としては特に制限は無く、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリノン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチンなどの各種有機系色素、酸化チタン、硫酸鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、弁殻、コバルト紫、紺、青、群青、カーボンブラック、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分をヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサーなどを用いて混合後、2本ロール、ニーダー、エクストルーダー、サンドグラインダー等により均一に分散して得ることが出来る。または、溶媒中で均一に混合することにより、ワニスとして得ることができる。そして、本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。
例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を得て、そのエポキシ樹脂組成物を溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解してワニスとすることにより、積層板等の接着剤として好適に使用できる。この場合、例えば本発明のエポキシ樹脂組成物をγ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して硬化物を得たり、上記の溶剤に溶解し下記するシートを得たりすることができる。この際の溶剤は、プレプリグ用途の場合、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。また、シート用途の場合、得られたワニス中の固形分濃度は通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%となる量の溶剤を用いる。
上記ワニスをシート状にして使用する場合、ワニスをそれ自体公知のグラビアコート法、スクリーン印刷、メタルマスク法、スピンコート法などの各種塗工方法により基材上に乾燥後の厚さが所定の厚さ、例えば5〜100μmになるように塗布後乾燥して使用するが、どの塗工法を用いるかは基材の種類、形状、大きさ、塗膜の膜厚により適宜選択される。基材としては、例えばポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種高分子及び/またはその共重合体から作られるフィルム、或いは銅箔等の金属箔であり、特に好ましくは、ポリイミドフィルム、銅箔である。剥離フィルムを使用する場合はボンディングシートとして用いられる。ボンディングシートとは離型フィルムの片面に接着剤層(ワニス)を塗布したものと別の離型剤を張り合わせたもので、フレキシブル印刷配線板とフレキシブル印刷配線板とを張り合わせる場合などの接着材料として使用される。こうして得られたシートを加熱することによりシート状の硬化物を得ることが出来る。
次に本発明を更に実施例により具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。
なお、軟化点、溶融粘度及び破壊靱性は以下の条件で測定した。
・軟化点
JIS K−7234に準じた方法で測定した。
・溶融粘度
150℃におけるコーンプレート法における溶融粘度
測定器械:コーンプレート(ICI)高温粘度計
(RESEACH EQUIPMENT(LONDON)LTD.製)
コーンNo.:3(測定範囲0〜2.00Pa・s)
試料量:0.15±0.01g
・破壊靭性
ASTM−E399に準じた方法で測定した。
合成例1
温度計、環流冷却器、滴下ロート、窒素導入装置、攪拌装置のついた反応器に、イソフタル酸506部、5−ヒドロキシイソフタル酸93部、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル798部と、塩化リチウム76部を仕込み、乾燥窒素を流しながら、N−メチル−2−ピロリドン8970部と、ピリジン900部を加え、攪拌しながら反応器内が95℃になるまで徐々に加熱し、固形分を溶解させた。その後、反応器内を攪拌し95℃に保ち、亜リン酸トリフェニル1950部を2時間で滴下し、さらに2時間反応させた。次に、反応器内を95℃に保ち、カルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリル共重合体(HYCAR CTBN 1300×8 BF Goodrich社製 カルボキシル当量=0.052EPHR)1260部をN−メチル−2−ピロリドン1260部に溶解させた溶液全量を1時間で滴下し、さらに2時間反応させた。その後、反応器内を70℃に冷却した。
上記のポリアミド系ブロック共重合体溶液にイオン交換水2000部を30分かけて滴下した。その後更に80℃で1時間攪拌後、イオン交換水1500部を30分かけて滴下した後に70℃で30分間攪拌、更にイオン交換水1500部を30分かけて滴下することによってポリアミド系ブロック共重合体を析出させた。この析出したポリアミド系ブロック共重合体を更に水還留、メタノール還留を行うことによって精製した。最終的にろ過によって得られた粉末を75℃で72時間熱風乾燥し、目的とするポリアミド系ブロック共重合体を得た。この得られたポリアミド系ブロック共重合体の固有粘度は0.3dl/g(ジメチルアセトアミド、25℃)であった。
実施例1
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに下式(8)
Figure 2006321826
(式(8)中nは繰り返し数を表す。)
で表されるフェノールノボラック樹脂(H1)(軟化点:82℃、ICI溶融粘度:0.26Pa・s、水酸基当量:105g/eq)90部、合成例1で得られたポリアミド系ブロック共重合体(A)10部、シクロペンタノン200部を仕込み、50℃で攪拌して完全に溶解させた。ついで加熱減圧下、シクロペンタノンを留去することにより本発明のフェノール樹脂組成物(P1)100部を得た。得られたフェノール樹脂組成物(P1)の軟化点は103℃、溶融粘度は3.0Pa・s、水酸基当量は116g/eqであった。フェノール樹脂(P1)を室温に3ヶ月保管しておいても、樹脂物性に変化はなかった。
実施例2
実施例1において、フェノールノボラック樹脂90部を下式(9)
Figure 2006321826
(式(9)中nは繰り返し数を表す。)
で表されるフェノールアラルキル樹脂(H2)(軟化点:71℃、ICI溶融粘度:0.21Pa・s、水酸基当量:174g/eq)90部に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、フェノール樹脂組成物(P2)100部を得た。得られたフェノール樹脂組成物(P2)の軟化点は79℃、溶融粘度は0.66Pa・s、水酸基当量は193g/eqであった。フェノール樹脂(P2)を室温に3ヶ月保管しておいても、樹脂物性に変化はなかった。
実施例3
実施例1において、フェノールノボラック90部を下式(10)
Figure 2006321826
(式(10)中nは繰り返し数を表す。)
で表されるフェノールアラルキル樹脂(H3)(軟化点:65℃、ICI溶融粘度:0.03Pa・s、水酸基当量:201g/eq)90部に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、フェノール樹脂組成物(P3)100部を得た。得られたフェノール樹脂組成物(P3)の軟化点は85℃、溶融粘度は1.20Pa・s、水酸基当量は222g/eqであった。フェノール樹脂(P1)を室温に3ヶ月保管しておいても、樹脂物性に変化はなかった。
実施例4〜6、比較例1〜3
ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(EP)(NC−3000:日本化薬(株)製、エポキシ当量275g/eq)、硬化剤として、実施例1〜3で得られたフェノール樹脂組成物(P1〜P3)、比較用の硬化剤として、実施例1〜3で使用したフェノール樹脂(H1〜H3)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(純正化学(製))、無機充填剤として球状シリカ(MSR−2212:龍森(株)製)を用いて表1の「配合物の組成の欄」に示す重量比で配合し、ロールで混練後、175℃でトランスファー成型してその後160℃で2時間、更に180℃で8時間硬化せしめて試験片を作成し、破壊靭性値を測定した。測定結果を「硬化物の物性の欄」に示した。
Figure 2006321826
本発明のフェノール樹脂組成物は安定性に優れ、また、表1より本発明の硬化物は、ポリアミド系ブロック共重合体を含有しないエポキシ樹脂硬化物に比べて、強靭性に優れる。すなわち、破壊靱性値の比で較べると実施例3/比較例1=1.2、実施例4/比較例2=1.2、実施例5/比較例3=1.2と向上が見られる。

Claims (7)

  1. (a)フェノール樹脂と(b)ポリアミド系ブロック共重合体を有機溶媒中で混合した後、有機溶媒を除去して得られるフェノール樹脂組成物であって、(b)ポリアミド系ブロック共重合体が一般式(1)
    Figure 2006321826
    (式(1)中、Rは、同一または異なり、下記式
    Figure 2006321826
    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を、R及びRは水素原子、炭素数1〜4の炭化水素基またはトリフルオロメチル基を表し、rは1〜3の整数を表す。)で示される二価の芳香族基を、Rは二価の有機基を、Rはフェノール性水酸基を有する二価の芳香族基を示し、k、mはそれぞれ平均重合度を表し、k+m=2〜200の正数を示し、m/(k+m)≧0.01である。)で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体と、一般式(2)
    Figure 2006321826
    (式(2)中、x、yはそれぞれ平均重合度を表し、x=3〜10、y=0〜4である。)で示されるカルボキシル基含有化合物とを縮合して得られた共重合体であることを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  2. (b)ポリアミド系ブロック共重合体が、下記式(3)
    Figure 2006321826
    (式(3)中、x、y、z、k、m、n、pはそれぞれ平均値であって、x=3〜10、y=0〜4、z=1〜15、k+m=2〜200、n=2〜200、p=1〜50の正数をそれぞれ示し、m/(k+m)≧0.01である。)で示される構造を有するフェノール性水酸基含有ポリアミドである請求項1記載のフェノール樹脂組成物。
  3. (b)ポリアミド系ブロック共重合体の固有粘度が、0.1〜4.0g/dl(N,N−ジメチルアセトアミド溶媒;30℃)である請求項1または2記載のフェノール樹脂組成物
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物及びエポキシ樹脂、並びに必要により硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物。
  5. 無機充填材を含有する請求項4記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 半導体封止用である請求項4または5記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項4〜6記載のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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