JP2006203185A - セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】デラミネーションがなく、高寸法精度でかつ高精度な導体を形成することができるセラミック電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】導体層2を支持体1の表面に導体ペーストを印刷することによって形成した電子部品の製造方法であって、セラミックスラリーの溶解度パラメータと導体層の溶解度パラメータとの差を1.0乃至7.0に設定する。また、導体層付きセラミックグリーンシート4の貫通穴加工は、YAGレーザーを照射することで行ない、支持体1にはUV吸収材を含有させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層セラミック配線基板のようなセラミック電子部品において、導体層を支持体の表面に導体ペーストを印刷することによって形成したセラミック電子部品の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、この電子機器に用いられる積層セラミック配線基板のようなセラミック電子部品においても小型化及び高性能化が望まれている。例えば、積層セラミック配線基板においては小型化及び配線導体の高密度化のために、より薄い絶縁層及び配線導体層を多層に形成し、配線導体層の幅、間隔及びスルーホールもより微細なものが求められている。
このようなセラミック電子部品の製造方法として、特許文献1に記載されているような、導体層が表面に形成された支持体上にセラミックスラリーを印刷し、乾燥後、剥離することにより平坦なシートを形成する製法が提案されている。この製法によればグリーンシート積層時に不均一な圧力によりデラミネーションを発生することが少なくなるので、電気的な特性を確保することができる。また導体層が形成されたグリーンシートを多数積層する際、低圧で積層できるため、積層変形を抑えることができ、セラミック積層体の高寸法精度が確保されるというものである。
特開昭50−64768号公報
しかしながら、導体層が表面に形成された支持体上にセラミックスラリーを塗布し、乾燥後に剥離することで平坦なシートを形成する製法では、導体層が形成された領域が重なる部分とそうでない部分で厚み差がなく、グリーンシート同士が密着することとなるため、セラミック積層体を焼成して得られるセラミック電子部品はデラミネーションの発生が少ないものとなるものの、支持体上に導体層を形成した後、セラミックスラリーを塗工すると、セラミックスラリーと導体層とが互いに溶解し、混合、同一化し、実際に設計した幅よりも導体幅が広がる(以下、ニジミともいう)という問題を有していた。そのため、電子部品の内部に上記のような導体のニジミが存在すると、電気的な容量値や抵抗値が実際の設計値からずれるため、上記の製造方法により製造された電子部品は、電気特性の規格値を満足することができないという問題があった。
一方、導体層が表面に形成された支持体上にセラミックスラリーを塗布し、乾燥後に剥離することで平坦なシートを形成する製法では、導体層やセラミックスラリーは支持体の伸縮による影響を受けるため、熱膨張の大きい支持体を用いると、乾燥時の支持体の膨張に追従して導体やセラミックスラリーが膨張し、実際に設計したものよりも導体幅やピッチが広がる(以下、寸法ずれともいう)という問題を有していた。電子部品の内部に上記のような導体の欠損や寸法ずれが存在すると、電気的な容量値や抵抗値が実際の設計値からずれるため、上記の製造方法により製造された電子部品は、電気特性の規格値を満足することができないという問題があった。
本発明は、上述の問題点に鑑み案出されたもので、デラミネーションの発生が有効に抑えられ、高寸法精度な導体が形成でき、高い電気特性を有するセラミック電子部品を得ることが可能なセラミック電子部品の製造方法を提供することにある。
本発明のセラミック電子部品の製造方法は、支持体の表面に導体ペーストを印刷することによって導体を形成した電子部品の製造方法であって、支持体上に導体ペーストを塗布して導体層を形成する工程Aと、該導体層を形成した前記支持体上にセラミックスラリーを塗布してセラミックグリーンシート層を形成することにより導体層付きセラミックグリーンシートを得る工程Bと、該導体層付きセラミックグリーンシートに貫通穴を穿設し、該貫通穴内に導体ペーストを充填する工程Cと、前記導体層付きセラミックグリーンシートを加熱しつつ複数枚積層することによりセラミック積層体を形成する工程Dと、
前記セラミック積層体を焼成する工程Eと、を含むセラミック電子部品の製造方法において、前記セラミックスラリーの溶解度パラメータと前記導体層の溶解度パラメータとの差が1.0乃至7.0であることを特徴とするものである。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記支持体がUV吸収材を含有して成り、前記工程Cにおいて前記貫通穴がYAGレーザーの照射により穿設されることを特徴とするものである。
さらに、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記工程Bが、前記セラミックグリーンシート層上に前記工程Dにおける加熱によって溶融する溶融成分を含んだ第2のセラミックグリーンシート層を形成する工程を含むことを特徴とするものである。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記第2のセラミックグリーンシート層が前記工程Aにおいて塗布されたセラミックスラリー上に第2のセラミックスラリーを塗布し、乾燥することにより形成されており、前記セラミックスラリーの溶解度パラメータと第2のセラミックスラリーの溶解度パラメータの差が2以上であることを特徴とするものである。
さらに、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記工程Bにおいて前記第2のセラミックグリーンシート層が前記セラミックグリーンシート層上に積層して加熱することによって形成されており、前記溶融成分は前記工程B及び前記工程Dにおける加熱によって溶融状態となることを特徴とするものである。
また、本発明の電子部品の製造方法は、前記溶融成分の融点が35及至100℃の範囲内にあることを特徴とするものである。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記YAGレーザーが第三高調波のYAGレーザーであり、前記セラミックグリーンシートに含まれるセラミック粉末の個数積算粒度分布における90%粒径(D90)が10μm以下であることを特徴とするものである。
本発明のセラミック電子部品の製造方法によれば、支持体上に導体ペーストで導体層を形成し、この支持体上にセラミックスラリーを塗工してセラミックシートを形成し、導体層とセラミックグリーンシートから成る導体層付きセラミックグリーンシートを形成する工程において、セラミックスラリーの溶解度パラメータと導体層の溶解度パラメータとの差を1.0乃至7.0に設定したことから、セラミックスラリーと導体層とが互いに溶解し、混合、同一化せずに導体のニジミを防ぐことができ、かつ導体層を形成したセラミックグリーンシートを支持体から剥がした際に、セラミックグリーンシートからの導体層の剥がれや欠損を防ぐことができる。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法によれば、導体層付きセラミックグリーンシートに貫通穴加工を施す加工を、YAGレーザーの照射により行なうとともに、支持体にUV吸収材を含有させるようにした場合は、レーザーの照射スポット径を50μm程度に小さくすることができ、かつ、支持体がUV吸収材を含有しており効率よくレーザーを吸収し加工されるため、支持体と導体層付きセラミックグリーンシートを同時に一括して穴加工することができ、さらに、スルーホールを例えば50μm以下の小径とすることができる。
さらに、本発明のセラミック電子部品の製造方法によれば、支持体上に導体ペーストで導体層を形成し、導体層を形成した支持体上にセラミックグリーンシートを形成する工程を具備していることから、導体層が形成された領域が重なる部分とそうでない部分ではその厚み差が少なく、導体層周囲や導体層間に空隙を発生させることなくセラミックグリーンシート同士を密着せしめ、セラミック積層体を焼成して得られる電子部品はデラミネーションの発生の殆どないものとなる。また、セラミックグリーンシートを低圧で積層することができ、セラミックグリーンシートおよびその上に形成された導体パターン形状が変形することは殆どなく、得られるセラミック積層体およびそれを焼成して得られるセラミック電子部品は高い寸法精度を有したものとなる。
またこの場合、第2のセラミックグリーンシート層は加熱時に溶融する溶融成分を含有しているため、セラミックグリーンシート同士を積層する際に高い圧力をかける必要はなく、積層したセラミックグリーンシートが位置ずれしない程度の圧力で積層すればよい。従って、積層圧力による変形がなく高寸法精度を維持することができる。
ここで、第1のセラミックグリーンシート層は加熱時に溶融する溶融成分を含有しないことから、第1のセラミックグリーンシートは加熱時に変形することは殆どなく、かつ積層の際の、積層したセラミックグリーンシートが位置ずれしないように押さえる程度の圧力では大きく変形しないものとなっている。よって、第1のセラミックグリーンシート層および導体層の形状が良好に保持されるため、得られるセラミック積層体およびそれを焼成して得られるセラミック電子部品はデラミネーションの発生が有効に防止され、かつ高い寸法精度を有したものとなる。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法によれば、加熱時に溶融する溶融成分の融点が35℃乃至100℃であるものを用いた場合、常温では第2のセラミックグリーンシート層が軟化して変形することは殆どないので、積層工程までのハンドリングが容易になり、また加熱時にセラミックグリーンシート中の有機バインダーや可塑剤等の有機成分が分解することがないので、分解ガスに起因したデラミネーションの発生が有効に防止される。
さらに、キャビティを有する電子部品を製造する場合、大きな加圧力によりセラミックグリーンシートを圧着させる必要がないので、キャビティ周囲部とキャビティ底部との加圧によるセラミックグリーンシートの伸びの違いによるキャビティ底部の反りの発生が有効に抑えられ、キャビティ底部に電子素子を精度よく確実に搭載することができるセラミック電子部品が得られる。
さらに、本発明のセラミック電子部品の製造方法によれば、導体層付きセラミックグリーンシートに貫通穴加工を施す加工を、第三高調波のYAGレーザーで行なった場合には、レーザーの照射スポット径を30μm程度にさらに小さくすることができ、スルーホールを例えば30μm以下のより小径なものとすることができる。
また、セラミックグリーンシートに含まれるセラミック粉末の個数積算粒度分布における90%粒径(D90)が10μm以下とした場合には、セラミックグリーンシートに含まれるセラミック粉末が、第三高調波のYAGレーザーにて揮発した支持体の噴出ガスによって、貫通穴の内部から物理的に弾き出されるように排出される際に、貫通穴の側面に生ずるセラミック粉末の脱離痕の大きさが小さくなり、貫通穴の側面の凹凸形状がより平坦なものとすることができる。その結果、貫通穴内に導体ペーストを充填した際に、貫通穴と充填された導体ペーストの間に空隙が生じることが無く、導通信頼性の高いセラミック電子部品が得られる。
以上のように、本発明のセラミック電子部品の製造方法によれば、絶縁層間に空隙がなく、絶縁層や導体層の変形も少ないことから、デラミネーションの発生が殆どなく、高い寸法精度を有しかつ高精度なパターンを形成することができる高品質のセラミック電子部品が得られる。
本発明のセラミック電子部品の製造方法について以下に詳細に説明する。
図1は本発明のセラミック電子部品の製造方法の実施の形態の一例を示す工程毎の断面図であり、1は支持体、2は導体層、3はセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートと略記する。)、4は導体層付きセラミックグリーンシート(以下、導体付きグリーンシートと略記する。)、5はセラミック積層体である。
まず、図1(a)に示すように、支持体上に導体ペーストによって導体層2を形成し、さらに図1(b)に示すように、導体層2を形成した支持体1上にセラミックスラリーによってグリーンシート3を形成する。
支持体1は、溶剤の浸透しない樹脂成形物であり、従来から用いられているポリエチレ
ンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体等
のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレ
フィン樹脂、ポリフッ化エチレン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を用
いた樹脂成形物を用いることができる。
導体層2を形成する支持体1の表面には、グリーンシート3の成形後に支持体1からの剥離性を向上させるため、離型層を形成してもよい。離型層の種類としては、大別してシリコーン系の離型剤と、非シリコーン系の離型剤があり、非シリコーン系の離型剤としてはフッ素系などを用いることができる。この離型剤としては、商品形態別にいえば無溶剤型、エマルジョン型、溶剤型のいずれでも使用し得る。またこの離型層の厚みは、用いられる離型剤の種類により異なるが、グリーンシート3を支持体1から剥がすことができ、かつ離型剤により導体層2の形成時に導体ペーストのハジキが発生しない程度の厚みであればよい。
支持体1の厚みは10〜100μmが適当であり、望ましくは20〜50μが良い。これは、支持体1の厚みが10μmより小さいとフィルムの変形や折れ曲がりにより形成した導体パターンが断線や剥がれを引き起こしやすくなり、厚みが100μmより大きいとスルーホールの穴加工が難しくなるためである。
また、支持体1のセラミックスラリー及び前記導体ペーストの乾燥温度時での伸びは0.1%以内であることが好ましい。この寸法変化率は、支持体1上の導体層2及びグリーンシート3を形成するにあたり、微細配線の配線ピッチ間のばらつきを低減し高い寸法精度での作製を可能とするために重要な要因であって、上記の寸法変化0.1%よりも大きいと、寸法精度の高い積層セラミック配線基板の製造ができなくなってしまう。
このような伸びの小さい支持体1は、所定の熱処理(アニール)を施すことによって作製することができる。具体的には、熱処理の温度はフィルムの材質にもよるが、70〜170℃の範囲が良く、好ましくは100〜170℃が良い。処理温度が70℃より低いと支持体1の工程中での寸法変化が大きく、配線ピッチ間のばらつきが大きくなりやすい。また、処理温度が170℃を超えると支持体1の変形が発生し、配線ピッチ間のばらつきが大きくなってしまう。
また、導体ペーストは、導体粉末、有機バインダー、溶剤等を混合したものが用いられ、導体粒子の分散性や導体層2の硬度や強度を調整するために分散剤や可塑剤を添加してもよい。支持体1上に導体層2を形成する方法としては、例えば導体材料粉末をペースト化したものをスクリーン印刷法やグラビア印刷法、またはインクジェットなどの方法が適用できる。
導体材料としては、例えばW,Mo,Mn,Au,Ag,Cu,Pd(パラジウム),Pt(白金)等の1種または2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金、コーティング等のいずれの形態であってもよい。その導体粉末はアトマイズ法、還元法等により製造されたものであり、必要により酸化防止、凝集防止等の処理をおこなってもよい。また、分級等により微粉末または粗粉末を除去し粒度分布を調整したものであってもよい。
有機バインダーとしては、従来より導体ペーストに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系、アルキド系の有機バインダーがより好ましい。また、有機バインダーの添加量としては、導体粒子により異なるが、有機バインダーの分解性に問題なく、かつ導体粒子を分散できる量であればよい。
溶剤としては、上記の導体粉末と有機バインダーとを良好に分散させて混合できるようなものであればよく、テルピネオールやブチルカルビトールアセテート及びフタル酸等の可塑剤などが使用可能であるが、導体層2形成後の溶剤の乾燥性を考慮し、テルピネオール等の低沸点溶剤などが好ましい。
次に、図1(b)のように、導体ペーストによって導体層2が形成された支持体1上にセラミックスラリーによってグリーンシート3を形成し、導体層2とグリーンシート3から成る導体付きグリーンシート4を形成する。
本形態において使用するグリーンシート3は、セラミック粉末、有機バインダー、溶剤等を混合したセラミックスラリーを、導体層2が形成されている支持体1上に成形して形成することが可能である。セラミック粉末の分散性やグリーンシート3の硬度や強度を調整するために分散剤や可塑剤を添加してしてもよい。
このとき、セラミックスラリーの溶解度パラメータと導体層2の溶解度パラメータとの差を1.0乃至7.0にすることが重要である。
セラミックスラリーの溶解度パラメータと導体層2の溶解度パラメータとの差を1.0乃至7.0にすることよって、支持体1に導体ペーストを印刷し乾燥して導体層2を形成し、セラミックスラリーによってグリーンシート3を形成した際、セラミックスラリーによって形成されたグリーンシート3と導体ペーストを印刷し乾燥することよって形成された導体層2が互いに溶解することを抑制するので、グリーンシート3と導体層2が混合、同一化してしまうことを防ぎ、かつ導体層2がセラミックスラリーをはじくことに起因して、導体を形成したグリーンシートを支持体からはがす際に、導体層2のグリーンシートからの剥がれによる、導体層2の欠損を防ぐことができる。
ここで、溶解度パラメータ(Solubility Parameter)とは、有機成分の性質が似通ったものは相溶けやすいという性質をもとに数値化したものであり、SP値とも呼ばれるものである。溶解度パラメータの値が近いもの同士は溶解しやすいことを示すものであるので、有機成分の溶解力を示す指標として用いられる。
本形態において、セラミックスラリーの溶解度パラメータは、セラミックスラリー中の各有機成分の溶解度パラメータと各有機成分の体積分率から算出した。例えば、セラミックスラリー中に2つの有機成分が含まれ、それぞれの溶解度パラメータが5および7で、体積分率がそれぞれ70%および30%である場合のセラミックスラリーの溶解度パラメータは5×0.7+7×0.3=5.6とした。なお、本発明の有機成分の溶解度パラメータは、講談社出版「溶剤ハンドブック」(浅原昭三ほか編、1976年初版)による溶解度パラメータのデータを使用した。
セラミックスラリーや導体ペーストの溶解度パラメータは、セラミックスラリーや導体ペーストに添加する有機成分の種類や、複数種類添加する場合には、その添加比率により変更することが可能である。特に導体ペーストの場合、添加する有機成分である溶剤を複数種類添加し、導体層2を形成した後の乾燥等により溶剤比率を変更することにより、溶解度パラメータを変更することが好ましい。これによって、支持体に導体形成しやすい溶剤を選択して添加し、導体層2の形成後、セラミックスラリーを塗工する前に、導体層2の形成後の温度・時間等の乾燥条件の調整により、溶解度パラメータを所望の範囲に変更
することが容易となる。
また、グリーンシート3は、セラミック粉末、有機バインダー、溶剤等を混合したセラミックスラリーを、導体層2を形成した支持体1を前記支持体として、前記支持体上に成形して形成することが可能である。セラミック粉末の分散性やグリーンシート3の硬度や強度を調整するために分散剤や可塑剤を添加してしてもよい。また、グリーンシート3は、第1のグリーンシート層と溶融成分を含む第2のグリーンシート層で形成することも可能である。
この場合、前記第1のグリーンシート層上に前記第2のグリーンシート層を形成する方法は、(1)導体層2の形成された前記支持体上の前記第1のグリーンシート層と、別の支持体上に成形した前記第2のグリーンシート層を、前記第1のグリーンシート層の上に積層して形成する方法、(2)導体層2の形成された前記支持体上に、形成された前記第1のグリーンシート層上に前記第2のグリーンシートのスラリーを塗布して形成する方法、(3)導体層2の形成された前記支持体上に塗布された前記第1のグリーンシート層のスラリー上に前記第2のグリーンシート層のスラリーを塗布して形成する方法が挙げられる。
この中で、方法(2)及び(3)については、前記第1のグリーンシート層と、前記第2のグリーンシート層を同時に成形することができるので、工程数、積層数の増加による、工期の長期化、コストアップ、歩留まり低下、層間の導体接続信頼性の低下、といった問題を発生させることなく高流動性層を形成することが可能となる。また、高流動性層の積層工程がないので、高流動性層の積層時の空気の巻き込みがなく、かつ導体層は積層グリーンシート(前記第1のグリーンシート層と前記第2のグリーンシート層を積層したもの)内に形成されるため、前記積層グリーンシートは導体層の段差がなく平坦となるため、デラミネーションのない高信頼性の電子部品を得ることが可能となる。
また、方法(1)については、前記第1のグリーンシート層と前記第2のグリーンシート層とを別々に形成し、積層して加熱することによって導体層2及び前記第1及び第2のグリーンシート層からなる前記積層グリーンシートを作製することから、グリーンシート3を形成する際に混合、同一化することがなく、より広い溶解度パラメータのグリーンシートまたはセラミックスラリーを使用することができる。
前記溶融成分は上記のものの中でも、その融点が35乃至100℃であるものが好ましい。これは、この範囲の融点のものを用いると、常温では前記第2のグリーンシート層が軟化して変形することはないので、積層工程までのハンドリングが容易になり、セラミック積層体5を作製する工程における加熱時にセラミック積層体5中の有機バインダーや可塑剤等の有機成分が分解することが殆どないので、分解ガスに起因したデラミネーションの発生が有効に防止されるからである。融点が35乃至100℃である溶融成分としては、ヘキサデカノール,ポリエチレングリコール,ポリグリセロール,ステアリルアミド,オレイルアミド,エチレングリコールモノステアレート,パラフィン,ステアリン酸,シリコーン等が挙げられる。
前記第2のグリーンシート層に含有される溶融成分の含有量は、使用する有機バインダー成分及びその量や、使用する溶融成分により異なるが、前記溶融成分が溶融した状態で第2のグリーンシート層が軟化し、その下に位置する前記積層グリーンシートの前記第1のグリーンシート層及びその中に埋め込まれて形成された導体層2と隙間無く接触するような量であればよい。
セラミックスラリーに用いられるセラミック粉末としては、例えばセラミック配線基板であれば、Al,AlN,ガラスセラミック粉末(ガラス粉末とフィラー粉末との混合物)等が挙げられ、積層コンデンサであればBaTiO系,PbTiO系等の複合ペロブスカイト系セラミック粉末が挙げられ、セラミック電子部品に要求される特性に合わせて適宜選択される。
ガラスセラミック粉末のガラス成分としては、例えばSiO−B系、SiO
−B−Al系,SiO−B−Al−MO系(ただし、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−Al−MO−MO系(ただし、MおよびMは同じまたは異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(ただし、MおよびMは上記と同じである),SiO−B−M O系(ただし、MはLi、NaまたはKを示す),SiO−B−Al−M O系(ただし、Mは上記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
また、ガラスセラミック粉末のフィラー粉末としては、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等のセラミック粉末が挙げられる。
有機バインダーとしては、従来よりグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系バインダーがより好ましい。
また、上記のセラミック粉末やガラスセラミック粉末(ガラス粉末とフィラー粉末の混合物)の粒径は、個数積算粒度分布における90%粒径(D90)が10μm以下であることが望ましい。
これは、セラミックグリーンシート3に含まれるセラミック粉末が第三高調波のYAGレーザーにて揮発した支持体1の噴出ガスによって、貫通穴の内部から物理的に弾き出されるように排出される際に、貫通穴の側面に生ずる脱離痕の大きさが小さくなり、貫通穴の側面の凹凸形状がより平坦なものとすることで、貫通穴内に導体ペーストを充填した際に、貫通穴と充填された導体ペーストの間に空隙が生じることが無く、導通信頼性の高いセラミック電子部品を得るためである。
導体層付きセラミックグリーンシート4に貫通穴加工を施す工程を、第三高調波のYAGレーザーの照射により行なうとともに、支持体1にUV吸収材を含有させるようにした場合、セラミックグリーンシート3に貫通穴が形成される過程として、まず、第三高調波のYAGレーザー光がセラミックグリーンシート3に照射されるが、セラミックグリーンシート3のUV光吸収率は20〜30%程度と低いため、第三高調波のYAGレーザーによる貫通穴のセラミック粉末の揮発による穿設の効果は不十分であり、セラミックグリーンシート3の第三高調波のYAGレーザーが照射された部位(貫通穴となる部位)には、原料のセラミック粉末が残留していわゆるガラス残りの状態となり、所望の貫通穴を得られない可能性がある。
しかしながら、セラミックグリーンシート3に吸収されなかったUV光はセラミックグリーンシート3を透過して、支持体1に照射される。ここで、支持体1にUV吸収材を含有させておくと、セラミックグリーンシート3を透過したUV光によって支持体1は揮発しガスを噴出する。
その後、セラミックグリーンシート3の表面側の第三高調波のYAGレーザーが照射された貫通穴となる部位は、支持体1が揮発し噴出したガスによって、セラミックグリーンシート3に含まれるセラミック粉末が、支持体1側からセラミックグリーンシート3の表面方向に物理的に弾き出されるように噴出、排出され、貫通穴が形成される。
このとき、セラミックグリーンシート3に含まれるセラミック粉末の粒径を、個数積算粒度分布における90%粒径(D90)が10μm以下とすれば、無機粉体が、噴出ガスによって弾き出されるように排出された後の貫通穴の側面の凹凸形状(脱離痕)が、貫通穴内に導体ペーストを充填した際に、両者の間の空隙となって導通信頼性を低下させることを抑制することができる。また、貫通穴内と導体ペーストの間に空隙が生じた場合、焼成過程において、空隙部内の空気の膨張や収縮による応力によって空隙部を起点とじて基板にクラックの発生を低減させることができる。
なお、セラミックグリーンシート3に含まれるセラミック粉末の粒径を、個数積算粒度分布における90%粒径(D90)が10μm以下とすれば、脱離痕が貫通穴と導体ペーストの間の空隙となることを抑制することはできるが、個数積算粒度分布における10%粒径(D10)が0.1μm未満となると、例えば、セラミック電子部品を製造する場合、セラミック粉末、有機バインダー、溶剤等を混合したセラミックスラリーを作成する工程において、セラミック粉末の凝集が生じ、導体ペーストによって導体層2が形成された支持体1上にセラミックスラリーを塗工してグリーンシート3を形成する際に、グリーンシート3の表面に凝集粒による突起が生じたり、凝集粒の周囲に塗工時の空気の取り込みによる空隙が生じたりしてしまう。したがって、セラミックグリーンシート3に含まれるセラミック粉末の粒径は、個数積算粒度分布における10%粒径(D10)が0.1μm以上であることがより好ましい。
溶剤としては、上記のセラミック粉末と有機バインダーとを良好に分散させて混合できるようなものであればよく、トルエン,ケトン類,アルコール類の有機溶媒や水等が挙げられる。これらの中で、トルエン,メチルエチルケトン,イソプロピルアルコール等の蒸発係数の高い溶剤はスラリー塗布後の乾燥工程が短時間で実施できることから、導体の溶かしが発生しにくく、好ましい。
セラミックスラリーを塗布してグリーンシート3を形成する方法としては、従来周知のドクターブレード法,リップコーター法,ダイコーター法等が挙げられる。特にダイコーター法やスロットコーター法、カーテンコーター法等の押し出し式の方法を用いると、これらは非接触式の塗布方法なので、導体層2を物理的な力で混合させてしまうことなくグリーンシート3を形成することができるのでよい。その際の塗布条件は、スラリーを塗布した際、支持体に形成した導体に溶かしや剥がれが発生せず、導体間に隙間なくスラリーが流れ込むような塗布速度であればよく、通常0.5乃至5m/min程度であれば十分である。また、グリーンシート3の厚さは、導体層2の厚みより厚くなるように形成される。
次に、上下の層間の導体層2同士を接続するためのスルーホール導体を形成する。このスルーホール導体では、YAGレーザー加工により導体付きグリーンシート4に形成した貫通孔に、導体材料粉末をペースト化した導体ペーストを印刷やプレス充填により埋め込む等の手段によって形成される。貫通孔の加工は、金型やCOによるレーザーによる穴加工は、直径50μmが金型ピンの加工上あるいは光学的に限界であるために、第3高調波355nmのYAGレーザーにより加工することが好ましい。第1高調波1064nmや第2高調波532nmのYAGレーザーでは光学的に50μm以下の微小な穴加工は困難である。また、第4高調波266nmではセラミックグリーンシートを貫通して穴加工するためのパワーが足りないため、レーザーのショット数が著しく増加し生産性が極めて悪くなると同時に、導体付きグリーンシート4が厚い場合には、導体付きグリーンシート4の表裏の貫通孔径の差が極めて大きな穴加工となってしまう。
また、第三高調波のYAGレーザーにより加工する場合、加工点エネルギーを0.8〜3.0Wとすることがより望ましい。これは、加工点エネルギーが0.8Wより小さい場合、ショット数が著しく増加し生産性が極めて悪くなるとともに導体付きグリーンシート4が厚い場合には、導体付きグリーンシート4の表裏の貫通孔径の差が極めて大きな穴加工となってしまうからである。また、加工点エネルギーが3.0Wより大きい場合、支持体1が揮発し、爆発的に噴出するガスの衝撃が大きく、貫通孔の周囲がその衝撃で大きくダメージを受け、貫通孔が所望の表面の直径より大きくなると同時に、著しく外観をそこなうためである。
また、貫通孔を加工する際、グリーンシート3は支持体1上に保持したまま行なうと、導体付きグリーンシート4の変形を防止できるのでより好ましい。
さらに、貫通孔を加工する際、グリーンシート3は支持体1上に保持したまま行うとともに、支持体1がレーザーの出射側に配置されることがより望ましい。これは、セラミックグリーンシート3に照射され、セラミックグリーンシート3に吸収されなかった第三高調波のYAGレーザー光が、セラミックグリーンシート3を透過してUV吸収材を含有した支持体1に照射され、支持体1が揮発し、爆発的に噴出したガスよってセラミックグリーンシート3を構成するセラミック粉末が、物理的に弾き出されるように排出される作用によって貫通穴を形成する効果が大きいためである。
さらに、支持体1にはUV吸収材を含有させておくことが好ましい。支持体1がUV吸収材を含まなければ、導体付きグリーンシート4に貫通孔を形成した際に同時に穴が空かず、貫通孔に導体ペーストを充填することが極めて困難になってしまうためである。
支持体1中のUV吸収材としては、Ti、Ce、Cなどが挙げられ、例えば5〜15%含有させておくのが好ましい。UV吸収材の含有量が5%未満であるとUV吸収の効果は得られにくく、また15%を超えるとシートが硬くなり加工が困難となってしまうためである。
また、支持体1に含有させるUV吸収材は、無色の有機系UV吸収剤を用い、導体付きグリーンシート4に形成された導体層2を、支持体1を透過して可視的に認識できることがより好ましい。これは、導体付きグリーンシート4を作成する過程において、支持体1上に導体ペーストを塗布して導体層2を形成し、導体層2を形成した支持体1上にセラミックスラリーを塗布してセラミックグリーンシート層3を形成するため、支持体1に金属酸化物や有機系顔料のような有色のUV吸収剤を用いた場合は、導体層付きセラミックグリーンシート4に貫通穴を穿設する際に、貫通穴を穿設すべき位置を認識できないためである。
次に、図1(c)に示すように、導体付きグリーンシート4を支持体1から剥がし、導体付きグリーンシート4同士を位置合わせして積み重ね、加熱及び加圧して圧着することでセラミック積層体5を作製する。なお、支持体を剥がす際に必要に応じて加熱等の処理を施すことも可能である。また、圧着の際の加熱加圧の条件は用いる有機バインダー等の種類や量により異なるが、概ね30〜100℃、2〜20MPaである。このとき、導体付きグリーンシート4同士の接着性を向上させるために、溶剤と有機バインダーや可塑剤等を混合した接着剤を用いることも可能である。
位置合わせして積み重ねた導体付きグリーンシート4について、このとき積層した導体付きグリーンシート4が位置ずれしないように、また導体付きグリーンシート4が確実に積層できるために押さえる程度の適度な加圧(0.1〜1MPa)を行なうと、より精度よく確実な圧着が可能となる。
セラミック積層体5を作製する工程において、導体付きグリーンシート4は導体層2の周囲や導体層2間に空隙が発生することなく導体付きグリーンシート4同士が密着することとなり、セラミック積層体5を焼成して得られる電子部品はデラミネーションの発生のないものとなる。
導体付きグリーンシート4は、積層を確実に行なうために押さえる程度の加圧では大きく変形することがなる。よって、導体付きグリーンシート4及びその上に形成された導体層2の形状が変形することがなく、さらに加圧による導体付きグリーンシート4への歪がなく、得られるセラミック積層体5、及びそれを焼成して得られるセラミック電子部品は、高い寸法精度を有したものとなる。
例えば、グリーンシート3上に導体層2を形成したグリーンシートを用いた場合、セラミック積層体5及びセラミック電子部品の寸法精度は±0.5%(寸法誤差)程度であったが、本形態の支持体1上に導体層2及びグリーンシートを形成した導体付きグリーンシート4を用いた場合、セラミック積層体5及び電子部品の寸法精度は±0.2%以下となり、寸法精度が大幅に向上することを実験により確認した。
また、キャビティを有するセラミック電子部品を製造する場合、大きな加圧力によりグリーンシートを圧着させる必要がないので、キャビティ周囲部とキャビティ底部との加圧によるグリーンシートの伸びの違いによるキャビティ底部の反りの発生を抑えることが可能となり、キャビティ底部に電子素子を精度よく確実に搭載することが可能なセラミック電子部品を得ることができる。
そして最後に、セラミック積層体5を焼成することにより、製品としてのセラミック電子部品が完成する。焼成工程は、有機成分の除去とセラミック粉末の焼結とから成る。有機成分の除去は、100〜800℃の温度範囲でセラミック積層体5を加熱することによって行ない、有機成分を分解、揮発させる。また、焼結温度は、セラミック組成により異なり、約800〜1600℃の範囲内で行なう。焼成雰囲気は、セラミック粉末や導体材料により異なり、大気中、還元雰囲気中、非酸化性雰囲気中等で行なわれ、有機成分の除去を効果的に行なうために水蒸気等を含ませてもよい。
焼成後のセラミック電子部品には、露出した導体層2の表面に、導体層2の腐食防止のために、または半田や金属ワイヤ等を用いた外部基板や他の電子部品との良好な接続のために、NiやAuのめっきを施しておいてもよい。
セラミック材料としてガラスセラミックスのような低温焼結材料を用いる場合、セラミック積層体5の上下面にさらに拘束グリーンシートを積層して焼成し、焼成後に拘束シートを除去するようにすれば、より高寸法精度のセラミック電子部品(セラミック基板)を得ることができる。拘束グリーンシートは、Al等の難焼結性無機材料を主成分とするグリーンシートであり、焼成時に収縮しないものである。この拘束グリーンシートが積層された積層体は、収縮しない拘束グリーンシートにより積層平面方向(xy平面方向)の収縮が抑制され、積層方向(z方向)にのみ収縮するので、焼成収縮に伴う寸法ばらつきが抑制される。
また、拘束グリーンシートには難焼結性無機成分に加えて、焼成温度以下の軟化点を有するガラス成分、例えばグリーンシート3中のガラスと同じガラスを含有させるとよい。焼成中にこのガラスが軟化してグリーンシート3と結合することにより、グリーンシート3と拘束グリーンシートとの結合が強固となり、より確実な拘束力が得られる。このときのガラス量は、難焼結性無機成分とガラス成分を合わせた無機成分に対して外添加で、0.5乃至15質量%とするとよく、拘束力が向上し、かつ拘束グリーンシートの焼成収縮を例えば0.5%以下に小さく抑えることができる。
拘束シートは、焼成後、除去される。除去方法としては、例えば、従来周知の研磨、ウォータージェット、ケミカルブラスト、サンドブラスト、ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧により噴射させる方法)、ドライアイスブラスト(砥粒がドライアイス)等が挙げられる。
以上のような工程を経て作製されたセラミック電子部品は、デラミネーションの発生が殆どなく、寸法精度が高く、かつ高精度な導体を有しており、優れた電気特性や気密性を有したものとなる。
本発明の実施例について以下に詳細に説明する。
まず、アルミナ粉末と表1に示すような有機成分を混合してセラミックスラリーを作製し、上記と同様に、導体ペーストを印刷、乾燥することにより導体層2を形成したPETフィルム支持体1上にセラミックスラリーをリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥することにより導体付きセラミックグリーンシート4を作製した。
導体付きセラミックグリーンシート4を作製する手順として、まず、Cu粉末に表1に示す有機バインダー及び溶剤を添加し、3本ロールを用いて混合することにより導体ペーストを作製した。導体ペーストは適宜溶剤を添加することによって、10000cpsに調整した。その後、支持体1上に導体ペーストをスクリーン印刷にて塗布することにより、幅及びギャップが75μmの導体層2を形成した。
次に、SiO−B−Al系ガラス粉末60質量%およびアルミナ粉末40質量%の無機粉末に、表1に示した有機バインダー及び溶剤を添加し、ボールミルにて24時間混合し、セラミックスラリーを作製した。
導体層2を形成した支持体1上にセラミックスラリーを塗布し、熱風乾燥機により乾燥を行い、導体層付きセラミックグリーンシート4を得た。
導体付きセラミックグリーンシート4は、支持体1から剥がし、剥がした面の導体箇所を、双眼顕微鏡にて観察することによって、ニジミと剥がれの状態を評価した。その結果を表1に示す。
双眼顕微鏡での観察は20倍とした。
Figure 2006203185
表1中、導体のニジミまたは剥がれの欄の「○」は、導体のニジミまたは剥がれもなく優れていたことを示す。一方「△」はニジミまたは剥がれが導体の一部に見られたことを示す。
表1において、本発明の実施例である例2,4,6では、導体のニジミまたは剥がれもなく優れていた。これに対して、例1,3,5,7では、導体の溶け、または剥がれが発生した。
このように、セラミックスラリーの溶解度パラメータと導体ペーストを乾燥した導体層の溶解度パラメータとの差が1.0乃至7.0とすると、セラミックスラリーと導体が互いに溶解し、導体のニジミを防ぐことができ、かつ導体を形成したセラミックグリーンシート4を支持体1から剥がした際に、セラミックグリーンシートからの導体の剥がれを防ぐことができる。
次に、Cu粉末に表1に示す有機バインダーとしてイソブチルメタクリレートを体積分率で30%と、溶剤としてフタル酸ジブチルを体積分率で70%添加し、3本ロールを用いて混合することにより導体ペーストを作製した。導体ペーストは適宜フタル酸ジブチル溶剤を添加することによって、10000cpsに調整した。その後、支持体1上に導体ペーストをスクリーン印刷にて塗布することにより、幅及びギャップが75μmの導体層2を形成した。
次に、SiO−B−Al系ガラス粉末60質量%およびアルミナ粉末40質量%のセラミック粉末に、有機バインダーとしてアクリル酸エステル‐メタクリル酸エステル共重合体を体積分率で40%と、溶剤としてエチルアルコールを体積分率で60%添加し、三井鉱山製のビーズミルにて混合し、セラミックスラリーを作製した。このときセラミックグリーンシート3に含まれるセラミック粉末の個数積算粒度分布における90%粒径(D90)粒径は、表2に示すような粒径となるようにビーズミルでの混合時間によって調整した。
導体層2を形成した支持体1上にセラミックスラリーをリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、熱風乾燥機により乾燥を行い、導体層付きセラミックグリーンシート4を得た。
導体付きセラミックグリーンシート4は、支持体1に支持された状態で、セラミックグリーンシート3をレーザー光の照射側として、日立ビアメカニクス製の第三高調波のYAGレーザー(UV−YAGレーザー)で照射し、直径30μm貫通穴加工を行った。その後、貫通穴内にスクリーン印刷にて導体ペーストを充填してスルーホール導体を形成し、支持体1を剥がし、焼成を行い、100個のスルーホール導体の貫通穴部の表面、及び、断面観察を20倍の双眼顕微鏡にて行った。貫通穴と導体間の欠陥を観察した結果を表2に示す。
Figure 2006203185
表2中、欠陥の欄の「○」は、欠陥が無く優れていたことを示す。一方「×」は欠陥が確認されたことを示す。
表2において、本発明の実施例である例1,2,3,4,5,6,7,8では、断面観察からは貫通穴と導体の間に欠陥は見られず、また、表面観察からも貫通穴部に欠陥は認められなかった。これに対して、例9,10,11,12では、断面観察からは貫通穴と導体の間に欠陥が確認された。
また表面観察から、例9,10,11,12では貫通穴部から基板に向かって生じたクラックが認められた。なお、表2の最長クラック長さ欄において、「○」はクラックの発生のなかったものを示し、「△」はクラックの長さが15μm以下の導通信頼性に影響を与えない微小ものを示し、「×」は導通信頼性に影響を与える大きさのクラックが発生したことを示す。ここで、例9の最長クラック長さは「△」であり、導通信頼性に影響を与えない微小なクラックであることを示すが、基板の割れなどを誘発する可能性があるため不良と判断した。
このように、セラミックグリーンシート3に含まれるセラミック粉末の個数積算粒度分布における90%粒径(D90)が10μm以下とした場合には、貫通穴の側面の凹凸形状をより平坦なものとすることができるため、貫通穴内に導体ペーストを充填した際に、貫通穴と充填された導体ペーストの間に空隙が生じることが無く、導通信頼性の高いセラミック電子部品が得られる。
(a)〜(d)は、本発明のセラミック電子部品の製造方法の実施の形態の一例を示す工程毎の断面図である。
符号の説明
1・・・支持体
2・・・導体層
3・・・セラミックグリーンシート
4・・・導体層付きセラミックグリーンシート
5・・・セラミック積層体

Claims (7)

  1. 支持体上に導体ペーストを塗布して導体層を形成する工程Aと、
    該導体層を形成した前記支持体上にセラミックスラリーを塗布してセラミックグリーンシート層を形成することにより導体層付きセラミックグリーンシートを得る工程Bと、
    該導体層付きセラミックグリーンシートに貫通穴を穿設し、該貫通穴内に導体ペーストを充填する工程Cと、
    前記導体層付きセラミックグリーンシートを加熱しつつ複数枚積層することによりセラミック積層体を形成する工程Dと、
    前記セラミック積層体を焼成する工程Eと、を含むセラミック電子部品の製造方法において、
    前記セラミックスラリーの溶解度パラメータと前記導体層の溶解度パラメータとの差が1.0乃至7.0であることを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記支持体がUV吸収材を含有して成り、前記工程Cにおいて前記貫通穴がYAGレーザーの照射により穿設されることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記工程Bは、前記セラミックグリーンシート層上に前記工程Dにおける加熱によって溶融する溶融成分を含んだ第2のセラミックグリーンシート層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記第2のセラミックグリーンシート層が前記工程Aにおいて塗布されたセラミックスラリー上に第2のセラミックスラリーを塗布し、乾燥することにより形成されており、前記セラミックスラリーの溶解度パラメータと第2のセラミックスラリーの溶解度パラメータの差が2以上であることを特徴とする請求項3に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  5. 前記工程Bにおいて前記第2のセラミックグリーンシート層が前記セラミックグリーンシート層上に積層して加熱することによって形成されており、前記溶融成分は前記工程B及び前記工程Dにおける加熱によって溶融状態となることを特徴とする請求項4に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  6. 前記溶融成分の融点が35及至100℃の範囲内にあることを特徴とする請求項3及至請求項5のいずれかに記載のセラミック電子部品の製造方法。
  7. 前記YAGレーザーが第三高調波のYAGレーザーであり、前記セラミックグリーンシートに含まれるセラミック粉末の個数積算粒度分布における90%粒径(D90)が10μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の電子部品の製造方法。
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