JP2006096989A - スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体およびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜 - Google Patents

スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体およびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜 Download PDF

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Abstract

【課題】パーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマーと比較して安価で伝導特性、加工性に優れたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体およびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜を提供すること。
【解決手段】スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、下記一般式(A)で表されるイオン伝導性成分を有するポリマーセグメントと、下記一般式(B−1)、(B−3)等で表されるメタ位またはオルト位で結合されている芳香環を含むイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメントからなる。
【化1】
Figure 2006096989

【選択図】 なし

Description

本発明は、優れたプロトン伝導性、機械的強度、熱安定性を有し、かつフィルムの加工性が良好であり、固体高分子型燃料電池に用いられる電解質用途に好適なスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体およびその製造方法、ならびに該共重合体からなる高分子固体電解質および該共重合体を含むプロトン伝導膜に関する。
電解質は、通常、(水)溶液で用いられることが多い。しかし、近年、これが固体系に置き替えられている。その第1の理由としては、例えば、上記の電気・電子材料に応用する場合のプロセッシングの容易さであり、第2の理由としては、軽薄短小・省電力化への移行である。
従来、プロトン伝導性材料としては、無機物、有機物の両方が知られている。無機物のプロトン伝導材料としては、例えば水和化合物であるリン酸ウラニルが挙げられるが、これら無機物のプロトン伝導材料は界面での接合性が充分でなく、伝導層を基板あるいは電極上に形成するには問題が多い。
一方、有機物のプロトン伝導材料としては、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、例えばポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、パーフルオロアルキルカルボン酸ポリマー等が挙げられ、その中でもナフィオン(商品名、デュポン社製)を代表とするパーフルオロアルキルスルホン酸系のプロトン伝導膜が広く使用されてきた。このパーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマーは高いプロトン伝導性を有し、無機伝導材料の欠点であった成形困難性が改良された反面、非常に高価であり、高温での使用、機械特性の改良に課題を有している。このような観点から、より安価で且つ熱的・機械的に安定でしかも固体電解質膜として優れたイオン伝導性を示す材料が待望されてきた。
これまで上記のような課題に対するアプローチとしては、ポリベンズイミダゾールやポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマーなどの有機系ポリマーを用いる方法が挙げられる(非特許文献1〜3参照)。
また、有機物のプロトン伝導性材料としては、スルホン酸基を含有するポリアリーレンが提案されている。このポリマーは、通常芳香族化合物を重合してベースポリマーを製造し、次いでベースポリマーにスルホン酸を導入することで製造される。
一般的には上述のような芳香族化合物から得られるユニットをポリマーの基本骨格に導入することで、パーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマーと比較して熱的、機械的に安定な固体電解質膜を提供することできる。しかしながら、これらのポリマーからなる固体電解質膜は、主鎖の芳香族骨格もしくはスルホン酸基の導入によりフィルムの剛直性が高くなるため、フィルムの加工性に難がある。具体的には、フィルムの脆化やMEA(Membrane−Electrode−Assembly:膜電極接合体)作製時のカーボン電極との接合性といった
点で、パーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマーと比較して劣る傾向がある。
Polymer Preprints, Japan, Vol.42,No.7, p.2490〜2492 (1993) Polymer Preprints, Japan, Vol.43,No.3, p.735〜736 (1994) Polymer Preprints, Japan, Vol.42,No.3, p.730 (1993)
本発明は、上記のような従来技術を背景としてなされたものであって、従来の芳香族系固体電解質の熱的・機械的特性に加えて、課題であった膜の加工性を改良し、パーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマーと比較して安価で伝導特性、加工性に優れたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体およびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜を提供することを課題としている。
本発明者は、このような従来技術における問題点に関して検討した結果、イオン伝導性成分を有するポリマーセグメントとイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメントからなるスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の芳香族からなる主鎖骨格に、特定の構造単位を導入することで、従来の芳香族系固体電解質の熱的、機械的、伝導特性に加えて、ホットプレス加工における電極との接合性や加工性を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、イオン伝導性成分を有するポリマーセグメントとイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメントからなるスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の主鎖部分に芳香族を基本骨格とする屈曲性の高い特定のモノマーユニットを導入することで、芳香族ポリマー特有の高い耐熱性、機械特性を保持しながら、同時に弾性率、のび等の制御やポリマーの軟化温度をホットプレス加工温度付近まで任意に調整することが可能となり、電極との接合性や加工性が改良されることを見出した。
すなわち、本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体およびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜は以下のとおりである。
(1) 下記一般式(A)で表されるイオン伝導性成分を有するポリマーセグメントと、下記一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)および(B−6)から選ばれる少なくとも1種以上で表されるイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメントからなるスルホン酸基を有することを特徴とするポリアリーレンブロック共重合体;
Figure 2006096989
(式(A)中、Xは単結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CF2p−(ここで
、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−CH2−、−C(CH32−、−
O−または−S−を示し、mは0〜10の整数を示し、mが1〜10である場合にはXは
互いに同一でも異なっていてもよく、kは0〜5の整数を示し、lは0〜4の整数を示し、k+l≧1であり、nは正の整数を示し、ポリマーセグメントを構成する構造単位において、k同士、l同士、m同士、X同士はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2006096989
(式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)および(B−6)中、R1〜R48は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基
、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Wは単結合、−CO−、−SO2−、−SO−、
−CONH−、−COO−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)または−C(CF32−を示し、Qは単結合、−O−、−S−、−CH=CH−または−C≡C−を示し、Jは単結合、アルキレン基、フッ素置換アルキレン基、アリール置換アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−COO−、−SO−または−SO2−を示し、r
は正の整数を示す。)。
(2) 0.3〜5.0meq/gの範囲のイオン交換容量を含有することを特徴とする(1)に記載のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体。
(3) 上記一般式(A)で表されるポリマーセグメントの構造単位を形成しうるモノマーと、上記一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるポリマーセグメントの構造単位を形成しうるモノマーのうちいずれか一方を重合して前駆体を製造し、得られた前駆体に他方のモノマーを反応させて上記(1)または(2)に記載のポリアリーレンブロック共重合体を得ることを特徴とするスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の製造方法。
(4) 上記(1)または(2)に記載のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体からなることを特徴とする高分子電解質。
(5) 上記(1)または(2)に記載のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を含むことを特徴とするプロトン伝導膜。
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、芳香族ポリマー特有の高い耐熱性、機械特性を保持しながら、同時に弾性率、のび等の制御やポリマーの軟化温度をホットプレス加工温度付近まで任意に調整することが可能である。
本発明に係る高分子電解質およびプロトン伝導膜は、高い耐熱性、機械特性を有し、同時に弾性率、伸び等の制御やポリマーの軟化温度をホットプレス加工温度付近まで任意に調整することが可能である。
以下、本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体およびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜について具体的に説明する。(スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体)
本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、下記一般式(A)で表されるイオン伝導性成分を有するポリマーセグメントと、後述する一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメントとを含んでいる。
Figure 2006096989
一般式(A)において、Xは単結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CF2p
−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−CH2−、−C(CH32−、−O−、−S−などを示す。
mは0〜10、好ましくは0〜8、より好ましくは0〜5の整数を示す。mが1〜10の場合にはXは互いに同一でも異なっていてもよい。
kは0〜5の整数、lは0〜4の整数を示し、k+l≧1である。中でも、kが1〜4の整数、lが0〜3の整数であり、かつmが0〜5の整数であることが好ましい。
上記一般式(A)で表されるポリマーセグメントを構成する構造単位において、k同士、l同士、m同士、X同士はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
すなわち、上記一般式(A)において、ポリマーセグメントを構成するn個の各構造単位(a);
Figure 2006096989
相互において、k、l、m、およびXは互いに独立であり、これらは上述した範囲内において各構造単位(a)間で互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(A)において、nは正の整数であり、好ましくは1〜150、より好ましくは5〜80である。nは、共重合体中において一般式(A)で表されるセグメント内に含まれるスルホン酸基数はプロトン伝導度に大きな影響を及ぼし、同一スルホン酸導入量のサンプルを比較した場合、一般式(A)で表されるセグメント内におけるスルホン酸基数が多いほどプロトン伝導度が高い傾向がある。
この一般式(A)で表されるポリマーセグメント内におけるスルホン酸基数の平均値は、基本的に一般式(A)で表されるセグメント内における構造単位(a)の個数n、側鎖部の繰り返し数m、あるいは構造単位(a)を形成するモノマーと他の共重合成分との仕込みモル比などから規定することができる。共重合体を合成する際、これらの設定値が高いほど一般式(A)で表されるセグメントに含まれるスルホン酸基数を増加させることができる。また、上記のスルホン酸基数の平均値は、共重合体を合成する際に、繰り返し単位(a)を形成するモノマーと他の共重合成分との添加順序を変更することによっても調整することができる。
一般式(A)の構造を共重合体に導入することで、スルホン化された柔軟な長側鎖の構造と、多数のスルホン酸基が隣接した構造が重合体の一次構造に付与され、これによってスルホン酸基のプロトン会合効率が向上する。その結果、従来公知のスルホン化(共)重合体のプロトン伝導度を比較的低いスルホン酸基当量で発現させることができる。
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、上述した一般式(A)で表されるポリマーセグメントとともに、下記一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるポリマーセグメントから選ばれる少なくとも1種以上のイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメントを含んでいる。
Figure 2006096989
一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)および(B−6)において、R1〜R48は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、
アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられる。中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
フッ素置換アルキル基としては、具体的には、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。中でも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。
アリル基としては、具体的には、プロペニル基などが挙げられる。
アリール基としては、具体的には、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Wは単結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)または−C(CF32−を示す。
Qは単結合、−O−、−S−、−CH=CH−または−C≡C−を示す。
Jは単結合、アルキレン基、フッ素置換アルキレン基、アリール置換アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−COO−、−SO−または−SO2−を示す。
アルキレン基、フッ素置換アルキレン基、アリール置換アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基またはフルオレニリデン基として具体的には、−C(CH32−、−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−C=C−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、下記式
Figure 2006096989
で表される基などが挙げられる。
上記一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるポリマーセグメントを構成する構造単位において、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士、R7同士、R8同士、R9同士、R10同士、R11
士、R12同士、R13同士、R14同士、R15同士、R16同士、R17同士、R18同士、R19同士、R20同士、R21同士、R22同士、R23同士、R24同士、R25同士、R26同士、R27同士、R28同士、R29同士、R30同士、R31同士、R32同士、R33同士、R34同士、R35同士、R36同士、R37同士、R38同士、R39同士、R40同士、R41同士、R42同士、R43同士、R44同士、R45同士、R46同士、R47同士、R48同士、W同士、Q同士、J同士はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
すなわち、上記一般式(B−1)で表されるポリマーセグメントを構成するr個の各繰り返し単位(b−1)において、R1〜R12、WおよびQは互いに独立であり、上述した
範囲内において繰り返し単位(b−1)間で互いに同一でも異なっていてもよく、上記一般式(B−2)で表されるポリマーセグメントを構成するr個の各繰り返し単位(b−2)において、R1〜R8、R13〜R16、WおよびQは互いに独立であり、上述した範囲内において繰り返し単位(b−2)間で互いに同一でも異なっていてもよく、上記一般式(B−3)で表されるポリマーセグメントを構成するr個の各繰り返し単位(b−3)におい
て、R1〜R8、R17〜R24、W、QおよびJは互いに独立であり、上述した範囲内において繰り返し単位(b−3)間で互いに同一でも異なっていてもよく、上記一般式(B−4)で表されるポリマーセグメントを構成するr個の各繰り返し単位(b−4)において、R1〜R8、R25〜R32 、W、QおよびJは互いに独立であり、上述した範囲内において繰り返し単位(b−4)間で互いに同一でも異なっていてもよく、上記一般式(B−5)で表されるポリマーセグメントを構成するr個の各繰り返し単位(b−5)において、R1
〜R8、R33〜R40、W、QおよびJは互いに独立であり、上述した範囲内において繰り
返し単位(b−5)間で互いに同一でも異なっていてもよく、上記一般式(B−6)で表されるポリマーセグメントを構成するr個の各繰り返し単位(b−6)において、R1
8、R41〜R48、W、QおよびJは互いに独立であり、上述した範囲内において繰り返
し単位(b−6)間で互いに同一でも異なっていてもよい。
Figure 2006096989
一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)および(B−6)において、rは正の整数であって上限は通常100であり、好ましくは5〜80である。一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)および(B−6)で表されるポリマーセグメントの分子量は各種物性に大きな影響を及ぼし、分子量が高い程、耐熱水性や耐溶剤性、耐熱性、耐酸化性等が良好な値を示す。また、分子量が高すぎる場合には、共重合体の溶液粘度が高くなりすぎ好ましくない。
また、rの値は、予め繰り返し単位(b−1)〜(b−6)のいずれかが所定の数繰り返された構造を有する化合物を使用するか、あるいは、繰り返し単位(b−1)〜(b−
6)のいずれかを形成しうるモノマーとその他の共重合成分との仕込みモル比、添加順序を変更することによっても調整することができる。
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、ポリマーセグメント(A)と、ポリマーセグメント(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)および(B−6)から選ばれる少なくとも1種以上のポリマーセグメントとを含有しており、これらのポリマーポリマーセグメントは分子鎖内の親水−疎水効果によりミクロ相分離構造を形成できる。ミクロ相分離構造の形状は、各ポリマーセグメントの繰り返し単位数や組成等により制御でき、ミクロ相分離構造の形状によりプロトン伝導膜としての特性を変化させることができる。また、本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、主鎖骨格として芳香環を結合基で共有結合させていることから、機械的強度、耐熱性に優れており、かつ膜のガラス転移点(軟化点)の高い材料であることからミクロ相分離構造の熱安定性、すなわちプロトン伝導膜として特性の熱安定性が良好となる。
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、前記ポリマーセグメント(B)における主鎖骨格にメタ位またはオルト位で結合されている芳香環を含む結合基を含有している。また、本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、前記ポリマーセグメント(A)における主鎖骨格が、メタ位またはオルト位で結合されている芳香環を含む結合基を含有してもよく、このような結合基としては下記一般式(D−1)または(D−2)が挙げられる。
Figure 2006096989
主鎖骨格にメタ位またはオルト位で結合されている芳香環を含む結合基構造をポリマーセグメントに導入しうる化合物としては、例えば、カテコール、3−メチルカテコール、1,2−ジクロロベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、4−
メチルカテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、2,5−ジメチルレゾ
ルシノール、4−エチルレゾルシノール、1,3−ジクロロベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオ
ロベンゾフェノン、2,6−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4'−ジクロロベンゾフェノン、2,2'−ジクロロベンゾフェノン、2,6−ジフルオ
ロベンゾフェノン、2,4−ジフルオロベンゾフェノン、2,4'−ジフルオロベンゾフェ
ノン、2,2'−ジフルオロベンゾフェノン、2,2'−ビフェノール、3,3'−ビフェノール、2,4'−ビフェノール、3,4'−ビフェノール、2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2'−メチリデンビス(4−メチルフェノール)、2,4'−メチリデンビス(4−メチルフェノール)、2,4'−エチリデンビス(4−メチルフェノール)、2,2'−イソプロピリデンビスフェノール、2,3'−イソプロピリデンビスフェノール、2,4'−イソプロピリデンビスフェノール、3,3'−メチリデ
ンビス(1,1'−ビフェニル−4−オール)、9,9'−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体において、メタ位またはオルト位で結合されている芳香環を含む結合基構造の含有量は、好ましくは0.1〜99.9質量%、好ましくは15.0〜95.0質量%、さらに好ましくは30.0〜90.0質量%である。一般的にはその含有量が多くなるほどポリマーの軟化点、弾性率が低減され、フィルムの電極に対する接合性や加工性が改良される傾向がある。特に、フィルムの軟化点は電極との接合性に非常に大きな影響を及ぼし、ホットプレスで電極とフィルムを接合させる場合、フィルムの軟化点がホットプレス温度のプラス15℃以下、特にホットプレス温度以下の場合、良好な接合性が確保できる。
本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体において、一般式(A)で表されるポリマーセグメントの含有量は0.1〜99.9質量%、好ましくは10.0〜95.0質量%、さらに好ましくは20.0〜90.0質量%であり、一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるポリマーセグメントの含有量は合計で0.1〜99.9質量%、好ましくは5.0〜90.0質量%、さらに好ましくは10.0〜80.0質量%である。
本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体において、一般式(A)で表されるポリマーセグメントと一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるポリマーセグメントとからなっており、かつポリマーの主鎖骨格を形成する構造単位にメタ位またはオルト位で結合されている特定の屈曲性の高い構造単位を含んでいるので、高いプロトン伝導性、芳香族ポリマー特有の耐熱性、機械特性を保持しながら、同時にポリマーの軟化温度をホットプレス加工温度付近まで任意に調整することや弾性率、伸び等の力学特性の制御が可能となり、結果として電極との接合性や加工性を改善することが可能となる。
本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、スルホン酸基が凝集した構造を有する一般式(A)で表されるポリマーセグメントと、適度に疎水化されたセグメントを有する一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるポリマーセグメント(疎水性セグメント)とからなり、さらに主鎖骨格が特定の屈曲性の構造単位を含有しているので、上記したように高いプロトン伝導度を有するとともに耐熱水性、耐溶剤性、耐熱性、耐酸化性、靱性、さらに電極との接合性、加工性が良好であり、高分子固体電解質、プロトン伝導膜用途に好適である。本発明においては、ポリマーセグメントを形成しうるモノマーの入手の容易さおよびブロック共重合体の各種物性と接合性のバランス面から、上記疎水性セグメントのうち一般式(B−1)、(B−3)および(B−5)で表されるポリマーセグメントを用いることが好ましい。
(スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の製造方法)
本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、一般式(A)で表されるポリマーセグメントの構造単位(a)を形成しうるモノマーと、一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるポリマーセグメントの繰り返し単位(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)または(b−6)を形成しうるモノマーとを共重合させることにより合成することができる。具体的には、上記構造単位(a)を形成しうるモノマーと、上記構造単位(b)を形成しうるモノマーとのうちいずれか一方のモノマーを予め重合して前駆体を製造し、得られた前駆体に他方のモノマーを反応させて製造することができる。
また、本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、一般式(A)で表されるポリマーセグメントと同様の構造を有しスルホン酸基を含有しないポリマーセグメントと、一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるポリマーセグメントとを有する共重合体を予め合成し、この共重合体をスルホン化することにより合成することもできる。具体的には、構造単位(a)と同様の骨格を有しスルホン酸基を有さない構造単位を形成しうるモノマーおよび繰り返し単位(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)または(b−6)を形成しうるモノマーのうちいずれか一方のモノマーを予め重合して前駆体を製造し、得られた前駆体に他方のモノマーを反応させて共重合体を予め合成し、この共重合体をスルホン化することにより合成することもできる。
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を合成する際に使用されるモノマーは、例えば下記一般式(A')で表される芳香族スルホン酸エステルと
、下記一般式(B−1')、(B−2')、(B−3')、(B−4')、(B−5')また
は(B−6')で表される芳香族化合物が挙げられる。
(芳香族スルホン酸エステル)
本発明で用いられる芳香族スルホン酸エステルは、下記一般式(A')で表される。
Figure 2006096989
一般式(A')において、Xは上記一般式(A)中のXと同義であり、kおよびlは上
記一般式(A)中のkおよびlと同義である。
一般式(A')において、Rは炭化水素基、好ましくは炭素原子数4〜20の炭化水素
基を示し、具体的にはtert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基などが挙げられる。
一般式(A')において、R'およびR''は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除くハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アル
キル基またはアリール基を示す。)で表される基を示す。
Zが示すアルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられ、フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、p−
トリル基などが挙げられる。
上記一般式(A')で表される芳香族スルホン酸エステルとしては、例えば以下のよう
な化合物が挙げられる。
Figure 2006096989
Figure 2006096989
また、上記一般式(A')で表される芳香族スルホン酸エステルとして、上記化合物に
おいて塩素原子が塩素原子以外の他のハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはア
ルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)に置き換わった化合物、上記化合物において−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、上記化合物において塩素
原子が塩素原子以外の他のハロゲン原子または−OSO2Zに置き換わり、かつ−CO−
が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
本発明では、上記化合物においてパラ二置換である官能基が、メタ二置換またはオルト二置換である化合物を例示することもできる。このような化合物を用いることにより、共重合体の主鎖骨格にメタ位またはオルト位で結合された構造を導入することができる。
これらのエステル基は1級のアルコール由来で、分岐状、脂環式構造などの嵩高い置換基が、重合工程中での安定性の観点から好ましい。
(芳香族化合物)
本発明で用いられる芳香族化合物は、下記一般式(B−1')、(B−2')、(B−3')、(B−4')、(B−5')または(B−6')で表される。
Figure 2006096989
一般式(B−1')、(B−2')、(B−3')、(B−4’)、(B−5')および(B−6’)において、R1〜R48、W、QおよびJは、上記一般式(B−1)、(B−2
)、(B−3)、(B−4)、(B−5)および(B−6)中のR1〜R48、W、Qおよ
びJと同義であり、rは上記一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)および(B−6)中のrと同義である。また、R'およびR''は、上記一般式
(A')中のR'およびR''と同義である。
本発明では、芳香族からなる主鎖骨格に特定の構造単位を導入することで、従来の芳香族系固体電解質の熱的、機械的特性、伝導特性に加えて、ホットプレス加工における電極との接合性や加工性を付与できることを特徴としている。
上記一般式(B−1')、(B−2')、(B−3')、(B−4’)、(B−5')および(B−6')で表される芳香族化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙
げられる。
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
上記一般式(B−1')、(B−2')、(B−3')、(B−4')、(B−5')また
は(B−6')で表される芳香族化合物は、例えば以下に示す方法で合成することができ
る。
まずビスフェノールをビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメ
チルスルホキサイドなどの誘電率の高い極性溶媒中で、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などのアルカリ金属化合物を加える。通常、アルカリ金属等はビスフェノールの水酸基に対し、過剰気味で反応させ、通常、1.1〜2倍当量を使用する。好ましくは、1.2〜1.5倍当量の使用である。
この際、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、電子吸引性基で活性化された芳香族ジハライド化合物、例えば、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−クロロフルオロベンゾフェノン、3,4'−ジフルオロベンゾフェノン、3,4'−ジクロロベンゾフェノン、3,4'−クロロフルオロベンゾフェノン、2,4'−ジフルオロベンゾフェノン、2,4'−ジクロロベンゾフェノン、2,4'−クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(3−クロロフェニル)スルホン、ビス(2−クロ
ロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4−フルオロフェニル−4'−クロロフェニルスルホン、4−フルオロフェニル−3'−クロロフェニルスルホン、4−フルオロフェニル−2'−クロロフェニルスルホン、ビス(3−ニトロ−4−クロ
ロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、2,6−ジフルオロベンゾフ
ェノン、2,5−ジフルオロベンゾフェノン、2,4−ジフルオロベンゾフェノン、2,6
−ジクロロベンゾフェノン、2,5−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼンなどを反応させる。芳香族ジハ
ライド化合物は反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。活性芳香族ジハライドはビスフェノールに対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。最も好ましい方法としては、活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個ずつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
上記一般式(B−1')、(B−2')、(B−3')、(B−4')、(B−5')また
は(B−6')で表される芳香族化合物を合成する他の方法としては、特開平2−159
号公報に記載のように求核置換反応と親電子置換反応を組み合わせ、目的の電子吸引性基、電子供与性基からなる屈曲性化合物の合成方法がある。
具体的には電子吸引性基で活性化された芳香族ジハライド、例えば、ビス(4−クロロフェニル)スルホンをフェノールで求核置換反応させてビスフェノキシ置換体とする。次いで、この置換体を例えば、3−クロロ安息香酸クロリドとのフリーデルクラフト反応から目的の化合物を得る。
ここで用いる電子吸引性基で活性化された芳香族ジハライドとしては上記で例示した化合物が適用できる。またフェノール化合物は置換されていてもよいが、耐熱性や屈曲性の観点から、無置換化合物が好ましい。なお、フェノール化合物が置換されている場合はアルカリ金属塩であることが好ましく、フェノール化合物を置換する際に使用可能なアルカリ金属化合物としては上記に例示した化合物を使用できる。アルカリ金属化合物の使用量はフェノール1モルに対し、1.2〜2倍モルである。反応に際し、上述した極性溶媒や水との共沸溶媒を用いることができる。
目的の化合物を得るには、ビスフェノキシ化合物を塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸のフリーデルクラフト反応の活性化剤存在下に、アシル化剤として、クロロ安息香酸クロライドを反応させる。クロロ安息香酸クロライドはビスフェノキシ化合物に対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルの使用である。フリーデルクラフト活性化剤は、クロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1〜2倍当量使用する。反応時間は15分〜10時間の範囲で、反応温度は−20℃から80℃の範囲である。使用溶媒は、フリーデルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどを用いることができる。
また、一般式(B−1')、(B−2')、(B−3')、(B−4')、(B−5')ま
たは(B−6')において、rが2以上である芳香族化合物は、例えば、一般式(B')において電子供与性基Qであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノール、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン
、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニルフェニル)フルオレン、2−フェニルフェノール、4,4'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、4,4'−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)ジフェニルメタン、4,4'−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニルフェニル
)ジフェニルメタン、2−フェニルヒドロキノン、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、2,5−ジメチル
レゾルシノール、4−エチルレゾルシノール、2,2'−ビフェノール、3,3'−ビフェノール、2,4'−ビフェノール、3,4'−ビフェノール、2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2'−メチリデンビス(4−メチルフェノール)、2,4'−メチリデンビス(4−メチルフェノール)、2,4'−エチリデンビス(4−メチルフェノール)、2,2'−イソプロピリデンビスフェノール、2,3'−イソプロピリデンビスフェノール、2,4'−イソプロピリデンビスフェノール、3,3'−メチリデンビス(1,1'−ビフェニル−4−オール)、9,9'−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)フルオレンなどのビスフェノールのアルカリ金属塩と過剰の4,4'−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホンなどの上記活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応をN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、
スルホランなどの極性溶媒存在下で前記単量体の合成手法に準じ重合して得られる。
このような芳香族化合物の例示としては、下記式で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
Figure 2006096989
上記一般式(B−1')、(B−2')、(B−3')、(B−4')、(B−5')また
は(B−6')で表される芳香族化合物は、単独もしくは組み合わせて使用することがで
きる。
(スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の合成)
上述したモノマー単位(前駆体を含む)からスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を合成する際には、触媒の存在下で重合を行う。使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
ここで、遷移金属塩としては、具体的には、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。中でも、特に塩化ニッケル、臭化ニッケルが好ましい。
また、配位子成分としては、具体的には、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが
挙げられる。中でも、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、配位子が配位された遷移金属錯体としては、具体的には、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ビス(1,5−
シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。中でも、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
上記触媒系に使用することができる還元剤としては、具体的には、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。中でも、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることによって、さらに活性化して用いることができる。
また、上記触媒系において使用することのできる「塩」としては、具体的には、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物;フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。中でも、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、重合に用いられるモノマー単位1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となることがあり、一方、100モルを超えると、分子量が低下することがある。
また、還元剤の使用割合は、重合に用いられるモノマー単位1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行しないことがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
さらに、「塩」を使用する場合、その使用割合は、重合に用いられるモノマー単位1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であることがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
重合溶媒としては、具体的には、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル
−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。中でも、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
重合溶媒中における、重合に用いられるモノマー単位の濃度は、通常、1〜90質量%、好ましくは5〜40質量%である。
また、重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
(スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体)
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、上記スルホン酸基を有しないポリアリーレンを加水分解して、上記一般式(A')で表される化合物中
のスルホン酸エステル基(−SO3R)をスルホン酸基(−SO3H)に転換することにより得ることができる。
加水分解は、
(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記スルホン酸基を有しないポリアリーレンを投入し、5分間以上撹拌する方法
(2)トリフルオロ酢酸中で上記スルホン酸基を有しないポリアリーレンを80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法
(3)スルホン酸基を有しないポリアリーレン中のスルホン酸エステル基(−SO3R)
1モルに対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記ポリアリーレンを80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法
などを挙げることができる。
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体は、上記一般式(A’)で表されるスルホン酸エステルと同様の骨格を有しスルホン酸エステル基を有しないモノマーと、必要に応じて上記一般式(B−1')、(B−2')、(B−3')、(B
−4')、(B−5')または(B−6')で表されるオリゴマーを共重合させることによ
りスルホン酸エステル基、スルホン酸基を有しないポリアリーレンを予め合成し、このスルホン酸エステル基、スルホン酸基を有しないポリアリーレンをスルホン化することにより合成することもできる。すなわち、上記合成方法に準じた方法によりスルホン酸基を有しないポリアリーレンを製造した後、スルホン化剤を用い、スルホン酸基を有しないポリアリーレンにスルホン酸基を導入することによりスルホン酸基を有するポリアリーレンを得ることができる。
このスルホン化の反応条件としては、スルホン酸基を有しないポリアリーレンを、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で、スルホン化剤を用い、常法によりスルホン酸基を導入することにより得ることができる。
スルホン酸基を導入する方法としては、例えば、上記スルホン酸基を有しないポリアリーレンを、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの公知のスルホン化剤を用いて、公知の条件でスルホン化することができる〔Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p.730(1993);Polymer Preprints,Japan,Vol.43,No.3,p.736(1994);Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490〜2492(1993)〕。
このスルホン化の際に用いられる溶剤としては、例えばn−ヘキサンなどの炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン系極性溶剤のほか、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応温度は特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましく
は1〜200時間である。
本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体中におけるスルホン酸基量は0.3〜5.0meq/g、好ましくは0.5〜3.0meq/g、より好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く、一方、5.0meq/gを超えると、親水性が高まり、耐溶媒性が大幅に低下してしまうため好ましくない。
上記のスルホン酸基量は、構造単位(a)を形成するモノマーと、繰り返し単位(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)または(b−6)を形成するモノマーとの使用割合、さらにモノマーの種類、組み合わせを変えることにより調整することができる。
本発明のスルホン酸基を含有するポリアリーレンブロック共重合体の前駆体、すなわちスルホン酸誘導もしくは導入前のベースポリマーの分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。1万未満では、成形フィルムにクラックが発生するなど、塗膜性が不十分であり、また強度的性質にも問題がある。一方、100万を超えると、溶解性が不十分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題がある。
スルホン酸基を有するポリアリーレンの構造は、例えば、赤外線吸収スペクトルによって、1,230〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、また、核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)により、6.8〜8.5ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。
(高分子固体電解質)
本発明の高分子固体電解質は、上述したようなスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体からなる。
本発明の高分子固体電解質は、例えば一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、直接メタノール型燃料電池用電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能である。
(プロトン伝導膜)
本発明のプロトン伝導膜は、上述したスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を、例えば溶剤に溶解して溶液とした後、キャスティングにより基体上に流延し、フィルム状に成形する方法(キャスティング法)などにより、フィルム状に成形して製造される。基体としては、通常の溶液キャスティング法に用いられる基体であれば特に限定されず、例えばプラスチック製、金属製などの基体が用いられ、好ましくは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
プロトン伝導膜を調製する際には、スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を溶解する溶媒としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラク
トン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿素、ジメチル
イミダゾリジノン(DMI)などの非プロトン系極性溶剤が挙げられ、特に溶解性、溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。非プロトン系極性溶剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を溶解させる溶媒として上記した非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いてもよい。アルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどが挙げられ、特にメタノールが幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があり好ましい。アルコールは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒として非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いる場合には、非プロトン系極性溶剤が25〜95質量%、好ましくは25〜90質量%、アルコールが5〜75質量%、好ましくは10〜75質量%の組成の混合物が用いられる。アルコールの量が上記範囲内にあると、溶液粘度を下げる効果に優れる。
スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を溶解させた溶液のポリマー濃度は、スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の分子量にもよるが、通常、5〜40質量%、好ましくは7〜25質量%である。5質量%未満では、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい。一方、40質量%を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、得られたフィルムが表面平滑性に欠けることがある。
なお、溶液粘度は、スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の分子量や、ポリマー濃度にもよるが、通常、2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。2,000mPa・s未満では、成膜中の溶液
の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがある。一方、100,000mPa・sを
超えると、粘度が高過ぎて、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
上記のようにして成膜した後、得られた未乾燥フィルムを水に浸漬することにより、未乾燥フィルム中の有機溶剤が水と置換され、得られるプロトン伝導膜の残留溶媒量を低減することができる。
なお、成膜後に未乾燥フィルムを水へ浸漬する前に、未乾燥フィルムを予備乾燥してもよい。予備乾燥は、未乾燥フィルムを通常50〜150℃の温度で、0.1〜10時間保持することにより行われる。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際には、例えば、枚葉を水に浸漬するバッチ方式が採用される。あるいは、PETなどの基板フィルム上に成膜された積層フィルムの状態で、この積層フィルムを水に浸漬させるか、または基板から分離した膜を水に浸漬させて巻き取っていく連続方式が採用される。
バッチ方式の場合には、処理フィルムを枠に嵌める方式が、処理されたフィルムの表面における皺形成が抑制される点で好ましい。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際には、未乾燥フィルム1質量部に対し、水が10質量部以上、好ましくは30質量部以上の接触比となるようにすることが好ましい。また、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量をできるだけ少なくするためには、できるだけ大きな接触比を維持するのが好ましい。さらに、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られ
るプロトン伝導膜の残存溶媒量の低減に有効である。プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることが好ましい。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の温度は、好ましくは5〜80℃である。高温ほど、有機溶媒と水との置換速度は速くなるが、フィルムの吸水量も大きくなるので、乾燥後に得られるプロトン伝導膜の表面が荒れる場合がある。置換速度と取り扱い易さを考慮すると、10〜60℃の温度範囲がより好ましい。
浸漬時間は、初期の残存溶媒量や接触比、処理温度にもよるが、通常10分〜240時間であり、好ましくは30分〜100時間である。
このように、未乾燥フィルムを水に浸漬してから乾燥すると、残存溶媒量が低減されたプロトン伝導膜が得られ、プロトン伝導膜中における残存溶媒量は、通常5質量%以下である。
また、例えば、未乾燥フィルムと水との接触比を、未乾燥フィルム1質量部に対して水が50質量部以上とし、浸漬する際の水の温度を10〜60℃、浸漬時間を10分〜10時間とすることによって、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を1質量%以下とすることができる。
以上説明したように未乾燥フィルムを水に浸漬した後、フィルムを30〜100℃、好ましくは50〜80℃で、10〜180分、好ましくは15〜60分乾燥し、次いで、50〜150℃で、0.5〜24時間、好ましくは500mmHg〜0.1mmHgの減圧下で真空乾燥することによってプロトン伝導膜が得られる。
こうして得られるプロトン伝導膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
本発明のプロトン伝導膜は、老化防止剤、好ましくは分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物を含有してもよく、老化防止剤を含有することでプロトン伝導膜としての耐久性をより向上させることができる。
このような分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物としては、具体的には、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロオネート](商品名:IRGANOX 245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、ペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート](商品名:IRGANOX 1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
(商品名:IRGANOX 1076)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(商品名:IRGAONOX 1098)、1,3,5−トリメチル
−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商
品名:IRGANOX 1330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−イソシアヌレイト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチル
エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)などが挙げられる。
これらのヒンダードフェノール系化合物は、スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体100質量部に対して0.01〜10質量部の量で使用することが好ましい。
本発明のプロトン伝導膜は、高いプロトン伝導度を保持しつつ、優れた耐熱水性や耐溶剤性、耐熱性、耐酸化性、靭性、電極接合性、加工性を示すので、家庭用電源向け燃料電池、燃料電池自動車、携帯電話用燃料電池、パソコン用燃料電池、携帯端末用燃料電池、デジタルカメラ用燃料電池、ポータブルCD、MD用燃料電池、ヘッドホンステレオ用燃料電池、ペットロボット用燃料電池、電動アシスト自転車用燃料電池、電動スクーター用燃料電池、DMFC用燃料電池等の用途に好適に使用することができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
下記実施例において、スルホン酸当量、分子量、プロトン伝導度、熱特性性、およびその他の特性の測定と評価は以下のようにして行った。
1.スルホン酸当量(IEC)
得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を、水洗水が中性になるまで洗浄してフリーの残存している酸を充分に除去した。これを乾燥した後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬としてNaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点からスルホン酸当量を求めた。
2.分子量の測定
スルホン酸基を有さないポリアリーレン、オリゴマーの数平均分子量および重量平均分子量については、基本的に溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の数平均分子量および重量平均分子量については、基本的に溶剤として臭化リチウムと燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。
3.プロトン伝導度の測定
交流抵抗は、5mm幅の短冊状のプロトン伝導膜試料(下記要領で製膜)の表面に、白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、相対湿度90%、温度85℃の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを使用し、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させて交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、以下の式:
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
によって膜の比抵抗Rを算出し、比抵抗Rの逆数からプロトン伝導度を算出した。
4.熱特性評価
合成したオリゴマーの熱特性はDSCおよびTGAにより評価した。オリゴマーのTgはDSC測定でのセカンドスキャンの値、耐熱性はTGA測定での5%重量損失温度を読み取った。試料は固体のポリマーをそのまま使用し、DSC、TGA測定ともに窒素雰囲気下、昇温速度は20℃/minで行った。
5.その他の特性評価
スルホン酸基を含有するポリマー 5.0g、NMP 20.6gおよびメタノール 1
0.3gを50ccのスクリュー管に加え、ウエーブローターで24時間攪拌を行い、均一なポリマー溶液を得た。上記の溶液をPETフィルム上にバーコーダー法によりキャストし、80℃で30分間、150℃で60分間、乾燥することで、膜厚40μmの均一且つ透明なプロトン伝導膜試料を得た。フィルムの洗浄は、pH1の塩酸水で2回、その後
pH5の水で5回洗浄することにより行い、一日風乾したものをサンプルとした。フィルムの特性としては、動的粘弾性測定の変曲点温度(‘E:周波数10Hz)、引張試験の破断強度、のびを測定した。
電極との接合性評価は、市販のカーボン電極とフィルムを140℃で5分間、75kgf/cm2の圧力でホットプレスし、その後カーボン電極を剥がしとった後の試料へのカ
ーボン電極の転写率により評価を行った。電極の転写率は処理後のサンプル表面をスキャナーで読み取り、伝導膜と電極のコントラストの面積比からおよその割合を算出した。
[合成例1]
芳香族化合物(オリゴマー)の調製
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、および窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン 73.05g(0.33
5mol)、4−クロロ−4'−フルオロベンゾフェノン 12.85g(0.055mol)、レゾルシノール 40.21g(0.365mol)、炭酸カリウム 55.52g(0.402mol)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)390mL、およびトルエン160mLを加え、オイルバスで加熱を行い、窒素雰囲気下で撹拌しながら140℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。次いで、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、5時間反応を続けた後、4−クロロ−4'−フルオロベンゾフェノン 8.57g(0.037mol)を加え、さらに150℃で2時間反応させた。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過によって除去し、濾液を2Lのメタノール中に投入した。これにより沈殿した生成物を濾別して回収し、乾燥した後、DMAc 500mLに溶解した。この溶液
をメタノール 2Lに加えて再沈殿させ、目的の化合物90.5g(収率92%)を得た
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は5,000であった。また、得られた重合体はNMP、THFに可溶であり、Tgは130
℃、熱分解温度Td5は425℃であった。
得られた重合体は下記式(I):
Figure 2006096989
で表される構造を有することが推定される。
[合成例2]
合成例1で用いたレゾルシノールの代わりに2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン
73.42g(0.367mol)、4,4'-ジフルオロベンゾフェノン 72.73g(0.333mol)、4−クロロ−4'−フルオロベンゾフェノンを反応初期分 21.30g(0.060mol)、追添分 9.30g(0.040mol)を使用し、反応は
合成例1と同様に行った。その結果目的の化合物 126g(96%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は5,
000であった。また、得られた重合体はNMP、THFに可溶であり、Tgは95℃、熱分解温度Td5は395℃であった。
得られた重合体は下記式(II):
Figure 2006096989
で表される構造を有することが推定される。
[合成例3]
合成例1で用いたレゾルシノールの代わりに1,3−ベンゼンチオール 52.20g(0.367mol)、4,4'-ジフルオロジフェニルスルホン 84.67g(0.333mol)、4−クロロ−4'−フルオロベンゾフェノンを反応初期分 21.30g(0.060mol)、追添分 9.30g(0.040mol)を使用し、反応は合成例1と
同様に行った。その結果目的の化合物 129g(96%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は1,
000であった。また、得られた重合体はNMP、THFに可溶であり、Tgは113℃、熱分解温度Td5は395℃であった。
得られた重合体は下記式(III):
Figure 2006096989
で表される構造を有することが推定される。
[合成例4]
合成例1で用いたレゾルシノールの代わりに3,3'−ジヒドロキシジフェニルエーテル
74.21g(0.367mol)、4,4'-ジフルオロベンゾフェノン 72.73g
(0.333mol)、4−クロロ−4'−フルオロベンゾフェノンを反応初期分 21.30g(0.060mol)、追添分 9.30g(0.040mol)を使用し、反応
は合成例1と同様に行った。その結果目的の化合物 126g(96%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は5,
000であった。また、得られた重合体はNMP、THFに可溶であり、Tgは102℃、熱分解温度Td5は395℃であった。
得られた重合体は下記式(IV):
Figure 2006096989
で表される構造を有することが推定される。
[合成例5]
合成例1で用いたレゾルシノールの代わりにヒドロキノン 40.21g(0.365
mol)を使用し、反応は合成例1と同様に行った。目的の化合物 87.3g(89%
)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は5,
000であった。また、得られた重合体はNMP、THFなどに加熱状態で可溶であり、Tgは155℃、熱分解温度Td5は460℃であった。
得られた重合体は下記式(V):
Figure 2006096989
で表される構造を有することが推定される。
(ポリアリーレン共重合体の合成)
合成例1で得られたオリゴマー 19.51g(3.9mmol)、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルエステル 22.51g(56.1m
mol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド 1.18g(1.8m
mol)、ヨウ化ナトリウム 0.27g(1.8mmol)、トリフェニルホスフィン 6.30g(24.0mmol)、および亜鉛末 9.41g(144mmol)を30
0mLのセパラブルフラスコに加え、乾燥窒素置換した。次いで、N−メチル−2−ピロリドン100mlをフラスコに加え、80℃に加熱し、攪拌しながら4時間重合を行った。
得られた重合溶液をNMPで希釈した後、セライトを濾過助剤に用いて濾過し、濾液を大過剰のメタノール500mlに注いで凝固、析出させた。この凝固物を濾集して風乾し、さらにNMP 200mlに再溶解し、大過剰のメタノール 1500mlに注いで凝固、析出させた。この凝固物を濾集して真空乾燥し、目的のポリアリーレン共重合体34.4g(91%)を得た。GPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は32,000、重量平均分子量は120,000であった。
(スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の合成)
上記重合体20g、リチウムブロマイド 5.2g(スルホン酸エステル基に対して2
当量を攪拌装置、温度計を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに加える。次いでN−メチル−2−ピロリドン 160mlを加え、窒素気雰囲気化にて130℃で5時間
攪拌した。得られた溶液を大量のアセトンの中に注ぎ入れ、重合体を沈殿させた。沈殿物を濾過後、10%塩酸水で二回洗浄し、次いで、洗浄水のpHが5になるまでイオン交換水で重合体の洗浄を繰り返した後、乾燥して16g(収率94%)のスルホン酸基含有重合体を得た。このスルホン酸を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は38,000、重量平均分子量は143,000であり、スルホン酸当量は1.6meq/gであった。
実施例1において、合成例1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例2で得られたオリゴマー 9.05g(1.8mmol)を使用した以外は実施例1と同様にしてスルホ
ン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は43,000、重量平均分子量は155,000であり、スルホン酸当量は1.6meq/gであった。
実施例1において、合成例1で得られたオリゴマー 9.01g(1.8mmol)、
3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルエステル 23.36g(58.2mmol)を使用した以外は実施例1と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレン共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレン共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は53,0
00、重量平均分子量は180,000であり、スルホン酸当量は2.3meq/gであ
った。
実施例1において、合成例1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例3で得られたオリゴマー19.51g(3.9mmol)を使用した以外は、実施例1と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は29,000、重量平均分子量は100,000であり、スルホン酸当量は1.6meq/gであった。
実施例1において、合成例1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例4で得られたオリゴマー19.51g(3.9mmol)を使用した以外は、実施例1と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は45,000、重量平均分子量は163,000であり、スルホン酸当量は1.6meq/gであった。
[比較例1]
実施例1において、合成例1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例5で得られたオリゴマー 9.05g(1.8mmol)を使用した以外は実施例1と同様にしてスルホ
ン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は41,000、重量平均分子量は140,000であり、スルホン酸当量は1.6meq/gであった。
上記実施例、比較例で得られた重合体についてスルホン酸当量、プロトン伝導度およびその他の特性を上述した方法で測定した。その結果を下記表に示す。
Figure 2006096989

Claims (5)

  1. 下記一般式(A)で表されるイオン伝導性成分を有するポリマーセグメントと、下記一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるポリマーセグメントから選ばれる少なくとも1種以上のイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメントからなることを特徴とするスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体;
    Figure 2006096989
    (式(A)中、Xは単結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CF2p−(ここで
    、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−CH2−、−C(CH32−、−
    O−または−S−を示し、mは0〜10の整数を示し、mが1〜10である場合にはXは互いに同一でも異なっていてもよく、kは0〜5の整数を示し、lは0〜4の整数を示し、k+l≧1であり、nは正の整数を示し、ポリマーセグメントを構成する構造単位において、k同士、l同士、m同士、X同士はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 2006096989
    (式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)および(B−6)中、R1〜R48は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基
    、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Wは単結合、−CO−、−SO2−、−SO−、
    −CONH−、−COO−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)または−C(CF32−を示し、Qは単結合、−O−、−S−、−CH=CH−または−C≡C−を示し、Jは単結合、アルキレン基、フッ素置換アルキレン基、アリール置換アルキ
    レン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−COO−、−SO−または−SO2−を示し、r
    は正の整数を示す。)。
  2. 0.3〜5.0meq/gの範囲のイオン交換容量を含有することを特徴とする請求項1に記載のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体。
  3. 請求項1に記載の一般式(A)で表されるポリマーセグメントの構造単位を形成しうるモノマーと、請求項1に記載の一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)または(B−6)で表されるポリマーセグメントの構造単位を形成しうるモノマーのうちいずれか一方を重合して前駆体を製造し、得られた前駆体に他方のモノマーを反応させて請求項1または2に記載のポリアリーレンブロック共重合体を得ることを特徴とするスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体からなることを特徴とする高分子電解質。
  5. 請求項1または2に記載のスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を含むことを特徴とするプロトン伝導膜。
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