JP2006096852A - 水系ポリウレタン樹脂エマルション - Google Patents

水系ポリウレタン樹脂エマルション Download PDF

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Abstract

【課題】 人工皮革用のエマルションとして使用した際に溶剤系ポリウレタン樹脂に比べて人工皮革の強度、耐摩耗性、風合いおよび通気性が改善された水系ポリウレタン樹脂エマルションを提供する。
【解決手段】 カルボキシレート基および/またはスルホネート基をポリウレタン樹脂の重量に基づいて0.01〜1.5重量%含有するポリウレタン樹脂(A)、50〜100℃の曇点を有するノニオン性界面活性剤(B)並びに水性媒体を必須成分とし、(A)を構成する高分子ポリオールのうちの少なくとも1種が−50℃〜+30℃の流動点を有する共重合ポリカーボネートジオールであることを特徴とする水系ポリウレタンエマルションである。
【選択図】なし

Description

本発明は水系ポリウレタン樹脂エマルションに関し、さらに詳しくはポリオールとしてポリカーボネートジオールを使用するポリウレタン樹脂エマルション、該エマルションを用いて得られる皮革様シート用材料、ならびに皮革様シートに関する。
近年、人工皮革用ウレタン樹脂としてVOC削減の法規制強化の観点から、従来の溶剤系ポリウレタンから水系のエマルションへの移行が進んでいる。また、衣料用に加え、自動車用、家具用など、より耐久性の必要とされる用途へ拡大するために、ポリウレタンのさらなる耐久性(耐加水分解性、耐熱性、耐光性)が望まれている。この様な高耐久化のため、最近、ポリカーボネートジオールを用いた水系ポリウレタン樹脂エマルションが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開平5−32756号公報 特開平7−41539号公報 特許第3201532号公報
しかしながら、上記文献1〜3に提案されている水系ポリウレタン樹脂エマルションは、人工皮革用のエマルションとして使用した際に溶剤系ポリウレタン樹脂に比べて人工皮革の強度、耐摩耗性、風合いおよび通気性が劣るといった欠点があった。
本発明者らは、この課題を解決すべく、鋭意検討した結果本発明に至った。
すなわち、本発明は、カルボキシレート基および/またはスルホネート基をポリウレタン樹脂の重量に基づいて0.01〜1.5重量%含有するポリウレタン樹脂(A)、50〜100℃の曇点を有するノニオン性界面活性剤(B)並びに水性媒体を必須成分とし、(A)を構成する高分子ポリオールのうちの少なくとも1種が−50℃〜+30℃の流動点を有する共重合ポリカーボネートジオールであることを特徴とする水系ポリウレタンエマルション(E);該エマルションを繊維材料基体に付与した後、感熱凝固させて得られる皮革様シート用材料;並びに該皮革様シート用材料をさらに後加工処理して得られる皮革様シート;である。
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルションを用いた皮革用シートは、エマルションを繊維材料基体に付与し感熱凝固する際、ポリウレタン樹脂が繊維に均一に付着し易いので、優れたシート強度および耐摩耗性を有し、天然皮革に近似した良好な風合いと通気性を有している。
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルション(E)を構成するポリウレタン樹脂(A)は、カルボキシレート基(−COO-)及び/又はスルホネート基(−SO3 -)を、該(A)の重量に基づいて通常0.01重量%以上、好ましくは0.03%以上(以下において、特に限定しない限り、%は重量%を表す)、さらに好ましくは0.05%以上含有し、通常1.5%以下、好ましくは0.75%以下、さらに好ましくは0.50%以下含有する。カルボキシレート基及び/又はスルホネート基の含有量が0.01%未満では安定なエマルションが得られず、1.5%を超えると形成樹脂皮膜の耐水性が低下する傾向となる。
(A)中のカルボキシレート基およびスルホネート基の含量は、(E)の3〜10gを130℃で45分間シャーレ上で加熱乾燥して得られるフィルム状残査を50℃のメタノールに1時間浸せきすることにより、ポリウレタン樹脂以外の成分を抽出除去し、さらにジメチルホルムアミドに溶解し、JIS−K0070記載の方法(電位差滴定法)で測定される酸価から算出できる。
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルション(E)の代表的な製造法は、例えば、以下のような方法である。
先ず、有機ジイソシアネート(a1)、高分子ポリオール(a2)、カルボキシル基(−COOH)および/またはスルホン基(−SO3H)含有ポリオールもしくはその塩(a3)並びに必要に応じて鎖伸長剤(a4)および/または停止剤(a5)を反応させてウレタンプレポリマー(A0)を製造する。
その後、必要によりカルボキシル基および/またはスルホン基を中和剤(a6)で中和してウレタンプレポリマー中和物(A1)を形成し、該(A1)を、(B)を含む水性媒体に分散させて、さらに必要により鎖伸長剤(a4)を加えて鎖伸長して、本発明のエマルションが得られる。
この場合、(a2)のうちの少なくとも1種が−50℃〜+30℃の流動点を有する共重合ポリカーボネートジオール(a21)である。
以下において、ウレタンプレポリマー(A0)およびその中和物(A1)について説明する。
(a1)としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。(a1)には炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性体(カーボジイミド変性体、ウレタン変性体、ウレトジオン変性体など)およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(以下TDIと略記)、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと略記)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはMDI、TDI、イソホロンジイソシアネートおよび4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
本発明における(a2)のうちの少なくとも1種として使用される共重合ポリカーボネートジオール(a21)は、流動点が−50℃〜+30℃、好ましくは−40℃〜+20℃、さらに好ましくは−30℃〜+10℃のものである。流動点が+30℃を超えると、得られるエマルションの乾燥皮膜の強度および耐摩耗性が不十分であり、さらには風合いが劣る。また、−50℃未満であると得られる乾燥皮膜の耐熱性の点で不十分である。
本発明における流動点はJIS K2269の方法で測定できる。
(a21)としては、炭素数4〜12、好ましくは炭素数6〜10、さらに好ましくは炭素数6〜9のアルキレン基を有するアルキレンジオールの2種または3種以上、好ましくは2種と、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネートおよび炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネートなど)から、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造される共重合ポリカーボネートジオールが挙げられる。
炭素数4〜12のアルキレン基を有するアルキレンジオールとしては、直鎖アルキレンジオール(例えばテトラメチレンジオール、ペンタメチレンジオール、ヘキサメチレンジオール、ヘプタメチレンジオール、オクタメチレンジオール、ノナメチレンジオール、デカメチレンジオール、ドデカメチレンジオールなど)および分岐アルキレンジオール(例えば、2−メチルブタンジオール、2−エチルブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチルペンタンジオール、3−メチルペンタンジオール、2−エチルペンタンジオール、3−エチルペンタンジオール、2−メチルヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、3−メチルヘキサンジオール、2−エチルヘキサンジオール、3−エチルヘキサンジオール、2−メチルヘプタンジオール、3−メチルヘプタンジオール、4−メチルヘプタンジオール、2−エチルヘプタンジオール、3−エチルヘプタンジオール、4−エチルヘプタンジオール、2−メチルオクタンジオール、3−メチルオクタンジオール、4−メチルオクタンジオール、2−エチルオクタンジオール、3−エチルオクタンジオール、4−エチルオクタンジオール、2−メチルノナンジオール、3−メチルノナンジオール、4−メチルノナンジオール、5−メチルノナンジオール、2−エチルノナンジオール、3−エチルノナンジオール、4−エチルノナンジオール、5−エチルノナンジオールなど)が挙げられる。
これらの内、柔軟な樹脂物性を示し、人工皮革に用いた際に優れた風合い、品位を与えることができる点から、好ましいのは、炭素数4〜9の直鎖および分岐アルキレンジオール、分岐アルキレンジオールのうちでさらに好ましいのはメチル分岐を有するもの、例えば2−メチルペンタンジオール、3−メチルペンタンジオール、2−メチルヘキサンジオール、3−メチルヘキサンジオール、2−メチルヘプタンジオール、3−メチルヘプタンジオール、4−メチルヘプタンジオール、2−メチルオクタンジオール、3−メチルオクタンジオールおよび4−メチルオクタンジオールなどであり、特に好ましいのは、直鎖のものではテトラメチレンジオール、ペンタメチレンジオール、ヘキサメチレンジオールおよびノナメチレンジオール、分岐のものでは3−メチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオールである。
(a21)に使用されるアルキレンジオールの組み合わせは上記のジオールの任意の2種以上を組み合わせることができ、それらのモル比も特に限定されないが、特に好ましい組み合わせはテトラメチレンジオール/ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/ヘキサメチレンジオール、および2−メチル−1,8−オクタンジオール/ノナメチレンジオールである。
好ましい共重合ポリカーボネートジオールの具体例としては、ポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(モル比=50/50〜90/10、流動点=−5℃〜+5℃)、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(モル比50/50〜98/2、流動点=−20℃〜−50℃)、およびポリ(2−メチル−1,8−オクタン/ノナメチレン)カーボネートジオール(モル比=50/50〜95/5、流動点=−15℃〜−50℃)である。
(a21)の数平均分子量(以下において、Mnと略記)の下限は通常150、好ましくは500、さらに好ましくは1,000であり、上限は通常30,000、好ましくは20,000、さらに好ましくは10,000、特に好ましくは3,000である。
(a21)のMnは水酸基価より求められ、水酸基価は、JIS−K0070−1992(電位差滴定方法)に規定された方法で測定できる。
(a21)の水酸基当量(Mnと水酸基価から算出される、水酸基1個当たりのMn)の下限は通常150、好ましくは250、さらに好ましくは500であり、上限は通常15,000、好ましくは10,000、さらに好ましくは5,000、特に好ましくは1,500である。
高分子ポリオール(a2)としては、必要により(a21)以外のその他の高分子ポリオール(a22)を併用することができる。、
(a22)としては、ポリエーテルポリオール(a221)、ポリエステルポリオール(a222)、および(a21)以外のポリカーボネートジオール(a223)などが挙げられる。
(a221)としては、脂肪族ポリエーテルポリオールおよび芳香族環含有ポリエーテルポリオールが挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族低分子量活性水素原子含有化合物(水酸基当量が30以上150未満の2価〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール、および活性水素原子含有基として1級もしくは2級アミノ基を含有する化合物)のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物が使用できる。
AOが付加される脂肪族多価アルコールには、直鎖もしくは分岐の脂肪族2価アルコール[(ジ)エチレングリコール、(ジ)プロピレングリコール、1,2−,1,3−,2,3−および1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ オール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールお よび1,12−ドデカンジオールなど]および脂環式2価アルコール[環状基を有する低分子ジオール、たとえば 特公昭45−1474号公報記載のもの]、脂肪族3価アルコール[グリセリン、トリメチロールプロパン、トリアルカノールアミンなど]、および脂肪族4価以上のアルコール[ペンタエリスリトール、ジグリセリン、トリグリセリン、ジペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ソルバイドなど]が挙げられる。
AOが付加される1級もしくは2級アミノ基を含有する化合物としては、アルキル(炭素数1〜12)アミン、および(ポリ)アルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数2〜6、アルキレン基の数1〜4、ポリアミンの数2〜5)などが挙げられる。
芳香族環含有ポリエーテルポリオールとしては芳香族低分子量活性水素原子含有化合物(水酸基当量が30以上150未満の2価〜8価またはそれ以上の、フェノール類および芳香族アミン)のAO付加物が使用できる。
AOが付加されるフェノール類としては、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど、芳香族アミンとしてはアニリンおよびフェニレンジアミンなどが挙げられる。
AO付加物の製造に用いるAOとしては、炭素数2〜12またはそれ以上のAO、例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−、2,3−および1,3−ブチレンオキサイド、 テトラヒドロフラン(THF)、α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド、エピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)、およびこれらの2種以上の併用(ランダムおよび/またはブロック)が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシエチレンポリオール[ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)など]、ポリオキシプロピレンポリオール[ポリプロピレングリコール(以下PPGと略記)など]、ポリオキシエチレン/プロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
芳香族環含有ポリエーテルポリオールとしては、ビスフェノール骨格を有するポリオール、例えばビスフェノールAのEO付加物[ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物、ビスフェノールAのEO20モル付加物等]およびビスフェノールAのPO付加物[ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物、ビスフェノールAのPO5モル付加物等]、並びにレゾルシンのEOもしくはPO付加物などが挙げられる。
ポリエステルポリオール(a222)としては、縮合型ポリエステル、ポリラクトンポリオールおよびヒマシ油系ポリオールが挙げられる。
縮合型ポリエステルは、低分子量(通常Mn300未満)の多価アルコールと多価カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とのポリエステルである。
低分子量の多価アルコールとしては、前述の水酸基当量が30以上150未満の2価〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコールおよび水酸基当量が30以上150未満の2価〜8価またはそれ以上のフェノールのAO低モル付加物が使用できる。
多価カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸 、フマル酸、マレイン酸など)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など)および3価またはそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸など)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライドなど)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル、フタル酸ジメチルなど)およびこれらの併用が挙げられる。
縮合型ポリエステルとしては、例えばポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオールなどが挙げられる。
ポリラクトンポリオールは、低分子量多価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4〜12のラクトンが使用でき、例えば4−ブタノリド、5−ペンタノリドおよび6−ヘキサノリドなどが挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオールなどが挙げられる。
ヒマシ油系ポリオールは、ヒマシ油およびポリオールもしくはAOで変性されたヒマシ油が含まれる。
変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル交換および/またはAO付加により製造できる。ひまし油系ポリオールとしては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油、ヒマシ油のEO(4〜30モル)付加物などが挙げられる。
(a21)以外のポリカーボネートジオール(a223)としては、流動点が+30℃を超えるポリカーボネートジオール、例えば、前述の直鎖または分岐アルキレンジオールの1種のみから構成されるポリカーボネートジオール(例えばポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリオクタメチレンカーボネートジオール、ポリノナメチレンカーボネートジオールなど)が挙げられる。
高分子ポリオール(a22)のMnおよび水酸基当量は、前述の(a21)で挙げた範囲と同様であり、好ましい範囲も同様である。
(a21)と(a22)の併用の場合の、(a21)に対する(a22)の重量割合[(a22)/(a21)]は、ポリウレタン樹脂エマルションの耐久性(耐加水分解性、耐光性、耐熱性など)の観点から好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0または0.1以下、特に0である。
カルボキシル基および/またはスルホン基含有ポリオールもしくはその塩(a3)は、ポリウレタン樹脂を水中に自己乳化させることを目的として、カルボキシレート基またはスルホネート基導入のために使用される成分である。
(a3)としては、カルボキシル基含有ポリオール(a31)[ジアルキロールアルカン酸{炭素数6〜24のもの、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(以下、DMPAと略記)、2,2−ジメチロールブタン酸、2 ,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸など}]、並びにスルホン基含有ポリオール(a32)[スルホン酸ジオール{3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸など}およびスルファミン酸ジオール{N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸およびそのAO付加物}]が挙げられる。
(a3)における塩としては、例えばアンモニウム塩、アミン塩[炭素数1〜12の1級アミン(1級モノアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびオクチルアミン)塩、2級モノアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびジブチルミン)塩、3級モノアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン等の脂肪族3級モノアミン;N−メチルピペリジンおよびN−メチルモルホリン等の複素環式3級モノアミン;ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン;およびN−ジメチルアニリン等の芳香環含有3級モノアミン)塩]、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムおよびリチウムカチオン)塩、並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
塩のうち好ましいものはアミン塩、さらに好ましいものは脂肪族3級モノアミン塩であり、特に好ましいものはトリエチルアミン塩である。
伸長剤(a4)としては炭素数2〜10のジアミン類(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンおよびトルエンジアミンなど);ポリアミン類(例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなど);ヒドラジンもしくはその誘導体(二塩基酸ジヒドラジドたとえばアジピン酸ジヒドラジドなど);炭素数2〜15の多価アルコール類[前述の2価アルコール、3価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなど)、これらの多価アルコールのEOおよび/またはPO低モル付加物(分子量500未満)]などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、エチレンジアミンおよびイソホロンジアミンである。
停止剤(a5)としては炭素数1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、セロソルブ類およびカービトール類など)、
炭素数1〜10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、モノオクチルアミン、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンなど)が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、モノエチルアミン、モノブチルアミンおよびモノエタノールアミンである。
(a3)が塩ではなくて、カルボキシル基および/またはスルホン基含有ポリオールの場合は、中和剤(a6)を使用してカルボキシル基および/またはスルホン基を中和してカルボキシレート基および/またはスルホネート基とすることができる。
(a6)としては、前述の対イオンとして挙げたカチオンを形成するアルカリ性化合物が挙げられ、例えばアンモニア、アミン[炭素数1〜12の1級アミン(1級モノアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびオクチルアミン)、2級モノアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびジブチルミン)、3級モノアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン等の脂肪族3級モノアミン;N−メチルピペリジンおよびN−メチルモルホリン等の複素環式3級モノアミン;ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン;およびN−ジメチルアニリン等の芳香環含有3級モノアミン)]、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムおよびリチウムカチオン)、アルカリ金属水酸化物、並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
これらのうち好ましいものはアミン、さらに好ましいものは脂肪族3級モノアミンであり、特に好ましいものはトリエチルアミンである。
また、ウレタン化反応においては反応を促進させるため、必要により通常のウレタン反応に使用される触媒を使用してもよい。触媒には、アミン触媒、たとえばトリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンおよび米国特許第4524104号明細書に記載のシクロアミジン類[1,8−ジア ザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(サンアプロ・製造、DBU)など];錫系触媒、たとえばジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレートおよびオクチル酸錫;チタン系触媒、たとえばテトラブチルチタネート等が挙げられる。
必要により行われる中和における(a6)の使用量は、カルボキシル基およびスルホン基の合計に基づいて、通常20〜200モル%、好ましくは30〜150モル%である。(a6)の使用量が30%以上の場合にはエマルションの保存安定性の点で好ましく、150%以下の場合にはエマルションの粘度の観点で好ましい。
なお、ウレタンプレポリマー(A0)の製造時に(a4)、(a5)および/または前述の触媒としてアミン類を使用する場合であっても、これらのアミン類は(a6)の使用量には含めて計算されない。
(A0)およびその中和物(A1)の製造方法は、例えば、分子内に活性水素含有基を含まない有機溶剤(アセトン、メチルエチケトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等)の存在下または非存在下で、(a1)と、(a2)および(a3)[必要により(a4)および/または(a5)を含む]からなる活性水素成分とを、(NCO/水酸基)当量比が、通常1.05〜2.0、好ましくは1.1〜1.6の範囲でワンショット法または多段法により、ウレタン化反応させて、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーとし、必要により該プレポリマーを(a6)で中和して(A1)を得る方法が挙げられ、この方法が好ましい。
その他、(NCO/水酸基)当量比が、0.5〜0.99の範囲の場合は末端NCO基を含まないウレタンポリマーが得られ、さらに必要により(a6)で中和して(A1)を得る方法が挙げられる。
また、(a3)を含まずに(NCO/水酸基)当量比が2.0〜1.3の範囲で反応させ、末端NCO基を含むウレタンポリマーとし、これに(a3)を(a6)で中和したものを(NCO/水酸基)当量比が1.5〜1.0の範囲で反応させて(A1)を得ることもできる。
ウレタン化反応の温度は通常20℃〜150℃、好ましくは60℃〜110℃である。
なお、本発明における(A)中のカルボキシレート基および/またはスルホネート基を0.0〜1.5重量%とするためには、上記製造方法における(a3)の仕込み重量は下記の計算式(1)を満たすことが好ましい。
Figure 2006096852
本発明のポリウレタン樹脂エマルション(E)において必須成分であるノニオン性界面活性剤(B)としては以下のノニオン性界面活性剤のうちの曇点が50〜100℃のものが挙げられ、好ましいのは曇点が55〜95℃、さらに好ましいのは60〜90℃のものである。
(B)の曇点がが50℃未満では、エマルションを長期に保存した場合に、凝固物が発生するなどの保存安定性に問題を生じる。一方曇点が100℃を越えると、ポリウレタンの水に対する親和性が大きくなりすぎるため、エマルションが感熱凝固しにくくなる。
曇点はノニオン性界面活性剤の1%水溶液を撹拌下で昇温し、白濁する温度を読みとることによって測定できる。
(B)としては、ポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤、例えば脂肪族アルコール(炭素数8〜24)EOおよび/またはPO付加物(p=1〜100;以下、重合度をpと略記する)[オレイルアルコールEO11〜16モル付加物(曇点78〜93℃)、ラウリルアルコールEO8〜11モル付加物(曇点70〜98℃)など];アルキル(炭素数1〜22)フェノールEOおよび/またはPO付加物(p=1〜100)[オクチルフェノールEO9.5〜14モル付加物(曇点65〜94)およびノニルフェノールEO10〜16モル付加物(曇点64〜99℃)など];アルキル(炭素数8〜24)アミンEOおよび/またはPO付加物(p=1〜100);並びに、脂肪酸(炭素数8〜24)EOおよび/またはPO付加物(p=1〜100)およびポリプロピレングリコールEO付加物(プルロニック型)[ポリプロピレングリコール(Mn=700)EO20〜30モル付加物など];が挙げられ、これらのEO付加物は少量(30モル%以下)のPOとのランダムまたはブロック付加物であってもよい。
(B)のHLBの下限は好ましくは10、さらに好ましくは11、特に好ましくは12であり、上限は好ましくは18、さらに好ましくは17、特に好ましくは16である。
(B)のHLBが10以上であれば、エマルションを長期に保存した場合でも、凝固物が発生することはなく保存安定性に問題を生じにくい。一方HLBが18以下であれば、該エマルションを加熱したときに感熱凝固しやすいので好ましい。
本発明におけるHLBは、藤本武彦著「新・界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社発行(1992年)、P128記載の下記のグリフィンの方法により算出される値である。
HLB=(親水基の重量%)×(1/5)
(B)のうち、特に好ましいのは、10〜18のHLBを有するポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤であり、とりわけ好ましいのは曇点が55〜95℃のもの、最も好ましいのは曇点が60〜90℃のものである。
(B)の市販品としては以下の脂肪族アルコールEO付加物が挙げられる。
「エマルミン110」;曇点=77℃、HLB=13.2:三洋化成工業(株)製
「エマルミン140」;曇点=91℃、HLB=14.7:三洋化成工業(株)製
「ナローアクティ−N100」;曇点=63℃、HLB=13.3:三洋化成工業(株)製
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルション(E)において、(A)の重量に対する(B)の重量の比率[(B)/(A)]は、好ましくは0.01〜0.1、さらに好ましくは0.02〜0.8である。
0.01以上であれば得られるエマルションの安定性の観点から好ましく、0.1以下であれば耐水性の観点から好ましい。
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルション(E)の製造法は通常の方法でよく、特に限定されないが、たとえば下記の方法が例示できる。
本発明における(A1)から、(A1)のエマルションを製造する方法は、自己乳化のみによる製造(プレポリマー中のカルボキシレート基および/またはスルホネート基の乳化機能を利用する方法)、または強制乳化(別途、乳化剤を使用して、乳化剤の乳化機能を利用する方法)との併用による製造のいずれでもよい。
自己乳化のみによる製造の場合は、エマルション製造工程では乳化剤を使用する必要がなく、(A1)のエマルション製造後、もしくはその後の鎖伸長反応後に、(B)を配合するのみでよい。
一方、強制乳化との併用による製造の場合は、(A1)のエマルション製造時に乳化剤を使用する。
乳化剤は、(A1)に添加して(A1)と乳化剤の混合物を水性媒体に投入してもよいが、乳化剤が(A1)と反応性の場合には、好ましいのは乳化剤を水性媒体溶液として、該水性媒体溶液と(A1)を乳化する方法である。
乳化剤としては、上記(B)を単独で使用しても、またはその他の乳化剤と併用してもよい。
その他の乳化剤としては下記の界面活性剤(a7)を使用することができる。
(a7)としては下記のノニオン性界面活性剤(a71)、アニオン性界面活性剤(a72)、カチオン性界面活性剤(a73)および両性界面活性剤(a74)が挙げられ、例えば米国特許第3929678号および米国特許第4331447号明細書に記載のものが挙げられる。これらの2種以上を併用することもできる。
(a71)としては、下記のノニオン性界面活性剤のうち、50℃未満もしくは100℃を超える曇点を有するものが挙げられる。
ポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤、アルキルフェノールEOおよび/またはPO付加物、アルキルアミンEOおよび/またはPO付加物、脂肪酸EOおよび/またはPO付加物およびポリプロピレングリコールEO付加物;多価アルコール型ノニオン性界面活性剤;多価アルコール型ノニオン性界面活性剤、例えば多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[グリセリンモノステアレートおよびソルビタンモノラウレート等];並びに脂肪酸(炭素数8〜24)アルカノールアミド[ 1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドおよび1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]。
(a72)としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸またはその塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステルもしくはエーテル硫酸エステルおよびそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、など];炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を1個もしくは2個有 するスルホコハク酸塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステルもし くはエーテルリン酸エステルおよびそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム等];および炭素数8〜24の炭化水素基を有する アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
(a73)としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルト リメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等];およびアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、オレイルアミン乳酸塩等]が挙げられる。
(a74)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等];およびアミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
(a7)の使用量は、(B)の重量に基づいて好ましくは200%以下、更に好ましくは100%以下である。特に好ましくは30%以下である。
(A1)のエマルションにおいて、分散媒として用いられるものは、通常、水および親水性有機溶剤が挙げられ、親水性有機溶剤としては、水に対する溶解度が30以上/100g水のもの、例えば1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコールおよびジエチレングリコールなど)、3価以上のアルコール(グリセリンなど)、セロソルブ類(メチルおよびエチルセロソルブなど)が挙げられる。分散媒のうち、好ましいものは水である。親水性有機溶剤を併用する場合は、通常、分散媒合計に基づいて、親水性有機溶剤は10%以下が好ましい。
(A1)のエマルションの製造において、分散媒との混合・乳化工程で使用できる装置は特に限定されず、例えば下記の方式の乳化機が挙げられる:1)錨型撹拌方式、2)回転子−固定子式方式[例えば「エバラマイルダー」(荏原製作所製)]、3)ラインミル方式[例えばラインフローミキサー]、4)静止管混合式[例えばスタティックミキサー]、5)振動式[例えば「VIBRO MIXER」(冷化工業社製)]、6)超音波衝撃式[例えば超音波ホモジナイザー]、7)高圧衝撃式[ 例えばガウリンホモジナイザー(ガウリン社)]、8)膜乳化式[例えば膜乳化モジュール]、および9)遠心薄膜接触式[例えばフィルミックス]。これらのうち、好ましいのは、1)、2)および9)である。
本発明における(A1)のエマルションの固形分濃度(水性媒体以外の成分の濃度)は、通常20〜70%、好ましくは30〜60%である。
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルション(E)は、(A1)のエマルションを、必要により(a4)および/または(a5)を含む水と混合して、NCO基がなくなるまで鎖伸長反応を行い、必要により有機溶剤を溜去する方法により得られる。
鎖伸長反応の温度は通常10℃〜60℃、好ましくは20℃〜40℃である。
(E)において、分散媒として用いられるもの、および分散媒との混合工程で使用できる装置は、(A1)のエマルションで挙げたものと同様である。
本発明の(E)に含まれる(A)のMnはゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記)により測定することができる。
非架橋型(熱可塑性)の(A)の場合には通常2,000 〜2,000,000またはそれ以上、好ましくは10,000〜1,500 ,000とくに100,000〜500,000である。架橋型の(A)は上記範囲より高いMnのもの、GPCで測定できない高いMnのものでもよい。
(E)における(A)の体積平均粒子径は0.01μm〜1.5μmが好ましい。さらに好ましくは0.02μm〜1.0μm、特に0.1〜1.0μmである。平均粒子径は、大塚電子株式会社製、ELS−800型電気泳動光散乱光度計を用いて測定できる。
本発明の(E)は、必要により水溶性無機塩(C)を含有してもよい。(C)としては、25℃の水に対する溶解度が1以上、好ましくは10以上の下記の無機塩が挙げられる。
(C)はエマルションを感熱凝固させる作用を有しており、例えば以下のものが挙げられる。
アルカリ金属塩(C1);
アルカリ金属水酸化物[水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム]、アルカリ金属炭酸塩[炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸リチウム]、アルカリ金属硫酸塩[硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウム]、アルカリ金属硝酸塩[硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウム]、アルカリ金属リン酸塩[リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムおよびリン酸カリウム]、アルカリ金属亜硫酸塩[亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよび亜硫酸カリウム]およびアルカリ金属ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素もしくはフッ素)化物[塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウムおよびフッ化カリウム]など、
アルカリ土類金属塩(C2);
アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム、バリウムおよびストロンチウムなど)水酸化物[水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化ストロンチウム]、アルカリ土類金属炭酸塩[炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウム]、アルカリ土類金属硫酸塩[硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウム]、アルカリ土類金属硝酸塩[硝酸カルシウムおよび硝酸マグネシウム]、アルカリ土類金属リン酸塩[リン酸水素カルシウムおよびリン酸水素マグネシウム]、アルカリ土類金属亜硫酸塩[亜硫酸カルシウムおよび亜硫酸マグネシウム]およびアルカリ土類金属ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素もしくはフッ素)化物[塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウムおよびフッ化マグネシウム]など、
アンモニウム塩(C3);
ハロゲン化物(塩化アンモニウムおよび臭化アンモニウムなど)。
これらのうち、エマルションが比較的長期の保存安定性を得られやすいという観点から好ましいのは(C1)および(C2)、特に硫酸ナトリウムおよび塩化カルシウムである。
本発明の(E)は、必要により増粘剤(D)を含有してもよい。(D)としては、従来使用されているものは全て好適に用いることが出来、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシヒドロキシアルキルセルロース、硫酸化セルロース、リン酸化セルロース、若しくはこれらの誘導体などのセルロース誘導体などのセルロース由来のもの、デンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、デンプン水素添加物などのデンプン由来のもの、ポリデキストロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びこれらの共重合体の金属塩、ポリアクリルアミドなどの水溶性ポリビニル化合物及びその誘導体、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリウレタン樹脂オリゴマー及びこれらの混合物などが挙げられる。これらのうち好ましいのはカルボキシアルキルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースである。
本発明の(E)は、必要により酸化チタンなどの着色剤、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など)や酸化防止剤[4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−1−ブチルフェノール)などのヒンダートフェノール;トリフェニルホスファイト、トリクロルエチルホスファイトなどの有機ホスファイトなど]などの各種安定剤、架橋剤(ポリエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物など)、無機充填剤(炭酸カルシウムなど)などを添加させることができる。
これら各添加剤の合計量は(A)の重量に対して5重量部以下が好ましい。さらに好ましくは0.1重量部以上3重量部以下である。
本発明の(E)は、固形分濃度(水性媒体以外の成分の濃度)は通常5〜70%、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは15〜50%である。
また、本発明の(E)の固形分(水性媒体以外の成分)の重量に基づく、各成分の含有量は下記の通りである。
(A)は、好ましくは75〜97.9%、さらに好ましくは82〜96.8%、
(B)は、好ましくは2〜20%、さらに好ましくは3〜15%、
(C)は、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0.1〜5%、
(D)は、好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0.1〜10%である。
また、(A)+(B)に対する(C)の重量比は、好ましくは0〜0.1、エマルションの保存安定性の観点からさらに好ましくは0.001〜0.1、特に好ましくは0.005〜0.05である。
(B)に対する(C)の重量比は、好ましくは0〜0.5、さらに好ましくは0.05〜0.4である。(C)の比率が0.5以下であればエマルションの保存安定性の点で好ましく、0.05以上であれば感温凝固し易いという点で好ましい。
(A)に対する(D)の重量比は、好ましくは0〜0.1、さらに好ましくは0.001〜0.05の範囲である。(D)の重量比が0.001以上の場合は、適度な粘度となり易く、エマルション含浸時に液だれしにくく、加工適性に優れる。0.05以下であれば、樹脂強度が低下しないので結果的に皮膜強度が低下しない。
本発明の(E)は、100℃の飽和水蒸気で感熱凝固させ、さらに乾燥させて得られるフィルムの破断強度は好ましくは1〜50MPa、さらに好ましくは2〜40MPaである。
上記フィルムは以下の方法により作成することができる。
ガラス製シャーレにに予め固形分濃度20%に調製した(E)を静かに流し込み、全体が均一になる様に広げる。水平になる様にスチームチャンバー内に静置し、スチームチャンバー内を100℃にする。該エマルションを5分間感熱凝固させた後、さらに120℃に温調した順風乾燥機内で20分間乾燥させる。乾燥後、室温(25℃)で24時間放置した後、ガラス板から静かに剥がすことにより厚さ200μm±50μmの樹脂フィルムを得ることができる。
破断強度の測定方法としては、以下の方法により測定できる。
3号のダンベルカッターで得られたフィルムをカットして試験片とし、これをオートグラフ{AGS−500D、島津製作所(株)製}を用い、引張速度300mm/分}で引張強度を測定する。なお、本試験は温度25℃、相対湿度65%RHの条件下で実施し、測定前には試験サンプルを同条件下で2時間以上温調することが必要である。
本発明の皮革様シート用材料の製造において使用される繊維材料基体としては、従来から繊維材料基体に用いられている不織布や編織布が用いられる。不織布としては、補強用等の目的で編織布等が内部または表面に積層されたものでもよい。
構成繊維としては、天然繊維、化学繊維のいずれでもよく、天然繊維としては綿、羊毛、絹、石綿等、化学繊維としてはレーヨン、テンセルなどの再生繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリルなどの合成繊維が挙げられる。またこれらを混合使用した繊維を適宜用いることも可能である。
本発明の(E)の繊維材料基体への付与は、含浸または塗布により行われ、通常行われる方法であればいずれでもよい。例えば繊維材料基体にエマルションを含浸し、マングル等で搾ってピックアップを調製する方法、ナイフコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング等が挙げられる。
基体に付与されたエマルションの凝固および乾燥の方法としては、例えば、(1)加熱水蒸気を吹き付けて感熱凝固したのち、乾燥装置による加熱乾燥または風乾する方法、および(2)乾燥装置中にそのまま導入して加熱凝固すると共に乾燥する方法、などを挙げることができる。
上記のうちで好ましいのは、(1)の方法である。
基体に付与されたエマルションを凝固させるための雰囲気の温度(℃)は、凝固浴の安定性およびポリウレタン樹脂の凝固を速やかに完了させるという観点から、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは60〜150℃、特に好ましくは70〜120℃である。感熱凝固させる時間は温度によって異なるが通常0.1分〜30分、好ましくは0.5分〜20分である。
凝固させた後の乾燥温度は通常100〜200℃、好ましくは120〜180℃であり、時間は通常1〜60分、好ましくは2〜30分である。
乾燥後の繊維材料基体への(A)の付着重量は、繊維材料基体100重量部に対し好ましくは3重量部以上、さらに好ましくは10重量部以上、特に好ましくは20重量部以上であり、好ましくは150重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下、特に好ましくは50重量部以下である。
上記のようにして得られた皮革様シート用材料は、さらに必要により染色、洗浄、研削、乾燥等の後加工処理が施されて、皮革様シートが得られる。
本発明の皮革様シートは、第1に適度な皮革強度および耐摩耗性を有し天然皮革に近似した良好な風合いを有しているので、極めて有用である。
本発明の皮革様シートは、種々の用途、例えば、マットレス、鞄内張り材料、衣料、靴用芯材、クッション地、自動車内装材、壁材などに好適に使用することができる。
<実施例>
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、「部」は重量部を示す。
実施例1
温度計および攪拌機を備えた密閉反応槽に数平均分子量2,000のポリ(3−メチル−1,5−ペンタン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(流動点=−15℃;3−メチル−1,5−ペンタンジオール/ヘキサメチレンジオールのモル比=90/10)330部、α,α−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)1.3部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート102部およびアセトン450部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下80℃で6時間反応させ、NCO末端ウレタンプレポリマーを得た。 得られた該アセトン溶液を40℃に冷却してトリエチルアミン1.0部を加えた。次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンセチルエーテル(HLBは14.4、エチレンオキサイドの重合度は14、曇点77℃)21.7部を水412部に溶解したものを該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化してエマルションを得た後、エチレンジアミン1.0部を水30部に溶解したものを該エマルションに加え、鎖伸長反応をさせた後、減圧下でアセトンを留去し、水で濃度調整して、固形分40%のポリウレタン樹脂エマルションを得た。得られたポリウレタン樹脂中のカルボキシレート基の含有量は該ポリウレタン樹脂に基づいて0.10重量%であった。次いでポリウレタン樹脂に対して、硫酸ナトリウムが2.5部、カルボキシメチルセルロースが0.3部配合されるよう予め添加した水で希釈し、固形分が20%となるよう調製したエマルション(以下、エマルション(1)と称する)を得た。エマルション(1)の平均分散粒子径は0.35μmであり、フィルムの破断強度は3.4MPaであった。
実施例2
実施例1と同様の反応槽に、Mn2,000のポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(流動点=−5℃;テトラメチレンジオール/ヘキサメチレンジオールのモル比=70/30)330部、DMPA3.0部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート80部およびアセトン450部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下80℃で6時間反応させ、NCO末端ウレタンプレポリマーを得た。 得られた該アセトン溶液を40℃に冷却してトリエチルアミン2.3部を加えた。次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLBは13.6、エチレンオキサイドの重合度は9、曇点68℃)30部を水570部に溶解したものを該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化してエマルションを得た後、イソホロンジアミン1.8部を水30部に溶解したものを該エマルションに加え、鎖伸長反応をさせた後、減圧下でアセトンを留去し、水で濃度調整して、固形分40%のポリウレタン樹脂エマルションを得た。得られたポリウレタン樹脂中のカルボキシレート基の含有量は該ポリウレタン樹脂に基づいて0.24重量%であった。次いでポリウレタン樹脂に対して、塩化カルシウムが2部、カルボキシメチルセルロースが0.03部配合されるようあらかじめ添加した水で希釈し、固形分が20%となるよう調製したエマルション(以下、エマルション(2)と称する)を得た。エマルション(2)の平均分散粒子径は0.57μmであり、フィルムの破断強度は8.3MPaであった。
実施例3
実施例1と同様の反応槽に、Mn2,000のポリ(2−メチル−1,8−オクタン/ノナメチレン)カーボネートジオール(流動点=−20℃;2−メチル−1,8−オクタンジオール/ノナメチレンジオールのモル比=15/85)216部、DMPA0.4部、TDI81部、およびアセトン230部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下80℃で6時間反応させ、NCO末端ウレタンプレポリマーを得た。得られた該アセトン溶液を40℃に冷却してトリエチルアミン0.4部を加えた。次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLBは15.7、エチレンオキサイドの重合度は23、曇点87℃)9部を水171部に溶解したものを該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、エチレンジアミン1.3部を水30部に溶解したものを該アセトン溶液に加え、鎖伸長反応をさせた後、減圧下でアセトンを留去し、水で濃度調整して、固形分40%のポリウレタン樹脂エマルションを得た。
得られたポリウレタン樹脂中のカルボキシレート基の含有量は該ポリウレタン樹脂に基づいて0.05重量%であった。次いでポリウレタン樹脂に対して、塩化カルシウムが4部、カルボキシメチルセルロース0.03部配合さされるよう予め添加した水で希釈し、固形分が20%となるよう調製したエマルション(以下、エマルション(3)と称する)を得た。エマルション(3)の平均分散粒子径は0.84μmであり、 フィルムの破断強度は5.9MPaであった。
比較例1
Mn2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(流動点=50℃)を用いること以外は、実施例1と同様に調製したエマルションを得た(以下、エマルション(4)と称する)。エマルション(4)の平均分散粒子径は0.35μmであったが、湿熱凝固後の造膜性が乏しく、クラックがあったため破断強度は測定不可能であった。
比較例2
ノニオン性界面活性剤として、HLBが18.5のポリオキシエチレンセチルエーテル(HLBは18.5、エチレンオキサイドの重合度は60、曇点101℃)を使用すること以外は実施例1と同様に調製したエマルションを得た(以下、エマルション(5)と称する)。エマルション(5)は湿熱凝固しなかった。
<不織布の製造>
ポリエチレンテレフタレート短繊維から積層シートを作り、このシートを280本/cm2の打込数となるようにニードルパンチした後乾燥し、重量380g/m2、見掛密度0.18g/cm2の不織布を得た。
実施例4〜6、比較例3,4
上記不織布にエマルション(1)〜(5)をそれぞれ含浸し、樹脂の付着率が不織布重量に対して約50重量%となるようにマングルで絞った後、100℃の飽和水蒸気中で2分間加熱し、更に120℃の熱風乾燥機で10分乾燥後水洗し、再度100℃の熱風乾燥機で10分乾燥することによりシートを得た。
<性能試験>
実施例4〜6および比較例3,4で製造した皮革様シートについて、シート強度、耐摩耗性、風合い、通気性を評価した。これらの結果を表1に示した。
Figure 2006096852
[樹脂の付着率(重量%)]
乾燥後の皮革様シートにおいて次式により算出した。
100×[(皮革様シートの重量)−(繊維材料基体の重量)]/(繊維材料基体の重量)
[シート強度]
実施例・比較例で得られたシートの破断強度の測定方法としては、以下の方法により測定できる。
1号のダンベルカッターで得られたシートをカットして試験片とし、これをオートグラフ{AGS−500D、島津製作所(株)製}を用い、引張速度200mm/分}で破断強度を測定した。
[耐摩耗性]
実施例・比較例で得られたシートの表面を染色堅牢度試験(JIS L−0823)で学振型摩耗試験を行い、目視にて摩耗状態を観察し、摩耗していないものを「○」、摩耗したものを「×」と判定した。
[風合い]
実施例・比較例で得られたシートが天然皮革様の風合いを有するものである場合を「○」と判定し、柔軟性不足のためシートが天然皮革様の風合いを呈さない場合を「×」と判定した。判定は手の触感による官能試験で行った。
[通気性]
ガーレのデンソメータを使用して、JIS P8117の方法に準じて、50mlの空気が通過するに要する時間(秒)を測定した。
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルションは繊維材料基体に含浸させて皮革様シート用材料として利用でき、さらに該材料から得られる皮革様シートは、マットレス、鞄内張り材料、衣料、靴用芯材、クッション地、自動車内装材および壁材などに有用である。

Claims (10)

  1. カルボキシレート基および/またはスルホネート基をポリウレタン樹脂の重量に基づいて0.01〜1.5重量%含有するポリウレタン樹脂(A)、50〜100℃の曇点を有するノニオン性界面活性剤(B)並びに水性媒体を必須成分とし、(A)を構成する高分子ポリオールのうちの少なくとも1種が−50℃〜+30℃の流動点を有する共重合ポリカーボネートジオールであることを特徴とする水系ポリウレタン樹脂エマルション(E)。
  2. 共重合ポリカーボネートジオールが、炭素数4〜12のアルキレン基を有するアルキレンジオールの2種以上と低分子カーボネート化合物から得られる共重合ポリカーボネートジオールである請求項1記載の水系ポリウレタン樹脂エマルション。
  3. (B)が10〜18のHLBを有するポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤である請求項1または2記載の水系ポリウレタン樹脂エマルション。
  4. (A)に対する(B)の重量比率[(B)/(A)]が、0.01〜0.1である請求項1〜3のいずれか記載の水系ポリウレタン樹脂エマルション。
  5. 水溶性無機塩(C)を含有する請求項1〜4のいずれか記載の水系ポリウレタン樹脂エマルション。
  6. 増粘剤(D)を含有する請求項1〜5のいずれか記載の水系ポリウレタン樹脂エマルション。
  7. 100℃の飽和水蒸気で感熱凝固させ、さらに乾燥させて得られるフィルムの破断強度が1〜50MPaである請求項1〜6のいずれか記載の水系ポリウレタン樹脂エマルション。
  8. 請求項1〜7のいずれか記載の水系ポリウレタン樹脂エマルションを繊維材料基体に付与した後、感熱凝固させて得られる皮革様シート用材料。
  9. 40〜150℃で感熱凝固させて得られる請求項8記載の皮革様シート用材料。
  10. 請求項8または9記載の皮革様シート用材料をさらに後加工処理して得られる皮革様シート。
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