JP2001192978A - 皮革様シートおよびその製造方法 - Google Patents

皮革様シートおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充実感、柔軟性、表面外観に優れた天然皮革
ライクな皮革様シートおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 繊維束からなる絡合不織布にポリウレタ
ン系エマルジョンを含浸、乾燥して得られる皮革様シー
トにおいて、該繊維束が0.005〜0.5デシテック
スの極細繊維(A)と0.0001〜0.1デシテック
スの超極細繊維(B)からなり、該超極細繊維(B)が
該極細繊維(A)の周囲に存在し、極細繊維(A)/超
極細繊維(B)=95/5〜50/50(重量比)で構
成されており、かつ該ポリウレタン系エマルジョンは、
窒素原子(N)が2.0〜4.0%の範囲にあるポリウ
レタン100重量部を、HLBが13〜17の範囲内に
あるノニオン性界面活性剤5〜15重量部を用いて水中
分散させた水系ポリウレタン系エマルジョンである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、充実感、柔軟性、
ドレープ性及び表面外観に優れた皮革様シートおよびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、スエード調の皮革様シートと
して、高分子弾性体を付与した不織布基体の表面に極細
繊維立毛を存在させたものが知られている。しかしこの
皮革様シートは、天然皮革と比較すると充実感に劣り、
反発感が強くドレープ性が低い。また、このような問題
点を解消する技術として、高分子弾性体を用いることな
く繊維のみで形成された、より天然皮革の構造に近い皮
革様シートが提案されている。例えば、特開平10−3
7057号公報には、芯部がポリエステルエラストマ
ー、鞘部が該ポリエステルエラストマーよりも高い融点
を有するポリエステルまたはポリアミドを島成分とし、
オレフィン系ポリマーを海成分として配したブレンド組
成物からなる芯鞘型の複合繊維を用い、芯部のポリエス
テルエラストマーをバインダー成分として利用する皮革
様シート基布の製造方法が提案されている。しかしなが
ら、このような方法で製造された人工皮革は、充実感に
劣る布帛ライクなものであるか、あるいは硬いペーパ−
ライクなものしか得られない。理由は定かではないが、
芯部に熱融着性成分を配しているため、ポリオレフィン
系ポリマーを除いた後に発生する繊維束内のポリエステ
ルエラストマーとポリエステルまたはポリアミドは十分
に熱融着するが、繊維束間の熱融着が不十分となり、そ
の結果、充実感に劣る布帛ライクなものとなり、融着条
件などの変更により繊維束間の熱融着を増大させようと
すると繊維束内の熱融着が激しくなり、柔軟性に劣るペ
ーパーライクなものしか得られないことが原因であると
推測される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、少量
の樹脂と繊維で形成され、充実感、柔軟性、表面外観な
どの風合いが天然皮革に近い皮革様シートを提供するこ
とである。さらにクロムなどの重金属を含有しない分散
染料で染色できる環境対応型のスエード調皮革様シート
を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明者らは鋭意研究を重ねてきた。その結果、主体とな
る極細繊維を超極細繊維により絡合させるか、または接
着性成分として固定し、さらに少量の樹脂を含浸し、乾
燥固化させることで充実感を高めるという基本的技術思
想を用いたならば、上記目的が達成できることを見出
し、さらに超極細繊維を形成する樹脂の特性、主体とな
る極細繊維と超極細繊維の太さ、主体となる極細繊維と
超極細繊維の比率などが重要であり、さらに含浸する樹
脂については、水性ポリウレタン系エマルジョンを構成
するポリウレタンの組成、界面活性剤の種類などが重要
であることが分かった。
【0005】原理的には本発明は、主体となる極細繊維
を固定する方法として、超極細繊維を用いることで繊維
間の絡合を高度に高めるか、または極細繊維と超極細繊
維を発生する極細繊維発生型繊維からなる不織布から、
有機溶剤で該繊維中の抽出成分を除去する際に、同時に
超極細繊維を該有機溶剤で膨潤させて部分的に接着さ
せ、さらに上記の特定の組成、特定の界面活性剤を有す
るポリウレタン系エマルジョンを含浸乾燥することで充
実感と柔軟性が両立した天然皮革ライクな風合いを発現
させるものである。
【0006】すなわち本発明は、繊維束からなる絡合不
織布にポリウレタン系エマルジョンを含浸、乾燥して得
られる皮革様シートにおいて、下記の条件(1)〜
(3) (1)該繊維束が、繊度0.005〜0.5デシテック
スの極細繊維(A)と繊度0.0001〜0.1デシテ
ックスの超極細繊維(B)からなること、(2)極細繊
維(A)と超極細繊維(B)との重量比が95/5〜5
0/50であり、かつ繊維束断面における極細繊維
(A)からなる島の本数が5以上であり、かつ繊維束断
面における超極細繊維(B)の本数が25以上であるこ
と、(3)該ポリウレタン系エマルジョンは、窒素原子
(N)が2.3〜4.0%の範囲にあるポリウレタン1
00重量部を、HLBが13〜17の範囲内にあるノニ
オン性界面活性剤5〜15重量部を用いて水中分散させ
た水系エマルジョンであること、を満足していることを
特徴とする皮革様シートである。そして、この皮革様シ
ートにおいて、好ましくは、該超極細繊維(B)を形成
する樹脂成分が、芳香族ポリエステルからなるハードブ
ロックと、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、
脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリエーテルエステ
ル、脂肪族ポリエステルカーボネートの少なくとも1つ
からなるソフトブロックからなり、かつ融点が180℃
以上であり、さらに結晶融解熱が15〜42J/gの範
囲にあるブロック共重合体である上記皮革様シートであ
る。さらに、このような皮革様シートの好適な製造方法
として、島成分が極細繊維発生性樹脂であり、海成分
が、超極細繊維発生性繊維からなる分散成分が分散媒成
分中に分散している混合体であり、かつ下記条件(1)
〜(2)を満足している海島断面構造を有する超極細繊
維発生性繊維からなる不織布を製造する工程(a)、下
記条件(3)を満足しているポリウレタン系エマルジョ
ンを含浸し熱風乾燥する工程(b)、繊維中の該分散媒
成分を溶剤により溶解抽出する工程(c)を、(a)
(b)(c)の順序又は(a)(c)(b)の順序で順
次行うことを特徴とする皮革様シートの製造方法であ
る。 (1)該島成分の太さが、0.005〜0.5デシテッ
クスで、該分散成分の太さが0.0001〜0.1デシ
テックスであること、(2)極細繊維(A)と超極細繊
維(B)との重量比が95/5〜50/50であり、か
つ繊維束断面における極細繊維(A)からなる島の本数
が5以上であり、かつ繊維束断面における超極細繊維
(B)の本数が25以上であること、(3)該ポリウレ
タン系エマルジョンは、窒素原子(N)が2.3〜4.
0%の範囲にあるポリウレタン100重量部を、HLB
が13〜17の範囲内にあるノニオン性界面活性剤5〜
15重量部を用いて水中分散させた水系エマルジョンで
あること、
【0007】
【発明の実態の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。まず図1に本発明に用いる極細繊維形成型繊維の
横断面の1例を示す。同図において、1が島成分でかつ
主体繊維となる極細繊維(A)で、2が分散成分でかつ
超極細繊維(B)で、3が分散媒成分でかつ抽出可能な
樹脂(以下分散媒成分とする)である。本発明の皮革様
シートは、このような極細繊維形成型繊維からなる不織
布を製造し、ポリウレタン系エマルジョンによる樹脂付
与の前または後に、該繊維を構成している海成分の分散
媒成分を溶剤で抽出することにより得られる。詳細に
は、本発明は、主体となる極細繊維(A)を固定する方
法として、超極細繊維(B)を用いることで繊維間を絡
合を高めるか、または、極細繊維(A)と超極細繊維
(B)を発生する極細繊維発生型繊維からなる不織布か
ら有機溶媒で該繊維中の分散媒成分(C)を除去する際
に、同時に超極細繊維(B)を該有機溶剤で膨潤させて
接着させ、さらに上記の特定のウレタン成分と特定の界
面活性剤からなるポリウレタン系エマルジョンを分散媒
成分(C)を除去する工程の前または後に含浸乾燥する
ことで充実感と柔軟性が両立した天然皮革ライクな風合
いを発現させるものである。しかし、繊維束間、繊維束
内、繊維と樹脂の間で、必要以上に接着が起こるとペー
パーライクなシートなる。天然皮革ライクな充実感、柔
軟性、表面外観を達成するためには、繊維束間、繊維束
内、繊維と樹脂の間で適度に接着することが重要であ
る。この点において、主体繊維(A)、超極細繊維
(B)およびポリウレタン系エマルジョンを構成する樹
脂が選ばれる。なお本発明において、分散媒成分を抽出
除去することいより形成される極細繊維束において、島
成分から形成される繊維が極細繊維(A)であり、分散
成分から形成される繊維が超極細繊維(B)である。
【0008】本発明の主体繊維(以下極細繊維Aを主体
繊維と称することがある)を構成する樹脂としては、具
体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリエ
ステルなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン12、ナイロン6/12、変性ナイロンな
どのポリアミド類などを挙げることができ、この中でも
結晶性ポリエステルを使用することが分散染料で染色し
たときの染色堅牢性が優れることなどから好ましい。そ
の具体例としては、テレフタル酸単位、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸単位などのジカルボン酸単位とエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ールなどのグリコール単位を組み合わせたポリエステル
系重合体が挙げられる。
【0009】さらに、必要に応じて、テレフタル酸単
位、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位とともに少量
の他のジカルボン酸単位やオキシカルボン酸単位を有し
ていてもよい。他のジカルボン酸単位、オキシカルボン
酸単位としてはイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナト
リウム、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン
ジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−
オキシ安息香酸等の芳香族ジカルボン酸や芳香族オキシ
カルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、脂環式
ジカルボン酸などからなる単位を挙げることができる。
【0010】さらには、該結晶性ポリエステルには、上
述のグリコール単位と共に少量の他のグリコール単位を
有していても良い。他のグリコール単位としてはシクロ
ヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコ
ール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのジオ
ール;ポリオキシアルキレングリコール単位などを挙げ
ることができる。
【0011】また、該結晶性ポリエステルはその線状構
造を実質的に損なわない範囲内でトリメリット酸などの
ポリカルボン酸;グリセリントリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトールなどのポリオールが用いられてい
てもよい。
【0012】上述した結晶性ポリエステルのうち、皮革
様シートの染色堅牢性、耐久性などをより良好にする点
から、ガラス転移温度は50℃以上、好ましくは60℃
以上である結晶性ポリエステルが好ましい。なおガラス
転移温度は、示差熱量計(DSC)により測定決定され
る。さらに、本発明に用いられる極細繊維形成性繊維
は、上記結晶性ポリエステルと、結晶性のブロック共重
合体や後述する特定の結晶融解熱とガラス転移温度を有
するポリエルテル等を含有する溶解除去可能な樹脂を複
合紡糸するが、結晶性のブロック共重合体などの紡糸時
の耐熱安定性の観点から、紡糸温度は290℃以下であ
ることが好ましく。そのような好ましい結晶性ポリエス
テルとして、ポリエステルの構成単位であるグリコール
単位の80モル%以上がエチレングリコール単位および
ジカルボン酸単位の80モル%以上がテレフタル酸単位
で構成され、さらに好ましくはグリコール単位がエチレ
ングリコールであり、ジカルボン酸単位が、テレフタル
酸単位とイソフタル酸単位またはフタル酸単位との混合
物であり、かつテレフタル酸単位とイソフタル酸単位ま
たはフタル酸単位とのモル比が95/5〜85/15の
範囲である結晶性ポリエステルが挙げられる。すなわち
ポリエチレンテレフタレート系の共重合体であり、特に
イソフタル酸および/またはフタル酸が共重合されたポ
リエチレンテレフタレート系共重合体が好ましく、前者
のイソフタル酸が共重合されたポリエチレンテレフタレ
ート系共重合体を用いると、さらに主体繊維と超極細繊
維(バインダー繊維と称することがある)の接着の制御
が容易となり、充実感、柔軟性、表面外観等の風合いに
優れた皮革様シートが得られる。
【0013】本発明の結晶性ポリエステル(A)の固有
粘度は、フェノール/テトラクロロエタンの混合溶媒
(1/1重量比)中で30℃で測定した時に、0.50
〜1.00dl/gの範囲であることが好ましい。さら
に好ましくは、0.55〜0.80dl/gの範囲であ
る。結晶性ポリエステルの固有粘度が0.50dl/g
未満の場合は、皮革様シートの機的物性が劣り好ましく
ない。また、1.00dl/gを越えると、本発明に用
いる極細繊維発生型繊維の紡糸性が低下するため好まし
くない。
【0014】本発明において、天然皮革ライクな充実
感、表面外観を達成するために、繊維束間、繊維束内で
適度に接着することが好ましい。この目的を達成するた
めには、本発明において超極細繊維(B)を構成する樹
脂の選択が重要である。すなわち超極細繊維(B)を構
成する成分としては極細繊維発生性繊維で構成される不
織布から、極細繊維発生性繊維の海成分中の分散媒成分
を抽出する際に、抽出に用いる溶剤で、超極細繊維
(B)の大部分は溶解することなく膨潤することが好ま
しく、さらに繊維束間、繊維束内で一端接着した接着点
は容易に剥離しないことが好ましい。具体的に超極細繊
維(B)を構成する成分としては、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリエス
テルなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン12、ナイロン6/12、変性ポリアミド
などのポリアミド類、ブロック共重合体などを挙げるこ
とができ、このなかでも特定のブロック共重合体と特定
のポリエステルが好適に使用できる。
【0015】超極細繊維(B)を構成するブロック共重
合体の好ましい例としては、ポリエステルブロック共重
合体、ポリアミドブロック共重合体、ポリウレタンブロ
ック共重合体が挙げられる。ポリウレタンブロック共重
合体は250℃以上の温度で紡糸すると熱分解するた
め、250℃以下で紡糸可能なものを選択することが好
ましいが、このような紡糸可能温度を有するポリウレタ
ンブロック共重合体が著しく限定されるため、より好ま
しくはポリエステルブロック共重合体、ポリアミドブロ
ック共重合体である。最も好ましくは、融点が180℃
以上、結晶融解熱が15〜42J/gの範囲にある結晶
性のポリエステル系のブロック共重合体である。このよ
うなポリエステルブロック共重合体を用いた皮革様シー
トは充実感が特に優れる。
【0016】上記したポリエステルブロック共重合体、
ポリアミドブロック共重合体、ポリウレタンブロック共
重合体としては、公知の熱可塑性のポリエステルブロッ
ク共重合体、ポリアミドブロック共重合体、ポリウレタ
ンブロック共重合体を用いることができる。この中でも
ポリエステルブロック共重合体は芳香族ポリエステルか
らなるハードブロックと、脂肪族ポリエーテル、脂肪族
ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリエ
ーテルエステル、脂肪族ポリエステルカーボネートの少
なくとも1つからなるソフトブロックで構成されるブロ
ック共重合体が好ましい。
【0017】このポリエステルブロック共重合体につい
てさらに詳細に説明する。ハードブロックを構成する芳
香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタテート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレ
ンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどが挙げ
られる。皮革様シートの充実感、柔軟性、表面外観によ
り優れた皮革様シートが得られる点から、さらに好まし
くはポリエチレンテレフタレートである。ハードブロッ
クがポリエチレンテレフタレートで、かつ主体繊維Aが
ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンテレフタ
レートを主体とする共重合体である場合には、特に皮革
様シートの充実感、柔軟性、表面外観が優れたものとな
る。
【0018】また、少量(20モル%以下)のその他ジ
カルボン酸単位、ジオール単位、オキシカルボン酸単
位、3官能以上のポリカルボン酸単位、ポリオール単位
が共重合されていてもよく、そのような例としては、主
体繊維Aを構成する結晶性ポリエステルで記述したもの
と同様なものが挙げられる。ハードブロックを構成する
結晶性ポリエステルのブロック鎖長としては、平均分子
量1000〜8000が好ましく、特に1200〜50
00が好ましい。
【0019】次にブロック共重合体を構成するソフトブ
ロックとして用いられる脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポ
リエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリエー
テルエステル、脂肪族ポリエステルカーボネートについ
てさらに詳細に説明する。
【0020】脂肪族ポリエーテルとしては、例えばポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
テトラメチレンエーテルグリコールなどのポリアルキレ
ングリコールを挙げることができる。
【0021】脂肪族ポリエステルとしては、例えば脂肪
族ジカルボン酸単位とジオール単位から主としてなるポ
リエステルや脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位からなる
ポリエステルなどを挙げることができる。脂肪族ポリエ
ステルを構成する脂肪族ジカルボン酸単位としては、例
えば、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3
−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メ
チルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,
7−ジメチルデカン二酸などから誘導される単位を挙げ
ることができ、これらのうち1種または2種以上を含ま
せることができる。また、上記の脂肪族ジカルボン酸単
位の他に、必要に応じて、シクロヘキサンジカルボン酸
などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、
イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などから誘導さ
れる単位を含んでいてもよい。さらに、上記したジカル
ボン酸単位と共に、少量(好ましくは全ジカルボン酸単
位の1モル%以下)であれば、トリメリット酸、トリメ
シン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸などの3官
能以上の多価カルボン酸から誘導される単位を含んでい
てもよい。脂肪族ポリエステルを構成するジオール単位
としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘ
プタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−
ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11
−モノデカンジオール、1,12−ドデカンジオールな
どの直鎖状の脂肪族ジオール;1,2−プロパンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペン
チルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパン
ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパン
ジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2
−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐を有す
る脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シク
ロヘキサンジオールなどの脂環式ジオールから誘導され
る単位を挙げることができ、これらのうち1種または2
種以上を含ませることができる。上記のジオール単位以
外に、必要に応じて、1,4−ビス(β−ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、p−キシレングリコールなどの芳香
族ジオールなどから誘導される単位を含ませることがで
きる。さらに、上記したジオール単位と共に、少量(好
ましくは全ジオール単位の1モル%以下)であれば、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセ
リン、1,2−ヘキサントリオール、ペンタエリスリト
ールなどの3官能以上の多価アルコールから誘導される
単位を含んでいてもよい。
【0022】また、脂肪族ポリエステルを構成する脂肪
族ヒドロキシカルボン酸単位としては、例えば、ε−ヒ
ドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシエナント酸、7−
ヒドロキシカプリル酸などから誘導される単位を挙げる
ことができ、これらのうち1種または2種以上を含ませ
ることができる。
【0023】脂肪族ポリカーボネートとしては、例え
ば、ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレン
カーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボネ
ート化合物との反応により得られる。脂肪族ポリカーボ
ネートに用いられるポリオールとしては、脂肪族ポリエ
ステルの構成成分として先に例示したポリオールを用い
ることができる。また、ジアルキルカーボネートとして
はジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど
を、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネ
ートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニ
ルカーボネートなどを挙げることができる。
【0024】脂肪族ポリエーテルエステルとしては、例
えば、脂肪族ポリエーテルポリオールと脂肪族ポリカル
ボン酸との反応により得ることができる。この脂肪族ポ
リエーテルポリオールとしては脂肪族ポリエーテルで先
に例示したポリオールを用いることができ、脂肪族ポリ
カルボン酸としては脂肪族ポリエステルの構成成分とし
て先に例示した脂肪族ジカルボン酸を挙げることができ
【0025】脂肪族ポリエステルカーボネートとして
は、例えば、脂肪族ポリオール、脂肪族ポリカルボン
酸、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネー
ト、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合物
との反応により得られる。脂肪族ポリオール、脂肪族ポ
リカルボン酸としては、脂肪族ポリエステルの構成成分
として先に例示した脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオー
ルを挙げることができる。
【0026】本発明においてソフトブロックの鎖長とし
て、平均分子量500〜5000、特に800〜300
0の範囲のものが好適に用いられる。本発明に用いる結
晶性のブロック共重合体は、融点が180℃以上、結晶
融解熱が15〜42J/gの範囲にあることが好まし
い。より好ましくは、融点が190℃以上、結晶融解熱
が18〜40J/gの範囲である。この条件が満たされ
る時、繊維束内、繊維束間で適度な接着を有し、得られ
る皮革様シートの柔軟性、充実感が両立した風合いとな
る。融点が180℃未満の場合には、繊維束内、繊維束
間の接着が激しくなり得られる皮革様シートがペーパー
ライクとなる。また結晶融解熱が15J/g未満の場合
には、同様に接着が激しくなり得られる皮革様シートが
ペーパーライクとなり、一方、42J/gを越える場合
には、接着が不十分となり、皮革様シートが布帛ライク
となる。融点、結晶融解熱の測定方法は、下記の実施例
の項に記した通りである。ブロック共重合体(B)にお
いて、ハードブロックとソフトブロックの重量比は5
0:50〜90:10の範囲、特に60:40〜85:
15の範囲が好ましい。
【0027】本発明において、特に良好な機械的物性の
皮革様シートが得られることから、結晶性のブロック共
重合体の固有粘度はフェノール/テトラクロロエタンの
混合溶媒(1/1重量比)中で、30℃で測定した時
に、1.20〜2.5dl/gの範囲であることが好ま
しく、より好ましくは1.40〜2.3dl/gの範囲
である。具体的なブロック共重合体としては、特に制限
されないが、極細繊維発生性繊維の海成分の分散媒成分
を抽出する溶剤に浸した時の膨潤度が15〜200重量
%である場合が好ましい。膨潤度が15重量%未満であ
る場合は、皮革様シートの充実感、表面外観が劣ったも
のになりやすく、200重量%を超える場合は、繊維束
内、繊維束間が必要以上の接着を生じ、皮革様シートが
ペーパーライクになり、さらに膨潤度が大きくなるとブ
ロック共重合体そのものが多量に溶解し、皮革様シート
の充実感、表面外観が劣ったものになる。もちろん極細
繊維(A)は、抽出処理条件下で実質的に膨潤しない樹
脂、すなわち膨潤度としては15%未満である樹脂から
構成されているのが好ましい。膨潤度の測定方法は下記
の実施例の項に記した通りである。
【0028】本発明において、極細繊維(A)および超
極細繊維(B)の繊度が重要である。極細繊維(A)の
繊度(計算値)は平均0.005〜0.5デシテック
ス、超極細繊維(B)の繊度は平均0.0001〜0.
1デシテックスの範囲である必要がある。極細繊維
(A)の繊度が平均0.005デシテックス未満である
場合には、皮革様シートの発色性などに劣り好ましくな
い。極細繊維(A)の繊度が平均0.5デシテックスを
越える場合は、皮革様シートの表面外観、柔軟性などが
劣る。また、超極細繊維(B)は、皮革様シートの引張
強度などの機械的物性が低下しない範囲(0.0001
デシテックス以上)で細い方がよい。超極細繊維(B)
が細い場合、その表面積が大きくなり、少ない超極細繊
維(B)で繊維束間の接着が可能となり、皮革様シート
の充実感、柔軟性、表面外観の両立が可能となる。この
ような理由から、超極細繊維(B)の繊度が0.1デシ
テックスを超える場合は好ましくない。さらに、染色後
の色ムラが目立ち好ましくない。さらに、本発明におい
ては、繊維束断面における極細繊維(A)と超極細繊維
(B)の本数が重要である。極細繊維(A)からなる島
の本数は5本以上必要であり、好ましくは8本以上、さ
らに好ましくは12本以上である。島数が5本より少な
い場合は、抽出成分を溶剤で除去する際に、繊維束内、
繊維束間のバインダー繊維同士の接着が多くなり、得ら
れる皮革様シートがペーパーライクとなる傾向があるた
め好ましくない。また、超極細繊維(B)からなる島の
本数は25本以上、好ましくは100本以上、さらに好
ましくは300本以上であり、25本より少ない場合
は、抽出成分を溶剤で除去して得られる皮革様シートが
布帛ライクとなる傾向があり好ましくない。なお本発明
において、超極細繊維(B)からなる島は抽出処理の際
に島同士が膠着し、一見すると超極細繊維の本数が減少
したように観測される場合があるが、本発明において超
極細繊維同士が膠着した場合の超極細繊維の本数は膠着
前の本数を意味する。超極細繊維(B)からなる島の本
数は、極細繊維(A)からなる島の本数の5倍以上であ
るのが好ましい。より好ましくは10倍以上、さらに好
ましくは20倍以上である。5倍より少ない場合には得
られる皮革様シートが布帛ライクとなりやすい。
【0029】また、超極細繊維(B)を極細繊維(A)
へ接着させる場合は、個々の極細繊維(A)の周囲に超
極細繊維(B)が位置するように存在させることが、繊
維束間の接着を効率よく行う上で好ましい。超極細繊維
(B)は、超極細繊維(B)同士で膠着していてもよ
い。超極細繊維(B)および超極細繊維(B)同士が膠
着した繊維状物が、極細繊維(A)に部分的に膠着する
ように存在している場合、皮革様シートの充実感、表面
外観を良好に保つことができる。
【0030】極細繊維(A)を構成する樹脂と、超極細
繊維(B)を構成する樹脂は、その重量比は50:50
〜95:5、好ましくは60/40〜85/15の範囲
である。超極細繊維(B)が50重量%を越えると、皮
革様シートの機械的物性、発色性などが劣り好ましくな
い。超極細繊維(B)が5重量%未満である場合は、皮
革様シートの充実感、表面外観が劣り好ましくない。極
細繊維発生型繊維中に占める極細繊維成分の比率は、極
細繊維(A)と超極細繊維(B)の合計で40〜80重
量%が紡糸安定性や経済性等の点で好ましい。
【0031】極細繊維発生型繊維の海成分を構成する分
散媒成分は、極細繊維(A)を構成する樹脂および超極
細繊維(B)を構成する樹脂と、溶剤に対する溶解性を
異にし、極細繊維(A)を構成する樹脂および超極細繊
維(B)との親和性の低いポリマーであって、かつ紡糸
条件下で極細繊維(A)を構成する樹脂および超極細繊
維(B)を構成する樹脂より低溶融粘度であるか、ある
いは表面張力が低いポリマーである。その具体例とし
て、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
プロピレン共重合体、エチレンオクテン共重合体、エチ
レン酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレンアク
リロニトリル共重合体、スチレンエチレン共重合体など
のポリマーから選ばれた少なくとも1種類のポリマーが
挙げられる。
【0032】本発明の皮革様シートは、その使用目的に
応じて極細繊維(A)および超極細繊維(B)として適
切な樹脂が選択されるが、皮革様シートの充実感をさら
に向上させ、表面外観、機械的物性を補うために、ポリ
ウレタン系エマルジョンを使用する必要がある。このポ
リウレタン系エマルジョンは、窒素原子(N)が2.3
〜4.0%の範囲にあるポリウレタン100重量部を、H
LBが13〜17の範囲内にあるノニオン性界面活性剤
5〜15重量部を用いて水中分散させた水系エマルジョ
ンであることが重要である。
【0033】本発明で規定するようなポリウレタン系エ
マルジョンを不織布に含浸、加熱することにより表面付
近にマイグレイションさせ、かつ上記の特定範囲の値を
有する場合は、主体繊維に強く接着せず、かつ樹脂自身
の硬度も高すぎることがないため、得られる皮革様シー
トの風合いは柔軟で天然皮革に近い優れた風合いを発言
することができる。ポリウレタン系エマルジョンの付与
量としては、極細繊維(A)および超極細繊維(B)の
合計重量100部に対して、ポリウレタン系エマルジョ
ン中のポリウレタン樹脂の付与量が2〜30重量部、好
ましくは5〜25重量部、さらに好ましくは8〜15重
量部である。付与量が2重量部より少ない場合には、繊
維同士と繊維束同士の接着不足により、毛羽止め効果が
低下し得られる皮革様シートの充実感や表面外観の向上
はほとんどなく、30重量部を越える場合には得られる
皮革様シートの柔軟性が損なわれる。また、ポリウレタ
ンエマルジョンによる樹脂の付与は繊維の海成分の除去
による極細化処理の前でも後でも良いが、得られる皮革
様シートの風合いが優れる点から極細化処理の前に行っ
ておくことが好ましい。またエマルジョンの均一かつ速
やかな含浸のために、エマルジョン含浸に先だって、不
織布を湿潤浸透剤で処理しておくこともできる。
【0034】該ポリウレタン系エマルジョンを構成する
ポリウレタン組成としては、以下に示すような高分子ポ
リオール成分、ジイソシアネート成分、鎖伸長剤の各成
分を適宜組み合わせてポリウレタンとすることができ
る。
【0035】ポリウレタン系エマルジョンとなる高分子
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオー
ル、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオ
ール、ポリエステルポリカーボネートポリオールなどを
挙げることができる。これらの高分子ポリオールは例え
ば、常法に従い、ジカルボン酸またはそのエステル、無
水物などのエステル形成性誘導体とポリオールとを直接
エステル化反応もしくはエステル交換反応に付すか、ま
たはラクトンを開環重合することにより製造することが
できる。
【0036】ポリエステルポリオールを構成するジオー
ルとしては、ポリエステルの製造において一般的に使用
されているものを用いることができ、例えば、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2
−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、2−メチル
−1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オ
クタンジオール、2−メチル−1,8―オクタンジオー
ル、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、
1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−
ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの炭素
数2〜15の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサン
ジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジメチルシク
ロオクタンジメタノールなどの脂環式ジオール;1,4
−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの芳香
族二価アルコールなどを挙げることができる。これらの
ジオールは単独で使用してもよいし、2種以上を併用し
てもよい。更に、上記のジオールと共に3官能以上の水
酸基を有する化合物を使用してもよく、例えば、グリセ
リン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールブタン、ブタントリオール、ヘキサ
ントリオール、ペンタエリスリトールなどを挙げること
ができる。これらのポリオールは単独で使用してもよい
し、2種以上を併用してもよい。
【0037】ポリエステルポリオールを構成するジカル
ボン酸としては、ポリエステルの製造において一般的に
使用されているものを用いることができ、例えば、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、メチル
コハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル
酸、トリメチルアジピン酸、2−メチルオクタン二酸、
3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン
二酸などの炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸;シク
ロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;テ
レフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸またはそのエ
ステル形成誘導体などを挙げることができる。これらの
ジカルボン酸は単独で使用してもよく、2種以上を併用
してもよい。
【0038】前記のラクトンの例としては、ε−カプロ
ラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトンなどを挙げ
ることができる。
【0039】ポリエーテルポリオールとしては、例え
ば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテト
ラメチレングリコール)などが挙げられる。これらのポ
リエーテルポリオールは単独で使用してもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0040】ポリカーボネートポリオールとしては、例
えば、ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレ
ンカーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボ
ネート化合物との反応により得られるものを使用するこ
とができる。ポリカーボネートジオールを構成するジオ
ールとしては、ポリエステルポリオールの構成成分とし
て先に例示したジオールを用いることができる。また、
ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネートなどを挙げることができる。
更に、アルキレンカーボネートジオールとしてはエチレ
ンカーボネートなどを挙げることができ、ジアリールカ
ーボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げ
ることができる。
【0041】ポリエステルポリカーボネートポリオール
としては、例えば、ポリオール、ジカルボン酸およびカ
ーボネート化合物を同時に反応させて得られるものを使
用することができる。あるいは、予め上記した方法によ
りポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリ
オールをそれぞれ合成し、次いでそれらをカーボネート
化合物と反応させるか、またはポリオールおよびジカル
ボン酸と反応させて得られるものを使用することができ
る。
【0042】高分子ポリオールの数平均分子量は500
〜5000が好ましく、800〜3500がより好まし
い。なお、本発明でいう高分子ポリオールの数平均分子
量は、いずれもJIS K 1577に準拠して測定し
た水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
【0043】高分子ポリオールは、ポリオール1分子当
たりの水酸基の数が2より大きくてもエマルジョン合成
に支障をきたさない限り使用に問題はない。水酸基の数
が2より大きい高分子ポリオールを得る手段としては、
高分子ポリオールを製造する際に任意の高分子ポリオー
ル1分子当たりの水酸基の数となるように1分子中の水
酸基の数が3個以上である低分子ポリオールを使用する
方法、ポリウレタン重合の際に高分子ジオールと1分子
中の水酸基の数が3個以上である高分子ポリオールを混
合することで、任意の1分子当たりの水酸基の数とする
方法等を挙げることができる。すなわち水酸基の数が2
より大きい高分子ポリオールを製造する方法としては、
例えば上記ポリエステルポリオールを製造する際に、3
官能以上の水酸基を有する化合物を併用して製造するこ
とができる。
【0044】ポリウレタン系エマルジョンに用いられる
ジイソシアネート化合物としては特に制限はなく、通常
のエマルジョン系ポリウレタンの製造に従来から使用さ
れている分子中にイソシアネート基を含有する公知の脂
肪族、脂環族、芳香族の有機ジイソシアネートのいずれ
を使用してもよく、例えばトリレンジイソシアネート、
4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、P−フェニレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネー
トなどが挙げられる。得られるポリウレタン樹脂の耐溶
剤性が優れることからトリレンジイソシアネート、4,
4´−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族
ジイソシアネート化合物を使用することが好ましく、有
機溶剤による複合紡糸繊維または混合紡糸繊維の海成分
の溶解除去に先立ってエマルジョンによる樹脂付与を行
う場合、特に有用である。これらの有機ジイソシアネー
トは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよ
い。
【0045】鎖伸長剤としては特に制限はなく、通常の
エマルジョン系ポリウレタンの製造に従来から使用され
ている鎖伸長剤のいずれを使用してもよく、イソシアネ
ート基と反応し得る水素原子を分子中に2個以上含有す
る分子量400以下の低分子化合物を用いるのが好まし
い。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒド
ロキシエチル)テレフタレート、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、キシリレングリコール、1,4−ビ
ス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチル
グリコールなどのジオール、ヒドラジン、エチレンジア
ミン、プロピレンジアミン、キシルレンジアミン、イソ
ホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニ
レンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、
アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、
ヘキサメチレンジュアミン、4,4´−ジアミノフェニ
ルメタン、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジアミン
などのジアミン、ジエチレントリアミンなどのトリアミ
ン、アミノエチルアルコール、エチルアルコール、アミ
ノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類などが
挙げられる。これら鎖伸長剤は単独で使用してもよい
し、2種以上を併用してもよい。
【0046】上記ポリウレタンに占める窒素原子(N)
の割合が、2.3〜4.0%の範囲にあることが重要で
ある。その窒素原子の割合が2.3%未満の場合、絡合
不織布に含浸、乾燥して得られる皮革様シートは、繊維
同士の接着が多くなり、柔軟性に劣るペーパーライクな
風合いになり、割合が4.0%を超える場合は、繊維間
の接着が不十分になり、得られる皮革様シートが布帛ラ
イクになってしまう。本発明でいう窒素原子(N)の割
合とは、ポリウレタン中に占めるポリウレタンの合成に
用いたイソシアネート化合物のイソシアネート基を構成
する窒素原子の重量%を意味する。
【0047】本発明で使用されるノニオン性界面活性剤
は、親水基として水中でイオン解離しないポリエーテル
単位を有しているポリオキシエチレンアルキルエーテル
型界面活性剤である。アルキル基としては炭素数1〜2
0のものが好ましく、直鎖状のものであっても、枝分か
れ構造のものでもよい。そしてその具体例としては、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、オ
レイル基などを挙げることができる。これらのノニオン
性界面活性剤より、それぞれ適切なHLBを有するもの
を1種または2種以上を併用して適切なHLBにして使
用することができる。HLBはアルキル基の疎水性とエ
チレンオキサイド単位の繰り返し数(n)により決ま
り、nが大きいほどHLB価は大きくなる。このような
ポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面
活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテ
ル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエ
チレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオイレ
ルエーテルなどの高級アルコールエチレンオキシド付加
物を挙げることができる。これらのノニオン性界面活性
剤より、適切なHLBを有するものを1種または2種以
上を併用して使用することができる。
【0048】本発明に用いるポリウレタン系エマルジョ
ウンは、HLB(親水親油バランス)が13〜17の範
囲内にあるノニオン性界面活性剤を、ポリウレタン10
0部に対して5〜15重量部の割合で配合する。ノニオ
ン性界面活性剤はポリウレタンの乳化剤として作用し、
エマルジョンの保存安定性、皮革様シートの柔軟性付
与、エマルジョンの毛羽止め効果の点から、HLBは1
3〜17の範囲内にあることが必要である。また、ノニ
オン性界面活性剤の含有量は、皮革様シートの柔軟性付
与、エマルジョンの毛羽止め効果の点から、ポリウレタ
ン100重量部に対して5〜15重量部の割合である必
要がある。
【0049】また、本発明のポリウレタン系エマルジョ
ンに用いられる水性媒体は、有機溶剤を含んでいても、
有機溶剤を含まない完全水系であってもよいが、環境面
および回収工程による生産性の低下の面から有機溶剤を
含まない水系エマルジョンが好ましく使用される。水性
媒体は、エマルジョンに含有される固形分の割合が10
〜70重量%となるように配合するのが好ましい。
【0050】ポリウレタン系エマルジョンの製造方法
は、一般にポリウレタンのエマルジョン製造に用いられ
ている製造方法を使用して製造することができ、例え
ば、乳化剤の存在下で高い機械的せん断力で水中に強制
乳化した非イオン性エマルジョンを挙げることができ
る。強制乳化法としては、例えば反応の完了した液状ポ
リウレタンプレポリマーを該乳化剤でエマルジョン化す
る転相乳化法、末端イソシアネートプレポリマーを乳化
分散すると同時に/またはその後にアミン類等の鎖伸長
剤で鎖伸長反応を完結させ、高分子量化して得られるプ
レポリマー法が挙げられる。特に柔軟性と充実感に優れ
た皮革様シートが得られることからプレポリマー法を用
いることが好ましい。
【0051】さらに、乳化分散性を向上させるために、
ポリウレタンのポリマー分子骨格に、エチレンオキサイ
ド等の高分子付加物のようなノニオン性の親水基を側鎖
に導入したり、耐溶剤性、耐熱性、耐熱水性を向上させ
る目的で、トリメチロールプロパン等の3官能グリコー
ル、3官能アミン等を反応させ、架橋構造を形成するな
どのポリウレタン自体の変性による改質手段も本発明に
好適に使用することができる。
【0052】また、本発明に使用するポリウレタン系エ
マルジョンは、上記のポリウレタン系エマルジョンの存
在下でメチルメタクリレート、ブチルアクリレート等の
エチエン性不飽和モノマーを乳化重合して得られた複合
タイプのエマルジョンを含む。
【0053】本発明に使用するポリウレタン系エマルジ
ョンには、必要に応じて、更に公知の添加物、例えば、
耐光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、浸透剤などの
界面活性剤、増粘剤、防黴材、染料、顔料、充填剤など
を配合することができる。
【0054】上記のように調整したエマルジョンを適切
な濃度に調整し、前期した極細繊維発生型繊維からなる
不織布に含浸させ、プレスロールなどで絞るか、または
ドクターナイフ等によって適量の含浸量とした後、乾燥
器中で乾燥させることによって、弾性重合体を付与する
ことができる。
【0055】本発明の皮革様シートは、例えば、以下の
各工程を組み合わせ行うことにより得ることができる。
即ち、溶解除去できる海成分中に、島成分として繊維形
成性の非ブロック共重合体からなる平均繊度0.005
〜0.5デシテックスの極細繊維(A)とブロック共重
合体からなる0.0001〜0.1デシテックスの超極
細繊維(B)とが重量比で95/5〜50/50の割合
で、かつ極細繊維発生型繊維断面における該島成分の本
数が5以上で、該分散成分の本数が25以上で、断面全
体にわたってほぼ均一に、かつ超極細繊維(B)が個々
の極細繊維(A)の周囲に位置するように混在してお
り、海成分を除去することにより極細繊維(A)と超極
細繊維(B)からなる極細繊維束を形成しうる超極細繊
維発生型繊維、すなわち海島断面繊維を製造し、該繊維
からなる絡合不織布を製造する工程(a)、高分子ジオ
ール、ジイソシアネートおよび鎖伸長剤から構成される
ポリウレタンであって、かつポリウレタンに占める窒素
原子(N)が2.3〜4.0%の割合にあるポリウレタ
ン100部、HLBが13〜17の範囲内にあるノニオン
性界面活性剤5〜15重量部および水性媒体からなるポ
リウレタン系エマルジョンを含浸、乾燥させる工程
(b)、該繊維の海成分を溶剤などで溶解除去すること
により極細繊維(A)と超極細繊維(B)を発生させる
と同時に超極細繊維(B)を溶剤により膨潤させるなど
して不織布を固定する工程(c)を、(a)(b)
(c)の順に、または(a)(c)(b)の順に行うこ
とにより本発明の皮革様シートを製造することができ
る。さらに、この後に、少なくとも一面に該繊維束の立
毛を形成する工程、得られた繊維立毛基体を染色する工
程によりスエード調人工皮革とすることができる。また
片面にポリウレタン層を付与する等の既知の方法により
銀面付き人工皮革とすることもできる。また工程(a)
のあとに、後述するように、該不織布を収縮させる工程
を入れるのが好ましい。
【0056】本発明方法に用いられる極細繊維型発生繊
維は、超極細繊維(B)を構成するポリマーと海成分中
の分散媒成分となるポリマーを所定の混合比で混合し
て、同一溶融系で溶融し、これと別の系で溶融した極細
繊維(A)を構成する極細繊維形成性のポリマーとを、
紡糸頭部で接合−分割を複数回繰り返して両者の混合系
を形成して紡糸する方法、あるいは両者を紡糸口金部で
繊維形状を規定して合流させ紡糸する方法により得られ
る。つまり、超極細繊維(B)を構成するポリマーと海
成分中の分散媒ポリマーを所定の混合比で混合して同一
溶融系で溶融した混合ポリマーを海成分とし、極細繊維
(A)を構成する極細繊維形成性のポリマーが島成分と
して海成分中にほぼ均一に分散するように複合紡糸する
ことによって海成分ポリマー中に極細繊維(A)と超極
細繊維(B)とがほぼ均一に、かつ個々の極細繊維
(A)の周囲に超極細繊維(B)が分散した極細繊維発
生型繊維を得ることができる。
【0057】得られた極細繊維発生型繊維を延伸し、必
要に応じて捲縮、熱固定、カットなどの処理工程を経て
繊度2〜10デシテックスの繊維とする。
【0058】極細繊維発生型繊維は、カードで解繊し、
ウェバーを通してランダムウェブまたはクロスラップウ
ェブを形成し、得られた繊維ウェブは所望の重さ、厚さ
に積層する。次いで、公知の方法でニードルパンチ処理
を行い、ニードルパンチ不織布とする。パンチ数は通常
200〜2500パンチ/cm2の範囲で処理を行う。
【0059】次に、繊維絡合不織布に50〜150℃の
範囲の温度に加熱し、特に50〜95℃の範囲の熱水槽
で繊維絡合不織布を加熱し、繊維絡合不織布を収縮させ
るのが好ましい。収縮率は、極細繊維(A)および超極
細繊維(B)を構成する樹脂組成物の種類、紡糸条件、
延伸条件などにより決まるが、皮革様シートの充実感、
柔軟性を良好にするためのは、面積収縮率が10〜60
%の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは20
〜50%の範囲である。収縮させることにより、皮革様
シートの充実度が一層向上し、さらにスエード調の皮革
様シートとした場合に、立毛密度の高い、高級感あるも
のが得られることとなる。
【0060】ポリウレタン系エマルジョンの含浸と含浸
不織布を熱風乾燥を行う工程を経るが、エマルジョン液
を乾燥する際に不織布表面にポリウレタンをマイグレー
ションさせる方法を用いるのが好ましく、そのためには
乾燥温度は50〜160℃の範囲にすることが好まし
く、より好ましくは80〜140℃の範囲である。16
0℃を越える温度の場合、皮革様シートの機械的物性、
外観に悪影響を及ぼし好ましくない。50℃未満の場
合、不織布表面に樹脂液がマイグレーションしにくいば
かりか、乾燥に長時間を要し好ましくない。
【0061】該繊維の海成分(分散媒成分)を溶剤で溶
解除去することにより極細繊維(A)と超極細繊維
(B)を発生させると同時に超極細繊維(B)を溶剤に
より膨潤させ不織布を固定する工程においては、溶解除
去およびロールなどにより押圧を組み合わせることで、
不織布を固定することができる。例えば、海成分中の分
散媒ポリマーとしてポリエチレンを用い、90℃に加熱
したトルエンでポリエチレン溶解し、ロールでポリエチ
レンを絞り出すと同時に不織布固定を行うことにより、
柔軟性、充実感に優れたシートを得ることができる。抽
出処理する際の超極細繊維の膨潤度としては、膨潤前の
繊維が膨潤により、重量が15〜150%の範囲内にあ
るのが本発明の目的を達成する上で好ましく、より好ま
しくは30〜100%である。膨潤度が150%以上と
高すぎると、繊維同士の必要以上の接着を生じ、さらに
は超極細繊維そのものが多量に溶解していくこととな
る。一方、膨潤度が15%未満であると、バインダー効
果がない。もちろん本発明において、極細繊維は抽出す
る際に実質的に膨潤しないのが好ましく、膨潤度として
は20%未満であるのが好ましい。そして抽出処理温度
を調整することにより超極細繊維の膨潤度を上記好適範
囲にすることができる。また、押圧の程度は、不織布に
含浸させた液体をローラー間を通過させることにより搾
液除去する際に一般に用いられている程度、例えば 1
〜20kg/cmが採用される。分散媒ポリマーとして
ポリプロピレンを用いた場合には、溶剤の代表例として
ジクロロベンゼンが、またエチレンプロピレン共重合
体、エチレンオクテン共重合体、エチレン酢酸ビニル共
重合体、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重
合体、スチレンエチレン共重合体の場合にはトルエンが
好適に用いられる。
【0062】次に、スエード調人工皮革を得るには、極
細繊維絡合不織布と弾性重合体からなるシートは、少な
くとも一面を起毛処理して極細繊維を主体とした繊維立
毛面を形成させる。繊維立毛面を形成させる方法は、繊
維質基体を所望の厚さに厚み合わせを行った後あるいは
厚み合わせを行う前に、サンドペーパーなどを用いたバ
フィング処理を施す。そして厚み合わせを行っていない
ものにあっては所望の厚さに厚み合わせを行う。次い
で、得られたスエード調皮革様シートを染色するが、染
色は、分散染料などの染料で、通常の染色法で行う。染
色したスエード調皮革様シートは、揉み柔軟化処理、ブ
ラッシングなどの仕上げ処理を行ってスエード調人工皮
革の製品が得られる。
【0063】本発明により得られた皮革様シートは、適
度な柔軟性と充実感を有する皮革様シートであり、マッ
トレス、鞄内張り材料、衣料芯地、靴用芯材、クッショ
ン材、自動車内装材、壁紙、カーペットなどに好適に使
用することができる。さらに起毛処理してスエード調人
工皮革とした場合は、外観、風合いが良好でかつ発色
性、機械的物性に優れるため、衣料用はもとより、服飾
品、インテリア用、カーシート、袋物、各種手袋などに
好適である。また表面にポリウレタンなどの樹脂層を設
けて銀付き調人工皮革とした場合は、スポーツシュー
ズ、紳士靴、鞄、カメラケースなどに好適に使用するこ
とができる。
【0064】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定される
ものではない。なお、実施例中の部および%は断りのな
い限り、重量に関するものである。
【0065】〔融点および結晶融解熱〕結晶性のブロッ
ク共重合体の融点および結晶融解熱は、メトラー社製の
示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素気流下で下記
の表1に示す行程1〜行程3を順次行って、工程3の融
解ピーク温度を融点とし、融解に要した熱量を結晶融解
熱として求めた。
【0066】
【表1】
【0067】[島本数および太さ]極細繊維発生型繊維
又はこれからなる分散媒成分を抽出除去して得られる極
細繊維束の横断面を光学顕微鏡により観察し、抽出前の
繊維1本又は繊維束1本の横断面に存在する島成分又は極
細繊維(A)及び分散成分又は超極細繊維(B)の島本
数を数えた。次に極細繊維発生型繊維中における島成分
と分散成分のそれぞれの重量割合を求め、極細繊維発生
型繊維の太さ(デシテックス)にそれぞれの重量割合を
かけ、得られた値を本数で割った。
【0068】[風合い]実施例、比較例で得られたスエ
ードタイプの皮革様シートについて、任意に選出した2
0人のパネラーにより風合いを評価した。風合いは、柔
軟性、充実感、および総合的な風合いの3項目につい
て、4段階で評価した。 (柔軟性) 4;柔軟である 3;やや柔軟性に欠ける 2;硬く感じる 1;硬い (充実感) 4;良好 3;やや充実感に欠ける 2;多少充実感あり 1;充実感なし (総合的な風合い) 4;天然皮革ライクである 3;や
や不良 2;天然皮革ライクとは言えない 1;不良
【0069】[引裂強力]JIS−L1079の5.1
4のC法に準拠した方法で測定した。 [溶剤膨潤度]ブロック共重合体のペレットを100℃
で10時間、真空乾燥した後、プレス成形機を用い、2
60℃の温度で100μmのフィルムに成形し、成形
後、室温25℃の部屋で自然放冷し、その後80℃の真
空乾燥機内で24時間放置し、試験用のサンプルを得
た。サンプルを1辺10cmの正方形にカットし、重量
(Wo)を測定し、抽出溶剤に、抽出温度で1時間浸漬
したのち、表面に付着した溶剤を拭き取り、重量(W)
を測定し、下記の計算式に従い膨潤度を計算した。実施
例、比較例で用いたブロック共重合の膨潤度は、溶剤と
してトルエンを使用し、90℃の温度で測定した。 膨潤度(wt%)=100×(W−Wo)/Wo
【0070】以下の表2に、実施例、比較例に用いた樹
脂を示した。
【表2】
【0071】また本文中で用いられる化合物の略号を示
す。
【表3】
【0072】<ポリウレタンエマルジョンの製造> 参考例1 三ツ口フラスコに、PMSA1850を500g、TD
Iを85.5g、DMPAを6.04gを秤取し、乾燥
窒素雰囲気下、90℃で2hr撹拌して系中の水酸基を
定量的に反応させ、イソシアネート末端のプレポリマー
を得た。これにトルエン185gを加えて均一に撹拌し
た後、40℃にフラスコ内温度を下げ、TEAを4.6
gを加えて10分間撹拌を行った。次いで、乳化剤とし
てノニオン系界面活性剤(花王製エマルゲン930、
HLB=15.1)42.5g(ポリウレタン100重量
部当たり7重量部)を蒸留水547gに溶解した水溶液
を前記プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌し
て乳化した後、直ちにDETAを8.5g、IPDAを
7.0gを蒸留水186gに溶解した水溶液を加えてホ
モミキサーで1分間撹拌し、鎖伸長反応を行った。その
後、MEKをロータリーエバポレーターにより除去して
から、蒸留水を加えて固形分重量40wt%のポリウレ
タンエマルジョンを得た(以下、PUエマルジョンと
称する)。なお、ポリウレタンに占める窒素原子は3.
0%である。
【0073】参考例2 乳化剤をノニオン系界面活性剤(花王製エマルゲン93
0、 HLB=15.1)からノニオン系界面活性剤
(花王製エマルゲン985、 HLB=18.9)に変
更した以外は参考例1と同様の合成手順でエマルジョン
を合成した(以下、PUエマルジョンと称する)。
【0074】参考例3 乳化剤をノニオン系界面活性剤(花王製エマルゲン93
0、 HLB=15.1)からノニオン系界面活性剤
(花王製エマルゲン106、 HLB=10.5)に変
更した以外は参考例1と同様の合成手順でエマルジョン
を合成した(以下、PUエマルジョンと称する)。
【0075】参考例4 三ツ口フラスコに、PHC2000を250.0g、P
TG1000を250.0g、TDIを105.8g、
DMPAを6.38gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、9
0℃で2hr撹拌して系中の水酸基を定量的に反応さ
せ、イソシアネート末端のプレポリマーを得た。これに
MEK191.7gを加えて均一に撹拌した後、40℃
にフラスコ内温度を下げ、TEAを4.80gを加えて
10分間撹拌を行った。次いで、乳化剤としてノニオン
系界面活性剤(花王製エマルゲン930、 HLB=1
5.1)37.50g(ポリウレタン100重量部当た
り7重量部)を蒸留水910gに溶解した水溶液を前記
プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化
した後、直ちにDETAを9.50g、IPDAを7.
84gを蒸留水240gに溶解した水溶液を加えてホモ
ミキサーで1分間撹拌し、鎖伸長反応を行った。その
後、MEKと水をロータリーエバポレーターにより除去
した後、蒸留水を加えて固形分重量40wt%のポリウ
レタンエマルジョンを得た(以下、PUエマルジョン
と称する)を得た。なお、ポリウレタンに占める窒素原
子は3.0%である。
【0076】参考例5 TDI量を増やしたことでポリウレタンの占める窒素原
子を4.0%に増し、それに応じて他の成分のモルバラ
ンスを調製した以外は参考例1と同様の合成手順でエマ
ルジョンを合成した(以下、PUエマルジョンと称す
る)。
【0077】参考例6 TDI量を減らしたことでポリウレタンの占める窒素原
子を2.0%に減らし、それに応じて他の成分のモルバ
ランスを調製した以外は参考例1と同様の合成手順でエ
マルジョンを合成した(以下、PUエマルジョンと称
する)。このエマルジョンはポリウレタン粒子が不安定
でゲル状物が多く発生し、皮革様シートの製造には使用
できなかった。
【0078】<皮革様シートの作製> 実施例1 海成分としてTPEE(1)20部[超極細繊維
(B)]とポリエチレン40部とを同一溶融系で溶融し
たものと、島成分としてPET80部[極細繊維
(A)]を別の系で溶融したものとを紡糸口金部で繊維
形状を規定して紡糸する方法により極細繊維の島本数が
25本となるように紡糸し、繊度12デシテックスの極
細繊維形成型繊維を得た。この時、繊維の断面を観察す
るとTPEE(1)の島数は約900本であった。得ら
れた繊維を3倍に延伸し、機械捲縮を付与し、繊維長5
1mmに切断し、カードで解繊した後クロスラップウェバ
ーでウェブとした。次に、ニードルパンチを行い繊維絡
合不織布とした。90℃の熱水が入った浴槽に、この繊
維絡合不織布を浸し、不織布を収縮させた。収縮率
[(収縮後の不織布の長さ/収縮前の不織布の長さ)×
100]はタテ方向に24%,ヨコ方向に25%であっ
た。収縮した不織布を乾燥した後、不織布に対してPU
エマルジョンの固形分が10部付与されるように不織
布に含浸した。この樹脂含浸不織布を130℃の熱風で
乾燥した。乾燥後の樹脂含浸不織布の断面を電子顕微鏡
で観察したところ、不織布表面に近いほどウレタン樹脂
の付着量が多かった。次に極細繊維発生型中のポリエチ
レンを90℃トルエンで処理して除去し、その際に4k
g/cmの押圧でローラー間を通過させることにより絞
液した。そしてPETおよびTPEE(1)とからなる
厚さ約1mmの繊維質基体を得た。なお、極細繊維のPE
T繊維の繊度(計算値)は、0.09デシテックスであ
った。繊維質基体の一面をサンドペーパでバフィングし
て厚さ0.80mmに厚み合わせを行った後、他の面をエ
メリーバフ機で処理して極細立毛面を形成し、更にサー
キュラー液流染色機で分散染料を用いて茶色に染色した
後、仕上げをして比重が0.53の皮革様シートを得
た。充実感、柔軟性に優れ、かつ立毛は均一であり、表
面外観に優れていた。
【0079】実施例2 PUエマルジョンをPUエマルジョンに変更した以
外は実施例1と同様にして皮革様シートを得た。なお、
この革様シートは比重が0.50であり、充実感、柔軟
性に優れ、かつ立毛は均一であり、表面外観に優れてい
た。
【0080】実施例3 海成分としてTPEE(2)20部[超極細繊維
(B)]とポリエチレン40部とを同一溶融系で溶融し
たものと、島成分としてIPA共重合PET80部[極
細繊維(A)]を別の系で溶融したものとを紡糸口金部
で繊維形状を規定して紡糸する方法により島本数が25
本となるように紡糸し、繊度12デシテックスの極細繊
維形成型繊維を得た。この時、繊維の断面を観察すると
TPEE(2)の平均本数は約1000本であった。得
られた繊維を3倍に延伸し、機械捲縮を付与し、繊維長
51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパウェ
バーでウェブとした。次に、ニードルパンチを行い繊維
絡合不織布とした。90℃の熱水が入った浴槽に、この
繊維絡合不織布を浸し、不織布を収縮させた。収縮率
[(収縮後の不織布の長さ/収縮前の不織布の長さ)×
100]はタテ方向に25%,ヨコ方向に26%であっ
た。収縮した不織布を乾燥した後、この不織布に対して
PUエマルジョンの固形分が10部付与されるように
不織布に含浸した。この樹脂含浸不織布を130℃の熱
風で乾燥した。乾燥後の樹脂含浸不織布の断面を電子顕
微鏡で観察したところ、不織布表面に近いほどポリウレ
タン樹脂が多かった。次いで、極細繊維発生型繊維中の
ポリエチレンをトルエンで処理して除去し、厚さ約1mm
の繊維質基体を得た。なお、極細繊維のIPA共重合P
ET繊維の繊度(計算値)は、0.09デシテックスで
あった。繊維質基体の一面をサンドペーパでバフィング
して厚さ0.80mmに厚み合わせを行った後、他の面を
エメリーバフ機で処理して極細立毛面を形成し、更に茶
色に染色した後、仕上げをして比重0.51の皮革様シ
ートを得た。この皮革様シートは充実感、柔軟性に優
れ、表面外観に優れていた。
【0081】実施例4 海成分としてTPEE(3)20部[超極細繊維
(B)]とポリエチレン40部とを同一溶融系で溶融し
たものと、島成分としてIPA共重合PET80部[極
細繊維(A)]を別の系で溶融したものとを紡糸口金部
で繊維形状を規定して紡糸する方法により島本数が25
本となるように紡糸し、繊度12デシテックスの極細繊
維形成型繊維を得た。この時、繊維の断面を観察すると
TPEE(3)の平均本数は約1000本であった。得
られた繊維を3倍に延伸し、機械捲縮を付与し、繊維長
51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパウェ
バーでウェブとした。次に、ニードルパンチを行い、目
付500g/m2の繊維絡合不織布とした。90℃の熱水
が入った浴槽に、この繊維絡合不織布を浸し、不織布を
収縮させた。収縮率[(収縮後の不織布の長さ/収縮前
の不織布の長さ)×100]はタテ方向に24%,ヨコ
方向に25%であった。収縮した不織布を乾燥した後、
この不織布に対してPUエマルジョンの固形分が10
部付与されるように不織布に含浸した。この樹脂含浸不
織布を130℃の熱風で乾燥した。乾燥後の樹脂含浸不
織布の断面を電子顕微鏡で観察したところ、不織布表面
に近いほどポリウレタン樹脂が多かった。次いで、極細
繊維発生型繊維中のポリエチレンをトルエンで処理して
除去し、厚さ約1mmの繊維質基体を得た。なお、極細繊
維のIPA共重合PET繊維の繊度(計算値)は、0.
09デシテックスであった。繊維質基体の一面をサンド
ペーパでバフィングして厚さ0.80mmに厚み合わせを
行った後、他の面をエメリーバフ機で処理して極細立毛
面を形成し、更に茶色に染色した後、仕上げをして比重
0.50の皮革様シートを得た。この皮革様シートは充
実感、柔軟性に優れ、表面外観に優れていた。
【0082】比較例1 海成分としてポリエチレン60部と、島成分としてPE
T80部[極細繊維(A)]を別の系で溶融したものと
を紡糸口金部で繊維形状を規定して紡糸する方法により
島本数が25本となるように紡糸し、繊度12デシテッ
クスの極細繊維形成型繊維を得た。得られた繊維を3倍
に延伸し、機械捲縮を付与し、繊維長51mmに切断し、
カードで解繊した後クロスラッパウェバーでウェブとし
た。次に、ニードルパンチを行い繊維絡合不織布とし
た。90℃の熱水が入った浴槽に、この繊維絡合不織布
を浸し、不織布を収縮させた。収縮率[(収縮後の不織
布の長さ/収縮前の不織布の長さ)×100]はタテ方
向に17%,ヨコ方向に17%であった。不織布に対し
てPUエマルジョンの固形分が15部付与されるよう
に不織布に含浸し、130℃の熱風乾燥機中で乾燥し
た。次いで、極細繊維発生型繊維中のポリエチレンをト
ルエンで処理して除去し、PETからなる厚さ約1mmの
繊維質基体を得た。なお、極細繊維のIPA共重合PE
T繊維の繊度(計算値)は、0.09デシテックスであ
った。繊維質基体の一面をサンドペーパでバフィングし
て厚さ0.80mmに厚み合わせを行った後、他の面をエ
メリーバフ機で処理して極細立毛面を形成し、更に茶色
に染色した後、仕上げをして比重が0.30の皮革様シ
ートを得た。しかし、エメリーバフ機でバフィング処理
する際に、繊維が十分に固定されていないため繊維の抜
けが多かった。従って、表面外観が著しく劣っていお
り、充実感もなかった。
【0083】比較例2 海成分としてTPEE(1)60部[超極細繊維
(B)]とポリエチレン50部とを同一溶融系で溶融し
たものと、島成分としてPET40部[極細繊維
(A)]を別の系で溶融したものとを紡糸口金部で繊維
形状を規定して紡糸する方法により島本数が25本とな
るように紡糸し、繊度12デシテックスの極細繊維形成
型繊維を得た。この時、繊維の断面を観察するとてTP
EE(1)の島数は約1900本であった。得られた繊
維を3倍に延伸し、機械捲縮を付与し、繊維長51mmに
切断し、カードで解繊した後クロスラッパウェバーでウ
ェブとした。次に、ニードルパンチを行い、目付500
g/m2の繊維絡合不織布とした。90℃の熱水が入った
浴槽に、この繊維絡合不織布を浸し、不織布を収縮させ
た。収縮率[(収縮後の不織布の長さ/収縮前の不織布
の長さ)×100]はタテ方向に28%,ヨコ方向に2
8%であった。不織布に対してPUエマルジョンの固
形分が15部付与されるように不織布に含浸し、130
℃の熱風で乾燥した。次いで極細繊維発生型繊維中のポ
リエチレンをトルエンで処理して除去し、厚さ約1mmの
繊維質基体を得た。なお、極細繊維のPET繊維の繊度
(計算値)は、0.043デシテックスであった。繊維
質基体の一面をサンドペーパでバフィングして厚さ0.
8mmに厚み合わせを行った後、他の面をエメリーバフ機
で処理して極細立毛面を形成し、更に茶色に染色した
後、仕上げをして0.50の皮革様シートを得た。得ら
れた皮革様シートは、ペーパライクで硬く、引裂強力も
低い。更に皮革様シートの発色性が低く、表面外観に劣
っていた。
【0084】比較例3 PUエマルジョンをPUエマルジョンに変更した以
外は実施例1と同様にして皮革様シートを得た。なお、
この革様シートは比重が0.45であったが、エメリー
バフ機でバフィング処理する際に、繊維が十分に固定さ
れていないため繊維の抜けが多かった。従って、表面外
観が著しく劣っていおり、充実感もなかった。また引裂
強力も劣っていた
【0085】比較例4 PUエマルジョンをPUエマルジョンに変更した以
外は実施例1と同様にして皮革様シートを得た。なお、
この革様シートは比重が0.45であったが、エメリー
バフ機でバフィング処理する際に、エマルジョンの安定
性が劣るため凝集物があり、不均一にポリウレタンが付
着しているので繊維が十分に固定されていおらず繊維の
抜けが多かった。従って、表面外観が著しく劣っていお
り、充実感もなかった。また引裂強力も劣っていた
【0086】比較例5 PUエマルジョンをPUエマルジョンに変更した以
外は実施例1と同様にして皮革様シートを得た。なお、
この革様シートは比重が0.42であったが、得られた
皮革様シートは、繊維が十分に固定されていおらず繊維
の抜けが多かった。従って、表面外観が著しく劣ってお
り、充実感もなかった。引裂強力も低い。
【0087】以上の実施例および比較例の結果を以下の
表4に示す。
【表4】
【0088】
【発明の効果】本発明により柔軟性、充実感、表面外観
に優れた天然ライクな皮革様シートが得られる。
【0089】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の極細繊維発生型繊維の横断面の1例の
模式図である。
【符号の説明】
1:主体繊維の極細繊維(A)となる島成分 2:超極細繊維(B)となる分散成分 3:分散媒成分でかつ抽出可能な樹脂

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維束からなる絡合不織布にポリウレタ
    ン系エマルジョンを含浸、乾燥して得られる皮革様シー
    トにおいて、下記の条件(1)〜(3) (1)該繊維束が、繊度0.005〜0.5デシテック
    スの極細繊維(A)と繊度0.0001〜0.1デシテ
    ックスの超極細繊維(B)からなること、(2)極細繊
    維(A)と超極細繊維(B)との重量比が95/5〜5
    0/50であり、かつ繊維束断面における極細繊維
    (A)からなる島の本数が5以上であり、かつ繊維束断
    面における超極細繊維(B)の本数が25以上であるこ
    と、(3)該ポリウレタン系エマルジョンは、窒素原子
    (N)が2.3〜4.0%の範囲にあるポリウレタン1
    00重量部を、HLBが13〜17の範囲内にあるノニ
    オン性界面活性剤5〜15重量部を用いて水中分散させ
    た水系エマルジョンであること、を満足していることを
    特徴とする皮革様シート。
  2. 【請求項2】 該超極細繊維(B)を形成する樹脂成分
    が、芳香族ポリエステルからなるハードブロックと、脂
    肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカ
    ーボネート、脂肪族ポリエーテルエステル、脂肪族ポリ
    エステルカーボネートの少なくとも1つからなるソフト
    ブロックからなり、かつ融点が180℃以上であり、さ
    らに結晶融解熱が15〜42J/gの範囲にあるブロッ
    ク共重合体である請求項1に記載の皮革様シート。
  3. 【請求項3】 島成分が極細繊維形成型樹脂で、海成分
    が超極細繊維形成型樹脂からなる分散成分が分散媒成分
    中に分散している混合体であり、かつ下記条件(1)〜
    (2)を満足している海島断面構造を有する極細繊維発
    生型繊維からなる不織布を製造する工程(a)、下記条
    件(3)を満足しているポリウレタン系エマルジョンを
    含浸し熱風乾燥する工程(b)、繊維中の該分散媒成分
    を、溶剤により溶解抽出除去する工程(c)を、(a)
    (b)(c)の順序又は(a)(c)(b)の順序で行
    うことを特徴とする皮革様シートの製造方法。 (1)該島成分の太さが、0.005〜0.5デシテッ
    クスで、該分散成分の太さが0.0001〜0.1デシ
    テックスであること、(2)極細繊維(A)と超極細繊
    維(B)との重量比が95/5〜50/50であり、か
    つ繊維束断面における極細繊維(A)からなる島の本数
    が5以上であり、かつ繊維束断面における超極細繊維
    (B)の本数が25以上であること、(3)該ポリウレ
    タン系エマルジョンは、窒素原子(N)が2.3〜4.
    0%の範囲にあるポリウレタン100重量部を、HLB
    が13〜17の範囲内にあるノニオン性界面活性剤5〜
    15重量部を用いて水中分散させた水系エマルジョンで
    あること、
  4. 【請求項4】該超極細繊維(B)を形成する樹脂成分
    が、芳香族ポリエステルからなるハードブロックと、脂
    肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカ
    ーボネート、脂肪族ポリエーテルエステル、脂肪族ポリ
    エステルカーボネートの少なくとも1つからなるソフト
    ブロックからなり、かつ融点が180℃以上であり、さ
    らに結晶融解熱が15〜42J/gの範囲にあるブロッ
    ク共重合体である請求項3に記載の皮革様シートの製造
    方法。
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