JP2009150038A - 植物由来成分からなる合成皮革 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ乳酸樹脂などの従来の生分解性を有する植物由来成分樹脂の耐久性の問題を解決し、通気性も優れる合成皮革を提供する。
【解決手段】植物由来成分を30〜65重量%含有するポリウレタン樹脂膜が、布帛の片面にコーティング法または接合法により形成されてなるものとする。植物由来成分を30〜65%含有するポリウレタン樹脂膜は、多孔質膜または無孔膜、好ましくは多孔質膜と無孔膜との積層体とすることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は合成皮革(人工皮革)に関し、より具体的には衣料用途、中でもゴルフ、野球のバッティング用の手袋等の耐久性と通気性を要求されるスポーツ衣料用途に好適に用いられ、また昨今の地球温暖化対策における環境負荷の低減のために、カーボンニュートラルに寄与する植物由来成分を含有する合成皮革に関する。
植物由来成分よりなる樹脂としてはポリ乳酸樹脂が広く知られており、生分解性を特長とする(例えば特許文献1)。
しかしながら、生分解性が良好な合成皮革は、耐久性を要求される用途では実使用において問題が発生することが懸念される。現在の一般的なポリ乳酸樹脂は、加水分解性評価試験(70℃×95%RH)で1週間でも強度の保持が難しく、耐久性の要求される用途においては使用されていないのが実情である。
すなわち、植物由来成分としてポリ乳酸を使用した生分解性の良い合成皮革の実用化は未だ実現していない。
特開2002−20530号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、ポリ乳酸樹脂のような植物由来成分だけでは解決出来ない加水分解に対する耐久性の問題を解決解決した、環境負荷低減可能な合成皮革を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、織物・編物・不織布の片面にコーティング法、接合法または、含浸法による植物由来成分を30〜65%(重量%、以下同様)含有するポリウレタン樹脂を使用することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明の合成皮革は、上記の課題を解決するために、植物由来成分を30〜65重量%含有するポリウレタン樹脂膜が、布帛の片面にコーティング法または接合法により形成されてなるものとする。
上記植物由来成分を30〜65%含有するポリウレタン樹脂膜は、多孔質膜または無孔膜とすることができる。
また、植物由来成分を30〜65%含有するポリウレタン樹脂からなる多孔質膜に、植物由来成分を30〜65%含有するポリウレタン樹脂からなる無孔膜を積層して上記ポリウレタン樹脂膜となすこともできる。
その場合、植物由来成分を30〜65%含有するポリウレタン多孔質膜に皮絞調の工程紙によって形成された植物由来成分を30〜65%含有する無孔膜を転写積層し、そののち無孔膜の厚み差を利用して、溶剤塗布による再溶解により造孔して通気性を発現させることができる。
上記ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としてはヒマシ油ジオールが好適に用いられる。
上記ヒマシ油ジオールはヒマシ油系ポリエーテルポリエステルジオールであって、平均水酸基数が1.8〜2.1個であり、水酸基価が41〜85mgKOH/gであることが特に好ましい。
本発明の合成皮革は、温度70℃、湿度95%の条件下における加水分解性評価試験において3週間経過後の引張強度の保持率が80%以上である耐久性をもつことが好ましい。
本発明の合成皮革は、既存の石油系成分よりなるポリウレタン樹脂によって製造された、家具・衣料・履物・スポーツ手袋等の各用途で展開されている商品と同等、もしくはそれ以上の耐久性を有するものとなる。また、植物由来成分使用によるカーボンニュートラルにより、地球温暖化防止対策の一環として環境負荷の低減に寄与するものとなる。
また、ポリウレタン樹脂のポリオール成分としてヒマシ油系ポリオールを主に使用することにより、ポリ乳酸樹脂などの生分解性を有する植物由来成分樹脂の問題である耐久性を向上させることができ、加水分解性評価試験(70℃×95%RH)において、石油系成分よりなるポリカーボネート系ポリウレタンと同等の、又はそれ以上の耐久性を実現することが可能となる。
本発明の合成皮革は、上記の通り、片面にコーティング法または接合法による植物由来成分を含有するポリウレタン樹脂膜が形成されたものである。以下、本発明について、より詳細に説明する。
1.布帛について
本発明の合成皮革に用いる基材としては、使用目的等に応じて必要なものを適宣用いることができ、例としては、ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、ポリエステル繊維等の合成繊維;アセテート繊維、レーヨン繊維等の半合成繊維;綿、羊毛等の天然繊維が挙げられ、これら各種の繊維を単独で又は2種以上混合して用いることができる。またその組織も特に限定されず、織物、編物、不織布等を適宜用いることができる。
2.ポリウレタン樹脂膜について
植物由来成分を30〜65重量%含有するポリウレタン樹脂としては、ポリオール成分として2価の植物由来ポリオール等の植物由来成分を主に用いて合成したものを好適に用いることができる。
2価の植物由来ポリオールとしては、加水分解性に優れたポリウレタン樹脂を得ることができることから、ヒマシ油ジオールを好適に用いることができる。
ヒマシ油は、主に次式で表されるリシノレイン酸のトリグリセライドであり、
Figure 2009150038
リシノレイン酸は次式で表される構造を有する化合物である。
Figure 2009150038
本発明でいうヒマシ油ジオールとはヒマシ油に由来するジオールであり、中でもヒマシ油系ポリエーテルポリエステルジオールであって、平均水酸基数が1.8〜2.1個であり、水酸基価が41〜85mgKOH/gであるものが好ましく、特に平均水酸基数が1.95〜2.05個のものを好適に用いることができる。水酸基数が2.1個を越えると3価のポリオールの分枝あるいは架橋構造の生成のために、樹脂膜を形成するためのコーティングに適したポリウレタン樹脂を得ることが困難となる。すなわち、本発明で用いるウレタン樹脂は、構造が線状であり、分枝あるいは架橋構造をあまり持たず、布帛にコーティング可能な溶液の粘性を持つことが好ましい。分枝構造が増加すると粘性が大きくなり、コーティングに適さなくなる。また、架橋構造になると極微量でも粘性変化が起こり、少量でも粘性変化が大きく、さらに架橋量が増加するとウレタン樹脂溶液を得ることができなくなる。
ポリウレタン樹脂中の植物由来成分の割合は、環境負荷の軽減の点からはより多いほうが好ましいが、ポリウレタン樹脂膜の性能を向上させて本発明の目的とする合成皮革を得るために、下限を30重量%、上限を65重量%とする。
3.合成皮革の特性及び製法について
本発明の合成皮革は、湿度95%の条件下における加水分解性評価試験において3週間経過後の引張強度の保持率が80%以上であることが好ましい。
本発明においては、上記のようにポリウレタンの原料である2価のポリオールとして、ヒマシ油に由来する上記ポリエーテルポリエステルポリオールを用いることにより、合成皮革の引張強度の加水分解性評価試験3週間経過後における保持率を80%以上とすることが可能となる。さらに、15週間経過後においても引張強度の保持率が50%以上という、通常のポリエステルポリオールを用いた場合の5倍以上の、非常に耐久性のある合成皮革が得られる。
上記植物由来成分を含有するポリウレタン樹脂を得るための方法としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルスルホキシド(DMSO)等に代表される極性溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン等の溶剤に、ヒマシ油ジオール等の2価の植物由来ポリオールを溶解し、ここに2価のイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート:MDI、水添MDIなど)を添加し、充分に反応させ、末端にイソシアネートまたは、水酸基を有するプレポリマーを調製したのち、ジオール(石油由来のエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等、植物由来の1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール等)、又は2価のイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添MDIなど)を添加し、鎖長延長反応で重合度を上げる方法を用いることができる。但し、本発明で用いるポリウレタン樹脂の合成方法は上記方法に限定されるものではない。
上記において、2価の植物由来ポリオールと2価のイソシアネートとを反応させてプレポリマーを形成する際には、必要に応じて、2価の植物由来ポリオールに加えて、それ以外のポリオール、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールを共重合することも可能である。より具体的には、2価の石油由来のポリオールである、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が共重合可能である。あるいはポリカーボネートポリオール、シリコーン系ポリオール、フッ素系ポリオール、ポリアミド系ポリオール等を共重合して用いることもできる。これら植物由来ポリオール以外のポリオールはポリオール全量中50重量%(固形分比)以下の割合で混合可能であるが、植物由来比率を低減しないためにも、混合量は25重量%(固形分比)以下であることが望ましい。
本発明の合成皮革の製造方法については、布帛への植物由来成分を含有するポリウレタン樹脂膜の積層方法としては、布帛にダイレクトにコーティングをする方法(コーティング法)や、ディッピングにより含浸する方法がある。
上記コーティング方法では、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、リバースロールコーティングなどの各種のコーティング方法が使用可能である。
また、接合法としては、例えば離型紙にコーティング等で形成したポリウレタン樹脂膜を接着剤でドットもしくは全面接着で布帛に積層したのち離型紙を剥離する方法が用いられるが、これに限定されない。
多孔膜を形成する好ましい態様の例としては、植物由来成分を含有するポリウレタン樹脂を水に可溶な極性溶剤(DMF、DMSOなど)に溶解してなるポリウレタン樹脂溶液を基材にコーティングし、これを水中あるいは極性溶媒を含有する水溶液中で湿式ゲル化させて多孔質膜を形成する方法が挙げられる。
多孔質膜に無孔膜を積層する場合、表面層の無孔膜については、離型紙にポリウレタン樹脂溶液をコーティングし、溶剤を乾燥させて形成したものを接着剤で全面接着する方法、あるいは無孔膜形成時に半乾燥状態で多孔層形成後の基材に積層したのち離型紙を剥離する方法があるが、これらに限定されない。
好ましい態様の例としては、多孔質膜に皮絞調の工程紙によって形成された無孔膜を転写積層し、そののち無孔膜の厚み差を利用して、溶剤塗布による再溶解により造孔して通気性を発現させることができる。例えばグラビアコーターにて溶剤を表面に塗布することで、絞柄の山谷の膜厚差により、谷部分が溶解されると同時に中間体表面も溶解される結果、湿式製法で形成された連続孔により通気性が発現する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によつて限定されるものではない。なお、以下の実施例を含む本願明細書等における諸性能の測定方法としては以下のものを用いた。また、%は重量%である。
(測定方法)
(1)ジャングルテスト:70℃、相対湿度95%の高湿恒温槽において加水分解を促進させ、テスト前の引張強度に対するテスト後の引張強度の割合(%)を調べた。
(2)引張強度測定:オリエンテック社製STA−1225引張試験機で100mm/分の速度で測定した。
(3)摩耗強度測定:(株)大栄化学精器製作所製テーバー式磨耗試験機、磨耗輪として米国テーバー社製CS−10を用い、1kg荷重×2000回の試験条件で級判定(5段階)を行った。
(4)5%NaOH水溶液による煮沸試験:ステンレス製のバットを電磁誘導式電熱器で煮沸(おおよそ100℃)状態の中に浸漬して膜の溶解の発生を観察し、時間経過を分で評価した。
(5)通気度測定:(株)大栄精器機製フラジール通気度試験AP−360を用いて測定した。
<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液1>
ヒマシ油ジオール1(伊藤製油(株)製、PH−5002、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:43mgKOH/g)76.8gとヒマシ油ジオール2(伊藤製油(株)製、H−56、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:83mgKOH/g)19.2gと、ポリブチレンアジペート(日本ポリウレタン(株)製、BA−2000)4g及びジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する)121gを1リットルのセパラブルコルベンにいれて溶解し、45℃に調温しながらMDI41.7gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させ、プレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、1,4−ブチレングリコール10.8gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合わせてDMF235gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、植物由来率63%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂30%溶液が得られた。
<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液2>
ヒマシ油ジオール1(伊藤製油(株)製、PH−5002、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:43mgKOH/g)32gとヒマシ油ジオール2(伊藤製油(株)製、H−56、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:83mgKOH/g)48gと、ポリブチレンアジペート(日本ポリウレタン(株)製、BA−2000)20g及びジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する)139gを1リットルのセパラブルコルベンにいれて溶解し、45℃に調温しながらMDI52.7gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させ、プレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、1,4−ブチレングリコール13.9gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合わせてDMF250gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、植物由来率48%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂30%溶液が得られた。
<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液3>
ヒマシ油ジオール1(伊藤製油(株)製、PH−5002、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:43mgKOH/g)42gとヒマシ油ジオール2(伊藤製油(株)製、H−56、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:83mgKOH/g)28gと、ポリブチレンアジペート(日本ポリウレタン(株)製、BA−2000)30g及びDMF140gを1リットルのセパラブルコルベンにいれて溶解し、45℃に調温しながらMDI52gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させ、プレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、1,4−ブチレングリコール14gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合わせてDMF247gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、植物由来率42.2%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂30%溶液が得られた。
<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液4>
ヒマシ油ジオール1(伊藤製油(株)製、PH−5002、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:43mgKOH/g)24gとヒマシ油ジオール2(伊藤製油(株)製、H−56、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:83mgKOH/g)36gと、ポリブチレンアジペート(日本ポリウレタン(株)製、BA−2000)40g及びDMF140gを1リットルのセパラブルコルベンにいれて溶解し、45℃に調温しながらMDI51.2gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させ、プレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、1,4−ブチレングリコール13.5gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合わせてDMF244gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、植物由来率36.4%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂30%溶液が得られた。
<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液5>
ヒマシ油ジオール1(伊藤製油(株)製、PH−5002、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:43mgKOH/g)20gとヒマシ油ジオール2(伊藤製油(株)製、H−56、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:83mgKOH/g)30gと、ポリブチレンアジペート(日本ポリウレタン(株)製、BA−2000)50g及びDMF140gを1リットルのセパラブルコルベンにいれて溶解し、45℃に調温しながらMDI50.5gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させ、プレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、1,4−ブチレングリコール13.3gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合わせてDMF242gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、植物由来率30.5%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂30%溶液が得られた。
<石油由来ポリウレタン樹脂30%溶液>
ポリブチレンアジペート(日本ポリウレタン(株)製、BA−2000)100g及びDMF144gを1リットルのセパラブルコルベンにいれて溶解し、45℃に調温しながらMDI46.9gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させ、プレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、1,4−ブチレングリコール12.4gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合わせてDMF278gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、石油由来率100%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂30%溶液が得られた。
[実施例1]
基材として、片面起毛処理をしたナイロントリコット(密度:ウエル42本/in・コース54本/in、フロント50デニール/48フィラメント、バック30デニール/10フィラメント経編ハーフトリコット)に加工時の通過性・寸法安定性を付与する目的でレーヨン素材の織物(打ち込み本数90本/in)を起毛面とは逆の面にアクリル/酢酸ビニール系のエマルジョン樹脂をバインダーとしてラミネートした複合素材を使用した。
コーティングの前処理として基材を水に浸漬し、マングルにて基材重量に対して80〜90%の水の付着となるよう調整した。
つぎに<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液1>100.0重量部、DMF120重量部、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコール(登録商標)SW−C)3.0重量部、ノニオン系添加剤(大日本インキ化学工業(株)製、クリスボン(登録商標)アシスターSD−7)2.0重量部、顔料(大日本インキ化学工業(株)製、ダイラック(登録商標)L−7560)20.0重量部を添加攪拌し、植物由来率61.8%(固形分中比率)のポリウレタン配合溶液を得た。
前処理を行った基材にナイフオーバーロールコーターで800g/mの塗布量でコーティングし、DMF10重量%含有する水溶液を凝固浴とする浴槽に30℃で10分間浸漬してポリウレタン樹脂配合液を析出凝固させ、つぎに80℃の温湯で、30分間浸漬洗浄を行い、120℃の熱風にて乾燥し、植物由来率61.8%(積層樹脂層の固形分中比率)の中間体を得た。
つぎに<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液1>100.0重量部に溶剤メチルエチルケトン120重量部、アクリルシリコーン(信越シリコーン(株)製、KP−366)2重量部、顔料(大日精化工業(株)製、BS−780)30重量部を添加攪拌し、植物由来率48.8%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合液を得た。
つぎにナイフオーバーロールコーターで工程紙(大日本印刷(株)製、DE−43)に40g/mの塗布量でコーティングを行い、70℃の乾燥機で30秒間予備乾燥を行い、樹脂配合液の溶剤が残留した半乾燥状態で先に作成した中間体の樹脂面と貼り合わせ、中間体表面が、残留溶剤で溶解することで一体化させ、140℃の熱風で乾燥した。これにより6μの厚みの無孔膜が中間体に形成された。
工程紙を剥離することによって皮革調の柄が転写されたシート材が得られた。
つぎにグラビアコーターにて150メッシュに彫刻されたロールで溶剤DMFを15g/mの塗布量で表面に塗布することで、絞柄の山谷の谷部分及び中間体表面を溶解させ、湿式製法で形成された連続孔により通気性を発現させた。
そして、補強材としたレーヨン織物を剥離することで、植物由来率61.1%(積層樹脂固形分中比率)の合成皮革を得た。その評価結果を表1に示す。
[実施例2]
基材として、片面起毛処理をしたナイロントリコット(密度:ウエル42本/in・コース54本/in、フロント50デニール/48フイラメント、バック30デニール/10フィラメント経編ハーフトリコット)に加工時の通過性・寸法安定性を付与する目的でレーヨン素材の織物(打ち込み本数90本/in)を起毛面とは逆の面にアクリル/酢酸ビニール系のエマルジョン樹脂をバインダーとしてラミネートした複合素材を使用した。
コーティングの前処理として基材を水に浸漬し、マングルにて基材重量に対して80〜90%の水の付着となるよう調整した。
つぎに<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液2>100.0重量部、DMF120重量部、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコール(登録商標)SW−C)3.0重量部、ノニオン系添加剤(大日本インキ化学工業(株)製、クリスボン(登録商標)アシスターSD−7)2.0重量部、顔料(大日本インキ化学工業(株)製、ダイラック(登録商標)L−7560)20.0重量部を添加攪拌し、植物由来率47.1%(固形分中比率)のポリウレタン配合溶液を得た。
前処理を行った基材にナイフオーバーロールコーターで800g/mの塗布量でコーティングし、DMF10重量%含有する水溶液を凝固浴とする浴槽に30℃で10分間浸漬してポリウレタン樹脂配合液を析出凝固させ、つぎに80℃の温湯で、30分間浸漬洗浄を行い、120℃の熱風にて乾燥し、植物由来率47.1%(積層樹脂層の固形分中比率)の中間体を得た。
つぎに<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液2>100.0重量部に溶剤メチルエチルケトン120重量部、アクリルシリコーン(信越シリコーン(株)製、KP−366)2重量部、顔料(大日精化工業(株)製、BS−780)30重量部を添加攪拌し、植物由来率37.9%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合液を得た。
つぎにナイフオーバーロールコーターで工程紙(大日本印刷(株)製、DE−43)に40g/mの塗布量でコーティングを行い、70℃の乾燥機で30秒間予備乾燥を行い、樹脂配合液の溶剤が残留した半乾燥状態で先に作成した中間体の樹脂面と貼り合わせ、中間体表面が、残留溶剤で溶解することで一体化させ、140℃の熱風で乾燥した。これにより6μの厚みの無孔膜が中間体に形成された。
工程紙を剥離することによって皮革調の柄が転写されたシート材が得られた。
つぎにグラビアコーターにて150メッシュに彫刻されたロールで溶剤DMFを15g/mの塗布量で表面に塗布することで、絞柄の山谷の谷部分及び中間体表面を溶解させ、湿式製法で形成された連続孔により通気性を発現させた。
そして、補強材としたレーヨン織物を剥離することで、植物由来率46.6%(積層樹脂固形分中比率)の合成皮革を得た。その評価結果を表1に示す。
[実施例3]
基材として、片面起毛処理をしたナイロントリコット(密度:ウエル42本/in・コース54本/in、フロント50デニール/48フイラメント、バック30デニール/10フィラメント経編ハーフトリコット)に加工時の通過性・寸法安定性を付与する目的でレーヨン素材の織物(打ち込み本数90本/in)を起毛面とは逆の面にアクリル/酢酸ビニール系のエマルジョン樹脂をバインダーとしてラミネートした複合素材を使用した。
コーティングの前処理として基材を水に浸漬し、マングルにて基材重量に対して80〜90%の水の付着となるよう調整した。
つぎに<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液3>100.0重量部DMF:120重量部、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコール(登録商標)SW−C)3.0重量部、ノニオン系添加剤(大日本インキ化学工業(株)製、クリスボン(登録商標)アシスターSD−7)2.0重量部、顔料(大日本インキ化学工業(株)製、ダイラック(登録商標)L−7560)20.0重量部を添加攪拌し、植物由来率41.4%(固形分中比率)のポリウレタン配合溶液を得た。
前処理を行った基材にナイフオーバーロールコーターで800g/mの塗布量でコーティングし、DMFを10重量%含有する水溶液を凝固浴とする浴槽に30℃で10分間浸漬してポリウレタン樹脂配合液を析出凝固させ、つぎに80℃の温湯で、30分間浸漬洗浄を行い、120℃の熱風にて乾燥し、植物由来率41.4%(積層樹脂層の固形分中比率)の中間体を得た。
つぎに<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液3>100.0重量部に溶剤メチルエチルケトン:120重量部、アクリルシリコーン(信越シリコーン(株)製、KP−366)2重量部、顔料(大日精化工業(株)製、BS−780)30重量部を添加攪拌し、植物由来率33.3%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合液を得た。
つぎにナイフオーバーロールコーターで工程紙(大日本印刷(株)製、DE−43)に40g/mの塗布量でコーティングを行い、70℃の乾燥機で30秒間予備乾燥を行い、樹脂配合液の溶剤が残留した半乾燥状態で先に作成した中間体の樹脂面と貼り合わせ、中間体表面が、残留溶剤で溶解することで一体化させ、140℃の熱風で乾燥した。これにより6μの厚みの無孔膜が中間体に形成された。
工程紙を剥離することによって皮革調の柄が転写されたシート材が得られた。
つぎにグラビアコーターにて150メッシュに彫刻されたロールで溶剤DMFを15g/mを表面に塗布した。これにより、絞柄の山谷の谷部分及び中間体表面を溶解させ、湿式製法で形成された連続孔により通気性を発現させた。
そして、補強材としたレーヨン織物を剥離することで、植物由来率41.0%(積層樹脂固形分中比率)の合成皮革を得た。その評価結果を表1に示す。
[実施例4]
基材として、起毛処理をしたナイロントリコット(密度:ウエル42本/in・コース54本/in、フロント50デニール/48フイラメント、バック30デニール/10フィラメント経編ハーフトリコット)に加工時の通過性・寸法安定性を付与する目的でレーヨン素材の織物(打ち込み本数90本/in)を起毛面とは逆の面にアクリル/酢酸ビニール系のエマルジョン樹脂をバインダーとしてラミネートした複合素材を使用した。
コーティングの前処理として基材を水に浸漬し、マングルにて基材重量に対して80〜90%の水の付着となるよう調整した。
つぎに<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液4>100.0重量部、DMF120重量部、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコール(登録商標)SW−C)3.0重量部、ノニオン系添加剤(大日本インキ化学工業(株)製、クリスボン(登録商標)アシスターSD−7)2.0重量部、顔料(大日本インキ化学工業(株)製、ダイラック(登録商標)L−7560)20.0重量部を添加攪拌し、植物由来率35.7%(固形分中比率)のポリウレタン配合溶液を得た。
前処理を行った基材にナイフオーバーロールコーターで800g/mの塗布量でコーティングし、DMF10重量%含有する水溶液を凝固浴とする浴槽に30℃で10分間浸漬してポリウレタン樹脂配合液を析出凝固させ、つぎに80℃の温湯で、30分間浸漬洗浄を行い、120℃の熱風乾燥し、植物由来率35.7%(積層樹脂層の固形分中比率)の中間体を得た。
つぎに<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液4>100.0重量部に溶剤メチルエチルケトン120重量部、アクリルシリコーン(信越シリコーン(株)製、KP−366)2重量部、顔料(大日精化工業(株)製、BS−780)30重量部を添加攪拌し、植物由来率28.7%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合液を得た。
つぎにナイフオーバーロールコーターで工程紙(大日本印刷(株)製、DE−43)に40g/mの塗布量でコーティングを行い、70℃の乾燥機で30秒間予備乾燥を行い、樹脂配合液の溶剤が残留した半乾燥状態で先に作成した中間体の樹脂面と貼り合わせ、中間体表面が、残留溶剤で溶解することで一体化させ、140℃の熱風で乾燥した。これにより6μの厚みの無孔膜が中間体に形成された。
工程紙を剥離することによって皮革調の柄が転写されたシート材が得られた。
つぎにグラビアコーターにて150メッシュに彫刻されたロールで溶剤DMFを15g/mの塗布量で表面に塗布することで、絞柄の山谷の谷部分及び中間体表面を溶解させ、湿式製法で形成された連続孔により通気性を発現させた。
そして、補強材としたレーヨン織物を剥離することで、植物由来率35.3%(積層樹脂固形分中比率)の合成皮革を得た。その評価結果を表1に示す。
[実施例5]
基材として、片面起毛処理をしたナイロントリコット(密度:ウエル42本/in・コース54本/in、フロント50デニール/48フイラメント、バック30デニール/10フィラメント経編ハーフトリコット)に加工時の通過性・寸法安定性を付与する目的でレーヨン素材の織物(打ち込み本数90本/in)を起毛面とは逆の面にアクリル/酢酸ビニール系のエマルジョン樹脂をバインダーとしてラミネートした複合素材を使用した。
コーティングの前処理として基材を水に浸漬し、マングルにて基材重量に対して80〜90%の水の付着となるよう調整した。
つぎに<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液5>100.0重量部DMF120重量部、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコール(登録商標)SW−C)3.0重量部、ノニオン系添加剤(大日本インキ化学工業(株)製、クリスボン(登録商標)アシスターSD−7)2.0重量部、顔料(大日本インキ化学工業(株)製、ダイラック(登録商標)L−7560)20.0重量部を添加攪拌し、植物由来率47.1%(固形分中比率)のポリウレタン配合溶液を得た。
前処理を行った基材にナイフオーバーロールコーターで800g/mの塗布量でコーティングし、DMF10重量%含有する水溶液を凝固浴とする浴槽に30℃で10分間浸漬してポリウレタン樹脂配合液を析出凝固させ、つぎに80℃の温湯で、30分間浸漬洗浄を行い、120℃の熱風乾燥し、植物由来率29.9%(積層樹脂層の固形分中比率)の中間体を得た。
つぎに<植物由来ポリウレタン樹脂30%溶液5>100.0重量部に溶剤メチルエチルケトン120重量部、アクリルシリコーン(信越シリコーン(株)製、KP−366)2重量部、顔料(大日精化工業(株)製、BS−780)30重量部を添加攪拌し、植物由来率24.1%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合液を得た。
つぎにナイフオーバーロールコーターで工程紙(大日本印刷(株)製、DE−43)に40g/mの塗布量でコーティングを行い、70℃の乾燥機で30秒間予備乾燥を行い、樹脂配合液の溶剤が残留した半乾燥状態で先に作成した中間体の樹脂面と貼り合わせ、中間体表面が残留溶剤で溶解することで一体化させ、140℃の熱風で乾燥した。これにより6μの厚みの無孔膜が中間体に形成された。
工程紙を剥離することによって皮革調の柄が転写されたシート材が得られた。
つぎにグラビアコーターにて150メッシュに彫刻されたロールで溶剤DMFを15g/mの塗布量で表面に塗布した。これにより、絞柄の山谷の谷部分及び中間体表面を溶解させ、湿式製法で形成された連続孔により通気性を発現させた。
そして、補強材としたレーヨン織物を剥離することで、植物由来率29.6%(積層樹脂固形分中比率)の合成皮革を得た。その評価結果を表1に示す。
[比較例]
基材として、起毛処理をしたナイロントリコット(密度:ウエル42本/in・コース54本/in、フロント50デニール/48フイラメント、バック30デニール/10フィラメント経編ハーフトリコット)に加工時の通過性・寸法安定性を付与する目的でレーヨン素材の織物(打ち込み本数90本/in)を起毛面とは逆の面にアクリル/酢酸ビニール系のエマルジョン樹脂をバインダーとしてラミネートした複合素材を使用した。
コーティングの前処理として基材を水に浸漬し、マングルにて基材重量に対して80〜90%の水の付着となるよう調整した。
つぎに<石油由来ポリウレタン樹脂30%溶液>100.0重量部、DMF120重量部、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコール(登録商標)SW−C)3.0重量部、ノニオン系添加剤(大日本インキ化学工業(株)製、クリスボン(登録商標)アシスターSD−7)2.0重量部、顔料(大日本インキ化学工業(株)製、ダイラック(登録商標)L−7560)20.0重量部を添加攪拌し、石油由来率100%(固形分中比率)のポリウレタン配合溶液を得た。
前処理を行った基材にナイフオーバーロールコーターで800g/mの塗布量でコーティングし、DMFを10重量%含有する水溶液を凝固浴とする浴槽に30℃で10分間浸漬してポリウレタン樹脂配合液を析出凝固させ、つぎに80℃の温湯で、30分間浸漬洗浄を行い、120℃で熱風乾燥し、石油由来率100%(積層樹脂層の固形分中比率)の中間体を得た。
つぎに<石油由来ポリウレタン樹脂30%溶液>100.0重量部に溶剤メチルエチルケトン120重量部、アクリルシリコーン(信越シリコーン(株)製、KP−366)2重量部、顔料(大日精化工業(株)製、BS−780)30重量部を添加攪拌し、石油由来率100%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合液を得た。
つぎにナイフオーバーロールコーターで工程紙(大日本印刷(株)製、DE−43)に40g/mの塗布量でコーティングを行い、70℃の乾燥機で30秒間予備乾燥を行い、樹脂配合液の溶剤が残留した半乾燥状態で先に作成した中間体の樹脂面と貼り合わせ、中間体表面が、残留溶剤で溶解することで一体化させ、140℃の熱風で乾燥した。これにより6μの厚みの無孔膜が中間体に形成された。
工程紙を剥離することによって皮革調の柄が転写されたシート材が得られた。
つぎにグラビアコーターにて150メッシュに彫刻されたロールで溶剤DMFを15g/mを表面に塗布することで、絞柄の山谷の谷部分及び中間体表面を溶解させ、湿式製法で形成された連続孔により通気性を発現させた。
そして、補強材としたレーヨン織物を剥離することで合成皮革を得た。その結果を表1に示す。
Figure 2009150038
本発明の合成皮革は、従来のポリ乳酸樹脂などの生分解性を有する植物由来成分樹脂の耐久性の問題を解決し、通気性にも優れるため、ゴルフ、バッティング等のスポーツ用手袋、一般衣料等に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 植物由来成分を30〜65重量%含有するポリウレタン樹脂膜が、布帛の片面にコーティング法または接合法により形成されてなる合成皮革。
  2. 前記植物由来成分を30〜65重量%含有するポリウレタン樹脂膜が、多孔質膜または無孔膜であることを特徴とする、請求項1に記載の合成皮革。
  3. 植物由来成分を30〜65重量%含有するポリウレタン樹脂からなる多孔質膜に、植物由来成分を30〜65重量%含有するポリウレタン樹脂からなる無孔膜を積層して前記ポリウレタン樹脂膜となしたことを特徴とする、請求項1に記載の合成皮革。
  4. 植物由来成分を30〜65重量%含有するポリウレタン多孔質膜に皮絞調の工程紙によって形成された植物由来成分を30〜65重量%含有する無孔膜を転写積層し、そののち無孔膜の厚み差を利用して、溶剤塗布による再溶解により造孔して通気性を発現させたことを特徴とする、請求項3に記載の合成皮革。
  5. 前記植物由来成分を30〜65%含有するポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としてヒマシ油ジオールを用いたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成皮革。
  6. 前記ヒマシ油ジオールがヒマシ油系ポリエーテルポリエステルジオールであって、平均水酸基数が1.8〜2.1個であり、水酸基価が41〜85mgKOH/gであることを特徴とする、請求項5に記載の合成皮革。
  7. 温度70℃、湿度95%の条件下における加水分解性評価試験において3週間経過後の引張強度の保持率が80%以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の合成皮革。
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