JP2021055250A - 防水加工布帛の製造方法 - Google Patents

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香織 奥村
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Abstract

【課題】ジメチルフォルムアミド以外の極性溶剤を使用して、湿式凝固法により防水性、透湿性、耐久性を有する多孔質のウレタン膜を有する防水加工布帛を提供すること。【解決手段】本発明は、1気圧での沸点が200℃以上であり、水に可溶なアミド系極性溶剤のポリウレタン溶液から得られる多孔質ポリウレタン層を、下記いずれかの方法で繊維布帛の表面に設けることを特徴とする防水加工布帛の製造方法。1.ポリウレタン溶液を繊維布帛の表面に塗布した後、湿式凝固させる。2.ポリウレタン溶液を前記繊維布帛以外の基材に塗布した後、湿式凝固させポリウレタン樹脂層を作成し、得られたポリウレタン樹脂層を前記繊維布帛の表面に接合させる。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン溶液および、それを用いた防水加工布帛の製造方法に関するものである。本発明の製造方法によれば高い耐水圧と透湿度を有する優れた耐久性の防水加工布帛を得ることができる。詳しくは、織編物、不織布、紙、多孔性フィルム等と組み合わせることで、フィッシングウエアや登山衣等のアウトドアウェア、スキー関連ウェア、ウィンドブレーカー、アスレチックウェア、ゴルフウェア、テニスウェア、レインウェア、カジュアルコート、屋内外作業着、手袋や靴等の衣料、衣料資材分野に好適に用いることができる防水加工布帛に関するものである。
従来、ウレタン樹脂はその優れた機械特性から布に塗布して防水膜として使用され、湿式凝固法によりポリウレタン溶液を多孔被膜化して透湿防水膜として使用されている。
湿式凝固では布に付着したウレタン樹脂溶液に含まれる水に可溶な極性溶剤の濃度(ア%)と、湿式凝固させる際の凝固浴中の水に可溶な極性溶剤の濃度(イ%)との関係が、ア%>イ%という濃度差を持たせることが凝固および多孔化に重要である。なお凝固浴中の水に可溶な極性溶剤の濃度イ%はア%より低いのであれば0%、すなわち凝固浴が水のみであっても構わない。つまり湿式凝固法とは前記極性溶剤の濃度差によって、生じる凝固時の濃度勾配により、ウレタン樹脂溶液からその極性溶剤が、より極性溶剤が低濃度である凝固浴へ溶出していくと同時に、水がウレタン樹脂溶液内への浸透、拡散を起こすことで、水に不溶なポリウレタン溶液が沈積凝固させることである。この方法によって、得られるポリウレタン層は多孔質の膜構造をとるのである。
なお繊維布帛にウレタン樹脂をコーティングしたものを単に乾燥するだけでは多孔膜の形成は通常は得られない。
この多孔質の膜構造は、衣料の分野において、透湿性と防水性を両立する透湿防水膜として広く活用されている。
水に可溶な極性溶剤の代表例としてジメチルホルムアミド(以下「DMF」)がある、DMFは湿式凝固法には最も好適なリサイクル可能な極性溶剤として産業界で使用されており、コストという観点も含めてこれに替わる極性溶剤はこれまで見当たらなかった。一方で、DMFは、欧州の輸出入規制であるREACHでは、高懸念物質(以下SVHC)として登録がなされたことでコストを度外視してでもDMFより安全な極性溶剤へ切り替えていくための探索が急課題となっている。
DMFよりも安全な溶剤という観点で、ウレタン樹脂との相溶性、および乾燥性に優れた溶剤の提案がなされている(特許文献1)が、成膜方法が単に乾燥するだけの無孔の膜構造の提案にとどまっていた。衣料用途に適した耐久性を有する湿式凝固法による多孔質のウレタン樹脂層を得るためのポリウレタン溶液の重合検討ならびに透湿防水性能に優れる多孔質樹脂層を有する布帛について検討がなされていなかった。
特開2019−99670号公報
本発明が解決しようとする課題は、DMFより安全で水に可溶なアミド系極性溶剤を使用したポリウレタン溶液繊維布帛の表面に塗布し、湿式凝固法により成膜し防水性、透湿性、耐久性を有する多孔質のウレタン樹脂層を有する防水加工布帛を提供することである。
本発明は、1気圧での沸点が200℃以上であり、水に可溶なアミド系極性溶剤のポリウレタン溶液から得られる多孔質ポリウレタン層を、下記いずれかの方法で繊維布帛の表面に設けることを特徴とする防水加工布帛の製造方法である。
1.ポリウレタン溶液を繊維布帛の表面に塗布した後、湿式凝固させる。
2.ポリウレタン溶液を前記繊維布帛以外の基材に塗布した後、湿式凝固させポリウレタン樹脂層を作成し、得られたポリウレタン樹脂層を前記繊維布帛の表面に貼り付ける。
本発明によれば、透湿性、防水性、耐久性の良好な湿式凝固法による多孔質のウレタン樹脂層がある防水加工布帛が提供される。
また、繊維布帛、および繊維布帛の表面に前記多孔質のウレタン樹脂層を形成した防水加工布帛は、アウトドアスポーツ用衣類、雨衣等に好適に使用できる快適性を有するものである。
・ 湿式凝固法により多孔質となりえるポリウレタン溶液を得る方法
本発明で好ましく使用されるポリウレタンは、イソシアネート基と反応性のある水酸基を少なくとも2個以上有するポリオール化合物(A)と、イソシアネート構造を有しイソシアネート基を少なくとも2個有するイソシアネート化合物(B)と、必要に応じて添加される鎖長剤(C)とを水に可溶な極性溶剤(D)中で反応させ、反応停止剤(E)で重合停止することより得られうるポリウレタンである。
本発明でいうポリウレタンには、単なるウレタン結合のみからなるポリウレタンのみならず尿素結合も含むポリウレタン・ポリ尿素樹脂も含む。尿素結合はイソシアネート化合物(B)と本発明では任意に添加できるアミノ基を有する化合物との反応により得ることができる。
前記ポリオール化合物(A)としては、例えばエステル結合を有するポリエステルポリオール、エーテル結合を有するポリエーテルポリオール、カーボネート基を有するポリカーボネートポリオールを挙げることができる。
ポリエステルポリオールは、二塩基酸成分と二価アルコール成分とを反応させることにより得られるのが一般的である。二塩基酸成分としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、6−ヒドロキシアジピン酸などが挙げられる。二価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの脂肪族グリコール、及びシクロヘキサンジオール等の脂環式グリコールや、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のような芳香族グリコールなどが挙げられる。これらの二塩基酸成分と二価アルコール成分と縮合反応させてポリエステルポリオールが得られる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリネオペンチルグリコールなどや共重合ポリエーテルポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、カーボネート結合を介して連結される高分子鎖を形成するものであり、当該高分子鎖に水酸基を有するものである。ポリカーボネートポリオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって得られる。アルキレングリコールの例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールやネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコールなどが挙げられる。エステル交換反応に用いられる炭酸エステルの例としては、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。
なおポリオール化合物(A)は、前述のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールから1つを選択しても良いし、2つ以上を組み合わせて選択することができる。特に本発明で得られる防水加工布帛は耐久性が必要であるため、耐加水分解性に優れる、ポリエーテルポリオールとポリカーボネートポリオールから1つを選択または2つを組み合わせてウレタン重合を行うことが好ましい。
前記イソシアネート化合物(B)としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加MDIなどのイソシアネート化合物が挙げられる。
なお、イソシアネート化合物(B)は水に可溶な極性溶剤(D)に容易に溶けるものを選ぶべきであり、本発明に用いる水に可溶なアミド系極性溶剤に対してはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が比較的容易に溶けるため好ましい。
前記鎖長剤(C)としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール(1,3−ブチレングリコール)、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコールなどの芳香族ジオールなどを挙げることができる。
前記水に可溶なアミド系極性溶剤(D)としては、作業環境の臭気も考慮すべきであり、沸点が200℃未満では不適切である。また前記のイソシアネート化合物(B)と容易に溶けるものを選ばないと重合時間が長くなり工業的に不適切である。これらの観点から3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(沸点252℃)、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(沸点215℃)が好ましい。また、例示される水に可溶なこれら2種の極性溶剤は湿式凝固法において、凝固浴中に溶出していき、工業的な観点からリサイクルすることが望ましい。なお、リサイクルは蒸留設備にて回収を行うことが望ましく、より沸点が低い3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(沸点215℃)を用いる方が、工業的にもさらに好ましい。
前記反応停止剤(E)は、ポリウレタン重合反応において、化学構造の末端に反応させて目的粘度で重合停止するために用いられる。
反応停止剤(E)には、一価および多価アルコール、一価アミン等を用いることができる。例えば一価および多価のアルコール(メタノール、エタノール、ブタノール、プロピレングリコール、高級アルコール、水酸基を有する高級脂肪酸エステルなど)、一価アミン(メチルアミン、ブチルアミンなど)があげられる。ここで、プロピレングリコールは、ふたつの水酸基を有するが、1級アルコールがイソシアネートと反応し、2級アルコールは立体障害により反応性に乏しく、結果として鎖伸長させないため、反応停止剤として使用することができる。
前記(A)〜(E)成分は、それぞれ単独で使用しても良いが、それぞれの成分において2種類以上を混合使用しても良い。ポリウレタン溶液の重合に際し、反応温度はウレタン化反応に通常採用される温度と同様でよく、極性溶剤(D)を使用する場合は通常30〜90℃である。
また、反応を促進させるため、ポリウレタンの重合反応に通常使用される触媒、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒を必要に応じて使用することもできる。アミン系触媒の添加量としては極性溶剤(D)に対して、好ましくは10000ppm以上、より好ましくは5000ppm以上、さらに好ましくは2000ppm以上添加することで重合時間を工業的に適切な時間である8時間程度に調整することが出来る。一方アミン系触媒の添加量が1000ppm以下の場合は、重合時間は12時間を超えてしまい、工業的には不適切となる。
このようにして製造されるポリウレタン溶液でのポリウレタンは、5〜50質量%が好ましく、実用上好ましいのは20〜30質量%である。なお30℃で測定した溶液粘度が通常1000〜100万mPa・sであり、実用上好ましいのは、1万〜20万mPa・sである。
前記のポリウレタン溶液を用いて繊維布帛の表面に塗布するためのポリウレタンは、水に可溶なアミド系極性溶剤(D)をさらに含有していてもよく、結果として濃度は、ポリウレタンの濃度が5〜50質量%となり、好ましくは10〜40質量%となる水に可溶なアミド系極性溶剤(D)の溶液となる。
本発明のウレタン樹脂には、必要に応じて、耐候性、耐熱劣化等の向上のための各種安定剤や多官能イソシアネート化合物等の架橋剤、着色剤、シリカなどの無機充填剤、有機改質剤、その他の添加剤等を含有させることができる。
(2)防水加工布帛およびその製造方法について
基材となる繊維布帛は、常法の染色整理を施したものを用いるのが好ましい。また用途がアウトドアなどの屋外での着用が想定される場合には雨滴の衣服内への侵入を防ぐためにも常法の撥水加工を施したものにしたい。この繊維布帛に対して、前述のウレタン樹脂を塗布し、湿式凝固法により成膜することで、繊維布帛上に多孔質のウレタン膜を有する本発明の防水加工布帛を得るに至る。
前記塗布については、一般的にダイレクトコーティング法と呼ばれるものであればよく、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、リバースロールコーティングなどの各種コーティング方法が使用可能であるが、これに限定されない。
なお、ウレタン樹脂を繊維布帛上に塗布する以外の方法としては、防水加工布帛とは別の繊維布帛にコーティングし、湿式凝固させ、多孔質のウレタン膜を形成したのち、ウレタン膜の表層に接着剤を使用して防水加工布帛に接合することができる。接着剤が固化したのちに防水加工布帛とは別の繊維布帛を剥離することで防水加工布帛を得るに至る加工法を接合法と呼び、この方法を用いてもよい。
前記接合法では、繊維布帛の材質は湿式凝固法を妨げず、接着剤が固化したのちに剥離可能であるならば、離型紙であってもよく、特に限定されない。
前記湿式凝固法により多孔質となりえるウレタン樹脂は、必要に応じて、湿式凝固時のウレタンの相分離の際の核(誘起剤)となり得る添加剤を配合することができる。
添加剤としては、無機材料および有機化合物の微粒子が挙げられ、好ましくはシリカの微粉末である。シリカの製造方法は特に限定ざれず、気相反応法やゾルゲル法などが挙げられ、シリカ原料については、4官能シラン、3官能シラン、2官能シランが挙げられる。
本発明の防水加工布帛は、実用上の防水の観点から耐水圧29.4kPa以上であることが好ましい。より高い耐水圧を得るためには、湿式凝固法により得た多孔質のウレタン膜の上に、あとから透湿性を有する無孔のウレタン膜をダイレクトコーティング法あるいは接合法によって得ることが可能となる。なお無孔のウレタン膜をダイレクトコーティング法によって得る場合の成膜方法は、湿式凝固法ではなく、単純な乾燥でよく、常法の乾燥によって得ることができる。なお、これまでに述べてきた湿式凝固法により得た多孔質のウレタン膜の厚みとしては、耐水圧を重視するのであれば厚みが大きいことが好ましいが、透湿性の両立も重視する衣料用途においては、一般的に10−100μmの厚みが好ましく、20−50μmが透湿性の観点でより好ましい。100μmを超える多孔質のウレタン膜は風合いも硬くなってしまい、家具やカーシートといった透湿性を必要としない資材用途での使用は可能であるが、衣料用途としては好ましくない。
本発明の防水加工布帛は、透湿度としてJIS規格L1099A−1法で200g/m2・hr以上、および/または、同規格B−1法で200g/m2・hr以上を有することが好ましい。
本発明の防水加工布帛は、実用上の耐久性の点から、加水分解性評価試験(ジャングルテスト:温度70℃、湿度95%RH)で5週間経過後の耐久性保持率が80%以上であることが好ましい。そのためには湿式凝固法により多孔質となりえるウレタン樹脂の重合において、ポリオール化合物(A)の成分にカーボネート基を有するポリカーボネートポリオール、エーテル結合を有するポリエーテルポリオールをいずれか単独または組み合わせて用いることにより、防水加工布帛の耐水圧の加水分解性評価試験5週間後における保持率を80%以上とすることが容易である。さらに、10週間経過後においても耐水圧の保持率が50%以上という、通常のポリエステルポリオールを用いた場合の5倍以上の非常に耐久性のある防水加工布帛が得られる。なお加水分解性評価試験における1週間が実用時の1年に相当するとするのが広く知られており、5週間経過後で耐久性保持率が80%以上ならば、衣料用途においては優れた耐久性を持つと認識される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
尚、以下の実施例を含む本願明細書等における諸性能の測定方法としては以下のものを用いた。
(測定方法)
(1)耐水圧:JIS−L1092(2009)B法にしたがって測定した。
(2)透湿度:JIS−L1099(2012)のA−1法およびB−1法に従って測定した。
(3)加水分解試験(ジャングルテスト):70℃、相対湿度95%の高温高湿槽において5週間加水分解を促進させ、耐水圧の保持率(テスト前の耐水圧に対するテスト後の耐水圧の割合、単位%)を調べた。
[実施例1]
(ジイソシアネートの溶解性の確認(1))
水に可溶なアミド系極性溶剤として3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(KJケミカル製KJCMPA−100:沸点215℃)を用い、室温下でジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」)をMDI濃度が15質量%の溶液となるように添加し、完全に溶けるまでの時間を測定した。さらに溶解直後および1日経過後の外観の様子を確認し、結果を表1に記した。
[実施例2]
(ジイソシアネートの溶解性の確認(2))
実施例1と同様に水に可溶な極性溶剤として3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(KJケミカル製KJCBPA−100:沸点252℃)を用いた場合のMDIが完全に溶けるまでの時間と溶解直後および1日経過後の外観の様子を確認し、結果を表1に記した。
[比較例1]
(ジイソシアネートの溶解性の確認(3))
水に可溶な極性溶剤としてウレタン重合に一般的に用いられるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に対しての実施例1と実施例2と同様の試験を行い、結果を表1に記した。
実施例1と実施例2ではMDIの溶解時間に差異はほとんどなかった。これらの結果から溶解1日以内であればどちらの水に可溶なアミド系極性溶剤もウレタン重合には使用が可能である。ただ1日経過後の外観が 実施例2が不安定な結果となった。
また工業的な観点から、これらの水に可溶なアミド系の極性溶剤は減圧蒸留による回収を行うことが容易に想定されるが、1気圧での沸点が280℃を超えないものであれば、減圧も20Torr以上での回収が可能となり、リサイクル性が良いと言える。1気圧での沸点が280℃以上となると、減圧蒸留での回収時に20Torrを下回る減圧が必要となり、工業的な観点からリサイクル性が良いとは言えない。
Figure 2021055250
[実施例3]
(ポリウレタン溶液の調製)
ポリカーボネートポリオール(ヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製、“ニッポラン”980R)144.5g、ポリエーテルポリオール(ポリテトラメチレングリコール、三洋化成工業(株)製、PTMG―2000M)36g、及び3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド280gを2リットルのセパラブルコルベンに入れて溶解させ、50℃に調温しながらジフェニルメタンジイソシアネート97gを添加し、50℃で約1時間反応させ、プレポリマーとした。この後、温度を60℃に昇温し、エチレングリコール15gと3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド45gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合せて3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド452gを分割添加しながら重合を行った。重合中にイソシアネート残量を分析し、重合終了時にプロピレングリコール9gと3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド120gを添加した。おおよそ12時間で反応が終わり、ウレタン樹脂濃度28.8%、粘度60,000mPa・s(30℃)のポリウレタン溶液が得られた。
(防水加工布帛の製造)
50デニールのナイロンフィラメントヤーンで構成されたナイロンリップタフタを、フッ素系撥水剤(ダイキン工業(株)、“ユニダイン”(登録商標。以下同じ。)TG−5521)の30g/lの希釈液に浸漬し、絞り率40%となるようにマングルで絞った後、120℃で乾燥し、130℃で30秒間熱処理し、撥水処理を行った。
つぎに、実施例3のポリウレタン溶液の重合(1)で得たポリウレタン溶液を80重量部にシリカ微粉末((株)トクヤマ製、“レオロシール”(登録商標。以下同じ。)MT−10、ジメチルジクロロシランの気相反応シリカ)6重量部を添加し、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド50重量部で充分に浸漬し、ホモミキサーで約15分間分散攪拌した後、攪拌し、ウレタン樹脂の液状組成物を得た。
これを先の撥水加工ナイロンリップタフタにナイフオーバーロールコーターで150g/m2の塗布量でコーティングし、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドを23重量%含有する水溶液を用い、2分間湿式凝固し、10分間水洗し、140℃にて熱風乾燥し、防水加工布帛を得た。
得られた布帛は、耐水圧、透湿度(A−1、B−1)を評価した。また、ジャングルテスト(70℃95%5週間)を行った後、耐水圧を測定し、その保持率を求めた。結果を表2に記した。
[実施例4]
(ポリウレタン溶液の調製)
ポリカーボネートポリオール(キーモノマーを1,10−デカンカーボネートジオールとした三菱ケミカル(株)製、“ベネビオール”NL2010DB)194.4g、及び3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド220gを2リットルのセパラブルコルベンに入れて溶解させ、50℃に調温しながらジフェニルメタンジイソシアネート104.5gを添加し、50℃で約1時間反応させ、プレポリマーとした。この後、温度を60℃に昇温し、エチレングリコール16.3gと3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド50gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合せて3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド570gを分割添加しながら重合を行った。重合中にイソシアネート残量を分析し、重合終了時にプロピレングリコール9gと3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド108gを添加した。おおよそ12時間で反応が終わり、ウレタン樹脂濃度31.1%、粘度57,000mPa・s(30℃)のポリウレタン溶液が得られた。
(防水加工布帛の製造)
実施例4のポリウレタン溶液の重合(2)で得たポリウレタン溶液を80重量部にシリカ微粉末((株)トクヤマ製、“レオロシール”MT−10)6重量部を添加し、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド50重量部で充分に浸漬し、ホモミキサーで約15分間分散攪拌した後、攪拌し、ウレタン樹脂の液状組成物を得た。
これを実施例3と同様に得た撥水加工ナイロンリップタフタにナイフオーバーロールコーターで150g/m2の塗布量でコーティングし、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドを23重量%含有する水溶液を用い、2分間湿式凝固し、10分間水洗し、140℃にて熱風乾燥し、防水加工布帛を得た。
得られた布帛は、耐水圧、透湿度(A−1、B−1)を評価した。また、ジャングルテスト(70℃95%5週間)を行った後、耐水圧を測定し、その保持率を求めた。結果を表2に記した。
[比較例2]
(ポリウレタン溶液の調製)
ポリカーボネートポリオール(ヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製、“ニッポラン”980R)144.5g、ポリエーテルポリオール(ポリテトラメチレングリコール、三洋化成工業(株)製、PTMG―2000M)36g、及びDMF280gを2リットルのセパラブルコルベンに入れて溶解させ、50℃に調温しながらジフェニルメタンジイソシアネート97gを添加し、50℃で約1時間反応させ、プレポリマーとした。この後、温度を60℃に昇温し、エチレングリコール15gとDMF45gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合せてDMF452gを分割添加しながら重合を行った。重合中にイソシアネート残量を分析し、プロピレングリコール9gとDMF120gを添加した。おおよそ7時間で反応が終わり、ウレタン樹脂濃度24.3%、粘度47,000mPa・s(30℃)のポリウレタン溶液が得られた。
(防水加工布帛の製造)
比較例2のポリウレタン溶液の重合(3)で得たポリウレタンを80重量部にシリカ微粉末((株)トクヤマ製、“レオロシール”MT−10)6重量部を添加し、DMF50重量部で充分に浸漬し、ホモミキサーで約15分間分散攪拌した後、攪拌し、ウレタン樹脂の液状組成物を得た。
これを実施例3と同様に得た撥水加工ナイロンリップタフタにナイフオーバーロールコーターで150g/m2の塗布量でコーティングし、DMFを23重量%含有する水溶液を用い、2分間湿式凝固し、10分間水洗し、140℃にて熱風乾燥し、防水加工布帛を得た。
得られた布帛は、耐水圧、透湿度(A−1、B−1)を評価した。また、ジャングルテスト(70℃95%5週間)を行った後、耐水圧を測定し、その保持率を求めた。結果を表2に記した。
表2からもDMFの代わりに水に可溶な極性溶剤として3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(KJケミカル製KJCMPA−100:沸点215℃)をポリウレタンの重合の溶媒として用い、その溶液から湿式凝固させることにより、繊維布帛の表面に多孔質ウレタン樹脂層を設ける際にも用いた実施例3、実施例4では耐水圧、透湿、耐久性が兼ね揃えた優れた防水加工布帛を得るに至っている。
Figure 2021055250
さらに本発明では、ポリウレタンの重合に用いる極性溶剤である3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドの溶剤中におけるアミン量を調整することで、ポリウレタンの重合時間を短縮することができることも下記の検討で明らかになった。
[実施例5]
(ポリウレタン重合時間の短縮化)
極性溶剤である3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドの溶剤中におけるアミン量を凡そ2000ppmとなるように調整を行い、以下の重合を実施した。
ポリカーボネートポリオール(ヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製、“ニッポラン”980R)144.5g、ポリエーテルポリオール(ポリテトラメチレングリコール、三洋化成工業(株)製、PTMG―2000M)36g、及びアミン量を調整した3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド280gを2リットルのセパラブルコルベンに入れて溶解させ、50℃に調温しながらジフェニルメタンジイソシアネート97gを添加し、50℃で約1時間反応させ、プレポリマーとした。この後、温度を60℃に昇温し、エチレングリコール15gとアミン量を調整した3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド45gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合せてアミン量を調整した3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド452gを分割添加しながら重合を行った。重合中にイソシアネート残量を分析し、重合終了時にプロピレングリコール9gと3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド120gを添加した。おおよそ8時間で反応が終わり、ウレタン樹脂濃度24.5%、粘度89,000mPa・s(30℃)のポリウレタン溶液が得られた。
[実施例6]
(ポリウレタン重合時間の短縮化)
極性溶剤である3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドの溶剤中におけるアミン量を実施例の半分に相当する1000ppmとなるように調整を行い、以下の重合を実施した。
ポリカーボネートポリオール(ヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製、“ニッポラン”980R)144.5g、ポリエーテルポリオール(ポリテトラメチレングリコール、三洋化成工業(株)製、PTMG―2000M)36g、及びアミン量を調整した3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド280gを2リットルのセパラブルコルベンに入れて溶解させ、50℃に調温しながらジフェニルメタンジイソシアネート97gを添加し、50℃で約1時間反応させ、プレポリマーとした。この後、温度を60℃に昇温し、エチレングリコール15gとアミン量を調整した3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド45gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合せてアミン量を調整した3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド452gを分割添加しながら重合を行った。重合中にイソシアネート残量を分析し、重合終了までにおおよそ12時間かかり、重合時間の短縮は出来なかった。

表3にポリウレタン重合時間に関する検討結果をまとめる。実施例3、実施例5、実施例6は極性溶剤(D)である3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド中のアミン量に違いがあるのみで、その他のイソシアネート基と反応性のある水酸基を少なくとも2個以上有するポリオール化合物(A)と、イソシアネート構造を有しイソシアネート基を少なくとも2個有するイソシアネート化合物(B)と、鎖長剤(C)と反応停止剤(E)の内容および使用量は同じである。
なお、実施例3の3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド中のアミン量は100ppmであった。
表3からも明らかなようにポリウレタン重合時間の短縮化の観点から、極性溶剤(D)である3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド中のアミン量を2000ppm添加することで重合時間を工業的に適切な時間である8時間程度に調整することが出来る。一方アミン系触媒の添加量が1000ppm以下の場合は、重合時間は12時間を超えてしまい、工業的には不適切であることが明らかになった。
Figure 2021055250


Claims (6)

  1. 1気圧での沸点が200℃以上であり、水に可溶なアミド系極性溶剤のポリウレタン溶液から得られる多孔質ポリウレタン層を、下記いずれかの方法で繊維布帛の表面に設けることを特徴とする防水加工布帛の製造方法。
    1.ポリウレタン溶液を繊維布帛の表面に塗布した後、湿式凝固させる。
    2.ポリウレタン溶液を前記繊維布帛以外の基材に塗布した後、湿式凝固させポリウレタン樹脂層を作成し、得られたポリウレタン樹脂層を前記繊維布帛の表面に接合させる。
  2. 前記アミド系極性溶剤が3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドである請求項1に記載の防水加工布帛の製造方法。
  3. 前記ポリウレタン溶液のポリウレタンがポリエーテル系ポリオールまたはポリカーボネート系ポリオール由来の構造を有するものである防水加工布帛の製造方法。
  4. 防水加工布帛の耐水圧が29.4kPa以上である請求項1〜3いずれかに記載の防水加工布帛の製造方法。
  5. 防水加工布帛のJIS L 1099のB−1法による透湿度が200g/m・hr以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれかの防水加工布帛の製造方法。
  6. 温度70℃、湿度95%の条件下における加水分解性評価試験において、5週間経過後の耐水圧の保持率が80%以上である請求項1〜5いずれかに記載の防水加工布帛の製造方法。
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