JP2005239841A - 水系ポリウレタン樹脂エマルション - Google Patents
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Abstract
【課題】皮革様シートを製造する際のポリウレタン樹脂のマイグレーションを防止するとともに、優れた保存安定性を有するポリウレタン樹脂エマルションを提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される化合物の2種以上の混合物からなり、かつ、Mw/Mnが下記関係式(2)または(3)を満たす、脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(a0)からなる1種以上のノニオン性界面活性剤(A)、カルボキシレート基および/またはスルホネート基の含有量の合計がポリウレタン樹脂の重量に基づいて0.01〜1.5重量%であるポリウレタン樹脂(B)、水溶性無機塩(C)並びに水性媒体からなる水系ポリウレタン樹脂エマルションである。
R1O−[(C2H4O)m/(AO)n]−(C2H4O)p−H (1)
Mw/Mn≦0.030×Ln(v)+1.010 (但し、v<10)(2)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.139 (但し、v≧10)(3)
【選択図】なし
【解決手段】 下記一般式(1)で表される化合物の2種以上の混合物からなり、かつ、Mw/Mnが下記関係式(2)または(3)を満たす、脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(a0)からなる1種以上のノニオン性界面活性剤(A)、カルボキシレート基および/またはスルホネート基の含有量の合計がポリウレタン樹脂の重量に基づいて0.01〜1.5重量%であるポリウレタン樹脂(B)、水溶性無機塩(C)並びに水性媒体からなる水系ポリウレタン樹脂エマルションである。
R1O−[(C2H4O)m/(AO)n]−(C2H4O)p−H (1)
Mw/Mn≦0.030×Ln(v)+1.010 (但し、v<10)(2)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.139 (但し、v≧10)(3)
【選択図】なし
Description
本発明は水系ポリウレタン樹脂エマルションに関し、さらに詳しくはノニオン性界面活性剤を含有するポリウレタン樹脂エマルション、該エマルションを用いて得られる皮革様シート用材料、ならびに皮革様シートに関する。
皮革様シート材料の従来の製造方法において、水系ポリウレタン樹脂エマルションを繊維材料基体に含浸し加熱乾燥した場合、水が繊維材料基体の表面層部分より蒸発するため、基体の内層部分のエマルションが水の移動に引き連られて繊維材料基体の表層部分に移行するマイグレーションを起こす現象があった。このマイグレーションによって、ポリウレタン樹脂は繊維材料基体の表層部分に移行してしまって内部にほとんど付着していない状態となるため、風合いの硬い皮革様シートしか得られなかった。最近では、このマイグレーションを防止するため種々の提案がなされている。例えばHLBが異なる2種類のノニオン性界面活性剤を含有するポリウレタンエマルション(特許文献−1参照)および10〜18のHLBを有するノニオン性界面活性剤と無機塩を含有するポリウレタン樹脂エマルション(特許文献−2参照)などが提案されている。
特開2000−345026号公報
特開2003−138131号公報
しかし、上記のような水系ポリウレタン樹脂エマルションは、皮革様シート材料を製造する際のマイグレーションの防止は改良できているものの、エマルション自身の安定性が悪く、特に40℃での長期間の保存により沈降物が生成し易く、夏場または高温地域での保存安定性に問題があり、実用性という観点から課題となっていた。
本発明の課題は、すなわち、皮革様シートを製造する際のポリウレタン樹脂のマイグレーションを防止するとともに、保存安定性に優れる水系ポリウレタン樹脂エマルションを提供することにある。
本発明の課題は、すなわち、皮革様シートを製造する際のポリウレタン樹脂のマイグレーションを防止するとともに、保存安定性に優れる水系ポリウレタン樹脂エマルションを提供することにある。
本発明者らは、この課題を解決すべく、マイグレーションを防止するとともに、40℃での安定保存性に優れる水系ポリウレタン樹脂エマルションを鋭意検討した結果本発明に至った。
すなわち、本発明は、脂肪族系アルコール(a)にアルキレンオキサイド(b)を付加して直接製造され、下記(i)および、(ii)を満たす脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(a0)からなる1種以上のノニオン性界面活性剤(A)、カルボキシレート基および/またはスルホネート基の含有量の合計がポリウレタン樹脂の重量に基づいて0.01〜1.5重量%であるポリウレタン樹脂(B)、水溶性無機塩(C)並びに水性媒体からなる水系ポリウレタン樹脂エマルション;該エマルションを繊維材料基体に付与した後、感熱凝固させて得られる皮革様シート用材料;並びに該皮革様シート材料をさらに後加工処理して得られる皮革様シート;である。
(i)下記一般式(1)で表される化合物の2種以上の混合物からなる。
R1O−[(C2H4O)m/(AO)n]−(C2H4O)p−H (1)
[式中、R1は炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基または炭素数8〜24の脂環式炭化水素基;Aは炭素数3以上のアルキレン基;mは平均が0〜4となる0または1以上の整数、nは平均が0〜3となる0または1以上の整数、pは平均が1〜80となる0または1以上の整数であり、(m+n+p)は平均が3〜81となる整数であり、(m+p)/(m+n+p)は平均0.5以上である。{(C2H4O)m/(AO)n}は、m≠0,n≠0のときブロック付加またはランダム付加を表す。]
(ii)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnが下記関係式(2)または(3)を満たす。
Mw/Mn≦0.030×Ln(v)+1.010 (但し、v<10) (2)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.139 (但し、v≧10)(3)
[但し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、上記一般式(1)での(m+n+p)の平均に相当する。Ln(v)はvの自然対数を意味する。]
すなわち、本発明は、脂肪族系アルコール(a)にアルキレンオキサイド(b)を付加して直接製造され、下記(i)および、(ii)を満たす脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(a0)からなる1種以上のノニオン性界面活性剤(A)、カルボキシレート基および/またはスルホネート基の含有量の合計がポリウレタン樹脂の重量に基づいて0.01〜1.5重量%であるポリウレタン樹脂(B)、水溶性無機塩(C)並びに水性媒体からなる水系ポリウレタン樹脂エマルション;該エマルションを繊維材料基体に付与した後、感熱凝固させて得られる皮革様シート用材料;並びに該皮革様シート材料をさらに後加工処理して得られる皮革様シート;である。
(i)下記一般式(1)で表される化合物の2種以上の混合物からなる。
R1O−[(C2H4O)m/(AO)n]−(C2H4O)p−H (1)
[式中、R1は炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基または炭素数8〜24の脂環式炭化水素基;Aは炭素数3以上のアルキレン基;mは平均が0〜4となる0または1以上の整数、nは平均が0〜3となる0または1以上の整数、pは平均が1〜80となる0または1以上の整数であり、(m+n+p)は平均が3〜81となる整数であり、(m+p)/(m+n+p)は平均0.5以上である。{(C2H4O)m/(AO)n}は、m≠0,n≠0のときブロック付加またはランダム付加を表す。]
(ii)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnが下記関係式(2)または(3)を満たす。
Mw/Mn≦0.030×Ln(v)+1.010 (但し、v<10) (2)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.139 (但し、v≧10)(3)
[但し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、上記一般式(1)での(m+n+p)の平均に相当する。Ln(v)はvの自然対数を意味する。]
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルションは、40℃でも長期間の保存安定性があり、沈降物を生じない。また該エマルションを用いて製造された皮革用シートは、エマルションを繊維材料基体に付与し感熱凝固する際、ポリウレタン樹脂のマイグレーションが少なく、しかも繊維材料基体へのエマルションの濡れ性に優れているため繊維に均一に付着するので、適度な柔軟性を有し、かつ通気性に優れ、天然皮革に近似した良好な風合いを有している。
本発明において、脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(a0)は、脂肪族系アルコール(a)(ここでは脂環式も含む。)にアルキレンオキサイドを付加して直接製造される脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物の1種または2種以上の混合物である。
ここで、「直接製造される」とは、上記付加物が精留などにより未反応物や付加モル数の異なるものを分別する操作なしで直接得られたものであることを意味する。分別を要するものは、工程が煩雑となり、通常のノニオン性界面活性剤として用いるには実用性がない。
ここで、「直接製造される」とは、上記付加物が精留などにより未反応物や付加モル数の異なるものを分別する操作なしで直接得られたものであることを意味する。分別を要するものは、工程が煩雑となり、通常のノニオン性界面活性剤として用いるには実用性がない。
本発明におけるノニオン性界面活性剤(A)は、下記一般式(1)で示される化合物の2種以上からなる。
R1O−[(C2H4O)m/(AO)n]−(C2H4O)p−H (1)
式(1)中、R1は、脂肪族系アルコール(a)の残基であり、炭素数が通常8〜24(好ましくは12〜18)の脂肪族炭化水素基または炭素数8〜24の脂環式炭化水素基を表す。R1の炭素数が8未満では、所望の乳化力が得られず、炭素数が24を超えるとアルキレンオキサイド付加物の流動点が上がるなど取り扱いの面で好ましくない。上記脂肪族炭化水素基としては、直鎖および/または分岐状の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基);脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基および多環炭化水素基が挙げられる。R1は直鎖状と分岐状など2種以上の基の混合物であってもよい。
R1の具体例としては、アルキル基としては、オクチル、ノニル、デシル、ラ
ウリル、トリデシル、ミリスチル、セチル、ステアリル、ノナデシル、2−エチルヘキシル、2−エチルオクチル基などが挙げられる。アルケニル基としては、オクテニル、デセニル、ドデセニル、トリデセニル、ペンタデセニル、オレイル
、ガドレイル基などが挙げられる。アルカジエニル基としては、リノレイル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、エチルシクロヘキシル、プロピルシクロヘキシル、オクチルシクロヘキシル、ノニルシクロヘキシル基などが挙げられる。多環炭化水素基としては、アダマンチル基などが挙げられる。
R1O−[(C2H4O)m/(AO)n]−(C2H4O)p−H (1)
式(1)中、R1は、脂肪族系アルコール(a)の残基であり、炭素数が通常8〜24(好ましくは12〜18)の脂肪族炭化水素基または炭素数8〜24の脂環式炭化水素基を表す。R1の炭素数が8未満では、所望の乳化力が得られず、炭素数が24を超えるとアルキレンオキサイド付加物の流動点が上がるなど取り扱いの面で好ましくない。上記脂肪族炭化水素基としては、直鎖および/または分岐状の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基);脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基および多環炭化水素基が挙げられる。R1は直鎖状と分岐状など2種以上の基の混合物であってもよい。
R1の具体例としては、アルキル基としては、オクチル、ノニル、デシル、ラ
ウリル、トリデシル、ミリスチル、セチル、ステアリル、ノナデシル、2−エチルヘキシル、2−エチルオクチル基などが挙げられる。アルケニル基としては、オクテニル、デセニル、ドデセニル、トリデセニル、ペンタデセニル、オレイル
、ガドレイル基などが挙げられる。アルカジエニル基としては、リノレイル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、エチルシクロヘキシル、プロピルシクロヘキシル、オクチルシクロヘキシル、ノニルシクロヘキシル基などが挙げられる。多環炭化水素基としては、アダマンチル基などが挙げられる。
本発明に用いる脂肪族系アルコール(a)としては、上記のR1残基を与えるものであり、炭素数が通常8〜24(好ましくは12〜18)のアルコールであり、天然アルコールでも合成アルコール(チーグラーアルコール、オキソアルコールなど)でもよい。
具体例としては、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール
、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコールなどの飽和脂肪族アルコール;オクテニルアルコール、デセニルアルコール、ドデセニルアルコール、トリデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、オレイルアルコール、ガドレイルアルコール、リノレイルアルコールなどの不飽和脂肪族アルコール;エチルシクロヘキシルアルコール、プロピルシクロヘキシルアルコール、オクチルシクロヘキシルアルコール、ノニルシクロヘキシルアルコール、アダマンチルアルコールなどの環状脂肪族アルコールが挙げられる。これら脂肪族系アルコールは1級または2級が好ましく、特に1級が好ましい。また、アルキル基部分は直鎖状でも分岐状でもよい。
具体例としては、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール
、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコールなどの飽和脂肪族アルコール;オクテニルアルコール、デセニルアルコール、ドデセニルアルコール、トリデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、オレイルアルコール、ガドレイルアルコール、リノレイルアルコールなどの不飽和脂肪族アルコール;エチルシクロヘキシルアルコール、プロピルシクロヘキシルアルコール、オクチルシクロヘキシルアルコール、ノニルシクロヘキシルアルコール、アダマンチルアルコールなどの環状脂肪族アルコールが挙げられる。これら脂肪族系アルコールは1級または2級が好ましく、特に1級が好ましい。また、アルキル基部分は直鎖状でも分岐状でもよい。
上記式(1)中、(C2H4O)の部分は、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)の付加により形成される。Aは炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜8、とくに好ましくは炭素数3のアルキレン基を表し、(AO)の部分は、炭素数3以上のアルキレンオキサイドの付加により形成される。このようなアルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−または2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイドなどが挙げられる。好ましくはPOである。
一般式(1)中、mは通常、平均が0〜4となる0または1以上の整数であり、好ましくは0〜3の整数、特に好ましくは1〜3の整数である。nは通常平均が0〜3となる0または1以上の整数であり、好ましくは0、1または2である。pは通常、平均が1〜80となる0または1以上の整数であり、好ましくは2〜70、特に好ましくは3〜40の整数である。80を超えると親水性が強すぎて充分な乳化力が得られない。
(m+n+p)は通常、平均が3〜81の整数であり、好ましくは3〜71の整数である。81を超えると親水性が強すぎて充分な乳化力が得られない。3未満であると、親水性が乏しく乳化力が劣る。(m+p)/(m+n+p)は通常0.5以上であり、好ましくは0.7〜1.0である。0.5未満では乳化力が低くなる。{(C2H4O)m/(AO)n}の部分は、ブロック付加〔(C2H4O)m、(AO)nの順〕でもランダム付加でも良いが、好ましくはブロック付加である。
(m+n+p)は通常、平均が3〜81の整数であり、好ましくは3〜71の整数である。81を超えると親水性が強すぎて充分な乳化力が得られない。3未満であると、親水性が乏しく乳化力が劣る。(m+p)/(m+n+p)は通常0.5以上であり、好ましくは0.7〜1.0である。0.5未満では乳化力が低くなる。{(C2H4O)m/(AO)n}の部分は、ブロック付加〔(C2H4O)m、(AO)nの順〕でもランダム付加でも良いが、好ましくはブロック付加である。
本発明に用いる脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(a0)の重量平均分子量(Mw)は、通常270〜5,000、好ましくは300〜1,200である。270〜5,000であると、乳化力が特に良好であり好ましい。〔分子量の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による。以下も同じ。〕
(A)のMwと数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnは下記関係式(2)または(3)を満たす必要がある。
Mw/Mn≦0.030×Ln(v)+1.010 (但し、v<10) (2)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.139(但し、v≧10) (3)
これらの式で、Ln(v)はvの自然対数を意味し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、前記一般式(1)での各アルキレンオキサイドの付加モル数であるmとnとpの合計の平均に相当する。]
関係式(2)または(3)を満たさない、すなわち分子量分布が広くなると充分な乳化力が得られず、その結果、ポリウレタン樹脂エマルションの十分な保存安定性が得られない。
また、Mw/Mnは、さらに乳化力を向上させるためには下記関係式(2')または(3')を満たすことが好ましい。
Mw/Mn≦0.031×Ln(v)+1.000 (但し、v<10)(2')
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.129(但し、v≧10)(3')
(A)のMwと数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnは下記関係式(2)または(3)を満たす必要がある。
Mw/Mn≦0.030×Ln(v)+1.010 (但し、v<10) (2)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.139(但し、v≧10) (3)
これらの式で、Ln(v)はvの自然対数を意味し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、前記一般式(1)での各アルキレンオキサイドの付加モル数であるmとnとpの合計の平均に相当する。]
関係式(2)または(3)を満たさない、すなわち分子量分布が広くなると充分な乳化力が得られず、その結果、ポリウレタン樹脂エマルションの十分な保存安定性が得られない。
また、Mw/Mnは、さらに乳化力を向上させるためには下記関係式(2')または(3')を満たすことが好ましい。
Mw/Mn≦0.031×Ln(v)+1.000 (但し、v<10)(2')
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.129(但し、v≧10)(3')
さらに、(a0)は、下記Weibullの分布則の式(5)から導き出される関係式(4)から分布定数cを求めることができるとき、cが1.0以下であることが好ましい。cはさらに好ましくは0.9以下、特にに好ましくは0.7以下である
。関係式(4)において、分布定数cの値が小さい、すなわち未反応の脂肪族系アルコールの含有量が少ないほど分子量分布が狭いことを意味する。
なお、この式は、未反応の脂肪族系アルコール(a)の量が検出限界(0.001質量%)以上の場合に適用される式であり、アルキレンオキサイド(b)の平均付加モル数が10モル以下の範囲で適用可能である。
cが1.0以下であれば、充分な界面活性能が得られ、そのようなノニオン性界面活性剤を用いたポリウレタン樹脂エマルションは保存安定性がさらに良好である。
v=c×Ln(n00/n0)−(c−1)×(1−n0/n00) (5)
c=(v+n0/n00−1)/[Ln(n00/n0)+n0/n00−1] (4)
これらの式で、Ln(n00/n0)は(n00/n0)の自然対数を意味し、vは上記に同じ、n00は反応に用いた脂肪族系アルコール(a)のモル数、n0は未反応の脂肪族系アルコール(a)のモル数を表す。
。関係式(4)において、分布定数cの値が小さい、すなわち未反応の脂肪族系アルコールの含有量が少ないほど分子量分布が狭いことを意味する。
なお、この式は、未反応の脂肪族系アルコール(a)の量が検出限界(0.001質量%)以上の場合に適用される式であり、アルキレンオキサイド(b)の平均付加モル数が10モル以下の範囲で適用可能である。
cが1.0以下であれば、充分な界面活性能が得られ、そのようなノニオン性界面活性剤を用いたポリウレタン樹脂エマルションは保存安定性がさらに良好である。
v=c×Ln(n00/n0)−(c−1)×(1−n0/n00) (5)
c=(v+n0/n00−1)/[Ln(n00/n0)+n0/n00−1] (4)
これらの式で、Ln(n00/n0)は(n00/n0)の自然対数を意味し、vは上記に同じ、n00は反応に用いた脂肪族系アルコール(a)のモル数、n0は未反応の脂肪族系アルコール(a)のモル数を表す。
本発明における脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(a0)のうち、一般式(1)におけるnが0である付加物は、脂肪族アルコールエチレンオキサイド付加物(a0’)であり、(a0’)のMw/Mnは下記関係式(6)または(7)を満たすことが好ましい。
Mw/Mn≦0.020×Ln(v)+1.010 (但し、v<10) (6)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.116(但し、v≧10) (7)
これらの式で、Ln(v)はvの自然対数を意味し、vは脂肪族系アルコール(a)1モル当たりに付加したEOの平均付加モル数を表す。
Mw/Mn≦0.020×Ln(v)+1.010 (但し、v<10) (6)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.116(但し、v≧10) (7)
これらの式で、Ln(v)はvの自然対数を意味し、vは脂肪族系アルコール(a)1モル当たりに付加したEOの平均付加モル数を表す。
関係式(6)または(7)を満たす、すなわち分子量分布が狭くなるとさらに充分な乳化力が得られる。
本発明において、(A)は、通常、以下に述べる方法により製造される。
すなわち、前記のWeibullの分布則から導かれる式(4)から求められる分布定数cが1.0以下となるアルキレンオキサイド1〜2.5モル付加物を与える触媒(c1)の存在下、前記脂肪族系アルコール(a)にアルキレンオキサイド(b)を平均1〜2.5モル付加する方法、または、該1〜2.5モル付加物に、さらにアルカリ触媒(f)の存在下でアルキレンオキサイド(b2)を付加反応させて2.5モルを超えるアルキレンオキサイド付加モル数の(A)が製造できる。
すなわち、前記のWeibullの分布則から導かれる式(4)から求められる分布定数cが1.0以下となるアルキレンオキサイド1〜2.5モル付加物を与える触媒(c1)の存在下、前記脂肪族系アルコール(a)にアルキレンオキサイド(b)を平均1〜2.5モル付加する方法、または、該1〜2.5モル付加物に、さらにアルカリ触媒(f)の存在下でアルキレンオキサイド(b2)を付加反応させて2.5モルを超えるアルキレンオキサイド付加モル数の(A)が製造できる。
上記アルキレンオキサイド(b1)および(b2)としては、炭素数2以上のアルキレンオキサイドが挙げられる。具体例としては、一般式(1)におけるAOを形成するアルキレンオキサイド(b)の例として前記したアルキレンオキサイドが挙げられ、2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合は、ブロック付加でもランダム付加でもよいが、好ましくはブロック付加である。これらのうちで好ましくは、EOおよび/またはPOである。
触媒(c1)としては、得られるアルキレンオキサイド付加物の分布定数cが1.0以下となるものを用いる。好ましくはcが0.8以下、さらに好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.45以下となるものである。
触媒(c1)の具体例としては、過ハロゲン酸もしくはその塩、硫酸もしくはその塩、燐酸もしくはその塩、および硝酸もしくはその塩が挙げられる。塩を形成する場合の金属は、特に限定されるものではないが、アルカリ金属以外のものが好ましく、2価または3価の金属が好ましい。
これら金属として好ましくは、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Co、Ni、Cu、Alであり、より好ましくは、Mg、Zn、Ca、Sr、Ba、Alであり、特に好ましくは、Mg、Zn、Alである。過ハロゲン酸(塩)のハロゲンとしては塩素、臭素、沃素が挙げられ、塩素が好ましい。
したがって、(c1)としては、2価もしくは3価の金属の過塩素酸塩が好ましく、Mg、ZnおよびAlから選ばれる金属の過塩素酸塩がさらに好ましい。また、(c1)に2価もしくは3価の金属アルコラートを併用してもよい。金属アルコラートのアルキル基としては、アルコールとして留去し易い低級(炭素数1〜4)アルキル基、または原料脂肪族系アルコールと同一組成のアルキル基が挙げられる。これらの触媒は1種でもよいが、2種以上の触媒〔たとえば、過塩素酸マグネシウム/硫酸マグネシウム7水塩=95/5〜50/50、過塩素酸マグネシウム/過塩素酸アルミニウム=99/1〜30/70(いずれも重量比)〕を併用した方が好ましい。
これら金属として好ましくは、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Co、Ni、Cu、Alであり、より好ましくは、Mg、Zn、Ca、Sr、Ba、Alであり、特に好ましくは、Mg、Zn、Alである。過ハロゲン酸(塩)のハロゲンとしては塩素、臭素、沃素が挙げられ、塩素が好ましい。
したがって、(c1)としては、2価もしくは3価の金属の過塩素酸塩が好ましく、Mg、ZnおよびAlから選ばれる金属の過塩素酸塩がさらに好ましい。また、(c1)に2価もしくは3価の金属アルコラートを併用してもよい。金属アルコラートのアルキル基としては、アルコールとして留去し易い低級(炭素数1〜4)アルキル基、または原料脂肪族系アルコールと同一組成のアルキル基が挙げられる。これらの触媒は1種でもよいが、2種以上の触媒〔たとえば、過塩素酸マグネシウム/硫酸マグネシウム7水塩=95/5〜50/50、過塩素酸マグネシウム/過塩素酸アルミニウム=99/1〜30/70(いずれも重量比)〕を併用した方が好ましい。
触媒(c1)の使用量としては、反応速度と経済性の点から、(a)と(b1)の合計100重量部当たり、0.001〜1重量部が好ましい。さらに好ましくは0.003〜0.8重量部、特に好ましくは0.005〜0.5重量部である。
アルキレンオキサイド(b2)を付加させる際に用いる触媒は、アルカリ触媒(c2)である。アルカリ触媒(c2)としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどが挙げられるが、より好ましくは水酸化カリウム、水酸化セシウムである。
触媒(c2)の使用量としては、反応速度と経済性の点から、(A1)と(b2)の合計100重量部当たり、0.0001〜1重部が好ましい。さらに好ましくは0.001〜0.8重量部である。
触媒(c2)の使用量としては、反応速度と経済性の点から、(A1)と(b2)の合計100重量部当たり、0.0001〜1重部が好ましい。さらに好ましくは0.001〜0.8重量部である。
(a)と(b1)を反応させる場合の反応条件としては、(a)と(c1)を混合し、窒素置換を行った後、−0.8〜5kgf/cm2 Gで、80〜200℃で(b1)を導入し、所定量の(b1)を投入後、80〜200℃で反応系内の圧力が平衡になるまで熟成を行う方法などが挙げられる。このようにして得られたアルキレンオキサイド付加物に、アルカリ触媒(c2)を添加し、アルキレンオキサイド(b2)を、上記と同様の方法で反応することで、2.5モルを超えるアルキレンオキサイド付加モル数の(A)が製造できる。
本発明に用いられるノニオン性界面活性剤(A)のHLBの下限は好ましくは10、さらに好ましくは11、特に好ましくは12であり、上限は好ましくは18、さらに好ましくは17、特に好ましくは16である。
(A)のHLBが10以上であれば、エマルションを長期に保存した場合でも、凝固物が発生することはなく保存安定性に問題を生じにくい。一方HLBが18以下であれば、保存安定性も良好であり、かつ該エマルションを加熱したときに感熱凝固しやすいので好ましい。
本発明におけるHLBは、藤本武彦著「新・界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社発行(1992年)、P128記載の下記のグリフィンの方法により算出される値である。
HLB=(親水基の重量%)×(1/5)
(A)のHLBが10以上であれば、エマルションを長期に保存した場合でも、凝固物が発生することはなく保存安定性に問題を生じにくい。一方HLBが18以下であれば、保存安定性も良好であり、かつ該エマルションを加熱したときに感熱凝固しやすいので好ましい。
本発明におけるHLBは、藤本武彦著「新・界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社発行(1992年)、P128記載の下記のグリフィンの方法により算出される値である。
HLB=(親水基の重量%)×(1/5)
(A)は後述の(B)のエマルションの製造時の乳化剤として用いてもよく、またエマルションの製造後に新たに添加・配合してもよい。
本発明に用いられるノニオン性界面活性剤(A)の含有量の合計の下限は、ポリウレタン樹脂(B)の重量に基づいて好ましくは0.1重量%、さらに好ましくは1%(以下において、特に限定しない限り、%は重量%を表す)、特に好ましくは2%であり、上限は好ましくは20%、さらに好ましくは15%、特に好ましくは10%である。
(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCと略記)による分子量の測定条件は次の通りである。
《GPCの測定条件》
機種 :HLC−8120(東ソー株式会社製)
カラム TSK gel SuperH4000
TSK gel SuperH3000
TSK gel SuperH2000
(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度 :40℃
検出器 :RI
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/分
試料濃度 :0.25%
注入量 :10μl
標準 :ポリオキシエチレングリコール
(東ソー株式会社製;TSK STANDARD
POLYETHYLENE OXIDE)
データ処理装置:SC−8020(東ソー株式会社製)
《GPCの測定条件》
機種 :HLC−8120(東ソー株式会社製)
カラム TSK gel SuperH4000
TSK gel SuperH3000
TSK gel SuperH2000
(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度 :40℃
検出器 :RI
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/分
試料濃度 :0.25%
注入量 :10μl
標準 :ポリオキシエチレングリコール
(東ソー株式会社製;TSK STANDARD
POLYETHYLENE OXIDE)
データ処理装置:SC−8020(東ソー株式会社製)
ガスクロマトグラフィー(以下GCと略記)による未反応脂肪族系アルコール濃度の測定は次の通りである。
《GCの測定条件》
機種 :ガスクロマトグラフ GC−14B(島津製作所製)
検出器 :FID
カラム :ガラスカラム(内径=約3mm,長さ=約2m)
カラム充填剤 :シリコンGE SE−30 5%
カラム温度 :90℃から280℃まで昇温。昇温速度=4℃/分
キャリアガス :窒素
試料 :50%アセトン溶液
注入量 :1μl
定量 :使用した脂肪族系アルコールより、炭素数が2または3少ない脂肪族系アルコールを内部標準物質として用い定量した。
《GCの測定条件》
機種 :ガスクロマトグラフ GC−14B(島津製作所製)
検出器 :FID
カラム :ガラスカラム(内径=約3mm,長さ=約2m)
カラム充填剤 :シリコンGE SE−30 5%
カラム温度 :90℃から280℃まで昇温。昇温速度=4℃/分
キャリアガス :窒素
試料 :50%アセトン溶液
注入量 :1μl
定量 :使用した脂肪族系アルコールより、炭素数が2または3少ない脂肪族系アルコールを内部標準物質として用い定量した。
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルションを構成するポリウレタン樹脂(B)は、カルボキシレート基及び/又はスルホネート基を、該ポリウレタン樹脂の重量に基づいて通常0.01重量%以上、好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.08%以上含有し、通常1.5%以下、好ましくは0.75%以下、さらに好ましくは0.50%以下含有する。カルボキシレート基及び/又はスルホネート基の含有量が0.01%未満では安定なエマルションが得られず、1.5%を超えると形成樹脂皮膜の耐水性が低下する傾向となる。
(A)中のカルボキシレート基およびスルホネート基の含量は、(A)のエマルション3〜10gを130℃で45分間加熱乾燥して得られる残査をジメチルホルムアミドに溶解し、JIS−K0070記載の方法(電位差滴定法)で測定される酸価から算出できる。
(A)中のカルボキシレート基およびスルホネート基の含量は、(A)のエマルション3〜10gを130℃で45分間加熱乾燥して得られる残査をジメチルホルムアミドに溶解し、JIS−K0070記載の方法(電位差滴定法)で測定される酸価から算出できる。
また、カルボキシレート基またはスルホネート基の対イオンとしては、アンモニウムカチオン、アミンカチオン[炭素数1〜12の1級アミンカチオン(1級モノアミンカチオン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびオクチルアミンカチオン)、2級モノアミンカチオン(ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびジブチルアミンカチオン)、3級モノアミンカチオン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミンカチオン等の脂肪族3級モノアミンカチオン;N−メチルピペリジンおよびN−メチルモルホリンカチオン等の複素環式3級モノアミンカチオン;ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン;およびN−ジメチルアニリンカチオン等の芳香環含有3級モノアミンカチオン)]、アルカリ金属カチオン(ナトリウム、カリウムおよびリチウムカチオン)、並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂肪族3級モノアミンカチオンであり、特に好ましいものはトリエチルアミンカチオンである。
本発明における(B)は、例えば、有機ジイソシアネート(ア1)、高分子ポリオール(ア2)、カルボキシル基(−COOH)および/またはスルホン基(−SO3H)含有ポリオールもしくはその塩(ア3)並びに必要に応じて鎖伸長剤(ア4)および/または停止剤(ア5)から形成され、その後、必要によりカルボキシル基および/またはスルホン基を中和剤(ア6)で中和して形成されるものである。
以下、各成分について説明する。
以下、各成分について説明する。
(ア1)としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。(ア1)には炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性体(カーボジイミド変性体、ウレタン変性体、ウレトジオン変性体など)およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(以下TDIと略記)、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと略記)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはMDI、TDI、イソホロンジイソシアネートおよび4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
高分子ポリオール(ア2)としては、例えば、ポリエーテルジオール(ア21)、ポリエステルジオール(ア22)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルジオール(ア21)としては、活性水素原子含有二官能化合物にアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)が付加した構造の化合物およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
活性水素原子含有二官能化合物としては、2価アルコール、2価フェノール類およびジカルボン酸などが挙げられる。
2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンおよびビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンなどが挙げられる。
2価フェノール類としては、カテコールおよびヒドロキノンのほかビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなどのビスフェノール類が挙げられる。
ジカルボン酸としてはコハク酸およびアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸があげられる。
上述した活性水素原子含有化合物は2種以上使用することもできる。
2価フェノール類としては、カテコールおよびヒドロキノンのほかビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなどのビスフェノール類が挙げられる。
ジカルボン酸としてはコハク酸およびアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸があげられる。
上述した活性水素原子含有化合物は2種以上使用することもできる。
活性水素原子含有二官能化合物に付加するAOとしては、EO、PO、1,2−、2,3−もしくは1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記)、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドおよびエピクロルヒドリンなどがあげられる。
AOは単独でも2種以上を併用してもよく、後者の場合はブロック付加でもランダム付加でも両者の混合系でもよい。
これらのAOのうちで好ましいものはEO単独、PO単独、THF単独、POおよびEOの併用、POおよび/またはEOとTHFの併用である。
活性水素原子含有二官能化合物へのAOの付加は、通常の方法で行うことができ、無触媒でまたは触媒(アルカリ触媒、アミン系触媒または酸性触媒)の存在下行なわれる。
AOは単独でも2種以上を併用してもよく、後者の場合はブロック付加でもランダム付加でも両者の混合系でもよい。
これらのAOのうちで好ましいものはEO単独、PO単独、THF単独、POおよびEOの併用、POおよび/またはEOとTHFの併用である。
活性水素原子含有二官能化合物へのAOの付加は、通常の方法で行うことができ、無触媒でまたは触媒(アルカリ触媒、アミン系触媒または酸性触媒)の存在下行なわれる。
(ア21)の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどが挙げられ、好ましいのはポリテトラメチレングリコールである。
ポリエステルジオール(ア22)には、低分子ジオールおよび/または分子量1000以下のポリエーテルジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオール(ア221)、低分子ジオール及びその混合物と低級アルコール(メタノールなど)の炭酸ジエステルとを反応させて得られるポリカーボネートジオール(ア222)、並びにラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール(ア223)などが含まれる。
上記低分子ジオールとしては、前述の二価アルコールが挙げられ、分子量1,000以下のポリエーテルジオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
また、ジカルボン酸としては脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸およびセバシン酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸およびフタル酸など)、これらのジカルボン酸のエステル形成性誘導体[酸無水物および低級アルキル(炭素数1〜4)エステルなど]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられ;ラクトンとしてはε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエステル化反応は、通常の方法、たとえば低分子ジオールおよび/または分子量1000以下のポリエーテルジオールを、ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とを反応(縮合)させる方法、あるいは開始剤(低分子ジオールおよび/または分子量1,000以下のポリエーテルジオール)にラクトンを付加させる方法などにより製造することができる。
ポリエステル化反応は、通常の方法、たとえば低分子ジオールおよび/または分子量1000以下のポリエーテルジオールを、ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とを反応(縮合)させる方法、あるいは開始剤(低分子ジオールおよび/または分子量1,000以下のポリエーテルジオール)にラクトンを付加させる方法などにより製造することができる。
(ア22)の例としては、例えば(ア221)[ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチレンアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオールおよびポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオールなどのアジペート系縮合ポリエステルジオール;ポリエチレンアゼレートジオールおよびポリブチレンアゼレートジオールなどのアゼレート系縮合ポリエステルジオール;ポリエチレンセバケートジオールおよびポリブチレンセバケートジオールなどのセバケート系縮合ポリエステルジオール]、(ア222)[例えばポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリ3−メチルペンタメチレンカーボネートジオールおよびポリヘキサメチレンカーボネートジオールなど]および(ア223)[ポリカプロラクトンジオールなど]が挙げられる。
(ア22)のうちで好ましいのは(ア221)および(ア222)である。
(ア22)のうちで好ましいのは(ア221)および(ア222)である。
(ア2)の数平均分子量(以下において、Mnと略記)の下限は好ましくは500、さらに好ましくは1,000であり、上限は好ましくは20,000、さらに好ましくは10,000、特に好ましくは3,000である。
(ア2)のMnは水酸基価より求められ、水酸基価は、JIS−K0070−1992(電位差滴定方法)に規定された方法で測定できる。
カルボキシル基および/またはスルホン基含有ポリオールもしくはその塩(ア3)は、ポリウレタン樹脂の水中への分散力を向上させることを目的として、カルボキシレート基またはスルホネート基導入のために使用される成分である。
(ア3)としては、カルボキシル基含有ポリオール(ア31)[ジアルキロールアルカン酸{炭素数6〜24のもの、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(以下、DMPAと略記)、2,2−ジメチロールブタン酸、2 ,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸など}]、並びにスルホン基含有ポリオール(ア32)[スルホン酸ジオール{3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸など}およびスルファミン酸ジオール{N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸およびそのAO付加物}]が挙げられる。
(ア3)における塩としては、例えばアンモニウム塩、アミン塩[炭素数1〜12の1級アミン(1級モノアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびオクチルアミン)塩、2級モノアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびジブチルミン)塩、3級モノアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン等の脂肪族3級モノアミン;N−メチルピペリジンおよびN−メチルモルホリン等の複素環式3級モノアミン;ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン;およびN−ジメチルアニリン等の芳香環含有3級モノアミン)塩]、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムおよびリチウムカチオン)塩、並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
塩のうち好ましいものはアミン塩、さらに好ましいものは脂肪族3級モノアミン塩であり、特に好ましいものはトリエチルアミン塩である。
(ア3)における塩としては、例えばアンモニウム塩、アミン塩[炭素数1〜12の1級アミン(1級モノアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびオクチルアミン)塩、2級モノアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびジブチルミン)塩、3級モノアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン等の脂肪族3級モノアミン;N−メチルピペリジンおよびN−メチルモルホリン等の複素環式3級モノアミン;ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン;およびN−ジメチルアニリン等の芳香環含有3級モノアミン)塩]、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムおよびリチウムカチオン)塩、並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
塩のうち好ましいものはアミン塩、さらに好ましいものは脂肪族3級モノアミン塩であり、特に好ましいものはトリエチルアミン塩である。
(ア4)としては炭素数2〜10のジアミン類(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンおよびトルエンジアミンなど);ポリアミン類(例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなど);ヒドラジンもしくはその誘導体(二塩基酸ジヒドラジドたとえばアジピン酸ジヒドラジドなど);炭素数2〜15の多価アルコール類[前述の2価アルコール、3価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなど)、これらの多価アルコールのEOおよび/またはPO低モル付加物(分子量500未満)]などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、エチレンジアミンおよびイソホロンジアミンである。
これらのうち好ましいものは、エチレンジアミンおよびイソホロンジアミンである。
(ア5)としては炭素数1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、セロソルブ類およびカービトール類など)、炭素数1〜10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、モノオクチルアミン、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンなど)が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、モノエチルアミン、モノブチルアミンおよびモノエタノールアミンである。
これらのうち好ましいものは、モノエチルアミン、モノブチルアミンおよびモノエタノールアミンである。
(ア3)が塩ではなくて、カルボキシル基および/またはスルホン基含有ポリオールの場合は、(a6)を使用してカルボキシル基および/またはスルホン基を中和してカルボキシレート基および/またはスルホネート基とすることができる。
(ア6)としては、前述の対イオンとして挙げたカチオンを形成するアルカリ性化合物が挙げられ、例えばアンモニア、アミン[炭素数1〜12の1級アミン(1級モノアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびオクチルアミン)、2級モノアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびジブチルミン)、3級モノアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン等の脂肪族3級モノアミン;N−メチルピペリジンおよびN−メチルモルホリン等の複素環式3級モノアミン;ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン;およびN−ジメチルアニリン等の芳香環含有3級モノアミン)]、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムおよびリチウムカチオン)、アルカリ金属水酸化物、並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
これらのうち好ましいものはアミン、さらに好ましいものは脂肪族3級モノアミンであり、特に好ましいものはトリエチルアミンである。
(ア6)としては、前述の対イオンとして挙げたカチオンを形成するアルカリ性化合物が挙げられ、例えばアンモニア、アミン[炭素数1〜12の1級アミン(1級モノアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびオクチルアミン)、2級モノアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびジブチルミン)、3級モノアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン等の脂肪族3級モノアミン;N−メチルピペリジンおよびN−メチルモルホリン等の複素環式3級モノアミン;ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン;およびN−ジメチルアニリン等の芳香環含有3級モノアミン)]、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムおよびリチウムカチオン)、アルカリ金属水酸化物、並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
これらのうち好ましいものはアミン、さらに好ましいものは脂肪族3級モノアミンであり、特に好ましいものはトリエチルアミンである。
中和における(ア6)の使用量は、カルボキシル基およびスルホン基の合計に基づいて、通常20〜200モル%、好ましくは30〜150モル%である。(ア6)の使用量が30%以上の場合には水性分散体の保存安定性の点で好ましく、150%以下の場合には水性分散体の粘度の観点で好ましい。
本発明における(B)のエマルションの製造法は通常の方法でよく、特に限定されないが、たとえば下記の方法が例示できる。
(1)分子内に活性水素含有基を含まない有機溶剤(アセトン、メチルエチケトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等)の存在下または非存在下で、(ア1)と(ア2)および(ア3)からなる活性水素成分とを、(NCO/水酸基)当量比が、通常1.05〜2.0、好ましくは1.1〜1.8の範囲でワンショット法または多段法により、通常20℃〜150℃、好ましくは60℃〜110℃で反応させて、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーとし、該プレポリマーを(ア6)で中和後または中和しながら、通常10℃〜60℃、好ましくは20℃〜40℃で必要により(ア4)および/または(ア5)を含む水と混合して、NCO基がなくなるまで乳化・鎖伸長反応を行い、必要により有機溶剤を溜去する方法。
(2)有機溶剤の存在下または不存在下に、(ア1)と(ア2)および(ア3)とからなる活性水素成分とを、(NCO/水酸基)当量比が、0.5〜0.99の範囲でワンショット法または多段法で反応させ、末端NCO基を含まないウレタンポリマーとし、これを(ア6)で中和後または中和しながら水と混合・乳化後、必要により有機溶剤を溜去する方法。
(3)有機溶剤の存在下または不存在下に、(ア1)と(ア2)からなる活性水素成分とを、(NCO/水酸基)当量比が2.0〜1.3の範囲でワンショット法または多段法で反応させ、末端NCO基を含むウレタンポリマーとし、これに(ア3)を(ア6)で中和したものを(NCO/水酸基)当量比が1.5〜1.0の範囲で反応させた後、水と混合・乳化後、必要により有機溶剤を溜去する方法。
上記の方法のうち(1)の方法が好ましい。
なお、本発明における(B)中のカルボキシレート基および/またはスルホネート基を0.01〜1.5重量%とするためには、上記(1)〜(3)の方法における(ア3)の仕込み重量は下記の計算式(1)を満たすことが好ましい。
(1)分子内に活性水素含有基を含まない有機溶剤(アセトン、メチルエチケトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等)の存在下または非存在下で、(ア1)と(ア2)および(ア3)からなる活性水素成分とを、(NCO/水酸基)当量比が、通常1.05〜2.0、好ましくは1.1〜1.8の範囲でワンショット法または多段法により、通常20℃〜150℃、好ましくは60℃〜110℃で反応させて、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーとし、該プレポリマーを(ア6)で中和後または中和しながら、通常10℃〜60℃、好ましくは20℃〜40℃で必要により(ア4)および/または(ア5)を含む水と混合して、NCO基がなくなるまで乳化・鎖伸長反応を行い、必要により有機溶剤を溜去する方法。
(2)有機溶剤の存在下または不存在下に、(ア1)と(ア2)および(ア3)とからなる活性水素成分とを、(NCO/水酸基)当量比が、0.5〜0.99の範囲でワンショット法または多段法で反応させ、末端NCO基を含まないウレタンポリマーとし、これを(ア6)で中和後または中和しながら水と混合・乳化後、必要により有機溶剤を溜去する方法。
(3)有機溶剤の存在下または不存在下に、(ア1)と(ア2)からなる活性水素成分とを、(NCO/水酸基)当量比が2.0〜1.3の範囲でワンショット法または多段法で反応させ、末端NCO基を含むウレタンポリマーとし、これに(ア3)を(ア6)で中和したものを(NCO/水酸基)当量比が1.5〜1.0の範囲で反応させた後、水と混合・乳化後、必要により有機溶剤を溜去する方法。
上記の方法のうち(1)の方法が好ましい。
なお、本発明における(B)中のカルボキシレート基および/またはスルホネート基を0.01〜1.5重量%とするためには、上記(1)〜(3)の方法における(ア3)の仕込み重量は下記の計算式(1)を満たすことが好ましい。
ウレタン化反応においては反応を促進させるため、必要により通常のウレタン反応に使用される触媒を使用してもよい。触媒には、アミン触媒、たとえばトリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンおよび米国特許第4524104号明細書に記載のシクロアミジン類[1,8−ジア ザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(サンアプロ・製造、DBU)など];錫系触媒、たとえばジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレートおよびオクチル酸錫;チタン系触媒、たとえばテトラブチルチタネートが挙げられる。
(B)のエマルションにおいて、分散媒として用いられるものは、通常、水および親水性有機溶剤が挙げられ、親水性有機溶剤としては、水に対する溶解度が30以上/100g水のもの、例えば1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコールおよびジエチレングリコールなど)、3価以上のアルコール(グリセリンなど)、セロソルブ類(メチルおよびエチルセロソルブなど)が挙げられる。分散媒のうち、好ましいものは水である。親水性有機溶剤を併用する場合は、通常、分散媒合計に基づいて、親水性有機溶剤は10%以下が好ましい。
ウレタンプレポリマーと分散媒の混合・乳化工程で使用できる装置は特に限定されず、例えば下記の方式の乳化機が挙げられる:1)錨型撹拌方式、2)回転子−固定子式方式[例えば「エバラマイルダー」(荏原製作所製)]、3)ラインミル方式[例えばラインフローミキサー]、4)静止管混合式[例えばスタティックミキサー]、5)振動式[例えば「VIBRO MIXER」(冷化工業社製)]、6)超音波衝撃式[例えば超音波ホモジナイザー]、7)高圧衝撃式[ 例えばガウリンホモジナイザー(ガウリン社)]、8)膜乳化式[例えば膜乳化モジュール]、および9)遠心薄膜接触式[例えばフィルミックス]。これらのうち、好ましいのは、1)、2)および9)である。
(B)のMnはGPCにより測定することができる。
非架橋型(熱可塑性)の(B)の場合には通常2,000 〜2,000,000またはそれ以上、好ましくは10,000〜1,500 ,000とくに100,000〜500,000である。架橋型の(B)は上記範囲より高いMnのもの、GPCで測定できない高いMnのものでもよい。
非架橋型(熱可塑性)の(B)の場合には通常2,000 〜2,000,000またはそれ以上、好ましくは10,000〜1,500 ,000とくに100,000〜500,000である。架橋型の(B)は上記範囲より高いMnのもの、GPCで測定できない高いMnのものでもよい。
本発明における(B)のエマルションは、乳化分散工程では乳化剤を使用しないいわゆる自己乳化型でも、または乳化・分散工程で乳化剤(ア7)を添加する、いわゆる強制乳化型であってもどちらでもよい。
(ア7)としては前述のノニオン性界面活性剤(A)、アニオン性界面活性剤(ア71)、カチオン性界面活性剤(ア72)および両性界面活性剤(ア73)、高分子型乳化分散剤(ア74)が挙げられ、例えば米国特許第3929678号および米国特許第4331447号明細書に記載のものが挙げられる。これらの2種以上を併用することもできる。
(ア71)としては、C8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸またはその塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];C8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステルもしくはエーテル硫酸エステルおよびそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウムなど];C8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼ ンスルホン酸ナトリウム等];C8〜24の炭化水素基を1個もしくは2個有 するスルホコハク酸塩;C8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステルもし くはエーテルリン酸エステルおよびそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等];C8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等];およびC8〜24の炭化水素基を有する アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸 サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
(ア72)としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルト リメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等];およびアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、オレイルアミン乳酸塩等]が挙げられる。
(ア73)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等];およびアミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
(ア74)としては、ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダなどのカルボキシル基含有(共)重合体でMn=1,000〜50,000のもの、及び米国特 許第5906704号明細書に記載のウレタン結合もしくはエステル結合を有する高分子型分散剤など[例えばポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの]が挙げられる。
これらの乳化剤のうちで好ましいものは(A)および(ア74)、特に(A)である。
乳化剤の含有量は特に限定されないが、(B)の重量に基づいて好ましくは0.5%以上、更に好ましくは1%以上であり、好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下である。
乳化剤はプレポリマー、水性媒体のいずれか一方に加えても、双方に加えてもよい。乳化剤がプレポリマーと反応性の場合には水性媒体に加えるのが好ましい。
(B)のエマルションの体積平均粒子径は0.01μm〜1μmが好ましい。さらに好ましくは0.02μm〜0.5μmである
平均粒子径は、大塚電子株式会社製、ELS−800型電気泳動光散乱光度計を用いて測定できる。
平均粒子径は、大塚電子株式会社製、ELS−800型電気泳動光散乱光度計を用いて測定できる。
本発明における(B)のエマルション中の固形分濃度(水性分散媒以外の成分の百分率)は、好ましくは5〜65%、さらに好ましくは10〜40%である。
本発明の水性ポリウレタン樹脂エマルションの必須成分である水溶性無機塩(C)としては、25℃の水に対する溶解度が1以上、好ましくは10以上の下記の無機塩が挙げられる。
(C)はエマルションを凝固させる作用を有しており、例えば以下のものが挙げられる。
(C)はエマルションを凝固させる作用を有しており、例えば以下のものが挙げられる。
アルカリ金属塩(C1);
アルカリ金属水酸化物[水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム]、アルカリ金属炭酸塩[炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸リチウム]、アルカリ金属硫酸塩[硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウム]、アルカリ金属硝酸塩[硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウム]、アルカリ金属リン酸塩[リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムおよびリン酸カリウム]、アルカリ金属亜硫酸塩[亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよび亜硫酸カリウム]およびアルカリ金属ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素もしくはフッ素)化物[塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウムおよびフッ化カリウム]など、
アルカリ土類金属塩(C2);
アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム、バリウムおよびストロンチウムなど)水酸化物[水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化ストロンチウム]、アルカリ土類金属炭酸塩[炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウム]、アルカリ土類金属硫酸塩[硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウム]、アルカリ土類金属硝酸塩[硝酸カルシウムおよび硝酸マグネシウム]、アルカリ土類金属リン酸塩[リン酸水素カルシウムおよびリン酸水素マグネシウム]、アルカリ土類金属亜硫酸塩[亜硫酸カルシウムおよび亜硫酸マグネシウム]およびアルカリ土類金属ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素もしくはフッ素)化物[塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウムおよびフッ化マグネシウム]など、
アンモニウム塩(C3);
ハロゲン化物(塩化アンモニウムおよび臭化アンモニウムなど)。
これらのうち、エマルションが比較的長期の保存安定性を得られやすいという観点から好ましいのは(C1)である。
アルカリ金属水酸化物[水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム]、アルカリ金属炭酸塩[炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸リチウム]、アルカリ金属硫酸塩[硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウム]、アルカリ金属硝酸塩[硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウム]、アルカリ金属リン酸塩[リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムおよびリン酸カリウム]、アルカリ金属亜硫酸塩[亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよび亜硫酸カリウム]およびアルカリ金属ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素もしくはフッ素)化物[塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウムおよびフッ化カリウム]など、
アルカリ土類金属塩(C2);
アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム、バリウムおよびストロンチウムなど)水酸化物[水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化ストロンチウム]、アルカリ土類金属炭酸塩[炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウム]、アルカリ土類金属硫酸塩[硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウム]、アルカリ土類金属硝酸塩[硝酸カルシウムおよび硝酸マグネシウム]、アルカリ土類金属リン酸塩[リン酸水素カルシウムおよびリン酸水素マグネシウム]、アルカリ土類金属亜硫酸塩[亜硫酸カルシウムおよび亜硫酸マグネシウム]およびアルカリ土類金属ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素もしくはフッ素)化物[塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウムおよびフッ化マグネシウム]など、
アンモニウム塩(C3);
ハロゲン化物(塩化アンモニウムおよび臭化アンモニウムなど)。
これらのうち、エマルションが比較的長期の保存安定性を得られやすいという観点から好ましいのは(C1)である。
本発明のエマルション中の(B)の含量は、好ましくは2〜40%、さらに好ましくは3〜30%、(A)の含量は好ましくは0.1〜10%、さらに好ましくは0.2〜5%、(C)の含量は好ましくは0.05〜2%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
また、エマルション中の(B)、(A)および(C)の重量比は、好ましくは75〜97.9/2〜20/0.1〜5、エマルションの保存安定性の観点から好ましくは82〜96.8/3〜15/0.2〜3、さらに好ましくは88〜95.7/4〜10/0.3〜2である。
さらに、エマルション中の(A)/(C)の重量比は好ましくは4〜200/1、さらに好ましくは5〜150/1である。(A)の比率が4以上であればエマルションの保存安定性の点で好ましく、200以下であれば感温凝固し易いという点で好ましい。
また、エマルション中の(B)、(A)および(C)の重量比は、好ましくは75〜97.9/2〜20/0.1〜5、エマルションの保存安定性の観点から好ましくは82〜96.8/3〜15/0.2〜3、さらに好ましくは88〜95.7/4〜10/0.3〜2である。
さらに、エマルション中の(A)/(C)の重量比は好ましくは4〜200/1、さらに好ましくは5〜150/1である。(A)の比率が4以上であればエマルションの保存安定性の点で好ましく、200以下であれば感温凝固し易いという点で好ましい。
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルションには必要により酸化チタンなどの着色剤、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など)や酸化防止剤[4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−1−ブチルフェノール)などのヒンダートフェノール;トリフェニルホスファイト、トリクロルエチルホスファイトなどの有機ホスファイトなど]などの各種安定剤、架橋剤(ポリエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物など)、無機充填剤(炭酸カルシウムなど)などを添加させることができる。これら各添加剤の合計量は(A)の重量に対して5重量部以下が好ましい。さらに好ましくは0.1重量部以上3重量部以下である。
本発明のポリウレタン樹脂エマルションの感熱凝固温度(T)は、前述の(A)および(C)の種類および量によって異なるが、通常40〜100℃、好ましくは50〜95℃、さらに好ましくは50〜88℃である。 なお、(T)は、以下のように測定する。
試験管(内径18mm)に固形分が20%となるように希釈したエマルションを10g秤取し、熱水浴中で無攪拌の状態で10℃/分の速度で昇温し、該エマルションが流動性を失いゲル状物となったときの、該エマルションの温度を(T)とする。
試験管(内径18mm)に固形分が20%となるように希釈したエマルションを10g秤取し、熱水浴中で無攪拌の状態で10℃/分の速度で昇温し、該エマルションが流動性を失いゲル状物となったときの、該エマルションの温度を(T)とする。
本発明の皮革様シート用材料の製造において使用される繊維材料基体としては、従来から繊維材料基体に用いられている不織布や編織布が用いられる。不織布としては、補強用等の目的で編織布等が内部または表面に積層されたものでもよい。
構成繊維としては、天然繊維、化学繊維のいずれでもよく、天然繊維としては綿、羊毛、絹、石綿等、化学繊維としてはレーヨン、テンセルなどの再生繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリルなどの合成繊維が挙げられる。またこれらを混合使用した繊維を適宜用いることも可能である。
構成繊維としては、天然繊維、化学繊維のいずれでもよく、天然繊維としては綿、羊毛、絹、石綿等、化学繊維としてはレーヨン、テンセルなどの再生繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリルなどの合成繊維が挙げられる。またこれらを混合使用した繊維を適宜用いることも可能である。
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルションの繊維材料基体への付与は、含浸または塗布により行われ、通常行われる方法であればいずれでもよい。例えば繊維材料基体にエマルションを含浸し、マングル等で搾ってピックアップを調製する方法、ナイフコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング等が挙げられる。
基体に付与されたエマルションの凝固および乾燥の方法としては、例えば、(1)加熱水蒸気を吹き付けて感熱凝固したのち、乾燥装置による加熱乾燥または風乾する方法、および(2)乾燥装置中にそのまま導入して加熱凝固すると共に乾燥する方法、などを挙げることができる。
上記のうちで好ましいのは、(1)の方法である。
上記のうちで好ましいのは、(1)の方法である。
基体に付与されたエマルションを凝固させるための雰囲気の温度(℃)は、凝固浴の安定性およびポリウレタン樹脂の凝固を速やかに完了させることでマイグレーションを防止できるという観点から、エマルションの前述の感熱凝固温度(T)よりも好ましくは5℃以上高い温度、さらに好ましくは10℃以上高い温度であり、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは60〜150℃、特に好ましくは70〜120℃である。感熱凝固させる時間は温度によって異なるが通常0.1分〜30分、好ましくは0.5分〜20分である。
凝固させた後の乾燥温度は通常100〜200℃、好ましくは120〜180℃であり、時間は通常1〜60分、好ましくは2〜30分である。
凝固させた後の乾燥温度は通常100〜200℃、好ましくは120〜180℃であり、時間は通常1〜60分、好ましくは2〜30分である。
乾燥後の繊維材料基体へのウレタン樹脂(B)の付着重量は、繊維材料基体100重量部に対し好ましくは3重量部以上、さらに好ましくは10重量部以上、特に好ましくは20重量部以上であり、好ましくは150重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下、特に好ましくは50重量部以下である。
上記のようにして得られた皮革様シート用材料は、さらに必要により染色、洗浄、研削、乾燥等の後加工処理が施されて、皮革様シートが得られる。
上記のようにして得られた皮革様シート用材料は、さらに必要により染色、洗浄、研削、乾燥等の後加工処理が施されて、皮革様シートが得られる。
本発明の皮革様シートは、第1に適度な柔軟性を有し天然皮革に近似した良好な風合いを有しているので、極めて有用である。
本発明の皮革様シートは、種々の用途、例えば、マットレス、鞄内張り材料、衣料、靴用芯材、クッション地、自動車内装材、壁材などに好適に使用することができる。
本発明の皮革様シートは、種々の用途、例えば、マットレス、鞄内張り材料、衣料、靴用芯材、クッション地、自動車内装材、壁材などに好適に使用することができる。
<実施例>
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、「部」は重量部を示す。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、「部」は重量部を示す。
実施例1
ノニオン性界面活性剤(A)として、ラウリルアルコールEO平均10モル付加物(A−1)[HLB=14.2、Mw/Mn=1.052{一般式(7)の右辺の計算値=1.056}、未反応脂肪族系アルコールは不検出。]を使用した。
温度計および攪拌機を備えた密閉反応槽に、ポリブチレンアジペートジオール(Mn2,000)547部、α,α−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)6.3部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート147部およびアセトン300部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下90℃で12時間反応させ、NCO末端ウレタンプレポリマーを得た。 得られた該アセトン溶液を40℃に冷却してトリエチルアミン4.7部を加えた。次いで、(A−1)21.0部を水763部に溶解したものを該アセトン溶液に加え、ホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、ジエチレントリアミン6.0部、イソホロンジアミン10.5部を水312部に溶解したものを該アセトン溶液に加え、鎖伸長反応をさせた後、減圧下でアセトンを留去し、水で濃度調整して、固形分40%のポリウレタン樹脂エマルションを得た。
得られたポリウレタン樹脂中のカルボキシレート基の含有量は該ポリウレタン樹脂に基づいて0.30重量%であった。次いでポリウレタン樹脂に対して、硫酸ナトリウムが3.5部配合されるよう予め添加した水で希釈し、固形分が20%となるよう調製したエマルション[以下、エマルション(1)と称する]を得た。
ノニオン性界面活性剤(A)として、ラウリルアルコールEO平均10モル付加物(A−1)[HLB=14.2、Mw/Mn=1.052{一般式(7)の右辺の計算値=1.056}、未反応脂肪族系アルコールは不検出。]を使用した。
温度計および攪拌機を備えた密閉反応槽に、ポリブチレンアジペートジオール(Mn2,000)547部、α,α−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)6.3部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート147部およびアセトン300部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下90℃で12時間反応させ、NCO末端ウレタンプレポリマーを得た。 得られた該アセトン溶液を40℃に冷却してトリエチルアミン4.7部を加えた。次いで、(A−1)21.0部を水763部に溶解したものを該アセトン溶液に加え、ホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、ジエチレントリアミン6.0部、イソホロンジアミン10.5部を水312部に溶解したものを該アセトン溶液に加え、鎖伸長反応をさせた後、減圧下でアセトンを留去し、水で濃度調整して、固形分40%のポリウレタン樹脂エマルションを得た。
得られたポリウレタン樹脂中のカルボキシレート基の含有量は該ポリウレタン樹脂に基づいて0.30重量%であった。次いでポリウレタン樹脂に対して、硫酸ナトリウムが3.5部配合されるよう予め添加した水で希釈し、固形分が20%となるよう調製したエマルション[以下、エマルション(1)と称する]を得た。
実施例2
ノニオン性界面活性剤(A)として、ラウリルアルコールEO平均7モル付加物(A−2)[HLB=12.4、Mw/Mn=1.045{一般式(6)の右辺の計算値=1.049}、未反応脂肪族系アルコール=0.02%、c=0.92]を使用した。
温度計および攪拌機を備えた密閉反応槽に、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(Mn2,000)598部、DMPA3.5部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート98部を用いる以外は製造例1と同様にしてNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。 得られた該アセトン溶液を40℃に冷却してトリエチルアミン2.3部を加えた。次いで、(A−2)30部を水570部に溶解したものを該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、エチレンジアミン1.0部、イソホロンジアミン1.8部を水30部に溶解したものを該アセトン溶液に加え、鎖伸長反応をさせた後、減圧下でアセトンを留去し、水で濃度調整して、固形分40%のポリウレタン樹脂エマルションを得た。
ポリウレタン樹脂中のカルボキシレート基の含有量は該ポリウレタン樹脂に基づいて0.24重量%であった。
次いでポリウレタン樹脂に対して、塩化カルシウムが2部配合されるようあらかじめ添加した水で希釈し、固形分が20%となるよう調製したエマルション[以下、エマルション(2)と称する]を得た。
ノニオン性界面活性剤(A)として、ラウリルアルコールEO平均7モル付加物(A−2)[HLB=12.4、Mw/Mn=1.045{一般式(6)の右辺の計算値=1.049}、未反応脂肪族系アルコール=0.02%、c=0.92]を使用した。
温度計および攪拌機を備えた密閉反応槽に、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(Mn2,000)598部、DMPA3.5部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート98部を用いる以外は製造例1と同様にしてNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。 得られた該アセトン溶液を40℃に冷却してトリエチルアミン2.3部を加えた。次いで、(A−2)30部を水570部に溶解したものを該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、エチレンジアミン1.0部、イソホロンジアミン1.8部を水30部に溶解したものを該アセトン溶液に加え、鎖伸長反応をさせた後、減圧下でアセトンを留去し、水で濃度調整して、固形分40%のポリウレタン樹脂エマルションを得た。
ポリウレタン樹脂中のカルボキシレート基の含有量は該ポリウレタン樹脂に基づいて0.24重量%であった。
次いでポリウレタン樹脂に対して、塩化カルシウムが2部配合されるようあらかじめ添加した水で希釈し、固形分が20%となるよう調製したエマルション[以下、エマルション(2)と称する]を得た。
実施例3
ノニオン性界面活性剤(A)として、オレイルアルコールアルキレンオキサイド付加物(A−3)[HLB=15.7、EOを2モル付加後にPOを2モル付加し、さらにEOを14モル付加したもの、Mw/Mn=1.061{一般式(3’)の右辺の計算値=1.064}、未反応脂肪族系アルコールは不検出]を使用した。
温度計および攪拌機を備えた密閉反応槽に、ポリヘキサメチレンアジペ−トジオール(Mn2,000)571部、DMPA5.2部、TDI123部を用いる以外は実施例1と同様にしてNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。得られた該アセトン溶液を40℃に冷却してトリエチルアミン3.9部を加えた。次いで、(A−3)9部を水171部に溶解したものを該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、エチレンジアミン1.3部を水30部に溶解したものを該アセトン溶液に加え、鎖伸長反応をさせた後、減圧下でアセトンを留去し、水で濃度調整して、固形分40%のポリウレタン樹脂エマルションを得た。
得られたポリウレタン樹脂中のカルボキシレート基の含有量は該ポリウレタン樹脂に基づいて0.25重量%であった。次いでポリウレタン樹脂に対して、塩化カルシウムが4部配合されるよう予め添加した水で希釈し、固形分が20%となるよう調製したエマルション[以下、エマルション(3)と称する]を得た。
ノニオン性界面活性剤(A)として、オレイルアルコールアルキレンオキサイド付加物(A−3)[HLB=15.7、EOを2モル付加後にPOを2モル付加し、さらにEOを14モル付加したもの、Mw/Mn=1.061{一般式(3’)の右辺の計算値=1.064}、未反応脂肪族系アルコールは不検出]を使用した。
温度計および攪拌機を備えた密閉反応槽に、ポリヘキサメチレンアジペ−トジオール(Mn2,000)571部、DMPA5.2部、TDI123部を用いる以外は実施例1と同様にしてNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。得られた該アセトン溶液を40℃に冷却してトリエチルアミン3.9部を加えた。次いで、(A−3)9部を水171部に溶解したものを該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、エチレンジアミン1.3部を水30部に溶解したものを該アセトン溶液に加え、鎖伸長反応をさせた後、減圧下でアセトンを留去し、水で濃度調整して、固形分40%のポリウレタン樹脂エマルションを得た。
得られたポリウレタン樹脂中のカルボキシレート基の含有量は該ポリウレタン樹脂に基づいて0.25重量%であった。次いでポリウレタン樹脂に対して、塩化カルシウムが4部配合されるよう予め添加した水で希釈し、固形分が20%となるよう調製したエマルション[以下、エマルション(3)と称する]を得た。
比較例1
ノニオン性界面活性剤としてラウリルアルコールEO平均12モル付加物(X−1)[HLB=14.8、Mw/Mn=1.089{一般式(7)の右辺の計算値:1.049}、未反応脂肪族系アルコール量=2.9%、c=3.70]を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分20%のエマルションを得た[以下、エマルション(4)と称する]。
ノニオン性界面活性剤としてラウリルアルコールEO平均12モル付加物(X−1)[HLB=14.8、Mw/Mn=1.089{一般式(7)の右辺の計算値:1.049}、未反応脂肪族系アルコール量=2.9%、c=3.70]を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分20%のエマルションを得た[以下、エマルション(4)と称する]。
比較例2
ノニオン性界面活性剤としてラウリルアルコールアルキレンオキサイド付加物(X−2)[HLB=16.0、EOを3モル付加後にPOを2モル付加し、さらにEOを15モル付加したもの、Mw/Mn=1.122{一般式(3)の右辺の計算値:1.067}、未反応脂肪族系アルコール量=0.028%、c=2.71]を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分20%のエマルションを得た[以下、エマルション(5)と称する]。
ノニオン性界面活性剤としてラウリルアルコールアルキレンオキサイド付加物(X−2)[HLB=16.0、EOを3モル付加後にPOを2モル付加し、さらにEOを15モル付加したもの、Mw/Mn=1.122{一般式(3)の右辺の計算値:1.067}、未反応脂肪族系アルコール量=0.028%、c=2.71]を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分20%のエマルションを得た[以下、エマルション(5)と称する]。
エマルション(1)〜(5)の感熱凝固温度(℃)、平均分散粒子径(μm)、並びに保存安定性(30℃または40℃で保管した場合の沈降物が発生するまでの日数)の評価結果を表1に示す。
<不織布の製造>
ポリエチレンテレフタレート短繊維から積層シートを作り、このシートを280本/cm2の打込数となるようにニードルパンチした後乾燥し、重量380g/m2、見掛密度0.18g/cm2の不織布を得た。
ポリエチレンテレフタレート短繊維から積層シートを作り、このシートを280本/cm2の打込数となるようにニードルパンチした後乾燥し、重量380g/m2、見掛密度0.18g/cm2の不織布を得た。
実施例4〜6、比較例3および4
上記不織布にエマルション(1)〜(5)をそれぞれ含浸し、固形分の付着率が不織布重量に対して50±3重量%となるようにマングルで絞った後、100℃の飽和水蒸気中で2分間加熱し、更に120℃の熱風乾燥機で10分乾燥後水洗し、再度100℃の熱風乾燥機で10分乾燥することにより皮革様シートを得た。
上記不織布にエマルション(1)〜(5)をそれぞれ含浸し、固形分の付着率が不織布重量に対して50±3重量%となるようにマングルで絞った後、100℃の飽和水蒸気中で2分間加熱し、更に120℃の熱風乾燥機で10分乾燥後水洗し、再度100℃の熱風乾燥機で10分乾燥することにより皮革様シートを得た。
<性能試験>
実施例4〜6、比較例3および4で製造した皮革様シートについて、下記試験方法によりマイグレーションの有無、風合いを評価した。これらの結果を表2に示した。
実施例4〜6、比較例3および4で製造した皮革様シートについて、下記試験方法によりマイグレーションの有無、風合いを評価した。これらの結果を表2に示した。
[固形分の付着率(重量%)]
乾燥後の皮革様シートにおいて次式により算出した。
100×[(皮革様シートの重量)−(繊維材料基体の重量)]/(繊維材料基体の重量)
[マイグレーションの有無]
シートの断面を電子顕微鏡(日立製作所製、S−800)で観察し、表面部分と中央部分のポリウレタン樹脂の基体への付着状態を調べ、ポリウレタン樹脂が繊維材料基体中に均一に分布しており、マイグレーションが発生していないものを「○」、ポリウレタン樹脂が繊維材料基体表面部分に偏在しており、マイグレーションが発生しているものを「×」と判定した。
[風合い]
シートが天然皮革様の風合いを有するものである場合を「○」と判定し、天然皮革に比べて柔軟性がやや劣るものを「△」、柔軟性不足のためシートが天然皮革様の風合いを呈さない場合を「×」と判定した。判定は手の触感による官能試験で行った。
[通気性]
ガーレのデンソメータを使用して、JIS P8117の方法に準じて、50mlの空気が通過するに要する時間(秒)を測定した。
乾燥後の皮革様シートにおいて次式により算出した。
100×[(皮革様シートの重量)−(繊維材料基体の重量)]/(繊維材料基体の重量)
[マイグレーションの有無]
シートの断面を電子顕微鏡(日立製作所製、S−800)で観察し、表面部分と中央部分のポリウレタン樹脂の基体への付着状態を調べ、ポリウレタン樹脂が繊維材料基体中に均一に分布しており、マイグレーションが発生していないものを「○」、ポリウレタン樹脂が繊維材料基体表面部分に偏在しており、マイグレーションが発生しているものを「×」と判定した。
[風合い]
シートが天然皮革様の風合いを有するものである場合を「○」と判定し、天然皮革に比べて柔軟性がやや劣るものを「△」、柔軟性不足のためシートが天然皮革様の風合いを呈さない場合を「×」と判定した。判定は手の触感による官能試験で行った。
[通気性]
ガーレのデンソメータを使用して、JIS P8117の方法に準じて、50mlの空気が通過するに要する時間(秒)を測定した。
本発明の水系ポリウレタン樹脂エマルションは繊維材料基体に含浸させて皮革様シート用材料として利用でき、さらに該材料から得られる皮革様シートは、マットレス、鞄内張り材料、衣料、靴用芯材、クッション地、自動車内装材および壁材などに有用である。
Claims (7)
- 脂肪族系アルコール(a)にアルキレンオキサイド(b)を付加して直接製造され、下記(i)および(ii)を満たす脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(a0)からなる1種以上のノニオン性界面活性剤(A)、カルボキシレート基および/またはスルホネート基の含有量の合計がポリウレタン樹脂の重量に基づいて0.01〜1.5重量%であるポリウレタン樹脂(B)、水溶性無機塩(C)並びに水性媒体からなる水系ポリウレタン樹脂エマルション。
(i)下記一般式(1)で表される化合物の2種以上の混合物からなる。
R1O−[(C2H4O)m/(AO)n]−(C2H4O)p−H (1)
[式中、R1は炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基または炭素数8〜24の脂環式炭化水素基;Aは炭素数3以上のアルキレン基;mは平均が0〜4となる0または1以上の整数、nは平均が0〜3となる0または1以上の整数、pは平均が1〜80となる0または1以上の整数であり、(m+n+p)は平均が3〜81となる整数であり、(m+p)/(m+n+p)は平均0.5以上である。{(C2H4O)m/(AO)n}は、m≠0,n≠0のときブロック付加またはランダム付加を表す。]
(ii)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnが下記関係式(2)または(3)を満たす。
Mw/Mn≦0.030×Ln(v)+1.010 (但し、v<10) (2)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.139 (但し、v≧10)(3)
[但し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、上記一般式(1)での(m+n+p)の平均に相当する。Ln(v)はvの自然対数を意味する。] - 脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(a0)が、下記(iii)を満たす請求項1記載の水系ポリウレタンン樹脂エマルション。
(iii)Weibullの分布則から導かれる下記式(4)から求められる分布定数cが1.0以下である。
c=(v+n0/n00−1)/[Ln(n00/n0)+n0/n00−1] (4)
[但し、vは上記に同じ、n00は反応に用いた脂肪族系アルコール(a1)のモル数、n0は未反応の脂肪族系アルコール(a1)のモル数を表す。Ln(n00/n0)はn00/n0の自然対数を意味する。] - ノニオン性界面活性剤(A)が、10〜18のHLBを有し、(A)の含有量がポリウレタン樹脂(B)の重量に基づいて0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の水系ポリウレタン樹脂エマルション。
- ポリウレタン樹脂(B)が、分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート化合物(ア1)、高分子ポリオール(ア2)並びに分子内にカルボキシレート基及び又はスルホネート基を有し、かつ活性水素基を少なくとも2つ有する化合物(ア3)からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の水系ポリウレタン樹脂エマルション。
- 請求項4記載の水系ポリウレタン樹脂エマルションを繊維材料基体に付与した後、感熱凝固させて得られる皮革様シート用材料。
- 40〜150℃で感熱凝固させて得られる請求項5記載の皮革様シート用材料。
- 請求項5または6記載の皮革様シート材料をさらに後加工処理して得られる皮革様シート。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2004
- 2004-02-25 JP JP2004050413A patent/JP2005239841A/ja active Pending
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