JP4964458B2 - 繊維加工処理剤用ポリウレタン樹脂水性分散体および樹脂加工繊維基材 - Google Patents

繊維加工処理剤用ポリウレタン樹脂水性分散体および樹脂加工繊維基材 Download PDF

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Description

本発明は繊維加工処理剤用ポリウレタン樹脂水性分散体および樹脂加工繊維基材に関し、さらに詳しくはポリウレタン樹脂(U)、架橋剤(C)および水性媒体からなる繊維加工処理剤用ポリウレタン樹脂水性分散体ならびに該繊維加工処理剤用ポリウレタン樹脂水性分散体で処理して得られる樹脂加工繊維基剤に関する。
従来、繊維基材は風合いを調節したり、製品形態を安定なものにするため、繊維基材の表面および内部に繊維加工処理剤が加工されている。
これらの繊維加工処理剤として、ポリウレタン樹脂の水性分散体と架橋剤を用いる方法が提案されている。
たとえば特許文献−1には、重亜硫酸塩によりブロックされたイソシアネート基を含むウレタン樹脂からなる、貯蔵安定性、耐水性、反発弾性に優れることを特徴とする繊維加工処理剤が提案されている。しかし、この繊維加工処理剤では、得られる樹脂加工繊維基材の耐洗濯性が悪いという問題点があった。
また、特許文献−2には、ウレタン樹脂の水性分散体とエポキシ樹脂からなる、耐洗濯性、耐アルカリ性が優れることを特徴とする繊維加工処理剤が提案されている。
しかし、この繊維加工処理剤の貯蔵安定性は悪く、また薄い繊維基材に塗布した場合、皮膜が変形しやすいという問題点があった。
さらに、特許文献−3には可塑剤、有機溶剤を含有しない自己乳化性ポリウレタン樹脂とポリカルボジイミド化合物からなる、皮膜の耐溶剤性、風合い、機械物性が優れることを特徴とする繊維加工処理剤が提案されている。しかし、この繊維加工処理剤は、耐洗濯性、耐ドライクリーニング性が悪く、また長期間使用したときに耐熱性が変化するなど、樹脂加工繊維基材の耐候性(耐久性)に問題があった。
特開昭56−134270号公報 特開2004−19016号公報 特開2004−161945号公報
本発明の目的は貯蔵安定性と、繊維加工処理した後の皮膜の変形性、造膜性、風合い、耐ドライクリーニング性、耐熱性および耐洗濯性が優れ、さらに長期間使用した後にも耐ドライクリーニング性と耐熱性に優れた繊維加工処理剤用のポリウレタン樹脂水性分散体、および該繊維加工処理剤で繊維基材を処理して得られる樹脂加工繊維基材を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく繊維加工処理剤用ポリウレタン樹脂水性分散体について鋭意検討し、本発明に到達した。すなわち本発明は、ポリウレタン樹脂(U)、架橋剤(C)および水性媒体を含有し、下記(1)〜(5)を満たす繊維加工処理剤用ポリウレタン樹脂水性分散体;該ポリウレタン樹脂水性分散体を含有してなる繊維加工処理剤;並びに、該繊維加工処理剤を繊維基材に塗布または含浸した後、乾燥して得られる、樹脂加工された繊維基材;である。
(1)ポリウレタン樹脂(U)を構成するポリイソシアネート成分が脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートから選ばれる1種以上である。
(2)ポリウレタン樹脂(U)を構成するポリオール成分のうちの90重量%以上が融点が30℃以下のポリカーボネートジオールである。
(3)ポリウレタン樹脂水性分散体の固形分のうちのジメチルホルムアミドへの溶解成分が、5,000〜100,000の数平均分子量を有する。
(4)ポリウレタン樹脂水性分散体の固形分当たりの弱酸価が1〜15mgKOH/gである。
(5)ポリウレタン樹脂水性分散体を120℃で120分間乾燥・加熱架橋して得られる厚さ0.2mmのフィルムの100℃における貯蔵弾性率が2〜10MPaである。
本発明の繊維加工処理剤用のポリウレタン樹脂水性分散体は、貯蔵安定性に優れ、繊維加工処理した後の皮膜の変形性、造膜性、風合い、耐ドライクリーニング性、耐熱性および耐洗濯性が優れ、さらに長期間使用した後にも耐ドライクリーニング性と耐熱性に優れている。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、ポリイソシアネート成分(a1)、ポリオール成分(a2)、およびその他の成分(a3)とから構成される。
該(U)を構成するポリイソシアネート成分(a1)は、脂肪族および脂環族ポリイソシアネートから選ばれる1種以上である。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート)、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、
ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、および2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、並びに2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族または脂環族ポリイソシアネートであれば、仕上げ加工した繊維基材が変色しない点、および風合いの点で優れている。これらのうちで好ましいものは仕上げ加工した繊維基材の風合い、耐久性(以下において、「耐久性」は長期間の使用後の耐熱性と耐ドライクリーニング性のことであり、本発明においてその評価は後述のように耐候性試験後の耐熱性と耐ドライクリーニング性で評価する)の点で脂環族ポリイソシアネート、最も好ましいのはIPDIである。
ポリオール成分(a2)としては、数平均分子量400〜5,000の高分子ポリオール(a21)、(U)を親水性にして乳化させやすくするための親水基含有低分子ポリオール(a22)、および数平均分子量400未満の低分子ポリオール(a23)が挙げられる。
これらのポリオール成分のうちの90重量%以上、繊維加工処理剤の耐久性の観点から好ましくは92%以上(以下において、%は特に限定しない限り重量%を表す)、特に好ましくは94%以上がポリカーボネートジオールである。ポリカーボネートジオールが90%未満では耐久性と耐ドライクリーニング性が発揮できない。
高分子ポリオール(a21)としては、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオールおよびポリエーテルジオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、通常の方法すなわちジオール成分(エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの単独または2種以上の混合物など)とエチレンカーボネートを反応させ脱エチレングリコール化による方法、あるいは上記ジオール成分とアリールカーボネート、たとえばジフェニルカーボネートとのエステル交換による方法で得られるものなどが挙げられる。
ポリカーボネートジオールの具体例としては、炭素数4〜10の直鎖状アルキレン基を有するポリカーボネートジオール(例えば、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ノナンジオールのポリカーボネートジオールなど)、および炭素数4〜10の分岐状アルキレン基を有するポリカーボネートジオール(例えば、2−メチルブタンジオールのポリカーボネートジオール、2−エチルブタンジオールのポリカーボネートジオール、ネオペンチルグリコールのポリカーボネートジオール、2−メチルペンタンジオールのポリカーボネートジオール、3−メチルペンタンジオールのポリカーボネートジオールなど)、およびこれらの共重合体が挙げられる。
これらのうち融点が30℃以下となるものは分岐状アルキレン基を有するポリカーボネートジオール、直鎖状アルキレン基を有するポリカーボネートジオールの共重合体などである。
ポリエステルジオールとしては、通常の方法すなわちジオール成分(前述と同様のもの)とジカルボン酸成分{脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など)などの単独または2種以上の混合物など}とを反応(縮合)させることによる方法、あるいは、ラクトン(ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどの単独または2種以上の混合物など)を開環重合させることによる方法で得られるものなどが挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、通常の方法すなわち先に例示したジオール成分などへのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−もしくは1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリンなどの単独または2種以上の混合物など)の付加を、無触媒でまたは触媒(アルカリ触媒、アミン系触媒、酸性触媒)の存在下(とくにアルキレンオキサイド付加の後半の段階で)に常圧または加圧下に1段階または多段階で行なうことによる方法で得られるものなどが挙げられる。なお、アルキレンオキサイドを2種以上用いる場合の付加形態はブロックでもランダムでもよい。
高分子ポリオール(a21)のうち、好ましいのはの耐久性の観点からポリカーボネートジオールを90%以上使用する場合であり、さらに好ましいのは風合いの観点から融点が30℃以下のポリカーボネートジオールを90%以上使用する場合である。
(a21)の数平均分子量は通常400〜5,000、好ましくは500〜5,000、とくに好ましは1,000〜3,000である。数平均分子量が400以上であれば処理した樹脂加工繊維基材の風合いが柔軟で好ましく、5,000以下であれば樹脂加工繊維基材の耐久性が十分である。〔上記および以下において数平均分子量はMnと略記し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPC)を用いて、テトラヒドロフランを溶媒として、ポリスチレンを標準として測定されるものである。〕
(a21)の使用量は、樹脂加工繊維基材の風合い、耐久性の観点から(a2)の合計重量に基づいて好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
(U)を親水性にして乳化させやすくするための親水基含有低分子ポリオール(a22)としては、例えばカルボキシル基含有ジオール(2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸、酒石酸など)、
等が挙げられる。
これらのうちで好ましいものは2,2−ジメチロールプロピオン酸および2,2−ジメチロールブタン酸である。
該(a22)の使用量は、耐水性の観点から該(U)の水性分散体の固形分当たりの酸価が1〜15mgKOH/g、好ましくは1〜12mgKOH/g、とくに好ましくは2〜8mgとなる量である。ここで酸価の測定方法は例えば日本工業規格JIS K5400等に開示されている方法である。
なお、本発明における「固形分当たりの・・」とは、試料1.0〜1.5gを直径15cmのシャーレに精秤し、145℃で90分間加熱乾燥後の残分の重量の試料重量に対する百分率を固形分濃度(%)としたとき、該固形分濃度に基づいて計算される固形分(g)である。
Mn400未満の低分子ポリオール(a23)としては、炭素数2〜15の多価アルコール類[2価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールなど);3価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなど);これらの多価アルコールのアルキレンオキサイド(EOおよび/またはPO)低モル付加物(Mn400未満)など]が挙げられる。
該(a23)の使用量は、(a2)の合計質量に基づいて通常10%以下、好ましくは8%以下である。
本発明における(U)は、(a1)および(a2)の他に、その他の成分(a3)から構成されていてもよい。
その他の成分(a3)としては、ジイソシアネート成分(a1)と反応しうる、水酸基以外の官能基(例えば、1級アミノ基、2級アミノ基またはチオール基など)を有する化合物が挙げられる。
(a3)としては、高分子ポリオール(a21)と共に使用される化合物(a31)、鎖伸長剤(a32)および停止剤(a33)などが挙げられる。
高分子ポリオール(a21)と共に使用される化合物(a31)としては、
、炭素数2〜10のジアミン類(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン、ピペラジンなど)、
ポリアルキレンポリアミン類(例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなど)、
ヒドラジンもしくはその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジドなど)、
炭素数2〜10のアミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、トリエタノールアミンなど)、並びに前述の親水基含有低分子ポリオール(a22)と同様の効果を有するカルボキシル基含有モノアミン(グリシン、アラニン、バリンなど)、およびカルボキシル基含有ジアミン(リジン、アルギニンなど)等が挙げられる。
(a31)の使用量は、(a1)のイソシアネート基の当量に基づいて通常0.2当量以下、好ましくは0.1当量以下である。
鎖伸長剤(a32)としては(a31)で挙げた炭素数2〜10のジアミン類、炭素数2〜10のアミノアルコール類などが挙げられる。
鎖停止剤(a33)としては、炭素数1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ類、カルビトール類など)、炭素数1〜10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、モノオクチルアミンなどのモノもしくはジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどのモノもしくはジアルカノールアミンなど)などが挙げられる。
(a32)および(a33)の使用量の合計は、(a1)のNCO基の当量に基づいて通常0.8当量以下、好ましくは0.6当量以下であり、(a33)の使用量は、得られる(U)のジメチルホルムアミド(DMF)への溶解成分が、Mnが好ましくは5,000〜100,000、さらに好ましくは10000〜80000となる量を用いることができる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、前述の親水基含有低分子ポリオール(a22)、または(a22)と同様の効果を有する前述のカルボキシル基含有モノアミンもしくはカルボキシル基含有ジアミンを使用する場合は、それらの親水基(カルボキシル基など)を中和する塩基性化合物を含有していてもよい。
塩基性化合物としては、アミン類[アンモニア、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルアミンなど)、アルカノールアミン(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノエチルプロパノールなど)、脂環式アミン(モルホリンなど)など]およびアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウムなど)水酸化物などが挙げられる。これらの中で好ましいものは、得られる樹脂加工繊維基材の耐洗濯性の面からアミン類であり、特に好ましいものはトリエチルアミンである。
また、本発明の水性分散体は、その製造工程において沸点が100℃以上の有機溶剤を使用しないことが好ましい。その場合、水性分散体は沸点が100℃以上の有機溶剤を実質的に含有しない。沸点が100℃以上の有機溶剤としてはジメチルホルムアミド、Nメチルピロリドンなどが挙げられる。
沸点が100℃以上の有機溶剤を含有しないことによって繊維加工時の有機溶剤の揮発がなく、安全であり、また、被膜物性が経時的に変化しにくいという効果を発揮できる。
沸点が100℃以上の有機溶剤の含有量はガスクロマトグラフィーによって測定でき、該測定法による本発明の水性分散体中の沸点が100℃以上の有機溶剤の含有量は実質的に0%、または他の原料中の微量成分として混入することがあるため、多くても0.1%である。
(U)の水性分散体を製造する方法としては、例えば、(a1)と(a2)、および必要により(a3)、さらには必要により沸点が100℃未満の有機溶剤を仕込み、一段または多段でウレタンプレポリマーを形成し、次いで該プレポリマーに塩基性化合物を加え親水化した後、あるいは親水化しながら、必要により沸点が100℃未満の親水性有機溶剤、乳化剤、鎖伸長剤(a32)および/または鎖停止剤(a33)を含む水性媒体と通常10℃〜60℃、好ましくは20℃〜50℃で混合・分散して水性分散体となし、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応[水または(a32)による鎖伸長、および必要により(a33)による鎖停止]し、必要により有機溶剤を留去することにより製造することができる。
(a32)による鎖伸長および必要により(a33)による鎖停止を行う場合には、プレポリマーを水性媒体中に分散させた後に、(a32)および必要により(a33)を加えてプレポリマーと反応させるのが好ましい。
また、有機溶剤の存在下に(a1)と(a2)、および必要により(a3)を反応させてプレポリマー溶液を形成し、鎖伸長剤(a32)および必要により鎖停止剤(a33)を反応させるか、有機溶剤の存在下に(a1)と(a2)、および必要により(a3)、および必要により鎖伸長剤(a32)および鎖停止剤(a33)を一段で反応させることにより、有機溶剤溶液を形成し、水性媒体中に分散させ、必要により有機溶剤を留去することにより、(U)の水性分散体を形成することもできる。この場合も、塩基性化合物の添加による親水化は水性分散体の形成前に行っても形成の段階で行っても形成後に行ってもよい。
プレポリマーは、(a1)と(a2)、および必要により(a3)を、イソシアネート基/活性水素含有基 (カルボキシル基を除く)の当量比が通常1.01〜3、好ましくは1.1〜 2.0となる割合で、反応させることにより形成される。プレポリマーの形成は、通常20℃〜150℃、好ましくは60℃〜110℃の反応で行われ、反応時間は通常2〜15時間である。プレポリマーの形成は、イソシアネート基と実質的に非反応性の有機溶剤の存在下または非存在下で行うことができる。プレポリマーは通常0.5〜5%の遊離イソシアネート基含量を有する。
上記の反応の際に用いる有機溶剤は、沸点が100℃未満で、かつイソシアネート基と実質的に非反応性のもの(例えば、エチルメチルケトン、アセトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等)が挙げられる。
沸点が100℃を越えると有機溶剤を使用すると、有機溶剤のみを完全に除去することが困難になり、水性分散体中に残存し、加工時に有機溶剤が発生するため好ましくない。また有機溶剤が得られた皮膜中に残存しやすくなり、皮膜物性が経時で変化するため好ましくない。
上記ウレタン化反応においては反応を促進させるため、必要により通常のウレタン化反応に使用される触媒を使用してもよい。触媒には、アミン触媒、たとえばトリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンおよび米国特許第4524104号明細書に記載のシクロアミジン類[1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(サンアプロ・製造、DBU)など];錫系触媒、たとえばジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレートおよびオクチル酸錫;チタン系触媒、たとえばテトラブチルチタネート;ビスマス系触媒、たとえばトリオクチル酸ビスマス;などが挙げられる。
(U)は、乳化剤を添加して乳化剤乳化型の(U)の水性分散体とすることもできるが、得られる樹脂加工繊維基材の耐久性の観点から乳化剤はできるだけ少ないことが好ましい。
乳化剤乳化型の(U)の水性分散体を製造する方法には、上記と同様にして、有機溶剤の存在下または非存在下でプレポリマーを形成し、プレポリマーおよび/または水性媒体に乳化剤を加え、さらに必要に応じて該プレポリマーに塩基性化合物を加え親水化した後、あるいは親水化しながら水性媒体と混合して水性分散体とし反応[鎖伸長、および必要により鎖停止]を行い必要により有機溶剤を留去する方法などが挙げられる。
乳化剤はプレポリマー、水性媒体のいずれか一方に加えても、双方に加えてもよい。乳化剤がプレポリマーと反応性の場合には水性媒体に加えるのが好ましい。(U)に対する乳化剤の質量比は、ウレタンプレポリマーの質量に基づいて、通常0〜10%、好ましくは0〜3%である。
乳化剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性の界面活性剤 、高分子型乳化分散剤、およびこれらの2種以上の併用が含まれ、例えば米国特許第3929678号および米国特許第4331447号明細書に記載のものが挙げられる。
これらの乳化剤のうちで好ましいものは、ノニオン性界面活性剤および高分子型乳化分散剤である。
本発明の水性分散体における(U)の重量平均粒子径は、通常0.01〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。
本発明の水性分散体における(U)の固形分濃度は、好ましくは20〜70%、さらに好ましくは30〜60%である。
プレポリマーまたはプレポリマーの溶剤溶液を水性媒体に乳化分散させる装置は特に限定されず、例えば下記の方式の乳化機が挙げられる:1)錨型撹拌方式、2)回転子−固定子式方式[例えば「エバラマイルダー」(荏原製作所製)]、3)ラインミル方式[例えばラインフローミキサー]、4)静止管混合式[例えばスタティックミキサー]、5)振動式[例えば「VIBRO MIXER」(冷化工業社製)]、6)超音波衝撃式[例えば超音波ホモジナイザー]、7)高圧衝撃式[ 例えばガウリンホモジナイザー(ガウリン社)]、8)膜乳化式[例えば膜乳化モジュール]、および9)遠心薄膜接触式[例えばフィルミックス]。これらのうち、好ましいのは、5)、8)および9)である。
本発明における架橋剤(C)は、ポリウレタン骨格中のカルボキシル基と反応し得る官能基を分子内に2個以上含有する水溶性または水分散性の化合物であり、カルボキシル基と反応しうる官能基としては、カルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基、シクロカーボネート基、アジリジン基などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、架橋性能、ポリウレタン樹脂水性分散体の貯蔵安定性、安全性の観点でカルボジイミド基(c1)および/またはオキサゾリン基(c2)が好ましい。
カルボジイミド基を有する架橋剤としては、例えば日清紡績株式会社製「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトV−02」などを挙げることができ、オキサゾリン基を有する架橋剤としては、例えば日本触媒株式会社製「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスWS−500」などを挙げることができる。
架橋剤の配合量としては、ポリウレタン樹脂(U)100重量部に対して、架橋剤の有効成分が0.5〜20重量部であることが好ましく、1.0〜15重量部であることがより好ましく、1.5〜10重量部であることがさらに好ましい。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体に含有される架橋剤(C)は水溶性または水中で乳化、分散状態にあることが望ましい。油溶性で水中に分散状態とならない化合物は、塗工材の経時安定性が悪い。
架橋剤(C)の反応性官能基の当量すなわちカルボジイミド当量およびオキサゾリン当量は、100〜800g/当量であることが好ましい。100g/当量未満であると得られた皮膜の風合い、変形性、造膜性が低下し、800g/当量を超えると耐洗濯性、耐熱性が低下する。
また、多官能ポリカルボジイミド化合物中のカルボジイミド基は、自己乳化性水性ポリウレタン樹脂中のカルボキシル基1個に対し、0.2〜1個であることが好ましい。0.2個未満であると、得られた皮膜の得られた皮膜の耐洗濯性、耐熱性が低下し、1個を超えると風合い、伸度、風合い、変形性、造膜性が低下する傾向がある。
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体は多官能(メタ)アクリレートを含有することができる。
本発明で用いられる多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば(メタ)アクリル酸と多価アルコール類(2〜10価またはそれ以上の多価アルコール。以下同様)とのエステル[例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等];(メタ)アリルアルコールと2〜6価またはそれ以上の多価カルボン酸類とのエステル[例えばジアリルフタレート、トリメリット酸トリアリルエステル等];多価アルコール類のポリ(メタ)アリルエーテル[例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アリルエーテル等];多価アルコール類のポリビニルエーテル[例えばエチレングリコールジビニルエーテル等];多価アルコール類のポリプロペニルエーテル[例えばエチレングリコールジプロペニルエーテル等];ポリビニルベンゼン類[例えばジビニルベンゼン等]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ラジカル重合速度の点で、(メタ)アクリル酸と多価アルコール類とのエステル、アリルアルコールと多価カルボン酸類とのエステルおよび多価アルコール類のポリアリルエーテルであり、特に好ましいものはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートである。多官能(メタ)アクリレート1分子中の不飽和基(非共役二重結合)数は通常2〜10、好ましくは3〜6である。官能基数が2未満では耐久性向上効果が不十分であり、10を越えると多官能(メタ)アクリレートが高分子量となるため粘度が高くなり取り扱いが困難となる。多官能(メタ)アクリレートは、ポリウレタン皮膜が光(紫外線)や熱により劣化する際に生じるラジカルを捕捉して多官能(メタ)アクリレート自体が重合し、その結果ポリウレタン皮
膜に優れた耐光老化性および耐熱老化性等の耐久性を付与する作用を有する。
本発明における該多官能(メタ)アクリレートの使用量は、耐久性に優れる皮膜を得る点で(U)100重量部当たり、0〜10重量部、とくに0.1〜4重量部が好ましい。
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体は、必要により酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、などを含有しても良い。 これらの使用量の合計は耐久性に優れる皮膜を得る点で(U)100重量部当たり、0〜5重量部、とくに0.1〜2重量部が好ましい。
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体のジメチルホルムアミド(DMF)溶解成分のMnは5,000〜100,000、好ましくは10,000〜90,000、特に好ましくは20,000〜80,000である。Mnが5,000以上であれば皮膜の耐久性が良好となり、100,000以下であれば、加工後の変形が少なく、かつ造膜性が良好になる。
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体のジメチルホルムアミド(DMF)溶解成分のMnの測定はDMF中にポリウレタン樹脂固形分が0.0125重量%となるように加えて常温で1時間撹拌した後、0.3μmの孔径のフィルター(フロロポアーメンブランフィルターNP−030:住友電工株式会社製)で加圧濾過して得られた濾液に含まれるウレタン樹脂を、DMFを溶媒として分子量標準としてポリスチレンを用いてGPCにより測定することができる。
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体の固形分当たりの弱酸価は1〜15mgKOH/g、好ましくは1.5〜12mgKOH/g、さらに好ましくは2〜8mgである。弱酸価が1mgKOH/g未満であるとポリウレタン樹脂水性分散体中に存在する親水基量が少ないため水性分散体の貯蔵安定性が悪くなり、15gKOH/gを越えると得られる皮膜の耐洗濯性が劣る。
本発明において、ポリウレタン樹脂水性分散体中の固形分当たりの弱酸価は以下のように測定されるものである。
ポリウレタン樹脂水性分散体を1.0g〜1.5gとり、ジメチルホルムアミド100mlで溶解もしくは膨潤させ、1/2Nの塩酸水溶液を滴下して、系内のpHを3〜4として、系中に存在するアルカリ性物質を中和し、その後、1/10N水酸化カリウム水溶液を用いて電位差滴定を行って、第1変曲点から第2変曲点までの滴定量をもとに、弱酸価を算出する。なお、算出される弱酸価はポリウレタン樹脂水性分散体中の固形分当たりの弱酸価に換算し、換算後の弱酸価を本発明における弱酸価とする。なお、固形分濃度は、前述のように、試料1.0〜1.5gを直径15cmのシャーレに精秤し、145℃で90分間加熱乾燥後の残分の重量を測定し、試料重量に対する百分率で表したものである。
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体を120℃で120分間乾燥・加熱架橋して得られる厚さ0.2mmのフィルムの100℃における貯蔵弾性率は2MPa〜10MPa、好ましくは2.5MPa〜9MPa、さらに好ましくは3MPa〜8MPaである。2MPa未満では耐熱性が悪く、10MPaを越えると樹脂加工繊維基材が大きく変形する。
本発明において、フィルムの100℃における貯蔵弾性率は粘弾性測定装置、Rheogel E4000(UBM(株)製)を使用して周波数11Hzで25℃から150℃の範囲で測定したものである。
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体を塗布または含浸する繊維基体としては特に制限されるものではないが、例えば木綿、ウールなどに代表される天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等の素材に代表されるような合成繊維が挙げられる。繊維基体の形態としては編物、織物、不織布、皮革、合成皮革、人工皮革、紙、等が挙げられる。
本発明の繊維加工処理剤は、上記のポリウレタン樹脂水性分散体を含有してなる繊維加工処理剤である。
本発明の繊維加工処理剤は、上記のポリウレタン樹脂水性分散体以外に、さらに、他の合成樹脂水性分散体、顔料、染料、粘弾性調整剤、レベリング剤、湿潤剤、消泡剤、充填剤、難燃剤、防腐剤、劣化防止剤および安定剤、架橋剤、柔軟撥水剤、無機塩および可塑剤からなる群から選ばれる1種以上の添加剤を含有していてもよい。
他の合成樹脂水性分散体としては、アクリル樹脂、NBR、SBR、EVA、ポリオレフィン樹脂、PVA等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
顔料としては、無機顔料および有機顔料が挙げられる。
染料には、塩基性染料、酸性染料、バット染料などが挙げられる。
粘弾性調整剤としては、増粘剤、たとえば無機系粘度調整剤(ケイ酸ソーダやベントナイトなど)、セルロース系粘度調整剤(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなど、Mwは通常20,000 以上)、タンパク質系(カゼイン、カゼインソーダ、カゼインアンモニウムなど)、アクリル系(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウムなど、Mwは通常20,000以上)、およびビニル系(ポリビニルアルコールなど、Mwは通常20,000以上)が含まれる。アクリル系、ビニル系が好ましい。
湿潤剤としては、多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)などが挙げられる。
消泡剤には、長鎖アルコール(オクチルアルコールなど)、ソルビタン誘導体(ソルビタンモノオレートなど)、シリコーンオイル(ポリメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、弗素変性シリコーンなど)などが挙げられる。
充填剤としては炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、タルク、セラミックス、樹脂等の微粒子、中空ビーズ
難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、アンチモン系、メラミン系、グアニジン系、グアニル尿素系のもの等が挙げられる。
防腐剤としては、有機窒素硫黄化合物系、有機硫黄ハロゲン化合物系防腐剤などが挙げられる。
劣化防止剤および安定化剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤など)には、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など
が挙げられる。
架橋剤としては、前述の架橋剤(C)以外の、エポキシ系、ブロックイソシアネート系、メラミン系、エチレンイミン系、アジリジン系、アルコキシシラン系のもの等が挙げられる。
柔軟撥水剤としては、ポリシロキサン、変性シリコーンオイル等のシリコーン化合物、アクリル酸のフロロアルキルエステル系重合体などのフッ素化合物などが挙げられる。
無機塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
可塑剤としてはエチレングリコール、N−メチルピロリドン、ジオクチルフタレートなどの低分子化合物、脂肪族直鎖状ポリエステルなどのエステル基含有高分子、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステルなどのエーテル基含有高分子などが挙げられる。
本発明の繊維加工処理剤を繊維基材に付与する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば浸せき塗工、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、ハイドロバーコーター、トランスファロールコーター、リバースコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレコーター、ロールコーター、スクリーンコーターなどが挙げられ、基材の一部、もしくは全面に塗工することが出来る。
本発明の繊維加工処理剤は造膜性に優れるため、摩擦、揉みなどの機械物性に優れ、皮膜が加工後に変形せず、耐洗濯性、耐熱性、耐ドライクリーニング性、経時安定性が優れた皮膜を与えることができる。以上の特性からウールの防縮剤、ピリング防止剤、面ファスナー用バインダー、不織布バインダー、顔料捺染用バインダー、その他繊維用補強剤、風合い調整剤などとして使用可能である。また、水性分散体であるため安全衛生的に優れている。
本発明の樹脂加工された繊維基材は、上記の繊維加工処理剤を繊維基材に塗布または含浸した後、乾燥して得られるものである。乾燥条件は、室温、もしくは25〜160℃の温度で5分〜1日間である。
本発明の樹脂加工された繊維基材は、衣料用、靴用、鞄用、家具用、自動車内装用、産業用資材用などとして有用である。
<実施例>
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、「部」は重量部を示す。
<ポリウレタン樹脂水性分散体の製造>
実施例1
温度計および攪拌機を備えた密閉反応槽にMn2,000の1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオールの共重合ポリカーボネートジオール(旭化成(株)製「PCDL T4672」、融点10℃)396部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPAと略記)5.8部、イソホロンジイソシアネート86.5部およびアセトン210部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下90℃で10時間反応させ、末端イソシアネート基ウレタンプレポリマーのアセトン溶液を得た。得られた該アセトン溶液を40℃に冷却してトリエチルアミン6.6部を加えた。水718部を該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、10%に水で希釈したn−ブチルアミン水溶液27.5部を加えて反応をさせた後、減圧下でアセトンを留去し、室温まで冷却した後に多官能ポリカルボジイミド化合物の水分散体(日清紡(株)製「カルボジライトE−02」、不揮発残留分40%、カルボジイミド当量450g/当量)を48.4部添加し、さらに水を加えて固形分40%に調整し、ポリウレタン樹脂水性分散体−1を得た。
得られたポリウレタン樹脂水性分散体−1の平均分散粒子径は0.3μm、固形分当たりの弱酸価は5であった。
実施例2
「PCDL T4672」のかわりにMn2,000の3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオールの共重合ポリカーボネートジオール(旭化成(株)製「PCDL T5652」、融点−5℃)を用いること以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
実施例3
「カルボジライトE−02]の代わりにオキサゾリン基含有水溶性ポリマー(日本触媒製「エポクロスWS−500」、有効成分40%、オキサゾリン当量220g/当量)を23.7部添加すること以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
実施例4
「PCDL T4672」の396部のうちの20部のみをMn2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学製「PTMG2000」)としたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
実施例5
ホモミキサーで乳化する前に末端NCO基ウレタンプレポリマーのアセトン溶液に多官能アクリレート(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:三洋化成工業製「ネオマーDA600」)を19.5部混合したこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
比較例1
「PCDL T4672」のかわりにMn2,000のポリブチレンアジペートジオール(三洋化成工業製「サンエスター4620」)を用いること以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
比較例2
「PCDL T4672」のかわりに「PTMG2000」を用いること以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
比較例3
「PCDL T4672」を340部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)を23.2部、イソホロンジイソシアネートを125部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
比較例4
10%に水で希釈したn−ブチルアミン水溶液のかわりに10%に水で希釈したエチレンジアミン水溶液を17.6部添加すること以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
比較例5
「カルボジライトE−02]を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
比較例6
「カルボジライトE−02]のかわりに水溶性エポキシ(ナガセ化成製「デナコールEX−521」、有効成分100%、エポキシ当量183g/当量)を添加すること以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
このポリウレタン樹脂水性分散体は3日間で粘度が上昇し、使用不可能となった。
比較例7
「PCDL T4672」のかわりにMn2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(日本ポリウレタン工業製「ニッポラン980R])を用い、イソホロンジイソシアネートの代わりに4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いること以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体を得た。
<ポリウレタン樹脂水性分散体の評価>
実施例1〜5、および比較例1〜7で得られたポリウレタン樹脂水性分散体の弱酸価、固形分のうちのジメチルホルムアミド溶解成分のMn、および貯蔵安定性を測定し、その結果を表1に示す。
なお、弱酸価、および溶解性分のMnはいずれも前述の測定方法で測定し、貯蔵安定性は水性分散体を25℃で30日間静置した後の、ゲル化状態を目視で観察した。
貯蔵安定性の評価基準は以下の通りである。
○:ゲル化していない。
×:ゲル化している。
また、上記のポリウレタン樹脂水性分散体を、バーコーターを用いてガラス板上に塗布し、120℃で120分間乾燥・加熱架橋し、得られた厚さ0.2mmのフィルムの100℃における貯蔵弾性率を測定した。貯蔵弾性率は粘弾性測定装置、Rheogel E4000(UBM(株)製)を使用して周波数11Hzで25℃から150℃の範囲で測定した。
結果を表1に示す。
<繊維加工処理剤の調製および樹脂加工された繊維基材の作製>
実施例6〜10、比較例8〜14
実施例1〜5、または比較例1〜7で得られたポリウレタン樹脂水性分散体100部に粘弾性調整剤(サンノプコ(株)製「SNシックナー618」)3部を混合して、繊維加工処理剤を得た。
これらの繊維加工処理剤を綿金巾の片の上に2cm×10cmで膜厚が0.2mmとなるようにバーコーターを用いて塗布した。これを140℃のテンターで5分乾燥することにより樹脂加工された繊維基材を得た。
<樹脂加工された繊維基材の評価>
樹脂加工された繊維基材について、以下の評価方法で、風合い、加工後の変形、造膜性、耐洗濯性、耐熱性、および耐ドライクリーニング性について、最も良いものを5点として5段階で評価した。結果を表2に示す。
[風合い]
樹脂加工された繊維基材の風合いを手触りにより評価した。
判定基準:
5点:風合いが非常によい。
4点:風合いがかなり良い。
3点:風合いが普通。
2点:風合いがやや悪い。
1点:風合いがかなり悪い。
[加工後の変形]
樹脂加工された繊維基材の変形の度合いを目視で判定した。変形が大きいものは塗布した面の裏側が盛り上がり、平坦なものを良好と判定した。
5点:全体が平坦である。
4点:ほぼ平坦である。
3点:小さい盛り上がりがある。
2点:大きい盛り上がりがある。
1点:塗布面が全体に大きく盛り上がっている。
[造膜性]
樹脂加工された繊維基材の表面を走査型電子顕微鏡にて10000倍にて観察し、粒状感が無いものを良好と判定した。
5点:粒状態が全くない。
4点:粒状態が僅かにある。
3点:粒状態が所々にある。
2点:粒状態が多い。
1点:全面に粒状態が見られる。
[耐洗濯性]
家庭用洗剤(花王社製「アタック」)2g/L、浴比1/60、40℃の温水に、樹脂加工された繊維基材を15分間つけおきし、脱水後、塗布部分を折り曲げて室温で乾燥し、塗布部分がブロッキングしないものを良好と判定した。
5点:ブロッキングが全くない。
4点:ブロッキングしているが簡単に剥がせる。
3点:ブロッキングしているが剥がせる。
2点:ブロッキングしており強く引っ張ると剥がれる。
1点:ブロッキングしており剥がせない。
[耐熱性]
樹脂加工された繊維基材の塗布部分を折り曲げてヒートシール試験機で温度120℃、圧力0.8kg重/cm2で30秒間厚着し、塗布部分がブロッキングしないものを良好と判定した。
5点:ブロッキングが全くない。
4点:ブロッキングしているが簡単に剥がせる。
3点:ブロッキングしているが剥がせる。
2点:ブロッキングしており強く引っ張ると剥がれる。
1点:ブロッキングしており剥がせない。
[耐ドライクリーニング性]
JIS L−0860、パークレン法に準じて、樹脂加工された繊維基材のドライクリーニングを行い、塗布部分が膨潤しないものを良好と判定した。
5点:膨潤が全くない。
4点:僅かに膨潤している。
3点:膨潤している。
2点:かなり膨潤している。
1点:原型をとどめないほど膨潤している。
<耐候性試験後の耐熱性および耐ドライクリーニング性(耐久性)>
樹脂加工された繊維基材について、それぞれブラックパネル温度83℃のキセノンウェザーメーター内で100時間処理した後、耐熱性、耐ドライクリーニング性を上記と同様の評価方法で評価した。結果を表2に示す。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体を含む繊維加工処理剤は、ウールの防縮剤、ピリング防止剤、面ファスナー用バインダー、不織布バインダー、顔料捺染用バインダー、その他繊維用補強剤、風合い調整剤などとして利用可能である。
また、本発明の繊維加工処理剤で加工された繊維基材は、衣料用、靴用、鞄用、家具用、自動車内装用、産業用資材用などとして有用である。

Claims (8)

  1. ポリウレタン樹脂(U)、架橋剤(C)および水性媒体を含有し、下記(1)〜(5)を満たす繊維加工処理剤用ポリウレタン樹脂水性分散体。
    (1)ポリウレタン樹脂(U)を構成するポリイソシアネート成分が脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートから選ばれる1種以上である。
    (2)ポリウレタン樹脂(U)を構成するポリオール成分のうちの90重量%以上が融点が30℃以下のポリカーボネートジオールである。
    (3)ポリウレタン樹脂水性分散体の固形分のうちのジメチルホルムアミドへの溶解成分が、5,000〜100,000の数平均分子量を有する。
    (4)ポリウレタン樹脂水性分散体の固形分当たりの弱酸価が1〜15mgKOH/gである。
    (5)ポリウレタン樹脂水性分散体を120℃で120分間乾燥・加熱架橋して得られる厚さ0.2mmのフィルムの100℃における貯蔵弾性率が2〜10MPaである。
  2. 架橋剤(C)が、カルボジイミド基(c1)およびオキサゾリン基(c2)から選ばれる1種以上の基を1分子中に2個以上有する化合物である請求項1記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  3. ポリイソシアネート成分がイソホロンジイソシアネートである請求項1または2記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  4. さらに、多官能(メタ)アクリレートを含有してなる請求項1〜3のいずれか記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  5. 100℃以上の沸点を有する有機溶剤を含まないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載のポリウレタン樹脂水性分散体を含有してなる繊維加工処理剤。
  7. 顔料捺染用である請求項6記載の繊維加工処理剤。
  8. 請求項6記載の繊維加工処理剤を繊維基材に塗布または含浸した後、乾燥して得られる、樹脂加工された繊維基材。
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