JP2009235639A - 捺染方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 揮発性有機溶剤により可塑化させずに、水溶性アルキレンオキサイド付加物によって可塑化させることで、毒性が低く、経時での樹脂物性変化を起こさない捺染方法を提供する
【解決手段】 ポリウレタン樹脂(U)並びに下記の(i)及び(ii)を満たす水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)を含有してなるポリウレタン樹脂エマルション(E)を含む捺染用バインダーを用いる繊維の捺染方法であって、捺染工程中もしくは捺染工程後の水洗工程において該水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)のうちの90重量%以上を抽出除去することを特徴とする捺染方法、である。
(i)25℃において10g〜1,000g/100g水の水への溶解度を有する。
(ii)20℃において20Pa以下の蒸気圧を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維の捺染方法に関する。
従来、ポリウレタン樹脂エマルションを造膜させるためには水分または/および揮発性有機溶剤を乾燥除去するのみでは不十分であり、ウレタン樹脂自体が有する強度および伸度が得られない。この問題を解決するため、通常は溶融粘度を低下させることを目的として加熱処理を行うことことや、さらには揮発性有機溶剤を使用することで可塑化させる手法が用いられる。例えば特許文献−1ではN−メチル−2−ピロリドン(以後NMPと略す)を使用している。また、特許文献−2では造膜助剤として第3級アルコールが用いられており繊維処理剤として使用されている。
特表2004−504464号公報 特開2006−306943号公報
しかしながら、特許文献−1で使用されているNMPは毒性があり、問題となっている。また、特許文献−2で使用されている第3級アルコールは毒性が低いものの、経時で皮膜から脱落し段階的に樹脂物性が変化していく。さらに第3級アルコールは活性水素を有するため、原料中の有機ポリイソシアネートと幾分反応し、設計通りの樹脂物性が発現できないという不具合があった。
本発明者は、上記問題点を解決するため種々検討を重ねた結果、ウレタン樹脂を揮発性有機溶剤により可塑化させずに、水溶性アルキレンオキサイド付加物によって可塑化させることで毒性が低く、経時での樹脂物性が少ない捺染方法を見出し、その知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリウレタン樹脂(U)並びに下記の(i)及び(ii)を満たす水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)を含有してなるポリウレタン樹脂エマルション(E)を含む捺染用バインダーを用いる繊維の捺染方法であって、捺染工程中もしくは捺染工程後の水洗工程において該水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)のうちの90重量%以上を抽出除去することを特徴とする捺染方法;前記捺染方法により得られた繊維製品、である。
(i)25℃において10g〜1,000g/100g水の水への溶解度を有する。
(ii)20℃において、20Pa以下の蒸気圧を有する。
本発明の捺染方法によって作業環境が悪化する揮発性の溶剤を使用することなく造膜性を向上させ、簡便な水洗工程を実施するのみで皮膜の経時変化を抑えた皮膜が得られる。
以下において、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
本発明の捺染方法は、バインダーとして用いるポリウレタン樹脂エマルション(E)が特定の水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)を含有してなり、該水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)が捺染工程中もしくは捺染工程後の水洗工程において90重量%以上を抽出除去される捺染方法である。
前記(b)は、25℃において10g〜1,000g/100g水の水への溶解度、好ましくは50〜1000g/100g水の水への溶解度を有し、かつ、20℃において20Pa以下、好ましくは15Pa以下の蒸気圧を有することを特徴とする。
溶解度が10g/100g水未満であると可塑剤が十分に抽出できないために樹脂の強度が低下し、1,000g/100g水を超えると樹脂の耐水性が低下する。また、蒸気圧が20Paを超えると揮発性が高く、作業環境が悪化する。
前記(b)としては、活性水素原子含有化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4)が挙げられる。活性水素原子含有化合物としては、1〜6価の脂肪族アルコール、脂肪族モノ、ジもしくはトリアミン、アルキルフェノール及び多価アルコールの部分脂肪酸エステルなどが挙げられる。
1〜6価の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール等の1価のアルコールおよび、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、テトラグリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、ネオペンチルアルコール、ペンタエリスリト−ル、ジペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビト−ル、ショ糖及びブドウ糖等の多価アルコールが挙げられる。
脂肪族モノ、ジもしくはトリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。
アルキルフェノールとしてはO−ブチルフェノール、O−ヘキシルフェノール、O−ヘプチルフェノール、O−ノニルフェノール、O−デシルフェノール、O−ウンデシルフェノール、O−ドデシルフェノール、P−ブチルフェノール、P−ヘキシルフェノール、P−ヘプチルフェノール、P−オクチルフェノール、P−ノニルフェノール、P−デシルフェノール、P−ウンデシルフェノール、P−ドデシルフェノール、2,4−ジヘプチルフェノール、2,4−ジオクチルフェノール、2,4−ジノニルフェノール、2,4−ジデシルフェノール、2,4−ジウンデシルフェノール、2,4−ジドデシルフェノール、2,4,6−トリオクチルフェノール、2,4,6−トリノニルフェノール、1,3−ジヒドロキシ−5−オクチルベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−5−ノニルベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシ−5−オクチルベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシ−5−ノニルベンゼン等が挙げられる。
多価アルコールの部分脂肪酸エステルとしては、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジオレート及びショ糖モノステアレートが挙げられる。多価アルコールの部分脂肪酸エステルとしては、アルキレンオキシド付加物としても使用でき、エチレングリコールモノオレートEO10モル付加物、エチレングリコールモノステアレートEO20モル付加物、トリメチロールプロパンモノステアレートEO20モルPO10モルランダム付加物、ソルビタンモノラウレートEO10モル付加物、ソルビタンモノステアレートEO20モル付加物、ソルビタンジステアレートEO20モル付加物及びソルビタンジラウレートEO12モルPO24モルランダム付加物等が挙げられる。
ポリアルキレンオキサイド部分を構成するアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイドなどが挙げられる。アルキレンオキサイドのうち、水溶性を発揮しやすいという観点から、EOが好ましく、少量(好ましくは30モル%以下)のPOが共重合されていてもよい。共重合の場合の結合様式はランダムでも、ブロックでも、これらの併用でもよい。
活性水素原子含有化合物のアルキレンオキサイド付加物のうち、前記(i)及び(ii)の条件を満たすものの例としては、ポリエチレンオキサイド(b1)、脂肪族モノアルコールエチレンオキサイド付加物(b2)、脂肪族モノアミンのエチレンオキサイド付加物(b3)、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物(b4)、ポリプロピレンオキサイドのエチレンオキサイド付加物(b5)及び多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物(b6)のうち、以下のものが挙げられる。
ポリエチレンオキサイド(b1)としては、EOの付加モル数が3〜50であるアルキレンオキシド付加物があげられ、市販品としては「PEG−600」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度88g/100g水(25℃)、蒸気圧10Pa(20℃))、「PEG−1000」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度81g/100g水(25℃)、蒸気圧10Pa(20℃))、「PEG−2000」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度63g/100g水(25℃)、蒸気圧8Pa(20℃))、「PEG−4000N」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度52g/100g水(25℃)、蒸気圧7Pa(20℃))、「PEG−20000」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度30g/100g水(25℃)、蒸気圧7Pa(20℃))等が挙げられる。;
脂肪族モノアルコールエチレンオキサイド付加物(b2)としては、オレイルアルコールEO5〜40モル付加物、ラウリルアルコールEOラウリルアルコールEO5〜40モル付加物など]があげられ、市販品としては「ナロアクティーN−70」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度65g/100g水(25℃)、蒸気圧8Pa(20℃))、「ナロアクティーN−120」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度32g/100g水(25℃)、蒸気圧2Pa(20℃))、「ナロアクティーN−200」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度35g/100g水(25℃)、蒸気圧3Pa(20℃))、「エマルミンNL−70」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度75g/100g水(25℃)、蒸気圧15Pa(20℃))、「エマルミンNL−110」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度18g/100g水(25℃)、蒸気圧18Pa(20℃))等が挙げられる。;
脂肪族モノアミンのエチレンオキサイド付加物(b3)としては、アルキル(C8〜22)アミンEO付加物があげられ、市販品としては「イオネット LE−140(三洋化成工業(株)製:水への溶解度35g/100g水(25℃)、蒸気圧48Pa(20℃)等があげられる。;
アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物(b4)としては、オクチルフェノールEO3〜50付加物およびノニルフェノールEO3〜50モル付加物など]があげられ、市販品としては「ノニポール120」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度31g/100g水(25℃)、蒸気圧8Pa(20℃))、「ノニポール200」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度20g/100g水(25℃)、蒸気圧4Pa(20℃))、「ノニポール400」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度24g/100g水(25℃)、蒸気圧5Pa(20℃))等があげられる。;
ポリプロピレンオキサイドのエチレンオキサイド付加物(b5)としては、ポリプロピレングリコール(Mn=700)EO20〜30モル付加物など]が挙げられ、これらのEO付加物は少量(30モル%以下)のPOとのランダムまたはブロック付加物であってもよい。市販品としては「ニューポールGE−200」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度24g/100g水(25℃)、蒸気圧3Pa(20℃))、「ニューポールGE−600」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度31g/100g水(25℃)、蒸気圧8Pa(20℃))等があげられる。
多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物(b6)としては、多価アルコール部分にEOが5〜40モル付加した脂肪酸エステル(b2)であり、市販品としては「イオネット MS−400」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度29g/100g水(25℃)、蒸気圧8Pa(20℃))、「イオネット MS−1000」(三洋化成工業(株)製:水への溶解度35g/100g水(25℃)、蒸気圧3Pa(20℃))等が挙げられる。
(b)のうち好ましいのは脂肪族モノアルコールエチレンオキサイド付加物(b2)であり、水への溶解性および曇点の観点で特に好ましいのは「ナロアクティーN−120」(三洋化成工業(株)製)および「ナロアクティーN−200」(三洋化成工業(株)製)である。
(b)の曇点は通常0〜180℃であり、好ましいのは曇点が50〜180℃、さらに好ましいのは60〜180℃のものである。(b)の曇点が0℃未満では、取扱が困難であり180℃を越えるとアルキレンオキサイドの熱分解物が副生するため乳化不良を起こすという不具合が発生する。
曇点は(b)の2%水溶液を撹拌下に昇温し、白濁する温度を読みとることによって測定できる。100℃を超える曇点をもつ活性剤はヤマト科学(株)製「サーモシステム FP−900」等により測定できる。
水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)をポリウレタン樹脂エマルション(E)に含有させる方法としては、ポリウレタン樹脂(U)を水性媒体を用いて分散体とする際に乳化剤として用いる方法と、分散した後にエマルション(E)へ添加する方法が挙げられるがいずれであってもよい。
水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)の添加量は、ポリウレタン樹脂(U)に対して2〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは3〜8重量%である。2重量%以上であれば十分な造膜性が得られ易く、10%以下であれば除去が容易であり、繊維製品に(b)が多量に残存することはない。
本発明におけるポリウレタン樹脂エマルション(E)としては、従来から公知の方法で製造されるものであるが、(b)を乳化剤として使用する、得られた(E)に(b)を添加する、又は
これらの併用のいずれかの操作を加えたものである。例えば、以下のようにして本発明におけるポリウレタン樹脂エマルションが得られる。
本発明で使用されるポリウレタン樹脂エマルション(E)は、末端の少なくとも一部がイソシアネート基であるウレタンプレポリマー(u)[以下において、単に(u)と表記する場合がある]から得られるポリウレタン樹脂(U)[以下において、単に(U)と表記する場合がある]、添加剤および水性媒体からなるポリウレタン樹脂エマルション(E)[以下において、単に(E)と表記する場合がある]である。
ポリウレタン樹脂(U)は、ポリイソシアネート成分(a1)、ポリオール成分(a2)、およびその他の成分(a3)とから構成される[これらのそれぞれの成分は、以下において、単に(a1)、(a2)および(a3)と表記する場合がある]。
該ポリウレタン樹脂(U)を構成するポリイソシアネート成分(a1)は脂肪族および脂環式ポリイソシアネートから選ばれる1種以上である。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4‘−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)シクロヘキシレンジイソシアネートなどが挙げられる。脂肪族または脂環族ポリイソシアネートであれば、仕上げ加工した繊維基材が変色しない点、および風合いの点で優れている。これらのうちで好ましいものは仕上げ加工した繊維基材の風合い、耐久性の点で脂環族ポリイソシアネート、特に好ましいのは水添MDIおよびIPDIである。
ポリオール成分(a2)としては、数平均分子量400〜5,000の高分子ポリオール
(a21)、(U)を親水性にして乳化させやすくするための親水基含有低分子ポリオール(a22)、および数平均分子量400未満の低分子ポリオール(a23)が挙げられる。
高分子ポリオール(a21)としては、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオールおよびポリエーテルジオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートとしては、炭素数4〜10の直鎖状アルキレン基を有するポリカーボネートジオール(例えば、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ノナンジオールのポリカーボネートジオールなど)、および炭素数4〜10の分岐状アルキレン基を有するポリカーボネートジオール(例えば、2−メチルブタンジオールのポリカーボネートジオール、2−エタンブタンジオールのポリカーボネートジオール、ネオペンチルグリコールのポリカーボネートジオール、2−メチルペンタンジオールのポリカーボネートジオール、3−メチルペンタンジオールのポリカーボネートジオールなど)、およびジオール成分として2種以上のジオールを用いて得られる共重合ポリカーボネートジオールが挙げられる。
共重合ポリカーボネートジオールとしては、例えば1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオールや1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオールの共重合ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
ポリエステルジオールとしては、通常の方法すなわちジオール成分(前述と同様のもの)とジカルボン酸成分{脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など)などの単独または2種以上の混合物など}とを反応(縮合)させることによる方法、あるいは、ラクトン(ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどの単独または2種以上の混合物など)を開環重合させることによる方法で得られるものなどが挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
高分子ポリオール(a21)のうち、好ましいのは耐加水分解性、耐溶剤性の両立の観点からポリカーボネートジオール、特に好ましいのは柔軟性の観点で共重合ポリカーボネートジオール、特に1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオールの共重合ポリカーボネートジオールである。
(U)を親水性にして乳化させやすくするための親水基含有低分子ポリオール(a22)としては、例えばカルボキシル基含有ジオール(2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸、酒石酸など)、等が挙げられる。
これらのうちで好ましいものは2,2−ジメチロール酸および2,2−ジメチロールブタン酸である。
Mn400未満の低分子ポリオール(a23)としては、炭素数2〜15の多価アルコール類[2価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールなど);3価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなど);これらの多価アルコールのアルキレンオキシド(EOおよび/またはPO)低モル付加物(Mn400未満)など]が挙げられる。
本発明における(U)は、(a1)および(a2)の他に、その他の成分(a3)から構成されていてもよい。その他の成分(a3)としては、ジイソシアネート成分(a1)と反応しうる、水酸基以外の官能基(例えば、1級アミン、2級アミノ基またはチオール基など)を有する化合物が挙げられる。
(a3)としては、ウレタンプレポリマー(u)の製造時に高分子ポリオール(a21)と共に使用される鎖伸長剤(a31)および停止剤(a32)などが挙げられる。
鎖伸長剤(a31)としては、炭素数2〜10のジアミン類(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン、ピペラジンなど)および炭素数2〜10のアミノアルコール類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、トリエタノールアミンなど)が挙げられる。
鎖停止剤(a32)としては、炭素数1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ類、カルビトール類など)、炭素数1〜10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、モノオクチルアミンなどのモノもしくはジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどのモノもしくはジアルカノールアミンなど)などが挙げられる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、前述の親水基含有低分子ポリオール(a22)を使用する場合は、それらの親水基(カルボキシル基など)を中和する塩基性化合物を含有してもよい。
塩基性化合物としては、アミン類[アンモニア、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルアミンなど)、アルカノールアミン(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノエチルプロパノールなど)、脂環式アミン(モルホリンなど)など]およびアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウムなど)水酸化物などが挙げられる。これらの中で好ましいのは、得られる捺染された繊維製品の耐洗濯性の面からアミン類であり、特に好ましいものはトリエチルアミンである。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)を製造する方法としては、例えば、(a1)と(a2)、および必要により(a3)、さらには必要により有機溶剤を仕込み、一段または多段でウレタンプレポリマー(u)を形成し、次いで該プレポリマーに塩基性化合物を加え親水化した後、あるいは親水化しながら、必要により有機溶剤、乳化剤、鎖伸長剤(a31)および/または鎖停止剤(a32)を含む水性媒体と通常10℃〜60℃、好ましくは20℃〜50℃で混合・分散して水性分散体となし、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応[水または(a31)による鎖伸長、および必要により(a32)による鎖停止]し、必要により有機溶剤を留去することにより製造することができる。
(a31)による鎖伸長および必要により(a32)による鎖停止を行う場合には、ウレタンプレポリマー(u)を水性媒体中に分散させた後に、(a31)および必要により(a32)を加えてウレタンプレポリマー(u)と反応させるのが好ましい。
また、有機溶剤の存在下に(a1)と(a2)、および(a3)を反応させてプレポリマー溶液を形成し、鎖伸長剤(a31)並びに必要により鎖伸長剤(a31)と鎖停止剤(a32)を一段で反応させることにより、有機溶剤溶液を形成し、その後、水性媒体中に分散させ、必要により有機溶剤を留去することにより、ポリウレタン樹脂水性分散体(E)を形成することもできる。この場合も、塩基性化合物の添加による親水化は水性分散体の形成前に行っても形成の段階で行っても形成後に行ってもよい。
ウレタンプレポリマー(u)は、(a1)と(a2)、および必要により(a3)を、イソシアネート基/活性水素含有基(カルボキシル基を除く)の当量比が通常1.01〜3.0、好ましくは1.1〜2.0となる割合で、反応させることにより形成される。ウレタンプレポリマー(u)の形成は、通常20〜150℃、好ましくは60〜110℃の反応で行われ、反応時間は通常2〜20時間である。ウレタンプレポリマー(u)の形成は、イソシアネート基と実質的に非反応性の有機溶剤の存在下または非存在下で行うことができる。ウレタンプレポリマー(u)は通常0.5〜5.0%の遊離イソシアネート基含量を有する。
上記の反応の際に用いる有機溶剤は、イソシアネート基と実質的に非反応性のもの、例えば、エチルメチルケトン、アセトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリル、テトラヒドロフラン類などが挙げられる。これらのうちで好ましいのは、沸点が低く反応後に除去しやすいという観点からアセトンである。
上記ウレタン化反応においては反応を促進させるため、必要により通常のウレタン化反応に使用される触媒を使用してもよい。触媒には、金属触媒およびアミン触媒などが挙げられる。
金属触媒としては、有機錫触媒(たとえばジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートおよびオクチル酸錫);有機チタン触媒(たとえばテトラブチルチタネート);有機ビスマス触媒(たとえばトリオクチル酸ビスマス)などが挙げられる。
アミン触媒としては、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンおよび米国特許第4524104号明細書に記載のシクロアミジン類[1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(サンアプロ(株)製造、DBU)など]が挙げられる。
これらのうちで好ましいのは、人体と環境に対して安全であり触媒効率が高いという観点から、特に有機ビスマス触媒が好ましい。
ポリウレタン樹脂エマルジョン(E)を製造する方法としては、有機溶剤の存在下または非存在下でウレタンプレポリマー(u)を形成し、ウレタンプレポリマー(u)および/または水性媒体に乳化剤を加え、さらに必要に応じて該ウレタンプレポリマー(u)に塩基性化合物を加え親水化した後、あるいは親水化しながら水性媒体と混合して水性分散体とし、反応[鎖伸長、および必要により鎖停止]を行った後、必要により有機溶剤を留去する方法などが挙げられる。
(U)に対する乳化剤の重量比は、ウレタンプレポリマー(u)の重量に基づいて、通常1〜10%、好ましくは2〜3%である。
乳化剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性の界面活性剤、高分子型乳化分散剤、およびこれらの2種以上の併用が含まれ、例えば米国特許第3929678号および米国特許第4331447号明細書に記載のものが挙げられる。これらの乳化剤のうちで好ましいものは、ノニオン性界面活性剤および高分子型乳化分散剤である。
得られたウレタン樹脂エマルションに水溶性可塑剤(b)をウレタンプレポリマー(u)に対して2〜10重量%加えることでウレタン樹脂エマルション(E)とする。
本発明における水溶性可塑剤(b)〔以下、(b)と略記することがある。〕は25℃において10g〜1,000g/100g水の水への溶解度を有し、20℃において0〜20Paの蒸気圧を有するものであれば問題なく使用できる。
(b)としては、ポリエチレンオキサイド(b1)、脂肪族モノアルコールエチレンオキサイド付加物(b2)、脂肪族モノアミンのエチレンオキサイド付加物(b3)、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物(b4)、ポリプロピレンオキサイドのエチレンオキサイド付加物(b5)及び多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物(b6)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である。
本発明におけるポリウレタン樹脂エマルション(E)には、通常柔軟撥水材(d)を添加して捺染工程に使用される。
柔軟撥水材(d)としてはポリシロキサン、変性シリコーンオイルおよび、アクリル酸のフロロアルキルエステル系重合体(例えば1,1−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレートポリマー、パーフルオロアルキルエチルアクリレート−アルキルアクリレート共重合体等)等を挙げることができる。
好ましいのは(d1)、ポリシロキサン、特にジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンおよびこれらの併用である。
エマルション型の(d)の市販品には、「SM8706」[東レダウコーニング(株)製、有効成分35%]、「KM797」[信越化学工業(株)製、有効成分38%]、および「ディックガードF−90N」[大日本インキ化学工業(株)製、有効成分20%]などが挙げられる。
水溶性可塑剤(b)の添加方法としては、水性媒体を用いて分散体とする際に乳化剤として用いる方法と、分散した後にエマルション(E)へ水溶液として添加する方法とに分けられるが、とくに本発明において限定はしない。
水溶性可塑剤(b)の添加量は2%以下では十分な造膜性が得られず、10%以上では繊維製品の水溶性可塑剤が90重量%以上の除去が困難であるという不具合が生じる。また、水溶性可塑剤(b)の添加方法としては乳化剤として乳化剤乳化型の(U)を得る方法や、(U)の水性分散体に(b)を添加する方法とがあるが、特に限定はしない。
ウレタンプレポリマー(u)およびウレタンプレポリマー(u)の溶剤溶液を水性媒体に乳化分散させる装置は特に限定されず、例えば下記の方式の乳化機が挙げられる:1)錨型撹拌方式、2)回転子−固定子式方式[例えば「エバラマイルダー」(荏原製作所(株))]、3)ラインミル方式[例えばラインフローミキサー]、4)静止管混合式[例えばスタティックミキサー]、5)振動式[例えば「VIBRO MIXER」(冷化工業社(株))]、6)超音波振動式[例えば超音波ホモジナイザー]、7)高圧衝撃式[例えばガウリンホモジナイザー(ガウリン(株))]、8)膜乳化式[例えば膜乳化モジュール]、および9)遠心薄膜接触式[例えばフィルミックス]。これらのうち、好ましいのは、5)、8)および9)である。
本発明において架橋剤(C)を該ポリウレタン樹脂水性分散体に含有して用いることもでき、(C)は、ポリウレタン骨格中のカルボキシル基と反応しうる官能基を分子内に2個以上含有する水溶性または水分散性の化合物である。カルボキシル基と反応しうる官能基としては、カルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基、シクロカーボネート基、アジリジン基などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、架橋性能、ポリウレタン樹脂水性分散体の貯蔵安定性、安定性の観点でカルボジイミド基(c1)および/またはオキサゾリン基(c2)が好ましい。
本発明におけるポリウレタン樹脂エマルション(E)は、必要により酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、などを含有してもよい。これらの使用量の合計は経日安定性に優れる皮膜を得る点で(U)100重量部当たり、0〜5重量部、とくに0.1〜2重量部が好ましい。
酸化防止剤としては、ピペリジン系酸化防止剤および/またはフェノール系酸化防止剤を使用できる。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体(E)の固形分含有量は、好ましくは20〜70%、さらに好ましくは30〜60%である。なお、固形分以外は水性媒体であり、水性媒体としては、水および親水性有機溶媒が挙げられる。親水性有機溶媒としては、前記ウレタンプレポリマー(u)の製造工程で使用されたアセトンなどのケトン類、エステル類などが挙げられる。
本発明に使用する顔料捺染用糊は、上記ポリウレタン樹脂水性分散体並びに顔料および/または染料を含有してなる。
顔料としては、無機顔料および有機顔料を用いた水性顔料などがあげられる。無機顔料としては、白色顔料、体質顔料、黒色顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料などが挙げられ、具体的には「顔料および絵具」[昭和47年6月10日、共立出版(株)発行]第76〜147項記載の顔料などがあげられる。有機顔料としては、体質顔料(アルミナ白、クレー等)、沈殿剤(占領を水に不溶の金属塩類に変えたもの)、天然有機顔料(コチニール・レーキ、マダー・レーキ等)、合成有機顔料(ニトロソ顔料、ニトロ顔料、アゾ顔料等)などがあげられる。具体的には同出版物第150〜186項記載の顔料などがあげられる。顔料捺染用糊中の顔料および/または染料の合計含有量は、顔料捺染用糊中の水および有機溶剤以外の成分の重量にもとづいて、好ましくは10〜20%、さらに好ましくは12〜18%である。
本発明に使用する顔料捺染用糊は、さらに、他の合成樹脂分散体、粘弾性調整剤、レベリング剤、湿潤剤、消泡剤、充填剤、難燃剤、防腐剤、劣化防止剤および安定剤、架橋剤、無機塩および可塑剤からなる群から選ばれる1種以上の添加剤を含有していてもよい。
他の合成樹脂としては、アクリル樹脂、NBR、SBR、EVA、ポリオレフィン樹脂、PVA等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
粘弾性調整剤としては、増粘剤、たとえば無機系粘度調整剤(ケイ酸ソーダやベントナイトなど)、セルロース系粘度調整剤(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなど、Mnは通常20,000以上)、タンパク質系(カゼイン、カゼインソーダ、カゼインアンモニウムなど)、アクリル系(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウムなど、Mnは通常20,000以上)、およびビニル系(ポリビニルアルコールなど、Mnは通常20,000以上)が含まれる。アクリル系、ビニル系が好ましい。
湿潤剤としては、多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)などが挙げられる。消泡剤としては、長鎖アルコール(オクチルアルコールなど)、ソルビタン誘導体(ソルビタンモノオレートなど)、シリコーンオイル(ポリメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、弗素変性シリコーンなど)などが挙げられる。充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、タルク、セラミックス、樹脂等の微粒子、中空ビーズ等が挙げられる。難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、アンチモン系、メラミン系、グアニジン系、グアニル尿素系のものが挙げられる。
防腐剤としては、有機窒素硫黄化合物系、有機硫黄ハロゲン化合物系防腐剤などが挙げられる。劣化防止剤および安定化剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤など)には、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などが挙げられる。
架橋剤としては、前述の架橋剤(C)以外の、エポキシ系、ブロックイソシアネート系、メラミン系、エチレンイミン系、アジリジン系、アルコキシシラン系のもの等が挙げられる。
繊維撥水剤としては、ポリシロキサン、変性シリコーンオイル等のシリコーン化合物、アクリル酸のフロロアルキルエステル系重合体などのフッ素化合物などが挙げられる。
無機塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。可塑剤としてはエチレングリコール、N−メチルピロリドン、ジオクチルフタレートなどの低分子化合物、脂肪族直鎖状ポリエステルなどのエステル基含有高分子、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステルなどのエーテル基含有高分子などが挙げられる。
顔料捺染用糊中の、他の合成樹脂の含有量は、顔料捺染用糊中の水および有機溶剤以外の成分の重量にもとづいて、好ましくは0〜40%、さらに好ましくは0〜20%である。
顔料捺染用糊中の、その他の添加剤(他の合成樹脂以外)の含有量は、顔料捺染用糊中の水および有機溶剤以外の成分の重量にもとづいて、好ましくは40〜80%、さらに好ましくは45〜75%である。
本発明に使用する顔料捺染用糊が使用される繊維基体としては特に限定されるものではないが、例えば木綿、ウールなどに代表される天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等の素材に代表されるような合成繊維が挙げられる。
本発明に使用する顔料捺染用糊を繊維基体に付与する方法としては、特に限定されるものではないが,例えば浸せき塗工、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、ハイドロバーコーター、トランスファロールコーター、リバースコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレコーター、ロールコーター、スクリーンコーターなどが挙げられ、基体の一部、もしくは全面に塗工することができる。塗工された後の乾燥条件は、室温、もしくは25〜160℃の温度で5分〜1日間である。
本発明に使用する顔料捺染糊を捺染した繊維基体の水洗を行う方法としては、捺染した繊維基体を染色試験機(試験機名:ウインス染色機、メーカー:(株)テクサム技研製)を用いて2時間、20〜40℃の水を用いてすすぎ洗いを実施した後、120℃、30分乾燥することにより、本発明の捺染方法で得られる水溶性可塑剤(b)が除去された繊維製品を得ることができる。
本発明の捺染方法を用いることで、作業環境が悪化する揮発性の溶剤を使用せずとも造膜性を向上させ、経時的に摩擦、揉みなどの機械物性の変化が発生しない繊維製品を得ることができる。
以下、製造例、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、「部」は重量部を示す。
<ポリウレタン樹脂エマルションの製造>
製造例1
温度計および攪拌機を備えた密閉反応槽にMn2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(日本ポリウレタン工業(株)製「ニッポラン980R」、融点40℃)530部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPAと略記)12.5部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(「イルガノックス245」日本チバガイギー(株)製)1.4部、有機錫系触媒(三共有機合成(株)社製、「STANN BL」)0.1部、4,4‘−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)153部、アセトン300部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下92〜98℃で10時間反応させ末端イソシアネート基ウレタンプレポリマーを得た。得られた該溶液を50℃以下に冷却してアセトン41部、紫外線吸収剤(「チヌビン144」チバガイギー(株)製)0.52部、トリエチルアミン1.6部を加えた。水100部を該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、希釈水157部を添加した。反応させた後、減圧下でアセトンを留去し、可塑剤である「ナロアクティーN−120」[三洋化成工業(株)製、曇点77℃]の20%水溶液を175部添加した後、固形分40%に調整することで本発明に使用する顔料捺染用バインダーであるポリウレタン樹脂水性分散体−1を得た。
柔軟撥水剤はどれ?⇒記載している製造例および製造比較例では添加していません
皮膜の可塑剤除去率、皮膜の経時変化および耐溶剤性の測定結果を表1に示す。測定方法は下記に示す。以下の実施例および比較例についても、これらの測定値を表1または表2に示す。
製造例2
「ナロアクティーN−200」の20%水溶液を175部用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体−2を得た。
製造例3
「PTMG 2000、三菱化学(株)製」を532部用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体−3を得た。
製造例4
「PCDL T4672、旭化成ケミカルズ(株)製」を532部、「PEG−600、三洋化成工業(株)製を水溶性可塑剤として175部用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体−4を得た。
製造例5
「PCDL T4672」を532部用い、「ナロアクティーN−120」の20%水溶液175部を乳化時に用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体−5を得た。
製造例6
「ナロアクティーN−120」の20%水溶液350部を乳化時に用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体−6を得た。
比較製造例1
「PCDL T4672」を532部用い、「ナロアクティーN−120」の20%水溶液525部を乳化時に用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体−1Xを得た。
比較製造例2
「ナロアクティーN−200」の20%水溶液を175部用いる代わりに可塑剤を使用しないこと以外は実施例2と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体−2Xを得た。
比較製造例3
「ナロアクティーN−200」の20%水溶液を175部用いるかわりに「NMP」を35部用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体−3Xを得た。
比較製造例4
「NMP」のかわりに「フタル酸ブチルベンジル」を35部用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体−4Xを得た。
比較製造例5
「ナロアクティーN−200」の20%水溶液を175部用いる代わりに「EB−200、三洋化成工業(株)社製」を35部用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体−5Xを得た。
<皮膜の可塑剤除去率の測定方法>
ポリウレタン樹脂水性分散体を、乾燥後の厚さが200μmになるようにフッ素樹脂製の容器にキャストし、105℃で3時間かけて循風乾燥機で乾燥後、正方形(4cm×4cm×0.2mm)に切り取ったものを試験片として使用した。試験片を秤量した後、40℃の水浴に浸し、3枚羽根を供えた攪拌装置で2時間攪拌した。攪拌後、皮膜を120℃で30分乾燥後の重量を秤量し、可塑剤除去率を次式で計算した。
(皮膜の可塑剤除去率)=(浸漬前の重量−浸漬後の重量)/可塑剤の使用量(%)
<皮膜の経時変化の測定方法>
ポリウレタン樹脂の試験片は、ポリウレタン樹脂水性分散体を、乾燥後の厚さが200μmになるようにフッ素樹脂製の容器にキャストし、105℃で3時間かけて循風乾燥機で乾燥後、40℃の水浴に浸し、3枚羽根を供えた攪拌装置で2時間攪拌した。攪拌後、皮膜を120℃で30分乾燥した後、2分割した。
2分割した一方を、JIS K7311に記載の5.引張試験を行い、100%応力を測定する(Mo(MPa)とする)。また、他方を60℃で24時間静置後に上記の方法で引張試験を行い、100%応力を測定した(Mo’(MPa)とする)。その測定結果から、次式で皮膜の経時変化を算出した。
(皮膜の経時変化)=(Mo’−Mo)/Mo(%)
<皮膜の耐溶剤性[変化率]の測定方法>
試験片は、ポリウレタン樹脂水性分散体を、乾燥後の厚さが200μmになるようにフッ素樹脂製の容器にキャストし、140℃で5分かけて循風乾燥機で乾燥後、正方形(4cm×4cm×0.2mm)に切り取ったものを試験片として使用した。
試験液としてはテトラクロルエチレン(慣用名はパークレン)を使用した。試験片は、25℃×5時間浸漬した。試験片の浸漬前後の2辺の長さを測定して平均値を求め、次式で変化率を求めた。
変化率(%)=[(浸漬後の長さ−浸漬前の長さ)÷浸漬前の長さ]×100
変化率が小さいほど耐溶剤性が良好である。
<実施例>
製造例1〜6、比較製造例1〜5のポリウレタン樹脂水性分散体を用いて以下のように顔料捺染糊を作製した。
それぞれのポリウレタン樹脂水性分散体100部に粘弾性調整剤(「SNシックナー618」サンノプコ(株)製)8.9部、シリコン系消泡剤(「SNデフォーマー777」サンノプコ(株)製)0.9部、水35部、酸化チタン44.6部、および顔料(「NL レッド FR3R−D」山宋実業(株)社製)18.9部を混合して、顔料捺染糊を得た。
これらの顔料捺染糊を綿金巾の型の上に2cm×10cmで膜厚が0.2mmとなるようにバーコーターを用いて塗布した。これを140℃テンターで5分乾燥することにより顔料捺染された繊維基体を得た。続いて、顔料捺染糊を塗工した繊維基体を20〜50℃の水浴に2時間浸漬させた後、水で軽くすすぎ洗いを実施し繊維製品を得る。
<顔料捺染された繊維製品の造膜性評価>
顔料捺染された繊維製品について、以下の評価方法で、造膜性を評価した。最も良いものを5点として5段階で評価した。結果を表1、表2に示す。
顔料捺染された繊維製品の捺染部分を切り取り、その捺染部分に対して塗工されていない綿金巾を用いて学振試験を100回実施し、摩擦後の塗工されていない布の着色を評価
[造膜性評価]
5点:色写りがまったくなく、捺染部分の剥れがない。
4点:色写りしているが薄く、捺染部分の剥れがない。
3点:色写りが濃く、捺染部分の剥れがない。
2点:色写りが捺染部分と同等で、捺染部分の剥れが生じない。
1点:色写りが捺染部分と同等で、捺染部分の剥れが生じている。
本発明の捺染方法は特に顔料捺染用繊維製品を製造する際には有用である。また、ウールの防縮剤、ピリング防止剤、面ファスナー用バインダー、不織布バインダー、その他繊維用補強剤、風合い調整剤をなどを使用した繊維製品の製造方法としても使用可能である。
また、本発明で樹脂加工された繊維製品は、衣料用、靴用、鞄用、家具用、自動車内装用、産業用資材用などとして有用である。

Claims (7)

  1. ポリウレタン樹脂(U)並びに下記の(i)及び(ii)を満たす水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)を含有してなるポリウレタン樹脂エマルション(E)を含む捺染用バインダーを用いる繊維の捺染方法であって、捺染工程中もしくは捺染工程後の水洗工程において該水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)のうちの90重量%以上を抽出除去することを特徴とする捺染方法。
    (i)25℃において10g〜1,000g/100g水の水への溶解度を有する。
    (ii)20℃において20Pa以下の蒸気圧を有する。
  2. 前記水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)が、活性水素原子含有化合物への炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物である請求項1記載の捺染方法。
  3. 前記水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)が、ポリエチレンオキサイド(b1)、脂肪族モノアルコールエチレンオキサイド付加物(b2)、脂肪族モノアミンのエチレンオキサイド付加物(b3)、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物(b4)、ポリプロピレンオキサイドのエチレンオキサイド付加物(b5)及び多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物(b6)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の捺染方法。
  4. 前記水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)が、pH14において0〜180℃の曇点を有するアルキレンオキサイド付加物である請求項1〜3のいずれか記載の捺染方法。
  5. 前記水溶性アルキレンオキサイド付加物(b)の含有量が、前記ポリウレタン樹脂(U)の重量に対して2〜10重量%である請求項1〜4のいずれか記載の捺染方法。
  6. ポリウレタン樹脂エマルション(E)が、シリコーンおよびフッ素原子含有有機化合物から選ばれる1種以上の柔軟撥水剤(d)を含有してなる請求項1〜5のいずれか記載の捺染方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載の捺染方法により得られた繊維製品。
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