JP2005330461A - 孔版印刷用エマルションインキ - Google Patents

孔版印刷用エマルションインキ Download PDF

Info

Publication number
JP2005330461A
JP2005330461A JP2004322932A JP2004322932A JP2005330461A JP 2005330461 A JP2005330461 A JP 2005330461A JP 2004322932 A JP2004322932 A JP 2004322932A JP 2004322932 A JP2004322932 A JP 2004322932A JP 2005330461 A JP2005330461 A JP 2005330461A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
mass
ink
printing
aqueous phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Revoked
Application number
JP2004322932A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Ono
浩二 小野
Minoru Koizumi
実 小泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku Ricoh Co Ltd filed Critical Tohoku Ricoh Co Ltd
Priority to JP2004322932A priority Critical patent/JP2005330461A/ja
Publication of JP2005330461A publication Critical patent/JP2005330461A/ja
Revoked legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】 放置後の目詰まりや印刷における画像立ち上がりの遅延の不具合がなく、両面印刷時のフィードローラー汚れを大幅に改善することができる孔版印刷用エマルションインキの提供。
【解決手段】 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中に着色剤としての顔料を含有し、かつ該水相中にK値が30以下であるポリビニルピロリドンを前記水相の総質量に対し固形分で1.0〜6.0質量%含有することを特徴とする孔版印刷用エマルションインキである。該顔料がフタロシアニン系顔料である態様、前記水相中にグリセリンを含有する態様、前記水相中に硫酸マグネシウムを含有する態様、などが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、放置後の目詰まりや印刷における画像立ち上がりの遅延の不具合がなく、両面印刷時のフィードローラー汚れを大幅に改善することができる油中水型(W/O型)の孔版印刷用エマルションインキに関する。
従来より、孔版印刷方法は、穿孔部を有する孔版印刷原紙(孔版)を用い、この孔版の穿孔部を介して孔版の一方の側より他方の側にインキを移動させることにより、紙などの被印刷物面に印刷を行う方法である。この孔版印刷方法には、揮発性溶剤、不揮発性溶剤、樹脂、着色剤、界面活性剤、水、凍結防止剤、電解質、ゲル化剤及び防腐剤などを含有する油中水型(W/O型)のエマルションインキが用いられている(例えば、特許文献1及び2参照)。
ところで、孔版印刷機による両面印刷においては、所謂フィードローラー汚れが発生するという問題がある。このフィードローラー汚れは、両面印刷時において、1回目印刷(用紙表面への印刷)における画像上のインキが印刷機の用紙フィードローラーに転移し、2回目印刷(用紙裏面への印刷)の際に、この2回目印刷が進むにつれてフィードローラーから逆に1回目印刷のインキが画像上に転移して画像を汚濁してしまう現象である。この場合、孔版印刷機では、インキの乾燥はインキの紙への浸透に頼っており、他の印刷システムに比べて、乾燥するのが遅く、しかも画像上のインキ皮膜が弱いことからフィードローラー汚れの問題は深刻である。
また、近年、環境保全の観点から使用紙数を減らす目的から両面印刷の必要性が増してきており、孔版印刷機に対しても、ますますフィードローラー汚れの改善が強く求められている。
しかしながら、前記フィードローラー汚れの改善には、顔料の分散性を向上させることによる顔料の紙への浸透速度のアップやワニスなどの添加による顔料の紙への固着性の向上を図ることなどが試みられているが、十分な改善効果は得られていない。
したがって、放置後の目詰まりや印刷における画像立ち上がりの遅延の不具合がなく、両面印刷時のフィードローラー汚れを大幅に改善することができる孔版印刷用エマルションインキは未だ得られておらず、その速やかな開発が望まれているのが現状である。
特開平5−117565号公報 特開平5−117564号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、放置後の目詰まりや印刷における画像立ち上がりの遅延の不具合がなく、両面印刷時のフィードローラー汚れを大幅に改善し、高温保存時のインキ安定性を向上させることができる孔版印刷用エマルションインキを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%によって構成される孔版印刷用エマルションインキにおいて、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中に着色剤としての顔料を含有し、かつ該水相中にK値が30以下であるポリビニルピロリドンを前記水相の総質量に対し固形分で1.0〜6.0質量%含有することにより、放置後の目詰まりや印刷における画像立ち上がりの遅延がなく、両面印刷時のフィードローラー汚れを大幅に改善することができるという知見である。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中に着色剤としての顔料を含有し、かつ該水相中にK値が30以下であるポリビニルピロリドンを前記水相の総質量に対し固形分で1.0〜6.0質量%含有することを特徴とする孔版印刷用エマルションインキである。該<1>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、フィードローラー汚れの改善には、着色剤としての顔料は表面張力が低く、紙への浸透が早い油相側に存在することが有利である。また、エマルションインキの水相中にポリビニルピロリドンを添加することで該ポリビニルピロリドンの造膜性能によって画像を形成するインキ皮膜を強靭にすることができ、フィードローラー汚れの発生を防止することができる。また、ポリビニルピロリドンの添加量を前記水相の総質量に対し固形分で1.0〜6.0質量%とすることにより、エマルションインキをドラム内で放置した際のスクリーン又は版胴上でのポリビニルピロリドンの固化による目詰まりが発生することがなく、良好な印刷が行える。
<2> 油相中に着色剤として顔料を含有し、該顔料がフタロシアニン系顔料である前記<1>に記載の孔版印刷用エマルションインキである。該<2>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、フタロシアニン系顔料を用いた場合に、ポリビニルピロリドンの添加によりフィードローラー汚れの防止効果が大きいという利点がある。すなわち、孔版印刷機での両面印刷において着色剤としてフタロシアニン系顔料を用いると、該フタロシアニン顔料粒子は板状であり、エマルションインキ中での青インキ又は緑インキにおいて顔料分散性が他色と比較して悪く、紙への浸透性が悪く、画像上の紙表面に残渣が残ってしまいフィードローラー汚れが他の顔料に比べて顕著であるが、ポリビニルピロリドンの添加により、これらの問題が解消され、フィードローラー汚れの高い防止効果が得られる。
<3> 水相中にグリセリンを含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。該<3>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、上述したようにポリビニルピロリドンの添加量を目詰まり防止の観点から最適化しても放置後の印刷画像の立ち上がりが遅くなってしまうことがある。水相中にグリセリンを添加することによって該グリセリンの優れた保湿能が発揮され、印刷立ち上がりの遅延が改善される。
<4> 水相中に硫酸マグネシウムを含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。該<4>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、水相中に硫酸マグネシウムを添加することによって、高温保存した際にインキが油分離又は水分離するのを防止することができ、インクの安定性が向上して、インキの収納容器からキャップをはずした際に、誤ってインクが垂れることがなく、床や絨毯の汚染などの不具合が良好に防止される。
本発明によれば、従来における問題を解決することができ、放置後の目詰まりや印刷における画像立ち上がりの遅延がなく、両面印刷時のフィードローラー汚れを大幅に改善し、高温保存時のインキ安定性を向上させることができる孔版印刷用エマルションインキを提供することができる。
本発明の孔版印刷用エマルションインキは、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中に着色剤としての顔料を含有し、かつ該水相中にK値が30以下のポリビニルピロリドンを前記水相の総質量に対し固形分で1.0〜6.0質量%含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
この場合、前記孔版印刷用エマルションインキとしては、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含むのが好ましく、油相20〜40質量%及び水相60〜80質量%を含むのがより好ましい。
前記油相の混合割合が、10質量%未満であると、インキ安定性が悪く、特に水分離が発生し易くなることがあり、90質量%を超えると、インキ安定性が悪く、特に油分離が発生し易くなることがある。
<水相>
−ポリビニルピロリドン−
前記ポリビニルピロリドン(PVP)としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリビニルピロリドンの市販品としては、例えば、BASF社製のルビテックK17、ルビテックK30、アイエスピー・ジャパン社製のPVPシリーズ、などが挙げられる。
前記ポリビニルピロリドン(PVP)としては、例えば、下記構造式(1)で表されるものが好適に挙げられる。
Figure 2005330461
ただし、前記構造式(1)中、nは重合度を表す。
前記ポリビニルピロリドンのK値としては、30以下が好ましく、15〜30がより好ましい。ここで、K値とは、ポリビニルピロリドンの平均分子量、重合度、固有粘度の目安となる数値であり、K値が、15未満であると、フィードローラー汚れに対する効果が弱くなってしまうことがあり、30を超えると、水相の粘度が高くなりすぎ、インキ粘度が高くなってインキパックからのインキの吸引や印刷時の紙への浸透を阻害してしまうことがある。
前記K値は、ポリビニルピロリドン粘度の測定値から導き出すことができ、下記数式1のFikentscherの公式に基づき算出することができる。
<数式1>
Figure 2005330461
ただし、前記数式1中、cは、g/100ml溶液における濃度を表す。ηrelは、溶媒と比較した溶液の粘度を表す。
前記ポリビニルピロリドンの孔版印刷用エマルションインキにおける含有量としては、前記水相の総質量に対し固形分で1.0〜6.0質量%が好ましく、1.4〜3.0質量%がより好ましい。前記含有量が、1.0質量%未満であるとフィードローラー汚れに対する効果がなくなることがあり、6.0質量%を超えても、それ以上のフィードローラー汚れに対する効果はなく、却ってコスト高になってしまう。また、ドラム放置時に目詰まりが発生することがある。
前記水相には、前記ポリビニルピロリドン以外にもその他の水溶性高分子化合物を必要に応じて添加することができる。該その他の水溶性高分子化合物としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然高分子化合物、半合成高分子化合物、合成高分子化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記天然高分子化合物としては、例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、などが挙げられる。
前記半合成高分子化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、などが挙げられる。
前記合成高分子化合物としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸トリエタノールアミンなどのアクリル酸樹脂誘導体;ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、などが挙げられる。
前記水溶性高分子化合物のインキにおける含有量(ただし、ポリビニルピロリドンを含む)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記水相の総質量に対し、固形分で25質量%以下が好ましく、1.0〜15質量%がより好ましい。
前記水相中には、上記ポリビニルピロリドン及びその他の水溶性高分子化合物以外にも、エマルションの形成を妨害しない範囲で、水、水の蒸発抑制剤又は凍結防止剤、電解質、O/W樹脂エマルション、防腐剤又は防かび剤、pH調整剤などを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記水としては、清浄であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水、などを使用することができる。
前記水の蒸発抑制剤又は凍結防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができ、例えば、低級飽和一価アルコール、グリコール、多価アルコール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低級飽和一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、などが挙げられる。前記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、などが挙げられる。前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ソルビトール、などが挙げられる。
これらの中でも、優れた保湿性を有し、印刷立ち上がり遅延の改善を図れる点でグリセリンが特に好ましい。
前記グリセリンの添加量としては、水相の総質量に対し、3.0〜15.0質量%が好ましく、6.0〜12質量%がより好ましい。前記グリセリンの添加量が、3.0質量%未満であると、グリセリン添加の効果がなくなることがあり、15.0質量%を超えると、水相の粘度が上がりすぎて、紙への浸透が遅くなり、フィードローラー汚れに対し不利になることがある。
前記電解質はとして、エマルションの安定性を高めるために添加され、エマルションの安定度向上に有効な離液順列が高いイオンで構成された電解質を添加するのが好ましい。前記離液順列が高い陰イオンとしては、例えば、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、などが挙げられる。一方、前記離液順列が高い陽イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、などが挙げられる。前記電解質としては、少なくとも陰イオンか陽イオンの一方が前記イオンよりなる塩が好ましい。従って、前記電解質としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、高温保存時のインキの油分離又は水分離を防止し、インキ安定性を向上させて、インクの垂れ防止の優れた効果が得られる点で、硫酸マグネシウムを添加するのが特に好ましい。
前記電解質の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水相の総質量に対し0.1〜2質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。前記電解質の添加量が、0.1質量%未満であると、電解質の添加によるインキ安定性の効果がなくなることがあり、2質量%を超えると、インキ安定性の効果がそれ以上向上することはなく、却ってコスト高になることがある。
前記水中油型樹脂エマルションとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、合成高分子化合物でも天然高分子化合物であってもよい。前記合成高分子化合物としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、などが挙げられる。前記天然高分子化合物としては、孔版印刷用エマルションインキに普通に用いられる油相に添加できる高分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記水中油型樹脂エマルションの分散方法についても特に制限はなく、分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよく、またソープフリー乳化重合によって合成したものでもよい。前記水中油型樹脂エマルションの最低造膜温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、40℃以下が好ましい。
前記防腐剤又は防かび剤は、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルションを長期間保存する場合に有効である。該防腐剤又は防かび剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、サリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル、などの芳香族ヒドロキシ化合物又はその塩素化合物、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防腐剤又は防かび剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキ中に含まれる水の総質量に対し、3質量%以下が好ましく、0.1〜1.2質量%がより好ましい。
前記pH調整剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン、などが好適に挙げられる。必要に応じてこれらのpH調整剤を添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範囲からはずれると、増粘剤用水溶性高分子化合物が添加されている場合にその効果が損なわれてしまうことがある。
<油相>
前記油相には、着色剤としての顔料を含有してなり、エマルションの形成を妨害しない範囲で必要に応じて、着色剤分散剤、樹脂、酸化防止剤、乳化剤、油成分、ゲル化剤、体質顔料などのその他の成分を含有してなる。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、各種色調の公知の顔料、分散染料などから目的に応じて選択することができる。前記着色剤としては、例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類;アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉;弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタンなどの無機顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料などのアゾ系顔料;無金属フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン顔料などのフタロシアニン系顔料;アントラキノン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、イソインドリン系色素、ジオキサンジン系色素、スレン系色素、ペリレン系色素、ペリノン系色素、チオインジゴ系色素、キノフタロン系色素、金属錯体などの縮合多環系顔料;酸性又は塩基性染料のレーキなどの有機顔料;ジアゾ染料、アントラキノン系染料などの油溶性染料;蛍光顔料、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記顔料が好ましく、フタロシアニン系顔料が特に好ましい。前記フタロシアニン系顔料は、孔版印刷機での両面印刷でフィードローラー汚れが生じ易く、ポリビニルピロリドンの添加効果が顕著である。
前記着色剤としてカーボンブラックを油相に添加する場合には、pH5未満の酸性のカーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、例えば、MA−100、MA−7、MA−77、MA−11、#40、#44(いずれも三菱化学株式会社製)、Raven1100、Raven1080、Raven1255、Raven760、Raven410(いずれもコロンビヤンカーボン社製)、などが挙げられる。
前記着色剤の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.01〜1.0μmが好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましい。
前記着色剤の孔版印刷用エマルションインキにおける添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常2〜15質量%が好ましい。
−着色剤分散剤−
前記着色剤分散剤としては、エマルションの形成を阻害しないものであれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する乳化剤用非イオン界面活性剤、アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート化合物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、脂肪族多価カルボン酸、ポリエーテル、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、などが挙げられ、インキの保存安定性を阻害しない範囲であればイオン性界面活性剤、両性界面活性剤なども使用可能である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤分散剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記着色剤の総質量の40質量%以下が好ましく、2〜35質量%がより好ましい。
−樹脂−
前記樹脂は、着色剤と被印刷物との固着、着色剤の分散及びインクの経時安定性向上のために添加される。前記樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロジン;重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステルなどのロジン系樹脂;ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂などのロジン変性樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴムなどのゴム誘導体樹脂;テルペン樹脂;アルキド樹脂;重合ひまし油、などが挙げられ、これらの中でも、アルキド樹脂、ロジン変性樹脂が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂の添加量としては、インキのコスト及び印刷適正の観点からインキの総質量の10質量%以下が好ましく、1〜7質量%がより好ましい。
−乳化剤−
前記乳化剤としては、油中水型のエマルションを形成することができれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、非イオン系界面活性剤が特に好ましい。該非イオン系界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳化剤の孔版印刷用エマルションインキにおける添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜8質量%が好ましく、2〜5.5質量%がより好ましい。
−酸化防止剤−
前記酸化防止剤は、樹脂などの酸化を防ぎ、ドラム内での長期放置でのインキの変質を防止できる。該酸化防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、グアヤク脂、クエン酸エステル、抽出トコフェロール、トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、亜硫酸塩類、チオ硫酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキ総量に対し、2質量%以下が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。
−油成分−
前記油成分としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物油、鉱物油、などが挙げられる。前記植物油としては、例えば、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、なたね油、サフラワー油、ごま油、ひまし油、脱水ひまし油、つばき油、オリーブ油、やし油、米油、綿実油、パーム油、あまに油、パーム核油、桐油、カメリアオイル、グレープシード油、スイートアルモンド油、ピスタチオナッツ油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、メドウホーム油、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記鉱物油としては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、石油系溶剤、スピンドル油、流動パラフィン、軽油、灯油、マシン油、ギヤー油、潤滑油、モーター油、などが挙げられ、これらの中でも、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、石油系溶剤が特に好ましい。
前記パラフィン系オイルとしては、市販品を用いることができ、例えば、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックシリーズ、新日本石油株式会社製の日石スーパーオイルシリーズ、出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ、などが挙げられる。
前記ナフテン系オイルとしては、環分析によるナフテン成分の炭素含有量(CN)が30%以上であり、芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%以下であり、かつパラフィン成分の炭素含有量(CP)が55%以下であるものが好適であり、例えば、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックオイル155及び300ID、ガーゴオイルアークティックオイルライト、ガーゴオイルアークティックオイルCヘビー;出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ;日本サン石油株式会社製のサンセンオイルシリーズ、などが挙げられる。
前記石油系溶剤としては、市販品を用いることができ、例えば、エクソン化学社製のアイソパーシリーズ及びエクソール;新日本石油株式会社製のAFソルベントシリーズ、などが挙げられる。
これらの鉱物油としては、インキの安定性などを考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が、3質量%未満のものを使用することが好ましい。また、前記鉱物油としては、変異原性指数MIが、1.0未満、アロマ分(%C)が20〜55%、アニリン点が100℃以下であって、かつオイル全質量基準でベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,j]アクリジン、などの多環芳香族の含有量がそれぞれ10ppm以下であり、かつ合計含有量が、50ppm以下であるのが好ましい。
なお、必要に応じて安全性の高いアロマ系オイル(例えば、特開平11−80640号公報)を使用することもできる。
前記油成分の孔版印刷用エマルションインキにおける添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5〜80質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
−ゲル化剤−
前記ゲル化剤としては、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、及び流動性などを向上させる役割を有し、油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。該ゲル化剤としては、例えば、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr、などの金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー、などが挙げられる。具体的には、オクチル酸アルミニウムなどのオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガンなどのナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテートなどの有機キレート化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゲル化剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、油相中の樹脂の総量に対し、15質量%以下が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
−体質顔料−
前記体質顔料としては、インキ中には滲み防止、粘度調整のために油相、水相、又は両相に添加することができ、無機微粒子及び有機微粒子のいずれかが好ましい。前記無機微粒子としては、例えば、白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム、などが挙げられる。前記有機微粒子としては、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリシロキサン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、又はこれらの共重合体、などが挙げられる。
前記体質顔料の孔版印刷用エマルションインキにおける添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜50質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
なお、本発明の孔版印刷用エマルションインキには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離をよくするため、或いは印刷用紙の巻き上がり防止などのために油相にワックスを添加することができる。また、水相には、トリエタノールアミンや水酸化ナトリウムなどを添加して、水溶性高分子化合物の添加による高粘度化を更に増進させることができる。さらに、水相に防錆剤や消泡剤を添加して印刷の際に印刷機がインキによって錆びたり、インキが泡立つことを防止することができる。これらの添加剤としては、孔版印刷用エマルションインキに添加されている公知のものの中から必要に応じて適宜添加すればよく、その添加量は従来品の場合と同程度でよい。
本発明の孔版印刷用エマルションインキの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができるが、例えば、常法により油相及び水相液を予め別々に調製し、前記油相中に水相を添加して、ディスパーミキサー、ホモミキサー、高圧ホモジナイザーなどの公知の乳化機内で乳化させることにより製造することができる。具体的には、着色剤、乳化剤及び必要に応じて添加される樹脂などの添加物を三本ロールミルでよく分散させた油を常法で調製し、これに防腐剤又は防かび剤や水溶性高分子化合物などが必要に応じて添加されている水溶液を、徐々に添加して乳化させればよい。
本発明の孔版印刷用エマルションインキとしては、ずり速度20sec−1の時の粘度が、3〜40Pa・sが好ましく、10〜30Pa・sがより好ましい。
以上説明したように、本発明の孔版印刷用エマルションインキは、放置後の目詰まりや印刷における画像立ち上がりの遅延の不具合がなく、両面印刷時のフィードローラー汚れを大幅に改善することができ、輪転孔版印刷機による孔版印刷に好適に用いられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
表2に示す配合により、鉱物油としてのスピンドル油にロジン変性フェノール樹脂(ハリマ化成株式会社製:商品名P−140)を150℃で溶解させて、得られた溶液に着色剤としてのフタロシアニンブルー(東洋インキ製造株式会社製)、界面活性剤としてのソルビタンセスキオレエート、花王株式会社製:商品名レオドールAO−15)、及びソルビタンモノオレエート(花王株式会社製:商品名レオドールAO−10)、酸化防止剤としてのジブチルヒドロキシトルエン、並びに鉱物油としてのスピンドル油を混合し、高速ディゾルバーを用いて周速10m/sec.で30分間攪拌した。その後、ビーズミルLMZ2(アシザワ株式会社製)を用いて下記条件で分散処理を行って油相を調製した。
<分散条件>
ジルコニア製ビーズ径:1.5mm
周速:12m/sec.
流速:0.7/min.
一方、30質量%ポリビニルピロリドン水溶液(BASF社製、ルビテックK17、水相中固形分2.1質量%、K値=17)、及び防腐剤又は防かび剤としてのパラオキシ安息香酸メチルをイオン交換水に溶解させて水相を調製した。
次に、乳化試験機ET−3A型(日光ケミカルズ株式会社製)を使用し、この乳化試験機中に前記油相液を仕込んで400rpmの速度で撹拌しながら、徐々に前記水相液を添加し乳化させて孔版印刷用エマルションインキを調製した。なお、孔版印刷用エマルションインキ300gを製造する場合には、前記水相液の添加には15分を要した。
(実施例2)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
表2に示す配合により、実施例1において、前記水相にグリセリンを添加した以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
(実施例3)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
表2に示す配合により、前記油相に着色剤としてカーボンブラック(コロンビアン・カーボン社製、ラーベン1080)を用いた以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
(実施例4)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
表2に示す配合により、実施例1において、前記水相にグリセリン及び硫酸マグネシウムを添加した以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
(実施例5)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
表2に示す配合により、実施例1において、前記水相に30質量%ポリビニルピロリドン水溶液(BASF社製、ルビテックK30、水相中固形分2.1質量%、K値=30)を使用した以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
(比較例1)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
表3に示す配合により、実施例1において、前記水相に30質量%ポリビニルピロリドン水溶液を添加しない以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
(比較例2)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
表3に示す配合により、実施例1において、30質量%ポリビニルピロリドン水溶液(BASF社製、ルビテックK17、水相中固形分0.8質量%、K値=17)を添加した以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
(比較例3)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
表3に示す配合により、実施例1において、前記水相に30質量%ポリビニルピロリドン水溶液(BASF社製、ルビテックK17、水相中固形分6.8質量%、K値=17)を添加した以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
(比較例4)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
表3に示す配合により、実施例1において、前記油相に着色剤としてカーボンブラック(コロンビアン・カーボン社製、ラーベン1080)を添加し、前記水相に30質量%ポリビニルピロリドン水溶液を添加しない以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
(比較例5)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
表3に示す配合により、実施例1において、前記水相に30質量%ポリビニルピロリドン水溶液(BASF社製、ルビテックK60、水相中固形分2.1質量%、K値=60)及びグリセリンを添加した以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
次に、実施例1〜4及び比較例1〜5の孔版印刷用エマルションインキについて、以下のようにして、フィードローラー汚れ、印刷機用ドラム放置後の目詰まり、画像立ち上がり、及び高温保存時のインキ安定性を評価した。結果を表2及び表3に示す。
<フィードローラー汚れ評価>
各孔版印刷用エマルションインキについて、孔版印刷機(株式会社リコー製、JP5500)を用いて、両面印刷時に生じるフィードローラー汚れを評価した。まず、ベタのある原稿で1回目の100枚印刷を印刷速度3速で行った。10分間放置した後、1回目印刷画像の裏面に無製版にて白紙印刷を印刷速度3速で105枚行い、101〜105枚目の5枚を下記表1に示すフィードローラー汚れ評価基準に基づきランク評価を行って、5枚画像のランク平均を算出した。なお、評価環境気温20℃、相対湿度65%であった。
Figure 2005330461
<放置後のドラム目詰まり及び放置後の画像立ち上がり>
各孔版印刷用エマルションインキを用いて、印刷後のドラムを孔版印刷機(株式会社リコー製、JP5500)上で1ヶ月放置(常温常湿)した後、印刷を実施し、画像観察によりドラム目詰まりの有無、及び画像立ち上がり枚数を評価した。
<高温保存時のインキ安定性>
各孔版印刷用エマルションインキをガラス瓶に50g収容し、これらを60℃恒温槽内にて1ヶ月保存した後、各孔版印刷用エマルションインキの表面状態などを観察し、下記基準によりインキ安定性を評価した。
[評価基準]
○:油分離及び水分離がなく、ガラス瓶を逆さまにしても、インキが流動せず、ガラス瓶の口からインキが垂れることがなく、インキ安定性に優れる。
△:油分離及び水分離がないが、インキ粘度にやや低下が見られ、ガラス瓶を逆さまにした際に、インキが多少流動するが、インキ安定性は良い。
×:油分離又は水分離が見られ、インキ安定性に劣る。
Figure 2005330461
Figure 2005330461
表2及び表3の結果から、K値が30以下であるポリビニルピロリドンを前記水相の総質量に対し固形分で1.0〜6.0質量%含有する実施例1〜5は、ポリビニルピロリドンを含まない比較例1及び4、ポリビニルピロリドンの含有量が前記水相の総質量に対し固形分で1.0〜6.0質量%を満たさない比較例2及び3、K値が30超のポリビニルピロリドンを含有する比較例5に比べて、放置後の目詰まりや印刷における画像立ち上がりの遅延の不具合がなく、両面印刷時のフィードローラー汚れがほとんど発生せず、高温保存時のインキ安定性も良好であることが認められる。
また、実施例2及び4では、グリセリンを水相に添加することにより、放置後の画像立ち上がりが向上することが認められる。
更に、実施例4では、硫酸マグネシウムを水相に添加することにより、高温保存の際にインキの油分離及び水分離がなく、インキの流動が抑えられ、インキ安定性が向上することが認められる。
本発明の孔版印刷用エマルションインキは、放置後の目詰まりや印刷における画像立ち上がりの遅延の不具合がなく、両面印刷時のフィードローラー汚れを大幅に改善することができ、高温保存時のインキ安定性に優れ、輪転孔版印刷機による孔版印刷、特に両面印刷に好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中に着色剤としての顔料を含有し、かつ該水相中にK値が30以下であるポリビニルピロリドンを前記水相の総質量に対し固形分で1.0〜6.0質量%含有することを特徴とする孔版印刷用エマルションインキ。
  2. 顔料がフタロシアニン系顔料である請求項1に記載の孔版印刷用エマルションインキ。
  3. 水相中にグリセリンを含有する請求項1から2のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキ。
  4. 水相中に硫酸マグネシウムを含有する請求項1から3のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキ。
JP2004322932A 2004-04-20 2004-11-05 孔版印刷用エマルションインキ Revoked JP2005330461A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004322932A JP2005330461A (ja) 2004-04-20 2004-11-05 孔版印刷用エマルションインキ

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004124799 2004-04-20
JP2004322932A JP2005330461A (ja) 2004-04-20 2004-11-05 孔版印刷用エマルションインキ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005330461A true JP2005330461A (ja) 2005-12-02

Family

ID=35485340

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004322932A Revoked JP2005330461A (ja) 2004-04-20 2004-11-05 孔版印刷用エマルションインキ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005330461A (ja)

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09118851A (ja) * 1995-10-24 1997-05-06 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用エマルションインキ
JPH09328645A (ja) * 1996-06-07 1997-12-22 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用w/o型エマルションインキ
JPH1081844A (ja) * 1996-09-06 1998-03-31 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用エマルションインキ
JPH10168372A (ja) * 1996-12-11 1998-06-23 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用w/oエマルションインキ
JPH10245516A (ja) * 1997-03-04 1998-09-14 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用w/o型エマルションインキ
JPH10259341A (ja) * 1997-03-17 1998-09-29 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用w/o型エマルションインキ及びそれを用いた孔版印刷方法
JPH11310740A (ja) * 1998-04-27 1999-11-09 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用油中水型エマルションインキ
JP2001049161A (ja) * 1999-06-03 2001-02-20 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用油中水型エマルションインキ
JP2001106952A (ja) * 1999-10-06 2001-04-17 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用油中水型エマルションインキ
JP2001164164A (ja) * 1999-09-28 2001-06-19 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用油中水型エマルションインキ
JP2002363471A (ja) * 2001-06-11 2002-12-18 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用w/o型エマルションインキ

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09118851A (ja) * 1995-10-24 1997-05-06 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用エマルションインキ
JPH09328645A (ja) * 1996-06-07 1997-12-22 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用w/o型エマルションインキ
JPH1081844A (ja) * 1996-09-06 1998-03-31 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用エマルションインキ
JPH10168372A (ja) * 1996-12-11 1998-06-23 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用w/oエマルションインキ
JPH10245516A (ja) * 1997-03-04 1998-09-14 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用w/o型エマルションインキ
JPH10259341A (ja) * 1997-03-17 1998-09-29 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用w/o型エマルションインキ及びそれを用いた孔版印刷方法
JPH11310740A (ja) * 1998-04-27 1999-11-09 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用油中水型エマルションインキ
JP2001049161A (ja) * 1999-06-03 2001-02-20 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用油中水型エマルションインキ
JP2001164164A (ja) * 1999-09-28 2001-06-19 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用油中水型エマルションインキ
JP2001106952A (ja) * 1999-10-06 2001-04-17 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用油中水型エマルションインキ
JP2002363471A (ja) * 2001-06-11 2002-12-18 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷用w/o型エマルションインキ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4080121B2 (ja) 孔版印刷用油中水型エマルションインキ
JP2007224079A (ja) 孔版印刷用o/w型エマルションインキ
JP4801370B2 (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP3757120B2 (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP4845457B2 (ja) 孔版印刷用エマルジョンインキ
JP4050443B2 (ja) 孔版印刷用油中水型エマルションインキ
JP4860908B2 (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP2007070559A (ja) 孔版印刷用w/o型エマルションインキ
JP2005330461A (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP2008106142A (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP3246696B2 (ja) 孔版印刷用油中水滴型エマルションインク
JP3693208B2 (ja) 孔版印刷用w/o型エマルションインキ
JP4777525B2 (ja) 孔版印刷用w/oエマルションインキ
JP4520767B2 (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP2006117889A (ja) 孔版印刷用兼インクジェット用インク、及びインク記録物
JP4851701B2 (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP4510404B2 (ja) 孔版印刷用w/o型エマルションインキ
JP3847382B2 (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP3775533B2 (ja) 孔版印刷機用エマルションインキ
JP4779135B2 (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP4750440B2 (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP4875234B2 (ja) 孔版印刷用w/oエマルションインキ
JP4520765B2 (ja) 孔版印刷用エマルションインキ
JP4289861B2 (ja) 孔版印刷用w/o型エマルションインキ
JP2006124464A (ja) 孔版印刷用エマルションインキ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110118

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110401

AA91 Notification of revocation by ex officio

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971091

Effective date: 20110510

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111018

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111128

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120228