JP2007070559A - 孔版印刷用w/o型エマルションインキ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該水相中にN−ビニルピロリドンとビニルアセテートとのコポリマーを含有することを特徴とする孔版印刷用W/O型エマルションインキである。コポリマー中のビニルアセテートの含有量が、35〜60mol%である態様、着色剤を含有してなり、コポリマーの含有量が、該着色剤100質量部に対して樹脂固形分換算で5〜100質量部である態様、などが好ましい。
【選択図】 なし
Description
<1> 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該水相中にN−ビニルピロリドンとビニルアセテートとのコポリマーを含有することを特徴とする孔版印刷用W/O型エマルションインキである。
該<1>に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキにおいては、水相中にN−ビニルピロリドンとビニルアセテートのコポリマーを含有することにより、耐水性及びエマルションの安定性を向上することができる。また、着色剤の分散効率が改善し、生産性を向上させることができる。これは水中で分散される着色剤が疎水性であるのに対し、疎水性のビニルアセテートをポリマー中に含有することで樹脂と着色剤間の疎水相互作用が吸着樹脂の着色剤への吸着に寄与するためであると考えられる。
<2> コポリマー中のビニルアセテートの含有量が、35〜60mol%である前記<1>に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキである。
<3> 着色剤を含有してなり、コポリマーの含有量が、不溶性着色剤100質量部に対して樹脂固形分換算で5〜100質量部である前記<1>から<2>のいずれかに記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキである。
<4> 着色剤が少なくとも水相中に含まれる前記<3>に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキである。
<5> 水相中に着色剤分散剤を含有する前記<4>に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキである。
<6> 着色剤が水相及び油相中に含まれており、該油相中に着色剤分散剤を含有する前記<4>から<5>のいずれかに記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキである。
該<4>から<6>に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキにおいては、ビニルアセテートを多く含むコポリマーと、着色剤分散剤とを併用することにより、着色剤の耐水性を阻害することなく着色剤の分散性を更に向上することができる。
<7> 水相中に電解質を含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキである。
該<7>に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキにおいては、水相中に電解質を含有させることによって、エマルションの安定性を更に高めることができる。水相中に水溶性高分子化合物として、イオン性の高分子化合物を含有する場合には、電解質は高分子化合物のイオン間の反発を阻害するが、N−ビニルピロリドンとビニルアセテートとのコポリマーは非イオン性であるため、電解質の影響が小さく、着色剤の凝集なしにエマルションの安定性に効果を示しているものと考えられる。
<8> 油相中に樹脂を含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキである。
該<8>に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキにおいては、油相に樹脂を含有することで更に耐水性を向上させることができる。これはインキが紙に浸透する過程で、油相の樹脂が着色剤に吸着し、着色剤表面の疎水性を高めているためであると考えられる。
前記油相の混合割合が10質量%未満であると、W/Oエマルションとしての形態をとれなくなることがあり、90質量%を超えると、物性的にW/Oエマルションとすることの効果が不足してしまうことがある。
前記水相は、N−ビニルピロリドンとビニルアセテートとのコポリマー及び着色剤を含有し、好ましくは、着色剤分散剤及び電解質を含有し、更に必要に応じて水、該コポリマー以外の水溶性高分子化合物、O/W樹脂エマルション、水の蒸発防止剤、凍結防止剤、防腐剤又は防かび剤、pH調整剤、体質顔料、などのその他の成分を含有してなる。
前記N−ビニルピロリドンとビニルアセテートのコポリマーとしては、任意の組成のものが挙げられ、具体的には、BASF社製のLuvitecVA64、あるいはISP社製のPVP/VAコポリマーであるE−335、E−535、E−635、E−735、I−335、I−535、I−635、I−735、W−635、W−735、S−630、などが挙げられる。これらの中でも、コポリマー中のビニルアセテートの含有量が、35〜60mol%であるものが好ましい。前記含有量が35mol%未満であると、耐水性の効果が小さくなることがあり、60mol%を超えると、水に対する溶解性が不十分になることがある。
なお、前記コポリマー中のビニルアセテートの含有量は、例えば、元素分析、核磁気共鳴法(NMR)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)、などを用いて測定することができる。
また、異なるグレードの樹脂を2種類以上混合して使用してもよく、ポリビニルピロリドンのホモポリマーと併用してもよい。
なお、前記コポリマーの含有量は、例えば、ソックスレー抽出法などを用いて測定することができる。
これらの樹脂は、水相に着色剤を含有する場合は着色剤分散剤として作用するが、必要に応じてその他の着色剤分散剤を併用してもよい。また、これらの樹脂は水溶性樹脂であるが、必要に応じ他の水溶性樹脂を併用してもよい。
前記着色剤としては、各種色調の公知の顔料、分散染料などの不溶性着色剤を用いることができる。
前記不溶性着色剤としては、例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック類;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉;弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料;不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料;無金属フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン顔料等のフタロシアニン系顔料;アントラキノン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、イソインドリン系色素、ジオキサンジン系色素、スレン系色素、ペリレン系色素、ペリノン系色素、チオインジゴ系色素、キノフタロン系色素、金属錯体等の縮合多環系顔料;酸性又は塩基性染料のレーキ等の有機顔料;ジアゾ染料、アントラキノン系染料等の油溶性染料;蛍光顔料、などが挙げられる。これらの着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記染料は、耐光性の面で問題があり、不溶性着色剤を使用するのが好ましいが、色を補う目的で、不溶性着色剤を含む相、あるいは含まない相、あるいは両相に含有させることができる。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキの総質量に対し、2〜15質量%が好ましい。前記カーボンブラックに関しては、油相に含有する場合にはpH5未満の酸性のカーボンブラックが、水相に含有する場合にはpH5以上、好ましくはpH6〜10、より好ましくはpH7〜9のアルカリ性のカーボンブラックを使用することが望ましい。ただし、油相にpH6〜10のカーボンブラック、水相にpH5未満のカーボンブラックを含有してもよく、pHの異なるカーボンを2種類以上併用してもよい。
前記着色剤の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.001〜0.1μmが好ましく、0.01〜0.1μmがより好ましい。
前記着色剤分散剤としては、油相及び水相のそれぞれに溶解して界面活性能を有し、エマルションの形成を阻害しないものが使用でき、後述する乳化剤用非イオン性界面活性剤及び水溶性高分子化合物も分散剤として使用することができる。
前記着色剤分散剤としては、ソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル類;ヘキサグリセリンポリリシノレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、などの非イオン性界面活性剤;アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン−無水マレイン酸系共重合高分子化合物、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、スルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、及びアルキド樹脂などの着色剤分散能を有する樹脂なども挙げられる。この他にも、インキの保存安定性を阻害しない範囲であればイオン性界面活性剤、両性界面活性剤なども使用することができる。これらの着色剤分散剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記アルキド樹脂は、高分子量の樹脂を含有するときに着色剤の分散安定性に特に効果があるが、アルキド樹脂を単独、又は他の分散剤と併用して使用する場合の樹脂の添加量は、着色剤1質量部に対し、0.05質量部以上であることが好ましい。
前記電解質は、エマルションの安定性を高めるために添加される。
前記電解質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、などの陽イオンと、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、塩素イオン、ホウ酸イオン、などの陰イオンとからなる電解質が使用することができる。しかし、水相中に含有する着色剤、体質顔料、O/W樹脂エマルションなどの凝集防止とエマルションの安定性を両立させるための陽イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、などの1価のイオンが望ましい。従って、ここで添加される電解質としては、硫酸リチウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、などが好ましい。これらの電解質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質の含有量としては、水相の総質量に対し、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2.0質量%がより好ましい。
また、エマルションの安定性と粉体の分散安定性に影響しない範囲であれば2価の陽イオンの電解質を併用してもよい。
前記水としては、清浄であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水等を使用することができる。
前記水相には、前記N−ビニルピロリドンとビニルアセテートのコポリマー以外にも、その他の水溶性高分子化合物を必要に応じて含有することができる。前記その他の水溶性高分子化合物としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然高分子化合物、半合成高分子化合物、合成高分子化合物、などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、などが挙げられる。
前記半合成高分子化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等が挙げられる。
前記合成高分子化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムなどの中和物、アルキル変性アクリル酸樹脂、などのアクリル酸樹脂誘導体;スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体及びこれらをアルキル基で部分的に疎水した高分子;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイミド、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド;ポリN−アクリロイルピロリジン、ポリN−イソプロピルアクリルアミド、などのポリN−アルキル置換アクリルアミド;などが挙げられる。また、アクリルアミド系ポリマーおよびアクリル系のポリマーに関しては置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーでもよい。また、ポリエチレンとポリプロピレンまたはポリブチレンのABやABAタイプのブロックコポリマーなども挙げられる。
これらの水溶性高分子化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性高分子化合物の含有量は、水相の総質量に対し、25質量%以下が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量としては、2,000〜100万が好ましく、5,000〜30万がより好ましく、1万〜15万が更に好ましい。
前記水中油型(O/W)樹脂エマルションとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、合成高分子化合物でも天然高分子化合物でもよい。
前記合成高分子化合物としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、孔版印刷用エマルションインキに普通に用いられる油相に含有することができる高分子化合物等が挙げられる。
これらのO/W型樹脂エマルションは、1種単独で使用してもよいし、W/O型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲であれば2種以上を併用してもよい。
前記O/W型樹脂エマルションの含有量は、水相の総質量に対し、樹脂の固形分換算で0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜3.0質量%がより好ましい。
また、前記O/W型樹脂エマルションの分散方法についても特に制限はなく、分散剤、保護コロイド、界面活性剤、などを添加していてもよく、またソープフリー乳化重合によって合成したものでもよい。また、合成方法は乳化重合法、懸濁重合法あるいはソープフリー乳化重合によって合成することができる。前記O/W型樹脂エマルションの最低造膜温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、40℃以下が好ましい。また、前記O/W型樹脂エマルションの粒子径としては、0.1〜30μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
前記水の蒸発防止剤及び凍結防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、低級飽和一価アルコール、グリコール、多価アルコールなどが挙げられる。なお、水の蒸発防止剤と凍結防止剤は、兼用することができる。
前記低級飽和一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。
前記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。
これらの水の蒸発防止剤又は凍結防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水の蒸発抑制剤又は凍結防止剤の含有量は、水相の総質量に対し、15質量%以下が好ましく、4〜12質量%がより好ましい。
前記防腐剤又は防かび剤は、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルションを長期間保存する場合に有効である。
前記防腐剤又は防かび剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、サリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物又はその塩素化合物、ソルビン酸、デヒドロ酢酸;MIT(メチルイソチアゾリン)、BIT(ブチルイソチアゾリン)、OIT(オクチルイソチアゾリン)などのチアゾリン系のもの;などが挙げられる。これらの防腐剤又は防かび剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防腐剤又は防かび剤の含有量は、水相の総質量に対し、3質量%以下が好ましく、0.1〜1.2質量%がより好ましい。
前記pH調整剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、アンモニア、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン、水酸化ナトリウム、などが好適に挙げられる。これらのpH調整剤は、必要に応じて添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範囲からはずれると、該水相に水溶性高分子化合物を含有している場合にその効果が損なわれてしまうことがある。
またpHを一定に保つため緩衝剤を添加してもよく、該緩衝剤としてはエチレンジアミン四酢酸やAldrich社のTrizma base、4−モルホリノエタンスルホン酸(MES)及び4−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、などが挙げられる。
前記緩衝剤の含有量は、水相の総質量に対し、約0.05〜0.1質量%の範囲で用いればよい。
前記体質顔料は、インキの滲み防止、粘度調整のために添加することができる。
前記体質顔料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、無機微粒子及び有機微粒子のいずれかが好ましい。
前記無機微粒子としては、例えば、白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム、などが挙げられる。
前記有機微粒子としては、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリシロキサン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、又はこれらの共重合体、などが挙げられる。
前記体質顔料は、油相、水相、又は両相に含有することができ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記体質顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インキの総質量に対し、0.1〜50質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
前記油相は、好ましくは着色剤及び樹脂を含有してなり、更に必要に応じて油成分、酸化防止剤、着色剤分散剤、乳化剤、ゲル化剤、体質顔料、などのその他の成分を含有してなる。なお、前記着色剤、着色剤分散剤、及び体質顔料については、既に述べた通りである。
前記樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキド樹脂;ロジン;重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステル、などのロジン系樹脂;ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性石油樹脂、などのロジン変性樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴムなどのゴム誘導体樹脂;テルペン樹脂;重合ひまし油、などが挙げられる。これらの中でも、アルキド樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂の重量平均分子量は、定着性及び印刷適性から3万〜15万が好ましく、5.5万〜8万がより好ましい。更にこれらの樹脂は日石0号ソルベントに対し溶解性を有するトレランスが1g/g以上(1gの樹脂に1g以上の0号ソルベントが相溶可能である)の樹脂が好ましい。
また、前記樹脂の含有量としては、インキのコスト及び印刷適正の点から油相の総質量に対し、2〜50質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
前記樹脂の重量平均分子量が低い場合及び含有量が少ない場合には、定着性への効果が小さいことがあり、一方、重量平均分子量が高すぎたり、樹脂の含有量が多い場合にはインキの粘度が高くなり、ドラム後端からインキが漏れるなどの印刷適性の問題が生じることがある。
前記不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、マンニット、ソルビットなどが挙げられる。
前記アルキド樹脂は、酸価が15以下であり、10以下がより好ましい。また、前記アルキド樹脂の油長は、前記油脂中の脂肪酸がトリグリセライドで存在したときの樹脂中の質量%で表され、通常60〜90質量%が好ましい。前記アルキド樹脂の重量平均分子量は3万以下が好ましく、1万以下がより好ましい。
ここで、前記アルキド樹脂の酸価は、例えば、JIS K0070により測定することができる。
前記アルキド樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、油相の総質量に対し、0.1〜10%が好ましく、0.5%〜6%がより好ましい。
前記油成分としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、鉱物油、植物油、などが挙げられる。また、本発明においては安全性、保存安定性阻害しない範囲で合成油も併用できる。
前記鉱物油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、石油系溶剤、スピンドル油、流動パラフィン、軽油、灯油、マシン油、ギヤー油、潤滑油、モーター油、等が挙げられ、これらの中でも、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、石油系溶剤が特に好ましい。
前記パラフィン系オイルとしては、市販品を用いることができ、例えば、エクソンモービル石油社製のガーゴオイルアークティックシリーズ(1010,1022,1032,1046,1068,1100,3032,3046,3068、など)、出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル(PX−32、PX−90、PW−32、PW−90、PW−380、PS−32、PS−90、PS−430、など)、ダイアナフレシアシリーズ(S−32、S−90、P−32、P−90、P−150、P−180、P−430など)、などが挙げられる。
前記ナフテン系オイルとしては、環分析によるナフテン成分の炭素含有量(CN)が30%以上であり、芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%以下であり、かつパラフィン成分の炭素含有量(CP)が55%以下であるものが好適であり、例えば、エクソンモービル石油社製のガーゴオイルアークティックオイル155及び300ID、ガーゴオイルアークティックオイルライト、ガーゴオイルアークティックオイルCヘビー;出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル(NP−24、NR−26、NR−68、NS−90S、NM−280、など)、ダイアナフレシアシリーズ(G−6、F−9、N−28、N−90、N−150、U−46、U−56、U−68、U−130、U−170、U−260、など)、日本サン石油株式会社製のサンセンオイルシリーズ(410,420,450,480,3125,4240、など)、などが挙げられる。
前記石油系溶剤としては、市販品を用いることができ、例えば、エクソンモービル石油社製のアイソパーシリーズ(C、E、G、H、L、M、など)及びエクソール(D30、D40、D80、D110、D130、など);新日本石油株式会社製のAFソルベントシリーズ(4号、5号、6号、7号、など)、などが挙げられる。
これらの鉱物油は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、これらの植物油に関してはエステル化した植物油も使用することができ、例えば、メチルエステル、ブチルエステル、イソプロピルエステル、プロピルエステル、などが挙げられる。
これらの植物油は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ヨウ素価が高い乾性油または半乾性油を使用すると、空気中の酸素と酸化反応を起こし、それによって油の乾燥(固化)が進み、しいては前記植物油を含有している孔版印刷用エマルションインキも固化してしまう。インキが固化するとスクリーンの目詰まりや画像立ち上がりが悪化してしまうなどの不具合が生じてしまうため、特にヨウ素価が高い(不飽和結合が多く含まれる)植物油を使用する際には植物油中の脂肪酸(リノレン酸、リノール酸、オレイン酸など)の酸化を防ぐために後述する酸化防止剤を油相中または水相中に含有することが好ましい。
ここで、前記油成分のヨウ素価は、例えば、市販の食用油脂分析装置により測定することができる。
前記食用油脂分析装置としては、例えば、Oil&Fatアナライザー食用油脂分析装置(ヤキテクノトロン株式会社製)などが挙げられる。
また、長期間放置による印刷機上でのインキ固着が問題になる場合にはヨウ素価が100以下の植物油を使用してもよい。
前記酸化防止剤は、油相中のバインダー樹脂等の酸化を防ぎ、これによってインキの粘度の上昇等が防止することができる。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、クエン酸エステル、抽出トコフェロール、トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、亜硫酸塩類、チオ硫酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、油相の総質量に対し、2質量%以下が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。
前記酸化防止剤は、植物油含有量に対して極めて少量の酸化防止剤を添加した場合、適切な酸化防止効果は期待できず、逆に植物油含有量に対して多量の酸化防止剤を一度に添加してしまうと酸化促進剤として作用してしまう場合もある。よって、少量の酸化防止剤でも植物油の酸化を抑えるために相乗剤を加えることが好ましい。
前記相乗剤とは、それ自身酸化防止作用はほとんど持たないが、酸化防止剤と併用するとその作用を増強するものである。相乗剤は通常酸性物質で、いくつかの水酸基またはカルボキシル基を持っている多官能性化合物である。
前記相乗剤としては、メチオニン、アスコルビン酸、トレオニン、ロイシン、牛乳タンパク質加水分解物、ノルバリン、パルミチン酸アスコルビン、フェニルアラニン、シスチン、トリプトファン、プロリン、アラニン、グルタミン酸、バリン、膵臓タンパクのペプシン消化液、アスパラギン、アルギニン、バルビツール酸、アスフェナミン、ニンヒドリン、プロパニジン、ヒスチジン、ノルロイシン、グリセロリン酸、カゼインのトリプシン加水分解液、カゼインの塩酸加水分解液、などが挙げられる。これらの相乗剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記相乗剤の含有量は、前記酸化防止剤の含有量に対し、50〜150質量%が好ましい。
前記乳化剤としては、油中水型のエマルションを形成することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、などが挙げられる。また、安定性に効果があれば、低分子界面活性剤、高分子界面活性剤、なども併用できる。これらの中でも非イオン系界面活性剤が好ましい。
前記非イオン系界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノステアレート、などのソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリルモノステアレート、デカグリセリルトリオレエート、ヘキサグリセリンポリリシノレート、などの(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン植物油脂肪酸エステル、などのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、及び高級アルコールなどが挙げられる。
これらの乳化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インキの総質量に対し、0.5〜15質量%が好ましく、1〜6質量%がより好ましい。
前記ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、及び流動性等を向上させる役割を有し、油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。
前記ゲル化剤としては、例えば、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー等が挙げられる。具体的には、オクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等の有機キレート化合物、などが挙げられる。これらのゲル化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゲル化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、油相中の樹脂の総質量に対し、15質量%以下が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
具体的には、油成分、分散剤、樹脂、及び乳化剤を混合し、3本ロールを用いて分散処理を行って油相を調製する。一方、着色剤、水溶性高分子、分散剤、凍結防止剤、及び防腐剤を混合し、高速ディゾルバーにて攪拌した後、ビーズミルを用いて分散処理を行って水相を調製する。次いで、乳化機を使用し、前記油相液を仕込んで液を撹拌しながら、徐々に前記水相液を添加して乳化させることにより、孔版印刷用W/O型エマルションインキを製造することができる。
以上説明したように、本発明の孔版印刷用W/O型エマルションインキは、着色剤の分散性、耐水性、及びエマルションの安定性に優れているので、例えば、感熱孔版印刷に好適に用いられる。
−孔版印刷用W/O型エマルションインキの調製−
まず、表1に記載の処方により、着色剤、着色剤分散剤、油成分、樹脂及び乳化剤を混合し、3本ロール(株式会社井上製作所製)を用いて分散処理を行って油相を調製した。
次に、表1に記載の処方により、着色剤、着色剤分散剤、水溶性高分子、凍結防止剤、防腐剤、電解質及び水を混合し、高速ディゾルバーにて攪拌した。その後、ビーズミル(LMZ0.6、アシザワ・ファインテック株式会社製)を用いて分散処理を行って水相を調製した。
次いで、乳化機(T.K.HOMODISPER、特殊機化工業株式会社製)を使用し、前記油相液を仕込んで液を撹拌しながら、徐々に前記水相液を添加した。以上により、実施例1の孔版印刷用W/O型エマルションインキを作製した。
−孔版印刷用W/O型エマルションインキの調製−
実施例1において、表1、表2及び表3に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜14の孔版印刷用W/O型エマルションインキを作製した。
−孔版印刷用W/O型エマルションインキの調製−
実施例1において、表2に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の孔版印刷用W/O型エマルションインキを作製した。
着色剤の分散性については、水相に含有する着色剤は(i)分散時間で評価し、油相に含有する着色剤は(ii)分散粒子径で評価した。
(i)水相の着色剤の分散時間
ビーズミル(LMZ0.6、アシザワ・ファインテック株式会社製)を使用し、水相調製時の着色剤が規定粒子径に達するまでの時間を測定した。
(ii)油相の着色剤の分散粒子径
希釈溶剤としてアイソパーM(エクソンモービル社)を使用し、レーザー回折式粒度分布計(LA−700、堀場製作所製)を用いて油相に分散した着色剤の平均粒子径を測定した。
各インキを孔版印刷機(Satelio A400、株式会社リコー製)で印刷し、印刷後、24時間乾燥放置した印刷物を水で湿らした布で擦ったときの汚れ具合を観察し、下記基準に基づいて、最も汚れの多いものを1、次いで2、3、4、5とランク付けし、評価した。
〔評価基準〕
5:画像の擦れ汚れがない。
4:画像の擦れはほとんど見られない。
3:画像の擦れがやや見られる。
2:画像の擦れが顕著に見られる。
1:画像の擦れ汚れがひどい。
作成後に60℃で2週間放置したインキを、遠心分離機(M150−IVD、株式会社 佐久間製作所製)により、6300Gで3時間遠心力分離した後、これにより発生した油分のインキ質量に対する割合を、百分率により算出した。
即ち、着色剤を水相のみに含有した実施例1から13においては、実施例1と、着色剤を水相のみに含有し、且つ本発明のコポリマーを含有しない比較例1との比較から、本発明のコポリマーを含有することの着色剤の分散性への効果が明らかである。また、実施例1と2及び実施例3と4の比較から、コポリマー中のビニルアセテートを35〜60mol%含有することの耐水性又は分散性への効果が明らかである。また、実施例2と5〜9の比較から、コポリマーを、着色剤100質量部に対して樹脂固形分換算で5〜100質量部含有することの耐水性又は分散性への効果が明らかである。また、実施例2と10及び実施例4と11の比較から、水相中に着色剤分散剤を含有することの分散性への効果が明らかである。また、実施例2と12の比較から、油相中に樹脂を含有することの耐水性への効果が明らかである。また、実施例2と13の比較から、水相中に電解質を含有することのエマルションの安定性への効果が明らかである。
また、着色剤を油相及び水相中に含有した実施例14〜16においても、実施例14と、着色剤を油相及び水相に含有し、且つ本発明のコポリマーを含有しない比較例2との比較から、本発明のコポリマーを含有することの着色剤の分散性への効果が明らかである。また、実施例14と15との比較から、油相中に着色剤分散剤を含有することの分散性への効果が明らかである。また、実施例14と16との比較から、油相及び水相中に着色剤分散剤を含有することの分散性への効果が明らかである。
Claims (8)
- 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該水相中にN−ビニルピロリドンとビニルアセテートとのコポリマーを含有することを特徴とする孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
- コポリマー中のビニルアセテートの含有量が、35〜60mol%である請求項1に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
- 着色剤を含有してなり、コポリマーの含有量が、該着色剤100質量部に対して樹脂固形分換算で5〜100質量部である請求項1から2のいずれかに記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
- 着色剤が少なくとも水相中に含まれる請求項3に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
- 水相中に着色剤分散剤を含有する請求項4に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
- 着色剤が水相及び油相中に含まれており、該油相中に着色剤分散剤を含有する請求項4から5のいずれかに記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
- 水相中に電解質を含有する請求項1から6のいずれかに記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
- 油相中に樹脂を含有する請求項1から7のいずれかに記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
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