JP4880832B2 - 孔版印刷用エマルションインキ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷用油中水型エマルションインキに関し、温度依存性、分離や粘度変化が少ない保存安定性に優れた孔版印刷用油中水型エマルションインキに関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷方法は、周知のように孔版印刷原紙を用い、この原紙の穿孔部を介して原紙の一方の側より他方の側ヘインキを移動させることにより、紙などの被印刷物面に印刷を行なうものである。従来、孔版印刷用エマルションインキとしては油中水型のエマルションインキが用いられているが、エマルションインキは通常揮発性溶剤、不揮発性鉱物油、樹脂、着色剤、界面活性剤、水、凍結防止剤、電解質、防腐剤等により構成されている。
【0003】
近年、輪転孔版印刷機もマイクロコンピューター等による自動化が進み、操作も簡単になり、これに伴って孔版印刷の利用が増加している。しかし、孔版印刷機は10℃程度の低温から30℃程度の高温までの温度で使用されることがあり、孔版印刷機の使用温度によって印刷物の品質が異なり、特に画像濃度は低温ではうすく、高温では濃すぎるという問題があり、温度依存性の少ないインキの要求が高まってきている。また、孔版印刷用エマルションインキは長期間の保存や温度変化の激しい場所での保存では、インキの分離や粘度変化等の問題があり、保存安定性の向上の要求も高まってきている。
【0004】
これまで、インキの温度依存性、保存安定性に関しては、特開2000−17214(東北リコー)では、粘度(40℃下)が10.0mm/sを超え、環分析による炭素分布におけるナフテン成分の炭素の含有量が34%CN以上、かつ芳香族成分の炭素の含有量が20%CA以下である不揮発性の鉱物油を含有させることで温度依存性や、インキの分離を少なくし保存安定性を向上しているが、長期間の保存でインキ粘度が上昇してしまい保存安定性に対しては、十分な効果が得られない。
【0005】
また、特開2000−17215(東北リコー)では、環分析による炭素分布におけるパラフィン成分の炭素の含有量が55%CP以上、ナフテン成分の炭素の含有量が25%CN以上であり、かつ芳香族成分の炭素の含有量が10%CA以下である不揮発性の鉱物油を含有させることで温度依存性や、インキの分離を少なくし保存安定性を向上しているが、長期間の保存でインキ粘度が低下してしまい保存安定性に対しては、十分な効果が得られない。
【0006】
さらに、特開2001−49161では、動粘度が6〜10mm/s(40℃下)で、環分析によるナフテン成分の炭素の含有量が34%CN以上で、且つ芳香族成分の炭素の含有量が2〜20%CAで、しかもパラフィン成分の炭素の含有量が55%CP未満である石油系溶剤を含有させることで、インキの分離を少なくし保存安定性を向上しているが、長期間の保存でインキ粘度が上昇してしまい、保存安定性に対しては十分な効果が得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明の目的は、前記従来技術の欠点を除去し、孔版印刷機において、温度依存性が少なく、分離や粘度変化の少ない保存安定性に優れた孔版印刷用油中水型エマルションインキを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成され、環分析による炭素分布におけるナフテン成分の炭素含有量が40%CN以上でパラフイン成分の炭素の含有量が60%CP未満の不揮発性のナフテン系鉱物油、および環分析による炭素分布におけるナフテン成分の炭素含有量が40%CN未満でパラフィン成分の炭素含有量が60%CP以上の不揮発性のパラフィン系鉱物油を含有することを特徴とする孔版印刷用油中水型エマルションインキを提供することにより、前記課題を解決することができた。
【0009】
即ち、本発明者は、前記課題を達成するため種々研究を行い、孔版印刷用油中水型エマルションインキとして、油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成され、油相成分として、環分析による炭素分布におけるナフテン成分の炭素含有量が40%CN以上でパラフイン成分の炭素の含有量が60%CP未満の不揮発性のナフテン系鉱物油、および環分析による炭素分布におけるナフテン成分の炭素含有量が40%CN未満でパラフィン成分の炭素含有量が60%CP以上の不揮発性のパラフィン系鉱物油を含有させることにより、温度依存性が少なくなり、分離が少なくなり、粘度変化が少なくなり、保存安定性が向上すること、好ましくは、前記不揮発性のナフテン系鉱物油を8重量%以上、さらに好ましくは8〜16重量%含有させ、かつ前記不揮発性のパラフィン系鉱物油を8重量%以上、さらに好ましくは8〜16重量%含有させることにより、さらに温度依存性が少なくなり、分離が少なくなり、粘度変化が少なくなり、保存安定性が向上することを見い出し、本発明に到達することができた。
【0010】
本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキがこれらの効果を有する理由は定かではないが、ナフテン成分の炭素含有量が40%CN以上で、パラフィン成分の炭素の含有量が60%CP未満の不揮発性のナフテン系鉱物油を使用することにより、他の材料に対する相溶性が向上し、分離が少なくなり、また、ナフテン成分の炭素含有量が40%CN未満で、パラフィン成分の炭素含有量が60%CP以上の不揮発性のパラフイン系鉱物油を使用することにより、温度によるインキの粘度変化が少なくなり温度依存性が向上し、加えて、不揮発性のナフテン系鉱物油を使用し、かつ不揮発性のパラフィン系鉱物油を使用することにより、長期間の保存での粘度変化が少なくなるものと思われる。また、不揮発性のナフテン系鉱物油と不揮発性のパラフィン系鉱物油の使用量を規定することにより、さらに他の材料に対する相溶性が向上し分離が少なくなり、温度によるインキの粘度変化が少なくなり温度依存性が向上し、長期間の保存での粘度変化が少なくなり、保存安定性が向上するものと思われる。
【0011】
また、本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキは、前記不揮発性のパラフイン系鉱物油および不揮発性のナフテン系鉱物油に関する要件を満足するのみならず、油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成されることが好ましい。油相と水相の重量%が前記の範囲以外では、乳化できない場合や乳化後短時間で分離してしまう場合が多く、エマルションインキを作ることは困難である。
【0012】
なお、本明細書において、不揮発性鉱物油のパラフイン成分(CP)、ナフテン成分(CN)は、環分析(日本潤滑学会編、油滑ハンドブック、養賢堂版、P、344参照)による炭素分布における各成分の炭素数の全炭素数に対する100分率で表し、単位を各々%CP、%CN、%CAで示す。また、アニリン点は、JISの試験法「石油製品アニリン点及び混合アニリン点試験方法(JISK2256)」による。更に、クトマト分別は、JISの試験法「石油製品一炭化水素タイプ試験方法(JISK2536)」による。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明の孔版印刷用油中水型エマルションの油相は、油成分、不溶性着色剤、不溶性着色剤分散剤、体質顔料、樹脂、乳化剤などから構成される。また水相は不溶性着色剤、分散剤、水、電解質、防黴剤、水蒸発防止剤、水溶性高分子、水中油型樹脂エマルション(疎水性高分子)、体質顔料などから構成される。これらの構成成分は、エマルションの形成を阻害しない公知のものが使用される。
【0014】
本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキの各成分について説明する。本発明においては、鉱物油成分として、環分析による炭素分布におけるナフテン成分の炭素含有量が40%CN以上でパラフイン成分の炭素の含有量が60%CP未満の不揮発性のナフテン系鉱物油、およびナフテン成分の炭素含有量が40%CN未満でパラフイン成分の炭素含有量が60%CP以上の不揮発性のパラフイン系鉱物油を含有させる。
【0015】
前記不揮発性のナフテン系鉱物油としては、サン石油製のサセンオイルシリーズ(310、410、415、420、430、450、380、480、3125、4130、4240)、モービル石油製のガーゴイルアークテイックオイルライト、Cヘビーなどがある。また、前記不揮発性のパラフィン系鉱物油としては、モービル石油製のガーゴイルアークティックシリーズ(1010、1022、1032、1046、1068、1100など)、サン石油製のサンパーオイルシリーズ(110、115、120、130、150、2100、2280)などが挙げられる。
【0016】
本発明に使用される油成分には、上記鉱物油以外に温度依存性、保存安定性などを阻害しない範囲で他のオイルを併用してもよい。
本発明に使用される上記鉱物油以外の油成分は、例えば石油系溶剤、流動パラフイン、スピンドル油、マシン油、潤滑油、その他の鉱物油;あまに油、トール油、とうもろこし油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、やし油等の植物油等が使用される。これらは芳香族成分の少ないものが望ましい。また、本発明においては、温度依存性、保存安定性などを阻害しない範囲で合成油も併用できる。
【0017】
本発明で用いられる着色剤はカーボンブラック、酸化チタン;アゾ系顔料、フタロシアニン顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、建染染料系顔料、媒染染料系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料及び天然染料系顔料;ジアゾ染料、アントラキノン系染料等の油溶性染料等が上げられる。これらの染顔料類は、単独でも2種以上混合して添加しても良い。
油相及び水相に分散された顔料の平均粒径は0.1〜10μmが好ましく、特に0.1〜1μmであることが好ましい。その使用量は必要量に応じて添加することが可能であるが、通常2〜15重量%である。また、油相及び水相に分散あるいは添加されるが、性質の近い顔料は2種類以上の顔料を同相に添加しても良い。
【0018】
カーボンブラックに関しては油相に添加する場合にはpH5未満の酸性の顔料が、水相に添加する場合にはpH5以上、好ましくはpH6〜10、より好ましくはpH7〜9のアルカリ性の顔料を使用することが望ましい。
代表的なカーボンブラックとしては、MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、#40、#44(以上、三菱化学製)、Raven1255、Raven1100U、Raven1080U、Raven1060U、Raven780U、Raven760U、Raven410、(以上、コロンビヤンカーボン製)などが挙げられる。添加量は通常インキ重量の3〜15重量%、好ましくは4〜10重量%である。
【0019】
本発明で用いられる乳化剤は、好ましくは非イオン界面活性剤であり、たとえば、ソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジグリセリド及び、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸等の酸化エチレン付加物等が挙げられ、単独であるいはこれらのHLBの異なる物を2種類以上を組み合わせて安定性の高いエマルションを調製することができる。添加量は通常インキ重量の0.5〜15重量%、好ましくは2〜5.5重量%である。以上のほか、油相にはエマルションの形成を阻害しない範囲で樹脂、着色剤の分散剤、体質顔料、ゲル化剤および酸化防止剤等を添加することができる。
【0020】
本発明において、樹脂としては、ロジン;重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂;ロジンポリエステル樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のロジン変性樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴムなどのゴム誘導体樹脂;テルペン樹脂;アルキド樹脂;重合ひまし油等を1種または2種以上を混合して添加して良い。これらの代表的な樹脂としては荒川化学社製のタマノル353、タマノル403、タマノル361、タマノル387、タマノル340、タマノル400、タマノル396、タマノル354、KG83.6、KG846、KG1834、KG1801等のロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。
添加量は通常インキ重量の1〜15重量%、好ましくは2〜8重量%である。
【0021】
本発明において油相及び水相に分散する着色剤の着色剤分散剤としてはエマルションの形成を阻害しない物が使用でき、前記の乳化剤用非イオン性界面活性剤及び水溶性高分子も使用することができる。
分散剤としては、アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン−無水マレイン酸系共重合高分子化合物、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、α−オレフインスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩及びアルキド樹脂等の不溶性着色剤分散能を有する樹脂なども挙げられる。この他にもインキの保存安定性を阻害しない範囲であれば、イオン性界面活性剤、両性界面活性剤なども挙げられる。これらの分散剤は単独または2種類以上混合して添加すれば良く、高分子及び樹脂以外の着色剤分散剤の添加量は着色剤重量の40重量%以下、好ましくは2〜35重量%とすれば良い。
【0022】
ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、流動性を向上させる役割をもち、本発明のインキに添加されるゲル化剤としては油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。
このような化合物を例示すると、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー等であり、具体的にはオクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテート等の有機キレート化合物等が挙げられる。これらのゲル化剤は、1種または2種以上を油相に添加すれば良く、その添加量は油相中の樹脂の15重量%以下、好ましくは5〜10重量%である。
【0023】
油相に添加される酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール等であり、これらの添加によって油相中のバインダー樹脂等の酸化を防ぎ、これによってインキの粘度の上昇等が防止される。また、その添加量はインキ中の油成分の2重量%以下、好ましくは0.1〜1.0重量%である。なお酸化防止剤は単独でも2種類以上を混合して使っても良い。
【0024】
本発明の孔版印刷用W/O型エマルションインキの水相には、保湿や増粘及び顔料、体質顔料の分散および固着のために水溶性高分子や水中油型樹脂エマルションを添加してもよい。
【0025】
水溶性高分子としては具体的には下記の天然または合成高分子が添加される。例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等の天然高分子;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等の半合成高分子;アクリル酸樹脂およびポリアクリル酸ナトリウムなどの中和物、ポリビニルイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリN−アクリロイルピロリジンやポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのポリN−アルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体及びこれらをアルキル基で部分的に疎水した高分子、またアクリルアミド系ポリマーおよびアクリル系のポリマーに関しては置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーでも良い。またポリエチレンとポリプロピレンまたはポリブチレンのブロックコポリマーも用いることができる。
これらの水溶性高分子は1g/dLの水溶液の表面張力が65mN/m以下を示すような界面活性剤を有する水溶性の合成高分子等が用いられる。これらの水溶性高分子は単独でも2種類以上混合しても良く、インキに含まれる水の25重量%以下、好ましくは0.5〜15重量%が添加される。
【0026】
水中油型樹脂エマルションは、合成高分子でも天然高分子でもよい。合成高分子としてはポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン等が挙げられる。天然のものとしては油相に添加できる前記高分子等が挙げられる。
これらは油中水型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲であれば2種類以上を併用してもよく、また分散方法も分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよく、またソープフリー乳化重合によって合成した物でも良い。これらの水中油型樹脂エマルションの最低造膜温度は40℃以下であることが望ましい。これらの水中油型樹脂エマルションは、インキ中の水重量の30重量%以下、好ましくは0.2〜15重量%で添加される。
【0027】
水相に添加される防腐・防かび剤は、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルションインキを長期保存する場合は防腐、防かび剤を通常添加する。その添加量は、インキ中に含まれる水の3重量%以下、好ましくは0.1〜1.2重量%とするのが良い。
防腐・防かび剤としてはサリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物およびその塩素化合物のほか、イソチアゾリン系化合物、トリアジン系化合物とピリジン系化合物の混合物、ソルビン酸やデヒドロ酢酸等が使用され、これらは単独でも2種類以上混合して使っても良い。
【0028】
水の蒸発防止剤と凍結防止剤は兼用可能であり、これらの目的で添加される物質としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の低級飽和一価アルコール;グリセリンやソルビトール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの物質は1種または2種以上を添加すれば良く、その添加量はインキ中の水重量の15重量%以下、好ましくは4〜12重量%である。
【0029】
水相に添加されるpH調整剤は、ジイソプロパノールアミン、ジ−2(エチルヘキシル)アミン、トリエタノールアミン、トリアミルアミン、b−ジメチルアミノプロピオニトリル、ドデシルアミン、モルフォリン等の低分子アミンやアルカノールアミン等、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム等の無機塩機等であり、必要時にはこれらのpH調整剤を添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範囲からはずれると、増粘剤用水溶性高分子が添加されている場合にはその効果が損なわれる等の問題がある。
【0030】
水相に添加される電解質はエマルションインキの安定性を高めるために添加されるものである。従って、該電解質により影響を受ける材料が水相に存在しない場合に使用するのが望ましい。電解質は、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等の陰イオン、或いはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンなどの陽イオンを含む電解質であることが好ましい。
このような電解質としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸アルミニウム等が好ましい。またその添加量は水相の0.1から2重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%である。
【0031】
また、本発明の孔版印刷用W/O型エマルションインキ中には滲み防止、あるいは粘度調整のために体質顔料も添加できる。インキ中に添加される体質顔料としては白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等の無機微粒子およびポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の有機微粒子、またはこれらの共重合体からなる微粒子が挙げられる。
具体的な例としてはアエロジル200、アエロジルR972等(以上、日本アエロジル製)、NEWDORBEN(白石工業製)、BEN−GEL、S−BEN、ORGANITEなど(以上、豊川洋行製)、TIXOGELシリーズ(VP、DS、GB、VG、EZ−100など)、OPTIGEL(以上、日産ガードラー製)などが挙げられる、これらは油相、水相または両相に添加しても良い。その添加量はインキに対して0.01〜50重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜10重量%である。
【0032】
上記添加剤のほか、本発明の孔版印刷用W/O型エマルションインキには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離を良くするため、或いは印刷用紙の巻き上がり防止のために油相にワックスを添加することができる。また、水相にはトリエタノールアミンや水酸化ナトリウム等を添加して、水溶性高分子添加による高粘度化を更に増進させることができる。さらに、水相に防錆剤や消泡剤を添加して印刷の際に印刷機がインキによって錆びたり、インキが泡立っことを防止することができる。これらの添加剤は、孔版印刷用インキに添加されている公知品を必要に応じて添加すれば良く、その添加量は従来品の場合と同程度でよい。
【0033】
本発明の孔版印刷用W/O型エマルションインキは、従来のエマルションインキの製造と同様にして油相及び水相液を調整し、この両相を公知の乳化機内で乳化させて製造することができる。すなわち、着色剤、乳化剤及び必要に応じて添加される樹脂等の添加物を良く分散させた油相を常温で調整し、これに防腐、防かび剤や水溶性高分子等が必要に応じて添加されている水溶液からなる水相を徐々に添加して乳化すれば良い。
【0034】
インキの粘度は撹拌条件によっても調節可能であり、インキが使用される孔版印刷機にあった粘度であれば良く特に規定はないが、ずり速度20s-1の時の粘度が5〜40Pa・s好ましくは10〜30Pa・sであることが望ましい。また油相の粘度も特に規定はないが油相に不溶性着色剤、樹脂、体質顔料などを添加した時のずり速度20s-1の油相の粘度は0.05〜20Pa・s好ましくは0.1〜3Pa・sであることが望ましい。
【0035】
本発明のエマルションインキは、従来のエマルションインキ製造時と同様に、油相及び水相を調整し、それぞれを撹拝機や三本ロールミル、ボールミル等で撹拝、分散した後、この両方を公知の乳化機内で乳化させてインキとすればよい。すなわち、着色剤、乳化剤及び必要に応じて添加される樹脂等の添加物を良く分散させた油相を常温で調整し、これに防腐、防かび剤や水溶性高分子等が必要に応じて添加されている水溶液を徐々に添加して乳化すれば良い。
【0036】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。なお、以下に記す部は重量部である。
各実施例及び比較例のインキ作成手順としては、下記に示す原料成分を用い、顔料分散体の調整は着色剤、オイル、顔料分散剤等を3本ロールで練肉することで行い、この顔料分散体に乳化剤、オイル等を加え油相とし、これに水、凍結防止剤、防腐、防かび剤、電解質などからなる水相を加え、乳化することにより孔版印刷用エマルションインキとした。
【0037】
参考例1)
着色剤 :カーボンブラック 8.0部
分散剤 :アルミニウムキレート化合物(味の素製) 0.5部
乳化剤 :ソルビタンモノオレート 3.0部
ナフテン系鉱物油 :サンセンオイル415(サン石油製) 22.0部
(45%CN、44%CP
パラフィン系鉱物油:サンパーオィル115(サン石油製) 2.0部
(31%CN、67%CP
水 :イオン交換水 53.4部
凍結防止剤 :エチレングリコール 10.0部
電解質 :硫酸マグネシウム 1.0部
防腐剤 :p−オキシ安息香酸メチル 0.1部
【0038】
参考例2)
着色剤 :カーボンブラック 8.0部
分散剤 :アルミニウムキレート化合物(味の素製) 0.5部
乳化剤 :ソルビタンモノオレート 3.0部
ナフテン系鉱物油 :サンセンオイル415(サン石油製) 2.0部
パラフィン系鉱物油:サンパーオイル115(日本石油製) 22.0部
水 :イオン交換水 53.4部
凍結防止剤 :エチレングリコール 10.0部
電解質 :硫酸マグネシウム 1.0部
防腐剤 :p−オキシ安息香酸メチル 0.1部
【0039】
Figure 0004880832
【0040】
参考例4)
着色剤 :カーボンブラック 8.0部
分散剤 :アルミニウムキレート化合物(味の素製) 0.5部
乳化剤 :ソルビタンモノオレート 3.0部
ナフテン系鉱物油 :サンセンオイル415(サン石油製) 8.0部
パラフィン系鉱物油:サンパーオイル115(日本石油製) 16.0部
水 :イオン交換水 53.4部
凍結防止剤 :エチレングリコール 10.0部
電解質 :硫酸マグネシウム 1.0部
防腐剤 :p−オキシ安息香酸メチル 0.1部
【0041】
Figure 0004880832
【0042】
Figure 0004880832
【0043】
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【0044】
Figure 0004880832
【0045】
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【0046】
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【0047】
〈エマルシヨンィンキの評価〉
これらのインキを用い、市販のリコー製孔版印刷機(プリポートJP5550)で十分印刷を行ってインキを印刷機内にいきわたらせた後、印刷した。この際の印刷物の印刷濃度は反射式光学濃度計(マクベス社製RD914)によって測定した。温度依存性に関しては10℃と30℃で印刷したときの濃度差を評価し、差が小さいものを10、差が大きいものを1として10段階で評価した。保存安定性に関しては1年間室温で保存し分離と粘度変化について評価し、分離については、分離の少ないものを10、多いものを1として、粘度変化については、粘度変化の少ないものを10、多いものを1として10段階で評価した。これらの結果を表1にまとめて示した。
【0048】
【表1】
Figure 0004880832
【0049】
上記表1の実施例と参考例と比較例の結果から、請求項1の環分析による炭素分布におけるナフテン成分の炭素含有量が40%CN以上、パラフン成分の炭素の含有量が60%CP未満の不揮発性のナフテン系鉱物油を含有させ、かつ環分析による炭素分布におけるナフテン成分の炭素含有量が40%CN未満、パラフン成分の炭素含有量が60%CP以上の不揮発性のパラフィン系鉱物油を含有させること、及び前記不揮発性のナフテン系鉱物油の含有量Aと、前記不揮発性のパラフィン系鉱物油の含有量Bとの質量比(A:B)が1:0.5〜1:1であることによる効果(温度依存性が少なく、安定性に優れる)が明らかである。参考例1、及び参考例2と実施例3、参考例4、実施例5、及び実施例6の結果から、請求項の、該不揮発性のナフテン系鉱物油を8重量%以上含有させ、かっ該不揮発性のパラフィン系鉱物油を8重量%以上含有させた場合、上記効果が更に向上することが明らかである。
【0050】
【発明の効果】
本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキは、温度依存性が少なく、分離や粘度変化が少なく保存安定性に優れるという作用効果を有する。特に前記不揮発性のナフテン系鉱物油を8重量%以上含有させ、かつ該不揮発性のパラフィン系鉱物油を8重量%以上含有させた場合、温度依存性、及び保存安定性がさらに向上するという作用効果を有する。

Claims (3)

  1. 油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成され、環分析による炭素分布におけるナフテン成分の炭素含有量が40%CN以上でパラフィン成分の炭素の含有量が60%CP未満の不揮発性のナフテン系鉱物油、および環分析による炭素分布におけるナフテン成分の炭素含有量が40%CN未満でパラフィン成分の炭素含有量が60%CP以上の不揮発性のパラフィン系鉱物油を含有し、
    前記不揮発性のナフテン系鉱物油を8重量%以上および前記不揮発性のパラフィン系鉱物油を8重量%以上含有し、
    前記不揮発性のナフテン系鉱物油の含有量Aと、前記不揮発性のパラフィン系鉱物油の含有量Bとの質量比(A:B)が1:0.5〜1:1であることを特徴とする孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
  2. 前記不揮発性のナフテン系鉱物油を8〜16重量%および前記不揮発性のパラフィン系鉱物油を8〜16重量%含有することを特徴とする請求項1記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
  3. 前記不揮発性のナフテン系鉱物油を8〜12重量%および前記不揮発性のパラフィン系鉱物油を8〜12重量%含有することを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の孔版印刷用油中水型エマルションインキ。
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